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1966-04-14 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十四日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 原   茂君    理事 菅野和太郎君 理事 纐纈 彌三君    理事 中曽根康弘君 理事 西村 英一君    理事 前田 正男君 理事 石野 久男君    理事 岡  良一君 理事 田中 武夫君       大泉 寛三君    加藤 高藏君      小宮山重四郎君    三木 喜夫君  出席政府委員         科学技術政務次         官       田川 誠一君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君  委員外出席者         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局調整課         長)      田中 好雄君         参  考  人         (日本放送協会         営業局受信サー         ビス部長)   高橋  良君         参  考  人         (自動車電波雑         音防止研究委員         会副委員長)  田村 敏彦君         参  考  人         (電子機械工業         会技術部長代         理)      中村寅之助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(電波雑音防止技  術に関する問題)      ————◇—————
  2. 原茂

    原委員長 これより会議を開きます。科学技術振興に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  電波雑音防止技術に関する問題調査のため、本日、日本放送協会営業局受信サービス部長高橋良君、自動車電波雑音防止研究委員会委員長田村敏彦君及び電子機械工業会技術部長代理中村寅之助君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 原茂

    原委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  なお、時間の都合もございますので、参考人の御意見の開陳はお一人約十五分程度にお願いすることとし、後刻委員からの質疑の際に十分お答えくださるようお願いいたします。  それでは高橋参考人よりお願いいたします。
  5. 高橋良

    高橋参考人 日本放送協会高橋でございます。  立場上、まずラジオテレビ受信機障害になる雑音実態を申し上げます。  ラジオテレビ受信機妨害する雑音実態につきましては、さき日本放送協会全国聴取者を対象といたしまして標本調査を実施いたしました。その結果わかりましたことは、ラジオテレビ妨害する雑音源種類を申し上げますと、テレビ受信機に対する妨害は、自動車の点火せんから出る雑音によるものが最も多く、雑音による被害受信者全体の六七%に達しております。次に多いのは電気ドリルのような小型モーターつき電気機器による妨害でございまして、全体の二%に当たっております。残りの三一%はビニール加工機のような高周波利用設備やその他の原因によるものであります。  自動車雑音テレビ受信機に入りますと、テレビ画面には多数の白黒の点々が自動車が走るのに応じてあらわれまして、自動車交通量の多いところでは、テレビ画面全体がちらちらした点でおおわれまして、特に近くを自動車が走り強い雑音が入りますと、テレビの同期がはずれまして画面がくずれ、絵にならないということもございます。ことに放送局から遠い、電波の弱い地方都市では、自動車雑音被害が多くなっております。  次に、雑音防止状況について申し上げます。この雑音防止に関しましては、関係官庁の御指導のもとに電波技術協会のような関係団体協力いたしまして実施しておりますが、私のほうでわかっておりますところのことだけ申し上げますが、日本放送協会でも以前から家庭ラジオテレビ受信機雑音から守るために努力を重ねておりまして、聴取者からの依頼によりまして日本放送協会昭和三十九年度に雑音防止した件数は、テレビ受信機に対するものが五万三千三百七十件、FM受信機に対するものが五百十三件、ラジオ受信機に対するものが一万七千五百六十九件を数えております。  以上の雑音防止した件数を、さらに雑音源別割合で申し上げますと、次のとおりになります。  テレビ受信機に対して防止した雑音源といたしましては、電気ドリルのような小型モーターつき電気機器が五・四%で第一位でございまして、次に高周波ウェルダーのような高周波利用設備から出る雑音防止したのが五・一%、次に送配電線設備から出る雑音防止しましたのが三・二%、二輪車を含むような自動車から出る雑音防止しましたのが三・一%という状況になっております。  またFM受信機に対しまして防止しました雑音源といたしましては、第一に二輪車を含む自動車でございまして、これが一三・一%になっております。次に高周波利用設備で四・四%、次に他の通信からの妨害雑音となったものが三・九%、それから電気こたつのような電気接点を有するような機器雑音源をとめましたのが三・九%という状況になっています。  またラジオ受信機に対しまして防止した雑音源といたしましては、第一が螢光灯でございまして、二六・三%、次がテレビ受信機の中の水平発振回路からの妨害をとめましたのが一八・一%、その次に電気ドリルのような小型モーターつき機器から出る雑音防止しましたのが七・五%、次に電気こたつのような電気接点を使用しました機器をとめましたのが二・五%となっておりまして、さきに申し上げました実態調査の結果と比較いたしますと、テレビ受信機に対する自動車雑音防止割合が少なかったということは、たくさんの自動車が移動してまいりまして、次々に妨害をしますので、加害者になっております自動車が不特定多数でありまして、同一の機器が同一受信者妨害をする場合と異なりまして、被害を受ける聴視者があきらめて泣き寝入りの状態になる場合が多ことによるものでございます。  次に、自動車雑音防止方法について申し上げますと、一般自動車またオートバイ、バイクなどに使用されておりますところのガソリンエンジンは、スパークプラグによる火花を飛ばして点火させておりますが、この火花放電雑音電流が生じまして、外部に雑音電波を発射するという過程でもって、雑音ラジオテレビ妨害するわけでございます。  したがいまして、自動車雑音防止する技術的方法といたしましては、自動車雑音防止用抵抗器をエンジンの点火回路に取りつける方法、ここに持ってまいりましたこのようなものを取りつける。次に点火回路に普通の高圧コードではございませんで、雑音防止用高圧抵抗電線を使用する方法、この抵抗電線というのは、ここに持ってまいりましたようなコード状雑音防止器でありまして、心線にカーボンを含浸させました繊維を使用しましたものと、もう一つ金属抵抗線磁性コアらせん状に巻いたものの二種類がございます。そのほかに自動車内の点火せん以外の電装品から雑音が出る場合には、雑音発生個所雑音防止用コンデンサーを取りつけるなどの方法があります。現在私たちが主として実施している防止方法は、一番に申し上げましたこのような抵抗器を取りつける方法でございますが、実施にあたりましては、雑音防止協議会や地方自治体の御協力を得まして、市役所や町役場などに車を集めて防止器を取りつけましたり、車検場防止器を取りつけましたり、また街頭道路上で防止器を取りつけるなど、各地でたいへんな苦労をしまして実行している現状でございます。  しかしながら、通行中の自動車オートバイ防止器を全数取りつけるということは不可能でございますから、消極的な方法でございますが、受信アンテナをできる限り道路から離して立てまして、自動車から遠ざけるような指導を行なっております。  それでは、テレビ受信機のほうでもって、またラジオ受信機の中でもって、この自動車雑音のようなものをとる方法はないのかということでございますが、受信機の中での電気回路でこのような雑音をとる方法もございますけれども回路が複雑で値段が高くなるというようなことで、一般的ではないというふうにも考えているわけでございます。また関係官庁並びに関係団体協力いたしまして、随時放送やパンフレットなどによりまして、この雑音防止の普及につとめてまいりました。  自動車だけで申し上げますと、現在では関係官庁関係団体及び自動車メーカー各位の御努力によりまして、防止器を取りつけた自動車が市販されまして、次第に増加しておりますけれども走行中の全車両に雑音防止器が取りつけられるということを念願にしている次第でございます。  次に、外国状況について申し上げますと、たとえば自動車雑音だけ取り上げてみますと、外国自動車雑音に対する規制状況を申し上げてみますと、フランス、ドイツ、オランダ、イギリスは法制化いたしまして、ある基準雑音が出ないようにするために結論的には雑音防止器を取りつけなければならないというふうになっております。アメリカの場合は、アメリカ自動車技術会規格を守るように、メーカー自主規制を行なって、雑音防止器を取りつけておるという現状でございます。  今後われわれといたしましては、新型雑音防止器開発とか、個々の自動車に対する雑音防止器の取りつけ、及び自動車雑音防止のための周知活動は引き続き実施いたしまして、家庭ラジオテレビ雑音から守ることに努力する覚悟でございますが、この自動車雑音をはじめ、雑音を撲滅することは急を要することでございまして、従来の施策も、外国で行なっておりますような法制化も、また自主規制も、おのおの有効な手段とは考えられますけれども、要はこれらの総合施策が望ましいと考える次第でございます。今後とも一そうの御理解と御指導を賜われば幸いだと存じます。  簡単ではございますが、雑音関係に関しましての私の御報告を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。
  6. 原茂

    原委員長 次に、田村参考人にお願いいたします。
  7. 田村敏彦

    田村参考人 それでは簡単に御説明申し上げます。  実はいま高橋参考人から大体の御説明がございましたので、特に自動車関係防止方法についても説明がございましたので、私からこまかく申し上げることもほとんどないのでございますが、自動車というものを雑音という立場から分けてみますと、御存じのように自動車は、ディーゼルエンジンを搭載しておりますディーゼル車と、ガソリンエンジンを搭載しておりますガソリン車と、大きく分けて二種類に分けられるわけでございますが、ディーゼルエンジンのほうは、御存じのように点火系統を持っておりませんために、いわゆる点火系統から出る雑音というものはないわけでございます。ガソリンエンジンのほうは点火せんがございますので、当然いま高橋参考人からのお話のように、点火せんから出るパルスの雑音電波障害するということになるわけであります。ところがガソリンエンジンディーゼルエンジンとも点火系統以外からもかなり雑音が出ているわけでございます。たとえて申し上げますと、これはガソリンディーゼル共通でございますが、発電機、いわゆる自動車電源を供給する発電機そのものは、従来から直流発電機が使われておりまして、その発電機のセグメントといいまして、コミュテーターから出る雑音がかなりございます。それからあと一般家庭と全く同じでございます。たとえばいろいろなスイッチを使っております。そういったものからも出ますし、それからもう一つ、特殊な関係で申し上げますと、自動車そのものは実は鉄板を幾つも継ぎ合わせてつくってございます。そういったものが走行中に大地との間に帯電をいたします。帯電をいたしましたものが放電をするというようなときに、雑音として出るということにも在ります。そういう意味では、たいへん申しわけないのですが、自動車というものはかなり雑音源の大きなものであることはわれわれも認めざるを得ないわけでございます。しかしこの雑音源の中で、いまも高橋参考人からお話がありましたように、一番皆さんに御迷惑をかけているのは点火せんから出る雑音でございます。  それではいま一体、日本自動車雑音防止の実施されている状況はどんなであろうかということを簡単に申し上げますと、実は御存じのように自動車には、ほとんどの車が最近ラジオがつけられております。自分の車のラジオ妨害するということで、ラジオを取りつけております車はほとんど雑音防止器をつけております。そういう意味ではむしろ外から押えられるのじゃなくて、自分ラジオをよく聞くためにそういう処置はかなりとっておるのでございますけれども御存じのようにいま日本自動車トラックとバスの比率を見てみますと、かなりトラックが多うございまして、七〇%くらいがトラックであるということなんです。そういたしますと、トラックの場合はラジオが比較的少ないというようなことから、つまりラジオをつけてない車は、やはり何らか私たち自動車メーカーなりがつけませんと、なかなかつけるということに踏み切らないというようなことになります。  それからもう一つ、ちょっとここで申し上げておきたいのは、それではそういった、いま高橋参考人がちょっとごらんに入れた雑音防止器などをつけますと、自動車に何か影響はないかということでございます。これは影響なしとは言えないのですけれども整備さえ順調に正規にやっておりますと、まず影響ないと見てよろしいのじゃないか。特に、いまここであとでちょっとごらんに入れました長い抵抗線といいまして、点火線からディストリビューターといいます電源までの間のコードがございますが、コード全体が抵抗線になっているようなものを使いますと、たいして影響はございません。そういう意味で、影響もあまりないということで、最近は自動車メーカーのほうは極力そういうものを採用するように努力をいたしております。  それからなお、そういうものをつけるといたしまして、かなり価格の問題などもあるのでございますが、いわゆる雑音防止器としての価格といいますか、そういったものから簡単に申し上げますと、乗用車一台にいたしまして千円内外あるいは千円以下で大体つけられる見通しがあるのじゃないか。これは私見でございますが、そんなように考えております。そんなことで自動車業界としては、そういうことに対して最近は郵政省の方々の御指導も得まして、徐々にではございますが、防止器をつけるように努力をいたしております。  それからなお、私が担当しております自動車技術会の中にございます電波雑音防止研究委員会のほうでは、雑音防止雑音防止といいましても、それではどれだけの雑音が出ているのだというようなことが、われわれどちらかといいますと被害を与える側といいますか、被告席にとっては、測定をする方法がなかなかわからない。それから電波というものは御存じのように自動車にとってはかなりやっかいなものであるというようなことから、まず簡単にはかれる方法、それから、だれしもが尺度として考えられるような、みんなが公害として防止できるという認識を持つためには、簡単にはかって簡単に防止できるように、雑音防止をするための測定方法をまず明らかにしようというようなことから、その測定方法を確立することを郵政省の御援助を得ましてやっております。  それからなお、さっき高橋参考人からもちょっとごらんに入れた抵抗器規格とか、そういったものもできるだけつくって、できるだけ安くわれわれが使えるようにしようではないかというようなことをやっております。そんなことの活動を現在続けております。  私から申し上げることは、大体以上でございます。
  8. 原茂

    原委員長 次に、中村参考人にお願いいたします。
  9. 中村寅之助

    中村参考人 ただいまお二方から、雑音、特に自動車関係テレビラジオ等に及ぼす雑音についていろいろ詳しい御意見がございました。したがいまして、私といたしましては特にこまかいことを申し上げる必要はないと思いますが、多少範囲を拡大いたしまして、いわゆる電波障害防止というものにつきましてちょっと考えてみたいと思います。  電波障害というものは、御存じのように電波混信という状態をもってあらわれてくるわけでございます。したがいまして、まず第一番に必要なことは、混信をしないように、おのおのその適正な周波数を国際的あるいは国内的にきめて、またそれに対する技術基準をきめて、それによって産業その他各界において適当に運営していく、これが第一番の原則でございます。  ところが、ここにそういう周波数の約束をしても守れないものがございます。それはただいま申し上げましたような点火装置雑音というようなものでございまして、これは非常に広い範囲にあらゆる種類電波を出すわけでございます。もちろんその出し方にいろいろ違いがございまして、たまたまこの自動車点火装置による雑音というものはVHF帯御存じテレビに一番の障害を与える波をたくさん出すわけでございます。ところが一方、テレビというのはその必要な波の範囲内で有効に使用するものでございますので、その波を受けないようにするということは、本来の機能テレビを受けられないことにするわけでございます。したがいまして、まずその雑音を出す源が本来の機能を妨げず、また特別高価な品物にならない限り、出すほうをできるだけ押えるということが最良の策だと思います。それによってなおかつ押えられない点、これをテレビの側においてもできるだけ補う必要があると思います。この補い方には、もちろんいろいろ方法がございます。非常に高級な複雑な回路を使いましてそれを防止するということは、特別の公共用通信機などには適用されますが、一般大衆生活を豊かにするテレビなどには期待できないものでございます。  次に、これに対する対策でございますけれども、私どもは今後の科学技術振興という立場から考えますと、まず何より大事なことは、法の規制の前に、これに関係する業者あるいは業界あるいは関係者自覚によりまして、これが無理なく行なわれるということであります。幸いにして自動車には次々と新型があらわれてまいります。また二年に一回というような車検がございます。それから悪い車は漸次淘汰されるということがございますので、新しい車かち、業者自主的自覚によりまして防止装置をつけていただく。そうしてさらに定期車検などの機会をとらえて、雑音防止協議会その他の活動にも期待いたしまして、漸次防止器を取りつけるということが非常に大事であると思うのでございます。  ただ、しかしながら、特に公共的に必要な通信装置、たとえば飛行場におけるレーダー塔あるいは漁船用基地局等に対しまして、真にやむを得ない際には必要な環境の指定とかあるいは必要な指導をするということによりまして、厳正に社会の秩序安寧また幸福をはかるということが積極的に必要だと思います。  以上申し上げた次第でございますが、最後に私、技術関係の一人といたしまして、たいへん失礼でございますが、私見を述べさせていただきたいと思います。  科学の進歩と新しい技術開発ということによりまして、産業を発展し、また国民生活を豊かにしてまいるわけでございますが、この反面、それによっていろいろな矛盾が生じてまいることが多いわけであります。あるいは問題が出てまいります。たとえば公害の問題あるいはこの雑音の問題というようなものがそれではないかと思うのでありますが、こういった問題に対しましては、われわれはこういうことこそこれを科学的にまず見詰め、よく把握し、そして広い視野から弾力的な観点をもちまして整備あるいは解決をして前進をするということによりまして、新しい技術開発が次々に生まれてくるのではないかと思います。しかしながら、こういったことの根拠をなすものは、何と言いましても国民全体の科学的なレベルアップ、それから特に中小企業関係の方の勉強あるいは積極的な自覚ということが非常に必要ではないかと思います。われわれは常に新しいものを開発し進めてまいるわけでございますが、これについてはこういった問題が常に起こるものとある程度覚悟し、弾力的に処していくような考え方を取り入れるために、あるいは工業会その他におきまして多くのメーカーが集まりまして勉強あるいは研究会を開き、また専門の方の御意見を伺いまして進んでまいっておるわけでございます。ただ、こういった問題を、私どもはできるだけ各企業の末端に至るまで、自分のことに関係するものと身にしみて、それの関係者の一人として、いろいろ考えていくということが必要ではないかと思います。したがいまして、こういった問題を非常に広い立場で、そして国民のそれぞれの分野において積極的、前進的に進むように、いろいろ科学技術振興機会をとらえ参画さしていただくということは非常にありがたいことだと思います。幸いにしまして、本日のような機会を得まして、私どもはこういった科学技術振興という国家百年の大計を云々する場所におきまして、特に皆さま方が各党超党派的に大きなスケールで取り上げていただき、そして国民の多くの分野からそれに参加して、今後の科学技術開発あるいは発展ということのために、たゆみない御協力をされておりますことを非常に感謝し、またここに、私ども技術者層も最も大きな信頼と敬服を抱いておる次第でございます。どうぞ今後ともこういった科学技術関係育成には、広い視野と長期的な観点をもちまして育成をしていただきますことをお願い申し上げておきます。  たいへん口幅ったいことを申し上げましたが、本日望外の機会を得まして、いささか考えを述べさしていただいた次第でございます。どうも失礼いたしました。
  10. 原茂

    原委員長 どうもありがとうございました。     —————————————
  11. 原茂

    原委員長 この際、ちょっと私から二、三お伺いしたいのですが、電波監理局長がおいでになっておりますから、電波監理局長にも一言お答え願いたいのです。  いまお聞きになったような参考人各位のおのおのの立場で、一面では法的な規制が無理なくできるなら、それをしてでも早期にこの種の受信者に対する迷惑を排除したい、しかし技術的な立場で言うと、法的な規制というよりはむしろ自主的な技術者開発に待つという態度が望ましい、そういう御意見も一面あったわけです。しかし国の立場からいいますと、特に電波の弱くなっている場所においては、この種の雑音による、あるいは混信といいますか知りませんが、妨害テレビラジオ等に非常に広範囲にわたって行なわれている。ラジオ屋さんに飛び込む、来てもらう、どうもわからぬ、ついに結局はうやむやのうちに機械を取りかえてみるというようなことまで、むだなことを非常に数多く全国では行なっているわけです。総じては、あまねく公平に受信できなければいけないこの種のものが、いま言われたような原因による雑音というものを中心で非常に不公平になっている。この点を考えたら、電波監理局立場からいっても、いまのように自主的な技術開発にまつという態度のままでいこうとなされるのか、何か法的な規制というものを考えておられるのか、あるいは考えるのかということを局長からお伺いしたいのが一つです。  ついでに、時間がもったいないと思いますから、高橋参考人にもお伺いをしたいのですが、いま申し上げたような理由から、実際に電波を送る側からいいますと、サービスの公平という基本原則を貫くためには、いま、あと参考人各位からもっともな御意見の開陳があったわけですが、それに賛同をされて法的な規制その他を、たとえばアメリカその他に準じたものでもいいのですが、しないでがまんをして、技術開発にまつということでよろしいとお思いになるか。何かのきびしいあるいはゆるいというのは別なのですが、法的な規制というものがあるなら、この種類の法的な規制がほしいのだという御意見があるかどうかを、高橋参考人からざっくばらんにお聞かせをいただき、それから中村参考人田村参考人からもおのおの、現在もう原因は突きとめられているこの種の雑音が、技術開発にまって自主的におやりになるとして、何年ぐらいの間にこの種の雑音が受信妨害にならないというところまでいけるとお考えかどうか、一応の目標というものがおありだろうと思いますし、その点をこれも忌憚なく御意見をお聞かせいただきたい。  それから最後に、これは高橋参考人と監理局長のお答えをいただけばいいのですが、そのほかに例の混信による受信障害というものがあるわけです。最近の混信が国際的に、たとえば中国あたりの非常に強力な電波がわれわれのほうに入ってまいりまして、ずいぶん大きな障害になっていることは間違いないのです。これに対する混信というのか、受信障害といいますか、これを排除しなければいけないと思うのですが、一体このまま放置しているのか、何か研究をしたり手当てをしようとなさっているのか、あるいは今後ある種の方法によって、いつごろまでにはその種の混信がなくなる——あるいは国際的な話し合いの中でやらなければいけないのかもしれませんが、日本の側で五十キロでやる、北京で百キロでやったとするなら、当然混信は起きるわけですが、この国際的な関係ども含めて電波監理局長として今後どう対処されるのか。それから、高橋参考人にも、この種の問題でお困りになっているに違いないので、今後どうしようとお考えになっているのか、この点ひとつ順次お答えを願いたいと思います。
  12. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 最初の、郵政省といたしましての法的処置と申しますか、そういう問題についてお答え申し上げたいと思います。  御承知のとおり、実はこの混信対策及び雑音防止ということは、非常にむずかしいものでございますが、ただいま法律的に措置しておりますところのものを大体拾ってみますと、通産省で出されております電気用品取締法というのがございます。それからもう一つは、先ほどお尋ねでございますことに関連するのですが、郵政省といたしましては、電波法の百条によりまして、十キロサイクル以上の高周波電流を利用し、出力が五十ワットをこえる医療用設備、工業用加熱設備、各種設備の設置は許可を要する、漏洩電界の強度が法に定める基準を満足し、他の通信混信を与えないことが許可の条件になっている、こういうようなわけでございます。このほかにも、雑音の処置につきましては、電波法の八十二条、これは混信についての規定をしたもの、それから百一条で雑音に対してこの混信に対する規定を準用するもの、こういうものがございます。こういうものが法律の上でうたわれているものでございまして、もう一つ、御承知のように、JISというのがございますが、このJISにつきましては、通産省のほうの工業標準化法でございますか、この中で日本工業規格というものを規定されるようになっております。こういうようなものが法律の面で規定されておるものだと思います。  このほかのものにつきましては、もっぱら自主規制にまつようなことになっておりまして、自主規制としましては、郵政省電波監理局で所掌しておりますところの電波技術審議会というものがございまして、そこで雑音防止方法につきましての答申を得ております。これを関係の省に送りまして、特に通産省あたりではJIS化という方面に活用していただいているわけでございます。もちろん郵政省といたしましては、これを法律化と申しますか、法制化することを将来の目的として、だんだんと研究を進めておるというような段階でございます。  それで、いま申しましたように、郵政省といたしましては、法律によりまして、大臣が、通信に対して継続的にしかも重大な妨害があると認めるような場合においては、雑音源を停止することができるというような規定がございますけれども、実はどういう基準に基づいたならばそういうことが発動できるかというような、そういう点につきましての基準というようなものの設定というものがまだでき上がっていない段階でございまして、ケース・バイ・ケースによりまして、非常に影響が大きいというようなときにおきましては、先ほどの権限を行使するというような状況でございます。何ぶんにもこの問題は、雑音源を出されるほうのものが、通信業者そのものではない。電波法が直接対象としておりますような、そういう郵政省の所管のもの以外のところから出ておる場合が多いのでございますので、これを規制することが非常にむずかしいというのが現実でございます。そういうことでございますので、この雑音源に当たられるそういう方々に対して、十分な御認識を得て、そうして社会のためにひとつ協力をしていただきたい、こういうのが趣旨でございます。  いま申しましたのが、法律なり、あるいは郵政省自体が官庁として行なっているものでございますが、もう一つ、民間を指導してと申しますか、御協力をいただいてやっているものに、実は中央雑音防止協議会というのがございます。この中央雑音防止協議会と申しますのは、実は昭和二十九年に設立されまして、十九の関係団体が参加しておりまして、そのほかに地方におきましては、各県単位でもってこれに参加をしていただいております。そういうような非常に大きな参加団体で、雑音防止ということをやっておるわけでございますけれども、この一つの行事といたしましては、毎年十月を雑音一掃月間といたしまして、一カ月の間雑音を出さないようにするというようなことを標榜してやっております。  そしてまた、こういうところが実際的に非常に活動していただきまして、先ほどもお話のありましたような効果をいろいろとあげていただいておるわけでございますが、特に注目していいことは、現在無雑音都市というものの宣言をなさっておる、こういう市がございます。これが現在は十四に達しております。このように無雑音都市宣言というものがだんだんと多くなっておりますけれども、こういうのは一つの大きな雑音防止に対する国民の盛り上がりによるところの運動だと思いますので、こういうものが今後だんだんと発展いたしまして、そうして国民的な常識になるということになりますれば、非常に幸いだと思っております。何ぶんにも、法的にくくるということは相当にむずかしい問題であり、そして同時に、経済的にも非常に大きな負担をかけるというようなことでもございますので、国民自覚を得てだんだんと効果あらしめるような方向にいきたいというぐあいに考えております。  それからもう一つの、先ほど御質問のございました外国混信の問題でございますが、外国混信を受けております放送は、大体中波に限られております。中波のラジオ放送でございますが、その範囲は、裏日本と九州が最もひどいのでございまして、中波の波が約百八ありますが、その半分以上、大体半分とお考えくださったらよろしいと思いますが、半分ぐらいが外国混信を相当に受けているという状況でございます。  これに対する処置といたしましては、混信を起こしておる相手の国に対しまして抗議を申し込むと同時に、善処方をお願いするというやり方をとっております。それと同時に、国際周波数登録委員会、IFRBという国際機関がございまして、ここに全部波を登録しておるわけでございますが、そこにも通告いたしまして、こういうな混信がありますのでひとつ善処方を頼むということを重ねて通告しております。  それは国際的な一つ方法でございますが、一方、国内的にとっております処置といたしましては、三年ごとに放送の再免許という時期がございますので、主としてこの再免許のときを機といたしまして、周波数の模様がえ並びに電力の変更というようなことをやっております。しかしながら実際の現状を申しますと、周波数を変えましても、相手の周波数というのは決して固定しておりませんで、こちらが周波数を変えますと、また向こうも周波数が変わる、そして電力あたりもだんだんと向こうが強くなるというようなことでございますので、一度変えたならば、恒久的な対策が得られたということにはなりません。したがいまして、この混信対策に対しましては、中波におきましては根本的な解決が必要でございます。  こういう面から、郵政省といたしましては、この中波の混信を救う道を考えなければいけないというので、実は現在本国会に対して電波法並びに放送法の改正を提案しておるのでございます。この法律を通していただきまして、チャンネルプランというものをはっきりきめまして、そしてラジオのチャンネルの配置をこういうぐあいにするのだ、置局もこういうぐあいにするということを、いままでのものから全く新しい構想に持っていく、考えるということで、この中波の混信をほかのバンドの利用によって解決したいと考えておるわけでございます。  中波の混信は、大体夜間に起こるのでございまして、昼間の混信はほとんどないと考えてよろしいかと思います。こういうぐあいに昼間における放送は残しましても、夜間の放送は、そっくりこれを中波から、われわれがいわゆるFMバンドと称しておりますが、VHFのバンドに移してしまうということがとりあえずとれる処置じゃないかと思っております。こういうようなやり方によりまして外国混信を解決するということを目下考究中でございます。
  13. 高橋良

    高橋参考人 最初の、雑音に対しましての問題でございますが、結論的にはただいまの電波監理局長お話と同じようになるかもしれませんが、電気用品取締法では、すでにヘアドライヤーとか電気温風機とか電気掃除機とか電気かみそり、電気バリカン、ミキサー、ジューサー、電気床みがき機というようなものにつきましては、雑音防止器がついていないと売ってはいけないというくらいにきめていただきまして、こういうものから出る雑音は非常に少なくなっておりますので、われわれ聴取者のために雑音防止をやる仕事を持っている者としましては、非常に楽になってきているわけでございます。  それから自動車関係につきましては、先ほど田村参考人からもお話がございましたように、自動車から雑音が出るものは点火せんから出るものが非常に多いのだというお話もございましたし、また点火せん以外の電装品から出るものもある、それからボデーと大地間において発生する雑音のようなものもある、そういう出る原因はわかっておるのでございますが、これをどんなふうにして測定して、しかも一元的な測定ができるか、またどの雑音をとめるのにはどのようにぴしっとした方法があるのかというようなことについては、まだまだ技術開発の必要があるのでは互いかと思います。したがいまして、当分はやはり現在メーカーさんもおやりになっていらっしゃることにわれわれも参加させていただきまして、いろいろとそういう測定法、測定器の問題、それからその防止方法というものも明確にしながら自主規制をやっていただくという方向で進むのではなかろうかと考えます。  それから混信の問題でございますが、これについては、ただいま局長お話のように、われわれのほうとしては、行政指導をいただきながら、たとえば中波の場合でございますと、夜の混信に対しては、もうすでに東京とか大阪もやろうと思っておりますけれども、大電力にいたしまして混信を少なくする、それから現在すでに行なっておりますが、外国混信のひどいところにおいては、雑音の非常に少ないFM放送でもって中波と全く同じプログラムを送りまして、その付近の混信にお困りの方々に対して放送しておるというようなことで対策をしております。  またテレビにつきましても、混信があった場合には、いろいろな技術開発をやってまいりまして、たとえば精密オフセット方式とか準精密オフセット方式というようなものを局側のほうで採用いたしまして混信をなくす、ぼつぼつと混信でお困りの方には直接われわれのほうからも出かけてまいりまして、受像機側でもって混信を取り除くような防止器を取りつけるようなことで対策をしているという現状でございます。
  14. 原茂

    原委員長 田村、中村両参考人にお答えをいただく前に、お二人にちょっと追加してお願いしたいのですが、いま言った外国混信、特に中波が中心ですが、しかし混信は、他のバンドにも実は現実に厳密に言うとあるわけなんですが、現在のバンドを変更しない前提で外国混信防止する技術的な見通しは絶対不可能なのかどうかもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。  では、次に田村参考人
  15. 田村敏彦

    田村参考人 お答えいたします。どれくらいの期間があったならば雑音防止のできる体制ができるかということでございますが、これはたいへんむずかしゅうございまして、一つの対象がございませんと、なかなかはっきりしないのですが、外国車のようなレベルにというように申し上げまして、外国車並みの車に雑音防止をするということでございますと、技術的には大体二年ぐらいで十分できるであろうということでございます。ただし、これにはちょっとつけ加えさしていただきますと、条件というものが非常にございまして、御存じのように日本は特殊事情がございまして、たとえば二、三輪車が非常に多いというような特殊事情がございます。それから、先ほど申し上げましたトラックが非常に多いということもございます。そこで、乗用車のほうは、構造から申し上げましても雑音防止が比較的しやすい構造になっております。つまり鉄板でおおわれてございますから雑音防止をしやすい姿になっておる。ところが、トラック二輪車になりますと裸である場合が多うございます。したがいまして、そういう点から言いますと、雑音防止をするという点からは非常にむずかしいといいますか、不利であるということになると思うのでございます。それで、一応私のいま申しましたのは、外国の乗用車のレベルに日本のすべての乗用車を、少なくとも新車でございますが、新車をもっていくには二年あれば十分であろうというように考えます。以上でございます。
  16. 原茂

    原委員長 外国混信の問題を……。外国混信は  いまの技術ではむずかしいですか。
  17. 田村敏彦

    田村参考人 外国混信は私、あまり関係がございませんのですが……。
  18. 中村寅之助

    中村参考人 自主規制と法規制でございますが、自主規制ということによりますと、これは確かに期間がかかり、また多少なまぬるいということがあると思います。しかし法規制につきましては、これを公平に規制するということのためにいろいろと多くの金がかかり、また人力がかかるわけでございまして、また、それだけかけてどの程度うまく実施できるかということなどは非常に問題があると思います。さらに一番大事なことは、こういった法規制によってこういう問題をあまり処理し過ぎますと、いわゆる国民の建設的な技術の発展を阻害するのではないか。これは常に積極的に技術開発するという国民的な習性をつけるために、できるだけ自主規制にするほうが、多少期間がかかる、あるいはなまぬるい点があるかもしれませんけれども、全般的な他の面において非常に益するところが多いのじゃないかと思います。  次に混信の点でございますが、現在日本通信というものは国際的に非常に高いレベルにありまして、こういう点から考えますと、こういった通信というものが、国際間の約束あるいはその他によりまして運営されておるわけでございますので、国内だけ簡単にどうこうということはなかなかむずかしいものではないかと想像するわけでございます。  以上でございます。
  19. 原茂

    原委員長 最後に高橋参考人にもう一度お伺いしたいのですが、いまの御意見の中で、徐々に大電力にこちらも変えていくというのも一つ方法だというお話があったのですが、こちらが大電力に変えると、また外国の弱小電力でやっておるところは混信を起こすというようなことになるのじゃないかと思うので、大電力化していこうという国際競争をやったのでは際限がないので、この点はやはり国際間の話し合いといいますか、さっき電波監理局長の言われたような、あるいはいま一部やっておられるFMバンドに変えていくというようなことにせざるを得ないのじゃないかと思うのですが、この点、どうでしょう。もう一度……。
  20. 高橋良

    高橋参考人 先ほど私の説明が不十分でたいへん失礼申し上げたのでございますが、現実に、たとえば私のほうの放送でございますと、第二放送を、大電力と言えるのかどうかわかりませんですが、いままでやっておりましたよりも大きくいたしまして、聞こえの悪いところ、また若干混信などがあったところのいままでの電波よりも強くいたしまして、現在混信を防いでおりますということを申し上げたわけでございます。  それから、ラジオの場合でございますと、どうしても相手方の電波より強くするか、周波数を相手方と離していただくかということを、技術的に申し上げますと、しなければならないのじゃないだろうか。  それから、行政的にはむしろ監理局長のほうにお聞きしていただければと思います。
  21. 原茂

    原委員長 わかりました。
  22. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいま追加されました問題につきましてお答え申し上げてよろしゅうございますか。ただいま追加されました委員長からの御質問でございますが、中波のほかのバンドの外国混信があるかどうかという問題でございますけれども、この問題につきましては実はFMなりあるいはテレビというところにも多少の混信はございます。それはどういう混信かと申しますと、地上百キロのところに実はスポラディックE層というものができまして、このスポラディックE層を通しましてそこで反射してくる波が入ってくる。ふだんはそういうものはどんどん突き抜けていくのでありますが、これが非常に強い場合におきましては相当遠方から入ってくる。千五百キロぐらいまでは入ってくる可能性がございますので、そういうものがありまして、テレビのごときにおきましても、ソ連のテレビ日本の鹿児島あたりで写ったということもございまして、外国混信を起こすという場合もございます。もちろんFMバンドの場合はもう少し低いわけでございますから、そういうことも予想されます。しかしその頻度と申しますか、あるいはパーセンテージというものは非常に低いものだと考えてよろしいかと思いますので、やはり外国混信という問題につきましては、まず中波というものが主力に考えてよろしいのではないかと思います。  それで、さらに先生のいまの御質問で、中波のバンドを変えないで混信を除去するような方法はないかということでございます。これにつきましてお答え申し上げたいと思うのですが、この機構から申しますと、実は先ほど申しましたように、夜間にE層というものが実は非常に薄くなって、電波を反射するようなものがなくなるために、昼の間はそこを通るたびに電波が吸収されておった、そういうE層というものがなくなる。したがいまして、非常に減衰が少なくなって、電波の弱まり方がなくなりまして、遠方までどんどんと到達するというのが、この夜間におけるところの中波の混信を与える原因でございます。したがいまして、物理的に申しまして夜間の中波の混信を防ぐために、遠方までやることができないようにするということは、どうしてもむずかしいことでございますが、一つ方法としましては周波数を違えるということが基本的に混信対策としてはとれる一番の問題でございます。しかしながらいまの問題は、周波数が同じところで起こるところの混信なのでございますから、あるいはそれが非常に近接したところの周波数で起こることを前提とした混信なのでございますから、いま申しましたようなことは無理な注文でございますので、同じ周波数の場合に混信対策というものがあるかどうか、技術的にやり得るかどうかという御質問の点を考えなければいけないと思います。そのために考えられることとしますと、混信を与えるような電波から地域的に非常に有利な場所、こういうものを選びまして置局をするということ、それからもう一つは時間を考えましてうまく置局をするということ、こういうことが考えられます。それからそのほかには電力を大きくいたしまして、混信電波よりもこちらのほうが強いというものを置きまして、暴には暴をもって報いるような形でございますけれども、そういうものが一つございます。それからそのほかに考えられる問題としましては、電波の入射角の問題あるいは電波受信アンテナの指向性を考えるというような問題、それから偏波面というようなものを考えまして、アンテナで、ある偏波を利用して受けるというようなことも考えられると思います。しかしこのようなことを考えましても完全に混信防止することは非常に困難だと思います。金もかかると同時に、実際の大衆向きの放送というようなものを対象といたしますようなものにおきましては、いま申しましたような混信対策というものを講じることは非常にむずかしいことではないか、こういうぐあいに考えます。ちょっと絶望的と言ったほうがよろしいかと思います。最終的には周波数帯を移すということでなければ、結局解決しないのではないかと考えます。
  23. 原茂

    原委員長 どうもありがとうございました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる四月二十日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会