○
宮崎政府委員 お答え申し上げます。御
指摘の点は、
救急医療制度についてどう
考えておるか、
損害賠償制度の
拡充についてどう
考えておるか、
交通保護司というものをつくることについてどう
考えておるか、この三点と一応理解しております。まず第一の点でございますが、
救急医療体制が必ずしも完全でないために、従来
交通事故によりまして
けがをされた方が、助かるべきとうとい命をみすみす失われたという例は若干ございます。その点につきましては、私
たちも率直に、
救急医療体制が若干立ちおくれているということは認めざるを得なかったわけであります。この点につきましては、御
指摘のように、
交通安全国民会議におきまして、
救急医療体制をもっと
整備すべきであるという御
意見が出まして、まことにごもっともであるというところから、現在におきましても、
救急医療体制の
拡充に
政府としては努力をいたしております。具体的に申しますと、まず現場で
交通事故によって
けがをされた方を、一刻も早く
救急医療施設の整った
病院に運ぶこと、このためには、申すまでもなく
救急車の
整備が必要でございます。これにつきましては、現在
全国で約五百台
程度ございますが、必ずしも十分でございませんので、
昭和四十一年度におきましては、これに対しまして二千九百万円の
補助金を出しまして、
全国で約五十台見当の
救急車を
整備する予定にいたしております。
それから
救急医療施設そのものにつきましては、これは主として
厚生省の所管でございますので、あるいは
厚生省から
お答えいただいたほうが具体的あるいは
適確であろうと思われますが、私の
承知しておる限りにおきましては、
公的病院における
高圧酸素ボックスの
整備であるとか、その他
救急医療設備の
整備、それから
救急医療関係のお
医者さんの研修、そういった点につきまして、
昭和四十一年度も
予算をできる限り投入いたしまして、その
整備に努力いたしたい、このように思っております。
なお、その以前の本質的な問題といたしまして、いわゆる
救急医療につきましては、特に
交通事故の場合には
頭部損傷による
死亡が非常に多うございまして、このためにはいわゆる
脳神経外科の
専門医の
養成を急速にはかることが必要でございます。この点も従来やや立ちおくれておりましたが、最近におきましては、かなりの大学におきまして
脳神経外科の教室をつくるため、
脳神経外科専門医の急速な
養成につとめておりますので、近い将来におきましては、この
脳神経外科専門のお
医者さんが少ないということによって
救急医療が十分行なわれないという欠陥は、多分に改善されるであろうと思っております。
それから
損害賠償の問題でございますが、これはもう
先生御
承知のように、現行におきましては
自動車損害賠償責任保険におきまして、
死亡の場合には百万円、それから
負傷の場合には三十万円支給されることになっております。しかしながら、この額がこれで十分ではないということにつきましては御
指摘のとおりでございまして、これをさらに引き上げるべきである、こういう御
意見が
国民会議においても出ましたが、われわれといたしましてもこの額を引き上げるように努力いたしております。これは運輸省の御当局から
お答えになったほうが正確かと思いますが、現在ここに御
審議をお願いしております
法律の
改正案によりまして、これは手続的な面でございますが、近い将来、
死亡の場合には百万を百五十万に引き上げる、
負傷は五十万に引き上げるということをわれわれとしては
考えております。もちろんそれだけで十分であるかということにつきましては問題がいろいろございます。また諸外国の例に比べましても、この
責任保険の
支給額が決して十分とは思っておりませんが、こういう
保険金の
支給額につきましては、もちろん多ければ多いほど望ましいことは明らかでございますが、いろいろの
関係もございますので、これを一挙に数百万に引き上げることはなかなか困難であろう、したがいまして、これはやはり段階的に
処理をせざるを得ないのではな
いかと
考えております。
なお、それと並行いたしまして、
自動車を運転する者あるいは
自動車の
保有者等の
方々に
任意保険に加入してもらいまして、それによって、
強制保険の足りない分をカバーしていったらどうかというような点も
考えております。
それから第三の
交通保護司の問題でございますが、この御
意見、これも
国民会議で出されまして、私
たちといたしましても、非常に適切な御
意見であると思っております。しかしながら、現在御
承知のように、
交通事故の
あと始末の
相談につきましては、いろいろな
分野におきまして、それぞれの
分野でこの
処理について何らか寄与し得る
機関がございます。たとえて申しますと、
交通事故が起こった場合の
法律上の問題といたしまして、これをあるいは和解にするとか、あるいは
訴訟を提起するという問題につきましては、これは言うまでもなく
弁護士の
方々にお願いしなければなりませんので、
弁護士会、こういうところでできるだけ
事後処理についての
相談に乗る。また、そのために
費用がないというような人に対しましては、
法律扶助協会というものがございまして、
訴訟費用の
立てかえをする。それから別の見方から申しますと、各地に
人権擁護委員がおられまして、これが
人権擁護の観点からやはり
交通事故の
処理について
相談にあずかる。あるいは
民生委員というような方も、同様な
立場から
交通事故処理の
相談にあずかる。また最近におきましては、
警察あるいは各
都道府県に置かれております
交通安全協会等におきましても、この
交通事故の
処理について積極的に活動する、こういう
体制になっております。現在
政府といたしましては、これらの既存の
機関を一応フルに動かしてみよう、そうして足りないところがありました場合に、総合的な
交通保護司というものを検討して、そうしてやはりそういうものが必要であるという
結論に達しました場合には、
交通保護司というような
制度を、総合的に
交通事故の
事後処理の
相談に乗ってもらうという
制度を
考えたいと思っております。したがいまして、現在は検討中の段階でございまして、まだ
交通保護司を置こうという
結論にはなっておりません。以上でございます。