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1966-05-11 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十一日(水曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    小渕 恵三君       川野 芳滿君    木村 俊夫君       砂田 重民君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    南條 徳男君       長谷川 峻君    増田甲子七君       山村新治郎君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局保険部         長)      上林 英男君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局保険部         保険第二課長) 田辺 博通君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 五月十日  委員砂田重民君及び高橋禎一辞任につき、そ  の補欠として川野芳滿君及び早川崇君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員早川崇辞任につき、その補欠として高橋  禎一君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として砂  田重民君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月七日  備作線建設に関する請願(小枝一雄君紹介)(  第四〇八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十日  油による海水汚濁防止条約批准等に関する陳  情書外二件(  第三九一号)  十八才未満の一般勤労青少年に対する鉄道旅客  運賃割引に関する陳情書  (第三九二号)  運輸規則完全実施等に関する陳情書  (第四  五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通事業抵当法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇九号)(参議院送付)  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇六号)  港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一二号)      ――――◇―――――
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  道路交通事業抵当法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。中村運輸大臣
  3. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいま議題となりました道路交通事業抵当法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  道路交通事業抵当法は、昭和二十七年に制定され、道路運送事業及び通運事業について事業一体として担保に供する財団抵当制度を確立したものでありまして、同法は道路運送事業及び通運事業に関する信用の増進により、これらの事業の健全な発達をはかるために大きな役割を果たしてきたのであります。  一方、昭和三十四年に制定されました自動車ターミナル法に基づく自動車ターミナル事業は、次第に発展してきておりまして、昨年は特殊法人日本自動車ターミナル株式会社の発足を見たのでありますが、今後、高速自動車道整備に伴う自動車輸送合理化都市交通混雑緩和都市再興発等の観点から、ますます自動車ターミナル整備必要性が高まるものと思われます。したがいまして、自動車ターミナル事業につきまして、道路運送事業及び通運事業と同様、事業一体として担保に供する道を開くことにより、長期資金の調達を容易にし、この事業の一そうの発展をはかることが必要であります。  このような理由から、この法律案におきまして自動車ターミナル事業道路交通事業財団抵当制度対象事業に加えることとし、これに伴い財団設定の制限、登記の申請等に関する規定を整備することといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますよう御願い申し上げます。
  4. 古川丈吉

    古川委員長 これにて説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 古川丈吉

    古川委員長 次に、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保委員 法案について取りこぼした二、三の点がありますので、質問を申し上げたいと思います。  この自賠責による保険金支払い額についてでありますが、今日ただいまでは限度額はそれぞれ百万円、こうなっているわけです。そこで、最近の実績を見ますのに、たとえば昭和三十六年度から昭和三十九年三月末までかかるものでありますが、この保険金支払い件数を調べてみますと、死亡が八千八百二十三、重傷が五万九百八十七、軽傷が三万八千四百七十二人、計九万八千二百八十二人、これに対してどの程度保険金が支払われているかということであります。平均値を見ますと、いま申し上げた九万八千人の死亡あるいは重軽傷者に対するものでありますが、死亡については三十七万八千円が一件当たり平均保険金の給付であります。それから重傷については六万七千円、軽傷については一万二千円、こういう金額になっているようでありますが、死亡の三十七万八千円、これについて少なくとも限度額が百万円であるとするならば、およそ半分、五十万程度支払いがなくてはならぬはずだろうとわれわれは想像するわけであります。ところが、いま申し上げたように、三十七万八千円であって、遠くこの限度額から離れているということについては、いまの保険算定事務所というか査定というか知りませんが、あるわけであります。この機関、それからそういう算定中身、そういうものに欠陥がありはしないか、こういうふうに思うわけであります。この死亡の三十七万八千円というのはどういうことからきているのか。  ここでまず具体的に第一点としてお伺いしたいのは、死亡の場合で一番少ない支払い金額というのは幾らで、それはどういうものに該当するものであるか。最高は聞かぬでもわかります。百万円であります。これが一つ。  第二点としては、いま申し上げたように、この平均三十七万八千円という、限度額の半額にも満たないような平均支払い額は、現在のこの制度欠陥がありはしないか。その中でも特に、保険会社自体算定するようになっているようでありますが、そういう機構、そういうものの運用について欠陥がありはしないかと思うのであります。  この二つの点について運輸省から、続いて必要があれば銀行局からお話を願いたい。
  7. 坪井為次

    坪井政府委員 ただいまの御質問死亡支払いの一番少ない額というのは、いま資料がございませんので、後ほど調べまして御報告いたします。  それから平均が非常に下回っているのではないかということでございますが、まだ保険金の引き上げられていない、いわば旧契約の五十万円の時代の車が相当残っておりますので、そのために低くなっているのではないか、さように思うわけでございます。  それから支払い査定関係でございますが、これにつきましては、前回死亡百万円に引き上げました際には、特別な事情がない限りこの百万円の限度一ぱい払うという方針になっておりますので、その後においては大体支払いとしては百万円近く支払われているというふうにわれわれとしては考えております。
  8. 田辺博通

    田辺説明員 具体的な数字につきまして、いま手元資料がございませんので、はなはだ恐縮でございますが、いま御質問がございましたのは、現在の百万円になる前の保険金額時代数字だと思います。その当時は査定やり方と申しますものが段階別に分かれておりまして、たとえば幼児死亡したとか、あるいは学生である、あるいは所得のある人である、あるいは非常に老齢の人でもって、もう身寄りもない、そういった段階別死亡の場合の損害賠償金をきめておりました。したがいまして、平均死亡保険金額としては、五十万円の時代であったかと思いますが、三十七万八千円という数字になっておると思います。ただしこの査定やり方につきましては、その後に名古屋の裁判所におきまして幼児をひき殺した場合の裁判例が出まして、それは自賠責によりますところの保険金支払い額を相当上回る賠償金額判例が出ましたので、新しい査定基準を設けまして、百万円に限度を上げると同時に、すべて一律に百万円、特別に重大な過失というような過失相殺の要素がない限りは、一律に百万円を払うという基準に変えておるわけでございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だというと、昭和三十六年度では、支払い限度額が非常に低い時代で、五十万円の時代である。ちょっとお尋ねしますが、限度が百万円になったのは何年度であったか。
  10. 田辺博通

    田辺説明員 三十九年の二月からでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 いままでに資料が出ているのかどうかわかりませんが、最近の支払い額は一件当たりどの程度払っておるか、それはわかりますか。
  12. 田辺博通

    田辺説明員 記憶で申しわけございませんが、前の会で御説明申し上げましたが、現在までの平均金額は百万八千幾らになっていると思います。その百万八千幾らと申しますのは、死亡に至るまでの傷害治療費等が含まれるわけでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、いまの説明では、大体完全にこの法の精神である限度額というか、そういうものに見合った保険金被害者には払われておる、こうはっきり考えていいのかどうか、これはどうですか。
  14. 坪井為次

    坪井政府委員 百万円に三十九年の二月ですか、引き上げられてからは、そのようになっておるわけでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 これは死亡者のみならず、重傷軽傷すべてを通してそういうふうに考えてよろしいか。
  16. 田辺博通

    田辺説明員 傷害につきましては、限度額はただいま三十万円でございます。これは実額でございますので、それよりも少ない治療費の人は少ない金額、それよりも多い金額でも三十万円限度で頭を打つ、こういうシステムでございます。実際の治療費査定等につきましては、厳正確実にやっておるつもりでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 次に、保険請求というか、請求権はたしか三年だと思うのですが、そうであるかどうか。
  18. 田辺博通

    田辺説明員 これはまず二つに分かれまして、事故が起こりまして、損害賠償をその当事者間でやる、その請求権時効が三年でございます。それから、その損害賠償額がきまりまして、それから保険金額請求する、その保険金請求に至る時効が二年でございます。したがいまして、最長五年間は有効である、こういうことになります。
  19. 久保三郎

    久保委員 その最長五年間という期限は、現在の交通事故に対して妥当であると思っておりますか、どうですか。
  20. 田辺博通

    田辺説明員 これは支払い時効とか、そういう問題でございません。請求時効の問題をいま申し上げました。したがいまして、早く請求されて早く支払われることが最も望ましい、これは申すまでもございません。しかし、たまたまいろいろな問題が中にあって請求がおくれておる、そういうような場合にもその請求は受け付ける、つまり、その期間が最長五年である、こういうことでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、こういう例はどういうふうになっておるのですか。たとえば、交通事故にあった、あった当時としては、あまりたいしたけがではないと思っておった。それに見合ったいわゆる保険金支払いがあった。請求して支払いを受けた。その後三年たち、あるいは四年たった後において頭部、いわゆる頭の中の故障、そういうものが突発的に表にというか出てきた。それは原因としてはだれが考えても、その三年なり四年なり前の交通事故原因であるというようなときの請求権はどうなるんですか。
  22. 田辺博通

    田辺説明員 これは法律的にちょっとやっかいな問題かと思いますので、あるいは間違いがあると恐縮でございますが、先般判例がたしか出ましたが、一ぺん示談をいたしまして、そこで損害賠償額当事者間では確定した後に二、三年ですかたちまして後遺症があらわれたという場合に、その示談は、事情変更の原則と申しますか、それによって、新しいものになり得るという判例があるようでございます。その点から申しますると、その新しい事実がわかりましてからまた新しい時効が進行する、こう考えるべきではなかろうか思います。
  23. 久保三郎

    久保委員 判例の話はそのとおりかもしれませんが、この法律そのもの運用上どうなっているかを聞きたかったわけです。この法律自賠責の実際の運用として、いま申し上げたような事例に対してはどう扱うことになっているのか、これはどうですか。
  24. 田辺博通

    田辺説明員 この自賠責保険は、やはり民事上の責任法律関係をもとにいたしまして、それから保険金支払いという段階になるわけでございますので、民事上の責任関係による時効、それによって支配されるわけでございます。したがいまして、いま申しましたような法理に基づきますれば、当然に自賠責保険関係におきましても、その後に新しい後遺症による請求があればそれを受け付ける、そういうことになろうと思います。
  25. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、民事上の問題として提起されてそういう決定があれば、自動的にこの制度は動き出す、こういうことですか。
  26. 田辺博通

    田辺説明員 そういうことです。
  27. 久保三郎

    久保委員 次は、この審議会の問題でありますが、法三十二条では、大蔵大臣の諮問にこたえて、いわゆる建議関係大臣にするとなっている。そうですね。諮問する者は大蔵大臣だけであって、自賠責という制度運用する当該の責任大臣である運輸大臣は、諮問する権限は持っていないわけですね。これについて運輸大臣はどう思うのかです。運輸大臣はちょっと関心を持っていなかったようだから、自動車局長がかわって答弁するよりほかないだろう。
  28. 坪井為次

    坪井政府委員 この法律のたてまえとしまして、保険関係主務官庁といいますか大臣は、大蔵大臣ということになっておりますので、その保険審議会の所属は大蔵大臣にお願いしている、そういうかっこうになっておるわけであります。
  29. 久保三郎

    久保委員 いや、そういう保険事業を主管するのが大蔵大臣であるぐらいな話は、二カ月もこの法改正案審議していれば、これは大体国会議員である者はわかっているはずだと私は思うのです。私もそのとおりおかっています。だが、この法律は、諮問するのは大蔵大臣一人になっているが、これで主管大臣として運輸大臣はよろしいのかと、こう聞いている。運輸大臣からお答えいただきます。
  30. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大体大蔵大臣が諮問することによって目的は達し得ると考えております。
  31. 久保三郎

    久保委員 そうしますと運輸大臣は、この制度運用について大蔵大臣にすべておまかせしていれば足りると思っていらっしゃるのか。これは大体保険事業ということだけが頭へきているから、大蔵大臣が諮問して、せめて建議というか、答申というか、そういうものは「関係大臣」といって大蔵大臣のほかに運輸大臣を入れておきましょうというのが大体この法律の形です。やむを得ず「関係大臣」にしている。そういう制度でいいかどうかということです。
  32. 坪井為次

    坪井政府委員 保険審議会メンバー運輸省は参加しております。それから責任保険の重要な事項につきましては、運輸大臣大蔵大臣から、大蔵大臣の処分する場合には同意を求められることになっております。運輸大臣としてはその際参画するという形になっております。
  33. 久保三郎

    久保委員 いまの局長お話ではどうにもならぬと思うのです。どうにもならぬというのは、これは保険事業ではないというふうにわれわれはもう考えているのです。保険に多少似ているところはあるが、損害保険範疇に属するものではない。損害保険範疇に属するものは、いま各保険会社でやっているこの制度に上積みする任意保険、これが保険です。これは強制保険なんです。強制してこういう制度に入れるのであります。しかもこれは被害者立場になる。保険事業というのは保険金を払った人の立場に立ってものを考える。そうでしょう。これは銀行局保険課長、ぼくの意見は間違っているかどうか。
  34. 田辺博通

    田辺説明員 保険業法精神は、おっしゃるまでもなく保険契約者、それから保険金受け取り人、それから被保険者、つまり保険契約によりまして利益を得る者、この利益を擁護する、それが保険業法精神であり、大蔵大臣の監督の精神でございます。したがいまして、この自賠責保険につきましては、やはり個々に保険によって利益を受ける者、これは同時に損害賠償義務を負うべき加害者ではありますが、実質上はそれを受け取るべき被害者、こういうことになると思います。
  35. 久保三郎

    久保委員 そういう理屈保険理屈としては成り立たない。保険というものはそういうものではない。あなたは専門家だから、しろうとの保険論を聞いたほうがいい。大体そういう保険の理論というのはもう古くさい。大体一つは危険の分散ということです。危険の分散とは、自分自分の家を焼いたらばこれは建てるのにたいへんだ。だから結局だれかみんな誘って、それでひとつどうだ、安い金で、お互いが損害を受けたときにはその中から金をもらうような仕組みはどうかというのが始まりでしょう。これが一つです。  それからもう一つは、あなたがお述べになった一番最後の、被害者というか、そういうものにも利益がいくのが保険だ、こう言った。それは違うのです。たまたま自賠責という法律がそういうことになっているからその中に入っただけであって、保険の本旨は保険契約者、被保険者、そういうものに大体これは利益が限定されるのです。だから自賠責という法律はもともと保険ではない。保険という意味も全然なくはない。多少はある。しかし被害者救済の方法として考え出したものです。私はそう思うのです。だからこれは保険だといっても、全部が保険事業ではない。ところがいまだにこれは全部保険という事業だ、こう思っているようだが、自動車局長はこの法律制度自賠責という制度保険事業が一〇〇%だというふうに考えているかどうか。あなたはどう思う。
  36. 坪井為次

    坪井政府委員 この自賠責制度目的とするところは、交通事故による被害者救済するために加害者担保能力を確保するということが目的でございまして、そのために現行の保険制度というものを活用してその担保をするということがねらいでございます。したがって保険がすべてではないと思いますけれども、保険を活用することが現状において非常に有効な手段であるというふうに考えておるわけでございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 一番後段のほうだけが正しいんだよ。いまさしあたりやろうとしても、そういう機能機構政府自体では見当たらない。たまたまあったものが保険屋だ、保険業、その機構システムを一応活用しようということでやっている。だから、銀行局は一切この法律に関与してはならぬというぼくの主張ではない。保険屋が入ってやっているんだから。しかしながら、この保険審議会にあなたがおっしゃるようにメンバーとして運輸省関係が入っているから云々では、おかしいじゃないか。大蔵大臣だけが諮問できるということは、形式的におかしい。だから当然これは、「関係大臣」を、書くなら少なくとも大蔵大臣及び運輸大臣はということにすべきだ。そういうふうに出さない限りはこの制度自体発展はあり得ない、こういうふうにも私は考えているわけです。これはもはや答弁を求めても、大蔵省運輸省二人置いては、大体運輸省も予算の関係があったりして、銀行局といえども大蔵省の幹部が来ている限りはないがしろにできないというので、答弁は半分はぼくの意見賛成だが半分はそうでないようなスタイルをつくる。この法案がそういうことであるからいわゆる被害者立場に立っての十全を期し得られないのが現状なんです。その点の反省がなくてはならぬというのが、私の言いたいところなんです。決して銀行局をいじめているのではない。国家制度として、もっと被害者立場に立って考えることがたくさんある。だから提案されたような、再保険は新しく今度入れる原付自転車についてはやらぬということ自体、これは保険制度からいけば、黒字になってきたものを何もリスクがないのに再保険六割、従来どおりやるばかはない。だから保険事業そのもの目的ならば提案どおりでいいんだけれども、それによってだれが利益を得るかということをまず第一に考えねばならぬ。その場合にはいわゆる再保険をしないで利益を得るものは、被害者にあらずして保険業者であるという結論にならざるを得ない。それはいままでの説明でそのとおり。もしもそうでないということなら、なぜ従来どおり保険をしないのか。再保険をしてその保険財政黒字が出て余裕が出るとするならば、いまの百万を二百万にする、さらにそれ以上、また必要ならば、被害者救済のための施設のためにその手元余裕金を活用するということに発展していかなければ、これはほんとうの自賠責ではない。だからそういう趣旨からいっても、これは根本的に洗い直す必要があるということを私は申し上げて、補足の質問は終わります。
  38. 古川丈吉

    古川委員長 本案に対する質疑はございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  39. 古川丈吉

    古川委員長 本案に対して田邉國男君外四名より修正案が、また久保三郎君外一名より修正案提出されております。
  40. 古川丈吉

    古川委員長 両修正案はお手元に配付してあるとおりであります。  これより両修正案について提出者より趣旨説明を求めます。田邉國男君。
  41. 田邉國男

    田邉委員 自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に対し、ただいままでの審議によりまして、自動車損害賠償保障法責任共済制度を導入すること及び農耕作業用小型特殊自動車本法対象から除外すること等の措置をとることが適当であると考えられますので、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党として修正の動議を提出いたします。  修正案の概要は、自動車損害賠償保障法責任保険とは別個に責任共済制度を設け、責任共済契約が締結されている自動車は、責任保険契約が締結されていなくても運行の用に供することができることとし、責任共済事業農業協同組合法による組合及び連合会がこれを行なうこととするものでありまして、責任共済契約内容は、責任保険と同様の内容といたすものであります。  次に、農耕作業用小型特殊自動車につきましては、運行の範囲が限られており、事故率もきわめて低いので、これを本法対象から除外いたしますとともに、その他の所要の改正を行なおうとするものであります。  以上でありますが、何とぞ修正案賛成をされるようお願いをいたします。
  42. 古川丈吉

  43. 久保三郎

    久保委員 社会党といたしましては、本改正案に対し、次の諸点の修正をいたしたい。法案内容についてはお手元に配付した案どおりであります。そこで修正の要点でありますが、およそ三点でございます。  一点については、第十条でいわゆる農耕用小型特殊自動車、いわゆるティラーでありますが、ティラーは現在この損害賠償保障法対象になっているわけでありますが、このティラー機能あるいは過去における自動車事故等にかんがみまして、これを賠償保障法適用車両とすることは実情に合わないと考えますので、いわゆる保険対象としてこの中に置く必要はないだろうというので、保障法にある保険対象にはしない、こういうのが第一点であります。しかし、そういうことでありますので、自民党提案のごとく自動車として扱わぬということではございませんで、当然のごとく国家賠償保障というか、そういう制度中身には入るわけであります。簡単に申し上げますれば、被害者立場からするならば、従来どおりティラーによる死傷事故については本法の恩恵に浴することは、これは当然できます。そういう事故があった場合には、そういう損害保障をすると同時に、国が加害者に対してそれ相当の求償権を持つことは、これは当然であります。先ほど申し上げたように、保険対象にはしない。自民党の提案は、あとで質問申し上げますが、いわゆる自動車範疇からティラーは除くということでありますから、被害を受けた者は、この法律国家賠償というか、そういうものの恩恵には一切今後浴することができないということでありまして、これは少しく過酷であり、時代逆行かとわれわれは考えておるわけであります。  次に第二点は、いわゆる責任共済に本保険をやらせるということでありますが、これも自民党修正案と似ておるようでありますが、自民党修正は、これから質問で明らかにせねばなりませんが、「政令で定める自動車であってこの法律で」云々と書いてありますから、この政令の中身を自民党案はどう考えるのかわかりませんが、私のほうは「この法律で定める自動車損害」云々と、こういうふうに直したいのでありますから、当然農業共済組合がやるところの共済は、すべての自動車に適用されるというふうに考えているわけであります。  もう一点でありますが、四十条の改正に関する部分は削る。先ほどの質問の中でも申し上げたとおり、本改正案原付自転車保険対象にするわけでありますが、従来の自動車はそのまま国家の再保険に付することになっておりますが、新しく加えようとする原付自転車だけは再保険をしないというのが改正案でありますので、これは時代逆行というか、本制度からいって好ましくないというので、この改正案は削除するということであります。  以上申し上げた三点が私どもの修正案であります。  さらにもう一つ申し上げたいのは、「同意及び協議」でありますが、「同意及び協議」の中で、自民党案もたしかそういうことになっていると思うのでありますが、五十四条の九であります。この中で、これは先ほど申し上げた共済の問題であります。これに対する「同意及び協議」でありますが、自民党案では、運輸大臣及び大蔵大臣の同意を農林大臣が得るもの、こういうふうになっているわけでありますが、私どもの修正案では、「同意及び協議」の第五十四条の九では、大蔵大臣はこの中には入っておりません。なぜならば、関係が全然ございませんので、関係のない大臣を何がゆえに入れるのか。これまた後刻質問をいたしますが、そういう点でも私のほうは筋を通してりっぱなものにしていこうという修正案でありますので、満場一致の御賛成を得たい、かように考える次第でございます。     —————————————
  44. 古川丈吉

    古川委員長 この際、両修正案について質疑の申し出がありますので、これを許します。壽原正一君。
  45. 壽原正一

    壽原委員 簡潔にお伺いいたします。  今回の自賠法の一部改正の問題については、前後八回にわたって、本制度の実態及びあり方について検討されてきた。その結果いろいろな問題点のあることが明らかになったので、ただいま田邉委員から修正案提出された。これはきわめて適切なものとは考えますけれども、農協の責任共済制度の今後の運営にあたって、いままでの審議の過程はもとより、提案者の意図が十分に生かされていかなければならない、こういう見地から、この内容について、責任共済制度のあり方について、その基本的な方向を確認しておきたい、こういうことでございます。簡単にお答えを願いたい。私も簡単に申し上げます。  まず第一点。農協の責任共済対象車種は政令で定めるということにはなっておるが、どの程度の範囲のものを今後考えておるのか。またどう響くと考えておるのか、その点お伺いしたい。  第二点については、農協が所有する自動車対象とされるということになっておるが、その場合農協というのは、農協法に基づく農協及びその連合会をさすものとは思うのですが、その点はどう考えておるか。  また、員外利用の問題についてもはっきりさせておきたいと思いますが、この員外利用の点についてもどう考えられておるか、これを念を押しておきたい。  第三点は、責任共済制度の今後の運営について、その基本的なあり方をお尋ねしておきたい。  第四点。修正案によりますると、ただいま久保委員からもいろいろ御説明されておった中で、農林大臣責任共済事業の実施方法、共済契約、共済掛け金等について処分を行なうことになっておる。そのほかに、運輸大臣はこれは当然責任者としてわかるのではあるが、大蔵大臣の同意を得なければならないとされておるが、この点について具体的にあなたに確認をしておきたい。他の火災共済あるいは建物共済等については、大蔵大臣はこの中には入っておらぬようですが、特にこの自賠法の問題にだけ大蔵大臣が関与しなければならぬという点が非常に納得のいかない点もあるので、この点を確認しておきたい。  第五は、ただいまの修正案によって新たに創設された責任共済制度の実施主体について、この修正案では農協のみということになっておるが、修正案の提案者の筆頭になっておりますあなたは、この制度を将来他の組合にも実施させるようなお考えを持っておるかどうか、この点もあわせて、以上五点について田邉委員のお答えをお願いいたしたいと思います。
  46. 田邉國男

    田邉委員 五点の御質問でございますが、第一の御質問につきましては、組合員の所有するものについては軽自動車及び原動機付自転車とし、農協の所有するものについては全車種をすることとしておりますが、今後早急に全車種に拡大すべきものと考えております。  第二の御質問でございますが、農協法によって設立されたすべての法人を考えております。  員外利用につきましてはこれを認めないという考えでありますが、このことは農業者及び農協法によって設立された法人以外の一般の利用者を認めないという意味であります。  第三の質問でございますが、まず、共済掛け金率につきましては、今回責任共済制度を新たに設けることとした趣旨にかんがみまして、保険とは別個に、農村独自の掛け金率を設定すべきものと考えております。  次に、責任保険につきましては、国への再保険や損保会社とのプールは行なわず、共済制度の中で共済責任の全部を保有せしめることとしております。  次に、査定につきましては、農協独自の組織による査定を考えておりますが、査定基準保険の場合と同一にして、その均衡をはからしめたいと考えておるわけでございます。  最後に、割り戻し制度につきましては、これを実施させる考え方でございます。と申しますのは、昭和三十年の附帯決議の、契約者払い戻し制度を考慮すべきであるという趣旨にかんがみまして、この制度を実施したい、かように考えております。  第四の御質問でございますが、共済制度のたてまえからしまして、第三の御質問にお答えいたしました基本的な考え方がゆがめられない範囲で、共済約款、共済掛け金率査定等の問題に限り、保険との調整をはかる意味で同意せしめるということであります。  第五の御質問につきましては、この法律目的である被害者保護の見地から、現状では構成、組織、能力等の面から見て農協に限定したもので、将来は農協と同等以上の構成、組織、能力を備えた協同組合にはこの事業を実施させ、現行制度欠陥を是正すべきものであると考えております。  以上であります。
  47. 古川丈吉

  48. 久保三郎

    久保委員 私も自民党の修正案について、若干質問を申し上げたいと思うのであります。  第一点はティラーについてであります。いわゆる農耕作業用小型特殊自動車を、あなたのほうはこの法律から全然除くわけですね。全然除くのでありますから、先ほど私が社会党提案説明の中でも申し上げたとおり、ティラーによるいわゆる死傷事故は、本法の適用が加害者にもはやなくなるということであると思うのであります。これをしも放棄したことはいかなる理由があるのであろうか。田邊委員御承知のとおり、本法の存在は自動車による被害者立場を守るためにのみあるわけでありまして、これにマイナスになることはお互いにだれも考えていないと思うのであります。いま農耕作業用特殊自動車、いわゆるティラー強制保険対象になっておるわけであります。でありますから、一般の自動車と同様に被害者関係は成立するわけでありますが、先ほど提案説明で私からも申し上げたとおり、農耕用のこの特殊自動車ティラーは、事故件数も従来非常に少ない。しかも、そういう自動車としての機能からいっても、一般の自動車のように強制保険対象にすることはいかがかと思う。そういうことで、強制保険対象から除くというだけがわれわれの考えであります。われわれの修正案は、いわゆる第十条の中でこれを修正するわけでありますから、被害者ティラーによって出た場合は、いままでどおり本法の恩恵に浴することができる。被害者立場は擁護しながら、ティラーそのものの機能その他からいって、保険対象からだけはずそうというのでありますが、あなたの修正案は全然すべてをこの際はずそうということであって、少なくとも時代からなり本法の存在から見て、少しく行き過ぎではないだろうか、かように考えるわけであります。  第二点は、農協による保険の取り扱いをさせるということでありますが、先ほどの質問にもあったように、政令で定める自動車についてということでありますが、御答弁では農協自体が持っている全自動車、それから組合員が持っている軽自動車及び原付自転車、これを農協に扱わせよう、だんだんには拡大していこうというお話でありますが、われわれの考えの基本的なことをここで一言申し上げなければなりません。質問の過程でもいままで申し上げましたが、本制度はもはやとのような法律で考える時期ではなくなったということを、まず前提に置いております。と申し上げますのは、これは純然たる保険事業ではないということ。出発の当初からそうでありました。先ほども申し上げたように、しかしこの制度運用するのには、現在ある保険業者機構機能を活用する以外になかった。当時はそういう方法が一番手っとり早くて適切であった。だから現在のこの制度になっているわけです。ところがその問題とはまた別に、保険事業と共済事業というものは年を追うに従ってこの領域が、それぞれ侵犯とは言わぬけれども交錯する部面が多くなった。だから当然のごとく、現在ある保険事業法律では保険業法でありますが、そういうものと農業共済、農協の法律がありますが、そういうもので代表される法律制度というものは、この自動車損害賠償という制度のらち外において、別なケースにおいて保険と共済はやはり検討する時期にきていると私は思うわけです。だから自動車事故があったときに被害者を守るという土俵の中で、保険であるか共済であるかという論争は必要のないことであるし、無益なことであり、混乱を招くもとであるとわれわれは思わざるを得ないのであります。結論的に言うならば、本制度運用するのに十全を期するためには、国家の直接の手によるところのいわゆる被害者救済制度としてのみこれは追及すべきであり、また現在はもはやその時期に到達していると思うのであります。だから運輸大臣に申し上げたいのは、単なる手直し程度の、原付がいま野放しになっているからこれを捕捉して強制保険対象にするというだけの——運輸省はそれを重点に置いたということでありますが、それだけの改正案としてこの法律改正案を提案したことについては、間違いであるとは決して申し上げませんけれども、制度自体の根本的な掘り下げを必要とする時期にかかる問題だけでやろうとすることは運輸省運輸大臣の問題でなくて、現政府が本腰でこの問題にとりかかっていない証拠であると私は思う。もちろん計画的な審議でありますれば、当然与党の諸君とも相談の上に、いままで申し上げたような制度を根本的に改正することを考えるべきだと思います。しかしそういう機会に今日まで恵まれませんでしたから、われわれは少なくとも、いま申し上げたように、この制度は単なる保険事業でもなく、共済の事業でもありません。だから、被害者立場をもっと適切に擁護する制度、こういうものの確立のために、これからもやはり真剣に取り組む必要があるというふうに考えておる。それじゃなぜ社会党も同じように——同じというか、中身はだいぶ違いますが、農業共済の介入をなぜ修正案として出したのか。これは単に共済組合事業発展させようとか、共済組合事業を拡大してやろうとか、いうならば農業共済事業を振興するために入れているのではありません。ただ今日、被害者立場というか、この制度からいって重要な一つの側面は、全面的に対象自動車を捕捉するということであります。捕捉するためには、いまの強制保険の上にあぐらをかいた保険業者にのみまかせておくことが不可能なことは、御承知のとおりであります。これは車検とあわせ行なって初めておおよそ十全を期しておるのが現状であります。ところが今回車検のないいわゆる原動機付自転車を本法対象にするからには、少なくともそれに応じた完全捕捉の体制がなければ、これは被害者にとっても十分ではありませんし、本制度運用にとっても十分ではありません。それを考えれば、共済組合は御案内のとおり全国にその窓口を持っている。しかも共済組合としてのいわゆる責任体制は言うならば確立している。そういうことでありますので、われわれ自身としては完全捕捉の一つの手段として、便宜的、過渡的な手段としてのみ農業共済組合の介入を許そうとしているのであります。だから単に原付自転車ばかりでなくて、いままで完全捕捉ができなかったうらみもあるのでありますから、全自動車についてわれわれはこれを許そう。しかし先ほど申し上げたように、本制度は単に共済組合保険事業の角逐の場所ではない、ここで争う場所ではないのであります。だから、そういうところからいって質問を申し上げますが、田邉委員のお出しになった修正案では、共済組合員の原付自転車と軽自動車、農協の持っている全自動車、こういうことであるようでありますが、この理論的根拠は何に求めたらよろしいのか、これが質問の第二点であります。  第三点、言うならば再保険原付自転車はやらぬという。やるべきだというのが私の修正案で、いまあらためて申し上げる必要はありません。だからこの原案どおりにお考えでいることは、いかなる理論がおありであるか。  それから壽原委員からも質問が出ましたが、共済組合の問題に対して農林大臣運輸大臣以外に大蔵大臣の同意と協議をしなければならぬ。何がゆえに大蔵大臣が必要であるのか、もう一ぺんお答えをいただきたい。  以上であります。
  49. 田邉國男

    田邉委員 久保委員の御質問にお答えをいたします。  第一に、農耕作業用小型特殊自動車すなわちティラーをなぜはずしたか、こういう問題でございますが、私どもはこのティラーというものは限られた耕地において運行をする、そういうことで非常にその行動半径というものは狭い。したがって、こういう限られた中で運行をするティラー事故というものは非常に少ない。外国の例を見ましても、この農耕用の小型自動車というものは対象からはずれておる。もしこういうティラー事故があるとすれば、非常にまれなる事故である。しかも、これは大体両者間で話し合いのできるような事故が大部分である。そういうような観点に立ちまして今回これをはずした、こういうことでございます。  それから第二に、政令で定めるということであるけれども、農協に軽自動車、それからバイク、農協保有の全車種を認める、こういうことであるが、それについての理論的根拠は何か、こういうお話でございますが、私どもこれは非常に議論をした問題でございます。したがいまして、現在の時点におきましては、この程度でやってみることが第一に必要ではないか。そうして将来はこれを拡大するという考え方に立って、ひとつ融通性を持たせてやるということが必要ではないか、かように考えまして、かような修正案を出した次第でございます。  第三でございますが、本来の共済制度というものは農林大臣がやるべきことである、自動車に関することであるから運輸大臣と農林大臣がやるべきことだ、こういうお話でございます。私どももさような問題だと考えておりますが、しかし一方において、やはり大蔵省保険事業というものを監督いたしております。その面におきまして、私どもは、すべてのこの責任共済制度について大蔵省が監督指導をするということでなくて、限られた料率、また査定、共済約款、そういう問題のみにしぼりまして、ひとつ保険会社の業務を監督しておる大蔵省も、この責任共済制度のこの点については、同意という形でこれに参画させることがいいではないか、こういう観点に立ちましてこの修正案を出した次第でございます。
  50. 久保三郎

    久保委員 御答弁ありがとうございました。まだ再質問がございますので、しばらくそこにおいでいただきたいと思います。  総括して、御答弁修正案から、これはたいへんだという気持ちを抱くものが一つあります。大きな政治課題にもなろうかと思いますが、これは前段、私どもが考えているこの制度に対する問題点を申し上げました。それから見て、いまの御答弁とこの修正案からは、これはたいへんなことになってきた、こう私は思うのです。と申し上げますのは、この修正案と御答弁からうかがい得るものは、やはり大蔵大臣の権限、あるいはそれを裏返しすれば保険業としての立場がさらに明確になってきたということ。一つは、農協にかたがた許すようではあるが、限定した車両のみを今日許そう、ということは、言うならば保険業としての領域は侵さない、侵させないという思想をうかがい知ることができます。  それからもう一つは、再保険についてはお答えがございませんでしたが、再保険はあなたのほうの修正にはございませんが、これは提案のほうでは、原付は再保険をやめるということですね。これはもちろんいままでもたびたび申し上げたとおり、保険業としての立場から再保険は要らないということですね。だから保険業としての立場が、さらにこれによってコンクリートされてきた。  それからもう一つは、ティラーを除くことでありますが、事故がないからとおっしゃる。事故はあっても少ない。そのとおりです。しかも、過去の例によりますれば死傷事故もございます。数は少ない。当然そういう数の少ないものは強制保険対象にはしないが、本法対象にして被害者を救うということは残すべきであります。しかし保険として考えた場合には、これは保険の値打ちがないという思想が直ちに出ます。事故がたくさんございませんから、あなたの御答弁のとおり、行動する半径も狭いからということであります。そういうことで、第二番目に、この制度保険にさらに近いものになってきた。  第三点は、言うまでもなく、共済組合の問題について農林大臣が、あなたの修正案どおり大蔵大臣の同意を求めたり協議をしたりしなければならぬ。それは料率その他についてでありますが、これはあなたは、今後その修正案が通った暁、農協がやった場合に、保険料についてリベートするというようなことを言明されましたが、それは今日ただいまの御答弁であって、この修正案のように大蔵大臣の同意を求め、協議をせねばならぬという条項とその精神が残る限りは、断じて農協のそういうわがままというか、かってな仕打ちはできないものと判断していいと思うのです。だからこれはかえって問題を大きくし、第三点として、保険業立場にさらにコンクリートされつつある。  私は決して保険業そのものの存在を否定したり非難するわけではありませんが、冒頭申し上げたように、この制度の中で保険業立場を主張されるのは困る、被害者立場に立って何がいいかをわれわれは追及するということでありますから、再び田邉議員に御質問申し上げるのは非常に恐縮なんだが、ここでやはり明確にしておく必要があるので、さらにもう一ぺんこの一点、二点、三点について御答弁をいただきたいし、田邉議員も実はよくわかっておられるのだから、わかっていることは率直にここでお互いに出し合うことがいいことだと思うので、私は重ねてお願いするわけであります。
  51. 田邉國男

    田邉委員 まことに久保委員の御質問は核心をついておると私は思います。そこで私どもも実は理想的なものでありたい、これは願っておるわけでございます。そのことにつきましては、今後も野党の委員の皆さん方の御協力を得てできるだけ理想のものに近づけたい、かように考えておるわけでございます。  そこで再保険の問題でございますが、私どももこの問題については非常な検討をしたわけでございます。と申しますのは、原動機付だけ再保険をしないという問題については非常な問題点がある。そこで私どもいろいろ調査研究の結果、従来の自動車についての保険会社の再保険という問題を見ておりますと、大体事故率というものが七七%の中で限られておる。そういう範囲の中で可能であるならば原動機付については一つのテストケースとしてこれを再保険しない、こういう考え方についての検討をずいぶんしたわけでございます。そこで私どもはテストケースとしてこれをひとつはずしてみよう、しかしながら、これがやはり非常に危険性のあるものであるならば、これは将来再保険をしなければならないときもあるかもしれない、かように考えて、実は一つのケースとしてこれを出したということについて、久保委員十分もう御承知かと思うわけでございますが、私の意中をおくみ取りいただいてひとつ御判断をしていただきたい、かように考えるわけでございます。  それからもう一つ、リベートの問題がございましたが、この問題については、先ほどの料率の算定、共済の約款それから掛け金率査定等の問題につきまして大蔵省の同意を得る、こういうところにかかって、実際に新しい責任共済の中における余剰金が出た場合の割り戻しの件については、昭和三十年の附帯決議の趣旨に沿いましてこれをやることが必要で、先ほどから久保委員がおっしゃっておるように、これは営利事業ではないので、やはり一般被害者立場に立ってものを考えるならば、もし余剰のものが出れば割り戻しをするということは当然である。これについては私は、大蔵省も理解をもってこれに対処するであろう、かように考えるわけでございます。この点につきましては、将来の問題でございます。また野党の社会党の皆さん方の深い御理解と御協力をいただきましてひとつ実現を期したい、かように考えるわけでございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 田邉委員から誠意のある御答弁をいただきまして、たいへんありがとうございました。言い得ないこともお互いにたくさんあろうかと思います。ただ、一つ約束したいのは、冒頭申し上げたように、これはもう保険とか共済の問題ではないと私は思うのですよ。だからこれだけの交通戦争というさなかになってきているのだから、手直しや業界のことを考えていたのでは、残念ながら国民大衆の要望にはこたえ切れないのではなかろうかと私は心配しているのです。ついては、この法案は時間的にどういう形かで結論づけながらいくだろうと思うのですが、この法律とは別に、制度自体の根本的な練り直しというか、国民大衆の要求に合致するようなものをお互いに虚心たんかいにこれから、おそいけれども作業を始めることを約束したい、かように私は考えるのだが、与党のあなたとしてはどう考えますか。
  53. 田邉國男

    田邉委員 久保委員のおっしゃるとおりでございまして、私も可及的すみやかにこの問題が被害者保護の立場に立って、そして強制保険また責任共済制度というものが十分国民大衆、被害者保護の立場に立って万全を期する方向で、与野党ともひとつ協力をしてやってまいりたい、かように考えております。
  54. 久保三郎

    久保委員 先ほどの答弁で、ティラーについては事故がないことを強調されましたが、事故がないと言ってもあるのでありますから、これはやはり考え直さなければいかぬ。そういう制度から全然もう被害者が救われる道はないということは、考えてもらわなければいかぬと私は思うのです。これはまだ時間もあることでありますから、少なくともこの制度から被害者がはずれていくというのは危険だと私は思うのです。ティラー強制保険対象から除くことは、われわれも賛成です。政府も私の質問に対して賛成をいたしております。これはよろしい。  それから、もう一つは再保険についてです、いままで、事故のないといわれるティラーでさえも国家が再保険をした。だからそういう経緯も考えれば、いま青天のへきれきのごとく原付自転車の再保険だけはやらないのだということ自体が、どうしても納得がいかない。これはもう答弁は要りませんが、ただ自民党の修正案はたいへんよいと思っておるのか、よいとすればどういう点でよいのか、両方から説明してもらいたいと思います。自民党のほうからは必要性について田邉議員から十分誠意のある答弁を伺ったが、与党が出した修正案だから通る可能性があるわけだが、それを前提に考えた場合に、これはよいのか悪いのか。それから少数野党といえども社会党が存在するのです。しかも修正案を出しておるのだが、この社会党の修正案のよいところはあるのかないのか。よいところと悪いところどっちもあるだろうから、ひとつ説明してほしい。わからないならわからないという場所を示してください。全部わからないという話はないのだから……。
  55. 坪井為次

    坪井政府委員 政府としてまだ正式な態度をきめておりません。
  56. 上林英男

    ○上林政府委員 本件につきましては、本委員会でいろいろと御審議を願っておるところであります。これが成立を見ました暁におきましては、院議に従って善処するものでございまして、この際におきましてはお答えを略させていただきたいと思います。
  57. 久保三郎

    久保委員 お答えを省略してはいけない。自動車局長は、まだもらったばかりでよくわからない、しかも政府としてはまだ態度を決定してないのでお答えができないというのですが、これは正直でそのとおりです。しかし保険部長は少し越権だ。そういう態度が政府自体まだきまっていないのに、あなたが意見を言うことはおかしい。だから次回までにこの両案について政府としていかに考えるか、これは協議して政府として結論を出していただきたい。  以上で質問を終わります。
  58. 古川丈吉

  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 一つだけ。きょうからまた全国をあげて交通安全運動で、けさのテレビでも、ゆうべも、一日三十六人ずつ死んでおるということで、また急激に事故が多くなってきた。私どもの党の根本的な考え方は、先輩議員のほうから伺いましたが、いま田邉さんと壽原さんの質疑応答を聞いて、私はひとつほのぼのと感じたわけです。なるほど知性派の田邉さんだ。それは割り戻しの問題について、この法律が提案された際に国会の附帯決議を引用された。三項ですが、「収受した保険料総額から、支払った保険金総額と附加保険料総額との合算額を控除し、なお相当の残額あるときは、これを一定の比率に保険契約者に割戻すが如き方法を考慮すること。」これを取り上げてあなたは説明されたのですね、それでお尋ねをしたいのです。それほどこの自賠法の精神というものと国会審議を大事にされたあなたとして——自賠法が提案されたときの大臣趣旨説明、この趣旨説明には第二の理由としてこういうことを言っていますね。「その特殊性にかんがみ、政府がその百分の六十を再保険する措置をも講じております。」こういうことを提案理由の大きな柱として大前提に打ち出し、したがって自賠法四十条は「政府は、保険会社責任保険事業によって負う保険責任を再保険するものとする。」こういうふうな法律をつくったのです。このことはほかの法規には見られない。いわゆる再保険の当然成立制をとっておる。これはほかの法規には全然見当たらない。なぜそういう措置をとったかというと、これは政府の再保険は主として産業政策の分野で実施されているものであって、そのほとんどが包括義務再保険に属し、本条のいう再保険というものは包括義務再保険のうちの比例再保険をとっている。政府の再保険は包括義務再保険の成立を特例によることなく法律上当然に成立するたてまえ、いわゆる当然成立制をとっている。先ほど久保議員の質問に答えて、たいへん悩みが多い、一歩でもいいことに近づけるというお話で、その限りにおいて私も同意をいたします。だがその根本的な、この自賠法の生命を奪ってしまう四十条の改正の原動機付を除くという部分について、知性派というあなたがなぜこれを不自然に感じないのか、なぜここだけおとぼけになるのか、その事情をひとつお聞かせいただきたい。
  60. 田邉國男

    田邉委員 泊谷委員の御質問はなかなか辛らつな御質問だと思います。今回の自動車強制保険というものを責任共済制度でやる、これは私は一つの革命だと考えております。そこで、なぜバイクについて再保険をしないのか。これはいまバイクの数というものは全国で約七百五十万台くらいあります。ところがこのバイクの使用というものは、大体農村が六五%から七〇%を占めております。と申しますと、結果においては責任共済制度の農協に所属するものが大部分これを使うであろう、こういう考え方も一方に出るわけでございます。あなたのお説のように、再保険をすべきである、これは確かにそうでございますが、共済制度には再保険というものはないわけでございます。そこで私どもの考えておることは、このバイクの大多数が農協に所属する人たちが使っておる、六五%から七〇%、そういう観点から考えて再保険の問題については、新しい観点に立って、今回はひとつテストケースとしてこういう制度をとってみよう、こういうことに相なったわけでございまして、その点将来やはり再保険必要性というものが強く打ち出されたときには、これはやはり再検討を要することはもちろんでございますが、現時点においてはこれが最も融通性のある、しかも新しい観点に立った制度であると考えてかようにやったわけでございます。
  61. 泊谷裕夫

    泊谷委員 一つ質問をやめる約束だったのですが、いまのお答えで間違っておったものはやっぱり直しておかなければならぬ。原付七割五分というそういう部分的なとらえ方をされては、前政務次官としては困るのです。この法律が出たのは昭和三十年。三十二年の自動車生産高はわずか十八万五千両、昭和三十九年は百七十五万両ですよ。保有台数は昭和三十二年では二百六万、昭和四十年では六百九十八万、約七百万です。ですからいまあなたの説で、再保険は必要ない、危険度がなくて必要ないということなら、危険度の高いところは逆に黒字が出たんだから保険料は百万といわずに百五十万、二百万とするならば、それは一つ理屈ができます。だけれども私がお尋ねしているのは、自賠法というものの精神は、いかなるものであっても産業政策上設置されたものである限り、現実に起きている問題をとらえたって流動性の高いこの種の問題について再保険をしないということは、抜本的にこの法律の根本を奪ってしまうことではないですか。なぜそれをあなたが見のがしにするのですかと聞いておる。お答えをいただきたい。
  62. 田邉國男

    田邉委員 ティラー、バイクの再保険の問題でございますが、私は、やはりこういう制度についても時代の進展とともに一つの新しい考え方というものを取り入れることが必要ではないか、しかしもしこの制度が非常に被害者保護の立場から重大な欠陥があるということであれば、改むるにやぶさかではございません。
  63. 古川丈吉

    古川委員長 両修正案に対する質疑はございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、両修正案に対する質疑は終局いたしました。  討論、採決は次会に譲ります。      ————◇—————
  64. 古川丈吉

    古川委員長 次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  65. 久保三郎

    久保委員 前会に引き続いてお尋ねをするわけでありますが、一つは、法案と直接は関係ないことだと思うのでありますが、港湾運送関連事業関係でありますが、こういうものがこれだけで免許をとってやるというのはないはずだと思うのですが、これはそういうふうに考えてよろしいわけですか。
  66. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 私どもの提案いたしました港湾運送関連事業につきましては、これ自身を専業でやっているものもございますし、兼業でやっているものもございます。なおこの法律においては、これらの関連事業というものの実態を明確にしたいということで届け出制をとっているわけでございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だと、この港湾運送関連事業はやはり独立してこういう仕事をしている業者もいるということでありますが、そうしますと、これはこれだけの単独の事業として許すということになるわけですね。ところが従来これは、港の作業はよくわかりませんが、大体想像するのに、ほかの港湾運送事業者が、いうならばサービスか料金かわかりませんが、そうだと思うのだが、関連して——関連というより、船内荷役の業者なら業者がこの関連事業といまから規定しようとするものを今後も、ほまち仕事と言っては語弊があるが、そういうことでやる心配が出てきはしないか、こういう面が片方にございます。だから、局長がおっしゃるように、港湾運送関連事業というのは、単独または兼業というふうにきちっときめられるかどうか。きめられるならきめても、そういう関連事業の免許を受けてない者が、その他の港湾運送事業者がこれをいままでのしきたりかなんかで、そのままやっていきはしないかという心配があるわけなんです。これは港の事情をよく知りませんからそういう点が心配なんだが、そういうものの整理というか、きちんと区画ができるのかどうか、これはどうですか。
  68. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業そのものではございませんが、実際にこういう関連した業というものが、荷役をして船が出帆するまでに必要なものでございます。したがいまして、今回届け出制にいたしますれば、専業のものはもちろんでございますが、兼業におきましても、その業をやる者として届け出をすることが必要になってくるわけでございます。
  69. 久保三郎

    久保委員 それから、ポートサービスとして本船のもやいの取りはずしなどをやる会社があるわけですね。これはどういうふうになりますか。いまもそういう仕事をやる会社というか事業があるでしょう。これはどういうふうになるか。
  70. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 こういういわゆる綱とりと称する仕事はあるわけでございますが、このことは本船の離着岸に必要な事業ではございますが、港湾運送事業範疇ではないと思っております。
  71. 久保三郎

    久保委員 そうすると、これはあまり対象にせぬでも業界全体として問題はない、こういうふうに考えておられるのかどうか。
  72. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 私どもが関連事業というものを対象に取り上げましたのは、三・三答申の中にも必要に応じてはこういう関連事業についての規制指導を行なえということが書かれてあるわけでございまして、そういう観点から取り上げたわけでございます。したがいまして、いまの綱とりその他の仕事というものももちろん必要な仕事ではございますが、港湾運送事業という観点から見れば、その範囲の外であるということで、これについては触れてないわけでございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 次に、はしけはいままでは百トン以上のものは対象から除いているわけですね。今度はそれがはずれるわけですね。原案ではそういうことになるはずですね。これはどういう理由といかなる効用があるのでしょうか。
  74. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 木造の場合は別でございますが、鋼船の場合は実はこの港湾運送事業法対象ではなくて、内航運送の対象になったわけでございますが、実態は港湾の運送事業をやっているわけでございまして、それを明確にするために、今回この法律改正にあたりまして、法律対象ということを明確にしたわけでございます。
  75. 久保三郎

    久保委員 そうすると、いまの局長説明からいくならば、いま御説明のあったような船については、内航の海運業法、こういうものの適用じゃなくて、港湾運送事業法の適用にする、こうはっきりするわけですか。
  76. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 実態が港湾運送をやっておる者が、港湾運送事業法対象じゃなくて内航運送事業法の対象になっているのは困る、こういうことで港湾運送事業をやる者についてはこの法律対象にしたい、こういうことでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 これはまた、その実態をよく知りませんので、しろうとらしい質問でありますが、いまのように画然と、内航海運じゃなくていわゆる港湾運送を専業でやっているという者はこの法律対象にする内航は内航のほうでやる、こうきっちりと規制ができればそのとおりだと思うのでありますが、さように仕事の内容が画然としているものであろうかどうか。かたがた港湾運送事業に携わりながらも、ある港間、想像すれば、近い港間で内航としての運送の役割りも果たす。極端なことを言えば、横浜で港湾運送をやりながら、荷物を積んで、たとえば名古屋に行って、名古屋にも免許を持っているから、そこで港湾運送をやっている。荷物を積んでいく場合には内航としての処理になる、両方の港に港湾運送事業の免許を受けているから、そういう種類のものをやっているのだ、こういうものもありはしないかという想像なんです。そんなのはございませんというならば、問題はないと思います。
  78. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 この実態は京浜港の港域において実際あるわけでございますが、いまお話がございましたように、それが名古屋——一例でございましょうけれども、そういう遠いところまで行って、その中間は内航運送事業であるけれども、両端は港湾運送事業である、こういうような例はございません。
  79. 久保三郎

    久保委員 ないと言われても、ちょっとよくわからないので、実際は、はっきり申し上げて、そういう船をいまだかつて、残念ながらこれだけは見てはいないのであります。だからそういうものは大体どの程度あるものか、それからこの作業の実態、いま局長答弁されたのはどんなことをやっておるのか、これはあとでけっこうですからちょっと書いたものがあれば簡単だと思いますので、書いたもので説明をしていただければよろしい、こういうふうに思うわけであります。しかしこれは問題は簡単ではなさそうに私は思っているわけです。局長御案内のとおり、きのうの閣議決定では、内航の再建というか、そういうものも御案内のとおり出てまいります。もっともいまごろ出すのはおかしいので、法案は通さぬでいいという意味だろうと思うのですが、そういういい悪いは別にして、片方では、早く言えば内航の集約ですね。それで近代化というか、合理化というか、そういう方向で係船をやったりスクラップをやろうということであります。港湾のほうでは大体集約、近代化、合理化というか、そういう方向でやっておるわけです。その場合に必ず内航海運とこの港湾運送事業とでは、ある部面では衝突する場合がありはしないかという心配が一つある。そういう作業をやっているわけです。これは衝突があることは当然あると思うのだが、そういうものはいかようにでも、考えれば解決ができるかもしれない。ただ問題は、そうなると一つには、そこで働く者の立場から言うと、非常にあいまいな解決をされる心配が出てきはしないか。片方は非常にシビアな形で港湾運送事業は三・三答申によってある程度——しかしこの法案からいくとあぶないけれども、ある程度働く者の立場というか、そういうものは守られる約束にはなっているわけだ。ところが内航の場合はそういう約束はない。船のスクラップ・アンド・ビルドか係船かということです。そういうことが二つあると、これはなかなかむずかしい問題が起きはしないか、そういうことは想定されているのかどうか、私は想像だけで質問しているのでありますが、どうなんです。
  80. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 ただいまの内航海運業法と港湾運送事業法との問題でございますが、これは目的が非常に違うわけでございます。ただここに、百トン以上の鋼船についても、実際に港湾運送事業をやっているものをこの法律対象にすることを明確にしましたのは、京浜港だけでございますが、ここに現在二十隻前後のそういう港湾運送事業をやっておるはしけがあるわけでございます。こういうものがあるというのは、従来は木造舶でやっておりましたものが、鉄ばしけをつくった。そこでそれが百トン以上であれば、鋼船であるがゆえに内航海運業法だけの対象になるという矛盾が出てきたので、こういうことをいたしたわけでございまして、特に内航海運業法との関係その他というものを考えてやったわけではございませんし、将来のことについても、そういう意味で考えたわけではありません。現在そういうように木造から鋼船にはしけが変わってきた、そういう大型のはしけが京浜港に実際にある。それを対象にしたい、こういうことでございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 あなたのお話はわかるのだが、そうしますと、私が質問したような問題が起きないという想定ですか。そういうものは絶対に起こり得ない……。
  82. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 両方の法律趣旨も違いますし、今後のことでございますので、いまここで非常にはっきり申し上げにくいと思いますが、私どもは、港湾運送という面だけから考えてみますれば、そういう問題は起こらないと思っております。
  83. 久保三郎

    久保委員 それは私もさらに検討いたします。あなたのほうでも一ぺん検討してみてください。あのときはそう言ったが、実際は息を吹き返して、これはこうだったなんというのは困ります。そういうのは私はあると思うのです。というのは、いままで内航で、今度はどういう法案か知りませんが、仄聞するところによると、共同係船というのですから、共同係船なら多少いいのかなという気持ちもしますが、スクラップということでありますから、これもスクラップの方向ならばある程度実現性はあるのだが、係船というのは私は非常に不安に思っているのです。そういう場合にいまのような問題で、今度は逆の問題として港湾運送に逃げ込むということがありはしないか。そうなった場合にまた混乱するということも考えられるわけなんで、あなたは専門家でありますから御答弁に狂いはないと思うのでありますが、私どもしろうととしてはそういうことも考えられるということであります。(關谷委員「それはないんだ」と呼ぶ)關谷さんがないと言うのだから、ないと・は思うのだが……。  あとは、たいへん失礼なのだが、連休がありまして、その間先ほど提案されたような自賠法の問題で実は仕事をとられまして、前会、というとたしか十日以上前、半分くらい質問したので、はっきり言ってそのけじめもさだかではありません。それから、資料もいただいておりますが、まだ検討しておりませんので、本日はおいでをいただいてこの程度ではたいへん悪いのでありますが、この程度であとは次会に回していただきたい、かように思います。
  84. 古川丈吉

    古川委員長 次会は明後十三日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散