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村上参考人 村上でございます。与えられた時間で御
説明を申し上げたいと思うのでございます。
ただいま
宮田専務理事から
工業会の
あり方、その
目的などをるる
お話しがございましたので省略いたしまして、
工業会の
会員でございますと同時に
業者という
立場で、ただいまの
説明に多少専門的な
内容を例に申し上げまして御
説明を申し上げたいと思うわけでございます。
この
法案が提案されまして目下
審議中のものは、
工業会が
組織をつくりました三年前から
中央で
運動を行なっておるのでございますが、これは、各
業者が
全国にわたりましてこの
運動を展開しておったのは、過去二十年前からの切なる願いで、その
地方地方の
組織において絶えず
中央に
運動しておったのでございます。
中央ということは
運輸省に対して
運動しておったのでございますが、各
地域とも
中央から見ますとはなはだ
弱小的団体なもので、そのつど、
法律をつくるということはなかなか容易じゃない、またそうした
要望があるんであれば、これは
全国的組織で
運動することによって初めて可能な道が開けるのではないかというようなお話などを、当時繰り返し聞かされることによって、
全国の
業界に呼びかけまして、これが
東北地区にまとまり、あるいは
九州地区にまとまり、たしか四つか五つのブロックに
組織がつくられ、そうして実を結んだのが三年前、現在の
日本小型船舶工業会という強い一本の
組織でもって、今日われわれの最も
要望しておりまする
法律案として提案されておるこれが、ここに
先生方に御
審議をいただいておる
ゆえんでございまして、われわれ
業者が二十年来
要望しておる、こいねがっておるものであるということを深く御認識をいただきたいと思うわけでございます。
なお、この
法案によりましてわれわれが課せられた義務、あるいはこれによって是正される面がたくさんあるのでございます。
その中の一、二の例を申し上げますと、従来われわれの
業界の
あり方というものは
届け出制でございまして、何人でもどこでもかってに自由に船がつくられ、そうしてそれを
届け出ることによって
海運局が
検査事務を行なっておるというかって気ままな結果でございました。それらがただ
届け出をして、船の小さいのを一隻ぐらいつくって、そしてそのまま放置され、あるいは消えてなくなる、それでも船がつくられたというのが従来の例でございまして、今後この
法案が
成立することによって絶対にそういうことがあり得ないということが生ずるのでございます。
また、こうしたありさまが、
工員がフリーランサー的に、自由に
季節的労務者と変わりまして
船主に雇用されて、そうして
造船所の手を離れて自由に
補修修理を行なう、そうしたものにも
検査が
施行されるというようなことで、一本のものと化そうとしても、そうした
工員の移動が防止もできませんので、虐待の上にさらに虐待しているというのが
現状ではないかと思うのでございます。したがいまして
労務者の側からいたしましても、ただ単にその日その日の収入が直接
注文主からいただけるわけで、日額が高額になるということのみにつられまして、
企業化している小さい
造船所あるいは
企業体から人が去っていくというような
現状も、今後是正されるではないかと思うのでございます。また戦後二十年間のこうしたフリーランサー的な職業をする者が、今日
労働基準法の
施行によって
雇用関係のむずかしさな
ども生じまして、逐次やはり
造船所というはっきりした看板を掲げ、
内容の確立されておる
造船所に定着するような
状態にはなっておりますけれ
ども、
全国的に見ますと、まだまだそうした
傾向のものが十分あるではないかと思われるのでございます。
なお、本
法律が
施行になりまして、
内容的には多少きびしいところはあると思うのでございますけれ
ども、われわれの
企業を
近代化して秩序ある
企業に持っていくためには、どうしてもこの
法案の
内容程度の規制が必要ではないか。これは私だけの
意見になるかもわかりませんけれ
ども、全
会員がこの
内容に賛成している点ではないかと想像されるのでございます。こうした
組織があって初めて統一された船をつくることが、すなわち
安全性にすぐれた、そうして健全な、優秀なる船がつくられる
ゆえんがそこから生ずるではないかと思うのでございます。
なお、最近
海難事故という問題が増発しておるのでございますが、これらの
原因というものは一がいにこれだということは申し上げられませんけれ
ども、
造船所が野放しの
状態のために、ますます
規模なり
設備が不完全になるために弱められている。その弱められておるところに
船主のほうからの強い
要望、強い
要望というものは無理な賃金の要求、あるいは船が小さいのに
航海能力を遠洋化して、燃料の補給がないままに大きい容積を要する油の
積載、あるいは
漁獲量の
積載を増すために、ややもすると無理な設計を生じておるというのも
海難事故につながる
一つの
理由にもなるではないかと思われるのでございます。そうしたことは、優秀なる
技術を擁しておる
造船所あるいはその
内容の
健全化をはかっている
造船所で、たとえて申し上げますれば、問題の三十九トンだとか、あるいは五十トンぐらいの
木造船をつくりましても、こうした
造船所でつくった船においては、私は
海難事故につながる
原因というものは
一つもないではないかと思うのでございます。そうしたことは、すぐれた
技術を持っておる
造船所が責任を持って各
船主の無理な
要望を絶対聞かない、あくまでも船の
安全航海という見地から
船主を承服させてつくっておるということが、
海難事故の起こり得ない大きい
理由にもなっているではないかと思うのでございます。この点も深く御認識いただきたいと思うのでございます。
それから先ほど
宮田専務が
お話し申しました
鋼船化への移行というものがここ四、五年急激に起こっております。私
どもも変わっておるのでございます。これは
事業は
企業体でございまして、どうしても
仕事の多いものに飛びつくという
傾向で、
鋼船というものの
注文がたくさんあるのでございます。私などは両方やっておるのでございますけれ
ども、どうしてこう
鋼船化したかということは、
建造資金の融資の道、これは農林中金などはその
資金を融資する場合に、
鋼船でやりなさい、
鋼船がすなわち
近代化であるというので、
木船で持っていった
建造計画に対しても、その
指導する面においては
鋼船ということで、
資金の借り入れという面から大きく
計画を変更しておるという事例もあるのでございまして、私から申し上げますれば、この
日本において、木の資源を豊富に持つ国として、理想を申し上げますれば、
小型というもの、その
小型の大きさを申し上げますれば、
漁船においては五、六十トン、あるいは貨物を運送する、そうした類似の船は百トンくらいまで、最高その
程度までは
木船でつくられることが経済的で、なおかつ何ら支障がないではないか。むしろそのほうを奨励し、またわれわれの
企業というものがそれに結びつく
理由にもなるではないかと、強く私から申し上げる次第でございます。実は
鋼船というものをつくって、もうすでに五、六年経過している船もあるのでございます。この上
架修理ということになると、
鋼船のほうが莫大な
修繕費がかかるのでございます。
上架船底塗装、すなわち小
修理の場合においても、
年間木船の五倍から十倍の
修繕費が
鋼船には必要ではないかというようなことが、両方合わせまして行なっておる
関係ではっきりわかっておりまして、こうした面から見ても、今後経済的にあるいはその
優位性において
木船は
鋼船に劣るということは、その大きさにおいて、絶対あり得ないということを信じておるのでございます。
それから、これは
船舶局並びに
海運局御
当局に
お願いのようになるのじゃないかと思うのでございますが、この
法案が通りました後において、この
法案が
施行されたのでこれでいいのだというものは何ものもないのでございまして、
当局におかれましてこれらをよく御
指導いただくことと、その
指導の中において
検査事務というものがございますが、この
検査事務の
回数を従来よりも多い
製造検査というものを考慮されまして、その
検査事務に合わせましてわれわれ
業界を
指導してくれる、革新的な
技術の導入を与えてやるのだというような
目的も加味されまして、この
製造検査の
内容あるいは
回数等ももっと充実していただけるように、
検査官を
全国的に増員していただけることを
お願いを申し上げたいと思うのでございます。なおそうすることによって、われわれ
業界とそれから
検査をしていただく役所と相はかりまして、今後の
木造船の
あり方あるいは
構造等の
研究というものも十分持たれるではないかということも大いに期待しておりますので、こうしたことも諸
先生よろしくお考えいただきたいと
お願いをする次第でございます。
以上、私から
業者の
立場といたしまして例などを申し上げまして御
説明し、御
参考にしたいと思います。ありがとうございました。