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1966-05-12 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第21号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年五月十二日(木曜日) 午前九時五十四分
開議
出席委員
委員長
原 茂君
理事
菅野和太郎
君
理事
中曽根康弘
君
理事
西村 英一君
理事
前田 正男君
理事
岡 良一君
理事
田中 武夫君 大泉 寛三君 加藤 高藏君
小宮山重四郎
君 河野 正君 山内 広君 内海 清君
出席国務大臣
国 務 大 臣
上原
正吉君
出席政府委員
科学技術政務次
官 田川 誠一君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
) 小林 貞雄君
総理府技官
(
科学技術庁研
究調整局長
) 高橋 正春君
総理府技官
(
科学技術庁原
子力局長
) 村田 浩君
委員外
の
出席者
原子力委員会委
員 駒形 作次君
総理府技官
(
科学技術庁原
子力局次長
) 武安 義光君
総理府技官
(
科学技術庁原
子力局放射能課
長) 大町 朴君 厚 生 技 官 (
環境衛生局水
道課長
) 大橋 文雄君 厚 生 技 官 (
環境衛生局食
品衛生課長
) 石丸 隆治君 運 輸 技 官 村山 信彦君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
科学技術振興対策
に関する件(
原子力行政
に関 する問題) 小
委員長
からの
報告聴取
————◇—————
原茂
1
○
原委員長
これより
会議
を開きます。
科学技術振興対策
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
上原国務大臣
より発言を求められておりますので、これを許します。
上原国務大臣
。
上原正吉
2
○
上原国務大臣
実は本日これから中共の
核実験
に対します
放射能対策
につきまして
閣僚会議
を開催するから出てこい、こういうことでございまして、担当の大臣でございますので出なければなりませんので、この
委員会
におれませんことをおわび申し上げますとともに、御了承いただきたいと存ずる次第でございます。 きょうの
会議
の
内容
につきましては、昨日役所の
事務当局
からあらまし伺っておりますので、その
内容
は大体承知をいたしておるわけでございます。そして、きょうの小
委員会
からの御
報告
を御採択になられ、これが
委員会決定
となる、こういうことでございましたら、この御趣旨が生かされますように、私といたしましても
努力
を重ねてまいりたい、かように存じておりますので、あらかじめ御了承をいただくとともに、私がおれませんので、政務次官に残ってもらいますから、どうかそれで議事を進めていただきますようにお願いする次第でございます。
原茂
3
○
原委員長
動力炉開発
に関する小
委員長
及び
宇宙開発
に関する小
委員長
より、それぞれ小
委員会
の
調査
の経過について
報告
いたしたいとの申し出がありますので、この際これを許します。 最初に、
動力炉開発
に関する小
委員長菅野和太郎
君。
菅野和太郎
4
○
菅野委員
動力炉開発
に関する小
委員会
の結果を御
報告
申し上げます。
動力炉開発
に関する小
委員長報告要旨
本小
委員会
は
昭和
四十年五月十二日(第四十八回
国会
)に設置され、以来
関係
各
分野
及び
学会等
から
参考人
を招致し、その
意見
を求め、また
関係団体
(
原子力産業会議
、
産業計画会議
、
電力中央研究所等
)の公刊した資料、あるいは、
原子力委員会
の
中間報告
(
動力炉開発
の
進め方
について)、
動力炉開発調査団
の
報告
を
参考
として
検討
した結果、次のごとく
わが国
の
動力炉開発
の
あり方
に関する
意見
をとりまとめ本
委員会
に
報告
する。本
報告
に関してその具体的な
推進方策
および
所要
の
予算措置
については、
原子力委員会
はじめ
政府
が専門技術的な
見地
をも考慮し、
責任
をもって
措置
すべきである。 一、将来に予想される飛躍的な
エネルギー
の
需要増加
に対応するため、
総合的エネルギー政策
においては
原子力発電
の
重要性
を高く評価すべきである。 また、その
推進
にあたっては、
安全確保
に特に留意すべきである。
わが国
における一九五八年から一九六三年までの
年間平均経済成長率
は一一・二%であり、これに対し
エネルギー需要
の
伸び
は
年間平均
一三・七%を示し、
国民
総生産に対する
エネルギー需要
の
弾性値
は一・二二という値を示している。これらの
数値
に対し、
ラピー報告
によれば、一九六〇年から一九六五年における
ヨーロッパ
六カ国をもって構成する
EEC
全体の
経済成長率
四・九%、
エネルギー
の
年間需要増加率
四・三%、
弾性値
〇・八八であり、
わが国
の
数値
がいかに大きいものであるかを知ることができる。また、将来の
経済計画
および
エネルギー計画
については、
経済審議会
および
総合エネルギー調査会
においてそれぞれ
検討
中であるが、一応見送りになった
中期経済計画
では次のごとく推算している。
年次
経済成長
エネルギー
弾性値
率
需要増加率
一九六三−六八 八・一% 九・九% 一・二 一九六八−七五 七・六% 八・〇% 一・〇五 一九七五−八五 六・一% 六・〇% 〇・九八 したがってこれをまかなうためには
石炭換算
で、 一九六三年 一億七、八〇〇万屯 六八年 二億八、六〇〇万屯 七五年 四億九、二〇〇万屯 八五年 八億八、〇〇〇万屯 という巨大な
エネルギー資源
を必要としている。現在の情勢では、この
経済計画
の
数値
は若干スローダウンすることが予想されるが、現在における
国民
一人
当り
の
エネルギー消費量
が国際的にみて低位にある
事情
を考えると、
エネルギー需要
のいちじるしい
増加
は避けがたいとみてよかろう。しかも
エネルギー需要
における
電力
の
需要
の
増加
は極めて高く、一九六三−六八年の間で、
年間
一〇%
程度
の
伸び
が見こまれている。 また、
わが国
における
石油
を
中心
とする
輸入エネルギー
の
事情
は次のようになるものと予測されている。
エネルギー
の 総
エネルギー
のな
年次
かにおいて占める
輸入依存率
石油
の
供給率
一九六三 五八・四 五二・四 六八 七一・三 六五・三 七五 八一・二 七五・〇 八五 八八・九 八一・四 しかも一九六四年においては
石油
の八七%は
中東
に依存している状況である。
エネルギー
の
安定供給
を
確保
することは、
エネルギー政策
の大前提であり、
EEC
においてすら、その
供給源
の
分散化
を図り、六一年の
中東石油依存度
八五%を、サハラ、リビア、
ナイジェリア等
からの
輸入
にきりかえ、六四年度においては
中東原油
の
輸入
を七〇%台にきりさげているのである。
ヨーロッパ諸国
が
エネルギー資源
の
確保
のため
集団的保障
をすることのできる
条件
にあるのに対し、
わが国
はその現在および将来にわたり
エネルギー事情
はまったく
孤立無援
の
状態
にあるといっても過言ではあるまい。 このような
事情
から、また、今日における
電力
の
火主水従
の趨勢よりみたとき
わが国
にとっては、
燃料資源
……
原子力発電
の
緊要性
はいよいよ大であるというべきであろう。 また
原子力発電
を
推進
するにあたっては、
原爆被災国
である
わが国
の
国民感情
をも充分考慮し、
原子力委員会
、ならびに
政府
は、
施設
の
安全確保
については、引き続き万全の
措置
を講ずるとともに
安全性確保
に必要な
研究
を促進すべきである。 二、
エネルギー政策
としては
供給
の安定と
コスト
の
適正化
は必須の
条件
である。しこうして
石油
の
現状
をかんがみるとき、この
条件
を満たすためには、
動力炉
の
自主的開発
を
推進
することが当面の
課題
であろう。 われわれは
各国
の
メーカー
の声として、しばしば驚くほど低廉な
コスト
を聞かされ、またその文献を送られる。しかし、いずれの国にしてもこのように安い
コスト
で
原子力発電
を行ない得るまでには、国としても大きな
研究開発
の
努力
と
資金
の投入があったことを忘れてはなるまい。 たとえば、現在
各国
においても、もっとも新しい
実用炉
として建設されつつあるものについて見ると、次のとおり推定されている。
国名炉
型
発電コ
(円/KWH)
研究開発費
原型炉建
スト
設費アメ
PWR
一・八〇 (巨額と推定さリカ
BWR
一・四四 れるが、軍事 費から分離し がたい)
イギリス
AGR
一・九二 五〇〇億円 九〇億円カナ CANDU−
Wダ
H P 二・一二 八〇〇億円 二九〇億円
フランス
EL—
4 不 明 二一〇億円 一五〇億円 右のうち、
アメリカ
の
PWR
はコネチカットヤンキー、
BWR
は
オイスタークリーク
、
イギリス
の
AGR
は
ダンヂネスB
、
カナダ
はダグラス・
ポイント
の
発電コスト
を取った。また、
研究開発費
については、
アメリカ
は不明確であるが、一説には約五四〇〇億円(十五億ドル)といわれており、
原型炉建設費
については
インディアンポイント
、
ドレスデン等
の数基の
原型炉
の
建設費
の
合計
を計上した。
イギリス
、
フランス
は
黒鉛減速ガス冷却炉
の
基礎技術
の上にたつもので、実質的な
研究開発費
はさらに巨額なものと推定され、しかも
研究開発
の
資金
は、ほとんど国が支出しているのである。
原子力発電
を行なうにあたって、
各国
で低廉な
コスト
で
原子力発電
ができたとして、これを無
計画
に
自主性
を捨てて安易に
導入
するようなことがあれば、
石油産業
の
現状
をそのまま
原子力
にもちこむこととなり、
日本
を
各国
の
動力炉メーカー
の
市場
として提供することとなる
可能性
をはらんでいる。これは
長期
にわたる
エネルギー
の
供給
の
安定性
を
確保
する
観点
からみるとき、けっして望ましいこととはいえないであろう。
発電コスト
についても同様のことがいえるはずである。すなわち、
経済性
の
確立
は、国情に適した
動力炉
が
国産化
されたときにはじめて可能となるものである。かつて、〇・六ペンス(二円五〇銭弱)で
発電
ができるという
ヒントン卿
の示唆に
もと
づいて東海村に
コールダーホール改良型炉
を建設した。これについては当
委員会
においても多くの
批判
が行なわれたのであるが、この
動力炉
は工期が一年余も
遅れ
、
建設費
も一〇〇億円近く上回り、その
発電コスト
も伝えられるところではキロワット時
当り
六円余になったという。いまさらその
責任
を問わんとするものではないが、このことは、
わが国
の今後の
原子力発電政策等
にとってはこよなき教訓である。
わが国
と同じく
占領軍
の
制約
の
もと
、十年の
遅れ
をもって
原子力開発利用
に着手した
西ドイツ
においては、
在来型導入炉
の
国産化
を急ぐ一方、
ドイツ
独自の
動力炉
の
開発
にも
努力
を傾けている。
ドイツ原子力委員会
はその
原子力開発
五カ年
計画
のなかで、
新型転換炉
の
開発
を
中期開発計画
として、
増殖炉
の
開発
を
長期開発計画
としてとりあげ、これらにおいては
国家
がきわめて大きな役割を果すこととしている。特に
ドイツ
の
原子力技術
の
水準
を向上させる
見地
から、各種の炉型(
新型転換炉
六種、
高速増殖炉
二種)を並行的に
開発
し、それぞれに対し
連邦
および州は積極的に助成しており、また
原子力産業界
もたんに当面の
利益
のみを追求することなく、
長期
的な
立場
から
動力炉開発
に意欲的に取り組んでいる。このように
動力炉開発
において官民が有機的に
協力
し、その実をあげていることは注目に値する。このように
動力炉
の
開発
を進めている
各国
はおおむね
長期
の展望に立つ
計画
を樹立し、すべての
関連分野
の
研究開発
を正しく評価しつつ、その
計画
を
推進
していることは、
動力炉開発調査団
の
報告
に徴してもあきらかである。
原子力発電
の
本命
は
高速増殖炉
であり、
高速増殖炉
の
開発
の前には、ぜひとも
実証炉
から一歩前進した
新型転換炉
の
開発
がとりあげられ
国内技術
の造成と、
国内
における
核燃料サイクル
の
確立
をはかる、
一貫性
のある
自主的開発計画
を策定する必要がある。要するに
動力炉開発
は常に
連続性
をもって発展すべきであり、かりそめにも無
計画
であったり、いたずらに
外国炉
の
導入
に依存しては、
長期計画
の策定などできるものではない。 このような諸
外国
における
開発計画
ならびにその
推進
の
方策
にかんがみても、
わが国
においても、高次の
国家的利益
から
動力炉
を自主的に
開発
する
方針
をもって対処すべきことを強調するものである。 三、
動力炉
の
本命
たる
高速増殖炉
は、一九八〇年代には
実用化
を見んとしている。したがって、
わが国
の
自主的開発計画
もこれを
最終目標
とし、
核燃料政策
上一貫した
長期計画
を策定すべきである。その
前進拠点
としての
新型転換炉
は一九七五年に
実用化
し得る目途の
もと
にその
開発
にとりくむべきであり、自主的な
燃料サイクル
の
確立
に意をもちうべきである。 ことに
資源
の乏しい
わが国
にとっては、
原子力発電
の
有利性
を
最高限
に発揮させるためには、
核燃料
の
安定供給
と
効率的利用
をはかることが必要であり、
燃料サイクル
を自から
確立
することにつとめねばならぬ。したがって
核燃料入手
の
多様化
をはかるとともに、その
有効利用
に意を用い、かつ、再
処理事業
を
確立
し、再
処理
の結果抽出されるプルトニウム、
減損ウラン
などの
利用
を含め総合的、かつ効果的に
核燃料
を活用し得る
燃料体系
を
国内
にもたなくてはならない。
アメリカ
は一九六九年には
委託濃縮
を開始し、一九七三年には
特殊核物質
が完全に
民有化
され、いわゆるシングル・パッケージ・フューエルサービスの名の
もと
に、
民間業者
が一切
燃料
の
供給
から再
処理
までを含めて、
軽水炉
の
導入者
にサービスすることが可能となるといわれている。この方式を前提とし、またこれに依存しては
わが国
における
燃料サイクル
の
確立
および、
動力炉開発計画
の
自主的確立
が失われてしまうことは明らかである。したがって、
わが国
における
特殊核物質
の
民有化
の
実施
にあたっては慎重な配慮の
もと
にこれを行なうべきであり、また、
ウラン
の
有効利用
の面で不利な
濃縮ウラン一辺倒
の現在の
軽水炉導入
の
傾向
は、将来
計画
の枠内で調整される必要があろう。
ウラン資源
は
もと
より
エネルギー資源
に乏しい
わが国
としては、
高速増殖炉
が完成し、真に
核燃料
問題が解決しうる時点までの期間において前述のごとく
国内
で
核燃料サイクル
を
確立
するために必要たしかも、将来の
ウラン
・
コスト
の
上昇等
に対処しうる
新型転換炉
を
早期
に
開発
することが緊要と考える。したがってこの
機会
に、
日本
として
天然ウラン重水炉
に対して積極的な
関心
を示すべきである。同時に
ウラン
もようやく
売手市場
の
傾向
を示しつつあることにかんがみ、
日本
としても
国内
は
もと
より
海外
における探鉱、精錬に関する
技術協力
、あるいは
海外
の
ウラン資源
の
長期確保
についても、その
対策
を
早期
に
検討
する必要があろう。 いずれにしても
動力炉
の
開発方針
は
核燃料政策
からみても連続的なものとすべきであり、
一貫性
をもたねばならぬ。したがって真剣に
新型転換炉
ととりくみこれを踏まえて
高速増殖炉
の
実用化
に進むべきである。 四、
動力炉
の
開発
はひとり将来の
エネルギー政策
にとって緊要であるのみならず、
わが国
の
科学政策
の重要な
一環
である。このため理論的、
基礎的研究体制
の
充実
と整備を期すべきである。
開発プロジェクト
を支え、これを発展させるための支柱として
基礎的研究体制
が整備され、ここに若い意欲に充ちた
研究者
が集結して新らしい
科学
の
分野
、
原子力
にいどむことは、国の
科学政策
の
推進
においてもっとも重要視されねばならぬ。むしろ
湯川博士
、
朝永博士
を継ぐ若き
世代
をそだてることは、国の
責任
であり、またわれわれはこれらの
世代
の有する潜在的な
可能性
に対し、信頼と期待をもっている。 現在の
日本原子力研究所
は
世界
でもっとも多くの炉をもつ
研究所
のひとつであるが、その人員は炉の数の割には少ないと思える。国が
基礎的研究体制
をととのえるとすれば、
原研
のもつ若干の
施設
はこれを
大学
を
中心
とする
基礎研究
の用に移し、また共用に供することも可能なはずである。現在も
原研
は
大学
の
利用
の道をひらいているが、しかし
現状
ではけっして十分ではない。したがって、理論的、
基礎的研究
の
充実
をはかるための
体制
を
確立
し、その
推進
をはかり、
原研
はその
成果
にも常に
関心
を払いながら
研究開発
の
プロジェクト
をととのえ、
動力炉開発
にあたるべきである。もちろん
理論的研究
の
分野
においては
自由領域
もあるのであるから、この点に関しても予算的に考慮されねばならぬ。躍進する
近代科学
においては、その
専門分野
がますます細分化され、しかもそれぞれの
分野
における
研究
はさらに深められている。一方こうした
研究
の
成果
は正しく評価され、これが
研究開発
の
基礎的データー
として生かされねばならぬ。こうして
近代科学
の
有機的結合
を阻む要因は、つとめて排除されるべきであり、同時に
原研
の
運営
においても
プロジェクト
を細分化し、それぞれの
分野
における
成果
を正しく評価し、これを総合しつつ、
推進
する
体制
をととのえなければならぬ。 五、
動力炉
の
研究開発
は
原子力研究所
の重要なる
任務
の一つである。しかしながら
動力炉開発
の
重要性
に鑑み、場合によっては
所要
の
体制
を整備し、同時に
国内
の
関係企業
もまたそれぞれ
任務
を分担し緊密な
有機的協力体制
を固めることを考慮すべきである。 もちろん、国はそのための
長期的計画
を策定し、これに対し
責任
ある
予算措置
を講ずることを要望する。
動力炉
の
開発
は四項に述べたごとく、
わが国
の
科学政策
の
一環
として取りあげられ、
理論的基礎的研究
の
水準
を高めるとともに、
民間企業
における
科学技術水準
の向上のためにも大きな効果を期待すべきである。 今日まで
日本
の
原子力産業界
は
かなり
の費用を投じて
研究
、
開発
の
努力
をつづけてきた・その
研究投資総額
は約二四五億円、これに対し
受注総額
は四二〇億円
程度
と推定される。しかし、
動力炉
のごとき
長期
にわたる
研究開発
を必要とし、また、
かなり
のリスクをおかさねばならない高度の新
分野
において、その
工業的開発
を
産業界
のみに委ねることは、それ自体無理である。
もと
もと
わが国
の
研究投資
は他の
先進国
とは逆に
民間
の
研究投資
が
政府
のそれの倍額に達している
状態
である。しかも、
原子力
のような大きな技術的危険をともなう
分野
における
開発
を自主的に行ないうる
状態
に
日本
の
産業界
が達していないことは当然のことであり、強力な
政府
の補助、育成によって、はじめて
先進国
に追いつくことができるのである。
主要国
における
研究投資額
に占める
政府予算
の
割合
国名
研究費
政府支出
(億円) 分(億円)
割合
%
調査年度
米国 六二・二〇〇 四〇・八〇〇 六五 一九六三 英国 六・三四〇 三・八五〇 六一 一九六一 フラン ス 三・一〇〇 二・三〇〇 七四 一九六二
西ドイ
四・九〇〇 二・八五〇 五七 一九六二 ツ
日本
三・二一一 九六〇 三〇 一九六三 (注)
西ドイツ
は
連邦政府
と
州政府予算
の
合計額
同様のことは
電力企業
の
立場
からもいえるはずである。
原子力発電
を
電力業者
に委ねている
わが国
の場合、
企業
の
経済的観点
から非常な
制約
を受けて
長期
的な
観点
に立つ
一貫性
のある
自主的開発
にとって好ましくないような方向を取る危険もある。したがって、
動力炉開発
を国策として取り上げ、国の
責任
においてこれを
推進
し、かつ
関連産業
をも振興しその
技術水準
を高め健全な
原子力発電
の
推進
をはかるためにも、国の
積極的援助
は当然必要となろう。 この点から
日本原子力発電(株)
の
現状
は必ずしも適切な
運営
が図られているといえないので、
日本原子力発電(株)
、
電源開発(株)
の
あり方
について
検討
を加え、
動力炉
の
開発
を積極的に
推進
することを考慮すべきであると考える。 要するに、今日の段階においては、国が
最終的責任
をとる
決意
の
もと
に、
民間業界
も、
研究開発
を担当する
原子力研究所
も、
開発
を支える
基礎的研究分野
も一体となった
協力体制
を作るべきであり、これが
原子力委員会
に与えられた
課題
ともいうべきであろう。
原子力委員会
は
原子力政策
を企画し決定する
権限
をもっている。したがって、この
権限
の
もと
に衆知を集めて
高速増殖炉
および
新型転換炉
の
開発プロジェクト
を設定し必要な
予算措置
を講じ、その
実施
に当って、場合によっては新
特殊法人
の設立を考慮すべきである。 しかしてその
運営
においても
研究成果
の正しい評価と、それに基づく
進め方
についても民主的に総合的に行なわなくてはなるまい。 六、
動力炉
の
自主的開発
を進めるためには、
国際協力
の
緊密化
とともに、
原子力委員会
の
運営
を刷新しなくてはならない。 第一項の説明においてもふれたように、
各国
とも
動力炉
の
開発
の発足にあたって、
アメリカ
は
経水炉
を、
イギリス
は
天然ウラン
、
黒鉛減速ガス冷却
型を、また
カナダ
は
天然ウラン
、
重水減速
型とそれぞれ一定の炉型を定めて、今日までその
研究開発
につとめ、その結果、今日ではさらに多様な構造の
動力炉
が
実用化
の道を求めて
開発
されている。このような
現状
を見るとぎ、十年以上の
遅れ
をもって発足した
わが国
としては、
各国
との
協力関係
を緊密にすることは当然である。しかし、
協力
は無
批判
な従属であり、追随であってはなるまい。
国際協力
のためには、みずからもある
程度
達成した
成果
を与えるなり、またその他の
条件
をみたして、つとめて対等に近い
関係
において
協力
を求めるべきである。
日本
に潜在する
科学的能力
は、それにふさわしい
科学政策
をもってすれば、必らずこれを育てることができるものと、われわれは信じている。
物乞い協力
や、
物真似国産
ではなく、すでに
西ドイツ
や
インド
が示しているように
わが国
の
科学者
の創意、工夫を育成し、活用しつつ
自主的協力
につとめるべきである。 また、
核燃料物質
の
入手等
につき
国際原子力機関
を活用することも考慮さるべきことである。
ウラン資源
に乏しい
わが国
としては、
機関
のこの面に関する積極的な活動を期待することは、きわめて有意義であると考える。
原子力委員会
の
運営
においてしばしば
原子力委員会
が十分その機能を発揮できぬうらみがあるといわれている。そして、
原子力委員会
への批難は、国の
科学技術政策そのもの
に対する
批判
であるお考えられる。われわれは
平和目的
のためにのみ
原子力開発
を行なっている国々、たとえば
カナダ
、
インド
、
西ドイツ等
において
各国
の
原子力委員会
の
意見
が
政府
をうごかし、その国の
原子力政策
を大きく前進させてきた事例を、しばしば現地において見る
機会
をもった。この
機会
に
原子力委員会
に要望したいことはその
運営
を刷新し、さきに述べたごとく
動力炉
の
開発
について
新型転換炉
から
高速増殖炉
にむかって、一貫した
長期計画
をすみやかに策定すべきであり、
政府
は閣議決定等必要な
措置
を講じ
政府
の
開発方針
を
確立
せしめるべきである。
国会
はそれにともなう
予算的措置等
についても党派をこえて
協力
することにやぶさかではないであろう。 以上であります。
原茂
5
○
原委員長
次に、
宇宙開発
に関する小
委員長中曽根康弘
君。
中曽根康弘
6
○
中曽根委員
宇宙開発
に関する小
委員長報告
を申し上げます。 本
報告
は、過般、
科学技術庁
、東京
大学
、その他
関係方面
の
参考人
の公述を
もと
にいたしまして、大体
大学
、
政府関係機関
の一致した線を総合的に取りまとめた
内容
になっております。 なお、昨日の
宇宙開発
に関する小
委員会
におきまして、本小
委員長報告
は、満場一致を持って承認せられたものであります。 以下、
内容
を申し上げます。
宇宙開発
に関する小
委員長報告要旨
世界
の
主要先進国
の
宇宙開発
は急速な進展をとげ、特に
人工衛星
による
実用面
への進出はめざましく
通信衛星
、
気象衛星
、
測地衛星等
が
開発
され、
実用化
され、又
放送衛星等
が
開発
と
実用化
の対象に上っている。 これら
先進諸国
の動向に照らして
わが国
においても
宇宙開発
を国の
重要施策
の一となし、強い
決意
と明確なる
重点開発目標
及び三十年から五十年に亘る
長期
的予測と
長期
的
年次
計画
をもって至急に効率的な
開発
体制
を整え、宇宙の
開発
及び
利用
を強力に
推進
すべきである。 これがため必要な
推進方策
及び
予算措置
については、
政府
において
責任
をもって
措置
するものとする。一 当面の
宇宙開発
の目標
世界
の
宇宙開発
の進展に対応し、宇宙
科学
技術の発達、
国民
福祉の向上等を図るため、宇宙平和
利用
の原則の下に、国は、その
重要施策
として強力に
宇宙開発
を
推進
する必要がある。
政府
は、差し当たり
昭和
四十二年度に
科学
衛星を、
昭和
四十五年度に実用
人工衛星
を打ち上げることを目標とし、次の事項について
開発
を進めるものとする。 (1)
人工衛星
打上げ用ロケット 現在
開発
中のミューロケットを更に改良発展させるとともに硝酸ヒドラジンロケットおよびFRPロケットを
開発
し、取り敢ず重量約一五〇キログラムの
人工衛星
を高度約一、〇〇〇キロメートルの円軌道にのせるロケット能力を
開発
し、順次打上げ能力を発展させてゆくこと。 (2)
人工衛星
について 放送配給、通信、気象等広く一般の
利用
に役立つ実用
人工衛星
を
中心
に
検討
し、具体的な用途及び実用衛星の種類を早急に決定して、その
開発
を
推進
すること。当面は、実用
人工衛星
に関する基礎的、共通的事項の
開発
研究
および
科学
衛星の
開発
研究
を進めること。 (3) 射場設備 実用
人工衛星
の打上げに必要な適当な
条件
を備えた発射場を
調査
、選定して、早急に新設し、必要な関連
施設
設備を整備すること。 (4) 誘導制御、追跡等
人工衛星
打上げに必要な誘導制御技術、追跡技術、電波割当等について、
開発
研究
を進め、必要な
施設
設備を整備すること。 これがため国際的
協力
を必要とする場合に備えて予め
研究
と
調査
を進め、
実施
に関する諸般の
対策
を講ずること。二
宇宙開発
体制
の一元化
宇宙開発
を急速かつ効率的に
推進
するためには、各方面における知識、技術、
資金
等を
計画
的、組織的に動員し、強力かつ一元的に
実施
することが必要である。このため、次にのべる
開発
体制
の整備
方針
により、今後の
宇宙開発
を
推進
すること。 (1)
人工衛星
打上げのための
宇宙開発
の
体制
としては、
昭和
四十二年度までは
科学技術庁
および東京
大学
が
中心
となって、現在進めている
開発
・
研究
を引き続き行なうが、その後の実用衛星の
開発
は、
科学技術庁
、
宇宙開発
推進
本部が
中心
となって一元的に
推進
すること。この一元的
国家
的
機関
(
特殊法人
設立を
検討
する。)には、企画の総合調整、
計画
評価、決定、
実施
、結果整理等の機構を整え、システム・エンジニヤリングの体系を
確立
する必要がある。この場合において、
科学技術庁
は、
政府
機関
、東京
大学
および
民間企業
等と
協力
し、各界の
研究者
の技術的能力を結集して、
宇宙開発
の体系を整えるものとし、従来東京
大学
等が進めてきた
宇宙開発
の
成果
を充分活用し、効率的な
開発
を行なうこと。また、従来東京
大学
において宇宙空間物理を主とする宇宙
研究開発
に携ってきた
研究者
が一元的
体制
の
もと
において引き続きその
研究
を進められるよう配慮すること。 (2) 大型ロケットについては、東京
大学
は、
昭和
四十二年度まで、直径一・四メートルのミューロケットの
開発
を行ない、以後これを超えるロケットの
開発
は行なわないものとする。その後、前項の原則の
もと
に、宇宙空間物理等
研究
及び
開発
のため、直径一・四メートルのミューロケットの改良を引き続き行なうことおよび
科学
衛星を
利用
して宇宙の
科学
的
研究
を行なうことは、従前通りとする。 (3) 直径一・四メートルを超えるロケットおよび液体
燃料
ロケットの
開発
およびこのための射場追跡
施設
等の整備については、
科学技術庁
が
中心
となって
推進
すること。 (4)
人工衛星
およびロケットの追跡、技術
施設
(データ・センター、計算センター等も含む。)の
研究開発
については、
科学技術庁
が
中心
となり、
政府
機関
、東京
大学
その他の
協力
を得て
推進
すること。 (5)
宇宙開発
の国際情報交換、
人工衛星
追跡の
国際協力
等についても、
科学技術庁
が
中心
となって
政府
機関
、東京
大学
その他の
協力
を得て積極的に
推進
すること。三 宇宙法の制定促進 国連及び列国議会同盟を
中心
にして宇宙法の制定が
推進
されているが、特に我国は列国議会同盟
会議
における同法制定促進の提案者でもあり、本法制定に関する諸般の
国内
研究
体制
を整え、又国際的に制定促進のための
努力
を更に積極的に
推進
すべきである。 以上であります。
原茂
7
○
原委員長
以上で両小
委員長
の
報告
は終わりました。 両
報告
を了承するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
原茂
8
○
原委員長
御異議なしと認めます。よって、了承するに決しました。 ただいまの両小
委員長報告
に関して、田川政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。田川政務次官。
田川誠一
9
○田川
政府
委員 ただいま御
報告
のありました
動力炉開発
に関する小
委員長
の
報告
並びに
宇宙開発
に関する小
委員長
の
報告
につきましては、
科学技術庁
といたしましては、その御趣旨を十分尊重して
努力
してまいるつもりでございます。 ————◇—————
原茂
10
○
原委員長
次に、
原子力行政
に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
岡良一
11
○岡委員 まだ時期が少し早いかと思いますが、昨日夕刊を拝見しますと、
日本
海沿岸の都市を
中心
に
かなり
放射能の高い粒子が降下しているということでありますが、これはいろいろな意味で私ど
もと
しても重大な
関心
を払わねばならないと思います。 そこで、現在までに
放射能対策
本部としてお集めになった情報をこの
機会
にお知らせを願いたい。
村田浩
12
○村田
政府
委員 去る九日の現地時間で午後四時ということでありますが、行なわれました中共の
核実験
の影響が、昨日あたりからあらわれてきておりますことは、ただいま岡先生の御指摘のとおりであります。内閣に置かれました
放射能対策
本部といたしましては、実験の行なわれました翌日、一昨日の午前、直ちに幹事会を開催いたしまして、従来もやってまいった放射能
調査
をさらにこの際十分精密に、かつ緊密なる
協力
の
もと
に行なうよう協議いたしまして、現在その線に沿って綿密なる
調査
を、分析を続けておるところでございます。 すでに一九六一年のソ連の
核実験
の際にも認められて、その後中共の第一回、第二回の
核実験
でもそうでございますが、今回も一万メートル以上の高空にありますジェット気流に乗りました放射能を持ったちりが、昨日の朝から
わが国
の上にも降ってまいっております。
対策
本部に入りました情報によりますと、一番初めに見つかりましたのは、新潟におきまして、新潟の医大の屋上に設けられました放射能ちりの収集装置におきまして、いわゆる巨大粒子、ジャイアント。パーティクルと呼んでおりますものが、午前中に、合わせて二十数個見つかったという連絡がございました。同様の巨大粒子は、その他の場所、東京におきましても見つかっております。 これら巨大粒子と申しますのは、御承知のとおり、
核実験
が行なわれます際に、爆弾の構造材料が非常な超高温にさらされて一瞬にして気化いたしまして、爆風とともに高空に上りまするにつれてこれが冷却され、そして溶融固化いたしまして、これに爆発の結果できました放射性物質も一緒になりまして粒子をつくり運ばれてくるわけでありますが、高空においては非常に速度の早いジェット気流がございますために、相当大きな粒子が運ばれて
わが国
にも達したものと見られております。同様の現象は、これまでの何回かの実験でも見られたところでございます。 測定の結果によりますと、ただいま入っております一番新しいところで申しまして、十一日に降りました雨水中にあります放射能が、その前日、十日に比べて急速に高まっておりますが、その
数値
をちょっと申し上げてみますと、これは全国十三カ所の気象台で測定しておるわけでございますが、仙台では四・三ミリキュリー平方キロメートル当たり、以下単位は同様でございますので省略いたしますが、秋田で四六・〇、東京で一三・〇、輪島で二・二、大阪で七三・五、米子で九三・〇、室戸岬、福岡、鹿児島ではいずれもまだゼロとなっております。 こういうような放射能のあります雨が降ってきておりますが、この
数値
を前回及び前々回の中共核爆発の際の
数値
とちょっと比較してみますと、一昨年十月の第一回中共
核実験
の際には、影響があらわれてまいりましたのは実験後三日の十九日でございまして、それ以後測定しましたところ、十月二十三日に最高値として二百ミリキュリー平方キロメートル当たりというのが出ております。それから第二回の昨年五月の際には、実験の行なわれました十四日からちょうど一週間たちました二十一日に最高値が出ておりまして、これが四百三十ミリキュリー平方キロメートル当たりという
数値
になっております。 今回のものは、まだこれから漸次粒子の小さいものを含んだ雨が降ってまいると思いますので、この測定は、先ほど申しましたように、
関係
機関
におきまして綿密に測定し、その結果を
対策
本部に
報告
してもらいまして、
対策
本部で取りまとめ、至急発表いたすという方法をとっておるわけでございます。
岡良一
13
○岡委員 東京の防衛庁の発表によると、一平方メートルに数個のいわゆるジャイアントパーティクルというものが落ちたということが出ておりますが、このジャイアントパーティクルはどの
程度
のものか、それからまた一平方メートルに何個くらい落ちておるか、またそれは類推的に考えれば、東京全土に落ちておるものとも考えられるのであるが、その点どういう見解を持っておられるか。
村田浩
14
○村田
政府
委員 先ほど申し上げました新潟の場合は、大体一平方メートル当たり一個ぐらいの
割合
でございましたが、ただいまお話がございました防衛庁の防衛技研の構内ではかりましたものは一平方メートル当たり二個ぐらいの
割合
になっておるようであります。その一個当たりの放射能の強さは、これはガイガー計数管ではかりましたのでカウントになっておりますが、大きなもので四十万カウントぐらいのものが出ております。従来の、普通のといいますか、これまでの経験でございますと、大体二十万カウントぐらいのものは毎回見ておりますから、それよりか若干粒の大きいといいますか、そういうものがまじっているようでございます。
岡良一
15
○岡委員 そうすると、カウントにして一平方メートル当たり八十万カウントということになると、東京全土では相当な放射能ちりというものが降下しておる。さらにまた、ここ一、二日すれば偏西風でもってさらに大きな粒子が降下するということも考えられるが、この放射能の降下の実態というものは、私ど
もと
してもなかなか看過し得ない問題であろうと思うが、一体その点についてどういうふうに考えておられるか。
村田浩
16
○村田
政府
委員 この巨大粒子を構成しておる物質は何かということを、さっそく放射線医学総合
研究所
等に分析してもらっておりますが、発見されております核種は、モリブデン九九、ジルコニウム九七、ニオブ九七、テルル一四三等でございまして、いわゆる放射能の半減期からいいますと、大体短寿命のものでございます。それで採取しましてから約一日くらいで
かなり
急激に減衰いたしております。 先ほど申しましたカウント数でございますが、これをキュリーに換算いたしますと、大体大きいもので百四十ミリマイクロキュリーくらいでございまして、先ほど申しました核種の放射能は、たとえばごく一般に見られますジルコニウム九七あたりのICRPで定めました許容値から見ますと、この巨大粒子が一面に一平方キロ当たり降ったと仮定いたしましても許容量のまだ二百分の一あるいは三百分の一くらいのものでございます。かつまた、先ほど申しましたように減衰が非常に早うございますから、との
状態
で特に障害というような点で大きな問題になることはなかろうかと思います。
岡良一
17
○岡委員 きのうの新聞で拝見したところによると、大町君は直接さわったりなめたりしなければ障害はないんだ、こういうふうなことを言っておられましたが、一体ジャイアントパーティクルというのは、どれくらいの大きさのものを言うのでしょうか。
村田浩
18
○村田
政府
委員 パーティクルによって多少の差はございますが、大体一ミクロンから十ミクロンくらいの間でございまして、つまり千分の一ミリから百分の一ミリくらいまでの間のものが発見されております。
岡良一
19
○岡委員 そういう顕微鏡的な存在であってみれば、なめたりさわったりと言うけれども、なめたりさわったりも何も、もう全然目にとまらないものなんです。これが直接人体に降りかかるだけじゃなくて、野菜にも降りかかるであろうし、あるいは牧草に降りかかって、それがお乳の中に放射能として濃縮化されるかもしれない。海に落ちればもちろん魚にも非常に濃縮化されるというようなことであり、しかも、これはこれからまた偏西風でもってやってくるという計算になる。こういうような事態であまり
国民
を不必要に刺激する必要もないが、やはり学術的な
科学
的なデータというものはそろえる必要がある。そういう点で、一体なめたりさわったりしなければそうたいした影響もないというようなことは少し軽はずみな言い方である。もっと、先ほど申しましたような諸点について、やはり
放射能対策
本部としては
調査
をし、そして
対策
を立てるというような積極的なかまえが必要なのじゃないかと思いますが、どういうことでありますか。
村田浩
20
○村田
政府
委員
国内
で核爆発が起こったというような戦争事態を別といたしまして、
かなり
遠方の地におきまして
核実験
が行なわれ、そこで生じた放射性のちりが高空及び中高空で気流に運ばれてまいります、それによる汚染ということを考えますときには、
放射能対策
本部のほうで去る三十七年の四月に定めましたように、ある
程度
の期間をみての放射能汚染というものに対しての
対策
を考えるべきである。
科学
的な判断としてはそのように考えております。それで、ただいまございます
放射能対策
本部の暫定指標では、今回のごとき
核実験
に伴う放射能の量の高まりに対処しまして、国として
措置
すべき一つの暫定指標が与えられておるわけでございますが、その大きさは、引き続きます三十日間以内におきまして、その
合計
の放射能の量が一平方キロメートル当たり二千五百ミリキュリーに達しましたときを第一段階といたしまして、さらにこれが高まって、この十倍の二万五千ミリキュリーに達しますときを第二段階とする。第一段階におきましては、環境の放射能の汚染の状況をそれまで以上さらに厳密に
調査
し監視をするということであります。第二段階に達しますときに初めて、たとえば天水を常用しておりますような向きには、これをろ過して飲用するような指導を行なう。あるいはただいま岡先生からお話しございましたように、そのまま飲食します生鮮食料、あるいは放射能の影響を最も受けやすい乳幼児に対する牛乳の摂取等について必要な行政指導を行なう、このような基準が定められております。現在まだ十一日一日だけの測定しか出ておりませんので、今後の経過は厳密にこれを測定して追跡いたすわけでありますが、第一段階の二千五百ミリキュリーという段階を越えたことは、これまでソ連がノバヤゼムリアにおきまして非常に大型の数十メガトンクラスの水爆の実験を連続して行ないました際に、米子でたしか三千二百ミリキュリー・パー平方キロということがございましたが、これまでの結果ではまだそれ以上に達したことはないようでございまして、まして二万五千ミリキュリーというレベルに達したことはございません。しかしながら
対策
本部としましては、一番早急に問題となります天水の飲用ということを考えまして、すでに
昭和
三十八年には全国の天水飲用者、約十万ございますので、これに対しまして一万八千個の天水ろ過器を作製いたしまして、厚生省がそれを必要なところに配付いたしております。今回も、この実験の影響が今後どのようになりますか厳重に監視しまして、必要が認められるような事態が予想されますときには、直ちに厚生省のほうから各戸へそのろ過器の使用を指導するという
措置
をとるように協議済みでございます。
岡良一
21
○岡委員 小山誠太郎博士が新潟のほうで調べておられるようですが、その発表によれば、ジルコニウム九七、モリブデン九九、ネプツニウム二三九というような、わりあい減衰期の早いものである。同時に今度のロプノル湖畔といわれている中共の
核実験
というのは、前回とあまり変わらないいわば原爆ではないかといったふうな想像であります。もちろん新聞を見ると、
アメリカ
側の発表とすればそうではない。三重水素の特色を持つ、こういうことです。そうなりますと、いわゆるきたない水爆ということで、まわりを
天然ウラン
で包まなければならないから、これが分裂していろいろな放射能、
かなり
減衰期の長い放射能が当然あるということが考えられる。特に私か心配するのは、偏西風、ジェット気流、特に偏西風の場合、タクラマカンのロプノル湖畔で実験されますと、
日本
列島は大手を広げてこの放射能を待ち設けておるというような地形になっておるのではないかというふうに思うのだが、そうじゃないのだろうかね。
村田浩
22
○村田
政府
委員 実験地が、伝えられるごとくタクラマカン砂漠の東端に位置しますロプノル湖付近であるといたしますと、地図で見ますと、この緯度は大体
わが国
の北海道の南あたりのようでございます。先生のお話しございましたジェット気流あるいは偏西風というものは、確かに緯度に大体沿って吹いておるようでございますから、
わが国
のほうへいわば比較的直接に方向としては流れてくるかと思います。しかしソ連の
核実験
のとき、あるいはクリスマス島における
核実験
等、緯度が
かなり
異なったところにおいて行なわれました際にも、やはり微粒なものは空気中で拡散といいますか、まじり合いまして、緯度と必ずしも直接に結びつかず各方面に降っておるようでございます。ただ、ただいま御
報告
申し上げましたようないわゆる巨大粒子といいましょうか、そういうものは比較的早く落ちやすいものでございまして、そういうものが運ばれてきておりますのは比較的直接的なルートに当たるところが多いのではないかと予想されます。 なお、お話がございましたように、放射能の
対策
としては、寿命の短いものよりも寿命の長いものに対する
対策
というものが肝要でございまして、そういう意味から、
対策
本部としましても、ただ単にグロスの、全体の放射能の
調査
をいたすだけではございませんで、どういう核種が含まれておるかということを、先ほど申し上げましたように放射線医学総合
研究所
、気象庁の気象
研究所
等で綿密に機器分析並びに化学分析を行なっております。特にこの核種分析につきましては、放射性のちりの中で最も障害がおそれられますストロンチウム九〇、セシウム一三七というような長寿命の核種の分析を
中心
にやっていただいております。先ほど申しましたように、最初にジェット気流に乗ってまいりましたいわゆるジャイアントパーティクルの分析では、ストロンチウム九〇とかセシウム一三七のようなものは入っておらないようでございますが、いずれ、従来の例から見ましても、偏西風に乗りまして本日あたりから雨が降りますと落ちてくると思われる通常の粒子の中には、これらの長寿命の核種も入ってくるものと予想されます。全体の放射能の強さを一方で十分監視いたしますとともに、
対策
本部としましては、これら長寿命の核種の今後の出方を十分厳重に監視していかなければならないと思っております。
岡良一
23
○岡委員 ラルフ・ラップ博士の説によると、第二回の原爆実験からすでに水爆の予備実験をやる。これは非常に早いテンポである。これはやはり
アメリカ
のように回り道をしないで、すぐリチウムの無限の破壊力を活用しょうという着目からきているに違いないと推定をしておる。しかも、これはごく小規模な予備実験であって、必ず本格的な水爆実験があるに違いなかろうということも言っておられる。そういうような
事情
を考えますと、今回のこの実験に対する
対策
は、次に来たる本格的な水爆実験のための非常に重要な
参考
というか、それを前提としてよほど慎重な
対策
が必要である。そういう心がまえでこれと取り組まれる御意思があるかどうか、この点をひとつ伺いたい。
村田浩
24
○村田
政府
委員 私ど
もと
いたしましては、中共の核爆弾の技術的な
開発
がどういうように進められておるか、これを知る由もなく、また、そういうことを
調査
する直接の
任務
を持っておらないわけでございますけれども、米国等の発表したところから類推しますと、今回の
核実験
は中共の発表にもございましたように熱核反応を含む核爆発ということであろうかと想像いたします。 ただ、従来の経験からいたしまして、全国八カ所にございます気象庁の微気圧計によりまして、九日の爆発の行なわれました時刻のころのデータを見てみますと、この爆発の影響と思われるようた結果は出ておらないそうでございます。ソ連でございましたような大きな核爆発でございますと、この微気圧計で感じております。私どもの承知しておりますところでは、大体微気圧計に感ずる限界が、距離にもよるわけでございましょうが、
エネルギー
の大きさと比例いたしますので、大体一メガトン相当以上であると感ずるというふうに聞いております。そうした点からいたしましても、今回の中共の
核実験
は一メガトン以下の規模のものであろうと予想されますが、米国の発表等では、二十キロトンから二百キロトンくらいの間ではなかろうかというようなことがいわれております。第一回、第二回のものも大体長崎、広島級の原爆ということでございましたから、規模としては二十キロトンとか、要するに数十キロトンであったかと思うのですが、そういう点で比較いたしますと、規模といたしまして非常に大きなものということではないのではなかろうかと思われます。 しかしながら、岡先生のお話にございますように、一般的に申しまして、核爆発に伴う放射性のちりの発生は、大体爆発の
エネルギー
規模に比例するようでございますから、今後中共がさらに水爆実験、大型の水爆実験、より大型な水爆の実験というように重ねるようでございますと、その放射能の影響は倍加することが予想されるわけでございまして、いわゆるきれいな水爆ということもございましょうが、そういうふうに直ちにいきますかどうかわかりませんから、やはり規模の大きな
核実験
が行なわれるにつれ、しかも、放射能というものは減衰いたすわけでございますけれども、この実験の期間が縮まって短い期間に何回も行なわれるということでございますと、その影響はますます大きくなるわけでございます。そういった点から、先ほど来申しましたように今後の動きを十分監視して厳密な測定をやってまいるということに
努力
いたしたいと思っております。
岡良一
25
○岡委員 環境衛生局長がお見えになっておらないが、食
品衛生課長
がお見えだからお尋ねしますが、食品衛生の
立場
からこの放射能灰の降下についてはどのような
調査
をしようというお考えでございますか。
石丸隆治
26
○石丸説明員 厚生省といたしましては、やはり
科学技術庁
等
関係
の官庁と一緒になりまして、この
対策
本部の測定結果を待ちながら、それに応じての
対策
を講ずるつもりでやっております。
岡良一
27
○岡委員 いや、さきにも申し上げましたように、特殊な
事情
が食品衛生の問題においてはある。たとえば海の上に落ちた放射能灰というものは魚によって非常に濃縮化されるということ、あるいはその放射能によって汚染された牧草を食べた牛の乳にもやはり濃縮化されるということがいわれておる。そういう意味で単に牧場に落ちた放射能のちりの結果から観察するというのではなくて、やはり食品衛生という
立場
から、直接に——このあたりのこれからの問題ですが、ジェット気流、偏西風がやってくる、この場合、そうした食品そのものについての
調査
を独自におやりになる。もちろん
参考
としては張りめぐらされた放射能測定
機関
の
数値
を
参考
となさる、しかし、食品衛生の
立場
からは当然食品そのものについて、いま申しましたような
事情
にあるから
調査
をすべきものだ、こう私は思うわけです。その点でどういうふうな
対策
を持っておるか、伺いたい。
石丸隆治
28
○石丸説明員 全国の保健所に約五千名の食品衛生監視員を配置いたしておりますが、その各保健所に現在大体ガイガーカウンターを備えております。もちろんただいま先生がおっしゃいましたように、一般の放射能物質の降下と違いまして、食品の中では、特に魚介類におきまして濃縮されるという特殊性を考慮いたしまして、特別にその測定が必要だと思っております。従来ビキニマグロの事件のときの
対策
といたしまして、これは非常に幼稚な方法でございましたけれども、十センチメートル離れて一分間に百カウント以上の場合には、これに対する
措置
をとれ、こういう通牒が実は出してございまして、その後これがそのままになっておるわけでございますが、なお今後こういった問題につきまして、新しい方法を
導入
いたしまして、測定をより厳密にしてまいりたいと思っております。
岡良一
29
○岡委員 本格的な水爆実験がわりあい短期間のうちにあるんじゃないか、中共のこの核
開発
のテンポを見るとそう思われるので、私は、この予備実験的なこういう
機会
によほどしっかりした
調査
をしてもらいたいということを要望しておきます。そういう点は、皆さんは今度のこの水爆の予備実験について、大体どの
程度
の予算を組んでおられるのですか。
村田浩
30
○村田
政府
委員 四十一年度におきます放射能
調査
関係
の予算としましては、総額で約七千四百万円を組んでおります。これを
関係
省庁別に申し上げますと、防衛庁が三百万円、運輸省
関係
、これは気象庁が入るわけでございますが、九百万円、それから農林省が一千万円、ただいまお話のございました厚生省が四百万円、
科学技術庁
、私どものほうとしましては二つございまして、一つは、私どものほうにございます放射線医学総合
研究所
で
研究
いたします分といたしまして、約二千万円、それから全国二十五都道府県衛生
研究所
等に委託して行なっております
調査
に二千八百万円の予算が振り当てられております。このような放射能
調査
を始めましたのは、
昭和
三十二年からでございますけれども、
昭和
三十二年度から、このただいまの四十一年度を除きます昨年度、
昭和
四十年度までに放射能
調査
関係
で支出いたしました金額は
合計
して約六億五千万円にのぼっております。
岡良一
31
○岡委員
アメリカ
の予算を見ると、国防総省の放射能の
調査
予算は大体一億ドル、三百六十億円、もちろんこれは村田君も御存じのとおり、ああしてニューヨークにりっぱなセンターを設けて、
世界
的なネットワークの中で、特殊なフィルターから集まってきたものを全部特殊なるつぼで焼いて、灰にして、放射能測定をやるという非常に大がかりな軍事的な意味を持った
調査
であります。それだけに金もかかるだろうと思います。それにしても、たとえば厚生省四百万円というようなことでは、なかなかやはり食品衛生というような
関係
においては手が回りかねるのではないか。きょう臨時にこれらの
対策
の
閣僚会議
が開かれるということだが、やはり相当な予算をもって次の本格的な水爆実験に備えて厳重な
調査
体制
、ひいては警戒
体制
というものをつくらなければならぬと思うのです。大臣もおらないので非常に答弁にお困りだろうと思うが、たとえば担当の局長として、あるいは担当の課長としてどう思われますか。
村田浩
32
○村田
政府
委員 御指摘の点は十分理解できることでございます。
政府
におきましては、去る
昭和
三十六年に、当時の米ソを
中心
とする
核実験
の連続的な
実施
というような点からして、特にこの
調査
並びに
対策
を強化するという
観点
から
放射能対策
本部を置かれまして、自来この
放射能対策
本部がいわば行政的な指導
実施
面、これに対する基本的な
研究
調査
というものの
あり方
等につきましては、御記憶のとおり、
原子力委員会
設置法の一部を改正しまして、そして
原子力委員会
の機能の中に、そのような基本的な
方針
の
検討
を行なえるようにいたしまして、直ちに
原子力委員会
に放射能専門部会というものを設け、この専門部会に、必要な
研究
はどういうことであるか、必要な
研究
調査
はどういうことであるかという諮問を発しまして、それに対する一応の案をいただきました。 自来その線に沿って
政府
として
調査
研究
並びに分析、追跡、これの
対策
研究
というものを
実施
してまいっておるわけであります。今日まで四年余りになるわけでございますが、
もと
より米国等の国に比べて使っております予算は決して多いと申されないわけでございますが、一応これまでやってきましたところで、必要な
研究所
あるいは地方の
機関
等に必要な測定器具等も行き渡りまして、かつまた、専門家の
意見
を十分入れました測定方法、分析方法も
確立
いたしております。そういった専門的な指導の
もと
にできるだけ十分な測定、分析をやっていこうといたしているわけでありまして、さらに、万々一のことも考えまして、先ほどの暫定指標に照らして何らかの行政的な
措置
が必要となる場合も絶対ないとは申せないわけでございますから、たとえば牛乳中に入りましたストロンチウムの除去方法等につきましても、国のほうから委託費を出しまして
研究
をやってまいっております。さらにまた、先ほどちょっとお話がございました魚介類に対する放射性物質の濃縮という点につきましても、決して大規模とは申されませんが、一応これに関する基礎的あるいは応用的な
研究
を委託して専門家の手で進めてもらっておるわけでございまして、今回のこのような実験、あるいは今後行なわれるかもしれない実験等を、今回のこれからの測定の結果等も十分勘案しつつ考えまして、さらに必要とあればいままでやっておりました、あるいは今年度やっております
計画
に
検討
を加え、しかるべき
措置
をとるように
努力
したいと思います。
岡良一
33
○岡委員 局長も知られるとおり、放射能に許容量はないという概念になっていることは御承知のとおりです。しかし実際問題とすれば、
国民
の日常の水なりあるいは食品なりについて許容量、許容限度は考えられないから、少しでも放射能があったら食うのはやめろ、飲むのはやめろということはとてもできるものではないのだから、一応の限度をつくられることはやむを得ないと思うが、しかしその限度は、健康を保持する上においてどういう根拠でそれでいい、こう認められておるのか、その点少し伺わせていただきたいと思います。
村田浩
34
○村田
政府
委員 放射能の
対策
研究
につきましては、先ほど申し上げましたように過去数年来
合計
して六億数千万円の金を出しましてやっていただいているわけですが、当初におきましては、どちらかといいますと、主として測定技術、分析技術等の
開発
、統一ということが
中心
でございました。さらにそういった技術及び機器を使っての実際の
調査
、測定、分析ということが
中心
でございましたが、先ほど申しました
原子力委員会
の放射能専門部会等の御
意見
も十分勘案いたしまして、ここ一両年は、ただいま申し上げましたような従来から行なっている点ももちろんでございますが、重点を、われわれが日常摂取します飲食物あるいは飲料水、そういったものにどのようにこの
核実験
に伴って生じました放射性物質が入ってくるか、われわれの体内に実際に摂取される形でどういうふうに入ってくるかという点に重点を置いた
調査
を行なうように指導してまいっております。先ほども申しました地方の衛生
研究所
等に対しての委託におきましても、日常その地方で食しております飲食物につきまして、野菜、魚介類あるいは牛乳等、それぞれ個々についての測定、分析は
もと
よりでありますが、いわゆる標準食というものにつきまして、その中に含まれる総合的な放射能レベルをチェックしていくという
調査
研究
を強化してまいっております。 さらに、いかなる形であれ体内に取り入れられましたものがどのように影響していくかということが一番の
ポイント
でありますので、放医研等を
中心
といたしまして、人体の骨あるいは歯といったところに入ってまいります、主として長寿命のストロンチウム九〇になりますが、そういったものの年々の
増加
のぐあいがどうなっておるかということのチェックに重点を置いた
研究
を進めてもらっております。
岡良一
35
○岡委員 ストロンチウム九〇が実際解剖の結果骨にどの
程度
沈着しておるかという数字は、
大学
などでしばしば発表されておる。年々
かなり
ふえておるというふうな結果を聞いておる。 そういうことは別として、さてそれでは、気象庁の方がお見えだが、気象庁では微気圧計等に全然何らの反応もなかったですか。
村山信彦
36
○村山説明員 ただいまの先生の御質問にお答えいたします。 今回は気象庁にあります微気圧計には核爆発と思われる振動は全然記録いたしませんでした。
岡良一
37
○岡委員 タクラマカン、ロプノル湖畔、これと微気圧計の所在地との距離の
関係
、あるいは爆発は上空とだけ言っているが、飛行機で落としたものかタワーにつるしたものか、それはわからない。具体的にどこでやったか明確なことはわからないのですが、しかし大体の規模は、けさの新聞を見ると、
アメリカ
の国防総省の発表では大体百三十キロトン、こういうふうに言っております。あの
程度
のものはこの
程度
の距離では微気圧計で探知できないものですか。
村山信彦
38
○村山説明員 いままで気象庁にございます微気圧計で、核爆発によるものと思われる気圧の振動を記録しました例が約百例ございます。それについていろいろ解析しました結果によりますと、数千キロ離れました距離において爆発が起こりました場合、
日本
に到達しますのに数時間かかります。気圧振動の明らかにそれと思われるものを認められますのは、局地的な気象
条件
によって多少変化はございますが、少なくとも一メガトン以上の規模のものだけしか記録してございません。いままでのソビエト、
アメリカ
などで行なわれました核爆発地点は、
日本
から約六千キロぐらい離れてございます。今回の中国の核爆発地点は東京まで四千三百キロくらいございますので、もう少し規模の小さいものについても、気圧振動が記録されるかもしれませんが、今回については認められておりませんので、その点から、実際の核爆発の
条件
によっていろいろ変わると思われますが、一メガトンよりも小さいであろうということは一応の推定ができます。
現状
としましてはそのような状況でございます。
岡良一
39
○岡委員 この前の
委員会
でたしか地震
関係
の課長さんがお見えになって、それで核探知クラブに関連して御質問申し上げたが、現在英国の
原子力
公社が
開発
した精密な器械によると、スウェーデン、イタリア、そして
インド
、
日本
、
カナダ
、ここにこの器械が据えつけられれば、
国内
の査察を待たなくても米ソ両国の地下
核実験
の探知はできるというふうな御説明があった。そういうふうな
状態
のところまで測定の器械が進歩しておるときに、大気中で行なわれる
核実験
というものは、それこそもっと敏感にキャッチできるものじゃないかと私など想像的に思うのですが、どうなんですか。
村山信彦
40
○村山説明員 微気圧計に振動を記録します現象は、爆発による気圧の振動だけでなくて、大気の乱れによって起こります振動も一緒に記録いたします。現在の微気圧計は、数千キロ離れた地点における爆発、これは核爆発だけでなくて、火山爆発などにおいても同じような振動が生ずるわけでございますが、そういうものに対して感じやすいように、周期その他器械の性能をあわせてございますけれども、それでも実際は風が強ければその風の振動、局地的な振動をたくさん記録しまして、全体として遠地から伝わってくる振動の波がそれに隠れてしまうというような事態が非常に多うございます。現在のいわゆる気象に使われる微気圧計と称するものにおいては精度を上げた——精度と申しましても、振動の増幅を大きくするというような意味において精度を上げたといたしましても、明らかにそれだと認められるものを必ずしも得ることができないのではないかと考えております。したがって、もっと器械を別の形のものにして観測すれば、大気中の現象である限り記録なりできるようになるとは思っております。
岡良一
41
○岡委員 いま、器械を改良すればそういう
可能性
もあり得る、こうおっしゃった、そういうことですか。
村山信彦
42
○村山説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。しかし、気象庁といたしましては、現在微気圧計で観測しますデータは、気象庁の放射能観測のための予備資料にいたしておりまして、過去におきまして、公表なしに核爆発が行なわれました時期におきましては
かなり
役に立ったと思いますが、現在においては、先ほどもお答え申し上げましたように、気圧波の伝播には、伝播速度が一秒間に三百二十メートルぐらいでございまして、数千キロ離れた地点から
日本
に到達しますのには数時間かかりますので、
現状
におきましては、探知という意味ではあまり役をなしておらなくて、むしろ実際に核爆発を行なった国ないしその他の報道からその情報が得られることのほうが早いようでございます。 補足的なことでございますが、お答え申し上げます。
岡良一
43
○岡委員 私がこういうことを申し上げるのは、いま
日本
の
政府
はいわゆる核探知クラブというものに
かなり
積極的な意欲を持っている。さてスウェーデンなり、
インド
なり、
カナダ
なり、イタリアなり、
日本
が参加して核探知クラブをつくったりする。また、ジュネーブにおいては核拡散防止協定がかりに成立した。しかし核拡散防止協定に入らない国もあるとする。その場合、核探知クラブというものは地下
核実験
だけの探知ということでは相済まぬと思う。そうなってくると、やはり大気圏内外の爆発をも、これは局地において特殊に大きな振動を伴う爆発なんですから、これも選択的にキャッチし得るような、そういう器械というものは
開発
し得ないものなのか、あるいはまた、
努力
をすれば
開発
し得るものなのであるか。もしし得るものであれば、あるいはし得るものである器械を
開発
するように
努力
をするということも、やはり今後核探知という政策の上から非常に重要なテーマになってくる、こういう点についてどう考えられますか。
村山信彦
44
○村山説明員 先生の御質問になりましたように、実際、核爆発の探知という目的から器械を
開発
すれば、さらに現在あります器械以上の精度なりを持ちます器械をつくることは可能だと思います。しかし、それには気象技術者のみではなくてほかの
分野
の
協力
を得まして、
開発
を必要とした場合はしなければならない筋のもの、またそうであろうと信じております。
岡良一
45
○岡委員 やはり行く行くは、この
核実験
の全面禁止ということから始めて、核軍縮へという道をどうしてもわれわれは要求しておるわけです。これは
日本
全体の悲願である。しかしながら、核拡散防止協定に入らない国もあり得るし、これらの国は大気圏内においても核爆発をやるであろうし、そういう場合に大気圏内外における核爆発をも探知できるような、そういう装置がほんとうに
開発
できるものなら、予算をもってぜひそういう方向への
努力
をすべきだと私は思う。これはやはり
放射能対策
本部としての大きなお仕事ではないかと思う。
村田浩
46
○村田
政府
委員
外国
で行なわれました空中における
核実験
を迅速に探知する、こういう目的には、ただいま御指摘のとおり非常に精密な微気圧計というものの
開発
が必要であろうかと思うのでございますが、現在まで
対策
本部として考えておりますのは、むしろその結果
わが国
に生じます放射能汚染、これをどのように的確に精密に測定し、そして
所要
の
対策
を講ずるかということに重点が置かれてきておるわけでございまして、予算をどの方向へ使うかということは、結局重点の置き方によるのではなかろうかと思います。 私ども承知しておりますところでは、もちろん一刻を争って空中における
核実験
が行なわれたかどうかということを承知することも大事ではございましょうが、従来地下
核実験
についていろいろ議論がなされておりますのは、空中における
核実験
はキャッチする時間のおくれとかいうことは別としまして、非常に小規模なものでもこれを空中で爆発させますと、それによって生ずる放射性のちりが必ず国外に流れて、国外の国々の測定網にひっかかるということから、隠れて空中における
核実験
はまずできないということが現実にあって、その上に立って部分核停も結ばれ、今日地下
核実験
の探知方法の議論も引き続いて行なわれておるのではないかと私は了解しておるわけであります。 したがいまして、
わが国
として、特に空中における
核実験
の迅速なる探知ということに重点を置いて今後
研究開発
を進めるかどうかということは、一つの
方針
にもかかわる問題でございます。今後
対策
本部としまして
関係
機関
と相談いたすことにしたいと思います。
岡良一
47
○岡委員 これはぼくはやはり
対策
本部の重要な仕事だと思う。いち早く察知するということ、そしておそらくその場合、グラフに出てくる波の形で規模もある
程度
まで推定できるだろう。 さて、そこで、今度は落ちてきた放射能灰というものの分析をやる、こういう立体的な完全な
科学
的な
調査
を通じて、やはり降下する放射能に対処して何か見通しを立てるということが
放射能対策
本部としての大きな仕事だと思う。特にまた、これからも本格的な水爆実験がある。しかも、
日本
列島というのは、ジェット気流なり特に偏西風が来るので、まともに手を広げてこれを受けようというような地形にあるのですね。こういうことの問題は、
対策
本部としても放射能が落ちてきてから調べればいい、こういうことであってはいかぬと私は思うので、十分気をつけてもらいたいと思う。 それから、この中共核爆発の問題について特に放射能を
中心
にしていま緊急
関係
閣僚懇談会が開かれて、もうそろそろ済んでいると私は思うのだが、一体その結果はどうなったのか。これは長官が来られなければ
原子力
次長かだれかついて行っているはずだが、至急来てその結果を
報告
してもらいたいと思うので、ひとつ向こうの様子を調べてもらいたい。
村田浩
48
○村田
政府
委員 私こちらに出席しておりますので、長官には
原子力
局の技術担当次長がついてまいっております。そちらのほうの
会議
が終わりましたならば直ちにこちらに参るように指示いたしてございますが、なお、どのようになっておりますか連絡をさしてみたいと思います。
岡良一
49
○岡委員 いますぐ連絡をとってください。まだやっているのですか。
原茂
50
○
原委員長
ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
原茂
51
○
原委員長
それでは速記を始めて。
岡良一
52
○岡委員 いま、中国の核爆発に基づく放射能についてこの十時から緊急に
関係
閣僚の懇談会があったと聞きましたが、これの結果はどういうことに相なりましたか。御出席の大臣が都合が悪いと言われるならば、ひとつ武安君から
報告
願いたいと思います。
武安義光
53
○武安説明員 本日十時から、院内におきまして、今回の中共
核実験
に関連しまして
関係
閣僚の懇談会が開催されました。出席されましたのは、官房長官、両副長官、自治大臣、防衛庁長官、それから
科学技術庁長
官、そのほか
関係
省の文部省、厚生省、農林省の各事務次官、運輸省事務次官、気象庁長官等の方々であります。大臣は叙勲の授与式のために中座されまして、
科学技術庁
事務次官から、従来の
放射能対策
につきましての
対策
本部のいたしました仕事、それから今回の核爆発による現在までにあらわれた所見等につきまして、
報告
、説明いたしまして、あと
関係
大臣間で協議されました結果、今回の影響につきましては、まだ全貌が明らかに出ておりませんが、いずれにしても注意してその推移を見る必要があるということで、すでに三十六年に内閣に設けられております
放射能対策
本部の
会議
を、本日午後急遽開きまして、その後の状況あるいは今後とるべき
対策
等について、あるいは基準等、特別の
事情
を考え直す必要があるかどうかという点について協議をすることとしたい、こういう結論でございます。 それから、なお席上説明がありましたことにつきましては、厚生省のほうからは、従来地方に配置しております天水のろ過装置等が使用できるような
状態
になるように都道府県を通じまして準備をやっておくこと、あるいは生鮮食料品等はなるべく洗って食べるようにという行政指導を通達をしてあるというような
報告
でありました。 本日の
会議
の経過としましては以上であります。
岡良一
54
○岡委員 いまのお話を聞くと、結局何もなかったというわけですな。現実問題は何もなかった。
武安義光
55
○武安説明員 まだ今回の
原子力
核実験
の結果の推移というものが、従来の経過等との比較におきましてもはっきり出ておりませんし、いずれにしましても具体的
対策
を早急に講ずる必要があるかどうかということは、まだ明らかでありませんので、その点を
対策
本部の
会議
で調べたい。 なお申し落としましたが、
対策
本部等のメンバーにつきましても、
所要
の
関係
者を追加したらよかろうという話でございます。 ですから、本日の
会議
では、直ちにとる具体的の
措置
というのはなかった、こういうことでございます。しかしながら、この問題は
閣僚会議
としまして、
国民
生活にも非常に影響のある問題であるし、現在における
調査
等を的確に行ない、状況を見よう、こういうことでございます。
岡良一
56
○岡委員 とにかく、繰り返し申しますが、このタクラマカン砂漠の一隅にあるロプノル湖というところにおける実験、特に現在は予備実験であるとすれば、本格的な実験というものが当然予想される。これはエニウェトク環礁とかジョンストン島よりも距離が近いし、しかも天水等、
日本
列島はまともに影響を受けるという地形にあるので、そういう
条件
を考えた場合に、今回の予備実験における
調査
並びに
対策
というものは非常に重要な意義を持ってくると思うので、そういうなまぬるいことじゃなくて、ひとつこの際もっと周到な
調査
並びに
対策
というものを、やはりおくれないでぜひ立てておかれる必要があると思うのです。このことを最後に申し添えて私の質問は終わりたいと思います。
原茂
57
○
原委員長
本日はこの
程度
にとどめ、次会は来たる五月十八日水曜日午後一時より
理事
会、一時三十分より
委員会
を開くこととし、これにて散会いたします。 午前十一時二十六分散会