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1966-02-18 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十八日(金曜日)    午前四時八分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    小渕 恵三君       川野 芳滿君    木村 俊夫君       草野一郎平君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    南條 徳男君       増田甲子七君    山村新治郎君       井岡 大治君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君       内海  清君    竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         運輸政務次官  福井  勇君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  原山  亮君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一六号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。肥田次郎君。
  3. 肥田次郎

    肥田委員 前会に引き続いて質問を継続したいと思います。  ところで、経済企画庁長官はどういう都合でしょうか。
  4. 古川丈吉

    古川委員長 いま予算委員会で答弁をしておられるそうですから、あき次第、向こうが済み次第、こちらに来ていただくことにします。
  5. 肥田次郎

    肥田委員 それでは、経済企画庁長官が見えてから、経済企画庁長官お答えをいただく面は質問することにいたしまして、実は、去年の十一月の十六日に、藤山経済企画庁長官は、閣議あとで、記者会見をやっておるのです。そうして、公共料金問題に触れて、十八日の会議で検討することになっているけれども、私としては、国鉄値上げは四十一年の四月、郵便料金は十月がよいと思う、こういうふうに経済企画庁長官は言っておるのです。それから、十八日に、中村、福田、藤山、それから党側のほうから田中角榮さん、赤城さん、西村さん、こういう人々の間で、政府与党の態度として平均二五%を確認をした、こういうことが報じられております。さらに、二十七日に、物価問題閣僚協議会設置をきめた会議あとで、藤山長官は、当面公共料金問題は一段落だ、こういうふうに言っておるのであります。これは当然藤山さんが見えてから聞かなければわからないことですが、藤山さんが一段落だと言っておることは、今日まで藤山さんが記者会見その他で自分考え方を言った、その内容と同じものだと私は理解をしておるのです。そういう経過のあとで、三十一日に運輸大臣伊勢にお参りになりましたね。そしてそのお伊勢参りで、これも記者会見をやられて、そうして国鉄運賃は貨物が一五%、旅客が三七%は閣内でも了承されているので、これの実施は四十一年の一月の上旬から中旬までにやりたい、こういうふうに言っておられるのです。その後さらにこういう記事が出たことをおぼろげに記憶しております。それは、例の日韓問題がきびしくなっておったときですから、補正予算その他の関係から、国鉄運賃値上げは四十一年の四月以降、いわゆる来年度になってもやむを得ないだろう、こういうふうな意向が政府関係者の中から漏れておった。私はこのことを中心にしてまず運輸大臣にお伺いしたいのですが、藤山さんは、先ほど言ったように、四月ごろが適当だと思う、こういうふうに言っておられる。ところが、そういうことが閣議で了承されたそのあとに、あなたは伊勢へ参られて、そうして一月の上旬からおそくとも中旬までに実施をしたい、こういうふうに言っておられるのですが、こういう関係は一体どう理解をしたらいいのですか、お聞かせ願いたいと思います。
  6. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、国鉄運賃値上げ運賃是正の期日は一月一日を目途としてやりたいという考え方を持っておったのでございます。それ以外は、伊勢で私が運賃の率を言ったとかいうことですが、私は運賃値上げの率を言ったことは記憶しておりません。そういうことを言うわけはないと思います。何かの間違いかと思っております。
  7. 肥田次郎

    肥田委員 報道関係というものは、うまく探り出して、そうしてそれを記事にすることもあるようですから、これは大臣が腹にもないことを口から引っぱり出されて、それが新聞記事になったということもあるかもわかりませんが、それはいいのです。ところが、その次に予算委員会が始まりまして、大臣は、国鉄運賃値上げについては、値上げ強行採決とかそういうことはやらない、こういうふうにおっしゃっていますね。その気持ちはいまも変わりはございませんね。
  8. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は強行をお願いする気持ちはないのであります。審議はどこまでも国会の問題でございますから……。
  9. 肥田次郎

    肥田委員 結局、新聞、それから議事録をまだ私は見ておりませんが、強行する意思はない、こういうふうに、ごろの上での解釈はなると思うのです。この関係は私はじっと見てみたいと思うのです。大臣は一月の一日くらいに実施したい、こう言っておられる。経済企画庁長官は、四月以降でもよろしい、こういうふうに言っておられる。それから日韓でごたごたしておるときには、四月以降でないとこれはやむを得ないだろうというふうに、一部ではもうあきらめておったような空気も出ておった。そこで大臣感じておられるように、確かに委員会はいま混乱の中に進められております。進められておる中で、私がこうして質疑しながらも不安でならないのは、これは大臣権限じゃないですよ。大臣権限の及ぶところでないのですけれども、しかし何か審議を打ち切ろうとするような感じがするのです。
  10. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は委員会強行をお願いいたしたこともございませんし、私はそういう感じは一向感じておりません。
  11. 肥田次郎

    肥田委員 いや、あなたはそういうように言われますが、予算委員会では強行する意思はないと、こうおっしゃっておるのです。強行する意思はない、無理をしないという大臣気持ちは、与党であるところの自民党に流れていかなければいけない。そうでしょう、大臣
  12. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、いま申し上げますように、強行をお願いしたこともありませんし、お願いする気もありません。正常な委員会運営——実は二月十五日に十分間に合うようにひとつ通していただきたいと考えておったわけでございますが、もう二月十五日は過ぎましたので、一日も早く正常な形で通していただきたい、かような気持ちで一ぱいであります。
  13. 肥田次郎

    肥田委員 私は委員長確認をいたしますが、よろしいですか。大臣はとにかくそういうふうに意思表示をしておられる。総理大臣も同じような意思表示をしておられます。そうしてくると、政府自民党意思は同一だと私は思うのです。ですから、少なくとも運輸委員長である古川さんはやはり同じ考え方でしょう。これは確認しておきたいと思います。
  14. 古川丈吉

    古川委員長 お答え申し上げます。  総裁からも何らの連絡は受けておりません。私はこの委員会運営の情勢に応じて判断をいたすつもりでおります。
  15. 肥田次郎

    肥田委員 いや、それは委員長はそういう言い方もありましょう。けれども、総裁から何の連絡も受けていないということ、これはちょっと私は受け取れませんね。総裁がどう言おうと、あなたに直接命令しようと、あるいは意思の伝達をしようとしまいと、これは関係ないことです。とにかく予算委員会で、総理大臣運輸大臣、この人たち方針というか自分考え方を明らかにした以上は、これは政府与党としてそのとおり従われるのがあたりまえでしょう。それを聞いておるのです。運輸委員長もおそらく同じ考えだろうと私は思っております。けれども、これは確認をしておかなければいけません。どうでしょうか、ちょっとその点はっきり言うてください。
  16. 古川丈吉

    古川委員長 いま答弁申し上げたとおりでございます。
  17. 肥田次郎

    肥田委員 よく言うように、欲せざる馬に水を飲ますわけにいかない、こういうことばがあります。委員長幾ら答えを求めても答えられぬということなら、これはやむを得ませんから、次の質問に入ります。  そこで、私は本題に入る前に、国鉄当局のほうで出されております「国鉄通信」ですか、ございますね。あれは広報部かどこかから出ておるのですか。あの一月二十二日号に「国鉄第三次長期計画産業界に及ぼす影響」というまことに雄大な構想を発表しておられます。これを私は若干説明をしてもらいたいと思うのですが、この主題のとおりにとると、国鉄のいわゆる第三次長期計画というのは、景気を刺激をして、そして景気をよくする、いわゆる大投資だ、こういうふうに書いてあるのです。これをさらに言いかえると、国鉄のいまやっておることは、七カ年の長期計画というものは、景気を回復するために、政府方針に基づいて、いわゆる大投資をやるのだ、こういうふうなうたい文句だ。結局、われわれが国鉄の問題をいま討議しておるのは、国鉄運賃値上げが是か非かという論議をしておる。その運賃値上げが是か非かという論議をしておるのにもかかわらず、反面では、「国鉄通信」の中では、国鉄の第三次長期計画景気回復の大事業だという意味のものが流されておるのです。これを、少しでよろしいですから、まずお答えをいただきたいと思います。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 午前中の御質問にもその点はございますので、簡単に申し上げますが、国鉄が工事をする際に、たとえば用地費とか、あるいは人件費とか、これは景気とは関係ございません。一応関係ございませんが、その他の車両をつくるとか、あるいはトンネルを掘るとか、橋をつくるとかということにつきましては、これは何らかの形で産業界に関連があるのは事実でございます。午前中も申し上げましたように、機関車一両つくればどういう影響があるかということははっきりしておりますが、ただここに書きましたのは、もし国鉄が二兆九千億の投資をすると、そういう効果があるということを書いたわけでございまして、国鉄景気回復のために投資をするというのは、去年の夏に財投二百億追加して、去年の暮れの補正の第二号で、先生方の御承認を願いました補正予算のうちの二百億はまさに景気回復を目的としたものであり、今度の二兆九千億は結果的には景気回復になる、こういう意味でございます。
  19. 肥田次郎

    肥田委員 副総裁、これは議論をするということではなしに、私は、どういう意味国鉄がこういう通信を出されたかということをお伺いしておるのですから、そういう意味でこれからお答えをいただきたいと思うのですが、たとえば、いまおっしゃったように、一例をとってみると、たとえば百億の車両を買うということは、二百六十四億ですか、になって返ってくるのだ、こういうふうにいわれておるのです。それは確かに、車両をつくるためにいろんな設備投資というものも必要になってまいります。それから、それにはいわゆる原材料が要る。そういうものがいわゆる二百六十四億ですか、になって返ってくるという。いわゆる二・六四倍にもなるという、この計算の使い方ですね。これは何ならば、ひとつ参考のために、計数が出てくるというのは、どういう基礎数字をもってこういう計数が出てきたのか、ひとつこれを、いまわかっておったらお知らせをいただきたいと思うのですが、こういう形にものの表現をするということになると、これはもう、いわゆる生活の能力もない、何もできないような人でも、日本の国の全体の人口の中に入っているのと同じ計算なのです。しかし、そういうものでは、国鉄は、これから大事業をやるというものに対して、いささか誇張に過ぎるのじゃないかと、私はこういう気がしますよ。  あとに、いろいろこれにありますから、逐次質問していきたいと思いますが、たとえば今度の三兆円の投資に対しては、これもしまいのほうに書いてありますね。生産誘発というものが、三兆円の投資に対して六兆幾らになるということを書いていますね。たとえば、今度国鉄車両に対する投資は七千百八十二億である、こういうふうにある。ところが、これは一・二二倍になってきて、そしてそれらの関係を潤おす。鉄鋼金属関係では四千二百六十七億が一兆七千三百三十八億になる。こういうふうに、いわゆる生産誘発をやっていく。これは、われわれは不勉強ですから、先ほど言ったように、まじめな意味で、どういう計数をおとりになったのか、これをひとつ参考のために知らしていただきたいと思います。
  20. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは御承知のとおり産業連関表がございまして、たとえば同じ鉄道事業の中でも、車両電化事業と、あるいはトンネルを掘ったりする土木事業と、おのおの率が違ってまいりますが、たとえば車両で申しますれば、鉄鋼業あるいは木材、あるいは非鉄金属電気機器、重軽電機、その他あらゆる産業影響があるわけでございます。それを産業連関一つの図表にいたしまして、一のものはどこまでそれが浸透するかという学問的な研究が一つと、それからさらに、それを裏づける意味におきまして、現実車両一両をつくった、その車両が実際この部分はどこでつくる、この部分はどこでつくると、波及効果を全部追ってまいりますと、車両で申しますと、二・六四倍にそれが循環する、こういうことでございます。したがいまして、先ほどお尋ねがございましたとおり、二兆九千億の中から、用地費人件費約二千五百億を除きますと、その差額の二兆七千億は、平均いたしますと約二百四十五倍になりますので、六兆六千億になる、こういう意味でございます。
  21. 肥田次郎

    肥田委員 そうおっしゃることはわかるのです。私は、これは、ほんとうに勉強する意味で、どういう計数をお使いになって三兆円が六兆五千億というぐあいになるのか、これをひとつ参考のためにお知らせいただきたい、こういう意味であります。
  22. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄投資いたします各種の産業平均生産誘発率が二・四五倍でございますので、平均誘発率を使うと六兆六千億になるということであります。
  23. 肥田次郎

    肥田委員 副総裁、いま私は計数基礎数字というものをほしいのですが、あなたはそういうふうにおっしゃっておられないわけです。私がほしいのは計数基礎数字がほしいのです。どういうものを使ってこういうものになったかというものを、ただこうやればこうなったということではなく、ほしいのですが、それはいま無理でしょうね。  それからもう一つ、いま簡単にそういうふうに副総裁お答えになりましたが、副総裁のその気持ちをどうこうと言うのではありませんが、もしそういうふうに国鉄がものを考えておられるとするならば、相当危険性があると私は思うのです。これは、かつてわれわれがすでに経験したところの池田さんの経済成長政策というものが、やはりそういう計数によって始まっていったと思うのですね。ところが、現実には、それが中間で設備過剰投資になって不況を巻き起こしてしまった、こういうことになるのです。国鉄の七カ年計画というものがこのようなかっこうになるだろうということは、話の場合にはこれはいいですよ。けれども、「国鉄通信」という中でこういう思想を全般にばらまくなんということはどうかという、そういう気が私はしたものですからお聞きしたのです。たとえば、いつごろでしたか、十二月ごろでしたか、国鉄の研究所のほうで時速五百キロの日本縦貫鉄道を走らすというような計画がありました。そうすると、いまの新幹線の二百キロぐらいのものは問題ではなくなるですよ。しかも、先日あなたがおっしゃっていたように、時速二百キロで走っていたほどの東海道の新幹線の列車が償却——償却ということは、車両損耗でそう長く使えないということを言っておられるわけです。おそらく十五年以下だろうということを言っておられるわけです。そういうことを考えるときに、一つの夢を描いていることはいいですが、夢のために、全体の計画というものが、さもそれと同じような姿でそういう印象を与えるということは、これはいささか無責任だと思うのです。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 そのお話は、たぶん、御質問がございまして、何か、おまえのほうは将来のことをどう考えているかというお話がございましたので、遠い将来技術者としてはそういう夢を持っておる。しかし、私どもといたしましては、第三次長期計画は四十六年度まで、その次は五十年度まで、その程度の具体的な数字計算しかいたしておりません、こういうふうに申し上げたもので、時速四百キロとか五百キロと申しますのは、一つの夢であるということを前提として申し上げたのであります。
  25. 肥田次郎

    肥田委員 新聞というものはときどきいじわるな書き方をしますが、新聞はそう書いちゃいません。国鉄がこういう発表をした、こう書いておるのです。しかも、これはたぶん運賃値上げを促進するためにこういうことを発表したんだろう。こういうふうに、決して新聞社のほうから発表してくれといわれて発表したのではなしに、国鉄計画として発表されたというふうな表現のしかたで書いております。これは見てもらったらわかると思うのです。
  26. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、正月新聞に、何か国民の夢がないだろうか、こういうお話でもって、われわれの遠い将来の夢を、たとえばエンジンにいたしましても、いまのエンジンと全然違ったリニア・モーターを使うとか、全然違った形からの夢を申し上げたので、それと今度の問題とが直接関連しておるというようなことはございません。
  27. 肥田次郎

    肥田委員 こんなことで時間をとってもしかたがありませんが、副総裁、これはことしじゃないですよ。去年の新聞に出ておったのです。ことしの正月の夢じゃないのです。去年の夢なんです。  ところで、先ほど言ったいわゆる三兆円が六兆五千億になるという計数基礎数字というものは、いまここにはありませんか。
  28. 磯崎叡

    磯崎説明員 行政管理庁でつくられました産業連関表がございます。それによる計算でございます。根拠ははっきりいたしております。
  29. 肥田次郎

    肥田委員 それでは、こういうことで時間をとっても何ですから、先ほど藤山長官のお見えにならないときに、運輸大臣に実はお聞きしたことがあるのです。というのは、私がこの問題の焦点にするところは、今度の国鉄運賃をめぐって、いわゆる政府部内でも公共料金という問題で相当議論があっただろうということが想像できるのです。ところが、当該担当大臣であるところの運輸大臣のほうは、これは当然でしょうが、促進的なことばを言っておられる。あなたのほうは総元締めですから、それを抑制する考え方に立って、終始ものを言っておられる。そういう関係について少しはっきりしていただきたいのは、大臣が、去年の十一月の十六日、閣議あと記者会見をされたときに、公共料金問題について十八日の閣議で決定することになっておるけれどもというようなことは、国鉄運賃値上げ及び郵便料金、こういうものだと思うのです。これについて、私としては、国鉄値上げは四月、郵便は十月がよいと思う、こういうふうにおっしゃっているのです。それからその次に、今度二十七日に物価問題協議会が誕生して、そしてそのあとでやはり長官は、当面公共料金問題は一段落した、こういうようにおっしゃっている。この一段落だということば意味ですね。これは十六日に大臣が言われた。そういうことがこの物価問題閣僚協議会では了承されたということになるのですが、その関係はどういうことであったか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  30. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御指摘の日時をいまはっきり記憶いたしておりませんから、あるいは間違ったところが出るかもしれませんが、私は公共料金その他全般物価の問題を考えてみまして、米価は一月から上げる。その他の問題も若干ございましたけれども、それは別として米価は上げる。国鉄を上げざるを得ない場合には四月。それから郵便料金——電話のほうは来年でけっこうで、本年はやらないのですが、郵便料金は、相当な赤字が出てまいりますので、十月くらい。こういうことで、ただその間に四月になりますと、昨年の四月の消費者物価の値上がりの上に、教育費の高騰というのが非常に大きなウエートを占めている。そうして四月にまた大学はじめ学校の授業料が値上がりする。これと国鉄運賃とかち合うという事態が起こることだけは私の頭の中にあった。ですから、できるだけ国鉄も低目にしてもらいたいし、また同時に、教育費問題等につきましては、文部大臣にもお話をして、私学状態は据え置きというわけにはいかぬ。必ず値上げという問題が出てくる。政府がこれに関与すべき問題ではないけれども、しかし、私学連盟ですか、そういう校長さんたちとお話し合いを願って、物価の事情はこういうことだから、できるだけ低目に押えるように話し合いを願ったらけっこうだということを申して、大体私はそういう考え方でおったわけです。しかし、それは郵便料金が必ず十月以前、必ず一月も二月も以前では絶対いかぬという問題でもなし、また国鉄の問題にしても四月一日を一歩も動かせないという問題でもない。少しおくらせればけっこうですし、若干上がってもそれはやむを得ぬところがございます。しかし、私として物価を預かっていく上において、そういう考え方でそういうことを申しておったわけであります。むろん、お話のように、当該監督官庁の方々とすれば、国鉄にいたしましても、あるいは郵便電電公社の問題にいたしましても、やはり財政的には非常に窮迫した状態にあるので、これは何とかして考えなければならぬということですから、そういう意味において話し合いの上で時日を決定したのでございます。  いま御指摘のように、十一月二十七日で終わったということは、どういうことであるかわかりませんが、おそらく私のそういう考え方について申し上げ、そうしてあの国鉄運輸審議会のほうにかけるので、政府はどのくらいな腹がまえをしておったらいいのか。先ほどお話がありましたように、運輸審議会等が決定する前にきめたというお話でございますが、きめたのではなく、運輸大臣等が出て、当該運輸委員会等において、政府がどの程度考え方があるかという大体の腹はきめていなければならない。そういう意味で集まったときではないかと思いますが、そういうようなときに、いま申し上げたような線から見て、一月、四月、二月十五日ということが決定されたわけでございます。
  31. 肥田次郎

    肥田委員 これは現実にこういうことになってきているのですから、私はこれ以上なにしてもしかたがないと思いますが、御承知のように、大臣がそういうふうにおっしゃったあとで、今度運輸大臣伊勢参りをして、国鉄運賃は一月の一日、少なくとも一月の中旬までには運賃値上げをしたい、こういうふうにおっしゃっているんです。ですから、経済企画庁長官物価問題閣僚協議会で言われた、大体公共料金については一段落だ。一段落ということは、大臣がいままでおっしゃっていた、自分構想というものが大体了承されたというふうに外部ではとるわけです。そうしてそういう調子だろう、国鉄運賃はたぶん年度内にはないだろう、来年度になるだろう、郵便料金もどうだこうだといわれているけれども、急速にはないだろう、こういうことを国民は考えておったのです。ところが、それからわずか三日後には、今度運輸大臣はそういうふうに言っておられるのです。一月から、こういうふうに言っている。そうすると、これは、それぞれ出先でおしゃべりをされることですから、どういうふうな内容で発表されるかは、これは確実性がないと思います。けれども、要するに、これを通じて一貫して考えられることは、国鉄運賃問題について国鉄当局計画を出しますから、これはやはり出した計画の日時に縛られることと思います。けれども、国あるいは政府という立場でものを見てみると、一月が三月になろうとも、三月が四月になろうとも、これは実は五十歩百歩なんですね。そう大きな日本の経済の変動を巻き起こすような問題はないと思うのです。私はこう考える。そういう意味でお尋ねしたのです。いろいろとそれぞれの考え方が違って、そうして先ほども言っておったのですが、現実に何となしに早く値上げをしょう、こういう空気がだんだん強くなってくる。運賃を早く値上げをしてこうしたいという気持ちは、これは国鉄にはあります。国鉄にはありますけれども、私は、その他の関係では、そういうふうにとっておるところは少ないと思いますよ。きのうも私は廊下を歩いていました。そうしたら、これは名前を申しませんが、自民党の先生が大勢の人を連れて廊下を歩いているのです。そうして国鉄問題に触れている。あれは一日でも延びるほうがよろしい、とこう言っている。そういうことですから、国民の感情というものはそういうものだと思いますから、私は、これはあわてる必要はないと思っているのです。まあ、そういうことで大臣にお伺いしたのです。  そこで、その次に今度は実質運賃値上げの功罪問題について、やはり総元締めでありますから、経済企画庁長官にお伺いしたいのは、先日の続きでありますが、先日も申し上げましたように、三十二年と三十六年、それから今度四十一年と、こういうふうに値上げ申請が出ております。前四年の間には、これは四年間で一五%の値上げでおさまったわけですね。ところが今度は、五年間置いたからというので、三一%の値上げをしてくるという申請になったわけです。これには長期計画というお添えものもついています。この長期計画はともかくとして、三一%の値上げを一挙にここでやって、そうして長期計画をやらなければならぬ必要性がどこにあるのですか。しかも、先ほど大臣がお見えになるまでに私はちょっと議論しておったのですが、「国鉄通信」という中に、国鉄が今度投資する三兆円というものは六兆五千億になってはね返ってくるのだから、これはもう景気刺激の大使命を果たすのだ、こういうふうに言っておる。それがために三一%も値上げするということになると、真に国民は納得できないだろうと思うのです。赤字補てんとそれから混雑緩和、輸送安全、こういう立場から国鉄が三一%、これは五〇%になっても国民はその内情さえわかれば私は承諾をするだろうと思うのです。もしその必要があるのなら、なぜ今日まで五年間も運賃値上げしないでおいておったのか。今日まで必要があれば運賃値上げしたらいいじゃないか。現実国鉄当局あるいは運輸省当局は政府を説得をして、そうしてこういうふうに運賃値上げしなかったら国鉄ほどうにもいかなくなってしまう、そのときには三〇%、五〇%の値上げをしなければならなくなりますよ、こういうことなら、それでもだめだということは国民は言わないと思う。そういう関係を、経済企画庁長官は、総元締めでありますから、どういうふうにお考えになっておるのか。私は今度の三一%という高額値上げというものは、要は、最終的に上げなければならぬとしても、きわめて手段を誤ったいわゆる政府の責任というものを見のがすわけにはいかないと思うのです。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回の値上げは、ただいまお話のありましたように、急激に膨張いたしました中央都市あるいは地方の中心都市におきます乗客対策、過密ダイヤの解消、こういうものが中心になって、その資金を獲得する方法として長期にわたる債券を発行していくことも一つの方法、しかしそれにはおのずから利払いが非常な大きな金額になって、将来の国鉄の経理をまたさらに悪化するという状況も現出してまいります。したがって、その一部を乗客の負担にお願いすることは、私はやむを得ないことであって、今回の値上げは全くそういう点からきている。おそらく磯崎総裁が言われましたのは、それと同時に若干景気対策的なものも投資効果はあるんだという説明をされたので、その不況対策が目的でもって国鉄運賃値上げをされたというふうには考えてもおりませんし、またそう解釈するのは国鉄に対してお気の毒だと私は考えます。  そこで、いまお話しのように小幅に値上げをしたらいいじゃないか。これは一つ考え方であることはむろんでございます。四年か五年置かないで、二年目ぐらいずつに、必要があるなら運賃改正をやったらいいじゃないか、こういうことも考える。あるいはこういう際における物価値上げ物価の真の問題を考える上では、小幅にこの際やっておいて、そうして一年か二年たったときにもう一ぺんやるという考え方も、これは出てまいります。しかし、国鉄の今日の過密ダイヤを解消しあるいは輸送の安全をやっていく。しかも将来の長い目で見てみれば、そのこと自体が物価対策にもなっていくことでもございますから、私はこの際ある程度値上げをやる。わずかな値上げをして二年後にやるというよりも、この際私は思い切ってやっておいて、そうしてそのかわり期間を二年でなくて四年くらいに延ばすというほうが、国鉄経理の運営の面からいって妥当だと考えまして、賛成をいたしておるようなわけなのでございます。したがって、お考えのようなことも考えられないことはございません。小幅で何べんも年数の最小期間のうちで上げていくということも、それは考えられないことはございません。しかし、この問題はそう一、二年のうちにどんどん上げていくよりも、一ぺん上げたらある程度安定させていくということが、物価全体の対策の上から見ても適当じゃないかと思うのです。
  33. 肥田次郎

    肥田委員 ここで経済企画庁長官とそういう問題について議論をしようという気はありませんがね。しかし、私は、そういういわゆる支払い能力のあるものとないものという場合を考えると、そういう考え方ばかりでも困ると思うのです。実は三一%というこの高額値上げというものは、これはたいへんなものですからね。いままで上がらなかったからそれで得したじゃないか、今度三一%上がってもしんぼうしなさいということには、これはならないと思うのです。三一%の増加分に対する支出というものが、どこも補ってくれるところがないんですからね。いままではいままでの形で、いわゆる勤労大衆というものは生活をしてきている。それをいままでの分は何かお前らが得をしたのではないか、そういうふうな考え方で、今度三一%をぐっとためておいて上げられるということ、これは実際に困りますからね。私はその関係を将来よほど研究をしてもらわなければならぬと思うのです。これは、私は経済企画庁長官に申し上げるまでもなく、フランスあたりでは公共料金は年二回ぐらい定期的に少額の値上げをしておるということを聞いておる。これはインフレがくるというなら、必要によってはその間で停止をする。いわゆる扱い方が自由自在なんです。そういう幅のある扱い方をする。日本のように押えるだけ押えている。それからそういう点ではきのうもあれは小汀利得さんが言っていましたが、私はそういう意味で言っているのではない。国鉄の小役人が何か薄ばかがそろっておるというようなことをあの人は言っておりましたが、私はそういうことを言ったのではない。私は、国鉄が出そうと思えば政府が押える、こういうことが繰り返されておったから、国鉄の当事者は、まあ俗にいいますいじけてしまって、いま出したってまたどうせけられるに違いない、だからもうしばらくしんぼうせねばしかたがない、こういうこともこれは実際には考えられる。しかし、これはやはり私は本質的には無責任な態度だと思う。必要なものを強力に主張しないで、押えられたからそのまま引っ込むというやり方は、これは国民生活というものを考えない、一方的な自己の事業だけを考えておるやり方なんだ。ですから、国民は、そういう問題については、国鉄は、どうだ、こうだと言うけれども、やっていけたではないかという感情を持っておる。そういうことがきわめて重大だと私は思います。  そこで、経済企画庁長官が今後の値上げ問題について触れられましたが、私たちは今後何カ年間値上げしないということの安心感というものは持てないのです。これはわれわれが、いわゆる一国会議員として言うことではなしに、国民気持ちがそうだろうと思うのです。朝令暮改とは言いませんが、よく変わりますからね。いま経済企画庁長官が今後四年間、たとえば私鉄の運賃値上げのときでも、格別の事情がない限り今後値上げは認めない。格別の事情とは何ぞやといえば、これはいろいろな経済事情の変化と何ら変わりない。これはあすの日でもそういう条件が起きたら変えるという、非常に幅のある意思表示なのですね。ですから、今後値上げをするかしないかということの議論よりも、値上げをしないという議論に対する安心感よりも、値上げは必要によったらやらなければならぬというほうがより真実性がある。ですから、こういう点については幅のある考え方というものは持っていいのでしょうね。
  34. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国鉄につきましては、お話のように、私はこれからの日本の国土開発という立場を考えてみましても、あるいは過密都市における交通難を緩和する意味からいっても、まだまだ資本投資を相当していただかなければ、今日の経済状況に対応したような国鉄運営ができないと思います。したがって、国鉄資金を充実していくということは非常に必要なことだ。経理の上においてわれわれは十分考えていく。その際に、お話のように小幅に上げていくのがいいのか、あるいはある期間を置いて大幅に上げていくのがいいのかということは、その状況に応じまして判断してまいらなければならぬと思いますが、私の考え方とすれば、やはりそれぞれを交互に考えながら、そのときどきの情勢に応じてやっていくのであって、先ほど国鉄当局が押えられるから怠惰だというけれども、政府も、そういう点については、値上げの必要があれば、勇敢に委員会の皆さま方に、値上げの必要があるのだから値上げをしてもらいたいのだと、当然私は言って差しつかえないと思います。ですから、そういう意味において、私は、必要があれば小幅であろうと大幅であろうと、運賃値上げは必要な場合には当然国鉄の立場に立ってわれわれも考えていかなければならぬと思います。私鉄の場合には、お話のようにこの四年くらいは値上げをしないでいきたい、そして経済上の変動がなければなかなか上げてやらないぞ、こう申したのは、やはり私鉄が相当多種多様な企業形態の中で仕事をしておりますので、やはり私鉄が値上げをしたからといって、その収益を安易に利用しては困ると思います。それが禍根を残してくる原因だと思いますから、少くとも私鉄の経営者に対してはその程度のことを言うべきが当然ではないかと私は思います。そうして私鉄経理を厳正にやってもらう。当分上げないぞと言うのだから、自分たちも一生懸命でひとつ私鉄経理を十分に合理化もし、適当な運営をしていかなければならぬのだという考えを持ってもらうことがぼくは必要だと思います。国鉄においては政府が監督をいたしておりますので、むろん政府自身がそういう考え方になっていく、こういうことでございますので、国鉄については企画庁としても何らのそういう申し入れをしなかったわけでございますし、国鉄経理の今後の状況から見れば、先ほど申しましたような大きな目的を達成するために、場合によっては小幅にお願いをする場合もあろうかと思います。いまそういう御議論を私は運輸委員会の皆さんからお伺いをしまして、むしろ非常に理解のある御意見が出ているものだと私は喜んでおる次第でございます。
  35. 肥田次郎

    肥田委員 企画庁長官に最後の点をそういうふうにとられたら困るのです。われわれは、本質的に上げるということについては、これは賛成するわけにはいかぬ条件がたくさんあるのです。けれども、上げるということを否定することと、実際にあなた方が政権をにぎっておられて、あなた方が経済を自由にしておられるのですから、そうなってくると、それらのやり方については、あなた方の立場にあっても、このぐらいの文句は出てくるのではないかということを私は申し上げたのです。  それから、先ほど経済企画庁長官になにしました、例の国鉄第三次長期計画というものが産業界に及ぼす影響というものを出されておりますが、これをひとつ参考のために経済企画庁長官に見てもらってください。  それから、引き続いてもうちょっとお伺いしたいことがあるのですが、きのうはからずも小汀利得さんが見えて、私の気持ちのようなことを言っておりました。私は、そういう意味では、古いことはともかくとして、私は今度のこの問題その他について、ずっと過去の委員会の中で聞いておりまして、決してこれはおじょうずを言うわけじゃないのですが、総裁といい副総裁といい、全く国の経済、政治をあずかってもらってもいささかも心配のない、りっぱな方々だと思っておるのです。そこで、そういう立場で、そういう理解の上に立ってお伺いしたいことがあるのですが、結局私が最終的にどうしても疑問を解消することができないと申しますか、問題点があります。それは今日なお依然としてあるところのいわゆる運賃法というものの四原則、こういうものについての理解が、このままでいいと思っておられるのか。変えなければいかぬと思っておられるのか。たとえば国鉄基本問題懇談会の答申を読んでみると、私はこの中に、相当議論といいますか、問題点が出てくるように思います。私はこれを当面どうこうするということではなしに、この運賃四原則というものをこのままにしておいて、あいまいな形でいわゆる運賃値上げというものがなしくずしにくずされていくというやり方については、これはどうも承服しがたい面が出てきます。ですから、真にこの運賃四原則がじゃまになる。これは政府としてもじゃまになる、あるいは国鉄当局としても、国鉄当局に課せられた任務を達成する上において支障を来たす、こういうふうにお考えなのかどうか。これはひとつ運輸大臣と副総裁のほうからお答えをいただきたいと思います。
  36. 磯崎叡

    磯崎説明員 それでは私のほうから先に申し上げます。  御承知のとおり、運賃法は、昭和二十二年の制定でございます財政法第三条の「財政収入と国会の権限」、この条文に書いてございまして、その条文の関係の個所だけ読みますと、法律上または事実上国の独占に属する事業における事業料金と書いてある。昭和二十三年ごろは全く自動車も回復せず、もちろん飛行機もないし、また船も戻っていないという事情で、実際国鉄がほとんど事実上国の独占に属する事業であって、しかも市場を独占していたことは事実であります。そういう立法的背景のもとにできた運賃法でございまして、「財政法第三条の特例に関する法律」、昭和二十三年法律第二十七号のほうに出ておりますが、その中で国有鉄道の貨客の基本賃率というものができ、その他のものは法律でなくてもいい、こういうことになっているのであります。私のほうといたしましては、先生御指摘運賃法四原則というのは、昭和二十三年ごろの立法の、ああいった社会的背景のもとにできた法律だと思っておりますが、しかし、やはり現在依然として存する以上、この法律の範囲内で行動しなければいけないと思います。ただ国鉄といたしましては、もうそろそろ国鉄運賃法というものは再検討していただくべき時期にきておる、立法の背景もすっかり違ってきておるということを考えて、実はごく内々に運輸省御当局にはお願いをいたし、またいま先生のおっしゃったように、基本問題調査会でもこの問題を取り上げて、一応議論をしていただいておるわけであります。
  37. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  38. 堀武夫

    ○堀政府委員 運賃法の第一条にあります運賃をきめる場合の四原則、この四原則はいままでもたびたび議論をされておりまして、非常に理解しにくい点があるわけであります。と同時に、この四つの原則の間に矛盾のようなものが感じられるわけであります。そのためにいろいろ議論があったわけです。道路運送法とかあるいは航空法とか、ほかの事業運賃認可の原則が書いてありますが、国鉄の場合の規定のしかたと全然違ったしかたをしております。国鉄運賃法だけが非常に理解しにくい原則に立っておりまして、その原則の相互の間の関連はどうなのかというのが常に議論になっておりますので、これはできるだけ早い機会においてわかりやすいように直す必要があるのではないかと私は考えております。
  39. 肥田次郎

    肥田委員 政府のほうも国鉄当局も大体意向は同じようでありますが、しかし現実にいままで矛盾したことを平気でやっておることがございましたね。たとえば一、二、三、四とある。御参考のために読みますが、「公正妥当なものであること。」それから二つ目には「原価を償うものであること。」三は「産業の発達に資すること。」四は「賃金及び物価の安定に寄与すること。」こういうふうに、確かに副総裁がおっしゃるように、当時の実情の上でつくられた内容だということはこれでわかります。ところが、現実に政策的な面で、政府の意向といいますか、そういうようなもので、「原価を償うものであること。」というこの条項に違反したような事項はたくさんありましたね。それを今日までどうしてほっておいたのですかということになりますがね。
  40. 堀武夫

    ○堀政府委員 この「原価を償うものであること。」という意味は、個別原価と申しますか、線区別に、ここが赤字だから、これを償うようにこの線区の運賃をきめるとか、あるいはこの物資の輸送については、こういうふうに原価に合わないからこれを上げるべきだとか、そういうふうないわゆる個別原価を償うという意味には、私解しておりません。総括原価という意味で、全部を一つにして計算をして原価を償うことというふうに理解をしておるわけでございます。
  41. 肥田次郎

    肥田委員 そういう意向ですから、この問題については深く触れません。けれども、総合的な上に立っての原価という解釈ばかりでも私はいかぬと思います。たとえば、私がこの問題を特に取り上げたのは、旅客運賃の場合と貨物運賃の場合でございますが、旅客運賃は三一%も上げて、そうして貨物運賃は実質収入は二一%だという見込みを立てておられるのです。この大きな開きをもういいかげんに是正されるなら、私はこの運賃四原則というものが若干の改正をされたっていいと思っておる。私の言いたいのは、そういうことなんです。しかしこれはそういう意向があるようですから、いずれそのときに議論することにいたします。  次に、私ひとつこれは具体的な問題で、運輸省とそれから国鉄との考え方を聞いておきたいと思うのですが、実は今日では鉄道建設公団というものができましたから、いわゆる新線建設というものの理解、それから国鉄でいうところの改良工事というものの理解、この点でどうにも私はわからない面がある。たとえば今度の運賃値上げの中の一部分を占めるところの山陽新幹線だとかなんとかいうものは、これは明らかに新線建設ということで、鉄道建設公団にこれをまかすべき性質のものじゃないかと思うのです。ところが、国鉄のほうでは、そうじゃなしに、これがいわゆる改良という名前のもとに国鉄投資の中に織り込まれてしまっておる、これはすっきりしないまでも、しかしこれぐらいのけじめは私はつけておけるのじゃないかと思うのですが、これはどういう解釈で改良工事というふうにお考えになっておるのか、それから運輸省としてはこれを新線建設とは理解をしないのかどうか、この点について双方からお答えをいただきたいと思います。
  42. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、初日にほかの先生から御質問がございました東海道新幹線のときにも、非常にその点が実は問題になったことは御記憶に新たなところだと思います。私どもといたしましては、いわゆる改良工事ということばは非常に意味が広いのでございまして、たとえば車両を増備することも実は改良費という名前になっております。このたびの山陽新幹線は、今度第三次計画に入れましたのは、大阪−岡山間の輸送力がもう昭和四十六年度時点においては完全に逼迫してしまう、そして現在の山陽線だけでは絶対にやれないということが、計数上非常にはっきり出ております。したがって、線路をふやさなければならぬ。いわゆる線増工事をしなくちゃいかぬ。たとえばけさもお話がございましたが、中央線がいま複線を複々線にしておる、そろいうやり方もあるわけであります。その複々線を少し離してつくる場合もあるということで、現在の輸送力を直接救済すると申しますか、緩和するための工事はあくまでも線路増設工事である、これは改良費でやるべきである、こういう議論で、東海道新幹線のときも、当委員会でいろいろ議論された結果、そういうことで御了承を得たというふうに記憶いたしておりますが、今回の山陽新幹線は、現在の計算でまいりますと、昭和四十六年度までに大阪−岡山間の輸送力が現在の複線ではどうしてもやっていけなくなる。したがって、もう一本複線をつくらなければいけないが、複線をつくる際に、現在線にくっつけてつくるか、あるいは現在線から離してつくるか、離してつくるならば東海道新幹線に結んだほうがいいか悪いか、こういうことを議論いたしました結果、最終的には現在の東海道新幹線をそのまま延ばした形が一番いい、こういう結論になったわけでございます。   〔委員長退席、田澤委員長代理着席〕 あくまでも大阪−岡山間の現在線の輸送力を緩和するという、いわゆる線増工事という意味で、私どもといたしましては改良工事というふうに考えております。
  43. 堀武夫

    ○堀政府委員 新線建設と線増工事と申しますか、改良工事と申しますか、それとの区別をどういうふうにけじめをつけておるのか、こういうお話でございますが、新線建設というのは既設線と全然異なるところの新しい輸送需要を充足しようという場合、そしてまたその経過地が異なる、そういう場合をわれわれは新線建設というふうに概念をしておるわけです。したがって、たとえば東海道新幹線のような場合、やはり東海道を往来する客の輸送需要というものは既設線と同じ輸送需要なのでありまして、既設線の東海道線と異なる輸送需要ではない、そして経過地もほぼ同じであるという意味から、これは新線建設ではなしに、改良工事である、線増工事である、こういうふうに一応の区別した考え方をいたしておるわけであります。
  44. 肥田次郎

    肥田委員 これはここで議論をしておかなければならぬ重要な問題だと思うのですが、しかし確かに双方でおっしゃるように、そういう解釈もできる面があります。いわゆるきめ手というものがないから、私は、これ以上はまたあらためて機会を求めて、これの質問をすることにしますが、しかし私は実はそう考えていないのですよ。いろいろなことを総合してみても、結局新幹線というようなばく大な経費のかかるものについては、これはまだまだとても建設公団でこれを建設さす能力もないだろう、こういうことも重大な要素になっていると思うのです。ですから、そういう解釈でいかれるなら、新線建設という鉄道建設公団が行なう事業の内容というものは、もっと明確にすぱっとしたものになるだろうと私は思うのです。輸送増強改良工事ということになれば、これはもう非常に範囲の広いものですから、どんなふうにでもその条件というものは当てはめていけると思うのです。けれども、これはおのずから限度のあるものでしてね。私はそう考えておるのです。ですから、これはもっと鉄道建設公団が建設すべき鉄道の範囲というものをもっと明確にしていく必要があるんじゃないか。そうすると、改良工事と新線建設との疑義というものがなくなっていくだろう、こういうふうに思います。ただ私は、いま運賃問題のときに取り上げたのは、国鉄が三一%の運賃値上げをする、この中に新線建設であるべき性質のものが改良工事という形で含まれる、こういうくさみがあるじゃないか、こういう面を盛んに言う人もありますから、私が代弁をしたようなかっこうでお聞きしたわけです。  それから、これはまたよけいな質問で時間を取りますが、今度山陽新幹線——もう間もなく着手するということになると思うのですが、実はわれわれも、例の東海道新幹線のいろいろな経験を直接見てきましたし、耳にもしてきました。要するに用地の買収の問題あるいは工事の粗漏、それからいまわしい話でありますけれども、国鉄当事者の職員の中にいわゆる汚職、背任の類似の行為をする者、いろいろな問題が出てきました。今度の山陽新幹線の場合にも同じ問題が心配されます。こういう面については前例があるのですから、再びそういう前例を繰り返すことのないように、特に御注意をされる必要があるだろう、こういうふうに私は思います。  それからもう一つ二つ、これはささいな問題についてお伺いしたいのですが、実は私が聞いておることで、国鉄の一般的なバスの問題じゃなしに、いわゆる国鉄の急行バスと称される、特に名神高速のバスですね。国鉄の名神高速のバスが非常に赤字だということを聞いておるのです。これはあすこに三線あります。三社が免許を受けていますね。この三社ともがそれぞれ赤字だろうと想像できるのですが、私が直接数字を握ることもできませんで、耳に開いただけのことですと、おそらく国鉄の場合には年間二億以上の赤字を出しておるんじゃないか、わずか名神高速バスの中で。こういうふうなことがいわれておるのですが、その点はどういうふうになっていますか。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄バス全体から申しますと、ただいま先生のおっしゃったように、非常に山間僻地の路線が多いものでございますから、大体百億何がしかの収入に対しまして百二十億くらいの経費がかかる。これはどっちかと申しますと、国鉄以外にやる人がないという路線が大部分なんで、これはやむを得ない点だ。ただ、そういった閑散線区、いなか線区を国鉄が経営するならば、やはり将来性のある高速道路についてもぜひ国鉄を進出させていただきたいという切なるお願いをいたしまして、昨年になりますか、一昨年になりますか、運輸省から御承認を得たわけであります。もちろん名神高速道路は、新聞にも出ておりましたが、非常に道路輸送料が高い、道路料金が高いという関係もございまして、当初ほどの利用者はなくて、むしろ最近少し道路料金を減らすというふうな話も聞いておりますが、私どものほうでは、あの三社の中では一番経営状態がいいわけです。ちょっとごく最近のものは持っておりませんが、一昨年の開業から去年の秋までの成績で申しますと、収入が二億四千六百万円、それから経費が二億七千七百万円、約三千万円の赤でございます。これは十月から九月、ちょうど開業をいたしましたのが一昨年の十月でございますので、去年の九月までのまる一年間の成績から申しますと三千万円の赤で、キロ当たり経費が六円四十九銭のマイナスになっております。しかし、これは営業係数から申しますと一一二・五になります。そのほかの国鉄バス路線は一二三か四でございます。国鉄バスの中で見れば一番実は——一番ではございませんが、非常に成績がいい部類でございまして、さらに名神高速道路というものは、いまは利用者が少ないけれども、必ず将来性があるということもいわれておりますので、私どもといたしましては、他の二社と共同いたしまして、なるべく時間がダブらないように、そうしてなるべく京都、大津等の途中の都市の方も利用できるように、運行状況を考えましてやっておりますが、一応国鉄バスの中では、それほど悪い路線では実はないわけでございます。もちろん非常にいいところもございますが、一一二・五というのはまあまあというところでございます。
  46. 肥田次郎

    肥田委員 これはまあそのくらいにしておきます。しかしだんだんよくなるのでしょうね。非常に乗り手が少ないですから、いつでも入ってくるのを見ても、出ていくのを見ても、あまりもうかっておるとは思いません。それが心配で、これは各社とも同じ条件ですから、そういううわさを聞きましたからお伺いしたわけです。  それから、もうこれで終わりますが、これはこういう場で聞くのはどうかと思うのですが、こういうことを一度とにかく尋ねてくれというなにがありましたので、これはそういう意味でお伺いしたいのですが、これには院外団の同志会の理事の高柳喜三郎という人が——これは本名かどうかわかりませんよ——あるそうです。この人が、東京あるいは上野、新宿、いわゆる東京都内の遠距離列車の出る駅ですね。こういう駅の駅長さんやそれからその他の駅員などに圧力をかけて、長距離線の指定券を買い占めて、これを売って不当な利益を占めておる、ぜひこれを調査してくれ、こういうなにがやってきました。やってきましたと言うとおかしいですが、直接名前もわかっております。こういう人が言ってきた。そこでこれは省きますが、本来なら当該の駅長さんにこういうことはないかということを注意する程度が適当だと思うのですが、たまたまきょう言ってきたものですから、この機会にひとつこれを関係当事者でぜひ事情を一度調査してもらいたい、こう思います。
  47. 磯崎叡

    磯崎説明員 さっそく調査いたしますが、ただ最近はもう長距離指定券はほとんど全部電子計算機に入っておりますので、だいぶ昔のことかとも存じます。しかしさっそく調査いたします。
  48. 肥田次郎

    肥田委員 いろいろ質問もまだたくさんあるのですが、次の質問者がありますから、私はこれで終わります。
  49. 田澤吉郎

    ○田澤委員長代理 勝澤芳雄君。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 もし質問が重複しておるようでしたら、簡単な御答弁でけっこうです。  そこで第一にお尋ねいたしますのは、交通機関に対する投資状態でありますが、国鉄以外の交通関係として、たとえば同じ国鉄の競争相手である自動車輸送のための道路整備、あるいはまた海運に対する状態、あるいはまた港に対する投資状態、こういうものがどういう形で行なわれているかという点について、概括的でけっこうですから、大まかな御説明をひとつ願いたいと思います。
  51. 深草克巳

    ○深草政府委員 いま数字を持ち合わしておりませんが、国鉄は御承知のように国鉄予算に基づいてやっておるわけでございます。それから私鉄でございますが、私鉄は、御承知のように、これは特に強制的なものではございませんが、運賃値上げのつどに、最近は特に三カ年計画というようなことを半ば義務づけて、運賃値上げのときに約束さしたものをそのとおりに実行させるというようなやり方をやっております。  それから外航海運につきましては、御承知のように投資と申しますと、計画造船というような方法で行なっております。それから内航海運につきましては、特に船質の改善ということで、特定船舶整備公団、これを通じて財政資金をそこに投入をいたしまして、実行をいたしております。  次に、港湾でございますが、御承知のように港湾整備特別会計ができましたので、それに基づいて国費と地方債を合わせまして、実施をいたしておるわけでございます。  それから航空につきましては、御承知のように第一種、第二種、第三種というような種別はございますが、国費と地方公共団体、これらの費用の合作で投資を行なっておるわけでございます。  それから自動車につきましては、特に政府としてコントロールしておるわけではございませんが、特に自動車関係のターミナルその他につきましては、財政資金を開発銀行を通じて融資を行なっております。  それから自動車の通ります道路につきましては、御案内のように高速道路並びに一般道路、それぞれ国費でもって、あるいは有料道路につきましては、それぞれの公団によりまして、あるいは一般の自動車道につきましては、これも開発銀行からの融資を通じまして一般の私企業がやっておりまして、一部開発銀行から応援をいたしております。  大体こういうようなルートで整備を行なっておるわけでございます。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、交通全体に対する総合的な施策というものがバラバラに行なわれていると思うのです。ですから、たとえば港湾に対する、あるいは飛行場に対する、あるいはまた道路に対するこういう投資、そして今度は国鉄なり、私鉄なり、自動車なり、あるいは飛行機なり、汽船なり、こういうものの投資と、今度は片一方、運賃政策というものが同じ運輸省の中で行なわれていながら、調整がされていないというところに問題があると思うのです。たとえば今度の全日空の飛行機事故を見ましても、それは過当競争という点が盛んにいわれておるわけでありまして、それは自由主義の、資本主義の経済ですから、野放しにすることもけっこうですけれども、飛行場そのものは何かというと、国が投資をしておるわけでありますから、そういう点で考えれば、やはり総合的な交通機関に対する投資と、総合的な運賃調整といいますか、そういうものがなされなければならないと思うのです。たとえば、今度の運賃の問題でもそうです。私鉄の運賃は先に上がる、国鉄運賃あとだ、あるいはまたこれが逆になった場合にはどうなるでしょうか。あるいは一生懸命地下鉄をつくっておっても、地下鉄の運賃国鉄運賃、あるいは都電の運賃、この運賃の相違というものが交通政策の中で何もものになっていないわけですね。ですから、それを一手に握っているのはだれかといえば運輸省だ。その運輸省が総合的なものがない。そこに今日の交通政策の問題点があると思うのです。ですから、そういう意味で、いまからでもおそくないわけでありますから、ただ単に国鉄運賃だけながめているのではなくして、やはり新幹線とそれから東京、大阪の飛行機との問題、あるいは私鉄と国鉄との問題、あるいは東京都における地下鉄と国鉄との問題、あるいは都電との問題、こういうものを総合的によく検討して、その中で一体どう投資が行なわれているか、だれが投資をしておるか、そういう比較の中でものをきめていかなければ、いつまでもちぐはぐなものになる。その点、運輸大臣よろしいですか。運輸省の中において行なわれているようなものなのですから、やはり運輸省の中で、総合的な投資なり、総合的な施策なり、運賃というものも含めて総合的にものを考えてもらいたい、そういうふうにこれからの交通政策というものを考えるようにしていただきたい、私はこういうふうに思うのです。そのためには、やはり部分的なものでなくて、総合的なものを一番運輸省が持っているわけです。それがちぐはぐな行政をやっておるわけでありますから、私鉄運賃値上げをしたために、国鉄が安いから国鉄にお客が流れて赤字になったという例が過去にもあるわけです。運賃値上げしたために赤字になった。片方がまだ運賃値上げをしていないからということがあるわけですから、そういう点から、私は、交通政策の、特に総合的な問題を運輸省自体としてもう少し考えていただきたいと思うのです。部分的に考えれば、港の問題も、飛行機の問題も、あるいは鉄道の問題も解決してまいりまして、今度は総合的なものを考えるときにいまきておると思うのですが、大臣のお考えはいかがですか。
  53. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 仰せられましたように、交通全体を一元化して考えるということは、考え方としては一応そういう考え方があると思います。非常に参考にしなければならない点があると思いますが、現在の時点における交通企業のあり方が、民営、公共企業体、その他いろいろありますので、現在のあり方の中において関連を持たせるものだけは持たせて、調和を保ちながら、実は運輸行政をやっておるわけでございます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、それが調和になっていないのです。私は静岡県ですが、最近私のところの道路の実情を見てみますと、警察の署長さんがこう言うのです。レールのない汽車が走っておる。レールのない汽車ですよ。つまりトラックがつながっておるわけですよ、東海道一本しかないわけですから。レールのない汽車が走っておる。何が原因なんだ。だから、私は、極端に言えば、長距離トラックを禁止したらいいじゃないか。国鉄は貨物輸送が余ったら、そっちへ回せばいいじゃないか。名神高速道をつくって、トラックが七割、ハイヤーが三割と計算したけれども、実情はその逆になっておるわけでしょう。ですから、国がやはり指導をして、それをやらなければいかないわけですよ。それを自由競争だからといって野方図にしておく。野方図にしておくから全日空のような事故が起こる。それならば抜本的な対策——対策、対策と申しますけれども、もう一月もたてば忘れてしまうでしょうけれども、それじゃいかないと思うのです。大臣は、そうお考えになってやっておる、やっておると言うけれども、運輸省の中はちぐはぐになっておるでしょう。なっていないとお考えになるのなら、私は具体的に、たとえば私鉄の運賃が上がったのに国鉄運賃がそのままになっておる。あるいは地下鉄の運賃、都電、こういうものが都市の中だけでも総合的になっていますかというのですよ。乗るお客の立場に立ってみれば、少しでも安いほうがいいということになるのですから、ですから、それを総合的に考えてみなさい。その運賃の基礎をなすものは何かというと、やはり自分のところで投資した金を回収するための運賃なんですから、これから投資しようとする場合の運賃もあるわけですから、それは投資の基礎を合わせておいて、その運賃を組み立てなければ、いつまでたっても同じである。そういう立場で、いま私が言ったのは、飛行機の問題も、国鉄の問題も、私鉄の問題も、あるいは港湾の問題、一応大体のレベルになってきたわけですから、根本は総合的なものを考えるときにいまはきておるのですよと言うのです。それはあなたがやはり号令をかけることによって、運輸省の中でやれることですからきめて、いまでけっこう十分だという答弁は、大臣としてあまりにも今日の交通の実態を知らな過ぎると思うのです。もう一度どうでしょう。
  55. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私はいまで十分と申しておるわけではございません。御承知のように統制経済をやっておるわけでございません。   〔田沢委員長代理退席、委員長着席〕  それぞれの運営、企業等のあり方が種々雑多でございます。この点の現在のあり方の上に立って、できるだけ関連を持たせながら調整をしてやっておるということを申し上げておるのであります。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、あまり時間を気にし過ぎて、答弁が短いもんで、あなたの言っておることがよくわからないのですよ。いまでいいのだということをあなたは答弁しておるわけです。調整をやっておると言うのですが、しかし、調整をやられていないですよ。自由競争だ、資本主義だといっても、それじゃ通産省の行なっておる行政はどうですか。たとえば勧告操短とか、あるいは管理価格だとか、あるいはいろいろの問題があるでしょう。これも形の変わった過当競争を防止している。同じ立場でものを考えさせているじゃありませんか。ですから、私は、新幹線と飛行機と競争するなんて、あほらしいものの考え方はやめさせたほうがいいと言うのですよ。私鉄と国鉄とが同じもののレベルで共存共栄していく、そしてサービスを強化していく、公共性を保っていく、こういうものの考え方をしなければいかぬ。まあこれ以上やってもなんですから、そのぐらいにしておきます。  次に、運輸審議会というところと運賃値上げとの関連はどうなんでしょうか。いままでの経過を見てみますと、運輸審議会でまだ審議をしていないうちに運賃値上げが片一方できまってしまって、あるいは大臣がきめて、そしてそのきめた線に沿って運輸審議会が答申をした、こういう形になっているのですが、そうだとするならば、私は運輸審議会というものの価値がないように思うのですが、その点いかがですか。
  57. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 運賃改定の際には、運輸審議会に諮問をいたしまして、その答申を受けて、その答申を尊重してきめておるというのが実情でございます。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、運輸審議会の答申がない前に運賃値上げを発言をしている運輸大臣というものはいかなる——運輸審議会を監督する立場にある大臣としてどうお考えになりますか。
  59. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は運輸審議会の答申のある前にそういううことをやったことはございません。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかし、あなたは、運輸審議会でまだきめてないうちに、運賃値上げというものを発言をしているわけです。では発言をしていることが誤りだというならば、じゃそれは新聞の誤報かもしれませんけれども、しかし事実はそうなっておるわけですから……。  そこで次に、では国鉄の基本問題懇談会の意見書あるいは運輸審議会の答申をあなたは尊重すると言う。尊重するという立場できめておるようでありますが、国鉄基本問題懇談会の意見書の中には、「不合理な公共負担の是正を含む運賃制度の改正」、こう言われております。あるいはまた運輸審議会の答申の中では、政府の財政上の措置の強化、借り入れ金の利子負担の軽減等根本的な検討をせよ、こう言われております。これらの問題について、今度の運賃値上げ実施するに至るまで、あなたはこの答申を尊重するという立場からどうなされましたか。
  61. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 尊重いたしまして、できるだけその方向で努力をしたわけでございます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 努力をした結果、この点は具体的にどういう措置がなされましたか。
  63. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国家財政との関係から、現在のところの形までになっておるわけでございます。努力はあらゆる努力をいたしたのでありますが、詳細にわたりましては政府委員から答弁いたさせます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 努力をしたことは認めますけれども、具体的にこの答申にある線に沿っていかなる措置がなされましたか。
  65. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  66. 堀武夫

    ○堀政府委員 不合理な公共負担の是正をしろという点につきまして、たとえば従来学割の五割引きというのは、あまりにも割引しすぎるという批判があったわけです。これを今度は、五割を二割に是正した、こういうような点、それから通勤定期の割引率につきましても、従来これは少し過当であるという批判がずいぶん前からあったわけでございます。この点もこのたび是正がされております。  それから出資のことでございますが、なるほど、もっとできるだけ政府は出資等をふやす、あるいは利子負担を軽減するような措置をしろということは書いてありますが、この七ページに、「政府出資」の項に、「当面国鉄の希望するような出資は困難であるとしても、今後の問題として出資またはこれに代る負担金等について検討することが必要である。」というふうに書いておりまして、いますぐやれというふうには書いてないわけでございます。それで、政府としては、もし財政が許せばそういう配慮も当然すべきであると思われますけれども、来年度の財政事情がなかなか許しませんので、出資というところまでは至らなかったわけでございます。そのかわりに、できるだけ財政資金を出すということで、とりあえず来年度の予算が組まれたといろ次第でございます。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、次に三十九年十二月二十五日に経済関係閣僚懇談会の了解事項があるわけであります。そして、四十年一月二十二日に閣議の了解事項があるわけです。この了解事項を読んでみますと、「政府は、昭和三十九年十二月二十五日経済関係閣僚懇談会了解の「日本国有鉄道の新長期計画実施について」の所要資金の確保については、特段の措置を講ずるものとする。」、特段の措置をせよということになっているわけです。ですから、その中身は何かというと、特段の措置をせよということは、とにかく政府として国鉄に特段の措置をしなければいけないぞ、こう言っておるわけです。それとうらはらの関係になるのは、いままで運輸省が何を言ってきたかというと、公共負担、公共負担ということを言ってきたわけです。ですから私は、今度の運賃値上げというものは公共負担が大幅に是正されたものだと思ったわけです。それは当然だと思うのです。しかし、中身を見ると、公共負担が大幅に是正された痕跡もないわけであります。そうすると、一体閣議で了解された事項というものは実施されてないと思うのですが、大臣、どうお考えになりますか。
  68. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 閣議の了解事項によって、政府としても財政投融資をふやすとか、その他いろいろの面でできるだけの処置はしたはずでございます。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 財政投融資、財政投融資と言ったって、ただじゃないのでしょう。利子を払っているのでしょう。幾らで財政投融資は借りているのですか。
  70. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  71. 堀武夫

    ○堀政府委員 六分五厘でございます。七分というのと両方ございます。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一体そういう高利の金を国鉄に入れて、それが特別な措置だと言えるのでありますか。
  73. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 第一次計画、第二次計画等は国鉄計画でございまして、御承知のように第三次計画は国の計画として取り上げております。七年間の資金のめんどうを見るということをきめておる等が、了解された事項から生まれてきた結果でございます。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特段の措置というものは二兆九千七百二十億という投資をこれから七カ年間でしなければならない。七カ年間でするためには、やはり政府として、国鉄の自前でやるばかりではない。もっと国鉄の自前でなくて、政府としてもそれに資金を入れてやらなければならぬ。これが私は特段の措置だと思う。ですから、その特段の措置が何もなされていない。  それではお尋ねいたしますが、二兆九千七百二十億という投資をする中で、一体国鉄運賃としてどれだけまかなわれて、運賃以外でどれだけまかなわれるのか、鉄監局長お尋ねいたします。
  75. 堀武夫

    ○堀政府委員 借り入れ金の返還と工事資金と合わせまして、約四兆近い金が要るわけであります。そのうち八千五百億がいわゆる運賃でまかなわれ、あとの三兆近い金は借り入れ金でまかなわれるわけであります。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、三兆という金が国鉄は借り入れ金でふえるわけであります。そうすると、国鉄は、いまの企業の中で幾らまで借り入れ金をふやしても経営が成り立つのですか。それはどう計算をされているのですか。いや国鉄ではない、運輸省に聞きたい。
  77. 原山亮

    ○原山政府委員 長期計画の四十年から四十六年間の損益収支を想定いたしますと、収入で六兆六千六百億、それで償却前で見ますと、経費が五兆九千億でございまして、償却前額といたしましては七千二百億程度の利益になる。これに対しましては半額法並びに即時償却の面を含んで減価償却をフルにいたしますと、減価償却費が約一兆円ということでございまして、償却をフルにいたしますと七カ年間で赤字が約三千億出ますけれども、過去の繰り越し利益金が一千二百九十億ございますので、それを逐次消化いたしますと、七カ年間におきましてほぼ収支採算がとれる、こういう考え方でございます。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いやいや私の質問はこういうことです。三兆残るというわけですね。ですから、運賃値上げをしなければ四兆になるのかもしれない。それでしたら、一体幾らまで借り入れを国鉄がして経営が成り立つのかということです。国鉄投資をしなければならぬということは、われわれ社会党も認めておるわけですし、政府も認めておる。ですからその投資を、一体命をどこから持ってくるか。運賃値上げをしない方法というものがあるだろうかというふうに考えてみると、自己資金でまかなう、それから相当部分をとにかく利子のつかない金でまかなう出資という方法、そしてある部分は借り入れ金で、これがわれわれ社会党のものの考え方です。政府考え方というものは、自分は一銭も出さずに、とにかく金を貸してやる、利子は返してよこせ、元金も返す、そして運賃値上げをしょう。これでは私は、いままで国鉄がいろいろ主張してきた、あるいは運輸省が主張してきた公共負担というものをほったらかしておいて、犠牲だけ国民にかぶせるのだったら、もっと国鉄に借り入れ金をふやさせたらいいじゃないか、一切がっさい借り入れ金でやったらいいじゃないかという極論もできるわけです。それならば一体国鉄の借り入れ金の限度は幾らまでかというのです。いまは七カ年計画は三兆だから、その八千何百億という運賃値上げ分だけ借り入れすれば、運賃値上げしなくても七カ年計画ができるのではないか、私はそう言うのです。ですから、そういう意味で、国鉄の借り入れ金の限度額というものは今日幾らまでが限度だと、監督官庁である運輸省はお考えになっておるのですか。そういうことです。
  79. 原山亮

    ○原山政府委員 企業体の借り入れ金の限度額というものは、一応企業体の収入状態いかんによって変更がございますので、今回の新長期計画の資金収支計画から見まして、現在の借り入れ金と自己資本との比率が、大体相当企業努力を見込んでやっていける範囲内のものであると考えるのであります。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 企業努力、企業努力と言っておりますけれども、私は、企業努力というのは限度一ぱいだと思うのです。ですから、いま一番大事なことは、いままで言ってきたことをせめて少しでも解消する方向に向かわなければいかぬ。三兆の借金でもやれるならば、四兆の借金でもやれるじゃないか。五兆の借金でもやれるじゃないか。国鉄はあまりりこうでないから、企業努力をしておるだけであって、企業努力をすればするほど国鉄の経営というものは損をすることになるでしょう。これは正直者がばかを見るという企業形態ですよ。われわれはそう思うのです。張り合いが何もないのですよ。だから親方日の丸だと国鉄は言われておるけれども、実際にはそうでない。とにかく汗水たらして、中ではぎゅうぎゅう締められて、公共負担、公共負担というのがいつもほったらかされておる。一体どういうようにしてそろばん玉を合わせるかという苦労をいましておる。その苦労をしておるのに、大臣、特段の措置を講ずるとわざわざ経済閣僚懇談会で一本とって、その上今度は閣議の了解まで一本とったにかかわらず、借金ばかりふやさせて、あと足りない分は運賃値上げだ。こんなことはだれでもできることですよ。それでは閣議の了解事項、一体これは何だ。何にも用をなしていないじゃありませんか。大臣、それを私は言っておるのです。
  81. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 御承知のように、長期第三次計画によりまして、現在輸送事情が非常に逼迫しております実情を相当緩和するという計画が立っておるのでありまして、その計画実施するあらゆる措置を政府の責任においてやろうというのが、今回の特段の措置の内容でございます。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 政府の責任、政府の責任とあなたは言っておるけれども、政府はお金を貸せるだけですよ。しかも高利貸しじゃありませんか。ほかの投資と比べてみなさいと言うのです。ほかの交通機関に対する投資と比較しなさいと私は言うのです、それが基礎になっているのですから。ほかの交通機関との投資の比較を考えなさい。まる裸で自分で土地を買って、自分で砂利を敷いて、自分で線路を引いて、自分で汽車を買って走っておるのと、自動車だけ持ってくれば競争できるものと、トラックだけ持ってくれば走るものと、あるいは船だけ持ってくれば、それにも利子まで補給しましょう、何をしましょう、こう言っておる。けれども、国鉄だけがまる裸で、国鉄だけが企業努力でぎゅうぎゅう締められて、あと乗客がぶっかけられてはしようがないと言うのですよ。その部分社会投資があるべきだ。いま週刊朝日で——きょうは私の故郷の先輩の石田総裁が見えないのはたいへん残念なんですが、これに「“史上最高”の値上げの弁」といって総裁ことばが出ておりますけれども、この総裁ことばを見てみましても、結局まあ公共負担ということが力説されておるわけです。そうして要するに政府の政策の犠牲を国鉄がやっておる。ヨーロッパの各国ではみんな政府が補償しているのに、補償していないのはただ日本だけだと言う。ただ日本だけがその公共負担というものをやっていない。その公共負担を見てみれば、その公共負担がまたちぐはぐなんですよ。国民のために公平に行なわれているなら私は文句を言わない。ここでも言われている。この評論家の荒垣さんが言っている。「学生定期はすえおきですね。大学へいける身分のものは、まあいちおうゆとりのある階層でしょう。」「そう。九割二分も割引してね、タダみたいなもんだ。」総裁らしいことばです。荒垣さんは、そうして貧しい階層の勤労青少年が普通の料金を払うというのは、バランスがとれない気がすると言っている。私もよく映画館へ行ってみて、映画館の前で学生は何割引だ、しかし高校にも行けない、大学にも行けないで働いている青少年はおとなだ、こういうアンバランスがあるわけですね。ですから、せめて運輸大臣としてお考えいただきたいことは、公共負担を解消するためにどう努力をしたのかということを——国鉄総裁が努力するのは、これも当然でしょうけれども、運輸大臣としてやはりやらなければいかぬわけですよ。だから公共負担を努力をしたことは認めますけれども、結果としてどうなったのかという点について明確に御答弁がないわけです。  そこで国鉄のほうにお尋ねいたしますが、公共負担が、私のところに出ておりますけれども、三十九年なり四十年なり一番新しい数字で、国鉄として過去いままでに公共負担というものを一応計算されているようでありますが、その計算によると最近の年度で実績としてどの程度公共負担されているのですか。
  83. 磯崎叡

    磯崎説明員 公共負担ということは、いろいろ解釈があると思います。私のほうといたしまして政府の御指示なりあるいはいままでの慣例なりによってやっております公共負担の一まだ四十年度は出ておりませんが、三十九年度の実績が、旅客運賃関係におきまして、これは新聞、雑誌の荷物運賃も入れますが、七百三十九億、それから貨物関係におきまして百二十九億、合計いたしまして八百六十八億が三十九年度の実績でございます。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、三十九年度の実績がわかりました。今度四十一年度に運賃値上げをして、一つの年度をとってみた場合、公共負担というものはどれくらいの金額になるのですか。
  85. 磯崎叡

    磯崎説明員 四十一年度の輸送数量その他につきましては、現在提出いたしております予算で計算いたしますと、運賃自体が上がりますので、自然に公共負担が上がってまいりますので、旅客関係におきましては、七百三十九億だったものが七百四十九億に十億ほどふえます。それから貨物関係におきましては、特別等級が多少減りますので、百二十九億が百七億になりまして、合計八百五十六億というふうになるわけでございます。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで総裁はこう言っているのですよ。公共負担を解消するためには、やはり労使が一緒になって十日間でもストライキでもやらなければ直らぬだろう。ですからきょう総裁が見えられたら、総裁に私は、やはり労使が協力してストライキをやる。そうすれば国鉄の重要性がわかる。労働者だけでストライキをやったってわからないから、労使が一緒になってストライキをやる。石田総裁はもういつやめてもいいんだ、こう言っておるわけですから、なおさらひとつここらでやはりやってもらいたい、こう思っておったのですけれども、きょうはお見えにならぬのでたいへん残念だと思うのですが、一体大臣、いま国鉄で考えていることは、それほど公共負担というものを総裁も考えている。ですから公共負担をやらされている国鉄の立場から考えたら、それは通産省でもあるいは労働省でも厚生省でも、当然そこの政策のしわ寄せとしてやられているわけですね。それを国鉄の自前の独立採算制の中でやられるというところに、私は問題があると思うのです。国鉄に余裕があるならばいいわけです。ですから、国鉄の余裕とは何かといえば、この計画が達成したあと、とにかく三兆の借金ができる。三兆の借金ができてもまだ余裕があるとするならば、運賃値上げをせずに借金でやりなさいということになる。ですから、公共負担について、せめて監督機関の運輸大臣が、国鉄総裁と同じくらいな立場に立ってものを考えてやらなければいけないと思う。したがって、せめてこの運賃値上げ一つのポイントにして、公共負担については、あなたが運輸大臣に在職している間に、やはり公共負担を解消するために、あるいは基本問題懇談会なりあるいはまた運輸審議会の答申に盛られているもので今日実施されていない部門、私が先ほど申し上げました特に公共負担の是正あるいは借り入れ金の利子負担の軽減、こういう問題等についてはある程度の努力をして、その見通しを立てるぐらいのことはしておかなければ、運輸大臣は、運賃だけは上げたけれども、ほかは何にもやらなかったということになれば、これはやはり中村大もの大臣の名にかかわると思うんですが、いかがでしょう。
  87. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 公共負担の問題は、これはやはり一つの課題であることは私もわからないではありません。しかし、現在の国鉄が公共企業体であり、公共の福祉を目的としており、しかもその公共性を多分に持ってきた国有鉄道時代からの一つの経路というものも、やはり今日の、そこに何らか独立採算制と公共性との間に矛盾を感ずるような感覚を生ずる点だと思うのでありまして、やはり公共性と独立採算制で、公共企業体としてやっていくというそのたてまえの調和をとりながら、運輸当局としてはやっておるわけでございまして、そこがすっきり割り切れないというところが——私は一の課題であることは認めますが、政府といたしましては、公共性等を勘案いたしまして、財政事情の許す限りいろいろの処置をとっておる次第でございます。
  88. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま大臣お話しになったのは、三十六年の運賃値上げのときに卒業した議論なんです。これは終わったのですよ。それから発展をしているわけです。発展をして公共負担というものが新しい課題としてこの二、三年議論をされてきているわけです。ですから、じゃ公共企業という点からいうならば、国鉄と電力あるいはガスも同じ公共企業です。国鉄と電力との公共性の違いはどこにあるのか。電力料金と国鉄運賃と比べてごらんなさい。あるいはガス料金と比べてみなさい。その中の問題というのは、公共性というものが独立採算の中で、ある部分は公共負担で独立採算を破れというものではないのです。ですから、料金そのものを一つ一つ比べてみたときに、私は国鉄の公共性とは何ぞやという疑問が起きるわけです。ですから、その公共負担というものを国鉄の企業の中でカバーをするのでなくて、政府の施策の中でカバーするなら、これは確かに公共負担でしょう。しかしそれじゃだれがそれを負担しているか。国鉄の企業の中で、極端な言い方をすれば、貨物の赤字を旅客が、あるいは閑散線に乗るお客さんの負担を東海道やあるいはまたこの東京周辺の電車が、こういう形の負担をしているわけですよ。ですから、基本的に公共負担というものの矛盾をお考えになるならば、公共負担というものについて国が責任を持って出すという形、たとえば米の運賃を見ても同じでしょう。言うなれば食糧管理特別会計の分を国鉄がめんどうを見ているという形じゃないですか。ですから、そういう意味で私はやはり——お疲れになっているようで、もう答弁もなるべくしないほうがいい、短いほうがいい、私もそんなに長くやろうとは思わないわけです。だけれども、これはポイントなんですよ。大臣として、今度の国鉄運賃法を出すについて何を考えたか、何も考えませんでしたじゃ、これはとんでもない話ですよ。借金のあっせんだけしました、政府から。これではしようがない。せめて総裁が十日間汽車をとめてみなければ、国鉄のことについて政府がわからぬ。これじゃ運輸大臣、それを黙って見過ごして、ストライキをやれというのか、ストライキをやるなというのか、やるなというならば、ちっとだけれども百億でも二百億でも利子の補給をしてやろうじゃないかぐらいの話があったらともかくも、何も話がなくてストライキをやっちゃけしからぬ、おれが借金の世話だけしてやろう、これじゃマルマンの融資をやったどっかの政務次官みたいになってしまうじゃないですか。  そこで、次の問題です。次は国鉄の経理の中で、私はこの前から矛盾を感じておるのですけれども、国鉄の経営がなかなかたいへんだ。とにかく三兆が借り入れ金だ。運賃値上げ分が八千六百億程度しかない。これだけになっているにかかわらず、国鉄の収入の中から、政府から高い金を借りた中から新線建設のために七十五億円出資をするとか、これは一体どういうわけなんですか。あるいは地下鉄の帝都高速度営団に出資をするということはどういうことですか。それで政府から借りている六分以上の利子が返ってくるならいいですよ。ただじゃありませんか、みんな。これは大臣どうお考えですか。こんなことはやめさせるべきですよ。どうお考えですか。
  89. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄が出資いたしておりますのは、国鉄と非常に関連の深いものでございまして、国鉄のためにもなるというところに出資しているのでございまして、たとえて言えば、鉄道建設公団のように、これなんかはやはり出資して、国鉄自身がやるよりは建設公団でやって、採算が全然合わないような、しかも社会政策上必要なというような場所は無償で貸しておる、こういうふうに非常に国鉄のためにもなるようなところに出資しておるのでございまして、全然無意味な出資であるとは考えておりません。
  90. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、もう少し国鉄のことをあなたは知ってもらわなければいけませんよ。何日ここに出ているのですか、一体。建設公団でつくった鉄道を国鉄がただで借りたって、新線ができて国鉄が借りたとたんに赤字がふえていくのですよ。新線建設ができて、鉄道を国鉄が譲り受けなけれげ受けないほど国鉄は得なんですよ。それが新線の実態じゃないですか。収入が経営費をまかない切れないんじゃありませんか。こういう状態なんですよ。営業係数が一五〇、一六〇ということなんです。だから私は大臣によく聞いていてくれと言っているのです。それは大臣、私はどうしてもわからないのです。あなたの説明を聞いてもわからない。見解の相違なら見解の相違でもいい。しかし、七十五億という国鉄がもうけたやつを新線に入れる。新線に入れずに、なぜ政府がその分を鉄道建設公団に入れないのですか。なぜ入れないのですか。建設公団へ政府が融資をすればいいのですよ。国鉄がわざわざ自分の赤字をしょわなければならぬ。建設公団に出資をする。ましてや配当もないまですよ。六分や、六分五厘、七分以上の借りてきた金をそんなところへ入れるというのは、私は理屈が合わないと思うのですよ。(「近所つき合いだ」と呼ぶ者あり)近所つき合いだって資本金が国鉄は八十九億ですよ。ですから、利子のつかない金を政府国鉄に入れるならともかくも、国鉄が金利がつかない金を払うというのは、これは問題だ。大臣、もう一度どうですか。
  91. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄ときわめて関連の深い、国鉄のためにもなるようなところに出資をしているのでございまして、そういうたてまえでございます。
  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あのね大臣、それはたてまえは何でもいいですよ。しかし、それだったら、じゃ運賃値上げをやめて、三兆の借り入れ金を三兆八千億なり四兆になぜしないのですか。どういうわけですか。借り入れ金だけでやれるじゃありませんか。借り入れ金だけでやれるのを、なぜ運賃値上げをするのですか。その説明をしてください。
  93. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 借り入れ金だけでやれば、借り入れ金は金利を払わなければなりませんので、金利の圧迫によって国鉄の経営が健全性を失うということでございます。
  94. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、金利の圧迫の限度は幾らまでですか。大臣幾らまでとあなたはお考えになっているのですか。私は四兆でも、五兆でもいいと思うのですよ。三兆に押えた理論的な根拠はどうでしょうか。
  95. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は第三次計画の線が最も適当であるというたてまえでやっておるのでございます。
  96. 勝澤芳雄

    勝澤委員 第三次計画はあなたも私もそう異議はございません。これはございません。しかし借り入れ金でやるのか、運賃値上げでやるのか、出資でさせるのかについて意見の違いがあるわけです。ですから、四兆——三兆までいいのだったら、四兆だっていいじゃないですか。四兆で悪いという理論的な根拠を示しなさいというのですよ。ですから運賃をどうしても値上げをしなければならぬという理由が明確でないのですよ。
  97. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 運賃値上げによって出てくる収入は金利がつかないのでございます。それで第三次計画の中においては、そういう利子のつかない自己資金もやはり必要でありまして、これはやはり限界にあると思うのでございます。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 利子のつかない金が必要だということは私も認めますよ。ですから、利子のつかない金とは何ぞやと言ったら、政府の金を入れたらどうでしょうか。ほかの交通投資との比較をしてみなさいというのですよ。そういう立場で私は言っている。さっきそっちのほうで運賃が安過ぎると、こう言いましたけれども、安過ぎないという議論もあるわけですよ。それは公聴会で美濃部先生が運賃は安過ぎないという数字を示している。昭和十年、十一年をとれば、それは比較にならぬけれども、昭和三十年をとればこうじゃないかという比較もあるわけですから、それはそれできょうは企画庁長官もおりませんから言いませんけれども、あなたの専門でないからお聞きしませんが、せめて運輸大臣ですから、国鉄のこと、交通のことくらいは専門家だと思っているのですから……。  そこで大臣、最後に申し上げておきますけれども、運賃値上げの問題について、値上げをする場合にしても、やっぱり政府としてやるべきことをやらなければいかぬわけです。だから答申が出た。基本問題懇談会でも答申が出た。その中で運賃値上げもしなければならぬけれども、やはり国鉄の経営から見た場合においては、利子の問題、あるいはまた税金の問題、あるいはまた利子のつかない金の問題等も総合的に考えろと、こう言われておるわけですから、だからそれをほったらかしておいて、そうして国鉄だけに運賃値上げ——公共負担、公共負担と石田総裁は、総裁になって以来頭にきて、このごろではもうストライキでもやらなければ、政府もわかんねえというぐらいに言っているわけです。そういうことを考えてみたら、この七カ年計画をあなたが実施する中で、せめてやはり公共負担を軽減するための政府投資の努力をしなければいかぬと私は思う。石炭を一つ見てみなさい。あるいは造船、海運をみてみなさい。みなひたむきになれば何とかなるですよ。そうでしょう。終戦当事の石炭産業だって——あなたが石炭業者と言うから石炭の話をするわけじゃないけれども、一生懸命にもうけてどっかへ投資しておいて、その金は忘れて、しまいになって困った、困った、何とかしなければいけない。海運でも造船でもみな同じことです。しかし、その中で企業努力をしてきたものだけが、今日にっちもさっちもいかない。利子の負担がますます大きくなって、そうして運賃値上げだ、運賃の是正だ、公共負担がかくのごとしと総裁は言っている。たいへん失礼な言い方ですが、あなたは国鉄のことはよく知らない、こう言われました。——向こうのほうで、おまえは二十年もつとめておるから、それは大臣よりも知っておるのは当然だと言われますけれども、そんなに私が知っているわけではないのです。この懇談会の答申書なりあるいは運輸審議会の答申書を見ると、権威のある人たちがそう書いておるのですから、やはりその努力を——まだまだ大臣、これから任期もあるわけですし、ましてや佐藤総理大臣国鉄の出身で、あなたぐらい国鉄のことはおわかりになっていると思いますから、その点は解消する努力をして、運賃値上げの問題というものは検討をされなければならぬ、こう思うわけであります。特にその点を——まあこれは答弁を聞いたってしようがありませんから、あきらめます。  これで私の質問を終わります。
  99. 古川丈吉

    古川委員長 次会は明日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会