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1966-06-09 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 原   茂君    理事 菅野和太郎君 理事 纐纈 彌三君    理事 西村 英一君 理事 前田 正男君    理事 石野 久男君 理事 岡  良一君    理事 田中 武夫君       秋田 大助君    加藤 高藏君      小宮山重四郎君    三木 喜夫君       山内  広君  出席国務大臣         国 務 大 臣 上原 正吉君  出席政府委員         科学技術政務次         官       田川 誠一君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君  委員外出席者         原子力委員会委         員       駒形 作次君         外務事務官         (北米局安全保         障課長)    浅尾新一郎君         外務事務官         (国際連合局科         学課長)    大塚博比古君         農 林 技 官         (水産庁調査研         究部長)    高芝 愛治君         参  考  人         (朝日新聞安全         保障問題調査会         研究員)    岸田純之助君         参  考  人         (立教大学助教         授)      服部  学君         参  考  人         (東京大学教         授)      檜山 義夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力に関する  問題)      ————◇—————
  2. 原茂

    原委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  原子力に関する問題調査のため、本日、朝日新聞安全保障問題調査会研究員岸田純之助君、立教大学助教授服部学君及び東京大学農学部教授檜山義夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 原茂

    原委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、本委員会に御出席くださいましてどうもありがとうございます。  それでは、中共核爆発、またアメリカ原子力潜水艦入港などによるわが国の大気及び海洋の放射能による汚染の問題、また原子炉安全性に関する問題及び中共核開発の現況、将来の展望などについて、参考人各位のそれぞれの立場からの忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  最初に、岸田参考人からお願いいたします。
  5. 岸田純之助

    岸田参考人 私は、主として中国核開発のことについて知っていること、判断できることをお話していきたいと思います。  中国が第三回の核実験をやってからもう相当時間がたっておりますので、印象も薄れておりますが、どんな内容実験をしたかというようなことから最初にお話しいたしますと、実験をしたのは五月の九日です。そしてそのときの実験内容は、アメリカ実験をした直後、第二回までの実験とそれほど威力は違っていないというふうな報告をいたしました。しかしそれからあと四日間たちまして十三日には、その威力が大体百三十キロトンぐらいであったということをいい、そしてまた一週間たちましたら、今度は二百キロトン以上、インターメディエートということばであらわされる威力のものであった。そのインターメディエートというのは二百キロトンからおおよそ一メガトンぐらいまでの間の威力のものをいうのですが、その中で二百キロトンに近い威力であった。つまり三回発表しているのですが、三回の発表の中で、発表たびごと威力が大きいというふうに修正してきております。そして、その内容につきましても、十三日にはリチウム六を含んでいる。しかし熱核兵器ではなかった。そして、やがて熱核兵器実験をするためにこの実験をしたのであるというふうな表現をいたしました。あのときの新聞の解説などは、必ずしも非常に正確であったとは言えないと思うのですが、あの原子力委員会発表熱核兵器ではなかったという、その兵器というところに力点があったと思います。これは熱核兵器でなかったのはあたりまえでして、実験装置ですから、それがそのまま兵器ではあり得ないのですが、しかし、内容からいいますと、重水素を含んでおり、そしてリチウム六を含んでいるわけですから、明らかに、原爆水爆かというその二つの分類の中では、水爆そのものであるわけです。そして、その威力が二百キロトン以上ですから、これは明らかに水爆実験であるということになります。  中国水爆開発したその早さを見ますと、最初ウラン原爆実験したのが六四年十月十六日ですから、それから一年七ヵ月、ちょうどイギリスが一九五五年にウラン原爆実験をいたしまして、そして一九五七年五月にクリスマス島の上空で、爆撃機から水爆空中投下に成功するまでに経過した年数が一年七ヵ月なんですが、年数だけから見ますと、ちょうど同じです。その途中、イギリス水爆引き金装置実験を五六年五月にやっておるのですが、そのイギリスのやった年数を全部九年ずつこちらに移動しますと、中国実験のテンポと全く同じになるわけです。その意味では九年の違いはありますが、イギリスとほぼ同じ早さで水爆開発までも実現したということになります。  したがって、これから先の予想も、そういったいままでの幾つかの先進国開発状態からある程度先まで外挿的にといいますか、エクストラボーレートしまして予想することができるわけですが、その予想は、おおよそ去年の十二月のNATO理事会マクナマラ国防長官が予測したような数字になるんじゃないかと思われます。そのNATOでのマクナマラ国防長官推測は、来年までに中国MRBMを実戦化する。そして六八年ないし六九年に幾つかの実戦配備を始める。そして七六年には数ダースのMRBM実戦配備する。七五年にはアメリカに届くようなICBM配備が始まる。またその弾頭につける核弾頭の貯蔵は六八年からというふうにマクナマラが言っておりますが、六八年から始まり、そしてやがては航空機ミサイルにつけるのに十分な貯蔵ができるようになるだろう。また、ミサイル潜水艦も現在持っている。それにはミサイルをまだ装備していないけれども潜水艦のほうはできあがっているというふうなことをマクナマラ国防長官は言ったのですが、そういった推定は、これまでの第三回までの実験を見ますと、おおよそ正確な推定として、マクナマラ国防長官発言のとおりを信用していいんじゃないかという気がいたします。あるいはそれより早い可能性もあると思われます。これが実際にマクナマラ国防長官推定どおりであるかどうかわかりませんが、これはやがて人工衛星を打ち上げるというふうなことでありますと、推定の正しいかどうか、あるいはもっと前にずらす必要があるかどうかというふうなことはさらにはっきりするわけでして、これは証拠があるわけじゃないのですが、中国最初人工衛星の打ち上げは非常に早いといいますか、日本人工衛星がことしの秋あるいはおそければ二年後の春に予定されているわけですが、日本人工衛星中国人工衛星とはどちらが早いかというぐらいに考えておく必要があるんじゃないかと思います。中国MRBM実験しているのは、情報によりますと、蘭州の北のほうにあります酒泉試射場になっているというふうにいわれておりますが、あの場所は大体千キロ以上の射程がとれると思われますので、そこで実験を進めていると考えるべきである。しかし、中国がそういったロケットを持っていることを一番はっきりさせるのは、やはり人工衛星を打ち上げることであると思いますので、その点では、おそらく中国人工衛星の打ち上げ計画を持っているはずですし、それがいつ行なわれるかということでさらにこまかい推定ができるようになるんじゃないかと思うのであります。  それから、先ほどちょっと落としたのですが、その核兵器貯蔵量につきまして、兵器用ウランだけで言いますと、ニューヨークタイムズハンソン・ボールドウィンは、いま月に二個の割合で生産ができるというふうに推定をしております。それから蘭州の近くの水力発電所がもし百万キロワット以上のものが現在動き始めていて、そしてそれが原子力工場に使われているというふうな推定をしますと、そして、年間稼働率がおよそ三分の一ぐらいであるというような大ざっぱな見積もりをしますと、それによってできる量は年間七百キログラム以上のウラン二三五ができるということになりますので、そこから計算しますと、年間に四十発分ぐらいの核物質ができると思われますので、ハンソン・ボールドウィンの月に二発、年間二十四発という推定は、これもまたそれほどでたらめなものではないと思われます。  そして、そのウランから水素爆弾をつくるためにはリチウムが必要なわけですが、そのリチウムソビエトにおよそ十年間で十万トン輸出したという実績があります。そこから考えますと、年間に一万トンぐらいの生産ができるというふうに考えてもいいわけなんで、リチウムの中にはリチウム六が七・五%含まれているわけですが、そうしますと、いま言ったウラン貯蔵量、そのウラン引き金にしまして水爆をつくる量は、そのウラン貯蔵量に見合う、つまり年間二十何発とかあるいは二十発とかいうぐらいのものはできる能力を持っているというふうに考えられます。  そしてまた、蘭州の原子力工場ですが、そこである程度の兵器用核物質貯蔵ができますと、そのあと同じように高濃縮の原子力推進用ウラン燃料もそこでできるはずですから、先ほどマクナマラ国防長官推測にありました、ミサイル潜水艦から発展しまして原子力潜水艦中国が持つに至るという可能性は、これは一九七〇年代の初めにはあるというふうに考えておいたほうがいいんじゃないかと思います。  中国技術開発のパターン、型といいますか、それはかつてソビエトがやったのと同じでして、そういう軍事技術開発をすることによって、たくさんの専門家を養成し、技術者を養成し、そうしてそれがある段階まで達しますと、次第に一般の産業にまで及ぼしていくというふうな型をとると思いますので、そしてまた、中国のような、つまりある程度国家が人民の消費生活の水準を押えることができるような国ですと、そういう開発の型をとることは、一方では軍事力発展、一方では工業発展という両方の目的が同時に果たせるものですから、その点では、中国のような国だと有利な方法で、おそらく中国はそういう方法工業発展とか、あるいはもし人口問題などがうまく解決して、それが経済発展にまで結びつけば、そこまで結びつけて進めたいというふうに考えているんじゃないかと思われます。  そういった中国核開発幾つかの影響についてですが、一つアメリカ西太平洋における核配備が次第に強くなるだろうということが考えられます。それは現に、もうすでに幾つかその事実はあらわれておりまして、六四年の三月のグアムのB52の一個大隊、続いて二個大隊配備、それからその年の暮れ、第一回の核実験があったあとポラリス潜水艦西太平洋配備というふうなことがそのあらわれですが、そのほか去年の暮れ、原子力空母を第七艦隊に配属する。原子力艦隊は巡洋艦のロングビーチベインブリッジも第七艦隊——ベインブリッジのほうはすでに第七艦隊のほうに入っておりますが、ロングビーチも入ることになると思います。それから台湾とかタイなんかの飛行場の拡張というのは、これは戦術核兵器を持つことのできるような飛行機をそこに配置することができるように準備しておこうというので拡張されていると思われますので、その点では西太平洋地域への核の配備というのは次第に強まるのではないかと思われます。  しかし、一方、そういうやり方だけをアメリカはとっているわけではありませんでして、必ずやる措置には二つ措置が並行していくわけです。一つは、そういうふうにして、いわば軍事的な封じ込めを強めながら、もう一方では中国との間のコミニュケーション、連絡をできるだけつけるようにして、そして、もしできるならばもう少し中国との関係をよくするというふうな芽をつくっていきたいというふうなことを考えているはずでして、それが先月のマクナマラ国防長官のモントリオールでの演説、つまり、中国との間に橋をかけるということばを使いました。それから、軍事的な対応だけがすべてであるというような考え方にとらわれてはならない、軍事がすべてではないというふうな発言をしたこと、それから、きのう、またハンフリー副大統領が士官学校で同じような演説をいたしまして、中国に橋をかける。そしてまた、軍事力がすべてではなくて、君たち外交官でもあり、そしてまた、心理学者でもありというふうなたくさんの役割りを持たなければならないということをその卒業生に向かって言った。特にその、橋をかけるというのは、中国をその対象にして橋をかけていくというようなことを、ハンフリーマクナマラとその点ではほとんど同じことばを使ってきのう演説しております。  したがって、アメリカの方策というのは、一方で軍事的な封じ込めを強めるということをやるのですが、もう一方では、中国との関係の改善というふうなことを全く忘れているというわけではないので、こういった点を日本は見落とさないようにしなければいけないのじゃないかと思っております。  それから、核に関しましては、アメリカ軍事的な対応のしかたにはもう一つございます。それは西太平洋への配備というのは、さしあたっての中国封じ込めということになるのですが、中国が一九七五年にアメリカに打ち込むことができるようなICBM開発をするということになることを予想しているわけですが、そういう予想に対して、あらかじめそういったICBMを無効にしてしまうような防御技術開発といいますか、あるいは防御組織生産配備といいますか、そういった点で進む可能性がある、あるいは進むまでいかなくても、そういった圧力国内で強まる可能性があるという問題がございます。それは去年ことし両方とも、アメリカの議会の予算委員会などで問題になったICBM迎撃ミサイル、アンチバリスティックミサイルABMというふうに略すのですが、その生産配備についての意見は次第に強くなっております。去年の初めに統合参謀本部は一致してABM生産配備すべきであるという勧告をしておりますが、結局去年はその生産配備はきまりませんでして、開発予算だけを出すということになりまして、約四億ドルが支出された。そして、ことしはさらにその意見は強くなりまして、しかし、結局ことしも生産配備はきまりませんでして、開発予算をさらに増額して七億ドル近くにするというふうなことで解決がついたようですが、しかし、そのABM配備圧力というのは、中国核開発を口実にしてと私はとりたいのですが、アメリカでは次第に強くなる可能性があります。これは実は戦略的な問題のほうからいいますと、非常に重大な問題でして、いまの軍事環境の安定といいますか、軍事的な安定は、攻撃力の圧倒的な優位ということで保たれていると言っていいのですが、それが防御組織としてABMの配置というふうなことがありますと、いまの軍事的な環境の安定が、そこで非常にゆるがされるというか、くずされる可能性があるわけでして、この問題は、日本なんかでも軍縮政策を進めていくといいますか、軍縮外交を進めていく上では、そういった先進諸国の新しい兵器開発封じ込めるといいますか、そういったことを十分に考えていく必要があると思います。そして、それが長い目で見ますと、アメリカにとっても利益であり、ソビエトにとっても利益であり、また日本にとって利益であるということは考えていかなければならぬと思います。  また、もう一つ中国核開発が核を持っていない国々に与える影響についてですが、いま核兵器を持とうと思えば持てるという国は二十近くあります。そしてその筆頭には日本とかインドとかがあるわけですが、それは核兵器を持つ可能性があるということであって、持つ意思があるということとは別の問題である。そして現在世界で核兵器を持つ可能性のある国を一つずつあげて、そこが持つ意思を持っているか、あるいは持つ計画を進めているかというふうに見ていきますと、すぐに核兵器拡散ということを心配しなければならないような状態にはなっていないと思います。それはなぜかといいますと、これから核兵器を持とうとしても、それはおそらくは政治的な意味を持つにすぎない持ち方しかできないと思うのですが、そうしますと、政治的な意味を持つという点では、いまのところは日本なんかは、持てることを各国が認めるということで政治的な意味はある程度あるわけです。つまり一文も使わないで政治的なある優位をもし持てるならばそのほうが、幾らかの金を使って軍事的にはあまり意味のない核兵器を持つよりは得だというふうな判断は、日本だけではなくて、先進のといいますか、中進のといいますか、日本程度に進んだ国々は同じように持つはずでして、その点では、核兵器を持つことに対する魅力は以前よりは少なくなっている。しかし、中国のようないわば後進国では、中国が持てたということで相当な勇気を与えられるはずでして、後進国の場合は、核兵器を持つことが政治的な意味もはるかに大きいわけですから、かえって後進国のほうに持つ意思がふえるという可能性があるわけです。インドネシアなんかが繰り返して言っておるのは、ちょうど後進国には核兵器を持つことがたいへんに魅力のあるものとして映るからなんで、そういった点はこの拡散問題では考えておく必要がある。  しかし、この拡散問題というのは、中国核兵器開発が基本的な誘因になっておるというふうにとるのは実に間違いでして、いま核兵器実験をしているのは、中国は六四年に一回、六五年に一回、そして六六年にいまのところ一回、つまり全部で三回しかやっていないのですが、それに対してアメリカは六三年の部分核実験停止条約あとに、六三年じゅうに地下核実験を十二回、六四年には地下核実験を二十九回、六五年には二十七回、そして、ことしに入りますとまだ六月になったばかりで、半分も過ぎていないのですが、すでに二十三回の地下核実験をやっておりまして、地下であらゆる核兵器技術開発することができるという段階になっております。ソビエトのほうは六四年に二回、そして六五年に四回あるいは五回、これは西側が探知したものですから正確な数がわからないのですが、そして、ことしになって四回という実験地下でやっております。したがって、そういった大国地下核実験がいつまでも精力的に続けられていくということのほうに、核兵器拡散の問題を考える場合には重要な問題があるのではないか、つまり、大国がそういうふうに実験をして、さらに大国の政治的な武器としてこの核兵器を使い、核兵器実験を使うということのほうに、核兵器拡散の危険があるわけでして、その点のほうに私たちは目を向けなければならないのではないかと思っております。  大体私の話はこれで終わります。
  6. 原茂

    原委員長 ありがとうございました。  次に、服部参考人にお願いいたします。服部参考人
  7. 服部学

    服部参考人 立教大学服部でございます。  最近、原子力潜水艦横須賀入港に伴いまして、原潜のいわゆる安全性の問題というものがあちらこちらで論議されております。その中で、私の知っております範囲でもいろいろと誤った議論が行なわれているように感じますので、その安全性の問題についてもう一度お話を申し上げたいと思います。  日本原子力開発におきまして、原子炉安全性の問題というものを重視していかなければならないということについては、特にこの委員会がこれまで非常に努力を払われてまいりました。そのことに、私ども原子力平和利用の仕事に携わっている者としては非常に敬意を表する次第でありますし、また、そのいろいろの大きな効果が上がっているというふうに考えております。  ところが、この原子力潜水艦入港の問題をめぐりまして、私が非常に心配いたしますのは、このこと自体日本原子力平和利用にも大きなマイナスを与えるのではないかという点でございます。実はこの問題につきましては、私ども二年あるいは三年前からいろいろと議論をしてまいりましたが、それ以後に特に新しい事態というものは起こっておりません。ですから、私の申し上げますことは大体三年前から申し上げてきたことのそっくりそのままの繰り返しになると思います。私はそれについて、いまの段階に至りましても何の変更もする必要を認めないわけでありまして、多少古い議論の蒸し返しになるかもしれませんが、その点は昔の議論がそのまま通用するのだという点をむしろ重要視していただきたいと思うわけでございます。  前置きがたいへん長くなりましたけれども、今度の横須賀への原子力潜水艦入港に関しまして、この安全性はすでに立証済みである、こういう議論幾つかなされております。たとえば、五月三十日参議院の決算委員会におきまして、椎名外務大臣がこういうことを言っておられる。これはもちろん私議事録を拝見しておりませんので正確なあれではないかもしれませんが、少なくとも新聞に伝えられた範囲では、原子力委員会の一昨年の書類審査でも人体危害を与えるおそれがないという結論を得たものである、こういう答弁をされているようであります。これは全く事実に反することであると私は考えております。と申しますのは、一昨年の八月二十八日に日本政府は外務省で山中アメリカ局安全保障課長からホランドアメリカ大使館一等書記官口上書が手渡されて、アメリカ原子力潜水艦日本への寄港に異議がないということが伝えられたわけであります。これに関連しまして発表された日本政府の文書の中に科学技術庁原子力局から八月二十八日に原子力委員会政府に報告した「合衆国原モカ潜水艦の寄港問題について」と題する総合見解発表されております。この総合見解の冒頭にはっきり書かれておりますことは、「当委員会は、原子力潜水艦国際法上軍艦としての特殊な地位を有するものであることから、国内で建造する原子力船の場合のような安全審査を行なうことはもちろん、外国原子力商船に対すると同様な措置をとることも不可能であることを前提としてきた。」ということをはっきり言っておられるわけであります。つまり安全審査というものが全く行なわれずに原子力潜水艦入港を許可した。もともと、原子力基本法及び原子炉等規制法に基づきまして日本国内原子炉を設置いたします場合には、設置許可申請書というものを出すわけであり、それに基づいて安全審査会による安全審査が行なわれるわけであります。その安全審査自体は、これはもちろん原子炉ができる前でありますから、当然書類審査ということになるわけであります。椎名外務大臣の言われましたように、一昨年の書類審査人体危害を与えるおそれがないという結論を得たというようなことが新聞に伝えられるということは、これは非常に間違った印象といいますか、間違った情報を国民に与えるものではないかというふうに私たちは考えております。  それからもう一つ、今度の原子力潜水艦入港に関連いたしまして、これまで佐世保に八回入港したけれども、事故はなかった、安全であるということが立証された、こういう議論が実は行なわれているようであります。これも安全性というものの本質から考えますならば、非常に間違った議論であるというふうに考えなければならないわけであります。  原子炉安全性というものを論じます場合には、関係してくる問題というものはたくさんあるわけであります。もちろん、たとえば放射性廃棄物の投棄の問題、それもその中の一つの問題であるわけであります。しかし、それだけが原子炉安全性に重要な問題ではないわけです。原子炉安全性という場合に一番大事なことは、何といってもやはり原子炉自体がどうなっているか、それからその原子炉を設置するまわりの状況がどうなっているか、この二点。これはわが国におきまして原子炉の設置のときに、安全審査を行なわれる、その場合にも当然この二点というものが一番重要な問題として考えられるわけであります。  ところが安全性の問題というものは、あくまでもこれは科学的に検討されなければならないものであります。科学的に検討するということのためには、どうしてもデータが必要なわけです。一切のデータがない、資料がないという段階で、しかも安全審査を行なわないことを前提とするという条件のもとでは、そういった科学的な安全性の判定というものはできないわけであります。アメリカ側がだいじょうぶだと言っているからだいじ上うぶだという議論が行なわれているようでありますけれども、これはもともとこの安全審査というものを根本からくつがえす考え方で、本人がだいじょうぶだと言っていても、それがほんとうかうそかというのを調べるのが審査でありまして、本人がだいじょうぶだと言っているから、だいじょうぶだということでしたら、これは今後安全審査というものは必要ないということになる。安全性というものがこういう形で軽々しく論ぜられるということになりますならば、これは今後の日本原子力平和利用にとっても非常に大きな問題になってくるのではないかという点を私たちは特に心配するわけでございます。  それから原子力潜水艦の人口の多い港への入港の問題ということにつきまして、これもさきにアメリカの上下両院の合同原子力委員会が一九五九年に原子力潜水艦スキップジャック号の艦内で、さらに一九六〇年にポラリス型原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号の艦内で行なわれました聴聞会の記録の一部というものが公表されております。これが実はいまの段階でも原子力潜水艦に関するほとんど唯一の公表された資料といってもいいと思うわけであります。この内容の検討につきましては、すでに三年ほど前に日本学術会議原子力特別委員会原子力潜水艦委員会ですか、正確な名前はちょっと忘れましたが、この聴聞会の記録を検討した結果、実はアメリカ自身がアメリカ原子炉安全諮問委員会、ACRSと略しておりますが、そのACRS自体原子力潜水艦安全性に関する基本的な考え方の一つとして、やはり原子力潜水艦の人口の多い港への入港には危険がないとはいえない、したがって、入港はあくまでも軍事上の必要性を勘案してきめられるべきであるということが述べられているということを指摘してまいったわけであります。  今度の横須賀というのは、これは東京、川崎、横浜、横須賀と地続きの、世界でも人口の多い地帯、しかも、東京港の入り口というのは世界でも海難事故の名所の一つとされているくらい船舶の航行の激しいところであります。そういった問題に対する検討というものが全くなされないままに、ただ佐世保に八回入って放射能がふえなかったから安全であるといった議論が軽々しく流されるということは非常に問題が多いと思うわけであります。  それからさらに、放射性廃棄物の問題につきましても、実は問題がまだ残っていると思います。佐世保に八回入ってどれだけの放射能が増加したかということは、これは実は非常に精密な測定を必要といたします。  もともと、海水中の放射能のバックグラウンドの測定というものは、非常に微量の放射能をできるだけ精度よく測定しなければならないということですから、私どもの放射線測定の技術の中でも、このバックグラウンドの測定というものは特にむずかしい技術一つと考えられているわけであります。また、こういったバックグラウンドの放射能というものは、いろいろなまわりの状況、たとえばまわりの海水の状況であるとかプランクトンの発生状況といったような海水問題とか気象条件とか、いろいろな季節的な変化というものを伴っている問題であります。したがって、原子炉を設置する場合の環境調査というものは最低一年間は続けなければ、そういった季節的な変動というものはわからないではないか、これが私どもの常識になっているわけであります。佐世保あるいは横須賀についてどれだけの精密な、どういう種類のバックグラウンドの測定が行なわれたかということについては、私どもは一切公表された資料を知りませんので判定ができないわけでありますけれども、おそらく佐世保港について、あるいは横須賀港について一年間のバックグラウンドが、たとえばカリを除いてどのくらいであるというような精密な数値というものをお持ちになっているところはないんではないかという気がいたします。  これに関連して、私が特に指摘しておきたいことは、たしか昨年の五月だったと思います。イギリスの海軍省の特別発表、ホリーロッホ、これはスコットランドにありまして、アメリカポラリス潜水艦の基地になっております。これはポラリス潜水艦の基地になりまして三年か四年たっているわけでありますが、昨年の五月にホリーロッホ周辺の海底のどろ、あるいはまわりの動植物に放射能が異常に増加したという発表が行なわれているわけであります。これは潜水艦が出入りして放射能が減ることはないのでありまして、ふえるのが実は当然なことなんであります。一回や二回の潜水艦入港でいきなり東京湾の海が全部放射能でよごれてしまうという極端なことは、だれも申しておらないわけでありますけれども横須賀あるいは佐世保が原子力潜水艦の基地となって、そしてしょっちゅうこういうものが出入りするということになった場合には、ホリーロッホと同じようなことが起こり得るということは当然申し上げておかなければならないことだと思うわけであります。  それから一次冷却水の海洋投棄の問題につきまして、実はこれも一昨年の八月の日本側の発表、あるいはアメリカ側が発表いたしました口上書とそれに付属した八月十七日付のエードメモワールという覚え書き、こういったものを検討いたしますと、一昨年のときに何か放射性廃棄物の海洋投棄の基準だけが安全性の問題で残っていて、それも解決したからもう安全性に問題がないというような議論が一部に行なわれたわけであります。  もともとこの放射性廃棄物の問題は、先ほども申し上げましたように安全性の問題のごく一部分にすぎないわけでありまして、たまたまそれについてアメリカ海軍省の訓令の数値というものが先ほど申し上げました聴聞会の記録の中に公表されていたために、一例として論議の対象となったというのにすぎないものであります。  ところが一昨年発表されました一連の公表文書というものを検討いたしてみますと、この問題も実はまだ解決されていなかったということがわかるわけでありまして、少しこまかい議論になるかもしれませんけれども、その点を少し申し述べたいと思います。  実はアメリカ海軍省の艦船局は、放射性廃棄物処理に関する訓令というものを出しているわけであります。その内容は、アメリカ海軍は投棄の許容基準というものを飲料水としての許容濃度の百倍というものに定めております。それよりもきびしくすることは、実は軍事上の性能をそこなうからできないということがやはり聴聞会の記録の中ではっきりと証言されております。許容濃度の百倍くらいのものを流しても、要するに大量の海水で薄められれば許容濃度よりも低くなるというのがその基本的な考え方になっているわけであります。  そこで、その許容濃度として採用していた数値というのは、最初アメリカは、標準局便覧、NBSHBの五十二号というものによる数値が載せられておりました。この五十二号というのは、国際放射線防護委員会、ICRPが一九五三年に勧告した数値を採用したものでございます。その後ICRPは一九五八年にさらにきびしい勧告を出しまして、この新しい数値を採用したのが実はNBSHBの六十九号という基準になっております。エードメモワールによりますと、アメリカ海軍省の訓令はICRP及びNBSHB六十九号による新たな、一そう厳格な勧告を反映したものに改定されているということが述べられております。ただし、そこで注意すべき点は、六十九号そのまま採用したということは述べておらず、反映したというあいまいな表現が使われている点、それからその百倍まではいいという基本的な考え方、これは全く変わっていないのだという点であります。  ところで、日本平和利用の場合のこれに相当する基準というものを考えてみますと、原子炉規制法に基づく告示に出ている数値、これはNBSHB六十九号とほとんど同じものが用いられております。ただ六十九号では可溶性と非溶性とを区別しておりますが、その点だけが異なっております。そして日本の場合の規制の基準というものは、周辺監視区域の外の水中の放射性物質の三カ月間についての平均濃度がこの許容濃度の十分の一以下にならなければならない、こういう規定をしているわけであります。ところが、これは原子力潜水艦の場合を例にとって考えてみればはっきりわかることでありますが、原子力潜水艦では周辺監視区域といったものをつくることはできないわけであります。そういたしますと、この場合には、この日本の法律をもし基準として考えるということにいたしますと、当然次一冷却水の排水孔の出口そのものに適用しなければならないということになります。そういたしますと、監視設備というものを常時備えておくわけにはいかないわけでありますから、海水によって希釈されるというような効果をかってに期待してしまうということはできないわけであります。したがいまして、たとえアメリカの基準と日本の基準がどちらも同じICRP五八年の勧告に基づくものだといたしましても、その百倍まで流していいというアメリカの海軍省の訓令、これは日本平和利用の場合とはわけが違うということになるわけであります。特に海水による希釈というものをそう単純に考えてはならないということは、日本の海洋学者、水産学者の方々が前々から指摘されてきたところでありまして、そういった警告に対して何の考慮というものも払われずに「原子力潜水艦の液体排出物は、わが国の法律および基準ならびに国際基準に完全に適合するものであること。」というような発表が行われたということ自体にやはり大きな問題があるというふうに考えるわけであります。  それからさらに申し上げたいことは、原子力平和利用で陸上に原子炉を設置いたします場合には、当然この安全審査の場合に、安全対策というものと同時に、もう一つ、万一事故を起こしたときの障害対策というもの、これも障害対策書というものを安全対策書のほかに提出して、安全審査会の審査を受けるということになっております。ところが、こういった万一の場合の障害対策ということについても何ら考慮されていない。特に世界でも人口の一番多いところに約十万キロワット程度の大きな原子炉を積んだ原子力潜水艦入港してくる。原子力潜水艦入港ということは、たとえ短期間ではあるにしても、十万キロワット程度の動力用原子炉を人口の多い港のどまん中に設置したということにほかならないわけでありまして、当然この安全性という立場からは、障害対策ということも考えなければならないわけであります。そういった問題についても、障害対策というものを考えずに結論が出されたということは、私どもから考えますと、非常に理解のできないことだと思うわけであります。  いろいろなことを申し上げましたけれども、そういった私たちの科学者の立場からの疑問というものが何一つ解決されないままに、この安全性が立証されたというようなことが軽々しく言いふらされるということ、これは、先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、日本原子力平和利用開発の際に安全性というものについてこれまで払ってきた努力というものを踏みにじるものである、そういう危険性が非常に大きいということを重ねて申し上げたいと思うわけであります。  それからついでに——ついでというのはたいへん失礼でございますが、申し上げておきたいと思いますのは、この原子力潜水艦入港に関連いたしまして、いまや原子力時代である、原子力時代に、その原子力を動力として積んだ船が入ってくるのに反対するのはおかしいではないか、そういうことをしていると文明開化に取り残される、こういう議論が一部に行なわれているようでございます。しかし、原子力潜水艦は何も日本に文明開化をもたらすためにやってくるのではないという点、特に秘密の原子炉安全審査さえさせないような秘密の原子炉入港したことによって、日本原子力技術というものはこれっぽっちも進歩するところはないわけでございます。むしろ原子力潜水艦というものはやはり核戦略体制の中の最も中心的な存在であります。核戦争というものは人類の文明をすっかり破滅しかねないようなおそろしいものであります。その核戦争の準備のため、つまり文明破壊のための兵器というものが日本に入ってくるということは、何も日本の文明開化にとってプラスになるものではないということを重ねて申し上げておきたいと思うわけでございます。
  8. 原茂

    原委員長 どうもありがとうございました。  次に、檜山参考人にお願いいたします。檜山参考人
  9. 檜山義夫

    檜山参考人 私はもともと魚の学者でございまして、ビキニのマグロの事件からこういう問題を研究するようになりまして、自来十数年間、主として環境の放射能汚染、ことに海洋について研究をいたしてまいりましたものでございます。  今日、われわれ人類の環境はずいぶん放射能によって汚染をされております。その程度については、後ほど図表をもってお目にかけますが、その原因は主として核実験によるフィッションプロダクト、降下物によったものであったのでございます。しかしアメリカとソ連が、この傾向では人類の公衆衛生に将来影響を及ぼすのではないかという事態を察知いたしましたので、地下実験に切りかえたために、その傾向はだいぶ弱まってまいりました。しかし中共、フランスその他の国がまだ実験をやっているということによって、多少の降下物の増加というものが見られるのは残念なことでありますけれども、それよりも、平和利用による環境汚染というものが急速に問題化しているのが現状でございます。これは御承知のとおり原子炉から出ます、小さいものと申しますと冷却水でございますが、大きなものはそこから出ます廃棄物であり、ことにわが国の原子炉においても将来問題か——もう将来ではございません。かなり近い将来に解決しなくちゃならない燃料の再処理の問題がございます。  こういう放射性物質をばらまくのに、人類の公衆衛生に非常にぐあいを悪くするのは、まず第一に、空に広い範囲にところかまわずばらまいてしまうやり方、これが一番大きなぐあいが悪いことでありますが、海洋に投棄しなくてはならない条件がたとえありましても、海洋もかなりの早さで循環をいたしましてミクシングをいたしますので、陸地にものを置きますのとはずいぶん違うわけであります。したがって、環境への放出というのは、空、海、陸という順に悪さが減ってまいります。影響の度合いが減ってまいります。  人類にどういう影響を及ぼすかということは、私がここで申し上げることもないと思いますけれども、もう一度あとでいろいろ、中共核実験影響とか、あるいは動子力潜水艦の問題、あるいはこれからの燃料再処理の問題などを考える上に一応ここで申し上げておきたいことは、このラジェーションハザード、放射線による影響というものを、環境汚染によって起こされたものとして見る場合に、外部照射と内部照射、つまりガンマ線を出すようなものが外から人体を照射する場合、それから食べものに入る、あるいは空気にそれが入りまして、人体の内部からからだを照射する、二つに分けてわれわれは考えておりますが、環境汚染の場合、ごく特別な場合、たとえばビキニの環礁における実験によって第五福竜丸の乗り組み員が照射を受けたというのは、主として外部照射でありまして、内部照射は死体あるいはその他のものを分析しましても、その量はたいしたものでございません。その障害はほとんど外部照射によって起こったものに違いございませんが、これはごく特別な例でございまして、それ以外にわれわれが将来の原子力の利用その他にかんがみて見なくてはならないのは、やはり空気及びことに食物によってからだの中に取り入れられて、たとえばストロンチウム九〇はからだの骨に入ってずっと長くその組織を照射することによって、白血病その他ガン類似の病気を起こすというふうなことが問題になるのでございます。御承知のようにそういう影響はすぐ出てまいりません。急性の影響というものと、慢性の影響というよりは後発性の影響と、両方ございます。急性の影響は、たとえばビキニのときの久保山さんがなくなったように、新聞その他で非常に盛んに注目されますけれども、後発性の障害というのは、今日いまだ広島、長崎の被爆者に白血病が出ているように、ずっと時間があとになってまいりますので、今日までの核実験によって内部照射の量がふえて、だれがそれによって死んでいるという確認ができません。したがいまして、これはジャーナリズムあたりのフットライトを浴びるということはございませんが、今日世界じゅうに死ななくてもいい非常にたくさんの人がおそらく核実験影響で死んでいる人があるはずでございます。これはだれがどうということはないもので、非常に行政その他もおやりになりにくいし、一般の理解が少ないので、いろいろぐあいの悪いことがございましょうと思います。  もう一つは、さらにわれわれの将来、遺伝にこの放射線が影響するので、将来の人間像というものへの影響をわれわれは今日の時点において考えなければなりません。この三つ、急性と後発性のもの、慢性、それから第三は遺伝、この三つを考えてみないと、われわれはほんとうに国民あるいは人類のためのことを考えることができないのでございます。  ここにいま持ってまいりました図表は、これと同じことは科学技術庁原子力局でもやっておりますが、これは文部省のほうが例のビキニのときから始めて非常に古くからやっておりますので、歴史的につながるのにぐあいがいいので、文部省のほうの科学研究費によるもので私が責任者としてやっている値を持ってまいりましたが、科学技術庁ではそれよりおくれて始めましたが、結果は非常によく似ております。    〔図表について説明〕  ここで申し上げたいことは、あのビキニのマグロ事件の騒ぎのときに、あれはまさに騒ぎが非常に大きかったのでありまして、実際は地表に降ってきました、あとまで残って——半減期が二十何年という、あとまで残って白血病を起こすであろうというストロンチウム九〇の量はほとんどゼロであったのです。ところが、あのくらいの騒ぎをするなら、今日ジャーナリズムはよほど書き立てなくてはいけないくらいに地表における蓄積量もふえておりますし、また、食べものの中の放射性物質の量、これはストロンチウム九〇で代表しておりますが、それが非常にふえているのでございます。この下に縦に書いておりますのは、一カ月に上から降ってきた量でございます。これは気象研究所の地球化学研究部で出したデータでありますが、毎月落ちてきたもの、主として大部分が米ソのものでございまして、その他の国ではこれの中にはごくわずかしか含まれておりません。こういうふうに集中的に核実験をいたしますと、これが非常にたくさん落ちてきます。  ところが日本人の食べものというのは、国連科学委員会の報告その他では、アメリカではこういうものが降ってまいりますと、ほとんど牧場の草に落ちまして、それを牛が食べまして、乳になって、人間のからだへ入るという形になりますので、非常に新しいのでございますが、日本は主として一年間に一回しか収穫できないような米というものを食べておりましたり、そのほかに保存して食べる食品が非常に多いために、この山が約半年おくれる。ここにピークが出ますとここにたくさんピークが出る、つまり核実験がたくさんありますとここにピークが出る。こういう現象が起こりますので、さっき申し上げましたような急性の病気を起こすような短寿命の核種による障害、たとえばヨード一三一とかそういったようなものがほとんど日本においては、欧米では心配されますが、心配しなくていいという特殊な食習慣を日本が持っておる。これは欧米のデータによってわれわれの国民の健康を考えることはできないいい一つの資料だと思っております。  これで見ますならば、中共核実験がこの間ございましても、実際にストロンチウム九〇の降下量がふえてきたり、それが食物になってくるのはずっとあとでございまして今日まだ影響は出ておりませんけれども、こういうことをいたしますのに、どうも分析に時間がかかりますので、科学技術庁のほうも文部省のほうもまだ資料が出ておりません。  この蓄積量はこういうふうにふえておりますが、これは東京でございますが、秋田とか山形はこれの三倍ぐらいな量にふえております。あの量がふえますと、食べものの量がふえるのでございますが、さっきのデータにもございますように、わりあいとこのごろは上が平らになってまいりました。平らになったということは、少しは土から流れて出て、蓄積量の一割ぐらいが外へ出ておるというふうにわれわれは思っております。  これがその食べものの中の内訳でございまして、こっちがストロンチウム九〇で、こっちがセシウム一三七でございますが、これは六五年、昨年の十月の東京の例を持ってきたのでございますが、どれを見ましても大体の傾向は同じでございます。  食べもののほうをこういうふうに分類してみますと、ストロンチウム九〇にしても、セシウム一三七にしても、海産物による——これは海藻でございます。これは魚介類でございますが、海産物で、この赤いほうがパーセンテージでございますから、これをごらんいただきますと、海産物が人間のからだへこういうものを持ってくる場合は非常に少ない。と申しますのは、海に落ちた分はみなダイリューションをされますが、陸に降ったのはこれがないということでございます。一番たくさん入っているのがストロンチウムについてはやはり穀類、主として米でございます。それからあと豆とか野菜の類から入ってくるのが非常に多い。セシウムの場合には肉類から入る。これは牛や何かが草を食っております。その草を食っているのがからだの肉の中へ入ってくるのであります。ストロンチウム九〇のほうから申しますと肉は少のうございまして、一番大きいのが葉っぱを食べる野菜、つまり小松菜とかホウレンソウとか、ああいうものから入ってくるのでございますが、穀類から入ってくるのが非常に多いのでございます。これがある程度になったら人間の健康によくないことは御承知のとおりで、原子力局で前に、私がそれの委員長を仰せつかったのでございますが、こういうものがどのくらいになったらどういうアクションをとらなければならないかという暫定指標というものがございますが、それがだんだん上へ上がってきて、それに近くなってきて、何かアクションをとらなければならないようにそのうちなるかもしれませんが、もしそういうふうになりましたとしても、今日までわれわれの力によってこれをどうしたら防げるかという研究ができてきております。しかし技術的にはそういう研究か開発され——たとえは牛乳が乳幼児に対して非常に大きな影響を及ぼしますので、もし牛乳の中のストロンチウム九〇、これはおとなでございますから牛乳が少ないのですが、乳幼児でありますとこれが一〇〇%になる。乳幼児のからだの骨の中へどんどんストロンチウム九〇が入ってくるのを防ごうとする必要がもしございますならば、今日では技術的にストロンチウム九〇だけをきれいに落とす方法ができておる。それからまた牛の中へ入れないように、牛の食べものの中へカルシウムを入れてやる、そういう方法もできております。それからまた、米の中へストロンチウム九〇が入ってくるのを防ぐためには、酸性土壌に石灰をまけばいいということも結論が出ております。これはわれわれがやりました技術開発によってできている。いつでも政府のほうがやれとおっしゃったらその技術は応用できるのでございますが、問題はたいへん多額の費用がかかるわけでございますから、国民の税金をこういうのにこのくらいかけていいかどうかというのは、その度合いがどのくらい国民に障害を与える状況になっているかということと見合わせて御判断になって適当な施策をなさるのがよろしいのではないかと私は考えます。  これは東京でございますが、地方、秋田とか青森、そういうところは非常に大きなものであります。  次に、海の魚はどうなっておるかということをお目にかけますと、ビキニの実験がありましたのは五四年だったと思いますが、ビキニの実験がありましてから、ビキニの環礁の付近がたいへんに汚染をされたわけであります。それが黒潮に乗ってまいりまして、日本近海の魚をはかってみますと、これはストロンチウム九〇というのを出したのでございますが、単位がちょっとむずかしいので説明を略させていただきますが、この黒まるは海の表面に泳いでいる魚、白まるが中層に泳いでいる魚で、三角が海の底にいる魚でございます。それを見てみますと、ビキニの当時は表面のがたくさんございまして、まん中が少なくて、底が一番少ない。つまり上側にずっと落ちたということがよくわかるわけでございます。これはこちらは対数で書いてございますからたいへんな違いでございます。軸は対数でございます。それがだんだんこっちへ薄まってきて、広がってきて、数年の間に上と下との関係がほとんどなくなる。つまり底の魚がこんなに上へ上がったり、それから表面の魚がこんなに下がったり、よくまざったということがこれでよくわかります。ところがこれはビキニのときの核実験影響でございますので、ここからこう上がるのでございます。この上がるのは、そんなに核実験はやっておりませんし、上から陸地に降っている量と同じ量が海に降るとすれば、こういう計算が出てくる。それにしてはばかに上がり過ぎるということになってくるのです。もうすでに御承知のように、何十隻という原子力潜水艦が方々走り回っているわけでございますが、そういったものからの廃棄物、ウェーストというものがこれから海洋汚染に対してもかなり影響してくるかもしれません。しかし必ずしもこれが原子力潜水艦によって上がってきているのだとは私は申しません。もちろん上からの降下物プラスそれでございます。ですが、将来は船からの廃棄物あるいは海洋投棄を、廃棄物の再処理をやることによって海洋の汚染度もだんだんふえてきて、むしろ問題は先ほどお目にかけたように、今日は非常に海からのものが少のうございますが、問題は、将来の問題がかなり大きくあるということでございます。  これに比べますと、淡水の汚染は非常にひどいようです。これはいまの単位の約十倍にとってございます単位でここに書いてあります。つまり降下物というものだけを主として考えるとすれば、海に落ちたのは薄まる。けれども、湖水や川に落ちたのは薄まらない。ことに湖水のごときは、上から降ってきて蒸発して濃くなっていくことさえあるくらいでございますので、これはいろいろ霞ケ浦とか千曲川とかその他の淡水魚でございますが、海の魚に比べますと、安定性のストロンチウムの排出量が約十倍ございます。これはちょうど計算でもうまく合うことでございます。  海に放射性物質がございましたら、それが海産生物にどういうふうに入っていくかということをちょっと簡単に図で御説明申し上げますと、これがある放射性物質を——この赤いのを先に御説明いたしますと、何か放射性物質を口に入れて食べた、つまりえさから入った、これは実験的には注射しても同じであります。そうしますと、きゅうっと上がりますが、しばらく水の中に入れておきますと、こういうふうになくなってまいります。この落ち方がいわゆるバイオロジカルディケイと申しますが、生物及びそのニュークライド、核種によってもずいぶん違うわけです。これを非常にいろいろなことの計算に使います。どういうふうにふえるか。その次に黒い線でございますが、これはある放射性物質をある濃度で持っているところに魚を放しますと、主としてエラでございますが、何にも物を食わせなくても放射性物質がからだの中に入っていく。この入っていきますのは、時間とともにこういうふうになりまして、ある期間については、ここで平らになるところがございます。これを、われわれは底にあります海の水の中の濃度との比、濃縮係数といっております。これがニュークライド核種によりまして違いまして非常に多いものもございますし、少ないものもございます。そういうふうにして汚染された魚を、今度は放射能がない海水の中へ入れてやりますと、これと同じような形で下がってまいりまして、放射能はなくなるのでございますが、今度は海水のほうはたいていの場合、どこかへアイソトープとかあるいは放射能を入れますと、それが外に行くたびに薄まってまいります。これは薄まっていくところを見ますと、薄まっていくのに従ってどういうふうになっていくかというと、体内の濃度も減ってまいりますが、これだけ幾らかの時間がずれている。この時間が、ものによりますと一時間、あるいは数日、これはものによってといいますか、魚の種類、それから核種の種類とのコンビネーションが非常にたくさんできますが、これは実は科学技術庁から補助金をいただいて、みんな大ぜいで研究をしているところでございます。こういうことをやりますと、あと実際に海の中に放射性物質が出ましたときに、魚がどういうふうに汚染されるかということを理論的に計算することができるのでございます。  先ほども申しましたように、将来の問題といたしましては、燃料再処理の問題が海洋汚染としてはわれわれ一番問題だと思っております。日本とか英国とか、そういう国では、海をある程度までこういうものの捨て場にどうしても使わざるを得ないのはいたしかたございませんが、何とかして原子力産業と、また日本人は魚を食べますので、水産業と両立していく道を科学技術的に見つけなければならないと私たちは思っておりますが、今日までわれわれが考えておりますところでは二つ方法がある。一つは、薄いものをある量だけはわりあいと海岸に近いところから放出してしまう、しかし多量のもの、それから濃いものはそれをパックしまして、海水に溶けて出ないような形にしてなるべく深い、海の底か何かにそっと沈める、この二つ方法以外にございませんで、多量のものを沿岸から出すということはできるわけではございません。何とかして公衆に影響のないような方法、しかもこれから原子炉が方々できますと、それから燃えかすがどうしても出ますから、それを始末する方法を見つけなければなりません。その二つ方法を考える以外にないと思っております。  そこで、まだ問題点がいろいろございます。それはビキニのマグロの事件のときに、あの捨てたマグロは、実はみな食べられたマグロでございます。つまり騒ぎが先に出まして、新聞があれだけ騒ぎますと、食べものなんていうものはいやになるもので、いやになると食べません。それでむしろそういったような神経的に放射能がきらわれたという現象であったわけでございます。今日どう計算してみても、それは許容量の百分の一よりもっと下のものでございます。しかしあれがもし食べられなければ、今日の食品は何一つ食べられるものはございません。しかし食品を食べないと人間は死ぬにきまっております。また食品を生産している多くの国民がたいへんなことになるわけでございます。ここら辺のところをどう調整していくかというのが最もむずかしい点でありまして、私は単なる東大におります学者でございますが、また各方面の行政機関の御相談にも乗っておりますが、これに関係のあるお役所、たとえば厚生省、農林省、それからもちろん科学技術庁の原子力局、これらのお役所が繩ばり根性を捨てて、よく話し合われて、そして最も賢い道を見つけられるように、私どもはそこにどういう考え方をしていくかというプリンシプルについては、幾らでも提供いたしますから……。そういたしませんと、将来の問題は非常に心配になる点が非常に多うございます。  大体私の申し上げることは以上でございます。
  10. 原茂

    原委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。     —————————————
  11. 原茂

    原委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
  12. 石野久男

    ○石野委員 質問をする前に、私は委員長一つお願いしておきたいのですが、ただいま檜山参考人からのいろいろなお話の中で図表がたくさん使われましたが、この図表をできるだけ会議録の中へ入れていただくようにできないか、その点を一つお願いしておきたいと思います。
  13. 原茂

    原委員長 相談してできるだけやります。
  14. 石野久男

    ○石野委員 安全性の問題でいま参考人の各位から非常に貴重なお話を承りました。問題は、原子力平和利用というものをわれわれは積極的にやらなければならぬという段階で、安全性の問題について、ややもすると産業の側面から安全性がうとんぜられるという面が出てまいるような事態を非常に私たちは憂えざるを得ないというような状態になってきております。しかし、この平和利用の問題よりも、私たちにとっていま一番今日的な問題として問題になっている原子力潜水艦の問題で、先ほど服部参考人から特に原子力潜水艦の持つ安全性の問題について、危険の度合いのお話を承ったわけです。横須賀というところは東京湾の中でございますから、あすこで冷却水がどういうふうにして取り出されているかわかりませんけれども原子力潜水艦のほうで冷却水を横須賀港の中で放出するのかどうかわかりませんが、いろいろな面で、もし東京湾の中で、横須賀でそういうものが出た場合、太平洋の中でそれが希薄化する度合いと、それから東京湾の中での度合いとではどういうふうに違うのか、そういうようなことをひとつお聞かせ願いたい。このことは、先ほど檜山先生から魚の中にあるストロンチウムやなんかの濃度の問題でお話があって、淡水魚の場合と海の場合との違いのお話があったわけでありますが、おそらくアメリカは、原子力潜水艦についてまさか港の中で冷却水を出すようなことはないだろうとは思いますけれども、私たちとしてはそういうことを、アメリカがそう言うから、はい、そうですかというわけにはいきませんので、われわれとしてはむしろそれを心配しなくちゃならない。世界一人目の樹密度の多いところで、しかも海の水はあまりかわらないというようなところで、これがはたして安全なのかどうかというような心配もありますので、そういうことについての御所見を服部先生あるいは檜山先生からお伺いしたい。
  15. 服部学

    服部参考人 原子力潜水艦が放射性物質を海洋に出す、外部に出すという場合に二通りのことが考えられるわけです。  その一つは、これは確率は非常に小さいかもしれませんけれども、万一の事故を起こした場合、事故を起こしますと、とにかく原子炉の中には非常に大量のいわゆる死の灰と呼ばれる強い放射性物質がたまっているわけです。原子力潜水艦のように、約十万キロワット程度の熱出力を持った原子炉をまる一日運転いたしますと、約百グラムの死の灰が生ずるわけであります。特に原子力潜水艦というのは航続距離が長い。燃料の補給をしないで幾らでも走り回れるということが特徴なんでありまして、一年半とか二年という期間燃料を取りかえないで走り回っているわけですから、そのできた死の灰というものは全部原子炉の中に蓄積されているわけであります。ですから、佐世保なり横須賀なりに原子力潜水艦が入ってまいります場合には、その原子炉の中には少なくとも数十キログラム程度の死の灰がたまっていると考えるのが普通だろうと思うわけであります。これは私よく引き合いに出すことでありますが、広島の原子爆弾がまき散らしました死の灰の総量が約一キログラム程度であるということと比較していただきますならば、いかに大量の放射性物質を積み込んでいるかということであります。この死の灰自体は、これは原子炉がこわれない限りは外へ出てこないようになっております。しかし万一の事故、これは当然安全対策、障害対策という場合には万一の事故というものを考えなければならない。その場合のことを考えますと、この問題というものは非常に大きな問題、確率は小さいけれどもその影響が非常に大きいという場合に、その問題というのは、やはり国民の生活、生命という問題に関連して重要な問題になってくるわけであります。  それからもう一つは、主として一次冷却水の海洋投棄の問題であります。これは死の灰と比べますと、この放射能の量はきわめて弱いものであります、ごくわずかであります。しかし、これはアメリカ原子力潜水艦の場合には、先ほど申しました海軍省の訓令そのまま実行いたしておりますと、直接に海の中に、港の中で放出してもかまわないということになっております。しかも、この一次冷却水が主として排出されますのは、冷えていたエンジンをあたためるときに冷却水が、温度が上がって体積が膨張してあふれ出すわけです。たとえば平和利用原子力商船サバンナ号なんかの場合ですと、そうやってあふれ出した水を別のタンクにためるという仕組みになっておりますけれども原子力潜水艦の場合には、そのあふれ出した水を直接に海洋に投棄しております。これは実は先ほど申しました上下両院合同原子力委員会の聴問会の記録の中で、アメリカの議員さんが、なぜサバンナ号と同じように別のタンクをつけておかないのだ、こういう質問をしている方がございます。それに対しましてアメリカの海軍省の答えは、原子力潜水艦というのはいかに大きいとはいえ、艦内は非常に狭い、そういう余分なタンクをくっつけることは軍艦としての性能をそこなうことになる、そういうことはできないのだ、こういうことがはっきり述べられているわけです。そこでもやはり軍事的な性能ということが安全性よりも優先しておるという考え方を非常に端的にあらわしているというような気がいたします。エンジンを始動いたしますときに、そうやって冷却水があふれ出すわけでありますから、むしろ出港の前にその可能性が一番多いわけであります。ですから湾内で出す可能性というものは非常に大きいというふうに私どもは考えております。万一そういったものが東京湾の中に出た場合にどうなるかという御質問でございますが、一つは万一の事故があって大量の放射性物資、非常に強い放射性物資が出たという場合には、これはもう非常に重大な問題になるということは御想像いただけることと思います。それから一次冷却水のように、そのものには非常にわずかしか放射能が含まれていないといった場合でも、これは先ほど私がホリーロッホの例を申し上げましたけれども繰り返されていると、それがだんだんと蓄積されてくる。特に東京湾というところは、これは三年ほど前に、日本学術会議で海洋の放射性汚染についてのシンポジウムが行なわれましたときに、東京教育大学の三宅泰雄教授が御報告になりましたことでありますが、東京湾というのは、湾の中と外の水の入れかわりが非常に悪いところだ。したがって、一たん放出された放射性物質というものは、湾の外に出ていくあれが非常に少ない。非常に長い間湾の中にとどまっている。そういうところへしょっちゅう原子力潜水艦が出入りするということになりますと、だんだんとその蓄積の量というものはふえていく。何年かたつうちには、まわりのどろであるとか、あるいは水産物といったものにこれが濃縮されてくるという可能性が生じてくるわけであります。この影響は非常に長期的なもので、非常にわずかなものである。その点が、事故の場合と日常運転時の場合と非常に性格の違うものでありますけれども、どちらも安全性という面からは重要視して考えていかなければならない問題であろうというふうに考えております。
  16. 檜山義夫

    檜山参考人 御質問の東京湾に放出された場合と、オープンシー、太平洋と申しましょうか、に放出された場合と、たいへん事情が違うと思います。太平洋のほうはダイリューションの効果が期待できますが、東京湾のほうにはダイリューションの効果が期待できません。ただいま服部参考人の申したとおり、長寿命核種、たとえばさっき申しましたストロンチウム九〇とかセシウム一三七、こういうものが人間に対して障害を与えるものとして注目しなくちゃならないという慢性の病気への対策ということを考えましたならば、それの蓄積というのが大切でございますので、一回、二回来たから何ともないということは言えないと思います。ですから、それが何でもないからといって、それを百回にすれば百倍になるし、千回にすれば千倍になる現象でございます。ただ非常に半減期の短いものでございますと、ダイリューションをしている間に核種というのは消えてしまいます。しかし一番初めに私が申しましたとおり、半減期の短いものは急性障害を起こすだけでございますので、潜水艦の出すもので急性障害を起こすようなことはおそらくなかろう。ただ私は潜水艦がイオン交換樹脂をどこで捨てるとか燃え残りの燃料をどこへ捨てるとか、そういうことについては存じておりません。
  17. 石野久男

    ○石野委員 ありがとうございました。  いま一つお尋ねしたいのですが、檜山先生にお伺いしますけれども、廃棄物の処理、特に原子力産業が盛んになってきますと、どうしても再処理工場の問題が出てくると思います。これは私ども原子力産業を育成し発展させるためには、どうしてもやはり再処理の問題に取り組み、それを完全にこなすことが非常に大事だと思っております。しかしそのことのために、公衆に対していろいろな障害が出たのでは困る、そういうことから、どういうふうにどういう場所にこの立地を考えるかということ、これがいま非常に大事であろうと思います。処理のしかたについて、また廃棄のしかたについては、先生から先ほど二通りあると言われた。これは私ども承知しておりますが、立地的な観点からしますと、どういうところが一番いいのだろうということについて、先生の御所見がありましたら——別にどこというわけじゃないが、科学者という立場から見ましてどういうところが一番いいのかというようなこと、こういうところの御所見がありましたらひとつ聞かせていただきたい。
  18. 檜山義夫

    檜山参考人 たいへんむずかしい御質問でございまして、沿岸からの放出——放出ということばは、先ほど申しましたように相当薄いものを流し出すというふうに御解釈願いたいのですが、沿岸からの放出をする場所としては、やはりそこからあまり水産物が生産されない場所ということを条件にするのが一番いいことだと思います。しかし、日本の沿岸にそういう場所が具体的にはなかなかないのじゃないか。それから先ほど申しましたようなパッケージウェーストと言っておりますが、例の外へ出ませんようにしてコンクリートの中へ入れるとかなんとかして捨てる、こういうところは、日本の沿岸はわりあいと深いところがございますので、そういうところでは捨てることができる。しかしこれは廃棄物処理の問題でございますので、あと、海の条件だけ申せば、私がいま申したとおりでございますが、具体的に日本の沿岸で漁業をやってないというところはございませんので、実際はむしろほかの立地条件で考える、つまりいろいろな便利さ、陸地のほうの条件というものが入ってくると思いますが、そのほかにまた処理の方法日本独得に非常に厳重にいい方法を考えるとか、そういう技術開発によってそれを補う以外に方法はないんじゃないか。  それから御質問は再処理の問題だけだったと思いますが、これから将来の原子力船——別に潜水艦だけじゃございません、潜水艦原子力船その他のウェーストを捨てる場所ということを考えてみますと、やはりそれは漁業が行なわれているところでない、理想を申しますれば、海の水が下から吹き上がっておるようなところはぐあいが悪い。栄養分をたくさん含んだものを上へ吹き上げてまいりますと、そこがいい漁場になるところでございますから、海流の水の動きのほうから申しますと、上から下へ沈んでおるようなところが理想でありまして、そこへ捨てますれば、あまり魚に摂取されるということが少ないわけであります。世界じゅうの場所には幾つかそういうところがすでに発見されておりますし、これからもさらに海洋調査を一般化して、なるべく捨てるならそういうところへ一緒に捨てようという国際協約のようなものができませんと、海洋の汚染の問題はかなり国際的でございますので、解決できない問題ではないかと思います。
  19. 石野久男

    ○石野委員 廃棄物をどういうように処理するかということについてはいまのようなお話よくわかりました。問題は、空気中、あるいは海上、陸上というふうに降下物の与える弊害の度合いは違うというお話がございました。陸地の上へ降り注いだものはなかなか散らないからその弊害が非常に多いのだということになりますと、なるべく降下物が流動しておるようなところで、希薄化が非常に迅速に行なわれるようなところ、そういうようなところへ降下物が当たって全部散ってしまうのが一番いいだろうと思うわけです。そういうことなどを考えまして、廃棄物でなくて、再処理工場をつくるという場合の立地条件、たとえば現在一番直接的に考えられるのは、都会に処理場をつくろうかどうかというような問題があって、これが問題になっておるわけです。そういうことから実は再処理工場でやるのはがっちり固めてしまうなら問題がないと私は思うのです。方策がうまくいきさえすれば問題はない。ただそれから出ていくもの、どうしても捕捉できないで出るものをなるべく社会、公共に弊害の出ないようにすることが大事なんじゃないか、こういうふうに考えてくると、むしろ人口の稠密度の非常に少ないところとか、あるいはそれが散っても農作物や何かにあまり影響しないようなところへいけば一番いいだろうと思いますが、そういうところは狭い日本にはなかなかないものだし、片方また、再処理工場というものは現状からいたしますと——私はしっかり原価計算いたしておりませんが、工場を設置すればやはり当然ペイするように運営されなければならないだろう。そういうようなことになりますと、一カ所の原子力発電所なりあるいは炉の所在地のものだけ処理しておったのでは年間作業ができない。だから数カ所のものを一カ所に集中して再加工するということになってこようから、立地的にいえば原子炉のある何カ所かの地点から集められてくるようなところでなければならぬことになるだろう、こういうふうに思います。  そういうところを日本で考えると、日本列島のまん中の地域が、経済的には一番合理的で、経費の安い、コストの安くなるところだと思いますけれども、そこだってなかなか困難ではないかと思いますので、むしろ再処理工場を設置するような場合は、空中に飛散したものが早く散りやすいところということになると、むしろ離島のようなところを考えまして、そこで散ったものは海の上に散っていく。もちろん海の魚や海藻類にも影響しますけれども、しかしこれは広範囲に散っていく度合いが早いと思います。そういうところをさがすほうがよろしいのではなかろうかという感じが私はするのでございますが、こういう考え方はどこか間違った考え方でございましょうかどうか、ひとつ所見を聞かせていただきたいのです。
  20. 檜山義夫

    檜山参考人 別に間違ったお考えではないと思います。  ただ、そういう立地条件を環境汚染だけから考えなくても解決の方策はあるのではないか。つまりいまのお話ですと、ある量は必ず捨てなければならないという前提がもしあれば、いまのお話のとおりでございます。ところが、そうやって環境汚染を生じるようなものをなるべく出さない、これも結局はお金のことになりますが、少々くらい発電のコストが高くなりましても人命にかえられるものではございませんので、なるべくきれいに、出さないというような処理をなるべく安く技術的に開発いたしまして、そして環境汚染を少なくし、パッケージウエーストにして全然人畜に被害のないところに持っていって捨てる。やはり出さないようにする技術開発というのに金をある程度つぎ込みますと、原子力発電のコストも安くなるし、そう立地条件を——うまい離島がございまして、そういうところへ行って、そこは非常に経済的にもいいし、それからいろんな条件にもいいというところがございますれば、それはけっこうでございます。もしそういうものがないときには、やはりたとえば液体のものだったら、イオン交換樹脂にみんな集めてとってしまって、きれいなものだけを出す。極端にいえば、すぐでも飲めるくらいなきれいなものを出す。それであと悪いものは全部まとめて人間の環境とは隔離できるような場所に持っていって捨てる、そういう技術開発をするということも、いまおっしゃったことのほかに一つ方法かと思います。
  21. 石野久男

    ○石野委員 もう一つお尋ねしますが、いま先生のおっしゃられること、心配のないようなものにして出すということは非常にけっこうなことでありますが、実際にはやはり事業をやっておりますると、経営がペイしなければいけませんから、あまり金がかかるとやらないわけです。それからもう一つは、目的のためには、場合によったら、先ほど服部先生からのお話で、私も勉強不足だったので非常に参考になったのですが、アメリカの海軍省の発表でもって、許容濃度の百倍までは放出してもよろしいんだ、流してもよろしいんだ、それ以下にすると、それよりもきびしい規制をすると、軍事能力に影響するんだからよくないんだ、こういう目的のために、人体には非常に弊害があることがわかっておっても、一つの目的のためにはそれをやってしまうというのが現在の世界の実情だと思います。特に資本主義の現代社会において、資本家が利潤を確保しようとする場合には、どうしたってやはり採算を考えまするから、若干の弊害はあっても利益優先ということになってきますから、そのことは私はなかなか可能にはならないだろうと思うのです。私が先ほど離島の問題を言いましたのは、実は私はこういうことを考えているのですよ。離島などへ持っていけば、確かに運搬や何かの問題がありまして、不便な点もありましょうけれども、しかし再処理工場というものをつくる場合には、一カ所の発電炉ではペイしないんだから、数カ所から持ってこなくちゃいけない。そうすると、一カ所からは非常に至近地にありましても、他の地域からは相当長い距離を運ばなければならぬという実情でございます。そういうことになってまいりました場合、特に日本の現状は、交通の面では地上交通は非常に危険なものもたくさん含んでおります。だから、私はむしろこの際はヘリコプターを使ったほうがいいんじゃないか。もう会社は専用のヘリコプターを持っている、そして飛行場を持つ、そういうような形で核廃棄物の発生した場所から、天候条件の非常にいいときを選定して、常時それを運ぶということにしておっても決してコストは高くならないだろうと思う。私はむしろそのほうがよくはないかというふうにさえ思っております。だから経済的な問題というものは非常に重要なものでございまして、幾らいい科学者の発明がありましても、経済的にペイしなければ、みなそれは捨てられてしまうのが実情でございますから、いま檜山先生のおっしゃったように、完全なものにして廃棄するということは、今日の段階では私はちょっと、科学的には予測されることでありましても、経済的には実現のできないことだというふうに思えますので、それで私は立地条件の問題について、ちょっと意見を聞いたようなわけです。これは私の意見でございますが、もし御所見が承れれば、それに対する御所見をまた承りたいと思います。
  22. 檜山義夫

    檜山参考人 私はあまり専門じゃないのでございますが、御意見のとおりだろうと思います。
  23. 原茂

    原委員長 岡良一君。
  24. 岡良一

    ○岡委員 岸田さんにまずお伺いいたしたいのですが、お説のように中共核爆発が、漸次実戦配備に向けられて進められている。そのテンポもかなり早い。いわば一九七五、六年には数基のMRBMの実戦配置があり得るし、ICBMも一九七五年には完成するというようなテンポの早い開発であると、まだこれから相当回数の実験というものが予想されるわけなんだが、その辺の見通しはいかがなものでしょう。
  25. 岸田純之助

    岸田参考人 それはまだあと何回かの実験をやると思います。ソビエトの場合の回数を見れば、それがある程度推測ができると思うのです。イギリスの場合ですと、先ほどイギリスのことを例に引きましたが、水爆引き金というのを全部で五回になりますか実験をしている。それを中国は一回で済ますというふうなことはやりました。したがって、イギリスなんかがやっているようなやり方よりは回数は少ないと思いますけれども、しかしこれからあと何回か、この期間がどれぐらいの間をおいてやるかということはちょっとわかりませんが、あと何回かの実験は必ずやると思います。そして今回やったのは二百キロトンですが、それよりももっと大きな一メガトンとか、つまりメガトンクラスの実験をやるということは、やはり予想しておかなければならないのじゃないかと思っております。  予想に関してはそんな程度しかわかりませんが、そういうふうにやって中国核兵器を非常に早いテンポで開発を進めているというのは、影響としては二つ考えておく必要があるわけでして、将来のアメリカ中国との関係を考える場合に、米ソのような緩和の状態ができるかできないかという問題を考える場合、米ソの緩和がどうやってでき上がったかといいますと、一つソビエトアメリカからの脅威を感じなくてもいいというような状態にまで核兵器開発し、ある程度の核兵器を持ちまして、こうして核兵器の手詰まりによる相互抑止の状態ができたことが、一つは緩和の条件になった。それからもう一つは、ソビエト経済発展、これは非常に大きい要素なんですが、こういう要素があって米ソ関係が緩和したというのと同じ型の条件がもし中国に適用されるとしますと、中国核兵器を持つというのは、その面ではマイナスの要因だけではないわけでして、そういった緩和の条件を満たすのには、その点は役に立つものを持っているわけです。  ただそういうふうにだけいって、中国核開発を考えることは非常に危険であって、いま中国イギリスと同じようなテンポの核開発ができたということが、中国の指導者たちに自分たちの体制に対する自信を与える、そしてそれがさらに中国の硬直した外交姿勢にまで結びつくというふうなことになりますと、それは緩和の状態とはまた方向が逆のことになるわけでして、そういった緩和を阻害するような逆の方向に進めないように、そうして緩和を満たすような条件をどうやって早く実現するかというふうな方向で、日本の場合は日本の行き方を考えていく必要があるんだと思っております。  これはいまの岡先生の御質問とは違う答えですが、最初の部分が岡先生の御質問に対する答えで、あと何回かその規模はわからないけれども、一年に一回とか二回とかいう実験は続けていくことになるのじゃないかと私は思います。
  26. 岡良一

    ○岡委員 檜山先生は御専門でございませんが、例のタクラマカン砂漠の一部のロプノル湖の近辺で核爆発をやっているわけですが、気象学的に日本列島なり日本近海というのは、中国核爆発影響を非常に深刻に受けやすいというようなことを聞くのですが、具体的にどういう科学的な基礎的な条件があるのでしょうか。
  27. 檜山義夫

    檜山参考人 お話のとおり私気象の専門でございませんけれども中国、ソ連でやりました実験の死の灰はことに日本の脊梁山脈の西側、秋田とか新潟とか青森とかああいう方面にかなり多量の降下物をもたらすという影響を持っております。ただ先ほども申しましたように慢性症状の考えられるストロンチウム九〇とかセシウム一三七とかいったものの量に関しましては、実際に死の灰の量がどれだけであるかということによってきまってくるわけでございますので、中共、ソ連のものがアメリカのものより特によけいきくということではございません。しかし短寿命の核種、先ほどちょっと申し上げました急性の影響を与えるものでございますが、これのほうの影響中共及びソ連から受けるほうがアメリカ核実験で受けるよりもずっと多いということは言える。今回もいわゆるジャイアントパーティクル、巨大粒子というものがだいぶ発見されておりますが、これは今回に限ったことではございませんで、前々から新潟、秋田の方面にはたくさん降ったものでございます。これは幸いにして非常に溶けにくいものでございますから、人間の胃に入りましてもおそらくほとんど溶けることなくそのまま排せつされますし、それから牛などが草についたものを食べました場合でも、これが消化されて乳に出てくるということはなくてほとんどふんのほうへ出てまいりますので、まず食物の循環のほうにはそれはたいして影響がございません。それから呼吸器系統に入るのにもちょっと粒が大き過ぎましてすぐ出してしまうという大きさでございますので、そうたいした影響というものではございません。もしこういう急性の症状を起こすような短寿命核種による障害を考えるならば、中共がやっておりますのはどうせ中共の西域でございますから、それなら中共の本土のほうが日本のどこよりもずっと大きな影響を受けておるわけでございますので、自分自身のところへそう大きなものをかぶるようなことはおそらくやるまいと思いますし、その事情はソ連においても同じじゃないかと思います。そのことはまた、もちろんアメリカについても同じでございまして、たとえばアメリカのネバダで行なわれました核実験は、日本に与える影響よりもアメリカ自身に与える影響のほうがずっと大きいはずでございます。これがビキニ環礁その他太平洋上の諸島においてやった場合には、日本の漁業が影響を受けることはございましても、やはり気象関係の状況から申しますと、先ほど申したことと同じでございまして、そうたいして急性のものによって起こる障害をわれわれが考えなければならないというような問題ではないと思います。この前の第五福竜丸の事件は、あれはめったに起こり得ないような事件で、たまたま核実験をやる場所の非常にそばにあったというようなところでああいう急性症状が起こった非常に異例なことでございます。異例だからこそジャーナリズムがあれだけ取り上げたのだろうと思います。
  28. 岡良一

    ○岡委員 いまの岸田さんのお話では、今後なお数回覚悟しなければならぬ。またジェット気流なり偏西風の関係で、日本列島はまともに降下物を受けとめるような地位にある。それからジャイアントパーティクルの問題ですが、東京では一平方メートル二個平均ぐらい発見されている。しかしこれもミクロン単位のものなんですから、そういうジャイアントでなくて、発見されないスモールパーティクルはたくさんあり得るわけですね。でありますから、そういうことを考えてみると、中共核実験がもたらす海洋汚染あるいは大気汚染はソ連やなんかよりも日本にとってはもっとおそるべき放射能災害の原因になるんじゃないかというふうに考えられるのです。あるいは特にまたこれが海洋に降下いたしまして、特にこうして三度三度——三度とは言わないまでも、おおむねお魚を食べておる、お魚の中で濃縮されるというようなことも考えられますが、そういう関連性をひとつ先生御専門の立場から御説明を願いたいと思います。
  29. 檜山義夫

    檜山参考人 一番初めのジャイアントでないもうちょっと小さなエアロゾールみたいなものがたくさんあるだろう、まさにそのとおりでございます。問題はどのくらいの量があるか、一平方メートル当たりどれだけピコキュリーというものがあるかというようなことが一番の問題だと思います。というのは、われわれの食品に入ってきます放射性物質の量というものは、大体単位面積当たりの降下量にある程度比例していることは、先ほどの図表でお目にかけたとおりでございます。したがってどこで実験をやったから量がどうだということは、先ほど申し上げたことをまた繰り返すようになりますが、急性のものでは近いほど多くなります。爆心に近ければ近いほど急性症状を起こす、短寿命核種であります。つまりこっちへ来るまでに消えてなくなるものが非常に多いわけであります。それから慢性症状を起こすようなものでございますならば、結局は単位面積当たりにどれだけそれが降るかということが影響をはかる目安になると思っております。  魚のほうの御質問がございましたが、先ほど申しましたようにやはり降下物についての影響というのは、海の魚と比べますと淡水魚が一けた多うございます。ですから海のほうは、先ほど申し上げたとおり、ダイリューション、希釈がございますので淡水と比べるとずっと少なくなるということが言える。実際に問題になるのはどれだけの量の——まあキュリーといってもいいと思いますが、これはディクリース、減衰を考えればキュリーかグラムというならキュリーで考えたほうがいいと思いますけれども、どれだけの量をどういう形で散らばしたかということが一番の問題だと思います。結局はそれをこまかくローカルな気象で、あるところは非常に吹きだまりになって多いとか、あるところはそうでなくて少ないとか、そういったような現象はございますが、いままでわれわれが日本の中での違いを見ていますと、降下量は三倍とか四倍とか違っておりますが、食べものに入る量としますとせいぜいあっても五割増しとかそのくらいの程度で、二倍まではなかなか変化がございません。と申しますのは、われわれの食べております食べものはそこでできたものだけ食べておりませんで、食べものは輸送されてかなり動いております。それで日本中の平均化というのがございますので、いま太平洋側と日本海側と比較いたしまして二倍までの差はございません。だけれども降下量は三倍から四倍ぐらいの差がございます。ですからハザード、障害というふうになりますと、降下量に比例はいたしますけれども、それと似た傾向をするだけでございまして、いま申し上げたくらいに変化しております。
  30. 岡良一

    ○岡委員 実は私も石川県の生まれなものですから、住民だものですから、先ほど石野さんからの質問にもあったように東京湾と同じように閉じられた海でございますから、やはりあそこではいわば拡散されないで蓄積をされるというふうなことも考えられると思うのです。それで中共のほうの核爆発が今後何回も予想されるというふうなときには、やはり海洋の降下物の科学的な調査というようなものもある時期には必要なことになるんじゃないかと思いますが、そういう点はいま現に進めておられるのでございましょうか。
  31. 檜山義夫

    檜山参考人 私のほうはプリンシプル、原理を見つけるための実験的なことはやっておりますし、それから先ほどお見せしました図表みたいになるべく一定の地点を選びまして、年変化、どういうふうに歴史的に変化していくかとか、あるいはそれがどういうふうに上へ上がったり下がったりするか、上が汚染が強かったり下のほうへそれが及んだり何かするというような現象を見たりすることをやっております。全般的には科学技術庁でやっておられるのではないかと思っております。
  32. 岡良一

    ○岡委員 それでは原子力委員会のほうに御要望を申し上げておくんだが、いま檜山先生のおっしゃったように、大体中央山脈の西側に降下物の降下量が多い。しかも今後数回は予想されるということになりますと、やはりバックグラウンドの調査という立場からも日本海沿岸の海洋その他における放射能の調査というようなものについては今後格段な措置を講ずるようにいまから御準備はしていただきたいと思います。
  33. 村田浩

    ○村田政府委員 先ほどの岡先生の御質問で、海洋の放射能調査ということでございましたが、私どものほうで取りまとめ、農林省の水産研究所でやっていただいておりますので、ちょっとそのことをつけ加えさしていただきたいと思います。  農林省の東海区水研及び西海区水研では、近海の海水及びプランクトンの放射能を、計画に従いまして、毎年定期的に採取し、分析をやって調査を続けております。その数字はまとめております。  それから中共核実験に関連して、裏日本の放射能調査を強化すべきであるというただいまのお話でございますが、一昨年中共が初めて核実験を行ないましたときから、全国二十四都道府県で行なっております放射能調査のデータを見ますと、先刻来お話がございますように、裏日本関係でやはり多く出ております。そこで原子力委員会にも御相談しまして、放射能対策本部にもおはかりし、四十一年度予算におきましても、裏日本における放射能調査を強化するという観点で予算をつけるように配慮いたしておりますが、今後の推移に従いまして、さらに来年度予算等におきましても、十分な配慮を加えてまいりたい、こう思っております。
  34. 岡良一

    ○岡委員 上原国務大臣が本部長をしておられるから、ぜひひとつ配慮願いたいと思います。  それで岸田さんに先ほどちょっと聞き漏らしましたが、中共核爆発あるいはまた核装備に備えて、アメリカはどういういわば核戦略的な対応を示しておるか。
  35. 岸田純之助

    岸田参考人 先ほどちょっとお話ししましたが、それを繰り返すことになりますけれどもアメリカ西太平洋での核配備を強めているということです。それを最も端的に示したのは、ことし二月二十三日に、例年マクナマラ国防長官発表します年次報告、私たちはステートメントというふうにだけ呼んでおりますが、そこでアメリカの防衛計画の焦点は明らかに極東に移りたというふうに言っております。したがって、アメリカの防衛計画あるいは兵力配備というのは、極東を焦点にして次第に移っていくということは当然予想されるわけでして、先ほど言いましたように、六四年三月のグアム島へのB52配備、それからポラリス潜水艦のその年の暮れから始まる西太平洋配備、そして日本への原子力潜水艦の寄港というのも、つまりそれらと一連の関係を持ったものになるわけです。それからもう一つは、中国を取り巻く台湾とかタイ国とかいった場所での飛行場の拡張による戦術的な核兵力の配備の準備というふうなことが一つあります。  それからもう一つ、先ほどもこれはお話ししましたが、軍事的な対応というのは二つあるわけです。相手側を軍事的に封じ込めるというのと、自分の受けるかもしれない被害について防衛計画を進めるということでして、それは現在ABM、つまりアンチバリスティクミサイルを含む本土の防衛計画の中でアメリカでは進められている。そのABM配備は、先ほど申しましたように、まだ決定はしていないのですが、毎年のように開発の予算がふえております。去年までに二十億ドル使いました。二十億ドルというのは、ちょうど初めての原爆を爆発するまでに使ったアメリカ核兵器開発費と同じなんですが、それだけの金額を去年までに使いまして、そして、ことしはさらにそれに約七億ドルをつけ加えたということになっております。したがって、アメリカ軍事的な対応というのは、そういった両面で進められているわけですが、中国に対する対応のしかたには、アメリカはそういった軍事的な対応、あるいは政治的な封じ込めというのも含めるわけですが、そういった封じ込めの体制のほかに、もう一つは、やはり中国とのコミュニケーションをだんだんと密接にしていくというふうなことも全く考えていないことではないということが、ことしの下院での極東太平洋小委員会とか、あるいは上院外交委員会での中国政策に関する聴聞会などであらわれておりますし、それから最近、先ほど言いましたマクラマラ国防長官のカナダのモントリオールでの演説とか、あるいはきのうのハンフリー副大統領の陸軍士官学校での演説などで、アメリカは両面の方策といいますか、つまり圧倒的な軍事力配備と緊張緩和の方策という二つは、その重さに問題があるとしても、その二つを忘れているわけではないということを、日本は着目しておく必要があるのではないかと思っております。日本の場合、ともすればアメリカ軍事的な対応のほうにだけ目を奪われまして、そして日本もそれに追随してといいますか、日本もまた軍事的な対応をするというふうなことだけが前面にあらわれがちなんですが、日本の場合は特に緊張緩和のほうに重点を置いた安全保障の方策を講ずる必要があるわけでして、その点は、軍事に相当な重点を置いているアメリカでさえ、中国とのコミュニケーションを密接にするということをすでに考え始めているわけですから、日本がさらにそれよりも以上に中国との関係の改善ということ、つまり日本中国政策の再検討ということを積極的に進める必要が起こっているのではないかと思っております。
  36. 岡良一

    ○岡委員 アメリカの上院の公聴会などを見、またその結論としてのコンテイソメント・ウイズアウト・アイソレーションというような政策をいっているのですが、具体的にそれを中国はどのように受けているかということも、現在の時点におけるあの整風運動に見ても、いまの時点では、コミュニケ−ションというものがそうすらすらとできるものとは思われない。そこで問題は、その結果、中共核爆発に対して、新聞報道等で見ると、グアム島に七隻のポラリス潜水艦配備をしている。その四隻くらいがもうすでに配置済みである。またB52の一個大隊を二個大隊にさらにふやす、しかも行く行くはB52はこれをポラリス潜水艦に代替せしめる方針である、こういうようなわけで、西太平洋における原子力艦艇というものがますます増加の傾向にある、こういうふうに考えていいのではないでしょうか。
  37. 岸田純之助

    岸田参考人 おそらくそういうふうになると思います。アメリカ原子力潜水艦の太平洋だけでなくて全体の配備の数の変化を見ましても、それは当然予想されるわけでして、この六月の末でアメリカ原子力潜水艦配備の数は二十四隻になります。ところでアメリカ潜水艦の数は六月末現在で百五隻ですから、潜水艦の中のおおよそ四分の一が原子力潜水艦ということになっているわけですが、計画どおりにいきますと、この六十年代の終わりまでには原子力潜水艦は半数をこえる、つまり百五隻というのが維持されるとしますと、五十何隻かは原子力潜水艦ということになります。それからポラリス潜水艦のほうは、この六月末で三十二隻の配備を終わるわけですが、来年の六月末には予定どおりの四十一隻の配備が全部完了する予定ですから、その点でも、普通のままにいっても、当然太平洋とかいうところに配備が次第にふえていくということは当然予想されるわけです。それから先ほど言いましたように、アメリカの防衛計画の焦点が極東に移ったというような発言があったところから考えましても、太平洋地域、またさらに西太平洋地域原子力潜水艦並びにポラリス潜水艦の数がさらにふえる可能性があるということは、当然予想しなければならないのじゃないかと思います。いま言いました百五隻、二十四隻というのはポラリス潜水艦をのけた数字であります。
  38. 岡良一

    ○岡委員 その場合、これは駒形さんでもあるいは村田さんでもいいが、この前の委員会でもかなり問題になったわけだが、一次冷却水のほかに、濃厚に放射能によって汚染されたイオン交換樹脂を洗うかあるいは捨てるという問題ですね。そういう機会が非常に多くなってくるわけだ。いま岸田さんの御説明のように、西太平洋におけるアメリカの核戦略体制なり核戦術体制が強化されてくれば、原子力潜水艦が非常に多くなってくると考えられます。この規制については、アメリカとの間には何らかの了解なり約束なり、取りきめがありますか。
  39. 村田浩

    ○村田政府委員 わが国に寄港いたします原子力潜水艦につきましては、通常の原子力潜水艦であるということになっておりますか、この原子力潜水艦がわが国の寄港に伴って放射性廃棄物を廃棄するにあたって、一次冷却水については、先ほど来いろいろ御議論ありましたように、米国の基準に従っておる、かつまた日本国の法律並びにその基準に適合するものであるということで、そうであるかどうかを日本側で調査をいたしてチェックしておる、こういう形でやってまいっておることは御案内のとおりであります。一方、一次冷却水をろ過する際に使いますイオン交換樹脂につきましては、米国の艦船局の指示におきましても、沿岸から十二海里以上離れたところで、既知の漁場がなく、かつ三海里以内に他の船舶がいない場所において、これを航行中に廃棄するというような規定になっておるのであります。したがいましてその艦船局の指示に従ってやられる限りにおきましては、わが国の領海からさらに十二海里以上離れましたところ、これは一般の公海になるわけですが、この公海において既知の漁場でないところでございますと、わが国に寄港する原子力潜水艦でも廃棄できるということになるわけでございますが、この点につきましては、この対象とされますところが公海上でございます、わが国の領海でございませんので、直接これを国際法によってどうということは、現在公海における放射性廃棄物の投棄ということについての取りきめがございませんので、具体的にどうこうと言うわけにまいらぬわけでございます。ただ、これも二年前の復習になりますが、米国でも言っておりますように、既知の漁場ということでございまして、先ほどの檜山先生のお話にもございましたように、わが国の周辺の海はほとんど漁場として使われておるわけでございます。どこがわが国の漁場であるかということは、政府のほうから米国側に通報してございます。これを尊重して行なうということに相なっておるわけであります。
  40. 岡良一

    ○岡委員 しかし、そういうことでは、魚の放射能汚染の問題は何も解決されないと思うのです。大体われわれの食ぜんにのぼる魚といえば、サンマ、イワシ、アジ、マグロ、あるいはこれからしゅんになるカツオ、とにかくこれは海洋を自由に動いている魚なんです。しかも表面を自由に動いている。そういうのを沖どり漁業でとったり、あるいはまた定置でとる。定置に入ってくるサバだって、十二海里といったって、それから五十海里以上出ているかもしらぬ。濃厚に放射能汚染をしているイオン交換樹脂のまわりにたかったプランクトンを食って、そういう小魚を食った大きなやつがまた出てくるというぐあいで、非常に濃厚に汚染されたイオン交換樹脂の投棄が、いまのようなアメリカの艦船局の取りきめのままに行なわれるということになると、お魚をよけい食べている日本人の食生活の上においてはやはり問題だと思うのですが、檜山先生どう思われますか。
  41. 檜山義夫

    檜山参考人 おっしゃるとおりだろうと思います。
  42. 岡良一

    ○岡委員 国際法で公海の自由と言っても、何をしてもいいという自由はないと私は思うのだが、こういう問題をこそやはり国連の科学委員会なり、国際原子力機関における原子力の安全規制の問題等に関連して、もっと明確な、国民の納得のいく保障を取りつけるような努力がなければならないのではないか。あらかじめ漁場として指定しているところには投棄しないといったところで、そこらじゅうが漁場なんだから、そういう点、私は非常に手抜かりだと思うのだが、これはやはりどういう方法で、そういう濃厚汚染のイオン交換樹脂の自由な投棄等を制規することができるか。何かそういう点について海洋の汚染という立場を専門にしていらっしゃる檜山先生、御所見があったら承りたいと思います。
  43. 檜山義夫

    檜山参考人 私は自然科学者で、どうも国際法学者でも何でもないものでございますから、専門外だと思いますが、やはり私、自然科学者の立場からしても、何か国際的に取りきめが行なわれなくちゃいけないと思います。それによって各国が自粛するなり、その制限に従ってやる、こういう形でいかなくちゃならないだろうと思います。私、聞くところによりますと、国際法というのは軍艦や何かには及ばないのだという話でございますが、私、専門でなくて知りません。それだったらそんなことをやってもしようがないだろうし、どうしたらいいのか、私にはわかりません。
  44. 岡良一

    ○岡委員 それでは長官にひとつ御所見を伺いたいのだが、いまお聞きのとおりです。とにかくわれわれの食ぜんにのぼる多くの魚はどちらかというと浅海魚で、回遊魚で、それがしかも大衆魚です。ところがこれは太平洋を東、西、南、北、自由に回っている。十二海里以上のところをどんどん回っておる。そういうところで原子力潜水艦が非常に濃厚に汚染されたイオン交換樹脂を捨てていく、それをその辺の小魚なりプランクトンなりが食って体内に入れる。またそれらを大きな魚がえさにして、だんだん濃縮化されていくわけです。それがわれわれの食ぜんに供されてくるということをそのまま放置するということは、放射能対策本部長としても重大な関心事でなければならぬ。今日までそれが放置されておったとしても、先ほど来岸田さんあたりの御意見にもあったように、西太平洋におけるそうした原子力潜水艦が増強されてくるというような状態になってくれば、なおさらのこと非常に重大な問題だと思うので、この点何か具体的な御所信があったら聞かしていただきたい。これまではほんとうに何と言うか、抜け穴の対策であった。これからひとつ厳重にやっていかなければならぬと思います。何か御所信があったら承りたい。
  45. 上原正吉

    ○上原国務大臣 おっしゃるように、原子力潜水艦によりまして、あるいはまた原子力空母によっても同じですが、イオン交換樹脂が汚染されたまま捨てられることが海水の汚染に甚大な影響を及ぼすということになれば、これはゆゆしき問題だと思います。ですから、おっしゃるように、これはやはり国連の場で世界的な処置を講じてもらうように働きかけるよりいたし方ないと思いますし、原子力潜水艦を持っておりまして海水を汚染するおそれのあるものはアメリカソビエトだけのようでございますから、いまのうちに適切な処置を国連にとってもらうということが最も必要ではないかと考える次第でございます。
  46. 岡良一

    ○岡委員 そういう国連だとか国際原子力機関のあるべき姿はもちろんそうなんですけれども、しかし、そういうところで結論が出るのは、これはほかの例を見てもなかなかたいへんなのです。だからやはり、特によけいに魚を食べる、しかもいま申しましたような大衆魚は、太平洋を回遊している魚である、いろいろそういう事情を考えた場合に、日本として独自の対策があってしかるべきだと思う。水産庁の高芝調査究部長が出てらおれますが、何かあなた方のほうで御見解があれば聞かしていただきたい。
  47. 高芝愛治

    ○高芝説明員 ただいまの国際的な問題につきましては、水産庁では特にこれという対策を考えていませんが、科学技術庁なりあるいは外務省を通じてそのつど、先ほど原子力局長からお話のありましたように、漁場を汚染しないようにという申し入れはやっております。同時にまた、現在われれができる範囲内の日本周辺のバックグラウンドの放射能の汚染関係調査、そういうものをいま定期的にやっております。
  48. 岡良一

    ○岡委員 定期的にこれまでやられたのですか。何かデータでもありますか、あったらひとつお示し願いたい。
  49. 高芝愛治

    ○高芝説明員 水産庁のほうでは、大体定点をきめまして、プランクトンとかあるいは魚類、それから底棲生物、そういうものを採取しまして、分析につきましては、科学技術庁のほうで分析化学研究所のほうにお願いして、そちらのほうで資料は全部そろえております。
  50. 岡良一

    ○岡委員 それはいつやっておられるのですか。
  51. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま水産庁のほうからお話がありましたとおり、海洋における海水、あるいはプランクトン等の汚染につきましては、各水研でお調べいただきまして、その分析しましたデータを対策本部としましてまとめまして、対策本部の発表の中に入れて報告いたしております。詳しいデータはいま持ってきておりませんので、数字はちょっと申し上げられません。
  52. 岡良一

    ○岡委員 とにかくこれまではよかったわけです。だけれども中国核実験に伴って、それの対応策としての原子力潜水艦やポラリスが、まごまごしているうちにどんどんふえていくというような状態、あるいはエンタープライズ号がやってくるという条件、こういうことになると、西太平洋における濃厚汚染のイオン交換樹脂が、先ほどのような抜け穴だらけな規制で海中投棄をされたのでは、やはり迷惑をこうむるのは日本のわれわれなんだ。われわれの食生活に直接大きな影響を持つんだ。だから、これまでは別として、今後はもう少しバックグラウンドをすっかり調べて、そしてその上で放射能の増加について、先ほど来檜山さんが御指摘になったように、水産庁も厚生省も科学技術庁も一本となって、責任ある対策をぜひ講ずるように、放射能対策本部としてもぜひひとつ御考慮を願い、実際的に十分処置さるべきだと思う。本部長としての長官の御所信を承っておきたい。
  53. 上原正吉

    ○上原国務大臣 おっしゃるとおりでございます。幸いにいままでデータが集めてあるそうですから、これがどういう変化をしてまいるかを厳重に監視してまいりたいと思います。そして、それを突きつけて各方面に善処を促して、わが国民かりでなく世界の人類が安心できるような方法を講じなければならない、かように考えております。
  54. 岡良一

    ○岡委員 檜山先生にお尋ねいたしますが、これまで海洋の放射能汚染については若干の調査をしておる。その調査方法その他について、専門の立場からずさんだと思われませんか、あるいはもっとこうあるべきだというような先生のお立場からの御意見はございませんか。
  55. 檜山義夫

    檜山参考人 いままでやっているものがずさんとは申しませんが、何ぶんにも広い海でございます。たくさんいる魚でございます。それのごくわずかをはかり、ごくわずかを抽出している。これは海洋調査あるいは魚の調査、あるいは気象などに共通したことでございます。全部海にいる魚を調べろということは、これは御存じのとおりできないと思います。したがって、こういうふうな非常に一部分を調べている調査にひっかかったということが起きれば、これはたいへんなことでございます。たとえばどのくらいの比率だか、正確に数字は申せませんが、あるいは一万尾いる魚のうちの一尾調べているくらいの割合かもしれません。もっと少ないかもしれません。それにかかったということならば、たいへんな確率の汚染が起こっているということになるのでございまして、ひっかからなくても汚染が起こっていないということは言えないのです。これが海洋調査の本質でございますので、しからばその一万分の一なら一万分の一を調査費用だけ注ぎ込めば一万分の一のかわりに千分の一にすることができますが、海にいる魚を全部調べることはできません。したがいまして、こういうことで調査してひっかからないからといって安心と決して言えない現象でございます。ですから、結局はやはり出すことの規制、そういうものの汚染を起こすことの規制、それがいかないと、調査だけしているから安心だということにはならない問題だと思います。
  56. 岡良一

    ○岡委員 私ども原子力潜水艦が入ってくることには反対の立場ですが、技術的にどうなんですか。グアム島あたりを中心にして何隻かの原子力潜水艦西太平洋に配置されているというような場合、濃厚に汚染されたイオン交換樹脂のようなものは燃料のとりかえもしないといっているように、グアム島あたりで回収する、向こうさまで回収してもらって、海中投棄はしないというような取りつけくらいはとるのがあたりまえじゃないかと思うのですが、原子力委員会はどう思っておりますか。
  57. 村田浩

    ○村田政府委員 一般に公海を運航しております潜水艦、これは米国の潜水艦に限らずソ連の原子力潜水艦もあると思うのですが、そういう潜水艦からのたとえばイオン交換樹脂の海洋投棄というような問題を、いま直ちにわが国のほうでこのようにしたらどうか、あのようにしたらどうか、ということは、ちょっと申す手がかりもございませんし、また申したにしましても、具体的な成果は望み得ないのじゃなかろうかと思うわけです。先ほど申しましたように、このような問題は原子力平和利用における放射性廃棄物の海洋投棄ということともあわせまして、国際的に何らかの基準、あるいはできれば規制というようなものを打ち立てていくという方向へ努力してまいるということであろうかと思います。潜水艦に関連しまして、特にわが国へ米国の潜水艦が寄港するということに関連しましては、私先ほど申し上げたようなアメリカ側の規制があるわけでございますけれども、水産庁からも御答弁ありましたように、わが国周辺における既知の漁場ということは水産庁のほうでもよくお調べいただきまして、相当広範な漁場を既知として指定してございます。それからまた、原子力委員会におかれましても、現実にアメリカ潜水艦がイオン交換樹脂等を含めどのような放射性廃棄物の海洋投棄を行なったかというデータもいろいろ御検討いただいたわけでありますが、たとえばイオン交換樹脂は半年に一回くらい取りかえるといわれておりますけれども、取りかえる際の放射能が十数キューリーに達すると想像されておるわけであります。しかし、過去たしか約二年間くらいにわたって——アメリカ側の言っておることではありますけれども、米国の潜水艦が投棄しました放射能は、全部合わせて二十キューリ一足らずというふうに、たしかデータが出ておったと記憶しております。と申しましても、先生のお話がございましたように、いままでのことではございませんで、今後いろんな、潜水艦に限らず、平和利用の進展に伴って、海洋が漸次放射性廃棄物で汚染される傾向にあり得るということは事実でございますので、そういった傾向に対してどのように国際的に手を打っていくかということは、政府としましても、長期的な立場で、国際的なそういうような基準なり勧告なりあるいは規制というものができる方向へ努力してまいる、こういうことであろうかと思います。
  58. 岡良一

    ○岡委員 村田局長の御答弁は、先ほど服部参考人の指摘された非科学的な答弁なんだな。自分では何ら科学的な確信を持っての答弁でない。ただ一方の言い分を聞いたらこう言っておるんだという。国連科学委員会などではこの問題は取り上げられておりますか、檜山先生。
  59. 檜山義夫

    檜山参考人 私、ここ数年出ておりませんので存じませんが、私がいままで出ていた会議あるいはその後の報告などでは、ほとんど潜水艦、軍用のものですから、それがあまり大きく問題になって議論されたことはなかったと思います。
  60. 岡良一

    ○岡委員 これは、大塚君もおられるが、国連の科学委員会などでこの問題はやはり日本側が提起をして、厳重に世界の科学者が協力をして海洋汚染の調査をするというような方向に科学委員会は進んでもらいたいと私は思うんだが、大塚君はどう思われますか。
  61. 大塚博比古

    ○大塚説明員 現在国連におきまして、放射能科学委員会が開催されておりまして、わが国から放医研の塚本先生が出ておられるわけでございますが、お帰りになりましたら、先生ともよく御相談いたしまして、いま岡先生のお話の趣旨を体しまして、よく御相談してみたいと思います。
  62. 岡良一

    ○岡委員 先ほど来原子力潜水艦安全性についていろいろ服部参考人からの御意見があったのですが、全くあなたのおっしゃったように、われわれも三年前に同じことを繰り返しておったわけです。いわば原子力潜水艦がソーナー等によって探知されないために若干の安全装置を落としておるとか、あるいはコンテナが、サバンナならば二重であるが一重であるとか、いろいろ一そういう点にも触れて安全性という問題にわれわれは疑義を示しておったわけなんです。ただ、私この際聞きたいのは、人口稠密なる港へは原子力潜水艦入港せしめるなという意見が、アメリカ側にはあるわけです。ところが、人口稠密な、その中心ともいうべき横須賀に入ってきた。これは一体どういうことなのか、アメリカとして方針が違ったのか、どういうことなのか、何かその辺の情報は知っておられますか、皆さんの中で。
  63. 村田浩

    ○村田政府委員 御指摘の米国の原子炉安全諮問委員会委員長から原子力委員長あての書簡にありますこと——一九五八年の書簡だったと思いますが、その後、それに対しましてまた違うような書簡が出たということは聞いておりません。ただ現実の問題としましては、そういう書簡がありました後におきましても、原子力潜水艦あるいは原子力水上軍艦というものが、たとえばニューヨークであるとか、ボストンであるとか、あるいはシドニーであるとか、極東ではマニラであるというような、相当人口稠密な地域の港へ現実に入っておるという歴史はございます。
  64. 岡良一

    ○岡委員 シドニーやマニラと横須賀では、問題にならぬじゃないですか。それは例にならないと思うんだ。ここに一九六〇年の四月九日のアメリカの上下両院合同原子力委員会のヒヤリングがあるのですが、その最後に付録として、水爆の父といわれているエドワード・テラーが、当時の原子力委員長であるマッコーンに対して手紙を送っておる。これにはこういうことが末尾に書いてある。「それはなお私の深い確信である。」それは確信であるというその確信は何であるかというと、「どんなに注意をしても、原子力潜水艦を人口稠密な港に、もしそれが絶対的に必要でない限りは出入りをせしめてはならない。そのことは間違いであるというのが私の確信である。」と書いてある。だれか英語のうまい人があったら、これを読んでごらんなさい。こういうふうに、水爆の父といわれるテラーがはっきり一これ以後のヒヤリングを集めてみると、たいてい海上艦艇のヒヤリングです。原子力潜水艦に関するヒヤリングは、一九六〇年のこれが最後であると私は思う。ところが、その中で最後の末尾で、少なくとも水爆の父といわれるテラーが、軍事的に絶対に必要であるということでない限りは人口稠密なる港に対する原子力潜水艦の出入は、イット・ウッド・ビー・ロング、間違っている。これは私のディープ・コンビクション、私の深い確信である、こう言っておる、一体、こういうふうにアメリカでも、原水爆の最高の権威者の一人であるテラーが言っておるときに、なぜ横須賀入港させるか、人口稠密なる港に入港させるか。これは外務省の国連局長かだれかに出てもらって、はっきりその間の事情を聞きたいと思うんだが、大塚さんなりあるいはまた安全保障課長なりおられるなら聞かしてもらいたい。
  65. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 御承知のように一昨年八月に原子力潜水艦日本入港に同意しました際に、すでに寄港地といたしまして佐世保と同じく横須賀が指定してございます。今回横須賀に入りましたのは、この両国間の約束に従って入ってきたわけでございまして、特に人口稠密な横須賀に入れたということについて特別な理由はないということでございます。
  66. 岡良一

    ○岡委員 横須賀入港しても、これは人口稠密なる港であるという概念に当てはまらないと言われるのですか。
  67. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 先ほど原子力局長からもお答えいたしましたとおり、すでに原子力潜水艦は過去百回以上、三十数港の港に入港しております。その中にはアメリカではニューヨークとかボストン、あるいは外国ではカラチあるいはシドニー、マニラ、横須賀の人口以上の非常に人口の多いところに入っておりまして、いままでのところ何らその人口稠密であるということで問題になったというふうには私は聞いておりません。
  68. 岡良一

    ○岡委員 テーラーはこう言っておるのですよ。「とにかくこの原子力が海軍艦艇に利用されたということはきわめて重要なことだ、であるからして、その重要性にかんがみ、われわれは国家を防衛するという立場からは避くべからざるリスクというものはもうやむを得ない。しかし、外国の人口稠密なる港には絶対に入れるなと言っておるのですよ。それは一九五九年の原子炉安全諮問委員会委員長には特に外国ということを言っておる。フォーリンポートとはっきり言っておる。何のために横須賀も佐世保も一緒に受け入れたのです。向こう側からさえそういう注意を原子力委員長に出しておる。原子力委員会とは独立の組織であり、原子力の安全のための責任を持つ組織である原子炉諮問委員会委員長原子力委員長あてにその書簡を出して注意を喚起しておる。原子力潜水艦に乗ったテラーが外国のそういうところに入れてはいけないということを言っておる。にもかかわらず、なぜ横須賀というようなところに入れることを承認したのです。
  69. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 御承知のように、日米安保条約及びそのもとにあります地位協定に基づきまして、米国の艦船は原子力を推進力とするといなとを問わず、入る権利を持っているわけでございます。しかしながら、一昨年、合意をするに先立ちまして、アメリカ側から、原子力については特殊な感情を持っております日本ということを考慮して、特に原子力艦艇と申しますか、原子力潜水艦日本寄港についてはあらかじめ相談がございまして、その際に、一年有半にわたりましてあらゆる入手できる資料をもとに、安全性その他についても検討いたしました。最後には原子力委員会のほうからも安全性の点については問題ないという御見解が出されまして、一昨年八月に原子力潜水艦日本入港に同意しているわけでございます。
  70. 岡良一

    ○岡委員 そこで佐世保に来た。あなたの言うことを一々言ったら時間が切りがないから、私は本会議もあることだからやめますが、何も正確な情報なんかとっていはしないじゃないですか。とっておってもどこかに隠しておるじゃないですか。たとえばこの合同ヒヤリングにおいては、いかに安全性を犠牲にしておるかということを一九五七、八、九年のヒヤリングではリッコーバーははっきり言っておる。わが国の防衛のために、これくらいのことはがまんしてもらわなければ困る、こう言っておる。だがしかし、そういうことをいまあなた方と蒸し返そうとは思わない。テラーは、「もし軍事的に絶対に必要でない限りは人口稠密な港に出入してはいけない。」と言っている。それでは原潜が横須賀入港するには軍事的に絶対に必要であるという、あなた方のほうへ何らかの通告があったのですか。
  71. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 御承知のとおり原子力潜水艦日本寄港の目的は二つございまして、一つが補給でございます。それからもう一つは乗り組み員の休養ということでございますから、これはいま先生の言われました軍事的な必要性ということから考えまして、補給ということは確かに必要でございます。それから乗り組み員の休養ということも必要でございます。一昨年合意いたしました際に、寄港先としまして佐世保と横須賀というふうに相なっておる次第でございます。
  72. 岡良一

    ○岡委員 それは補給も必要だし、休養も必要だろうが、それならば何も横須賀に来る必要はないじゃないですか。人口稠密な港へは、軍事的に必要でない限りは入港せしめるな、こういうふうな考え方がアメリカ原子力委員長に出ている、アメリカの権威者が忠告しておるときに、何のために人口稠密な横須賀に来たか。そうじゃないですか。補給なり兵隊の休養ならどこででもやれるじゃないですか。佐世保でもやれるじゃないですか。現にやっておったじゃないですか。
  73. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 すでに先ほど来申し上げておりますとおりに、一昨年の八月に合意いたしました際に、佐世保だけに限っておらず横須賀も入っていいのだ、これはその前に安全性の点について検討いたしまして、その結果合意した次第でございますので、特に、人口稠密な横須賀に入ってはいけないということは政府としていままで申してない次第でございます。
  74. 岡良一

    ○岡委員 この原子力潜水艦安全性を論ぜられたのは、まだ入らない前ですね。そのときに、このことは、私は繰り返しこの委員会で、外務委員会との連合審査でも指摘しておったのです。念も押しておった。ではあなた方は委員会におけるそういう論議を無視して横須賀への入港をもう初めそのときすでに認められたのですか。
  75. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 先ほど来、私繰り返してたいへん恐縮でございますが、一昨年の八月にすでに入港先といたしまして佐世保と並んで横須賀日本側としても合意しているわけでございます。
  76. 岡良一

    ○岡委員 まことにけしからぬ話だが、これは水かけ論議になってもしかたがないから……。  それじゃエンタープライズ号が今度佐世保か横須賀にやってくるというような話があるが、それはやってくるのですか、来ればいつごろやってくるのですか。
  77. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 エンタープライズ号につきましては、昨年の十一月の末でございますか、大西洋のほうから回航になりまして第七艦隊に編入になったという通報がアメリカ側からございました。さらにその際に、アメリカ側のほうでもその事実を発表しております。したがいまして、第七艦隊に編入になりました以上、そのほかの艦艇と同じくアメリカ側としては日本に入ってくる希望を持っているのではないかというふうに承知しております。現に昨年の十一月、第七艦隊に編入になりました際に、いずれ日本に寄港することがあるかもしれないということは、その当時からアメリカ側が言っていた事実はございます。
  78. 岡良一

    ○岡委員 原子力委員会はかつて統一見解でいろいろ意見を述べられたが、この原子力潜水艦についてのそのときの見解では、安全性を十分に審査するということであったが、エンタープライズ号について、その機能的な安全性についての資料というものをあなた方は十分に持っておられますか。安全であると断定できる資料を持っておられますか。
  79. 村田浩

    ○村田政府委員 エンタープライズ号の本邦寄港の問題につきましては前にこの委員会においても申し上げたと思いますが、第七艦隊への配置がえの際に将来寄港ということもあり得るだろうということを非公式な形で私ども外務省を通じて聞いておるわけでありますが、正式に本邦の港へ寄港したいという申し出があったとはまだ承知しておりません。  原子力委員会としましては、原子力潜水艦の際にとりましたと同様、すなわち原潜のときには米国のライシャワー大使から外務省へ寄港させたいということを正式に申し出がございまして、それから原子力委員会の自主的な立場から安全性について検討が行なわれたわけでありますが、現在はエンタープライズについては、まだそれと同じ段階にはなっておらないと思っております。しかしながら、非公式な申し出ではございますけれども、将来その可能性があるということでありますので、原子力委員会の事務局でございます私どものほうで、いろいろ外務省にもお願いしまして、そういったことを原子力委員会で御検討になる際に資料を検討し、あるいはどういう事項を検討していただけばよろしいかというようなことを勉強しておるわけでございます。
  80. 岡良一

    ○岡委員 その資料というのはまだ来ておらないのですか。
  81. 村田浩

    ○村田政府委員 一部私どもがこういうのがあればと思ったものが来ておるのもございますし、まだこちらといたしまして特に催促しておるわけでもございませんので、入っていないものもございます。
  82. 岡良一

    ○岡委員 橋本官房長官の新聞談話あるいは椎名外務大臣の国会答弁を見れば、遠からず来るものと私どもは考える。して見れば、当然エンタープライズ号についても、原子力委員会としてはやはり的確な機能的な安全性を確認し得るような資料をできるだけ、もちろん軍事機密に属する部分もあるであろうが、できるだけあなた方は収集しなければならぬ。第一そういう場合、あなた方はどういう基準というものをこの安全性の基準とされるつもりですか。
  83. 村田浩

    ○村田政府委員 原子力空母の場合におきましても、原子炉安全性と申しますか、あるいは放射性廃棄物の安全性という点に関しては、原子力潜水艦と基本原理的に違いはないと思います。ただ原子力潜水艦原子力空母では形状その他違ってもおります。そういったような相違点ということが、従来これまでに原子力委員会が原潜の寄港に関連していろいろ御検討になった点と比較してどうであるかというような問題が今後御検討いただかなければならないことであろうかと思っております。いずれにいたしましても、軍艦という国際法上あるいは国際慣習上特殊な立場を持っておる相手でございますので、通常の平和目的の原子炉あるいは原子力船というものと同じような形での安全審査ができないことはやむを得ないわけでございます。しかしながら、その範囲におきましてもできるだけの確認を行なって、原潜の場合と同じような形で確かめていくことになろうかと思います。
  84. 岡良一

    ○岡委員 原潜の場合には、それじゃどういう基準で安全性を確認されましたか。
  85. 村田浩

    ○村田政府委員 その際に、一昨年の八月二十八日ですか、発表されました原子力委員会の見解にもございますように、原子力潜水艦が軍艦であるという特殊な立場から通常の安全審査ができないという前提に立ちまして、これにかわりまして原子力委員会で、安全を確保する上に必要と思われる事項、それらがどのように米国側として十分なされ、かつそれを米国政府として保証されるか、そういうような保証なり約束を十分な形で取りつけておくという立場から、必要な点を検討され、結局八月二十四日のアメリカ政府の声明書におきましてたしか六項目でしたか、さらに八月十七日付の米国政府の覚え書きにおきまして八項目でしたかの点についての米側の保証なり約束が取りつけられたわけであります。原子力委員会はそれらの保証なり約束がそのとおり行なわれることが確保されるならば、わが国の国民、特に周辺の住民に対して障害を生ずることはないだろう、こういうふうに判断されたわけでございます。原子力空母の場合におきましても、その判断の筋道、進め方というのは大体これと同じ線で行なわれるのではないかと考えております。
  86. 岡良一

    ○岡委員 服部参考人にお尋ねしますが、原子力委員会の事務局長としておそらく原子力委員会の意向を代表する発言だと思うが、村田局長のいまの答弁をどう思われますか。
  87. 服部学

    服部参考人 一昨年八月十七日にアメリカ側から日本へ送られましたエイドメモアールというものの中にこういうことが書いてございます。通常の原子力潜水艦原子炉は原子爆弾のような爆発が起こらないように建造されているのだそうであります。それからもう一つ、これらの原子炉に内装されている安全装置は、緊急の際には必ず原子炉を停止するようになっているのだそうであります。これはあたりまえなことでありまして、原子爆弾のように爆発する原子炉が世の中にあり得ませんし、安全装置のついていない原子炉というようなものは、あったらお目にかかりたいものでございます。問題はどういう安全装置がついているか、それがどういう条件で働くのか、あるいは安全装置が故障した場合に、それにかわる手段がどういうふうになっているか、そういう具体的な条件が必要なのだと思うわけであります。ところが、そういった非常に幼稚な説明、原子爆弾のように爆発しないといったような非常に幼稚な説明が、向こうのことばを借りますと、原子力軍艦に関する情報の提供に関する法令上及び秘密保護上の制約の範囲内において、全面的に協力する見地から、可能なあらゆる努力を払った回答だ、こういうわけでございますから、これは日本原子力委員会や科学技術庁がずいぶんなめられた話だというふうに私は考えております。この前の八月の原子力委員会の報告というものは、これは科学的な安全審査というふうには、私たちはどうしても理解できないわけであります。安全性というものは、先ほど申しましたようにあくまで科学的に検討され、判断されなければならない。科学的な検討というものを行なわないで安全性を政治的あるいは感情的に、向こうが安全だと言うからこれを信ずるのだということであるなら、これは単に信仰の問題にすぎないことになると私は考えております。
  88. 岡良一

    ○岡委員 そのほかに、たしか百何回外国の港に出入したが事故を起こさないということも書いてありましたね。ところがテーラーのこれを見ると、はっきりこういうことを言っているのです。「われわれはだまされちゃいけない、今日まで原子炉が何らの事故を起こしていなかったとしても、原子炉は安全であるとだまされてはならない。」これがまだ今日における原子炉段階であればこそ、われわれは安全性というものに対してここまで執着を持って論議をしているわけです。  そこでこの問題は、エンタープライズ号についてそういうばく然たるものじゃなく、もちろんそれは、炉の構造なり、いま服部さんの御指摘になったような安全装置の関係等についてはなかなか入手することも困難かもしれないけれども、たとえば原子力潜水艦よりも、ウォーミングアップのための結果としての第一次冷却水の放出も多いでしょうし、いろいろ変わった問題もあると思うので、そういうような情報はできるだけ早く集めていただきたい。集めていただいてひとつこの委員会に御報告を願いたい。この委員会としてもやはり専門の方々の意見も十分お聞きをして、原子力委員会に対して勧告をし警告をする権限があるのです。ぜひひとつできるだけ早く外務省のほうでもエンタープライズ号について入手し得るだけの安全に関する資料は原子力委員会に渡して、その上で原子力委員会としてはわれわれに公表してもらいたい、このことを強く私は要望しておきたい。  それから大塚さん、あなたはこの間スエーデンに行って核探知クラブのお話何かされましたか。これも私ども委員会としては非常に関心を持っておる問題ですが、どうですか、会議の模様は。
  89. 大塚博比古

    ○大塚説明員 いまお話がありましたいわゆる核探知クラブに関しますストックホルムの会議から先週帰ってまいりましたが、会議の模様を簡単に御説明いたします。  なお、最初にお断わりいたしますが、実は核探知クラブと申しますのは、これはいわば通称でございまして、実はこの名前が適当であるかどうかという問題に関しましては、かねがねわれわれも疑問を持っていたわけでございますが、今回正式の名前は地震データ交換に関する会議というふうに改められましたので、御了承願いたいと思います。ただ探知クラブというのは、従来新聞等で使われておりますことばでございますので、便宜上今後もあるいはわれわれのほうも使うことになるかもわかりませんけれども、その点もそういう前提で使うという意味で御了解願いたいと思います。  探知クラブの会議の御説明をする際に、ごく簡単に従来の経緯に触れさしていただきますことが今後の会議の性格を御説明するのに役に立つと思われますので簡単に説明いたしますと、御承知のように一九六三年のモスクワ条約、いわゆる部分核停条約というので、大気圏、陸上、海中における核兵器実験はすべて禁止されたわけでございますが、その際、地下における核実験は、これは検証の問題、探知の問題等の技術的な困難性のために除外されたことは御承知のとおりでございます。その後、国連の場あるいはジュネーブにおける十八九国軍縮委員会などで、スエーデンが中心になりまして、地下における核実験禁止のために何とかそれを促進しよう。そのために地震観測の方法による探知のための国際協力を行なおうという構想が打ち出されまして、これは世界有数の地震国であります日本も、その点に関しまして、もちろん全面核停実現という日本の熱望からいいましても、この国際協力に対しては日本も大いに積極的に協力したいと考えられましたので、昨年の国連総会で椎名外務大臣からこのスエーデン構想を支持する旨を明らかにした経緯がございます。なお、国連はその際、地下核実験の地震学的方法による探知のための国際協力を推進しろという趣旨の決議を昨年の十二月に採択して、これは反対がアルバニアだけで、全会一致で通過したわけでございます。  その後、スエーデン政府は、自分たちの構想に対する日本側の反応に非常に喜びまして、係官をことしの二月に東京に派遣しますとともに、われわれ並びに気象庁、学界と相談いたしまして、会議の打ち合わせをやりまして、それで先月、五月の二十三日から二十六日までストックホルムで会議が行なわれたわけであります。  会議の参加国はスエーデンが招請しました国全部、いま国の名前を申し上げますと、オーストラリア、カナダ、インド、日本、ポーランド、ルーマニア、スエーデン、それにアラブ連合共和国、この八カ国でございます。これでごらんになりますように、これはすべて非核保有国でございますし、特にポーランド、ルーマニアといった共産圏からの国、あるいは……。(岡委員「イタリアは」と呼ぶ)イタリアは入っておりません。招待にも入っておりませんでした。  それで、今度の会議はきわめて技術的、科学的性格を有するわけでございますので、特にスエーデン政府の招待もその専門家を出してくれということでございましたので、外務省におきましては、気象庁と学界と相談いたしまして、学界から東大の地震研究所の宮村摂三博士、それから気象庁から地震課の市川政治運輸技官を専門家として派遣いたしまして、それに私が随行したというような次第でございます。  会議の成果をざっと申し上げますと、まず会議の参加国は、地震観測データのすみやかな国際交換を行なう、これを通じて地震学の向上と、それから地下核実験禁止の合意を促進する、そういう会議における協力の目的について一致いたしました。それからなお会議で一致しました点は、こういった地震観測データを交換した場合に、それに基づく判断、これは、要するに、地下核実験であるか、あるいは天然の現象である地震であるか、それを区別する、これをジャッジメントあるいは判断と申しておりますけれども、この判断は探知クラブ自体の名前では行なわない。これは参加国各国政府の責任とする、こういう点について意見が一致いたしました。それからもう一つ意見が一致しました点は、地震データ交換のための国際協力、これに参加を希望するすべての国にこういった協力は開放されるべきである、この点について意見が一致いたしました。それ以外はすべてきわめて専門的なことでございますし、これはたとえば探知目的のための地震計の特性を標準化する問題、あるいは地震交換データの内容、どういうデーターを交換するか、それからどういうチャンネルで交換するか、たとえば世界気象機関の持っております気象通信網を利用することができるかどうか、あるいはとりあえずは電信でやるとか、あるいはさしあたりは予算その他の関係から航空便でそれぞれデータを交換したらいいとか、そういったような問題、あるいはその両方のデータを集積するところ、集積する方法でございますね、国際的なセンターを設けるか、あるいは二国間の相互交換方式でやるか、そういったきわめて専門的な内容の討議が行なわれました。こういった専門的な内容に関しましては、各国が自分たちの国における現状を説明し、自分たち意見を交換したという程度にとどまったわけで、会議の報告を各国政府に持ち帰って検討して、今後どういうふうにするかということはすべて将来の問題になったわけでございます。したがって、探知クラブの組織化とか、そういう点はすべて今後の外交交渉——政府がこの報告を検討した結果の外交交渉に移してやるということになりましたけれども、その結果を待たずとも、参加各国はすべて全面核停の早期実現に関する世界におけるきわめて大きい関心があることにかんがみて、地震学をこの目的のためにできるだけ急速かつ効果的に動員するという点について意見が一致したことは、政治的にきわめて高い成果をあげたものと私どもは見ております。  私、説明員でございますので、私自身のいままで申し上げましたことはすべて事実について申し上、げました。
  90. 岡良一

    ○岡委員 本会議の時間も迫っておりますから、またいずれ外務委員会等でいろいろ私の意見も申し上げたいと思いますが、たまたま岸田参考人もおいででございますからまた、服部参考人にも伺いたいのですが、いま大塚課長の御報告によると、地震のデーターを交換する会議、しかし事実上は地下実験の査察問題で全面核停になり得なかったのであるから、やはり行く行くは核実験の全面禁止を目途とする国際的な協力団体とみなしていいわけですね。
  91. 大塚博比古

    ○大塚説明員 そのとおりでございます。
  92. 岡良一

    ○岡委員 そこでまず第一に岸田さんにお伺いをしたいんだが、昨年の国連総会で日本代表の松井さん、それから椎名外務大臣も総会演説で言っておりましたが、核拡散防止協定を結ぶためには、現在の核保有国がまずみずから進んで核軍縮をするという熱意と行動を示すことが条件であるという趣旨の——条件といって、条件ではないので、何らかの形においてそれが核拡散防止協定の中に含まれればいいというふうにあとで皆さん言っておられましたが、いずれにしましても、核保有国の核軍縮を持ち出して、これが核拡散の防止のための重要な前提であるという取り扱いは、核拡散防止協定そのものの成立を妨げる結果になると私は思う。したがって、日本政府のようにそういう前提を持ち出すということは、これは核拡散防止協定をかえって成立を困難ならしめる条件をみずからつくり出すものではないかとさえも思えるのだが、その点どう思われますか。
  93. 岸田純之助

    岸田参考人 私は、核拡散の防止条約を長く有効にするためには、核兵器を持った国々が自分の抑制の措置を講ずるということがなければ、その条約自身が長く有効であることはできないと思いますので、大国の抑制の条約を促進するような希望を述べるとか、あるいはその大国の抑制を促進するような方策を並行して講ずるということは必要なことだと思っております。ただ、条約として一つにまとめた条約にするということは、これは実際的でないということはありまして、現在の核拡散防止条約では、その中に全面核停などが含まれることは実際にはないわけです。ないのですが、ここで参考として考えなければならないと思うのは、スエーデンのような国の態度でして、スエーデン自身は大国が自分たちの核軍縮についての適当な措置を同時に講ずるということを必要だというふうに考えておるようです。そしてスエーデン自身の態度がわりあいはっきりと出ているのは、ことしの三月十日の十八カ国軍縮委員会におけるミュルダル代表の発言だったと思うのですが、並行して大国の抑制措置を講ずる必要があるということ、それからもう一つは、地下核実験の停止条約の場合に、査察に対するスエーデンの考え方がわりあいはっきりしている。つまりいまの核実験探知クラブの問題ですが、核実験探知クラブをつくったとしましても、一〇〇%探知するとか識別する、つまり検証ができるということはないわけです。ないわけですが、しかしこれだけ全世界的な規模のネットワークをつくれば、もし疑いをかけられた国は、自分でその疑いを晴らすために、招待して自分の国を見てくれというふうにいうだろう、だから査察を必要条件とするような条約である必要はないというふうな見解を述べております。つまりスエーデンとしては、できるだけ実際的に実効があがるような全面核実験停止の条約を早く実現したいと考えているわけでして、やはり核兵器を持っていない国は、一方では核拡散防止条約が早くまとまるということを期待する必要はありますが、それと並行した大国の抑制措置というのは、常にその希望といいますか、要求をし続けることのほうが妥当だと思います。  さらに、それをそう考えさせる理由は、いま地下核実験では、いままで大気圏内でやっておりましたような実験は全部できるということがあるわけです。それは一九六三年に部分核実験停止の条約ができましてあと、その翌年六四年一月末に発表されましたアメリカ原子力委員会の年報では、原子力委員会は、地下であらゆる実験ができるような新しい技術開発する努力をしている。そうして大きさでいいますと、三百キロトンぐらいまでのものは、現在の施設でできる。それから新たに大きな威力実験ができる場所を、そのネバダの実験地域を拡張しまして、そこでやるように進めている。そして六四年にその施設は完成して、去年はその場所で二回実験をしておりますが、威力の大きいものができる。それから大気圏内でなければできなかったような効果テストというのですが、爆発によって起こるいろいろの効果、つまり熱線の効果とか爆風の効果だけではなくて、相手の核弾頭に与える影響のような効果も、地下核実験でできるようになった。そして相当金をかけて、たとえばおととしのアルバという実験がありますが、その実験では五百五十万ドルをかけて地下にボーリングをして、そして横に五本のトンネルを掘って実験をするというふうな手の込んだ実験地下でやるようになっております。そうしますと、軍縮の方向というのは、一つはいまある軍事力を減らしていくということなんですが、もう一つは、新たな兵器開発封じ込めといいますか、新たな兵器開発可能性をできるだけ少なくするといいますか、その速度をおそくする努力というのが並行して必要だと思うのですが、地下核実験をいま野放しにするということは、つまり大国の新兵器開発競争をいつまでもほったままにしておくということになりますので、その点は、日本の場合、二つの条約を一つにした条約として要求するということではないのですが、大国の核軍縮への自己抑制の措置というのをいつまでも要求する立場は続けていくことのほうが妥当であり、必要だと思います。
  94. 岡良一

    ○岡委員 私は大国の核保有国が核軍縮をすることを放任しておけというわけではないわけです。ただ問題は、すでに実験禁止協定でも査察問題でとうとう地下核実験が除外された。しかも地下核実験は、私もこの間AECの情報を得ましたのを見ると、メガトンの実験までやっておる実情です。かと思えば、〇・五キロトンあたりの戦術核兵器実験もやっておる。いわば地下核実験という隠れみのの中で核軍拡が行なわれているという事実、であるから、この場合われわれに必要なことは、要するに大国の核軍縮を言う前に全面核実験の停止をやる。なぜならば、査察問題でさえも、ついに地下核実験が除外されて部分的核停になり終わったように、もし核軍縮というものを核保有国がやるということになれば、かりに米ソの間においてでもいわゆる部分的核停条約協定の前文にあるように、国連の管理のもとにおける全面かつ完全なる軍縮へ前進をしていこうとしたところで査察を伴う形に自然なってくるわけです。これで全面実験禁止協定さえも成立しなかった事情を見たときに、しかも地下核実験という抜け穴でもう公然たる核軍拡が行なわれているという条件があり、同時にまた、核拡散防止協定に中国が入るか入らないかわからない、フランスも入るか入らないかわからないという見通しの中で、核軍縮をいまここで持ち出してみてもこれは事実上まとまりがたい。であるから、まずわれわれは、一番必要なことは全面的な核実験禁止協定である。全面的な核実験の禁止協定を結ぶという方向に向かってぜひ日本は進まなければならぬと私は思う。これは平和利用を指針とせられる原子力委員会としても大きな目的だと思います。そこでいま大塚さんのお話を聞くに、結局国際的な協力というか、世界的なネットワークのもとに、いわば天然の地震と地下核実験の地震とを区別して、そしてこれはある国における核実験であるということを、その当事国以外の国々が協力をして確かめ合う。しかし確かめ合っただけで一体全面核実験禁止ができるのか、アメリカはいつ何日やったぞということが、かりに日本の地震計にわかったとします。地震計においてこれは天然の地震じゃない、これはアメリカのどこそこで地下核実験をやったんだということが、日本の今後の精密に開発された地震計で探知されたとしても、探知されたということだけで一体全面核停というものができるかどうか、問題はそこにある。これは原子力委員会としても考えてもらわなければならぬ。単に探知したということだけでは、ただ科学的なデータが提供されたというだけだ。それが核保有国に対して地下核実験をさせないという拘束力にはなり得ない。問題はそれをどうして拘束力たらしめるかということが、今後の日本の核政策の中心の課題になってきた。こうして核探知の問題について日本も積極的な協力に踏み切られた以上、その成果を全面核停にどう結びつけ、どう発展させていくかということが、これが日本の重要な要務である。私は私なりの結論を持っております。結論は持っておりますが、しかしこれは外交政策の問題だからまた別の機会に申し上げたいと思いますが、そこのつなぎをどう発展せしめていくかということは、これは外交政策だけじゃなく、やはり原子力委員会としても十分ひとつお考えを願いたいと思う。平和利用という表看板を掲げて原子力開発のためにわれわれ委員会も与野党をあげて御協力を申し上げておるのだから、原子力委員会としても、また外務省当局と十分にお考えを願って、そうして、核探知ができた、地下核実験の探知ができたということだけでは、科学的なデータがそろったというだけでは、全面核停にはならない。具体的にどうしたら全面核停になるかという問題、この問題はひとつ大塚さん、この次の外務委員会までに宿題として、三、四日後の外務委員会で一ぺんとくと政府の御見解を聞きたい。これは原子力委員会もぜひ一ぺん考えておいていただきたい。  それではもう時間もまいりましたので、これで終わります。
  95. 原茂

    原委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる六月十六日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後一時五十二分散会。