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1966-06-08 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会科学技術行政に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月八日(水曜日)     午後一時三十八分開議  出席小委員   小委員長 岡  良一君      小宮山重四郎君    纐纈 彌三君       中曾根康弘君    前田 正男君       石野 久男君    河野  正君       原   茂君    三木 喜夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 上原 正吉君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    谷敷  寛君  小委員外出席者         通商産業技官         (工業技術院総         務部技術振興課         長)      堀江  寛君         参  考  人         (新技術開発事         業団理事長)  鈴江 康平君         参  考  人         (理化学研究所         理事長)    長岡 治男君         参  考  人         (日本科学技術         情報センター理         事長)     浜田 成徳君         参  考  人         (高分子原料技         術研究組合理         事)      福島 嘉雄君         参  考  人         (光学工業技術         研究組合理事         長)      松本 三郎君     ————————————— 六月八日  小委員河野正君同日小委員辞任につき、その補  欠として石野久男君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員石野久男君同日小委員辞任につき、その  補欠として河野正君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術行政に関する件      ————◇—————
  2. 岡良一

    ○岡小委員長 これより科学技術行政に関する小委員会を開会いたします。  科学技術行政に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、本日参考人として新技術開発事業団理事長鈴江康平君、理化学研究所理事長長岡治男君、日本科学技術情報センター理事長浜田成徳君、高分子原料技術研究組合理事福島嘉雄君及び光学工業技術研究組合理事長松本三郎君に御出席願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、まことに御多用のところ、本小委員会に御出席くださいましてありがとうございました。どうかそれぞれの立場から、事業の現況、運営上の問題点、あるいは科学技術行政に対する忌憚のない要望等について率直な御意見をお述べくださいますようにお願い申し上げます。  それでは最初に、鈴江参考人よりお願いいたします。
  3. 鈴江康平

    鈴江参考人 それでは、お手元に新技術開発事業団業務概況というプリントを差し上げてございますので、それをごらんいただきながら説明を聞いていただきたいと思うわけでございます。  新技術開発事業団は、御承知のことと思いますが、新技術開発事業団法に基づいて設立されまして、昭和三十六年七月に発足いたしたのでございますが、その前に、理化学研究所特殊法人になりましたときに開発部を設けまして、同様の仕事をいたしておりましたので、それを引き継いだわけでございます。そして、大まかに申しますと、この目的は、せっかく国内研究成果が出ましても、それが企業化されないで眠っているといったような研究成果をさがしだしまして、そのうちの重要なものを企業化まで育て上げるというのが仕事でございます。  二の事業概況でございますが、事業団のおもな仕事といたしましては、新技術委託開発することであります。そういった設備はさらに申し上げますけれども、それが第一番の、また最も大きい仕事でございます。その他、委託開発をいたしましてでき上がった研究技術を他の会社にも普及し活用してもらうという仕事、あるいはまた三番目に、それほど危険性のない技術につきましては、研究者企業化する会社との仲立ちをするというような仕事もしておるわけでございます。  最初の、新技術委託開発でございますが、これは大学とか国公立研究機関あるいは民間研究室等から生まれます研究成果、そのうちで、ほっといてはなかなか企業化できない、企業化が著しく困難であるというようなテーマ、なおかつ、成功いたしますとわが国の国民経済上重要な効果があるだろうと思われるものを選び出しまして、これを企業するに最も適当であると思われます企業を選定いたしまして、それに委託をして開発してもらうわけであります。  その開発と申しますのは、大体最小限度企業規模でもってそれを実際の生産設備にしてもらう、あるいはまた、実際の機械をつくるということをいたしてもらうわけでありますが、これに必要な資金施設費とか設備費あるいは原材料費運転費などでございますが、そういったものは委託料としまして、事業団からその委託いたしました企業体支出をいたすわけでございます。そして開発期間中には、実は研究成果を実現するためにもまたいろいろな問題点があるわけでございますが、たとえば途中でその成果技術的にこうではなかったのが非常に悪くなってしまったというような、いろいろな問題がございます。そういう場合には、また国内のいろいろな研究者学者の方に来ていただいて御意見を聞くとか、あるいは開発費予定以上にかかったというような場合には、またそれを相談しまして幾らか資金支出するとか、いろいろな点がございますが、そういったような問題につきまして、事業団も協力して解決に当たるわけでございます。  そういたしまして、それが予定期間の後に開発が終わった場合には、これが成功かいなかということを判定するわけでございます。これはあらかじめ、こういうふうになれば成功とする、あるいはここまでいかなければ失敗であるというふうな大体の基準を、研究者あるいは委託先と相談いたしましてきめておきまして、その成否の基準に到達いたしました場合にはこれは成功ということで、事業団から支出いたしました金を、無利子でございますが、返してもらうわけでございます。ただいまのところ五年の年賦で返してもらっておるわけでございます。そして、もしその開発が不成功という場合には、私どもはその返済を求めませんで、事業団損失にするわけでございます。すなわち、新しい技術を工業化するという場合には、新しいがためにその失敗の非常な危険性を感ずるわけでございます。したがって、企業体がなかなかそれを企業化しようとしない、そういった危険性事業団企業体にかわって負担をするわけでございます。しかも、その資金につきましては利子をとりませんが、そういうことで資金的な援助もできるわけでございます。  こういうことによって、いままでなかなか使われない技術企業体によって使ってもらえるようになるだろうというわけでございます。  そういたしまして、今度企業体開発成功いたしまして、これを企業として実施する場合には、契約に従いまして一定の実施料事業団に納めてもらうわけでございます。事業団はその約半分を発明者あるいは特許権者に私のほうから差し上げるわけでございます。あとの残りは事業団として事務費に使い、あるいは失敗の場合の損失の補てんにもそれを充てるわけでございます。  そういうシステムでやっておるわけでございますが、現在開発課題といたしまして取り上げましたものはどんなものかと申しますと、ここに書いてございますような、開発を終了いたしましたのは二十一件で、ただいま開発中のものが二十件でございます。そのうち、終了いたしました中で成功いたしましたものが十九件、不成功が二件でございます。なお、こういった開発課題を取り上げる場合、また成功したかどうかというようなことは、事業団に設けられております開発審議会意見を聞いて公正に行なうわけでございますが、開発審議会委員総理大臣の任命になっておるわけでございます。これが委託開発でございます。  二番目の開発した新技術普及活用でございます。これは国の資金開発した技術でございますので、なるべく多くの人に使ってもらいたいということで、それをいろいろの方法を通じまして同種企業体にもあっせんをしておるわけでございますが、そのうち、現在のところ希望が出まして委託をしました会社以外でやっておりますのは三件ございます。  それからなお、新技術開発あっせんということが第三項にございますが、これは先ほど申し上げましたように、いろいろテーマを集めております中で、必ずしも危険負担事業団がしなくてもやれるだろうという軽いものは、こちらから特に資金を出しませんで、ただこれを適当な会社に紹介をする、それからまた、会社のほうからもこんな技術はないかという申し込みがございますので、たまたまそういうものがありますれば、そこで両方の媒介をするということをやっておるわけでございます。  三といたしまして、ただいまのところどういうところから研究課題が出ておるかと申しますと、やはり一番多いのは大学とか付置研究所でございまして、二十件ございます。それから国公立研究所が九件、それから企業体が一件−−これも企業体が発明いたしまして、自分のところでは使えない、ほかで使ってくれないかというようなことがございましたので、それを取り上げたものもございます。それから個人もございますし、それからその他、その他と申しますのは、特殊法人財団法人任意団体からの研究成果でございます。いままでのところ、こんなような研究成果の出どころでございます。  組織といたしましては、ただいまのところ、こういった三部六課制になっておりまして、開発審議会がその一環としてあるわけでございます。  開発審議会委員は、その表に書いてございますように、ただいま会長が三島徳七東大名誉教授でございまして、その他財界の方あるいは技術専門家学識経験者に就任していただいておるわけでございます。  それから、その次の紙にまいりまして、予算と人員の経過でございますが、政府出資金といたしましては、毎年この表にございますように三十六年から逐次出していただいておりますが、ただいまのところ、四十一年度におきましては二十三億一千二百万円ということになるわけでございます。その次には開発委託費回収金、これは先ほど申しましたように、成功いたしたものは返してもらうわけでございますが、その回収金でございます。その合計が二億八千万円。それから事業収入といたしましては、実施料をもらったり、あるいはあっせんをいたしますときに、あっせん手数料等をもらいますので、そういったことの収入がございます。それから事業外収入としては、若干、銀行の利子とか宿舎の貸し付け料とか、いろいろそんなものがございます。そういうような収入状態になっております。  それから支出のほうは、ここにございますように、大部分は開発委託費でございますが、その他開発事業費として、審議会開催費とか、あるいは学者に検討していただくための調査費とか、そんなことが書いてございます。それからあっせん事業費、ビルの関係というようなことでございます。  それから人員といたしましては、役員が七名おりまして、そのうち非常勤が三名でございます。それから職員がただいまのところ五十名おります。  それから機構といたしましては、先ほど申し上げましたように、現在三部六課になっておるわけでございます。  それから最後の紙に、ただいままで開発いたしましたテーマの一覧がございますが、あまり一々詳細に申し上げますと時間がどうかと思いますが、おもだったものをちょっと申し上げてみたいと思います。  このうちで二番目の、人工水晶製造というのがございますが、これはかなり前に成功いたしたわけでございますが、その後これによって、ブラジルからたくさん入れておりました水晶はかなり輸入を防遏することができたというようなメリットを得たわけでございます。  それから四番目の固体分析用二重集束質量分析装置でございますが、これも開発成功いたしましたけれども、実はなかなか売れなくて弱っておりましたところ、最近アメリカから注文が出まして、それを契機にスイスあるいは国内でも相当これが売れるようになったわけでございます。  それから五番目は石炭ガス化燃焼装置製造、これは失敗でございます。これは都内の燃焼暖房等につきまして石炭を使う、これを公害の点から無煙にしたいというような装置でございます。ある程度まで技術的にはうまくいったのでございますが、何せ重油が非常に安くなりましたことと、重油の規制がなくなりましたために、どうしても企業としては成り立たないということで、残念ながらついに失敗になったわけでございます。ただ、失敗いたしましたけれども、将来、低品位炭の利用についてこの装置が使えるのではないだろうかということで、研究者としてはさらに研究を続行しているような状態でございます。  それから七番の多層薄膜光学製品製造、これはカラーテレビ等に使うものでございますけれども、中共からこれの機械を入れたいということで、一部それを輸出したような実績もございます。  それから十番のコンバーター方式の長繊維化繊紡績法、これはどうしても受託者がございませんので、テーマとしてはよろしいと思いましたが、繊維業界動向によりまして、ついにこれは受けるものがなかったということでございます。  それから十一番のジャモン岩からマグネシアを製造する方法、これも実は失敗でございまして、ジャモン岩の実験は、これは工業試験所研究成果でございますが、工業試験所では相当大がかりな研究をしたわけでございますけれども、やはり実際化いたしますとどうしてもうまくいかない。しかもまた、ジャモン岩の鉱石が、掘ってみますと当初考えたよりもかなり品位が悪いというようなことになりまして、ついにこれも失敗したわけでございます。  それからあと、不成功のものは先ほどのとこれと二件でございますが、その他は、たとえば次の植村式高速度カメラ製造、これは一秒間に五十万こまの映画をとることができる非常にハイスピードのカメラでございまして、これなども科学技術の伸展には大いに役に立つものだろうと思っております。  それから十三番目のラバーブレス法による粉体加圧成形品製造、これはある一社が、ここにあります日本化学陶業というところがやりましたのですが、それ以外の会社もこの方法は、非常にいいということで、ほかにも普及しているような状態でございます。  それから十六番でございますが、これはチーズ製造でございまして、技術的には一応成功したのでございますけれども、何ぶん最近チーズ自由化によって、とうてい価格的に引き合わないということで、成功はいたしましたけれども、実は国内では生産されてないのでございます。ところが最近、ソ連のほうがこの方法——これはチーズが非常に期間が短く熟成ができるわけでございますが、それに着目いたしまして、ソ連から製品を送ってくれということで、実は見本を送っているわけでございます。それがうまくいきますれば、技術輸出もできるのじゃないかと思っております。  それから十七番の高圧反応装置製造、これなども非常にうまくいっているのでございますけれども、世界的にアンモニアの装置が非常に大型化してきましたので、さらに規模を大きくして引き続いてやっているというふうな状態でございます。  それから、最近新聞にときどき出ているのでありますが、十八番の地熱発電用蒸気生産技術、これは盛岡のほうでやっておりますが、地熱蒸気をただいま四本の井戸によって引き出しておるわけでございます。これは大体二万キロワットの発電をする予定でございますが、そのうち二本は非常にうまくいっておりますが、あとの二本がパイプが途中でつぶされましたり、あるいはそのパイプの下のほうが切れて下へ落ちてしまったというようないろいろなトラブルがございます。これにつきまして回復工事にかかっているのでございますが、大体明るいめどがただいまついているような次第でございます。  その他は、いろいろございますけれども、現在開発中のものが多いのでございますが、ただ、多少テーマとして変わっておりますのは、二十二番のアワビの人工養殖というのがございます。これは東北大学教授研究でございますが、宮城県の漁連でこれをやっておりまして、予定よりはやや増殖の率が悪いために——実は、昨年は海水の温度が異常に低かったためにうまくいきませんでしたために、延期をいたしまして、さらにことしやっているわけであります。  いろいろございますけれどもあと開発中であります。あと開発中の中で特に金額として大きいものは、二十八番の真空脱炭法による低炭素フェロクロムでございますが、これは日本鋼管に二億二千八百万円の資金でやってもらっておりますが、御承知のようにフェロクロム業界自由化によりまして非常に苦しいわけであります。この技術がうまくいきました場合には、日本鋼管その他フェロクロム業界が一緒になって企業合同をしてやろうということで、日本鋼管業界のチャンピオンとして出てきたような仕事であります。これも大体順調にいっているわけでございます。  それから三十一番の超精密標準尺製造技術、これはまだ開発中でございますけれども、すでにソ連のほうからこれを売ってくれないかというふうな話し合いもございますが、開発が終わっていないので待ってくれというようなことを申しているような次第でございます。  三十八番の電子ビームの問題、これは今後のエレクトロニクスに大きな動向を持っている薄膜回路の問題でございまして、非常に先端的な仕事であろうと思っております。  それから超伝導マグネット用導線製造、これも将来のMHD発電のための布石でございますが、現在としても、その研究のための需要もございますので、これを企業化することに踏み切って試作したわけでございます。  以上、いろいろ申し上げましたが、あまり長くなりますので、また御質問がありましたら申し上げさしていただきたいのでありますが、ただ、私どもやっておりますと、やはり経済情勢によって企業というものはなかなかむずかしいものでございますが、非常にいいと思いましても、外国から同種のものが入ってきたり、あるいは外国技術の進歩が早くて追いつかれたり、いろいろの問題がございます。それで、私ども成功いたしますと、五年以内に金を返してもらうということを考えているのでございますが、先ほど申し上げましたように、成功はいたしましたけれども、市況の関係製造を始められないというものもございます。そういったものにつきましては、もう少し返済金期間の延長をすることができればさらにいいのではないだろうかというような感じを持っているわけでございます。  はなはだ簡単でございますが、一応御説明を終わらせていただきます。
  4. 岡良一

    ○岡小委員長 次に、長岡参考人にお願いいたします。
  5. 長岡治男

    長岡参考人 御報告申し上げます。  私のほうの理化学研究所は、御承知のとおり、ことしで五十年になります、大正六年にできました財団法人理化学研究所の糸を引いているわけでございます。またその後継者のような形になっておるわけでございます。御承知のとおりに、これは湯川先生関係され、朝永先生もおられまして、幾多の人材を輩出すると同時に、幾多効果をおさめたところでございますが、終戦後の政策によりまして財団法人から商法上の株式会社の形に組織をかえなければならなくなりました。簡単に申しますと、営利法人であったものが営損法人になりまして、非常な経済的の疲弊にもなりまして、したがって、一番大事なことは、その間に研究意欲よりも食わなければならぬという営利のほうにいったものでございますから、士気がすっかり没落してしまったという結果もございます。しかし皆さんの御苦労によりましてそれが幸いに続きまして三十三年に特殊法人として理化学研究所法ができまして、先ほど鈴江理事長からお話がありましたように、新技術開発を伴って特殊法人として成立したわけでございます。新技術のほうはその後単独の事業に分離することになった次第でございまして、いまのところ、成立以来約八年でございますが、何せ商法上の考え方からやっておりましたものが純然たる研究所のほうに意思が向いてまいりましたので、研究意欲が困難にうちかってやっと皆さまのおかげで活発化してきたような次第でございます。  ただいま数から申しますと研究室は四十八ございまして、そのうちの五つが農薬関係でございます。これは学術会議、それから政府のほうの御要望によりまして三十七年度から農薬を生態から最後の合成まで続けて総合的に研究する組織を始めたわけでございます。その他の四十三の研究室というものは物理とか化学とか、また基礎から応用までになりますが、特に応用面では工学のほうにまでわたっている次第でございまして、定款にもございます。定款には、人文科学を除いて試験研究を総合的に行なってその成果を普及することを目的とするという、この最後の段に工学方面がおもに当たるわけでございますが、また化学方面でも、あとで申しますが、抗生物質の問題ないしガンに関する研究というようなものを、物理化学の面から見た方面でも研究している次第でございます。これには非常に分野が多うございまして、その分野おのおの特色のある、特に大事なことは独創的な研究を発展させるようにつとめておる次第でございます。これはかつて理研ができますときの趣意書にも「要之理化学独創的研究旺盛ナラシメ以テ工業其他一般産業発達ヲ期スルト共ニ我邦人発明能力発揮シテ、智能上ノ生産力充實スルハ我邦目下ノ急務」なりということを書いておられますので、独創的に研究者が進んで勉強する。きめたものをやるよりも、むしろそっちのほうを重んじるという形で、そして分野によって分けている次第でございます。研究の内容は、したがって非常に基礎的なものが多いのでございます。それから研究の題目は、これは差し上げましたが何せみんなむずかしいことなんでございまして私どもにはわからない次第でございますが、非常に広いものでございますが、約二百ばかりでございます。また民間会社のほうからも委託研究がございましたり、産業界のほうとも幾らかのタイアップをつけておるわけでございますが、ただ直接私のほうで産業界に進出するという直接の関係は、これは全然拒絶しておりまして、そのかわり、あがりました研究成果の中のパテントというようなものは、これはロイヤリティでリターンがくるような考え方をしております。したがって、研究成果は多数にのぼりますが、これらは学会誌それからまた理研機関誌、それからシンポジウムをやりまして発表しております次第でございます。また、特許は、産業上利用し得るというようなものはみなこれを出願いたしまして、広く公平に民間会社実施に供しておる次第でございます。特許の数はいま約五百ばかり持っております。年に四十見当出てまいります。吟味をしまして四十ばかりを拾っておりますが、その約二割がいま実用化されておる次第であります。  そこまで御説明申し上げましたが、先ほど申し上げましたとおり、理研受難時代と申しますかすっかり疲弊いたしましたので、三十八年以来移転建設事業をお認め願いまして、これが現在では駒込の土地建物がどうにも狭隘、老朽化しているし、近代化を内部でもしなければなりませんので、移転地を御承知のとおり朝霞のそばの埼玉県大和町にいただきまして、そこに坪数で申しますと六万八千坪、平米にしますと二十二万四千平方メートルということになりますが、この土地をいただきまして、三十八年度から四十一年度までを第一期の工事といたしまして、この間に研究本棟、これは延べ五千坪になります。それからサイクロトロンでございます。これは米軍がこわして海に捨てたもののかわりになるのでありますが、今回は非常に強力なもので、いろいろな物理の根本の研究には日本では少なくとも第一のものだと私は信じておりますし、広い効果をおさめるものだと思っております。そのサイクロトロン関係の建物等、これが第一期で内部の設備もできまして、サイクロトロンはこの秋までには実際の運転に入れるだろうと思っております。いままでで研究本棟のうちの二千坪がほとんで完全になりましたので、五月の下旬に十研究室が一応向こうに移りました。それから残りの三千坪もことしの後半には完成いたしますので、それに従ってまた順次研究に支障がないように移転を続けていくつもりでおります。それから四十二年度からは第二期工事、つまり残りの建設工事と申しますと、研究棟よりも実験を重んじる重い機械とか特殊機械のあるようなものをだんだんと建設する予定を持っているわけでございます。  ただいまのようにとりとめのないことを申し上げましたが、要するにわれわれは昔の伝統を追いまして、そうして一たん受難をいたしましたけれども、幸いにみんなが元気を取り戻し、また皆さまの御鞭撻、御援助でもって、昔の理研そのとおりにはいかないまでも、またそれよりほかの面でも活躍できるように、みなの意欲が誇りある研究所だという観念を持ってまいりまして、自分らの責任も感じておりますし、結局われわれ理事者、これは御承知のとおり理事長、副理事長あと理事が定員では五人ございますけれども、一人欠けておりますので予算では四人でございますが、幸いに監督官庁ともうまく連絡がとれるように、また各界ともうまく連絡をとるように、特にいまは副理事長には住木大先生を持っておりますし、また理事の中には菅義夫先生を迎えまして、研究面と事務面と両方ある程度までわかり、また御専門については十分なオーソリティだということをマークいたしまして、率直に申して理事の陣営の重大なことは、研究所では一番むずかしいところだと思いますので、私その点に留意をいたしまして、皆さまの御援助によりまして、いま理事陣は非常によくまとまっていると私は信じておりますし、また、ごらんのとおり、幸いなるかな労働組合の運動などもストライキで困るなどということなしに、みんなが一致共同してやるまでになってまいりました。しかし何せこういう研究というものは一朝一夕にしてあらわれるものでないものでございますから、まだ、お耳に、こんなことがあったかというようなグッドニュースはもうちょっと待っていただきたいと私からお願いするような次第でございます。  それで、要望のことを申し上げますが、ただいま申し上げましたように、四十一年度で第一期の工事が終わりまして、引き続いて第二期工事の四十二年度から研究本棟の増設と、各種の実験棟の建設、図書館、工作工場、そういうものの移転をなるべく早く完結しまして、向こうに完全な移転を遂行したいと考えておる次第でございます。これにはぜひ御援助を願いたい。  それからまた、農薬関係につきましては、これは最も日本人の生活それ自身に重大な問題でございまして、生物試験の施設などは早急に完成させていただいて新農薬の創製に役立たせたいというのが念願でございます。  それからなお、科学技術の進歩発達の著しい今日、研究設備近代化——正直に申しまして、私が参りました三十三年のときに方々の方に見ていただきましたが、少なくとも設備などは十五年以上はおくれておる。ちょうど戦争の空白でございますが、そういうようなことでございますので、設備近代化ということは漸次やっていただきますが、なお今後もひとつお願いをいたしたい筋が多うございますのと、それから研究費の増額もまたお願いしたいと思っております。そうしますと研究意欲が一そう増しますので、どうぞひとつ安んじてみんなが研究でき、また研究に誇りを持つような、自然界と申しますか理化学と申しますかそういうものの、人間の間の重要な役目を果たせる研究所にしたい、こう念願している次第でございます。  なお、数字などはお手元までお届けしておきましたから省略させていただきます。
  6. 岡良一

    ○岡小委員長 次に、浜田参考人にお願いいたします。
  7. 浜田成徳

    浜田参考人 日本科学技術情報センターは、昭和三十二年に日本科学技術情報化センター法によりまして創立せられました特殊法人であります。明年をもちまして十周年を迎えることに相なります。皆さまの絶大なる御援助によりまして最近新しいビルディングに移ることができました。新時代を画することになろうと思っております。  この十カ年の間に情報センターはだんだん発展してまいりました。お手元にお渡ししてございます表にありますように、ただいまでは役員が六人、職員が二百八十二人、合計二百八十八人の大世帯でございます。  収入は、政府出資金、補助金、事業収入その他合計九億六千八百万円という規模に相なっております。  なお、申すまでもございませんが、科学技術情報センターなるものは、日本の科学技術の発展のために、同時に産業の興隆のために大きな貢献をなすためにつくられたものでございまして、その使命はきわめて重大でございます。  今日いたしております業務の概要は、ここに同じく表に出ておりますけれども、ざっと申しまして、外国雑誌を四千三百種、国内雑誌を一千七百種、これにつきまして速報、抄録等の作成をやっておりまして、これを必要な場所、必要な人たちに配付いたしております。ここにございますように、文献速報による部数は九千二百五十、複写依頼等による提供が二十九万二千八百というような数字で概略の御想像がいただけると思うのでございます。  過去十ヵ年の間にいろいろなことが計画せられ、いろいろな施策が施されたのでございますけれども、その中で一番重要な問題は、私の考えでは電子計算機による情報処理をなるべく徹底化して情報センターにおいて行なわしめることだろうと思います。これにつきましていろいろな計画をただいま立てております。この表の二枚目のあとのほうに「将来の問題」というところがございますが、中枢的な総合的センターとしての体制を確立し、公共的な機関として科学技術の全分野を対象として、網羅性、適確性、迅速性に重点を置いて、業務の機械化を推進するとございますように、これを実現し得るものは電子計算機だろうと思うのでございまして、その電子計算機の最も適当なる運用を実施することをしようという考えでございます。  同時に、情報活動につきましての認識が、まだ一般国民の間、あるいは科学者技術者の間にすらも徹底しておりませんので、それらにつきましての周知化あるいは宣伝等をいたすことも重大な仕事であろうと考えまして、いろいろな方法を講じよう、たとえば情報活動についての、あるいは情報学とかあるいは情報科学技術等についての研修等をやることも必要である、あるいは情報科学の研究等につきましてもこの情報センターがみずからそれを推進することも必要であろうというふうな考えを目下練りまして、本年から始まります五カ年計画なるものを作成いたしまして、目下案を進めておる最中でございます。  実は私は昨年八月の終わりに当センターの理事長に就任いたしたのでございます。わが国における科学及び技術についての情報活動ないし世界各国の、アメリカ、ドイツ、フランスあるいはイギリス等の情報活動につきましてこれをながめて見ますのに、この一両年、情報問題は非常に重大化してまいったといってよろしいのでございます。その理由は、申し上げるまでもなく情報量が爆発的に増したということでございます。おそらく一カ年の情報量というものは科学技術分野において一千万をこえるだろうというくらいに膨大なものに相なりました。研究者技術者あるいは経営者等はその膨大なる科学技術の情報量にいかに対処するか、どうしたらば必要な情報をつかみ、これを実現し、あるいは自分の研究開発に利用するかということが最も大きな問題になってきたというのが世界的な情勢であります。この問題、情報活動を有効に実施することが一つの会社あるいは研究所、ひいては一国の科学技術振興についての最大問題の一つとなってきたといっても過言でないと思うのであります。  昔は研究開発を行なう場合に、研究所長とか社長の人格、見識等が問題になりましたけれども、今日ではそれ以外に、情報の運用が必須の問題であると考えてもいいと思うのでありまして、私の見るところでは、世界各国はこの情報問題に科学技術行政分野において最も力を入れるようになったといってよろしいのだろうと思うのであります。そういう考えにおきまして、私は科学技術情報センター自身においてもやれるだけのことはやらなければいけない。案を立てて、そして政府科学技術行政とかみ合わせまして、なるべく早く、なるべく徹底した施策を施していくようにぜひ御指導賜わりたいものと願っております。  非常に簡単でありますけれども、私の考えを申し上げた次第であります。
  8. 岡良一

    ○岡小委員長 次に、福島参考人にお願いいたします。
  9. 福島嘉雄

    福島参考人 私は福島嘉雄でございます。本日お呼び出しを受けました高分子原料技研究組合の理事長は千代田化工建設株式会社の玉置明善でございますが、おりあしく同人は海外出張中でございますので、理事をつとめております私がかわって出席いたした次第でございます。  科学技術振興対策特別委員会の皆々さまの前で、皆々さまが特に国務御多端のおりからにもかかわりませず、現下の急務であります科学技術振興のために特別の御配慮をされまして、私ども高分子原料技研究組合に対し、現状を御報告申し上げ、かつ国会に対し期待しておりますことを御要望申し上げる機会をお与えくださいましたことを、組合員一同にかわりまして厚く御礼申し上げます。  まず、順序といたしまして組合の誕生から申し上げたいと思います。  組合が結成されましたのは昭和三十四年でございますが、そのころわが国でも欧米に比べまして相当おくれてはおりましたが、石油化学工業がようやくその緒につき始めておりました。石油アセチレンに関しましてはベルギーのSBA、ドイツのヘキストなどのこの関係外国技術導入がわが国の関係業界で活発に検討され、カーバイド・アセチレンにかわるものとして石油アセチレンについての関心が急に高まってまいりました。  そのころ、一方において、高いロイアルティーの支払いを伴う外国技術依存を脱却して国産技術開発する必要性が強調されるとともに、また一方においては、研究体制といたしまして、特に原料部門のような基礎、共通な分野におきましては、同業あるいは関係のある企業が共同して研究を推進するいわゆる共同研究が高く評価され、官民を通じてこれが推進される機運にあったことは御高承のとおりでございます。  おりよくちょうどそのころ、千代田化工建設の研究所でナフサ分解及び分解ガスの精製に関するベンチスケールの研究が好結果を得ておりましたので、この研究に関心を持った石油精製、石油化学化学、肥料、製鉄などの関係企業二十数社が相集まりまして熱心に検討、相談の結果、高分子原料開発研究組合が任意組合として発足いたしました。  そして組合員の共同によるアセチレン、エチレンなど高分子原料の関発に関する試験研究、その工業化研究、その他組合員の技術水準の向上にその目的を置いたのであります。その後、昭和三十六年に鉱工業技術研究組合法が施行されまして、私どもの組合が法律に基づく第一号の研究組合として認められ、その名称も現在の高分子原料技研究組合と改めました。同時に、それまでの研究実績、その後の研究計画に従って、事業定款の中でこれを明確に具体的に規定いたしました。すなわちその要点を申し上げますと、一日 〇・五トンの小型の装置による企業化試験を始めまして、順次に一日三トンの中型分解炉による企業化試験を含む、酸素を用いましてナフサを原料とするアセチレン、エチレン等高分子原料の製造に関する試験研究を行なうことになりました。  もとより組合の結成、運営あるいは多大の困難をおかしましてのその後の試験研究実施にあたりましては、組合員たる各企業、実際の研究に従事した各社の研究職員あるいは運転要員、それらが熱意をもって全力を傾注して共同研究をいたしたのでありますが、この間直接、間接に御指導、御援助を賜わりました関係大学教授、国立試験所、所管官庁である通産省工業技術院などの御支援があったればこそ、世界に誇り得る研究成果をあげたものと思っております。この機会に、組合といたしましてこれらの方々に厚くお礼を申し上げたいと思います。  次に、以上の事業実施し、あげました成果につきましてきわめて簡単に申し上げます。  特許権といたしましては、日本特許三件、実用新案登録一件、米国特許一件を獲得いたしました。英国特許一件が現在公告中でございます。  この研究は、ナフサを分解して工業原料に適するエチレン、アセチレンの混合希薄ガスをきわめて高い総合収率で得た点にあります。この研究は段階を追って昭和三十四年から昭和三十七年に及び、第一次から第三次に分かれておりますが、最初一日〇・五トンの炉から始めまして、最終的には一日九トン炉の試作並びに運転を行なって、石油アセチレンの企業化の目途を樹立したものであります。  その他の成果といたしましては、その後、組合の付帯事業といたしまして、高純度の高分子物質分析試料の製造どもございますが、主たる組合の成果は以上のとおりであります。  なお、組合は、現在技術の日進月歩に備えまして、次の研究課題をあらゆる角度から検討いたしております。  以上の組合の研究成果に関連して一言ぜひ申し上げたいことがございます。  組合で完成されました技術をどう活用するかは組合員の課題であります。もちろん、研究途中において得た貴重な資料、各種技術、経験、ノーハウなどは、組合員が自社から派遣した研究者、運転要員を通じて各自の企業内で十分にこれを活用されましたが、この技術を直接使用して自社の技術とあわせて工業化されたのは組合員である呉羽化学工業株式会社であります。同社は別会社をもって塩化ビニール年産三万トンプラントを建設し、昭和三十九年の二月から今日まで順調に操業されております。またこのプラントは国際的にも多大な反響を呼びまして、ごく最近でございまするが、ソビエトに塩ビといたしまして年産六万トンの規模のものが輸出されることになりまして、正式に輸出の許可がおりました。ある意味におきまして、国の内外にプラントが立ち、組合の研究成果は一〇〇%完結したと言えるかもしれません。  当組合は、以上の成果に対しまして、石油学会、燃料協会、日刊工業新聞などの表彰、また研究者科学技術庁長官賞、大河内記念技術賞、高分子学会賞などを授与されております。  さて次に、あと要望事項と関連がありますので、この研究に要しました費用の概略を申し上げさしていただきます。  設備といたしましては二億五千八百万円余、使用した原料ナフサの代金を含む実験費が一億二千五百万円余、計約三億八千万円を要しました。これには研究者、運転要員など延べ約四万五千人の人件費約一億円を含んでおりません。これは、組合員たる各企業の直接負担でございます。  人件費を含めますと、この研究には総計四億八千万円、おおよそ五億円を要しております。これらに対し、政府の補助金は昭和三十四年、三十五年の二年度にわたって四千三百万円いただいております。この補助率は全体に対しましては一割に満たず、また人件費を除いた部分に対しても一一%余でございます。長期にわたり、かつ大型の装置を動かす試験研究におきましては、人件費、原料費がきわめて多額になり、しかもこれが補助の対象になっていないからでございます。  以上の前置きを申し上げまして、最後に、組合を運営しました結果、数々の希望事項のうち、ぜひ要望申し上げたい事項を四点に限って御説明さしていただきまして、私の陳述を終わりたいと思います。  第一点は、補助率の実質的引き上げでございます。  現在研究補助の対象になっている研究に必要な機械器具、装置などのほか、原材料、研究に必要な最小限度の人件費なども含め、補助率を総費用に対して最小限度五〇%になるようお取り計らい願いたいと存じます。  また、この種の研究においては、蒸気、上下水道などいわゆるユーティリティが大量に必要であり、かつ実験場所は安全で、しかも公害防止の点から特殊の立地条件のところを求めねばなりません。これらは現在補助の対象外となっておりますが、今後は多額の経費負担を伴うものと考えられます。これらの点にも特別の御配慮をわずらわしたいと思っております。  第二点は、関係官庁、国の試験研究機関などとの関係の強化でございます。  もちろん、過去の私ども研究の遂行にあたりまして、直接には政府補助金の交付を受け、その他直接、間接に御指導、御援助を政府関係機関からいただきまして、組合の研究を支援していただきました。しかしながら、政府におかれましても、通産省のいわゆる大型プロジェクトの研究の推進をはじめ、各省庁で活発に各般の御研究を推進されており、また国の試験研究機関では豊富な人材、施設をもって基礎的研究応用研究を進められている現在、今後の組合研究の推進にあたっては、組合といたしましては、組合員の内部だけの限られた検討ではなく、これら関係機関の強力なる御参加を得て、視野を広くしていく必要があり、また実験の実施にあたりましては、国の試験研究機関の権威ある専門家の御助力を得たいと存じます。また、所管官庁のお立場を現在の単なる監督の立場から一歩進めて、研究開発の特殊の任務上よき協力者の立場にぜひ強化していただきたいと存じます。  また、第三点といたしましては、研究組合の活用でございます。  その一つの方法として、研究組合はそれぞれ定款目的は明確にいたしておりまして、その事業活動も、私ども組合におきましては、前に触れましたように、きわめて具体的で、かってなことのできぬようになっております。また、この研究組合の研究能力は、関係企業研究者の粋を集めたもので、研究母体といたしましてはわが国ではきわめて高水準のものでございます。かつ、研究組合は私企業を母体といたしますが、この研究また研究成果につきましては公開性を持っております。一切をガラス張りの中でやっておるわけでございます。私はこの点から、政府が今後国家的研究を行なっていく際、そのうち、研究組合に対し、その性質上適当な課題がある場合は、どしどし研究組合と御相談の上、これに研究委託して実施させてはいかがかと思います。国産新技術開発にあたりましては、国及び企業技術を総動員する必要があると思いますが、以上のような方法は、まさにこれにこたえるものだと存じます。  第四点といたしまして、ささいなことでございますが、組合の台所には甚大なる影響がございますので、税法の関係のことをひとつお願いして、私の要望を終わらせていただきます。  研究組合法では、組合員に金銭上の利益を絶対に返還できぬようになっております。研究を任務とする組合である限り当然のことでございます。しかるに、一方、組合において特許収入など技術上の収入がある場合、これは組合の研究成果が大きければ大きいほど多額になるのでありますが、事業収入として税金をどしどし課せられます。研究収入に見合って容易に行なわれるものでありますれば、収入のあるだけその年度中に研究で使えばよいのでありますが、組合の研究テーマになりますと、何年か十分な基礎研究の上に多額の研究費をかけて実施するのでありまして、新しいテーマがきまって、さて開発研究を開始するときには、過去の特許収入などはすでに税金でなくなっておるという場合も考えられることでございます。この辺、私は税法のことにつきましては全くわかりませんが、何か御配慮をいただきたいものと存じます。また、組合の事務当局といたしまして、このような特許収入で組合が施設をした場合、ぜひ圧縮記帳ができるようにしてくれと強く要望しております。この点もあわせてよろしくお取り計らい願いたいと存じます。  以上をもちまして私の陳述と要望を終わらせていただきます。長時間にわたりまして、つたないことばをお聞き取りくださいましてまことにありがとうございます。御清聴に対しまして組合員一同にかわりまして厚く御礼申し上げます。
  10. 岡良一

    ○岡小委員長 次に、松本参考人にお願いいたします。松本参考人
  11. 松本三郎

    松本参考人 光学工業技術研究組合でございますが、発端は前にお話しになりました方と同じような状態でございまして、写真機業界のおもなるメンバーがこの組合を組織しておりまして、年間の予算は約三千万円でありまして、そのほかに政府の補助金が約四百万円、こういう非常に小さいものであります。  従来までは生産技術の改革に重点を置いていろいろ研究をしてまいりました。その完成した問題としましては、レンズの高速研摩あるいはレンズの自動設計、そういうようなことをやってまいりました。しかしながら、今後はいわゆる光学と電子工学の総合された分野、いわゆる光学情報処理というような新しい問題と取り組まなくちゃいかぬような状態になってきております。こういう問題につきましてはいまだどこの研究機関でも手をつけておられませんが、しかし光学等関係者としてはぜひともこういう問題に手をつけていかなくちゃならぬ段階になっております。宇宙開発のロケットあるいは衛星なんかの問題につきましては、この問題はどうしても欠くことのできない問題でございます。  現在の研究組合に対する税法は、先ほど申されましたいろいろな点につきまして非常に不合理な点がございまして、研究する科目が一年間というような期限を限られておりまして、そういうのが繰り越されますと、それに対してどんどん税金で徴収される、まことにどうも不合理な状態でございます。こういうのが改正されない限りは、われわれは研究組合の技術的な研究の運営よりも、この税法に対する苦労のほうがよほど多いんじゃないか、どういうふうに考えているわけであります。  ただいま光学関係は一億五千万ドルの輸出をしております。輸出品としては相当大きな分野を占めでおると思いますが、こういう業界にかかわらず、政府の補助金が先ほども申し上げました四百万円というようなことでございまして、今後発展すべきであろうところの業界に対する研究費としては非常に少ないというふうに思うのでございます。それかと申しまして、われわれ業界からこの研究費を捻出するというようなことはなかなかむずかしい問題でありまして、ここで研究にあげられます光学情報処理とか、こういう問題になってきますと、直接われわれの採算ベースに乗らないものでございます。しかしながら、これはどうしても将来の形としては手をつけていかなくちゃならない、この研究をやるためには少々の研究費ではとうてい目的を達することができません。この辺あたりは政府側として十分に考えていただいて、将来の日本の光学工業というものが大いに発展するためには、ぜひともここで基本的に、根本的に大きく研究機関を制定していただいて、いわゆる光学専門の光学研究所というようなものを設立していただきたいと思います。  きょうは私のほうでいろいろ報告すべきこまかい資料の準備が少し足りませんようでございましたので、はなはだ申しわけないと思っておりますが、われわれとしましては、できるだけ自力でこういう研究をやっていきたいと思いますが、われわれの手の届かない光と電子というような結びつきの新しい分野が今後開拓されてまいりますので、そういう方面はぜひとも国家的な見地から研究方面に手をつけていただきたい、こういうことをお願い申し上げたいと思っております。
  12. 岡良一

    ○岡小委員長 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。     —————————————
  13. 岡良一

    ○岡小委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
  14. 石野久男

    石野委員 参考人の各位にきわめて簡単な質問を一つ二ついたしたいと思います。  最初鈴江参考人にお尋ねいたしますけれども鈴江さんのお話では、せっかく委託開発などやりまして成功したようなものでも、市場関係の変化によってそれが実用化されないものが非常に多いということをたいへん強調されたように思います。こういうような場合のいわば採算といいますか、せっかく研究して実用化されないような場合には、もちろん委託でございますから、委託された方々が全部それを背負い込むことになるだろうと思いますけれども、こういう場合実際の事業団自体として予算上ペイするというような問題ですが、そういうような実質上の経理上の問題はどうふうに処置されておられますか。
  15. 鈴江康平

    鈴江参考人 それは先ほど私のことばが足りなかったかと思いますが、成功しても企業化しないのが多いということではございませんで、企業化しないのもあるという程度にお聞きくださればたいへんありがたいのでございます。と申しますのは、企業化して成功かどうかということは非常にむずかしい問題でございまして、先ほどちょっと申し上げましたように、一応成功と思いましたけれども、二年間は全然売れなかった、しからばこれは不成功かといいますと、そうではなくて、二年後にアメリカから注文がきたというようなことがございますので、成功、不成功の認定というものは非常にむずかしいのでございます。ただ私どもとしては、先ほども申し上げたのでございますが、最初受託者研究者と私どもで相談いたしまして、技術的にこの程度のものができれば、これはその当時のきめたときの市況としては十分商売ができるだろうということでスタートするわけでございます。それであとでその基準に合っているかどうかという点で判定をいたしまして、最初きめたメルクマールまでいけばこれは成功というふうに扱うわけであります。したがいまして、その間に二年、三年たちますものですから、市況等あるいは自由化とかいろいろな問題がございまして、一時売れないということがある。しかしながら、これはまた先にいって売れるのではないだろうかという見込みがあるわけでございます。それで事業団としてペイするかどうか問題がございますが、これが非常に売れてまいりますれば実施料をもらえますものですから、その実施料収入がある。しかし不成功がふえますと、その不成功で赤字になってしまうということで、その問のバランスの問題でございますけれども、現在のところ実施料も入ってはおりますけれども、先ほどの二件不成功でございますが、二件不成功といたしましても、もうすでに一億近いものでございますので、これは事業団としては欠損になるわけでございます。したがいまして、事業団としては、出資は毎年ふえてまいりますけれども、実際の資産がそれだけはないということで、その間の欠損金をずっとかかえてまいることになるかと思うのでございますが、しかし、またこの中には、たとえば先ほど申し上げました地熱発電というふうなものでございますが、これは東北電力と実は売電契約をしておりますので、これが所期のとおりいきますれば将来相当金が入ってくるだろうという感じもあるわけでございますので、少し長い目で見ませんと、いつまでもこういった赤字であるかどうかということはちょっとはっきり申し上げかねるのでございます。しかし、私どものほうも、事業団がもうかるということはけっこうなんでございますが、そのために、せっかくいい技術であっても危険性が多いためにどうもこわくて手が出せないということでも事業団の使命が達成できませんので、その辺のかね合いがむずかしいのでございますけれども、むしろ将来研究して非常に重要になるであろうという技術につきましては、赤字を覚悟でも勇気を出しましてそれを取り上げていかなければならないのではないかというふうな感じがしておるわけでございます。
  16. 石野久男

    石野委員 もう一つ鈴江さんにお尋ねして吹きたいのですが、最初にこの事業団ができますときに、理研からの引き継ぎがあったわけです。これは長岡さんのほうだと思いますが、理研理研で一時非常に打ちのめされたような形だったけれども立ち上がれるような状態になってきた。それで理研理研としての分野で積極的に元気を出してやっていくのだという事態になってきましたときに、かつて自分の分野であったものを新技術開発事業団のほうに譲り渡した分野、それとの競合点のようなものがいま新しく出てくるようなことはないのだろうかどうなのか。そういう点について鈴江さんのほうからひとつ……。
  17. 鈴江康平

    鈴江参考人 実は理研開発部ができましたのも、この新技術開発事業団というものを科学技術庁で立案されましたときに、事業団自体が少し経験を経ないとこういうものを国としてつくっていいかどうかわからないということがございましたので、独立した機関をつくらないで、たまたま理研が当時特殊法人になる法案を出されておりましたので、理研自体がその仕事をやってみたらどうかということでございまして、理研本来の仕事とはだいぶ違うのでございますが、理研のひさしを借りまして事業団仕事をしたというのが実態でございます。それで理研のほうは研究が主体でございますが、私どものほうは研究するのではなくて研究成果をいただきまして、これを実際の産業にアプライできるように持っていくということが仕事でございますので、その間はつながりはございますけれども、重複はないと考えております。現に開発課題の中にございますように、たとえば理化学研究所研究室で行なわれましたニッケル電鋳法による製品製造というのがございます。これは理研研究室の中で研究成果が出たわけでございますが、それを実際に産業に持っていきますためにはいろいろな設備も要りますし、またいろいろなノーハウも必要でございます。そういった研究成果事業団としては引き継ぎまして、これを民間の受託会社委託してやったわけでございます。もっとも、これは当時理研時代の開発部仕事でやったわけでございますが、それをわれわれのほうは引き継ぎましてこの完成に努力したわけでございます。  なお現在これにはまだ上がっておりませんけれども理研のほうから別の新しいテーマをいただいております。ゲルマニウムの大型単結晶という問題でございますが、私どもで検討いたしておりますが、これをどこかの会社委託して開発したいというふうな感じを持っておるわけでございます。したがいまして、私感じますことは重複するのじゃなく、前後の関係であるというふうに御了解願えればありがたいと思います。  以上でございます。
  18. 長岡治男

    長岡参考人 ただいま事業団のほうの鈴江さんからお話がございましたが、金銭的に非常に誤解を招きますので、経理がしっかりしてないと、新事業研究との間には、普通の人が考え、ないし内部でも一緒の金じゃないかというふうに考える危険もございます。そういう点で私は失礼な話でございますけれども理研で持っているのははなはだ迷惑千万だということがこちらのほうで聞いてはっきりしたわけでございます。
  19. 石野久男

    石野委員 ついでにいま一つ先生にお尋ねしておきたいのですが、先ほどからのお話では、理研のほうで新農薬の問題に非常に力を入れているということでございまして、農薬は最近水銀問題でずいぶんいろいろ問題があって、われわれとしても、新しい、そういう人体等に被害のないようなもの、しかもきき目があって安いものができることは非常に望ましいと思っておるのですが、その研究の問題で、水銀農薬の被害から抜け出ていくような成果が早々見きわめられるような状態なんだろうかどうか。そんな点で何かございましたらちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  20. 長岡治男

    長岡参考人 私、専門でないものでございますから聞き及んだ範囲で責任を持って申し上げかねますが、いまいわゆるアプライされるほうの生きているカビとか虫とか、そういうもののほうの研究室と、その中間にまいりますいまのお尋ねのそれにどれくらいの毒がある水銀を使うかというような問題でございますけれども、何せ研究室ではお手元に差し上げてございますようなわけでございまして、十になるわけでございますけれども、まだすぐにはちょっとということを申し上げなきゃならぬと思います。その間に、どういうふうな効果が出るかということは、今度お願いをいたしまして、今期か来期にはその影響をいつでも調べられるファイトトロンという実験室をぜひつくりたいと思っておりますし、それから水銀の害については特に住木先生が献身的に考えておられますので、私は専門家ではございませんが、りっぱな専門家が命がけでやっておりますから、必ずだんだん成果が出てくるだろうということを信じております。水銀は十分考慮している次第でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 情報センターの浜田参考人に一つだけお尋ねしたいのですが、先生のお話によりますと情報量が非常に多くなってきて、それをどのように迅速に処理するかという問題、あるいはまた、それに関連しての研究や何かを盛んにしなくちゃいけない、こういうお話でございましたが、科学技術の情報を収集するにあたって——これは当然産業分野、生産施設等のいろいろな関係があるわけですから、その間兵器生産との関係ですね。これがたとえば人工衛星などに関連して相当重要なウエートを占めてきているんだろうと思うのです。皆さんのところで情報を集める場合に、各国の兵器生産におけるいろいろな科学技術の進歩といいますか新しい分野、そういうものの情報を入れることについては、いまどのようにしておられますか。また、それは不自由してないのかどうかという問題でもし御意見をお聞かせいただければ……。
  22. 浜田成徳

    浜田参考人 情報源は実に種々雑多でございまして、それを適当に分類して必要な人に必要なときに配付するのが一番大事なことだろうと思うのです。そういう考えに基づきまして目下いろいろ考慮しております。御指摘の兵器の分野につきましてはいま具体的に計画はしておりませんけれども、もしそのような御要求が非常に強いという場合、また必要であるというふうな場合には、そういう分野につきまして選択的に情報を収集してそれを配付するというようなことを考えようという考えはございます。たとえば、先ほど申し上げませんでしたが、情報センターでは医学、農学の分野はまだ扱っておりませんが、今後取り扱おうという計画を進めております。医学の中でも、たとえばガンというふうな特定のものについての情報をまんべんなく集めて、これを適切に分類して必要な方々に配付しようというような考え方をいま計画中でございますので、だんだん一般科学者技術者の御要求に応ずるように、しかもそれが学術の振興に寄与し、産業の興隆に役立つようなものであるならば、ぜひそういうことにしまして、お役に立ちたいと思っております。
  23. 石野久男

    石野委員 松本さんにお尋ねいたします。先生は光学分野における研究所を国でひとつつくってもらいたい、こういうようなお話のようでございましたが、写真光学とか、あるいはそれに関連するいろいろな研究について、皆さんがいまやっておるだけの組合のような形では非常に不自由を感じる面が多いのでありましょうが、どういう点で不自由を感じておられますか。
  24. 松本三郎

    松本参考人 いまわれわれ光学業界の中では、私ども研究組合と、それからもう一つ双眼鏡開放研究所というのがございます。この二つが公的といいますか、そういう研究機関でございます。そのほかには何もないわけでございますが、近ごろ各大学の光学に対する専門科目がだんだん削除されつつある傾向でございます。こういう状態などを総合いたしますと、将来光学技術者というものが相当なくなるのじゃないかと思いますが、ここで先ほども申し上げました光学情報処理というような訳語がついておりますこういう新しい分野、これが今後重要な問題になってまいります。これは非常に範囲が大きゅうございますし、また非常に専門的な学者とかあるいは技術者が必要でございますので、そういうことは、われわれ現在各個の会社研究費を負担するというようなことではとうていできない問題でございまして、そういう意味で、そういう新しい光と電子というような結合された分野、これを開拓していくためには、国家的な研究機関というものが必要じゃないか、こういうふうに私は考えております。
  25. 石野久男

    石野委員 私は科学には弱いものですからつまらない質問をいたしますが、ただいまのお話の中に、大学等で光学部門における科目ですか、何かその分野をだんだん削除していくというようなお話がちょっとありましたですけれども、どういうことでそういうことになるのかなということがわからないのですが、なぜ大学などでそういう分野が削られていくようになっているのか、また、どういうところが削られていっているので皆さんが不自由するのかということをもう一ぺんちょっと教えてくれませんか。
  26. 松本三郎

    松本参考人 具体的にはたしか東大あたりでも光学という専門科目がなくなるというようなお話を聞いております。また工学部の蓮沼先生あたりが近いうちに定年になられるというお話ですが、そうなると専門の先生もあとなくなるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  それからほかに何かございましたか……。
  27. 石野久男

    石野委員 それはただその専門の先生方がいなくなるから大学におけるところの科目がなくなってしまう、こういう意味ですか、それとも、全体として光学、そういうようないままであった学校での科目というものをなくしてもいいような条件が出てきているので、学校当局もそれをもう必要としないからそういう分野がなくなっていくのかということを私は知りたいわけです。
  28. 松本三郎

    松本参考人 光学というものはだんだんここのところ斜陽といいますか、降下線をたどるような状態になっております。そういう点で、そういう方面の専門の学生の志望者が少ないとかそういうようなことで減ってくるのじゃないかと思いますが、実際上は、光学というものは、まあ写真機の場合などは、ドイツと対等な立場まで進歩しておりまして、世界の分野を光学においてはドイツと日本で等分しようというような状態になっております。輸出分野としても大いに貢献をしておりますので、この際そういう基本的な研究分野政府としてのてこ入れをしていただかないと、今後ますます光学というものがほかの各国から負けてくるのじゃないかと思います。写真機においては、一応いま申し上げましたように、ドイツに匹敵するような段階になりましたが、その他の光学の分野における技術の水準というものは非常におくれておりまして、特にいま申し上げました光学情報処理というような新しい分野においては全然おくれております。こういう状態では、いわゆる光学全体としての将来性が非常に危ぶまれるというふうに考えるわけであります。
  29. 岡良一

    ○岡小委員長 原茂君。
  30. 原茂

    ○原(茂)小委員 時間もないようですから、簡単に要点だけお答え願いたいと思うのです。  いま石野委員から質問されたことに関連しまして、カメラ工業なんですが、これは材料問題にも関係があると思うのですが、現在カメラは海外における日本製品の市場性といいますか、ドイツに次ぐというか、ドイツと同じようにまで市場の分野が広がってきた、こういうふうな説明があったのですが。材料的にいって、国内における材料で海外に現在の市場性が確保できるほどに発展していくものなのか。材料のおもなものといいますか、主要な材料に関しては、ドイツその他の鋼材その他を使わないといけない状況にまだあるのじゃないかというようなことを心配するのですが、そういう点はどうでしょうかやもう国内における材料だけで現在の日本のカメラが海外に雄飛しているのだ、こう言い切れるのかどうか、主要な材料に関しては海外に仰がなければいけない現状なのかという点が一つ。  もし、そうであるなら、きょうも説明をちょうだいしたわけですが、関係する皆さんの側の研究開発という分野で、その種の材料に関する研究というものにもう少し力を入れなければいけないのじゃないかと思うのですが、その点どの程度組織的に行なわれているのか。二点をひとつ……。
  31. 松本三郎

    松本参考人 光学材料はまあ現在の一般的なものについては国産で十分でございます。ただし今後、先ほどお話しの人工水晶とかあるいは人工の螢石というものが写真機のほうにも使えるようになってまいります。その他まだいわゆるガラスを材料にしたものでなくて、ほかの材料を使ったレンズというものが開発さるべき段階にあると思います。そういう点で、現在のいわゆるガラスという分野でないレンズの材料の開発というものは今後大いに力を入れなくちゃならぬ問題だと思っています。
  32. 原茂

    ○原(茂)小委員 わかりました。あとまた専門的な問題は後刻お伺いをしたいと思います。  次に、直接的な関係はないかもしれませんが、浜田参考人にもお伺いしたいと思いますし、鈴江さんにもお答えを願いたいと思うのですが、いまの科学技術というものを考えましたときに、単なる技術の発展ということだけでなくて、やはり国家的な見地からいうと、現在国がとっている方向性というものを皆さんの場合はある程度頭の中に入れておく必要があるのじゃないかと思う。現在、国策の第一に中小企業の振興ということを取り上げているわけです。あらゆる面から中小企業分野にてこ入れを行なって、中小企業における科学技術の発達もはかりながら、その企業自体の経営の基礎を固めていくということが、現在の政府の大きな方針の第一になっているわけです。という点から考えたときに、これは一例なんですが、いまひょっと思いついたのですが、たとえばブレーカーですね、遮断器のごときもの、サーキットブレーカーですが、ああいうものを中企業というか大企業の下というようなところでつくります。たとえば、きょう工業技術院のどなたか来ているようですが、通産省の試験所にあるものでも、その試験設備がおそらく二百ボルト、三万アンペア程度しかないのじゃないかと思うのです。現在だんだん大きなものが要求されてきて二十万アンペアその他のブレーカーが中小企業でもできるし、要求もされてきているわけです。こういうものを現実にはつくりたいんだけれども、それをつくったところで十万アンペア、二十万アンペアのブレーカーの試験装置というものが一体国内にあるか。わずかに大企業の二、三が十億あるいは十数億の試験設備投資を行なって、そのために企業がこうなるほどの無理な投資を行なって試験設備を持っている。ほかにもしあるとすれば神奈川県だか千葉県かどこかの工業技術院の関係かどこかに一カ所十万から二十万くらいのものを検査する設備があるだろうと思うのですが、たとえばそこへわざわざ中小企業製品ができたといって持っていきまして検査しなければ納めることができない。その検査をしてもらうのに一日検査しますと試験料がブレーカー一個で百万円かかるわけですよ。そういうようなことを考えますと、中小企業を育成するんだといいながら、現実にはその種の十億前後の試験設備を投下し得る大企業のみにやはり受注分野というものが固定されていくわけですね。国では中小企業を振興するんだといいながら、国家的な見地でいろいろな法律をつくってこれをどんどん推進するんだといいながら、現実には、その種の三万アンペア以上のものを現実につくる能力があり、どこでもつくっているんだけれども、それを試験する設備がない。試験を依頼にいけば百万円取られるというんでは商売にならない。結局は中小企業には手が出ない、ものは簡単だ、材質はもうきまっている、やればできる、しかもどんどんこの需要がふえていくというのに、その設備がいま国家的な機関でないわけです。大阪、東京あるいはその他にその種の設備が、二十万アンペア程度のものまで検査をできる設備があって、非常に簡単にそれが利用できるということにしてやって初めて中小企業というものが一歩二歩前進できる。国では振興するといいながら実際にはそういうところでシャットアウトしておるというようなことに関してこそ、科学情報センターの立場でそういう分野ももうちょっと検討をして、国に対する勧告が必要なら勧告を行なう、あるいは業界自体にその種の打開策を考えろというなら考えろと勧告をするとかというようなことも考えていただく必要があるのじゃないか。理研も同じですが、鈴江さんのところにしても、単にでき上がったものを委託する、しないだけではなくて、そういうところに現在の日本の科学全体の振興にとって大きなネックがあるんだというところを——これは一例ですよ、ブレーカーをいまちょっと思い出しただけですが、まだほかにもあります。国家全体が大きな体制の中で中小企業振興というものを考えていくときには、そういった分野における中小企業科学技術的な利用度あるいは必要度を満たすような施設というものが、どこかの機関から国あるいはその他に対して勧告されるような、そういう意図が、思想が皆さんの機関にあってもいいんじゃないだろうかというふうに思うのですが、この点皆さんからひとつ見解をお伺いして終わりたいと思います。
  33. 浜田成徳

    浜田参考人 日本の産業構造から考えまして中小企業がきわめて重要な役割りを持っておることを私は知っております。それにつきまして日本科学技術情報センターといたしましても、大企業あるいは科学技術の基礎的研究等に関係のある科学技術情報、それから起こった科学技術情報で、中小企業の育成あるいは発展に適切であろう、必要であろうと思うものにつきましては、そういう情報を集めまして適当な方法でお配りするように努力しております。現にそれは実行いたしておるわけであります。  本日は原先生からたいへん有益な科学情報をいただきまして、二十万アンペアを切るサーキットブレーカーの試験方法を中小企業が持っていないというふうな、これまた貴重な情報でございます。そういうふうな情報もやはり科学技術情報の中の重要な部分だろうと私は考えます。先ほどあまり詳しく申し上げませんでしたけれども、そういう表面に出ない技術情報あるいは地下にもぐった情報等をここに集め、さらけ出して、そうしてそれの欠陥を補うようにするのがやはり科学技術情報センターの任務であろうと私は考えておりますので、だんだんそういうことまでわれわれは実行し得るようにセンターの組織も強化し、あるいは必要な設備等もつくり、人間の配置等もいたしまして、この中小企業の発展、発達のために御尽力いたそうという考えでございます。
  34. 原茂

    ○原(茂)小委員 ほかの参考人各位からまたお考えをお聞きすることにしまして、あと最後に、いままで参考人各位の御意見を聞いているうちに、ほかのこととも関連して重要だなと思いましたのは、まあ理化学研究所は別といたしましても、新技術開発事業団等の業務でやはり一番必要なことはスピードだろうと思うのです。ゆっくりやって、いい成果をおさめるのはあたりまえな話なんです。この種のことをおやりになるのに、一応も二応もはっきりと期限的な目標を切っておやりになっているのか。部内におけるものもそうだし、外部との関連で行なうものもそうですが、目標のない、期日の設定のない研究なんて幾らしたって成果はほんとうのものではないと思う。技術というものはそんな簡単にはいかないということを知っています。知っていますが、やはり相当経験を持っておられる権威者の皆さんが一応そのほかにも何かから期日の設定を厳重にしてその期日を実行させるというような、ノルマではありませんが、きびしさが技術屋にも与えられていいんじゃないか、こう思うのですが、そういう点が実行されていますかどうか。
  35. 鈴江康平

    鈴江参考人 ただいま期間の点でございますが、開発期間は当初から、先ほど申し上げました研究者受託者、われわれのほうの一二者の協議によりまして設定いたします。しかし実際やってみますと、先ほどお話し申し上げましたように、たとえば異常な冷水ができたために実験、かできなかったとか、そういうふうないろいろな原因がございますので、やむを得ず延ばさざるを得ないときにはその理由をはっきりいたしまして、その上でまたあらためて期間を延ばすというようなことで、漫然と延ばすということはいたしていないのでございます。なお、われわれのほうの仕事の内部にいたしましても、やはり研究者からいろいろテーマを出されておりますので、それをとるかとらないかということも漫然と延ばすことはいけないというふうに十分われわれも感じておりますので、できるだけ早く、クィックリターンと申しますか、いろいろ研究者等からの申し込みに対しては、できるだけ早く回答するようにということは督励しておるのでございます。  それからなお、先ほど実は原委員から御質問のございました中小企業の問題でございますが、実は事業団法が成立いたしますときにも、この科学技術特別委員会から特に附帯決議がつけられまして、中小企業産業技術のためにやはり努力せよという御注意がございました。私どもそれを体してできるだけそうしたいと思っておるのでございます。ただ技術の内容によりましては中小企業にはとても向かないというものもございますので、そういうものは大企業に向いているわけでございますが、現在のところ四十二件委託をしております。先ほど申し上げましたようにそうでございますが、そのうち、まあこの分類が適当かどうかわかりませんけれども、五千万円以下の会社委託をしておりますのが十二件ございます。それから五千万円以上一億円以下というのが十六件、一億円以上が十四件でございますので、もし一億円以下が中小企業のカテゴリーに入ることができますれば、ちょうど三分の二をそういうほうに向けておるわけでございます。中小企業のほうにいろいろ委託いたした場合に、先ほどお話がございましたようないろんなトラブルもございます。そういうときには私どものほうとしてはやはり協力いたしまして、実験設備のあるところにはわれわれのほうがあっせんいたしまして使うことができるようにもしたり、あるいはまた、それに要します借料等も委託料の中に含めまして支出することにしてあるわけでございます。御説のとおり、できるだけ中小企業技術も発展するように努力したいと考えておる次第でございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)小委員 だめ押しのようですが、スピードの問題を申し上げましたほんとうの真意は、これは言い過ぎかもしれませんが、皆さんの場合には期日がおくれたって痛くもかゆくもない。民間における企業経営の場合は、一定の目標を設定して、それを中心に市場の確保を考えていくというようなことを考えますのに、期日が一ヵ月も二ヵ月もおくれると経営そのものの基礎が非常に動揺してくる。皆さんの場合にはその心配がないという感じがする。民間がよく役所の諸君に会ってたよりないと思うのはその点なんです。非常にのんびりしている。あれで仕事しているのかしら、うちだったらあんなのはとにかくもう全然首だというようなことを平気で、民間の人が役所へ行くたびに言う。役所に準ずる皆さんの機関も、現在の自由化下における世界貿易の激しい競争の中で生きていく日本そのものを考えたときに、率先民間に負けないだけのきびしさというものを垂範してもらって、行っただけでそういう空気があることがわかるというようなものを、ぜひ皆さんの場合にはおつくりいただく必要があるのではないかというような意味から、特に期限の設定に対してはいいかげんな言いわけでは絶対に聞かない、幹部の皆さんのところで全然かす耳を持たない、いいかげんな言いわけは絶対聞かないのだというくらいなきびしさがないと、どうも民間と同じようなスピードでいかないのではないかという心配があるものですから、あえて申し上げたわけであります。
  37. 鈴江康平

    鈴江参考人 御注意どうもありがたいわけでございます。私どものほうの事業は、早くできればできるほど企業体も喜びますし、われわれのほうも喜びにたえない次第でございますので、実は従来初めに設定いたしました期間の終わらないうらに成功したというのも相当ございますが、企業体事業団のために仕事がおくれるということがあってはとてもいけませんので、一つは資金の問題でございますが、場合によってはあらかじめ概算を渡しておきまして、その中でどんどん使ってあとから明細をもらうというようなシステムにしまして、向こうが金のために仕事ができないということのないように気をつけておるわけでございますが、今後も一そう努力してそういうことのないように心がけたいと思います。
  38. 岡良一

    ○岡小委員長 三木喜夫君。
  39. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 きょうは五人の参考人においでいただきまして、いろいろお話を聞きましたので、日本の科学技術開発のあり方や企業界、企業家のあり方、産業界との関係というようなものがどうあるべきかということについて、非常に示唆に富んだ御意見を伺いまして、たいへんに参考になったわけであります。  私、いままで各民間研究所やそのほかの工業技術院とか科学技術庁、文部省に関係のないほかの研究所も見せてもらいました、それらを総合して考えられますことは、やはり科学技術が進歩してまいりまして、一企業、一団体ではどうにもやり切れない。したがって、これについて国は予算の面でも、研究体制のあり方でも、あるいは共同研究あるいは統一性を持たすというような問題についても十分考えて、そして産業界の一つの意欲をこの際くんでもらいたい。外国特許権とかいうものを高い金を払ってやっておってはやり切れぬじゃないか、日本で技術開発しよう、どこの企業にいきましてもこういう非常に強い意欲を感ずるのです。  そこで、きょうは、いきなり参考人にお聞きする前に大臣にお聞きしたいのですが、民間企業の一つの共同体のような組合の場合でも、補助余を多く出せ、それから政府関係しておる機関の研究施設でもその声が強いのです。したがって、これを大臣としてどういうようにお考えになり、どうしようとされるか、それを総合的に最初聞いておきたいのです。
  40. 上原正吉

    ○上原国務大臣 科学技術庁は研究開発のための補助金というものを在来からほとんど持っていないわけなのでして、これは大かた通商産業省の、あるいは農林省の、運輸省のそういう実務をおやりになる省庁の管轄になるのでございます。そこで全部あらゆる科学技術研究開発を総合して科学技術庁が担当するということになるのが理想的かもしれませんけれども、それはまたそれで相当の困難が伴ってまいると思いますので、科学技術庁といたしましては、たとえば研究開発のための租税が特別の考慮を受けるようにということのためには、通商産業省と連合して大蔵省に折衝しておる、こういうふうな形のもとに研究開発費の補助という面でも働いてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 具体的に申しますと、いまお聞きした新技術委託開発についても、事業団理事長のお話では年間五十億の予算ですね。それから理化学研究所で二十二億、科学技術情報センターで非常に意欲を持って埋もれた情報でも掘り起こしてきてやってくださる、こういう意欲もわかりますが、これは十億です。そうするとこれは八十億余りですかね。これは大臣のおたくの企業を言っては悪いですけれども、おたくの研究費よりもよほど少ないのじゃないですか。その辺はわかりませんけれども、一企業にも劣るくらいの国家の機関のあり方では、文化国家やそれから産業立国を考える国のあり方としては、私は貧弱じゃないかと思うので、これはいかにして予算を多く与えるかというようなことについての大臣の抱負を聞きたかったわけです。大臣の仕事にくちばしをいれるようで悪いですけれども、いつもそう言うては、この前は政務次官のことを言うてしかられたのですけれども、これで大臣がやめられたら、またもう一ぺん、いかにして科学技術を盛んにするかというようなことについてここで論議しなければならぬ。やかましく言うて大体みな大臣もその気になってくれたと思ったら、またやめてしまうということでは困りますから、何とか、そういうことが長期の日本の国の科学技術振興対策の計画として、自由民主党がいま政権をとっておるのですから、自由民主党のそれとして、長期政策としてやはり打ち立てられなければいかぬと思うのです。そうするとやはり金ですね。金と人と時間をかけなんだらいけないと思うのです。いま原さんは実用化するという立場からはやはり期限を切ってやらなければいかぬということですけれども、私はやはり人にはそれぞれの待遇をし、それからそれに対する奨励方法を考えていかねばいかぬと思うのです。いまこれらの三つの機関でそれぞれ新しい分野開発しようと思って努力しておられるのですが、その他の二つは民間のものですからまたあとで違った立場でお聞きしたいと思うのですが、奨励方法も考えていかなければならぬと思うのですが、そういうことで、人、待遇、奨励方法、こういうものを抜きにはできませんけれども、まず第一に、政治責任としては、金の面ですね。これをお聞きしたわけなのですが、どうですか。そういう意味合いで、いまのような答弁では、私のところは従来からそう研究機関がありませんので、他の省につかまれておりますのででは、科学政策としては総合性に欠けると思います。全体の見通しがちょっと甘いような感じがするのですが、どうでしょうか。
  42. 上原正吉

    ○上原国務大臣 おっしゃるとおりなのでございますけれども科学技術研究開発というものが、やはり一カ所にとりまとまっていないわけなのでございまして、これは何とも一朝一夕には片づきませんが、歴代の長官が熱心に努力をしてまいったわけでございまして、漸次統合されつつあるわけでございます。この努力を一そう重ねてまいらなければならぬ、かように考える次第でございます。そしてその一手段として、そう正直に申し上げると語弊が生ずるかもしれませんけれども、たとえば科学技術基本法という法律をつくって、ここで長期の計画を立てて、その計画を政府部内で承認をしてもらって、中断することのないように、安心して研究開発を続行することができるというような体制を整えたい、こう考えて皆さま方にもお力添えいただいたわけでしたが、残念なことに、この国会に間に合わなかった、こういうようなわけなのでございまして、理由は申し上げてありますから、御了察いただいておると思いますけれども、そういうことも努力の一つのあらわれなのでございますが、たいへん微弱でおしかりを受けるとは覚悟いたしておりまするけれども、熱心な努力は続けておるわけでございまして、歴代の長官がそのことのためにずいぶん骨を折ってまいったというのが事実でございます。
  43. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 なるほど各政府関係研究機関からの予算が出ておるわけなんですが、ずっと前から出していただいたのは三十二年から出ておりますし、それから三十六年から出していただいたのもありますけれども、多いのになりますと、十倍からになっております。順次多くなっていっておるのですけれども、これは物価高があったり、研究の範囲が広まったりいたしまして、実際はやはり苦しいのではないかと思うのです。  そういうようなことで、予算をどのようにしてとっていくか。国家予算という限られた予算の中でやっていかなければならぬのですけれども、日本の持っておるこれからの使命ということになると、科学技術を振興しなければならぬ、これが本命だと私は思うのです。産業を振興していかなければならぬ、貿易を盛んにしなければならぬ。これは社会党がどう言おうが、労働組合がどう言おうが、私は一番大事な問題だと思うのです。日本の国が生きていくためには、そうですね。そう考えたら、やはり科学技術庁長官という大臣が一番中核になると私は思うのです。そこで予算をふやすという強い意欲がほしいと思うのです。そういうところから申し上げました。  そこで、いま五人の参考人の方に来ていただいたわけですが、まず三人の方は政府研究機関、それからあと二人は民間企業研究組合の方だと思うわけです。おのずから性格が違うわけですけれども、一致して、前者は予算をふやせ、後者は補助金をふやせ、こういうことになっておるのであります。原さんからもお話があったわけですけれども政府機関ではやはり能率ということが問題になってくるだろうと思うのです。これはやはり官僚化するという心配がありまして、そういうところから問題が残ると思いますし、それから民間企業の共同体のようなかっこうのところは、税金に対して——税金のGメンがこのようなところにまでお入りになっておるということを聞いて、私は驚いたわけなのですけれども、これはどこにでも入り込んで税金をしぼり上げるのだなと思うのです。しかし、私たちがこういうことを言って、税を減免せいとか、あるいは全部を免除せよとか、あるいは科学技術振興に国費をうんと投入せよという反面、これは一企業の利益にしてはならぬと思うのです。国民全体にこれは還元しなければ、このことは国会という共同の討議の場所では問題にならぬと思う。そうして企業は国に研究開発を願い、責任を持ってもらって、そうしてそれが一企業の利益だけにとどめてしまうということならば問題ですが、そういうときには、そういうところからあがった利益をどういうぐあいにまた国に還元するか。税金ではなくして、次の研究——先がたそういう話がありましたね。一億五千万円ほど輸出しておるけれども、それは税金にとられてしまって、次の研究資金にはならぬ、こういうお話がありましたけれども、そういうたてまえをどういうぐあいに考えておられるか。企業のちょうちん持ちだけしておっても困ると思う。その企業もまたどういうぐあいにして労働者に潤すかという問題も考えなければいかぬと思うのです。国民全体に還元するという立場から、科学技術開発する国家的な共同体をつくるその方途はどういうぐあいに考えるかということを中心に置いて考えておかなければ、一つ一つこま切れに要求しておっても、私は意味がないと思う。そこで、予算をふやせとか、補助金をふやせとか言われた方は、どういうぐあいに考えておられるかわどなたでもよろしいから、お答え願いたいと思う。
  44. 福島嘉雄

    福島参考人 私ども研究組合のことだけに関して申し上げます。  私ども研究組合は、二十三社集まって非常に円満に運営してまいりまして、先ほど申しましたように、一次から三次までの間、メンバーは脱退したものはございませんが、一次で自分の仕事はこれでけっこうだ、二次の研究で自分たちの期待している成果というかデータはもらった。それがどう生かされているか、それはその企業の内部で生かされていることと思いますが、それが組合の金として入ってくるのは、現在では出した金の何分の一かでございます。先ほど約五億と申しましたが、五億の金をかけまして、そのうち約一〇%政府の補助をいただきましたが、あとの四億五千万円ばかりは企業が分担しておりまするが、実は先ほど成功いたしました塩ビのプラントに関して、現在のところわずかばかりの収入があるわけであります。これは国産化をやられました呉羽油化から入りました特許料が三百数十万円、それからソビエトに売りましたうち研究組合の分として入りました技術料は、まだ入っておりませんが、千五百万円程度と思います。したがって、企業としては第一期におのおの一社が七百八十八万円出しております、第二期に出資した会社は七百五十万円ずつ出しております。したがって、その会社がどういうふうに技術を生かしているか、表面には出ないものがございますが、組合としての収入は非常にわずかなものでございます。技術の水準を上げたことは確かだと思いまするが、金の点ではまだまだ政府におすがりしなければならぬ状態だと思うわけでございます。
  45. 松本三郎

    松本参考人 光学工業は約半分が輸出されております。そういうことで国民全体に利益を還元するというふうに私は考えるわけでございます。  それから政府から補助を受けます研究科目は、おもに基礎研究でございまして、それから各社の大きな研究費を加えて、企業に直結する製品ができ上がることになりますが、いわゆる基礎研究の時代に大体補助を受ける。そのあとは各企業間で研究費をつぎ込んで製品化する、こういうふうに基本的には考えております。
  46. 浜田成徳

    浜田参考人 いわゆる科学技術活動にいたしましても、あるいは学術研究にいたしましても、結局国民の幸福に還元しなければならぬという御指摘には全く同感でございます。先ほど私は科学技術情報センターの予算につきましても若干申し上げましたけれども、これは大体年間十億円くらいのものなんです。この金が結局情報の有効な配付によって各企業、諸会社あるいは大学研究所等を通してその成果があがることによってやがて国民に還元してまいるというふうにわれわれは確信を持って毎日の仕事をやらしていただいておるわけでございます。私は、情報というものは非常に大事なものだ。社会の活動というものは、大体大ざっばに申しますと、物質とエネルギーの適切な循環が行なわれることが社会活動の発展だというふうに私は考えておるのであります。その中で、特に大事なものは、今日では科学及び技術に関する活動である。その活動を促進するものは情報である。この情報は決して腕力を要しない。この情報というものをうまく使うときに、何百億円とか何千億円というような大きな資力を要しないで、しかも大きな腕力と申しますか、大きな物質、資材あるいはエネルギーを動かし、社会を動かすことが可能である。それが、私の考えでは、目下は十億円くらいですけれども、それを倍にしても二十億円、ぜひこれをもう少し出していただいて、もっともっと有効に、また迅速に、かゆいところに手が届くように、先ほどの中小企業の場合でも、あるいは大学研究者でももっと早くいい情報をもらいたい、あるいは産業の経営者にしてもそうであろうと私は思うのであります。いまや、情報の適切な利用が産業を興隆させ、学術研究を進めるもとだろうと確信いたしまして、有効に予算が使われているものと思っているわけです。
  47. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 もう二つお聞きしたいのですが、高分子の原料技術研究開発されておる組合、光学工業の技術研究をやっておられる組合は、民間の集合体のようなものだと思いますが、そういうことでありますので、あまりくちばしを入れることは失礼と思いますけれども、まあ出資金がさっきからお伺いしておりますと、五億円使用して、政府はそれに対して四千万、そうしてかなりの成果をあげておられるのですけれども、この政府の機関に比べると、使われた金が少ないと思うのであります。二十何団体が寄っておってこれくらいのことで共同研究の実が上がるのだろうかどうかということを非常に心配するのですが、これはお互い実用的な技術開発するということには各社やはり秘密がありますし、そうそう出し合うわけにもいかない。そこで疑心暗鬼的に結合しておるというようなかっこうで、たった五億円しか出ていないのじゃないだろうか。金が非常に少ないと思うのですね。  それから新技術委託開発のほうですけれども、これを見ますと工業技術院から八つの委託がきているわけですね。工業技術院それ自体政府の機関であって、自分の研究所内でそれを開発していくことができないのかどうかと思うのだ。それから役員が七人で職員が五十人、理化学研究所は役員八人で役職員が五百五十八人というふうに非常に多いのですが、五十億の金を使うにしては役員七人で職員五十人では少ないし、そこへ持ってきて工業技術院が八つも委託してこういうものを持ってくるということになると人が足らぬことはないですか。片方は仕事がオーバーなくらいあるし、一方民間のほうはお金が非常に少ない。何か片ちんばのような感じがして、私は技術開発のあり方として民官通じてこれでいいのか、どうもふに落ちぬところがあるんです。私ら何もわかりませんから、こういうばかな質問をするのかもしれませんけれども、その点もう少し明らかにしていただきたい。
  48. 鈴江康平

    鈴江参考人 的確に御返事ができるかどうかわかりませんけれども事業団のやっております仕事研究専門ではございませんで、研究成果がせっかくできても産業界でそれを使わない。日本の技術よりも外国技術のほうが安全である、だから外国に金を払ってもそのほうがいいんだということで、なかなか日本の技術が使われない。その使われない原因といたしましては、日本の技術をまず最初にやるところは、やはりそれがうまくいくかどうかわからないという非常に危険性がある。外国技術であれば、すでに向こうで企業化しておりますから買っても安全であるということで、日本の企業界が外国技術にどうしても飛びつく傾向があるわけであります。したがいまして、日本の技術最初にやるところは、もし失敗したら事業団がその損失をかぶるんだという危険負担をいたします。同時にまた、それに対する資金も出す。もちろんこれは成功すれば返ってくるわけでございますので、成功した人から見れば一種の融資でありますけれども、そういう資金供給をいたしましてそれを開発するというのが使命でございます。したがいまして、私どものほうは、職員の数は必ずしも多くない。私もあまりふやさないように努力はしておるのでございますが、研究自体をやるわけでございませんので、わりあい人数が少ないわけでございます。それから役員の数が七名で多いようでございますけれども、これは法律をつくります当時に、この事業が非常に大きくなるだろうということを予測されたことかと思います。現在まだその発展の段階でございます。七名の役員がございますけれども、実は常勤といたしましては三人でございます。あとは非常勤でありまして、非常勤の方はもちろん理事会には御出席くださっておりますけれども、実際に毎日つとめておりますのは三人でやっておるわけでございます。  以上でございます。
  49. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 民間の五億円というやつは。
  50. 福島嘉雄

    福島参考人 先ほど申し上げましたが、疑心暗鬼でお互いに秘密を守り合っているのではないかというお話のようでございましたが、私が申し上げましたのは、これは石油化学として化学製品をつくるための原料を共同で研究しょうということでございます。カーバイドからアセチレンをつくっているのを石油からアセチレンができないものか。これは外国でやっているものでありますので、日本でも開発しようではないか、独特の方法でやろうというのが基本でございまして、それに対しまして二十三社非常に協調されまして始めたのでありますが、ただこれをつくりましたのはアセチレン、エチレン及びその他のガスの混合ガスができておるわけであります。アセチレンを純粋につくったわけではありません。またエチレンを純粋につくったわけでもありません。そのあとのガスの用途に関しまして、まだ各社の研究を要するわけであります。これが先ほど申しました呉羽化学技術と一つになったのが塩ビのブラントでございます。まだ各社その原料を使ってどうやるかということは今後の問題だと思っております。したがって、研究費を出しっぱなしにして一文もリターンのない会社が相当あるかと思っております。それで二十三社でありますが、五億と申しますが、一社にいたしまして千五百万程度を出しているのが一次、二次でありまして、三次以後はその塩ビに関する研究を促進した三社だけが出しておるわけであります。したがって一次、二次で出された会社の大部分は、自分の会社にはあまりものが返ってきていない現状だと思います。したがってその千五百万円という金は必ずしも小さい金ではなかったかと思います。
  51. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 大体二つのことに分けて考えなければならぬと思うのですが、一つは、科学技術開発し、共同体でやるということになれば、いまのお話にもありましたように、民間あるいは官界を問わず、基礎的な共同研究科学技術開発については共同体としての使命を果たす。しかしながら、これが各企業の秘密に属するようなものは、やはり企業研究に属しているのじゃないかと思うのですが、こういう基礎的な研究について、民間が共同的に研究を進めるというような方途はやはり考えるべきだと思うのです。それからもう一つは、原さんから先がたお話がありましたように、幸い政府機関も、研究所ではそれぞれ予算がついて、研究するスタッフもそろい、それから時間もかけてやれるのですから、そこで能率が落ちることのないように、そこに奨励方法が考えられなければ、民間との歩調が合わないのじゃないかと私は思うのです。この二つを考え合わせて、国としての研究のあり方、技術開発の共同的な推進のしかたというものが考えられるのではないかと思うのですが、最初に、新技術委託開発事業をやっておられる事業団のほうから、ひとつそういう奨励方法についてどう考えられるかということをお聞かせいただきたいことと、それから民間の場合、もうこの問題ということにしぼってしまってそれに研究を集中するというのでなくて、基礎的なものはひとつ合同でやれないか、むだな点が多いじゃないか、どの会社もどの会社もやっておれば非常にロスが多いと思いますので、そういう共同体はできないかどうかということを簡単に聞かしていただいて、大臣として、いまの民間あるいは政府機関の間にあるアンバランスを、科学技術を推進する研究機関のあり方としてどうしたらいいかという問題について簡単にお答えいただきたいと思います。
  52. 鈴江康平

    鈴江参考人 新技術開発事業団のお話がございましたので、私から最初に御答弁さしていただきたいのでございますが、先ほど申し上げましたように、新技術開発事業団研究自体をするものではございませんで、研究成果で使われていないものを引き取ってそれを企業と結びつける仕事でございます。しかしながら、それを開発いたしますときには、もとの発明者研究意欲と申しますか技術というものが非常に中心になるわけでございますので、そういった方々の御努力を願うことが非常に多いわけでございます。そういった方々に対する、悪く言ったら刺激策と申しますか、そういうことを一生懸命やってくださるということのために何かお返しをすることはないかということであるとしますれば、私どものほうの成果企業化されまして利潤を生んでまいりますと、事業団実施料をもらうことになっておりますので、その実施料の半額を研究者に差し上げることになっております。したがいまして、先生も一生懸命やってくださることにはなるわけでございます。
  53. 上原正吉

    ○上原国務大臣 民間のほうの研究開発、基礎的なものを共同でやることはできないか、そういう考えは浮かばないかという御質問だったと思いますが、やはりおっしゃるようにそれぞれ秘密がございましょうから、簡単にはまいらぬと思います。しかし先ほど例にあげられましたナフサの研究、石油からナフサをつくるということ、これはつまりそのナフサから合成繊維をつくっていくわけなんでしょうから、ナフサは全部の合成繊維業者が要るわけで、それを外国から買うものを日本でつくろうじゃないかというので基礎的な研究を共同でやっている好個の例だと思うわけでございます。  それから新技術開発事業団仕事は、これをごらんいただけばわかりますように、新技術の所有者、つまり特許の所有者というのは大学の先生あるいは工業技術院というふうにほとんど大部分が国立の機関なんでして、ここが特許を持っているわけです。新技術の所有者というのだから特許の所有者だろうと思うのです。そしてそういう機関で開発されたいわゆる発明が実施されないものですから眠っているわけでして、それと同じものが外国からロイアルティを払って輸入されて、そして物が生産されるというようなことが多いので、新技術開発事業団というものが生まれたわけなのでございます。この新技術開発事業団そのものは仕事をやらないものですから、大学の先生や——大学の先生のものは大学でもあるわけですから、先生やそれから工業技術院で発明したものを実施する業者にこれを試験的にやってもらって、事業として成り立つということを立証して、そして製品化してもらうというのが新技術開発事業団仕事でございまして、これも新技術開発事業団研究開発をやっているわけではないのでございます。この点幾らか御理解が薄かったのじゃないかと思い、追加するわけでございます。  そこで私に御質問のところは、そういう方法でいいのか、もっと官民あるいは政府の機関の中で共同の研究をやれないものか、こういう御質問だと承ったのですが、それはやはり民間同様にそれぞれなわ張りがございまして、なかなかむずかしいのでございます。科学技術庁が全研究開発機関を掌握するということが漸次進展しておりますけれども容易に完成しないのは、民間と事情が同じわけなのでございまして、これは努力を重ねてまいるよりはかなかろう。そして、たとえば実例をあげますと、科学技術庁がやっておりまするロケットの開発、これなぞも東大の高木先生に私のほうの開発推進本部の部長さんを兼ねていただきまして、両方で重複する部分を落として重複しないようにして研究開発を進める、こういうふうに漸次進捗はしているわけなのでございます。この共同研究、ロスを落とすということに必死の努力を重ねてまいる、これしかいまのところはやることがないのだと、こう御理解いただければ幸いでございます。
  54. 三木喜夫

    ○三木(喜)小委員 私も変な質問をしましたから、だいぶまだ大臣に御認識いただけぬ点もありますし、これ以上言うと悪口を言うようになってしまって悪いですから、きょうは時間もないそうですし、まだ基本的な問題が残っておりますが、また後日機会もあろうと思いますのでそれに譲って、きょうは論議が非常に低調になってしまって、おかしなところに落ちつきましたけれども、これで私は満足しておるわけではないし、また今後いたしたいと思います。
  55. 岡良一

    ○岡小委員長 最後に、私から三点だけお尋ねをいたしておきます。  第一点は、新技術開発事業団理化学研究所は一本化し得る可能性はないかという点について、大臣の所信を伺いたいと思います。要するに、その部内における研究あるいは部外の研究であろうと、少なくとも両者ともナショナルプロジェクトとして取り上げ、その研究成果というものの企業化に関するリスクは国が負担しようという、大体同趣旨のものである、これが二つに分かれなければならない理由は私はちょっと考えられないので、この点について行く行くの将来の見通しとしてどう思われるかという点が第一点。  第二点は研究協同組合の問題、約五年前に研究協同組合に関しては加盟組合員である会社研究出資は免税の措置がとられたと思います。その後、一体研究協同組合が幾つできたものであるか。そしてまた、私の知る限りではあまり多くできておらない。できておらない原因は一体どこにあるのか。たとえば英国では、科学技術開発庁は英国の研究協同組合に対して年間約十億の補助金を出しておりますが、いずれにいたしましても、なぜできないのか。そういう点についてもっと研究協同組合を育成するという立場から工業技術院なり科学技術庁なりがどう考えておられるか。  もう一つは、浜田科学技術情報センター理事長にお伺いいたします。先ほど松本参考人からもお話があったように、機械と電子工学、いずれにいたしましてもエレクトロニクスの問題が非常に重要な課題であることは申し上げるまでもございません。あなたも外国の情報をつぶさに収集しておられる立場において、わが国における電子工学は今後どのような組織、あるいはまた、どのような方法で運営をされ、発展を所期すべきであるか。この三点について、それぞれ所管の方からの御答弁を願いたいと思います。
  56. 上原正吉

    ○上原国務大臣 政府の機関、たとえば新技術開発事業団理化学研究所と同じプリンシプルのものじゃないか、だから一緒にできないかというふうな御質問だと伺いましたけれども、やってできないことはなかろうと思うのでございます。理研は純然たる研究機関でございますし、同じ国費でリスクを負うにいたしましても、新技術開発事業団はすでに研究開発されておりますものを事業化するために試験実施をやってもらう、こういうことになりまして、よほど巨大な機関でございませんと、理化学研究所がよそで研究開発されたものを実施してみるということにはまいりますまいし、また、現在新技術開発事業団がやっておりますように、委託費を出してこれを実施させるということになりますと、純然たる研究機関である理化学研究所が行なうのに適しておるかどうかということにも議論があろうかと思うのでございます。同じ国の機関でございますから、やってできないことはございますまいけれども、あまり大きくなりますと、それだけまた指揮、監督、組織その他で困難が生じてもまいりましょうから、議論の余地はございましょうけれども、二カ所でやっておるほうが——初めから二カ所にするつもりのものを理研の中にためしにやらせてみて、そして分離をしたというのが適当ではなかったか、こう考えておる次第でございます。
  57. 岡良一

    ○岡小委員長 長岡理事長にお尋ねしますが、理化学研究所は全然研究機関であって、企業化試験というようなものはしないところでございますか。
  58. 長岡治男

    長岡参考人 お答えいたします。  御承知のとおりお酒のほうの発酵の問題なんか、でん粉を発酵させるというようなことは実験までやって実績を出さなければならないものでございますから、企業体系でなく実験の実際体系のところでやる部分は実験的にございます。しかしそれを損益を伴うような企業体系でやるということはやっておりません。
  59. 岡良一

    ○岡小委員長 だから企業化のための開発研究成果まではやっておられるわけですね。
  60. 上原正吉

    ○上原国務大臣 理研で新技術開発事業団でやっておるようなことをやろうといたしますと、委託費を出して民間企業に実験試作をやってもらうか、あるいは理研自身が試作をやるか、どちらかになるわけでございまして、ただいま長岡理事長がおっしゃるように、発酵の問題のように全部自身でやるということになると、あらゆる製造機関、あらゆる工場、すべての機関を持たなければならぬということになってまいりますから困難かと思うのでございまして、やるとすれば自分が研究開発して特許をとったようなもの以外は、民間事業なり政府のほかの機関に委託してやってもらうということになりましょうから、委託費を出してほかの機関にやってもらうということになることと思うのでございます。そうなると、委託費を出してほかの機関にやってもらうという機関は、理研とは別にあったほうがいいのではないかと思う次第なのであります。
  61. 岡良一

    ○岡小委員長 あなたに議論を申し上げるわけではないけれども、いま理事長が言われたように、実用化し得るという可能性を見きわめるまでは理研仕事であるというならば、それを民間企業が採用する、しないは別として、やはり単なる研究機関大学研究室ではない。だからこの点は、機構としてもう少し一元的な、統一的な、能率的な、効率的な運営というものが、先ほどから予算等も出ておりましたので、考えられてもいいのではないかということです。しかしこの議論はあとに譲りましょう。  そこで研究協同組合について工業技術院から来ておられますが、いかがなものでございましょう。
  62. 堀江寛

    ○堀江説明員 お答えいたします。  鉱工業技術研究組合法が制定されましてから約五年になるわけでございます。現在までにつくられました組合の数は十二組合ございます。そのうち一組合だけがすでにその使命を終わりまして解散をいたしておりますので、現存は十一組合、こういうことになっております。鉱工業技術研究組合法が制定されましてから十二の組合しかできないというようなこと、イギリスの研究組合の現存数が約五十あるということから考えましても、また、イギリスの研究組合の研究費の額が総額数十億に達しておるというようなことから考えましても、わが国の研究組合の活動が活発であるとは言いがたいわけでございますが、その理由として考えられます点は、まず第一に、わが国におきましては、研究の機密性ということから企業間の協力がなかなか得られない。特に外国技術の導入によりまして外国技術の系統のひもがついておるというようなことから、企業間の技術の交流がかなり阻害をされる要因があるということが一つございます。  それから第二番目といたしましては、研究組合法自体の法人に対する考え方が中間法人という考え方をとっております。すなわち利益法人と公益法人の中間にあるという考え方をとっております。このために、その優遇策がやはり公益法人と同じような優遇をすることができないというのが、現在の組合法の法人に対する税制上その他の措置にあらわれております。こういうことが組合の活動があまり活発でないという理由のバックグラウンドではないかとわれわれは考えておる次第であります。  しかしながら、現在の組合法の制定によります効果もかなりございまして、きょう参考人の方からお話がありましたような成果もあげておりますし、異業種間の企業の共同体制というものが、過去において解散をいたしました一組合を加えまして十二の組合間にかなりたくさん見られておりまして、これはやはりこの組合法ができたことによって得られた成果の一つではないかというふうに考えておる次第でございます。  しかしながら、工業技術院といたしましては現在の状況で満足しているわけではございませんで、この業界における共通的な問題で協力が進んでおらないような問題につきまして、協力をやる場として推進をしていくという考えでございまして、補助金につきましても、業界の共通的な、基礎的な問題であって手がつけられていない問題というようなものを強力に、従来よりも手厚い補助率といいますか、補助対象をふやしまして助成をするというようなことを今年度から着手いたしておりますので、逐次現在の組合の助成方策を充実していくというふうな考え方で進んでおる次第でございます。
  63. 浜田成徳

    浜田参考人 電子に関する技術、すなわちエレクトロニクスの振興は、もろもろの科学技術の振興の中でも最も中核的な、重要なものだと私は思うのであります。いま小委員長が御指摘になりましたように、日本のエレクトロニクスの技術レベルあるいはその開発の度合いは、必ずしも楽観を許さないのであります。これにつきましてはいろいろな方策が考えられますけれども、エレクトロニクスの分野の中で最も重大だと思われますのは、私の考えでは、電子計算機並びに電子計算機に今日のように深刻な影響力を持たしめた根源であるところの半導体の研究であると思うのであります。この半導体と電子計算機——電子計算機の中でもとりわけ、ハードウェアと申します計算機本体の研究も大事ですけれども、これの応用のほうのいわゆるソフトウェアと称せられる部分について日本は非常におくれをとっております。ほっておきますと、これは容易ならざることになるおそれが十分にありますので、たくさんの問題をかかえておりますエレクトロニクスの分野におきまして、わが国といたしましては電子計算機のソフトウェア、言いかえますとこの応用または情報処理技術、それと半導体、この二つの分野に最大の重点を置いてこの研究を進められ、あるいは奨励されることが得策であろうと考えております。この情報処理という問題は非常に広範でありまして、社会のすみずみまでその影響がもうあらわれつつあることは皆さまもよく御承知と思うのであります。やがて印刷技術のようなものまで電子計算機によって行なわれるようになることは必定であります。その方面に対するわが国の各方面の認識あるいは努力も足りないのでありまして、たくさんの仕事を同時にやりおおせないことは必然でありますから、私はこの情報処理と半導体、この二つに、特にこの情報処理という面に最重点を置いてお進めになるのがいいだろうということを考えております。日本科学技術情報センターはちょうどこの科学技術情報の処理を電子計算機を応用しまして敏速に、かつ御要求に、あるいは科学者技術者あるいは産業のお役に立つように、一刻も早くこれを整備したい、そういう考えを持ちまして、私自身もこの問題の研究に最大の力を入れようと思っております。これが私の態度でございます。
  64. 岡良一

    ○岡小委員長 この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。小委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会