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穗積委員 私は冒頭に、きょうの質問の
趣旨は、
ソビエト、
中国を
侵略的
膨張主義である、特に
アジアにおいては
中国がその根源であるというふうにきめつけ、そうしてそれとの
対決を深めていく、そういう
態度、それで米中の
対決というものをむしろこれを緩和せしめる、あるいは
日本と
中国との間を接触に持っていく、相互理解を深め、そうして
緊張を緩和する方向へ持っていこうという努力が、
政府等を中心にして逆になりつつある。もとより自民党の中においては、松村、藤山両氏をはじめとするいわゆるAA研究会の良識ある文書の中においては、そういう
対決ムードというものに対して反対の
態度を示すようになっておられる、これは大いにわれわれ尊重いたしておりますけれ
ども、しかし
政府の
政策そのものの
態度については、池田内閣時代には
経済合理主義の一応の路線があった。ところが佐藤内閣になりまして、あなたは
経済官僚出でありながら、実はその合理主義を乗り越えてしまって、そうして反共
対決ムード、軍人か右翼と同じような
考え方が露骨にさっきからの問答でも明瞭になっている。われわれはきょうのことでますます
日本の佐藤内閣の
外交路線というものは
対決を強化していく、
対決を深刻化していく、力の
対決でいこうという方向へいきつつあるということを非常に憂えるとともに、憤りを感ずるものでございます。したがって、いまの
アメリカにおける多少の流動、これについては、特に
政府部内にはマクナマラのこの間の発言にもありますように、
ベトナム戦争に対して立ち往生してしまって、そこでそれの打開の逃げ道として
中国との接触、孤立なき封じ込めとかあるいは
中国との何らかの接触を始めていったらどうか、これは窮余の策だと思うんです。そういう動きがあるということは事実なんです。その
アメリカの
中国認識なり
中国に対するいかにもやわらかいような融和的な
態度というものは戦術から出たものであって、私は本物ではないと思っておる。しかしながら、これは
一つのチャンスでありますから、
日本は、少なくともあなたのほうの党の中で松村さんなり藤山さんなり、その他AAグループの良識ある人々が
考えておるように、
アメリカと
中国との
対決を強化、激化したときに、一番の被害者は
日本であるし、その渦中に閉じ込められることは免れない。したがって、われわれのなすべきことは、平和路線をとって
アメリカと
中国との間のちょうつがいになるべきではないか、橋渡しになるべきではないかという意向が一部には——むしろあなた方が反動化するとともに、その橋渡し的な意見というものがまたまとまりつつあるし、強くなりつつあるのが
現状だと思います。したがって、
アメリカも動揺しておる、
日本の政界も、
与党である保守党を含めまして動揺を始めておる、これが事実だと思うのです。そのときに
政府のとるべき具体的な個々のこまかい
外交政策、たとえば出入国問題
一つにいたしましても、これから延べ払い問題
一つとってみても非常に大事な影響を与えると思うのです。ところが、きょうのところは、私
どもが危惧いたしておりましたことが事実となってあなたの答弁の中にあらわれてきておる。これははなはだしく遺憾であります。
安保条約の取り扱いについてはまだ発言の時期でないから、
議論は自由だけれ
ども、
政府としてはもう少したってから意見を述べたいと言われる。
中国問題については、この緩和をもし願うならば、
アジアに
対決強化を欲せられるんでなくて緩和を願われるならば、この際は
安保条約の改定問題、あるいは改悪問題を
論議する前に、
中国の国連における代表権問題はぜひ取り上げるべき前向きの
態度で
政策の転換をはかるべきであると私は強く思うわけです。ところが、相変わらず重要事項指定方式で臨むんだ、そして
アメリカにおいてすら始まっておる動揺に対しても何ら考慮しようとしていない。その流動的な動きをつかもうとしていない。そして見通しはどうかといえば、見通しに対しては自信がない。これでは
アメリカどおりだということですね。おそらくは重要事項指定方式は
アメリカが放棄したときに
日本はそれに追随するでしょう。あくまで重要な問題だから重要事項だと言う、これを固執して通す自信はあなたにはないでしょう。答弁を求めるまでもなく、
アメリカに追随しか出てこない。これでは
国民は非常な不安を抱く。このごろはいつか来た道という
ことばが——あなたはあまり地方にお出にならぬからわからぬかもしらぬが、いつか来た道という非常な警戒と不安と憤りを含めた
ことばが大衆の間に出だしてきております。それはそのことを言っている。
以上の私の質問を締めくくりましたときに、そういう期待を
政府にかすかながら持ちながら
お尋ねしたわけですが、それを申し上げまして、総括してあなたの対国連、対
中国問題についての御所見を伺っておきたいと思うのです。どういう方向を進もうとしているのか。