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1966-06-23 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 原   茂君    理事 菅野和太郎君 理事 中曾根康弘君    理事 西村 英一君 理事 前田 正男君    理事 石野 久男君 理事 岡  良一君    理事 田中 武夫君       小沢 辰男君   小宮山重四郎君       河野  正君    三木 喜夫君       山内  広君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         科学技術政務次         官       田川 誠一君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部技術参事         官)      菅野  誠君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      降矢 敬義君         会計検査院長  小峰 保榮君         会計検査院事務         官         (第二局長)  井上  鼎君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  科学技術振興対策に関する件(動力炉開発及び  東海地区原子力施設地帯安全確保に関する問  題等)      ————◇—————
  2. 原茂

    ○原委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  東海地区原子力施設地帯安全確保に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 防衛庁長官が非常に忙しいところをおいでいただいたので、二つほど御質問いたします。  最初の一つは、昨日の新聞報道によりますと、水戸射爆場返還問題についておおよそわれわれが要望しておったその問題にこたえるような処置が固まったかのような毎日新聞報道がございましたが、この点について、いまどういうふうに折衝が進んでおるかということを、ひとつ最初に聞いておきたいと思います。
  4. 松野頼三

    松野国務大臣 これは多年地元からの要望にこたえまして、本年に入りましてから交渉の第一原案、第二原案、第三原案というふうなものをつくりまして、候補地も各種さがしましたけれども、新島以外にはないというので、第一、第二、第三の案をつくりまして米軍に提示して、これで米軍演習場移転が可能であるかどうかという打診を続けておりますが、いまだ確答は来ておりません。昨日の新聞はその経過的なものを総合しておそらく書いてあると私は読みました。
  5. 石野久男

    石野委員 本件につきましては、いま社会党のほうでは自民党の国対と折衝して、水戸対地射爆場返還に関する決議なるものを今国会できめようとしているような事情であります。原子力施設周辺地帯の安全を確保することともあわせて、急いでそういう趣旨折衝を進めてもらいたい、とにかくあそこを返還するということを進めてもういたい、これをひとつ希望しておきたいと思います。
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 あくまでこの趣旨移転返還ですから、移転が実現しなければこの問題というのは解決をいたしません。移転返還であります。したがって、移転ということがなしに、ただ返還だけの状況ではないことは御承知のとおりであります。われわれももちろんそういう趣旨移転返還の案をつくり、そして日米において今日下打ち合わせをしている段階であります。したがって、せっかく社会党で決議されるならば、その趣旨移転返還という方向で決議されるほうがこの問題の解決には妥当じゃなかろうか、私はそう考えますので、その点だけはちょっとお耳にとめておいていただきたいと思います。
  7. 石野久男

    石野委員 われわれは、社会党というよりもむしろ地元の超党派的な要求としては返還でございますから、長官のそういう話は長官の意見でございますから、それはかってでございましょう。いずれにいたしても射爆場が、あれだけ稠密化している原子力施設帯で現在のような誤射、誤爆、誤投下というものの危険を含んだ中で継続されるということはよくないと思っておりますから、これはやはり返還への努力はしてもらいたいと思います。  それから第二にお聞きしたいことは、先般来、射爆場に関連しまして周辺地小学校防音工事の問題、実は勝田市の中根小学校工事における補助金使用についての不正の事件で私は三月二日に予算委員会大臣に御質問いたしました。大臣はもうすでに御承知だと思いますが、四千百四十万円の補助金額のうち五百四十万円というものは不正であったということが明確になりまして、その金は工事残金という形で国に返ったということも防衛庁のほうからの話で聞いております。問題は国損がなかったのだからいいということじゃございません。私もできる限りこれをすなおに受けとめたかったのですが、事実は現場では、工事人が市に対してその工事残金を返していないのです。返していなくて市が防衛庁に返しております。そうすると、ここで考えられることは、政府から渡した金がいわゆる工事人に渡っていなかったということになる。こういうような問題は、防衛庁補助金を出すにあたっての監督上の問題として非常に重要だと思うのです。皆さんのほうでは国に金が返りさえずればいいのだというようなことで、これをそのままに事なく済まそうというふうに考えているかもしれませんが、それはよくない。しかも工事が終わったのは昨年の三月末です。残金が返ったのは本年三月五日のはずです。ほとんど一年間というものはその金は自治体のほうにあったわけですね。実際のところは、この金は工事人から市に返っているのでありますけれども、しかし工事人から市に返っている形は工事関係で返っているのじゃありません。工事人から市に対する寄付金として、補助金とは全く別個な形で市に返っておるのであります。こういう問題について、いわゆる補助金を与えた当局は、実際に自分たち補助金がどういうようになっておるかということをもう少し突きとめるべきだと私は思います。先般の話では、国は市に対して補助金を出したのだから、自治体から返ればそれでいいんじゃないかというようなお話でございましたけれども、それでは私はいわゆる補助金使用についてあまりにもずさんであるのじゃなかろうかと思う。そういうようなことでわれわれの大事な税金がぽんぽんと防衛庁だからというので出されていく。しかもこういう防音工事防衛庁本来の出費じゃないはずです。防衛庁が本来支出すべき性格のものじゃないはずなんです。そういうものをこういう形で出しておるのでございますから、私はその補助金の行く先については真剣に突きとめるべきだと思う。したがって担当長官としての松野大臣は、こういう事実があるにもかかわらずそれを目隠ししたままで、もう国に返ったからいいんだというような考え方でこのことを済まそうとしているのかどうか、この点について所見を聞きたい。すでに長官は私への答弁では、それは当然工事人から市に対して返還すべきであるという趣旨答弁をしておるわけでございますから、そういう指導はすべきであると私は思うのです。しかし、それが自治体の当面の工事現場におきましてはそういうふうにいっていない。これは非常に政治を誤るものだと思います。私は、国損が出なければいいんだということでなくて、政治の姿勢を正す、われわれの税金をどういうふうに正しく使うかという問題についてここでは究明しなければいけないと思うのです。会計検査院からはあとでまた話を聞きますけれども、いわゆる補助金を出しました監督官庁としての担当大臣の明確な所信をこの際聞かしていただきたいと思います。
  8. 松野頼三

    松野国務大臣 防衛庁でやっております防音工事につきましては、その規定としては、地方公共団体に一部または全額の補助をするという補助規定になっております。したがって防衛庁が直接これのいわゆる義務規定というより補助規定というもので今日運営しております。その規定に応じて市町村から防音工事計画が出る、その一部または全部——大体防音工事の場合は九割の補助をいたしております。その計画にのっとって面積及び単価を計算して九割の補助金というものを交付いたしました。ところが昨年の七月ごろからその工事にはそれだけの単価がかかっていなかったということがだんだん明らかになりましたので、それでは申請においてそごがある。その差額については返納しろという返納命令市あてに実は督促をいたしました。そのときの質問として、当然それは工事費がかかっていなかったのだからその工事代金というのは残っておるはずである、その残額については当然返納すべきであるということで、今日市から返納を受けたわけであります。  そのあとの問題は、市に補助したのですから市からわれわれは返納を受けるべきだ。その市の金がどこから出たかということがおそらくただいまの問題ではなかろうかと私は思います。しかし市の財政金から出るならば、それが一般起債の金であろうがあるいは一般会計の金であろうが、そこまで管理監督をする権限はわれわれ補助監督官庁としてはありません。補助金が適正に使われなかったというそしりは、その責任はわれわれは負います。しかし、今日返納されておった。その返納金の市の財政内容までわれわれが立ち入るということは、今日の防衛庁立場としてはやっておりません。それは地方財政あるいは会計検査院、他の職場あるいは市会というものがそこに介在するのであって、私たち補助金は市、市を代表する市長、また返納市長を通じて受ける。第三者から受けることはありません。そういういきさつであったことで、その後においていろいろ議論のあることも承知しておりますけれども防衛庁責任は、監督不十分のそしりは私は負います。しかし今日は市の財政から返納金を受け取って処理したということ、これも事実であります。その他のことは、まあ目こぼれが多かったというそしりは受けますけれども、それ以上防衛庁としての権限責任というものはやはり限界があるんじゃなかろうかと私は思っております。
  9. 石野久男

    石野委員 大臣はそういうふうに言うけれども補助金等に係る予算執行適正化に関する法律の第二十三条立ち入り検査のところでは、その予算執行の適正を期するためにいわゆる補助事業者または間接補助事業者に対する立ち入り検査ができることになっているはずです。しかもそれは監督官庁のやる権限であります。これはやらなければいかぬです。しかも、これは会計検査院法の第三十二条のいわゆる弁済責任検定及び弁済命令というものがある。そしてこの条の第五項によりますると、「その検定が不当であることを発見したときは五年間を限り再検定をすることができる。」これは、会計検査院のほうの仕事なんです。だけれども、その前の補助金については第二十三条によって担当官立ち入り検査ができる、しなくちゃならなくなっているのです。それで、そんなことできないなんというのはおかしい。しかも、これはただ補助事業者だけではない、間接補助事業者であるいわゆる工事人当人に対しても立ち入り検査はできるはずなんですから、それをやらなければいかぬ。
  10. 松野頼三

    松野国務大臣 昨年そういう事件が持ち上がりましたときに、防衛施設庁から担当官が、立ち入り検査まではいきませんが、市に行って、必要ならば立ち入り検査をするように話をいたして、その要件については私のほうは実行しております。立ち入りが市の市役所の立ち入りであったか現場立ち入りであったかについては詳細承知していませんが、いわゆるその立ち入り検査条項については再三いたしております。その結果返納命令を出したわけであります。全然立ち入り検査もしない、確認もしないで返納命令は出しておりません。そのように私どもはやっておるのです。その問題と財政の問題は別でありまして、財政内容というところまでは立ち入れない。市から、当然必要な返納命令を出して返納がきた、その金がどの金であったかというところまでの立ち入りはしない。工事立ち入り検査は私どもその条項に応じてやっております。したがって返納命令を出す以上、検査なしに出すわけにはまいりません。それはやっております。
  11. 石野久男

    石野委員 そうすると立ち入り検査はやっておって、もちろんやはり返納命令というものは出したが、財政面までは立ち入ることはできなかったでございましょうけれども、その立ち入り検査をしたときに、あなた方のほうから出しました金が、完全に昨年の三月三十一日現在において工事人のところに渡っておるということは確認されておるかどうか。
  12. 財満功

    財満政府委員 われわれが補助金を出しましたのは、市に対して交付決定をいたしたわけでございます。したがいまして、それから先は市と請負業者との間の契約の問題に属しまして、現実に私ども補助をいたしました金が請負人のほうに渡ったかどうか、私どもそこまでは介入しておりませんでした。
  13. 石野久男

    石野委員 その問題は大臣にも——大臣は急ぐようですからそれじゃお聞きしますが、金が渡ったかどうかは検討を加えなかったということは、それはだれかほかの者が、まあ会計検査院なら会計検査院がやるのだからいいのだという意味なのか、それとも自治体を信用することによってそこまでやらなかったのだということなのか、それが第一点。  それから、今日の時点ではもうすでに金は返って、不正であったということもわかった。そうなってまいりますると、当然これらの問題は工事監督といいますか、補助金を出したというその該当事業に対して、やはり当局としてはそれが正しく適正に活用されたかどうかということを見届けることはしなくてはいけないだろうと思うのです。それもやらないで補助金を出すのでは意味がないと思うのです。したがって、金が出るときは、もちろんそれはたださなくてはいけませんが、今度は返るときだって、それはいい悪いは別としても、ただすくらいのことはしなければいけないと思うのです。いま部長お話では、その金がどこから出たかということはたださなかったというお話です。しかし現実には工事が不正であったことははっきりしておるし、金は返った。しかし私がもうここではっきり言っていることは、その金は工事人から市には返っていない。それで市は国に返した。そこで考えられることは、あなた方から出したところの、国庫が出したところの金は、そうなると市にとまっておって工事人にいかなかったということになっちゃうのです。こういうことがはっきりしている場合の防衛庁立場はどうなのかということです。だからもう時間がないようですから、再度聞かなくてもいいようにひとつ答弁していただきたい。
  14. 松野頼三

    松野国務大臣 その計画に応じて防衛庁は支出する、支出して物件ができていなければ、これは補助金のむだになる。ただ取られるということであります。そうして、その補助金を出してその物件ができておる、できた物件が正しいかどうか、これは検査をいたしております。しかしその金が渡ったか渡らぬかということは市と請負人契約、その契約が三カ月払いなのか、あと払いなのか、前払いなのか、それはいろいろな契約方法が私はあると思います。そのことにあらずして、現実に三月三十一日までに出したのです。何月までに竣工する、竣工した物件ができておれば、補助金は当然それに合わせて出した、それによって竣工したということであります。それは私は妥当なことだと思う。その点において疑問は私はないと思うのです。それでもしも百坪のものが五十坪しかできてないとなったら五十坪分は返還になる。今回の場合はその単価契約において違っておったのですから、その九割しかわれわれのほうは支給いたさないということを私のほうは検査し、監督する立場であります。その契約内容まで、私のほうは三カ月払いはいけない、即日払いにしろとか、契約内容まで立ち至るという意味じゃありません。何月何日までに竣工する、それが対象物件である、規格が合っておる、これがわれわれの監査の焦点であります。
  15. 石野久男

    石野委員 長官がそういうような答弁をするというと、私はやはり聞かねばいけなくなるのです。いま長官の言うのは契約内容まで立ち入ることはできない、こうおっしゃるのですが、しかし皆さんのほうでは、出すのはとにかく事業の九割までを出すんですよ。これはあとでまた文部省にお聞きしなければいけないのだが、義務教育対象になるところの小学校を建てるのに九割まで防衛庁が出す。こういう所管の問題についても疑義があるような出費が行なわれておる。しかもそれが契約はどうであるか、こうであるかは、もうそういうことは疑問じゃないのですよ。現実ではそれは確かに間違っておった、それで不正であったということもわかっている。しかも補助金等適正化に関する問題で起訴までされておる。そういう事実があっても、なおかつ、防衛庁はそれを手をこまねいて見ないというような形では、私はその真意のほどを疑う。だからこれはここまでくれば、疑義を持たないうちはともかくも、こういう事実が出ているときには防衛庁としてもその実態は調べる必要があるのじゃないですか。いままで調べてなければ調べさせればいい。私はそのことを聞いているわけです。これは決して越権でも何でもありません。しかもこの補助金適正化に関する法律の第二十三条によれば、立ち入り検査ができることになっておる。しかもそれは補助事業者だけでなしに、間接補助事業者の内部にまで立ち入り検査ができることになっているんですよ。それをなぜやらないか。それをやったらどうかということを言っているんですよ。
  16. 松野頼三

    松野国務大臣 それは御趣旨のようなことを私は否定するわけじゃありません。いままではそうやってまいりました。なお疑義があるならば、御趣旨のようなことを法律権限においてやることは私はいま否定しているのじゃない。いままではそういう経過でやったが、なおいろいろ御疑問があるならば法律条項に合わせて厳格にやるということを、ただいまからでも私は否定するわけじゃありません。いままではそういうもので一応やってまいりましたし、その結果必ずしも順調でなかったというケースが出たのですから、なおひとつ法律権限の範囲内において再検討しろ、私のほうはそれを否定するものじゃありません。  なお、この問題はいろいろございますので、私どももう一ぺん最初から、契約から見直そう、権限のあるなしにかかわらず、監督者として見直そうという気持ちは今日持っておるわけであります。どうぞそのことはもうしばらく、善意で私の答弁を聞いていただきたい。
  17. 石野久男

    石野委員 大臣、それじゃよろしゅうございます。  それじゃ施設庁施設部長に、いま大臣からそういう話があったものですから、これは重ねて念を押しておきますが、私は無理にせんさくしようというようなことを言うんじゃないですけれども、やはり現場におけるところの実情は、市の自治体からは防衛庁に返っておるのだけれども、しかし実際には現状では工事人から市に対しては返っている形にはなっていないのですよ。これは裏を言えば、工事人から金は返っているんですよね。返っているんだけれども、それを寄付金という名前で入れているのですよ。私はこういうことを政治の節操の上からいって許してはいかぬと思うのです。だからここのところを改めさせなければ、私はこれをとがめる  とがめないわけじゃないんだ。悪いことは悪いのだけれども、その事情はよくわかりますけれども、しかし、寄付金ということでやりまするというと、これはあと自治大臣にもちょっと聞かねばいけないのですが、寄付金をやれば、この前、行政局長が言ったように、当然やはりそれに対する褒賞規定に基づくところの表彰もしなくちゃならなくなる。どろぼうに追い銭どころじゃない、表彰という形が出てくる。こういう事態は、私はほっておいてはいかぬと思うのです。そういう意味で、防衛庁は、会計検査院とは別個な形で、補助事業に対する監督立場からする再検討をしていただきたい。特に、補助金適正化に対する法律の第二十三条による立ち入り検査の問題は、これはやっていいはずなんですから、それをはっきりしていただきたいと思います。
  18. 財満功

    財満政府委員 立ち入り検査の問題は、私どももいま先生がおっしゃいました意味とは違うかもわかりませんが、いたしました。つまりわれわれが補助をいたしました目的にかなう程度の学校防音工事が行なわれておるかどうかということにつきましては、そのとおりになっておるというふうに見ております。  それから、寄付金で市がまかなって、それを私どものほうに返納したかどうかという問題につきましては、あるいは寄付金であったかというふうに思いますけれども、私どもといたしましては、市の公の支出として出されましたものを公に受け取っておりますので、現在のところそれがどういう性質の金であったかということまで言うことは差し控えたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 石野久男

    石野委員 部長がどういう性格のものであるかということをあれこれせんさくするということは差し控たい。それは私もやはり監督権限の上からいって事情はわかりますけれども補助事業に対する監督という問題と、それから補助金を使うということについては、別に内閣でやったわけでもないし、文部省がやったわけでもない。防衛庁がその金を出したのですから、自分の出した金がどういうふうにいったのか、そうしてどういうふうに間違っておったのかというくらいのことは知っていなければいかぬと思うのです。指示するとか命令するということは別として、その実情を知っていないようなことでは監督不行き届きだと思います。そうして当然指示をすべきかあるいは命令をすべきだというような権限があなたのほうになければ、それを当然やるべきところへさせればいいのですから、そういう努力はすることをぜひ私は希望したいと思う。  それから、ここでひとつ聞いておきたいのですが、この中根小学校に対する補助金はどのくらいの比率だったのですか、比率としては。
  20. 財満功

    財満政府委員 約九割でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 文部大臣に実はおいでいただきたかったのですが、文部大臣はおいでにならないようですから、菅野技術参事官にお尋ねいたします。  文部省教育事業についていろいろな国家的施策を行なうにあたって、特に義務教育の問題について、義務教育は憲法上からいきましてもこれは国庫が負担することになっておるわけです。したがって、国がやるのだからどうでもいいじゃないかということでもありますが、しかし実は今度の防音工事についての補助金を見まして、まあその九割まで——いまお聞きのとおりこれは九割出ておるわけです。場所によっては九割五分からまあ一〇〇%出るところもあるのだろうと思いますが、義務教育学校を建てるにあたって防衛庁のこういう出費による、これはどうもちょっと筋が違うような気がするのですよ。私の感じでは、騒音があるために学校の建て直しをしなければならぬ。これは当然その経費を国は出さなければならぬのだろうと思います。出す場合に、これはむしろ文部省あたり防衛庁との話し合いで、やはり防衛庁からそういう金は移管を受けて、そうして文部省出費として仕事をする、こういうようにするのが教育行政上よろしくないのだろうか、こういうように私は思うのです。これは将来また国の非常に大きな財政支出の問題に関連する款項目の規定の問題にもなると思いますし、予算総則の問題にもなってくると思うのですが、この機会にひとつ、文部当局はこういう問題についてどういうふうにお考えになっておるか、これはおそらく全国に相当あると思いますので、所見を承りたい。
  22. 菅野誠

    菅野説明員 技術参事官の菅野でございます。  ただいまの御質問の御趣旨、まことにごもっともだと思います。なお御案内のように義務教育学校施設の負担金、補助金等に対しましては、義務教育学校施設費国庫負担法というのがございまして、これで負担をいたしているのでございますが、御案内のように中学校校舎、屋内運動場二分の一、それから小学校に対しましては三分の一ということでなかなか御趣旨に沿わない点もあろうかと思いますが、できるだけ私ども努力いたしまして、たびたびの機会にもお話がありましたように、単価が低いことがありましたりあるいは構造比率が悪かったりする点もありましたり、これは漸次改善してまいっておるのでありますが、将来ますますこの方法も拡充していきたいと思っております。  さしあたっての防衛庁との関係でございますが、立法論としていろいろ御意見ごもっともだと思いますが、現在までのところといたしましては、例の特損法といいましょうか、その法の考えから従来防衛施設庁でございますか、そちらのほうにお願いいたしまして、共同といいましょうか、事務的にはよく連絡してやっておるつもりでございます。将来もそういう御趣旨に沿いましては検討いたしたいと思いますが、さしあたりましては、行政的な事務連絡をよく緊密にとりまして御趣旨に沿うような方向で努力してまいりたいと考えております。
  23. 石野久男

    石野委員 きょう大臣がおいでになりませんのでこれ以上はなんですが、いま参事官がお話しのようにやはり一度検討を加えるべき問題じゃなかろうかと私は思うのです。もちろんこれはやはり政府だけではなしに、党としても与野党ともにこういう問題は少し考えねばいかぬじゃないかと思います。そこで参事官のほうからひとつ大臣にこちらの意見があったということは十分伝えてもらって、省内でよく検討してもらいたい、こう思います。  自治省から降矢参事官がおいでのようですが、やはり私は自治大臣に今度の問題についてその本意を確かめたかったのですが、自治省のほうで今度の中根小学校防音工事に関する工事残金返還について、いわゆる勝田市の自治体残金を返金するについて何かその方法等について御相談にあずかった経緯があるのでございますか。
  24. 降矢敬義

    ○降矢説明員 私はその点承知しておりません。
  25. 石野久男

    石野委員 自治省としては、こういうような場合、自治体に対してどういうような指導をなさるのでしょうか。事情は私が先ほどから話しておるからおわかりだと思いますが、いわゆる寄付金等をもって工事人自治体に返す、自治体はそれを国に対して返す、こういうやり方は妥当なやり方なものかどうか。自治省はそういう指導を各自治体に対してなさっているのかどうか、この点についてひとつ御所見を承りたい。
  26. 降矢敬義

    ○降矢説明員 この具体の問題につきましてはあれでありますが、一般的には先生御案内のとおりの契約の手続その他につきましては法律の改正をいたしまして整備をいたしましたので、その後数回にわたりブロック会議を開催をいたしまして、また各質疑応答集というものをつくりまして市町村にお流しいたしておりますので、一般的に申しますと、契約の手続その他につきましての理解、それに従った処置というものにつきましては十分指導してきたつもりであります。なおこの具体の問題につきまして、そもそも契約のときから手続的に妥当でないものが発生いたしまして、しかしながら、このでき上がりました建物そのものにつきましては、会計検査院あるいは防衛庁その他の関係各省におきまして、一応検査を無事パスしたあとで御指摘のような問題が発生しておるわけでございます。したがいまして、国といたしましては、補助金の確定前にいたしました通知を変更して返還せしめるという手続をとったように聞いておるのでございますが、市といたしまして、すでにでき上がりました、しかも関係各省の認定にかかる建物の価値が契約のとおりに四千百万何がしの額ででき上がったという前提に立っての処置というふうに私たちもこれを理解したわけでございます。そこで私たち勝田に事情を聞きましたところ、四十一年三月三日に国から納付書が届きましたので、即日、専決処分というかっこうで国に返納の手続をとったということでございます。  御指摘の寄付、歳入区分として寄付金というかっこうでとりました件につきましては、でき上がりました建物の価値が契約のとおり四千百万何がしということで認定を受けておりますので、それを前提にして考えますと、取得した建物の価値と契約金が少なくとも合っておるという前提に立っておそらくこのような措置をとられたものというふうに考えておるのでございます。ただ全体として見ますと、そもそも出発の当初からこの契約の手続に対する違反の点があるわけでございますし、また、この補助金につきまして国からどういう指示を受けたか承知いたしませんが、その辺との関係は、おそらく頭の中にあってこのような措置をしたものと存ずるわけでございます。  問題の始まりがそもそも手続違反から出ておるところに問題がございますので、われわれとしては、こういう事例が一般的に全体として生じないようにさらに指導を徹底すべきもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 石野久男

    石野委員 いまの御答弁は、主としてやはり契約当時におけるところの認定の価値を建物が持っておるからもうそれでいいんじゃないかというような趣旨の御答弁でございました。  防衛庁に聞きますが、防衛庁に返った五百四十万円という金はどういう性格の金なんですか。
  28. 財満功

    財満政府委員 事実関係について少し申し上げますと、入札をいたしたわけでございます。そして結局一番安い金で四千百万何がしで落札しましたということで、それはわれわれがつくりました予定入札価格の範囲内ということで、われわれはそれは承認しておるわけでございます。先ほど先生がおっしゃいましたように、その後立ち入りしたか——工事が竣工いたしました後に、昨年われわれは市へ参りまして、当時の証拠書類一切を拝見したわけでございます。その際に、気がつきませんでしたわけですが、その後、内部のほうの事情からいろいろ新しい事実が判明して、実際は三千六百万という入札を書き直したんだ。そして当初の入札書は破棄したということがわかってまいりました。したがいまして、われわれとしては、当初の入札の金額との差額五百四十万円を返納すべきであるというふうに考えまして、その金の返納を命じた。三千六百万円でできるということで入札したのであるから返納してもらいたいということで返納さしたということでございます。
  29. 石野久男

    石野委員 そうすると、これは差額を返納したという性格のものですね。そのようでございますれば、ただいま降矢参事官のお話しになっているように、自治省が考えているように、あそこに建った建物は四千百四十万の価値のあるものじゃないのですよ。だからその点もやはり認識を改めなくてはいけない。これは三千六百万円の価値なのですよ。だからそこらのところは認識を改めていただくと同時に、その後における事実認識が前とは違っておるのだということがわかって、不正があるということがわかってきたわけですよ。しかも、これはいわゆる不作為の事故ではなくて、作為の事故だということもわかったわけですよ。そうなってくれば、自治省としての指導というものはもっと厳格でなくてはならないだろうと思うのですよ。ところが防衛庁が差額五百四十万円というものがあることがわかったので返還しなさいというときに、その返還の方法として事業者から寄付金という形が出てきて、その寄付金の金を原資として市は予算を組んだ。いわゆる補正予算を組んだのだから、それの使用については市長が単独でやったのだと思いますけれども、そういうときに、おそらくこれは自治省関係の指導を仰ぐとか何か折衝があったのじゃなかろうかと私は思う。何か指導したかどうかということ、それを聞いているのです。
  30. 降矢敬義

    ○降矢説明員 私はその点、先ほど申し上げましたとおり承知しておりません。はっきり申し上げます。
  31. 石野久男

    石野委員 指導がなければけっこうなことです。こんなことはたいへんな誤った指導なんかしてもらっては困るわけですから、今後ともやはり私はそういうことのある場合の処置は考えておいていただきたい。  同時に、一つだけ聞いておきますが、自治省としてはこういうように工事残金ができたときに、工事人から市に返還すべき金は当然やはり補助金返還すべきものだと私は思う。金は同じだからというので、それを寄付金でやるということがよろしいかどうか。自治省としてそういうことを放置しておいていいかどうか、こういう点について自治省の考え方を聞かしていただきたい。
  32. 降矢敬義

    ○降矢説明員 一般的な事柄でございまして、契約そのものが違法に行なわれ、先生御案内のとおり、途中の竣工検査その他がございまして、それから金の支払いということになるのでございますので、したがって、通常はこういうケースが起こるべきはずでもありませんし、また起こってはいかぬわけでございますが、不幸にしてこういうようなケースが起こりました場合には、国の明確な指示に基づきまして、契約の更改その他をはっきりやりまして、そして手続をした上で返すものは返す、こういうことで処置をすべきものと存ずるわけでございます。
  33. 石野久男

    石野委員 重ねてもう一度お聞きしておきますが、事件がまだ不確定な場合は、私もあまり断定的なことは言えない。疑義がはさまれているときにあれこれ言うことはいたしませんが、今日の場合のように、すでに事故がはっきりした、そして自治体はその五百四十万円という金を国に返した、だからもう事態ははっきりしたわけです。その事態は、金銭上の関係でははっきりしたのだが、しかし自治体の長がいま私がいろいろ疑義を持っておるような処置のしかたをしたわけですよ。そこで私は、自治省は、自治体におけるこういう処置のしかたをほっておきますと、これと類似のことがあっちでもこっちでも行なわれてくる、そのことからやはり地方自治体がゆがめられていきます。それから国庫の金を使う使い方もまたゆがめられてきます。これはやはりこの時点で——あなた方は裁判所だとか検察庁じゃないのだから、そういうことを私は言うのじゃありません。処罰せよとかなんとか言うのじゃないのですけれども、少なくとも善意な形におけるところのいわゆる監督官庁としての指示命令、こういうものが出てしかるべきだろうと私は思うのですよ。そういうことをなさったか、あるいはまた、こういう事態がはっきりしておってもなお、もういいじゃないかというので放置するのか、そこのところをひとつはっきり聞いておきたいと思います。
  34. 降矢敬義

    ○降矢説明員 御指摘のとおり、われわれはこういう契約手続の違法その他予算執行についての不当、違法というものの内容に絶えず指導していかなければならぬし、またそのようにしてまいったつもりでございます。今後、御指摘のようなこういう事例を契機にいたしまして、さらに指導を徹底すべきものというふうに率直に反省しておる次第であります。
  35. 石野久男

    石野委員 今後ということの意味は、本件に対しての今後であるか、一般的なものでの今後ということだけだと事態はやはり収拾されない、悪例が残っちゃうから。だから、これは今後ということの中には、この事件について現実に自治省としての処置をしなければいかぬだろうと思うのです。それは裁判所のようなことをやれとかなんとか言うのじゃないのです。これは重ねて言います。やはり政治を正しくするために、地方自治体の行政体系の中であやまちをおかさせないようにするために、当然自治省は明確にその職制上の立場から、監督官庁としての処置をすべきである、これをここではっきり、やるかやらないか御答弁をいただいておきたいと私は思うのです。
  36. 降矢敬義

    ○降矢説明員 市町村に対する、監督ではございません、指導の立場は、第一次的に自治法上、御案内のとおり知事にございます。私たちはこれを通しまして、こういうケースの将来起こらざるごとく十分に指導するつもりでございます。
  37. 石野久男

    石野委員 もうこういうことの起こらないようにということの意味は、不正な入札をしたり、あるいはその入札書を改ざんするとかあるいは廃棄するというようなことも含まれますが、それだけじゃない、もうそのことについての反省は、自治体自身もやっているし、検察庁ももうすでに取り扱っているわけなんです。問題は、やはり工事人に渡した国の金が、市に返らないのに市から国に返ったという、この事実なんですよ。工事人から市に返ったのは寄付金で返っているんだ。五百四十万円という金額の額では同じなんだからということで許しちゃいけないということを私は言っているのですからね。筋道をはっきりしろということを言っているのですから、その筋道をはっきりするというふうな指導を自治省はやらなければいけないということを私は言っているのだから、そのことを含めてあなたは先ほど答弁したのでしょうね。
  38. 降矢敬義

    ○降矢説明員 先ほど防衛庁からも御説明がありましたが、そういう契約そのものの内容あるいは引き上げました価値——はなはだ言い方が適当じゃないと思いますが、そのでき上がった建物を取得したのが当該市町村でございます。したがいまして、その点を明らかにして——まあ先ほどのあれでわかりましたので、明らかにした上で国と御連絡をして、そしてとるべきものはとるというふうな指導をいたしたいと存じます。
  39. 石野久男

    石野委員 自治省のほうはけっこうです。  会計検査院長がおいででございますが、きょうは会計検査院長、お忙しいところをおいでいただきましてたいへん恐縮ですが、実はこの前の決算委員会のときに、おたくの局長さんから御答弁をいただきまして、本件事件についての事情も聞きました。その後、会計検査院はどういうふうにこの事件についてお取り扱いになられておるか、その点を聞かしていただきたい。
  40. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 お答えいたします。  この問題につきましては、私も速記録も十分に拝見いたしました。それから局長からも石野先生からの御質問を全部聞いて、きょう参った次第でございます。  どうも会計検査院といたしましては、御承知のように、この事業主体——補助金の交付の相手方である事業主体というものは、これは勝田市でございます。その市が、いろいろないきさつはあったと思いますが、ともかくも自発的に五百四十万円というものは多かったということで、市の議会の議決を経まして、国に、防衛施設庁のほうへ返還の申し出をしたわけでございます。これははっきりと三月八日に市の議会の議決を経ておるわけでございます。それがその前の段階でどういういきさつがあったかということは、会計検査院としては、あまり突っ込める立場にないわけでございます。市の議会で五百四十万円は余分にもらったから国に返したい、こういって議決をして、それを防衛施設庁が受け入れたわけであります。どうもこの程度で、会計検査院としてはそれをそのまま認めるほかはないというのが、現在私どもいろいろ相談いたしまして得た結論でございます。いままで局長からもそういう趣旨で御説明したと存じております。
  41. 石野久男

    石野委員 会計検査院長にお尋ねいたしますが、会計検査院は、どういうことを仕事の内容としておるのでしょうか。
  42. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これは御案内のように、国庫補助が相当高率で参る事業でございます。それでこれの補助金が適正に使われたかどうかということは、十分に検査をいたしております。本件につきましては、実は少々お恥ずかしいのでありますが、これは実地検査を済ましております。四千三百万円という予定価格でそれが四千百四十万円でございますかで入札をしまして、そのとおりの工事ができた、こういうふうに実は実地検査もしているわけでございます。いまになりまして、これがはたしてほんとうに三千六百万円でできたのだ、五百四十万円もの、一割五分から違うのでありますから、こういうことになりますと、私どものほうとしても、将来のこの種の工事検査、予定価格に対する考え方というものも再検討しなければいかぬのじゃないだろうかということを、実はいま部内ではそういうことを考えております。こんなに違って一体まともな工事ができたのだろうかというようなことは、私どもとしては、実地検査を済ましたのでありますが、一応反省している次第でございます。
  43. 石野久男

    石野委員 反省しておっただけでは、会計検査院の仕事はできないのじゃないでしょうか。会計検査院というのは、その目的が、やはり国庫の支持されたものについて正しく使われたかどうかということをきわめるということだろうと思いますから、だから間違っておるということがあったら、やはり今後のためにもその実態は調査しなければいかぬだろうと思うのですよ。その後調査をなさっておるのですか、どうですか。
  44. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これは御承知のように、補助金適正化法違反のケースといたしまして、いま検察庁のほうの問題になっております。私どもとしては、いままでこれでよかったと、こういうふうに実は見てきたわけでございます。これが三千六百万円でほんとうにできたということになりますと、さらにいろいろな資料を検討しなければいかぬわけでございます。本件についても、もちろん将来のまたこの種の工事についても、いろいろとわれわれとしても考えなければいかぬ問題が出るのじゃないだろうか、こういうことで現在はあれしておりますが、本件が三千六百万円でほんとうに設計どおりのものができたかどうかという点になりますと、裁判所の問題にもなっておりますし、まだちょっと私どものほうとしては、十分な資料が集められない。これは当然集めなければいけないわけでございます。これからそういう方向に向かっていきたい、こう考えております。
  45. 石野久男

    石野委員 会計検査院長は非常にこの事態に対して触れまい触れまいとするようになさっているようでございます。確かにこの事件は検察庁に入っておりますけれども、検察庁に入っておっても、検察庁が調べているものとそれから会計検査院が調べるものとは、重複する部分もあるけれども重複しない部分もあるし、それからことに今日私どもがいま問題にしているような時点は、検察庁の資料を持たなくとも、あなた方の会計検査院の常識で判断のでき、処置できる問題だと私は思っておるから、それでお聞きしているわけなんだし、また当然それをやってもらわなければ困ると思うのですよ。それでなかったら、会計検査院、何のためにやっているのかちっともわけわからなくなってしまう。私は、会計検査院が、国の金が出た、その金が正しく使われたか使われなかったかということを、突きとめるその最終点はどこなのかということをまず最初に聞きたい。
  46. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 私、決してこれをよけて検察庁のほうにまかしてしまうなんというつもりは毛頭ございません。これは会計検査院としても大きな問題でございます。四千三百万円という予算価格でこの種の工事がどこでも行なわれておるわけでございます。積算内容も全部ほかの工事と同じような方針で、これは積み上げられてきたわけでございます。ところが実際は五百四十万円も六百万円も違っているものでやってしまったということになりますと、全体のこの種の工事について、私どものほうの検査というものは十分に考えなければいかぬわけでございます。いまそれを実はやっているわけでございまして、決してこれをよけるとか検察庁にまかしてしまうとか、そんなふうには考えておりません。
  47. 石野久男

    石野委員 それであるならば、これはやはり現実に問題になっている時点だけは明確にしておかなければいかぬと思うのですよ。私はあの学校が三千六百万円で実質できたのか、四千百四十万円でできたのか、そのことについては断定いたしません。ある場合によったら四千百四十万円かかったかもしれないのです。かかったかもしれないけれども、やはりあの入札の段階でとった行為が非常に不正であったものだから、それでそれを隠蔽するための手段方法として結局最初の入札値段になっちゃったというようなこともあり得るかもしれないのですよ。これは非常に善意に私は解釈しているのですよ。しかし、かりにそういう場合であったとするならば、あったように、会計検査院はその三千六百万円の入札した当時の設計書、見積もり書、その見積もり書で四千百四十万円の入札ができたという事実をつかまなくちゃいけないと思うのですよ。三千六百万円の入札したときのいわゆる設計書、見積もり書というものがあって、そして四千百四十万円という金を受け取ったとすれば、これは明らかに残金なんですよ。だけれども、そうじゃなくて三千六百万円という金は入札はしたんだけれども、それじゃとても当局の要望するようなものはできないから、ここでやりなさいというようなことで若干の修正をしたのなら、当然設計も変わってくるし、見積もりも変わってきていなくちゃいけない。そういうことを全然会計検査院は突きとめていないんですよ。この段階ではもう三千六百万円の設計書、見積もりでこれはやったことになっているわけですから、その点は問題ありませんけれども、そういうことならばそれでいいんだが、ただ問題になるのは、私は国の金が市へ入って、市から今度は事業者へ行って、事業者が不正があったからといって国へ返してくる、その道筋の中で、事業者が市には金を返さないで、市が国へ金を返したというところに問題があるのですよ。じゃ事業者から自治体へ金が返らないのに市がその金を返したということになったら、市はその金をどこから調達したのか。ここで出てくる疑惑は、国から出た金は市長の手元にとまっておって、市長からは事業者に三千六百万円しかいかなかった。それで五百四十万円という金は市長がふところに入れておったのだ、そこへ事件が起きてきたから市長はその金を返してきたということになってくるのです。ところが実態は市長が必ずしも返したのじゃなくて、事業者から市へ返しているのですよ。しかしその事業者から返している金の行き方が、寄付金という金で返しているからいけないというのだ、ぼくは。寄付金という金で返しているというと、ただ事態を収拾するための道筋を埋めただけじゃないというのですよ。市に対して五百四十万円もの寄付金ということは、これは大口な寄付金ですから、国は褒章規定によって紺綬褒章をこれに与えなければならなくなってくる。何べんも言うように、どろぼうに追い銭どころでない、これを表彰するという形になってくるという、政治の筋道が正せなくなってくるんです。会計検査院は、少なくともこういう問題に対して注意を喚起しなければいけないんじゃないか。この事実はわかっている。私は憶測で言っているんじゃないですよ。事実はもうそれを引き受けた補助事業者から国に対してその金は返ったんでしょう、返った筋道はそうだということまで、私は善意にあなたに教えているわけですよ。そこまでわかっているときに、なぜ会計検査院はその点を突きとめようとしないのか、やはり会計検査院はそういう問題をやらなければいかぬですよ。それでその権限はないというけれども、そんなことはないはずですよ。会計検査院法の第三十二条の弁済責任検定及び弁済命令というのがあります。これの第四項の中では「その検定が不当であることを発見したときは五年間を限り再検定をすることができる。」となっているじゃございませんか。このときの検定をする場はどこまでいくのです。これは結局市までいくだけで、事業者の受け取りあるいは支払いという問題は全然ノータッチなんですか。事件のない場合ならけっこうですけれども事件がかくのごとく出てきているときに、まだそれでもなおかつ、会計検査院はこれにタッチすることはできないのかどうか。補助金等に係る予算執行適正化に関する法律の第二十三条の立ち入り検査は、第二条に規定されたところのいわゆる補助事業者あるいは間接補助事業者に対してまで、これを適用するための立ち入り検査ができるようになっております。この補助金に対する適正化法律規定しているその問題に会計検査院は全然ノータッチであり、あるいはこれに許されているものまでも会計検査院はおれの権限じゃないからというのでそこにいかないのですか。そこらのところ、ひとつ会計検査院長からはっきりした答弁をいただきたいと思う。
  48. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 ただいま会計検査院法補助金適正化法のお話でございます。補助金適正化法の立ち入り検査、これは当該主務庁がやるのが原則でございます。会計検査院といたしましては、実地検査の際に補助金の交付先の現場を見るということは、先ほども申し上げましたとおり、これは普通やっております。しかしそれは補助金適正化法の規定によってやっておるわけではございません、会計検査院検査ということで現地の実地検査を昔からやっておるわけでございます。  それから会計検査院法の三十二条でございましたか、いまの再検定、これは実はちょっと本件の場合には適用がないのでございます。これは出納官吏の弁償責任に関する規定でございます。出納官吏が取り扱いました現金につきまして再検定をする場合がございます。本件の場合には出納官吏は全然関与しておりません。防衛施設庁の支出官から普通の支出と同じような方法で国の金を交付しておりますから、これは全然検定とか再検定とかいう問題は関係がないわけでございます。どうぞひとつ……。
  49. 石野久男

    石野委員 そうすると、防衛庁におけるところの出納担当官がそれをやったから会計検査院としてはノータッチである、こういまおっしゃられた——そうじゃないですね。そこのところをもう少し……。
  50. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 国の金を支出する場合に、支出官から直接払う場合と、支出官が出納官吏に現金を交付いたしまして、出納官吏から払う場合と、この二つの方法があるわけでございます。会計検査院はこの両方とも検査しているのであります。本件の場合は、これは出納官吏は介在いたしません。支出官から直接に払ったわけであります。これはもちろん検査をいたします。先ほど仰せになりました三十二条の規定というのは支出官のほうには関係ございません。出納官吏だけの問題ですが、決して本件を会計検査院検査をしないということにはならないわけでございます。
  51. 石野久男

    石野委員 会計検査院法の三十二条の適用はここではないのだということ、それはよくわかりました。しかし、支出官に対する会計検査官の検査はしなくちゃいけないわけです。これに関連していまのような事態が出てくるわけです。そのことを実際に検査するということになれば防衛庁だけではだめなんですよ。防衛庁の支出官だけではだめなんでしょう。それはどこまで調べていくのか。それを調べるのに事業体とか、いわゆる補助事業者だとかあるいは間接補助事業者は、全然会計検査は手を入れなくても調べられるのですか。
  52. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 いまのお話でございますが、補助金の受給者というようなものの検査ということは非常に重要なことでございます。大きな金が参りますから。で、会計検査院で指定を特にいたしましたり、あるいは指定しない場合でも支出官の検査の延長、こういうことで現場へ行っておるのが多いのであります。これなんかも相当金額も大きゅうございます。先ほど申し上げましたように私ども実地検査には行ったわけでございます。ただ、こんなに安くできているというふうには、そういう認識は持たないで帰ってきたわけでございます。
  53. 石野久男

    石野委員 もう一ぺん確かめておきますが、会計検査院はこの事件については末端におけるところの補助事業者あるいは間接補助事業者というものにまで監督検査をする、またしなければならぬ、そういうことでございますね。
  54. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 本件の場合を例にあげますと、勝田市の検査は十分いたします。また、しなければいけないわけでございます。ただ、請負人のところまで入っての検査という段階になりますと、ちょっといまの会計検査院ではむずかしいのじゃないだろうか、こう考えます。
  55. 石野久男

    石野委員 市まで行けばわかるというように非常に有能な官吏がおられるのかもしれませんけれども、それでできますか。
  56. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 こういう事業主体まで参りますと、現場も見ますし、長い間の経験もございますし、大体わかるのでございます。これのようにどうも一割五分も——実は私も非常に意外で、こんなに安く一体できたのだろうかということをかなり疑問には思っておりますが、本件の場合でも市までは検査はしたわけでございます。
  57. 石野久男

    石野委員 市までやったことは何べんも聞いているのですよ。しかし、あなた方が行ったけれども、間違っておったのでしょう。それでもまだ会計検査院としては、自分たちのやったことについての反省はないのですか。私の言いたいことは、いままでのようなこういう明らかになってきた事実が市でもわかるなら、私はそれで黙ります。だけれども、市まで行って、あなた方がいいと思ってきたところが、一年たったら間違いでございましたということで、しかもそれがすったもんだでまだ係争中ならともかくも、あっさりと現場では五百四十万円の金をつくって国へ返してきているのですよ。そんな事実があるということを会計検査院は目の前で見ていながら、こんなおかしい、おかしいということじゃどうにもならぬでございましょう。だからこれはあなた方会計検査院としてやるべきこととしては、市まで行っただけじゃだめだということなら、これはどうしたって間接補助事業者というものの実態も調べてみなくちゃいけないと思うのですよ。
  58. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 いまおっしゃいましたいわゆる間接補助事業者と申しますか、これは市でございますから、工事をやりました者のところまではいまの制度ではちょっとむずかしいことになるわけでございます。
  59. 石野久男

    石野委員 あなたのほうは検察庁じゃないのだからということを何べんも私は申し上げておるので、そこまでのことは言いません。しかし金の行き道というものはとことんまで調べるというのが会計検査院の任務だろうと私は思うのですよ。途中までいった、そこまではわかったけれどもあとはおまかせしますというようなことで、間違いなければけっこうなんですよ。だけれども補助金というものは市に行くけれども、それは法規上は市が受け入れれば、間接補助事業者になっているのかどうか知りませんが、そこまでは行くけれども、その金が入札とか何かであやまったものが出て、しかも事件が出てきている。現実には事業者から金が返る形になったわけですよ。返る形になったのだけれども、実際にそれでは会計検査院は、この五百四十万円という国から出た金がすなおに戻ってきたというようにお認めなのでしょうか、どうでしょうか。そこをひとつ聞きましょう。
  60. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これは最初お話し申し上げましたとおり、三月八日でございますが、市の議会の議決を経てこれを返納しているわけでございますので、やはりどうも、私どもとしては勝田市から国に返したと、こう実は認めざるを得ない、こういうのが実情でないか、こう考えております。
  61. 石野久男

    石野委員 会計検査院は、国から出た金がたとえば県におりて、どういう形のものが県でとまるか知りませんが、県でとまって、その金が不正があった、それでその金が市や町にふんだんにばらまかれて不正があった、そういう事実があったとき、県から国へそういう金が返ってくれば、もうそういう事実についての突きとめは全然しないで、ほっておくのですか。
  62. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 ほかの例のお話のように伺いますが、これはやはりそれぞれの実際に問題が起きたときに考えるほかないのじゃないでしょうか。いまの勝田市の場合は、これはどうも勝田市が防衛施設庁、国に返してきた、こう認めざるを得ないと考えております。
  63. 石野久男

    石野委員 私はそれではあらためてお尋ねいたしますが、防衛庁から出た金は、確かにあなたのおっしゃるように市の議決を経て返ってきているのです。これは多数決を無理につくってそうやったのですから、反対もたくさんありました。たった一票差ですよ。議会の中では一票差できまっているものです。あなたはそこまで知っておりますか。まずそこを聞きましょう。
  64. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 その辺の事情は私存じません。三月八日に市の議会が返すという議決をしたということは聞いております。
  65. 石野久男

    石野委員 実態はそういうことなのです。市の中ではものすごい反対があったけれども、それを強引に一票差できめてきたわけです。だから一般の市民の声ではないのです。結局もっと端的に言うならば、そういう不正を働いた者が、これをなるべくあなたがいまおっしゃるように事業者のところまで行かないようにするためにこれをやったわけなんです。そういう形で出ました。ここで会計検査院長はもう聡明にもおわかりだろうと思いますが、国から出た金が自治体に行って、自治体から仕事をさせるのですからね。市長なり市会がやるのではないのですから、仕事は建設業者に行っているわけです。建設業者に行くということになれば、国の金は市でとまっているのですか、その建設業者まで行くのですか、どうなんですか。
  66. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これは実質的には当然国の金がそのまま行くわけでございます。しかし形式的には国が市に交付いたしまして、市は自分の金と一緒にしたり、あるいはそのまま市の金として工事請負人に交付するわけでございます。
  67. 石野久男

    石野委員 お尋ねいたしますが、会計検査院長は形式が整えば実質はどうであってもよろしいのですか。
  68. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 決してそういうふうに考えておりません。ですが、いま申し上げたのは、形式的な実態について申し上げたわけでございます。
  69. 石野久男

    石野委員 会計検査院長は会計検査をするにあたって、それぞれの会計検査院検査官に対して、形式が整えば実質はどうでもいいから、そういうようにしなさいという指示をしてこれを検査させておりますか。
  70. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 どうもそういうことは一向にしたことはございません。もちろん国の金、国民の税金というものが行くという考え方で全員を指導しております。
  71. 石野久男

    石野委員 その場合、形式が整えば実質はどうでもよろしいというふうに指示をしておりますか。
  72. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 先ほども私、別に形式が整えば実質はどうでもいいという意味で申し上げたのじゃないのでございます。形式はそういう形でいくんだ、こういうふうに御説明したつもりでおります。
  73. 石野久男

    石野委員 会計検査院長は事実を突きとめるように指示をしておりますか。
  74. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 そのとおりでございます。
  75. 石野久男

    石野委員 本件の場合、事実を突きとめるように処置させますか。
  76. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 本件の場合、結局寄付という形で請負人から市に入ったということまでは、どうもこれはすでに発生した事実だと思うのでございますが、それを変えろということも、ちょっといまの段階では言えないのじゃないだろうか、こう思います。市の議会の議決は一票差だったかもしれませんが、ともかくも市議会の議決を経て国に返した金でございますから、これはそのままやはり認めざるを得ないのじゃないだろうか、こう考えております。
  77. 石野久男

    石野委員 非常に重大だと思うのです。私がいま言っているのは、寄付がいいとか悪いとか言っているのじゃないですよ。事業者が寄付するのはかってなんですよ。よろしいんですよ。寄付したっていいんですよ。私が言っているのは、国から出た金を返させなさいというのですよ。それをなぜやれないのです、あなたは。その事業者が市に寄付したのは、本件事業に関してじゃなくて、いままで何べんか市からいろいろな恩恵を受けてもうけさせてもらっているから、こういう悪いことをしたのは悪うございましたというので、その五百四十万円は防衛庁の金とは別個の形で寄付したかもしれませんよ。だから、私は事業者が市に対して寄付するのは一向差しつかえありません。しかしここで必要なことは、会計検査院長がやらなければならないことは、防衛庁から出た金が市に行き、市から事業者に行った、その金が戻ることなんですよ。もっと言うならば、防衛庁の金が形式的にも返還金として市に返らなければいけないということを言うのですよ。それができないのですかというのですよ。それをやらさないのですかというのですよ。寄付金だから、もうやっちゃったんだからいい——この事件は、私はたまたま寄付金という問題を言いましたけれども、率直にいいますと、実際には寄付金の問題は関係ないのです。だから、もっと端的にいうならば、事業者から市に対して金は返っていないのです。それでもいいのですかというのですよ、あなたに聞くのは。
  78. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これはどうも、いまの市議会で五百四十万円というものを国に返す、本件の工事費のよけいもらっている金として返す、こういう議決をして国に返した金でございます。ですから、どうもこれを返っていないというふうに見るわけにはちょっといかぬのじゃないだろうかと思います。
  79. 石野久男

    石野委員 国へ返った金は返ったということを私も認めているので、何も返っていないとは言っていませんよ、国へは返っているんだから。それは市から返っているということだけは私は認めているのですよ。だから、あなたもさっき認められたように、国から出た金は市へ行って市でとまっているものではなくて、事業者へ行っているということなんでしょう。そうして事業者にまで金が行くことを認めるのが会計検査院の仕事なんでしょう。市まで行きさえすればもう金はどこでどういうように使われてもかまわないというものではないでございましょう。一応形式としては市でとまっているけれども、その金がどうなっているかということについて調べるからこそ、入札書を見たり設計書を見たりするのでしょう。設計書は市のものじゃありませんよ。事業者のものですよ。入札がきまってしまえばあるいは市の所管で管理することになるかもしれませんが、その提出するのは事業者だし、契約がきまってしまえば、その採算の問題は、損したり得するのは事業者であって、決して市ではありません。だから、会計検査院長としては、市から返っていることは認めている。私もあなたも同じです。だけれども、私の言うのは、国から出た金が市へ行き、市から今度は事業者へ行ったときに、その事業者から市に返っていない。市はほかで調達した金を国へ返したのだ。そういう事実がわかっているのに、会計検査院はその問題については突きとめようとしないのかということです。あなたは先ほど事実を突きとめるとおっしゃったでしょう。これを突きとめなければ事実は突きとめられないじゃないですか。市と業者との間の不正があったり、あるいはそういうような事態がいろいろな形で、形式的にはそういうことではないけれども、実質的にはそういうものがある場合に、それを突きとめないなら会計検査院なんてものは要りはしないじゃないですか。私は院長に命令をしろとかなんとかいうことを言うのではないのですよ。会計検査院のつとめとして、事実を事実としてあばき出すという仕事があるはずだと思います。なぜその事実を事実としてあばき出す仕事をやらないかということを言うのですよ。ちゅうちょする必要も何もないじゃないですか。そんなわかり切ったことをなにしておって、あなたはそれでは市というものを信用するのですか。あなた方が先ほど検査を終えてきたといわれるところの事業費四千百四十万円は正しいものだと思ってきた。ところが、一年たったら五百四十万円は余りましたから返しますというような事実が出た。しかしあれは余ったのではございませんよ。事実は不正入札をしておる。入札書を破棄しておるのですよ。最低入札からその上と上と三枚の入札書を破ってしまったのです。破ってしまって落札の値段が出てきておる、会計検査院はそこを知っておるのですか。それではまずそこから聞きましょう。
  80. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 破ったというようなことは会計検査院としては全然わからないわけでございます。そういうことはもちろんこれは知っておりません。
  81. 石野久男

    石野委員 先ほどあなたは施設部長答弁を聞きましたか。施設部長はそれを廃棄したということをここで言ったでしょう、あとで事がわかったと。そのとおりなんですから……。支出した当局がやはりそういうことを受けてそとで残金返還要求したわけなんですよ。だから、そういう事実がわかっておるときに、会計検査院としては、自分たちのやったことの誤りといいますか、行き届かなかった点をやはり改めるようにすべきじゃなかろうかと私は思うのですが、それもしないのですか、どうですか。やはりそれを改めていけば、こうやりこうやりしていかなければならぬ順序が出てくるはずだと思うのですよ。それを私はいまからでもやってもらわなければいかぬじゃないかと言っておるわけです。
  82. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 先ほども率直に申し上げたつもりでおりますが、私ども検査というものが、八月に実地検査をいたしまして、これでいいということで実は済ましてしまったわけでございます。したがいまして、これは三千六百万円でほんとうに仕事ができたということになりますと、さっき申し上げましたように、本件はもちろんですが、私どもとしても、将来……。(石野委員「将来はいいよ。本件について」と呼ぶ)本件については実は会計検査院として確認してしまったわけでございます。三十九年度の支出でございます。これはもう検査報告をつくって御報告しておりますが、いわば確認してしまったわけでございますから、これをまた問題にするということになりますと、いままでの行き方からまいりまして、ちょっとできないのじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  83. 石野久男

    石野委員 私お尋ねしますが、人にはみなあやまちがあると思うのですよ。確認したということから、現実にはもうあなた方の確認と全然違った事実が出てきているのに、それでも改めようとしないのですか。虚偽の報告を改めようとしないのですか。
  84. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 会計検査院の現在の制度からまいりましても、かりにこれが三千六百万円でできたということを調べましても、またあらためてこれを批難するというようなことは、ちょっといまの制度では、調査はいたします、できるだけの調査は、将来のあれにもなりますから、いたしますが、これをまたあらためて三十九年度以後の検査報告に書くということはちょっとむずかしいのではないだろうか、こう考えております。
  85. 石野久男

    石野委員 委員長、これは非常に重要だと思うのです。会計検査院は、法令によりますと内閣のなにでございますが、責任が出てきますけれども、やはりこの際総理大臣に来てもらわなければ困ると思うのです。これは小さな問題ではございません。国の支出の問題についてあやまちがはっきりしておるのに、会計検査院は国へ報告したからもう変えられないというようなことであるならば、やはり会計検査院法も変えなければなりませんし、国の法律も、私はこういう問題についてもう少し法律の勉強をしなければいけませんが、これらはみな変えなければいかぬと思うのです。こんなことなら会計検査院はあやまちを改めることができない、全く硬直したものです。まずいと思うのです。これはとにかくこの際総理を呼んでもらいたいと思うのです。  会計検査院長にもう一ぺんお尋ねしますが、中根小学校工事についてあなたは報告をしたけれども、五百四十万円という金が防衛庁に返ったという事実は知っておりますね。
  86. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これは、先ほど申し上げております三月八日の市議会の議決によりまして、国に返っております。
  87. 石野久男

    石野委員 会計検査院の昭和三十九年度の報告の事実は間違っておったということも承知しておりますね。
  88. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 間違っておったと言えるかどうでしょうか。
  89. 石野久男

    石野委員 間違っておったというのは直します。会計検査院の報告した、この中根小学校防音工事に対する補助金の問題は、適正に利用された、こういうふうな報告をしているわけですね。あなたのほうは間違いがございませんという報告をしている。それが現実には全然違ってきたというこの事実は、あなたはよくお認めでございますね。
  90. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 その問題は、先ほど申し上げましたように、実地検査に参りましたし、書面検査も当然しているわけでございます。それについて会計検査院としては何もこの検査報告は出しておりません。
  91. 石野久男

    石野委員 それならば、報告は出していなければ、いまだって間違ったことを直すことは一向に差しつかえないじゃないですか。
  92. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これは昔から決算の確認、あるいは確定といった時代もございますが、決算の確認、確定ということをやっておるわけでございます。それで、一度検査報告をお出しいたしますと、あとで新しい事実が見つかりましても、その調査はいたしますけれども、またあらためて確認した決算の内容というものにつきましての批難事項というものは出さぬ。調査は、会計検査院としても反省しなければいけない事態が多うございますから、十分な調査はいたします。ですが、検査報告に書いて批難するというようなことはやらないということにしております。
  93. 石野久男

    石野委員 決算についての確認、確定が行なわれた場合に、それをあとから批難するような事項はやらないんだ。これは法規上そういうふうになっているのか、私もちょっとここでは勉強が不足でございますから、そういうふうになっているとすれば、それはそうかなと思いますが、問題は、ことにこの問題については報告の文字にはなっていなかったということですね。それであるならばなおさらのこと、確認事項でありましても、あやまちがあったら改めなければいかぬし、また改める方向への指導もしなくてはいけない、こういうことだと私は思うのです。その指導なりあるいは改める行為なりというものを会計検査院がやるべきではないか。それを怠るということは許されないだろうと私は思うのですが、それはどうですか。
  94. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 いま申し上げましたように、会計検査院でまだ検査が済まぬというものは未確認事項として会計検査報告に載せて御報告いたします。未確認の分については、これはまだ検査が済まないわけでございますが、それ以外のものは、いま申し上げたとおりに、何か問題が起きますと調査を十分いたします。先ほど申し上げましたように、会計検査院としても、いわば一つの見落としみたいなものでございますから、将来のためにも十分にこれを調査しなければいけないわけでございます。ですが、検査報告にはあげないという方法をとっております。本件の場合につきましても、それが言えるわけでございます。これも先ほどからたびたび申し上げましたように、私ども検査態度としても、こんなに差が出るようなものは、これからも行なわれるわけでございますから、設計の内容とかそういうものについても十分に調査しなければいけないわけでございます。もちろん本件につきましても、調査はすぐするつもりで、そういうふうに課長あたりに、局長も来ておりますが、指導するつもりでございます。
  95. 石野久男

    石野委員 会計検査院長に誤解があるといけないから、理解しておいてもらいたいのですが、私がここで質問していることは、ある特定の人を非難しようとか事業体を非難しようとかいう意味でやっているのではございません。あくまでも国の財政支出なるものは適正に利用され、それはだれが見ても納得できるような形で処理されなければならぬ、こういうたてまえから、それを途中でいろいろはばむものがあったり、よこしまにひん曲げるものがあるような場合は、それはやはりたださなければいけないと思っているのです。そうして本件の場合、工事における不正事実があって、それは返すことは返すんだ。返すことは返して、上のほうではうまくいくけれども地元ではなるべくそれを隠そうという意図がここにあるわけです。そのことのために利用されたのが寄付金という形でされてきている。これはよくないと私は言うんです。こういう形が各所に利用されたら、国の財政は紊乱してしまう。不正はどんなにでもやれるということになる。それを防ぎとめるために、そういう道筋というものをどこかで断ち切っておかなければならぬし、またそれにきびしい注意を与えておかなければいかぬと私は思う。先ほど院長がお話しになった本件の事件は、この種のものとしては非常に大きな間違いなんです。とにかく四千百四十万円の中で五百四十万円という違いが出てきたんですから、こんなことが補助金の中であっちにもこっちにも出てきたらたいへんなことになると思う。だから、将来のための検査もさることながら、将来への戒めをするためには、本件の事実を徹底的に調べなければ、将来への戒めは出てこないと思う。そういう意味からいいますと、結局会計検査院は、市から金が返ったのだからそれ以上は手を加えられない。手を加えなかったらどうするんですか。市から下の事業体まで会計検査院が再検査をしなかったらどうなりますか。あなたは何をもって他に範を示すことができるんですか。現実に出た場所でのあやまちがこういう形で出てきたのだということを突きとめないで、どこにどういう注意をし、勧告をするんですか。やはりここでやらなければならぬことは、市に行ったものについて、検察庁的な立場での調査ではなく、会計検査院の本来の任務を遂行するためにも、事業体と市との関係はどうなっておったのかということを調べなければいかぬのではございませんか。それを調べなければ、将来への戒め、将来へのあなた方の教訓は出てこないのではないですか。いかがでございますか。
  96. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 先ほどからいろいろ申し上げておりますように、調べないということを申し上げた覚えは決してございません。もちろん私どもとしても徹底的にできる範囲の調査をしなければ、将来の会計検査のためにもよくないので、いたします。  ただ、先ほど申し上げましたのは、一応金が、市の議会の議決を経まして、正当に入っておるわけでございます。それを申し上げたのでありまして、調査という点になりますと、これはもちろん会計検査院としてこういうものをほっておくことはできないのでございます。十分な調査はいたします。
  97. 石野久男

    石野委員 国へ返っているから、国損が出ていないし、会計検査院としてはそれでいい、いまこう思っております、またその金はどういうふうに調達されたか、そのせんさくはしなくともいいだろうと思っておりましょうが、これは調査してください。調査すれば、いまの御認識と違って、これは多分寄付金が充てられたんだろうということがわかってくると思うのです。これは私も寄付金だとは言いません。結局一般会計から出ているんですから、寄付金とは言いませんけれども、この種のものは市の一般会計から出すべきものではないということなんです。そうでしょう。特定の目的的な支出なんですから、目的的な支出で不正が行なわれたものを、一般会計の中でその目的的なものを一般会計から出すというようなことになったら、住民はいつでも苦しまなければならない。だから、こういう場合には、会計検査院としては、やはり目的的な金の支出、それの使用を突きとめなければいかぬだろうと思うのです。私は、会計検査院長に、寄付だからいかぬとかということを言うのではございません。先ほども言いましたように、事業者が寄付をするのはかってですからかまわない。事業者から返却金を取りなさいということなのです。それをさせるように指導する必要があるということを言っておる。それでなければ道筋が通らない、こういうことを言っているんです。それはあなたがまだ調べておられないのだから調査すれば出てくると思います。だから調査してください。調査をして、そういう結果が、私が申し上げたことと間違っていたならば、間違っていたとあなたのほうから御報告を承りましょう。私の言っていることが間違いでなければ、やはり私の意見を取り入れて政治の道筋を正すようにしていただきたいと思います。そういう点ひとつ会計検査院長にはっきりした御意見を承っておきたいと思います。
  98. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 これはもちろん、私どもとしては検査で気がつかなかったことでございますし、十分な調査をいたしたい、こう思っております。
  99. 石野久男

    石野委員 けっこうです。      ————◇—————
  100. 原茂

    ○原委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  動力炉開発に関する問題調査のため、本日、日本原子力研究所理事長丹羽周夫君及び原子力燃料公社理事長今井美材君を参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 原茂

    ○原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
  102. 岡良一

    ○岡委員 質問の最初に、有澤原子力委員会委員長代理が先般高き栄誉を受けられました。原子力政策がわが国に始まってより、終始委員長として、また委員長代理として困難な草創の道を切り開いていただいた先生にとっては、当然のこととは思いますが、私どもも、ともどもに苦労を重ねてきた立場から、ここに心からお祝いを申し上げます。  きょう私がお尋ねをいたしたいことは、すでに御存じのように本委員会といたしましても、今後の動力炉の開発についてはかくあるべきであるという一応の方針を採択いたしております。したがって、これが軽視され、あるいは無視されることがあったのでは、本委員会としてもこれをこのままに黙視するわけにはいかないのであります。国会も終末に迫りましたので、この際、これらの点に関連をして若干のお尋ねを申し上げたい。  まず、お尋ねを申し上げたい第一点は、最近、動力炉開発臨時推進本部というものが設置されました。原子力委員会がすでに存在するときに、しかも、この委員会が私どもの意向に十分対応し得るような動力炉開発計画も決定をされましたときに、なぜこのような本部を設置する必要があるのか、この点、私は若干の疑義を持っておりますので、この点についてまず有澤委員長代理の御所見を承りたいと思います。
  103. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 動力炉開発につきましては、委員会におきまして、大体基本方針というものをいま内定いたしまして、これにつきましては、先般御披露申し上げたとおりでございます。  しかしながら、この基本方針は内定いたしましたけれども、この基本方針をさらに具体的なプログラムにブレークダウンしていく。これをやることがこの動力炉開発を進める上におきまして、実際上必要なことに相なるわけであります。そのブレークダウンをするにあたりましては、たとえば国際協力とかいうことになりますと、実際それぞれの相手の国と多少の下交渉というふうなものも始めなければなりません。それから予備設計に入るにあたりましても、どういうふうに人員を構成してこの設計に当たるか、こういうふうな具体的なブレークダウンとそれに伴う準備作業というふうなことが、すぐさま必要になるわけであります。ところが、本年度におきましては、予算は昨年にわれわれが作成したものでございますので、動力炉開発を進めるための必要な経費というものは計上してありません。そういう関係から、一つはそういう予備的な作業、あるいは基本方針の具体化、議論をもっと技術的にもよく詰めてもらわなければならない。そういうふうな作業を進めるということは、委員会自身が直接やることは適当でない。適当でないのみならず、とても能力が十分でないわけでございます。そこで、そういう作業をする必要があるわけでありますが、この必要な作業をどういうふうな形において遂行するか。まあ、基本方針にあります動力炉開発体制としての特殊法人ができましたならば、まっ先にそれができましたならば、その特殊法人が当然なすべき仕事でございますけれども、特殊法人はまだ設立されておりませんし、来年度の予算にこれを計上するように取り計らいたいと考えておりますが、本年度はとてもそういう仕事はできないわけです。しかし、本年度も何もしないで来年まで見送るというわけにもまいりません。一方ではそういう必要な作業を遂行する。他方においては特殊法人の準備がまだできていない。その時間的な間隙をどうして埋めるかというその埋めるための必要上、ここにいま動力炉開発臨時推進本部というふうな機構を設けまして、そうしてこれには委員会のほうから基本方針を示しまして、その基本方針に従って、さらにそれを具体化し、また準備的な作業をする。こういう仕事を臨時推進本部にしていただくということに相なったわけでございます。  その推進本部につきましては、御承知のようにこれを原研に置くということにいたしてありますが、その原研に置くという意味は、先ほどもちょっと触れましたように、まだ動力炉開発のための予算というものは、そのものとしては出ておりませんが、幸いに原研には本年度高速増殖炉並びに新型転換炉の調査費というものがついておりますので、その経費を使って、この作業、われわれが内定いたしました基本方針の具体化と並びにその準備作業というものを進めていただく、そういうことにいたしたわけでございます。  ですから、本来ならば、委員会がやるべきことかもしれませんけれども、委員会といたしましては、とてもそれだけの作業をすることが能力的といいましょうか、能力は人をかき集めればできると思いますけれども、十分にできないということを考えまして、そういう臨時推進本部を設けたわけであります。これには、したがって、いま申しましたように委員会のほうの基本方針というものが示されておりますし、また、その推進本部には委員二人が常に出席しておりますし、また局長も出席しておりまして、発言をするということに相なっておるわけであります。  以上のような考え方で推進本部を設置いたしたわけでございます。
  104. 岡良一

    ○岡委員 原子力基本法の中では、原子力委員会は「原子力の研究、開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し」云々と、いわば実施機関的な性格を持っているわけです。もちろん原子力委員会そのものはその能力が現実にはないということですけれども権限としては持っておられる。その下に原子燃料公社があり、また原子力研究所があり、そういうようなものの趣旨、また、これまで動力炉懇談会等で民間のユーザー、メーカーにおいても企画し、また丹羽理事長を団長として海外の調査をしたというような状態で、きわめて多角的に御活動をされて、調査研究をされた結果としての基本計画を立てられた。したがって、これがいまの御説明で私はむしろ有澤先生の御苦衷はわかりました。しかし、その最終的な責任はやはり原子力委員会にある、かく思うのでございますが、この点についての御所信を承りたいと思います。
  105. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま臨時推進本部の委員の方々は原子力委員会がそれぞれ委嘱をいたしたわけでございます。そして、そこで決定されましたことは、むろんわれわれがこれを了承するという形になります。ですから、そこでの決定につきましては、先ほど申しましたように委員も参加しております。したがって、そこで決定されたことにつきましては、それを了承するという限りにおきましては全部責任をわれわれが持つということになります。
  106. 岡良一

    ○岡委員 この推進本部の設置について云々という刷りものを見ますると、この人事構成については動力炉の開発に関し学識経験を有する者六人、これは電力業界から二人、メーカーから二人、学界から二人、そして日本原子力研究所理事長の丹羽さんが議長となられ、原子燃料公社の今井理事長も御参加になられる、こういうことになっている、すでに人選も委嘱が済んだと聞いておるのでございますが、どのような方々を御委嘱になりましたか。
  107. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 臨時推進本部の委員は、いま委員長丹羽原研理事長、それから公社からは今井理事長、それから電力界といいましょうか、ユーザーのほうからは関電の加藤副社長、それから東電のほうでは田中常務、それからメーカーのほうといいましょうか、メーカーのほうからは三菱原子力の妹尾社長、それから日立の清成副社長、それから学界のほうでは、これは動力炉開発懇談会のとき高速増殖炉並びに新型転換炉のそれぞれのワーキンググループを設けましたが、そのワーキンググループの主査になられた方で、一人は電気試験所長の山田さん、それからもう一人は東大の大山教授、それに私のほうの委員会からは武田委員と青木委員、これが常時出席する、こういうことになっております。それからもう一人、原子力産業会議のほうから副会長の松根さんがそれに加わっております。それで都合九名であります。
  108. 岡良一

    ○岡委員 いまお聞きした顔ぶれでは、まことに率直に過ぎるかもしれませんが、ここにうたってある動力炉の開発について学識経験あるという資格に該当し得ないような人がいるような気がします。もちろん民間の電力業界にいたしましても、原子力発電に非常な熱意を持っておることは、私もよく存じております。したがって、電力業界の方が参加されるととも、別に私は否定するわけではございません。しかし民間企業の立場から熱意を持っているということと、この新特殊法人がいよいよ業務を開始するまでに至る間、ここにうたわれておるような各種の、いわば原子力委員会が決定をされた高速増殖炉、新型転換炉開発の実施方法、国際協力の実施方法その他の任務にたえていかれるという人は——率直に申しまして、この人事は私は利益代表的な分子を含んでおる。これが偏見であれば幸いでございますが、そういうようなことから日本の原子力政策が立てられ、ゆがめられてくるのじゃないか。単に原子力発電に対して民間電力業界が非常に熱意を持っておるからといって、それが直ちに学識経験の豊かなるものと認定することはできないと私は思う。こういう点、との人事構成は、これではたして推進本部に与えられた任務を全うするに十分な人事構成と先生は信頼をしておられますか。
  109. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 動力炉開発のための体制としまして、私どもがいま基本的な考え方といたしましては、動力炉開発というふうな大計画を遂行するにつきましては、日本の各方面にいる科学者、技術者の力をこれに結集する必要がある、こういうふうな考え方を基本的に持っております。ですから、この推進本部におきましても——特殊法人ができれば一そうのことでございますけれども、推進本部におきましても、やはりそういうものとして新しい発足をすべきであろう、この考え方が基礎になっております。その考え方に立ってみますと、今日原子力に関する知識経験、そうして見識を持っていられる方々は、いまあげましたように、原子力のユーザーとメーカー、それから原研、公社、それから大学、そういう方面にいられると思うわけでございます。そういう方面の方々をこの推進本部に結集をする、こういう考え方が土台になっておるわけであります。御批判のありました利益団体というふうにおっしゃられると、なるほど電力業界、それから機器メーカー、そういうふうなつまりユーザーとかメーカーとかいう方面が参加することになりますから、そういうふうな角度からも見られるかもしれませんけれども、しかし現実の問題としましては、メーカー、つまりエンジニアリングな問題、それからそういうものにつきましては、メーカーにも、ユーザーにもそれぞれの十分な経験と知識と、それから見識を持った人々がいると思うのです。そういう人々をこの体制の中に取り入れる、参加させる、参加してもらう、この体制をつくることが私は重要だと思うわけです。むろんいまあげました方々が一人で一〇〇%の力を発揮するということはちょっとできないだろうと思います。そのためにこれらの委員会の下に幹事会というものを設けまして、その幹事会はかなり大ぜいの方々になりますけれども、そこにはさらに一そうの専門家を動員いたしまして、その専門家のいろいろな調査、検討した結果といったものをこの委員会にあげまして、この委員会で十分審議の上判定を下していただく、こういう考え方に立っておるわけであります。ですから、考え方の基本が、日本の原子力関係の各方面にいられる有識者をここに結集をするというその考え方に立っているということを御了承願いたいと思うわけです。
  110. 岡良一

    ○岡委員 私どもの委員会で採択した進め方においても、メーカー、ユーザー、学界等も、すべてのいわば盛り上がる意欲を結集して、その全き協力の上に初めて動力炉の開発は進められるということがはっきりうたってあります。でありますから、そういう観点からお進めをいただくことはけっこうでございますが、しかしこういう重要な推進本部にいわば非常に多忙な一流会社の社長のような人たちを並び大名のように顔をそろえられるというだけでは、はたしてこの重任にたえられるかどうか、少なくとも原子力委員会の期待にたえられるかどうかという点に私は一まつの不安を持つわけです。同時に、やはり何と申しましても民間企業団体の代表である以上、企業の利益というものがその意識の根底に存在し得るわけです。そこでの問題は、できたものをいまさらどうというわけにもいきますまいが、この際問題は、議長である丹羽理事長の大きな責任がある。これがあくまでも国策として、ナショナルプロジェクトとしての動力炉開発のための十分な推進機能を発揮し得るように、丹羽理事長としては重大な御決意をもってこの運営に当たっていただかなければならないと思いますが、この際丹羽理事長の今後の運営方針等についての率直な御所信をお伺いいたしたいと思います。
  111. 丹羽周夫

    ○丹羽参考人 ただいま御指摘がありましたように、たとえそれが半年か一年か知りませんが、原子力委員会が御内定になっておる御方針としてのいわゆる特殊法人というものができますまでに、いま有澤委員長代理がおっしゃいましたように、手をこまぬいて待っているわけにはいかぬ。御承知のように原子力、特に動力炉開発のごときは、文字どおり日進月歩で諸外先進国はやっておりますという関係もありますし、その他いろいろな理由もありまして、これも御賢察のとおりだと思いますが、一日もゆるがせにできない。したがって、そのいわゆる特殊法人というものができますまでにも、いま原子力委員会が御決定になった大方針、これは御承知のように非常に大きな点だけを御決定になっておりますので、そのそれぞれについて具体的に詳細に議論をして、進め得るものは一日も早く進めなければならぬというふうに考えまして、今回のような措置がとられたと私は解釈しております。したがいまして、御指摘のように、たとえそれが比較的短期間とはいえ、非常に重大なる使命を持っているというふうに考えます。  そこで、私の決意はどうだという御質問がありましたが、いろんな点がございますけれども、まず第一番にこの推進本部の議決を有効適切ならしめるために、いまお話がありましたように幹事会というものを設けました。この幹事会は非常に深い知識を持った、少なくとも動力炉については知識を持っておる人によって構成されております。私の考えでは、これは原子力委員会ともお話し合いをしましたが、幹事会というものはいわゆるテクニカルスタッフであるというふうに考えまして、原則的には、テクニカルな問題はまず推進本部の委員が議決いたしまして幹事会に諮問する、そうすると、幹事会はテクニカルなポイント・オブ・ビューでもっていろいろ議論して、そして案を推進本部へ提出する、そうするとそれによりまして推進本部はいろいろ議論いたしまして、それではここのところはこう直そうとか、あるいはそこのところはよろしいとかいうことで、最終決議は推進本部でやるというつもりでおります。  なお、いまの臨時推進本部の運営方針と申しますか、原子力委員会が御決定になったその書きものの中に、この推進本部の決定によって実行するものはとりあえずは原子力研究所である、と同時に原子力研究所はその事務局的存在になれというようなことが決定されておりますので、私はこのことあるを予期いたしまして、受け入れ体制を固めるために、相当以前から原子力研究所の職制を変えまして、そして本部の機構の一つといたしまして動力炉開発計画部というものを設けまして、これは推進本部の庶務的なお世話もいたしますし、また幹事会の庶務的なお世話もいたしますが、原研が決議によって実行しなければならぬということもありまして、テクニカルなお世話もするということにしております。そうしてこの原研本部の機構と申しますか、計画部の中には単に原研のみの人間では足らない、またそうしたほうがよいと思いまして、外部からもいろいろな方面から、ある人はフルタイマー的に、またある人はハーフタイマー的に御協力を願いたいというふうに考えております。そしてすべての衆知を集めるということにいたしたいと思っております。  それから、原研はその他にいわゆる実行機関として理事会もございますし、いろいろな部局がございますが、これもこういう大プロジェクトでありますので、ひとり原研だけのよくするところでもございませんし、またさようすべきでもないと思いまして、実施部隊と申しますか、その方面にも十分お話し合って、具体的にまだおいでは十分にはいただいておりませんけれども、これから着々と各界のほうへ折衝いたしまして、なるべく大ぜいの有能なる方々に、これはいろいろな形式が考えられますが、御協力いただくというつもりでおります。ともかくもたとえそれが半年か一年か知りませんが、ほんとうに御指摘のとおり大事な仕事でありますので、極力有効に慎重にやっていきたいというふうに考えております。  大事なことがたくさんございますけれども、とりあえず急いでやらなければならぬと思うことが二つ三つございます。そのうちの第一は、これもいつか申し上げたと思いますけれども、国際協力をやっていけという大方針がきめられておりますが、国際協力と一言に言いましても、たとえば新型転換炉にしたところで、大体国名をあげますと、イギリス、カナダあるいはフランスといったようなものが少なくとも三つある、それから高速増殖炉はすでに御承知と思いますが、昨年暮れイギリスの原子力公社の総裁のウィリアム・ペニーさんと原研とが高速増殖炉の理論的データの交換に関する協約を結びましたし、また最近は、これも御承知と思いますが、主として電力中央研究所がスポンサーになられまして、アメリカのエンリコ・フェルミのオキサイド・フュエルの開発研究にも参加する。また幸いにあの炉のループの一つを日本の研究に与えられましたので、日本でいろいろ考えてつくった高速増殖炉用の燃料の照射もしたいと考えておりますが、はたしてそれだけでよいかどうか、まだほかにもいろいろ考えられ、またやったほうがよいと考えられる国際協力的なこともございますので、それらを一体具体的に、いつ、どんな段取りと申しますか手段で一つずつ交渉して、成り立たなければその次のものに交渉するというようなことでよいか、あるいは並行的にやるがよいかというようなこと、これだけでもたいへん大事な問題でございます。と同時に、常識的なといいますか、そういう判断も必要な点が多々ありますが、技術的にもこの程度の国際協力ならばのみ得る、これ以上の条件ならばちょっとそれはやるのはおかしいというような科学技術的な判断もあります。そういうものは、ただいまそうしておりますが、いまの幹事会というようなところでいろいろ論議さしております。というようなわけで、申し上げますれば切りがございませんが、ともかくも、たとえこういう短い間かもしれませんが、ほんとうに大事なことを、ある部分は実行に移さなければならぬということを考えますと、ほんとうに大事な責任があるというふうに考えまして、私御承知のように原子力に関してはまことに貧弱な頭しかない人間でありますけれども、幸いにいまのお話もありましたように、いわゆる推進本部の委員の方々、これはほんとうに核物理的な深い知識を持っておられるという点では御指摘のような点もあるかもしれませんが、御承知のように動力炉の開発には、あるものについては半分以上メカニカルと申しますか、エンジニアリング的なアイデアも加えて判断しなければならぬ点も多々ございます。そういう意味ではたった一人を除きますと本部のメンバーはみんな技術者の方ばかりでございます。したがいまして、そういうようなことで、幹事会がいろいろ立案して提出いたします案については、相当程度まで御判断いただけ、御議論いただけるのじゃなかろうかというふうにも考えております。  その他、決意につきましてはいろいろございますが、ともかくも結論的に申し上げますと、極力有効に、また早く、間違いのないように、たとえ短期間といえども、十分に推進していきたいというかたい決意だけは持っているつもりであります。  まだ申し上げ足らぬ点があるかもしれませんが、とりあえずこんなことにさしていただきます。
  112. 岡良一

    ○岡委員 私は丹羽理事長は十分敬愛をいたしております。それはあなたが筋を通すという意味において古武士風な性格を持っておられるので、行く行く——ものはやはり最初が大事ですから、先ほども私が指摘しましたように、利益代表的な立場にいる者のその利益代表的な方向に推進本部の運営が引きずられていくことのないように細心な御注意を願って、大きなナショナルプロジェクトの推進の第一歩をほんとうにりっぱに踏み出していただくことを心から希望いたします。  ただ、そういう場合に、私情にわたるかもしれませんが、民間電力におられたときから原子力発電に非常な熱意を示しておられた、名前は申し上げなくても、現実にも原子力発電と取っ組んでおられる方があることは御存じのとおり。なぜこういう方々がその選に漏れたのであろうかというよな点に私は何となくものさびしい思いがいたします。しかし、これは私の私情でございますから、あえて皆さん方の責任を云々しようと思いません。  そこで、いま理事長が示された国際協力の問題でございますが、私は先般丹羽理事長が英国においてウィリアム・ペニー氏との間にドーンレーにおける高速増殖炉の情報的接触について合意に到達せられたということは、非常に歓迎をいたしておるのであります。しかし、東京電力がエンリコ・フェルミに関して技術者を派遣すると云々という問題は、これはこの推進本部のでき上がる以前の問題でございます。これは原子力国際協力といえども私は野放しにすべきものではないと思う。やはり計画的に動力炉開発を推進していくという場合においては、民間企業の自由な国際協力というものについては、ある程度まで計画遂行上必要な限度において、またそのワクの中でこれは進められていかなければならないと思う。そういう意味で、電力中央研究所なるものが、エンリコ・フェルミ炉について技術者を派遣するとか派遣しないとかいうこの国際協力というものは、一体原子力委員会が御承認になったものなのですか、あるいは事前にそういう打ち合わせもあり、御承認になったものかどうか。
  113. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 エンリコ・フェルミ計画に日本も何とかして参加したいということは、これは丹羽さんが団長で出かけられました動力炉開発の海外調査団の報告にも、高速増殖炉に関する研究について、特に照射孔というものは今日のところ日本が借用を申し出てもなかなかできない状況にある。だからできるだけすみやかに照射孔の借用といいましょうか、照射孔利用のできるような道を講ずべきである。たとえばという一つの例で、エンリコ・フェルミ計画への参加というものも指摘されておるのです。そしてたまたまこれは青木委員が特に関係もありましてエンリコ・フェルミの計画に参加できるような情報も伝わってきておりました。それで、委員会におきましても、何と申しましても高速増殖炉についての研究は、日本におきましては理論的にはある程度進んでいるかと思いますけれども、実験的な面におきましてはまだほとんど進んでいない。でありますから、このエンリコ・フェルミ計画に参加することによりまして高速増殖炉に関する一般の技術をみずから習得するとともに、さらにミックス・オキサイド・フユエルの生産と申しましょうか、並びにそれの利用という問題に参加することは、この際日本の高速増殖炉の開発を進めるのにきわめて必要であろうということが委員会のほうで審議決定されました。しかしだんだんエンリコ・フェルミ計画への参加について具体的に話を進めてみますと、どうもことしの半ばごろには早く取りきめないとその機を失するおそれがあるという事情が明らかになってまいりました。それで早く参加を申し入れしょうということになったのでありますが、しかし参加するということになりますれば参加料が必要になります。ところが参加に必要なお金というものは予算に計上してないという事情がありまして、われわれのほうもたいへん困惑いたしたわけでありますが、そのとき電力界から、自分のほうから考えてみても高速増殖炉の開発を促進するということはたいへん重要なことであるから、とりあえずそのお金の問題を含めて、このフェルミ計画への参加につきましては電力業界で何とかいたしましょう、その電力業界の話し合いの結果が電力中央研究所が窓口になりまして、そしてフェルミ計画への参加の交渉を始める、こういうことにいたしたわけでありまして、言ってみますれば、われわれのフェルミ計画への参加の希望をそういう形で実現していただいた、こういう関係になっておるということを申し上げたいと思います。
  114. 岡良一

    ○岡委員 アメリカにおける高速増殖炉の研究開発の一つの大きなセンターとしてのエンリコ・フェルミ炉のループの一つを特にわれわれが利用し得るという条件は、これはきわめて好ましい条件であることを私は否定するものではございません。しかし、これはやはりすでにプルトニウム研究所も設けられ、原研と燃料公社の共同研究もすでに数年前から進められておる事情もあり、したがって、こういう国際協力というものは、金がないので民間にゆだねるというようなことをしないで、これはまだまだ二十年先の実用化の問題であるし、いまはもうほんとうに基礎的な研究の段階であって、民間のリスクにゆだぬべき性質のものでもないのであるから、原研なり燃料公社なりがこの研究についての協力を持つ、これが私は正しい姿勢ではないかと思う。もともと動力炉開発懇談会における空気を見ましても、どちらかといえば新型転換炉については批判的であった電力業界がみずからおどり出て、私をして言わしむれば若干独走的な形で、エンリコ・フェルミ炉の方向に飛びついていくという行き方は、私は国策としての動力炉開発の道程においては正しい姿勢ではないのではないかと感ずるわけです。  そこで、いまお話をお聞きすれば、原子力委員会としてもそういう予算事情等もあってということでございますが、きょう委員会に私は青木委員の御出席を実は希望しておったのでございますが、そのエンリコ・フェルミ炉とのいわば協力について折衝をするということを大きなお仕事としてアメリカへ行っておられると聞いておるのでありますが、そういう事態でございますか。
  115. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 電力業界がおどり上がってフェルミ計画に独走的に推進をするというふうになったという御批判も、あるいは外から見ると、そういうふうな形にも考えられるかもしれませんけれども、委員会自身としましては、何かそういう形で国際協力は早くやらなければならないというふうに考えておりましたところに、先ほど申しましたようなフェルミ計画への参加という一つの関連がついたわけでございます。それがために、私どももかねがね考えておりました国際協力を進めるということは、日本における高速増殖炉の開発の準備といたしましてたいへん好ましいということで踏み切ったわけでございます。したがって、このフェルミ計画に参加する技術者といいましょうか、研究者というものは、十数名にのぼるかと思いますけれども、原研からも公社からも、それからできれば原子力局からも、そのほかメーカー、ユーザー、研究所、こういったような各方面からの人が、それぞれ二名とか三名とかいうふうに参加できるようになっております。別に電力業界またはメーカーだけの技術者が向こうに派遣されるというわけのものじゃない。そういう人選が行なわれることをわれわれはよく知っておるわけであります。  それで、青木委員は、そういうフェルミ計画への参加につきましての話し合いということもありまして、先月アメリカのほうに出張いたしておるわけであります。なお青木委員自身の希望では、この際自分自身としましても、アメリカ並びにヨーロッパにおける動力炉の開発状況をひとつ自分自身の目で見たい、調査もしたい、こういうふうな希望を持って先月出発されているわけでございます。
  116. 岡良一

    ○岡委員 その場合、青木均一委員というのは、このエンリコ・フェルミ炉に関する技術協力について今回アメリカで取りきめをなさることも可能なわけですか。そういうことも予想されるわけですか。
  117. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 青木委員はかねがね日本の電力業界の代表というふうな形で、昨年もそうだったと思いますが、アメリカの電力協会といいましょうか、EEIとたしか略語でいわれると思いますが、その大会に出席するということもありましたが、特にその関係は、エンリコ・フェルミ炉をやっておりますシスラーさんと非常に懇意なんでありまして、いろいろな情報がシスラーさんから得られるわけであります。私どもがいろいろな判断をするにつきましても、その情報がたいへん有益だったと思います。この五月でしたか、シスラーさんが日本においでになったときにも、その情報が間違いがないということが確かめられておりまして、たいへん有益だったと思います。そういう関係もありまして、シスラーさんとはたいへん懇意にされておりますので、アメリカに参りまして、シスラーさんとフェルミ計画への参加についていろいろなこまかいことを打ち合わせするということは、本人自身がそう申しております。が、しかし、契約をすぐ取りきめるということは私はないのじゃないかと思います。契約を取りきめるのはやはり本件の窓口になっておる電力中央研究所自身じゃないかと思います。
  118. 岡良一

    ○岡委員 私どもは、さっきも申しましたように、まだまだ将来の、先の長い問題であり、産業界にそのようなリスクを与えるということも考慮すべきだという観点から、取りきめについては、でき得るならば原研なりあるいは燃料公社なり原子力委員会なりが取りきめの当事者となってお進めを願いたいのであるけれども、相手方の事情もあるようでございます。少なくとも原子力委員としての青木さんのいわばサインによる取りきめというようなものであってはいけないと思う。またそういうことはあり得ないことだと私は思うので、この点は十分に御配慮を願いたいと思います。  それからもう一つの問題は、きょう実は新聞を拝見いたしますと、民間の企業がそれぞれアメリカのビッグメーカーと提携をして、いわゆる核燃料の加工を目的とした合弁会社を設立しようとする動きが顕著に出ておるようであります。単にそれはいま伝えられておる二つのものだけではなく、ほかのほうからも乗り出そうというような傾向があるとも新聞は伝えておるわけであります。私は、日本の原子力産業界がいわば五つばかりの原子力グループというものをつくって、それが競合して、いわば経済的には非常に大きなリスクを課されたという白書を拝見したことがあります。特に当分はいわば軽水炉の導入ということになるではありましょうけれども、といっても需要面というものには限度がある。したがって供給面においてこれを上回るようなものがどんどん設立されてくるというようなことになると、そのこと自体が圧力となって日本の動力炉開発というものがあるタイプに固定化されようとする危険が起こってくることは、有澤先生に申し上げるまでもないと思う。したがって、こういう事態に対してどのような配慮を持つべきであるかということも一つの課題ではないかと私は思うのです。ひとつこの点についての御所信を承りたい。
  119. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 日立、東芝とGEとの間の燃料製造工場を日本につくるといううわさはかねがねわれわれも新聞その他で承知しておりました。その点について委員会においても多少議論をしたことはありますが、何分にもまだその工場のスケールであるとか、要するに日本側の会社とGEとの間の契約内容というものが全然はっきりいたしておりません。これは外資の導入ということで、一方では、とりあえずは通産省の所管事項であろうと思いますけれども、委員会といたしましても原子力産業の発展ということとあわせて日本における核燃料政策、この見地から考えまして、たいへん重要な一つの事件であろうと思うのであります。まだ十分審議を尽くしておりません。具体的にはっきりした材料がなかったものでありますから十分審議をしておりません。今日の新聞では契約の調印が行なわれたというふうなことを拝見いたしましたけれども、その契約内容につきまして、われわれそれに基づきまして、いま申し上げましたわが国における核燃料政策の上からいって、どういうメリットがあり、デメリットがあるか、十分検討いたしたいと考えております。いまそれに対しましてこうするというふうには申し上げることができませんけれども、すぐさま検討するということを申し上げたいと思います。
  120. 岡良一

    ○岡委員 私ときどき申し上げてもおったはずですが、国産炉としてもいわゆる天然ウラン重水型がきめられた。また外貨収支の面から見ても、あるいはまた、プルトニウムに関する転換比から見ても、実質的にはこのほうが有利であるということもいわれておるというようなこともありまして天然ウラン重水炉というようなものをやはり取り上げる必要があるのではないかということは私もしばしば申し上げておったわけでありますが、いまこういうようにしてはっきり調印ができ、資本金の額がわかり、しかも重役の顔ぶれも決定をした。さらに二十一日に、三菱原子力工業とアメリカのウエスチングハウスとが提携して乗り出すということも発表した。そのほかまた住友原子力工業、古河電工というように次々とこういう事態が起こってくるということは——私は何も民間の技術提携をはばもうとするものではございません。ただ、しかし原子力委員会なり推進本部が今後進めていかれようとする計画に対して思わざる圧力を加えてくる危険がある。いわばそれをゆがめる圧力というものに転化し得る可能性がある。あまりにも大きな供給力を日本が成型加工について持ちますると、これは当然その需要としてのいわば軽水型炉という方向へいかざるを得ないような状態にいわゆる産業的圧力というものが考えられるので、こういう点はぜひ原子力委員会としても、また推進本部としても十分にひとつ御検討いただいて、そのような事態のないように、ぜひしていただきたいと思います。この際強く希望しておきます。  それからなお、これは私ある重要な外国との技術提携の際に知った経験でございますが、こういうようなものは、いま申しましたような事情からいって、やはり燃料公社が技術提携をして、燃料公社が成型加工に乗り出す。そうしてその燃料公社がいわばその産業においてある達成点に達したとき、それはサプライセンスで民間は幾らでもやれる。本格的な窓口はやはり燃料公社である。私は燃料公社法についていつか有澤先生たちと議論を申し上げました。何も原子燃料公社には独占権はないとはいうものの、しかしやはりこういうような成型加工の問題は燃料公社がまず技術提携をし、そしてそのサプライセンスで民間が乗り出してくる、そこに計画的な生産確保というものが可能なのではないか。それを野放しの形においてやろうとしても、これをコントロールするということは原子力委員会としても私はなかなかできがたいのではないかという心配をするのです。そういうように、燃料公社自体が「業務の範囲」の中にちゃんと「核燃料物質の生産及び加工を行うこと。」となっておるのだし、そしてまたその「設立の目的」においても、「核原料物質の開発又び核燃料物質の生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、原子力の開発及び利用の促進に寄与する」ということになっておる。窓口はやはりここにしまして、そして必要に応じサプライセンスとしてとって、それを民間企業の原子力グループの適当なものに行なわしめる、こういう方式をとるべきだと私は思うのです。私はそういうことは不可能であるかと思っていたら、調べてみると別に不可能ではないようだ。こういうふうに従来からの、いわばウエスチングハウスと三菱とか、ゼネラルエレクトリックと三井というようなそういう国際系列の中へ、日本のこれから出発しようとする重要な核燃料物質について、国際系列のワク内に入り込んでしまうということは、将来の国産的な動力炉開発という委員会の基本的なたてまえから見ても非常に危険なことではないかと私は思うのでありますが、その点について有澤先生はどうお考えでありましょうか。
  121. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 お説のとおり、燃料公社におきましてはそういう核燃料の製造加工といったようなものを十分できるたてまえにはなっておるわけであります。ですから、考え方としてはそれも一つの行き方だと思いますけれども、私自身の考えでは、原研はむろんのことでございますが、燃料公社のほうも、プルーブンになった炉であるとかあるいは燃料とかいうものにつきましては、もう民間にまかせてしまって、また民間におきましては、すでに日立あるいは東芝はGEと技術提携をしております。広い範囲にわたって原子炉並びに燃料についての技術提携が行なわれておるわけです。それですからそのプルーブンの原子炉並びに燃料につきましては、もう民間の手にゆだねまして、そして燃料公社におきましてはまだプルーブンにならないような核燃料の研究開発、それから行く行くは製造というところまで進んでもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。この考え方は、ある意味からいえば、法律上広くきめられております公社の仕事を狭めるようなことでありますけれども、公社がそういうふうに法律に書かれてある全部の仕事を全部やるということになりますと、そのために金が非常にたくさんかかる。われわれのほうからいうと動力炉開発計画というふうなまだプルーブンでない、これからいよいよ多くの研究開発をやって、そして新しい炉、新しい燃料あるいは燃料の使い方、そういうものの研究開発を十分にやっていかなければならないという実は事態にある。この時代におきましては、やはり公社の燃料の研究開発につきましてもそこに最重点を置いてやっていくべきでなかろうか、こういうふうに実は考えておるわけであります。それでプルーブンの炉の燃料に関する技術導入を公社がやる、そしてあとはサブコントラクターといいましょうか、サプライセンスでそれを民間に流したらいいじゃないかというお説でございますが、公社の仕事としてそれはやることはやれますけれども、しかしいま申しましたように、公社の仕事に対する重点の置き方は十分考えなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。  それからもう一つの点は、特定の燃料、たとえばBWRの燃料の技術導入を公社がやる、燃料だけの技術導入をやるということがはたして可能であるかどうか。やはり炉と結びついて燃料が考えられなければなりませんので、したがってやはり技術提携ということ、たとえばGEとの技術提携ということになりますれば、炉に関する技術提携とあわせてこの燃料の技術提携をやらなければならぬ、こういうことになりはしないかというように考えております。そういう面から考えてみましても、燃料の専門メーカーもアメリカにありますから、そのアメリカにある燃料の専門メーカーと技術提携を公社がすればできないこともないかと思いますけれども、しかしアメリカにおきましても、動力炉と燃料との一体化、新しい、つまり技術の進歩の先端をいっておるような原子炉、もうずっと過去のものになった原子炉についてはともかくとして、次から次へと研究の成果が織り込まれているような原子炉につきましては、その炉と燃料とがやはり一体化されておりまして、その新しい原子炉の燃料はアメリカでも燃料専門のメーカーの手にはなかなか落ちないというふうにいわれております。そういう観点から申しますと、プルーブンになった炉並びに燃料につきましては、これはもう民間にまかせる。そして公社におきましてはもっとまだプルーブンでない、これから国の要請として開発をしていくその面に、燃料なら燃料の面に最大の力を入れてもらうという方向にいかなければならぬのじゃないか、こういうふうに実は考えておるわけであります。一つは、なるべく、たくさんかかるお金を国の要請に最もこたえる点に注入をいたしたい、こういうことが基本的にあります。  ただ、先ほども申しましたように、プルーブンタイプになった燃料につきましても、わが国の燃料政策の上から、必要ならばその規制を加えなければならぬ、これはあると思います。その規制を加えるのに、必ずしも公社が自分で技術導入した上でなければ規制を加え得ないというものではなかろうと私は考えております。したがって燃料政策の見地は、これは別の立場、別の観点から考えていく、そうして公社自身の仕事といたしましては、いま申し上げたようになるべく国の要請に最も重点的に仕事を進めていく、こういうふうにいたすべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  122. 岡良一

    ○岡委員 予算が足りないからと言われると、われわれ予算を議決する国会の責任になってきてしまってどうも相済まぬわけでございますが、ともかく私は、有澤先生が言われるように、原子炉と燃料というものはやはり不可分なものであると思っておりますと同時に、またプルーブンタイプについてはやはり民間にゆだねて国産化をはかっていくということも必要である。ただ技術導入を通じて国産化をはかっていく場合、従来のように民間企業にのみこれをゆだねておった場合には、真の意味の国産化がはかれるかどうか。原研と原子燃料公社とはお隣同士にあって、やはり原研の炉も取りかえ燃料が必要ならば、その中には濃縮ウランもある、そうすれば原子燃料公社はこういう小規模な必要とする取りかえ燃料等について、まず向こうの専門メーカーとの間に技術提携をやり、そしてその技術をせいぜい民間のメーカーも原研に研究者を出向させて、そしてまず国産化の筋道を公につけていくことが大切ではないかと思う。これを野放しで、どんどんあちらにもこちらにも競合で成型加工の合弁会社ができるというようなことを野放しにするよりも、順序として私はいま申し上げたような方向が妥当ではないかと思うのですが、この点今井理事長先ほどから思案投げ首のかっこうで腕組みをしておられますが、あなたは率直なところどう思われますか。
  123. 今井美材

    ○今井参考人 いままで委員長代理が御説明いたしましたような方針で私どもはやってまいりました。その点から申せば、私どもが今日主として力を入れておる、重点的にやっておるという点から申しますれば、再処理並びにそれから出てきますプルトニウム燃料というものについては、これこそ新しい技術でもあるので、特に両三年来もっぱらそれに努力を傾注してまいりました。たまたままことにインタイムに設備をつくっていただいたと思うのでありますが、それは動力炉開発の中でも高速炉の燃料はプルトニウムでございますので、このことについては特段の努力をいたす。また民間がこのフィールドについてはいままでのところ格別の関心をお示しにならない、またなっていなかったフィールドでございますから、何らトラブルなく、トラブルではなく、国の重点的な方針にのっとってやるべきものであると思います。  その他、原研がお持ちになられるような各種の炉、そのような炉について重点的に役に立つようにすべきではないかというお尋ねにつきましては、技術導入等の手段についてはいまだやっておりませんが、国産一号炉をはじめといたしまして、このほうは私のほうが原料を供給いたしております。その加工につきましてはやはり民間産業の努力に期待するという方針でございましたので、それはいまでもさように相なっております。  その他、JPDR等の問題もありまして、主としてこれについてお尋ねがあったわけでございますが、御指摘のとおりわれわれのほうでそのような役目を負担することは不可能でなかろうと考えます。ただ酸化物燃料のほうはいまや民間が非常な熱意を示しておりまして、それで、もはや相当のレベルに達したものであろうと思いまするので、いまからこれを私どもの手で考えますることはもはや時期を失しておると存じます。そのような関係にもございますので、結論的には委員長代理のおっしゃいましたようにプルトニウムに今後主力を集中してまいりたいと考えます。
  124. 岡良一

    ○岡委員 私も理事長の御発言のその御構想にはちっとも異論は持っておらないのだが、一方ではプルーブンタイプについての国産化という課題が課せられておるわけですね。ところが民間企業のただ恣意による技術提携というものは、むしろ真の意味の国産化をはばむ要因になり得るということから、少なくとも燃料公社が先ほど来申し上げたような目的を掲げ、業務内容を持っている以上、これが国産化の第一の窓口となり、これがその技術の習練をやり、そしてそれを国産化にお役立てをするということも燃料公社に与えられた大きな使命だと私は思うので申し上げているわけです。特にあなたのほうではすでに超高速遠心分離機も据えつけられて、ウランの濃縮そのものをやろうという研究もしておられるという段階において、やにわに今度は民間企業が食い込んで、六弗化ウランのガスをもらってきて成型加工をやろうというような技術をやるというようなことは、もっと慎重に考えてみたらいいのじゃないか。いずれにいたしましても、この点は原子力委員会としても、いわゆる供給過剰、産業圧力というようなことになって動力炉開発の自主性がゆがめられることのないよう十分な御配慮をひとつお願いしたいと思うのです。  それから、これは最後に上原長官、また有澤先生に念を押しておきたいのだが、再処理は必ず日本でやりますね。シングルパッケージ方式で向こうへ持っていかれるということは絶対ないですか。それだけは日本でおやりになりますか。この際、はっきり責任ある言明をいただきたい。
  125. 上原正吉

    ○上原国務大臣 再処理は、日本で生産されましたつまり燃えかすですか、全部燃料公社が集めて再処理する、こういうたてまえでございまするし、これは厳重に実行する覚悟でございます。  それから、ひとつよけいなことですが、お話を伺っておって痛切に感じたことは、国産、国産ということがよく言われまするけれども、日本が国土を提供しただけで、その上に外国の資本で工場ができた。外国の技術で品物が生産されて、はたして国産といえるかどうか。まず、われわれはあらゆるものを国産しなければならない。これを究極の目的として、ことに科学技術に携わる者は必死の努力をこれに傾けなければならぬ、こう考えておりまして、私どもまことに微力ではございますけれども、位置がどこにあろうとも、そのことのために熱心に働こう、かように考えております。
  126. 岡良一

    ○岡委員 私は委員長もろとも先般ある通信機メーカーの研究所に出かけていった。ところが、この研究所は実に見上げた細心の注意をもって、しかも高度な研究をやっておる。しかも、そのつくられた部品的なものがすでにアメリカの通信衛星等にどんどん実用化されておるという実情も私は調べた。しかも、その評価がアメリカにおいて非常に高いということ、ああいう事実を見ると、私は日本における官民を通じての科学的なポテンシャルというものは非常に高いと思っておる。にもかかわらず、経営者的感覚になるとすぐ易きについて技術導入にいく。ここにまだ日本の科学技術政策の持つ一つの不幸があるのではないか。そういう意味でプルーブンの国産化という方針も十分ひとつ御考慮願いたい。  それから新特殊法人というものですが、特殊法人といえば、大体五〇%以上国が出資をするという形になっておる。これはこれから見積られるようだが、大体どれくらいの予算規模というか、出発当時の資金的な規模は概算どの程度になっておりますか。
  127. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 われわれが新設を考えております特殊法人は、御承知のように動力炉としての高速増殖炉並びに新型転換炉の原型炉をそれぞれ一つずつつくるということの仕事をするための主体として特殊法人を考えております。それでありますから、二つのプロトタイプを建設するまでの研究開発費並びに原型炉の建設費を含めましていろいろ概算をしておりますが、おおよそ一千七百億円ぐらい必要であろう、こういうふうに推算されております。これも大体十二、三年のうちには二つの原型炉がつくり上げられるというふうに目標を立てておりますので、その間に一千七百億円くらい要るわけでございます。  そこで、特殊法人の資金といたしましては、いまこれを外部の資金を借り入れてやるということも、原型炉の建設についてはある程度考えられるかもしれませんけれども、私どもの考え方といたしましては、原型炉の建設費が高速と新型二つで七百二十億円の予定になっております。そのうち半分は民間で負担をしてもらう、こういうふうに考えております。そうしてRアンドD、研究開発費は全額国で持つべきものであろうというふうに考えております。ですから、最初出発いたしましたときには、そう大きな資本金は特殊法人も要らぬわけでございますが、だんだん年数を経ていくにつれて、毎年毎年出資をしていただいて、そうして最終的には国と民間の出資を含めて一千七百億円見当になろうかと思います。もっともその時分になりますと、その前に新型転換炉のほうは二十万キロの発電を予定しておりますが、これが完成いたしますのがおそくとも十年以年、八年になりますか七年になりますか、あるいは九年になりますかわかりませんが、まあ十年以内に完成をして、そうして一、二年その炉を使っていろいろな研究が済んだ後には、この炉を払い下げるといいましょうか、どこか電力会社に経営を委譲する。そのときには、ただで委譲するというわけじゃないので、やっぱり何がしかの価値を持っておるこの炉につきましての代金をもらうわけですから、その点を考えますと、最終的に一千七百億にはならぬのじゃないかということもいえます。しかし、そこはまだはっきりわかりませんけれども、いまの動力炉開発の仕事をやるには一千七百億円、その間にいま申しましたような原型炉の売り渡しというようなこともあって、若干の収入といいましょうか、まあ収入がありますので、それを差し引きますと、そうはならぬかもしれません。そこらあたりはよく詰まっておりませんが、大体骨子としましては、民間から原型炉の建設費の半額を出資してもらう、こういう考え方でございます。
  128. 岡良一

    ○岡委員 これも繰り返し申し上げておることなのですが、私はほんとうにいずれの側に立つという立場においてではなくて、日本の電力業界における不可解な珍現象は、電源開発株式会社と民間電力業界は何かそりが合っておらないのです。これはやはり将来のエネルギーの大宗を占めようとする動力炉開発において、もっと間然なき一体化の方向に進めていくということもやはり原子力委員会の大きなお仕事ではないか。私の聞くところによると、電源開発株式会社は年間相当額のいわば余裕金と申しますか、社内留保金が四十五年になれば二百億にも達しようというような話を聞いておるわけです。それで、原型炉ができた。その原型炉の持っておるいわば残余価値と申しますか、これを何百億に評価されるか、これはやってみなければわからないことだと思うのですが、それよりも、現に毎年これだけの資金的余裕を持ち得るもの、ほっておけば大蔵省に吸い上げられるというようなもの、しかも九〇%国家が資金を出しておるいわば同じ特殊法人のカテゴリーに入る電源開発株式会社というものは、やはり資金的にも余裕があるし、またマンパワーとしても、すでにこの会社もだいぶ原研、原電等へも出向しておるようにも聞いておる。私が珍現象と思われる電源開発株式会社と九電力の関係の調整などは、やはり先生の円滑な識見と手腕でおやりになってやっていただかないと、どうも私はふしぎでならないのです。なぜいつも電源開発が疎外されているのか、私にはわけがわからない。もちろん、そういう点十分にお考えいただいて、残存価値がまだこれから幾らともわからないものを当て込みにしないで、現にすでにそうした余裕金が出ておるならば、こういうものも活用し得るような考慮のもとに新特殊法人というものの構想をお考えになることは決して私はむだではないと思います。この点についてもぜひひとつ御配慮を願いたいと思います。先生にはこの間もちょっと御返事をいただいたかと思いますが、もう一度承りたいと思います。
  129. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 電発が、高速炉まではとてもいかぬと思いますが、新型転換炉の開発を引き受けるのに適当な主体でないかということは、私、電発自身からも聞きましたし、また岡委員はじめその他の方々からもそういう示唆を受けました。その一つの理由は、いま御指摘のありましたように、電発には年々余裕金がふえてまいりまして、ここ四、五年のうちには約百数十億円、二百億円近い余裕金が手元にできる、こういう話でございますが、これは余裕金としましては——余裕金といいましょうか、いま電発は何千億円かの借金をしております。これは財投の金がおもでございますが、その金を返さない限りは余裕金として残るわけでございます。ですから、財投の金を借りておりますから、それの支払いをしなければいかぬのですが、その支払いを借りかえていく限りは、そこに余裕金が年々百億円とか二百億円というふうに残っていくわけであります。その金を使うということは、言ってみますれば、これは金利のある金を使う、こういうことにほかならないわけであります。金利のつく金でRアンドDまでもやるということは、これは後になって十分りっぱなものができれば、それでもちっともかまわぬと思いますけれども、まだ何ともはっきりしない。なるべくりっぱな、経済性の高い炉をつくってもらうということは考えておりますけれども、まだそれがはっきりしない前から、金利のある金でRアンドDをやるということは、どうも論理的にいってもおかしい、こういう感じを持っております。いよいよできたもので、採算性の高い炉がここにできたとなれば、これは高く買ってもらうということはできると思いますが、しかし、その前にはやはりそう金利のつく金を使うということはどうかと思いますということで、それともう一つは、先ほど来申し上げておりますように、新型転換炉ばかりではなくて、今度の動力炉開発は日本として一大壮挙であって、この壮挙を達成するためには日本の各界の——原子力関係の人ですけれども、そういう方々の総力をここに結集したい、こういう考え方が根本にあるわけでありまして、これは先ほども岡委員から御指摘のありましたように、この科技特の報告書と申しましょうか、意見書の中にもそれが十分出ているわけであります。そういう場合にはやはり電発であるとか、原電であるとか、その意味におきましては、これは原子力研究所もそうでありますが、そういう一つの主体がそこにみな集まってもらいたいといったところで、気魄の上からいっても、集まることは集まっても、あるいは集まることを強制することによって集まることは集まっても、ほんとうに重大な壮挙を達成するような意欲を持って事に当たるかどうかということになりますと、必ずしもそうはいかないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。それですから、どうしてもここでは新しい一つの主体をつくらなければならぬ、そういう考え方からこの新特殊法人の創設ということが考え出されているわけです。ですから、その点をひとつ十分御理解を願いたいと思います。電発と九電力との間の仲がどうも悪いということは、私も常にそういう感じを持っております。なるべくその間の調整がとれるように、同じように国の公益事業として、国における重大な電力産業を営んでいるそれぞれの企業でございますから、お互いに協力してやっていけるようにというふうな念願を持っております。でありますから、今度の新しい動力炉の開発につきましても、電発を除外するなどということは全然考えておりません。現に、たしか、丹羽さんの推進本部の幹事会にも二人幹事会のほうに入っていただいております。今後の新法人ができるときにあたりましても、電発のことも十分考慮しなければなるまい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  130. 岡良一

    ○岡委員 私も、別にこの電源開発に新型転換炉をやらせろというわけでは何もないわけであります。ただ、これまでの科学技術予算に対する国の出しっぷりがきわめて渋いものだから、そうすればどこからでもできるだけ金をかき集めて資金的な協力を得る可能性があり得るのではないか。そういう点から見て、同じ新特殊法人という構想に私は賛成であるが、電源開発も特殊法人ならば、原子力研究所も特殊法人である。だから、そういう性格の似たものもやはりこれに大きく参加さしてやる、積極的に参加さしてやるくらいの腹づもりがあっていただきたいというのです。民間電力の恣意によって日本の原子力政策、動力炉開発という重要な国家的課題がゆがめられたり後退したりしないようにというような顧慮からも、国策的見地に立った組織というものの参加は、決して無視できないものである、こういうようなことで私は繰り返し申し上げておるわけです。私は、別に新構想について、特殊法人という構想に反対するものではございません。ただ資金的関係から考えた場合に、やはり参加せしむべきものは参加させる、特にまた国策会社である電源開発株式会社と民間企業である九電力との間の何というのか緊密な協力は、こういう新しい原子力発電の分野において協力をかちとるというふうな方向で強い原子力委員会の御指導が私は願わしいと思うのです。  いろいろ申し上げれば切りもございませんが、もうやがて二時でございまして、おなかも減ったようでございますから、これで終りたいと思います。どうかまた国会閉会中、委員会のわれわれの採択した方針を尊重して、そして健全な動力炉の開発に対してお進めをいただくように、また暫定的であっても、最初が大事でありますから、丹羽理事長の御勇断を切に希望して私の質問を終わります。
  131. 原茂

    ○原委員長 参考人各位には、長時間にわたりまことにありがとうございました。      ————◇—————
  132. 原茂

    ○原委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  本特別委員会は、閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 原茂

    ○原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、実地調査の必要がある場合には委員派遣を行なうこととし、派遣委員の選定、期間及び派遣地並びに議長に対する承認申請の手続等は、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 原茂

    ○原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中審査のため、委員会において参考人より意見を聴取する場合の人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 原茂

    ○原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  136. 原茂

    ○原委員長 本日は、本会期最後の委員会であります。委員並びに関係各位には、長期間にわたり熱心に本委員会の審査に御協力くださいましたことを厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会