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1966-04-28 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十八日(木曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    木村 俊夫君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       増田甲子七君    山村新治郎君       井岡 大治君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  福井  勇君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局参事         官)      河毛 一郎君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月二十八日  委員小渕恵三辞任につき、その補欠として一  萬田尚登君が議長指名委員に選任された。 同日  委員萬田尚登辞任につき、その補欠として  小渕恵三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十八日  道路交通事業抵当法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇九号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一二号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 港湾運送事業法改正で一番先にお尋ねをしておきたいのは、この前運送事業法改正したときに、もちろん最初は届け出を免許改正をしたといういきさつ等もありますが、実際運営していく上においてほとんどが省令委任したわけですね。そこに問題があったと思うのです。しかし今回の改正案を見ても、やはり省令委任事項が非常にたくさんあるわけです。したがって、この省令委任すること自体をここで究明しておかないと、せっかくおやりになってもまた同じようなことになるのではないかというように思うのですが、この点を港湾局長からお伺いしたい。
  4. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 昭和三十四年の港湾運送事業法改正のときには、免許制度というものが国会の修正で成立したわけでございますが、仰せのように省令委任された事項はもちろんございますが、私どもとして一番重要だと思います免許基準のようなものは、法律に基づく省令委任ではございませんで、私ども内規としてそれをやらざるを得なかった、こういうことでございまして、今回ははっきり法律にうたうところの省令委任ということで、免許基準なりさらに再下請禁止を含めまして、直営率の向上ということを今度の改正では提案しているわけでございます。
  5. 井岡大治

    井岡委員 内規ということですが、その際にお約束をしたことは、これは三年にする、その三年の間に一応われわれとしては政令あるいは省令等について明確なものを規定をして皆さんにお示しをして、そして皆さんの御意見を聞く。最初私が改正案を出したのは一年ということであったけれども、一年では準備ができないから三年にしてもらいたいという政府の要請に基づいて三年にしたわけなんです。ところが現実には三年たっても、昭和三十四年から今日までそれらの内規等についていまだここで発表されておらない。ここに問題があったわけです。したがって、今回の省令事項等についてはあらかじめ用意をしたものでないとまた同じような結果になると私は思うが、この点についてお伺いをしておきたいと思う。
  6. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 前回の改正後、免許切りかえがおくれましたこと並びにいまお話がございましたように、その基準につきまして国会において明確にいたさなかったことはたいへん申しわけないと思います。今回の改正にあたりまして第十六条の二項には省令委任する事項があるわけでございますが、この内容につきましては、日本運協会意見も十分くみまして、一応の成果を持っておるわけでございます。
  7. 井岡大治

    井岡委員 では後ほどでけっこうでございますから、その基準と申しますか、あるいは省令にする準備の案、こういうものを出していただきたいと思います。
  8. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 提出いたします。
  9. 井岡大治

    井岡委員 そこで問題は、基準省令で定めるということは、私はここまで改正をされるのであれば、普通の免許制度と同様に、たとえば道路運送事業法のように、法律の中で明確にしておいたほうがいいと思うのです。省令で定めるだけで、はたしてその省令違反をした場合における罰則がどうなるのか、あるいは準則しない場合どうするか、こういう問題が出てくると思うのです。したがって、この点についての御意見をお伺いしておきたいと思います。
  10. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまお話がございましたように、省令委任する事項はあるわけでございますが、これを全部法律で明確化するということが現在の段階において可能なのかどうかという問題があるかと思います。これは三・三答申趣旨をくめば、非常に、何と申しますか、現在の実情から見て飛躍的な強い線が出なければならないわけでございまして、これを一挙にそういうように持っていくということは現状に合わないのではないか、したがいまして、別に港湾審議会の中に港湾運送合理化部会というものを設けまして、そこにおいて具体的な集約なり一貫作業なりについての案を審議していただく、こういうこともあわせ持っておるわけでございまして、実情に合うように基準をきめて指導していくという意味から、省令にゆだねるほうが現段階においてはふさわしいのではないかというように考えておるわけでございます。
  11. 井岡大治

    井岡委員 港湾局長もよく御存じだと思いますが、港湾運送事業者というのはかなり手の込んだことをおやりになる業者なんです。したがって、現段階においてそれが無理だ、合理化部会で検討する、こういうようにおっしゃっておいでになりますけれども、私は、それだけではたしてあの人たちがおやりになるだろうか、この点について非常に不安を感ずるわけです。たとえば三十四年のときに、一ぱい業者はしけ一ぱいを持ってやっている業者、あるいは電話業者、こういうようなものは、いわゆる近代化をする上において大きなネックになるから、これらを整理をするためにも免許制度に初りかえなければいけない、こういうことにしたわけですが、依然としてそれが行なわれておる。法律自体はどっちを向いておってもいいんだ、こういうような考え方の人が多いと思うのです。したがって、合理化部会をおやりになる場合、かなり強制力を持った合理化部会でないとできないと私は思う。ですから、もし省令違反を行なった場合どうするのか、こういうことをお尋ねしておくわけです。
  12. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 お話がございました省令違反の問題でございますが、省令違反のときはその免許を取り消すということにいたしたいと思います。
  13. 井岡大治

    井岡委員 省令違反した場合は免許を取り消す、したがって基準等については一応あらかじめ用意をしておるから、これをお出しを願うということでございますから、その際にこの問題についてはあらためてお尋ねをいたしたいと思います。  そこで三・三答申の中で「港湾運送事業者がその能力をこえる荷役需要を受けた時は、同一港湾内において、事業者間の公正な荷役受注調整を行なう。」こうなっておるわけです。そこで問題は、受注調整を行なう場合における一定基準というものがなければいけないわけですね。言いかえて申し上げますと、業者としての適格性を持っておるものでないといけない。今回の法律改正の一番焦点は、そこにあると思うのです。あなた方の説明の中で、当該事業適確に遂行するに足るものであるだけでなく、一定規模以上のものでなければならない、こう言っているのです。したがって公正な荷役受注調整を行なうということと、これとどういう関係があるのか、このところを聞いておかないとやはり問題が出てくる。
  14. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまおっしゃいましたことは、この法律改正におきまして、再下請禁止しておるわけでございましてもう一つ直営率というものを省令できめるようにいたしておりますので、その両方からおのずから公正な仕事の量というものがきまりますし、いま仰せられたような事態というものは防げる、かように思うわけであります。
  15. 井岡大治

    井岡委員 そこで問題は、私は直営の問題はあとお尋ねをしたいと思っておりましたが、事業を円滑にはかるために、いわゆる遂行をするために、一定基準が必要なんです。したがって常用ということを考えなければいかぬ。その常用ということをある程度お考えになっておるのかどうか。同時にこの常用の中で港湾運送事業における常用と、それから港湾労働法における常用と、こう二つ常用ということがある。これは同一なのかどうか、この点をお伺いしたい。
  16. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 常用ということには事業者がみずから雇っておる人間を使うわけでありまして、労働法にいわれておるものも運送事業法にいっておるものも同じと解しております。
  17. 井岡大治

    井岡委員 同じですね。そこで、規模等において、あるいは港湾荷役料等にも若干の高低はあると思う。そのためにその常用の数等についても若干の違いというものはありますが、たとえば横浜とか神戸とかの大きな重要港湾になっておるところの港湾運送事業者常用というものはどの程度予定されておるのか、あるいはこれらについても省令で明確にしてあるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  18. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 今回の法改正におきましては、施設労働者保有について基準を高めるわけでございます。これは省令にゆだねられておるわけでございますが、先ほどお話がございました昭和三十四年の法律改正による免許は、たいへん残念なことですが、昨年六月までだった、こういう事情でございますので、そのためにはこの法律においても免許されたものとみなすわけでございますが、今後新しいものについては大体五割以上の施設労働者というものの基準を上げるわけでございます。しからば現在あるものについてはどうかということになるわけでございますが、これについては先ほど申し上げました合理化部会答申によって逐次集約という形をとっていく、そういうことで常用率というものの規模を大きくしていきたい。それからもう一つは、この十六条の一項にございますような再下請禁止ということを通じて企業規模というものが大きくなるように指導していきたい、それによって常用率を高めたいと思っております。
  19. 井岡大治

    井岡委員 ここで問題となるのは、いわゆる現行法でも下請禁止しておるわけです。一応禁止しておるわけです。しかしその禁止をしておりながら、いま局長から御答弁いただいたように、施設常用等についての規定がなかったために、いわゆる下請が横行ばっこする、そして今日のような状態になっている。しかもそれを暴力団等がやっている。こういうようなことから、かなり港湾運送事業法それ自体について、あるいは港湾運送荷役それ自体について、世間から注目をされておったと思うのです。したがってここで考える場合、その常用というものを明確に——いわゆる臨時に雇う、こういうことの常用、たとえば、おまえは忙しいときには来てもらうという契約をも含めた常用ということになると、これはかなり問題が出てくると思うのですが、この点はどうなんです。
  20. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 現行法においては、再下請禁止ということは明確にされておるわけであります。  それからもう一つは、事業免許にあたりましては、施設及び保有労働者、これは基幹労働者とその他の労働者とございますが、これについても内規として基準をきめて、それによって免許をしておるわけでございます。ただその場合に、現行法におきましては、責任を持って引き受けた仕事を遂行するに足るということでありまして、一定規模というものを想定していないわけでございます。したがいまして、いまお話がございましたように、常用化というものが促進されませんので、この際この法律改正考えておりますことは、一つの安定した企業を営む規模というものを想定いたしまして、それを基準化していきたい、こういう考えでございます。  もう一つは、現在常用と申し上げておりますのは、労働基準法その他によって、事業者労働者について、たとえば失業保険を払う、そういうことで提出しなければならない書類がございます。これに基づいて事業計画をわれわれが監査しておるわけでございまして、先生先ほどお話しになったものまでも含めて常用と言っておるわけではございません。
  21. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、この常用は、先ほど一般論として、港湾運送事業法常用港湾労働法常用同一のものか、こういうことを私がお尋ねした際に、同様のものだ、こういう御答弁をいただきました。したがってこの常用というものは、労働法に基づく常用というように、ここに明らかにしておいたほうが省令をつくる上において非常にいいのではないか、こういうふうに思いますが、この点いかがですか。
  22. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、ここで申しておる常用というのは、港湾労働法で述べておる常用と同じものをきしておるわけでございます。
  23. 井岡大治

    井岡委員 そこで規模の問題ですが、従来もおそらく規模というものについては、たとえ内規であったとしてもお考えになっておったと思うのです。   〔委員長退席山田(彌)委員長代理着席〕 それをあえてここで規模ということを打ち出さなければ、今日の港湾運送事業を円滑に遂行することができない、こういうことから考えられて、規模というものを打ち出されたんだろうと思うのです。そこで、その規模等についてはどういうようなことをお考えになっておるか。これは後ほど資料を出していただくということですから、概念的なことでけっこうですから、ひとつ……。
  24. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 大体六大港を中心にして考えておりますが、この場合には、現在の事業者年間に引き受けておる仕事の量、それの平均以上というものをもって一つの適正な規模であると考えまして、それを遂行するに足る施設並びに労働者というものをとって基準にしたい、かように考えております。
  25. 井岡大治

    井岡委員 次にお尋ねをいたしますが、問題は直営でございます。直営規定をここに新たに設けられたということは、私は非常にけっこうだと思うのです。しかし一面、一定率とこう書いてあるわけですから、この一定率の中で、どう申しますか、不徹底なことになりますと、これはたいへんだと思うのです。ですから、せっかく大きく発展さそうとなさっておいでになりますから、この際、この一定ということについての見解をひとつ承りたいと思います。
  26. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾荷役波動性というものがございますので、一〇〇%の直営ということは非常にむずかしい。そういう意味から、現在における船内荷役実情その他を勘案いたしまして、月間の受注量の七〇%というものをもって一定率というようにきめたいと思います。
  27. 井岡大治

    井岡委員 これも省令委任をしておりますから、一応お考えになっておいでになると思いますが、そういうように解釈してよろしいですか。
  28. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 はい。
  29. 井岡大治

    井岡委員 したがって、これも一応出していただけませんか。お願いします。そこで七〇%ということでございますから、一定の要件をととのえたものについては、下請制度利用することを認めております。ここでいう下請制度利用ということと、下請制度を認めるというのと、その利用ということに何か意味があるような気がしてならないのですが、どういうことですか。
  30. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 普通に言っております、自分以外のものを使うということを利用というように表現したわけでございます。特に深い意味——いまお話がございまして初めて気がついたのでありまして、普通の意味でございます。
  31. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、利用ということは別にそう大きな意味はない、こういうように理解してよろしゅうございますね。そういうことになると、私は利用ということを省きますが、下請制度を認める、こういうように理解をする。そこでその下請制度というのは三〇%しか認めない、こういうように理解していいですね。
  32. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 現行法におきましては、十六条は全部下請禁止する、こういう趣旨でございまして、元請業者が、この法律の二条でいいますと第一項の業者が、二から五までの仕事の中の一つにつきまして、その一部を直営すればいいということになっておりますが、この法律ではその一つについては七〇%まで、したがいまして、先生が言われましたように三〇%は下請になる。しかし元請でございますから、それ以外に、たとえば船内自分でやれば沿岸、はしけ等が残ります。そういうものについては、二項に書いてあるような基準によって、下請直営とみなす、こういう趣旨でございます。
  33. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、そこに若干また彼らがはびこる余地が残っておるような気がするのです。一つ事業について七〇%直営なんだ、ですからほかのたとえば船内荷役以外のほうに名をかりて、下請がさらに大きくなる、こういう気がしてならないのであります。これらの問題についてどうお考えになっておるのか。ここのところをはっきりしておかないとややこしくなりますので……。
  34. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 日本港湾運送というものは、御承知のように、いろいろな部門の専業者がございまして、それの総合のような形になっておる。これを一ぺんに全部元請がやるということは、非常に現在の段階ではむずかしい問題でございます。しかし答申にもありますように、一貫作業責任体制ということ、それからそれを系列によってやるということがございますので、下請制度利用いたすのでございますが、それを元請がはっきり責任をとれるように、しかもその系列にあるような形で責任がとれるように、こういうことが省令できめておる事項でございまして、全面的に下請禁止するということは、現在の段階では逆に混乱を起こすのではないかと思います。
  35. 井岡大治

    井岡委員 私は、現段階下請制度というものを全部廃止してしまって、波動性の多い港湾運送事業を直ちに直営一本でやれ、こういうように申し上げてはおらないわけであります。ただ将来の港湾運送事業がさらに、どう申しますか、大きくなってくるでしょうし、必要が出てくるだろう、もっともっと増大するだろう。その場合、いま改正するにあたって、将来を十分展望して、禍根が残るようなことはこの際禁止をしておかないといけない、こういうように思うのです。ですから、いま局長の言われた現段階における問題というものについてはかりに理解をするとしても、系列に入れる、あるいは一貫作業責任を持たす、このことはいいわけですが、その持たせ方自体を明らかにしておかなければいかぬわけです。これを省令できめる、こういうようにおっしゃっておいでになるんだろうと思うのです。そこでその省令がまた問題になってくるわけですが、たとえば一つだけでもおっしゃっていただければ非常に幸いだと思います。
  36. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 昨日も申し上げたのでございますが、法律に明記してございますように、二分の一以上の株を持ってその事業を支配し得るに足るもの、これはもう当然だと思いますが、さらに省令にうたおうと考えておりますのは、元請業者下請業者の株式の四分の一以上を保有するとともに、役員を派遣しておるということが一つでございます。それから次は、元請業者下請業者との間に長期下請契約が結ばれておりまして、これとともに、元請業者下請業者に対して、その作業に必要な施設、資金その他の経済的な利益を提供している。それから三番目には、その逆でございますが、下請業者が元請業者の株の二分の一以上を保有して役員を送る。それから下請業者が二分の一以上の株を保有している場合と、四分の一以上の株を保有して役員を派遣しておる場合、こういう場合には非常に密接な結びつきがあって、責任というものが明確になり得るから、こういうものは直営とみなす、こういう趣旨のものを政府省令に盛りたいと思います。
  37. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、いまお答えいただいたようなことが省令で明確になるわけですね。
  38. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そのとおりでございます。
  39. 井岡大治

    井岡委員 それでは、直営下請制度利用ということについてはわかりました。続いて、たとえば下請の場合、いわゆる株を持っている、こういうようなことから違った会社施設利用する、こういうものにもやはり下請を認めるのかどうか。たとえば具体的に申し上げますと、日通なら日通下請日通施設利用する、こういうようになってまいりますと、それに隠れてまたいろんなことが出てくる、こう思うのですね。いわゆる長期契約ですから、いま日通という一つの固有名詞を出しましたが、日通だけじゃなくて、あるいは三井とか三菱とかいろんな大きなあれがありますから、それでもいいわけです。それの下請だということで、名義上はそういうことになっても、実際はそうじゃなくて、単なる下請になってしまう、こういうおそれがないか、こう思うわけです。この点はどういうようにお考えになりますか。
  40. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまのお話は、下請能力一つだけではなくてもっとある場合に、よその仕事もやるんではないか、こういう御趣旨だと思いますが、これはお話がございましたように、確かに下請能力のほうがはるかに大きいものがございます。そういうものは、一つの元請の年間規模というものがきまるわけでございますから、その規模を越えてなお下請をするに足る能力があるものは、二つ以上の会社下請をしてもいいわけでございますが、その量というものは、今度は逆に下請規模からきまっておるわけでございまして、そういうことを省令にうたって、審査してこの系列をというものをきめていきたい、かように考えております。
  41. 井岡大治

    井岡委員 これらの問題については、またあとお尋ねしたいと思います。  最後に一点だけお伺いしますが、従来総トン数二百トン以上ですか、小型鋼船を除外しておったわけです。今度ははしけとしてこれを使う、こういうことになりますと、この小型鋼船それ自体運送事業をやるのじゃないか、同時に海上運送のほうも兼ねるのじゃないか、こういう危険がありはしないかと思いますが、この点はどうですか。
  42. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは船自体から見ますと、内航海運港湾運送事業を行なえるわけでありますが、港湾運送事業を現に行なっておるものが内航海運業法の中だけにあるということはおかしいわけでありまして、木船等ではそういうことがないわけであります。鋼船だけがそういう取り扱いを受けるのはおかしいので、この港湾運送事業を営んでおるものは港湾運送事業法の対象にするということを明確にしたい、こういう趣旨でございます。
  43. 山田彌一

  44. 久保三郎

    久保委員 私も二、三お尋ねをするのでありますが、いままでそれぞれお尋ねされた方と内容が多少重複するかと思うのでありますが、重複した際には答弁のほうは省略してけっこうであります。  この改正案はいわゆる三・三答申に基づくものだと考えておりますが、そのとおりでありますかどうか。
  45. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 三・三答申の具現の一つとして考えたわけでございます。
  46. 久保三郎

    久保委員 そうしますというと、港湾運送事業そのものの中で一番大きいものは、問題の発端と言っては語弊がありますが、その大きいものは港湾労働の問題が一つございます。港湾労働は三・三答申を踏まえて先般制定されました一応のコースができたと思うのであります。いま御提案になりましたのは、運送事業の体系を整えるということだと思うのでありますが、そうだとするならば、端的に言うならば集約合併ということだと思うのですね。それだけじゃありませんが、一つには企業集約合併していく。そうして港湾運送事業の質を高めていくということだと思うのでありますが、御提案になった改正案によっては、いま私が申し上げた二点について適確にこれを担保することができるのかどうか、いかがでしょう。
  47. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 答申におきましては、港湾運送事業近代化ということで、第一には事業集約化の方向ということがございます。これは一貫作業として運送事業が行なわれるように集約をしていきなさい。これは貨物の流れる経路とか、海運業の認可等の状況を考慮して、系列ごとの集約考えております、こういうこともいっておるわけでございます。これに基づいて、第十六条にあるように、一定系列的な下請を認めることによって、一貫作業責任体制をとっていきたい、こういうことでございます。  次に、「集約化の促進」という項目の中に、「事業集約化を進めるため、暫定的に港湾運送事業者に対する共同免許考えるほか、免許基準の改訂を検討する」ということでございますが、これに基づきまして省令にゆだねてございますが、免許基準のうち、施設及び労働者については基準を高めよう、こういうことでございます。それから「その他」というところに、「港湾運送事業者は、近代的な企業会計を採用する」ということがございますので、このことも法律に盛っておりまして、省令にゆだねられた、省令にきめられた会計方式をとるということをこの法律で提案しているわけでございます。  さらに、港湾運送に関連する事業につきましても、必要に応じ規制指導を行なえということがございますので、ワッチマンとか、荷物の荷直し、それから位置の固定、こういうような仕事につきましても届け出ということで規制をして実態を確かめていきたい、こういうことを考えておるわけでございまして、大体この答申に盛られた趣旨によって今回の法律改正を提案したわけでございます。  それともう一つは、これによって集約合併ができるかということでございますが、集約合併の具体的な措置は法律だけではできませんので、さらに港湾審議会の中に港湾運送合理化部会というものを設けまして、この部会でもって具体的な集約の方法、すなわち規模とかそのやり方について審議をしていただく、そしてそれを軌道に乗せていきたい、この二本立てでいくことを考えておるわけでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 いまの答弁の中で、最後にお述べになりました港湾合理化審議会で実務として合併集約というか、そういうものをやっていくということでありますが、この港湾合理化審議会でそれじゃどういうふうにしておやりになるのか。われわれとして考えれば、この集約合併というのは非常にむずかしいことだと思うし、港湾運送事業をして近代的なものにしていくというのには、いまやっている大体五種類にわたる港湾運送事業、それにこの法案で追加されるところのいわゆる関連事業、こういうものを含めて、これは近代的な方向に持っていかねばならぬと思うのであります。それにはそれ相応の政府の誘導すべき政策というか、そういうものが、ビジョンとともになくてはならぬと私は思うのであります。はたしてその港湾合理化審議会なるものの手によって、   〔山田(彌)委員長代理退席、寿原委員長代理着席〕 そういうものが十分行ない得るのかどうか、この点、どうなんですか。
  49. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾運送部会に私どもが審議をお願いしたいと思っております事項は、一つ港湾運送事業集約化のための具体的方策です。それからもう一つは、港湾施設の効率的運営及び港湾における流通経済の合理化をはかるための港湾運送機能の改善についての具体的方策、それから三番目には、港湾運送運賃及び料金制度についての改善策、こういうことを審議していただきたい。それから次に、どういう人をメンバーになっていただくかということでございますが、それは港湾運送事業者の代表として五名、船舶運航業者の代表として二名、荷主関係の製造業者から二名、貿易関係業者から二名、港湾労働者の代表として二名、港湾管理者が二名、学識経験者が二名、そのほかに行政機関の代表として四名、計二十一名ということで、港湾に関係ある各界の人を網羅して、ここで具体的な方策を考えてもらいたい。そういうことを私どもは現在考えているわけでございまして、おっしゃられるように集約合併の問題は非常にむずかしい問題でございますが、こういう方々が衆知を集めて積極的に討議していただくことによって可能である、かように考えるわけでございます。
  50. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この港湾合理化審議会なるものは、これから集約合併というか、そういうものの作業をしていくというのでありましょうね。そうだとするならば、無原則と言っては語弊があるが、港湾合理化審議会がなまのままで扱うのはいかがと私は思うのです。言い方がちょっと悪いのでありますが、ある程度の基準というか、ある程度のコースというか、ビジョンというか、そういうものが政府自体においてこうあるべきだと思うがいかがかという諮問、こういう過程を通って、今度は個々の企業についてどうなのか、こう思うのですが、そういう手順を踏むのが当然ではなかろうかと思うのだが、それはどうなんですか。
  51. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げましたように、法律におきましては基準を高めておるわけでございます。それから御承知のように一貫作業責任体制といたしまして、十六条にございますように相当きびしい系列化ということを考えておるわけでございますから、そのことを一つのビジョンと申しますか、指針といたしまして、それに合うように現実の業界というものをどのように集約していったらいいかということをこの審議会で検討していただきたい、こういう趣旨でございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、免許をするにはそれぞれの基準があって、基準に照らして運輸大臣が免許をするかいなかを決定するという手順だが、その手順の一こまとして港湾合理化審議会に一応おはかりをするわけですか、それは違うのですか。
  53. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 新しい事業免許につきましては、その港の需給状況というか仕事の需給状況と、さらに私どもが現在考えているような系列化するものは免許するわけでございますが、答申に盛られているような趣旨の、近代化のための集約合併というものの具体的な行ない方といたしましては、六大港におきましても、横浜ならどういう規模のものがいいのかというようなその規模の問題から始まりまして、具体的にはたとえば中小企業近代化促進法の対象にするにはどういう手順を踏んだらいいか、こういう具体的な問題をこの審議会でやっていただきたい、こういうことを考えております。
  54. 久保三郎

    久保委員 一番問題になるのは、最近所々方々と言えば語弊がありますが、お聞きになっているとおり、たとえば名古屋あたりにあったかと思うのでありますが、神戸と大阪にその会社事業所を持っておって、神戸のほうをどんどんやって、片方は縮小していくという場合に、ここに使われている労働者はいわゆる不安の念にかられていくわけです。会社の経営方針としては、名古屋とかそういうところにあるものは縮小して、行く行くはやめていく。神戸のほうをさらに大きくしていくというような、会社自体としては問題ないのだが、その中で働く労働者にとれば非常に問題があるというような、こういう具体的な問題。さらにもう一つ具体的な問題は、はしけ、引き船あるいは荷役機械、そういうものは御承知のように特定船舶整備公団によってやっていく。その場合、木船、はしけについてはスクラップ・アンド・ビルドの原則によって、木船はスクラップされる。その場合にも対々でありませんから一・五なり一・八という比率になる。その場合、はしけの乗り組み員は当然のごとく減っていく。これも事業そのものからいえば、木船のはしけでやっておるよりは鉄船で、優秀な近代的な船に置きかえたほうが事業としては近代化される。しかしいま申し上げたように、労働者はそこからはみ出していく、そういうような矛盾が当然出てくるわけであります。これに対して政府としては、どういうふうな仕組みでそういうものが出ないように措置をするのか、指導をするのか、その辺のところはどうなんですか。
  55. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 近代化の過程におきまして、たとえばはしけ近代化されて、そのために労働者が少くなる、こういうような問題は起こり得るわけでございますが、私ども集約というものを考えてまいりますときには当然、この答申にも言っておりますように、事業者並びに労働者の不安というものを起こさないようにやっていけ、こういう趣旨がありますので、あくまでもこの審議会の中にも労働の代表を入れたというのはそういう趣旨でございまして、急激な集約なり合併なりということで事業者労働者も不安が起こるというようなやり方を避けるにも、やはり衆知を集める審議会方式できめていくことが一番望ましいのじゃないかと思います。
  56. 久保三郎

    久保委員 それはお話としてはわかるわけでありますが、たとえばはしけなど、あるいは荷役機械、こういうものはすでに新しく建造する手段として政策があるわけですね。だから、私はいまの局長の御答弁だけではちょっとどうかと思うのです。近代化、合理化が問題になっている、ほかの産業と違ってよけい問題になっておる港湾運送事業でありますから、その過程の問題、それから企業の質の問題——質というのは、単にいい船を使ったりいい機械を使っただけでは、この企業港湾運送するのに質がいいとは言えないのです。一般の産業ならそれでいいです。質がいいということになる。ところが、特殊な港湾運送事業の歴史というか実態があります。だから、近代化、合理化の方策、そういうことをするのには一つの案、合理化案というかそういう案の中には、当然働く者、労働者をどうするか、これの処理についても合理化計画の中ではっきりして責任を持たせなければいけないだろうと私は思います。ところが、いままでのお話では、お話というよりいままでやっていることは、それはそれで別だというふうになっておるようなので、各方面でいろいろなトラブルが起きているのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、この点はどうなんですか。
  57. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、私どもは、答申に言っている精神というのは、やはりいまおっしゃられたような過程において、というよりも過去においていろいろなそういう事例が、近代化という一本の線の中ではなくて、各社が別々にいろいろなことを考えるために、そういうことが起こるのではないか。むしろ私どもは基本的には企業の健全化ということによって、労働者というものの生活も労働条件も安定するのであるし、それから機械化というものも、先ほど先生が御指摘になりましたように、港湾の貨物量というものが最近非常にふえ方が激しいわけでございまして、機械化をすることによって初めて常用率というものも高まるわけでございまして、むしろ港湾の貨物がふえて、現在のような古いやり方では労働者も確保できないというそういう観点から、企業というものの規模を大きくし、かつ機械化というものをはかっていくことによって初めて、労使のおのおのについて健全な姿というものが生まれるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 これは先ほどどなたかお尋ねしたかと思うのでありますが、改正の第六条の第一項第二号による省令内容、いわゆる「運輸省令で定める施設及び労働者を有するものであること。」、この省令あとでその省令案というものをお示しになりますね。——それじゃ、出たときにまた……。  それから第三号では、「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」この計画とはどういうことなんでしょう。この計画というのは、仕事がもう動いているのでありますから、そういうものに合わせた計画なんでしょうか。計画というと一般的には何かビジョンが半分くらいまざったようなものに受け取れるのでありますが、この場合はそういうことじゃないのですか。これはどういう意味なのか。
  59. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ここに計画というのは、取り扱い貨物などの集荷計画、それから事業施設の整備計画の確実性、作業の遂行方法、労働者の構成、作業能率、事業計画上の事業所、上屋その他の配置、こういうものを含めて計画という文字を使っているわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 これはいまのお話だと、何か二号の施設及び労働のような意味にもとれるのでありますが、本日は時間もございませんから、港湾局長、いまお答えになったものが何か書きものにしてあるなら、その写しをこの機会にお願いしたいと思うのです。二と三が、今のお話だと何かダブッているような感じがいたします。
  61. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 片方においては量的なもの、片方においてはその運用の計画、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  62. 久保三郎

    久保委員 これはまことにしろうとらしい質問で恐縮でありますが、元請、下請というのは、資格においては同じでありますか。いわゆる港湾運送事業者としての資格は何も変わりはありませんね。——変わらないだろうと思うのです。そこで、なぜその下請を認めるのだろうかということ、同じ資格者が……。荷主そのものからいけば、全部元請のほうが話はしやすい。一般の通念からいくなら、元請の責任下請がやり、下請がやったことは元請の責任である、これは変わらないのでしょうね、一般の場合。だけれども港湾運送事業者としては対等なんですね。何か下請というと一番下のような感じがするのですが、そういう感じがしてもそうではないですか。  それからもう一つ。この場合、元請から下請が請け負った仕事については、タリフは同じなんですかタリフについては七割渡すとか八割でいいとか、そういう取りきめも別になくて、元請と下請との間の任意契約によってこれは成立するものかどうか。いかがですか。
  63. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 いま元請、下請につきましては、運送事業者としての法律的地位については同等でございます。しかし港湾運送事業を営む場合には、一種業者が船舶運航事業者もしくは荷主と契約をいたしまして、その作業のうちの一部につきまして船内業者もしくは沿岸業者はしけ業者というものに下請をきせるわけでございますから、仕事の場合ではやはり元請、下請という関係が生ずるわけでございます。  タリフの問題でございますが、これは確定料金としてきめられておりますものは、元請一貫作業料金がきめられているわけでございますから、下請につきましては、元請と下請との協議によって下請料金というものがきめられるのが現状でございます。ただし、それがそのとおりでいいかどうかということについては問題がございます。といって、下請料金と元請料金というものをはっきりさせるということは、いろいろなケースが複雑でございますので、現在この制度をにわかに変えるということも現実にそぐわないわけでございまして、先ほど申し上げました審議会においてはこの料金、運賃の体系についてももっと基本的に検討していただきたい、かように思っておるわけでございます。
  64. 久保三郎

    久保委員 いま港湾運送事業法法律全体を手元に持っておりませんからよくわからぬのでありますが、タリフというものは元請にのみ適用があって、下請は適用はないのですか。
  65. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 その現行の港湾運送事業法でいっております料金というのは、発注者、要するに利用者から引き受ける人がトン当たり幾らで引き受けるかという料金でございますので、先ほど申し上げたような趣旨になるわけであります。
  66. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、元請と荷主との間のものがタリフであって、下請、元請の間のものはタリフには関係なし、任意の契約によってやるということで了解してよろしいですか。
  67. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 形式的にはいまおっしゃったとおりでございますが、料金には算定基準もございますし、現在まで行なわれてまいりましたいろいろな慣習もあるわけでございますから、ただ契約だけということで不当にたたかれるということはないと思います。
  68. 久保三郎

    久保委員 港湾局長は自信を持って不当にたたかれることはないと言うが、荷物がなくなれば不当にたたかれるんじゃないか。荷物がなくなれば、たたかれるというのは語弊があるが、安くなるのは経済の原則でありますから、表現を変えればたたかれるということです。それでは下請が困るのでありまして、元請は何ら痛痒を感じないということになると思うのですね。これは港湾運送事業全体としてプラスではないだろうと私は思うのです。だから、でき得べくんば下請、元請の間のいわゆる引き受け関係の全体について、もっと筋を立ててやるべきではないだろうか。しかもあなたが当初お答えになった元請が一種である、たとえばそれぞれのはしけ、沿岸、そういうものは自分でやっていないというか、少しはやっているというようなことで、あと下請に出すというような場合が多いんだろうと思うのであります。この文句からいえば、たとえば沿岸荷役免許だけ持っている者もありますな、その単独の業者が元請となって下請に沿岸荷役を渡すわけですよ。そうなった場合、それは元請と荷主の間に引き渡しというか契約の中には、タリフというものが介在して料金の公正が期し得られる。それは当然その企業にとっても、ある程度マージンというか利益もある。そういうものを含んだ公正な値段だと私は思う。これは認可料金だか知りませんが……。ところがそれを今度は、その値段で荷主から引き受けた元請が下請に渡す場合には、当然のごとくその値段では渡さぬわけですね。それ以下の値段、そうなった場合に、同じ港湾運送事業を営む下請は、そういう料金では経営の安定は期し得られないという、これは仮定の計算ですが、算術計算でいけば、そういうことになると思うのです。これはいままでもそうでありますが、港湾運送事業の不健全といっては語弊があるが、前近代的な要素はそういうところにも私はあったと思うのです。言うならば、下請というのは全部なくなって、元請、しかもこの十六条の、七割自分でやって三割を下請に出すというのは、下請じゃなくて、これは港湾運送事業調整という文句がありましたな、自分のところで引き受けたんだが、その能力以上でありますというので、そのほかの事業者に引き渡すということをやる、そういう形式でこれは当然やるべきだと私は思うのであります。この際下請制度というものを廃止をして、そうしていわゆる港湾三・三答申で出ているような方向に持っていくことが事業者のためでもあり、事業自体近代化でもあるだろうと私は考えるんだが、そういうふうなことは誤りであるのかどうか、いかがです。
  69. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 現在の、と申しますか過去からの港湾運送事業の発達した過程から見まして、答申が言っておられる一貫体制を元請が全部やれ、こういうことは私は非常に無理であって、かえって混乱を起こすと思います。ただし先ほど先生が御指摘になったような、下請と元請間の関係というものが正常でないということも、これはそのとおりだと思います。   〔壽原委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、下請というものをそういういま言われたような、たとえば料金の面についてたたかれるということは、下請と元請の関係がアトランダムであるということに原因があると思いますので、今回の法改正によって元請と下請の関係というものを秩序立てる、あるいは株の持ち合いによって、また役員を派遣することによって、おのおの責任とまた利益というものがぴしゃりと合っている、または長期的な下請契約によって、元請が下請に対して施設その他の経済的な援助を与えている、こういうものだけが下請できるという形にすれば、現実に合うように下請を活用もできますし、いま先生が御指摘のような秩序とか混乱、搾取というものが防げる、こういう趣旨で今回の第十六条の改正を提案申し上げた次第でございます。
  70. 久保三郎

    久保委員 これは非常に大事な点であるし、われわれもまた研究というか検討も不足でありますので、これは十分検討を加えていきたいと思います。そこで本日はこの問題については一応保留しておきまして、別な問題に、ちょっと食い散らしになりますが、一応御了解いただきましてお願いしたいと思うのです。  この改正の第二条の一項四号の「運輸省令で定める総トン数未満のものに限る。」こう書いてあるが、これは何トンに大体するつもりでございますか。
  71. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 関東、関西でいききか違いがあるようでございますが、現在私どもは五百トン未満というように考えております。
  72. 久保三郎

    久保委員 ちょっと、お話ですから、さらに詳しく聞きたいのですが、関東と関西ではどんなふうに違うんでしょうか。
  73. 河毛一郎

    ○河毛説明員 ただいまの点でございますが、これは大体従来小型船としてこのような扱いをしております船の大きさが、地区によりまして三百トン程度の場合と五百トン程度の場合がございます。したがいまして、省令によってその辺をどのように調整していくかということを今後研究してまいりたい、こういうふうに考えます。
  74. 久保三郎

    久保委員 それからこの第二十条の三項「当該法人の解散によって利用者の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除くほか、第一項の許可又は前項の認可をしなければならない。」こう書いてあるのだが、利用者の利便が著しく阻害されない限りは認可するというのは、これはそれだけでいいのかどうか。これは結局それ以外は全部認可しなければいかぬということですね。よくわからぬけれども、たとえば悪いことをやったというのはどうなんですか。そういうのはどこに書いてあるか。——これは休廃止の認可の場合ですね。ところがこの休廃止を認可する場合、集約合併の過程においては利用者以外に当たりがくる場合がある。きつき一つの例として申し上げた、そこに働く労働者が、廃止すれば非常に不当なことになるわけです。だけどこれは利用者じゃないから、運輸大臣は廃止を認可しなければいかぬ。こういうのはどう考えますか。きつき名古屋と神戸の話をしましたが、神戸のほうはやっていくのだが、名古屋のほうはやめていく。これは利用者には関係ないから、あなたのほうは認可してしまう。こうなった場合どうするか。
  75. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この休廃止の場合も、ここに書いてございますのは、地方の港におきまして一つより事業者がないというときに、これが自分の都合でやめられるということになれば港の機能はとまる、こういうようなことを想定した条項でございます。いまお話がございましたように、事業規模の縮小その他によって労働者が困るではないかということは確かにあると思いますが、これは法律でもって規制するということは非常にむずかしいと思う。私どもといたしましては行政指導によって、そういうような縮小もしくは廃止というようなことによって労働者が困るという事態が生じないように、別途これは努力すべき問題だと思います。
  76. 久保三郎

    久保委員 飛び飛びになって恐縮だが、第十六条の六項「運輸大臣は、港湾運送事業者が第一項、第三項又は第四項の規定違反していると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、その是正のために必要な事業施設の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。」これは勧告に類するような命じ方だと思うのでありますが、そういう命令を発すればすべて解決するものではないだろうと思う。そうなった場合、言うなら、これは免許取り消しによって担保されなければいかぬと思うのだが、それはどういうふうになっていますか。
  77. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この六項によって、違反者に対しては改善命令を出すわけでございますが、この命令に違反する場合には、三十五条の罰則の適用があるわけでございます。
  78. 久保三郎

    久保委員 これは罰金ですか。
  79. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 なお聞かない場合には、この法律違反として二十二条の適用、すなわち免許取り消しまでいき得るわけでございます。
  80. 久保三郎

    久保委員 本日はまだ検討が十分でありませんから、次会に回すことにして、本日はこの程度で終わらしていただきます。
  81. 古川丈吉

    古川委員長 次会は来たる五月六日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時六分散会