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1966-01-17 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年一月十七日(月曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 關谷 勝利君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       宇野 宗佑君    田中 六助君       塚原 俊郎君    山村新治郎君       小川 三男君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    山口丈太郎君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警務局         長)      大津 英男君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     遠藤 鉄二君         日本国有鉄道常         務理事     豊原廉次郎君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 一月十七日  委員小渕恵三君及び増田甲子七君辞任につき、  その補欠として田中六助君及び宇野宗佑君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員宇野宗佑君及び田中六助辞任につき、そ  の補欠として増田甲子七君及び小渕恵三君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 昭和四十年十二月二十八日  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)  日本国有鉄道整備緊急措置法案久保三郎君外  七名提出衆法第一号) 昭和四十一年一月十四日  国鉄運賃値上げ反対に関する請願(原茂紹介)  (第三六六号)  同(中澤茂一紹介)(第三六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道整備緊急措置法案久保三郎君外  七名提出衆法第一号)  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)  陸運に関する件(私鉄運賃改定に関する問題)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  久保三郎君外七名提出日本国有鉄道整備緊急措置法案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保議員 ただいま議題となりました日本国有鉄道整備緊急措置法案について、提案理由並びにその内容について御説明申し上げます。  日本国有鉄道は、わが国交通機関の大動脈として、国民経済の中で重要な地位を占めており、将来にわたってその地位は確保さるべき立場にありながら、今日の国鉄は、幹線輸送渋滞、殺人的な通勤輸送、さらには続発する事故等々、その使命である大量客貨の安全、正確、迅速な輸送を遂行することがはなはだしく困難な状況にあります。  御承知のごとく、戦時中は戦力増強、戦後は経済復興の名のもとに長期にわたって、その施設を酷使してまいりました国鉄は、昭和二十四年マッカーサー指令により公共企業体に移行し今日に至っております。公共企業体として国鉄に引き継がれたものは、開業以来とられてきた国営事業の実体をそのままとする、あいまいな公共性企業性であり、それを包括する独立採算性ワクであり、そして極度に荒廃した老朽施設でありました。国鉄はしばらく経済復興至上命令とインフレの中で、その老朽施設をさらに食いつぶしながら輸送を続けてきましたが、ついに桜木町、洞爺丸等の相次ぐ重大事故発生を見るに至り、その食いつぶすべき老朽施設の限界を示すものとして、昭和三十二年度から老朽施設の取りかえを中心とする第一次五カ年計画実施されるに至ったわけであります。  しかし、この第一次五カ年計画実施中途改訂を余儀なくされました。言うまでもなく資金計画破綻であり、改良計画そのもの輸送伸びに追いつけないほど小さなものとなったからでありました。またそのことは財源を主として運賃値上げに求めたこと、政府がこの計画責任を持たなかったことであります。  かくして第一次五カ年計画は四年目で打ち切り、昭和三十六年度から第二次五カ年計画として再出発しましたが、これまたおもなる財源運賃値上げに求め、加えて東海道新幹線建設の大事業を織り込み、結果として新幹線工事が先行し、予定どおり完成されましたが、幹線輸送渋滞通勤輸送の混雑は一向に改善されず、運賃値上げの際の公約は再度にわたって破棄されることになりました。しかも本計画も第一次と同様輸送の実情からして計画自体過小であり、この過小計画すら計画どおり実施できぬありさまでは、三河島、鶴見の二大事故反省の上に立つ積極的な保安対策など、もはや国鉄のみの責任能力では解決を期待することが困難であるとし、かつ昭和三十九年度予算要求にあたって国鉄当局は、政府に対してこの計画による残工事のすべてに対する予算要求をいたしましたが、希望はいれられず、国鉄当局は大きな決意を迫られました。すなわちこのままでは引き続く事故も起こり得るとしたことです。ここにおいて政府は、昭和四十年度までに委員会をつくり資金についても責任を持つとしました。  国鉄をしてかかる状況におちいらしめた原因一つは、公共企業体とはいうものの公共性企業性も何ら解明されないまま独立採算制のみ画然と与えられたことであります。  国鉄公共性とは、陸上輸送の根幹として、安全、正確、迅速に輸送を行なうことにより国民経済に寄与することであり、いわゆる公共負担と称される産業政策社会政策文教政策からの運賃割引等は、当然国家の政策としてその財政支出によってまかなわれる性質のものであって、独算制ワク運営される公共企業体国鉄が負担すべきものでないにもかかわらず、そのまま押しつけられ、経営を圧迫していることであります。  また、国鉄陸運における独占的地位を失いつつあるとき、独算制ワク内運営の行き先は、当然のごとく企業性の追求となり、その結果、目前の投資効果をねらう投資と、合理化に急なあまり、優等列車の増発のみが行なわれ、その結果は、時代に逆行してローカル列車及び貨物の足をおそくし、過密ダイヤ神技といわれながらも、しかも、そこからは現状を打開する資金を生み出すことはとうてい不可能なのであります。  また、二次にわたる五カ年計画がいずれも過小であり、しかも、その過小計画すら計画どおり実施されなかったもう一つ原因は、それぞれの改良計画国鉄だけの計画であり、その予算を握る政府責任によって何ら権威づけられておらず、その資金計画は毎年度予算編成の中で左右され、不安定な自己資金は過大に見積もられ、財政投融資すら思うにまかせず、計画は何らの権威も認められず、政府の手によって踏みにじられたことであります。また、この財投を中心とする借入金の重圧は、遠からず経営破綻となることを予告されておることも御承知のとおりであります。  以上申し述べたとおり、国鉄は今日国民の要望にこたえるサービスの改善が行なわれないばかりか、安全輸送への不安もあります。  しかしながら、わが国の地理的、経済的条件からして、自動車、航空機の発達にもかかわらず、大量輸送機関としての国鉄を今後も必要とし、国鉄の安全、正確、迅速は、国民的経済の中で一そう強く要求されるところであります。  この要求にこたえる国鉄を再建整備するにはこれまで申し述べた諸点に留意した対策が必要であるにもかかわらず、政府は部内につくった国鉄基本問題懇談会の結論さえ忠実に守らず、従来どおり運賃値上げによる資金調達計画しておりますが、物価対策からもこれを抑制し、また国鉄の機能と役割りからも、道路港湾空港等と同様、政府公共投資として所要資金の一部を出資し緊急整備をはかることが肝要と考えられる次第であります。  第二は、二次にわたる五カ年計画中途において挫折を余議なくされた直接的原因は、何といっても計画政府によって正式に承認され、政府責任が明確でなかったことでありますから、これまた道路港湾と同様、政府責任によって計画は承認される必要があります。  以上が本法案提案理由であります。  次に、法案内容について申し上げます。本法案は、以上述べました理由により、日本国有鉄道現状を緊急かつ計画的に整備し、国民的経済の中でその使命を十分発揮できることを目的といたしており、第一に、幹線輸送力増強通勤輸送緩和等に必要な線路増設車両整備輸送近代化及び今日国鉄に強く要求されております安全輸送のための保安施設整備等鉄道施設整備事業といたし、第一次五カ年計画以来とられてきた輸送力増強及び保安対策計画を踏襲発展させようとするものであります。  第二は、これらの整備事業は、昭和四十一年度初年度とし十カ年間に所期の目的を完遂しようとするもので、これを二期に分け、国鉄昭和四十一年度初年度とする第一期五カ年計画昭和四十六年度初年度とする第二期五カ年計画のそれぞれについて計画を策定し、運輸大臣はこの計画について閣議決定を求めるものとし、この整備事業政府によって承認され、政府計画完遂責任を持つ体制とするものであります。  第三は、整備事業についての財源措置についてであります。前に申し述べたとおりの理由から、所要経費の三分の一を政府出資といたし、国鉄の健全な運営整備事業計画的な実施をはかろうとするものであります。  なお、整備事業規模についてでありますが、第一次五カ年計画では約一兆六千五百億を投入し、立ちおくれを解消し、安全輸送の確保を焦点といたし、第二期五カ年計画においては、需要伸びに応じた輸送力増強近代化等に主力を置くこととし、十カ年間の総事業量はおおむね三兆三千億円程度と見込んだ次第であります。  以上で説明を終わります。  次に、本計画実施にあたっては、特に次の二点につき留意すべきものと考えております。  すなわちその一つは、本法案による国鉄整備目的は、国鉄をして国民経済上その使命を忠実に実行させるためのものでありますから、さきに指摘したごとく、採算利潤のより得られるための投資に偏した方針は強く反省されねばなりません。利潤を生まない保安対策拡充あるいは通勤輸送緩和等は本計画で優先実施すべき事業であり、そのためにこそ公共投資として政府が出資する意義もここにあるのであります。  第二は、国鉄投資不足の回復と経済成長についてであります。高度成長政策は幾つかの矛盾問題点を露呈してまいりましたが、その中でも社会資本公共投資の立ちおくれからくるアンバランスがはなはだしくなってきており、資本の側からも社会資本拡充要求されておりますが、かかる事態になったことに対する反省と検討が必要であります。本計画民間企業の無政府的設備投資のしりぬぐい策として実施される場合には、この計画による投資はさらに新たな矛盾を生み出し、とどまるところを知らぬものとなり、とうてい国民的要求は満たされないことになるのでありまして、当然この無政府的な設備投資をコントロールする中で本計画実施される必要があります。また国鉄を含む総合的交通体系が確立され、その分野と方向に沿って本計画実施され、国民経済の中で調和のとれた国鉄の姿になる必要があることは言うまでもありません。  以上で御説明を終わりますが、何とぞ慎重御審議のほどお願いいたします。
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。中村運輸大臣
  6. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  日本国有鉄道は、かねてより輸送力増強及び輸送近代化につとめてまいりました。しかしながら、輸送需要は、わが国経済高度成長に伴い、輸送力伸びを大幅に上回る増加を示しております。国鉄におきましては、現有施設を極度に活用することにより、これに対処してまいりましたが、いまや列車ダイヤは過密化し、主要幹線輸送力弾力性を失い、ひいては輸送安全性すら脅かされるに至っております。  ここにおきまして、国鉄では、大都市付近通勤輸送改善主要幹線輸送力増強による過密ダイヤ緩和及び保安対策の強化を主眼とする第三次長期計画を策定いたしました。  政府におきましても、日本国有鉄道基本問題懇談会を開催し、同計画内容等を慎重に検討いたしましたが、逼迫した国鉄輸送現状を打開し、国民経済に占める国鉄の任務を当面遂行するため、おおむね二兆九千億円の投資規模をもって昭和四十年度から昭和四十六年度までの七カ年間に同計画実施せしめることといたしたのであります。  この計画を遂行するために必要な資金につきましては、その大部分借入金によることとし、政府といたしましても、財政投融資増額等につきましては、できるだけ努力する所存であります。しかしながら、もし現在の運賃水準のままで不足する財源をすべて借入金によってまかなうとすれば、昭和四十六年度末における国鉄借入金残高は四兆数千億円の巨額に達し、同年度における支払い利子は膨大な額に達することに相なります。  一方、国鉄財政現状は、昭和三十九年度においてすでに三百億円の欠損を生じ、このまま推移すれば、昭和四十年度においては、一千億円に近い欠損が見込まれ、経営状態は極度に悪化しているのであります。  これらの諸点にかんがみ、日本国有鉄道の健全な経営を維持し第三次長期計画の円滑な遂行を期するためには、この際運賃改定を行なうこともやむをえないものと決意した次第であります。  この法律案提案にあたりましては、運輸審議会の答申を尊重したのはもとよりでありますが、国鉄運賃改定国民生活に与える影響を考慮して、国鉄経営合理化等により、所要改定率をできるだけ少なくするよう配慮いたしました。  次に、運賃改定具体的内容についてでありますが、まず、旅客運賃について申し上げますと、現行遠距離逓減制距離比例制に近づけるために、二地帯制境界を四百キロメートルとし、一キロメートル当たりの賃率は、第一地帯においては、現行の二円七十五銭を三円六十五銭に、第二地帯においては、一円三十五銭を一円八十銭といたしました。  また、航路旅客運賃については、ほぼ旅客賃率引き上げと同程度改定をいたすこととしております。  次に、貨物運賃についてでありますが、最近の輸送構造変化に即応して、現行貨物等級上下の幅を圧縮して四等級とするとともに、その賃率引き上げはおおむね十七パーセントといたしました。  以上がこの法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  7. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、本案について補足説明を聴取いたします。堀鉄道監督局長
  8. 堀武夫

    堀政府委員 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして逐条的に御説明申し上げます。  まず第三条の関係について申し上げます。  本条の改正は、第一地帯賃率を二円七十五銭から三円六十五銭に、第二地帯賃率を一円三十五銭から一円八十銭にするとともに、第一地帯と第二地帯境界を百キロメートル延伸して四百キロメートルとし、現行遠距離逓減制を修正し、理論的に見て妥当と考えられる距離比例制に一歩近づけることを内容とするものであります。  次に別表第一の関係について申し上げます。  本表の改正は、青森・函館間、宇野・高松間、仁方・堀江間、宮島口・宮島間、大畠・小松港間の各航路運賃については鉄道普通旅客運賃と同程度引き上げを行なうとともに、下関門司港間の航路廃止に伴い下関門司港間の航路を本表から削ることを内容とするものであります。  次に別表第二の関係について申し上げます。  本表の改正は、最近の輸送構造変化に即応して、貨物等級を従来の従価等級制度から、平均的な運送費用に対応した単一賃率を採用する方向で四つの等級にまとめ、等級間賃率上下の幅を縮めるとともに、賃率をおおむね一七%引き上げることを内容とするものでありまして、新等級表への移行につきましては、現行普通一等級及び普通二等級に該当する品目は、新一等級賃率、普通三等級に該当する品目は、新二等級賃率、普通四等級から普通八等級まで、特別一等級並びに特別二等級に該当する品目は新三等級賃率、普通九等級、普通十等級、特別三等級及び特別四等級に該当する品目は新四等級賃率の適用を受けることになると考えております。  最後に附則は、この法律施行期日について規定したものであります。  以上がこの法律案概要であります。
  9. 長谷川峻

    長谷川委員長 これにて説明の聴取は終わりました。     —————————————
  10. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 実は私は久保三郎君が提出をせられております日本国有鉄道整備緊急措置法案に対しまして質問をする準備をしてまいったのでありますが、きょうは御答弁をせられないそうでありますので、これを次回に譲ります。  久保君の提出をせられました提案理由説明を聞いておりますと、その中には、今回の日本国有鉄道の第三次長期計画内容その他が十分にわかっておられないために述べられておるような点がありますので、国鉄当局から、その誤解を解きまするためにも、また何と申しまするか、一般にも今度の長期計画が必要であるということを広く知らしめるためにも必要でありますので、簡単に今度の第三次長期計画内容に関連しての御答弁を願いたいと思います。一つ一つお尋ねするよりも、一括してお尋ねいたしまするので、総体的にお答えを願いたいと存じます。  国鉄は現在、国の施策といたしまして第三次長期計画実施中であります。これは社会党が言うように何ら権威づけられているものでないというのではなくして、閣僚懇談会において決定した上でこれを実施いたしておるのでありまして、政府責任があるわけでありまするが、現在のこの第三次長期計画実施した場合の財政状態と申しまするか、国鉄収支状態がどういうふうになるのかということが第一点。なお、現在の財政状態長期計画財源をどのように考えているかということが第二点。これも関連いたしておりますので、両者を含めて御説明を願いたいと思います。  それと、長期計画達成の暁には輸送事情がどのようになるか、この三つのことを詳細に御説明願いますと、いろいろな誤解も解けてくるのではないかと思いますので、詳細に御説明願いたいと思います。
  12. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  御承知のとおり、国鉄は第一、第二計画をやったのでありまするが、それによって現在の輸送状況改善することはとてもできぬ。ことにその年年に政府財政態勢によってわれわれの予算が削られるということになると、なかなか組織的にできぬ。結局政府に交渉いたしまして、今度の第三次七カ年計画を立てた次第であります。ということは、つまりそれによって政府はその計画を認めてくれる。同時に、それに対しては財政的な処置を講じてくれる。その目的要するに三つあるのです。第一は、現在における通勤地獄緩和であります。それはもう私が申し上げるまでもなく、むしろこれは人道問題である。第二は、幹線輸送の非常な逼迫せる過密ダイヤ、これをそのままにしておくというと、大きな事故発生原因が依然として存在しておる、これをこのままにしておくわけにはいかぬ。第三は、その過密ダイヤに即してこれを安全化するのにはどうしたらいいかということ。この三つの問題であります。これを組織的にひとつ六カ年の間に緩和していこう。解消ということは、とてもこれはできません。緩和であります。通勤の問題のごとき、年々東京大阪付近などでは激増しておってこれを解消するということはとても現在のところできないのであります。緩和であります。また、幹線における輸送問題にしても、緩和であります。その詳しいことにつきましては、副総裁から御説明いたさせたいと思います。委員長、さよう御承知願います。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 私から、ただいま総裁が御説明申し上げました第三次長期計画による国鉄への影響並びに全般的な財政収支状況につきまして、数字によりまして御説明申し上げます。たいへんこまかいことになりますのでお手元資料を差し上げておきましたので、これによって御説明をすることをお許し願いたいと思うわけであります。  お手元資料は、一の今回の投資内容、それからこれをつくるまでに至りました内閣国鉄基本問題懇談会意見書運賃制度概要等を入れました上に、さらに現在提案されております四十年度補正予算並びにそれに基づきます長期計画財政収支状況、次に旅客貨物運賃改訂要鋼、さらに別冊といたしまして、第三次長期計画とその効果と申します黄色い冊子のものでごく簡単にまとめてございますので、御質問と順序が逆になりますが、まず黄色い冊子のほうからごく概略の御説明を申し上げることをお許し願いたいと思います。  まず第一に、第三次長期計画がなぜ必要であるか、いかなる効果が出るかということにつきましてごく概略で申し上げます。  一ページの表にございますとおり、戦前の平準年度でございます昭和十一年度に比較いたしますと、ごらんのとおり、旅客輸送人員が約六倍に伸び貨物も約三・六倍に伸びております。それに伴いまして、これを輸送すべき線路そのものはほとんど一・三倍しか伸びていないということで、結局、客貨輸送量に対しまして、輸送する能力が物理的に足りないということを示したものでございます。  次の二ページは、一つの例といたしまして、線路がふえないという結果、やむを得ず過去二十年ないし三十年の間は、車両をふやしまして、列車をふやしまして、輸送増加に対応してまいったわけでございますが、二ページでごらんのとおり、たとえば東京−小田原間の現在のダイヤ、しかもこれは新幹線ができましたあとで、急行、特急等の大部分を二十数本にわたって抜きましたあとの、午前六時から午前十時までのダイヤを抜いたものでございますが、ごらんのとおり、虫めがねで見なければわからないほどの過密ダイヤでございます。これが、残念ながら過般の鶴見事故あるいは三河島事故等の遠因の一つとも言われているものでございます。この過密ダイヤを解消するためには、いままでのように、ただ列車をふやす、車両をふやすということでなしに、根本的に線路そのものをふやさなければならないという状態に立ち至っているわけでございます。  それに対応いたしまして、第三ページにございますとおり、一昨年一カ年間かかりまして、内閣国鉄基本問題懇談会におきまして、国鉄現状はいかにあるか、今後いかに改善さるべきかという角度から、いろいろ日本経済伸びをしんしゃくされて、諸般の専門家が集まられて、いろいろ論議された結果、ごらんのとおり、三ページにございますように、総額二兆九千七百二十億、昭和四十年度から四十六年度までにわたります第三次の長期計画を策定されたわけであります。このうち直接保安対策と申します、たとえば踏切の問題、あるいは列車自動停止装置問題等を拾い上げますと、二兆九千七百二十億のうち二千四十四億は保安対策に直接使われるものでございます。これは世上言われておりますように、国鉄の将来の輸送増強を見通してやったという、いわゆる先行投資というものよりも、むしろ現在私どもの肩にかかっております火の粉を振り払うという程度のものでございますが、このぎりぎりの増強をいたしますのにも、やはり二兆九千億という膨大な金が要するわけでございます。  次に、通勤輸送の問題でございますが、何と申しましても、東京、大阪の過密化の問題は国鉄だけの能力ではいかんともいたしがたいわけでございますが、ただ、現実の問題といたしまして、通勤客がふえる、このふえる通勤客は、やはり私どもといたしましては何とかこれを消化しなければならないということで、全体として約五千億の金を通勤輸送につぎ込んでいるわけでございますが、東京付近、大阪付近ごらんのとおり、各線路にわたりまして、全面的に通勤輸送のための線路をふやすという措置をとってまいりたいと思います。  五ページに概略の図面がございますが、御承知のとおり、東京大阪付近の、いわゆる国電の通勤網と申しますものは、昭和の初期にできたままでございます。昭和の初期にできましたまま、あとは、先ほど申しましたとおり、ただ車両をふやす、列車をふやすということだけでもって膨大な通勤客の増加に対応してまいったわけでございますが、すでにこれは限界にまいっておりまして、たとえば中央線の急行電車は、毎時二分間隔で、十両編成のものが約一時間に三十本走っております。一時間の輸送力約十万人でございますが、それ以上の輸送はできないという限界に達しております。また、中央線以外の東北線、常磐線、総武線、東海道線すべて東京に放射状に入ってまいります線は、今後の人口増加を考えます際に、いまのままでは絶対にやっていけなくなるということも明らかでございます。また、大阪付近におきましても、私鉄が発達しているとは申せ、やはり国鉄沿線の通勤客の増加は膨大なものでございまして、福知山線、山陰線、あるいは東海道、山陽線、その他各線にわたりまして、東京と同じような、根本的な、抜本的な、線路をふやしまして列車をふやすということを講じない限り、現状におきましては全く行き詰まっている状態だということを申し上げても差しつかえない程度であるというふうに考えます。  五ページの表が東京大阪付近通勤輸送改善の表でございまして、今回の計画では、従来と違いまして、根本的に線路をふやす、複線を複々線化する、あるいは複々線をさらにもう一複線ふやす、こういうふうな形でまいりたいというふうに考えております。  さらに、通勤輸送以外の幹線輸送でございますが、幹線輸送増強するためには、どうしても全国の主要幹線を複線化しなければいけない、さらに要すれば、電化をしなければいけないという事態でございます。六ページに書いておりますのは、複線化区間でございますが、これは次の七ページの図面にございますとおり、すでに昭和四十年度、すなわち本年度の当初からほとんど全国的にわたりまして複線化の工事に着手いたしまして、この図面でごらんのとおり、青いまるをつけましたところがすでに現在までに着手いたしました区間、すなわち現在時点で工事が進捗しているところでございます。現在、国鉄全体の複線化はわずか一六%でございます。ほとんど各線とも数十年前にできたままの単線でやっておるという事情でございますが、少なくとも全国の主要幹線だけは複線化したいというのがこの七ページでございまして、ごらんのとおり、各地にわたりまして現在複線化工事を実施中でございます。  さらに、この図面でごらんのとおり、東京付近に点線が書いてございますし、また琵琶湖の西側にも点線が書いてございます。あるいは北海道の一部にも点線が書いてございますが、これは国鉄でなしに、鉄道建設公団によりまして新線をつくってもらう。それが幹線輸送力緩和なり、あるいは大都市の通勤輸送緩和になる、こういうことでございまして、直接国鉄が工事をいたしておりませんが、並行いたしまして、建設公団によりまして建設線として現在すでに着行いたしました線をあらわしたものが小さい点線で書いた分でございます。  さらに幹線につきましては、複線化いたしますと同時に、全般的な輸送力をふやす、ことに旅客貨物輸送力輸送のスピードとなるべく合わせて全体の線路容量を楽に使いたいという意味で、主要幹線並びにその他これに準ずる線につきましては、電化あるいはディーゼル化を行ないたい。八ページ並びに九ページはそのうちの電化の計画の表でございまして、九ページの表でごらんのとおり、青まるをつけましたところはすでに現時点で電化工事を始めているところでございます。ごらんのとおり、主要幹線以外にも幹線幹線を結ぶ線あるいは観光上必要な線等につきましては、すでに工事を始めておるわけでございます。これらができますと、昭和四十六年度末には、現在の電化率一九%が三四%になるというふうに考えておるわけでございます。  さらに、今回の第三次長期計画のうちの一つの柱でございます保安対策につきましては、従前とも桜木町事故あるいは三河島事故にこりまして、相当ばく大な投資をいたしておりますが、現在までに、十ページにございますとおり、まず自動列車停止装置あるいは信号の自動化あるいは踏切設備の強化、こういうところに重点を置いてすでに実施をしてまいっておりますが、おかげさまで、十ページの表にございますとおり、いわゆる乗務員の不注意によりまして列車が追突するというようなことがないような列車自動停止装置につきましては、本年度末をもちまして全線区にわたってこれが完成することになりましたわけでございます。また自動信号区間は、現在もっぱら幹線に次ぐ線をやっておりますが、これが四十六年度末には約一万二千キロというふうに伸びてまいりまして、全体の六〇%が自動信号になります。したがいまして、これができますと、駅の取り扱いの間違いによる事故が非常に減ってくるということが期待されるわけでございます。  さらに踏切保安対策につきましては、当委員会で過般立案され、実行に移されました踏切道改良促進法が非常に順調に進捗しておりまして、現在国鉄幹線区間におきましては、いわゆる無防備踏切は一切ございません。全部一昨年の十一月までにこれを廃止いたしまして、現在幹線区間あるいは単線区間でも非常に危険の多い区間等の踏切の除去あるいは立体交差について進めておりますが、さらに本計画におきましても約七百三十カ所の立体交差を進めてまいりたい。その他ここにございますとおり、ほとんど全国の踏切にわたりまして設備の改良をやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  しからば、これだけの、七年間で二兆九千億の投資をした結果、いかなる効果があがるかという先ほどの關谷先生の御質問でございますが、これが十一ページ以下にごく簡単に書いてあるわけでございます。  十一ページはまず通勤輸送緩和でございます。通勤輸送につきましては、現在東京付近、大阪付近に非常に通勤客がふえておりますが、これだけの設備をいたしますれば、十一ページの表でごらんのとおり、ある程度通勤輸送緩和はできるというふうに考えております。もちろん現在の混雑を解消するというまでにはまいりませんが、ある程度混雑を緩和できるということを確信しておるわけでございまして、ごらんのとおり、改善をした場合のいわゆる込み方を率であらわしておるわけであります。しからばこれの基礎になる通勤客の数はどう考えておるかということでございますが、これは東京都あるいは大阪市等の当局、あるいは首都圏整備局等での将来四十六年度までにどの程度通勤人口がふえるだろうといった推定に基づきまして、それを具体的な輸送人員として計画いたしますと、ごらんのとおり相当緩和されるということを申し上げられるというふうに考えます。  さらに幹線でありますが、これは十二ページに各幹線につきまして現在の列車回数並びに昭和四十六年度時点における列車回数とを書いてございますが、ごらんのとおり、現在時点の列車回数よりも相当一線当たりの列車回数が減ってくる、すなわち全般的な輸送需要伸びによりまして相当列車はふえますけれども、単線が複線になる、あるいは複線が複々線になるということで、線路一本当たりの列車回数はある程度減少することができるわけでございます。これは即過密ダイヤ緩和あるいは解消に近くなるというふうにお考えいただいてもけっこうだというふうに考えます。  さらに十三ページはスピードの問題でございますが、これは私どもといたしましては、何もスピードアップすること自体を目標とするわけではなしに、線路がよくなる、あるいは単線が複線化されることによって自動的にスピードが上がってくるわけでございまして、同時に、今度の計画によりましてほとんど蒸気列車がなくなりますので、電化あるいはディーゼル化された区間で現在よりは多少快適な旅行ができるというふうに考えておるわけでございます。  さらに、貨物輸送でございますが、貨物輸送につきましては今回の投資の中にも、約五千億近いものを貨物設備投資に当てたいというふうに考えておりますが、現在国鉄輸送の方式が分量だけ送ればいいというふうな方式でやっておりましたが、これをもっときめのこまかい、荷主の需要に応じた輸送にかえていくということで、十四ページにございますとおり、列車全体の速度も速くする、あるいはコンテナ輸送を強化する等の方法によりまして、物資別に、あるいはパレットを使ってやるというような方法によりまして、列車別に輸送経費を軽減する、輸送速度を上げるということによりまして、国民経済の発展に些少でも寄与したいというふうに考えておるわけでございます。  以上は、ただいま御質問の、今回の設備投資計画効果でございますが、しからばこの設備投資計画をやってまいります際の財政状態がどうなるかという次の御質問に移りたいと思います。  4という資料ごらんのとおり、資料が三枚ございますが、その二枚目でございます。資金収支計画案というものを試算しております。これは昭和四十年度すなわち本年度から昭和四十六年度まで、計画遂行の最後に至るまでの国鉄資金収支計画をつくったものでございます。  ごく簡単に御説明申し上げますと、まず運輸収入でございますが、運輸収入の基礎になります数量は、国鉄だけで算定したのではいけないということで、経済企画庁その他専門方面の意見をいろいろ拝借いたしまして、将来の自動車あるいは船舶あるいは航空機等の伸びを考えました上で、四十年度から四十六年度までの旅客貨物別の輸送伸びを考えております。それに対しまして、昭和四十一年の二月十五日から運賃を、先ほど提案理由説明にございましたとおり、客貨合わせて約二五%の収入が得られるということを前提といたしますと、一番右の合計欄にございますとおり、全体で約六兆六千億の収入に相なるわけでございます。  経費につきましては、まず一番大きなのは経営費でございますが、経営費のうち一番大きい問題になります人件費につきましては、約七%の年間の伸びを見ております。その他輸送増に対応いたします電力費の増、あるいは車両修繕費の増等を全部見まして、経営費の合計が四兆九千億でございます。さらに、相当ばく大な借金をいたしますので、その利子の累計が八千九百億。したがいまして、収支のバランスをとりますと、9番の欄の「資本勘定へ繰入」と書いてございますが、この八千五百六十三億が自己資金として工事に充てられる分でございます。  しからば工事のほうはどうなるかと申しますと、まん中から下でございますが、12番の、損益勘定から受け入れいたしますのは、いま申しました八千五百六十三億でございます。それにさらに外部資金、主として政府からの財投、あるいはことし予算でお認め願いました、国鉄限りで発行いたします特別債等を含めまして、約三兆九百億というものを外部資金に依存することにいたしております。その他、国鉄の資産を若干売るというふうな資産充当等合わせまして、工事の財源になる金が全体で三兆九千七百四十六億でございます。  これに対しまして、工事勘定の支出といたしますと、出資金、これは建設公団への出資を主といたしました出資金でございますが、それの累計が七百二十八億、建設公団並びに東京の地下鉄等に出資いたしております。その他関連会社、前々国会でお認め願いました国鉄法第六条の出資会社等が若干ふえますので、それらを含めまして累計で七百二十八億の出資金がございます。さらに、いままでの借金のうち、利子の期限のきたものは返さなければならない、あるいは借りかえなければならないということで、借入金の返還金が九千二百九十八億ございます。これを合計いたしまして約一兆でございますが、そのほかに、いままで御説明いたしました七カ年計画の純粋の工事費が二兆九千億ございます。したがいまして、工事費の支出が全体で三兆九千七百四十六億に相なるわけでございまして、先ほどの収入と見合うわけでございます。  これをごらんくださいますとおわかりのように、私ども従来の説明運賃問題と工事問題をあまりにも直載に結びつけておりましたために、今回の運賃の是正によりまして、所要の工事費の全額をまかなうんだ、全部先行投資するするんじゃないかというふうな御批判をいままで国民から受けておったわけでございますが、ごらんのとおり、全体の総工事費二兆九千億、さらに借金の返還等を加えまして工事経費の総体の所要額が三兆九千七百億、約四兆のうち約二割に当たります八千五百億だけが運賃から入ってくる金でございます。すなわち二〇%が自己資金でございまして、八〇%はやはりごらんのとおり外部資金にたよらざるを得ないということに相なるわけでございます。たとえば昭和四十六年度時点をごらんくださいますと、利子の支払いが約二千億をこすということになるわけでございまして、日本で一番大きな借金でございますが、現在の昭和四十年度末の国鉄長期負債の残高が約一兆をこします。これでごらんのとおり、昭和四十六年度末は長期負債の残高が二兆九千九百億、約三兆の長期負債に相なるわけでございます。したがいまして、運賃をこれだけ上げましても、それでもって今回の投資が全部できるということでなしに、全体の投資所要資金のうちの約二割強のものしか運賃でカバーしない。あとの八割近いものは全部借金、主として財政投融資、あるいは一部は利用債、縁故債等がございますが、主として財政投融資の御協力を得まして、この三兆以上にのぼる金を調達いたします。そうして全体の工事をやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  もし、これを運賃値上げをいたしませんでやるといたしますと、先ほど大臣の提案理由の御説明にございましたとおり、この表で申しますと、ちょうどこの八千五百億というものはゼロではございませんで、さらに繰り入れが減ってまいりますので、実はマイナスになっております。したがって全体の借金の総額が約四兆六千億、七年間で四兆六千億の金を借りなければいけない。その結果、昭和四十六年度末には全体で約四兆四千億の長期負債が残る。こういう天文学的な数字に相ならざるを得ないわけでございまして、現在の日本の財政力から申しましても、国鉄にこれだけの金を貸すということはほとんど不可能であるというふうにも考えられます。いずれにいたしましても、その所要資金のうちの約二割を運賃でもってカバーしてまいりたいということをいたしますれば、あとはこれだけの輸送力をもちまして、私どもといたしましては、全力をあげて輸送増加、収入の増加につとめてまいりまして、できればこの数字に計上いたしました運輸収入よりも少しでも上回る収入をあげまして、全体の財政状態をよくしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。もし運賃の値上げをいたしませんと、別途の試算によりますと、国鉄というものは全く破産状態と申しますか、破滅状態に近いようなことに相なるわけでございますが、この4の資料ごらん下さいまして、あとこれだけのものをいただきますれば、私どもは努力をして収入をふやしさえすれば、全体の経営状態は前途が明るくなるということを申し上げることができると思うわけでございます。  以上、たいへん長く申し上げましたが、ただいまの御質問にお答えいたします。      ————◇—————
  14. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
  15. 肥田次郎

    ○肥田委員 私はこのたび運輸省で認可をしたところの私鉄大手十四社の運賃値上げについて、運輸省からこの内容について説明を求めたいと思います。
  16. 堀武夫

    堀政府委員 去る十一日に私鉄大手十四社並びに帝都高速度交通営団の運賃改定の認可をいたしました。その経緯並びに内容等について御説明を申し上げます。  大手私鉄十四社の運賃改定の申請は、四十年の一月十一日にあったわけでありますが、西鉄につきましては、少しおくれまして、昨年の五月十一日、それから営団につきましては、さらにおくれまして、八月十一日に申請があったわけでございます。その後八月の十八日に運輸審議会に大手十四社につきましては諮問をいたし、高速度交通営団につきましては八月二十七日に運輸審議会に諮問をいたしております。この大手十四社並びに営団の運賃改定につきまして四十年の九月二十八日、二十九日、三十日、それから一日にかかりましたが、この四日間にわたって公聴会をやっております。それで運輸審議会からの答申は、四十一年、本年の一月十日にございまして、認可は去る一月の十一日に認可をいたした次第でございます。  この申請の理由を申しますと、ただいま国鉄についての運賃改定理由が種々述べられましたが、私鉄につきましても、交通地獄と申しますか、交通戦争という様相は同じでございまして、これらに対処するために私鉄各社はいろいろの設備投資を、従来第一次設備投資計画を行ない、さらに引き続いて三十九年度から第二次の三カ年計画実施中であります。これらの設備投資に伴いまして資本費が非常に膨張いたしております。たとえば三十七年から三十九年に資本費がどれだけ増加しておるかと申しますと、三十七年を一〇〇にいたしまして三十九年では一五四、このうち支払い利子について見ますと一七一と、七一%も三年間にふえておるような状況でございます。人件費につきましても、三年間で二七%もふえておる。これらの諸経費の増加経営を非常に圧迫をいたしまして、私鉄の各社といたしましては、経営を安定し、健全な経営、さらにこの輸送力増強計画を今後円滑に進めていくためには、どうしても自己資金を用意する必要がある、そのために運賃改定をする必要があるということで、申請をしてきておるわけであります。  この改定内容につきましては、お手元資料を配付いたしておりますので、これに従って御説明を申し上げます。  まず大手私鉄の十四社について申し上げますと、この一ページをごらんを願いたいと思います。第一のところには、いま申し上げました簡単な経過が書いてありまして、十日の答申、それから一月十一日に臨時物価対策閣僚協議会というところで了承を得た上、認可を行なっておるわけであります。  第二のところは、ただいま私が申し上げましたような運賃改定の必要なこと、さらにその設備投資計画について述べております。すなわち、第一次輸送力増強三カ年計画では、これは三十六年度から三十八年度にわたって実施したわけでありますが、これによりますと約千三百億の投資を行なっております。さらに三十九年度から四十一年度にかけて第二次輸送力増強計画ということをいま実施しつつあるわけであります。この当初計画は、二千二百五十億という非常に膨大な設備投資を予定をしておるのであります。この設備投資計画のうち千六百五十七億については、今回の運賃の原価に織り込んで計算をいたしております。  次の三番目につきまして申し上げますと、今回の運賃改定によりまして、私鉄十四社合計の増収額は約三百億円にのぼるものと考えております。今回の改定による平均値上げ率は二〇・二%でございます。この運賃改定に基づく収入の増加によりまして、ただいま申し上げました輸送力増強計画が完全に実施できるよう、われわれといたしましては強力に指導をしてまいりたいと考えておる次第であります。  二ページをごらんいただきたいと思いますが、二ページは運賃改定内容につきまして各社別に書いております。たとえばその一番上の欄の東武鉄道について申し上げますと、一キロから四十キロまでは現行賃率が三円十銭、四十一キロ以上が二円四十五銭でございますが、このたびの改定によりまして一キロから五十キロまでの地帯は三円六十五銭、五十一キロ以上は二円九十銭というふうになるわけでございます。この三円十銭から三円六十五銭の値上がり率は一七・七%ということに相なるわけであります。それから定期割引率はどういうふうに変わったかと申しますと、通勤定期につきましては現行の七八%の割引率が七五%に下がる。それから通学定期につきましては据え置きというのが東武鉄道の割引率でございます。  以下西武鉄道、京成その他このようにありまして、その次のページの一番最後の欄外に値上げ率の平均が二〇・二%となっております。  定期の割引率について申しますと、通勤定期は現行平均七四%の割引率が六九%に下がる。それから通学定期につきましては、これは八六%が八五%でありますから、ほとんど影響はない。これらの定期に関する割引率のことにつきましては、大体国鉄の今度の改定とほぼ同じような考え方をいたしておるわけでございます。このような運賃改定によりまして、先ほど申しましたような三百億の増収が期待されるということでございます。  次の四ページをお開きいただきます。これは、ただいま申し上げました増収によりまして、今後四十一年度までに輸送力増強計画としてこのような投資を各社が考えておるということでございます。この各社の合計を申しますと、一番下の欄の一番右端にございますが、千六百五十六億という投資額になるわけであります。この額は原価計算の場合に織り込んだ額でございまして、私鉄自身といたしましては、このほかに約三百億の投資計画を持っております。  次の五ページをお開きになりますと、帝都高速度交通営団の運賃改定でございます。営団は昭和二十六年より丸ノ内線それから荻窪線、日比谷線、それから東西線と逐次非常に急速なピッチで建設を行なってきております。その営業キロはいまや五十二・五キロに及んでおりまして、これに要しました建設費はすでに千三百二十三億に達しておるのです。これが資金の調達は九割以上が外部資金で、これに伴う資本費の増大が特にはなはだしく、開業後の収支面を悪化させる結果となっております。四十年度収支面におきましても、金利の支払いが収入の半分をこすというような非常に異常な状態になっております。将来におきましては、現在建設中の地下鉄工事が進むにつれまして、営業収支の赤字は激増の一途をたどることが必然であり、経営上重大な問題となっておりまして、今後の資金調達にも悪影響を及ぼすということでございまして、運賃改定の申請を出してきたわけでございます。  それで、この交通営団の申請を運輸省と経済企画庁と双方において慎重に検討願いました結果、平年度における赤字総額は五十三億に達するだろう、こういう推定のもとにその値上げ率を算定をした次第でございます。交通営団の値上げ率は二六・六%ということになっております。  次の六ページでございますが、交通営団の運賃改定概要は、左の欄が現行でございまして、一区から六区までございます。たとえば、一区の二十円が改定では三十円に、二区の三十円が四十円に、三区の四十円が五十円にというふうに各区十円増しということでございます。  定期の運賃につきましては、その下の欄に主要区間運賃比較というものがございまして、たとえば渋谷から三越前までの定期について見てみますと、今度の改定によりまして普通定期というものを国鉄と同じように廃止するという考え方をいたしておりまして、従来普通定期を買っておられた方は通勤定期を買うということになるわけであります。したがって通勤定期で比較いたしますと、渋谷−三越前、この間は現行は九百九十円、これが改定では千二百六十円になる。従来普通定期を買っておいでになった方は千三百五十円が千二百六十円になるのでありますので、逆に下がるということになるのであります。通学定期は六百九十円が八百七十円ということに相なるわけでございます。その他の主要区間については、ここに書いてありますとおりに改定されるわけであります。  次のページでございますが、これは高速度交通営団の新線建設の計画でございます。棒線でもって予定が書いてございまして、一番下の欄にその所要資金の合計がございます。昭和三十九年度までに要した資金は、先ほど私が申しましたように、千三百二十三億の投資をすでに終わっておるわけであります。四十年度においては二百七十四億、四十一年度においては三百五十億で、建設費総額は三千四百四十八億という膨大な設備投資計画を行なうこととなっておるわけであります。  以上、簡単に今回の運賃改定内容、経理等について御説明申し上げた次第でございます。
  17. 肥田次郎

    ○肥田委員 いま値上げの概要について御説明がありましたので、以下順序を追って質問をしたいと思います。  まず今度の私鉄の運賃値上げに際してお聞きしたいことは、経済企画庁長官がまだ所用のためにお越しになっていないようですが、今度の私鉄の大手十四社の運賃値上げについて経済企画庁長官が三つの条件をつけて、そうしてこれが認可されたというふうにいわれておりますが、この点について、まず臨時物価対策閣僚協議会の性格、これは長官がお見えになってから聞きたいと思うのです、条件の内容はいろいろ問題がありますから。もう一つこの認可の場面に出てくるのは、私鉄運賃の値上げをするのはこれは所管は運輸大臣であるにもかかわらず、運輸大臣という認可の直接の機関は、これはもう手続にすぎない。別に物価対策閣僚協議会、この中で審議をされて、そうしてあとはもう運輸大臣は認可の手続だけとった、こういうことになっておりますが、これはこういうふうに理解をしてよろしいですか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  18. 中西一郎

    ○中西政府委員 先ほど来鉄道監督局長から御説明がございましたが、実は経済企画庁なりあるいは臨時物価対策閣僚協議会なりは、国鉄の中身の審査まではいたしておりません。閣僚協議会の考え方なんでございますが、これは三十八年に物価問題懇談会というのが経済企画庁に置かれまして、三十九年の一月に公共料金一年ストップというようなことを閣議で決定いたしたことがございます。それらの前後にわたりまして物価問題が三十六年以来非常に深刻になってきたもので、公共料金と一口に言っておりますが、政府の認可する料金、あるいは地方公共団体できめるもの、さらには米価まで含めまして、消費者物価を構成しておりますほぼ二〇%の割合のものについて、物価政策、物価上昇をなだらかにするというような趣旨で、当初は経済閣僚協議会でございました。そういうもので議論をしてスクリーンをする必要がある、そういうことが協議会において従来ずっと行なわれてきております。ごく最近になりまして臨時物価対策閣僚協議会ということに相なったわけでありますが、その運営等につきましては従来と変わりはございません。特に全体的な物価政策の観点から、あるいは具体的な問題の処理にあたっての基本的な処理方針といったようなことについて、関係閣僚の方々の御議論をそこでやっていただき、その幹事を経済企画庁がやっておるというのが経緯でございます。またそれ以上にいずるものではございません。法律で格段の権限を与えられておる筋のものでもございません。  それから先ほど三条件のお話がございましたが、これは私からお答えしてよろしゅうございますか。
  19. 肥田次郎

    ○肥田委員 いや、これは直接藤山大臣が見えてから尋ねたいと思います。運輸大臣のほうは、これに対して別に答えはないですか。
  20. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 運賃値上げの具体的な内容につきましては、運輸省で中心になって検討しておりまして、経済企画庁と協議をしておるということはいまの説明のとおりでありますが、経済閣僚協議会は、これはできるだけ物価の安定と値上がりを押えていくという方針のもとにつくられたものでございまして、この観点から、運輸省で認可しようとしておる運賃改定が妥当であるかどうかというようなことについて、いろいろ検討する機関でございまして、認可は運輸省がやっておるという実情でございます。
  21. 肥田次郎

    ○肥田委員 いずれ順序を追ってお尋ねいたします。それからもう一つ、今度の私鉄大手の十四社の運賃値上げについて、たしか九月の末から十月の一日ですかにかけて、東京では公聴会が行なわれました。これは各地域において、たとえば九州、大阪、名古屋、こういう地域においては公聴会はどういうふうにされましたか。
  22. 堀武夫

    堀政府委員 公聴会の手続に関しましては運輸審議会の事務でございまして、直接私がお答えするのはどうかと思いますけれども、十四社を一括して、このたびは公聴会をやったわけでございます。そして公述人その他につきましては、全国的に公示をいたしまして、意見のある方は東京に御足労でも来ていただいて意見を述べていただく。各地方において個別的にやれればそれにこしたことはないと思いますけれども、いろいろ経費その他の関係もあって東京において行なわれたというふうに私は理解をいたしております。
  23. 肥田次郎

    ○肥田委員 運輸審議会の所管事項だ、こういうふうに言われました。事務次官は運輸審議会のメンバーになっておりますね。そこで、政府当局も委員を出しておるのですから、そういうことでお聞きしたのです。先ほど鉄監局のほうから出された資科で見ますと、これは当然大手私鉄というものが中心になると思いますが、この資科の数字を見ますると国鉄の三十九年度輸送量は人数にして六十四億人、これを人キロに直すと千六百四十二億人キロ、こういうふうになっております。私鉄のほうは八十九億人ということになっています。人キロでは半分以下の七百七十五億人キロ、こういうことになっておりますが、これで見ると、輸送量の数字というものは、国鉄は六十四億人であるのに対して、私鉄は八十九億人ということになる。この数字を不動のものとして議論するわけじゃないのですが、要するに、これだけ多数の人に影響力があるというこの私鉄の運賃の問題について、東京で一括して公聴会を開いたというやり方は、いかにもこれはこそくじゃないかと思います。たとえば東京で開くとしたならば、大阪で申請会社が五つあるのですから、大阪の申請会社というものを五つまとめて公聴会を開く、こういうふうにしないから運賃値上げが陰でこそこそやられて、それが表に出たときに、いよいよ認可というこの前後に、いわゆる一般大衆から強い反対運動が起きてくる。こういうことについて、今後一括してやるというふうな考えですか。それともこういうものについては、地方的に十分審議を尽くすという手段をおとりになるのか。この点をひとつ確認をしておきたいと思います。
  24. 堀武夫

    堀政府委員 このお答えも、運輸審議会自体が今後公聴会をどういうふうにやるかということをきめる事項でございますので、私から今後こういたしますというようなことを申しかねるのでございます。よく運輸審議会のほうに先生の御意向を伝えておきたいと思います。
  25. 肥田次郎

    ○肥田委員 私が先ほど言ったのは、運輸事務次官が委員のメンバーですから、本来なら事務次官がここに来て、その内容説明してもらっても何ら不当ではないと思うのですが、何か運輸審議会の所管事項だというふうにお逃げになるが、私はそうは思わない。これは総理大臣が任命をして、独立機関のようであるけれども、しかし現実には、これは運輸大臣との関係というものは決して無縁のものじゃないのですから、そういう点は、指導ということになるとこれは問題があるかもしれませんが、相互の意思疎通ということは当然十分できることだと思います。  これはこの程度にいたしまして、次に質問いたしたいのですが、この運賃値上げの発表を見ると、先ほど私が各地域でなぜ公聴会を開いて値上げの内容について熟知させることをやらなかったのかと言ったことは、きょう提案された国鉄運賃の値上げについても、旅客運賃は三一%、それから貨物運賃は一七・三%、これを平均して国鉄運賃の値上げは二五%だ、こういうふうに発表されておる。この数字のごまかしというものは全くけしからぬと思うのです。貨物の平均は一七・五%とあるけれども、国鉄が実際に収入として見込まれるのは一二%だといわれておる。これはあと国鉄運賃の問題を審議するときに十分内容を追及したいのですが、今度の私鉄の運賃の中身を見ても、平均は二〇・二%となっておりますが、この二〇・二%をただ単に、平均値を出しただけでは何の価値もない。多いところは二六%、二七%、こういう数字が出ております。こういう数字が出るのですから、なぜ二〇%というような平均した数字の発表ではなしに——平均した数字は意味がないのですから私は要らないと思うのです。各地域でこれだけ上がるのだということを徹底さすことが大切なんです。非常にごまかし的な発表であるということに対して、これはどうも納得ができないのです。ということで、これはひとつ、大臣、あなたのお考えもお聞きしたいのです。  それからもう一つは、いま申し上げましたように、国鉄旅客運賃の値上げ率は三一%、私鉄の平均は二〇・二%だが、実質には二六、二七になっておるところがある。これをそれぞれのいわれるように、国鉄は大体平年度千八百億、一日五億円だといわれておる。私鉄のほうでは一日平均は約八千万円、年間で三百億、こういうふうにいわれている。そうすると、国鉄と私鉄との値上げの総額というものは、値上げによって国民が吸収される金額というものは、約二千百億、こういう数字が出てくるのです。その二千百億という数字というものと、それから物価の問題との関係をどういうふうにお考えになったのか。これは国民生活局長にもお伺いいたしたいし、運輸大臣としても——かつて山一証券が、六百億か八百億、あるいは千二百億ともいわれておる倒産の危機に瀕したときに、政府がこれに対してとった手厚い手段というものは、これは経済界がこれによって混乱をするからということであった。国鉄運賃と私鉄の運賃を合算すると二千百億にも上るこの値上げというものが、国民生活にどのような影響をするかということについて、判断をどういうふうにされたか、まずお聞きしたいと思います。
  26. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話のとおり、約二千億強という増収が国鉄と私鉄ではかられることに相なります。金額として、その大きさはもちろんでございますけれども、国民経済全体からいいますと、御承知の例の消費者物価指数でのウエートは、国鉄が九八、十四私鉄等含めまして、地下鉄も入れまして四三ということです。これは統計上の問題ですから、全国に薄められております。そういう意味で、これがそのまま国鉄あるいは私鉄をひんぱんに利用する方々の負担のウエートであるというわけにはいきませんけれども、それらのウエートに値上げ率をそれぞれかけて考えますと、国民全体としては、平年度で、国鉄のほうで〇・三二%のCPIの影響度を持ちます。それから十四私鉄、地下鉄の場合は〇・〇八%の影響度を持ちます。合わせて〇・四%ということでございます。だからといって、これが影響度が低いということには私どもは考えておりません。ただ物価問題全体としましては、国鉄、私鉄その他公共料金、あるいは公共料金以外の消費者物価それぞれにつきまして一つ一つ分析していきますと、それぞれはたいした影響がないということになるのは当然でございます。そこで、経済企画庁としては、ものの考え方なり将来の物価対策を展開していきます場合の基礎的な条件としまして、今後いろんな物資について、その産業の実態といいますか、経営合理化といいますか、あるいは政府のそれに対する指導介入のあり方、そういうようなことにまで及んで、物価政策全体の適正な運営をはかりたいというふうに考えております。したがいまして、お尋ねの二千億強あるから特にどう思ったかというふうな御質問だといたしますと、それには非常に答えにくいのでございますけれども、いろいろなものを総合して物価の安定を期していく、その場合に、国鉄、私鉄の場合はやはりやむを得なかったと言っていいのではないか。そこで今後の建設事業とか企業の運営とかについては、やはり国民経済的な利益を考えて、今度の料金改定国民経済全体の利益に十分に反映するように期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 堀武夫

    堀政府委員 先ほど肥田先生のおっしゃった国鉄運賃の増収額は千六百五十億でございます。参考までに申し上げておきます。  なお、この発表した各社の値上がり率は無意味であるというお話、あるいはおかしいのではないかという御意見がありましたが、これは運賃改定内容自体は、最低運賃の変更だとか、あるいは各区間によって、いろいろ値上がり方の違うものもありまして、一言で全体を表示する方法というものはむずかしいので、ここに二〇・二%というのは、これは各社の賃率で表示しておるところは、第一地帯賃率のアップ率、それから区間制のところは、主要区間のアップ率というものを代表的にあげておるのでありまして、たとえば新聞なんかに出る見出しは、どれだけ上がったかという場合に、従来これが一番使われております。そういう意味からも、こういうもので従来とも表示しておるということでございまして、これ自体は、これはこれで間違いではないのでありまして、これを算術平均をしたのが二〇・二%でございます。いろいろの表示のしかたはございますが、たとえば、増収率という表示のしかたもございます。この値上がり率二〇・二%を増収率で申し上げますと、約二五%ということになります。
  28. 肥田次郎

    ○肥田委員 いや、私は数字の議論をするわけじゃないのですけれども、平均二〇・二%という私鉄の運賃の値上げだ、新聞にはこう書くのですよ。ところがその内訳を見ると、ぐるりと周囲を見ただけでも違うのです。たとえば東京都内において違うですね。ここにあるように、低いところは東京急行が一四・三%、これは前が高かったからそれで今度上げ率が低いのだ、あるいは前が安かったから今度上げ率が高いのだ、こういうことはあまり関係がないのです。あくまで現実の問題ですからね。前とこれからの問題とを切り離してものを考えるほど、そんなにゆとりがあるような日本人の生活じゃありませんから。たとえば、西武鉄道がいままで賃率が安かったから今度値上げ率が多いのだ、こう言われても、現実に安い賃率で乗っておった人は、上がる率の高いことが問題になりますと、いままで安かったから、そうだおれはいままでもうけておったのだな、こういう解釈はできなかろうと思うのです。そういうことですから、この実効のない数値というものを示したって、これはチンプンカンプンということになろうと思いますから、その点を言ったのです。  それで、これは私は非常にいろいろ問題点があるのですが、順を追って質問いたします。国民生活局長にお伺いしますが、あなたのほうのいまの通り一ぺんの答弁では、これは困るのですよ。国鉄運賃は五年間据え置かれておって、そして今度旅客運賃というものが三一%値上げになった。そうすると、御承知のように、その間の物価というものは上がっていっているのです。あなたのほうの手が届かないところ、経済企画庁のにらみがきかないところ、値上げをされてもどうにもできないような物価、こういうものはどんどん上がっていっている。特にその中で生活必需品であるところの生鮮食料、野菜、こういうものがみんな上がっていっているのです。去年の物価の上がり高は二四%だといわれておる。ことし三一%も国鉄運賃が上がる、私鉄の運賃が、安いか高いか、平均すると二〇%、こういわれているが、上がる。そうすると、国の力でこういうものの物価というものを押えることができますか。不可能なことなんです。幾ら流通機構どうこうという問題を提起してみても、現実に八百屋のおやじさんが汽車賃を払って、電車賃を払って、そして仕入れてきて売る物価というものは、野菜、魚類というものは、必ず上がるのです。私はこの問題を考えてもらわなければいかぬと思う。重大なミスをされていると思います。そういうものを抜きにして、ただ数字の上だけで、数字をいらって、そして〇・三%か四%の値上がりだろう、こういうふうにおっしゃっておるが、これは私はまことに不親切な考え方といいますか、発表のしかたじゃないか、こう思うのですよ。物価は上がらないとあなたのほうではお思いになりますか。この証拠はものの半年も出ないうちにはっきりと出てきますよ。どういうふうにお考えになっておるか。これは出てくる結果が証明しますから、全然それは問題ないわけだ。〇・三%程度だというふうにほんとうに考えておられるのですか。
  29. 中西一郎

    ○中西政府委員 ただいま御指摘の問題につきまして、先ほどもちょっと触れたのですけれども、消費者物価指数という観点からいいますと、先ほど申し上げたような数字に相なるわけです。しかし、ただいま御指摘のとおり、物価というものは非常に複雑な、他の要素ともからんでおります。で、二〇%に当たります米価あるいは公共料金等を正しい姿に持っていくという努力だけでは、物価はおさまらないわけです。その点はおっしゃるとおりでございます。ただ、いままでの物価対策というものが十分成功しなかった理由というものもいろいろ考えられます。そういう点についてこれからいろいろな配慮をしていく、そういうことで年末来、物価対策懇談会等を経済企画庁で開いておるわけです。野菜あるいはその他の中小企業製品あるいは畜産物、水産物等、それぞれ根強い値上がりの傾向を示しております。その背後には、日本経済全体の、一口に言いますと、構造的な問題が横たわっておるわけです。そういう意味でそれぞれについての十分な配慮をいたしませんと、国民経済全体が危殆に瀕するというおそれもあるわけです。そういう意味で上げざるを得ないものはやむを得ないとするわけですけれども、物価政策全体をできるだけ早い機会に、いままでと違った形で、いわば具体的な処理の方向で、二〇%のほかの八〇%についても十分国民的な関心を寄せて、行政当局としても努力をしていく必要がある。その結果として、将来の価格がどうなるかということに相なろうかと思います。現段階では、まだ十分な物価対策の整理が行政当局としても終わっておらない現状です。そういう意味で、各方面の議論を聞きまして、十分検討していきたい、かように思っております。
  30. 肥田次郎

    ○肥田委員 これはまだあとに問題が続いておりますから……。  そこで、今度は私鉄の運賃の決定にあたっての本質的な問題でお伺いしたいのですけれども、御承知のように、ここ十年来、特にこの交通機関において運賃が値上げをされて、そしてそれが設備増強資金に充てられるという方式がとられるようになりました。このことについて私はどうにも納得ができないのです。そこで、私鉄の経営分析というものはあとにするといたしまして、いま実際に運賃の値上げを認めるにあたって、こういう方法が正しいと思っておられるのかどうかということを聞きたいのです。たとえば運賃の値上げ分というものは施設増強に充てる、こういうふうに、条件の中でも書かれておるのですね。値上げ分を施設増強に充てるということは、運輸省では、運賃収入をふやして、それによって施設増強をさせよう、こういう方向に指導方向が向いておると思うのですが、いまだかつて、増資をして自己資本でもって施設増強して、そしてそれによってあがってくる利潤で償却をしていくというような、そういう方式をなぜとらされないのか、指導されないのか。これは今日まで長い議論の問題になっていますが、この点について今度少しも考えが変わっていないように思うのですが、ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。公益事業というものは、私は、そういう性質のものじゃないと思います。もし私鉄の運賃というものがほんとうに公益事業だと思われるのなら、もっと徹底した処置を講ぜられなければならぬ。それはかつて社会党が提案をしたように、こういうものに対する公共負担という制度というものを検討されなければならぬのに、こういうことは少しもおやりになっていない。そうして運賃だけを上げる。きわめて簡単な方法をもって認める。それですから、公益事業というふうにお考えになるのなら、もっと変わった指導方法というものをとらるべきだ。運賃を値上げをされた、そうしてそれによって施設増強とは、こんなことはほっておいてもやるのですよ。むしろ解き放されたらいい。解き放して、高い電車には乗らないというふうに、国民が選択の自由ができるように野放しにしたらいい。免許して、そうして鉄道、電車を敷かす、こういうようなことはもう時代おくれだというふうに考えられるような、もっと徹底した手段をおとりになればいいわけなんで、そういう点をもう少し明確にしてもらわないと、この運賃値上げという問題と、それから、本質的に自己資本でやるべきものが、運賃の先取りによって、やっていこうという、こういう方向に変わりつつあるという運輸省の指導方法に対しては、どうにも納得ができない。
  31. 堀武夫

    堀政府委員 大手私鉄は設備投資のために従来増資も行なっておりますし、それから借金もいたしております。増資といいましても、これは無限にできるものじゃございませんで、やはりある程度の限度があると思うのでございます。融資といいましても、これにもおのずから限度があるわけでございます。この値上げ分は、投資をするために運賃を上げるのではないかというお話でございますが、会社経理と申しますか、これは、二つの見方ができるのじゃないかと思います。いわゆる損益計算、収支計算と申しますか、収支計画と申しますか、そういう面からの見方と、一つ資金計画という金の計画、そういう面からの見方と、二つあるのじゃないかと思うのであります。それで、設備投資のために幾ら金が要るからという見方は、資金計画という観点からの見方でございまして、こういう見方をするのも一つの見方。われわれが申し上げておるのは、収支面から見ても運賃値上げが必要である、そうしてその増収分の金というものは、資金計画面から見れば、輸送力増強計画の設備計画に結果的に振り向けられるのだ。たとえば償却費というものが積み立てられた金が、資金計画としてそういう設備投資に回っていく、あるいはいろいろの積み立て金という名義で内部留保されたものが、資金計画としてはこういう設備投資に回っていく、こういうことでございます。それで、健全な経営を維持するために、収支計画あるいは損益計算というものをやるわけでありますが、そういう面から、ある一つの増資計画がぜひともやらなければならぬものであるとすれば、それらに対する減価償却その他を見ていくのが、経営を健全に保っていくために必要なことでございまして、そういう計算をいたしますと、収支計画、損益計算として、ある程度のギャップ、収支が合わないという金が出てくるわけです。それを運賃値上げで埋める、こういうことでございます。その結果として、償却費その他で積み立てられた金が資金計画として設備投資に回るということでございます。
  32. 肥田次郎

    ○肥田委員 まあここでそのことの議論はやめますが、しかし現実にこういうことになることは間違いありませんね。この値上げをした運賃というものは、現在のこの赤字補てんにもなる、それから将来の施設増強への資金にもなる、このことは間違いないのです。ですから、このお題目に書かれておるのです。あがってきた利潤は乗客に還元するようにしなさい、利用者に還元するようにしなさい、こう書かれておる。ですから、一面では公共性の名前がくっつけられておるけれども、反面では、もうきわめて簡単な経営方式というものが適用できるような政府の保護を受けておる、こういうことになる。運賃を先に値上げをして、そしてその値上げの中には赤字の分も入っておるけれども、将来のいわゆる資金の裏づけになるものも入っておる、こんなけっこうなことは私はないと思うのです。そういうやり方だからいけないのであって、もう少し、公共事業とするなら、国が出すべきものは出して、そうして本質的なやり方というものに、もとの姿に戻ったらどうか、こういうことを私は考えております。  そこで次に進みますが、これはどういうふうにお考えになっておるかということで、ひとつ聞きたいのです。  大手十四社というものは、例外なく大体一割前後の株主配当をやっております。そこで、これはまだあとに問題がずっと続きますが、株に対して一割の配当が行なわれておる、かりに標準を一割といたしましょう。この株主はどういう気持ちであるにしろ、とにかく優待パスという無賃パスをもらっておるわけです。これは数に制限をしておりますから、そのうちの何割かということは、いま私は具体的にちょっと言えませんが、株主の優待パスをもらっておる人のこの利率というものを計算をすると、大体株を持つ人は、この優待パスをくれるから何千株持とう、こういうことで株を持ちます。親株ですと、いまたとえば一会社の株が百円をこしておりますが、額面は五十円ですから、こんなものを三千や五千持ったって、金額は知れているのです。そしてそれによって優待パスをもらう。その優待パスで、これを有効に使うのです。この金利は、おそらくこれは一割五分にも二割にも匹敵するんじゃないかと思う。そうすると実質上、株に対しては一割の配当をやっておる、それから大株主と称される、その優待パスがもらえる範囲の株の所有者は、今度は一割五分あるいはそれ以上の実利的なものを得ておる、こういう姿が出てきておるのです。この方法というものは、いろいろと意見はあるでしょう、あるでしょうけれども、実際に株を所有している者は、決して安い利率でこの株を所有しているということにはならない。そういうものが何ら処置を講ぜられることもなしに捨て置かれて、そうして会社が言うところの賃率だけの値上げというものに応じるということは、少し芸が足りないじゃないか、そういう点をどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  33. 堀武夫

    堀政府委員 株主の優待パス、これは、大体これをいただいておられる株主というものは非常に大株主でありまして、何枚行っておるか、これは調べればわかると思いますが、数は非常にわずかなものだと思っております。私のほうでも調べてみますが、これをやめたことによって運賃値上げがどれだけ下げられるかというのは、まだ計算をしてみたことはございませんが、私の想像では、これはおそらく非常にささいなものであり、ほとんどインビジブルではなかろうかというふうに考えております。
  34. 肥田次郎

    ○肥田委員 たとえば百億の会社としますね。そうすると原株は五十円株なのです。三千や五千くらい持っている人が優待パスがもらえるとするなら、その数字は一体どういう数字になります。決して少ない数字じゃないのです。今日五十円株というようなものを持っている人というものは、千株以下というようなものはもう売ろうかどうしようかという、どっちでもいいというような考え方の人なので、みんな三千、五千の株を所有していますよ。私は、そういうもののいわゆる金利計算というようなものを無視されるということについてはどうかと思うのです。というのは、私鉄の経営者は、これを出さなければ株価が下がると、こう言うのです。株価が下がることと経営とどういう関係がありますか。株を売り買いするわけじゃないのですから、投資された資金によって会社というものは経営されるのですから、それを懸念をして、かりに一割の配当を無理にして、その反面ではいわゆる株主の無賃パスというものを出して二重利潤を与えておる。そうして片一方では運賃値上げをしてくれと、こう言っておる。この論理がおかしいじゃないかということを私は言っているのです。
  35. 堀武夫

    堀政府委員 株価を維持するということは経営者は会社にとって非常に重大なことと考えていることでございます。現に十四私鉄も大体一割配当いたしておりますのも、株価を維持して、増資等の場合にそれができるようにということで、非常に苦心惨たんして配当を行なっておると思うのであります。もし先生がおっしゃるように株主パスをやめまして株価が下がるということになりますと、やはり会社としては非常に重要視いたしておることではないか。従来から株主パスというものをある程度の大株主に与えておるというのは、私鉄の経営をやっておる当初からずっと、おそらくやっておるのではないかと思います。いま急にこれをやめなければならぬと、われわれが監督官庁として会社に強力に指導するというほどの積極的な理由がないのではないか、私はこういうふうに考えております。
  36. 久保三郎

    久保委員 関連。簡単に二、三関連してお伺いしますが、一つは、運輸大臣、あなたのほうというか、政府では、臨時物価対策閣僚会議というものをお持ちになっております。これは値上げする会議ですか。先ほど来、経済企画庁からのお話がありましたが、物価に対する総合対策なり具体的な対策というか、個々の対策は何らまだ結論を得ていないようですね。ところが運賃値上げだけはここへ通して了承を得て、すぐ値上げがきまるということなのであります。私は運賃値上げがいいか悪いかは別にして、少なくとも各会社から申請があったらば、これを真実であるかどうか審査してもらうことが一つ。それと同時に、たとえばこの値上げの申請が妥当であるということになりましても、今日物価対策の閣僚会議を設けたゆえんのものは、少なくともそこに持ち込んで、大手十四社なり何なりの運賃値上げはこれだけ必要である、しかしながら片方においてこういう対策をとって、総合的にはいわゆる国民の生活には影響が薄くなる、あるいはこれは関係なくなるというところの対策があって、初めてこれは物価対策と私は考えるのです。ところが、いままで閣僚会議か何か知らぬが、いつできたかわからぬけれども、去年の暮れあたりからできたんじゃないかと思う、できたばかりなのだが、運賃値上げをどんどん通しておる。ここの会議国鉄運賃も通したのでしょう。こんなばかばかしい会議を通すこと自体に国民は何だかわけのわからぬ気持ちでいるわけです。たとえば運賃にしてもそうです。この大手十四社というか、この私鉄の運賃値上げにからんで、定期券の場合は、最初あなたたちが認可した数字じゃなかった。率ではなかったでしょう、各会社が申請してきたのは。たまたま国鉄運賃改定がきまったので、これではバランスがとれないからというんで、急速関係各社に号令を発して、申請のし直しをさせて認可したということですが、そのとおりですか。だとするならば、この運賃値上げについては是非この問題を問う前に、こういう態度こそやっぱり究明されなければならぬと私は思う。いかように考えておりますか。  それから、運賃については鉄監局長が答弁する立場にないというが、これは表裏一体というか、最近の運審のあり方、運審の機能は、全部原局に預けた形である。自動車については自動車局。鉄道については鉄監局。海運については海運局にみんなおぶさっている。これがいわゆる民主的な隠れみのだ。これはまぎれもない事実だ。これは私鉄、国鉄を問わず全部今度もそうやっておる。そういうものを持っておきながら、ここの答弁では、法制上自分がその立場にないから、答弁する立場ではないというようなことは、これは実際いうと詭弁というものですよ。率直に私は言うが、それじゃ公聴会を開いた効果というものはあったのかないのか。意見の一部くらいは、反映されたものがあったのか。ちっともこれは反映されていないと思う。これは第二点で聞くことですが、なぜ反映されないか、これが二つ。  三つ目で、これは改良計画というが、私鉄のほうの輸送力増強三カ年計画、三十九年から四十一年、これはどうふえたか。いま運賃値上げの申請と同時に出てきたものの計画は何だ。これだけだ。新しいものはない。三十九年からやっておるものだけだ。しかもいままで、この前の運賃値上げから今日まで輸送力増強計画はそれぞれやるという約束だ。約束どおりやっているかどうか。それは検討したかどうか。約束どおりできなかったら、何が原因でできなかったか、これも聞きたい。きょう答弁ができないようなら、次会に資料をもって説明をしてもらいたい。私は運輸関係でありますから、やや専門的の目で運賃その他も見ておるわけなんだが、今回の運賃値上げの全体を見ると、物価問題の中の運賃ではなくて、運賃の中の物価問題、こういうことでしかとらえられない。こういうことで一体いいのだろうか。これは運輸大臣が全部答弁できるとは思わない。佐藤総理だけだと思うが、近く呼んで答弁をしてもらわなければならぬ。いままでの答弁を聞いておると、どうも何か本質的にちっともわからぬ。私が疑問に思う点をひとつ総括的に大臣から答弁いただきたいと思うわけです。  一つはさっき言った公聴会のあり方について、いわゆる民主的なことだけで置いていると思うが、そうじゃないというのならば、公聴会に反対の意見もあったことだろうから、これがどう反映されたか。それから定期券については、いわゆる運審の審議途中において関係各社に指令を発して申請の出し直しをして、いわゆる国鉄と歩調を合わせた。これは事実か。事実だとするならば、どういう理屈があるのか。それから物価対策の中でいままでどういう値上げを今日までやってきたか。そういうことの方針をきめてきたか。値上げをするが、そのかわり、こっちでは物価を押える、そういう方策があるのかないのか、これは経済企画庁からそういうところをひとつ答弁してください。
  37. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 物価問題閣僚懇談会は、低物価政策で佐藤内閣がいっております、そのたてまえからできた閣僚懇談会でありまして、きるだけ物価の値上がりを押えていこうという方針のもとにつくられた懇談会でございます。運賃問題につきましてもここにかけまして、運輸省でつくり上げました一つの、認めようという案が、はたして公正妥当であるかどうかということを検討して、できるだけ低いほうに押えていこうという方針のもとにやっておる懇談会でございます。  それから運審の意向が反映したかどうかということでありますが、値上げの申請は二二・三%の平均でございましたのを二〇・二%に押えたというのは、運審の意向が非常に大きく反映しておるものでございます。
  38. 久保三郎

    久保委員 いまの御答弁で、値上げ幅を運審というか閣僚会議というか知りませんが、そこで申請よりも下げたというが、あなたは運輸大臣で、いわゆる国鉄の問題はあとで聞きますけれども、下げても私鉄のたとえば申請の理由になったものは充足されると思っていますか。その確信において下げたのか。ほんとうに運輸大臣はそう思っているのですか。ところが、物価に影響するからというので率を下げたとするならば、これは満足な計画ができないということになる。これはどっちなんですか。
  39. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いろいろ出されました案を運輸省と経済企画庁のほうで検討いたしました結果、二〇・二%の平均値上げでやることが現時点においては適当であるという観点に立って認可をしたのであります。
  40. 久保三郎

    久保委員 現時点で適当だという、適当の中身をぼくは聞いておるのであります。運賃値上げの申請の条件として、かくかくのことをやるので、あるいはかくかくの経営なので、これだけの値上げをしてもらわなければやっていけないというので申請があったのでしょう。それを値切ったということをあなたはおっしゃいましたね。値切ったならば値切っただけの理由がなければならない。それは国民生活に与える影響、物価への影響が云云とおっしゃったが、それは国務大臣として考えるべきことなので、運輸大臣として考えた場合は、その額が妥当だとするならば、正しければ申請どおりに上げてやればいい、輸送力増強のために。その辺があいまいのままに、ただ何となく適当に押えたということ。しかも、聞くところによれば、四年間運賃値上げはさせないというのですが、そのとおりきめましたか。いかがですか。
  41. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 運輸審議会等でいろいろの観点から検討いたしました答申を尊重して、二〇・二%ということにきめたのであります。  それから四年間は上げないというのは、特殊の事情が起こらない限り四年間ぐらいは値上げをしないように、政府の指導方針によってやっていくということでございます。
  42. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、今回の値上げの中には、今後四カ年間の人件費の値上がり、あるいは物件費の値上がりも全部織り込み済みだ、こう了解してよろしいのですね。
  43. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 そういう特殊の事情が起こらない限り、現在の情勢から見まして四年間ぐらいは上げない方針で指導していくということであります。
  44. 久保三郎

    久保委員 これは特殊な条件でなくて、いまでは通常の条件ですね。ベースアップは毎年やらなければいかぬ。物の値段は、閣僚懇談会をつくったが、どんどん上がっていく。これは常識じゃないですか。そんなものは織り込んだんじゃないですか。織り込んだとすれば、結局これは先取りなんです。これは強盗よりひどい。どうですか。
  45. 堀武夫

    堀政府委員 人件費のアップ、それから物件費が将来上がっていくかという見通しにつきましては、これは輸送量の増というものがあるので、年年輸送量がだんだんふえていく、それに従って収入がふえていくわけでございますので、そういう範囲でそれをカバーしていくというたてまえになっております。しかしこれが予想しないような著増をいたしますと、それはカバーできないということになるのであります。
  46. 久保三郎

    久保委員 少なくともあなたのいまの答弁では、言うならば四年間は先回りして値上げしてとるということに、はっきり申し上げますとなると思うのですよ。そういうことのために国民大衆は納得し得ないものもあるし、いま答弁漏れがありますが、一つは定期券の申請し直しはどんないきさつですか。これでは増収し過ぎて困っちゃうのじゃないですか。申請は控え目にした、それをまず上げてやったから、それで片方落としたのですか。
  47. 堀武夫

    堀政府委員 この私鉄運賃の申請は昨年の一月にあったわけでございます。国鉄運賃値上げの申請はずっと昨年の終わりのほうであったわけでありまして、それによりますと、定期の割引率を相当に落とすという構想になっておる。それでこのまま国鉄運賃実施されますと、同じ区間を走っているような私鉄との間に定期券の運賃に関してちぐはぐなと申しますか、アンバランスができてきます。それに従って客が移動する。そういうことによりまして、いまより以上にある線が輸送難におちいるというような混乱をわれわれとしてはできるだけ防がなければならない。そういう観点から、ある程度の調整をする必要があるということを考えたわけであります。もちろんわれわれもそう考えたし、十四私鉄のほうでもそれを非常に憂慮いたしておったわけでございまして、これをどういうふうに調整をするかということをいろいろ考えたのであります。国鉄と私鉄とがアンバランスになりますところは、相当遠距離の通勤定期の部分が、私鉄の申請どおりにやりますと、国鉄の定期券の運賃額よりもだいぶ下回るということになるわけであります。ところが逆に私鉄のほうは、大体都市近郊を走っておりますので、国鉄ほど遠距離の客というものは多くございません。そこでその遠距離定期の客の部分をある程度修正することは、運賃改定全体から見るとそれほどウエートの大きい問題ではないというふうに判断いたしまして、全体といたしましては、近距離は私鉄の客が国鉄よりも非常に多いわけでございまして、この分は私鉄のほうが国鉄運賃より上回っておる、そういう傾向にある。そして遠距離は逆に私鉄のほうが国鉄よりも下回る。こういう傾向にありますので、私鉄の近距離をわれわれが最初に考えていたよりも押えて、そして遠距離の定期券の部分を若干修正するということで、私鉄各社も非常にその点を憂慮いたしておりまして、追加申請を出したいと言っておりましたので、それを認めて、それによって調整をいたした、こういうようないきさつになっております。
  48. 久保三郎

    久保委員 答弁、あまりいただけませんが、関連質問だから大体この程度にいたします。ただわれわれとしては、国民大衆が完全に納得、理解できないのです。理解、納得をしてもらって初めて完全なものだと思う。いままでやってきたことについてはとかく疑問も多い。決してわれわれ誤解してはいないと思う。いまの定期運賃のことにしても、それなら都市交通全体の総合的な配分を考えながら運賃の調整をしたのかどうか。こういうことはいままでかつてやったことがないのです。やってないから、地下鉄と国電あるいは私鉄と国電、こういう中で多少のアンバランスが目立ってきているわけです。これは当然いままでやるべき筋合いのものです。いまの答弁は、国鉄が上がってきたから、これではかっこうが悪いからひとつ上げよう、これを聞いた国民は、ばかにするんじゃない、かっこうが悪いために運賃値上げをされちゃかなわぬ。確かにこれは事実だと思うのです。いままでの御答弁ではあまりにすっきりしていないので、次回にまたあらためてきちんとお聞きしたほうがいいと思うのです。  それから大臣にお願いしておきますが、大臣が伊勢神宮かどこかお参りされましたね、そのときの談話か何かで運賃値上げの話もしているのだが、終戦直後あそこをお参りしたときの若い中村寅太先生ですか、そのことを思いながら談話を発表したのだが、世間を見ていて、いままで私が質問したようなことがすかっとしない限りは、どうも中村大臣もあまり終戦直後の純朴な人間にとられないのじゃないかと思って、実は私心配しております。だから、ぜひこの次までには、すかっとして、だれにもわかって、なるほどまあやむを得ないかなということでくるなら一番いいと思うのです。きょうは関連でありますからこのくらいにしますが、われわれ自身もどうも納得がいかない、残念ですが、そう思っております。
  49. 肥田次郎

    ○肥田委員 だいぶ時間が過ぎましたからつづめて質問いたしますが、先ほど久保委員からも関連質問があったように、これは重大な問題ですから、ひとつ……。これは新聞の記事ですが、この運賃の値上げについて、三つの条件、いわゆる「大手十四社の値上げは、経営合理化計画に著しい事情変化が起きないかぎり、今回の値上げ後、四年間は値上げしない。」このことは、どう考えてみても、今後四年分の運賃値上げだということになるのです。四年分の運賃値上げということでないのなら、こんな前提は要らないのです。そういうことになるでしょう。先ほど久保委員も言われたように、毎年毎年三千円か五千円かの賃金アップは要求されて、大体やられておる。それから物価の値上げも、経済企画庁あたりも認めておるように上昇していく。そういうものを一切がっさい含めた上で、しかも経済企画庁のほうでは階段的に公共料金の値上げというものを計画しておられる。ですから、そういうものを含まないでこの結論は出てこないはずなんです。ですから、どういう説明をされようとも、今後四年間分の運賃値上げだ、これによって計画どおりのことがやれるのだ、こういうふうにとらなければ、この申し合わせ自体がおかしい。これはお答えは要りません。もうこのとおりに私は理解をしておりますから……。  そこでその次には、「輸送力増強計画を完全に達成するとともに、サービス向上につとめ、利益を利用者に還元するよう強く行政指導する。」これは当然なことなんですね。ここでも利益を利用者に還元すると出ておる。ですから、このたびの運賃の値上げというものは非常にいろいろな意味を含んでいますね。  ここで私、問題を一つ提起したいのは、先ほど言ったように、国鉄については三一%、私鉄大手十四社については二〇・二%、これが国鉄については五年間値上げをしなかったから三一%になった、私鉄については三年何カ月か値上げをしなかったから二〇%になった、こういうことなんです。そうすると、いまここで四年間特別なことがなかったらもう値上げはしないぞと、こう言っておられるけれども、この四年間値上げをしないということのあとが私は気になる。また今度のように四年間かりに据え置いたとして、この次には国鉄は五〇%ぐらい値上げしようじゃないか、私鉄は三〇%ぐらい値上げしようじゃないか、こういうことになると、私はたいへんなことになると思うのです。もしそういうことをお考えになるのなら、むしろ私鉄、国鉄運賃にかかわらず値上げをしなければやっていけないというふうにお考えになるのなら、もっと小刻みに階段的にやられるほうが国民に対して親切だと思う。私は値上げを認めるということで言っているのじゃないですよ。こういうふざけたやり方がありますかということで言っておる。五年間も四年間も据え置いて、そして三〇%も上げる。私鉄は二〇%以上も上げる。そうすると物価がこれに便乗して上がってくる。こういうものを政府としては防ぎようがない。そういう無責任なことをやっておって、そうしてまたその口の下で四年間は上げないんだ、こう言っておる。四年たってかりに上げるとするならば、また高率の運賃値上げが必ずやられるに違いない。きわめて不親切だと思う。こういう公共料金に類するものの値上げについては、もっと国民の実際上の動きというものを計算に入れなければ——政府のやっていることじゃないです、これは。民間でもまかしておいたらもっとうまくやりますよ。この点の考え方はどうなんでしょうか、ひとつ聞いておきたいと思います。
  50. 中西一郎

    ○中西政府委員 ただいまのお話、従来の経緯から見ると、そういう御心配が出るのも一つの筋合いかと思います。今後の考え方としましては、初めに簡単に言ってしまいますと、構造改善と先ほど申し上げましたが、構造改善をして価格の上昇を押えるという一つの道と、それからもう一つは、価格を頭打ちすることによって構造改善を促進するという、二つの道があろうかと思います。具体的な私鉄あるいは地下鉄の場合にそのいずれをとるかというようなことについては、まだ十分の結論を得ておりませんけれども、しかし物価を安定させるということが現段階では一つ至上命令になろうとしております。そういうことで、価格を押えることによって合理化を促進するということも考えられますしするので、各種の業界にそれぞれの特殊性がございますから、一がいにどれがどうだということは申し上げかねますけれども、そういうような配慮もしながらやりたい。したがって、四年たったからといって、そのときに非常に大幅な値上げが当然予想されるというふうには、われわれとしては少なくとも考えたくはないわけでございます。
  51. 肥田次郎

    ○肥田委員 物価を安定させるために物価を上げる、こうおっしゃるのですから、これはどうも私は理屈がわからないのです。しかし、これ以上詰めてもどうかと思う。またいつか必ずこれは本質論議をしなければならぬから、これくらいにしておきます。  その次に、これは三つ目の条件になっておる「顔パスを廃止する」ということ、これが麗々しく取り上げられておるので、いささかそれらの経過について知っておる私は、この問題をこのまま見過ごしておくというのはどうも良心にとがめるので、きょう警察庁からも来てもらって、そうしてこの問題の過去の沿革というようなものと、それから実態というものについて少し理解を深めていきたいと思うのです。  そこで、これは経済企画庁長官それから物価対策閣僚協議会が文句なしにこの申し合わせを了承されたということについては、これは私は前提条件がなければいかぬと思うのです。その前提について私は伺いたいのです。この顔パスというのは、これはどうもあまりぱっとした話じゃありませんが、われわれも、こういう顔パスというものがかりにあるとするならば、これはすみやかにやめなければいかぬと思うのです。ところが顔パスの起源といいますか、これはだれがつくったか。やっぱり私は役人だと思っておる。日本鉄道が敷かれて、こうしてこれがいろいろ権力支配の具に供されて、そして顔パスというものができた。おそらくこれはそういう経過だろうと思うのです。そうしてそのあとにきたものが、今度は民営鉄道ができて、そうして民間の鉄道がお役所とのいろいろな関係、あるいは地方役所との関係、こういうようなものの中で、ちゃんと前例があるのですから、前例があるためにこれが一つの慣例のようなものになってしまった。もちろん経営者の助平根性もあるでしょう。いわゆる顔パスで乗せて、あるいは無賃パスで乗せて、自己の企業を有利にしてもらおう、免許のために何かと地方役所や関係役所に便宜をはかってもらおう、こういう気持ちもあってこれが始まっていった。  それからもう一つは、同種労働者という面が、事業というものがありますね。これらの関係で、ついでだから乗って行きなさい、あなた調べに来たのなら、すぐそばだから乗って行きなさい。こういう気やすさから乗っておる経過も考えられる。こういういろいろなものがある。後者の場合はきわめて善意なものなんですね。不自然ではない。当然そういうことが起こり得る。どこそこのところはどんな状態だか少し見せてくれ、それでは乗って行って見てくれ、こういうことになる。そういうことがだんだんと発展した経過というものは、私の想像ですが、そんなものだろうと思うのです。  しかし現実に、私が一つお伺いしたいのは、大体顔パスで乗る層というものはどういう層が乗っておるかというと、正式に定期をとっておるものは別ですよ、いわゆる優待パス、先ほどの株主の優待パスもそういう性格のものです。それから地方自治体の役所の連中がどうも便利が悪くてしかたがないからパスをよこせといってパスを持っておる。こういうものも相当ある。全国の地方自治体がたとえ五つずつとっておってもたいへんな数になる。それから議員にも出しておりますね。たいへんな数になっておる。こういうものはみな顔パス類似の無賃パス。それからその次に、警察庁に来ていただいたのは、これは誤解をしてもらったら困るのですが、警察官というものは少なくとも地域的には尊敬されておる面が私はたくさんあると思う。しかも低所得で、こういう下級の警察官吏、こういうようなものが心やすくなって、いろいろな関係もあって、事業上の関係もあって、暗黙のうちに乗ってもらうというような事態も、これは発展してきておる。それから消防官も、これも乗っておる。これは乗っておる、乗っておらないということは、私は公に言う必要はないと思います。けれども大体そういう層が顔パスで乗る層だ、こういうことになります。そうすると、今日警察官は、事務職員をまぜて大体十七万、消防官が四万五千くらい、こういう人が、先ほどのいわゆる出さした定期で、優待乗車券で乗る以外に顔パスと称される人々の中に含まれるのじゃないか。家族も乗っております。これは乗ったっていいです。別にすいておるのに乗っちゃいかぬ、こういう理屈は成り立たぬ。昔流に言えば、日本の純風美俗というものの中にあるいは入るかもしれませんけれども、そういうような形で結びついておる。ですから、このことを理解されないで、ただ単にことばの上で、顔パスを廃止するというような、こういうことを申し合わせをされて、一体どうなるか。  私は、このことをほんとうに実現をしてもらいたいと思う。それで実現するについては前提条件がある。これらの下級警察官吏や消防官、こういう人々にけちなことを言わないで交通費を全額出す。いまの九百円を千六百円に上げる、こういう交通費ではなく、全額交通費を支給する、あるいはもっと大幅な賃上げをしてあげる、こういうことをすればやめますよ。これをすればやめます。まず周囲からそれをやっていかない限り、いわゆる同業仲間といわれるところの必要上の通勤だとか、その他の顔パスというものはやめない。警察の人はほとんど通勤ということで乗っておる。そういう形が今日ある。だから、この顔パスについても、新聞にも書かれて相当問題になっておるから、こういうものをやめさせようとお思いになるなら、警察庁もひとつ力を入れて、下級警察官吏の給料を上げること。それから、これは経済企画庁長官が一番音頭とりのように思いますから、絶対にこういう顔パスと目されるようなものに対して、いわゆる顔パスで行かなくとも仕事ができるような、そういう措置を講じられる。これが前提でなければ、この顔パスというものはやまない。この点について、それくらいの下心があってこのことを考えられたのかどうか、申し合わせされたのかどうか、これは経済企画庁長官と運輸大臣からお伺いしたいと思います。
  52. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいまの顔パスというものは、当然出ておるパスというものではなく、いろいろの、善意を含まない、顔によってただで乗っておるというような、そういう性質のものはできるだけやめようという考え方であります。
  53. 中西一郎

    ○中西政府委員 いろんな経緯あるいは社会的背景、経済的事情、いろいろあると思いますが、その中で特にやめてしかるべきものもあろうかと思います。その辺については運輸省当局のほうで十分御検討願って善処していただけるものだ、かように思っております。といって、従来長い経緯のものでもございますし、一挙にどうということも期待はできないかと思いますけれども、一般利用者の立場からいうと、やはり問題点を残しておると思いますので、そういう意味で解決の方向に進むことを期待しているわけです。
  54. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、ただこれは事情を報告しただけじゃないのです。これは藤山長官がお見えになったら長官の腹がまえのほどを私は聞きたいと思ってこれを取り上げたのです。顔パスをなくしろという、このことについて、これは口だけじゃ私は済まないことだと思うのです。冒頭に私が言ったように、日本の古い習慣です。この古い習慣を改めようとすれば、これは運輸大臣のどうこうという考え方というような問題じゃないのです。それぞれの関係者、その責任者がこれらに対して、これが根絶できるような措置を講じられることが必要なんだ。私はその意味で警察庁にも——警察庁の人がどのくらい乗っておるかということは申しませんけれども、現実に乗られておることは間違いないのです。たしかこういう項目があったと思います。犯人逮捕やその他緊急な用事で警察官が乗る場合には、これは無賃乗車じゃない。これは乗って、そしてあとで精算をする。こういうことになっておると思うのです。しかし、その手続というものはおそらくとられていません。ですからそういうようなことはともかくとして、現実に運輸大臣のほうから言われたように、所定のものを持っている者以外を顔パスだと言われるのなら、消防官がおので乗ればおのパスということになる。それから警察官の手帳パス。それから警察の職員、小使なんかはかばんで乗っているからかばんパスということになる。こういう形があるのですから、そういう古い国民生活の中に、一部の国民生活の中にもう定着しておるような習慣というものを改めるについては、これは容易なことではない。かつて電力会社が分離をしたときに、これはほとんどが、電鉄会社が電力の経営をやっておりました。なかなか当時は戦争の末期ですから国民生活も苦労しておるというようなことで、分離をして九電力とされたときに、やはりそのままの習慣が残りました。それはみなパスを持っておるのですから。何年かで、二年なり三年なりで所定のパスの期限が切れる。そのあともどうも都合が悪いじゃないか——これは二十年前の話ですけれども、そこで電力料金は半額にしよう。これは現実にやったことなんです。電気代を半額にする、そのかわり乗せてもらう、こういうやり方をしておった。当時この形を改めるために関西電力の太田垣さんは、これは三年くらいかかってもいいからやめよう、そのかわり従業員には賃金をそれだけ保障する、こういう形でこれが解決をされたのです。ですから、やくざが顔で乗るのは別ですが、顔パスの根底にはそういういろんな問題があるのだから、たとえば私鉄労働者の賃金をもっと上げる、国鉄労働者の賃金をもっと上げる。それから顔パスで乗っておるようなそういうやむを得ないような人々には、しかもそれが公務員の立場におるような人については、公務員のベースアップをする。こういう形をとってもらわなければ、顔パスというものは解決できない。このことを私はひとつ皆さん方に申し上げておきたいと思います。  警察庁のほうから、せっかく見えたのですから、何かひとつ御意見があれば承りたいと思います。
  55. 大津英男

    ○大津政府委員 ただいま、いろいろ警察官の乗車の問題につきましてお話がございまして、御同情するお話もいただきまして、たいへん私どもありがたく存じております。  いままでの警察官の国鉄あるいは私鉄の無賃乗車につきましての経緯を簡単に御説明申し上げますと、国鉄との協定につきましては、昭和二十四年の七月に、国鉄内部の通達をもちまして、制服の警察官が管轄区域内の国鉄に乗車船する場合には無賃とする、私服の場合には身分証明書を呈示するというようなことがございます。それから三十年の八月には、国鉄の副総裁から警察庁長官あてに、いま申しましたこの取り扱いは現下の諸情勢から適当なものと認められがたくなったということで、これを廃止する、そうして警察官が犯人の追尾、逮捕等緊急公務のため管轄都道府県内を三等で乗車船する場合は、警察本部長の発行する旅行証明書を呈示し、下車の場合もこれを呈示する、こういうことがございます。  それからもう一つは、警察官が住所もよりの駅から勤務先もより駅の間を通勤時間帯において手帳を呈示して三等に乗車船する場合、こういうことがございましたが、三十四年の五月には、三十三年から公務員に通勤手当が支給されることになりましたので、いま申しました通勤の際に、手帳で住所の近くの駅から勤務先の駅までの間を通勤する、こういうようなことは廃止する、こういうことになったわけでございます。それから三十八年の四月に、国鉄総裁から警察庁あての文書によりまして、三十八年の四月以降当分の間、制服の警乗警察官が乗車船する場合は、警乗警察官あるいは警乗という表示のある腕章を巻くことによって公務旅行の証明書にかえることができる。これは小暴力犯罪が車内にあるということで、こういうようなことが認められるようになった。こういうようなことで、国鉄につきましては、犯人追尾等の緊急公務あるいは警乗に限りまして、原則として旅行証明書を呈示する、あるいは腕章をつけることによって無賃で乗車をすることが認められた。しかし、通勤は、通勤手当が支給されるので、これは認めない、こういうことになっておるのでございます。  ただ、私鉄につきましては、このような申し合わせとか協定というものが警察庁との間にはございませんで、従来の経緯等私はつまびらかにいたしませんが、いろんな慣行とか、いろいろなことによりまして、それぞれの県におきまして会社側との話し合いで行なわれておるという実情でございまして、これも御指摘がございましたけれども、一部の県におきまして、やはりそういう点も困るというようなことで、通勤手当を支給することでそういう点を解決しよう。しかし、やはり犯人の追尾とか何とかにつきましては、いま申しました国鉄の場合と同じようにしていただく。そうして通勤につきましては通勤手当を支給することによって解釈しなければならないわけですが、まだ十分にそれが行き渡っておらないというようなことがございまして、こういうような点につきましても、将来予算措置その他が講ぜられなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけであります。
  56. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは将来に問題を提起したということでとどめておきます。  それから私鉄運賃の問題については、われわれは、この間国会が自然休会になっておりますから、そうして実施はいよいよあと数日ということに迫っておる、いまここでわれわれがこれ以上この問題を取り上げることは、われわれ自身の責任も感じますから、それはいたしません。けれども、将来の運賃値上げという問題については、先ほど申し上げたように、地方においても公聴会を開いて、そうして東京において一まとめにして公聴会で事を済ますというようなことのないように、十分配慮してもらいたい。それから運賃内容についても、一括して何%とか、こういうようなだれが聞いてもろくろくわからない、実際に買ってみれば倍も上がっちゃったというようなこともあるわけですから、地方において公聴会を開いて、地方において内容を明らかにすることによって一般大衆がこれを理解することができるのですから、そういう措置も講じてもらわなければならぬ、こういうふうに考えます。  本質的な問題についてはいずれまたあらためて質問することにいたしまして、本日は質問を終わります。      ————◇—————
  57. 長谷川峻

    長谷川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、ただいま審議中の国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について参考人より意見を聴取することとし、参考人の人選、日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会