○石田
説明員 これは私は当然に起こる問題と思ったのです。要するに、
国鉄が
運賃の
値上げをするときには、
国鉄はまずもって合理化に徹せよということが、これは過去の
運賃値上げのときにもすぐに起こった問題でございまして、今回も必ずこういう御希望があると思いますので、詳しく申し上げますが、
国鉄の合理化というものについては私は三つあると思うのです。
第一は、工事費というものをむだなくきわめて効率的に使う、こういうことです。この点につきましては、
国鉄自身としても最大の注意を払いまして最も経済的に、最も効率的な
輸送力増強をやる、こういうことにいたしておりますし、また、
会計検査院から三百六十五日、五十人ばかりの検査員を
国鉄に送りまして、非常に綿密な監督をしておるのであります。私は、工事費の使い方については
相当に能率的、効率的にやっておると思います。
それから、第二は経費の問題です。この経費の問題でありまするが、たとえば四十年度における経費は、五千四百四十億であります。もっともこの中には、金利であるとか、あるいは
償却費であるとかというような、これはもう合理化しようにもできないものは別にしてありまして、この経費というものは要するに、人件費とそれから動力費、修繕費、業務費、こういう四項目に分かれたものであります。それが四十年度におきましては五千四百四十億ある。そのうちで、人件費というものは三千六百五十九億、約三千七、八百億円、それから動力費、修繕費、業務費というものが約千八百億、この実際の
数字はこれより多く出ておりますが、私の申し上げた動力費、修繕費、業務費というものの千七百八十一億というのは、この
数字が出ておる表の中に入っておる人件費を差し引いたものであります。要するに、大略して申し上げますと、人件費が三千七、八百億、それから動力費、修繕費、業務費が千八百億ということにお考えいただけば大体において間違いがないと私は思う。
そこで、一体この合理化をどうするか。一番大きな問題はやはり人件費なんです。これがつまり総収入の六千七、八百億に対して大きなパーセンテージを占めておる。それで、この三千七、八百億の人件費をどうするかという問題でありまするが、御
承知のとおり、
国鉄の職員に対しては
国鉄業務の性質上からいたしましてストライキ権というものを剥奪しておるのであります。したがって、この職員に対する給与のベースというものに対しては、これは仲裁裁定にまかせるということになっておって、私は、大体いまのところで、仲裁裁定というものはきわめて公平な裁定をしておるということに考えておるのでありまして、問題は、だから
国鉄総裁としてできる合理化の方法というものは、ベースの
決定の問題でなくて、いかにして人間を少なくして、少ない人間でもって
経営をやっていく、ここにあるわけでございます。しかしこの点につきましては、
国鉄というものは私は
相当にやっていると思う。たとえば
昭和二十七年から
昭和三十七年ころまでは人間の数は一つもふえていない。その間に業務量のふえ方というものは、これは非常なものであります。最近におきましては、新幹線もでき、業務量も非常にふえたためにやりきれなくなりまして、四十一年ぐらいからは
相当に人間をふやさなければいかぬというふうになりましたが、この人間のあたま数を多くしないということに対しては最大の努力をやっておる。現に三十六年時分から四十年までの間におきましても、約三万人の配置転換をやっておる。要するに、ひまなところから忙しいところへ配置転換をやる。この配置転換ということは、これは簡単なように考えますが、職員の立場からいえば、これは実にいやな問題であります。大体
住居地が変わる。そこで始終組合との間にごたごたやるのですが、組合をなだめすかして、とにかくこの配置転換というものをやって、そして人間をできるだけふやさないようにしている。これがつまり人件費に関する、
国鉄総裁として合理化の唯一のし得る手段なんです。ただ、この三千六百五十九億という人件費については、これは
相当に
国鉄当局者の苦心の作であるということにひとつ御了解を私は願いたいと思うのです。
その次の、動力費と修繕費と業務費の合計千人百億でありますが、動力費のごときは、たとえば蒸気機関車を電気機関車にかえる、ディーゼル機関車にかえる、電化する、ディーゼル化するということによって
相当に節約をしておるのでありまして、二、三年前までは、非常に業務量がふえたにもかかわらず、ふえなかった。最近におきましては、この動力費というものは多少ふえておりますが、これはきわめてわずかである。それから、修繕費なんというものに対しては、これはできるだけ機械化をするとか、あるいは工場の従業員の数を減らすとかいうこと、あるいは修繕の回帰キロを延長するというようなことによって、これも
相当に努力をしておる。業務費のほうはこれは業務の増強によってふえておりますが、これに対しても、われわれとしては不断の注意を払いまして、ふやさないようなことにしております。こういうことでありまして、つまりこの経費の合理化というものに対しては、
国鉄は
相当にやっていると私は思います。
それから、竹谷さんに私が申し上げたいことは、そのほかに、それじゃ何か合理化の方法はないかというと、大いにある。それは積極的の合理化である。積極的の合理化というものは、
国鉄というものが
企業性を発揮して、そうして
投資効果をふやす、こういうのです。その点につきまして一番いい例は、いまの乗客の要求するところはスピードですね。そうしてまた、われわれからして限定された路線の使用効率をふやすという点からいえば、過密ダイヤもありますが、やはり速力の速い汽車を走らせる、こういうことなのです。社会党のほうでは、
国鉄はどうも営利に力を入れ過ぎておる、こういうことを言っております。労働組合あたりでも、
国鉄は営利にきゅうきゅうとしているということを言いますが、それだけ
国鉄の
企業性が発揚をしてきたということですね。私から見れば、まだまだこんなことでは足りない。一面ではその点はありますが、しかし、ただその一面だけ見るのをやめて、全体をひとつ判断をしてもらわなければ困る。まだまだ
国鉄としては
企業性を発揮しなければならぬ、営利性を発揮しなければならない、こういうことなのです。その点につきましては、私は監査
委員長のときからして、
国鉄人よ、君たちはうしろに日の丸の旗が立っているというふうに考えてはいかぬ、やはり民間の
企業の
経営と同じように、
企業心を発揮してくれ、こういうようなことでありまして、
投資効果を十分にふやす。それがゆえに、どこにそういう結果が端的に出てきたかというと、例の急行列車の増発だ。通勤通学なんというものは非常に人数は多いですが、これによる収入というものは四百五十億くらいです。ところが、あの通勤列車をふやすことによる
国鉄運賃以外の
料金収入というものは、三十九年度においては六百億。これはそこにおられる久保さんなんかはどうも急行列車を走らせるということに対しては少々御反対のようですが、しかし一般の乗客というものが急行列車をいかに愛しているか。われわれは、やはり乗客の嗜好にミートするということが
国鉄のサービスと思う。その点からいきますと、定期以外の収入というものはこの四、五年の間でわずか三割か四割しかふえてないのですが、急行列車による乗客の数というものは五倍くらいふえておる。こういうことで、一般世間の空気にミートするということが
国鉄のサービスです。同時に、これによって収入がふえる。合理化の一端をなすということで、積極的の合理化に対しては大いにやらなければならぬ。社会党の諸君はだいぶこれに対しては批判的ですが、私は、これはどうも考え直してもらわなければならぬというように考えております。まず
国鉄の合理化というものにつきましては、経費の節減と積極的合理化と工事費のカット、大体この三項目において最善の努力をわれわれはいたしております。こういうことを申し上げましてお答えといたします。