○石田
説明員 山口さんに私もきわめて端的な
意見を申し上げます。
大体、今日の
国鉄の現状というものはどうして起こったんだ、こういうことなんですが、これは結局、過去における過小投資の累積と、そうして
運賃を安く押えられてきた。その根本においては、要するに
国鉄の重要性というものに対する認識が
国民の一部に正しく持たれなかったということだと思うのです。進駐軍というものは、御
承知のとおりアメリカ式の頭でもって、
鉄道というものはもう将来はたいした見込みはない、また一般の
国民はこれからは
自動車の時代であって、
鉄道の時代ではない、こういうようなことによって結局投資というものが過小になってきた。そこへ持ってきて
運賃を安く押えつけてきた。国は
鉄道、
国鉄というものを自分の子供のように
考えるのはいいですが、これにろくすっぽ飯も食わせないで、しりっぺたをたたいて酷使してきたのが今日の実情なんです。また
国鉄自身も非常に
責任があった。
国鉄が弱かったんですね。それが今日のこの
状態で、どうしてもこのままで置いてはいかぬということで、
政府にお願いして打ち立てたのが
運輸大臣の御協力によってできました第三次
計画、要するに
国鉄自体の
計画によらないで、国の
計画として認めてもらう、同時にこれに対してはちゃんと財政的な裏づけをしてやる、こういうことでできたものです。
それで、山口さん御
承知のとおり、
国鉄の直面している問題はいま三つあると思う。第一は通勤、通学の
交通地獄の問題、第二は幹線の過密ダイヤの問題、第三はこの過密ダイヤに処して
輸送の安全を確保するにはどうしたらいいか、こういうことなんです。そのうちで通勤、通学というものは第一次
計画、第二次
計画とありましても、ろくすっぽたいしたことはやっておらぬ。しかも今日の
状態を見れば思い切ったことをやらなければいかぬということで、第二次
計画あたりでは全体でもって七百七十億くらいの
計画、それもろくすっぽやってはせぬ。それを今度の第三次
計画では思い切ってひとつ五千二百億もかけてやろう、こういうようなことになってきたのであります。そのほかに
輸送安全装置の問題がある。過密ダイヤに処して事故なからしめるためには、何どかして思い切った
輸送安全装置をやらなければならぬ。つまりそういう
交通地獄の
緩和というものと、通勤、通学の
緩和というものと、
輸送過密ダイヤに処する安全装置というもので、要するに資本金額というものは一兆以上になる。こういうものに利息のついた金をもってしてはとてもペイできぬ。それを借金でやることにおいては、
国鉄は借金の重圧によってにっちもさっちもいかなくなって、とうとうしまいにはまとめて国から補助金をちょうだいしなければならぬことになる。ここにおいて、そこに至る前に、そんな不面目なことをしないでやるにはどうしたらいいか。ということは、自己資金をつくることになる。自己資金をつくるにはどうしたらいいかということになると、やはり
運賃の是正をすることになる。
運賃の
値上げというものに対しては社会党各位は不賛成のようでありまするが、私はこれは正当だと思います。ということは、今日の旅客
運賃なんというものはめちゃくちゃに安いんですよ。
物価は三百五十倍だとか、それからまた電電公社なんぞは、もうすでに
昭和二十九年において
昭和十一年に比べて二百三十三倍にもなっているのに、
国鉄は二十九年以来二回の
値上げをやったにかかわらず、旅客
運賃なんというものはわずかに百六十一倍だ。これはもう問題にならぬ。これは今度旅客
運賃において三割一分上げることによって、結局百六十一倍が二百五十倍になるくらいで、そう何も驚くことはない。これは要するに
運賃の
値上げにあらずして、
運賃があまり安過ぎるから、その是正策だ。これを
値上げなんと言うから非常にかどが立つんだ。是正といえばなるほどということになる。そういうことで、いろいろ理屈はありましょうが、ぜひひとつ社会党各位も御賛成を願いたい。
それからまた、私が申し上げたいと思うことは、さっきから問題になっておる公共投資の問題です。三十二年から三十九年までに
国鉄が
政府の政策のために佐倉宗五郎になっておる金額は幾らあるかというと、五千二百億。四十年度においては九百億ですよ。これを是正しなければいかぬ。だから、今度の
運賃是正とともに、われわれがやらんと欲することは、この公共
負担の是正である。その一部として、最も大きくして、最もあったかくしやすい通勤の問題に手をつけた、こういう次第です。これはぜひ御了承願いたいと私は思うのです。そういうことで、山口さんが御心配のような、いま
国鉄が直面しておる三つの大きな問題を思い切ってひとつ断行しようというのが、われわれの決心でございます。どうぞ御協力願いたいと思います。