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1966-04-19 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十九日(火曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 田澤 吉郎君    理事 田邉 國男君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    小渕 恵三君       川野 芳滿君    木村 俊夫君       高橋清一郎君    長谷川 峻君       増田甲子七君    山村新治郎君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君  委員外出席者         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空に関する件(航空業界の再編成に関する問  題)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  航空に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 大臣が来る前に、担当局長である佐藤航空局長に二、三お尋ねします。  一つは、国内航空企業の再編成というか、そういうふうなことがずっと政府部内において討議されているようでありますが、その問題に関しては、すでに航空審議会からの答申もあるように聞いているわけです。ついては、さしあたりお尋ねしたいのは、昨年の航空審議会から出た答申、これの要点をお尋ねしたいのです。
  4. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 「わが国定期航空運送事業あり方」について昨年航空審議諮問をいたしました答申が、十二月二十七日に、諮問十一号に対する答申として出ておるわけでございます。これの要点といたしますところは、「将来におけるわが国定期航空運送事業あり方としては、国際線は一社、国内線は二社をもってそれぞれの路線を運営せしめることが適当である。」という基本的方向を述べられておりますと同時に、国際線運営につきましては「今後における国際航空情勢および各国が国際航空企業に対し積極的に財政的援助を行ないつつある事情にかんがみ、」日本航空に対して早急に出資及び補助の強化をしろ、あるいは国内線につきましては「健全な経営基盤を有する二つ企業が公正な競争協調の下に運営することが適当である。」ここで特にうたいましたのは「後発企業である日本国内航空は、早急に経営を合理化するとともに、日本航空は、すみやかに日本国内航空への支援措置強化し、さらに資本的、人的提携を緊密にして一体化を進める。その形態については企業の判断と協議により決定することとする。」その他ローカル線運営その他についての具体的の項目についての答申があったというのが、昨年の答申要点でございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 いまおあげになりました幾つかの点でありますが、一つには航空企業の数の問題、いわゆる国際航空については一社、しかもこれは日航、それに対する助成強化、こういうふうなこと。それから国内企業については二社というふうになっておるようでありますが、この線に従っていま政府は再編成作業を進めているのかどうか。  もう一つ国内航空会社再建というか、経営強化というか、そういう問題についてはどうやっておられるか。この答申はいわゆる国内航空会社強化についても言及しておる。そうするというと、この審議会答申は、いわゆる航空界編成でもあり、かつ国内航空経営強化施策でもあり、こういうことになってくるのだが、これはそのように解釈していいのかどうか。  それから政府としてはいま申し上げたようないわゆる再編成国内航空会社強化、この二つの問題をあわせて考えているのかどうか、いかがでしょう。
  6. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 大臣が見えられましたから、大臣からお答えがあると思いますが、いままでの事務的な運びの要点をつまんで申し上げますと、いま久保委員指摘の点でございますが、昨年の十二月に答申をもらいまして以降、われわれといたしましては、この答申を尊重してその実現につとめるということで、まず関係企業間の話し合いを進めるようにということを申しておったわけでございますが、たまたま御承知のような非常に大きな事故が発生いたしましたので、本年の二月十一日に重ねて大臣から関係企業要請をしたわけでございます。要請の概要といたしましては、まず安全に関する直接的ないろいろな問題を申しましたほかに、いわゆる過当競争防止につきまして、国内幹線における早急な自主調整をしてもらいたいということ。経営基盤強化につきまして、先ほど答申にもありました日本航空国内航空一体化について、早急にめどをつけろというような趣旨のことを申しておるわけでございます。したがいましてわれわれ事務当局といたしましては、この答申の線に沿って措置を進めることが、すなわち安全対策でもあるという観点から、この措置を進めていただいておるわけでございますが、同時に、この答申の中には、先ほどちょっと申し落としましたが、日本国内航空については具体的に日本航空との関係に触れますとともに、この国内航空自体経営基盤強化、つまり自体経営をすみやかに合理化して、その基盤強化するようにという指摘もいたしておりますので、そういうような面におきましては、国内航空自体経営基盤強化ということももちろん含んでおるわけでございますが、全体の方向といたしましては、まずわが国の全体の航空企業あり方についての航空審議会答申を尊重して、これを実現する方向に持っていくということが、従来とりました行政上の措置でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 大臣お見えでありますから、あらためてお伺いしますが、いままでの航空局長お話では、いわゆる最近の事故、そういうものを含めて、現在政府部内で作業を進めていることは、国内航空会社基盤強化というか、経営強化というか、そういうものと、航空界の再編成、これをやっていくということでありますが、この問題は、少し考えないと、また将来非常な問題が残るのではないかとわれわれは思っているわけです。でありますから、この国内における企業の再編成、こういうものと、いわゆる国内航空株式会社というか、そういうものの経営健全化、あるいは基盤強化の方策というものは、関連性は全然ないわけではないが、これはやはり区別してかからぬと意味をなさないのではないかと思うし、特に再編成については、将来にわたっての問題でありますから、慎重に考えなければいかぬと思うのです。  そこで、事故対策を含めての問題でありますが、経営基盤が脆弱だと、どうしても無理な経営をする。無理な経営から当然危険ということも出てくるというのが、一応の節としてあるわけであります。そうだとすれば、当面特に考えねばならぬのは、幹線における輸送調整について政府業界を指導するべきだろうと私はまずもって考えるわけです。今年度に入りまして、さらに今後新しい機材がふえるわけでありますから、その新しくふえる機材を含んで、いままでの幹線輸送という計算——過去における計算では、予定とおりの新しい機材を投入してもよろしい情勢下にあったと思うのでありますが、最近の情勢は、そういう新しい機材の投入はかえって経営を悪化させるという面も出てきておる、こういうふうにわれわれは思うわけであります。だから、単に幹線における輸送調整をいたそうとしても、新しい機材の問題を取り上げない限りは、やはり決定的なことはできないのではなかろうか、こういうふうにも思うわけであります。  そういう点から考えまして、再編成といわゆる国内航空基盤強化、そういうものとの関連で、いま申し上げた二、三の点について政府は何かを考えるべきだと思うのです。いままでわれわれが仄聞するところによると、どうも国内航空基盤強化と再編成を機械的に進めるように見受けられるのだが、これに対する大臣考えはいかがですか。
  8. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空編成のいままでの経過につきましては、先ほど航空局長から説明したとおりでございますが、大体航空企業の再編成といいますか、集約化といいますか、そういう点で考えなければなりませんのは、第一点は、いま久保委員指摘なさったように、国内幹線輸送力調整あるいは一元的な一つ調整、これが非常に重要な課題であります。それと同時に、整備機構強化される必要がある。どの飛行機に乗っても整備が完全に行なわれているという一つ体制が必要でございますので、整備機構を一元的に強化していくという方向。それから塔乗員養成施設も一元的に強化する必要がある。こういう点を整えまして、それがやがて安全運航につながっていく。  そういうことをやりながら、同時に、いま航空企業日本航空その他で五つありますので、これがはたしていまのままでいいかどうか。これは十二月末に出ました答申によりましても、大体一つ集約化を必要とするという方向が出ておりますので、そういう答申趣旨等を尊重しながら、いま進めているような段階でございます。
  9. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 関連。いまの大臣の御答弁で、国内幹線の一元的な統制、あるいは整備機構の充実、搭乗員の訓練、これが安全運航とつながっていく。これは方向としては私はいいと思うのです。  問題は、先ほど航空局長答弁を聞いていますと、昨年十二月の航空審議会答申は、国際線が一社とか国内線が二社とか、あるいは経営基盤強化が即安全運航というふうなことがいわれていますが、いまの大臣の御答弁基本をなすものがあるのではないかと私は思うのです。ということは、経営基盤強化されているところが事故を起こした。問題はここです。とにかく百三十三人も死んだ事故というものは、世界でも経営基盤強化されている航空会社が起こしている。いま国内航空の問題をやっておりますが、これはくろうとの中に、経営基盤が弱いのではないかという話が出ていると私は思うのです。そうしますと、ぼくは、これは航空審議会にもう一ぺん答申をし直して、あの時点とこういう時点がもう違っているんだということを一ぺんはっきりさしておいて、あと大臣の御答弁された方向に一体どういう認識の上に立っていくかという、その基本が立たないことには、答案が出てこないと思うのですが、その辺はいかがですか。
  10. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 昨年の十二月に受けました、いわゆる航空企業あり方に対する審議会答申は、これは事故の起こる前でございますが、その方向でいろいろ検討しております際に、ああいう事故が引き続いて起こりましたので、私は航空編成というものを急いでやる必要があの事故によって非常に起こってきた。御承知のように、日本国内企業の実態は、事故をやった全日空のいわゆる企業体力国内航空体力を比べますと、これは国内航空よりも全日空のほうが強いということはもう周知の事実でございますが、たまたま国内航空でない、全日空のほうに事故が起こったということでありますが、私は、事故がすぐ必ずしも体力の弱い企業に起こるものではないということでありますので、それとあまり結びつけないで、航空企業の当初の既定方針を急いでやる、その推進力事故というものが非常に力強く動いてきた、今日一つ国民的世論というものは、航空企業安全体制を急げということだと考えますので、そういう方向で急いで結論に向かって進んでまいりたい、かように考えておる段階でございまして、いますぐもう一回諮問しょうというようなことは、いまの段階では考えておらないところでございます。
  11. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 そうしますと、結論をお尋ねしますと、いまからの国内航空全体の再編成というものは、国内航空日本航空の問題というふうにしぼっていかれるというお考えですか。全体を含めて国内全体の航空会社安全運航をもたらすような、あるいは企業基盤整備をもたらすような大きな方向の中に、大臣のおっしゃるような段階論があるのじゃないか、私はこういうふうに思います。段階論の中にこういうことがあるだろうけれども、全体を含めて企業基盤整備なり、あるいは、久保君のおっしゃったように、将来入るところの機数いろいろ調整なりというものが、大きな基盤の中に考えられるのじゃなかろうかという気がしますが、その辺はどういうふうにお考えですか。
  12. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私が考えておりますのも、いま長谷川委員の仰せられたとおりでございまして、全体の企業をどう集約化するか、あるいは再編成し直すか、これが基本でございまして、その基本的観念はいわゆる航空の安全を確保する、その手始めと申しますか、第一段階として、国内航空日本航空は御承知のように非常に関連が深い企業でございますので、国内航空体力強化するために、日航はできるだけの協調体制をとるような相互の話し合いをひとつ進めてもらいたい、こういうことでございまして、それはどこまでも序曲であって、本題は国内にある五つの企業をどう集約化するか、その方向はいわゆる答申の線にあります国内国際——将来は国際線一社、国内線二社というようなことが望ましいということになっております。端的に申しますと、国内を二社でいくのか一社でいくのかということが一つの大きな思想じゃないかと思います。今日の段階では、大体そういう方向で全体の問題を取り急ぎながら、国内航空日航との間の作業を急いでおるわけであります。こういう経過をいまたどっておるところでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 私は、こういうふうに問題を考えなければならぬと思うのです。いま長谷川委員からもお話がありましたが、結局安全の問題に関連して、先ほど大臣は、養成とか整備とか経営とか、そういうものを幾つかおあげになりましたが、それはそれなりにいいと思うのです。だけれども、いまの御答弁のように、やはり問題は国内航空会社二つにするか一つにするかというところに、何か焦点がちゃんと合っておるようにわれわれは見ておるわけです。いまの御答弁でも、そういう意味ではないだろうと思うが、国内二つにしようか一つにしようかということで取り急いでおるものとおっしゃられたように聞いたわけです。私は、一つにするか二つにするかというのは、ちょっとどうかと思うのです。むしろ根本的な問題を整理した結果として二つになるか一つになるか、これはあると思うのです。しかも、いままでの航空行政というか航空政策というか、そういうものを見ていますと、非常にえてかってな面が多いんですね。いまの中村運輸大臣がそうだとは決して申し上げませんが、たとえば、近い過去における政策一つをとっても、ローカルについては七つとか八つ置くほうがいいだろうというので、実は七つ八つブロックをつくって、そこで会社を設立さす、あるいは運営させる、ところが、それではまずいというので、今度はそれを第二段階では合併して——第一段階の合併というのは国内航空をつくった、そのつくった直後において全日空に対しては、残りの二つを合併することを前提にして、福岡までの幹線便数をふやしてあげましょうというようなことが、これは航空審議会にも何もかけないで、運輸大臣から命令というのか通達というのか知らぬが、出ておる。そうかと思うと、今度は先ほど来お述べになったような答申が出てきた。これでは、そのときそのときの思いつきではございませんか。問題点に合わした、言うならば政治的な一つの線というか、そういうものが出ておると思うのです。いま作業をやっておるものが直ちにそうだとは私は断定しませんけれども、少なくとも再編成問題は今月一ぱい結論を出すとかなんとかやっておるようでありますが、取り急いでやるべきではなくて、むしろ取り急いでやらなければならぬものは、国内航空における業界過当競争の問題をどうするか、過当競争は、単に機材が多くなったばかりでなくて、外的な要件として、飛行機に乗る旅客の数がいままでの率から見ればたいへんな落ち込みである、だから現有の輸送力から考えるなら、これは空席があって輸送力が余り過ぎる、そこへまた、機材についての計画として新機材が投入されるというようなことで、事故があろうがなかろうが当然販売面でも輸送面でも過当競争がしいられると思うのです。だから、過当競争をどうするかということが当面の大きな問題でありまして、さらに経営基盤強化するということが二つ目には加わるわけだろうと思うのです。経営面基盤強化は、安全の問題と直結しなければならぬと思うのです。その方向は、大臣がさっきお述べになったような整備の問題をどうするか、あるいは養成の問題をどうするかということに尽きるのではないからかと思うのです。そういう意味からいけば、この際、国内航空株式会社再建、この再編成問題とはやはり別個に扱っていかれたほうが筋が正しく展開できるのではなかろうか。再編成の中に、国内航空株式会社のいわゆる強化といいますか、再建といいますか、そういうものを織り込むと焦点が多少ぼけてきやしないかと私は思うのですが、大臣のお考えは、もちろんそれはお考えになってのことだろうと思うのでありますが、それはやはり考えてもらわなければいかぬと私は思っております。だから、これはひとつもう一ぺん御答弁をいただきたい。と同時に、私から申し上げたような、特に国内幹線におけるところの輸送調整というものをどう考えておられるか、大臣の二番目の御答弁としていただきたいと思う。  それから三番目としては、これは全体のことになりますが、再編成の決定を今月一ぱいに何とかしたいということはどういう意味があるのか、そうすることがどんなメリットがあるのか、それを御説明いただきたいと思います。
  14. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私どもがいま考えておりますのは、久保委員の仰せられましたように、第一に急いでやらなければならないのは国内幹線運航一体化である。その一体化というのは、安全につながる一つ方向での運航一体化を至急にはかる必要がある。たとえて言いますと、いまは航空事故あと旅客数が非常に減りましたので、−減っておることは事実でございます。そういう航空事業にマッチしたような便数とか、あるいは共通の切符を考えるとか、いろいろそういう幹線運航一体化の具体的な方法があると思いますので、これを急がせることがやはり安全につながる一番最初手をつけなければならぬ問題ではなかろうか。それには、いま幹線をやっておりますのは日本航空国内航空全日空でございますので、この三つ協調して、三つ全体の問題として、きわめて合理化された一つ幹線運航をやる、こういうことをいま急がせておるのが第一点でございます。それから、そのたてまえをとってまいります場合にも、国内航空一つあり方というものがやはり課題になってまいりますので、いわゆる企業体力強化するために、日本航空との関連がきわめて深い企業でございますので、日本航空協力によって体力強化するようにということが、いま第一に手をつけておる問題でございます。  それから、今月一ぱいにというようなことが新聞等で伝えられておりますが、それは再編成めど——終局を今月一ぱいくらいでつけるということじゃなく、大体航空企業あり方をどういうところに持っていくかという一つの目安といいますか、そういうものをできれば今月一ぱいくらいには立てたい、こういうことでございますが、ただ、集約化するとかいうようなことを考えますと、企業はやはりそれぞれに自主的な経営業態を持っておりますので、そう簡単にはまいりません。しかし、日本の現在置かれております、国民が期待しております航空企業の安全な体制をつくるためには、じんぜん日を送るというようなことは許されないと思いますので、企業みずからの努力によって、そうして今月一ぱいくらいに一つ方向をつけたい、こういうことでございます。航空企業会社を一本にするとか二本にするとかいいましても、これは二カ月や三カ月でできることではございませんので、大体の方向づけくらいは今月一ぱいくらいにきめていきたい。その方向に沿って、先ほど言いますような、まず幹線運航一体化する、これはもうどうしてもやらなければならない段階にきておると思います。その幹線運航協力体制の中には、いわゆる現在飛んでおります便数を三社共通の問題として調整するとか、あるいは機材整備にも協力体制を整えて、そうして、三社のどの飛行機に乗ってもやはり安全な整備が行なわれておるというような形を早くつくり出していくということは、私は、安全飛行につながっていく急ぐべき問題だ、かように考えておりますので、そういう具体的な問題にも至急入らせたい。しかし、それには国内航空日航だけでは意味がございませんので、全日空まで含めまして、幹線全体の問題としていま取りかかっておる状態でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 いまお話しの中で、国内航空会社については日航がかなりの協力をしてもらわにゃいかぬ、こういうお話でありますが、これは国内航空株式会社の成立の過程を見ても、当然と言っては語弊があるが、日航がかなり肩を入れた経営でもありますので、当然日航にこの協力を求めるということはあり得る。ついては、それはいいけれども、じゃどういう点で日航協力を求めるのか、あるいはそういう具体的な話はすでにおやりになっているのかどうか、これは政府側答弁によれば、もちろん再編成関係はあるようであります。しかし国内航空株式会社再建と再編成とは、必ずしも一致しないものがあると思うのです。言うならば、経営はあまり好転しない。だから好転させるためにどうする、これはいま再編成結論は出ぬでも、当然できる話じゃないかと私は思うので、ついては、そういう日航に対して国内航空株式会社に対する協力の具体的なものを今日出してやっているのかどうか、まだそこまではいっておらないのかどうか、あるいは審議会結論を待ってやるのだということなのか。その辺はどうなんですか。  それからもう一点としては、再編のめどを今月中にというお話でありましたが、再編成めどはけっこうだが、要は新たな事態、いわゆる航空機事故の問題があるわけです。再編成そのものを検討することは悪いとは私は決して申し上げません。しかし新たな要素として、この大きな航空機事故、特に全日空事故等焦点になろうかと思うのですが、すでに政府は、先年この事故調査審議会というか委員会をつくって、それぞれ答申を受けているわけであります。そこで今回というか、これまで起きた事故にしても、大半は言うならば政府側がやらなかった施策のためにあるとさえ言われているわけです。ついては、この民間航空事故対策委員会といいますか、この答申をいかにして尊重し、いかにして具体化するかということが、やはり航空界の大きな問題に私はなっていると思うのです。言うならば、再編成の問題の前提はそういう事故対策基本的な筋、こういうものを充実させない限りは、国内航空会社二つにしても一つにしても、これはやはり同じだと思うのです。だから言うならば、先年答申を求めたところの結論に従って航空事故対策というか、そういう政策を織り込む。織り込むためには再編成が必要であるのかないのか、こういう問題をひとつ掘り下げるべきだと私は思うのであります。  この点いかがですか。
  16. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国内航空の問題は、これは日航国内航空とに、ひとつ自主的に相談をして早急に協力体制をつくってもらいたいということで、いま両企業努力をしておる段階でございます。  それから、安全運航、やはりこれは何よりも先にやるべきことでございまして、その安全運航を確保していきますためには、交通事故防止対策委員会等答申というものがやはり中心になって、そういう問題を解決していくのにどういう企業あり方がいいのかというようなこと等に発展してまいりまして、再編成というものをいわゆる安全とつながっていく方向で進めてまいりたい、こう  いう考え方に立っておるわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 いまのお話では、日航に対して国内航空に対する協力をそれぞれ求めているとおっしゃいましたが、具体的にはどういうことを求めているのですか。先ほどお話があった、たとえば整備とか養成とか、そういう問題についてやっているのか、あるいは航空局としてはそういうこまかい具体的なことは言っていない、総括的に日航に対して協力してやってほしいということを要望している程度なのか、これはどうなんですか、局長。
  18. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 大臣から申し上げたのに少しふえんをしていまの御質問に答えせていただきますと、日本航空国内航空関係は、先ほど申し上げましたように、大臣から、一体化について話し合いを進め、早急にめどをつけろということを申し上げましたのに対しまして、具体的には国内航空からすでに一つ考え方が出ておりましたが、その後日本航空からいろいろ具体的な一体化についての案を出しまして、現在日本航空日本国内航空とにおきまして、その一体化の具体的な案について検討を進めておる、こういう段階にあるわけでございます。わがほうとしては、この具体的な内容について、いまここで事務的にどうこう申し上げるという措置はとっておらないわけであります。なお、先ほど先生の御質問の中にありました、いわゆる幹線における輸送の調整というようなことにつきましては、すでに事故が起こりました直後におきまして、将来の輸送力の設定についての一つ考え方を出しておるわけでございます。つまり四十二年度以降も機材の増備ということも一応考えなければならぬということで、とりあえず輸送の調整という一つ考え方を出しておるわけでございます。これらにつきましても、今後この具体的な話し合いの進展と並行いたしましてこの具体化を進めていく、つまり、機材についてはそうでございますが、具体的の便数その他については、関係企業間で早急に自主的な調整をしてもらいたいという要望を出しておるのに対して、その一応の答えが出てくるのを待っておるというような状態でございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 その新しい機材の投入の問題ですが、いまのお話だと、関係企業間の話し合い一つはやらせる。一つは昭和四十何年以降は認めない、こういうことをおっしゃっているが、当面今年度の計画はそのまま受け入れるという立場にあるのですか。私どものしろうと考えでは、本年度これからかなり新しい機材が入ってくる。当面投入される機材、これすらも何というか非常に過剰だろうと思うのですよ。そういうものの処置はどうなっているのですか。
  20. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 大づかみの話を申し上げましたが、具体的にはすでに関係者間の協議で、幹線につきましての便数調整を本年四月からある程度やっておるわけでございます。これらの将来の推移その他につきましても、なお関係事業者間の自主調整が進められる。しかしそれがうまくいかなかった場合には、役所としてこれに何らかの具体的な措置をとっていただくように、なお具体的な要請をすることになるかと思いますが、すでに四十一年度についても御承知のように自主調整がスタートしておるわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 便数調整はお互いにやっていることだと思うのでありますが、しかし新機材が入ってくれば、単なる便数調整はよしんばできたにしても、経営としては残念ながらマイナスの方向だろうと思うのです。そういうものについて、たとえば今年度これから入ってくる新しい機材については、それは必要であるのかないのかという計算がまず出なくてはいけないと思うのです。それはそれでやっておいて便数調整をしろといっても、なかなかむずかしい話じゃないかと思うのです。その点はどう考えておるのですか。
  22. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御指摘のように、われわれとしては将来の需給の見通しも十分つけて、現在ある機材をなるべく増加させないという考え方で輸送の調整をするという考え方の上に立っておるわけでございます。具体的な便数等につきましては、先ほど申し上げましたように自主調整が行なわれてきた、こういうことでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 質問する方もあるようでございますからあんまり長いことやりませんが、ただ問題は、確認しておきますが、そうしますと、いま政府部内で作業をしておると言うが、審議会でやっておるものは、再編成めどをつけるための作業を頼んでいる。しかしそれをどう展開するかは別であるというふうに考えてよろしいか。もう一つは、国内航空については日航の責任において基盤強化をしてほしいということを指導しておるのか。それから幹線輸送調整自主調整基本にしてやらせるのか。この三点を伺いたい。
  24. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、今回の早急にめどをつけるということは、国内線運営経営基盤強化に関する問題についてできるだけ早くめどをつけることが、すなわち安全対策にもつながる問題である。したがいまして、これは日航国内航空だけの問題ではなくて、その他にも関連を持ちますし、その中に人員の養成あるいは整備の問題その他も含んでおるということでございます。したがいまして、考え方といたしましては、全部日航の責任で国内航空云々ということではなくて、国内航空自体経営合理化の問題もございますし、その他万般の措置によって経営基盤強化をはかるということであるわけでございます。なお、輸送力の問題につきましては、機材につきまして先ほど大づかみのことを申し上げましたが、具体的な便数の設定については、従来の考え方は企業間の自主調整にまかせるという考え方でおったわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 国内航空幹線における運賃プール制については、政府はどう考えておるのですか。
  26. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 国内航空の言っております運賃プールといいますのは、全体の輸送を調整する一つの手段といたしまして、現実に配置される便の姿その他に関係なく、全体の運賃収入を実際の配置輸送力で配分するという要請でございまして、これらにつきましては、われわれとしては、必ずしもこういうことをやることの合理性が十分説明できるかどうかというところに、相当問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 いまのお話の一番最後では、何か人の話を言っているような——もうちょっと的確なお話はできないのでしょうか。たとえば運賃プールというのは、言うなら輸送調整ということとつながるわけでありましょう。いずれにしても、それを具体的にやる場合の運賃プールをどうするかということでありますから、もう一ぺんお答えいただきたい。政府としては自主調整、その中の運賃プールという話もある、これらについてはどういうふうな具体的なお考えがあるのかないのか、あるとすればどう考えておられるか、しかし、あるけれどもいまここで見解を表明する時期ではないというのならば、ない、こういうふうに分けて答弁してください。
  28. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 運賃のプールのしかたにはいろいろ考え方があるわけでございますが、久保委員が申されましたように、現在具体的な問題をそれぞれ関係事業者の間でも検討しておるところでございますので、われわれとしては、いまここで具体的にそれについて答えを出すことを差し控えさしていただきたいと思います。ただ何ら制限なしの運賃プールというようなものは、いろいろ問題があるのではないかとわれわれは考えておるわけでございます。
  29. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 関連して。さっきから航空局長お話を承っていますと、何か二社の間に自主調整をお願いしている、それに自分たちは入るわけにいかぬのだ、そしていつまでもめどがつかないようなかっこうですが、これだけ委員会まで開いてずっと世論となって安全運航が言われているときに、航空局なり運輸省として、両社の間の自主調整にまかせて——大臣の御答弁の中には、それぞれの会社がそれぞれの基盤を持っているというようなお話もあるのですね。そうすると、これでは一体いつ片づくのか、そういうめどは一体どこでつけるのか。そして大臣お話の中には、二つ会社の間で話をしているが、安全運航ということからして全体を考えなければならぬのだというお話がありました。私はまさにそのとおりだと思うのです。そういう大きな筋をやはりこの際はっきりさしておいてもらわぬと、あと便数の問題がどうのこうのということは、これは技術的な、会社の採算の問題であり、その上に立つ日本全体の旅客の運送、そういう問題になってくる、私はこう思うのです。そこが一番山じゃないかと思います。  一方、聞くところによりますと、新聞で見ますと、運輸省は経済界の代表の方々に両社の間のあっせん役などお願いしているようですが、そういうようなことなどで、それぞれの企業が自分の基盤計算に入れて片づかない場合には、これは御破算だということになる。何らめどがつかないのじゃないか、私はこう思いますが、どうですか。
  30. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大体国内航空日航との協力体制といいますか協調体制をつくるということにつきましては、基本的には日航国内航空で自主的にやれといっておりますが、御承知のように、両社ともかなり考え方に相違がありますので、その間の調整をしながら実はやっておるわけでございます。  それから財界の石坂、植村両氏を世話役にお願いをいたしておりますのは、航空企業で自主的にひとつ話し合ってもらいたいということで呼びかけておりますが、先ほども言いますように、企業それぞれにやはり利害関係等もございますので、その間の調整を世話役としてお願いしておるわけでございまして、いまの段階ではそういう世話役を通じて、全日空まで含めた、いわゆる全体の幹線一体化方向努力を進めておるわけでございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だと、やはりよくわからぬ御答弁じゃないかと思うのです。もちろんそれくらいしか答弁できないとおっしゃれば、そのとおりですが、私がさいぜんから聞いているのは、言うなら、方向づけをどういうふうに考えておられるのか、そのために作業はどういうふうにやっておられるのか、そのために具体的な便数の問題についてもお話をしておる。そうしますと、いまの問題は、会社の再編成をとにかく重点として考えておるということなんでしょう。  それからもう一つは、航空局長お話だと、みんな関係会社で検討中だ、こうおっしゃるのだが、政府自体がやはりある程度の方向を示さぬではやりようがないんじゃなかろうかと思うので、そういう点からお尋ねしておるわけです。それはどうなんですか。  それからあわせてお答えが聞きたいのは、時間もありませんから申し上げますが、過般の引き続いた事故の結末というか、そういうものはどの程度に結末がわかりつつあるのか、それに対してはどういう方法を講じたのか、概括的にお話をいただきたい。
  32. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 昨年の航空審議会答申を求めましたころは、いわゆる再編成——航空企業集約化といいますか、再編成を中心に諮問をいたしたのでございますが、その後事故等が起こりましたので、航空企業に対する一つの運輸省としてやらなければならない作業の重要な比重が、航空の安全というものに非常に大きくかかってまいりましたので、航空の安全な運航を第一義とした体制をつくらせつつ、再編成のほうもあわせて進めてまいりたい、こういう形になって進んでおるわけでございます。  事故の問題につきましては局長からお答えいたします。
  33. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 全日空機の事故につきましては、先に御報告申し上げました全日空事故技術調査団を設けまして、調査団がいま事故原因の究明を鋭意急いでいただいておる状態でございまして、三月二十六日第八回の総会をいたしましたが、その後も連日小委員会等を開きまして、その結論を急いでおる状態でございます。  それからカナダ太平洋航空機及びBOAC機につきましても、別途の調査団を設けまして、四月十六日に第六回の総会をいたしておりますが、それぞれのグループに分けまして、グループ別の専門的の検討をいたしておりまして、この結論を急いでいただいておる状態でございますが、いずれにいたしましても、この二つ調査団とも、まだその事故原因についての結論は出ておらない状態でございます。しかし政府といたしましては、これと別に、緊急に航空保安施設等の施設の整備増強並びに要員、機構の整備というような問題につきまして、現在政府部内で具体的の人員の増強あるいは施設の予算化というようなことについて検討を急いでおるような状態でございます。
  34. 古川丈吉

    古川委員長 田邉國男君。
  35. 田邉國男

    ○田邉委員 ただいまこちらに航空審議会答申の内容が配布されましたけれども、これについて若干質問をしたいと思います。この答申の内容について、航空局長はどういうようにお考えになるか、またこれに対していかなる具体策をお持ちになっておるか、その点簡潔にお答え願います。
  36. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど答申の内容を申し上げましたが、われわれとしてはこの答申を尊重して、事務的に実現をするように努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。たとえば日本航空日本国内航空との一体化につきましても、大臣からこれの推進について関係者にお願いをし、この実現についていまお話をいただいておるというような段階であるわけでございます。
  37. 田邉國男

    ○田邉委員 この答申の「国際線運営について」というその(2)の「日本航空は、政府の財政援助の徹底、国際線の事業拡張等諸条件の成熟と相まって、国際線本位の運営に移行すべきである。」という、その「本位」という意味は、どういう意味ですか。
  38. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 この答申の本位といいますのは、従来御承知のように、日本航空につきましては、やはり国際線本位ということばがうたわれておりまして、一応考え方といたしましては、国内線というようなものも場合によっては残ることがあり得るかもしれないけれども、主として日本航空の活動舞台は国際線であるという意味に読むべきものであるというふうにわれわれは考えております。
  39. 田邉國男

    ○田邉委員 そうしますと、日本航空国際線に専念するということが本位であるというように解釈するのですか。
  40. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 答申のこの文言にございますように、「政府の財政援助の徹底、国際線の事業拡張等諸条件の成熟と相まって、」ということがうたってございますので、そういう条件が成熟する状態と相まって、ますますその本位である姿を強めるようにというのが答申趣旨であろうかと思います。場合によっては、この国際線をほとんど専門的にやるというような姿になる、こういうような条件の成熟と相まって、そういう姿になるということは考えております、というふうに読むべきであると考えております。
  41. 田邉國男

    ○田邉委員 まことに歯切れの悪い答弁のように思います。そこで、その(3)の「近距離国際線における定期航空については、原則として、日本航空において一元的に運営させることが適当である。」、この「原則として、日本航空において一元的に運営させることが適当である。」という「原則として」というのは、どういうことですか。
  42. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御承知のように現在、鹿児島−沖繩間におきましては、全日本空輸が運航いたしておるわけでございます。こういうような現実でございますので、考え方としては、原則として、つまりそういうような例外があり得るということを頭に入れて、「原則として」というふうにうたわれておる、こういうふうにわれわれは解釈しております。
  43. 田邉國男

    ○田邉委員 そうしますと、これはそういう例外があるけれども、将来はそういうものを全日空にさらに持たす可能性もあるということととってもよろしいのですか。
  44. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 この表現のいわゆる「原則として」というのは、ごく例外があり得るということでございますので、全然例外がないという意味ではないということで、これをいわゆる原則を置きかえて、日本航空以外のものに原則的に認めるということではない。つまりある程度これに準ずるような事態が起こった場合に具体的に考えるべき問題ではないかというふうに考えております。
  45. 田邉國男

    ○田邉委員 この「原則として」というまことにあいまいな文章ですが、この答申を扱う運輸省としてはやはり慎重にやっていただきたい。と申しますのは、片方で国際線本位の運営」と言っておきながら、次の段階では「原則として」と言ってことばをまた濁す。そういう意味で私は、その内容をもう少し明確にして後日に遺漏の問題が起きないようにしてもらいたい。航空局長は先ほど、われわれはこれを事務的に整備をして、そうして航空政策の万全を期するというお話でしたから、将来に禍根を残さぬような、そうして航空政策が不当の摩擦を起こさないような文章にやはり直しておく、文章というよりもむしろ運輸省の航空政策としてのけじめをきちんとつけておく必要がある、かように考えますが、いかがですか。
  46. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 この点については航空審議会で相当いろいろな点について御検討、御議論をいただいた結論でございますので、われわれとしては、この結論をいま申し上げましたような解釈で運用するということを実は考えておるわけでございます。この答申自体についてもう少しこの機会に検討しろというお話でございましたが、われわれとしてはとりあえずといいますか、この御答申をいただいた線で、事務当局としてはできるだけ先生のおっしゃいますような問題を生じないように、いわゆる例外を原則と考えるようなことにならないように、十分適切な運用をはかるように考えてまりいたいと思います。
  47. 田邉國男

    ○田邉委員 最近の国内航空は非常な過当競争にあるように私は思いますが、その点は航空局長はどういう見解を持っておられますか。
  48. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、航空機事故以来、その提供された輸送力に対する実際のお客の乗り方が非常に落ちておるわけであります。そういう意味では、いわゆる提供輸送力が現実の需要にマッチしておらない状態であるということが申し上げられると思います。これが過当競争であるかどうかといういろいろな考え方の問題があると思いますが、先ほど来申し上げておりますように提供輸送力が輸送需要にマッチしていくように、これをできるだけ適正に調整していく必要があると思っております。
  49. 田邉國男

    ○田邉委員 それでは伺いますが、いまの時代にマッチした、過当競争をしない政策にしたいと考えておるということは、いつごろからそういうことにお気づきになったのですか。
  50. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御承知のように、昭和四十年の初めに幹線輸送力想定をいたしたわけでありますが、それが必ずしも適切ではないというようなことからいろいろ問題が起こりまして、航空審議会基本的なあり方の問題を諮問をするということをわれわれとしてはいたしたわけであります。したがいまして、具体的にこの問題の処理に事務的に手をつけましたのは、昨年の十月以降ということになります。
  51. 田邉國男

    ○田邉委員 去年の十二月二十七日に、この答申運輸大臣に出された。すでにしてもう四カ月を過ぎておる。その間この委員会で、こういう結論でこういうことになっておりますという説明を私は一度も聞いたことがないので、こういうことが一体——運輸省航空局は、いまの国内幹線過当競争で非常な混乱をしておる、この事態を、口では上手におっしゃっておるけれども、実際認識をされておられないのではないかと私はこの点を非常に不安に思う。もう少し航空局がき然たる態度で、われわれに、ことしの一月のうちにこういう答申が出ておる、われわれはこれに基づいてこういう航空政策の具体的な問題を処理しなければならないと考えておりますということをやっておったならば、私はあるいはああいう惨事は起きなかったと思う。そういう意味において、この答申をきょう私が要求して初めて出したのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  52. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 答申は先生御指摘のように、昨年十二月にいただいておりますので、もう少し早く委員会に提出をしていろいろ御審議をいただくべきであったかと思いまするが、その点たいへん私どもの手落ちでございまして、おわびを申し上げたいと思います。
  53. 田邉國男

    ○田邉委員 いまの国内航空について私はちょっとお伺いしたいのですが、非常に経理内容が悪くなっておる、こう聞いております。この国内航空の経理内容が悪いことについて、実は政府当局、航空局も非常に私は頭を悩ましておると思う。と申しますのは、国内航空が誕生した経緯があるわけです。そこでこの答申の内容というものは非常に、国内航空に対してできるだけ援助をしたいというような、わが国の定期航空運送事業のあり方という大上段に掲げた一つの大きな政策でありながら、内容を見ていくと一航空会社を応援するような内容が多分に盛られておるというような感じがするのです。これはまあ私の見方だから、あるいは違うかもしれない。その点について現実にいま国内航空という会社は、月々二億の赤字を出しつつあると言われております。そこで一体国内航空に対して、現実に非常な赤字をかかえているこの会社が将来立ち直って、そうして安全なる航空輸送ができる見通しがあるのかどうか、その点航空局としての見方を伺いたい。
  54. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 国内航空の問題だけでなく、全般の問題についてもちろん諮問をし御答申をいただいたわけでありまするが、その中に先ほど触れましたように日本航空国内航空の問題、その他のいわゆる経営基盤強化施策が盛られているわけであります。それらの施策関係企業者と十分話し合いがつきまして実施に移されるならば、いわゆるその他の諸条件が満たされますならば、この輸送需要想定その他からいたしまして、国内航空幹線ローカル線その他の事業を合わせまして、一応ここ数年のうちには事業採算が成り立ち得るものというふうにわれわれは考えております。
  55. 田邉國男

    ○田邉委員 そうしますと、いろいろプール計算とかそういうものをやっていけば、国内航空というものは立ち直っていく、その上で再編成考えるということでございますか。私どもの見方では、月々二億の赤字を現実に出しておる一プール計算をやってもおそらくこの赤字というものはなかなか払拭できないのではないか。そういう場合に、この答申のようないわゆる再編成がうまく行なわれるのかどうか、その点を非常に危倶しておるわけです。しかもこの航空会社は私は営利会社だと思う。そこで、前回のような航空の惨事が再び起こるようなことは万々ないと思うけれども、しかし国民大衆の立場から見れば、非常に資産内容が不良になってくる、赤字経営を続けておる会社がそんなに安全性が保たれるのか、こういう問題に私は非常な疑念を持ってくると思う。そういう意味において一日も早くこれを何とか解決する、救済をするというめど航空局はお持ちではないのか、こう思うのですがね、この点どうです。
  56. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、経営基盤強化策その他を十分に講じて経営めどがつかない状態においては、安全対策というものについても非常に問題が出てくる危険性があるわけでございますので、われわれとしても一日も早く、そういう問題を生ずる余地がないようにめどをつけるようにしていただきたいというように考えているわけでございます。それについては先ほど大臣から申し上げましたように、関係会社についていろいろお話し合いをお願いをしておりますし、またあっせん等もお願いしておる状態でございますので、それらのものが一日も早く実を結びまして、経営基盤強化されるようにわれわれも望んでいるわけでございます。
  57. 田邉國男

    ○田邉委員 私が航空局長に申し上げたいのは、三十九年の十一月六日には指導方針というものを航空局として、運輸省としてはっきり出しております。具体的なものを出しておる。今回は航空審議会大臣から答申を求めた。従来の行き方とすれば、航空局は一つの運輸省の考え方を持っておって、そして大体答申の線と一致するような形でものを運んできた。今回は審議会のほうに一任をして、そして一つ審議会答申ができた。そうしたら今度はまた、その内容を具体的に入っていこうとしたら、これも運輸省は、航空審議会委員長である石坂さんに、その再建の問題、それから将来の問題について、ぜひあなたのほうでやってくれ——過去の運輸省の方針と今回の運輸省の方針とは、私どもが見ておると根本的に何か違っておるような気がする。本来ならば、運輸省というものがはっきりした指導方針と、業界に適したかくあるべきだという指導をするのが、私は運輸省のやるべきことだと思う。それを航空審議会委員長におまかせして、私のほうはそちらのほうの決定によってそのとおりに従いますと言わんばかりの、この重大な航空政策の再編成をやらなければならぬときに、まことにひより見的な態度でおやりになっている。そのことが歯がゆいと思う。その点については、航空局長また大臣は、いかにお考えになっておりますか。
  58. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 現在、航空編成に対しましての運輸省の態度は、ただ向こうにまかせっぱなしにしておるというようなものではございません。やはり航空局が今日まで持ってきました一つ考え方というものを基本にして、そうしてその基本を今回の航空審議会答申にどう生かしていくかということ等につきましてもいろいろ検討を加えながら、しかもその基本方針を生かして、答申を世話役の方々に御協力をお願いいたしておるわけでございますので、向こうでいいようにやってくださいというような態度ではございません。ただ、航空政策というものは過去、現在ずっと経過がございまして、その経過の線をやはり成長させながら、航空審議会答申を生かして、そうして今回の結論を得よう、こういう態度でございまして、ただ世話をお願いしておる人たちに無条件で一任というようなものじゃございません。常時航空局の中で検討いたしました一つ航空局の案というものを中心に相談を進めておると御了解願いたいと思います。
  59. 田邉國男

    ○田邉委員 私は大臣と少し意見が違うのですが、意見の違う話をしてもしようがないので、これ以上私は申し上げません。ただ私どもの遺憾に思うことは、あれだけの航空の惨事があって、その直後にやはり、答申答申としても、運輸省とすれば当然全日空国内航空日航というものを寄せて、国内の再編成をどうするかということを具体的に突っ込んで入っていくというのが私は当然なことだと思う。ところが、見ておりますと、何か運輸省のやり方はものの核心に入っていかない。人に何かものを頼んで事を処理してもらうような行き方であるのが現状だ。そういう点について、大臣はそうではないのだとおっしゃっておるのですから、私は大臣の言を信じて、もっと積極的にひとつ推進をして、われわれがなるほどやっておるというように事を進めていただきたいと思います。  それからもう一つは、いま国内航空が月に二億ずつの赤字を出しておる。しかも累計赤字は、資本金五十二億よりもはるかに多いといわれておる。その会社をプール計算をするとか、いろいろの援助のしかたを考えておられるようですが、一体それには、プール計算をする前提として、減資の問題もあるでしょう。そういう問題を全然検討せずにおやりになるのですか、その点を伺います。
  60. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国内航空体力強化の問題は、いま田邉委員も言われますように、いろいろなやはり問題があると思います。まず国内航空みずからが、合理化を徹底することによって赤字を吸収していくという体制強化していくということが一つ。それから同時にまた、日本航空との協調体制によって体力強化していくというようなこと等、いろいろあると思いますが、これはやはり企業の責任において速急に具体案を立てるように、こういうことでいま国内航空日航との間に話を進めさせておるわけでございます。  ついででございますから申し上げておきたいと思いますが、田邉委員の御指摘になりましたように、運輸省の態度が、業界編成等に対する姿勢というものが、何か弱々しいといいますか、手の入れ方が足らぬように誤解になっておると思いますが、そういう見方もあるかと思いますが、今回の再編成それから集約というものは、業界に対しては相当きびしい形で出ていくということになりますので、こういう場合には、できるだけ政府企業に関与しない姿勢をとりながら、きびしい条件をのませていくというほうが、方法としてはいいのではないか、そういう配慮で私はやっておる次第でございます。
  61. 田邉國男

    ○田邉委員 従来の政府あり方というものは、もっと具体的な問題に立ち入っております。企業にタッチしないというけれども、現実の形においては全部やっておった。今回だけは、どういう考え方か知りませんが、そういうことばで、なるべく何かさわらないような政策をおとりになっておる。この点は、これだけの大きな惨事を引き起こした際に、特に積極的にやるべき問題だと私は思います。なお、いま行なわれております日航国内航空とのプール計算とか、いろいろな問題が新聞紙上をにぎわしておる。私はいまの時点において問題にするのは、全日空というものを何ら考えておらない、うち外に置いて、実は全部考えておるのだと言うけれども、全日空の問題というものはあまり議論をしておらない。落ちたのは全日空なんだから、この際再編成をするときの中心というものは、やはり全日空を入れて、そして具体的にこういうようにやっていくのだという具体策を運輸省がやるべきだ。それでこそ国民が納得すると私は思います。そういう私どもの委員会の意見を十分尊重して、そしてこの航空事業あり方というものをもっと積極的に推進していただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  62. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいま田邉委員の仰せられましたように、私は、今回の再編成につきましては、やはり全日空というものに比重を非常に重くかけております。御承知のように、事故があってしばらくは、事故対策で当面忙殺されておるような事情でございましたが、全日空日本航空とがやはり中心でございますので、その前提として航空というものを早く強化させようということで、いま全日空のほうにも、日本航空のほうにも、日本航空と一緒になっていわゆる幹線運航の安全を期するような対策を講じさせるべく、いま全日空に働きかけておる状態でございまして、いま御指摘のような方向でございますので御了承願いたいと思います。
  63. 古川丈吉

  64. 泊谷裕夫

    泊谷委員 わが国の経済社会全体に対して最も能率的な交通を可能にするような合理的な方策がとられているかというと、これはたいへん疑問の多いことは大臣も御承知と思いますが、その中でも航空政策についてはいろいろな点からかなり立ちおくれておるということも、これまた事実で、御承知のことと思います。特にわが国が低所得国であるということから、交通機関についても伝統的に保守主義的な考え、これが国民感情としてあらわれておるのですけれども、それを背景としたわけではないでしょうけれども、航空政策の立ちおくれということが顕著にあらわれております。特にこの問題は戦後占領軍によるわが国航空輸送の政治的な禁止、あるいは国際航空市場から締め出す政策の悪影響があって混迷をしておると思いますけれども、それだけにわが国では航空行政に関して、先進諸国よりも意欲的に、しかも積極的な姿勢というものがとられなければならぬと私は思うのです。しかし今日のわが国航空政策は、国内の経済状態にどういう位置を占めるか、そのことさえ明らかでないし、したがって目標ないしは新しいビジョンといいますか、それも十分でないと思います。いままで個々の航空政策ということになりますと、戦後の歴史を見ますと、ことばが過ぎるかもしれませんが、すべて寄せ集めで、どうしても全体に筋の通った航空政策というものが見当たらぬように感ずるわけです。  そこで航空政策の難点は何かということになりますと、これはずいぶん時間をちょうだいして意見交換をしなければならぬと思うのですけれども、私はまず重要な問題の一つに、いつもこれは事務段階航空局、そしてその企業に携わる者に問題の始末を寄せて、本来意欲的な姿勢を示さなければならぬ国の姿勢というものが明らかになっておらないのも、重要な一つの問題じゃないかと思います。端的な数字だけをとらえてみましても、戦後今日まで、強大な海運力の再建計画、あるいは膨大な鉄道の第三次長期計画、これは二兆九千七百二十億、あるいは道路整備五カ年計画で四兆一千億、このことについては先日の予算分科会で瀬戸山建設大臣が七兆ないし八兆に組みかえをするという態度を明らかにしましたけれども、さらには港湾整備五カ年計画でも六千五百億、こういうものが国の中期経済計画に計上されておる。当初内閣の構成しました所得倍増計画の中には、ある程度の航空政策に対する政府として責任を持つ数字というものが計上されておったのであるけれども、中期経済計画について港湾、道路、鉄道、海運などにこれだけの姿勢を示しながら、航空政策についてなぜ前向きの姿勢が示されないのか、その事情をまず運輸大臣にお伺いをしたいと思います。
  65. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空政策に対するいわゆる国の力の入れ方が不足である、これは私も率直に認めます。これはやはり日本航空企業というものの出発が非常におそかったということと、それからその速力が非常に遅々として進まなかったというようなことが、今日航空企業あり方に、政府施策等に不十分さがあらわれておるところでございまして、私はもう今回の事故等考えますときに、やはり過去を振り返ってみまして、日本航空政策というものがきわめて力の入れ方が不足しておる、この点は率直に認めます。将来の問題として非常に積極的な政策というものが確立されなければならぬ、かように考えておるものでございます。  それじゃ現在の政策をどうして強化していくかということでございますが、やはり航空政策というものは、十年くらいの先を見通して、その上に立って、航空事情等を勘案しながら、この政策というものが確立されなければならないというような観点から、現在航空局で長期の計画を立てて、その青写真によって航空政策が進められていくということが正しい行き方であるということで、いま御指摘のような方向作業を進めつつある段階でございます。
  66. 泊谷裕夫

    泊谷委員 一つ要望を申し上げておきたいのですが、中村運輸大臣のお答えは、単に委員会答弁ということにとどめてほしくないということです。これはこういうところで申し上げるのはどうかと思いますけれども、昨年四月十三日当運輸委員会で、当時の航空局長でありました栃内航空局長は、私の質問に対してこう答えているのです。中期経済計画に見合う国の投資規模は千九百億ということで内部作業を続けてきたが、道路、港湾のように重点施策として政府の認めるところにならなかったのは残念である、したがって投資額を明確にされていない、大要こういう内容の答弁をしているのです。航空局の諸君は鋭意、十年計画であろうが二十カ年計画であろうが、立ちおくれた航空政策というものをできるだけ取り返そう——戦前わずかばかりの保安施設に立てこもって今日の航空を守ってきた連中ですから、人一倍意欲的だと思うのです。意欲的であるけれども、最大の問題点は閣議でこれを正確に、航空の経済に占める位置、あるいは外貨獲得という位置から、それを認めないところに問題がある。このようでありますから、航空政策の担当者となる航空局の方にしても、政策に対する確信を持てといっても、過去の実績からいってそれはできない相談だ。したがって政策にも迫力がなくなってくるし、これを受けて担当者もどちらかというと目先の利害関係にとらわれて、身近な市場で片ひじを張るという形をとらざるを得ない、これが過去の事実だと思うのです。そこで十分な航空政策を検討し、それができ上がったとしても、必ずしも政府自体で責任を持ってくれないというような扱いをしておるところに、今日の状態があると私は思うのです。でありますから、先ほどの大臣お話は、それが具体的にわが国の政治の部面で消化されるように、ひとつお力添えをいただかなければならぬと思うのです。  さて、それでは新しい意欲的な航空政策を打ち出す場合に、いままでは部分的なとらえ方をして諮問をしておりましたけれども、個々であれ総合的であれ、この審議会というものが一つの現在許された審議機関だと思うのでありますが、とするならば、この答申は全面的に受け入れられてしかるべきだと思うのですが、その答申を全面的に受け入れる用意があるのかどうか、これを大臣からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  67. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、政府の今日までとってまいりました航空政策というものは、日本航空企業の成長の度合いに沿って進められてきた、そこに今日のような急激な航空需要というものが起こってまいりましたときに、非常に大きな設備その他施策に不備、不十分さが出てきておると思います。今後の航空事業というものは非常な急速度で進んでまいるものでもございますし、現在もきわめて不十分な体制でございますので、やはり長期的な計画を立てて、ちょうど国鉄が第三次の長期計画をやっておりますように、一つの年次計画の上に乗せて航空企業整備強化というものがはかられる段階にきておる、私はかように考えておりまして、そういう方向で進めてまいりたいと考えております。
  68. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、私はいままでの航空政策が何もかもいけないという指摘をしておるのではありません。立ちおくれて急に飛び出したのだから、学者気取りであれが出過ぎたとか、コースが間違ったというようなことを言っても、これはぜんないことでありますけれども、しかし現段階において長期航空政策の展望というものを持たなければならぬし、特に内閣はそれに対する意欲的な姿勢を示す必要があろう。でありますから、聞くところによると中期経済計画も改定されるという話であるので、新しい改定期には意欲的な数字を、いまは言えないけれども、織り込んでみたいという話を大臣からされると思っておったのですけれども、それはそういうものも含んでいるだろうと、先ほどのことばを私は善意に受け取りました。しかし、どうあるべきことが正しいのかという議論をする手続上の問題になってまいりますと、大臣諮問をしておりますこの航空審議会というものは一つのよりどころでありましょう。それはそれだ、それが答えを出しても、何かただ民主的に相談をしたという形だけにするならば、何か検討しているような、言いかえると隠れみのに使っているだけで、政府も思い切ってげたをはくところははくというような姿勢がない。関係者だけを苦悩させておるというような事態を、またまた続けるつもりなのかということを聞いているのです。だから政府答申を求めた審議会の声というものは、特に事務段階では、政治的に問題があるならば別でありますけれども、これはほぼ採用されるというふうに理解をしたいのだがどうかということを尋ねているのです。
  69. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空審議会答申は、できるだけ尊重していく考え方でございます。
  70. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、これはちょっと筋が違いますけれども、昭和三十八年十一月十八日に有澤教授を会長とする民間の政策研究団体で、「航空政策への提言」というものを出しましたね。これは報道関係の諸君や交通問題を取り扱っている権威者に言わせると、今後の日本航空政策一つのあるべき姿の大筋を取り上げたと好評を博しているようでありますが、大臣はこの内容についてどう御理解になっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  71. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は不勉強でそれをまだ見ておりませんが、私は今後の日本航空政策の進め方等につきましても、あらゆる英知を吸収して完全なものを、その方向で進めていかなければならぬと思っておりますので、あらゆる人の見識を吸収していくような努力をしたい、かように考えております。
  72. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣が御承知なければ、これはしかたありません。私は重要な問題だと思うのです。この提言がなされるまでには経済企画庁その他航空関係の官庁なども非公式に参加をして、また路面交通の権威者でもある大学教授が二人も特別参加をしてきめたものであるだけに、大筋この方向をとられるということがお答えとして出ると思っておりましたが、まだごらんいただいてないようでありますが、航空局長としてはどうお考えですか。
  73. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 実はこの提言が出ましたのは私の就任前でありますので、そのいきさつはいま泊谷先生お話のように、われわれのほうもいろいろそれに参加をして御意見を申し上げたということは伺っておりますが、必ずしもこれが全面的にわがほうの政策として取り入れる内容であるかどうかというような答えが出たようには聞いておりません。
  74. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは感じの問題でちょっと——理解がそうならば別ですけれども、大臣諮問にこたえて答申を出します航空審議会というのも、数多くお願いをしてまいりましたけれども、古いほどものごとをはっきり書いておりますね。新しい答申ほど、先ほど田邉委員からも質問がありましたけれども、どうも歯切れの悪い文章が多くなってきた。これは審議会委員の皆さんから言わせれば、幾ら答申をしてもそれが具体的な政治の場で出てこない客観的な事情を、あらかじめ計算づくで書くというような弊害もあると思うのですが、とにかく具体性が乏しくなってきた答申ということについては、私ども国会で意見を述べさしてもらう場合に支障があるように思うのです。私自身、一人かもしれませんが……。そこでこの審議会をさらに、補強をする、こういう措置をとっていただいたらどうか。集まっていただく方には決して注文をつけませんけれども、そういう大筋の検討を試みたらどうかと思うのですが、大臣はいかがお考えですか。
  75. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私も泊谷委員と同じように、現在の審議会は、これは航空審議会だけに限らず、政府のほうで持っておりまする審議会一つあり方については、やはり検討すべき問題を含んでいると思うのであります。先ほど泊谷委員は、早いころの審議会、ずっと前の審議会答申と比べて、最近の答申はどうも明確さがにぶってきたようだと御指摘なさいましたが、私はやはりこの審議会答申というものは、政府のこれに対する扱い方と申しますか、その答申に対する政府の態度というものとの関連において、やはりそういう経過をたどってきておるのじゃないか。私は、これは私見でございまして運輸大臣として申し上げることはどうかと思いますけれども、やはり答申を出す審議会政府の意向に関係なく、審議委員の英知を傾けて答申をつくり上げていく、そうしてその出てきた答申政府はできるだけこれを尊重して実行していく、こういう一つの取り扱い方といいますか、審議会に対する道があったほうが、答申もそのものずばり出るのではないか。現在では両方とも、答申が出ればそれを尊重していくということをきわめて追求されるので、尊重していかなければならぬ、答申を出すほうも、出した答申政府がどこまで尊重して実行するかというようなことに気を使わなければならぬというような、一つの雰囲気といいますか、空気というものが最近は出てきておるのじゃないか。私はこの点については、やはり根本的に検討する必要があるのじゃないか。現在の航空審議会委員には、昨年お願いをしまして、暮れに答申を出していただいたのでございますが、私は委員のメンバー等をどうこうするという気持ちは持ちませんが、やはり審議会答申に対して政府がこれにこたえていく一つの行き方というものに、やはり検討を加える必要があるのじゃないか。同時に、審議会の方々にも政府がどう考えておるとかということにあまり関係なく、純粋な委員の英知を傾けて答申をつくり上げてもらう、そういうことが必要じゃないだろうか、そういう方向で検討していく必要がある、私はさように考えておるものでございます。この点は泊谷委員考え方と一緒だと私は思います。そういう方向で今後大臣としても閣議等の場合には、審議会に対する考え方等について主張してまいりたい、かように考えておるものでございます。
  76. 泊谷裕夫

    泊谷委員 審議会あり方についてひとつ検討していただくことにしまして、ともあれごく最近出ました答申を中心にしてお尋ねをしたいと思うのです。  お尋ねする気持ちは、先ほど久保委員が質問したように、世上言われております国内航空株式会社との問題等は別において私は尋ねていきたいと思うのですけれども、田邉委員も触れられましたが、答申によりますと「将来におけるわが国定期航空運送事業あり方としては、国際線は一社、国内線は二社をもってそれぞれの路線を運営せしめることが適当である。」こう指摘しております。これは、まだごらんをいただいてない「航空政策への提言」でも、すでに三十八年指摘をされておるのですけれども、これは原則的というか好ましい形だと思っているのですが、大臣としてよろしいですか。
  77. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私も感じ方としては、やはり国際線は非常にきびしい国際競争の舞台でございますし、そういうきびしい競争の中で企業をしていきます企業というものは、日本では一社以上ということは考えられないだろう、かように考えるのであります。国内線を二社という場合に、端的にその数を二社という場合と、いまは日本航空が現実に国際、国内幹線を大きくやっております、この現在の実態との関連においていろいろむずかしさも生まれてくると思いますが、考え方としては私は、国内企業は二社または一社というような考え方があるのではないか。答申は二社という線が好ましいというようなことになっておるようでありますが、最近事故等が非常に起こりましたのと、日本航空企業の力というものが世界各国の企業に比べますときわめて弱いというようなこと等から、あるいは国内の領土がきわめて狭いというようなこと等の関連において、二社にする必要がないのではないか、一社にしたほうが、整備あるいは搭乗員養成とかその他適当ではないかというような意見が最近出てまいったようでございますが、私はまあ考え方としては、大まかにそういう二つ考え方があるのではないか、かように考えておるものでございます。
  78. 泊谷裕夫

    泊谷委員 理論的に国内二社という筋が一つ立つ、それも有力な議論だということも私はわかりますけれども、いずれにせよこれは重要な問題で、またあらためて意見交換をさせてもらう場というものを設定してもらうことにしまして、次に移りたいと思うのです。  国際線運営についての項で「政府は、日本航空に対して早急に出資および補助の強化を行なうべきである。」こう指摘してありますね。これは日本日航をとらえて言うと問題がありますけれども、日航の場合は、急でありましたから古い資料しかありませんが、一九六三年の資料で、これは旅客キロの構成比においても国際六〇%、国内四〇%、それから座席キロの構成比においても国際六〇、国内四〇、こうなっていますが、エールフランスは国際九四の国内六、そしてまた座席キロのほうは九五%の五%、こういう数字で、日航国内線に占めるウエートというのはほかに見られない大きな問題だと思うのですが、かりに国際線一社集中論で考えてみました場合に、この指摘というものはずいぶん強い要請をされるものではないかと思うのです。  そこてこの答申指摘——航空企業に対する国の腰の入れ方は、確かに欧州型とアメリカ型の二通りあることはわかります。欧州型で見ますと、イギリスの英国海外航空政府出資一〇〇%ですね。イタリアのアリタリア航空は九六・二%、フランス航空が七〇%、オランダ航空が九六・四%、ドイツのルフトハンザが九三%、豪州のカンタス・エンパイア、これまた一〇〇%で、インド国際航空も一〇〇%、これが政府出資になっていますね。日航の場合、六三年の例でいきますと、この数字に対するように言うと五八%でありますけれども、この方式を世界並みの欧州型につり上げようとするのか。これをやらないというならばアメリカ方式でありますが、アメリカの場合は政府出資は全くない。もっぱら政府航空政策というのは航空輸送発展のために必要な条件を整備する、こういうことになって補助金交付などということも考えられないわけでありますけれども、しかし具体的な問題としてアメリカの政府は、航空産業の長期的世界的拡大政策の上に立って国際路線の積極的開発強化に働きかけている。これはこの間日米航空協定でいやというほど思い知らされたと思うのです。具体的な問題としては、郵便料金の交付政策、あるいは空港、航空路網の整備拡充政策航空機工業の保護発展政策あるいは航空会社の金融政策、これはもちろん外国会社の投資助成も含めてでありますけれども、あるいは乗員の養成供給政策——断わっておきますが、日本にはいま平和憲法がありまして軍がないわけであります。アメリカであれば軍で乗員養成あるいは機材の開発は可能かもしれませんけれども、私はアメリカ方式は日本の場合採用しようとしてもできない相談だと思うのですが、ともあれ答申に書いております「日本航空に対して早急に出資および補助の強化を行なうべきである。」これについて政府はどう対処しようとするのか、これをひとつ明らかにしてほしいと思います。
  79. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 日本航空は、御承知のように、ことしの十月ころを予定しておるようでございますが、ニューヨーク以遠世界一周路線を始めようとしております。さらに六、七月にはソ連との協定によってモスクワ線を開始しようとしております。こういうように国際路線の新しい分野が開けてまいりますために、日本航空としては相当の赤字を覚悟しなければならぬ、かように考えますので、政府といたしましては、ことしの四十一年度予算の最終閣議の際に、日本航空が新規国際線を開拓することによって生ずるいろいろの赤字等の関係に対する政府の援助をやるという閣議の了解も決定しておるわけでございますが、そういうことでございますので、できるだけ政府も援助いたしまして、そうして国際競争に対処していけるだけの日本航空国際線における体制を整えさせたい、かように考えておる次第でございます。
  80. 泊谷裕夫

    泊谷委員 中村さん、ぼくはいつも大臣の答えを聞いていて矛盾を感ずるのですけれども、この答申が暮れに出まして、いろんな政治的な話し合いがあっただろうと思います、単純にとは思いませんけれども、出資金どころか、逆に日航は今度乗員訓練費が切られたはずですね。これは何か別に企画があるやにも聞いておりますけれども、ともかく予算書を通して見る限りにおいては、従前ありました乗員訓練費が切られておるのです。お尋ねをすると、とても調子のよい話が出てくるのですけれども、実際はそれに伴ってこないというのに、どうしたら、中村大臣にここでお答えいただいたとおり政治に出てくるのだろうか、この方法をひとつ教えてください。
  81. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 先ほども言いますように、日本航空国際線によって生ずる赤字等については、政府もできるだけこれの援助をするということが決定いたしておるものでございまして、これは企業が仕事を始めますと、私は、政府の援助政策というものも実現するものと、かように考えております。
  82. 泊谷裕夫

    泊谷委員 抽象的に言われるとそういうことなんでしょうけれども。じゃ、もう一つお尋ねをしたいのですが、この間、日米航空料金の問題で、私は大臣にお尋ねをしましたね。ダウンをさしたくない、しかし両当事者間でどう話がきまるか、相手のあることだし、それによって、結果を見て、これを補てんしなければならぬものならしよう、もともと採算の合わないところにさらにダウンしたんだ。これは私考えると、当然それに対して中村さんのほうから日航に助成策が出されて話がついたと思うのです。それはどうなっていますか。
  83. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ちょっと私からあらかじめ御説明を申し上げたいと思いますが、太平洋運賃の値下げにつきましては、いま泊谷委員指摘のように、現在申請が出ておる段階でございます。この趣旨といたしますところは、いわゆるオフシーズンにおける旅客の誘致というようなこと、あるいは団体における割引きというようなことを中心にいたしまして、一部普通旅客運賃の引き下げをはかるという内容でございまして、日本航空全体のいわゆる予定収支からいたしますと、むしろ若干の増収になるというところをねらいながら、しかも乗客の誘致をはかるというような計算に相なっておるわけでございます。したがいまして、これをやらせるために国から特に助成金を交付するというようなことは、現段階においては考えておらない次第でございます。
  84. 泊谷裕夫

    泊谷委員 意見を述べるのは次の機会にしますけれども、私の一番ふしぎに思うのはここなんです。答申をもらっても、本来政府としてやらなければならぬものは何もやらないで、航空局とその企業だけ痛めつけておいて、何で航空政策なんてえらそうな演説ばかりぶっているんだろうというのが、私の偽らざる気持ちです。これは戦後、私も鉄道員でしたが、よくありました。客車の座席の間に新聞を敷いて、年寄り同士が、おれが先にとったといっていさかいをしているんですね。私は助役をやっていていつも苦しみました。切符を売った鉄道かなせ措置をしないんだ——これと同じことなんですね。片や審議会諮問して、やったみたいな形をとりながら、自分たちのほうは出すものは舌も出さない、こういうような調子で航空政策を論ずるなんていったって、それはまた本質的に問題が違ってないかと思うのです。しかしこれは約束のとおり、次回あらためてやらしていただくことにします。  もう一つ答申の中に出ました、先ほども田邉委員が質問しましたが、「近距離国際線における定期航空については、原則として、」この「原則」とは、現状を固定してそれ以上に出さないというような考えだと佐藤局長は答弁されましたね。そうですね、佐藤さん。大体そういうことでしょう。しかしイギリスのBOACを見ますと、これは全くのロングコースで、ヨーロッパ近圏はこれはBEAに運営をせしめて、そうしてターミナル・ジャンクションでこれを有機的に結びつけて、外貨の獲得にずいぶんかせぎを見せている。日航はいま能力がないからやむを得ぬが、モスクワだ、ニューヨークだというロングのことに血道をあげて、運輸省も一生懸命やってきたけれども、東南アジア地域の近距離国際線なんというののは、残念ながら日の丸の旗をつけた航空機に客を乗ぜるなんという措置はとられていない。だとするならば、この「原則」ということの読み方は、むしろロングを飛ばせる国際線と近距離を運営するもう一つ航空会社と有機的に結びつけるという考え方、これは捨てがたいと思うのですけれども、これについては航空局並びに運輸大臣のほうとして否定的な立場をおとりになりますか、いかがなものでしょう。
  85. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 答申にあります近距離国際線の「原則」については、先ほど田邉委員にお答えしたとおりでございます。
  86. 泊谷裕夫

    泊谷委員 というのは結局、BOACとBEAの組み合わせなどということには否定的な立場をとるということですか。
  87. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 BOACとBEAの関係はいろいろこの路線、会社の事業の成立の経緯があるようでございまして、必ずしもあれが一つの絶対的な型ではないとわれわれは考えておるのでございまして、わが国における近距離国際線運営につきましては、この答申の解釈といたしましては、われわれは原則はあくまで原則であって、例外は厳格に解すべきものではないかというふうに考えておるわけでございます。
  88. 泊谷裕夫

    泊谷委員 だとすると、たいへん流動性の高い、それだけに航空人口が多いと思われる、香港を基点にする東南アジア地域のこの航空人口の吸収に、日本の国から見て、どう手を染めようとするのか、その方策についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  89. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 したがいまして、御承知のように、日本−香港線等の便数の増加というような措置日航にとっているわけでございます。なお必要があれば、これの不定期運送の増強その他についてもできるだけ措置をとってまいる、こういうふうに考えております。
  90. 泊谷裕夫

    泊谷委員 佐藤局長、香港−東京ルートを私は話をしておるのではないのです。中国、ソビエト共産圏と、それからアジア地域の自由圏諸国との接点として、これをかすがいにして飛び回る飛行機が相当多い。だが、日本飛行機はこれを基点にしては行っていないでしょう。ほかの国の飛行機が入ってかせぎまくっておる。その隣同士の日本が、香港と東京を結ぶ路線を増便しようということだけでいいのだろうか。ほかの国では国際市場を目くじら立てて力づくで取りまくっておるのに、こういう新しい航空市場というものをそのまま投げておいていいだろうかというのが、私の疑問なんです。これについてお尋ねをしたのですけれども、どうなんでしょう。
  91. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 いわゆる現在航空協定が存在しますところのわが国のナショナル・フラッグ・キャリアとしての日航について、できるだけその運航便数の増加等によりまして経営内容を拡大していくという必要がある、またその措置をしているということを申し上げているわけでございまして、先生の御指摘は、もし協定のないところでございましたならば、これはまた事柄は別ではないかと考えます。
  92. 泊谷裕夫

    泊谷委員 協定がある。協定のないところは飛べないのだから、市場というのは協定の範疇で動くよりしようがないということになる。だけれども、協定というのは、みんなどこでも、イタリアだってイギリスだって二カ国間でつくってできたでしょう。だから現状あるものでどうだこうだという議論なら話は別ですけれども、世界地図を広げて、日本飛行機を羽ばたかせて、そうして外貨を握ろう。商船隊もなくなった日本としては、当然考えなければならぬことでしょう。だから新しい協定締結も含めて、この東南アジアを中心とする国際線というものを日本飛行機で飛ばしたいという気持ちは誤りでないと私は思うのです。それをとう日航なり新しいまた——これは「原則」ということになっていますが、日航にそれを全部やらせるということは有機性も欠くうらみがあるのではないかという論点に立って私は尋ねているわけですけれども、これはひとつ検討をいただくということにいたしたいと思います。  次は、国内線運営ですけれども、「後発企業である日本国内航空は、早急に経営を合理化するとともに、日本航空は、すみやかに日本国内航空への支援措置強化し、さらに資本的、人的提携を緊密にして一体化を進める。」こうなっておるのですが、これは後発企業日本国内航空を健全にするための措置というふうに読んでいいのですか。
  93. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 国内線運営については、やはり経営基盤を健全にするという観点からの諸般の措置考えておるわけであります。
  94. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、経営全体ということになれば、逆に日航側に国内航空が吸収ということもあり得るというのですか。
  95. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 この一体化措置については、企業の判断と協議により定めることになっておりますので、判断と協議が成り立つ場合にはそういうような形態も成立することがあるかもしれないというふうに考えております。
  96. 泊谷裕夫

    泊谷委員 もしいまのようなことが含まれるとするならば、私は北海道っ子ですけれども、北日本航空なんというのは一回も事故を起こさない。細々とした会社ですけれども、北日本は綾部運輸大臣の時代に過当競争を排除するということで、一つ航空会社に接収して、当時の委員会答弁では、資金上その他の措置をとって絶対間違いないようにする、そのために当時はたしか四分の一減資であったでしょう、そして三倍増資ということで、これに政府日航も入ってきまらした。たかが三年か四年たたないで、いかなる事情があろうとも、そういう事態があるとすれば、全く北海道の人間などは、何かあなた方にだまし討ちを食ったような感じを持つのですけれども、間違いですか。
  97. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 当時、経営基盤強化するために企業の合併ということが行なわれたことは、先生御指摘のとおりでございますが、その後の、先ほど来いろいろ御論議をいただいております国内幹線輸送の事情その他が必ずしも当時考えておった状態でなかったということも、先生御承知のとおりであろうかと思います。したがいまして、当時の者が意識的に何か関係者に誤解を与えてこういうようなことをしたということよりも、むしろその後の情勢の推移その他によって、もっと現状に合う措置がまた必要になってきたということではないかと思う次第でございます。
  98. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは佐藤局長というより大臣に聞いたほうがいいかもしれないと思いますけれども、これはあらかじめ断わっておきますが、私の感じですよ。決していまあります三つ企業にどれがどうのということは私は考えない。純粋に自分が考えて、国内航空が今日あるのは日航協力体制にあるということは、皆さん言われておる。私もそう思う、パイロット一つにしても整備にしても。だけれども、これを経営上の問題としてながめてみた場合に、経営がいいか悪いか、これがすぐとらえられて言われるのですが、経営上の問題についていうと、日航国内航空関係は完全なコマーシャルベースじゃないですか。半官半民だということで日航は、整備に入れた金はおくれれば会計検査院から指摘をされるということで、国内航空全体として資金繰りの調整考えてもらう、世話になっておる日航側から強く出られて、その切り札を使われちゃ、これは一番先に払わなくちゃならない。だから、形では協力をし支援をして育てたといいながら、財政上の措置としては完全なコマーシャルベース。結局は、北海道の人間からすれば、減資をし、増資をして過当競争を排除しょう。北海道としてはたった一つの誇りにしている。一回も事故を起こしたこともない。それは賃金も安い。だけれども、それで日本航空全体が調整が保たれるというならばというものであったものが、さらに今度は、力がないという理屈で国内航空日航への何か統合論になってくるとなれば、いかに節回ししょうとも、国民としては、それであるならば逆に、運輸省はこの国内航空をつくったときにいかなる育成方策をやったのか具体的に聞かしてもらって、その企業経営者に弱点があるというならば経営者もかわってもらわなければならぬということにもなるでしょうけれども、三つのものが集まって呼吸を合わして——私は、国内航空の従業員のほうはほかの会社に見られないほど呼吸が合っているように感じられます。だから、巷間伝わる航空企業編成でいま従業員を脅かしているのは、私も政治に携わる一人として、これはいけないという感じがしているのですけれども、現状あるものをごうすれば生きれるじゃないかという柱を出すのがここのきめ手だと思うのですが、この点についてはどうお考えなんでしょうか。
  99. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 泊谷委員指摘のように、まず早急に解決すべき問題は、この国内企業経営基盤強化して安全な運航ができることを確保するという点にあるわけでありまして、先ほど来大臣が申し上げておるように、経営形態その他の問題というよりもむしろ、現実にどういうふうにめどをつけるかというところに実は重点を置いて事を進めておる次第でございます。そういう意味でわれわれとしても、先ほど来いろいろ御指摘の点を十分に含んで事務的な案も申し上げ、これがそういう線に沿ってすみやかに進むように措置ができるようにしたいと考えておるわけでございます。
  100. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ちょっと協定から飛び出したような感じがしますけれども、ここは私はやはり重要だと思うのです。しかし協定でそういうことが意思表示されているとすれば、なおお尋ねしておかなければならぬのですけれども、綾部運輸大臣のときに私が、幹線の乗り入れだけ認めたってジェット機一機ぐらいしか買ってやらないで適正な営業単位ができるものではない、こう強く主張したはずです。しかしそれは段階的に、パイロットの養成もあってそうすみやかにいかない。それもそうでしょう。しかし今度は727二機入りましたね。今月一ぱいで入る。そこでやっと適正な営業単位でしょう。それもまだ問題がありましょう。さて、幹線の乗り入れば強行されても、特に北海道は就航率が低い。それから、利用される人員のパーセソテージも低い。ローカル線のほとんどが赤字路線で、稚内便なんか七人飛んでおるうちに料金を払っておるのは一人、こういうことですね。しかし大臣が出ていって稚内便がとめられたんでは、地方公共団体も負担をしているのだから困る、こういうことで、ただ採算が合わないということでこの問題を始末する、こういうことについてはどうかと私は思うのです。  なお、私はひとつどうしても航空局なり運輸大臣に注文をしたいと思っている節があるんです。私は、端的に言わしてもらって、航空行政があるんだろうかという疑問を持っています。なぜかなれば、そのローカル線調整においても、東京—高知便、新しく一つ出てきた問題であっても、新聞を通して見る限り、運輸大臣は、航空局の皆さんは何も言わないで、全日空国内航空調整しなさい。最近はそういうものもあるでしょう。今度の再編成問題も、片や審議会委員長の石坂さんはわかります。植村さんは日航の会長でしょう。そういう人にお世話をいただくということが、一般国民の目から見て、公正妥当な答えが出るだろうか。現に見なさい、国内航空の専務が辞表を出したというのはどういう事情なんですか。日航派遣であり、一面国内航空の専務としての仕事をしなければならぬ。板ばさみになったから辞表を提出されたのじゃないですか。本来航空局や運輸大臣は、日本航空政策は完全ではないけれども、当面事務的に調整できるもの、そして経営の規模を育成するという措置を手当てをするためにあなた方はあるとぼくは思う。一切の問題は第三者に、その関連者に調整をまかして、結局こういうことになりますと、幹線日航に世話させるとかさせないとか、採算が合わないローカル線だけ持たしておいて、さらに経営を合わせるということはできない相談です。さらに日航国内航空を吸収するという方途を、運輸省や運輸大臣航空局の手でなくて、第三者の手でやろうという、こういうこそくな手段をなぜおとりになろうというのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  101. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空編成の方針というものはやはり運輸省が中心になってやっておるのでございまして、全責任は運輸大臣の責任においてやっておるのでございます。泊谷議員が仰せられました、前回航空編成のときの北海道の方々等のいろいろな問題はあるかと思いますが、これはやはり日本航空企業一つの成長の過程であって、今日五つありますのがやがて集約化されて、経営経理の健全な体制を整えるような方向集約化していくということも、日本航空企業そのものの成長の姿である、私はかように考えるのでございます。国内航空の問題は、これは日本航空国内航空は、御承知のようにきわめて関連の深い企業でございますので、この両社の協調体制強化によって国内航空というものの経営健全化することを、両方の自主的な話し合いによってひとつ確立してほしい、こういうことを申し上げております。しかしながら、先ほど田邉委員の御質問のときに答えましたように、企業にはそれぞれの自主的な立場がございまして、利害関係等も必ずしも一致しない面もございますので、そういう点は航空局の一つ方向に沿って調整をとりながら、円満に結論を出していきたい、かように考え努力をいたしておるのでございます。やはり再編成の中心は、航空局が責任を持ってやっておると御了解願いたいと思います。
  102. 泊谷裕夫

    泊谷委員 日航国内航空が一体だという大臣お話をそのとおり受けまして、だとするならば、国内航空日航の間にあります、先ほども指摘しましたコマーシャルベース的な収支という問題について、これは閣議決定か法律上の規制でほかの債権者と同じような取り扱いをする用意があるのか、これを一つ聞きたい。と同時に、もう一つは、日航は何といっても半官半民ですよ。競合する路線を、全日空側から見ましたならば、国内市場を半官半民の企業でやられて、片一方は純然たる民営企業。ちょっと自民党の政策上もおかしいじゃないか。私は社会党だから、本来こういうのは国営だろうが何であろうが、国が全体的な調整、総合政策を強く主張したいところであります。その限りでは、往年民営企業というものについては、それはそらぞらしい話を進めたかもしれませんけれども、しかしあなた方が持っておる政治基盤からいって、民営企業を逆に圧迫する、官営が民営を圧迫するという流れ方も問題はありませんか。
  103. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 日航国内航空が一体であると私が申し上げたのは、一つであるというのではなくて、きわめて関連が深い企業体ということを申し上げたのでありまして、その点は私のことばが足りなかったのかもしれませんが、全然違う企業体ということをここに訂正しておきたいと思います。  それから日本航空と民間企業との関連でございますが、日本航空はおっしゃるように半官半民のような企業体ですし、その他の企業はいわゆる純粋の民間企業であります。こういう一つの現実のあり方というものが、やはり日本航空編成考えます場合にむずかしさというものがあり、非常に微妙な関係が生じてくる要素でございまして、そういうところをどう調整していくか、あるいはすっきりしたものにしていくかというところに、困難さあるいは問題があると思っておるのでございまして、そういうものまで含めまして航空の再編成といいますか、集約化等を努力していくつもりでございます。
  104. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま委員長から連絡がありまして、本会議関係がありますから、だいぶ残りましたので次会また適切なときにやらせてもらうことにしますが、ことばで聞いておると、前段よりは歯切れがよくなってきたように思いますけれども、答申には、ローカル路線は原則として競合させないというふうに書いてありますが、これは白紙還元を意味するのか、再配分を意味するのか。それから、「政府または地方公共団体において補助を行なうよう検討」する、この具体的な内容。それから三の、特に安全安全といわれるので一番問題の多い項でありますが、「必要な飛行場および航空保安施設の整備、特に航空機乗員養成の拡充」などの具体策についてお答えをいただくつもりでありますから、御用意いただきたいと思います。先ほど佐藤さんから話がありまして、これは主観の相違かもしれませんけれども、三番目に書いてあります「政府は、これが実現のため適切にして強力な行政指導を行なう」、この筋を知りたいのです。運輸大臣考えておること、航空局長考えておること、残念ながら新聞等で見る限り、運輸大臣にも航空局にも、航空行政あり方というバックボーンがあるのかどうかわからない。何か第三者に押しつけてしまって、その手によって少々荷物になっておるものを始末してしまえ。これは意地の悪い見方ですが、そういう感じを持っておることを私は率直に申し上げます。次会はこの点を中心に、あなたのほうではこの点はこうこうやっておるという、胸を張って御説明できるものを並べていただきたい。  最後に、石炭ですが、六分五厘の利子を去年まで三分利子補給しましたね。ことし三分五厘利子補給してただになる。だから、ただとは言わないけれども、海運、電力、石炭、肥料、機械などが六分五厘なのに航空企業が八分五厘というのは口だと思う。六分五厘に合わせるようにお力添えをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  105. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 企業の立場から、金利の安いということは絶対必要なことでございますから、できるだけ低利の長期資金の使えるように努力したいと思います。
  106. 泊谷裕夫

    泊谷委員 協定と別で、急ぐ問題で一つ知っておきたいのですが、いまの再編成か何かわからぬけれども、日航国内航空でやりとりがあることが新聞に出ておりますね。松尾日航社長が第一案、第二案を出された。これは三月十四日ですか。第二案では、日航側と国内航空がお互い提示しているのですが、国内航空の菅野社長の主張を新聞で見る限り、二案というものに落ちつきそうなのでありますが、この二案でまとまった場合、運輸省としては意見をはさむ気があるのですか。
  107. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 日本航空の言っておられます第二案と、国内航空の主張している案とは、内容において相当差異があるわけでございますが、いずれにいたしましても両社の自主的な話し合いを慫慂しておるわけでございますので、まずその話し合い結論を得るかどうかということが問題であろうと思っております。
  108. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは自主的な話に運輸省はしたがって介在しませんね。介入しませんね。それを確かめておきたいのですが、いいですか。
  109. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 介在ということはどうかと思いますが、二社の調整に運輸省としては協力するということは考えております。
  110. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この項になぜ声を大きくしてねばったかというと、私の聞いておる範囲では、新聞を通して両社のやりとりがあることとは別に、運輸大臣なり航空局のどなたかわかりませんけれども、注文をつけておるという話を聞くのです。それならあなた方自信を持って自分できめたらいいじゃないか、こう思うのですが、真偽は確めてないからずばりとその内容を申し上げないのですけれども、そういう変形的な取り扱いはしてもらいたくない。運輸省なりあるいは航空局がきちっとした姿勢を持ってこうあるべきだということをやるなら、それはそれでいい。しかし第三者へ渡して頼んでしまって——この渡し方には私異論があります、片や審議会の会長、副に日航の会長をもってきて相談を持ちかけるというのは、本末転倒、筋が違っている。確かに航空企業についての権威者なり財界の大ものであることは認めますけれども、国民がなるほどというしかけでなければいけないと私は思うのです。なぜかと勘ぐられるような筋で依嘱をするということについて考えていただかなければなりませんし、かりに人に預けたとするならば、そのほかに運輸省や航空局が余分なものを言うということは差し控えたほうがいい、こういうことを申し上げて、きょうはおしまいにしたいと思います。
  111. 古川丈吉

    古川委員長 次会は明二十日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会