○肥田
委員 私は、
日本社会党を代表して、簡単に反対の趣旨を明らかにいたしたいと思います。今度の
国鉄運賃の
値上げは、まことに不当な高率なものである、こういうことをわれわれは
前提にして反対をしたいと思います。
国鉄運賃は、三十六年に一五%の
値上げを行なって、その後大体において黒字の
経営が続けられてきたというふうにわれわれは
承知をしておったのであります。しかるに、今回突如として旅客の
運賃が三一%、貨物の
運賃は実質収入一二%という
値上げを出してまいりました。これは断じて賛成するわけにはまいりません。
そもそも
日本国有鉄道は、
国民生活の安定と産業発展に資するというために存在をしておるのでありますが、現実には、そういう
国民の意向と相反して、漸次独立採算
経営に傾いてきておるのであります。その結果、
公共性を失った
国有鉄道となって、
運賃も私鉄と同率の、いわゆる経済
運賃という、こうした姿になってきておると思うのであります。今回、私鉄の
運賃は二〇%の
値上げが行なわれました。それに対して
国鉄の
運賃は三一%の
値上げでありまするから、この私鉄と
国鉄との率の
状態を見ても、明らかに経済
運賃化しておるということがわかると思うのであります。まことに残念でございまして、われわれはどうしてもこをした数字の
内容に賛成するわけにはまいりません。
しかしこの原因をよく考えてみますると、これは明らかに国が
国有鉄道に対する
投資を怠ったためである。このことは事実であって、否定するわけにはまいりません。したがって、この
運賃値上げの
責任の大半は、これは
政府当局にある、こういうふうにわれわれは考えたいと思うのであります。特にこの
運賃の
内容を見てみますると、三一%という不当な
運賃の
値上げというものは、これは
物価に対してきわめて大きな影響を及ぼすのであります。
国鉄の
運賃の
値上げというものが、過去において
物価の
値上げに対してきわめて悪い誘発をしてまいったことは、過去の経過に示すとおりであります。このたび一連の
公共料金の
値上げが
計画をされておるそのさなかに、
国鉄運賃が三一%も
値上げされるということは、これは過去のわれわれが一番心配をしておりましたものを、今日さらにそれに輪をかけたような高率の
物価値上げということが予想される。しかも、これを防ぐところの手段は
政府は持っておらない。こういうふうに考えますときに、まさに
国鉄運賃の
値上げが
国民生活を破壊する懸念が出てくるのでありまして、そういう
意味からも、この高率の
値上げというものには賛成できません。
それから
内容を少し分類をいたしまして、旅客の三一%の
値上げに対するに貨物の
運賃が実質収入一二%というこの不可解な数字であります。われわれはこの貨物の
運賃の一二%は、本来もっと高率化していいものではないか、貨物の
運賃が一七%の
値上げを予想をして、そして平均が一五%、しかもさらに実質収入は一二%ということは、各方面からいわゆる独占企業の圧力がかかって、原材料輸送に対する低率の輸送を
国鉄にしいる、こういうことが
前提にされてはじき出された結果が一二%という実質収入ではないか、こういうふうに思うのでありまして、まことに不当に低率な貨物料金、不当に高率な旅客
運賃、こういうふうにわれわれは考えざるを得ないのであります。
さらに、今度の
運賃値上げの中で改善の面を取り上げてみたいと思います。
通勤通学定期、あるいは短距離の
運賃がこれまた非常に高率になりました。一〇〇%をこえるところもある。不当な高率の
値上げであります。それからまた遠距離逓減というものが減率になっている。そして大衆の旅行というものに対する夢が根本的に打ちくだかれました。これはわれわれ
国民大衆の一人としてまことに残念であると思います。私がある遠距離の鈍行に乗りましたところが、その鈍行の中で私の隣におった客は、山口まで行くと言うのであります。あんた山口まで行くんだったらせめて準急ぐらいに乗ったらどうだと言うたら、やっぱり準急料金が惜しいと言うのです。しかし現実に弁当を食べることなど考えたらそれだけ準急料金が安くつくじゃないかという話をしましたが、いや、私は山口まで行くのにコッペパンと水を飲んで行くのだ、こういう話をしておりました。あなた方は笑っておるけれ
ども、現実にそういう大衆がたくさんある。いなかから働きに出てきていなかに帰る急行料金も払えない、弁当が買えないから、パンを食べ、水を飲んで、それでがまんをして国へ帰ろうという人がある。こういういわゆる大衆の旅行の夢をくだくということは、まことに冷たい
国鉄の
運賃の引き上げだと私は言わざるを得ないのであります。(拍手)
やがてこれに対する本格的な反対討論というものは本
会議で行なわれると思います。私は、今度の
運賃の
値上げというものがきわめて不当なものであり、しかもその不当な背景には
政府の圧力があって、そうして
国有鉄道を
国民のものではなし、独占機関の専属化する傾向がこのような姿に変えてきたのだろう、こういうことを私は強調して反対討論を終わりたいと思います。(拍手)