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1966-02-23 第51回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十三日(水曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 高瀬  傳君    理事 安藤  覺君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 永田 亮一君 理事 三原 朝雄君    理事 毛利 松平君 理事 戸叶 里子君    理事 西村 関一君 理事 穗積 七郎君       内海 安吉君    菊池 義郎君       濱野 清吾君    岡  良一君       黒田 壽男君    帆足  計君       竹本 孫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君  出席政府委員         外務政務次官  正示啓次郎君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         外務事務官         (アジア局長) 小川平四郎君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         外務事務官         (国際連合局         長)      星  文七君         厚生事務官         (援護局長)  実本 博次君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件(ヴィエトナム問題等)      ————◇—————
  2. 高瀬傳

    高瀬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。帆足計君。
  3. 帆足計

    帆足委員 本年になって初めての外務委員会でありますから、まず月世界のことから始めたいと思います。(笑声)  これは笑いごとではございませんで、今日は原子科学ロケット人工衛星時代でございまして、ソビエトロケット月世界に軟着し、宇宙の秘密を人類の知恵が把握する第一歩を進めましたことは御同慶至りでありますが、ここに問題がありますのは、従来の国際法によりますと、特にアメリカ法学者、たとえばへーリー・ジェンクスという著名な法律学者は、「どのような国でもまず先に占領した国が月その他の天体を占有できる」という解釈をとっております。また、アメリカで一九五八年に発行された「月へのロケット」という書物を読みますと、これはエリック・ベアゴーストという人の書いた本でありますが、「軍事的見地から月にミサイルを送るということはきわめて有利な状況である」というようなおそるべきことが書いてございます。しかし、その後ソ連ロケットが急速に成長いたしまして、アメリカの技術を追い越す段階になりましてから、アメリカ法学者意見は急速に変わってまいりまして、そして「天体については地球上の従来の国際法または法律をそのまま適用することは妥当でない」というふうに見解が変わってまいりました。ソ連最初に月にペナントを打ち込み、月世界に軟着いたしましたから、従来の国際法によりますれば、ソ連領有に帰するわけでありますけれども、幸いにしてソ連社会主義国見地からそういう見解をとらないことを表明いたしまして、昭和三十四年に、月ロケット成功の日から四日目にフルシチョフ当時の首相は、アメリカ新聞記者に対して、「われわれは月にペナントを送ることに成功した、しかしこの際われわれというのは、人類共同の資産という意味でわれわれという、これはわれわれの業績であると同時に地上に暮らしておる全人類業績である。」こういう声明をいたしております。その後、各種国際会議でこの問題が論議になりまして、仄聞するところによりますと、国際連合におきましても、「天体に対しては、地球上における既成の国際法の概念をとらない」というふうに解釈がきまったと聞いておりますが、だれしもこれは疑問に思うところでありますし、いまから数年前に火星に対して、債券を発行いたしまして、そして火星の領地の売買が行なわれたようなエピソードもありましたから、こういう宇宙世紀時代にこういう問題に対して人類共通の新しい理念で対処いたしますために、日本政府はどういう御見解をお持ちになっており、また国際連合その他国際会議に参加いたしましてどういう見解をおとりになっておるか、この際明確にしておかれることが、月世界探検成功のその端緒にあたって、国民各位に贈る適当なはなむけのことばであると思いますから、ひとつそれを外務省として明確にしておいていただきたいと思います。
  4. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 最初にまず先占ということが、国際法領土取得の原因になるということはいわれておるところでございますが、ただ先占ということには占有ということが伴わなければならないわけでございまして、そういう観点からいって単に何か旗を打ち込んだというようなことがそれに該当し得るやいなや、若干疑問であると思います。しかし、いずれにいたしましても、従来のそういう観念は、いわば地球上の国際関係を念頭に置いた規則でございまして、それが当然にそのまま宇宙空間に適用があるものとは考えられないわけでございます。現に領空に関しましても、大気圏内だけにこれを限り、大気圏外については領有権は及ばないというのがだんだん国際的な常識になりつつあるわけでございます。したがいまして、従来の国際法では、天体関係がどうなるかということが実定法としてきまっておるとは申せないと思いますが、ただ国際連合総会ではそういうことについていろいろすでに意見の交換が行なわれまして、一九六三年の第十八回総会で「宇宙空間の探査及び利用における国家の活動を規制する法的原則宣言」というのが採択されております。この宣言の第三項に、「宇宙空間天体とは、主権の主張、利用若しくは占領、又はその他のいかなる手段によっても、国家の所有には属さない。」そういうことがうたわれておるわけであります。これは御存じのとおり決議で、単なる勧告にすぎないわけでございますが、同じこの総会で採択された別な決議で、こういう原則を盛った国際協定をつくることにしようという決議も別に採択されておりまして、その後引き続き小委員会が設けられて検討を続けておるような状況でございます。日本政府もこの第十八回総会では法的原則宣言賛成いたしております。
  5. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御説明は大体私ども了承いたしておりますが、国際連合総会で、天体は特定の国家の専有になるべきでないということがとにもかくにも満場一致宣言されておりまして、まだ条約にはなっておりませんけれども、幸いにその先取権を主張すべき資格のあるソビエトがみずから、これは人類共有の財産であるということを宣言されたことは、私はイデオロギーは別として、ソ連態度はみごとなものであると敬意を表する次第でございます。いずれこれは国際条約になることと思いますが、ただいまの政府の御説明でも日本もこれに参加し、これに賛成したということでありますから、今後天体軍事目的でなくて、人類の平和のために無限の幸福の展望のために使われるということを、外務委員といたしましても切望する次第でございます。  さて今度は天体より地上のことに移りまして、日本政府は、ベトナムアメリカ干渉戦争に対して、態度が従来非常に軽率でなかったかと私は思うのでございます。問題の深刻性は、ライシャワー大使ですら事態の真相を見誤りまして、日本新聞にあまり必要でないアドバイスなどをされて、これはライシャワー大使一生一代の失策だといわれておりますが、ニューヨーク・タイムズですら、朝日、毎日新聞と同じ趣旨の論説を始終掲げておりますし、このたびはフルブライト上院外交委員長がみずから公聴会の先頭に立って、大統領に対してきびしい忠告を与えております。まさにこれこそ三権分立の模範とすべきものであって、私は新委員長たる高瀬外務委員長もこの記事を見て感慨新たなものがあろうと思うのでありますが、外務委員会というものはやはり政府を監視し、適切なアドバイスをし、唯々諾々として外務大臣意見のみに盲従すべきものでなくて、建設的に、善意をもって、時としては外務大臣を批判し、必要なる忠言を与え、助言を与えるのが、野党与党を問わず外務委員会の任務であろうと思っておる次第でございます。日本政府ベトナムの問題の深刻さに多少気がおつきになったかのごとき気配もあるのでありますが、とにかく南ベトナムに対して軍事的な各種の援助もなされておるらしく、またアメリカ政策に相当無批判的に追随しておるのでないかとだれしも心配しておるのであります。そういう立場でありながら、一方ではベトナムに平和をもたらすためにひとつ日本あっせん役をつとめようといってモスクワにお出かけになり、最近は外務委員会は開かれておりませんからつまびらかにしていないのですけれども、特命大使か何か、適当な使節を北ベトナムに派遣するという記事も、ちらほら新聞で伺っておるのでございます。一方ではベトナム戦争に腰を入れて介入し、アメリカ政策に一方的に追随するような行為をなしながら、他方では公平な中立者として平和のあっせんをなされるかのごときゼスチュアをなさる。どうもその辺のところが理解しがたい点があるのですが、外務大臣の御方針をこの際明確に承っておきたいと思います。  特にモスクワに参りましてベトナムの平和のために一役演じようという熱意で参られたように聞いておりますけれども、しかし南ベトナムに対する各種特需軍需、その他の便宜をはかっている立場、すなわち、一方に加担しておきながら、他方でそういう器用なことが可能であるかどうか。きょうの新聞を見ますと、その肝心のソビエト国連代表フェドレンコ氏が、日本が一方で平和をあっせんすると言いながら、他方ではベトナムに対するアメリカ干渉戦争に加担し、深り入しておるのではないかというような意味書簡を各国に配ったということが出ておるような状況で、その文書の内容をつまびらかにいたしておりませんが、まことにそれらの事情を考えますと、一方ではベトナム戦争の深刻さと暗黒、絶望な前途に対して、日本政府は新しい認識を持ち始め、平和に期待しておる。にもかかわらず他方ではその絶望的な残虐な戦争に片足を入れるような形をもとっておる。国民のだれしもが不安に思い、心配に思っておる点でございますから、外務大臣からひとつ最近の御心境のほど、また政策の進路を伺っておきたいと思う次第であります。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ベトナム戦争に対する戦争の性格のとらえ方は、これは終始変わっておりません。  今度訪ソいたしましたのは、日ソ航空協定貿易協定正式調印、それがおもなる目的であります。しかし、国交が回復して十年にもなりますけれども、まだ現職の外務大臣が訪ソしたことはなかった。今度訪ソの機会に恵まれたのを一つのチャンスとして、両国の関心のある国際問題あるいはなお両国の間に未解決の懸案問題、これらについて当然話し合うということになったわけでございます。その一つとして、ベトナム問題について、日本立場から、これは一日も早く平和的解決を望んでおる。幸いアメリカ北爆を停止して、そして和平工作を熱心にやっておる。日本にもそういう呼びかけがあって、いろいろ話し合ってみると、全く真剣な和平工作であるということがはっきりしておる。問題は、要するにこれに対する北ベトナムあるいは北ベトナム指導下に動いておるベトコンのほうで、まず平和的話し合いに応ずるかどうかということが問題のかぎなんだ。そこで、北ベトナムに対する影響力のあるソ連からひとつ働きかけて、そうしてこの和平工作に応ずるという決心をさせるわけにはいかぬだろうか。日本としては言うまでもなく、東南アジアの今日の状況というものは、政治的に見ても、経済的に見てもまことに困ることである。そういう立場で申し上げたのであります。  それから、何かベトナム戦争協力しておるというようなお話でございましたが、これは別に協力でも何でもない。日米安保条約のたてまえから米軍基地を提供し、そしてこの基地提供にふさわしい日本の義務をただ行なっておるというだけの話であります。何かこうベトナム特需なんというものが近ごろ論議されておりますけれども、これは法律的にいうと、向こうの米軍が買い付けて、そうして軍需物資として、あるいは韓国あるいはフィリピン、沖繩にも行くでしょう。場合によってはベトナムに行くものもあるかもしらぬ。まあそういったような品物軍需物資というものは、当然アメリカ日本国内において買い付け、そしてそれを自分の欲するところに送り付けるということは、法律的には、その品物のいかんを問わず、これは可能なことであります。しかし、もしその中に砲弾とかあるいはその他の殺戮兵器というようなものが入っておれば、これは政治的に考えて、そうして適当な話し合いによって日本考え方実行することはできますけれども、ただいまの状況では、砲弾製造能力というものも、ほとんど日本国内の自衛隊の用に供するだけにも足りないという状況です。その他の殺戮兵器というようなものは製造しておらない。でありますから、何かそういうものを買い付けておるのを黙認しているかのような響きを与えるような論議が行なわれておりますけれども、さようなことはございません。法律的に言えばこれもやれることなんです。しかし、政治的に見て、そういうものがもしあれば、これは日本政府としても考えなければならぬことにもなりますけれども、そういうことはあり得ないという状況であります。日本は特にベトナム戦争協力しておるというような現状ではないということをはっきり申し上げます。  なお、この問題について、先般ソ連のほうから、いろいろな新聞雑誌等記事に基づくような事実をあげまして、そうして日本ベトナム戦争に非常に協力しておるというような抗議が日本に来たのでありますけれども、これは全くいま私が申し上げた事実に反していることでありまして、これはソ連考え方を十分に啓蒙しなければならぬ、そういう考えでおります。帆足さんの言うことは、何かフェドレンコ代弁をするような考え方になっているように見受けられますが、まさかそんなことはあるまいと思うが、このことだけ申し上げます。
  7. 帆足計

    帆足委員 私はフェドレンコ書簡をまだ見ておりませんから、代弁したくても、物理的に代弁は不可能でございます。したがいまして、外務大臣から後ほどフェドレンコ書簡をひとつ代弁して、われわれに見せていただきたい。私どもは、日本国民を代表している日本政治家でございますから、他国の論評はただ参考にするだけでありまして、是非の判断は事実に基づき、眼光紙背に徹して判断するわけでありまして、世上伝うるところによれば、日本から火薬類ナパーム爆弾ナパーム爆弾の入れものなどが輸出されておるように伝えられております。しかし、いま外務大臣の御答弁によると、幸いにしてそういうことはないということで、それが真実ならばまことに御同慶至りですが、よく事実を調査いたしまして、万一そういうことがあったならば、外務大臣は直ちに、いま御約束どおりの措置をとっていただきたいと思います。  そこでフェドレンコ代表からの書簡なども、後ほどひとつ事務当局から御提示願いたい。  さらにお尋ねいたしますが、北ベトナムに使いを出すということをちょっと新聞で拝見いたしましたが、これはただいまどういうお考えで、あるいはどういうようになっておりますか伺っておきたい。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ベトナム平和探求は、あらゆる国においてすでに行なわれてきたところでありますが、だんだん情勢も進んでまいりました。幸い元大使をやった横山正幸氏は、海外ことにインドシナに関する知識もあり、またそういう面の知己もたくさんあるので、いろいろこの和平収拾の糸口をつかむという意味において、先般日本を離れて、ただいまフランスのほうに行っておられます。ごく大体の打ち合わせに基づいて、あと横山特使の自由な行動にまかせてあるのでありまして、北ベトナムに行くというような予定も何も私は聞いておりません。行くかもしれないし、行かないかもしれない。特にこういう場所に行って、だれだれと会って、どういう話し合いをしろとかいうような指示を与えておるものではございません。
  9. 帆足計

    帆足委員 ベトナム事態については、かつてフランスが非常な苦労をいたしました。ドゴール大統領がこの問題に対して適切な意見を発表しておることは御承知のとおりですが、フルブライトアメリカ上院委員長は、かつて新聞に発表いたしまして、実はまことに遺憾なことであったけれども、ジュネーブ協定を破棄するようにそそのかしたのはアメリカそのものであったし、またゴ・ジン・ジエム大統領を暗殺したのも、かつての張作霖暗殺と同じように、アメリカの手で行なわれたことであったことはすでに周知の事実である、アメリカはここにおいて重大なあやまちをおかした、こう語っておりますが、外務大臣は、このことを御承知でしょうか。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は、フルブライト委員長の言説に対して、あまり的確な知識は持っておりません。
  11. 帆足計

    帆足委員 アメリカ外交委員長といえば、まず国務長官並びに大統領と同格の人物の発言でございますから、外務大臣においてはもう少し注意して読んでいただきたいと思います。  なぜ北ベトナム並びベトコンアメリカの提案に応じないかといえば、アメリカが、いわれなくして、すなわち自己の利益のために、南ベトナム内政干渉しておる。最初は二十人か三十人の軍事顧問を置くということをまず常識的に諸国が大目に見ていた。しかるに軍事顧問という名のもとに、昨年の暮れにはついに十八万の軍を送るに至った。フランスの一政治指導者が「十八万の軍事顧問とはこれいかに、これことごとくGI、兵隊ではないか」、こうあざ笑ったようなエピソードがあるくらいです。したがいまして、もしアメリカ和平について手を伸ばすならば、一応家宅侵入罪から外に出て、家の外に出て、そしてあっせんするならば応ずるけれども、他国の中に居すわり強盗のようにただ入っていって、そして入っていったのは、グエン政権の招請によったというのは、あたかもかいらい政権の溥儀の招待によって関東軍が入ったという口実と同じであって——これはフルブライトの言です。アメリカ上院委員長フルブライトは、グエン・カーンに招かれたから行ったといっても、みずからつくったかいらい政権に招かれたというのでは、ヨーロッパ的論理には通用しないであろう、こう言うております。したがいまして、一たん軍隊を外に出して、そして和平のことを相談するならばうまくいくでしょうけれども、そのまま居すわり強盗のように中にいて、そして中にとどまるけれども、ひとつ場所を小さくする、家賃を上げてやるというようなことになれば、現状固定化になるという理由で、北ベトナムベトコン反対しておる。世論はそういうふうに見ておるのでございます。日本政府もそこいらの論理を整然とわきまえておられないと、すなわちフルブライト上院委員長報告発言すらもしさいに検討せずに、一外務官僚をただ北ベトナムにやるといっても、まず私は入国すらできないのではあるまいか、こう心配されるわけでございます。  それに連関いたしましてお尋ねしたいのですが、最近、国際連合一連人類の進歩に役に立つ決議幾つか通過いたしました。グアム島に基地を置くことを否決する決議は七十数カ国の賛成によって通過し、その他内政不干渉軍備縮小核拡散防止等決議が次々と通過いたしましたが、この四つの問題に対して国際連合日本政府はどういう態度をとりましたか、伺っておきたいと思います。
  12. 星文七

    星政府委員 内政不干渉決議案には賛成いたしました。それから核拡散防止問題、それからもう一つは、グアムに対しては日本賛成しませんでした。その条項の中に軍事基地があるということは独立の妨げになるという一項があったものですから、そのために賛成し得なかったのでありますが、決議全体に対して、私は反対をしたか棄権をしたかは覚えておりません。
  13. 帆足計

    帆足委員 それではそれをさらに調べて、詳しく報告をお願いしたいのですが、それに対してアメリカイギリスはどういう態度をとりましたか、この四つの問題について。
  14. 星文七

    星政府委員 グアム島の場合は、アメリカイギリス反対をしたというふうに記憶しております。その他の問題については全部賛成しております。
  15. 帆足計

    帆足委員 人類の進化の過程において国際連合かくもみごとな決議を通過させておきながら、しかもその実効が一つもあがっていない。グアム島に軍事基地を置くなということは、B50幾つかの、例の板付に来て問題を起こしたあのベトナム爆撃機のあそこが巣くつになっているわけです。したがいまして、大多数の国はこれに反対をしました。しかるに多数で通ったものが一つ実行に移されていない。もしそれ内政不干渉の問題について日本政府賛成をしたならば、台湾へのアメリカ出兵韓国への出兵及び南ベトナムへのアメリカの駐留、これことごとく内政干渉であるのみならず、同じくフルブライトアメリカ上院委員長が言ったように、ドミニカに対するアメリカ軍の派兵は、これもまた最大の失敗であった。またふしぎな名前の湾でありますが、私もそこに行きましたが、キューバブタ海岸で、豚のような連中といえば、ちょっとぐあいが悪いでしょうが、亡命キューバの軍がブタ海岸から上陸して、あえなき最後を遂げた。大部分捕虜になってしまった。これも内政干渉である。国際連合では、内政不干渉決議をしておりながら、しかも至るところで内政干渉が行なわれている。まことに世にもふしぎな国際連合である。その国際連合でも、やはりなきにまさる。もっといいものに改善するためにだれしも努力せねばならぬと思うのでありましょうけれども、今日の事態はそういうことですが、日本政府内政不干渉の案に賛成しておって、そしてたとえばいまのドミニカに対するアメリカ軍上陸、グアテマラに対するアメリカ軍上陸などを内政干渉とお考えにならないでしょうか。一体内政干渉とはどういうことでしょうか。その定義をちょっと承っておきたい。わからずにただ投票したのか。
  16. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 抽象的に申し上げますと、一国の国内事項について外部の国が何らかの意味において強制力を用いてこれに影響を与えようとする、そういうことであろうと考えます。
  17. 帆足計

    帆足委員 しかりとするならば、この内政不干渉決議というものはきわめて重大でありまして、そして、現在内政干渉ということが一体行なわれていないかどうか、これはどういうふうに外務省はお考えでしょうか。行なわれておるから、非常にまずいからそういう決議をなさったのですか。行なわれていないけれども、今後行なうことが心配だからそういう決議をしたのでしょうか。
  18. 星文七

    星政府委員 国連憲章の第二条七項に内政不干渉という一文が載せられております。この内政不干渉ということをさらにこまかくやってみようというのが、ソ連決議案提出のねらいでございまして、それに対してラテンアメリカその他が非常に多くの修正を出しまして、それがまとまった結果、その決議案が通ったということです。
  19. 帆足計

    帆足委員 あと質問者もおりますからぼつぼつ結論に入りますが、最近の国連一連決議を見ながら、国際連合は、言うことばやよし、しかし、実行が伴っていない。これはわが外務委員会が、いつもことばに終って、実行があまり伴わないことをきょう理事会で話し合ったと同じように、国際連合もひとつどこか一本くぎが抜けたところがあるということを心配するものでございます。日本政府内政不干渉決議賛成して、しかも至るところに内政干渉が行なわれ、植民地廃止宣言賛成していながら至るところに植民地がまだ残っている。一体こういうような偽善が公然と行なわれてよいものであるかどうか。今日の国際連合は、そういう国際連合ですらなおかつ世界平和のためにわれわれは大切にし、憲章の精神を大いに発揚せねばならぬと思っておりますけれども、その実効がほとんどあがっていないという現状に対して、一体日本政府はどのようにお考えか。今日のような国際連合状況ならば、これは偽善者の集まりであって、国際連合とは口でいいかげんなことを言って実行が伴わない場所である、こう言われても返すことばもないのではないかと思われるほどでございます。  そこで、引き続いてお尋ねいたしますが、最近韓国は九カ国の——きょうの新聞に出ておりますように、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、マレーシア、国府、南ベトナム日本の九カ国を、自由アジアの結束をはかるために招集したいと言っておる。これに対して日本政府は否定的態度をとった。私はそれは適切な態度であると賛意を表するものでありますが、この問題はどういういきさつでありましたか。簡単に結論だけを伺いたい。
  20. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 韓国が提唱しておるいわゆるアジア外相会議でございますが、別にまだどういうことを議題としてやる会議であるか、内容についてわれわれはまだ正確な知識を持っておりません。それにもかかわらず日本の出席を希望するという状況でございますが、日本といたしましては、慎重に検討中でございまして、まだこれに応ずるかどうかということは決定しておらないのであります。
  21. 帆足計

    帆足委員 外務大臣の御答弁は控え目に御答弁されましたが、新聞では、大体これは実質的な効果があるまいというのが大方の外務省筋の意見であると出ております。いまの外務大臣の答弁のそぶりからして、大体この新聞記事を裏づけなさっておられるような印象を受けましたが、あわせて今度は、東南アジアの諸国に対して、経済開発について政治的立場を越えて相談しようという数カ国会議を招集なさる準備をされているということが新聞に出ております。これに対しまして、ビルマ、カンボジア、インドネシアはどうも参加をしぶっておるというふうに出ておりますが、こういう会議をなさるならば、よほどの事前工作が必要ではないか。特にベトナムの問題がこんとんたる状況でありますので、もしこれがすでに準備を進めて、招請状を発送なさりつつあるとするならば、ちょっとタイミング及び準備が不足ではあるまいか。こういうような会議を真に政治的立場を越えてなさろうというならば、野党にも相談くださって、そしてそれぞれ適切な使節を派遣して、十分な準備のもとになさるべきものと思うのであります。ビルマ、カンボジア、インドネシア等が参加しないとすると、これは非常に困難な会議になるように思いますが、ただいまの状況はいかがなものでしょうか。
  22. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 インドネシアの参加しないのは、これはマレーシア粉砕方針を堅持しておって、同席することを好まない、こういうのであります。これはどうも手のつけようがない。それからビルマは全くいま内政を固めるというところに専心しておって、いわゆる二国間の話し合いならば喜んでどこへでも出かけてやるが、多数国間のいわゆる国際会議めいたものについては、そのことの当否を問わず、一切そういうところには出ないことにしている。東南アジアの経済開発に関する会議はたいへんけっこうだ、であるから、もしそこできまったことに関連してビルマと日本との間で話し合いをするというような場合には、喜んでこれに応ずるが、多数国の国際会議には出ないという方針をとっているから、こっちへ出てあっちへ出ないということの矛盾が将来起こってきても困るので、一切のそういうことにはあまり関係したくない、そういうことでございましたので、これまたどうにもしようがない。カンボジアは出そうであってなかなか踏み切りがつかない。これまたビルマと同様、来ないからといってこれを除外するという意味ではございませんで、東南アジア数カ国が共通の経済的環境を持っておる、その開発についてお互いに知恵をしぼって、どうしようかというようなことを自由に論じ合ってみようではないかというのでありますから、たまたま来ない国があっても、それを全然度外視して、そして開発問題については一切口も開かないということでとびらを閉ざす意味ではないのでありまして、途中から気が変わって出たいと言えばいつでも歓迎する。また出席しなくても、その全体の会議に基づいて、そしてそれぞれの国に話し合うというようなことについては、こっちは胸襟を開いて、その延長として協議をする、こういう態度でございます。この点については、インドネシアもビルマもカンボジアも全く異存はないであろうと考えております。何となれば、すでにこの会議論議されるような事柄については、日本との間で、あるいは技術協力あるいは経済協力というような形で関係がついておる。そういう状況でありますから、会議に来る来ないということは、そう決定的な問題ではない、こう考えております。
  23. 帆足計

    帆足委員 この東南アジア開発のための数カ国会議を御招集なさるという政府の、しかも政治的立場を越えてという心持ちはよく理解できるのでありますけれども、しかし、ただいまのお話のように、ビルマ、カンボジア、インドネシアが参加しないとすると、あとはもうほとんどかいらい政権ばかりになりまして、そしていま韓国が招集しようとする反共連盟と全く同じ内容のものになってしまうと思います。私はそういうものをいま東京で、しかも桜の花の咲く東京でそういうみみっちい会議を開くということは、これは事、志に反して、まことにまずい結果になることを心配するものでありますが、外務省としてはちょっと軽率過ぎたのではないか。カンボジア、ビルマ、インドネシアの気持ちは、幸か不幸かいずれも社会党とは相当交際のある国でありますから、もう少し超党派的に、野党のほうにも相談してくださいまして、そして純粋に超党派的に、こういう新興国を、衛生、経済、農業等を助けるというような趣旨をもっと徹底して、みんな集まるということにしなければ、そういう重要な国がのいてしまいますと、全部これはかいらい政権ばかりの集まりになるおそれがあると思います。外務大臣はどうお考えになりますか。それでもなおお開きになるお考えですか。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この会議論議する問題は、一切そういう政治的な問題を離れて、東南アジア全般に共通な問題についてどうすれば一体効果のある開発が行なえるかということを中心にして、終始その問題を中心にして話し合う、こういうのでございまして、たまたま会議に参加する、しないのことによって問題の性格が変わるわけじゃない。あるいは経済開発の問題に関連して、前提の一つの条件として、医療なら医療という問題も取り上げることになると思うのでありますが、そういったような問題は全く技術的な経済的な観点から問題を取り扱う。一切の会議の性格が出席国のいかんによって変わるものではないというふうに思います。
  25. 帆足計

    帆足委員 ただいまのようなことならば、いま開かれようとするこの会議は、とにかくかいらい政権会議、プペット・コンファランスと外国新聞にきっと書かれるであろうことを心配する次第ですから、これは再検討願いたいと思います。  それから、韓国の初代の大使に、とにもかくにも頭脳明晰、気骨りょうりょうたる風格のある伊関さんがどういう事情かきらわれて赴任されず、そして木村という台湾の公使が赴任された。(「大使だよ。」と呼ぶ者あり)御苦労なことと思うのですが、大使でも公使でもたいしたことありませんが、この人が御苦労をしての赴任なら問題ないのですが、この小ものがばかに張り切りまして、フィリピン、台湾、韓国をつないで反共の闘士として大活躍するという声明を発したにおいては、私はこういう大政治家外務省の属僚の中にいたかと実は初めて認識を新たにしたのです。一体そういうことを言うていいものでしょうか。外務大臣は、韓国と日韓条約を結び、その批准を外務委員会に受けたのは、韓国との関係を正常化するためであって、別に反共のとりでをそれによって急激に強化して、そして攻勢に出る、そういうような他意があるのではなくて、淡々として、下関を隔てて釜山に相向かっているその国と正常な関係を結ぶためである、こういうふうにわれわれ伺っていたのですけれども、この大使か公使か存じませんけれども、この大使がこういう大ぼらを吹いたとはこれは一体どういうことか、外務大臣に一ぺんお尋ねしてみたいと思っていたのです。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ほらを吹いたようなことは私は全然聞いてない。
  27. 帆足計

    帆足委員 その駄ぼらは大きく新聞に出たのです。したがって、外務大臣としてはもう少し大使に対する監督を厳重にしていただきたい。新聞を繰ってみればございますから、ごらんください。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それは新聞の誤報だ。
  29. 帆足計

    帆足委員 私が読んでおりますのは五大新聞ですから、五大新聞の出どころを明らかにして、あと時間もございませんから、最後にお尋ねしますが、もう一つ外務大臣の監督不行き届きの点があるのです。日本外務省見解として、日本共産党から代表が北京に参りまして、そして共産党としては独自の見解を述べた、すなわち中ソ論争というものはあるけれども、ソ連と中国は大局において平和のために大同団結してもらいたいというような意見を述べたということについて、種々さまざまな批評をしておるのでございます。外務省というものが、外務省の名前において特定政党の政策についてそういう批評をすることが、また新聞に発表することが妥当なものであるかどうか。外務省の諸君は、国際法については多少通じておるかもしれませんけれども、マルクスとカルケットの区別もわからなかったり、エンゲルは熱帯魚の一種であると答えた外務官僚があることも私は知っております。社会科学のその程度の知識しかない方たちが、とにかく一つの政党の動向に対して相当長文の意見を述べておる。もちろん意見を述べたから新聞が——これは朝日新聞です。こういうことはあまり私は望ましくないし、私どもが読んでも、こういう程度の低い論文が外務省の名において出ることは、私は非常に不愉快だと思うのです。外務大臣のそれも監督不行き届きとしてちょっと伺っておきたい。特定政党の内部のことについて、エンゲルは熱帯魚の一種だという頭脳の連中が、専門家でもない者がいろいろ書く必要はないと思うのです。それで、世間に伝わるところによると、外務省の中にコブラヘビの巣くつのようなところがあって、旧ファッショの巣くつがあって、一知半解のマルクス批判を振り回して、そして策動しているということがもっぱらのうわさです。時としては外務大臣の許しを得ずして、かってに派閥をつくって、そしていろいろのことをしておるということをよくわれわれ耳にする次第ですが、ひとつそういう下剋上のようなやからは適当なところに分散さして、そういうことのないように監督をお願いしたい。
  30. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ちょっと拝見したところによると、外務省で何したものではなく、観測記事じゃないですかな。
  31. 帆足計

    帆足委員 これは、こういうことを長々としゃべる属僚がおるということは事実です。しゃべらないものを書くわけにはいかないでしょう。大臣がそう言われるならば、この記事のソースを伺ってみますけれども、まずとにかくこういうものがあらわれる、火のないところに煙はたたないわけですから、とにかく外務大臣にこれは善意を持ってひとつ御助言いたしておきますから、御注意のほどを……。  最後に、いろいろ苦情を申しましたから、今度は少し苦情でなくて、二つばかり事務的なことですがごく簡単に——一つは朝鮮の帰国問題のことですが、これは歴代の外務大臣の人道的御配慮によりまして、八万五千人の朝鮮の諸君が国へ帰りまして、それぞれ生業についております。そのために朝鮮の諸君は非常な希望を持ちまして、そして国内におる朝鮮人諸君の心境も非常に明朗になっておりますことは、多くの人が認めております。八万五千円もふるさとに帰りますと、当時と違いまして、親が残っており、子供が先に帰る、いろいろな問題がありますので、ちょうど中国の問題と同じように、里帰りの問題が起こっております。一万人、二万人のときはともかくといたしまして、八万五千人にもなりますと、赤十字の方々に話を聞きましたが、ほんとうに同情に値する事件が起こっておりますが、これは日をあらためまして、赤十字ともども相談いたしまして、純粋に人道上の問題として外務大臣に御相談いたします。ただ、新潟の港から毎月、船が出て、帰国がずっと続いておりますけれども、長い間、日本でおおむね貧乏な生活をいたしまして、轗軻流離の旅をした朝鮮の友が国へ帰る、二泊三日または三泊四日、赤十字センターでお世話になりまして、そして赤十字、厚生省援護当局も非常に親切にしてくださるのですけれども、遺憾ながら予算がありませんので、この三年間の間に食料費その他が非常に高くなっておりまして、人数も少なくなりましたために大量生産できませんで、食事が悪くなっている傾向がございます。せっかく、最後の別れのときでありますから、赤飯の一つでも、日本料理の別れの晩さんでもして、ふるさとへ送るというのがやはり私は礼儀であろうと思います。この点につきましては、外務省当局もよく御理解くださっておりますし、厚生省当局もよく理解されておりますけれども、どうも大蔵省の認識が不足なようであります。主計官は来ておりますか。——大蔵省のほうはどういうものか認識不足でございます。人は感情の動物でありまして、十年の恋も一日にしてさめることもありますし、十年のうらみも一日の感激によって解消することもあるのでございます。したがいまして、日本と朝鮮との過去における宿命的な歴史にも思いをいたされまして、赤十字センターでわずか三泊、そしてふるさとへ帰るその人たちを送るのに対して、わずかばかりの予算でありますから、銭金のことを言うわけではありませんけれども、厚生省当局から交渉のありましたときには十分な御配慮をひとつ大蔵省当局にお願いいたしたい。   〔委員長退席、永田委員長代理着席〕  重ねて、私は外務委員としてたびたび海外に参りまして、外務省職員の方、また海外の第一線で働いておられる外務省幹部の方々の生活とか教育の問題にいたしましても、住宅の問題にいたしましても、また国によっては急激に物価が騰貴いたしまして、そしてそれに手当が間に合わないという事例が多々あるのでございます。大蔵省からも財務官として海外に出張されておられる方もあって、十分御体験のことと思いますから、委員会のたびごとに私どもは御注意を促しているわけでありますが、教育の問題一つ例にとりましても、これは非常に深刻な問題でございます。と申して、その対策とすれば、どうしても経費を伴うことでありますから、これに対してもひとつ十分な御理解を願いたいと思います。昨年に比べまして、それはよくわかったということばは、予算委員会の分科会や当委員会でもたびたび大蔵省当局から伺いまして、本年度は多少予算もふえたように聞いておりますけれども、どういうふうに実効があがりつつあるのですか、簡単に結論だけを伺っておきたいと思います。
  32. 実本博次

    ○実本政府委員 北鮮の帰還者が長年住みなれておりました日本における最後の期間を気持ちよく過ごされるように常に細心の注意を払いながら、いま毎委員会ごとに先生から御丁寧なる御意見もございまして、そういった線でいろいろ処遇の改善をはかってまいっておる、寝具のとりかえとかあるいはその他の環境の整備あるいは衛生面の配慮、給食等につきましても、できるだけのそういった気持ちを込めたサービスをするように指導してまいっておるわけでございます。御指摘の給食費の問題につきましても、いろいろこちらからの予算といたしましては、財政当局と折衝して、できるだけのものをつけてもらっておるわけでございますが、なお一そうの折衝をいたしまして、実行上もう少し注意、くふうを加えまして、御意見のような線で処理してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  33. 高野藤吉

    ○高野政府委員 在外公館の職員の待遇につきまして、お答え申し上げたいと思います。  在外公館の職員の待遇につきましては、毎年予算につきまして、先生方の御支援によって逐次改善をはかってきておる次第でありまして、在勤俸につきましても、ことし四年ぶりに、四十一年度は一〇%増ということで国会で現在御審議を願っておるような次第であります。  それから在外公館職員の子弟の教育の問題につきましても、本年は画期的にふえまして、また学校も主として東南アジア、あるいは香港、シンガポール、カルカッタ等をふやしまして、予算も約二倍以上にふえたわけでございまして、今後ともこの子弟の教育につきましては、留意していきたいと思っております。
  34. 平井廸郎

    ○平井説明員 私、厚生、労働を担当いたしておりますので、先ほどの在外公館職員の処遇の改善の問題につきましては、ただいま外務省官房長からお答えをいただいたとおりであります。  北鮮引き揚げの方々に対する処遇改善の問題につきましては、先ほど厚生省援護局長からお答え申し上げましたとおり、私どもといたしましても、先生の御指摘のような趣旨に沿いまして、毎年改善をはかっていきたいと考えておる次第でございます。もちろん食料費全体につきましては、各地の収容施設とのバランスもございますので、これのみ限られた処置ということはなかなかむずかしいわけでございますが、少なくとも本年度については御要望の線は一応査定せずにそのままお認めしているというような状況になっておりまして、今後もできるだけの配慮をいたしていきたいと考えておる次第でございます。
  35. 永田亮一

    ○永田委員長代理 戸叶里子君
  36. 戸叶里子

    戸叶委員 私は拡散とベトナムを伺いたいと思いましたが、時間がないようですから、ベトナムの問題について数点伺いたいと思います。  まず最初に、お伺いしたいことは、先ごろから南ベトナムグエン・カオ・キ首相を日本が招待するということが報道されておりますけれども、いつごろ、具体的にどういうふうな形で招待されるのか、伺っておきたいと思います。
  37. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 去年のだいぶ押し詰まったころ、十一月であったと思いますが、韓国グエン・カオ・キ首相が訪れる、その途中で日本に立ち寄りたいという意向がありました。ちょうど日韓条約の審議の最中で、あまり適当な時期とはわれわれのほうは思わなかったのでありまして、まあ国際儀礼もあることでございまして、いきなりお断わりするということもどうかというとき、ところが向こうのほうから、今回は訪日を見合わせる、あらためて敬意を表したいというような申し入れがありまして、これに対する儀礼上、いずれ時候がよくなったならばひとつぜひ日本を見ていただきたいというようなことは、どうしてもこれは言うことになりますね。それでずっとその続きが切れないでおったわけなんです。それで向こうとしてはぜひ日本状況を見ておきたいということなんでございましょう。しかしまだはっきりいたしません。来られるとも来られないとも、まだはっきりいたしません。そういう状況です。
  38. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、この前の続きがあって、そのままになっていたので、気候のいいときにはおいでくださいというふうに積極的にお話しかけなすったのですか。そうじゃなくて、向こうから来たいというならまあ来てもいいだろうし、別に何とも言ってこなければそれでもいいというような程度のものですか。
  39. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういうときの話のやりとりはどういうことであったかわからぬが、とにかく向こうの希望は継続しておるもの、かように了解しております。
  40. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、三月ごろ来られるということはまだはっきりしないのですか。来られることは確かなんですか。
  41. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 日本の近状を見たいという希望があることはほぼはっきりしておりますけれども、いつ来られるかということにつきましては、まだはっきりしておらない。やはり両国の間で事務的に協議をして、そして期日が確定するというのが例でございますから、まだそういう段階に達しておらない、こういうわけです。
  42. 戸叶里子

    戸叶委員 まだその具体的なところまで達しておらないということですけれども、やはり考えておいていただきたいことは、ベトナムが非常に深刻になっておりますし、日本国民自身もアジアにおいてのベトナム戦争の拡大ということを非常に心配しているときでございますので、一方的に南ベトナムグエン・カオ・キ首相が来られるということになりますと、政府と一体どんな約束をするのだろう、どんな話し合いをするのだろうということに対して、非常に危惧をしておりますから、そういう問題も考えられて、この際は私はむしろ首相の来られないことのほうがいいように思うわけでございますが、政府立場として、来られるというものを来るなということも言えないでしょうけれども、その話に臨む態度というものは、十分考えていただかなければならないと私は思いますので、その点をいまからはっきりと申し上げておきたいと思っております。  そこで、このベトナムの問題ですけれども、先ほども申し上げましたように、今日の段階になりますと、国民もたいへん不安に思っておりますので、私はおそらく日本政府自体も何か解決をしなければならないというお考えであるということは認めます。しかし一体いまのような日本態度で、ベトナムの平和解決への前進が少しでもあり得るか、あるいはベトナムの平和解決に寄与できるかどうかということに私は非常な不安と危惧を感じるのです。なぜならば、いま北爆を進めているのはアメリカです。そのアメリカ日本とは、日米安保体制のもとにあるパートナーシップという立場をとっているわけです。こういうような立場にあって、アメリカの行為というものを是認している中で、日本がいろいろなところに行ってベトナムの問題を話し合いましょうと言ってみたところで、平和の方向にするにはこうするのだというような解決策はなかなかあり得ないのじゃないか。しかも一方の安保体制のもとのパートナーシップの中で、一体日本ベトナム問題の平和解決に寄与し得るということはどういうことがあるのでしょうか。この点、外務大臣に伺っておきたいと思います。
  43. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 端的に、和平解決は北越及びベトコンのほうで、武器を置いて、平和的な話し合いに入るという決意をするかしないかということできまると私は考えておる。ですから、アメリカが四十数日にわたって北爆を停止して八方に人を出して、和平のために努力をいたしましたけれども、北越はこれに応ずる気配をついに見せなかった。そしてまた再び戦争が再開された、こういうことでございまして、問題は武器を捨ててまず話し合いに入る。しかる上で両方の言い分というものを見比べてみて、当事国以外の国際的な判断によって、アメリカの主張を引っ込ませるとか、あるいは北越の主張の一部をおろさせるとかいうようなことになると思うのであります。それはいわゆるジュネーブ会議のときの当事国というようなものがそこに出てくるかどうか、そういうようなことになると思うのでありますが、問題は、要するにまず武器をおいて、そして和平のテーブルに着くということがまず必要ではないか。そうするにはどうすればいいか。日本はそのことを日本の努力によってどうすればいいかということになると思うのであります。
  44. 戸叶里子

    戸叶委員 大体、日本の立っている立場から問題になってくるのじゃないかと思うのです。なぜかと申しますと、今日の状態になったのは、アメリカが休戦協定に違反したからこういう状態になったわけで、たとえばその例だけを申し上げますと、一九五六年の統一選挙の不履行とか、あるいは休戦協定の第十四条のC項に違反をしたとか、あるいは反戦協定第二十七条に違反しているとか、そういうふうなことを行なったからベトナムの解放戦線が出てきたのであって、そういうことを無視した上でただ武器を捨てろ、捨てろと言っても、私はこれは無理な話だと思うのです。むしろアメリカ北爆をやめて、そうして話し合いをしていくという態度にならなければならないと思うのですけれども、そうでない。あくまでもアメリカを擁護する立場において何とか日本話し合いをさせようと思っても、これは非常に無理ではないか。いま世界の世論はアメリカ北爆をやめるべきだ、こういうことを言っているんで、そういうことに耳を傾けなければ、出発点から私は間違っているんじゃないか、こういうふうに思います。  そこで、いま安保理事会においても松井議長がたいへんに困っておられる。アメリカのある人は、こういうことを言っております。アメリカ強盗をしておいて、それで警察へ飛び込んでいってその強盗に対して合法化するために警察に飛び込んでいったようなものだ、こういうことを言っておりますけれども、まことにうがった批評だと私は思うのです。安保理事会へ出されたからには、何らかの形で取り上げなきゃならない。しかし取り上げても、いまの日本のとっておる態度ベトナムに対してのとっておる態度アメリカと安保条約のワクの中でのパートナー・シップとしてとっておる態度、これを一歩も変えておらない。この日本が議長としていろいろな国に説得しても、これは不信感があるし、だれもついてこないという面があると思います。アメリカに全面的に賛成する国以外は、ついてきません。だから松井議長がたいへんに困っていると私は思うのです。そこで、聞くところによりますと、外務省へも相談をしてきた、請訓を仰いできたということも聞いておりますけれども、一体それに対してどういうふうな考え外務省としては持っておられるか、この点を伺いたいと思います。
  45. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ジュネーブ協定違反がどっちであるかというふうなことは、これは論ずると果てしがないと思うのでありますが、結局南と北と分かれてお互いに武力で政治的な目的を達成しようというようなことはやめようというのがジュネーブ協定の精神だ。ところが、ベトコンをそそのかして、そうしてそれにさらに人員、物質を供給し、支援をして、そうしてベトナムのことはベトナム人にまかせろ、まかしたあとは、もう北の政治的な目的達成のために国内の破壊活動をしようがしまいが、そんなことは他人の知ったことではない、こういうような行き方が正当であるかどうか、これはどうもだいぶ疑問じゃありませんか。そこで南のほうとしては、この北からの浸透、そして国内の破壊活動というものを支援するような、そういうことではたまらぬというので、アメリカの支援を要請した、こういうことなのであって、協定違反がどっちだといま議論しているよりも、まず武器を置いて、そして話し合おうじゃないか、こういう呼びかけをしたのにかかわらず、四十数日間の北爆停止、和平工作をやったのに、北のほうは必ず勝ってみせる、お師匠さんは毛沢東だというようなことをいいますが、ゲリラの体験者で、その毛沢東に教わったことを順奉して相当成績が上がっている、こう見て、そしてなかなか和平工作に応じようとしない。問題はそこにあるんじゃないか。それをいま理屈を言ってみたところがしかたがないんで、とにかく真に平和を欲するというならば、お互いに武力行動はやめる。そして話し合いに入る。話し合いに入って、非はいずれにあるか、今後のそれによってアメリカは撤退する、それもいいだろう、南は中立政権でいく、それもいいでしょう、いろいろそこに両方で言い分があると思うのだが、それをやって、そうして将来の南北の統一の目標に向かって建設的に進めていく、こういうことがやっぱり手順ではないか、そう私は考えておるのでありまして、やはり戦争をやっておるのは両方がやっておるから戦争になるので、アメリカが一方的に置くということは、南越に対する公約の手前からもできないことではないか。やはり問題は、北越が戦争というものによって、あるいは南ベトナムにおける国内の破壊活動ということによって政治的野望を達するということは、もうとうてい望みのないことである、不可能だ、そのために多大の犠牲を払ってやっているということはいかぬ、そういう気持ちになりさえすれば問題はおさまっていくと私は考えております。
  46. 戸叶里子

    戸叶委員 私は、いまの問題で外務大臣と議論しようとは思いません。というのは、ベトナム戦争が起こったその原因までずっと突き詰めていけば、やはりジュネーブ協定違反とか、いろいろな問題が出てくるので、その問題を討議していけばずっと時間をとりますからいまここではいたしませんが、私と外務大臣とは考え方が違うということがわかったわけです、前からそういうふうに考えていましたけれども。そこで、いまのようなお考えのもとにある安保理事会の議長である日本の松井さんが、いま立場上たいへん苦しんでおられるわけですけれども、日本外務省としては、松井さんがどういうふうな態度でこれを収拾しようとしているのか、お考えがありますかということを聞いておるわけです。
  47. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 請訓の内容あるいは訓令の内容についていま申し上げるわけにはいきませんけれども、われわれの考え方としては、たまたま順番が来て安保理事会の議長になっておる。これも今月でおしまいになりますから、そうすれば今度はジョルダンに移るわけです。議長になった以上は一手見せておきたいというようなつもりでこんな問題を取り扱うべきじゃない。それよりも、終局的に南ベトナムの戦乱がどうすればおさまるかという大局的な見通し、その見通した逆に働くようなことはやめたほうがいい。でありますから、無為にして化すということがあるが、何もしないことがあるいは今後終局の目的に前進する上においていい場合もあるかもしれない。そういう大局を見誤らないで、ただ議長になったからここでひとつ腕のあるところを見せてやろうなんという、そういうつまらない考えでやるべきじゃないということは、松井君に対してこっちが言わなくても向こうでよくわかっておる。われわれはそういうつもりで松井君の行動を見守っておるということでございます。
  48. 戸叶里子

    戸叶委員 松井さんもたいへん苦労されておると思います。なぜならば、日本考え方といいますか、やはりアメリカのほうに味方をした考え方であるだけに、他のほうの国を説得できないというような立場でたいへん苦労されておるわけですが、いまの外務大臣のお答えでは、もうじき議長が交代になるから、何も別にしなくても、あわてなくてもよろしい、時の流にまかせておくというふうな気持ちでおられるということが大体わかったわけです。  そこでその次の問題に入っていきたいと思うのですが、——何かおっしゃることがあるのですか、——じゃどうぞおっしゃってください。
  49. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 あまり何もしないほうがいいといったようなことでおるわけではございません。とにかく、いずれにしても大局的な大きな目標があるのですから、それにマイナスになるようなことはやらない、少しでもプラスになることをやっておくことは望ましいですけれども、しかし、情勢のいかんによっては何もしないでおくほうがいいという場合もある。とにかく問題はどこにあるか。日本の議長ぶりがあざやかであるといったようなところを見せるための議長でも何でもない。問題はベトナム和平収拾にいかにして貢献し得るかという問題からすべてが割り出されなきゃならぬ、こういう考えであるということを申し上げたので、何もするな、そういうつもりじゃありません。
  50. 戸叶里子

    戸叶委員 いや、結果的にはそうなるでしょう。別に何もするなということはおっしゃらないかもしれないけれども、結果的にはそうなるじゃないですか。平和のために努力したいけれども、いまの日本考え方態度ではそういうことはできないということになるのじゃないですか。  そこで、次に入りますが、そういうふうな、いまのような政府ベトナムに対する対策ということでは、どんな偉い人が使節か使者になって行っても、私はたいして効果はないと思うのです。先ほども帆足委員からの質問にありましたように、横山さんが特使としてあっちこっちに行かれる、これも私はいいことだと思いますけれども、ただ、このアメリカの行動というものを基本的に肯定して、そうしてアメリカの平和提案である十四項目というものをひっさげて諸国を巡歴してもたいして効果はないのではないか、こういうことを私は考えるわけでございます。現に、横山さんが北ベトナムに行くということに対して、北ベトナムのほうの新聞では、たいへんに批判的なことばを述べているわけでございますが、こういうふうな批判的なことばを述べている内容は、いままで私が申し上げたような、日本の国のベトナムに対する態度というものがもとになっている。こういうことを考えましたときに、特使が行かれても、どんな人が行かれても、東南アジアを回っても、経済的援助を何とかしてくださいということで、ていよくお帰りくださいということになるんじゃないかと思いますが、横山特使によって相当の成果があがるというようなお考えでいらっしゃるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  51. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 あまりそういうことについて先走った評価をするということはよくないと思いますから、その御返事は控えさしていただきます。
  52. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは、いま申し上げました北ベトナムの批判の中で、こういうことを言われております。アメリカに対して日本はいまベトナムを攻撃するための基地になっている。たとえば航空母艦が来るといわれたり、あるいは日本から飛び立った飛行機がベトナムに直接爆撃をしたり、こういうような態度をとっているうちは、日本がどんなに平和に寄与するといっても、そういうことはあり得ないじゃないかというような批評を新聞でしているわけでございますが、この問題については、この間の参議院の予算委員会で、私はちょっと新聞で読んだ程度でよくわかりませんが、日本基地を、アメリカベトナム侵略基地として使うことは許さない、こういうふうなことをおっしゃったようでございますけれども、この点はどういうふうになっておるのでしょうか。
  53. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 総理のことばは、おそらく作戦基地として使用することは許されないというような趣旨だろうと思いますが、いずれにしても、日本基地から直接作戦行動に出るという場合には、事前協議の対象になるので、そういう場合には、日本としては協議に応ずるわけにはいかないというようなつもりで総理が発言したものだと思うのであります。そのとおりだと思います。
  54. 戸叶里子

    戸叶委員 いま言われたのは、安保条約第六条だと思うのですけれども、この問題もやはり私は非常に問題があると思うのです。たとえば、日本基地から直接飛び立たなくても、回り道をして行くとか、あるいは途中で事情を変更するというような場合には、結果的には日本基地が作戦の行動の基地になるわけでして、こういうふうな問題は、いまここでは議論できませんが、そこで、それに関連して一言伺っておきたいことは、この戦闘用の軍需品が日本から積み込まれてベトナムに輸送されている事実とか、あるいはベトナム戦線で使用された武器とか航空機等がわが国で修理をされている事実とか、あるいはベトナム水域で戦闘に参加した米国の第七艦隊の船艇がわが国に寄港している事実とか、あるいは日米安保条約によってアメリカの軍事行動に協力義務を負う日本の地位というものが、それらの事実によっていろいろ示されてくるわけでございますが、そういう事実から考えての日本国際法上においての地位というものは一体どういうことになるのですか。つまり、戦時国際法の規定で、わが国はもう明らかに交戦の一方のほうに加担をしたということになるのじゃないか、中立的な立場をとらないということになるのじゃないかと思いますが、この点はどういうふうにお考えになるか、伺いたいと思います。
  55. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まず、日本基地から直接作戦行動を起こすという問題でありますが、その場合に、ちょっとよそへ寄ったというようなことがあった場合にどうなるかということは、これは一がいに外形上のことでは言えない問題でありまして、少なくとも作戦行動というものをちゃんときめて、そうして日本基地を発進する、途中でちょっと何かのはずみで油か何か補給するというようなことでどこかに寄るというようなことは、これはどうも、日本基地を直接作戦行動の基地として使用しているという事実を曲げることにはなるまいと考えますが、これはそのときの情勢によって判断すべきものでありますが、これはかなりまぎらわしい問題であります。けれども、大体飛び立つときはたった一機でやるわけじゃないのですから、形式上どこかへちょっと寄ったぐらいで、作戦行動というものが日本において起こされたものじゃないというようなことにはなるまいと思いますが、これは具体的にその場合に臨んで判断すべきであると思う。  それから戦闘用品、盛んにベトナム特需というようなことばが使われますけれども、弾薬の製造能力というものは非常に限られておって、自衛隊が使うものも十分に供給し得ないという状況でございますから、そういうことはかつて行なわれたことはない。その他の殺戮兵器も一切日本から調達された形跡はございません。また、その可能性もない。その他のものについては、日本で調達されて、韓国のほうに送る場合もあるだろうし、フィリピンにやる場合もあるだろうし、沖繩にやる場合もあるだろう。ベトナムに送るという場合もあるかもしれない。そういうものは国際法上何ら差しつかえない。武器、弾薬でも差しつかえないのでありますけれども、これはまた政治的な判断の問題で、これによって多少これをチェックしようというような場合が起こり、もしそういう必要があればその話し合いをするという余地ももちろんあるのでありますけれども、法律上は差しつかえないと考えております。  それから航空機の修理、これはもう一向差しつかえない。軍艦、これの寄港も何ら支障はないものと私は考えております。
  56. 戸叶里子

    戸叶委員 そこで、いま外務大臣の御答弁を伺っておりますと、日米安保条約によってアメリカの軍事行動に対して協力義務を負う日本というものは、これは違法ではない、こういうことになるわけですけれども、そうなってまいりますと、結局日本はもはや明らかに戦時国際法の規定から言えば中立国ではない、一方の国に加担をした国になる、こういうふうに解釈していいわけですね。
  57. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 現在のベトナム事態につきまして、これを国際法上の戦争として取り扱うということは、交戦の当事者もいたしておりませんし、また諸外国でも中立宣言をするとかいうようなことで国際法上の戦争としては取り扱っておりません。まあ、しいて言えば、事実上の戦闘状態が存在しておるというにすぎない、かように考えております。
  58. 戸叶里子

    戸叶委員 戦争戦争ということばベトナム戦争ということば外務大臣みずからも使っていらっしゃるわけですね。だけれど、これは戦争じゃないということですか。
  59. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 国際法上の戦争としていずれの国も取り扱っていないように私は考えております。
  60. 戸叶里子

    戸叶委員 それではどうして南ベトナムの戦いに、アメリカの兵隊、韓国の兵隊、豪州の兵隊というものが出兵しているわけですか。これでも戦争でないと言えるわけですか。
  61. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 侵略が行なわれたという事実があって、これに対して自衛権を行使して侵略に対処しておるわけでございますが、それで戦闘状態は生じておるわけでございますけれども、それを国際法上の戦争として、交戦国、中立国の権利義務関係を律するというふうな取り扱いに両方の当事者ともいたしておらない。そういうことでございます。
  62. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、日本でかつてあった満州事変、支那事変、こういうものは戦争じゃないですか。これと違いますか。
  63. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 あのときにも、両方ともこれは戦争であるとして、したがって第三国は中立国であろうとするならば中立国としての義務を守ってもらいたいというようなことを交戦国として要求し、また第三国もそれじゃ自分は中立国の義務を守るから中立国としての権利を尊重してくれと言って事変の当事者に要求する、そういうふうに法律関係を整理したという事実はない、そういうことでございます。そういう意味においていまのベトナムにおける事態も全く同様でございます。
  64. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、これは国際法上の戦争というカテゴリーには全然入らない。ベトナムにおいて単なる侵略があって、それに対して自衛権を行使するということでいろいろな国の協力を求めているのだから、それに対していろいろな国が協力しているだけだ。これだけの解釈なのですか。そうすると日本は、少なくとも日本立場としては国際法上の中立とか、あるいは国際法上の戦争をしている国の一方に加担しているということは言えないまでも、日本はその渦中にある、その両方が争っている中の一方に片寄っているのであって、インドのようなどちらにも片寄らない中立ではあり得ないということですね。
  65. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 私は現実にどういうふうに取り扱われているかということを御説明申しておるわけでございまして、事実問題として、南ベトナムのほうも北のほうも国際法上の戦争をしておる、そして第三国は中立国たるためにはその義務を守ってもらいたい、そういう立場をとっておらないということでございます。侵略があって、それに対して自衛行動をとる場合でも、戦争宣言をするというようなことは、国際法上禁止せられていないだろうと思います。してもいいかもしれませんけれども、やっておらないということでございます。日本が現在やっておること、インドが現在やっておることは、これは国際法の問題じゃございませんで、外交政策と申しますか、国の立場の問題であって、国際法上の中立国あるいは同盟国、そういうような関係ではないと思います。   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは藤崎局長にお願いをしたいことは、国際法上による戦争、そしてそのときに中立という立場をとった国、そういう事例、それから今度のベトナムの場合のような国際法上の戦争と言わない、そういう例をなるべくたくさんあげて、この次に資料にしていただきたいと思うのです。ちょっと私も研究したいことがありますので、それを要望いたします。
  67. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 資料として差し上げるにはあまりに事例が多過ぎてむずかしいと思います。私がいまここで申し上げていることは、実際には朝鮮動乱とかあるいは満州事変とか、こういうものは戦争と言いませんでしたし、戦争ということで法律関係を整理しませんでした。ところが第一次世界大戦とか第二次世界大戦、こういう場合は交戦国と中立国は国際法上の観念で律せられた、こういう顕著な事例がございましたので、そういう歴史的な事例を一々あげて資料としてお出しすることはかんべんしていただきたいと思います。
  68. 戸叶里子

    戸叶委員 そういう小さい事例はとにかくとして、私は国際法上の戦争の概念というものが、ベトナム戦争なり朝鮮戦争なりによって少し変わってきているのじゃないかと思うものですから、そういうようなことを法律的な面で少し研究してみたいと思って申し上げたわけですが、あとで何らかの機会に私のほうから、こういうものの具体的な例はどうなるかということを申し上げて、いまの資料にかえさしていただくようにしたいと思います。  最後にそれではもう一点伺いたいのですが、ベトナム和平への一つのかぎとして民族解放戦線の代表権の問題というものがあると思います。この和平交渉の際に解放戦線というものは単独の代表にならなければならない、私はこういうふうに考えているのです。解放戦線を一つの代表権として認めなければならないのじゃないかということは、この間の予算委員会でたしか春日委員かだれかが質問したときに、ベトコンの主張というものがやはり会議においては何らかの形において考慮さるべきだということを答弁されておりますけれども、この内容がちょっとわかりませんので、これはどういう意味であるかを伺いたいと思います。
  69. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 交渉の単位として認めるか認めぬかは別問題にして、とにかくベトコンの主張というものが会議に反映し、その内容が考慮される、そういうことは必要であろう、こういう趣旨に解釈すべきものと私は考えます。
  70. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると交渉の単位としては認められないということですか。ただアメリカのほうなどは、北ベトナムの代表の一員としてならベトコンの参加というものはあり得る、こういうようなことを言っているのですが、これはあくまでも民族解放戦線という一つの単位としては認めておらないようです。これでは前進がないと思うのです。やはり一つの単位として代表権を与えていかなければ前進はないと思うのですが、アメリカ考えと同じお考えでございますか。
  71. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 単位として認めるか認めぬかということには全然触れていない。それはまた第二段的に考慮すべき問題だと思います。
  72. 戸叶里子

    戸叶委員 いまの御答弁ですと、解放戦線の代表権は認めないとか認めるとか、そこまでいっていないのですか。どういうことなのですか。入れなければならないと思う、会議においては何かの形で考慮されるべきだということをおっしゃっているのですから、もうすでに認めようとされているわけですね。その場合にまだそこまでいっていないというのはどういうことですか。一つの単位として認めるというところまでいっていないということですか。
  73. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 単位として認めるか認めぬかということには触れないで、とにかく解放戦線の言い分を会議に反映さして、そしてそれに対する検討をやるべきである、こういう意味であります。
  74. 戸叶里子

    戸叶委員 外務大臣はおわかりになったのでしょうけれども、触れないということは結局認めないことでしょう。単位として認めるかどうかということには触れないでということは、認めないということでしょう。大臣の答弁はたいへんわかったような形なんですけれども、じょうずにとぼけられるものですから、ちょっと判断に苦しむことがあるのです。私はそのものずばりおっしゃっていただかないとわからないのですから、もうちょっとはっきりおっしゃっていただきたい。
  75. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 その問題は未解決です。交渉の単位として出席を許すか許さぬかということは、それには触れないで、その主張を会議に反映させるということは少なくとも必要ではないか、こういう意味です。
  76. 戸叶里子

    戸叶委員 たいへんじょうずにお答えになりました。  そこで、まだその問題には触れないとおっしゃるので、この際ぜひとも考えていただきたいことは、単位として認めるようにしなければ問題の解決にはならない、そうしてまた平和解決のほうに前進しないということをぜひとも考慮に入れておいていただきたい。これを要望いたします。  まだありますけれども、時間が来ましたので、この次の機会に質問をさせていただきたいと思います。
  77. 高瀬傳

    高瀬委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会