運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1966-04-22 第51回国会 衆議院 外務委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十一年四月二十二日(金曜日) 午前十時二十三分
開議
出席委員
委員長
高瀬
傳君
理事
安藤 覺君
理事
鯨岡 兵輔君
理事
永田
亮一
君
理事
三原 朝雄君
理事
毛利
松平
君
理事
戸叶
里子君
理事
西村
関一
君
理事
穗積
七郎
君 内海 安吉君 菊池 義郎君
小坂善太郎
君
野見山清造
君
長谷川
峻君 濱野 清吾君 岡 良一君 黒田 壽男君 帆足 計君
松平
忠久君 松本
七郎
君 竹本 孫一君 川上 貫一君
出席国務大臣
外 務 大 臣
椎名悦三郎
君
出席政府委員
外務政務次官
正
示啓次郎
君
外務事務官
(
欧亜局長
)
北原
秀雄君
外務事務官
(
経済局長
) 加藤
匡夫君
運輸事務官
(
航空局長
) 佐藤 光夫君
委員外
の
出席者
外務事務官
(
条約局外務参
事官
)
大和田
渉君 大 蔵 技 官 (
関税局鑑査課
長) 坪井 哲郎君 参 考 人 (
日本航空株式
会社取締役社
長)
松尾
静麿
君
—————————————
四月二十二日
委員愛知揆一君辞任
につき、その
補欠
として長
谷川峻
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員長谷川峻
君
辞任
につき、その
補欠
として愛
知揆一君
が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
四月二十一日
自然改良
による
世界
の民生安定に関する請願 (
中曾根康弘
君
紹介
)(第三一九〇号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
航空業務
に関する
日本国政府
と
ソヴィエト社会
主義共和国連邦政府
との間の
協定
の
締結
につい て
承認
を求めるの件(
条約
第三号)
関税率表
における
物品
の
分類
のための
品目表
に 関する
条約
及び千九百五十年十二月十五日にブ ラッセルで署名された
関税率表
における
物品
の
分類
のための
品目表
に関する
条約
の改正に関す る
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件(条 約第五号) ————◇—————
高瀬傳
1
○
高瀬委員長
これより
会議
を開きます。
航空業務
に関する
日本国政府
と
ソヴィエト社会主義共和国連邦政府
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件を議題とし、
審査
を進めます。 本日は、
参考人
として
日本航空株式会社
の
松尾社長
が御出席されています。
松尾参考人
には、御多用中にもかかわらず、貴重な時間をおさきくださいまして、まことにありがとうございました。 さきに御連絡いたしましたとおり、本
委員会
におきましては、
目下日ソ航空協定
について
審査
をいたしているのでありますが、本件に対する貴殿の忌憚のない御
意見
を承り、
審査
の
参考
にいたしたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、まず
参考人
より本
協定
について御
意見
をお述べいただきます。
松尾参考人
。
松尾静麿
2
○
松尾参考人
ただいま御
紹介
にあずかりました
日本航空
の
松尾
でございます。本日は、
日ソ航空協定
問題につきましてお呼びいただきまして、発言の機会をお与えいただきましたことに深く感謝する次第でございます。
日ソ交渉
の問題について
意見
を述べまする前に、ちょっと簡単に一言申し上げたいことがございます。私は日ごろ、
国際航空
は、その国が地球上のどういうところに位置しているかによりまして、非常に消長が左右されるという
ぐあいに
考え
ております。そういう点から見ますと、
わが国
は非常に
環境
に恵まれておるということを私は
考え
ております。特に
東京
は、そういう点では
国際航空路上
の非常な
要衝
にあるのではなかろうか。
アメリカ
の
ニューヨーク
ほどではないにしても、
世界
のそういう
航空路上
の
要衝
の数
ポイント
のうちには必ず入る。そして将来は、だんだんそういうウエートを増していく
環境
にある。そういう
環境
を
わが国
は、
政策
的にも、あるいはわれわれ
航空会社当事者
である
日航
も、そういう
環境
を
ほんとう
に将来つかんでいかなければいかぬ。そういう
意味
におきまして非常に大事なことは、
国際航空
の
基礎
をなすものはやはり
航空協定
でございまして、これに対する
政策
というものが非常に大事になってくるわけでございまして、常に私が
東京
という
ポイント
を安売りしてはいけないと言うのは、そこにあるわけでございます。 この
航空協定
なるものは、いままで、戦前は
国際航空
というものはほとんどなかったのでございまして、戦後
日本航空
が発足いたしましてから、
国際航空
というものが本格的にできてきた。それに従いまして、だんだん
航空協定
なるものに関しても、国民の
皆さま
、
政治家
の
皆さま
、あるいは担当の
関係官庁
も非常に
関心
を今日まで持たれてきた。そういう
意味
におきまして、昨年来、
世界
の
二つ
の大国である
アメリカ
と
ソビエト
との
航空協定
を対等に
交渉
をして今日まで持ってこられたということに対しましては、
ほんとう
にこれは
日本
の
民間航空史
の一ページを飾るものだ、こういう
ぐあいに
私は心から感謝している次第でございます。 いずれにいたしましても、
相手
は
先進国
でもあり、非常に強大な国でございますので、不平等を是正するとかいうようなことも一〇〇%はいきっこない、どうしてもこういう
交渉
のバックになるものは国の力ではなかろうか、こういう
ぐあいに
私は
考え
ますので、一〇〇%はいかぬまでも、今度の
日ソ
、
日米
の
協定
にいたしましても
相当
の
成功
ではなかろうか、こういう
ぐあいに
実は感謝している次第でございます。
御存じ
のとおり、
わが国
が
国際航空条約
を結んでいる国は二十四カ国ございまして、そのうち
日本航空
が乗り入れている国が十五カ国でございます。
日航
だけが一方的に乗り入れている国が四カ国である、
相手国
が
日本
に一方的に乗り入れている国が
オーストラリア
その他三カ国である、こういう状況になっております。
御存じ
のとおり、わが社は
太平洋北米線
の
国際航空
、東南アジアそれから北回りの
欧州線
、南回りの
欧州線
それから
韓国線
、こういう
国際線
を現在実施しておりまして、本年度中に批准ができますれば、
東京
−
モスクワ
、それから
ニューヨーク・ビヨンド欧州
の
世界一周
の
路線
を実行していく、こういう段取りになっておるわけでございます。現在IATA、
国際航空運送協会
というものがございまして、百十数社入っておりますが、わが社はその中で現在の地位は十三位でございます。第二次大戦では
イタリア
、
西ドイツ
、
日本
、この三カ国が負けたのでありますが、
西ドイツ
の
ルフトハンザ
、それから
アリタリア
、こういうところは現在の
順位
は五、六番目、こういう
ぐあいに
なっておりまして、そういう点からいきますと、
わが国
のナショナル・
キャリア
である
日本航空
は、その
イタリア
あるいは西独には
相当
おくれをとっておる、こういうことが言えるのじゃなかろうかと思います。その点につきましては
西ドイツ
なり
アリタリア
は国のいわゆる
航空政策
というものが非常に、
日本
と違いまして、りっぱな
政策
がやはり戦後立てられた。そういう
意味
におきまして非常に拡大が早かった、こういうことは言えるだろうと思います。わが社は何といいましても戦後非常に不況その他ございまして、
ステップ
・
バイ
・
ステップ
でいくという
政策
がとられておりましたので、
ステップ
・
バイ
・
ステップ
でいった
関係
で着実には発展しておりますけれども、急ピッチに、
ルフトハンザ
、
アリタリア
のようには進んでいないということが言えると思います。しかし、
日ソ
間と
世界一周路線
ができて二、三年
たち
ますと、
相当
の発展ができますので、そういう点ではもう少し
順位
がだんだん上がっていくという
ぐあいに
考え
ております。 私
たち
が常に
考え
ておりますのは、こういう
世界一周路線
と
ソビエト
の
路線
、
欧州
との
最短コース
、こういうものが完成をして
ほんとう
に軌道に乗りましたならば、
日本航空
として
考え
ておりますことは、
南半球
にも
路線
を持つということが非常に大事なわけでございます。
北半球
だけではどうしても
オン
・
シーズン
、オフ・
シーズン
がございまして、冬は非常に
収支
が悪い。飛行機も
機材
も人員も余る。そういう際、
南半球
に
路線
を持っておりますと、そういう
機材
なり人材を非常に合理的に使える。たとえば
パンアメリカン
みたいに
北半球
にも
南半球
にも
路線網
を持っておるということは非常に高い
機材
なりあるいは。パイロットその他を合理的に使え、一年中平均した
収支
をあげていける。そういうことにぜひわが社として将来
考え
ていくべきじゃなかろうか、こういう
ぐあいに
考え
ております。そういうことも諸
先生方
にお
考え
願って、将来
南半球
での
航空協定
と申しますか、あるいは
南米
あるいは
オーストラリア
、あるいは
アフリカ
、それから
アフリカ
から
南米
をつなぐというような
路線
、こういうこともお
考え
を逐次願いたいと私
たち
は
希望
しておるわけでございます。そうすることによりまして、非常に安定した
国際線
の
収支
が得られるのではなかろうか、こういうように
考え
ております。 問題のきょう取り上げていただきまする
日ソ
の
航空協定
でございますが、これは
御存じ
のとおり、いまから七、八年前に
日ソ
間で
航空路
を開いたらどうかという、これは公式ではなくて、
アエロフロート
の役員がわれわれにタッチしまして、そういうことから始まってきました。その当初は
東京
−
ハバロフスク
だ、
東京
−
ハバロフスク
だということを数年間
ソビエト
は非常に主張してきたわけでございますが、その点につきましては、私
たち
は
アメリカ
との例を
考え
ましても、
東京
−
ハバロフスク
ということでは相互平等にならない、
東京
ならば
モスクワ
だ、
東京
−
モスクワ
という相互平等の原則に立っての
話し合い
でなければぐあいが悪いということで、話が断続的に進んできまして、そうして昨年くらいから本格的に
政府
間での話がございまして、この数年前と非常に違いますことは、今度の
外務省
と
向こう
の
外務省
との話は、前は
暫定協定
でいこうということの一本やりでございましたが、今度は本
協定
を結んで、そうしてその本
協定
が発効するまで
暫定
でいこうということでございまして、非常に
意味
が違うわけでございまして、本
協定
が結ばれておるわけでございますので、この数年前までやられた
話し合い
とは非常に根底で違います。私は非常な
前進
だ、こういう
ぐあいに
考え
ております。 問題になりますのは、
外務省
でも、
航空局
でも非常な
努力
をしていただきまして、この二年の間に
シベリア
を
国際航空路
として開放することを
日本側
は強く要望する、その二年の間は
暫定協定
でいくのだ、その
日本
の要望は十分わかったというような
ソビエト側
の回答でございまして、そういう点におきましては、私は非常な
前進
ではなかろうか。問題は二年後にこの
シベリア
が
ほんとう
に開放された場合は、私は昨年来の皆さんの
努力
で生まれました
日ソ交渉
というものは一〇〇%以上の
成功
ではないか、こういう
ぐあいに
考え
ます。 私、この間、
アムステルダム線
を開設いたしますので、
アムステルダム
に往復五日で行ってまいりました。
アムステルダム
で
新聞記者会見
をやりましたときに、オランダの
新聞記者
が十数社から来ておりましたが、
質問
はすべて
東京
−
モスクワ線
の開設に関する
質問
でございまして、
欧州
の各
航空会社
は非常な大きな
関心
を持っておるわけでございます。問題は、やはり二年後
シベリア
が開放された場合は、
モスクワ
からどこへ行くのだ、こういう
質問
が非常に多かった。それからもう
一つ
は、二年後に
ほんとう
に開放されるかどうか、その点はどうだというような
質問
が大多数でございまして、これが開放された場合は、
欧州
の
キャリア
というものはこぞって
シベリア経由東京
に乗り入れるという
関心
を非常に強く持っておる、あるいはいまの間では、何とか
モスクワ
から
向こう
の線を
日航
と提携していかぬか、こういう
関心
も非常にあるようでありまして、昨年来
交渉
されました
東京
と
モスクワ
の
路線
、それから
大西洋世界一周路線
、この
二つ
の大きな
条約
の改定、あるいは新しく結ばれるというこの
二つ
に対しましては、
世界
中の
航空会社
の非常な
関心
の的であることは事実でございます。 問題は二年の間にかかっておるわけでありますが、私
たち
は現在
商務協定
を続行中であります。先般第一回の
商務協定
を
モスクワ
で実施いたしましたけれども、まだなかなかまとまらない点がございます。あるいは
アエロフロート
と
日航
で
共同
でチャーターする
チャーター料
、あるいは
東京
−
モスクワ
間の料金の問題、それから
東京
と
モスクワ
間の
共同運航
をやりました場合の利益の配分の問題、あるいは
保険料
の問題、こういう点がまだ
合意
に達しておりません。したがいまして、来月の上旬にもう一度わが社は
調査団
を出しまして、そうしてこれらの残った問題について
話し合い
をする。妥結いたしましたら、できれば七月ごろから
東京
−
モスクワ
間を
共同運航
で実行したい。できれば、われわれは
オン
・
シーズン
に、できるだけ夏の間に実行したい、こういう
考え
を持っておりますので、この七月ごろ実行したい、こういう
ぐあいに
考え
ております。 それからついでに
日米
交渉
改定問題で、
世界一周路線
をわれわれ獲得したわけでございますが、
ニューヨーク
・ビヨンドをとりましたために
相当譲歩
もしております。この
太平洋
には
アメリカ
の他の
キャリア
も非常に
関心
を持っておりまして、いまちょうど
アメリカ
の
航空会社
が二十社
太平洋
を通って
東京乗り入れ
を
アメリカ政府
に申請しております。そのうち何社が許可されるか、
公聴会
その他がございますので、これがきまりますのはおそらく二、三年はかかるのではなかろうか、こういう
ぐあいに
考え
ております。 それからもう
一つ
、われわれはシアトルの権利を放棄した、それから
南米
に対する第五の自由を制限された、こういう点がございます。しかしわれわれとして一番問題になりますのは、
太平洋
は現在
日航
、
パンアメリカン
、ノースウエスト、カナディアンパシフィック、この四社でやっておりますけれども、将来
競争
が非常に激しくなるということです。そういう
アメリカ
の強大な
航空会社
がまた入ってくる、そういう点で
太平洋
は
競争
が非常に激しくなる、これは私はある程度やむを得ぬのではないかと初めから覚悟をしておりまして、この二、三年の間に私
たち
はこの
太平洋
に
競争力
を強めていく、便数を増して
競争力
を強めていくということをやはりやっておく必要がある。何といいましても、どこへ出ていきましても、この
国際競争力
というものが非常に激しゅうございますので、やはりそれに勝っていくためには、
日本航空自体
が
国際競争力
というものを
ほんとう
に力をつけて強くなっておくということが、どこの
路線
に出ていっても私は必要ではなかろうかと思うわけであります。そういう点につきまして、現在いろいろ
航空
再編成問題その他ございますが、私はそういう点から
考え
まして、特に
日本
の
国内
において、この間いろいろな事故も起こりましたし、再編成の
方向
を誤らないように
政府
でやっていただきたいということを非常に強く
考え
ております。それは何といいましても、私は将来は
集約化
の
方向
に行くことが、
日本
の
民間航空
としては最大の一番いい策ではなかろうか、そしてそういうことによって
国際競争力
を
ほんとう
に増していく、どういう
路線
に出ていっても対等に
競争
ができていくというような体制に置くことが、私は一番大事ではなかろうかと思うわけでございます。その前に私は、戦後どこの国でも同じですが、非常にたくさんの
航空会社
が免許されてできております。何も
日本
だけじゃございません。たとえば
イタリア
にいたしましても、戦後八社くらいの
航空会社
があります。
政府
の
政策
によりまして、だんだんこれが四社になり二社になり、そして
アリタリア
という
会社
が一社でやっております。
ドイツあたり
は、
ルフトハンザ
は初めから一社という
方針
をがっちり立ててやっておるわけでありまして、
わが国
も、私はそういう
集約化
の
方向
に持っていくという
方針
を立ててもらえば、そういう安全の
基礎
をなす
技術水準
も高めることになりますので、そういう
意味
では、安定した
国内
における基盤を持って、
国際競争力
を非常に強めていくということができるのではなかろうか、こういう
ぐあいに
考え
ております。そういう点につきまして、あわせて諸
先生方
にひとつぜひ御協力、御指導をお願い申し上げたいと存じます。
高瀬傳
3
○
高瀬委員長
これにて
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
高瀬傳
4
○
高瀬委員長
質疑の
通告
がありますので、これを許します。
永田亮一
君。
永田亮一
5
○
永田委員
ただいま
松尾社長
さんからたいへん有益な
お話
を伺いました。特に
国策会社
としての
日本航空
の今後のあり方あるいは
世界一周路線
についてのビジョンその他大いに
参考
になったと思います。さらに
日米航空協定
についての
お話
、それから特に将来の
集約化
の問題はわれわれも同感でございまして、いかにして
日本航空
というものを他の諸国の
競争相手
として強大なものにしていくかということを常に
考え
ておるわけでありまして、いま
社長
さんからそういう御抱負も伺いまして、たいへん
参考
になったと思うのであります。ただきょうは
日ソ航空協定
の議案がかかっておりますので、
日米航空協定
あるいは
集約化
の問題などにつきましては、私もいろいろお伺いしたいこともございますが、きょうのところは
日ソ航空協定
に限っていろいろお伺いいたしたいと思うわけであります。 いま
松尾
さんからも
お話
がございましたが、
日ソ航空協定
の問題で何といっても一番問題になる
ポイント
は、
先ほどお話
がありました
暫定協定
が二年以内、これをできるだけわれわれとしましては早い時期に切り上げて本
協定
に切りかえるということであろうと思うのであります。いま
松尾
さんからもそういう
お話
がございました。そこでまたあとから
松尾
さんにいろいろお伺いしたいと思いますが、
最初
にこの
協定
を結ばれた
外務当局
に対してお伺いをしたいと思うのでございます。この
合意
された
議定書
を読んでみますと、いまの問題なんですが、この
椎名
さんが署名された
議事録
には、「
暫定
的に運営される
国際航空業務
の開始後できる限りすみやかに、約二年以内に実現されることを強く
希望
し、これに対し、
ソヴィエト社会主義共和国連邦政府
の
代表者
は、
日本国政府
の
代表者
のこの強い
希望
を了承した。」こういうふうになっておるわけでありますが、「
日本国政府
の
代表者
のこの強い
希望
を了承した。」どうも何かはっきりしないわけなんですね。
日本政府
のいうことを了承したというなら、これははっきりしているわけでありますが、「
日本政府
の
代表者
のこの強い
希望
を了承した。」ここのところは
条約局
のほうにちょっと伺いたいのですが、この法的な
解釈
というものはどういうものなのか、どういう
強制力
があるのか、ここのところをまず
最初
にはっきりしていただきたいと思うのです。
大和田渉
6
○
大和田説明員
いま
先生
の御
指摘
の部分は、いわゆるお配りしてございます
合意議事録
の第一項の末端にある点でございますが、「この強い
希望
を了承した。」という
意味
は、これを履行しなかった場合に道義的あるいは政治的に問題がある、しかし法律的には
義務違反
にはならない。具体的に申し上げますと、
日本政府
の
代表者
が二年以内に実現されることを非常に強く
希望
した、その
希望
にもかかわらず、もし
ソ連側
が二年以内に実施しなかった場合にどういう責任を
追及
できるかというふうに置きかえられると思うのでございますが、その場合には道義的あるいは政治的に
追及
はできると思いますが、法律的にこの
協定違反
であるという式な
追及
はできないものというふうに
考え
ております。
永田亮一
7
○
永田委員
道義的な
条約
というものはあるのですか。いまおっしゃったように、もし実行しなくても
協定違反
にはならない。何かわれわれ
考え
てみるとあやふやでありまして、それじゃ、もし実行しない場合にはこっちは
協定
を破棄してしまうという、そういう約束はあるのですか。
大和田渉
8
○
大和田説明員
協定
それ
自身
につきましては、
協定
の末段のところにございますが、一年の
予告
をもって破棄できるという
規定
がございます。それから
暫定運航
の
内容
につきましては、お配り申し上げております資料の
交換公文
がございますが、それによりまして、いわゆる
暫定運航
の
内容
は
共同運航
であるということが書いてございますが、その
共同運航
は、その
内容
をなす、先ほど
松尾社長
から御
説明
のございましたいわゆる
商業
上の取りきめの
有効期間
、これはたてまえは一年でございますが、その満了の前一カ月の
予告
をもって破棄できるということになっております。したがいまして、具体的に
商業
上の取りきめの
有効期間
の前一カ月の
予告
で、この
共同運航
を破棄できるという歯どめがつけられております。
永田亮一
9
○
永田委員
一年の
予告
で破棄できるということになると、「約二年以内」と書いてあるのですが、以内はおまけするにしても、ちょうど二年たったときに、
向こう
がまだ本
協定
は結ばない、まだしないということを言ってきたら、そのときから一年の
予告
で破棄できるということですか。そうすると、結局初めから
考え
ると三年目でなければ破棄できないということですか。
大和田渉
10
○
大和田説明員
協定
の
規定
だけから申し上げますと、非常に極端なことを申し上げますが、これは効力を発生したあくる日からでも、その
協定
の
規定
は有効になるわけでございます。したがいまして、
先方
が二年たってから言ってきたら、その際から数えて一年ということではなくて、いつでも一年の
予告
で破棄できるということになると思います。ただ、この
協定
それ
自身
の持つ価値、あるいは実際に
ソ連
が二年近くたってどうしてもできないと言ってきた、その
先方
の言い分というようなもの、かりに二年間
暫定運航
で
共同運航
をやるという場合に、その
共同運航
のもたらす経済的な
意味
、そういうようなものすべてを総合判断しまして、
日本政府
としては態度をきめるべきじゃないかというふうに
考え
ております。
協定
上といたしましては、いつでも一年の
予告
で破棄できるというたてまえになっております。
永田亮一
11
○
永田委員
いつでも一年の
予告
で破棄できるのですか、いまの
お話
ですとそういうことらしいのですが、二年目の終わりごろまで、いかにも二年たったらもう本
協定
にするのだというような形をとっておったとすれば、そのときになって急にだめだと言ってきたときには、そのときから一年しなければ破棄できないのですか。
北原秀雄
12
○
北原政府委員
大和田参事官
の御
説明
の中でちょっと不明瞭な点がございましたので、ちょっと補足さしていただきます。
暫定運航期間
中は一カ月の
予告
でこの
暫定運航
を終止することができるわけでございます。そこで、たとえて申しますれば、
先方
は一応二年以内と申しておりますので、一年十一カ月
暫定運航
を行ないまして、そのときに
向こう
がはっきりと本
協定
に乗り移ることに難色を示しました場合には、
協定
上の
解釈
から申しますれば、一年十一カ月のときに廃棄の
通告
をいたしまして、一カ月後に
暫定運航
は終わるということになります。ただこの問題は、御
指摘
のとおり、私ども最も苦労いたしましたのは、あくまでも
確約
を取りつけるという
方針
のもとに四カ月
交渉
いたしまして、どうしても
確約
ということが
ソ連側
の
国内事情
でできないということでございましたので、
確約
に次ぐ最善の
解決策
は何かということで、この
意味
ではまことに次善の策であるということはいなめないと思いますが、そういうことでこのような形式にまとめ上げたわけでございます。ただこの点は、申すまでもなく、
国際関係全般
、それから
協定
の実施にいたしましても、一応このこと
自体
のみならず、あらゆる今後の日
ソ関係全般
の成り行きというものが、この点については非常に大きな
役割り
を果たすのではないかと思いまして、私どもといたしましては、これしか取りつけられなかったということを
十分念頭
に置きまして、この点を今後の
共同運航
を通じての
共同
、協力的な精神と申しますか、そういうふうな気分のもとに、両方の心がまえの問題、心がけの問題、それから日
ソ関係全般
につきましてもこれが漸次改善していけば、この点は所期された目的を達し得るのではないか、その
意味
での今後の絶えざる
努力
が大いに必要であるというふうな感じでおるわけであります。
永田亮一
13
○
永田委員
大体よくわかりました。 この
条約
文は
日本
文と
ソ連
語ですね。英語はないのですか。たとえば「
希望
を了承した」というのは、コンセントとかアグリーとか、そういうことばを使ってはないのですか。
大和田渉
14
○
大和田説明員
これは
条約
正文は
日本
語とロシア語だけでございます。先ほど御
指摘
の「
希望
を了承した。」その了承するということばのロシア語訳は、字句どおり申しますと、「理解をもって対処する」というような
内容
のロシア語で表現されております。
永田亮一
15
○
永田委員
ソ連側
はすぐ本
協定
を結ぶわけにいかぬ、それで
暫定協定
をある期間やらなければいかぬという、その理由はどういうことにあるのか、ちょっと聞きたい。
北原秀雄
16
○
北原政府委員
問題は、
シベリア
上空を国際
路線
化するという
ソ連
の
国内
行政措置の問題でございます。この点あらゆる角度から、なぜ
シベリア
上空を開放できないのかという点をいろいろ突き詰めてみたわけでございますが、
先方
が申しますのは、まず第一に、
シベリア
を開放する、国際
路線
をこの上に設定してよろしいという行政許可の問題、これが
関係官庁
の間で、
政府
部内でまず取りつける必要があるというわけでございます。それからもう
一つ
問題は、国際
路線
化するための
航空
上の施設整備の問題、大体この
二つ
に分かれると思うのであります。 そこで、なぜ行政措置がすぐできないのか、その理由といたしましては、国防上の問題、軍事上の問題、それからあらゆる治安上の問題、いろいろな理由をあげておりまして、そのために、国際
路線
化するために行政許可を出すためには、国際
路線
化いたしましたその下にあるたとえば特殊の軍事施設、たとえば重要なる産業施設とか、そういうものを移転するとか、あるいはこの上は飛んでいいのだということにするとか、あるいは場合によりましては国際
路線
をある程度迂回させるというふうなことが必要である。 そこで、
先方
の申しますには、第二番目の国際
路線
の技術的な整備の問題でございますが、この点につきましては、わかりやすく御
説明
しますために、最近テヘラン−
モスクワ
間の
路線
を
ソ連
は国際
路線
化いたしたわけでございます。この場合にとった措置について
先方
の
説明
を聞きましたところ、やはり外国機が入ってくるのでございますから、その外国機が備えているあらゆる通信施設、その他の施設に適応した地上施設を外国から輸入して地上に設定する必要がある、それから国境通過の際のいろいろな施設の問題、そういうことがおもな
内容
でございました。そこで問題は、
最初
の国際
路線
化するための行政許可というものをどうすれば早く
ソ連
政府
部内において取りつけ得るかということが焦点になったわけでございます。この点私どもも長い
交渉
を通じまして非常にはっきりわかりましたことは、やはり
ソ連
の
政府
部内にもいろいろな利害
関係
がございまして、国際
路線
化して
ソ連
の
国際航空
上の有利な点をあくまでも伸長していきたいという
関係
当局と、なおかついまだにそれにわりあいに慎重だという
関係
当局、いろいろな利害
関係
があるということがわかったわけでございます。そこで
先方
の申しますのは、問題は行政許可をとるための議論ではなくて、事実問題として、事実上の措置を実施して、それによって国際
路線
化するということを容易ならしめるという方法が
ソ連
政府
内でも一等有効な方法だと
考え
る、それにはひとつ
ソ連側
で提案している
共同運航
というものを
暫定
的にのんでもらえないか、それをやることによって国際
路線
化するための動きを具体的にはっきりと進捗せしめることができる。たとえば補助飛行場の予算を
暫定運航
を始めたということによって獲得して、適当な飛行場の整備を行なっていくというふうなことで、
先方
としてはこれがどうしても必要な問題解決のための秘訣だということばを繰り返したわけでございます。私どもから見ますれば、これはどうしても必要悪と言わざるを得ないのでございますが、以上ある程度事情を御了承願えるかと思います。
永田亮一
17
○
永田委員
いま必要悪ということばを使われましたが、私もそのとおりだろうと思うのです。うまいことばを使われましたが、悪は悪なんですから、やはり必要悪であってもできるだけ早くその悪は除いて、善のほうを一日も早くやってもらいたいと思う。 それでいま
お話
がありました軍事上の問題とか行政的な問題、これはわかりましたが、その施設とか設備とか、たとえば
日航
が相互乗り入れをして
アメリカ
のDC8を使って入った場合には、そういう飛行機に対応するレーダーとか通信施設とか、そういうものができないと、こういうわけですね。そうすると、それを設備するのに二年近くかかると、こういうふうに聞いたわけですが、これは仮定の問題ですが、こういうことはあり得ないかもしれませんが、いま
日航
が
アメリカ
のDC8を使って乗り入れをしようとしておるからそういう問題が起きるわけですから、DC8ではなくて、今度は
ソ連
の飛行機を
日航
が使って、
日航
のパイロットで
ソ連
の飛行機で乗り入れる、そういう場合があるとすれば、これは
向こう
のレーダーなり通信施設なりを何も改良する必要はないのだから、すぐに許可をするということになるわけですか。
佐藤光夫
18
○佐藤(光)
政府
委員
航空
技術的な面だけに限って私からお答え申し上げますと、
ソ連
機を
ソ連
要員をもって飛行する場合には、
航空
技術的には一応いわゆる
国内
運航の方式をとる場合には可能でございます。ただ
欧亜局長
から御
説明
申し上げましたように、そのほかに
国際航空路
としてのいろいろの要件がございますので、相互的にははたして可能であるかどうかは問題がございますが、
航空
技術的にはいま
先生
のおっしゃった範囲では可能であるかと思います。
永田亮一
19
○
永田委員
いろいろお聞きしたいので、二年以内の問題はその程度にいたしますが、できるだけ早くその必要悪は除いてもらうように
希望
をいたします。 それからさっき
松尾社長
さんから
チャーター料
あるいは運賃の問題について
お話
がありましたが、この
議定書
の
交換公文
のいただいたのを読んでみますと、ここに二ページの(2)のところに「その
航空
機についての賃借料は、
アエロフロート
及び
日本航空株式会社
にとって十分採算のとれるよう設定されるものとする。」こういう条項があるわけです。そうすると、この条文を読んでみますと、
アエロフロート
及び
日本航空
が十分採算がとれるということが前提であって、十分採算がとれるように
チャーター料
をきめるというふうに読めるわけです。そうするとこの
チャーター料
が高いとか安いとかいま御
交渉
中だというふうにちょっと伺ったのですが、かりにこの乗客が満席になるか、あるいは全然乗らないか、少ししか乗らないか、いろいろの場合ができてくると思うのですが、しょっぱなにこの
チャーター料
を幾らときめてしまったのでは、はたしてそれを払ったあとの残りの金で、
アエロフロート
及び
日本航空
が十分採算がとれるようなことができるのかどうか。私の
考え
では
チャーター料
というものはあとからきめるべき問題ではないのか、
アエロフロート
及び
日本航空
が十分採算がとれるにはこれだけの経費が要る、これを確保しておいてから
チャーター料
というものはあとからきめるというふうにならなければ、先に
チャーター料
をきめてしまったのでは、はたして
日本航空
が十分採算のとれるような運賃を得ることができるかどうか、私はちょっと疑問に思うのです。 それで、そのきめ方なんですが、私は
一つ
の
航空
運航ごとに、お客さんが半分しか乗らなかった、運賃は幾ら入った、その中で二〇%なら二〇%は
アエロフロート
と
日航
が取って、八〇%を
チャーター料
に出す、そういうようなきめ方をすれば、ある程度必要な経費を確保できると思いますが、しょっぱなに
チャーター料
をきめてしまうと必要な経費まで確保できない場合があるのじゃないか、こう思うのですが、その点
北原
さん、いかがでしょうか。
北原秀雄
20
○
北原政府委員
その点
日航
の営業
関係
の
内容
になりますので、私から、
協定
交渉
に際しまして条文をつくりました範囲内においてのみ御
説明
いたしたいと存じます。 確かに御
指摘
のように運賃収入と経費との
関係
とそれから
チャーター料
、この三者をどうあんばいするかという点は、私どもも当時いろいろ議論はいたしました。ただ
民間航空
省及び
アエロフロート
が
相当
各国の、特に社会主義諸国が多いと存じますが、いろいろ
航空
機をチャーターしてやっておる経験があるわけでございます。それと今回の
共同運航
と必ずしも方式を一にしていないわけでございますが、どうもやはりそのときの話では、
先方
の非常なお役所仕事というか、そういうことで、
先方
の代表といたしましては、従来やってまいりました方式ということに非常に固執いたしまして、やはり
チャーター料
というものを一応
ソ連
の
国内
できまっているそれをめどとして、それからいろいろほかの面を
考え
ていこうという方式を強く主張いたしました。それと、私どもの持っておりましたいろいろな疑問との妥協が、一応一般的な
規定
としてここに入っておるわけでございます。現実には今回
日航
のほうでやっておられます商務契約の
交渉
では、その点やはりある程度蒸し返しの議論が出ているのではないかと想像いたします。現実の
交渉
につきましては
日航
のほうからお願いいたします。
松尾静麿
21
○
松尾参考人
いまの
先生
の御
質問
でございますが、国際的な常識からいきますと、いろいろな方式でやっておりますけれども、まず
チャーター料
をきめましてやるのが通例でございます。したがいまして、
商務協定
でも
チャーター料
を論議しておるわけですが、
ソビエト
のほうは国際的常識、あるいは水準から見て、
相当
高いものを要求する気配でありますので、これは今後の折衝において合理的な計算の
基礎
において妥結したいというのがわれわれの
方針
であります。われわれはDC8は償却を十カ年でやっておる。これをかりに
ソビエト
製のTU114ですか、これをたとえば四年か三年くらいで償却するという方式でいきますと、食い違いが生じます。だから、そういう点はどのくらいで償却しているのか、そういう
東京
−
モスクワ
間の
チャーター料
の計算の
基礎
を示してくれ、こういうことで
交渉
をやっております。したがいまして、やはり
世界
の常識に従いまして
東京
−
モスクワ
間のチャーターは幾ら、あるいは一時間幾ら、こういうことでやっていきたい、こう
考え
ております。 もっともこの
チャーター料
には、あるいは利益があがるということについては、
東京
−
モスクワ
間の料金も非常に
関係
してくるわけであります。こういうものも、一応私
たち
はいわゆるIATAのメンバーでございます。
ソビエト
はメンバーではございませんけれども、IATA方式に非常にはずれた料金は設定できないわけでありまして、そういうものを加味した料金の設定を
話し合い
できめていきたい、こういう
ぐあいに
考え
ております。
永田亮一
22
○
永田委員
大体よくわかりましたが、この
アエロフロート
という
会社
は一体どういう
会社
なのか。われわれ自由主義国で
考え
てみると、
日航
みたいな民間の
会社
ということになるのかと思うのですが、
ソ連
という国柄のことを
考え
てみると、ほかの自由主義諸国の
アメリカ
なら
アメリカ
の
パンアメリカン
というような
会社
とはだいぶん様子が違うだろうと思うのです。この
アエロフロート
というのは
会社
なんですか。株式を出してどうというようなそういう
会社
とは思えないのですがね。
ソ連
という国の国柄から言って、そういう
会社
があろうはずがないと思うのです。そうすると、私は
ソ連
に
民間航空
省というものがあるのを知らなかったのですが、
民間航空
省というものと
アエロフロート
というものの
関係
がどうなっているのか。普通たとえば
日本
と
アメリカ
なんかのことを
考え
てみれば、
アメリカ
の民間の
会社
と
日航
が利害が一致するから、一緒になって
民間航空
省に
チャーター料
をうんとまけろ、
チャーター料
をまけろということを言うはずなんです。そうすれば
アエロフロート
も
日航
も分け前が多くなるはずですからね。ところが
アエロフロート
と
ソ連
の
民間航空
省というものがどういう
関係
にあるのか、そこがはっきりしないのですが、だれか
説明
していただけますか。
北原秀雄
23
○
北原政府委員
ソ連
の
民間航空
省と
アエロフロート
の
関係
につきまして、一応私ども調査いたしましたところでは次のようなことであります。すなわち
民間航空
省が
ソ連
邦全体についての
民間航空
全般の
機材
を所有し、その運営に当たるというたてまえになっております。
アエロフロート
というものは、その
民間航空
省の行なっております
民間航空
の、何と申しますか、運営に当たる機関、運営部門というようなふうに御理解願ったらいいのではないかと思います。 ちょっとこまかい点になりますが、これを報告させていただきますと、
ソ連
の
民間航空
は一九六四年に発足四十周年を迎えたので、すなわち一九二四年から発足したということでございます。
ソ連
の
民間航空
を管轄する中心機構は連邦
民間航空
省でございます。
民間航空
の活動分野は非常に広く、乗客、貨物の輸送のほか、農業、林業、保健、衛生、極地観測、漁業、建設等、国民経済、社会生活全分野にわたっての仕事を管轄しておるわけでございます。
民間航空
省の傘下に各共和国別に
民間航空
局がございまして、これが外国の場合のいわゆる
航空会社
というものに当たるわけであります。この各共和国別にございます
民間航空
局というものが自主的に独立採算制のもとにその運営に当たっております。それで、ちなみに
モスクワ
には
モスクワ
民間航空
局、それから
モスクワ
国際航空
局——この
モスクワ
国際航空
局の局長さんの名前はバシキーロフという人でありますが、このほかに
モスクワ
特殊
民間航空
局というのもございます。それで
国際航空
に関しましては一部の例外を除きまして、大部分は
モスクワ
国際航空
局というのが担当しておるというのが実情でございます。これらの管理局は自主的に運営を行なっておりますが、
民間航空
省に属しておりまして、その指導管轄下にあるということでございます。 そこで、
アエロフロート
というものは、これら
航空
管理局の総称で、全部をまとめて
アエロフロート
と俗に言っておる名前でございまして、具体的な機構を持っているものではございません。すなわち、あくまでも
国際航空
局というものが実態でございまして、
アエロフロート
というのはその総称で、俗称であるということでございます。そこで、
アエロフロート
の長というものは任命されておりませんで、しいて申しますれば、この
航空協定
を署名いたしました
民間航空
大臣のロギノフさんが
アエロフロート
の総裁というふうにいえるわけでございます。ことばをかえて申しますれば、
航空
省は、
ソ連
民間航空
局の行政機関としてその指導監督を行なう機関であって、
アエロフロート
はその管轄下にあって、
民間航空
事業を運営する機関の総称というふうにお
考え
願えればいいのではないかと思います。
永田亮一
24
○
永田委員
いまの
お話
を伺っておりますと、
民間航空
省と
アエロフロート
というものは結局一体だということですね。 そうすると、
チャーター料
などもさっき申しましたように、普通の自由主義諸国などの
航空会社
が国から借りておるとすれば、国に対して
チャーター料
を値切るということはあり得るわけですけれども、
アエロフロート
が
民間航空
省の飛行機の
チャーター料
を値切るということはあり得ないわけですね。同じものなのだから。そうすると、われわれの常識からいえば、
日航
及び
アエロフロート
が
共同
の利益を持って、できるだけ
チャーター料
を安くして、そしてできるだけ
アエロフロート
及び
日航
の分け前を多くしようとするのだろうと思っておったのだけれども、
アエロフロート
というものと
民間航空
省とが一体なものであれば、
アエロフロート
はそういうことを言うわけがない。そうすると
民間航空
省も
アエロフロート
も、悪いことばでいえば同じ穴のムジナなんですから、それが一緒になって、今度は二対一で
チャーター料
を高くしようということをやられるわけですね。そうすると
日航
の立場は非常に苦しいことになると思うのですが、そういう
関係
と了解していいですか。
北原秀雄
25
○
北原政府委員
確かに、
民間航空
省と
アエロフロート
は一体で、表と裏との
関係
であるというようなことはございますが、
アエロフロート
の運営に際しましては、
航空
省が総体的な計画作成、指導も行なう、これははっきりしておりますが、先ほど申しましたいわゆる管理局でございますが、各共和国にございます管理局、それから
国際航空
の面では
モスクワ
管理局でございますが、いわゆる
アエロフロート
でございます。運営に当たる
アエロフロート
は、
航空
省がつくりました総体的な計画に従って、自主的に各自自己の計画を作成して運営に当たる。そこで
アエロフロート
は、自己の採算ベースで一応やっている企業でございまして、国家からは補助金その他財政援助は受けないというたてまえになっているようでございます。そこで、
アエロフロート
は、
航空
機の購入、飛行場の建設、その他一切を自分の資金でまかなう、そういうたてまえになっております。それはしかし、
航空
省と
アエロフロート
はもともと直接管轄官庁であると同時に、ある程度一心同体であるという面はあると思いますが、たてまえ上は、いま申し上げましたように、一応計画だけを
民間航空
省が出して、総括的な計画のみをつくりまして、その計画に従って、
アエロフロート
は一応自己の採算ベースで動くものだというふうに私どもは了解しております。
永田亮一
26
○
永田委員
次に、運賃の問題を
日航
のほうへ伺いたいのですが、
東京
から北回りのコペンハーゲンを通ってかりにロンドンまで行くとすると、
東京
−ロンドン間の運賃は現在幾らですか。
松尾静麿
27
○
松尾参考人
現在の運賃でいきますと、
東京
−コペンハーゲン−ロンドンは、米貨で六百七十七ドル六十セント、こういうことでございます。
永田亮一
28
○
永田委員
この本
協定
の十一条を見ますと、こういうふうに書いてあるのです。「特定
路線
に関する運賃は、指定
航空
企業間の
合意
により、国際慣行上合理的と認められるべき水準に定めるものとする。」この「国際慣行上合理的と認められるべき水準に定める」ということは、さっき
お話
があったIATAの
協定
を基準にして
考え
るという
意味
でしょうか。
大和田渉
29
○
大和田説明員
御説のとおりでございます。
永田亮一
30
○
永田委員
そうすると、もう一ぺんその料金のことを伺いますが、
日航
にちょっと伺いますが、
モスクワ
までヨーロッパの飛行機が乗り入れておりますね。そうすると、かりにロンドンから
モスクワ
までのIATAによる料金というものは幾らなんですか。
松尾静麿
31
○
松尾参考人
約百八十ドルでございます。
永田亮一
32
○
永田委員
そうすると、この
協定
で国際慣行上合理的と認められるべき水準にきめるということになると、
東京
から北回りして、コペンハーゲンを通って、ロンドンへ行くのが六百七十七ドル、それからロンドンから
モスクワ
までは百八十ドルですか。そうするとおのずから
東京
−
モスクワ
間の運賃は出てくるわけじゃないですか。そういうふうにしてきめられないのですか。
松尾静麿
33
○
松尾参考人
東京
からロンドンまでの料金ですね。まあ理屈はおっしゃるとおりでありますけれども、
東京
から
欧州
は、たとえばロンドンだけじゃございませんで、あるいはパリとかあるいはヘルシンキなどがあるわけであります。私
たち
が主張しておりますのは、
東京
からヘルシンキまでは七百二ドルなんです。そこでヘルシンキから
モスクワ
までは九十一ドル、だから七百二ドルから九十一ドルを引いた六百十一ドルを
日航
が主張しているわけなんです。
ソビエト側
は五百四ドル、こう言っているわけなんです。だから、そういう点で、今度もう一度
交渉
をし、妥協する点に落ちつけたい、こういう
ぐあいに
考え
ております。
永田亮一
34
○
永田委員
そうすると、なるほど
日航
はあれですが、ヨーロッパといっても広うござんすから、いろいろ距離によって違うわけですね。そうすると、
モスクワ
を経由して行くという場合に、
モスクワ
までは共通の
路線
を通るわけだから、その賃金のきめ方がむずかしということですな。
松尾静麿
35
○
松尾参考人
ええ。
永田亮一
36
○
永田委員
大体わかりました。そうすると、
ソ連
の
航空
料金というものは非常に安いということを聞いておるわけですが、これをあんまり安くきめられると、
日航
というものは、そっちへばかりお客さんが乗ってしまえば、北回りの——いま週何便ですか、五便ですか、週五便のほうががら空きになってしまう。そうすると、
日航
としては採算上やり切れぬ。だからある程度高くして、
東京
から
モスクワ
までは高いほうがいい、こういう立場ですか。
松尾静麿
37
○
松尾参考人
私先ほどもちょっと触れましたが、
日本航空
はIATAのメンバーに入っているわけでございまして、
御存じ
のとおり北回りも
日航
だけではございません。SAS、KLM、エールフランスと、何社か同じ料金でやっておるわけでございまして、あるいはロンドンから
モスクワ
でも、パリから
モスクワ
、あるいはコペンハーゲンから
モスクワ
もやっておりますけれども、こういうものもすべてIATAの料金にあんまりかけ離れない、IATAのメンバーから攻撃を受けない料金に、
ソビエト
と話してやっておるわけですから、やはりそういう
方向
にわが社もいきませんと、
東京
−
モスクワ
を
ソビエト
の言うように非常に安くいたしますと、もちろんいま
日航
は五往復やっておりますけれども、これのお客が全部そっちへ行く、あるいは北回りをやっているほかの国のIATAのメンバーのお客も全部これに行くということで、ほかの場所で
日本航空
がIATAのメンバーから非常に攻撃を受けるということもございますので、
欧州
と
モスクワ
間を、いまもIATAのメンバーの
航空会社
がやっておりますので、できるだけIATAの料金にさしてかけ離れない、若干安い運賃でやりたい、こういう
ぐあいに
交渉
をやっておるわけでございます。
永田亮一
38
○
永田委員
私は特別に
日航
の肩を持つわけではないけれども、
日航
が非常に損をするという形になってくれば、これは
日航
という
会社
は純然たる民間の
会社
ではないですから、国の出資が五八%も出ているのだし、いろいろ
政府
の保証債なんかの金も国から出ているわけですから、結局
日航
が損をするということになってくれば、
日本
が損をするという計算になるわけです。ですから、そこのところは損をしないように運賃をきめてもらいたいわけです。
東京
−
モスクワ
間を
向こう
の言うような、あんまり安いものでやって、そっちへどんどんお客が行って、北回りのお客がいなくなって、
日航
が赤字になってきたら、また国から補助しなければならぬわけで、これはかなわぬから、採算がとれるように運賃をきめてもらいたいと思うわけであります。 時間がだいぶなくなってきたので恐縮ですが、運輸省のほうにちょっと伺いたいのです。
共同運航
の問題です。
日航
に対して
共同運航
をやる場合には免許を与えなければならぬと思うのです。運送人は免許を持たなければならぬわけですが、この点はどうですか。
佐藤光夫
39
○佐藤(光)
政府
委員
仰せのとおりでございまして、
航空
法百条による免許を必要といたします。
永田亮一
40
○
永田委員
そうすると、その免認の条件というものはどういうことになっておるのですか。私はあまり詳しく知らないので、ちょっと教えてください。
佐藤光夫
41
○佐藤(光)
政府
委員
ごく大づかみにして申し上げますと、事業実施に必要な資本、施設等を有すると同時に、その運航、整備等についても十分能力を有する必要があるということです。また、事業遂行の能力を有すると同時に、事業計画の
内容
において十分適切なものであるということが必要であるわけでございます。
永田亮一
42
○
永田委員
簡単に言うと、パイロットとか運航の
規定
とか整備の
規定
とか、そういうものが満たされなければいかぬということだろうと思うのですが、今度の
共同運航
の場合は、この
条約
にもあるのですが、
ソ連
の
航空
機で、そしてコックピットクルーつきだ。みんな
向こう
がやるのだ。そういうものがはたして免許基準に合っているのですか。
佐藤光夫
43
○佐藤(光)
政府
委員
今回
協定
の
内容
の審議に際しまして、その点を
政府
部内でも種々打ち合わせをしたわけでありますけれども、いま
先生
仰せの百条の免許をいたしますために、百一条にいろいろ免許の基準があるわけでありまして、主として問題になりますのは運航の管理であろうかと思います。運航の管理につきまして、
ソ連
の運航要員が乗っておる場合に、わがほうの運航要員が全然その運航状態を承知し得る状態でないということになりますと、この点が問題でございますので、
共同運航
の場合の運航の具体的な
内容
につきまして、いわゆるコックピットにも
日本側
の運航要員が乗ることができるということを明瞭にいたしまして、したがってその全体の姿からわがほうが十分この運航の管理がし得る状態になっているということを確認いたしましたので、わがほうの免許に適する状態である、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
永田亮一
44
○
永田委員
どうもちょっと苦しい答弁のような気がするのですが、飛行機は
向こう
の飛行機である、コックピットクールも
向こう
である、こっちはそばへ乗ることはできるけれども、操縦も何もさしてくれない、そういうものは
日本
の免許の基準に合うのですかね。これはちょっと疑問だと思うのですが、あまり
追及
する意思はありませんけれども、そこのところはよく研究しておいてください。そうでないと、
日航
というものはただ代理店みたいな形になってしまって、何ら自主的なものを持たないものを免許するという形になると思うのです。その点はそのくらいであまり
追及
はいたしません。 それから以遠権の問題なんですが、
日ソ
双方とも、首都間を結んで、そしてかつ以遠第三
国内
の諸地点への
路線
が
合意
されていることなのですが、これは
日ソ
の間で以遠権は認めるということをきめても、それだけできまるものじゃない。たとえば
モスクワ
以遠の以遠権を
日本
が取ろうと思えば、BOACならBOACには何か代償をやらなければ以遠権はくれないだろうと思います。これの以遠権は、
ソ連
・
日本
では
合意
するといっても、それはただそれだけのことで、実際には非常にむずかしいのじゃないですか。
松尾
さん、いかがですか。
松尾静麿
45
○
松尾参考人
永田
先生
のおっしゃるとおりでございまして、
相手国
とは
交渉
をやらなければなりません。
交渉
した場合に代償を取られるということはあり得ると思います。ただ、私
たち
が
考え
ておりますのは、ロンドン、パリ、フランクフルト、それから
アムステルダム
、コペンハーゲン、こういうところを大体
考え
ておりますが、そのうちで
アムステルダム
だけは
交渉
なくしていけるのですが、あとは代償がおそらく
交渉
のときは持ち上がるのではないかと思います。
永田亮一
46
○
永田委員
ソビエト
のほうは以遠圏にあまり大して力を入れなくてもいいと思うのです。それは、以遠圏といえば
東京
から
アメリカ
で、
太平洋
を越えることになると思うのですが、ヨーロッパの人が
アメリカ
に行くのだったら、何も
東京
を回らなくたって大西洋から行けばいいわけでありますから、以遠圏にそう未練を感じないだろうと思う。ところが
日航
の場合は、これは非常に重大な問題だろうと思うのです。
モスクワ
まででもう終わりだという人はほんのわずかでしょうし、おそらく
モスクワ
を経由してヨーロッパ各地へ行こうという人が多いのですから、この以遠権の重要性ということは、
ソ連
と
日本
は比較にならない。
日本
はぜひともこれを確保しなければならぬわけですから、これからあと、この以遠権の問題は、
松尾
さん、がんばってください。 それからこの以遠権について、私、ちょっと思うのは、
暫定協定
でどうして以遠権のことを持ち出さなかったのか、これは、
北原
さん、どうですか。
北原秀雄
47
○
北原政府委員
この点、先ほど申し上げました
暫定運航
というものをどう
考え
るかという点と根本的に関連するわけでございます。以遠権を
暫定運航期間
中も、これをどこかまで
先方
乗り入れという
交渉
を条件としまして行ないました場合に、どうしても
暫定運航期間
中も、
東京
−
モスクワ
経由ヨーロッパまでの乗り入れの客はおそらくふえると想像されるのだろうと思うのであります。そこで、
暫定運航期間
中もその以遠権をやりますと、やはり北回りに
相当
の影響もあろうかと思います。先ほどの、俗に申します必要悪の期間は、悪であるなればなるべく細く、なるべく短くという根本的な
考え
方がいいのではないか、そういうことで、むしろ
ソ連側
は
モスクワ
以遠の
暫定
期間中の以遠権のことについても
最初
の案には入っておるような状態でございました。しかし、わがほうのそういう
考え
方のもとに、これは現在のところ一応取り上げない、しかし、
交渉
の過程におきまして、もし途中から
日本
が
希望
するなれば、
暫定運航
に関します
交換公文
の修正には
ソ連側
は応じるということで、そういう
話し合い
のもとに現在は伏せてあるわけでございます。
永田亮一
48
○
永田委員
それから次に収入配分の問題、先ほど
松尾
さんからも簡単に
お話
がございましたが、収入配分について
アエロフロート
と
日航
との
意見
はいまどういう
ぐあいに
食い違っているのですか。
松尾静麿
49
○
松尾参考人
ソ連側
は利益を五〇%・五〇%、半々にしたい、われわれは半々ではいけないのじゃないかと主張したわけです。それはどういうことかと申しますと、北回りのほうを私
たち
は一週間に五往復やっておりますので、北回りのお客さんが、この
モスクワ線
を始めたために
モスクワ線
に移っていき、北回りはそれだけ損害を受ける。ところが、
アエロフロート
側は初めての
路線
であって、全然そういう損害がない。だから、利益の配分については半々ではいけないのだという
考え
でおるわけで、それだけが条件になっておるわけであります。
永田亮一
50
○
永田委員
私もその主張は正しいと思うのです。この半々というのは公平のごとくにして、私は公平じゃないと思う。
日本
あたりから乗っていくお客さんは、
モスクワ
どまりというお客さんは少ないわけでありまして、大体は目的地が
ソ連
から以遠のほうに乗っていくお客さんが大部分であります。その以遠に乗っていくのにこの道を通ってくれるというのだから、それはうまいことをやっているのですから、やはり
日本
の取り分をもっとふやすべきであると私は
考え
る。逆に
ソ連
のほうから乗ってくるお客さんは、
東京
以遠に行く人はほとんどないわけですから、その分の分け前は少なくてもいいと私は思うのですが、そういう主張でがんばっていただきたいと思うのです。 それから時間がきたので最後に一言だけ
質問
したいと思いますが、それは保険と責任の問題なんです。これは今度の
暫定協定
にしても、飛行機も
ソ連
の飛行機だし、コックピットクルーも
向こう
だ、整備も結局全部
向こう
だということになれば、責任は
ソ連
が持つべきだと思うのですが、これはどうですか。
松尾静麿
51
○
松尾参考人
保険と責任の問題でございますが、これもまだ論議の最中でございまして、事故の原因となったものが責任を負う、こういう原則的なことでは
意見
が一致しております。しかし、お互いに
国内
の法制とか保険の制度とかいうのは非常に違っておりますので、なかなかまだまとまっておりません。おっしゃるとおりでありまして、特にこの保険に関しましては国営の保険
会社
があるそうでございますが、全然われわれが
考え
ていることと違う。その点がこれから
相当
論議されていくことになるだろうと思います。
永田亮一
52
○
永田委員
保険の最高については、これはIATAなんかできめてあるだろうと思いますけれども、いろいろな
条約
なんかでは、もし死んだというような場合にはいま幾らになっておりますか。
大和田渉
53
○
大和田説明員
ワルソー
条約
というのと、それを改正いたしますヘーグ
議定書
というのがございまして、
日本
はワルソー
条約
のメンバーでございますが、それによりますと、かりに事故があって死亡したという場合の責任額は約三百万円でございます。ヘーグ
条約
の場合には約六百万円ということになっております。
永田亮一
54
○
永田委員
そうすると、今度適用される分、あるいは適用しようとしておる分は、ヘーグ
条約
の分ですか。
大和田渉
55
○
大和田説明員
日本
も
ソ連
もまだヘーグ
条約
に入っておりませんので、ワルソー
条約
のあれが適用になるのでございます。したがいまして三百万円ということになります。
永田亮一
56
○
永田委員
アメリカ
は、ヘーグ
条約
の一万五千ドルですか、これでもまだ少ないというので、ヘーグ
条約
から脱退したということをちょっと私聞いておるのですが、だんだんこれは金額がふえていく傾向にあるときに、ワルソー
条約
の一昔前の三百万円というようなことできめてはちょっと困ると思うのですが、どうですか。
大和田渉
57
○
大和田説明員
条約
上の義務といたしましては三百万円ということになっておりますが、しかし、その
条約
の
規定
に、別の運送契約があればそれによってもいいということになっております。それからヘーグ
条約
に、実はまだ
日本
は、署名はいたしておりますが、入っておらないのでございますが、その点は、要するに事故のあった場合の個人に対する損害賠償額が多いということは被害者のほうからは言えるのでございますが、同時に、
航空
企業そのものの採算の面とか、経済面ということもやはり考慮にいれる必要があるということで、まだ批准をいたしておりません。
永田亮一
58
○
永田委員
ちょっと聞くところによると、
アメリカ
は十万ドルを要求したということを聞いておるのですが、そうなってくると、八千五百ドルというのはまるでちゃちなもので、三百六万ということになるのですね。この見通しはどうですか。
アメリカ
がこういう要求をして脱退をしておるという状態ですから、今後の保険及び責任の問題をまた今度の
日ソ
航空
で適用するといたしますと、少なくともこれはヘーグ
条約
の一万五千ドルあるいはそれ以上ということにきめてほしいと思うのですが、見通しはどうですか。
松尾静麿
59
○
松尾参考人
このIATAでの
保険料
が非常に問題になっておりまして、
永田
先生
のおっしゃるとおり、
アメリカ政府
は十万ドルと言っております。しかし、それではなかなかまとまりませんので、現在まとまりかかっておりますのは七万五千ドルで大体いくのじゃなかろうか。われわれも、七万五千ドルならば
日本航空
も賛成せざるを得ない、こういう
ぐあいに
考え
ております。ただ、
ソビエト
との
保険料
については、そこまでまだ
交渉
はやっておりません。
永田亮一
60
○
永田委員
もういいです。
高瀬傳
61
○
高瀬委員長
穗積
七郎
君。
穗積七郎
62
○
穗積
委員
実は私は、
航空
行政または
航空業務
については全くしろうとでございまして、愚問を発することがあろうと思いますけれども、御親切にひとつ御教示をいただきたい。と申しますのは、実は私ども外国へ出まして、戦後
日本
の
航空業務
というものは、制空権並びに営業権ともに剥奪されておりましたために、非常な立ちおくれになって、それにいささかならされておる感を持たざるを得ないのであります。したがって、きょう
参考人
として御出席いただました趣旨は、
政府
も議会も与党も野党も、あるいは直接の業務の責任者も、これは前向き一体になって
わが国
の
国際航空
の業務の発展を実現しなければならない、そういう
意味
でお願いしたわけです。きょうは
松尾
さん、御不快のところわざわざおいでいただいて感謝いたしますし、なお、この
協定
についての法律上あるいは外交折衝上のいろいろの問題点があると思いますけれども、きょうは御不快でもありますから、特に
松尾社長
に対してお尋ねしたいと思う点になるべくしぼりまして、関連をいたしました点については、
政府
の答弁をいただきたいと思いますけれども、
政府
に対する
質問
は次の
委員会
の審議に譲りたいと
考え
ております。また
永田委員
から非常に重要な点について御
質問
いただきました。これはだれが
質問
いたしましてもけっこうなことでございますから、残されたと思う点について補足の
質問
をいたしたいと思っておりますから、簡単明瞭にひとつお答えをいただきたいと思っております。 前置きはそれぐらいにいたしまして、実は私はかねて
モスクワ
ヘ、野党でありますが参りましたときに、例の原油のパイプラインの問題とかいまの
航空
の問題が話題に出まして、いささか事情を漏れ承っておったのですが、先般この
委員会
におきましても、昨年であったかと記憶いたしますが、他の国との
航空協定
の場合に、
ソビエト
との間は次善の策として
東京
−
モスクワ
で
共同運航
でも踏み切ったらどうだということを
政府
に向かって強く主張いたしたことがございます。それがようやく実現をしたわけですが、これは先ほどから
お話
しのとおり、まさに完全に願望が達せられたのではなくて、反面非常な危険を含む、やりようによっては半歩
前進
だ、その上に積み重ねられるか積み重ねられないかが大きな問題だと思うのです。 その第一は、先ほど
永田委員
も御
指摘
になりましたように、
暫定協定
に伴う
共同運航
という非常な変則的な、そしてある
意味
では
わが国
としては、
参考人
も御
指摘
になったように、東西南北のちょうど交差点に立っておる
日本
の
航空
上の地位というものをヨーロッパ線へのメイン・ストリートとしての
東京
−
モスクワ
・ラインというものは、ややともすると、われわれの
日本
の
航空
業界が持っておる可能性を非常にゆがめられて、抑圧される危険があるのではないか。そうなりますと、われわれとしては、ぜひ二年間の期間以内に
協定
に示されたとおり、
ソビエト
が非常な善意と理解を示しまして、本来の相互乗り入れによる自主運航を私は実現されることを期待いたしております。しかし問題は、反面も
考え
ておかなければならないわけですが、そこで
協定
文を読みましても、「了承」は、われわれもそう思いますが、あくまでも道義的な了承であって、政治的なオブリゲーションはないわけですから、その場合に立ち至ったときに、
向こう
の態度がわれわれの期待どおりの了承が実現になればいいのですけれども、ならぬ場合をわれわれはいまから
考え
ておく必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。 そこで
政策
上の点ですから、
松尾社長
にお尋ねいたしますけれども、もしそれが二年以内に実現しないというときには、このままの
暫定
期間を延長して、その次の将来に解決することに期待をかけて、
共同運航
を継続するか、そこで一ぺん打ち切って、座敷を変えて、あらためて本
協定
、すなわち相互乗り入れによる自主運航をかちとる、そういう二者択一になろうかと思うのです。そのときに企業の責任者としてはどちらをお選びになろうとしておられるか。また、どちらの態度をとったほうが
日本
の
航空
業の将来の発展のために有利とお
考え
になっておられるか。その点を率直に伺っておきたいと思います。
松尾静麿
63
○
松尾参考人
業務
協定
は一年ごとに切れることになっておりますので、二年やりまして、どうしても
ソ連側
に誠意がないというようなことでありますれば、
日本航空
の経営の責任者としては、
会社
としては打ち切りたい、そういうふうに
考え
ております。そうすることが、将来本
協定
が開設される際にも非常にあずかって力があるのじゃないか、こういう
ぐあいに
考え
ております。ただこれは
日航
だけがそう
考え
ておりましても、あるいは国会の皆さん方、あるいは
関係官庁
がそれに同意していただかないとできないことでございますので、
日航
としては、そういう態度で進みたい、こういう
ぐあいに
考え
ております。
穗積七郎
64
○
穗積
委員
私は、きょう冒頭に
参考人
が陳述されました原則にのっとった
協定
を確立することがすべての出発の早道であり、かつ有利なことであるという強い主張をなさって、かつて対米
交渉
の場合におきましてもはなはだしく不平等なことが要求された場合には、
日米航空協定
廃棄もやむを得ない、そのほうが早道であり、
日本
のために利益になると確信するという、野党なり批評家としては言い得ることですけれども、当事者としてはなかなか言いにくいことを英断を持って言われたことに、私はひそかに当時の新聞報道を見まして、あなたに敬意を表しておったわけですが、いまのことで大体わかりました。 そこで、実はそれに対して
政府
、これは
外務省
並びに運輸省ですが、どうお
考え
になっておられるかを伺うべきですけれども、先ほど申しましたように、この問題で
政府
に対する
質問
は次の機会にいたしまして、おもに
参考人
に対する
質問
を前へ進めたいと思っております。これは外務大臣並びに
航空局長
もお耳にとめておいていただきたいと思います。お
考え
は次のときに伺いたいと思っておりますから。 それからもう
一つ
次の問題としては、
共同運航
のことでございますが、これはいままでの国際
協定
の中にも、また
わが国
の
国内
法の中におきましても、全く予想せざる
一つ
の法律概念だと思うのですね。新しいケースであるわけです。そこでこれは法律上のことでございますけれども、当事者である
日航
としてもお聞きおきいただいたほうがいいと思うので、この際
政府
にお尋ねするわけですが、この認可する場合は一体どういうことになるのか。
共同運航
は
アエロフロート
と
日航
の
共同
になるわけですが、この場合は、その両国の
政府
から、コン
バイ
ンしたものに認可をおろすのか。両国の
政府
が
二つ
の
航空
企業体に対してそれぞれ認可をおろすのか。これは法律上はどういうことになりますか。これはなぜかといいますと、先ほど
永田委員
も心配されたように、あと
暫定運航期間
中におきましても、
日航
の主体的な権利義務
関係
、それから乗り組み員並びに駐在員の権利義務
関係
に影響をいたしてまいりますから、それであらかじめ私は伺うのです。
政府
は一体それについては
国内
法並びに他の
協定
等から見まして、この場合は初めてのケースですから伺うのですが、その認可権は両
政府
が持って、そしてそれにコン
バイ
ンしたものにやるのか、一方にやるのか、あるいは両方にやるのか、どういうふうなことになりましょうか。
佐藤光夫
65
○佐藤(光)
政府
委員
先生
御
指摘
のように、今回の
暫定
的に行ないます
共同運航
は、非常に異例な運航でございます。したがいまして、私が担当しております
日本
の
国内
法の
関係
についてどういうふうに適用するかというお尋ねに対してお答え申し上げたいと思いますが、今回の
共同運航
につきましては、
日本側
の指定
航空
企業である
日本航空
に対して、先ほど
永田委員
の御
質問
に対して触れましたように、
航空
法百条に基づく免許を与えるわけでございます。同時に
航空
法百二十九条に基づきます外国人
国際航空
運送事業の許可というものを
アエロフロート
に与える。つまり
一つ
の
共同運航
行為に対しまして、
日本航空
に対しましては免許を与える、
アエロフロート
に対しましては外国人
国際航空
運送事業の許可を与える、こういうような法律的な形をとって、
国内
法上の行政措置をいたしたい、こういうふうに
考え
ておる次第でございます。
穗積七郎
66
○
穗積
委員
私、実は
ソビエト側
の
国内
法の
内容
をよく心得ておりませんが、
ソビエト
政府
からはどういうことになりますか、
ソビエト
政府
からの業務許可というものは。
佐藤光夫
67
○佐藤(光)
政府
委員
ソビエト
政府
の
国内
上の措置は私どもは直接関知をいたしておりませんが、
先生
御承知のように、この
航空協定
、こういうような形で相互運航することを、しかも
協定
の
内容
といたしまして、
アエロフロート
、
日本航空
をそれぞれ明文の
規定
で指定をいたしておりますので、
協定
上それぞれこういうような運航をすることについての権利を与えられる、こういうふうな形になるわけでございます。
穗積七郎
68
○
穗積
委員
これは
外務省
にお尋ねしたほうがいいと思うのですが、
アエロフロート
はさっき言ったように
ソビエト
政府
の実務機関みたいなところでございますから、そのことを私は問いません。ところが
日航
の法律的地位、どういう法律に準拠をしてどういう地位を与えるかということは、将来問題になると思うのです。その点はどういうふうに御理解になっておられましょうか。
北原秀雄
69
○
北原政府委員
ソ連
政府
がどういう
国内
手続をとりますかは、私不幸にしてつまびらかにいたしておりませんが、私どもの立場から見ますれば、
ソ連
政府
は
日ソ航空協定
に基づいて
国内
措置をとるということで私どもは理解しておればいいのではないかというふうに
考え
ております。
穗積七郎
70
○
穗積
委員
この問題はもうちょっと詰めておいていただきたいと思うのです。なぜかといいますと、先ほど
永田委員
も
指摘
いたしましたように、
共同運航
ですから、終戦後
日本
が
アメリカ
の
航空会社
の代理店式なことをやっておったのとは違いまして、立場は相互対等でございましょう。そしてその業務に対しての
共同
責任者の一人であるわけですね。ところが
向こう
の飛行機、
向こう
の乗り組み員をチャーターしてやるわけですから、実務的に見ますと
日航
そのものの立場は、機内の乗り組み員等を提供はいたしまして、補助的な協力はいたしますけれども、実際をいいますと、経済的にいえば、
東京
から
モスクワ
を通ってヨーロッパへ行くお客、貨物のエージェントですね。それを局長は悪と言われたわけですけれども、それがいろいろのチャーターの問題なり、運航の回数の問題なり、運賃の問題にことごとくあらわれてきているわけです。したがって、
ソビエト
政府
によって
日航
株式
会社
というものが対等の立場でのどういう法律的根拠によってそのシチュエーションが与えられておるかということは、これは先ほど言いましたように、
国内
法のことでつまびらかでないでは実は済まぬように私は思うわけです。ですから、その点はよくお調べになって、次の審議のときに明確にしていただきませんと、私どもとしてはいささか審議の責任が果たせないように思います。これは何か事が起きたときに法律的にも問題になるわけで、そういうことを望むわけではありませんが、私はあとで特に
外務省
にお尋ねしたい。駐在員、それから
日航
の
会社
そのものとしての特権の問題、これは必ず出てくるにきまっております。それを相互平等で、国際
関係
の法律はこの
協定
でよろしい、あるいはまたその他の国際
条約
の慣例等も
参考
になりましょう、これは
ソビエト
が入っておろうがおるまいが抗弁の
基礎
になると思うのです。たとえば賃金にいたしましても、国際慣行上合理的なものという国際慣行を尊重する精神がこの
協定
の中へ入っておるからいいと思うのですが、
国内
法上は、一体いかなる法律を根拠にして、いかなる地位が与えられるかということは、われわれとしては初めての国、しかも社会制度、法律制度の違う国へ
日航
という法人並びにその社員が出るわけでございますから、これはやはり明らかにしておいていただきたいと思います。これは第二の宿題にいたしておきましょう。 それから、先ほどの二年間にもし実現しない場合にということについて、ちょっと
一つ
だけ、
松尾社長
がおられる間に
政府
の答弁を求めておいたほうがよかろうと思います。
一つ
だけ前に戻りましてお尋ねいたしますが、先ほど本
協定
に一年間の事前
通告
がありますし、
商業
上の取りきめについては一カ月前の
通告
がありますが、それによって
日航
が
共同運航
の取りきめを一カ月前に
通告
をして廃棄をした場合に、この本
協定
そのものが失効することになりますか。それとの
関係
はどういうことになりましょうか。つまりそのことはこの
協定
と不可分ではない
交換公文
の中に出ておるわけでしょう。そしてこれは
外務省
もその理解ですから、これは
参考
資料として出ておるのであって、審議の対象になってないのですよ。そういうことになりますから、もし業務
協定
を
日航
が一方的に廃棄したときに、本
協定
との
関係
はどうなるかということ、これは
政府
間のオブリゲーションもはっきりしておるものですから、それとの関連がどうなるかということが一点。本
協定
におきましては一年前の事前
通告
によって廃棄、こういうことになっておるわけですね。 それからもう
一つ
続いてお答えをいただきたいと思うのは、
条約
の三条の五項だったと記憶いたしますが、一方の締約国は決定された
航空路
に満足しないときは、指定
航空
企業による
協定
業務を停止する権利を留保してあるわけですね。いま申しました三つの
規定
がここに出てきておるわけです。つまり
政府
の
関係
のない民間の
商務協定
に対する廃棄
通告
と、それから本
協定
の廃棄
通告
、それからこの第三条の五項、停止
規定
でありますが、この点はちょっとはっきりしておいていただきませんと、
日航
さんがこれでもうやめた、新しく
協定
をし直す、それについて政治的にどう判断するかは別ですけれども、法律的には一体どうなるかということです。それによってこの
協定
全部が廃棄されることになるか、ならぬか。そうすると本
協定
を予定するおよそ二年間を目途とする
暫定協定
になっておるわけですから、その
暫定協定
並びに本
協定
は一体どうなるのかということですね。そこで食い違いができますと、
日航
さんの
意見
をわれわれがもし支持するとしても法律上はできがたい。
政策
上の判断の問題ではなくて、法律上はどうなるかということです。そういう業務
協定
の一方
通告
による廃棄によってすべての
政府
間のオブリゲーションまでわれわれは免除されることになるか、ならぬか、そしてこれは全部ブランクに返ることになるかどうかということです。
大和田渉
71
○
大和田説明員
先生
の御
質問
の第一点、つまりこの
交換公文
に基づいて行なわれる
商業
上の取りきめの
有効期間
の満了の一カ月前の
予告
で廃棄できるという点でございますが、これは
交換公文
だけの効力がなくなるわけでございます。したがいまして、
協定
本文、それから
議定書
、附属書、それは全然影響を受けないわけであります。法律的な点はそういうことだと思います。
穗積七郎
72
○
穗積
委員
そうすると、どういうことになりましょうか、あと事実
関係
は。
大和田渉
73
○
大和田説明員
事実としては
協定
そのものは残っております。
議定書
も残っておりまして、
議定書
には
暫定運航
という
考え
方だけが出ておりまして、その
内容
をなす両国
政府
間の
合意
というものはない状況になります。現在の状況は、
議定書
に基づきまして、
暫定運航
の
内容
としまして
共同運航
ということをこの
交換公文
できめているわけでございますから、一カ月前の
予告
でこの
交換公文
の効力を停止するという措置をとりますと、
議定書
は生きているわけでございますが、この
交換公文
は効力を失った状況ということになると思います。
穗積七郎
74
○
穗積
委員
ついでに三条五項のことも言ってください。
北原秀雄
75
○
北原政府委員
ただいまの
大和田参事官
の御
説明
をちょっと補足させていただきますが、
交換公文
が失効した場合の状況はいかんという御
質問
に対しまして、本
協定
はそのまま存続している。本
協定
のたてまえは、あくまでも単独相互の乗り入れをたてまえといたしておりますので、本
協定
の実施を可能ならしめるための両国
政府
間の協議ということが当然その際出てくる問題だろうと思います。 それから三条五項の問題でございますが、これは技術面は
航空局長
にお願いいたしますが、要するに領域内に入りましたときに航路を指定するということになっております。現在各国の
航空
機に対してやっておるとおりでございます。おそらくこういう問題は起こらないと思うのでございますが、あるいは起こり得るかという非常な疑心暗鬼の上に立脚した上での
一つ
の安全弁でございまして、実際にはおそらく問題となりますのは防衛
関係
の施設の上を避けるという問題だけだろうと思います。それを予想いたしました
一つ
の安全弁と申しますか、そういう
規定
でございます。
穗積七郎
76
○
穗積
委員
おっしゃるとおりだと思います。
交換公文
は失効いたします、
交換公文
並びに商務契約は失効いたします、それだけにとどまる。ところが本
協定
は相互乗り入れを原則は認めておりますけれども、有効である、生き残るところの
議定書
の中ではこれは
暫定協定
というものをうたっておるわけでしょう、これは生きておるわけですね。そうなりますと、
日航
としては好ましからぬ商務契約だというのでこれを一方的に廃棄して、そのことが直ちに相互乗り入れを実現するための重大なてこになるというふうにお
考え
になっておるかどうか。私、
社長
に伺いませんが、そういうふうにしたいというお
考え
だろうと思うのです。ところがそれは
交換公文
が失効するだけであって、本
協定
並びに
議定書
は残っておる。
議定書
の中には
暫定協定
、
暫定運航
のことがちゃんと明記してある。それも生きておる。そうなりますと、商務契約に伴う不満を理由として
暫定運航
まで原則として一ぺんに白紙にしてしまう、そうして相互乗り入れの原則だけが生き残っておる、そうはいかぬと思うのです、このたてまえでいうと。私の法律常識からいけばそうだと思うのです。そうなると、いままで結んでおった商務契約は不満足であっても、それは一年の期限だから結び直してもけっこうだ、結び直すけれども
暫定運航
については、さっき言ったように、こっちの願望は、
向こう
は了承はしておりますが、オブリゲーションはないわけでありますから、そのたてまえは生き残っておるから、継続して満足のいくような商務契約の
内容
については
話し合い
をするけれども、
暫定運航
のたてまえの中で
交渉
に応じてもらいたいというときに拒否する権限はない、こういうことになりはしないかということをちょっと心配するわけです。どうですか。
大和田渉
77
○
大和田説明員
法律的に申しますれば
先生
のおっしゃるとおりでございます。ただ先ほど、私もそんたくして申し上げるのでございますが、
松尾社長
がかりに商務契約を破棄して、それをてこにというニュアンスのことをおっしゃったと思いますが、その
意味
は、先ほど「強い
希望
を了承する」ということばの
解釈
といたしまして、道義的あるいは政治的責任は
追及
できる、しかし法律的にはできない、その道義的、政治的な
追及
のてこではあるまいかというふうに私
考え
ております。
穗積七郎
78
○
穗積
委員
そのとおりです。そうなりますと、道義的了承はしておるから、二年間にやろうと思ったが、できなくなったというエキスキューズを
向こう
は盛んにやるでしょう。そして
向こう
が有利だと見て、これはそのまま
共同運航
を確保しておいたほうが得だということであればそれで押してくる。すなわち、延長に引っぱっていく可能性がある。だから、においだけかがされて、食い逃げをくらったようなかっこうにならぬとも限らぬ。私は
ソビエト
政府
を疑うわけじゃありません。疑うわけじゃありませんが、
交渉
の第一の焦点がそこにあったということがるるこの経過の中で報告されておるわけです。しかも、了承ということばは、むろん私は法律的なオブリゲーションを
相手
に負わしていないと
解釈
いたしておりますし、
向こう
の腹もそういうふうに読めるわけです。おそらく、これから開いて二年の間に
日航
に自主運航を認めるよりは、
共同運航
を継続したほうが
ソビエト
にとって有利だという事実
関係
、経済上の
関係
が出てくる。これはあとでまたお尋ねしようと思うのですが、
モスクワ線
に
東京
から乗り込む人は、
日本
人、外国人ことごとくヨーロッパ線が少なくとも多数のパーセンテージを占めはしないかと思う。当初は別ですよ。そうなりますと、先ほど言ったように、
共同運航
の責任の対等、平等の主体者の一人は
日航
であるけれども、
日航
には
チャーター料
をとって、こちらの飛行機だけで運航をして、そして客を引いたものはこっちの利益に入ってくる、経済的にこういう仕組みに——私は経済のことは弱いのですけれども、仕組みがそういうふうになっていて、いかにも粘ったということがそういうところに根拠がありはしないかということを私は推測しておるわけです。そうなりますと、法律的にはこれはすなわち
暫定運航
が白紙になったのではないのですよ。
交換公文
だけは失効いたしました、そのようなことは
関係
ない、また
商務協定
は失効いたしましても、そんなものは
関係
がない、あくまでもこっちは
商務協定
を廃棄してしばらく
交渉
期間をかせぐだけであって、その
暫定運航
のたてまえに立って
交渉
しなければならないオブリゲーションだけが残っておる、こういうことになるわけですね。外務大臣、あなたは署名なさったんだけれども、どんなものでしょうか。そこのところは大事なところなんですよ。これは法律上のことはいまおっしゃったとおり、まるで抜け穴になっておるわけです。あとは政治的な問題だけにかかってきておるわけです。
椎名悦三郎
79
○
椎名
国務大臣 御
指摘
のとおりでございます。
向こう
の誠意を疑ってかかると、どうもあぶないところだらけですけれども、そこまでは疑わずに、
向こう
も誠意をもってこの問題に対処してくるもの、そういう信頼感を持ってこれを
締結
したわけです。
穗積七郎
80
○
穗積
委員
それはいまの道義的なお答えであって、私もそう思いたい、またそれを期待いたしております。しかしながら、これにこれから社運をかけて乗り込む業者の責任者にとっては、この問題はちょっと大事な問題ではないかと思うのです。これ以上のことはなんですから、きょうは
松尾
さんに対する
質問
におもに集中して先に進みたいと思います。これは宿題として次の機会にぜひお尋ねいたしたいと思います。大臣も大体お見通しを立てて署名なさったと思いますので、もう少し親切に腹のあるところをお聞かせ願いたいと思っております。
共同運航
の法律上のことは宿題として、経済上のことについては、
チャーター料
、それから運賃、それから
保険料
、それから事故の責任の問題等々、この重要な問題は全部未解決だということでありますから、したがって先ほどの
永田委員
のお尋ねで大体尽きる、要望もわれわれと全く一致いたしておりますから、これはぜひ御健闘を期待いたします。 ただ
一つ
社長
にお尋ねいたしたいのは、これの
チャーター料
のきめ方、運賃のきめ方、それから収入配分のきめ方によりまして、
永田委員
も
指摘
されたように、いま
日航
の運航しておられます北回り線との
関係
が直ちに生じてまいりますし、そのトータルによる利益はどちらが多いかということを判断してきめなければならないと思うのです。そうなりますと、運航の回数が問題になるでしょう。漏れ承ると、週一回というお
考え
のようですが、これは
向こう
との
話し合い
におきましては、こちらが承諾しないのに
相手
方の
希望
によって回数をふやすということはあり得ませんね、どういうものでございましょうか。
松尾静麿
81
○
松尾参考人
週一回にわれわれはやりたいと
考え
ております。それは、北回り
欧州線
で
御存じ
のとおり週五往復やりまして、始めてもう五年くらいになりますので、
相当
の収益をあげて
基礎
ができました。これに悪影響を及ぼすような便数をふやすことは営業上好まぬのでございまして、本
協定
が実施されまして、だんだんこちらにお客がふえてくるに従いまして、北回り
欧州線
の便数を順次減らしていって、
東京
−
モスクワ
−ヨーロッパ線という
ぐあいに
やっていきたい。将来北回り
欧州線
は全部やめたい、こういうように思っております。
暫定協定
の間は週一往復でいきたい、こういう
ぐあいに
思います。それは北回りに非常に影響を及ぼすということが
一つ
の大きな理由になっております。
佐藤光夫
82
○佐藤(光)
政府
委員
運航回数につきましては、
協定
七条の
規定
によって両
航空
当局間の
合意
を必要といたします。
穗積七郎
83
○
穗積
委員
それは直接
交渉
に当たられるのは
日航
でございますし、
日航
の回数決定の
基礎
はコマーシャルベースだと思う。われわれとしてはその点をはずれないことを期待して聞いたわけですから、それだけにいたしておきます。
松尾静麿
84
○
松尾参考人
ちょっと御
参考
までに申し上げておきますが、
日本航空
の
国際線
の収入の各
路線
別の比率を申し上げますと、
太平洋
線四八%、北回り
欧州線
が一八%、南回り
欧州線
が一四%、東南アジアが一六%、それから京城四%、こういう
ぐあいに
大体
考え
ておりますので、この比率からいきましても、北回り
欧州線
は
太平洋
に次ぐ大きな比率を占めておりますので、これに非常な営業上の影響があることは経営上望ましくない、かように
考え
ております。
穗積七郎
85
○
穗積
委員
これは釈迦に説法でたいへん何ですが、しろうとの願望としてお聞きください。 それはどういうことかと言いますと、
暫定運航
中は北回り線を害しないことが、運賃にしても、回数にいたしましても、期待されるわけです。ところが、先ほど冒頭の陳述で
松尾参考人
がおっしゃいましたように、これはヨーロッパ線にとりましても、いままでよりははるかに有利な、将来ゴールデン・ラインになる可能性がある。したがって、それがトータルの収入におきまして、現状よりマイナスにならないように、北回り線からメーンストリートへ移行していくということが望ましいわけでございましょう。したがって、そういうふうに
考え
ますと、
暫定運航
中は北回り線のお客を減らさないために、ある
意味
ではやや高くてもかまわない。将来に期待をかける。それで自主運航になりましてから料金をダウンすれば、北のほうは将来廃線になってもかまわぬくらいみなこっちへ来る。しかも
わが国
はこの
協定
で優先権を持っておりますから、このゴールデン・ラインに対するイニシアチブがとれるということです。
環境
の変化によりまして、あるときは前半においては料金は高く、自前になったときは料金は安くダウンするということが、つまり早くて安いということがこれは当然なことですから、メリットになるわけですから、その移行を困難ならしめるようなことは、手のひらを返したような態度の豹変というものは、国際的にちょっとまずい、変わり身を困難にならしめる事情を生じはしないかという点をしろうととしては心配するわけです。
共同運航
のときは高い運賃でこっちの客が来ないようにかきねを高くしておいて、自前の運航になったらこっちへ引っぱるために急速にダウンするということは、これは
相手国
ソビエト
に対しましても、その他の
協定
諸国に対しましても、いささかエゴイズムのそしりを受ける心配がありはしないかということもちょっと懸念されるわけです。これは
質問
というよりはむしろしろうとの危惧としてお聞き取りいただいて、要望を兼ねて申し上げておきたいと思うわけです。 それから次に、いろいろありますけれども、おもに
政府
に次の機会にお尋ねすることにいたしまして省略いたしますが、お尋ねいたしておきたいことは、大事な問題の
一つ
として、収入配分の原則でございます。 これはこういう完全な
共同運航
という例はなくても、たとえばエールフランスとか、その他の国々との提携がございますね。エールフランス、
アリタリア
、
ルフトハンザ
、それからインド
航空
でございますか、これらは程度は違いましても、提携業務が行なわれておるわけでございましょうが、こういう場合における利益配分の
一つ
の基準といいますか、原則というものがあろうと思います。これは場合によって各国別々の契約でありましょうから、こういう公開の席では言えないというような事情もあるいはおありになるかと私どもしろうととして推則いたしますけれども、もし差しつかえがなければお伺いしたい。私どもが外国に行ったときに小耳にはさんだところによると、この配分の比率というものは、座席比率が大体基準にされておるようなことも漏れ承ったことがありますが、もしそうでありますならば、
ソビエト
との場合においての利益配分のスタンダードというものは、そういう点に求むべきではないか。それは国際慣行による云々ということで、
ソビエト側
も条文の中で認めておるわけですから、その点、われわれ原則を持ちませんと、より多いほうがいいという話では、どうも理屈が通らないように思うわけです。 私のお尋ねしたいのは、いまの収入配分について、程度は違いましても、いままで業務提携をしている諸国の
会社
との基準というものを、もし差しつかえなければお示しいただいて、それとのバランスをとるべきではないか。こういうことをお尋ねしたいわけですが、いかがなものでございましょうか。
松尾静麿
86
○
松尾参考人
プールオペレーションのやり方はいろいろございまして、いま
先生
のおっしゃったように、座席配分というやり方をやっております。それから、たとえば三社でプールオペレーションをやる場合に、たとえば
日航
とエールフランスとやった場合は、座席配分で大体一対一と申しますか、対等の力ということでやりますけれども、かりに第三の
航空会社
が入ってきて、同じ
路線
を三社でプールをやる場合は、第三に初めて入ってきた
会社
は、それだけの販売の
基礎
がないということから、一対一には見ない、〇・八にその力を見ていくというような、いろいろな
話し合い
によりまして、利益配分をやっております。 ただ、
東京
−
モスクワ
間は、同じ
路線
を同じ座席数の同じ飛行機でやるわけですから、ほかの同じ
路線
をやっている
会社
とちょっと事情が違いまして、北回りの
欧州線
は
最短コース
の
欧州線
ですから、北回りが非常に影響を受けることは事実なんです。そうして
モスクワ
までのお客だけではない。
モスクワ
を通って
欧州
へ行くお客というものは非常に多いわけです。したがいまして、利益の配分というものは五〇・五〇ではまずいということをわれわれは言っておるのでありまして、あるいはその
内容
につきましてわれわれが
話し合い
をしておりますのは、
東京
−
モスクワ
間のお客に限っては五〇・五〇でもいい、そのかわり
東京
から
モスクワ
を経由して
欧州
に行くお客さんについては、これは全部
日航
の収入にしたらどうか、それから今度は、
モスクワ
から
東京
に来て、
東京
から
アメリカ
あるいは東南アジアに行くお客さんについては、これは全部
アエロフロート
の収入にしたらどうかというような論議も実はしております。私は何とかこれはまとまるのではないかと思う。そういうお客の目的地のいかんによって配分を変えていくというようなことも
一つ
の方法ではなかろうかと
考え
ております。 実際は
東京
から
モスクワ
を経て
欧州
に行くお客さんが非常に多いのです。それは、従来ならば、おそらく北極回りの
欧州線
に、これは
日航
だけでなく、そのほかの
航空会社
の定期便に乗られる人もあるでしょう。ナホトカまで汽車で行って、
ハバロフスク
から
ソビエト
の
航空
機で行く人もあるかもしれない、そういうことをいろいろ出しまして、検討をしておる実情でございます。
穗積七郎
87
○
穗積
委員
実は、今度は
ソビエト
機をチャーターするわけですから、その機種とか性能とか安全性とか、それからもう
一つ
は、先ほどちょっと基本的な法律的地位について触れましたが、
相手国
に対する相互の駐在員の法的な地位といいますか、権利でございますか、そういう点をちょっとお尋ねしておきたいと思いましたが、時間がだいぶ過ぎておりますので、これは次の機会に、
社長
がおられぬのは残念ですけれども、
政府
にお尋ねする、そういうことにいたしたいと思います。 それで、あと
社長
にちょっと、
政策
上のこまかいことを聞くのは大人にたいへん失礼ですから、大まかなところをお尋ねしたいのですが、あと三つの問題についてお尋ねしたいのです。
一つ
は、対米問題に関連いたしまして、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、
路線
変更の付表変更の
交渉
の中で、対等、平等になっていないという点にわれわれはいまだに強い不満を持っておるわけです。たとえばある線は廃止される、ある線の以遠権は制限を受ける、そして
向こう
は無制限な以遠権を要求する、こういうようなことになっておりますことに対してはなはだしく不満に思っております。これの改善に対する抱負とか、めどというものを一点お尋ねしたいと思うのです。
松尾静麿
88
○
松尾参考人
最初
に私からも申し上げましたが、
世界一周路線
の権利というものは、
御存じ
のとおり、たいへんな権利でございまして、これを取るためにある程度の既得権益を譲歩したとかということはやむを得ぬのじゃないか、こういう
ぐあいに
考え
ております。 それからわが社にとりましては、先ほども申しましたとおり、
太平洋
の
国際線
における収入というものは四八%でありまして、あそこの収入の五%の増減が非常に収益に影響するわけです。
太平洋
は、
御存じ
のとおり、いままで大西洋その他に比較しましてわりあいに
競争
が激しくない、温存されておったゴールデン・ライン、こう思うわけであります。しかし、いつまでもそういうわけにはいかない。
日本航空
がよそに進出していきますと、その代償としてやはり
太平洋
というものはほかでもたくさんねらっておりまして、将来非常に
競争
が激しくなるということはわれわれも覚悟しておるわけであります。そのためにはどうしても
日本航空
の
太平洋
における
競争力
を強めていくというほかに道はないのじゃないか、こういう
ぐあいに
考え
ております。そのためには、私
たち
もできるだけ早い機会に増便していく。それで四十一年度では、大体一週間に二十やりたいという
ぐあいに
も
考え
ております。そういう
ぐあいに
やはり
太平洋
で他の第三
会社
が入ってこない前に、そういう
競争力
の素地を、できるだけ早く増便をしてつくっていくということが唯一の対抗策ではなかろうか、こういう
ぐあいに
考え
ております。いま
条約
を直せといっても、なかなか直るものではございません。要は
競争力
を強めていく、こういうことでないといけないと思います。
穗積七郎
89
○
穗積
委員
私どもは一歩竿頭を進めまして、
条約
の改正、改善を期待したいと思いますが、この問題は
政府
の問題でもありますから次の機会に譲りまして、きょうはやめます。 次に、お尋ねいたしたいのは、これは私がかねて
考え
ておることでございますが、先ほどおっしゃいました今度のヨーロッパ線へのルートとして
東京
−
モスクワ線
を開設というのは、
日本航空
業にとって非常なメリットである、こういう
お話
でございましたが、さらに
考え
ますと、
東京
−北京−
モスクワ
あるいはヨーロッパですね。北京からフランスやパキスタンも特別な
関係
にあるわけでありますけれども、ヨーロッパ線のことを
考え
てみますと、
東京
−北京−
モスクワ
−ヨーロッパ、それから
東京
−北京−ヨーロッパ各地ということが
考え
られる。そうなりますると、これこそ一番の最短距離になりますし、それから将来の展望を見ますと、これこそが
わが国
にとって
太平洋
線と同様にゴールデン・ラインの
一つ
になり得るのではないかというふうに
考え
られるわけです。ところが外交
関係
が御承知のような状態でありますから、これはいささかあきらめたようなかっこうにはなっておりますけれども、こういう不自然なことが許されるはずはないと思います。そこからあとの話は、これは政治上の問題になりますからあなたにお尋ねしようとは思っていないのです。やり方としては、たとえば国交回復前の
日本
と韓国との間において民間業務
協定
の形式で、これが事実上運航されたという形で、中身は違いますけれども、そういう形もあり得たわけですから、国交未回復国といえども、状況によっては可能性もある。そうしてまたそういうことに関連を持ち、そういうことを実現することに
日本
の
航空
業界が許される限り可能な範囲のアクティビティーを示すということが、将来この門戸が開けましたときに、今度の
東京
−
モスクワ
の例に見るごとく、
わが国
の優先権またはイニシアチブが確立し得るのではないかというふうに私は思うわけでございます。そういう点については、フランスと中国との
関係
、パキスタンと中国との
関係
、その両国は
わが国
とも
協定
があるわけでありますから、これをいつまでもシャットアウトすることはできない。
日本
がやらないならば、フランスがパリ−北京−
東京
という問題を提示してきたときに、これは合理性のない理由によっていつまでも拒否し続けることは不可能だとすら思うわけです。そうなりますと、
東京
−北京−ヨーロッパ線においては、いまのところの状況においては、こちらがやらなくとも、ヨーロッパの他の国がこれに対してイニシアチブをとる動きをする可能性もあるということでありますから、したがって
わが国
の
航空
業界としても、この問題に対しては重大な
関心
を抱かざるを得ないし、そしてまた、いま言いましたように、許され、かつ可能な範囲におきましては、何らかのことを
考え
ておく必要があるのではないか、そういうふうに私は思うわけですが、いろいろ広い識見で将来のことを展望しておられるあなたのことですから、この問題に対しての感想程度でけっこうですが、承っておきたいと思います。
松尾静麿
90
○
松尾参考人
非常にむずかしい問題で、デリケートな問題でありますが、いずれにいたしましても、
東京
を中心とした共産圏への未開発の
航空路
線は非常に魅力があるわけでして、おそらくわが社だけでなくて、外国の
航空会社
もそうだろうと思うのです。私
たち
もそういう意欲、
考え
は大いに持っておりますけれども、これは一に
わが国
の
政府
の
方針
に関するところでございまして、その
方針
がきまりさえすれば私
たち
は即刻でもやりたい、こういう
ぐあいに
考え
ております。ただ、
暫定
的に
東京
−
ハバロフスク
というようなことでなくて、やはり
モスクワ
−
東京
というような形で、
東京
−北京が主題である。ところが最近中共とか
日本
内部で九州−上海とか九州−天津とかいう
路線
をつくりたいという
考え
方があるが、これは
航空協定
の本質に反するからだめだ、これはやはりそういう筋を通した
方向
で検討すべきだ、こういう
ぐあいに
考え
ております。
穗積七郎
91
○
穗積
委員
私
たち
も原則については大体同じでございます。あくまで
東京
−北京という原則はくずすべきではない。最近九州から上海であるとか天津であるとか、いろいろ
考え
を持って願望を示しておられる向きもあるようですけれども、やはり道を開きますときにはきちっとした原則によって動きませんと、それが早道のようでかえって固定する危険があると思いますので、せっかくの御検討を期待いたしておきます。 最後にお尋ねしたいのは、先ほどからも出ましたが、航路の問題だけでなくて、経済力の問題が、
日本
の
航空
業界の立ちおくれの
一つ
の大きな原因になっていると私は
考え
ます。これはむしろ外務
委員会
の問題というよりは、運輸
委員会
で
国内
政策
として論ずべきですけれども、やはりこれはあくまで
国際航空
でございますから、国際的な
一つ
の視野あるいは認識に立ってやりませんと、なかなか踏み切りがつかぬと思うのです。それで実は運輸省に求めまして、おもなる各国の資本金と年間の収益をちょっと表を出していただいたわけですが、これはあなたにお示しするまでもないことで、十分御研究のことと思いますが、これで見ますと、資本力も非常に弱い上に、資本と収益との
関係
は、公称資本と収益との
関係
は
日航
よりはるかに収益、効率をあげておる各国の主要
航空会社
があるわけです。たとえばSASのごときは百三十三億で六百十八億という年収をあげておるわけです。こういう例はありますけれども、これは
一つ
は経営の問題と、それからもう
一つ
は
路線
の問題があるのではないかと私どもしろうとながら推測するわけです。やはり
路線
の問題だけでなくて、経済力の強化というものは、これは
国際航空
の
わが国
の仕事を発展せしめるために
一つ
の大きな
基礎
になるのではないかと強く思うわけです。 それで私は、
航空
審議会がいまいろいろ審議しておられるようですが、それについてしろうとからいろいろの
意見
を具体的に言おうとは思っておりませんけれども、いずれにしてもヨーロッパ諸国の例——
アメリカ
の例は
日本
の
参考
にならぬと思うので、ヨーロッパ諸国の例を見ますと、たとえばBOACにいたしましても、
ルフトハンザ
にいたしましても、単一
会社
にいたしまして、国家から一〇〇%または一〇%に近い出資をもって経営は自主的に、自由にやる、こういうことになっておるようでございます。この点は
松尾
さんにお尋ねするのは必ずしも適当ではありませんけれども、これができる、できぬは、
政府
の態度によると思うのですが、これらの点についてはまた次の機会にお尋ねいたしますけれども、経営者の立場からごらんになって、この点についてはやはり統合強化、そして
政府
の協力、支持というものがもっと強化されなければならないのではないか。特にドイツのごときが
わが国
に先んじましてのし上がってまいりましたときを見てみますと、
政府
の力の入れ方が違うわけです。こういう点は見落とすことのできない
一つ
の欠点ではないかというふうに思うわけです。その点について経営の責任者の立場にお立ちになってみて、この問題をどういうふうにお
考え
になっておられるか。 そうしてその間、
一つ
は、
政府
からの出資金の問題と、それから補助金の問題ですが、漏れ承りますと、今年度予算におきましては、
日航
が黒字であるということを理由にして、補助金が打ち切られておるように伺っております。これらのことは、ひとつ運輸省から経緯と今後の
方針
について伺っておきたい。というのは、先ほどおっしゃいましたように、
モスクワ線
が開かれる、それから
ニューヨーク
・ビヨンド線が開かれるということになりますと、これは一方は稀薄であり、一方は過当
競争
によって、当分はサービス過剰になって、そうして経費に見合う収入がないということが当然
考え
られるのではないかとしろうとながら推測するわけです。多少の赤字を覚悟で、
競争
にうちかっことをしなければならない。そこに弱小資本によって国際
競争
に臨む者の非常な苦しさがあるわけですけれども、この点は一体どういうわけでこういうことになったのか、そうしてまた将来はどういうふうにお
考え
になっておられるのかということで、資本強化の経済的
基礎
の強化の問題について
社長
から、それから
政府
の助力について運輸省から、それぞれ、これでもう終わりますから、ひとつ率直な御
意見
を
参考
のために聞かしていただきたいと思っております。
松尾静麿
92
○
松尾参考人
御
指摘
のとおりでございます。
日本航空
が新しい
路線
を伸ばすなりあるいは便数をふやしませんと、総収入、売り上げが上がらぬわけでございます。しかし、便数をふやすためにも、新しい
路線
を開拓するにいたしましても、
相当
の資金が要る。そうして便数をふやします場合、特に必要なことは、損しては便数はふやせないわけですから、輸送原価が問題になるわけです。輸送原価が外国並みに安くなりまして、いわゆる損益分岐点が低ければ低いほど増便がしやすいわけでございます。ところがわが社は、だんだん合理化をやりまして、損益分岐点は毎年だんだん下がってはきております。下がってはきておりますけれども、
アメリカ
が一番低いのですが、
アメリカ
あるいは
欧州
に比較しまして、まだ若干高い。その輸送原価、いわゆる損益分岐点がなぜ
日本航空
が高いかと申しますと、その原因には三つぐらいございますが、
一つ
は、これはほかの企業でも同じですけれども、金利が、利子負担が
日本航空
は非常に大きいということ、これが損益分岐点の高い
一つ
のファクターになっていると思います。それから戦争に負けまして、非常に長い間ブランクでありまして、その間飛行機はどんどん進んできたというので、その間
日本
には空軍もない、空軍と
民間航空
との
関係
も全然ない、こういう
関係
からいたしまして、乗員の訓練費に非常に多額の金を要する。これも毎年二十数億わが社は使っておるわけですが、これが将来三十億になり、当分の間ますますもっとふえていく。そういうのが輸送原価のコスト高に非常に影響してくるということ。それからもう
一つ
は、油がわりあいに
アメリカ
あたりに比較して高い。これはわが社の
路線
構成に非常によると思う。たとえば東南アジアとか南回り
欧州線
、ああいう後進国に主として
路線
を持っておりますけれども、そういうところは原油はありますが、精製油がない、運搬費が非常に高いのです。そういう点で
欧州
や
アメリカ
、特に
アメリカ
に比較しましてはそういう燃料費が割り高である、こういう三つの理由で輸送原価が高いということはございます。 第一の利子負担を非常に安くするためには、やはり
政府
出資が必要なわけです。
相当
借金をしておりますけれども、やはり
アメリカ
から借金しても、
国内
の債券にいたしましても、社債にいたしましても、金利が高い。たとえば
パンアメリカン
あたりでは、この間四百人乗りのボーイング747を二十五機注文しております。これは一千何百億ですが、こういうものの
パンアメリカン
の金利というものは保険
会社
から借りておりまして、年三分に当たらないんですね。だからわが社が借りるよりも半分以下で長期に借りている、こういう金利負担が非常に大きいのです。そういう面はどうしても当分
日航
が地球上に
相当
の便数をふやし、あるいは新
路線
を開拓するまで、
政府
の出資が、それも十億とか十五億でなくて、もう少しまとまった出資が非常に必要なわけです。そういう出資をしてもらいますと、金利負担の面で非常に助かりまして、
競争力
が強まってくるということが
一つ
。 それから、乗員の養成でございますが、これは永久的なものでございませんので、これは運輸省と非常に
関係
がございます。国の
方針
としてやってもらうことだと思うのですが、われわれは自衛隊にある程度料金も出して委託訓練をやっております。それから
航空
大学でもやってもらっております。その後は
日本航空自体
でやっておるわけであります。こういう問題を
ほんとう
に、どうせ国の金を使うのですから、どこかでひとつまとめて、徹底的な訓練をわりあいに長期間やってもらう、いままでは二百時間くらいですが、あるいは五百時間くらい
政府
でやってもらうというようなことにでもなりますれば、そういう面でも
相当
助かる、
競争力
が強まってくる、こういう
ぐあいに
考え
ております。 したがいまして、私が
考え
ておりますことは、これは
政府
の出資を、
相当
何年か限って大幅にしていただいて、それと同時に、本年から大体配当が連続にできると思いますので、民間の増資もやはり大衆株にしていただけないか、そしてやはり民間には配当していって、民間の資本も集めていく、それから
政府
もある期間を限って、思い切った出資をしていただく、こういう
ぐあいに
なりますと、いわゆるブレイクイブン・
ポイント
と申しますか、損益分岐点が、利子負担が少なくて
競争力
が非常に強まっていく、損益分岐点が低くならないと、増便をやりたくても、たいへんな赤字が出ますので、どうしても増便はできない。しかし赤字が出たからといって、ドイツみたいに、
政府
に一カ年に百億赤字が出たら百億すぐ埋めてもらうということにも
日本
はなかなかいかないのでございます。それで、やはりどうしても黒字を出しながら
ステップ
・
バイ
・
ステップ
で拡充をしていくという方法しかないわけでございます。そういう
意味
で、
政府
出資を、ことにまとまった
政府
出資をやってもらうということと、それから乗員の訓練を思い切ってひとつ
政府
で
考え
て、やり方を改革してもらうということがさしあたって私どもは非常に
希望
する点でございます。
佐藤光夫
93
○佐藤(光)
政府
委員
日本航空
に対する出資並びに補助金に対する事務的な予算要求の経過でございますが、
先生
御
指摘
のように、四十年度におきましては、出資のほかに乗員訓練費の
国際線
の乗員の養成補助というものを認められておったわけでございますが、四十一年度におきましては、出資金のみでございまして、実は補助金の予算が成立しておらないわけでございます。ただいま
松尾社長
からも御
説明
がありましたように、乗員養成につきましては、一応
基礎
的な教育を終わりましてから仕上がりまでに三千万近くの金がかかる。営業費の比率から見ましても、わが
日本航空
は外国の他社に比べて非常に高い比率になっておる状態でございますので、われわれとしてはまず
基礎
的な教育の程度を上げるということで、実は宮崎にあります
航空
大学校の養成課程を、いままで双発機程度でございましたのをいわゆるYS11コースを新設するということを本年度から手をつけたわけでございます。 もう
一つ
の問題といたしましては、新規
路線
を開発した場合に、
先生
の御
指摘
のように、開発段階におきまして赤字が
考え
られるわけでございまして、これにつきましては予算成立後の閣議におきまして、そういうような
日航
の赤字を見た場合には助成措置を購ずるということについて閣議の了承を得ておる次第でございます。
穗積七郎
94
○
穗積
委員
あとの問題の質疑も次の
委員会
に割愛いたしますけれども、最後にここでちょっと要望を兼ねてあらかじめ申し上げておきますと、これはやっぱり
日本
の政治あるいは経済界が国際的視野が非常に狭いということだと思うのです。むろん私は
国内
における新幹線の建設というようなものに反対はいたしません。反対はいたしませんが、あれだけ膨大なことを一方においてやりながら、一方において立ちおくれというものがいかに将来重いハンデキャップになるかということは、
国際航空
の場合においては特に言えると思うのです。そういう点から見ますと、出資金並びに
政府
の補助、力の入れ方というものが非常にいなかくさいというか、井の中のカエルの感をわれわれ抱かざるを得ない。それで
世界
一の新幹線をつくったといっていささか得意になって、それと並行して、少なくとも国際
路線
の発展にこういう対米
交渉
、対
ソ交渉
をどんどんいまやっておって、並行してやりながら非常に認識が不足ではないか。これはむしろ運輸省とともに大蔵省にも強く言うべきだし、運輸省と
外務省
はひとつ
共同
戦線で強くこの点は要求すべきだと思うのですね。そうでないと、時期がおくれるということは、時間がおくれるだけではなくて、非常に長期にわたるハンデキャップの条件をつくっていくわけです。先ほど
太平洋
線だって勝負のしどころはあと二、三年ということがいわれているわけです。それまでにこっちが、現状維持どころか、それに負けないだけの、追いつき追い越すだけの強化をはからなければならぬという情勢なわけです。それで特に
日本
のメリットというものは、今度の
モスクワ線
にしても北京線にしましても、他に譲らざる
一つ
の国際的な有利な可能性というものを持っておるときですから、そのときになってやろうといったって私はできないと思うのです。そういう
意味
で、特に
外務省
、運輸省、
関係
当局に、しろうとの老婆心ですが、頂門の一針のつもりで、これは大臣もおられるから申し上げておくわけです。それらのこまかいことについてはこの次にいたしましょう。いまのようなことは、赤字が出たらどうするなんという話ですけれども、それは一体どういう話になっておるのか、もう少し聞かしてもらわぬことにはいけないというふうに
考え
ておりますから、これをあわせて幾つかの宿題を留保いたしまして、きょうの
参考人
に対するお尋ねはこれで不十分ながら終わらしていただきます。 たいへん長い間ありがとうございました。
高瀬傳
95
○
高瀬委員長
長谷川
峻君。
長谷川峻
96
○
長谷川
(峻)
委員
今度の
日ソ航空協定
の意義は、
暫定協定
ということはありますけれども、とにかく
シベリア
上空の開放を第三国に先がけてやる、ここに私は大きな意義があると思うのです。ここまで多少
関心
を持ってきた者としまして
考え
ることは、ときに
ハバロフスク
−
東京
とか、
ハバロフスク
−新潟という議論あるいは運動などがありましたが、やはり原則論に立って、
東京
−
モスクワ
、首都間乗り入れという国際
航空協定
の原則に従ってこれがやれた、それが先ほど
松尾参考人
の話にありましたように、ヨーロッパ、アジアなどに対して非常に大きな反響を呼んでいるというところに、私は大きな意義があると思うのです。そういうことに対して外務大臣がヨーロッパのほうにも行かれておりますし、あるいは調印などにもおいでになったのですが、
外務省
当局の御認識というものをまずお尋ねしたいと思います。
椎名悦三郎
97
○
椎名
国務大臣 いま
お話
しのとおりだと思います。いろいろ必要悪とかなんとかいう表現で言われておるとおり、どうも
暫定運航
というのはあまり愉快な事柄ではありませんけれども、もう少し大局を見渡して、そして今度の
協定
を結んだということについては、われわれはやはり自画自賛するわけじゃないけれども、
相当
評価していい問題だ。ただ、これをなるべく早く単独乗り入れということに実現ができますように、今後とも大いに
努力
しなければならぬ、こう
考え
ております。
長谷川峻
98
○
長谷川
(峻)
委員
そこで
共同運航
という形式は、私は
世界
の
航空
界においてない形式だと思うのです。しかも
商務協定
を経済体制が完全に違う
ソ連
とやっている。先ほどから
参考人
の話を聞いても、かりに運賃の問題
一つ
にしても、
ソ連
のほうは
世界
の常識からすれば高過ぎる。あるいはまた保険の問題などにしましても、TU114をお使いになるということであるが、その安全性は
世界
に一体どの程度に証明されているか、こういうことなどでありますが、いま
商務協定
をやろうとして、一体
ほんとう
にぶつかっている一番の難関は何か。それは計算のいろいろなこともあるでしょうけれども、そういう計算の上に出てきた問題でなくして、そういう基本的な問題が、一体はたして可能であるかどうか。せんだっても
日航
の専務以下十数名かで
モスクワ
へ
商務協定
の
交渉
に行ったそうでありますが、話がつかないといって帰ってきた。こういうことからすると、期待しているものが、はたして実現する可能性あるいはその辺が一体どうなのか、あらためてお尋ねしたいと思います。
松尾静麿
99
○
松尾参考人
チャーター料
でございますが、
チャーター料
がどういう計算でできているのか、
相手
に聞いてもわからないということです。そこでそういう
チャーター料
をきめるのは少し上のクラスで、別のところできめていいのじゃないかという
考え
を持っております。そこで、われわれが
チャーター料
の計算のやり方を
向こう
にこういう
ぐあいに
してやっているのだ、DC8ならば
東京
−
モスクワ
が一万ドルでできる、これが
世界
の常識じゃないか、こういう計算の
基礎
でやっていますということを
向こう
には示しております。だからこの次はそういう点もある程度是正されるのじゃなかろうか。しかし
チャーター料
があまり高くては全く商売になりませんので、これは非常に困ると思う。 それから運賃はある程度のところで妥結できるのじゃなかろうか。これは幅はわりあいに狭いですから、私
たち
は六百十一ドルですが、
向こう
は五百四ドルですか、かりにあるいはその半ばをとっても五百五、六十ドルというところならば、ある程度話がつくのじゃなかろうか、こういう
ぐあいに
考え
ております。 問題は
チャーター料
でございますが、計算の
基礎
がどういうぐあいで、特に減価償却あたりを何年でやっているのか、そういうことを全然示されてないわけです。だからあるいはルーブルの換算の
基礎
あたりがどうなっているのか、そういう点にも問題があるのじゃなかろうかというような気もするわけでして、五月上旬に行きますので、そういう点を弔う一度十分協議しますと、私はある程度いいところに落ちつくのじゃなかろうかという観測を持っております。
日ソ交渉
にしましても、
日米
交渉
にしましても、国会の各
先生方
、あるいは外務大臣、運輸大臣、
関係
当局も非常に熱心にやっていただいて、ああいう妥結を見たわけですから、
日航
としてもぜひ妥結をして、七月ごろからはぜひ実施をしたい、こういう
ぐあいに
考え
ております。
長谷川峻
100
○
長谷川
(峻)
委員
いままで
アエロフロート
は、羽田に臨時便で、ボリショイ・バレーあるいはボリショイ・サーカスあるいはオリンピック選手あるいは
向こう
の有名人などを乗せてまっすぐに乗り入れているのに、
日本
のナショナル・
キャリア
は
モスクワ
へ行ったことがない。私はそれだけでも非常に大きな不平等だと思っておりましたが、偶然のように一昨年の九月に国会の親善使節団が参りましたときに非常な
交渉
をしまして、
日本航空
がカラチから
モスクワ
の空港へ着いた。今度の場合は、
アエロフロート
をチャーターしての
共同運航
であるが、その場合に一体旗は
ソ連
の旗か
日本
の旗か。あるいは問題になったのは、スチュワーデスは乗るのでしょうが、一体操縦席に
日本
の操縦士が乗れるのかどうか。これは将来単独運航の場合にも当然
関係
すると思いますから、いままできまった問題等々について、
参考人
あるいは運輸省からお答えいただければけっこうだと思います。
佐藤光夫
101
○佐藤(光)
政府
委員
事務的な点だけ私から申し上げますが、
交換公文
にもございますように、常に機体には
アエロフロート
及び
日本航空株式会社
の標識を掲げることに相なります。 それから、操縦室乗り組み員には
日本航空株式会社
の乗り組み員を加えることができるということも
交換公文
にうたわれてございます。
長谷川峻
102
○
長谷川
(峻)
委員
そこで一番大事なことは、先ほどちょっと外務大臣も触れられましたが、ほかの
委員
も非常に心配しておりますことは、善意をもって
努力
する、二年間以内に単独運航ができるように
ソ連
が協力するという意思をはっきりしておりますが、これに対する必要悪という気持ちはお互いの気持ちとしてある。しかし
世界
史的には、初めて
シベリア
の上空を本
協定
によって
日本側
が単独運航ができる。それに対する必要悪であるけれども、この場合引きずられてずるずるにならないように。本
協定
は生きている。この本
協定
に早く移行するように、二年間なり一年半以内の運航の過程においてそういう善意と理解が取れるような
交渉
と申しますか、態度というものの積み上げが絶対に必要じゃないかと思いますが、あらためて外務大臣にこの点についての御答弁をお願いしたい。
椎名悦三郎
103
○
椎名
国務大臣 この点が一番の
ポイント
でございまして、とにかく今後とも
向こう
も責任を自覚してなるべく早く単独乗り入れに協力させるようにしむけていかなくちゃいかぬ。この点は大いに
努力
いたします。
長谷川峻
104
○
長谷川
(峻)
委員
先ほど
穗積
委員
から、ナショナル・
キャリア
としての
日本航空
の育成、何といっても四十一年度は
ニューヨーク
・ビヨンド、さらに
モスクワ
、それから新幹線の話が出ましたが、これはまさに空の新幹線だと思うのです。そういうことからしますと、いろいろの国の財政的な援助も必要でございますが、さて取り組む
ポイント
という場合に、ただ金を貸すだけじゃ話がつかないと思うのです。イギリスの場合などは、公務員が出張するときは全部ナショナル・
キャリア
に乗ることになっている。
日本
の一般のお客さんなり、あるいは
日本
の役人でも、出張する場合に一体どの程度に乗っているか。
日本
のお客さんがどの程度乗っているか。こういうふうな問題も出てくると私は思うのです。その点について
松尾社長
さん、あなたのほうで持っておられます統計あるいは感じはいかがですか。
松尾静麿
105
○
松尾参考人
はっきりした統計はいまは持っておりませんが、ここ二、三年、非常に、特に官費で旅行される方は
日本航空
を利用してもらっております。だんだんふえております。それから一般の方もだんだんふえてはおります。しかし、ドイツとかイギリスとかのように、BOACはきらいだけれども、自分はイギリス人だからBOACに乗るんだというところまではまだいっていないようであります。ただ私
たち
としても、非常に業者として
考え
なければいかぬことは、やはり便数ですね。それから行ってない場所がございますので、そういう点もやはり
考え
なければいかぬ。それからもう
一つ
は、やはりいい製品でなければいかぬと思うわけです。安全で、低廉で、そしてグッドサービスだ、こういういい製品だから買ってくださいという心がまえで私
たち
はいかなければいかぬ、こういう
ぐあいに
考え
ております。 ここにちょっと数字がございますが、現在四十一年度で大体四七・五%ぐらい、
日本
人の旅行者で海外旅行をされるうちの半分以下、大体半分くらい乗っていただいております。これは
路線
その他行ってないところもございますので、だんだん何%ぐらいずつかはふえてきております。
長谷川峻
106
○
長谷川
(峻)
委員
けっこうです。
高瀬傳
107
○
高瀬委員長
残余の質疑は、来たる二十六日に譲ることといたします。
松尾参考人
には長時間にわたり、まことにありがとうございました。 ————◇—————
高瀬傳
108
○
高瀬委員長
次に、
関税率表
における
物品
の
分類
のための
品目表
に関する
条約
及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された
関税率表
における
物品
の
分類
のための
品目表
に関する
条約
の改正に関する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件を議題とし、
審査
を進めます。 質疑の
通告
がありますので、これを許します。
戸叶
里子君。
戸叶里子
109
○
戸叶
委員
ただいま議題になりました案件につきまして、この間の
外務省
のほうからの答弁で間違いがあった、誤解を招くような点があったようで、それを訂正させてほしいという申し入れもあったわけでございまして、私もいろいろ
考え
てみましたけれども、この間の御答弁はどうしても納得ができないので、はっきりしたいと思うわけでございます。 そこで、この間の答弁で、いま出されました案件に付随してと申しますか、新しく出されております十六条の改正、この問題につきましては、
外務省
のほうからの御答弁では、この十六条の改正というのは新しく
日本
がこの
条約
に入る前に改正をされたのであるから、この改正点というものは別に国会の審議の対象にならないけれども、非常に重要な
内容
が入っているから、これは
参考
書類である、
外務省
として
参考
という字を書かなかったのは間違いであって、これはあくまでも
参考
書類である、こういうふうな御答弁を受けたわけでございます。そこで私は、じゃ、なぜ
参考
と書かなかったかと申し上げたら、
参考
というのを書き落としましたとまでおっしゃったわけですけれども、この点についてどういうふうに御訂正になるのかということが第一点。 それから、そのことばから来ますと、重要でない改正であるならば国会に提出しなくてもいいのかどうか、こういう問題も出てくると思いますが、そういう点をはっきりさせていただきたいと思います。 私はこの問題をたいへん執拗に申し上げるようですけれども、これは単なる手続の問題だけじゃないと思うのです。今後においての国会の運営とか提出のしかたということに非常に
関係
があるわけでございまして、日韓
条約
が国会に提出されたときにも、十日間にもわたって議論されて、そのまま結論が出なかったといういきさつもありますので、今後においてこういうふうな問題を起こさないためにもはっきりしていただきたい、こういう
意味
で御
質問
いたしますので、まずそのいま申し上げたことに対する御所見を承りたいと思います。
大和田渉
110
○
大和田説明員
一昨日の外務
委員会
の席上におきまして、
先生
の御
質問
に対しまして私答弁申し上げたのでございますが、その
内容
に間違いがございましたことをはっきり申し上げたいと思います。 いま御
指摘
の第十六条の改正、これは
参考
事項であるということを申し上げたわけでございますが、
一つ
の独立の
条約
承認
案件ではないというつもりがそういう表現になったので、
内容
的には、これは
条約
の旧十六条にすでにとってかわられているものであるという
意味
で、その改正された十六条を含む
条約
及びこれと不可分の一体をなす
議定書
、これに関しまして御
承認
をいただきたいという趣旨でございます。したがいまして、この十六条の改正そのものも
条約
の中に織り込まれた形で御
承認
を得たいという対象になっているわけでございます。 それから、重要であるから、あるいは重要でないからという点の御
指摘
があったのでございますが、
条約
そのものの改正の場合は、重要であるなしにかかわらず、やはり
承認
の対象になるはずのものでございます。ただ実際に旧
条約
によりまして、まだそれが効力を発生する前に、
品目表
の改正というものが三回行なわれたわけでございます。その
品目表
の改正を織り込みました新しい全体を網羅する
品目表
というのは、この改正
議定書
に付属しております。したがいまして、個々の
品目表
の改正について一々言うことなしに、それはすでに織り込まれた
議定書
の付属書としての
品目表
、これについてはこのたび一件の中の
一つ
として御
承認
をお願いしているわけでございます。 以上でございます。
戸叶里子
111
○
戸叶
委員
議定書
の場合は何たびか変わって
一つ
のものになったといまおっしゃいましたね。じゃないのですか。そしていまおっしゃったことからとれますことは、
議定書
の場合にはいろいろと変わったけれども、一本のものになった、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、そうであるにしても、
議定書
は
一つ
のまとまったものとして出されていますから、私はそれを
承認
の対象にすればいいと思うのです。 もう
一つ
のほうの問題の、この十六条の改正というものはもう織り込まれているからとおっしゃいますけれども、私
たち
がこの
条約
を読んで、そして十六条を見れば、古いほうの
条約
が書いてあるわけですね。そうすれば、新しいほうの十六条というものは当然に国会の審議の対象にならなければいけないのじゃないですか。その点をもう少しはっきりさせていただきたいと思います。
大和田渉
112
○
大和田説明員
議定書
が何回かの改正を経て一本になったということではなしに、
議定書
及び
条約
に付属する
品目表
でございます。その
品目表
の一部について技術的な訂正が三回ほどなされておるのでございます。その
品目表
は、最終的に
一つ
になったものはこの
議定書
に付属しているという趣旨でございます。 それから十六条だけを独立で
承認
の対象にしたらという
お話
でございますが、この十六条の改正そのものは、
理事
会の勧告に基づきまして、昨年の九月三十日にすでに効力を発生しております。したがいまして、旧
条約
といいます場合に、その旧
条約
の第十六条というものはすでにこの改正によって、とってかわられているものなんでございます。したがいまして、いま
日本
が加入しようとしておりますが、その段階でこの十六条の改正だけを独立の案件として御
承認
を得るということはできない状況にございます。
戸叶里子
113
○
戸叶
委員
できないというところがわからないのです。これの中に、もうすでに十六条の改正というものは含まれておる、そうおっしゃいますけれども、私
たち
は新しく加入するわけですね。新しく加入するときに、この十六条を見ると、その十六条そのものには古い十六条が出ているわけです。だからさっき問題になった十六条の改正の
条約
が別に出ているわけでしょう。そうでしょう。だから、それが出ているわけなんですから、この古い
条約
に私
たち
が入ると同時に、この十六条の改正も国会で
承認
を求めなければいけないのじゃないですか。というのは、なるほど本文の中には改正された部分を
承認
しなければもとの
条約
を批准したことにならないということはありますけれども、私
たち
のほうからすれば、この十六条というものは一本の改正なんです。
条約
の改正なんです。
条約
の改正である以上は、国会の
承認
を当然求めるべきだと私は思うのです。言いかえてみるならば、もし改正案のままで、新しく国会の
承認
を得ないで済むというならば、この十六条というものは古いのに置きかえられて国会に提出されて、そして古い
条約
を、旧十六条という形でここへ出して、そこにその
参考
とかなんとかいうふうに出されるなら私
たち
はわかると思うのです。そうじゃなくて、古いのをそのまま出して、そしてここの
説明
書の中には
条約
と
議定書
、これは不可分なものですから一本だとおっしゃること、これはいいのです。
条約
と
議定書
だけで、その十六条のことは全然触れてないから、私
たち
は十六条の改正というものは、これだけ見た限りではわからないのです。
説明
を聞けば、もう新しい十六条がとってかわられているのだから問題ない、これじゃちょっと納得いかないと思うのですけれども……。
大和田渉
114
○
大和田説明員
いま
先生
のおっしゃいましたこの
条約
の十六条がとってかわられたものであるならば、その中に改正された十六条を書いて、むしろ旧十六条を
参考
としたらいいのではないかという御
意見
であったのでございますが、いまここに出しておりますいわゆる
条約
それから
議定書
というものは、この
理事
会事務局の認証謄本に基づいてつくったものなんでございます。したがいまして、十六条が実質的にはとってかわられているわけでございますが、形式的にかわられた形の認証謄本というのはないわけでございます。したがいまして御
承認
を得るためにお出しするのも、もうすでに死んでいるわけでございますけれども、その十六条を出さざるを得ないというわけでございます。この出し方につきましては、多数国間
条約
に
日本
があとから加入するという場合に、
日本
が加入するまでにすでに憲章の改正が行なわれたというような場合に同じ問題が起こるわけでございます。過去の実例といたしまして国連のFAO、食糧農業機関、それとユネスコに
日本
が入りましたときに、それまでに憲章の改正が行なわれておりまして、しかも認証謄本というものは改正されていない。オリジナルだけがありまして、あとの改正は別の文書になっております。したがって、国会で御
承認
を得ますときにもやはり並べて出した、これと同じような形で出したという過去の実例がございます。
戸叶里子
115
○
戸叶
委員
そうしますと、たしかユネスコ加盟は一九五一年だったと思いますけれども、それまでにユネスコに入っておらない、そして改正されたユネスコ憲章に入る、そのときに、ユネスコ憲章に加入するというだけで、そして別に何にもほかの
説明
はしないで、ユネスコ憲章に入る、加入の
承認
を求めるの件だけで、そしてあとのほうには改正の条項がみんな並べてあったのですか。そのころは戦争の直後でござ、ましたし、いまのように整理されておらなかったのじゃないかと思うのですけれども、この点のことも念のために伺っておきたいと思うのです。
大和田渉
116
○
大和田説明員
形式につきましては
先生
のおっしゃいましたとおりでございまして、国会の
承認
を求めるの件は、ユネスコに加入するという
意味
でテキストは憲章だけを出しております。ただそれと並べまして改正されたその条文についてのテキストも一緒に出しております。
戸叶里子
117
○
戸叶
委員
そうしますと、こういうふうなものが配付されたときに、これを見たときには、改正されたというのはわからないわけですね。あとで憲章を読むなり
説明
を聞くなりしなければ、どういうところが改正されたかということはわからないわけですね。というのは、これを見ただけで十六条が改正されたということは何もわからないわけですね。だから、たとえば公報なら公報を見た場合に、これだけ書いてあるわけです。十六条の改正がどうなっているかということを、たまたま研究しなければかまいませんけれども、する人なりなんなりは全然わからない。あるいは国
会議
員でこれしか見ない人は、十六条の改正があるということも知らないで済んでしまう。しかしそれは
一つ
の案件として一応批准されている、こういうことになると思うのですけれども、そういう点はどうなっていますか。
大和田渉
118
○
大和田説明員
先生
のお持ちの書類でございますが、第一枚目の書類は件名でございます。件名に基づいて国会の御
承認
を賜わりたいというのは第二枚目の書類に書いてあるわけでございます。その第二枚目のところに「(同
条約
第十六条の改正の受諾を含む。)」ということを入れておきましたわけでございます。それからユネスコ憲章、FAO憲章の場合には、そういうことなしに、ただ加入ということで御
承認
を得ております。
戸叶里子
119
○
戸叶
委員
そうしますと、件名の場合には十六条の改正というものを書かないでいいということになると、件名を見た場合に、十六条の改正というのは含まれているか含まれていないかわからないわけですね。それでもいいわけなんですか。それがまず
一つ
。 もう
一つ
は、たまたま十六条の改正だけで済んだわけですが、たとえば十二条、十三条、十四条と三つか四つ改正があったとしますと、今後においても起きてくることですから、そういうふうにあるときにはどういうふうにするのですか。やはり
説明
書で何を含む、何を含むというふうにお書きになるわけですか。そして
条約
は単独でお出しになるわけですか。
大和田渉
120
○
大和田説明員
十二条、十三条というふうにたくさん改正があった場合にどうするか、実は過去においてあまりそう例がないのでありますが、いままでのやり方から申しますれば、件名としてはやはり一本の簡単なものを書きまして、ただ御
承認
を賜わりたいという
内容
にその条項をやはり含めて、こういう点を含んでおりますということを明示して、御
承認
を得べきじゃないかというふうに
考え
ております。
戸叶里子
121
○
戸叶
委員
そうしますと、それは中の理由のほうに明示して、ここに何々を含むということがないのですけれども、十六条が置きかえられたというふうな
外務省
の
説明
であるならば、こんなものを書くだけおかしいと思うのです、私はむしろこれと及び十六条の改正条項について
承認
を求めるの件、こうするのが一番正しいやり方じゃないかと思うのですが、その点はどうしてそういうふうにされないのですか。その点の理由を伺いたい。
大和田渉
122
○
大和田説明員
及びあるいは並びにということを書きまして、十六条の改正の受諾を含むということを書きますと、文書の形式といたしましては、それが独立の一件のようにとられるおそれがあるわけでございます。 それから第一枚目にそういうことを書いていいのかいけないのかという点でございますが、もちろん書いていけないという規則はないわけでございます。ただ従来の慣例から申しまして、件名は比較的簡単な形にしておきまして、御
承認
を賜わりたいという二枚目のところにそういう——たとえば十六条の場合非常に重要な改正でございますが、そのことを特にメンションしたという
内容
でございます。
戸叶里子
123
○
戸叶
委員
そうすると、十六条の改正というのは独立の一件ではないわけですね。といいますと、大もとが批准されていたらば十六条の改正というのは独立の一件として出されるわけです。ところがたまたま大もとの
条約
に加入しておらなかったために含まれちゃったので、もし先に批准していたら、これは独立の一件としてやられるわけでしょう。だから私はその辺がわからないのです。
大和田渉
124
○
大和田説明員
昨年の九月三十日にこの十六条の改正が効力を発生したことは、先ほど御
説明
申し上げたとおりであります。その以前にかりに
日本
が入るとした場合には、この十六条の改正がまだ有効になっていないわけでございます。したがって、その後、条文についての改正があるという場合には、当然国会の
承認
の対象になったはずのものでございます。ただ、現在
日本
が入ろうとしているわけでございますが、すでに十六条は効力を発生して、古い十六条は死んでいるわけでございまして、置きかえられているわけでございまして、その置きかえられた
条約
及び
議定書
に
日本
が入ろうというわけなので、それだけが独立して
承認
の対象になるということにはならないのじゃないかというふうに
考え
ております。
戸叶里子
125
○
戸叶
委員
私はその、ならないのじゃないかというのがどうしてもわからないのです。ここでは、やはり「
締結
及び十六条の」というふうに書くべきじゃなかったかと思うのですけれども、これはいまここで議論していてもしかたがないと思いますが、どうも納得いきません。納得いかないまま通すということは、私は非常に良心の苛責にたえないことなんです。この問題は日韓
条約
でさんざんもんだ問題ですよ。今後においてももめると思うのです。だから、私ももう少し何かの機会にはっきりさせていただきたいのです。 そこで、もう
一つ
伺いたいことは、
議定書
の
締結
について、なぜ「等」という字をつけなかったかというふうに思うのです。いまおっしゃったようなことでつけなかった。それじゃどうして
外務省
の、こっちのほうには「等」とおつけになっておるのですか。これと同じようにしたらいいのじゃないですか。
外務省
の
説明
書のほうには「等」をつけておいて、こっちのほうには「等」はついてないというのは、ちょっと納得に苦しむのです。
大和田渉
126
○
大和田説明員
いま
先生
の右手にお持ちの書類は「等」のない分でございますが、それはまさに
承認
案件そのものなんでございます。したがって、それにもし「等」をつけますと、案件が一体何件あるのか、複数じゃあるまいかという疑問を生ずるわけでございます。実際に御
承認
を求めておりますのは一件でございますので、それには「等」を省きましたわけでございます。それから
外務省
の
説明
書のほうには十六条の改正の
説明
をも含んでおります。したがいまして、「
条約
、
議定書
等」とやりまして、案件そのものを表示するものでない、
説明
なのであるという
意味
で「等」をつけたわけでございます。
戸叶里子
127
○
戸叶
委員
案件と
説明
書と違うということがありますか。そんなのはおかしいと思うのです。案件について
説明
するのですよ。案件について
説明
するんだから、
説明
書と案件は同じでなくちゃならないでしょう。
大和田渉
128
○
大和田説明員
案件は一件なんでございますが、その
説明
内客は三つに分かれております。したがって「等」ということをつけたわけなんでございます。
戸叶里子
129
○
戸叶
委員
案件が三つあるから
説明
が三つあるんじゃないですか。案件が
一つ
で
説明
が三つあるというのはどういうわけなんでしょう。
大和田渉
130
○
大和田説明員
御
承認
を求めまする案件は一件でございます。ただ、その文書が、お配り申し上げましたように、
条約
、
議定書
、それから十六条の改正と三つに文書そのものが分かれています。したがいまして、そのおのおのについて御
説明
申し上げる
意味
の
説明
書に「等」とつけたわけでございます。
戸叶里子
131
○
戸叶
委員
おそらくここにいらっしゃる方で、よく聞いていれば、わかったようなわからないようなことだと思うのです。大体わからないと思うのですよ。こういう出し方については非常に無理があるのですよ。だからわからないのです。私もわからないままに
質問
はこれで終わります。しかし、あとで問題が起きますから、その点だけはいずれ……。
高瀬傳
132
○
高瀬委員長
西村
関一
君。
西村関一
133
○西村(関)
委員
ただいま
戸叶
委員
から大事な点について触れられたのでありますが、われわれといたしましても、この
条約
並びに
議定書
の
承認
を求めておられます趣旨、理由につきましては、大筋のところにおいてはわかるのでございます。了承できると思うのでございますが、このことは理由にも書いてございますように、関税及び貿易の分野における国際協力の見地から望ましいことであるばかりでなく、
わが国
の貿易の発展のために益するものである、こういう見地からこの点については問題はないと思うのでございますが、私はたくさんの問題点を提示したいのでございますけれども、時間もございませんし、与党の皆さんとの約束もございますから、二、三の大事な点だけにとどめまして、簡潔にお答えをいただきたいと思うのでございます。 第一点は、現在この
条約
の加盟国は二十一カ国でありまして、この方式を採用する傾向がだんだん強まってきておると聞いておりますが、この
関税率表
に準拠しておる国はどのくらいあるか。また今後この
条約
に加盟する見通しがある国はどういう国であるか。加盟しないというのは一体どういう理由で加盟しないのか。特に国際的に非常に大きなウエートを持っている
アメリカ
やカナダが加盟していないということも問題だと思うのでございますが、この前の
委員会
においてこの点が触れられたということでございますが、貿易の問題におきましては、東西の
関係
のみならず、南北の
関係
が重視されておりまする今日の時代におきまして、その見地からこの方式を取り入れておる国と取り入れてない国と、取り入れてない国はなぜ取り入れていないのであるか。南北の
関係
におきまして今後貿易を振興することによって自国の経済的な地位を高めようという南の側のいわゆる低開発諸国といわれている国の立場を
考え
まするときに、どういう
関係
を持つかという点についてお伺いをしたいと思います。
坪井哲郎
134
○坪井
説明
員 ただいま御
質問
のありました前段のこの
条約
を採用しておる国、それからこの
条約
に基づきまして
関税率表
を採用しておる国、そういったものにつきましてまず
最初
に御
説明
を申し上げたいと思います。 この
条約
に加盟いたしております国は現在二十一カ国であります。これは大体ヨーロッパ諸国が主体でございます。それから、この
条約
に加盟はいたしておりませんけれども、この
条約
に付属いたしております
品目表
に基づきまして自国の
関税率表
を使っておる国がいまの二十一カ国を含めまして七十一カ国でございます。 ちょっと御
参考
までにどんな国があるかということを申し上げてみたいと思いますが、いま申しましたように加盟国は二十一カ国で大体ヨーロッパ諸国が大部分でございます。採用しておる国で
条約
に入っておりません国は、大体
アフリカ
州、それから南
アメリカ
州のアルゼンチン、ボリビア、コロンビア、キューバ、そういうところであります。 それから、今後採用を予定いたしておる国でございますが、これはやはり
アフリカ
州、
アメリカ
州、アジア州等におきまして、
アフリカ
州ではエチオピア、ガーナ、リベリアといったような国、
アメリカ
州においてはチリ、パラグアイ、それからアジア州におきましてはサウジアラビア、ベトナム、最近におきましてはこういった比較的後開発国と申しますか、そういう国が非常に多くこれを採用し、もしくは今後採用しよう、こういうふうな動きになっております。
西村関一
135
○西村(関)
委員
本
会議
の予鈴も鳴っておりますからもう一問だけ大臣にお伺いをいたしたいと思います。 貿易の振興につきましては、経済外交の立場から非常に重要なウエートを持っていると思うのでございますが、その
意味
から、国会の
承認
を求めておられまする本件の重要性をわれわれとしてもこれを軽視することはできないと
考え
ておりますが、この機会に経済外交のあり方、貿易振興の外交的見地に立って
日本
の国益を振興するとともに、貿易によるところの国際外交の理念というような点の外務大臣の御所信を承りたいと思います。
椎名悦三郎
136
○
椎名
国務大臣 非常に広範な問題でございまして、何からお答えしていいかわかりませんが、やはり国際分業という大きな見地から、ただ目の先の貿易の振興を求めるとか、あるいはまた張り合うためにただ張り合うというのじゃなく、それぞれの長所によって国際分業を円滑に推進するというのが大きなたてまえでなければならぬと思います。 なお、最近は南北問題が非常にやかましくなっておりますが、この問題は、特にただ目の先の利益ということじゃなしに、きわめて長期的な観点に立って、あるいは眼前の利益からいうと、みすみす損をしてやらなければならぬという場合も、やはり長期的にこれを見て、そして思い切って経済援助をして、さらに
相当
低開発国を育成して、しかる後に共存共栄というような
政策
を大きく取り入れた貿易
政策
も必要である、こう
考え
ております。
西村関一
137
○西村(関)
委員
よろしいです。
高瀬傳
138
○
高瀬委員長
本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————
高瀬傳
139
○
高瀬委員長
これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は
承認
すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高瀬傳
140
○
高瀬委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高瀬傳
141
○
高瀬委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十四分散会