○上田(弘)政府
委員 最初の、
郵政省といたしましての法的処置と申しますか、そういう問題についてお答え申し上げたいと思います。
御承知のとおり、実はこの
混信対策及び
雑音防止ということは、非常にむずかしいものでございますが、ただいま法律的に措置しておりますところのものを大体拾ってみますと、通産省で出されております電気用品取締法というのがございます。それからもう
一つは、先ほどお尋ねでございますことに関連するのですが、
郵政省といたしましては、
電波法の百条によりまして、十キロサイクル以上の高周波電流を利用し、出力が五十ワットをこえる医療用設備、工業用加熱設備、各種設備の設置は許可を要する、漏洩電界の強度が法に定める
基準を満足し、他の
通信に
混信を与えないことが許可の条件になっている、こういうようなわけでございます。このほかにも、
雑音の処置につきましては、
電波法の八十二条、これは
混信についての規定をしたもの、それから百一条で
雑音に対してこの
混信に対する規定を準用するもの、こういうものがございます。こういうものが法律の上でうたわれているものでございまして、もう
一つ、御承知のように、JISというのがございますが、このJISにつきましては、通産省のほうの工業標準化法でございますか、この中で
日本工業
規格というものを規定されるようになっております。こういうようなものが法律の面で規定されておるものだと思います。
このほかのものにつきましては、もっぱら
自主規制にまつようなことになっておりまして、
自主規制としましては、
郵政省の
電波監理局で所掌しておりますところの
電波技術審議会というものがございまして、そこで
雑音の
防止方法につきましての答申を得ております。これを
関係の省に送りまして、特に通産省あたりではJIS化という方面に活用していただいているわけでございます。もちろん
郵政省といたしましては、これを法律化と申しますか、
法制化することを将来の目的として、だんだんと研究を進めておるというような段階でございます。
それで、いま申しましたように、
郵政省といたしましては、法律によりまして、大臣が、
通信に対して継続的にしかも重大な
妨害があると認めるような場合においては、
雑音源を停止することができるというような規定がございますけれ
ども、実はどういう
基準に基づいたならばそういうことが発動できるかというような、そういう点につきましての
基準というようなものの設定というものがまだでき上がっていない段階でございまして、ケース・バイ・ケースによりまして、非常に
影響が大きいというようなときにおきましては、先ほどの権限を行使するというような
状況でございます。何ぶんにもこの問題は、
雑音源を出されるほうのものが、
通信業者そのものではない。
電波法が直接対象としておりますような、そういう
郵政省の所管のもの以外のところから出ておる場合が多いのでございますので、これを
規制することが非常にむずかしいというのが現実でございます。そういうことでございますので、この
雑音源に当たられるそういう方々に対して、十分な御認識を得て、そうして社会のためにひとつ
協力をしていただきたい、こういうのが趣旨でございます。
いま申しましたのが、法律なり、あるいは
郵政省自体が官庁として行なっているものでございますが、もう
一つ、民間を
指導してと申しますか、御
協力をいただいてやっているものに、実は中央
雑音防止協議会というのがございます。この中央
雑音防止協議会と申しますのは、実は
昭和二十九年に設立されまして、十九の
関係団体が参加しておりまして、そのほかに地方におきましては、各県単位でもってこれに参加をしていただいております。そういうような非常に大きな参加団体で、
雑音防止ということをやっておるわけでございますけれ
ども、この
一つの行事といたしましては、毎年十月を
雑音一掃月間といたしまして、一カ月の間
雑音を出さないようにするというようなことを標榜してやっております。
そしてまた、こういうところが実際的に非常に
活動していただきまして、先ほ
どもお話のありましたような効果をいろいろとあげていただいておるわけでございますが、特に注目していいことは、現在無
雑音都市というものの宣言をなさっておる、こういう市がございます。これが現在は十四に達しております。このように無
雑音都市宣言というものがだんだんと多くなっておりますけれ
ども、こういうのは
一つの大きな
雑音防止に対する
国民の盛り上がりによるところの運動だと思いますので、こういうものが今後だんだんと発展いたしまして、そうして
国民的な常識になるということになりますれば、非常に
幸いだと思っております。何ぶんにも、法的にくくるということは相当にむずかしい問題であり、そして同時に、経済的にも非常に大きな負担をかけるというようなことでもございますので、
国民の
自覚を得てだんだんと効果あらしめるような方向にいきたいというぐあいに考えております。
それからもう
一つの、先ほど御質問のございました
外国混信の問題でございますが、
外国混信を受けております放送は、大体中波に限られております。中波の
ラジオ放送でございますが、その
範囲は、裏
日本と九州が最もひどいのでございまして、中波の波が約百八ありますが、その半分以上、大体半分とお考えくださったらよろしいと思いますが、半分ぐらいが
外国混信を相当に受けているという
状況でございます。
これに対する処置といたしましては、
混信を起こしておる相手の国に対しまして抗議を申し込むと同時に、善処方をお願いするというやり方をとっております。それと同時に、国際
周波数登録
委員会、IFRBという国際機関がございまして、ここに全部波を登録しておるわけでございますが、そこにも通告いたしまして、こういうな
混信がありますのでひとつ善処方を頼むということを重ねて通告しております。
それは国際的な
一つの
方法でございますが、一方、国内的にとっております処置といたしましては、三年ごとに放送の再免許という時期がございますので、主としてこの再免許のときを機といたしまして、
周波数の模様がえ並びに電力の変更というようなことをやっております。しかしながら実際の
現状を申しますと、
周波数を変えましても、相手の
周波数というのは決して固定しておりませんで、こちらが
周波数を変えますと、また向こうも
周波数が変わる、そして電力あたりもだんだんと向こうが強くなるというようなことでございますので、一度変えたならば、恒久的な
対策が得られたということにはなりません。したがいまして、この
混信対策に対しましては、中波におきましては根本的な解決が必要でございます。
こういう面から、
郵政省といたしましては、この中波の
混信を救う道を考えなければいけないというので、実は現在本国会に対して
電波法並びに放送法の改正を提案しておるのでございます。この法律を通していただきまして、チャンネルプランというものをはっきりきめまして、そして
ラジオのチャンネルの配置をこういうぐあいにするのだ、置局もこういうぐあいにするということを、いままでのものから全く新しい構想に持っていく、考えるということで、この中波の
混信をほかのバンドの利用によって解決したいと考えておるわけでございます。
中波の
混信は、大体夜間に起こるのでございまして、昼間の
混信はほとんどないと考えてよろしいかと思います。こういうぐあいに昼間における放送は残しましても、夜間の放送は、そっくりこれを中波から、われわれがいわゆるFMバンドと称しておりますが、VHFのバンドに移してしまうということがとりあえずとれる処置じゃないかと思っております。こういうようなやり方によりまして
外国混信を解決するということを目下考究中でございます。