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磯崎説明員 ただいまの先生の御
質問にお答えするのには、実は
数字的な資料があるといいのでございますが、第一回の当
委員会のときにお配りいたしました資料の中に、ただいまの七カ年間の資金
計画を入れてございますので、後ほどごらん願うことにいたしまして、宙で
数字を羅列しまして、たいへん恐縮でございますが、御
説明申し上げたいと思います。
昭和四十
年度から始まりましたこの七カ年
計画、これは何と申しましても、昨日御
説明申し上げましたように、
日本の経済発展に伴いまして、まず輸送の安全を確保する、次に非常に急激にふえてまいりました通勤輸送を多少なりとも緩和する、三番目に地方との格差是正のために幹線の輸送力を増強する、この三つに主眼を置いて今度の
計画を立てたわけでございます。それに所要する資金が全体で、先ほど申し上げましたように二兆九千七百二十億でございます。現在
昭和四十
年度末におきまして
国鉄が負っておりまする長期の負債、長期の借入金が一兆一千百十一億、一が五つ並んでおりまして、たまたまこういう
数字になりましたが、一兆一千億以上の長期借入金を現在持っております。これは
日本の最大の借金でございます。この一兆一千億に対しまして、さらに借金を積み重ねてまいるわけでございますが、その全体の所要資金の二兆九千億のほかに、この一兆一千億でそろそろ期限のくるものがございます。たとえば利用債、縁故債等一般の政保債のように借りかえのきくものと借りかえのきかないものとがございます。したがいましてこの一兆一千億がだんだんふえてまいりまするうちに、やはり相当
程度を返さなければならないということに相なるわけでございまして、この借入金の返還がちょうど七年間で一兆ございます。したがいまして、七年間の所要資金は二兆九千億と申します工事をするための金と、それから一兆という借金の返還と合計いたしまして三兆九千七百四十六億、約四兆の金が
国鉄の資金として要るわけでございます。もしこの所要資金を全部かりに借金でやる、全額借金でやったらどうなるかという計算も実はしてみておるわけでございますが、もしこの所要資金の四兆の全部を借金でいたしますとしますと、ちょうど
昭和四十六
年度末の借金の合計が三兆をこすわけでございます。この所要資金全部を借金でまかなうという計算を試算いたしでみたわけでございますが、そういたしますと、
昭和四十六
年度末におきます長期の借り入れ金が四兆四千億、年間のその年だけの利子でも二千八百億、約三千億の利子を払わなければならないということになりまして、
経営上の収支のアンバランスが約二千億という、非常に破局的なと申しますか、破産以上の姿に相なるわけでございます。これではとても
経営がやってまいれませんし、この分を国家から
補助すると申しましても非常にばく大な金でございます。私
どもといたしましては、この全部借金ということは計算上はやってみましたが、とてもこれはもう
企業採算として成り立ち得るものではないということでもって、このうちのある一部分を自己資金でもってやるべきじゃないかということを
考えなければならない段階にまいったわけであります。
運賃につきましては、
運賃法の第一条に、
運賃は原価を償うものであるということがございます。その原価とは何かということにつきましては、
運賃法制定以来非常に
議論のあった問題でございまして、学者によりましていろいろ説がございますが、ただ最小
限度といたしまして、所要の
経費と利子、それから減価償却費、この三つだけはもう絶対に
運賃の原価である。そのほかに多少の保安対策費その他に要する金を
運賃に入れるべきかどうかということにつきましては
議論がございましたが、減価償却費だけは
運賃でまるまる見るのはこれはもう当然であるというのが通説であります。したがいまして、
昭和四十六
年度までの収支の
経費をいろいろ計算いたしますと、最小限減価償却費だけでも約一兆の所要資金が要ります。そういったことから逆算いたしまして、現在の
運賃のベースその他を勘案いたしました結果、昨日申し上げましたように、全体の所要資金のうちの約二割だけは
運賃から、自己資金からまかなう、すなわち利子のつかない金でもってやらせていただく。八割は利子のつく金でやむを得ない、こういうことに
考えたわけでございます。利子のつく金のほうは、これは借金でございますが、利子のつかない金、これはもう自己資金以外にないということによりまして、七年間で約一兆二千億の
運賃の是正による増収をはかりたいということでございます。しかし、この一兆二千億がそのまま工事費に回るのではございませんで、このうちから工事費に回りますものは八千五百億でございます。したがいまして、その
残りの約三千二、三百億というものは、これは当然
経費に回るわけでございまして、この中で職員のベースアップもいたしますし、また燃料その他の物件費の増加にも充てるということに相なるわけでございます。したがいまして、全体の所要
経費四兆のうちの二一%が
運賃、自己資金である。
残りの七九%は全部借金である、こういうことになるわけでございます。したがいまして、今回
運賃を是正していただきましても、
昭和四十六
年度末におきましては長期の借り入れ金が二兆九千何がし、約三兆になります。したがいまして、四十六
年度における利払いは、七分といたしましても、二千億の利払いを年間にするということになりまして、その四十六
年度時点における
収入はちょうど一兆一千億をちょっとこしますが、
収入の約五分の一は利子で飛んでしまうということでございます。そのほかにさらに元本の償還が入りますので、
昭和四十六
年度時点における利子と元本の償還を合計いたしますと、年間で約四千百億でございます。一日十数億のものが全く
国鉄の手を通らないで、右から左に利子と元本の償還に充てられる、こういう実情になるわけでございまして、現在の自己資金の不足ということは、
国鉄にとりましては、将来の問題としては非常に重大問題でございまして、ある時期になりますと、結局利子を払うために借金をするという
事態が出てくる形になるわけでございます。これは、
企業の
経営としては非常に不健全なと申しますか、ちゃんとした
経営でないというふうにも思われますが、いずれにいたしましても、七年間における所要総資金四兆のうちのわずか二一%だけは自己資金、七九%は借金によらざるを得ない。したがって、四十六
年度末の長期の負債が三兆というばく大な金額にのぼって、利払いと元本の償還だけでも一日十数億になる、こういう形になるわけでございます。
しかしながら、私
どもといたしましては、今回
運賃の是正をしていただきましたならば、極力
収入の増加をはかり、また
経費の節減をはかりまして、できるだけいま申し上げました
数字を
最低として、これ以上どこまで
経営状態をよくできるかということは、まさしく私
どもの義務だというふうに思っておりますので、これを
最低のベースとして
企業努力を続けまして、少しでもいい
経営状態に戻すのが私
どもの義務だ、こういうふうに
考えております。