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1966-03-16 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年三月十六日(水曜日) 午後一時三十六分
開議
出席委員
委員長
原 茂君
理事
纐纈 彌三君
理事
西村 英一君
理事
前田 正男君
理事
石野 久男君
理事
岡
良一
君 加藤 高藏君
木村
剛輔君
野呂 恭一君
渡辺美智雄
君 三木 喜夫君
米内山義一郎
君 内海 清君
出席国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
出席政府委員
科学技術政務次
官 田川 誠一君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
) 小林 貞雄君
総理府技官
(
科学技術庁原
子力局長
)
村田
浩君
外務事務官
(
国際連合局
長) 星 文七君
委員外
の
出席者
原子力委員会委
員 有澤
廣巳
君
外務事務官
(
国際連合局科
学課長
)
大塚博比古君
運 輸 技 官 (
気象庁観測部
地震課長
)
木村
耕三君 参 考 人 (
原子燃料公社
理事長
)
今井
美材
君 参 考 人 (
日本原子力研
究所理事長
)
丹羽
周夫
君 ――――――――――――― 本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
核原料物質開発促進臨時措置法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣提出
第八八号) ――――◇―――――
原茂
1
○
原委員長
これより
会議
を開きます。 まず
最初
に、
参考人出頭要求
に関する件についておはかりいたします。
核原料物質開発促進臨時措置法
の一部を改正する
法律案審査
のため、本日、
原子燃料公社理事長今井美材
君及び
日本原子力研究所理事長丹羽周夫
君を
参考人
として
意見
を聴取いたしたいと存じますが、これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
原茂
2
○
原委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ――――◇―――――
原茂
3
○
原委員長
この際、両
参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
くださいまして、ありがとうございます。どうか忌憚のない御
意見
をお述べくださいますようにお願い申し上げます。
委員各位
に申し上げます。
参考人
からの
意見聴取
は
質疑応答
の形式で行ないますので、さよう御了承願います。
核原料物質開発促進臨時措置法
の一部を改正する
法律案
を議題とし、
審査
を進めます。
質疑
の通告がありますので、順次これを許します。
岡良一
君。
岡良一
4
○
岡委員
きょうは、この法案と直接
関係
がございませんが、先般、前回の
委員会
において触れまして未解決の問題がありますので、
外務省
からも御
出席
を願って、若干補足的に
お尋ね
をしておきたいと思います。 特に、
外務省
の
国連局長等
に御
了解
をいただきたいことは、
御存じ
のように、私
ども
この
委員会
としては、
原子力
の
研究
、
開発
、
利用
は
平和目的
に限る、こういう大
原則
のもとに
原子力政策
を推進しておりますので、そういう
立場
から、たとえば
国会
が
実験禁止等
の
決議
をいたしました場合に、当
委員会
からわざわざ有志が
アメリカ
へ出かけまして、国防総省やあるいは
アメリカ原子力委員会
に対して
国会
の
決議
を携えて
交渉
するなど、かなり積極的にこの
委員会
としては
平和利用
については内外にこれまで活動しておりました。そういうことから、たとえば
核軍縮
の問題あるいは
核拡散防止条約
の
問題等
は、
国内
における
平和目的
に限るというこの私
ども
のたてまえと表裏一体の
関係
において、
委員会
としても非常に大きな
関心
を持っておりました。こういうわれわれ
委員会
の
立場
をまず御了承願いたいと思います。 そこで、一体
政府
は、いずれあらためてお聞きする
機会
もあろうかと思いますが、
核拡散防止
とか
核軍縮
について
統一見解
、統一された
方針
というものを持っているのかどうか、この点私
ども
非常に疑義がありますが、持っておられるのかどうか、この点をひとつまず承っておきたいと思います。
星文七
5
○
星政府委員
ただいま御指摘の
核兵器拡散防止
問題、
核軍縮
問題、この
二つ
の問題につきましては
外務省
において
検討
いたしまして、一応の公式的な
見解
というものを持っております。
岡良一
6
○
岡委員
それではここで御
説明
願いたい。
星文七
7
○
星政府委員
核兵器拡散防止
からお話を申し上げたいと思います。 御
承知
のように、
核兵器
の
製造
というものは昔と違いまして、比較的容易に
製造
し得るようになってまいりました。それで、こういう現状において、
核兵器
の
拡散
というものを無制限に放置する場合には、
核兵器
がいずれかは
局地的紛争
のために
使用
せられる、これが
世界戦争
につながる、そういう
観点
から、早きに及んで
核兵器拡散防止措置
というものが講ぜられるべきであるというのが私
たち
の一番大きな前提でございます。 そこで、
わが国
といたしましては、このような判断に基づきまして、
核兵器拡散防止条約
の
締結
をしようとする
関係各国
の
努力
を非常に歓迎しておりまして、
条約
の
締結交渉
の
促進
にできる限り
日本政府
としても協力していきたい、そういうふうに考えております。 たまたま、
目下ジュネーブ
で十八カ国
軍縮委員会
が開かれておりまして、御
承知
のように昨年の第二十回
国連総会
の指示に基づきまして
核兵器拡散防止条約
というものを優先的に取り上げているわけでございます。 ただ、この
核兵器拡散防止条約
の
締結
にあたって、私
たち
といたしましては留意すべき点が二、三あるのじゃないかと思います。その
一つ
は、この
条約
ができますと、それに
非核保有国
が入ってまいりますと、
非核保有国
が永久に
核兵器
の
保有
を断念する、そういう非常に大きな
犠牲
を払わなければならないわけでございます。したがいまして、
非核保有国
がこういう大きな
犠牲
を払うのだから、核を持っている国も何らかの
犠牲
を払うべきであるというのが第一点でございます。 第二点は、
核保有国
は、持っていない国、その中でもなかんずく
核兵器
の
製造能力
を持っておりながら
拡散防止条約
に入ろうとする国、そういう
非核保有国
の中にはいろいろ分類があるわけでありますが、そういう
製造能力
を持ちながらあえて
核兵器
をつくらない、そういった国の
意見
というものをよく聞かなければならないという点が第二点であります。 それからまた、
拡散防止条約
というものができましたら、やはり
非核保有国
も含めましていろいろ
安全保障
のための
措置
が講ぜられるべきであるということが考えられるわけでありまして、この
拡散防止条約
というものができましても、
各国
が自国の
安全保障
のために集団的あるいは個別的な
安全保障制度
というものを、そういう
措置
を講ずることを妨げてはならないというのが第三点でございます。 それから、こういった
条約
というものは、結局は
全面完全軍縮
への一歩を踏み出したものである。そういうふうに
了解
いたしまして、
核保有国
は
全面完全軍縮
への
一つ
の
心がまえ
として、これを契機として
全面完全軍縮
というものに踏み出していく、そういう
気持ち
を持たなければならないというのが第四点でございます。 それから第五点は、御
承知
のように、さっきちょっとおっしゃいましたが、例の
核兵器
の
実験禁止条約
というものがございます。これは、いま
地下実験
は許されているわけでございますけれ
ども
、全面的な
核兵器実験禁止
ということを早く結ぶということがこの
拡散防止
に非常に役立つのじゃないか、そういう点をわれわれとしても問題にしておるわけでございます。 こういう点が、いま問題になっておりまする
ジュネーブ
の十八カ国
軍縮委員会
に
アメリカ案
、
ソ連案
というものが
二つ
出ておりますが、われわれのこういった
意見
、こういった
気持ち
というものがこの
条約
に何らか反映されるということをわれわれは非常に欲しておるわけでございます。 その次は、
核軍縮
問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でございますが、私
たち
といたしましては、
核軍縮
というものを進めるにあたりまして、やはり
二つ
の大きな
原則
があると思います。
一つ
は、
アメリカ
と
ソ連
の間に
合意
ができておるのでありますけれ
ども
、いわゆる
軍事均衡
の
原則
、つまり、すべての
軍事措置
というものは、いかなる国、または、いかなる
国家グループ
に対しても一方的に
軍事的利益
を与えるものであってはならない。すべての国の
安全保障
が平等に確保されねばならないという
原則
。 それから
国際管理
の
原則
、つまりすべての
当事国
がその
義務
を忠実に履行しておるとの確信が得られるように、すべての
軍縮措置
というものは、有効な
国際管理
というものが実施されなければならない。この
二つ
の点を
核軍縮
についても特に強調したいという考えを持っておるわけであります。 第一は、
核軍縮
問題については、いろいろ問題がございますが、
一つ
は、全国的な
核兵器実験禁止
の問題でございます。これは先ほど私がちょっと触れたとおり、
日本
としても
全面的核兵器実験禁止
というものが、できるだけ早い時期に
合意
ができるということを念願しておるわけでございます。目下、御
承知
のように
ソ連
は
地下実験
というものは別に国際的な
査察
は必要としないのだ、これは十分にわかるのだ、探知できるのだということを言っておりますし、
アメリカ
はそうじゃなくて、今日の
科学技術
のもとでは、この
地下実験
というものを全部知ることはできないのだという主張で対立しておるわけであります。その間、
スカンジナビア諸国
がイニシアチブをとりまして、ことばは悪いのですが、
核探知クラブ
というものを樹立しようとしておる。先般も
わが国
にスウェーデンから二人やって参りまして、
核探知クラブ
について、いろいろ
専門家
もまじえて議論をしたわけでございますが、純粋に
科学技術
の面から
地震
の
測定方法
というものをお互いに
研究
し合うというのが大きな
目的
だろうと思うのですが、ことしの五月にはストックホルムでそういった国の
専門家
の
会議
が開かれることになっております。 それから、その次は、
核兵器
核散
防止条約
についての
締結
です。これは先ほど申し上げましたとおりであります。 それから
核兵器
及び
核兵器運搬手段
の
削減
、これは
核軍縮
の最も重点といいますか、肝心な点でございます。これも私が先に申しましたように
軍縮
の大
原則
、つまり
軍事均衡
の
原則
と
国際管理
の
原則
、こういう点から進めていくべきであるというふうに考えております。 それから
兵器用
の
核分裂物質
の
生産削減
及び
平和利用
への転換、これは
アメリカ
とイギリスと
ソ連
がすでに自発的に
兵器用
の
核分裂物質
の
生産
を
削減
するということを発表しておりますので、
わが国
といたしましてもこれは非常に歓迎する。それで
核保有国
による
兵器用核分裂物質
の
生産削減
及び
平和目的
への
保障措置
に関する
協定
というものが、できるだけ早いうちに
締結
されるということを非常に望んでおるわけであります。 以上が、大体
核兵器
の
拡散防止
及び
核軍縮
についての
外務省
の考えておるところでありまして、一応公式的と申しますか、われわれの結論といたしましてはそのような点でございます。
岡良一
8
○
岡委員
そうすると、これは
外務委員会
での論議のようになって恐縮ですが、たとえば
日本
が
核拡散防止協定
に賛意を表する場合には、まず第一に、順序は不同でありますが、
日本
が個別的あるいは集団的に安全なる
保障
が与えられなければならないということと、また、
核保有国
がまず第一義的に何らかの具体的な誠意を
核軍縮
に示さなければならない。なぜならば、いまおっしゃった
条件
が満たされなければ、
政府
としては
核拡散防止条約
に賛成できない、そういう態度でございますか。
星文七
9
○
星政府委員
私は
条件
とは申さなかったつもりであります。
核兵器
の
拡散防止条約
の
締結
にあたって配慮すべき
問題点
ということで指摘したわけでございます。いまおっしゃいました第一の点でございますが、集団的あるいは個別的な
安全保障
、この点は、
日米安全保障条約
がございますので、
わが国
にとってはあまり問題はなかろうと思います。 第二の
核保有国
の
軍縮措置
、これを
条件
にするかどうかということは非常に大きな問題であろうと思います。現に
ジュネーブ
の
軍縮委員会
では、
中立国
が御
承知
のように八カ国参加しておりますけれ
ども
、この中で、やはり
核保有国
の
軍縮
というものが
一つ
の
条件
にならなければならないということを主張している国もたくさんございます。しかし、私
たち
としては
条件
ということまで言わなくても、何かその
条約
の中にこういった趣旨のことが
前文あたり
に含まれるということで、あるいはその
目的
が達せられるのではないかというふうに考えております。
岡良一
10
○
岡委員
いずれこれは
機会
をあらためて
お尋ね
をしますが、私は若干その点考慮していただきたいことがある。 もう
一つ
の問題は、この
条約
に
中国
が含まれなければならぬ、これはやはり
日本
としては重大な問題だと思います。それに伴う
日本
としてのいろいろな
政策
のあり方というものがあり得る。いま
一つ
は、
核軍縮
というのは
国連総会
において二十年間にわたって論議されながら、事実においては
核軍縮
どころか、
核拡張
に
現実
には進んできておる。やっと三年前に
モスクワ条約
ができて、部分的核停が結ばれた。しかし、その後もやはり
米ソ
の
核軍縮
はなっておらない。
地下実験
を通じて
核開発
が進んでおるということなんです。こういう難問題をからめるということは、かえって非常にこの
核拡散防止協定等
の成立の上から
問題点
であろうと思う。しかし、
核保有国
が第一義的な使命を果たすような
努力
をしなければならぬ、このこと、それから
中国
の問題と一緒に
コスイギン提案
があったことは
御存じ
と思います。
コスイギン提案
では、
最初
に、
非核保有国
には核は
使用
しない。それから、
中国
が第二回の
核実験
の
あと
で
政府声明
を人民日報に出しておる。その中では、
コスイギン提案
のほかに、
非核武装地域
には攻撃しないというものも加えて出しております。そこで
核軍縮
が当初徐々に始められるとしても、この
核保有国
の核不
使用
の明確な約束の取りつけということも、やはり
拡散防止協定
を進める上においては重大な問題だと思うのです。こういうような点は、
条件
でないまでも配慮すべきものであるとすれば、ぜひひとつこれは配慮していただきたいと思うのです。 これらの問題については、いずれまた
外務委員会等
で
十分政府
の御所見を承ることとして、いま私
ども
は、さしあたり
核原料物質
の問題を取り上げておるので、また
核探知
の問題は
特別委員会
としても
地震
の問題では非常に大きな
関心
を持っておるので、
核探知
のこの問題、そして
国際原子力機関
は、これも毎回の
総会等
には
委員会
から代表も参加しておられるというような状態でもありますので、
アメリカ
の提案しておる
国際原子力機関
における
平和目的
のための
査察
といろ問題に限局して
お尋ね
したいと思うのです。 ところが、たまたま非常にお忙しい
有澤先生
がお見えのようでございますから、
有澤先生
のほうへ質問を
最初
にさしていただきたいと思います。 これは実はこの前にもこの
委員会
で私が申し上げておったことであるが、
核原料物質
は一応
閣議了解
のもとに
民有化
される、
原子力委員会
は最近
核燃料物質
についても
民有化
の
方向
へ行かれようとしておるというようなことが新聞紙で伝えられましたので、
原子力委員会
としては具体的にどういう御
方針
をきめられたか、まずそれを承りたい。
有澤廣巳
11
○有
澤説明員
特殊核物質
の
民有化
につきましては、まだ
委員会
としましては内定とまではいかぬですけれ
ども
、一応
民有化
の
方針
で
検討
を進めております。それにつきましては、
日米動力協定
の
改定
を四十三年ですかまでには行なわなければならないのでありますが、御
承知
のように
アメリカ
のほうでは、
民有化
の
方針
で
法律
も通っております。それと調子を合わせるといいましょうか、向こうが
民有化
でありますし、また
民有化
の傾向は、いってみますれば
世界
の大勢でもあります。それから今後、
特殊核物質
の
平和利用
という面からこれがたいへんな大きな額にのぼるというふうな面、それからさらには
軽水炉
は、これはプルーブンのタイプとして導入をはかるということになっておりますが、この場合に、
特殊核物質
を含めて
燃料
についての
商取引
といいましょうか、ビジネスとしての
交渉
の場合におきまして、やはり
民間
がその衝に当たったほうが何かと有利でもありますし、また便宜でもある、こういう
関係
から考えてみますと、この
特殊核物質
を、今度の
日米動力協定
の
改定
にあたりましては、
わが国
において
民有化
の
方針
に進んだほうがいいようにも考えます。
他方
におきまして、
天然ウラン
はずっと前に
民有化
を認めたわけでございますが、
特殊核物質
をいままで
国有
という形でやってまいりましたのは、
安全性
の問題であるとか、それから
損害賠償
といいましょうか、要するにこれの
平和利用
並びにその
安全性
についての
管理
ということが、まだ
十分国内体制
も整っていなかったし、
国際協定
の中にも
国有
ということが示されておりましたしいたしましたので、どうしても
わが国
といたしましては、これは
国有
を続けていかなければならない、こういうことで
天然ウラン
のほうは解除いたしましても、
特殊核物質
のほうは解除しないで今日に至ったのでありますが、いま申し上げましたように、国際的な面におきましても、だんだん
民有化
ということが
現実
の姿になってまいりましたし、
他方
、
国内
においての
特殊核物質
に対する
管理
、規則、そういう面の
体制
も十分整ってまいりましたので、もはや
特殊核物質
の
国有化
を続けていかなければならないという理由は非常に薄くなってきているように思われます。そういうわけでございますので、私
ども
はそういう
観点
に立っていま
検討
を続けておりますが、できれば早くその
方針
をきめまして決定いたしまして、そうして
日米動力協定
の
改定
にあたりまして、その
民有化
の線をもって
改定
に当たりたい、こういうふうに考えている次第です。
岡良一
12
○
岡委員
やっと
日本
も
動力炉懇談会
から、また海外の
動力炉
の
事情
の御調査もあり、
日本
としても本格的に
動力炉
の
開発
についての
日本
独自の
政策
をこれから取り上げられていかなければならない
段階
に
原子力委員会
はあると思います。そういう場合に、やはり
日本
における
動力炉開発
のための一番大事な
一つ
の問題は、やはり自立的な自主的な
燃料サイクル
、いわば効率的な計画的な
燃料サイクル
というものを考えていかなければならない。その場合にやはり
核原料物質
であろうと、
燃料物質
であろうと、
特殊核物質
であろうと、これらのものが
原子力委員会
のコントロールのもとに計画的に効率的に
運営
をされなければならない。これが
民有化
されるということになると、非常に困難なことになる。一番大事な
核燃料サイクル
の効率的な計画的な
運営
、
動力炉開発
の
一つ
の大きな柱であるこの問題が
民有化
を通じて困難になるといろ懸念を私は非常に強く持つわけです。この点は
原子力委員会
としては困難ではないということであれば、その辺の
事情
、また
心がまえ
をひとつお聞かせいただきたい。
有澤廣巳
13
○有
澤説明員
核燃料政策
、特に
サイクル
の問題、これは私
ども原子力
の
開発
において最も重要視している問題でございます。いま
特殊核物質
を
民有化
をいたしましても、
使用済み燃料
につきましては、今度建設されます
公社
の
使用済み燃料
再
処理施設
、それに引き渡すということは、
規制法
に基づきましてこれを行なうことができると私
ども
は考えております。そして、
濃縮ウラン
を
国内
でつくるという問題につきましては、
研究
はなお続けておりますけれ
ども
、いまのところ、まだ
国内
にそれをつくり得るだけの技術的な根拠が十分できたというふうには思いません。
拡散法
、ディフュージョンでやるということはちょっと
日本
では見込みがないように思っております。ただ遠心分離的な
方法
でやることができますれば、
日本
でもあるいは可能かもしれませんけれ
ども
、これもいまのところ、まだ
研究
のごく初期の
段階
にとどまっておりまして、これが経済的に技術的に可能であるという見通しはまだ全く立っていない状況であります。したがって、
日本
の
核燃料
の点から申しますならば、
濃縮ウラン
はどうしても
外国
に依存せざるを得ない。できるだけ
濃縮ウラン
の
外国
への依存を少なくするという見地に立ちますならば、
天然ウラン
による
動力炉
の
開発
を行なわざるを得ないと思います。また、したがって、そういう
観点
から私
ども
のほうでは
動力炉開発
という問題について目下
検討
をしておりますが、近くその
方針
を打ち出したいと考えております。
あと
は
プルトニウム
の問題でございますが、これは、
国内
において
軽水炉あたり
から出てくるものはむろんのことでございますが、これは全部
国内
に
最初
のうちは当分の間は買い上げをしたい、こういうふうに考えております。
岡良一
14
○
岡委員
原子力局長
にお伺いいたしますが、
アメリカ
が
原子力法
を改正して
核燃料
のすべてを
民有化
するという
方向
に踏み切りましたが、具体的にどういう運びになっておりますか。
村田浩
15
○
村田政府委員
アメリカ
におきましては一九五四年
原子力法
というのがございまして、これで
原子力
の
平和利用
はもとより、
軍事利用
につきましても
国内
的な
規制
を行なっておることは御案内のとおりであります。この
法律
におきましては、従来、
特殊核物質
につきましてはもちろん、
プルトニウム
を含めまして、国がその
所有権
を持つということに定めてございまして、かかる
観点
から、
外国
へ
平和利用
のために輸出いたします
特殊核物質
につきましても、その
所有権
はその
当該国
の
政府
が持つべきである、このような
方針
でまいってきておったわけであります。
昭和
三十三年に
締結
されました
日米原子力一般協定
におきましては、そのような
アメリカ国
の
方針
から、
協定
第七条
D項
でありますかも、
日本政府
の
権原保持義務
が明記されておるわけでございます。しかるところ、
アメリカ国内
におきましてその後
原子力発電等平和利用
の機運が非常に高まり、特に一九六四年の
国連主催原子力平和利用国際会議
の前後にあたりまして、特に
原子力発電等
が
民間
においても積極的に推進されるようにという配慮から一九五四年
原子力法
の一部改正を行ないまして、
政府
の許可を受けたものは
特殊核物質
を
所有
することができるというふうに
国内法
が改められたわけであります。
わが国
と
米国
との間の
原子力協定
におきましては、
アメリカ
の
国内
において
民間
の
所有
が可能に実現するまでは、
日本政府
が
権原
を保持する
義務
があるというふうになっておりますので、この点の解釈につきましては、
外務省
を通じ非公式でございますが、先方に意向を確かめたところ、
米国
の
原子力委員会
におきましては、
協定
第七条
D項
によるところの
権原保持義務
はすでに消滅しておる、こういうことでございます。したがいまして一先ほど有
澤原子力委員
の御
説明
にございましたように、
日米協定
上からするところの
政府所有
の
義務
というものは現在
国内
においてもなくなっておる、このように解しております。
米国
におきましてこの
法律
をわざわざ改正いたしましたということは、結局米
国内
におけるところの
原子力発電
を実際に受け持って推進していくそういう
事業者等
の非常に強い
意欲等
の反映であろう、このように考えております。
岡良一
16
○
岡委員
結局一九六九年には
委託濃縮
が開始される、一九七三年には全面的に
特殊核物質
を含めて
民有化
される、こういうことになるわけですね。 そこでまた
有澤先生
にお伺いをいたしたい点は、いまいろいろ御
説明
にございましたが、現在の
動力炉開発
の流れから見てみると、
核物質
すべてにわたっての
民有化
という方式は、
アメリカ
の
民有化
と歩をともにするというか、いわばこれに同調するという
方向
に進んでおると私は考えざるを得ない。
先生
に反論をするようですが、すでに国際的に
核燃料物質
や
核特殊物質
などを
民有化
しておる国はない。しようとするのは
アメリカ
だということで、国際的にはこれらの
核燃料物質
や
原料物質
や
特殊核物質
というものも
民有化
という
方向
を打ち出している国は、私は
アメリカ
だけじゃないかと思いますが、その
アメリカ
と同調しようという思想が私は見えるわけです。そうなりますと、いま
濃縮ウラン
を輸出できる国といえば
アメリカ
、また
委託濃縮
も
アメリカ
だけが主体で、
先生
も常に御主張になっておられるように、この
原子力発電
というエネルギーが石油の二の舞いになっちゃいけない。ということは、やはり
原子力発電
が他のある特定の国の市場として支配されるというふうな傾向は避けなければならぬということを
先生
のお話の中でしばしば承っておりますが、
民有化
の
方針
をきめておる
アメリカ
と
日本
が歩をともにして
民有化
に踏み切っていこうとするということは、結果においてやはり
濃縮ウラン
の市場として
日本
を提供することになるのでして、
最初
の出発点において、いわば
核燃料サイクル
の確立という
方向
とはゆがめられてくるような印象を受けてしまう。そういう点については
先生
はどういう配慮をお持ちでしょうか。
有澤廣巳
17
○有
澤説明員
私はこの席上でそういうことを申し上げまして、いまもってそのことは十分銘記しておるわけでありますが、その間に、その点におきまして最も重要なのは、
日本
が
濃縮ウラン
とその
使用済み燃料
の再処理、そういう
燃料
の
サイクル
が
アメリカ
合衆国の大きな
サイクル
の中にそのまま組み込まれるということが一等心配なんです。そういう大きな
アメリカ
の
サイクル
の中に
日本
の
原子力
燃料
の
サイクル
が組み込まれる形態がいわゆるシングル・パッケージ・フニェル・サービス・システムというものであろうと思います。もしこういうことが実現いたしましたならば、まさに御心配のような点が
現実
の姿になってまいるわけでございますが、先ほ
ども
申し上げましたように、なるほど炉は
アメリカ
で
開発
いたしました
軽水炉
が入っておる。これはできるだけすみやかに早期国産化ということを推進したいと私
ども
は考えております。 残るところは
燃料
でございますが、その
燃料
の問題につきましては、いま申し上げましたように、
濃縮ウラン
はどうしても
日本
国内
では十分
生産
する見込みが当分の間は立たない。これは国が持とうが
民間
が持とうが、結局
アメリカ
から買ってこなければならない。
濃縮ウラン
を供給し得る国といえば、まずやはりお説のとおり
アメリカ
であろう。そうすれば、
日本
としてはこの点では
アメリカ
に依存せざるを得ないわけであります。しかしその
濃縮ウラン
を使って出てくる
使用済み燃料
の再処理、これからは
プルトニウム
も出ましょうし、減損ウランも出てまいりましょう。その
プルトニウム
なり減損ウランなりは、
日本
の
国内
で
燃料
として使うようにしたい。したがって、その限りにおいては、
燃料サイクル
は
日本
の
国内
で循環するように取り計らいたい。それがためには
使用済み燃料
を
アメリカ
の再処理工場に渡すというシングル・パッケージ・システムの方式を打破しなければならない。 そこで、
燃料
公社
におきまして、
日本
でとりあえず再
処理施設
をつくって、この再処理工場に
国内
において出てくる
使用済み燃料
をみな持っていって再処理をしてもらおう、そういう方式をこの際打ち立てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ですから、
燃料サイクル
の問題は、全部
国内
で自給ということはどうしても考えることはできないで、
濃縮ウラン
はどうしても
外国
から輸入せざるを得ないのですけれ
ども
、それはそれとして前提にした上で、
日本
において最も有利なといいましょうか、理想的なといいましょうか、そういう
核燃料サイクル
の
体制
を打ち立てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ですから、石油の場合も似たようなものでございまして、
国内
においては石油はほとんどごく知れたものしか出ない。消費の九九%は
外国
に依存して輸入せざるを得ない、その輸入する石油をどういうふうに使うか、このことが問題である。ちょうど
核燃料
の場合においては、
濃縮ウラン
は輸入いたしますけれ
ども
、その他
天然ウラン
なり
プルトニウム
なり減損ウランなりを十分
国内
で
核燃料
として
サイクル
させたい、こういうふうに考えております。
岡良一
18
○
岡委員
私は、実は率直に
原子力委員会
としてもこの問題には
一つ
の大きな苦悶を感じられる。ということは、こうして
民間
電力が次々と
軽水炉
を導入していく。そのつど初期装荷
燃料
も
政府
が買う。また、取りかえの
燃料
も
政府
が買うというようなことにしておくと、なかなかいまの
日本
の
政府
では予算は出し切れない。何か特別会計でもつくってそうして処置をしなければならないが、これは非常に困難だから、それは
民間
のものに金を出させて買うのがよかろうじゃないか、こういうような
事情
もあってのことではないでしょうか。
有澤廣巳
19
○有
澤説明員
その点も確かに
一つ
の大きな問題と思います。しかし、それだけではない。
核燃料
が、いまの見込みでは、一九八〇年ごろになりますと
原子力発電
が大体三千万キロとかいうような大きな数字にのぼってくるわけです。そうしますと、それがかりに全部が軽水型だとしますと、非常に大きな量になります。それを一応国で全部買い上げて、そしてこれを
民間
に売り渡すわけにいかぬですから、貸すわけですね。そうすると、
核燃料
代金というものはばく大な予算を組まなければいけない。ですから、これも国の財政の上からいって
一つ
の大きな問題になります。そのほかにもむろんいろいろもっと積極的なメリットもあろうと思います。たとえば先ほどお話にありましたトールエンリッチメント、最も安いところで
天然ウラン
を買ってきて、それを
委託濃縮
をさせる、そういうふうなことを国がやろうとなりますと、これは
一つ
のビジネスですから、なかなか適切にうまくいくとは限りません。そういうことはむしろ
民間
のビジネスマンにまかしておいたほうが、最も安く
濃縮ウラン
を手に入れるということも可能になると思います。幸いに
アメリカ
のほうが、いま局長のほうから話がありましたように、近く全面的に民有が実施されることになるわけでございますから、その民有制度を
日本
としては十分
利用
して、できるだけ
濃縮ウラン
に対する代価を減らすという考え方をとうなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
岡良一
20
○
岡委員
それならば、これは私はこの前に佐藤総理がここの長官をしておられたときにも申し上げたのだが、いま
天然ウラン
を買ってくれという国はたくさんあるようです。だからこれはひとつ長期の何か供給契約のようなものを
日本
の国で――ウランはちょうど一番安い盛りでございまして、取りつけておいたらどうか。そしてウランをまず確保しておく。この処理は、またいろいろ
原子力
の国際的な発展の中で――いずれにしても、しかし要るものは
天然ウラン
が要るわけです。イエローケーキが要るのです。そういうような話を申し上げたことがある。いまの
先生
の御
方針
であれば、いままで聞くところによれば、オーストラリアなりカナダからイエローケーキの売り込みがあるという。
国内
でも二万トンを目標に探鉱の計画をやっておられる、そういうような状態であるから、トールエンリッチメントの時代がきたら、
政府
が一応確保しておいたものを
政府
の名において濃縮させるということでいったほうが、いろいろな問題が起こらなくてかえっていいのじゃないか、ビジネスにまかすというよりもかえってそのほうが賢明じゃないかと私は思うのですが、どういうものでしょうか。
有澤廣巳
21
○有
澤説明員
その考えはかなり方々から私
ども
指摘されたところでございます。いまカナダなりオーストラリアの
天然ウラン
を確保するということでございますが、そのためには長期契約を結ばなければならないし、
生産
を始めなければジョイソトベンチャーというわけにもいきません。ただ鉱区だけを確保するということはなかなかできない。あるいは鉱区を買い取るというようなことも、できればたいへんぐあいがいいですけれ
ども
、そういうことはなくて、その山を一緒に
開発
しようじゃないか、採掘をしようじゃないか、こういうオファーがあるわけであります。そうなりますと、どうしても掘って出てきた鉱石を長期にわたって
日本
のほうで引き取らなければならない、その引き取ったものは当分の間はそんなに使う道がない。ですからここにストックパイルをしておくという形になってくると思います。それはどの程度のものにしておけばいいかという問題でありますが、小規模なものならばそういうこともやってやれぬことはないと思いますけれ
ども
、少し大規模にやろうということになりますと、やはり
国内
で
天然ウラン
を使う炉が
開発
されて、それが相当
天然ウラン
を使うというふうになったときに、その供給源としてそういうものを準備する、こういう段取りになるのじゃないかと私
ども
は考えております。むろんそういうことを早くやればやるほどいいかと思いますが、しかしそれをやりますと、ストックパイルの費用というものも当然かかってまいります。それから出資というような問題も出てくるでありましょう。いろいろ問題がそういうところにありますので、私
ども
はそれを大規模にやるということにはまだ踏み切り得ない状況にあるわけであります。
岡良一
22
○
岡委員
ぼくの希望とすれば、やはりオーストラリアやカナダのような遠いところでなくても、近い東南アジアの国々でもウラン資源がありそうだが、まだ十分具体的な探鉱の
措置
もとられておうないというようなところもあると思うし、やはりそういう国々に対する技術協力の姿で探鉱もし、粗製錬もし、場合によれば精製錬もする、そういうパイルを
日本
が持つということも不可能ではない。何かそういうくふうが私はもう少し追求されていいのではないかと思います。 それからなお、これは余談でございますけれ
ども
、先年私が前田委員等と実験禁止の
国会
の
決議
案をひっさげまして、実はワシントンで
アメリカ
の
原子力
委員の代表の方と会ったわけです。そのときに非常に激しく興奮をして、かえってこの
決議
案に否定的な態度をとった人物がありました。これは
アメリカ
のAECの正規のコミッショナーです。ところが私はそこを出ましてから、彼は一体どこの出身であるかということを聞きましたら、有名な
アメリカ
の石油カルテルの重役なんです。そこで私は最近実は二、三の人から情報を受けますと、
御存じ
のように
アメリカ
も部分的核停
協定
以後やはり
濃縮ウラン
を四〇%
生産
減をする、
プルトニウム
を二五%
生産
減をするというような
方向
にいたしております。そこで
濃縮ウラン
工場なりあるいは再処理工場等が遊休化してきた、この遊休化してきたものを
民間
が引き受ける、その技術者も引き受けて、そうして
濃縮ウラン
あるいはまた再処理の仕事を引き受けようという動きが出てきて、それが
原子力法
の大きな改正の根本の動機になった。さて、その
民有化
された再処理工場や濃縮工場を引き受ける側に、当時私
ども
がしかられた
アメリカ
のAECのコミッショナーの会社が入っております。私は、やはり国際石油カルテルというものは抜け目のないもので、石油もだんだん斜陽だから今度は
原子力
だというので、いち早く
原子力
を手がけているなというような印象を実は受けたわけです。そういういわば向こう側の構想の中に
日本
がはめ込まれていったのでは石油の二の舞いになるという懸念を持っているのです。
先生
のおっしゃるのでは、トールエンリッチメントでやる、そうして濃縮されたものを
日本
が受け入れる。しかし再処理工場も稼働することになるから、再処理は必ず
日本
でやって、絶対に相手のシングル・パッケージ・サービスの中には組み込まれないのだ。これを組み込まれないようにする法的
規制
というものはいまありましょうか。
有澤廣巳
23
○有
澤説明員
原子炉等
規制法
によって原子炉設置者は許可申請をしなければならぬ。その中の
一つ
の項目として
使用済み燃料
の処分の規定があります。だからその処分の規定において、これを
外国
に送り返すとかあるいは
国内
に貯蔵するとかいろいろありましょうが、その規定に、
日本
の
国内
再
処理施設
において再処理するという条項がなければ原子炉を設置する申請を許可しないということを私
ども
は考えております。つまり
規制法
に基づきまして十分それを
規制
することができるというふうに私
ども
は考えております。
岡良一
24
○
岡委員
いずれこの問題は、これからいろいろ
問題点
も起こってまいりますので、そのつどまた
先生
をわずらわして少し討論をしたいと思います。 そこで国連局長に
お尋ね
をいたします。
アメリカ
の
核拡散防止協定
の中に
国際原子力機関
を
利用
するということ、なおそれに関連した具体的提案がございましたが、これをひとつ御
説明
を願います。
星文七
25
○
星政府委員
現在
ジュネーブ
軍縮委員会
に出されております
アメリカ
の
拡散防止条約
案の第三条に、本
条約
の締約国は
国際原子力機関
の
保障措置
ないし類似の国際的
措置
をあらゆる平和的
原子力
活動に適用することを
促進
するよう協力することを約束する、そういう意味の条項がございます。
岡良一
26
○
岡委員
なおこれに加えて、たとえば
アメリカ
が現在
保有
している
核兵器
を破壊をしてその中から
濃縮ウラン
を抽出して云々というようなこと、それに伴う
査察
等の具体的な提案があったわけですね。
星文七
27
○
星政府委員
この問題は、先ほど私が岡
先生
の御質問に答えたところにちょっとあったかと思いますが、いわゆる核
軍縮措置
の中で、
兵器用
核分裂物資の
生産
を
削減
し、これを
平和利用
に転換することを米、英、ソがおととし申し合わせをしているわけでありますが、
アメリカ
は
ソ連
の同意を
条件
に
米国
及び
ソ連
がそれぞれ六万キロ、四万キロのウラニウム二三五を
平和目的
のために
国際原子力機関
またはこれに類する他の
保障
制度のもとに移管する用意がある旨提案しております。
岡良一
28
○
岡委員
いま国連局長からの
説明
があったように、今後の見通しはいろいろ問題もございましょうし、はたしてそうなるかならないかはわかりませんが、少なくとも核
保有
の大国の
一つ
が、とにかくまず
最初
に六万キロのウラニウム二三五を、また、もう
一つ
の国は四万キロのウラニウム二三五を
国際原子力機関
に委託して、加盟
各国
の
平和利用
に提供しよう、こういう申し出もある。もちろんこれは濃縮度もわかりませんし、いろいろな点に不確定な要素はたくさんありますけれ
ども
、しかしそれにしても、いまそういう動きが、
核拡散防止条約
で、そういう具体的な
核保有国
の一義的な任務として、現在
保有
している
核兵器
の破壊というか廃棄というか、そこに含まれておる
特殊核物質
なり、少なくとも
濃縮ウラン
等が
国際原子力機関
に委託されて、加盟
各国
の
平和利用
に
利用
されてもいいという
方向
に提案がなされておる。しかしこれは
日本
の
民間
の手でかってにはならないと私は思う。
日本政府
がやるのではないでしまうか。これはひとつ
原子力局長
から……。
村田浩
29
○
村田政府委員
この点につきまして国連局長から御
説明
がございましたように、私
ども
の理解では、
アメリカ
がその六万キロのウラン二三五を
国際原子力機関
に渡してしまうというのではなくて、
国際原子力機関
もしくはこれに類似の国際的機関の
保障措置
のもとに
平和利用
用として提供する用意がある、こういうふうに申したものと理解しております。したがいまして、その点は現在すでに
アメリカ
の大統領は
平和利用
用の
特殊核物質
、ウラン二三五にしまして、私
ども
の
承知
しておるところでは百五十トン、十五万キログラムを提供する、こういうことを声明しております。先般参りました
アメリカ原子力委員会
の
核燃料
課長の話によりますと、最近ジョンソン大統領はこれをさらに二百五十トンまで引き上げる用意があると申しておられるそうでありますが、それはやはりこの
国際原子力機関
等のそういう国際
規制
のもとに、
平和利用
用として海外諸国に提供する用意があるということでございまして、これにさらにプラスして
核兵器
を分解して出てくるウラン二三五を加えていく用意あり、こういう趣旨であるというふうに私
ども
理解しております。
岡良一
30
○
岡委員
そうすると
アメリカ
の提案というものは、IAEAに委託して、IAEAが配分をするのではなく、それはたとえば
原子力法
の改正ということで、一九七三年になれば、あるいは一九六九年くらいになれば、
濃縮ウラン
が
民間
ベースで渡されて差しつかえないが、IAEAと
政府
側と協議を遂げなければならぬ、こういうことなんですか。
村田浩
31
○
村田政府委員
もちろんIAEAを通しまして、IAEAから、
アメリカ
が提供可能と言っているワクの中でウラン二三五を入手する道もございましょう。同時に、現行双務
協定
等があります国々に対しては、その
協定
によりましても、それらの国々に提供することができる。しかし
アメリカ
の
方針
としては、それらの移転された
特殊核物質
についての
保障措置
は
国際原子力機関
にやってもらう、そういう
方針
でいきたい、こういうことであると理解いたします。
岡良一
32
○
岡委員
私が新聞の報道で見た記憶の限りでは、やはりその配分はIAEAにまかすという形でいきはしないか。事実、IAEAに物そのものを引き渡すわけではございませんでしょうが、加盟国がそれを要求すれば直接
アメリカ
なら
アメリカ
からくる、そういうルートになるのじゃないですか。ここはまた今後の成り行きもうかがってみなければわかりませんが、そういうことになれば、これは
濃縮ウラン
が一いま
日本
でも濃縮をする力がないし、といって、やはり再処理できるものは
濃縮ウラン
であるということで、
濃縮ウラン
がそういう経路でだんだん入ってくることになると、これは
民有化
といろ問題も、成り行きいかんではやはり考えなければならない
条件
も出てくるのではないかと私は思うのです。そういうことで、あまり激しく、また早く、急いで
民有化
ということに踏み切らないように、私は強く御要望申し上げたいと思います。 特に、西ドイツなんかの例を見ると、最近の
原子力
開発
の推進計画の中で、初期装荷
燃料
はこれを
政府
がとにかくいわば助成の意味でくれてやるというような
方針
もあるようであります。まだ予算では議決されておらないそうですが、それくらい思い切った
措置
をやはり
政府
としても講ずるぐらいにやらなければ、私は、これから、おくれて出発した
日本
の
原子力
が
動力炉
に向かって歩武堂々と自主的に進めていけないのではないかと思う。これが予算にかかわる問題であれば、
国会
としてもできるだけ
努力
しなければならないと思うのでありますが、そういう思い切った
措置
をとろうとする国々もあることでありますし、だからあまりいままでの渋い大蔵省のやり方に、どうもこれではしかたがないというので大事な基本線を落としたりしないように、ぜひひとつ切にお願いいたしておきたいと思います。 それから
核探知クラブ
と称するものについて、スウェーデンから人が来たり、いろいろ新聞に出ておりますが、これについての
外務省
としての大体のお考え方を聞かせてもらいたい。
大塚博比古
33
○大塚
説明
員 御
説明
いたします。
最初
に
星政府委員
が申しましたように、現在国際的には、地下
核実験
を除きまして、空気中、地上、海中での
核実験
はすべて一九六三年の
条約
で禁止されておるわけであります。したがいまして、現在国際的に禁止されていないのは地下における核爆発、
核実験
だけでございますが、この問題はかねて
国会
の御意向もございますし、
政府
といたしましては繰り返し全面的な核停実現というものに
努力
してまいったわけでございますが、一方、国連におきましても、昨年の第二十回総会の際に、たぶん十二月末に
決議
を採択いたしまして、国際地下
核実験
の禁止を実現するために、
地震
学的
方法
による国際協力の可能性を助長しろ、考慮してそれを進めろという趣旨の
決議
が採択されたのでございます。そうしてその際、
政府
といたしましても、松井国連大使などを通じまして、
日本政府
としては地下
核実験
の禁止のために国際協力をする用意があるということを申しておったわけでございます。それとはちょっと前後いたしますが、昨年
ジュネーブ
で行なわれました十八カ国
軍縮委員会
でスウェーデンを初めといたします北欧諸国が、
地震
学的な
方法
による地下
核実験
の探知所という構想を非常に積極的に推進しておりまして、まあ俗称でございますが、地下
核実験
探知クラブという構想を発表しておりました。それで、国連の総会でその問題が取り上げられましたときに、
日本政府
のほうはこのスウェーデンの構想を、イニシアチブを歓迎し、こういう国際協力に積極的に協力する用意があるということを申したわけでございます。その結果、先ほど申し上げました
決議
が採択されたわけでございます。 それで、ことしに入りまして、二月でございましたが、スウェーデン
政府
はそのかねてからの
核探知クラブ
構想を推進するために、二名の
専門家
を派遣して
各国
を歴訪いたしましたが、
最初
に
日本
に来訪いたしまして、私
ども
、それから
国内
関係
では気象庁、学界のそれぞれの
専門家
の方をまじえて、いろいろ技術
問題等
につきまして協議を行なった事実がございます。その結果、スウェーデンは五月の中旬か下旬になりますか、まだはっきりした日程はわかりませんけれ
ども
、ストックホルムにおきまして
専門家
による
核探知クラブ
設立のための
専門家
の
会議
を招集したいという意向を示しております。いずれ正式に招待状が参りましたらば、
政府
といたしましても
専門家
の派遣を考慮するつもりでおります。
岡良一
34
○
岡委員
先般スウェーデンから来たお使いは、気象庁の方とも会っておられる。おそらくその
機会
には精密な器械についての機能その他具体的なお話があったと思うのだが、
地震課長
来ておられますか。――ひとつ御
説明
を願いたい。
木村耕三
35
○
木村
説明
員 私
ども
気象庁の者が
出席
いたしましたのは、これは
地震
学者として招待されたわけでありますけれ
ども
、そのときにはこちらの現状を
説明
するだけでありました。それだけで話が終わってしまいまして、どういうものをつけるかという具体的な話は全然ございませんでした。
岡良一
36
○
岡委員
チャルフォント英
軍縮
担当相と朝日新聞の渡辺論説委員との対話の中で、英国の
原子力
公社
かどこかで、非常に精密な地下
核実験
なり
地震
なりを探知し得る装置が
開発
できたというようなことを言っておりました。たとえば現在の
地震
計ではなくて、そういうようなものでも使おうという構想なんでしょうか。
木村耕三
37
○
木村
説明
員 スウェーデンで持ってまいりました案は、そのイギリスの
原子力
公社
が
開発
しましたアレー型
地震
計というものを頭に置いて、
日本
でそれが受け入れられるかどうかということを一応
検討
に来たのだと思います。それに似たものを東大の堂平観測所でもって、非常におそまつではありますけれ
ども
、やっておりますので、彼らはそれを参考にしていっております。使うことになれば、そのアレー型
地震
計を使わなければだめだと思っております。
岡良一
38
○
岡委員
いわゆる
核探知クラブ
に入り得る可能性があるものとしては、まず
日本
が非常に
関心
を持っておる。イタリアも持っておる。ガンジー首相の数日前の声明を見ると、インドもおそらく参加するかもしれない。それからスウェーデン、そういうような国々がかりにアレー式であるか何であるか探知器を備えた場合に、これは
アメリカ
の内陸における
核実験
も、ソビエトのものはもとよりだが、確実に探知し得る探知範囲に入り得るのかどうかという技術的な問題なのですが、そういうお話は出ませんでしたか。
木村耕三
39
○
木村
説明
員 一応スウェーデンの技術者はその案を持ってまいりました。このアレー型を使えばこういう探知範囲になるといって、机上論でありますけれ
ども
、一応の範囲をやってまいりました。向こうの示しました図によりますと、
日本
に
一つ
置きますと、南極付近は別でありますけれ
ども
、
世界
じゅうのものが二カ所くらいで大体押えられる見当になります。しかし、それはあくまでもそのときの地面の状況、その他台風でも
日本
の付近に来ておりますと、
日本
の松代の
地震
計でもかなりノイズ、雑微動が多くなりまして、探知能力に非常に欠けてしまいますから、いつも最良の状態にあるとは言えませんので、二カ所で押えられるかどらかわかりませんけれ
ども
、理論的には南極付近までは二カ所ではカバーできませんが、ほかのところは二カ所でカバーできると言っておりました。
岡良一
40
○
岡委員
星局長にお伺いするが、さっき
核実験
の全面禁止を推進したい、それで核停が部分的になったのは、
査察
問題で部分的になった。今度はこういう
核保有国
の中に入らなくても、探知クラブでもって情報を交換するというか探知し得る
条件
がある。それならばそのことが確かに
現実
化するならば、それをもってさらに部分核停を全面禁止の
方向
に高めていかなければいかぬ、そのためには進んで入るというようなお考えでございますか。
星文七
41
○
星政府委員
究極的にはもちろんそういうことを考えておると思います。現在の
段階
では、いまいろいろお話があったように、非常に技術的な、テクニカルのことを
世界
じゅう歩いて
研究
、サーベーしていく、そういう
段階
だろう、しかし究極のねらいは、そういう技術的ないろいろなデータの交換ということによって、地下
核実験
というものを探知し得る網、
一つ
のネットワークができる、そういうことを彼らは頭に置いているんではないかというように私は察しておるわけです。
岡良一
42
○
岡委員
そろそろ切りあげておきたいと思いますが、
軍縮
室をこしらえるというのは大体どういう構想ですか。
星文七
43
○
星政府委員
ただいま
軍縮
問題が国連で取り上げられているものですから、国連局の政治課で処理しておるわけでございます。
御存じ
のように、だんだんその十八カ国
委員会
も非常にひんぱんに開かれますし、また国連の
軍縮委員会
あるいは国連の総会においてこの問題が取り上げられます。しかも、ことしの初めから、
日本
は御
承知
のように
安全保障
理事
会の非常任
理事
国になっているというような
関係
で、政治課では処理できませんので、政治課の監督といったら悪いかもしれませんが、政治課の
一つ
の分室というような形で
軍縮
室というものを、初めはあまりたくさんの人数ではなしに、ごく少人数で始めていきたい、そう考えております。
岡良一
44
○
岡委員
私は、
二つ
この際強く要求しておきたい。というのは、
御存じ
のように、
アメリカ
には
軍縮
局があって、相当大きな規模を持っている。イギリスにはしばしばこちらに来られる
軍縮
担当の大臣がおられる。
ソ連
は私はよく知りませんが、ツァラプキンが一貫して代表で行っているところを見ると、やはり
核軍縮
なりひいては相当の一般
政策
を持っているので、その背後にはやはり相当な機構があるのではないかと想像する。
日本
は
平和利用
なんだから、
核兵器
を持たないのだからというのではなくて、それであればこそ、また
国会
が三回にもわたって全面実験禁止から終局的には
核兵器
の廃棄をと
決議
をしているような実情にかんがみて、そしてまた、現在
ジュネーブ
における
軍縮委員会
が
核軍縮
の問題や
拡散防止協定
の問題を取り上げておるときに、しかも、これを集中的に取り上げるに至った昨年の
国連総会
における空気は、むしろ圧倒し得るほど
非核保有国
の世論の高まりがあったと私は思うのです。そういう場合に
日本
も、そういう設置法にも基づかない、まあいわば間に合わせの
軍縮
室なんというような、そういうものじゃなくて、もっとやはり真剣に国民の希望なりあるいは
国会
の
決議
なり、そういうものがいま国際的な舞台においもっと前進し、あるいはよほど前進しようという
段階
にあるときには、責任と権限を持った機構を私はつくるべきだと思う。そのことが
一つ
。 それからもう
一つ
、先ほど来るる申し上げておりましたように、私
ども
委員会
も非常にこれに
関心
を持っておる。
アメリカ
の
軍縮
局には当然AECと国防総省が大きな
関係
を持っておる。英国の場合でありますが、
軍縮
担当相の
意見
の背後にはAEAの
意見
があると思うのです。特に
平和利用
を掲げておる
日本
の
原子力委員会
の意向というものは一やはり今後の
政府
の
核軍縮
なり
拡散防止協定
についての対策をきめるためには、
日本
の
原子力委員会
との間に十分な意思の疏通をはかるという手を打ってもらいたい。窓口は
外務省
かもしれないが、この問題については非常に大きな熱意を持ち、また国民のいわば強い期待を受けて
平和利用
にしぼった
原子力
基本法を守り本尊としておる現在の
日本
の
原子力委員会
の考え方というものも十分に聞く、やはりこれだけの幅の広い
方法
でひとつぜひ
軍縮
問題を取り扱っていただきた、まず、もっと権威と責任ある機構をつくる。特に
原子力委員会
と十分な意思の疏通をはかるくふうを一段ととってもらいたいということを私は強く要望したいと思います。 この程度にしておきます。
原茂
45
○
原委員長
石野久男君。
石野久男
46
○石野委員 大臣が参議院のほうに行かれるそうですので、大臣に一言
お尋ね
する前に、
有澤先生
に
一つ
お聞きしたいと思います。 先ほどからの
核燃料物質
の
開発
の問題で、
日本
が
濃縮ウラン
をつくるということについては、まだいまのところちょっと望みも薄いから、できる限りそれは海外から入れて、
あと
使用済み燃料
の再処理、
プルトニウム
等のあれで一応計画的なものに対してのまかないをしていきたい、こういうお話があり、
天然ウラン
を確保する問題についても、着想はあるけれ
ども
、なかなかむずかしいのだというお話がございました。ここで、私はやはり
日本
の
原子力
開発
という問題についての
核燃料物質
開発
という問題は、それらのものを含めて非常に重要な
方針
決定の岐路に立っておるのじゃないかと思うのです。それで、お話によります、とにかく
濃縮ウラン
についてはともかくといたしまして、ただ
天然ウラン
を
国内
で探鉱し、それから確保できるだろうというようなものだけで十分だとも思われませんし、したがって、それを海外である時点確保するということは非常に重要なんじゃないか、いま岡
先生
からいろいろお話がありましたように、これは非常に重要なことだろう、こう思うのです。そういう点で、それを可能にするかしないかという問題については
民有化
の
方向
をむしろよしとするのか、あるいは
政府
がもしもっと積極的に意欲を燃やすならば、将来の
原子力
開発
という
観点
からする
燃料物質
の確保についても、むしろそういう
方向
をたどるほうがいいのかどうか、そういう問題についても
先生
のお考えをひとつ聞かしていただきたい。
有澤廣巳
47
○有
澤説明員
核燃料
の中で特に、
天然ウラン
でございますが、これにつきましては私
ども
動力炉
の
開発
におきまして、
一つ
は
濃縮ウラン
を使う炉、
軽水炉
と、もう
一つ
は
核燃料
に
天然ウラン
を使う
天然ウラン
重水炉、あるいはガス炉などがあります。 それで
濃縮ウラン
のほうの
軽水炉
型の炉は、これは
アメリカ
で非常によく
開発
されて、今日もなお技術は進歩しております。これを
日本
で
開発
するというのは
あと
を追っかけていくような形になるわけでございますから、この
軽水炉
につきましては
民間
で技術を導入して、そしてそれを国産化できるように持っていきたい。濃縮系統の炉についてはそういうふうに考えております。
天然ウラン
の炉は、これはカナダやイギリスやドイツ、フランスあるいはイタリアもみなそれぞれやっておるわけでございますが、この炉につきましては、まだ
軽水炉
と十分競争ができる程度の炉が
開発
されておりませんし、まあどっちかというと、少し競争力が落ちるというような炉の状態でございますが、しかしそれでもドイツあたりでは非常に熱心に
天然ウラン
の炉の
開発
を進めております。イギリスも御
承知
のとおりであります。これはやはり濃縮ということがたいへん技術的に困難というよりも、むしろ経済的に非常に安い
燃料
をつくるということがむずかしいということから、むしろ
天然ウラン
をそのまま
燃料
にして使うところの炉を
開発
するほうが、その国の、何といいましょうか、技術的にも、
燃料
の供給の面からいっても、自主性を確保するゆえんであるというような
観点
から、
天然ウラン
の炉の
開発
が進められておるわけであります。
日本
の場合におきましても、同様のことがやはり言えるのではないかというふうに私
ども
は考えておりまして、どういうふうなやり方で、また、どういうふうな形式でこの
天然ウラン
の炉を
開発
するか、こういう問題について目下
動力炉開発
懇談会として
研究
、
検討
を進めておりますが、近く大体その結論が得られると思います。ですから、
天然ウラン
の炉の
開発
ということになりますれば、どうしても
燃料
としての
天然ウラン
の確保ということが大きな問題になってまいりますので、その
天然ウラン
の炉の
開発
とあわせて
天然ウラン
の資源の獲得と申しましょうか、資源の獲得につきましても考えていきたいと思います。
石野久男
48
○石野委員 私はこの問題は考え方として相当慎重に考えなければならぬ点が多いと思うのです。ただ、この問題はあまり深くここでやっておりますと、ちょっと大臣に
お尋ね
したいと思うのであれですから……。 これは
原子力
の長官として大臣に一応お聞きしておきたいのですが、
有澤先生
からもいろいろお話がありましたように、
開発
する問題については、特にこの
天然ウラン
を
使用
することによる国の自主性の確保というものは、これは他の物質を使うよりも非常に有利であるということは、だれでもわかっていることなんです。それから先ほど
岡委員
からもいろいろ尋ねられていることは、
原子力
開発
においては、石油資本が
世界
に与えておるいろいろな弊害、そういうものと同じようにならないようにという配慮の御質問がありました。われわれもそういう点は非常にまじめな
立場
で考えなければならぬ問題であると思っております。国が
原子力
開発
のための
核燃料物質
開発
を行なう
段階
で、
天然ウラン
をどういうふうに確保し、それを使うところの炉をどういうように
開発
するかということは非常に重要だと思うのです。こういう問題について長官はむしろやはりこの際積極的に、いろいろな問題がありましても、これを
国内
だけじゃなしにむしろ諸
外国
からもそういう物質確保のための大きな
方針
に基づく
政策
を確立すべきじゃなかろうか、こういうふうに私は思うのですが、長官は、こういう問題について、むしろそこまで及ばないんだから、この際は
公社
が
国内
で探鉱する程度でがまんしようじゃないかというような考え方でおられるのかどうか、そこのところをひとつ長官の
意見
を聞かしていただきたいと思います。
上原正吉
49
○上原国務大臣 現在御審議を願っておりまする
法律
によります原鉱の
開発
は、
日本
に賦存する
天然ウラン
の鉱石を余すところなく探しておいて、どこにどれだけあるかということをちゃんと掌握しておこう、まずこれだけのものなんです。御
承知
のように、
日本
の鉱石は品位が低いものですから、これを
開発
して
天然ウラン
を採取しましても、
最初
のうちはなかなかそろばんに乗りません。しかし、どういう
事情
で鉱石あるいは
天然ウラン
の入手が困難にならぬとも限りませんから、
日本
にあるだけのものはしっかりと掌握しておこう。それにいままで十年かかってやりましたけれ
ども
、まだ三分の二の地域くらいしか掌握していないので、残った分をしっかりと掌握しておこう、こういうのが
目的
でございます。 それからまた、おっしゃるように、どっちみち
日本
に賦存するウランの鉱石というものは非常に少ないものなんですから、あらゆる動力源が、エネルギー源がウランになるということになれば、もっと十分な入手先を確保しておかなければならぬと思いますので、おっしゃるように、先ほど岡
先生
からもお話がありましたが、
わが国
の周囲にあります近東方面の国々にも探せばあるのじゃないかと思います。それからまた、東南アジアの国国は
日本
の技術にたいへんな期待をお持ちのようですから、力を合わせて
開発
するということも可能じゃないかと思いますが、行く行くはそういう方面に進まなければならぬと考えておりますが、いまのところは
国内
にありまするものをしっかり掌握しておこう、これだけのことなんであります。
石野久男
50
○石野委員 今度この改正法案が出ておりまするのは、ただ単に
国内
の資源を余すところなく把握しておくというだけの意味で改正を要求されておるのか、ただ年限を十年間延長しておるのか、もちろんこの
法律
の改正で諸
外国
を
規制
することはできませんけれ
ども
、
開発
の
方針
として限界をその時点に置いているのかどうかということが非常に重要だと思うのです。それで、
政府
の
方針
といいますか、
委員会
としてもどういうふうにその点は考えておるか、この際
一つ
……。
上原正吉
51
○上原国務大臣 この資源を掌握するとともに、
天然ウラン
を鉱石から精製する実力を急速に養おう、こういうことのほうが
目的
である。と同時に
国内
に賦存するウラン資源は余すところなく掌握しておこう、こういうことなのでございます。
石野久男
52
○石野委員 行く行くは東南アジアの諸国、近東の諸国と提携しながら、そういう探鉱といいますか、
開発
の
方針
を出したい、だけれ
ども
いまは考えていないとおっしゃったのですが、それは完全にいまは考えていないわけですか。
上原正吉
53
○上原国務大臣 そうしなければならぬということは考えておりますけれ
ども
、財政的な、予算的な
措置
が講じられておりませんから着手はできない、こういうことでございます。
石野久男
54
○石野委員 私は、この問題については、たとえば
日本
で探鉱するものと、それから近東の諸国と提携して探鉱しながら
天然ウラン
を確保し、そうして炉の
方向
にどんどんと進んでいくという
体制
をつくらないと、いわゆる
原子力政策
上の自主性が確立しないんじゃないかというふうに考えるわけです。先ほど
有澤先生
からもいろいろお話がありました中で私として心配されるものは、やはり
原子力
開発
の面で
燃料物質
の側面からだけですでに
日本
の
原子力
開発
の自主性は
一つ
の限界が規定されてしまうのじゃなかろうかという心配を実はしておるわけです。で、むしろこの
段階
で必要なことは、
原子力
基本法に基づいて
わが国
の
原子力
開発
というものを考える場合、
燃料物質
をいかに確保するかということについて、もっと大きな
世界
的な視野が広がっていかなければいけないんじゃないか。そういうふうに考えますと、
政府
の考え方はあまり現時点にだけとらわれ過ぎて、気宇広大なものがそこには出てこないのじゃないかと思います。そういう点は大臣はあまり考えていないようですけれ
ども
、どうなんですか。
上原正吉
55
○上原国務大臣 実は考えていないこともないのですけれ
ども
、現時点では、ウランの鉱石も
天然ウラン
も
世界
じゅうに豊富にあるような感じがするのです。先ほどお配りしました文書にも載っておりますけれ
ども
、現時点ではそういう資材の確保の心配がない、こう思っておりますので、いま力んで一ぺんに確保する、たとえば、長期契約をしますにしましても金を払わなければなりませんし、いろいろありますから、ウラン資源に困るようなことがあってはならぬという考えは十分あるのでございまするけれ
ども
、それほど切迫した
気持ち
になっていないということも事実なのでございます。そこで、
日本
にありまするウラン鉱石を採取して、そうして低品位のウランから安い
天然ウラン
をつくり出すというような技術を
開発
して、そうして行く行くは
世界
じゅうのウラン鉱、まだカナダやオーストラリアのような先進国でなくてもアフリカなんかにも相当豊富にあるようであります。ですから、こういうものをどんどん手に入れて十分な
核燃料
をたくわえていく、そうして十分動力化してまいりたい、こういう考えは十分持っておるのでございます。いませっぱ詰まった
気持ち
になっていないということだけでございます。
石野久男
56
○石野委員
核拡散防止
についての
世界
的な論議が広がっており、しかも
アメリカ
が、やはり
濃縮ウラン
が過剰化してまいって、それをだんだんと
各国
へ、きついことばで言えば売り込むという態勢が強くなってきますと、今後、やはり
原子力
開発
の面での
アメリカ
など先進国が現在持っておるそういう物質の
世界
的な供給が熾烈に行なわれるようになってくるだろうと思います。で、
日本
がそういうワクの中へ入り込んでいった場合に、
日本
の科学としての
原子力
、それから産業としての
原子力
の自主的な
開発
がそういう側面から制約されてしまって、なかなか
日本
の自主的
開発
ができない。炉の
開発
にしても何にしましても、こういうことを言うのは言い過ぎかもしれませんけれ
ども
、先進国が
濃縮ウラン
等をどんどん
各国
へ配給するというような状態が出てきたときに、それに依存することのみに専念しなくてはならなくなっていく、また経済的な競争の側面から言っても、やっぱりそのほうが便利だということで、
日本
の自主的
研究
体制
あるいは
開発
体制
というものがおくれるような心配はないだろうかということを私は非常に心配するわけです。むしろいまの時点では、
日本
が他国と大体同列の形で進み得るような
体制
もとり、そこでみずからの
体制
を固めていくというようなところに国が力を入れないと、
原子力
開発
におけるおくれをむしろ恒久化してしまうのじゃなかろうか、こういうふうに思うのです。長官は御商売をなさっておる方ですからそういう見通しは明るいと思いますけれ
ども
、むしろこの
段階
で
政府
がもっと力を入れて新しい側面への道を広げていくということのほうがよろしいのじゃないかと思います。これは議論ですから、
あと
で、いずれまた
委員会
などで論議しなければならないと思うのですけれ
ども
、そういう点から見ますと、大臣のいまはまだそんなにあわてる必要はないんじゃないかということについては、若干私は疑義があるわけです。しかし、ここで私は議論したいと思いませんので、そういう問題についても、むしろこの
段階
でも、もっと積極的に長官の在職中でもそういう道を開くような熱意を示してもらっていいんじゃないか、こういうような気がするので、その点だけ大臣の御所見を承っておきたい。
上原正吉
57
○上原国務大臣 私は、急がなければならぬのは、
努力
しなければならぬのは技術の
開発
だと思うのでございます。これは十分おくれをとっておるのですから、これに追いつかなければならぬのでございまして、これには必死の
努力
を傾けなければならぬと考えておりまするし、そのための予算ももらっておりまするし、そのためのスタッフもそろえておりまするし、これは急速なスピードで進んでおると考えております。技術の
開発
が一番大事だ。その次には、原料の確保が大事だとは思っておりまするけれ
ども
、これは、いまのところ、そんなにあわてなくてもだいじょうぶだ、まだそういう気がしておるわけであります。
石野久男
58
○石野委員 いま大臣からいろいろ
意見
を聞きましたが、
有澤先生
にひとつ
お尋ね
いたしますけれ
ども
、
燃料物質
をどういうふうにして確保するかという問題の中で、特に意を注ぐ現在の考え方としては、
使用済み燃料
の再処理の問題だというお話でございました。これはまた、いろいろとこれから
政府
の考え方や何かがどんどん出てくることと思いますが、
使用済み燃料
の再処理について当面いまどういうふうにしようとしているのか、そのお考え方をひとつ聞かせていただきたい。
有澤廣巳
59
○有
澤説明員
再処理工場を、いま
公社
のほうでフランスのサンゴバンと契約いたしまして、詳細設計をやっておるところでございます。これが二年近くかかりまして、できましたならば、それに基づいて建設の入札をいたしまして、そして建設者をきめて、建設に取りかかります。たしか四十六年でございましたか、四十六年には一応
公社
の再
処理施設
が完成いたします。そういたしますと、そこに、その当時の
国内
で動いておる
日本
の、東海村の発電所はもちろんのことですけれ
ども
、その他のおそらく関電であるとかあるいは原電の二号炉、あるいは東電の
軽水炉
が動き始める、あるいはまだそこまでいくかどうか知りませんが、とにかくそこで動く炉の
使用済み燃料
を再処理工場へ持っていって再処理をいたします。そういたしますと、減損ウランと
プルトニウム
が抽出されるわけでございますが、私
ども
のいま考えておるところによりますと、この
動力炉開発
でどうしても高速増殖炉を
開発
しなければならぬことは、これは言うまでもないことでありますが、その高速増殖炉の
開発
に必要な
プルトニウム
はかなりな量が要ります。ところが、その量を確保するということは、国際的に考えてみましても、はなはだむずかしい。
外国
でもなかなか
プルトニウム
の供給余力というものはないわけでございますが、幸いにいまの
公社
の再
処理施設
が動きますと、その
燃料
の
プルトニウム
を、初めのうちはちょっと足らぬかもしれませんが、ある程度供給することができるようになろうと思います。そして行く行くは
プルトニウム
を、場合によりましてはサーマルリアクターのほうに
燃料
として使っていきたいというふうにも考えております。それから減損ウランのほうも、むろんこれをもう少しブレンドして、これは
国内
の
燃料
として使っていきたい、こういうふうに考えております。 ついででありますから、先ほどお話のありました東南アジア地域においての
天然ウラン
鉱探査という問題でございますが、これは私
ども
も非常によく考えておる点でございますけれ
ども
、先方の国々が
天然ウラン
鉱の
開発
につきましてはかなり敏感でございます。それでございますから、どうも
日本
が堂々と国外のウラン供給源をさがすんだということになりますと、先方の国々に与える影響はかなり大きなものがありますので、これはまだもう少しよく考慮してやらなければならぬところの問題かと私
ども
は考えております。
石野久男
60
○石野委員 再処理工場は、
原子力
の
開発
の度合いによって、またいろいろ違うでありましょうけれ
ども
、四十六年度のころにとにかく大体設計が終わって、そこで入札とかなんとかが始まる。その時点における
日本
の
原子力発電
とか、その他の各種の炉が動き出したときに、この再処理工場は全国で大体何カ所くらいつくる予定になるのでございましょうか。
有澤廣巳
61
○有
澤説明員
最初
は、たとえば東海村の発電炉の
使用済み燃料
が――まだ、いま東海村のは少し故障があって、運転が始まっておりませんけれ
ども
、あれが運転を始めますと、年々大体五、六十トンの
使用済み燃料
が出るわけです。ところが、再処理工場は四十六年まで動かないのですから、その間ずっとたまっておるわけです。それで御
承知
のように、
公社
の
使用済み燃料
は、大体日産〇・七トンの処理能力を持っておるわけでございますから、これで処理していきますと、
最初
にたまっている分をこなしていく、そのうちにだんだんほかの発電所からの
使用済み燃料
も出てくるというわけでございまして、
公社
の再処理工場は、一応
最初
は〇・七トンくらいの能力でございますけれ
ども
、これが日産一トンくらいのところまでは、場合によっては拡大し得るようにわれわれは考えております。それですから、当分は、今後十年まではいかぬかもしれませんが、七、八年はこれで十分間に合っていくわけでございます。 御
承知
のように、いま再処理工場につきましては、新しい技術が
開発
されつつあるようでもあります。それですから、もし十年後に
国内
に再処理工場をもう
一つ
新しいものを置かなければならぬというようなことになれば、新しい技術による再処理工場を設ける必要があろうか、こういうふうに考えております。いずれにしましても、まだちょっと時間がある
段階
でございます。
石野久男
62
○石野委員 再処理工場というか、再処理に対する
方針
が打ち出されて、工場がつくられて、
現実
に動き出す。そういう問題がフランスとの契約でずっと進んでまいりますと、
原子力委員会
としては、
日本
におけるところの再処理についての
研究
とか、あるいは具体的な処理
方法
とかなんかについて、どの程度の
方針
を持っておられますか。
有澤廣巳
63
○有
澤説明員
再処理の問題は、長期計画をわれわれが立てたときから、
国内
で再処理をやらなければならぬという
方針
でございましたから、これに関する
研究
は、原研並びに
公社
のほうで共同
研究
もやっておりますが、両方で技術の
研究
開発
を進めてまいっております。これは、私は、
日本
にとりましては、非常に重要な問題といいましょうか、技術
開発
における大きな問題であると思います。 御
承知
のように、インドも自分の力であすこに
プルトニウム
の再処理工場をつくっておるわけでございます。インドが自力でできるくらいのものは、当然
日本
でもできなければならぬと思っておりますが、しかし、今度は一応設計は
外国
に頼んで、そうして建設も一応
外国
でやってもらう。というのは、まだ
日本
ではそれを建設するだけの技術的な準備ができておりませんにかかわらず、
日本
においてはどんどん
使用済み燃料
が出てまいりますので、それをすみやかに再処理できるような施設を早急につくろうという考え方で、いまのような形になっておるわけですが、これにつきましての
研究
は、ある程度進めてまいっております。
村田浩
64
○
村田政府委員
ただいまの
有澤先生
の御
説明
に若干補足させていただきますが、
わが国
で再処理
関係
の
研究
を始めましたのは、まず
原子力
研究
所においてであります。発足しましたいまから十年前の時代におきましては、国際的に再処理技術というものが秘密のべールに閉ざされておりまして、いわば手探りの状況での
研究
から始まったわけでありますが、当時はこのようなことから
原子力
研究
所にホットケーブをつくりまして、ここでパルスコラム法という方式による再処理技術を一応勉強していただいたわけであります。この方式の勉強が相当程度進んでまいりましたところで、国際情勢も漸次変わってまいりまして、国際的な再処理ということも可能な見通しが立ち、かつまた、再処理技術につきましてのいろいろな技術情報というものも出てまいる、あるいは
アメリカ
、イギリス等における再
処理施設
というものもある程度見せてもらうこともできるようになったというようなことから、数年前に
原子力委員会
では再処理技術についての
各国
の状況を調査する調査団をお出しになりまして、
専門家
による
検討
の結果、現
段階
におきましてはこれを事業的な規模で行ないますにはいわゆる湿式法、ミキサセトラ法による方式が最もよいという判断を持つに至りました。自来そのような方式による再
処理施設
を考えようということで、
燃料
公社
が中心になりまして、この方式による規模、一日当たり〇・七トンというような工場の施設について勉強いたしまして、そうして今日に至り、先般、湿式法によりますところの再
処理施設
の詳細設計を発注するに至ったというのがこれまでの経緯であります。
石野久男
65
○石野委員
有澤先生
、先ほど、新しい技術がまた出てきておるようで、それができると現在のものとまた別個なものを考えなければいかぬ、こういうお話でございました。その問題と
日本
での独自な
研究
というものとのかね合いでございますが、それはどういうふうに新しい技術というものをお考えになっておりますか。
有澤廣巳
66
○有
澤説明員
私はあまり技術のことは詳しくないのですが、たしか新しいほうは乾式の
方法
でございますが、今度湿式の工場をつくり、それを運転することによりまして、乾式のほうの技術の
開発
についても大いに役立つだろうと考えております。乾式のほうは理論的には一応わかっておるようでございます。はるかに経済性がいいだろうということはわかっておるようでありますが、たしか私の記憶では操作その他の点において、あるいはエンジニアリングの面においてむずかしいところがあるというお話もあるようでございます。
石野久男
67
○石野委員 こういう問題について
原子力
研究
所のほうはいまどういうふうに対処なさっておるか、
公社
のほうはどういうふうな御
意見
ですか、ちょっとお聞きしたい。
丹羽周夫
68
○
丹羽
参考人
私も再処理ということにつきましてはほんとうはあまり詳しくないのでありますが、同時に、私、拝命しましてからいろいろの点を考えてきたのでありますが、事再処理ということに関する限り、その実施はもちろんのこと、再処理に関する
科学技術
的な
研究
開発
も、やはり
原子燃料公社
というものがある限りは、そこでおやりになるのが本命であるという
観点
にはただいまも変わりないのでありますけれ
ども
、この問題につきましては、隣におられます原燃の
理事長
今井
さんともたびたび話してまいりました。そういう根本理念は私持っておりまするけれ
ども
、やはり御
承知
のようないろいろの
事情
で、原燃さんのほうもまず第一番に手の数がまだ非常に足らない、また予算的にもまだ十分じゃない。原研としましては、当時設立されたのが一番早くもありまするし、当時はほかにもあまり機関がなかったので、何でもかんでも原研でやれというようなこともありまして、事実予算もいただいておりまして、いま局長が言われましたような程度の再処理
研究
施設といいますか、それを持っております。近々この設備も整備されまして、原燃さんのほうと共同で、手はまだ原研にたくさんあるし、知識もかつての集積が若干ございますので、原研が主になってまずコールドテストを行なおう、そしてそれが済んでホットテストをやる場合には、まあひとつ原燃さんのほうも手をおそろえになって、主客転倒といいますか、入れかわって、ホットテストのほうは原燃さんが主になって、原研の者もお手伝いいたしましょうということになっておったのですが、やはり
現実
的ないろいろな御
事情
で、ホットテストまでもひとつ大いに原研はやりましょうということにしております。この辺のところはよく隣の原燃さんとも協議いたしております。これに関する一種の
委員会
のようなものも持ちまして、十分に連絡をとってやっております。 ところが、いまお話が出ました新しい再処理のアイデアというものは、事実長らくやっておりましたせいもありまして、原研の者の中にはある新しいアイデアをすでに持っております。そういうものを実際に
研究
開発
しますためには、むろん人手も要りまするし、設備も要りまするし、その設備をオペレートしなければならぬ。これも私個人のほんとうのプリンシプルからいいますと、原燃さんがもしそれに御賛同であるならば、原燃さんの敷地の中にそういう新しいアイデアによる試験装置をつくって、
原則
的には原燃さんの手でおやりになって、そしてもし原研の者が発案したアイデアであるとしますれば、原研のほうはお手助けといいますか、あるいは見学的に参加さしていただいたほうがほんとうじゃないかというふうに考えておりますけれ
ども
、これはまだまだほんとうに具体化いたしておりません。これからよくお話しし合って、もしそれが価値があるものであるとすれば、どこにだれが備えつけて、どういう予算をだれがとって、どうしていくかということは、よく御当局あるいは
委員会
等とも御相談してやらなければならぬというふうに考えております。新しいアイデアを持っておりますことは事実であります。
今井美材
69
○
今井
参考人
ただいま原研の
理事長
からきわめて詳細に現状並びに
原子燃料公社
との
関係
に及ぶところまでお話しいただきましたので、ほとんど補充することもないと思いまするが、
お尋ね
の新しい
方法
と、いまやろうというものとの
関係
あるいは見通しというようなことで、多少補充させていただいたらどうかと思います。 先ほど来すでにお話が出ておりましたように、いまやる
方法
は
世界
各国
で一応やっております湿式法と申します。私
ども
がならってやるのもそれでありまするが、それに対しまして将来に出てくるであろうという
方法
に乾式法というものがあります。それはどういうところに望みがあるかと申しますと、水を使いませんのが乾式でございますから、そういたしますとハンドリングは楽でございます。ハンドリングと申しますのは、臨界事故というような問題を考えての意味でございますが、そういう点が非常に楽になります。また、かわいておりまして水が入っておりませんので、取り扱いの容積が小さくなりますから、捨てるものなどの容積もたいへん小さくなります。そういうことでメリットがある。装置全体として小さくなる。ですから、世の中には、
一つ
の発電所の規模が大きくなると、その発電所
一つ
について
一つ
ずつ再処理工場を持ったらいいではないかと期待を持っておられる方もあるくらいであります。さて、そんなわけでございますが、この
方法
はまだ十分
開発
できておりません。私
ども
今回設計という問題に進むにあたりましては、さらに人を派遣などいたしまして、
アメリカ
の現状をよく調査いたしました。申しおくれましたが、これはもっぱら
アメリカ
でやっておるわけであります。しかるところ、これはまだただいまのところ、これを将来計画として考えたいという希望を表明したところではありますが、それはいま申しました乾式法と湿式法との折衷案であります。このものを現に計画として考えようという会社が
アメリカ
にあります。それゆえ、これが将来の問題として出てくるのは合理的であります。しかし、理想的には完全な乾式法がよろしいというのだけれ
ども
、これはまだ
アメリカ
の
政府
機関などで目下
研究
中であります。そこで私
ども
の
研究
課題に戻りまして、第二プラントなどができれば――これはたぶん
民間
がおやりになることでございましょう、しかしながら、原子
燃料
の
研究
開発
をやるのが私
ども
の役目であります。そのようなことにつきましては原研と緊密に連絡をいたしまして、すでにアイデアがあるといわれますが、まことにそれが乾式法に当たっておりますので、それを開拓するように
努力
をするつもりでございます。そんな
関係
でございます。
石野久男
70
○石野委員
原子力
局のほうは、いまのような問題については、どういうふうに指導をなさっておられますか。
村田浩
71
○
村田政府委員
再処理技術の
研究
開発
につきましては二通りに分けて考えておるわけであります。
一つ
は、
原子力発電
計画の進展と見合って
わが国
の中で
燃料サイクル
を確立していく、そういう必要性からぜひとも実用化された再処理工場が必要だ、そういった点で、先ほど来申しております〇・七トン規模の再
処理施設
をとにかくできるだけ早く
研究
しまして、しかもそれが安全に運転され、そして所期の再処理が行なわれるようにする、これが
一つ
であります。 第二は、遠い将来を考えましたときに、石野
先生
の御指摘にもございましたように、
一つ
の再処理工場だけでは間に合わないという時期がいつかはまいるわけでございますから、そういった第二工場というものがいつ、どこにつくられることになるかということは、いま直ちに申せませんけれ
ども
、その将来に備えまして再処理技術を
研究
し
開発
しておく、これが他の
一つ
の問題であります。 第一の問題につきましては、再処
理事
業体といたしましては、原子炉等
規制法
に明記されておりますように、現在は
原子燃料公社
だけのものとされております。
原子燃料公社
以外のものは再処
理事
業はできないことにされておる。したがいまして、事業としての再処理工場は
原子燃料公社
が責任を持って遂行したい、それに関連して必要な勉強というものは
燃料
公社
が主体となって
原子力
研究
所の協力、助力も得つつやっていきたい。先ほど原研
理事長
からもお話がございました原研のホットケーブを使いまして、かたがた原研の職員の協力を得て、
燃料
公社
の人が参りましてそしてホットの際の運転の訓練をいたすとか、
開発
をしておくというようなことは、これに当たるわけでございます。
他方
、新しい技術の
開発
としましては、これも先ほど両
理事長
からお話がございましたように、いずれこれが自由化されるというようなことを考えますと、
原子燃料公社
が一応中心となってそういうものの勉強をしていただくわけでありますけれ
ども
、非常に基礎的な問題につきましては、何といいましても
原子力
研究
所に非常な蓄積と科学者がおるわけでありますから、そういった面の協力を多く期待しつつ勉強を進めていきたい。ただいまのとこうでは、その第二の問題の
研究
の中心課題は、ただいま御指摘のありました乾式法というものの勉強ということになっております。予算上もそういった点で配慮をいたしておるわけであります。
石野久男
72
○石野委員 いろいろと
原子力
局がそういう配慮のもとに予算的
措置
をされたりなんかしておりますが、
今井
理事長
からのお話によりますと、新しい方式によれば、古いものよりも設備も非常に小さくなるということですが、これはもちろんアイデアが固まっていないのでしょうから、いまここでどの程度くらいまでということは言えないのでしょうけれ
ども
、現状、たとえば経済性を考慮しての再処理工場をつくります場合には、大体構想としては非常に大きな構想になるものなのですか、その事業体といいますか
生産
工場は、大体どのくらいなエリアを必要とするものでございますか。
今井美材
73
○
今井
参考人
ただいまの
お尋ね
は、大きさと申しますか、必要なエリアのことであると考えまするが、御
承知
のように
外国
にありますのは、
アメリカ
あたりは、もう原子炉であれ再処理であれ非常に広大な地面にありますので、
日本
はえらい狭いということになるわけでございます。しかし、ほんとうにおさまる面積は小さいものでございまして、たとえば私のほうでいま計画している主工場というものは大体千坪くらいでございます。付帯の部分もございますので、全体を入れますのに、ゆったり入れるかきちっと入れるかによってずいぶん違うと思いますが、とうてい一万坪は要らないと考えておるわけでございます。おそらくその半分でございましょう。ちょっといま数字を持ちませんので、その程度の確からしさで御返答いたします。 また、キャパシティ、処理能力のほうでございますが、これは私のほうは〇・七ないし一トンと申しておりますけれ
ども
、
アメリカ
でいま
民間
事業の再処
理事
業として動こうとするものは一トンでございます。それから、非常に大きなものがイギリスに
一つ
ございます。それは一日おおよそ五トンでございます。ベルギーにあるものはもう少し小さくて、〇・三というようなわけでございます。でございますから、これは大きければ大きいほど安くなるわけでございますけれ
ども
、一方、あまり集約いたしますと、方々から物を運ばなければならないというようなこともございますので、あまり大きなものにはならぬかもしれない、五トンというのは最大であろうかと思っております。
石野久男
74
○石野委員
原子力局長
に
お尋ね
しますが、五トンくらいの処理ということになりました場合に、
原子力発電
が全国の発電の量を相当まかなう、ほとんど三分の二以上まかなっている状態になってまいりますと、処理工場というのは大体幾つくらい必要になってきますか。
村田浩
75
○
村田政府委員
原子力発電
が将来電力
生産
の主要なものになるということ、その
方向
にあることは、そのとおりだと思います。非常に遠い将来までの想定は、現在のところ
原子力
産業
会議
の
開発
小
委員会
が一応
関係
の技術者を集めて試算された西暦二〇〇〇年までのものがございます。
昭和
七十五年になるわけでございますが、
昭和
七十五年ころを想定しましたときの規模が約一億六千万キロワット
原子力発電
ということで、これはまたたいへんなキャパシティになるわけでございますけれ
ども
、もちろん他の電力全般としての伸びを考えますと、この一億六千万キロワットというのは設備でいいますと五〇%足らずになっておる。つまり全体の設置容量の半分ちょっとから四六、七%であったと思いますが、そういう程度のもので、ただ電力の
生産
量としては、
原子力発電
は御
承知
のとおりベースロードに主として使われますから、発生電力量としては大体そのころで全体の三分の二くらいになりそうだ、六十数%になりそうだ、こういう見通しでございます。
昭和
七十五年と申しますと相当先のことになりますので、そのころに再処理技術というものがどのように発展しておるかということを予測しますのは非常にむずかしい問題でございます。先ほど来話に出ております乾式法というものが
世界
的に実用化され、そのような工場が海外においてもできるというのは、おそらくこれから十年先とか、そういった先のことだろうと思います。
原子燃料公社
でただいま建設計画中のものは、四十六年に一応完成いたします。それから稼働するわけでありますが、ただいまの
わが国
の
原子力
研究
所の建設計画というものが一応出ておりますようなプログラムで進んだといたしましても、〇・七トンから一トンという規模でございますと、私
ども
の見通しでは五十三、四年ごろまでは十分この工場でまかなえるのではないか、こういうふうに見ております。したがいまして、第二工場以降の問題は
昭和
五十年ごろになりますと、具体的な課題として
検討
され、計画が進められるということになろうかと考えております。
石野久男
76
○石野委員
今井
理事長
に
お尋ね
しますが、
公社
がいま考えております再処理工場というのは、大体敷地を
公社
内へつくるという想定に基づいていまいろいろと設計され、あるいは計画されておるのですか。
今井美材
77
○
今井
参考人
いままでたびたび
政府
側から御返事がございましたろうと思いますが、この敷地の決定にあたっては地元の意向等を考えて慎重にやるべきであるということでございました。それゆえ私
ども
もその趣旨を体してやっておるわけでございますので、あそこの敷地をただいま敷地と決定いたしたとは思っておらないわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げましたごとく、設計はやらしていただいておるわけであります。そこでその設計をやりますにつきましては、何かしら仮想の場所がないとやりにくうございますので、そのような設計をするにあたりましては一応この地点を想定してやらしていただきました。こういうことに相なっております。
石野久男
78
○石野委員
原子力局長
が先ほど四十六年に完成予定のただいま
公社
で実行中の再処理工場はと、こういうお話でございましたが、これはもうすでに仮想敷地としていま設計しているその地点にやはり設計するという意味ですか。
村田浩
79
○
村田政府委員
私、
公社
の現在企画しております建設計画はと申し上げたつもりでありますが、この建設計画は大きく分けまして、設計
段階
と、いわゆる着工してからのほんとうの建設
段階
とになるわけでございます。ただいまのスケジュールによりますと、詳細設計に約三年かかる。つまり契約しましてから三年かかることになっております。 先般二月二十二日でしたか、
公社
とサンゴバンの間で契約されましたものは、詳細設計の中の第一次契約、四十一年度中に引き続いて詳細設計の第二次契約をいたす予定にいたしております。この第二次契約が成立いたしますと、それで全部の詳細設計がカバーされてくる、こういう予定でございます。先ほど有澤委員からも御
説明
ございましたように、詳細設計ができましたところで、この設計に基づいて建設をどこにやらせるか、場所を最終的にどこにするかということをきめまして着手するわけでございますが、その前の
段階
におきましては詳細設計ができてまいりますと、そういう設計のもので再処理工場を所定の場所に建設することが安全かどうかということを安全
審査
いたす、こういうプロセスが
一つ
あるわけであります。現在
原子力委員会
に再
処理施設
安全
審査
専門部会というのをすでに設けてございます。東大の向坊教授が部会長をつとめておられますが、この専門部会に安全
審査
をお願いして、そこで安全であるという判断が下りましてから他の諸事項もあわせ
検討
しまして、具体的な建設に着手いたす、その時期は現在のスケジュールで予定どおりまいりまして、
昭和
四十三年になろうか、こう思っております。
石野久男
80
○石野委員 どういう再処理工場をつくるかという問題は、
原子力
開発
の上からいいまして非常に大事なことだと私も思っております。したがって、その
方針
で進めるのは非常にけっこうです。ただ、局長の言われるように、
安全性
の問題はやはり新しき問題としてまた出てくるわけでございますから、東海村におけるこの種の工場設置が、はたしていいか悪いか、もちろん安全
審査
専門部会の
審査
に待たなくてはなりませんけれ
ども
、われわれがしろうと考えで考えましても、どうもやはり炉の過密化が過ぎるというふうに思っておりまするので、この点はまた他日論議を深めていく中で、ひとつ慎重に
研究
もしていただきたいし、われわれも
意見
を述べさしてもらいたいと思っております。ことに、再処理工場についての
公社
と原研との共同
研究
という問題は、今後非常に大事であろうと思うのです。
丹羽
理事長
さんから本来これは
公社
がやるべきものである、そういう私の考え方だというお話がありました。仕事の性質上、
公社
がやるのがあたりまえかもしれませんけれ
ども
、やはりこの種問題の基礎的な
研究
というものは非常に大事なんだろうと私は思うのであります。したがって、原研の中に再処理についての
研究
部門がすでにあり、長年にわたってその経験を積み、しかも新しいアイデアまでそこから出てきておるということになりますると、原研の再処理工場についての
研究
課題というものは、これからもますます責任が大きくなるのではなかろうか、私はそう思っておりまするので、
丹羽
理事長
がお話しになっておった意味も私はまだ十分わかりませんけれ
ども
、素朴な私の読みとり方から、
公社
にこれをもっていって、ただサブ
研究
者としていくんだというような考え方については、ちょっと私も問題があるような気がいたします。これは
理事長
からもう一度その点についての考え方を聞いておきたいと思います。
丹羽周夫
81
○
丹羽
参考人
若干ことば上申し上げ過ぎた点もあるかと思います。御指摘のとおりに、単に再処理技術の
研究
施設をダブるだけが能じゃないことはもちろんでありまして、それに関連した設備、たとえばホットケーブだとか、それに類似したいわゆる関連的な
研究
事項がたくさんあるわけですね。そういうものまでダブって原燃に置かれるということは、これはつまらないし、また専門的にも、そういう専門の
科学技術
者も必要である。それが原研にもおりますから、御指摘のとおりに共同的な動作といいますか、
研究
をやらなければならぬことはもちろんだと思っています。私が申し上げたかったのは、主体といいますか、イニシアチブをとって実行されるといいますか、
研究
開発
を実行される主体はやはり原燃でなかろうか、こう思っているわけであります。ただいまちょっとそこがいろいろな実情上逆になっているような気がするものですから、先ほどのような発言をさしていただいたわけであります。決してほったらかすという意味じゃございませんから……。
石野久男
82
○石野委員
今井
理事長
に
お尋ね
しますけれ
ども
、再処理の問題についての
研究
と、それから再処理工場の経営をするということとの関連なんですが、この再処理工場は、
研究
所と近接地にどうしても置かなければならぬものなのか、それを置かなくてもよろしいのかどうか、現状はどうしてもそばへ置かなければいけないということであるのか、いやはずしてもいいのかという問題についての
理事長
の考え方をひとつこの際聞いておきたいと思います。
今井美材
83
○
今井
参考人
一がいにお返事をしてはいけないと思うのです。それは
研究
ということの中身でありますが、私いま
あと
の、近接した場所に一緒に置かなければならない理由は何かということに重点があると思ってお答えいたしますならば、こういうことであります。
燃料
はいろいろなものがくるわけです。それは
軽水炉
の
燃料
一種であるわけではございまするけれ
ども
、これから先出てくるものはたとえば、バーンアップが違うということになりますと、放射能が違う、中に入っておる廃棄物の性質が違う。――そんなことはどうでもいいのですが、それが日々の運転をしますのにかなり影響する。ですから、ここへ新しいチャージが入ってさましたら、これを一ぺん小さなスケールで
研究
してそこでやって、そして、これはこういう処方でやるべぎだということを一々きめてやりたいわけです。そのことがいま
研究
できる施設を一緒に置きたい一番大きな理由でございます。将来のプラントの
研究
でありますならば、必ずしもそばに置くことはないと思います。これを大体いまの考え方といたしております。
石野久男
84
○石野委員 まだいろいろ聞きたいことがありますけれ
ども
、星国連局長が参議院のほうへ急がれておるそうですから、
一つ
だけお聞きしておきたいのです。 核
拡散
の問題について、核
拡散
ということをわれわれどういうふうに理解するかということなんです。
保有
国と非
保有
国があるが、
保有
国を数多くしないということが第一義的なことだろうと思うのですし、
核兵器
を
拡散
するということになりますと、
保有
国がどうあろうと、それの設置個所がたくさんになってきても
拡散
になるのじゃなかろうかというふうにもわれわれは考えるし、むしろそのことのほうを心配するわけなんですが、いま
外務省
がこの核
拡散
について一緒に考え、また、その中でいろいろな国際間の問題を処理し、平和を確保していこうという
立場
で参加しておる考え方の中には、その
保有
国を広げないということだけなのか、それとも、私
ども
から見ておると、
核兵器
なるものを各地にばらまいていけば、
保有
国は
一つ
だけであっても
世界
じゅうに
拡散
は幾らでもできるので、そういう問題については国のたてまえ上
外務省
はどういうふうに考えてこの中へ入っておられるのか、ここのところを
一つ
はっきり聞かしていただきたいと思います。
星文七
85
○
星政府委員
その点は非常にむずかしい問題ですが、私
たち
の考えておりますのは、
核保有国
が核の引き金を持ったまま
非核保有国
に
核兵器
を持っていくということは、いま当面は
アメリカ
と
ソ連
の
拡散防止条約
という中には含まれていない、そういうふうに考えております。その引き金の権利を他の
非核保有国
に移すということが核
拡散
になるというふうに
了解
しております。
石野久男
86
○石野委員 もう一度その点を確めておきたい。キーを渡しさえしなければいいのだ、どこへ装置を置いておいてもキーさえ渡さなければ
拡散
にならないのだというのが、いまの
外務省
の
拡散
ということについての考え方だ、こういうふうにおっしゃられるわけですね。これはそのとおりお聞きしてよろしいですね。
星文七
87
○
星政府委員
先ほ
ども
申しましたように、
アメリカ
、
ソ連
、いまのところこの
二つ
しか提案が出ていないものですから、その提案にあらわれたところは、私が先ほど申しましたような解釈をとる以外にないと思います。
石野久男
88
○石野委員
米ソ
の間の解釈はそうであるかもしれませんが、
日本
の
政府
がそれを認めるのかどうかという問題を私は聞いておるわけです。ひとつその点について局長から
意見
を聞かしていただきたいと思います。
星文七
89
○
星政府委員
核
拡散
の問題は、
国連総会
で申しますと、たしか十三回総会あたりから取り上げられているわけですが、そのとき以来いわゆる
拡散
ということは、
核兵器
に対するコントロールを引き渡すということに大体国際的な通念がなっておりますし、私
たち
もそういうふうに考えております。
石野久男
90
○石野委員 それは
政府
の
見解
としてよろしいわけですね。そういうふうに聞いてよろしいわけですね。
星文七
91
○
星政府委員
政府
の
見解
と申しますか、
外務省
で私
たち
日常
軍縮
の事務を取り扱っております上において、核
拡散
ということはそういうふうに解釈しております。
石野久男
92
○石野委員 そうすると、
核兵器
が
日本
に入ってきても、コントロールを
日本
がすることがなければ幾ら入ってきてもよろしい、こう理解してよろしいわけですね。
星文七
93
○
星政府委員
いい悪いの問題ではございませんで、いまいわゆる
条約
にいう
拡散
という問題は、
アメリカ
が引き金を持ったままたとえば
核兵器
を
日本
に持っていくということを仮定しました場合に、
日本
は引き金の権利を持つわけじゃございませんで、
アメリカ
からいうと、それは核
拡散
にならないというのが
条約
上の解釈でございます。
石野久男
94
○石野委員 これは非常に重要だと思うのです。
条約
上はそうであるかどうかは知らないけれ
ども
、
日本
はやはり核装備はしないということなんです。装備という問題は、コントロールするかしないかの問題とだけは
日本
人は理解していないのですね。そういう兵器なり装置なり、そういうものがあることそれ自体をわれわれはやはり問題にしているわけですよ。いま
外務省
の
見解
だとすると、われわれの考え方と非常に違うわけなんです。しかし、
政府
がそういう考え方でいるとすればこれは非常に重要だと思うのです。もう一度その点はっきり聞いておきたいと思います。
星文七
95
○
星政府委員
日本
の場合というのは――私
たち
は全く仮定のことを考えております。仮想した場合を考えておりますので、
日本
の場合は一切
核兵器
を持ち込むことは許しませんけれ
ども
、いわゆるドイツあたり、ほかの国について
拡散防止
というときにはその
核兵器
のコントロールということに解釈しないといけないと思います。
石野久男
96
○石野委員 これはちょっとてまえみその理屈をこねられては困ると思うのです。やはり持ち込みということがなければ
拡散
の問題は
日本
では適用されないのだ、こういうふうに局長は言われるけれ
ども
、実際にはコントロールするかしないかという問題の前に、コントロールするかしないかという問題は、装置がなければコントロールも何も役に立たないと思うのですよ。装置があるからそういう可能性が出てくるのであって、装置がなければコントロールしょうにも、たとえば
日本
にそういう装置がなければ
アメリカ
が幾らそういうキーを持っておろうとこれは問題じゃない。しかし装置があれば、それを運転開始しようとするかしないかということは
アメリカ
の自由意思なんです。
アメリカ
の意思によってきまるだけなんです。そういうようなことは、それじゃ
外務省
は全然考えないで、コントロールの問題だけで
拡散
ということを考えているとすれば、これは考え方としては非常に自主性がないのじゃなかろうか、非
保有
国としての
日本
の
政府
として考え方に自主性がないのじゃないだろうか、私はこういうふうに思うのですが、いま局長がそういうことを言うとすると、これは大臣にちょっと聞かなければいかぬ。これは外務大臣かあるいは総理かにこの問題をはっきり聞かないと、これを
日本
の
方針
だということにするならばたいへんな問題になるだろうと私は思いますから、もう一度その点はっきりしていただきたい。
星文七
97
○
星政府委員
私は、先ほどから申し上げていることで御
了解
いただけると思いますけれ
ども
、いわゆる核
拡散
という場合に、
ソ連案
でも
アメリカ案
でも、それは
核保有国
が他の国へ引き金を渡すことを核
拡散
というわけでありまして、持ち込みは持ち込みでまた別の話であります。
日本
はもちろん持ち込みは許しておりません。先ほどの核
拡散
という意味はコントロールを渡すということで御
了解
願いたいと思います。(「字句の問題だ」と呼ぶ者あり)
石野久男
98
○石野委員 いま自民党さんから字句の問題だという話が出ているけれ
ども
、字句の問題だけじゃないと思うのです。これは率直に言って、
拡散
というものをどういうふうに理解するかという問題にかかっている。
アメリカ
、
ソ連
は
保有
国であるから、これは自分
たち
の都合のいいような解釈をするわけです。しかし、
世界
の
各国
が特に非
保有
国の
立場
でこの核についての影響というものを見ますと、やはりそれが
使用
されることが一番困るわけです。特に
日本
のように原爆の被害を受けている国では、見るのもぞっとするわけだ。だから、コントロールという問題ももちろん大事ですけれ
ども
、それ以前に、そういう装置自体を私
たち
はいやなんです。これはもう体験からくる
一つ
の感情でもあると私は思いますし、また平和のためにもそれは絶対に必要な前提
条件
であろうと私は思っております。
日本
の
政府
がそういう装置をどこに置くかという問題は、全然問題ではないのだ、ただキーをだれが持っているかということだけだというならば、これは私
たち
はもう少し
政府
の考え方をただしておかなければいけないと思っております。
米ソ
の間でそういう考え方があるということは、私
たち
も百も
承知
しております。そのことを私はあなたに聞いていないのです。私が聞いているのは、
日本
の
外務省
がそういうものについてどういう
見解
を持っているかということを聞いておるのですから、もしあなたが答弁できるなら答弁してください。
星文七
99
○
星政府委員
私が申し上げたのは、
米ソ
の
条約
案の中で、コントロールというのはどういう意味かとお聞きになったので、そういうことを申し上げたわけなんです。だから
アメリカ
と
ソ連
の案の中で、
核兵器
の
拡散
という意味はそういう意味であるということを言ったわけでございまして、
日本
の場合にはもちろん核を持ち込むことすらも許してないわけですから、その点の御心配は全くないと思います。
石野久男
100
○石野委員 心配がないじゃない。心配があるのですよ。問題は、そのキーを渡しさえしなければ
拡散
とは考えないんだという
政府
の考え方に問題があるわけなんです。われわれは核
拡散
というものは、キーだけじゃないというのですよ。装置がばらまかれてしまって、たとえばいまはもう
アメリカ
も
ソ連
もどちらも核は非常に過剰なんです。だからこれをつぶして、
核燃料物質
にしようという考え方も
一つ
あるし、どっちみち余っているんだから、
世界
各国
にみな据えつけてしまうということもできるわけだ、そういうことになっては困ると私
たち
は思っているわけです。だから
日本
の
政府
が核
拡散
という問題について、ただキーの問題だけを問題にして国際
会議
に入っていっていいのかどうか、私
たち
はその装置が各地にばらまかれるという問題は、無
関心
のままでいいのかどうかということを
政府
に聞いている。これはもし次官のほうで考え方がありましたら、
政府
の考え方をひとつはっきりしておいていただきたいと思いますし、もしここで答弁ができないなら、これは大臣なりあるいは総理に
意見
を聞いておかなければならぬと思います。
星文七
101
○
星政府委員
私は先ほどから何回も、核
拡散
という
条約
上の意味について言っておりまして、
日本
の場合には、そういうことは持ち込みすらもやれないんだということで、持ち込むこと、つまり装備だけでも持ち込むということは
日本
ではだめだ。しかし、たとえばドイツとかイタリア、そういうところでは、そういう場合があるかもしれません。NATOの諸国にはそういう場合があるかもしれません。しかし
アメリカ
が引き金を持ったままイタリアに
核兵器
を置くということは、この
条約
にいういわゆる
拡散
ということにはならない。
拡散
というのは、つまり引き金を渡すこと、引き金を持っている権利だ、それをよその国に渡すことが
拡散
である。
アメリカ
の案によりますると、現在の引き金を持っている国の全体の数というものをふやしてはいけないということを書いてあるわけですね。ですから、たとえば
アメリカ
が引き金というものを持ってイタリアに移すということは
拡散
にはならない、そういうことを言っているわけです。
田川誠一
102
○田川
政府
委員 いま石野委員が言われている、
日本
の
政府
が
核拡散防止
に対する態度をどういうふうに持っているかという御質問は、いま
外務省
の国連局長が言われた、
米ソ
のいう核
拡散
と趣旨が違うと思うのです。おそらく
米ソ
が考えているものでない何かを
日本政府
がしっかり持たなければならぬじゃないか、こういう御質問だろうと思うのです。でありますので、これは外務大臣なりほかの責任者に聞いていただかなければ、私
ども
ではちょっと答弁することができません。
石野久男
103
○石野委員 私はこの問題は非常に重要だと思いますので、本
委員会
に外務大臣なりあるいは総理なりに来てもらって、
拡散
という問題についての
政府
の考え方はどうなのか――
米ソ
の考え方はよくわかっております。しかしそれに問題があるわけなんです。われわれは、ここでいう
拡散
というのは、ただキーの問題だけではないので、核が及ぼす悪い結果におそれをなすから
拡散
はさせたくない、こういうことを考えておるわけですから、そういう問題は
政府
がどういうふうに既定
方針
として持って臨んでおるのかということをはっきりしておかなくちゃいけないと思います。この点はひとつ
委員長
のほうで、近いうちにそういう問題についての大臣の
見解
をはっきりしてもらうようにしていただきたいと思います。
原茂
104
○
原委員長
わかりました。
岡良一
105
○
岡委員
ちょっと関連して。いま国連局長は、
米ソ
の核
拡散
という概念は、引き金を持った
核兵器
を与えるという概念だというのですが、それはそうかもしれませんが、両案を比較してみますと、とにかくNATOに触れて、米案は「
核兵器
を
使用
する独立した力を持つ国家、その他の機構」ということでNATOを含めているのじゃないかということで
ソ連
と対立しておる。
ソ連
の提案を見ると、「
条約
加盟国は、
核兵器
を保持していない国家の軍隊あるいは個々の軍人に対し、その軍隊あるいは軍人がかりにある種の軍事同盟の指揮下にあるとしても、
核兵器
を供与せず、あるいは
核兵器
の
保有
とその配置、
使用
を
管理
する権利をあたえない。」だから
米ソ
の考え方はそういうような共同の観念といえば観念なんだが、問題の核心はそこにあるわけなんだ。だからそういう点、やはり概念的にそうであると言い切られたのではちょっと納得しにくいので、やっぱりこういう
問題点
については重要なキーポイントだから、石野君の言われたように一応大臣にも来てもらってはっきりしたものを出してもらいたいと思います。
原茂
106
○
原委員長
その点は
理事
会にはかって決定いたします。 この際、
参考人
各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は長時間にわたり本案
審査
のため御協力をいただきまして、ありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日木曜日午前十時より
理事
会、十時三十分より
委員会
を開くこととし、これにて散会いたします。 午後四時七分散会