○丹羽参考人 ただいま御指摘がありましたように、たとえそれが半年か一年か知りませんが、原子力委員会が御内定になっておる御方針としてのいわゆる特殊法人というものができますまでに、いま有澤
委員長代理がおっしゃいましたように、手をこまぬいて待っているわけにはいかぬ。御
承知のように原子力、特に
動力炉開発のごときは、文字どおり日進月歩で諸外先進国はやっておりますという関係もありますし、その他いろいろな理由もありまして、これも御賢察のとおりだと思いますが、一日もゆるがせにできない。したがって、そのいわゆる特殊法人というものができますまでにも、いま原子力委員会が御決定になった大方針、これは御
承知のように非常に大きな点だけを御決定になっておりますので、そのそれぞれについて具体的に詳細に議論をして、進め得るものは一日も早く進めなければならぬというふうに考えまして、今回のような措置がとられたと私は解釈しております。したがいまして、御指摘のように、たとえそれが比較的短期間とはいえ、非常に重大なる使命を持っているというふうに考えます。
そこで、私の決意はどうだという御質問がありましたが、いろんな点がございますけれ
ども、まず第一番にこの推進本部の議決を有効適切ならしめるために、いま
お話がありましたように幹事会というものを設けました。この幹事会は非常に深い知識を持った、少なくとも動力炉については知識を持っておる人によって構成されております。私の考えでは、これは原子力委員会とも
お話し合いをしましたが、幹事会というものはいわゆるテクニカルスタッフであるというふうに考えまして、原則的には、テクニカルな問題はまず推進本部の委員が議決いたしまして幹事会に諮問する、そうすると、幹事会はテクニカルなポイント・オブ・ビューでもっていろいろ議論して、そして案を推進本部へ提出する、そうするとそれによりまして推進本部はいろいろ議論いたしまして、それではここのところはこう直そうとか、あるいはそこのところはよろしいとかいうことで、最終決議は推進本部でやるというつもりでおります。
なお、いまの臨時推進本部の運営方針と申しますか、原子力委員会が御決定になったその書きものの中に、この推進本部の決定によって実行するものはとりあえずは原子力研究所である、と同時に原子力研究所はその事務局的存在になれというようなことが決定されておりますので、私はこのことあるを予期いたしまして、受け入れ体制を固めるために、相当以前から原子力研究所の職制を変えまして、そして本部の機構の一つといたしまして
動力炉開発計画部というものを設けまして、これは推進本部の庶務的なお世話もいたしますし、また幹事会の庶務的なお世話もいたしますが、原研が決議によって実行しなければならぬということもありまして、テクニカルなお世話もするということにしております。そうしてこの原研本部の機構と申しますか、
計画部の中には単に原研のみの人間では足らない、またそうしたほうがよいと思いまして、外部からもいろいろな方面から、ある人はフルタイマー的に、またある人はハーフタイマー的に御協力を願いたいというふうに考えております。そしてすべての衆知を集めるということにいたしたいと思っております。
それから、原研はその他にいわゆる実行機関として
理事会もございますし、いろいろな部局がございますが、これもこういう大プロジェクトでありますので、ひとり原研だけのよくするところでもございませんし、またさようすべきでもないと思いまして、実施部隊と申しますか、その方面にも十分
お話し合って、具体的にまだおいでは十分にはいただいておりませんけれ
ども、これから着々と各界のほうへ
折衝いたしまして、なるべく大ぜいの有能なる方々に、これはいろいろな形式が考えられますが、御協力いただくというつもりでおります。ともかくもたとえそれが半年か一年か知りませんが、ほんとうに御指摘のとおり大事な仕事でありますので、極力有効に慎重にやっていきたいというふうに考えております。
大事なことがたくさんございますけれ
ども、とりあえず急いでやらなければならぬと思うことが二つ三つございます。そのうちの第一は、これもいつか申し上げたと思いますけれ
ども、国際協力をやっていけという大方針がきめられておりますが、国際協力と一言に言いましても、たとえば新型転換炉にしたところで、大体国名をあげますと、イギリス、カナダあるいはフランスといったようなものが少なくとも三つある、それから高速増殖炉はすでに御
承知と思いますが、昨年暮れイギリスの原子力公社の総裁のウィリアム・ペニーさんと原研とが高速増殖炉の理論的データの交換に関する協約を結びましたし、また最近は、これも御
承知と思いますが、主として電力中央研究所がスポンサーになられまして、アメリカのエンリコ・フェルミのオキサイド・フュエルの開発研究にも参加する。また幸いにあの炉のループの一つを日本の研究に与えられましたので、日本でいろいろ考えてつくった高速増殖炉用の燃料の照射もしたいと考えておりますが、はたしてそれだけでよいかどうか、まだほかにもいろいろ考えられ、またやったほうがよいと考えられる国際協力的なこともございますので、それらを一体具体的に、いつ、どんな段取りと申しますか手段で一つずつ交渉して、成り立たなければその次のものに交渉するというようなことでよいか、あるいは並行的にやるがよいかというようなこと、これだけでもたいへん大事な問題でございます。と同時に、常識的なといいますか、そういう判断も必要な点が多々ありますが、技術的にもこの程度の国際協力ならばのみ得る、これ以上の条件ならばちょっとそれはやるのはおかしいというような科学技術的な判断もあります。そういうものは、ただいまそうしておりますが、いまの幹事会というようなところでいろいろ論議さしております。というようなわけで、申し上げますれば切りがございませんが、ともかくも、たとえこういう短い間かもしれませんが、ほんとうに大事なことを、ある部分は実行に移さなければならぬということを考えますと、ほんとうに大事な
責任があるというふうに考えまして、私御
承知のように原子力に関してはまことに貧弱な頭しかない人間でありますけれ
ども、幸いにいまの
お話もありましたように、いわゆる推進本部の委員の方々、これはほんとうに核物理的な深い知識を持っておられるという点では御指摘のような点もあるかもしれませんが、御
承知のように動力炉の開発には、あるものについては半分以上メカニカルと申しますか、エンジニアリング的なアイデアも加えて判断しなければならぬ点も多々ございます。そういう
意味ではたった一人を除きますと本部のメンバーはみんな技術者の方ばかりでございます。したがいまして、そういうようなことで、幹事会がいろいろ立案して提出いたします案については、相当程度まで御判断いただけ、御議論いただけるのじゃなかろうかというふうにも考えております。
その他、決意につきましてはいろいろございますが、ともかくも結論的に申し上げますと、極力有効に、また早く、間違いのないように、たとえ短期間といえ
ども、十分に推進していきたいというかたい決意だけは持っているつもりであります。
まだ申し上げ足らぬ点があるかもしれませんが、とりあえずこんなことにさしていただきます。