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1965-10-18 第50回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月十八日(月曜日)    午前十時四十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第五号   昭和四十年十月十八日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員、湿   田単作地域農業改良促進対策審議会委員、飼   料需給安定審議会委員、海岸砂地地帯農業振   興対策審議会委員及び畑地農業改良促進対策   審議会委員選挙  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第   三日)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、  積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員飼料需給安定審議会委員海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員畑地農業改良促進対策審議会委員各三名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  5. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  6. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、ただいまの栗原君の動議に賛成いたします。
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 栗原君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣演説に関する件(第三日)、一昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。光村甚助君。    〔光村甚助登壇拍手
  10. 光村甚助

    光村甚助君 私は、日本社会党を代表いたしまして、さきに行なわれました佐藤総理所信表明とその政治姿勢に対し、若干の質問を行なおうとするものであります。  質問の第一点は、災害に対する政府基本的対策についてであります。ことしは台風の当たり年といわれておりますように、台風十五号、二十三号、さらに二十四号、二十五号と、大きな被害を与えた台風が幾たびか来襲し、政府災害復旧事業の対象となる被害額だけでも二千億円をこえ、その他の一般民間並びに国鉄、電電等政府関係機関被害額を合わせれば、その総額は数千億に達するといわれております。台風被害は俗に一吹き千億円といわれておりますが、台風の進路に横たわるわが国にとって、年々の自然災害によって失われる財産が数千億円にものぼることは、まことにゆゆしき大事であると言わなければなりません。台風は、何も戦後になってあらわれたものではありません。何千年も昔からわが国を襲っていたものであります。そうして、時々の為政者は、被害復旧にも罹災者の救済にも力を尽くしております。問題としなければならないのは、この長い歴史の間において、災害に対する予防復旧対策が、旧態依然として進歩のあとが見られないことであります。(拍手)現代の科学技術の粋を取り入れ、積極的な国民福祉立場に立つ防災行政が行なわれているとは申せないのでありまして、台風災害が天災ではなくして人災であり、政治の貧困からくる政災であると言われているゆえんであります。去る昭和三十六年に災害対策基本法が制定されておりますが、いまだに大きな被害が生じつつあります。その根本の原因は、治山治水などの国土保全その他の災害予防施策よりも、大企業中心経済開発に力を用いてきた自民党政府政策そのものにあるというべきでありましょう。私は総理に、暴風をとめなさいとは申しません。先般の災害におきましても、山津波に襲われた山村が防災センターに連絡する無線装置さえなく、あたら助かるべき人命が科学設備の不備のうちで失われていきました。また、都市周辺では、宅地造成法があるにもかかわらず、豪雨のための山くずれで、粒々辛苦の末、手に入れた住宅が押しつぶされ、多くの人々が住宅政策欠除の中で悲惨な最後を遂げたのであります。さらにまた、今月五日から七日にかけ、マリアナ諸島アグリガン西方海域において台風二十九号に巻き込まれ、遭難した第八海龍丸など七隻のカツオ漁船の乗り組み員二百七名の生命は絶望視されております。これは戦後二番目の大きな海域避難事故でありまして、痛恨の限りであります。遭難者近親各位に対して衷心より御同情申し上げるものでありますが、こうした事故の陰の問題として、日本漁民たち生命を的にして働いている遠い南の漁場では定点観測さえ行なわれておらず、もっぱら米軍による航空観測だけがたよりという心細いもので、それも今回の場合は的確でなかったといわれている状況があるのであります。国が遠洋の気象観測に力を入れなくては、事故はあとを断たないだろうといわれているのであります。  一体、総理は、常に人間尊重社会開発を唱えておられますが、この事態をどう見られますか。災害に対する抜本的対策を立て、これを実行される用意があるかどうか、とくと承りたいのであります。また、建設大臣には、災害予防のための治山治水事業等をどう進められるのか。さらにまた、運輸大臣には、大切な気象観測の仕事の一部を米軍航空観測機にたよるといったこそくなことはやめて、航空観測機、レーダー、定点観測船等施設整備を早急に実行できるのかどうか、具体的に伺いたいのであります。  質問の第二点は、政界、官界の綱紀粛正ということであります。この問題は、いつの国会においても繰り返し繰り返し指摘されてきたところでありますが、改まらないどころか、綱紀の弛緩はますますはなはだしいものがあります。さき参議院選挙においては、日本専売公社関係の悪質の選挙違反の事例を頂点として、政府機関並びに政府関係機関のいわゆる高級官僚地位利用による選挙は公然と行なわれました。特に各省関係より立候補した高級公務員九名のうち、実に八名が当選しておりますが、公務員をやめて初めての選挙でかような成績がおさめられたのは、それぞれの候補者が、国の補助金支出の権限を持つ各省庁をバックとして、公的機関を動員できるという有利な地位をフルに利用できたからにほかならないことは、もはや何人も疑いを入れないところであります。(拍手)またその裏には、専売公社の例を引き合いに出すまでもなく、公務員もしくは政府関係機関職員選挙活動が大いにあったことを物語るものであります。こういう結果になることは当然であるがゆえに、さき選挙制度調査会でも高級公務員立候補制限を答申したにもかかわらず、政府はこれを無視したのであります。まことに遺憾千万というほかないのであります。  さらに、最近両院の決算委員会で究明されております大蔵省国有財産不当処分の問題を見ましても、国家国民の大切な財産を守るべき官庁の指導的立場にある人々が、関係者の間でのみ山分け同様に土地や家屋の払い下げを有利に受けたり、あるいは国有林野不当貸し付けをしております。これらの事実が便宜的な法律解釈の上で、たとえ違法ではないとされても、国民一般の冷厳公平な目からすれば、明らかに不当であり、道義的に許せない事実として国民大衆の憤激を買っていることは、しごく当然であります。(拍手)また、国や地方の関係機関外郭団体等の不明朗な政治献金の事実、高級公務員政府関係機関並びに大企業等への天下り人事など、日常茶飯事のように行なわれておりますが、このようなもろもろの事実こそ、まさに道義の低下、社会の退廃の根源であります。高級公務員の悪い模範は、中級、下級公務員に及び、やがては国民全体ばかりか、総理が呼びかけている青少年にも及ぶおそれがあります。  会計検査院が指摘する不当事項は、件数、金額ともに、この数年間年々増大してきております。自衛官犯罪件数も飛躍的に高まっていると新聞は報じております。田中証券事件山陽特殊鋼事件にからまる大蔵省の役人の収賄事件等は、氷山の一角のできごとでありますが、国家社会に多大の損失と迷惑をかけていることは否定できないでありましょう。清潔な責任ある政治を断行すると言明されております佐藤総理は、これらの事実を一体何とお考えになるのか。りっぱな国づくりや明るい社会の建設のかけ声も、こうした精神の堕落、倫理感の喪失という現実の前には、まことに、はかないうわごとにすぎなくなってしまうでありましょう。(拍手)この際、総理は、高級公務員立候補制限綱紀粛正をいかに実行されんとするのか、御決意と具体策を承りたいのであります。  質問の第三点は、人事院勧告実施に関してであります。  御承知のように、本年八月、一般職国家公務員の給与に関する人事院勧告が行なわれましたが、これに先立って、五月には公共企業体給与改定についての仲裁裁定がありました。仲裁裁定は四月一日より六・二五%引き上げるという内容でありましたが、政府は公労委の裁定を尊重し、直ちに裁定どおり実施いたしました。ところが、人事院勧告に対しては、政府は当初から官房長官談を発表し、勧告の内容は尊重するが、実施時期については財源関係上困難であるとして、すでに値切るかまえを示し、関係閣僚五人委員会においても財源難理由に結論を出し渋り、ついには公務員共闘会議をして実力行使決定を余儀なくせしめておるのであります。申し上げるまでもなく、この人事院勧告制度は、非現業の一般職公務員国家公務員法により、憲法に認められた団体交渉権及び争議権等労働基本権に重大な制約を加えられている代償として設けられたものであります。したがいまして、人事院勧告を内容的に切り下げたり、実施時期をおくらすということは、政府みずからがこの制度の存在価値をないがしろにするとともに、公務員労働基本権を踏みにじるものといわれてもいたし方ないのであります。(拍手)ところが、事実、政府はこの勧告完全実施を怠ることすでに連続五回に及んでいるのであります。こんなむちゃなことは、現代民主社会において許さるべきものでありましょうか。公務員労働者にすべての労働基本権を与えるか、さもなくば公平な第三者機関勧告裁定を尊重し、これを完全に実施するか、道は二つに一つしかないはずであります。  この問題は決していまに始まった問題ではなく、国会でもしばしば質疑が行なわれ、昨年十二月には、参衆両院内閣委員会において、各党共同提案により「勧告実施時期が今後完全に尊重されるよう政府は財政上の措置について最善をつくすべきである。」との趣旨の附帯決議が行なわれ、これに対し当時の給与担当大臣より、決議の趣旨を尊重する旨の確約があったのであります。また先般のドライヤー報告書の中にも、だれが見ても最もはっきりしていて、政府といえども何ら疑いをいれる余地のないあらわし方をもって、次のように言っております。「ストライキ権が禁止または制限される場合には、労働者の利益を十分に保護する保障が付随すべきである。このため公平な機構を設置し、その決定は完全かつ敏速に実施すべきである。」この、いわゆる公平な機構である人事院の今回の勧告は、実施時期を五月一日よりとしており、また同時に三公社五現業職員給与改定が四月一日より行なわれている事実を特に付記しております。それにもかかわらず政府は、この実施時期を昨年の九月実施よりも劣る十月実施の線を出そうとしているやに聞くのであります。理由は、不景気、財源難のようでありますが、神武景気岩戸景気の中でばく大な予想以上の税収があったときでも勧告は値切られました経験から、もはや公務員大衆政府の断わり書きをだれ一人信用しないでありましょう。(拍手)問題は、政府の姿勢がいつも公務員労働者大衆に背を向け、彼らを踏み台にしているところにあるというべきでありましょう。このことは、公務員労働者大衆がこのような片手落ちの政府のやり方に対して抗議集会をもって当然の要求をかちとろうとする動きについて、当局は公務員法違反あるいは服務規律違反として直ちに大量の処分を行なうという弾圧的態度で臨んできたことが証明いたしております。政府は、労働基本権を制約したか弱い立場にある公務員には法に従えと厳命しながら、みずからは法の精神をじゅうりんしてきたのでありまして、まことに遺憾のきわみと言わざるを得ないのであります。政府経済政策の失敗による財源の不足や、高級公務員綱紀弛緩に対する公務員批判を口実に、低賃金と物価高にあえぐ下級公務員大衆の賃金の値引きを強行するとしたら、佐藤内閣の最大の看板である「人間尊重」の政治が泣くというものでありましょう。すみやかに人事院勧告完全実施に踏み切り、二十二日の公務員共闘会議の半日ストが行なわれなくて済むよう、総理の率直な御決断を承りたいのであります。  なお、この勧告実施は当然のことながら地方自治体の職員並びに教職員にはね返りますから、その財源措置についても政府の責任ある答弁を担当大臣から伺いたいのであります。  なおこの際、二十二日の半日ストを控え世論の問題となっている文部省日教組との話し合いの問題に触れてみたいのであります。中村文部大臣は、先月、日教組の第二次話し合いの申し入れを拒否したのみか、去る五日に行なわれた政府と総評の第三回定期会合においても事実上話し合いを拒否したため、会談は決裂いたしました。文部大臣の言う教師倫理綱領とその解説の廃止等三項目については、あくまで要望であり、話し合い前提条件ではないということは、第二回の定期会合、さらには橋本・岩井会談で確認された了解事項でありながら、いかなる事情があるにせよ、これを一方的に破ったことは、重大な背信行為であります。橋本・岩井会談でも了解されているように、相互不信感話し合いの積み重ねによって解消していくべきものであり、双方が努力をしていくべきものであります。それを身がってな条件を持ち出して一挙に受諾を迫るというのは、まことに、ものの道理を知らざるもはなはだしいものであります。(拍手)今日お互いが最も真剣に考えなければならないのは、相互信頼の確立が、日本教育のために、日本の子供全体のために必要であるということ、これであります。教育に携わる文部省日教組とがけんかをしておって、よい子供が育つでありましょうか。教師たちを信頼しないでおいて文部省はりっぱな教育を期待できるとでもいうのでしょうか。日本教師の大多数六十万人が参加する日教組に反省を求めたい点があるとされるならば、文部大臣は直接会って話し合うべきではありませんか。日教組も、超過勤務手当研修手当、あるいは学校警備員の問題について、文部大臣話し合いたいと言っているのであります。私は、中村文部大臣がこの辺のものの道理をわからぬはずはないと思うのであります。しかし、まことに遺憾ながら、問題は、いまや文部大臣の不可解な言動によって暗礁に乗り上げてしまったのであります。そして明るみ始めた日本教育に、再び暗い影を投げかけているのであります。また、総評も、政府に対し、強い不信感を持つに至りました。そこで、私は、この重大な問題をいかに解決されんとするか、総理の率直な御所信を伺いたいのであります。また、文部大臣には、相互信頼回復を必要とお認めにならないのかどうか、必要だとするならいかに努力される所存であるかを承りたいのであります。  質問の第四点は、公共料金引き上げの問題についてであります。  本年一月には配給米一四・八%の値上げがあり、続いて医療費九・五%の強行引き上げバス料金平均二七%の引き上げなどが行なわれました。また、四月には私立学校入学金授業料等大幅引き上げも行なわれました。そして今後においては、年間二千億の増収を見込む大幅な国鉄運賃値上げ案を先頭として、私鉄、地下鉄、国内航空、教科書、国保、郵便、電話、電報、水道料等々、いずれも料金引き上げ実施せんものと、その出番を争っているかのようであります。  一方、国民生活の台所の実態はどうかと申しますと、非常に苦しさを増してきております。総理は、さき施政演説において、日本経済不況克服努力を重ねてきた結果、回復のきざしを見せてきた。今後は国民生活の安定、国民生活を守るという観点から必要な施策を進めると述べておられますが、これまでの政府経済政策の失敗による不況と物価上昇のしわ寄せは、いまや膨大な中小企業勤労者階級に集中し、国民大衆生活にあえいでいるというのが実態であると申せましょう。消費者物価は、本年上半期においてすでに前年のそれよりも八%上昇しているにもかかわらず、勤労者世帯の実収入は、昨年同期に比べ四・四%上昇にとどまり、実質収入は三・六%減少していることでも明らかであります。このような実質減少記録は十年ぶりとのことであります。また、同じく総理府の家計調査報告は、本年五月のエンゲル係数が、過去数年間の三六ないし三七%台から三九・三%に急上昇していることを示しております。台所を預かる主婦はもとより、国民のほとんどが暮らしに強い不安を感じているのも当然のことと申せましょう。  とのような状況の中で発表された国鉄運賃値上げ案をまず見ましても、旅客運賃三七・八%、貨物運賃一五%であり、通勤定期においては一挙に二倍の区間もあります。明らかに経済優先、大企業優先であり、そして国鉄輸送力の増強を勤労大衆の血と汗で得た収入によって実現しようというものであります。輸送力の増強も大資本のためであり、勤労者は、そのおかげでますます郊外遠くへ追い出されて、高い通勤費を支払って、数時間にも及ぶ殺人的な電車の中で呻吟ずることになるのは、目に見えるようであります。また、消費者米価についても、政府は大幅な値上げを再び予定していると聞いております。すなわち、昭和四十年産米生産者米価引き上げによる食管会計赤字千七百余億円を口実に、値上げを企図しているのではありませんか。このほか、さきに掲げた各種の公共料金値上げ案は、どれもこれも高額なものを考えているようであります。  このような公共料金値上げは、直接的に国民生活を悪化させますが、さらに間接的には全般的な物価上昇ムードをあおり、手をつけられないような経済混乱を招来し、ついには国民生活を破滅に導く結果となることを心から憂慮するものであります。すでに日刊新聞は、平素他公共料金値上げに対しては批判的な論調を展開しているにもかかわらず、今月一日から一斉に一カ月購読料四百五十円から五百八十円に、抜き打ち的ともいえるすばやさで値上げを敢行いたしました。値上げ額は百三十円で、約三〇%という大幅な値上げ率であります。数年間値上げをしなかったとか、増ページしたとか、広告収入減など、いろいろ理由はあげられておりますが、このような理由は、さきに述べました各種公共料金についてもありましょう。問題は、国民生活をどう守っていくかというところにあるはずであり、その観点からすれば、道はほかにあるはずであります。そこで、政府は、公共料金値上げを抑制するために、いかなる総合施策をとられようとするのか、伺いたいのであります。  まず、総理に対しましては、公共料金抑制を真剣に考えておられるのかどうか。また、本年当初に閣議決定された物価安定総合対策を、具体的、積極的にお進めになっているのかどうか。第三点として、特に消費者米価国鉄運賃引き上げは当面重大な問題でありますので、どう処理されんとするのか、承りたいのであります。なお、その他の私鉄、国内航空私学授業料、郵便、電報、電話について値上げの動きの状況及びこれに対する態度を各所管大臣から伺い、また、日刊新聞の一斉値上げについて、これは独禁法に触れるものでないかどうか、この値上げをどう思われるか、率直に所管大臣からお答えを願いたいのであります。  最後の質問は、暴力追放に関する問題であります。新聞その他の報ずるところによれば、先月九日、自民党広報委員長山手滿男代議士は、ばく徒暴力団右翼団体等の会合する料亭に出向いて、日韓条約批准支持の要請を行なった由であります。これはまことに驚き入った事柄であります。政府が三悪追放を叫び、暴力追放についても、世論警察当局努力の中で、ようやく成果をあげつつあると言われている、そのやさきに、こともあろうに取り締まり当局が解散を求めている団体に、政府与党責任者がものを頼み、てこ入れをするなどということは、まことにもって言語道断といわなければなりません。(拍手)このような所業は、世論を敵に回し、末端の取り締まり官努力を水泡に帰せしめるものであります。安保騒動の際にも自民党暴力組織関係のうわさが流れ、また、政界の指導者に対するテロが発生したのであります。したがって、今日は時期が時期だけに、政治家は慎重な態度を持し、政府は厳正に暴力団取り締まりにつとめるべきでありましょう。本事件に対する御所見並びに暴力追放に関する御決意を、この際、総理から特に伺っておきたいと思うのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  国土保全事業、これは内閣の基礎的な重要施策一つだと、かように私ども考えております。したがいまして、御制定を得ました災害対策基本法、これで規定しておりますそれぞれの事項につきましては、誠意をもってこれと取り組んでおるわけであります。治山治水長期計画を立てましたのも、そういう点でございます。問題は、この広い国土わが国の特殊な地理的な環境から、災害を受けやすいのでありますが、このうちでも、特に災害を引き起こすような河川、これはいままでの経験でおよそ見当がついてまいっておりますから、こういう河川改修並びにそういう河川上流地域における砂防等治山治水に役立つ事柄につきましては、積極的に対策を講じてまいりたい、かように思います。かくして財産生命並びに国土保全を期する、かような考え方でございます。具体的な問題につきましては、建設大臣等にお尋ねがありましたので、そのほうに譲ります。  ことに、御意見のうちに、非常に広範にわたりマリアナ海域における海難にまで触れられました。確かに御指摘のように、定点観測などは不十分だ、また、大型巡視船もこれは必要ではないかと、かように思いますので、今後の対策等は、いろいろくふうされることだと思います。また何といたしましても、最近の科学の力を使う、これはもちろん必要なことであります。災害対策基本法では、災害の防止に科学の力を十分使うように科学的研究を必要とするということを規定しております。御承知のように、ことしなぞは、たいへん冷害が懸念されました。幸いにいたしまして、事前の対策、また、国民の協力を得て、ことしも平年作だったということは、たいへんうれしいことでございます。最近の実情におきましては、十分ただいまのような対策を立ててまいりたいと思います。  第二に、政府関係機関が、その地位を利用し、あるいは地盤の酒養等について、いろいろ悪質な事柄が行なわれておる、こういう御指摘でございます。お話のありましたように、三十七年に法改正をいたしまして、これらの点につきましては十分戒められておるところであります。なお、最近の実情等に徴しまして、今後とも一そうこれらの対策が効果があるようにいたしたいものだと、かように思います。また、財産不当使用、これにつきましては、申すまでもなく、国民から見まして、不当あるいは不公正である、かようなことが政治に対する信頼をなくするゆえんだ、かように考えますから、十分戒心してまいるつもりであります。収賄等の問題は、御指摘になりましたが、もちろん犯罪でもあるし、かようなことは許すことではございません。私どもは責任ある体制を整備し、服務規律を確保して、また部内監察も十分強化していく、こういうことでただいまのような現状を改善してまいりたい、かように考えております。  第三は、人事院勧告についてのお尋ねでございます。人事院勧告は、御承知のように政府がいろいろ真剣にただいま取り組んでおる最中でございます。ことしの財政不如意の状況については、十分の御理解があるようでありますが、しかし一方、人事院勧告はすでに出ておりますので、政府はこれを尊重するという在来からのたてまえに、何らの変わりはないのでありますので、できるだけ早く尊重の実をあげるように最善を尽くすべく、財源をただいま検討中でございます。ことに地方自治体の職員に対しましても、中央公務員とこれに準ずる職員でございますので、当然この人事院勧告は、地方自治体におきましても適正に適用されることが望ましい、こういう意味では地方財政も財源難でありますから、特に中央地方連携をとりまして対策を立てなければならないと思います。ただ、この問題につきましてお話にもありましたが、二十二日に半日ストが行なわれるということでございます。私はこの半日ストは不法なものである。(発言する者多し)皆様方どうか良識ある行動をとられるように、心から願っております。  次に、日教組文部大臣の問題についてお答えをいたします。  ドライヤーの勧告がありまして以来、組合と政府との間にその不信感をなくす、かような努力がいろいろ遂げられつつあります。私は、この会合につきまして非常な期待をかけ、どうか一体となるように、いわゆる不信感を払拭するという努力をこの上とも払いたい、かように思っております。文部大臣から日教組に要求されましたのは、いわゆる倫理綱領とその解説の廃止、あるいは教育公務員政治的中立の確保、あるいは第三点といたしまして、政府の文教施策教育委員会施策を、実力行使によって阻害するというようなことのないように、これを阻害する場合に実力行使というようなことはやめてくれと、こういう三つの話をいたしております。ところが、その点では、ただいまお話のように、これは強い要望なり、これは条件なり、かようなことが論議されておるようであります。私は、ただいま申し上げる両者の不信感というのは、こういうところにあるのじゃないか。強い要望あるいは条件、かような議論は私はどうかと思う。強い要望であるということが承知であるなら、こういう事柄についてまじめに考えられるなら、必ずこれが前提条件だといって、解決しないから話し合わないというような極端なことは、文部大臣は言わない。あるいは要望だから、おれのほうはただ聞きおくのだというような態度が、不信感を構成しておるのだ、かように思いますので、私はこれはよけいなことのように思いますけれども、基本的な問題でありますからお話を申し上げておきます。  次に、物価の問題につきましていろいろお尋ねがございました。私は所信表明におきましても明らかにいたしましたように、真剣に物価の問題と取り組んでいく、そうして、ただいまお尋ねがありました閣議決定は、これを忠実に実行に移していくという処置をとっております。特に消費者米価並びに鉄道運賃についてのお尋ねでございますが、公共料金そのものを前提にいたしましては、いずれ経企庁長官から詳しく説明をいたします。この消費者米価並びに鉄道運賃について現状を見ますると、食管会計の運営並びに鉄道の経営等から見ると、今日これを取り上げてそうして値上げをせざるを得ないような実情にある、かように思います。しかしながら、この値上げが、各方面に非常な影響を与えるものであること、これは十分に承知しておりますので、値上げの幅や値上げの時期等につきましては、なお結論を出しておらない状況であります。しかし、今国会中には、いずれにいたしましても、何らかの結論を出す考えでございますから、どうかしばらくお待ちをいただきたいと思います。  次に、暴力団等の関係についてのお話でございますが、山手広報委員長が出かけた九日の水光苑の会合についてのお話だろうと思います。この点につきましては、時節柄誤解を受けるような事柄でありますので、私はたいへん心配をいたしまして、山手君から事情も十分聞きました。御承知のように、ただいま日韓条約の批准を迎える、そのために各方面にPRをいたしております。広報宣伝をいたしております。その関係で、水光苑における会合があるから出てきて説明しろと、こういう話を受けた、それで自分は出かけた、しかし、出かけて行って説明をすると、やや自分が出かけるのには不適当な会合であったかのように見受けた、かようなことで、総裁、党幹部に迷惑をかけたことは、これは深くおわびをする、かようなお話でございました。私は皆さま方に申し上げますように、絶えず暴力につきましては、左右いずれを問わず暴力を排撃するという私のはっきりした態度をとっておりますので、(拍手)今回は、こういう点につきまして、誤解を受けるような行為があったことは、まことに残念でございます。しかし、今後とも十分注意をしてまいるつもりであります。右翼を使うと、さような事態では全然ないことを、この機会にはっきり申し上げておきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣瀬戸山三男君登壇拍手
  12. 瀬戸山三男

    国務大臣(瀬戸山三男君) 台風その他の自然災害につきまして、光村さんから御鞭撻いただきまして、ありがとうございました。御承知のとおりに、わが国は、地形上あるいは地勢上、気象上、非常に自然災害を受けるのでありまして、これは、先ほどお話のとおり、もうずっと前からのことであります。そういうことで、私どもといたしましては、先ほど総理からもお話がありましたように、政治の基本的重要問題として、この対策に取り組んでおるつもりであります。本年におきましても、先ほどお話のように、昭和四十年一月以来の、あるいは雪解け災害、それから梅雨前線、あるいは十六号、あるいは二十三号ないし二十四号と、合わせまして大体三千五百億ぐらいの災害を計上されております。そういうことで、私どもは、先ほど申し上げましたように、わが国のこの災害に対するのは、自然と人間との戦いであるという気持ちでやっておるわけであります。先年、河川法の改正をし、そして一兆一千億の治水五カ年計画を立てて、その根本対策に邁進しておるわけであります。ただ、申し上げておきますが、いまお話のとおりに、わが国は、地勢上あるいは気象上、非常な災害を受ける国でありますから、これを一挙にというわけにはなかなかまいらないのであります。現在、私どもが五カ年計画でやっておりますのは、少なくとも五百河川については今後十二年間に、また二千河川については十五年間で、おおむね災害の心配をなくしようという計画で進めておりますことを、御了承願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣中村寅太君登壇拍手
  13. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 今回、マリアナ近海におきまして遭難をなされました方々の御冥福を祈り、残された家族の方々に心から御同情申し上げたいと思います。  現在、台風に関する気象情報は、船舶気象無線通報、漁業気象通報等によって情報を通達いたしておるのでありますが、今日までに気象庁が持っております設備、技術等から見まして、二十九号台風の強さ、方向その他の情報、通報は、おおむね適切であったと存じております。なお、現在の気象情報等を把握いたします設備、技術、あるいは、これを通報する船舶等に対し、あるいは船舶、漁船等の、これを受けます場合の装備等も十分でない点もあるやに考えられますので、これに再検討を加えまして、再び災害を起こさないように処置してまいりたいと思います。特に、特定海域におきましては、季節に応じて、航空機とか、あるいは高度な巡視船等を固定配備いたしまして、災害を未然に防ぎ、今回のようなことを再び繰り返さないようにつとめてまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣中村梅吉君登壇拍手
  14. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 私に関したことについてお答えいたします。  私がいわゆる三項目を提唱いたしましたのは、教育の中立性確保と教育の正常化の必要性というものを痛感しておる立場からでございまして、ほかに他意はございません。そこで、問題は、この三項目が一体その会見の条件か、強い要望かということが議論になりました。この点は、すでに第三回定期会談で強い要望ということに確認されておりますから、今日は問題ございませんが、なぜそういう論議を生んだかと申しますと、これは八月二十六日の日教組と私との会談の席上で、私は教育の中立性あるいは正常化ということは非常に大事なことで、根本的なことである、したがって、この問題について、私の提唱しております三項目が、いわゆる、われわれのほうの立場から見た不信感除去の、これは基本条件であるということを強調いたしました。それが会見の条件ごとくに伝わって誤解を生んだのでございますが、私は八月二十六日の会見の席上においても、その後においても、この三項目が会見の条件である、これが解決しなければ会見はしないのだという表現をしたことは一度もございません。ただ、そこで、九月になりまして、日教組の槇枝書記長から事務当局に対して、私との会見の申し入れがございました。このときに私は会見を断わった、これがまあ前のことと結びついて、強い要望ではなくて会見の条件であるというように伝わったわけでありますが、これは、八月二十六日に私は会見をしまして、こちらの言いたいことも、歯にきぬを着せないで十分申しましたし、また、日教組側の言い分も、その際に十分に聞いてありますので、まだ間近いころでありますし、もう一つ問題は、ちょうどその前後に日教組では戦術会議を開いておった時期でございますから、時期的にうまくないという感触で、いまの会談はうまくないということでお断わりを申し上げたので、これが片づかなければ永久に会わないという趣旨じゃなくて、私は相互努力をして不信感を除去し、日本教育を正常化し、また法律の命ずるところに従って政治的中立の確保というものが完成できまするように、今後とも努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇拍手
  15. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) 物価問題について、個々の問題の取り扱い等につきましても御質問がございましたので、お答え申し上げたいと思います。  国鉄、米価等につきましては総理から御答弁がございましたので、私からつけ加える必要はないと思いますが、郵便につきましては、本年度の郵便会計は若干赤字でございます。来年度さらにそれが拡大する状況でございますので、これらに対してどう対処するかということは、来年度以降の予算編成その他を通じてわれわれができるだけ考えていかなければならぬことだと思います。また、電話につきましては、先般、答申もございましたけれども、私どもといたしましては、四十一年度には値上げの必要なしと考えておるのでございます。  なお、その他、私学授業料国内航空、教科書、水道料金等、いろいろございましたが、私学の授業料は、御承知のとおり、本年四月の消費者物価が著しく高騰したのもこの私学授業料値上げが大きく影響しております。したがって、私学の将来のことを考えてまいりますと、補助金等は私学では適当ではございませんけれども、低利の資金を融通して、そうして私学がその本来の目的を達するように、相当大きな設備拡張をしているものの資金のコストをできるだけ安くしていかなければならぬのではないかと思いますので、これらについては、来年度予算編成等にあたりましても、大蔵大臣等と協議をいたしまして、できるだけこの値上げが行なわれないように、将来安定した授業料で私学拡大の道を開いていくように努力してまいりたいと、こう考えておるのでございます。  その他、私鉄につきましては、御承知のとおり、ただいま申請が出ておりまして審議会にかかっております。その結論を見た上で、われわれは合理化すべきものはできるだけ合理化し、そうして、それらの状況を勘案しながら今後考えてまいるつもりでございます。なお、国内航空、教科書等につきましては、まだ具体的な問題となっておりませんが、私ども、今後これら次々に起こってまいります値上げを必要とすると言われておりますものについては、あらかじめ十分な検討を加えまして、そうして事前にもこれらに対して対策を持ってまいることが必要だと思うので、せっかく、それらに注意をいたしながら努力をいたしてまいりたいと、こう考えておるのでございます。  要は、今日のように消費者物価が上がってまいりますことは、景気後退のおりにおいて異例のことでございまして、これが長く続きますことは、国民生活、個人の消費生活の上に当然大きな影響をもたらすものでございますから、これらについては最善の努力をいたしてまいらなければ政治ではないと思います。そういうことにつきまして努力いたすと同時に、これらの値上げがやがて長期にわたりますことは、国民生活の上に大きな影響をもたらしますので、そういう面からも重大な関心を持って、私どもとしてはできるだけ安定に向かい得るような諸措置を、これらにとってまいって、そうして数年後にはできるだけ安定した状態に持ってまいりたいと思います。  なお、新聞につきまして、独禁法違反ではないかというお話がございましたが、これは目下、公正取引委員会等において調査をいたしておりますので、それに待ちたいと思います。(拍手)     —————————————
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 二宮文造君。    〔二宮文造君登壇拍手
  17. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は公明党を代表し、引き続き総理並びに関係大臣に質問をいたします。  今五十国会は、いわゆる日韓国会と呼ばれているものであります。総理は、その所信表明の中で、「私は、政権担当以来、国民諸君の強い願望を背景として、わが国の安全を確保し、アジアの平和を守るため、あらゆる努力を傾注してまいりました。」と述べております。    〔議長退席、副議長着席〕 はたして総理の言うとおり、わが国の安全、あるいはアジアの平和が増進されたかどうか。国民大衆が、はだに感じたものは、断じてノーであります。むしろ、政権担当以来ここに一年、ベトナムの情勢は悪化し、米軍の北爆を含むエスカレーション方式の拡大、インド・パキスタンの紛争、さらにシンガポール独立に続くインドネシア紛争など、いわゆる流動状態が続き、また国内的には、沖繩の基地よりの渡洋爆撃、原子力潜永艦の寄港、米軍機の板村基地使用等々、内外の諸情勢は、かえって戦争の危機感をさえ招くに至っていることを否定できないのであります。しかも、政府演説によれば、「われわれは、単に平和を唱え、安全を希望するにとどまらず、広く国際社会の安全と繁栄をかちとるために、わが国力にふさわしい寄与をなすべき使命と責任を有している」と明言している以上は、東洋民族の持つ独自の思想に根ざす、より高度な次元、より強力な自主外交路線の確立こそが、今日のアジアの外交に寄せられた国民の願望であります。  したがって、政府並びに自民党のいう日韓条約批准は、現時点においては、かえってアジア諸勢力の激突への道を開くばかりであり、平和確立に名をかりた、党利党略、対米追随外交の結果にほかならないと思うものであります。  国交正常化は、いかなる国を問わず、わが党の常に主張し、かつ強く望むものであります。さりながら、今次日韓諸条約の成立過程、その内容、さらには、アジア諸国、ひいては世界平和に及ぼす影響を勘案するとき、多くの危惧を抱かせるものがあります。むしろ、真の国交正常化のためには、かつまた平和確立の基盤たるには、なお幾多の前提条件があり、以下、それらについて総理の明快なる答弁を望むものであります。  すなわち、その第一点は、政府は、開発途上の諸国をめぐって諸勢力が拮抗していると、アジア情勢をとらえております。そのアジアにおける日本外交は、これまで自由陣営の一員であり、かつAA諸国の一員であるという二面性を持ちながらも、その主体は対米協力一辺倒の姿勢で終始してきたのであります。はたして、今後これまでどおりの姿勢で、言うところの自主外交によるアジアの平和と繁栄に寄与し得ると考えるのかどうか。また、米国の軍事力なくしてはアジアの平和は確立できないとの見解に立つのかどうか。まず、対アジア外交の基本的な姿勢をお伺いしたいのであります。  第二点。伝え聞くところによりますると、政府は、アジア外交の新しい展開として、東南アジア開発をめぐる討議のため、東南アジア閣僚会議を開催する意図のようでありますが、その参加国ないし会議の目的について明らかにしていただきたい。この場合、招請国のうち、ビルマ、カンボジア、さらには、参加を期待したインドネシアは不参加の意を表明しているようでありますが、残された、いわゆる親米派だけの諸国だけでも会議の成果について期待できるかどうか、伺いたいのであります。  第三点、日本のアジア外交における最大の欠陥は、対中国政策にあると言われております。すでに今日の常識では、アジアの問題ないし世界平和は、中国を除外しては考えられないとされておりますが、どうですか。  第四点、さらに日本の安全を考慮する場合、中国の核実験はきわめて憂慮すべき事態と言わなければならないのでありますが、政府は中国の核開発をどの程度の成果をおさめたものと理解しているか。伝えられる段階では、すでに水爆を保有するとも言われているようでありますが、明らかにしていただきたいのであります。  第五点、したがって、世界平和、それにつながる核全面禁止等々、中国を、国際間の共通の土俵において討議すべきであるとの考え方が、次第に支配的になってまいりました今日におきまして、総理は積極的にその道を開くべきであると思いますが、その意思があるかどうか。すなわち、の国連加盟について、その加盟をはばんでいる重要事項方式の指定を除くため、日本は積極的な努力をはかるかいなか、お伺いしたいのであります。  第六点、ベトナムの紛争は、言うまでもなく、アジアの平和危機の縮図であります。しかも、政府は、早期平和解決を口にしながら、他方では、米国の北爆を支持する態度をとってきたのであります。もちろんこれは外交政策としては自語相違もはなはだしいし、かえって日本を紛争に巻き込ませる危険さえもあります。したがって、この際、この政府の見解を訂正し、平和解決へのくさびとすべきであると思いますが、その意思があるかどうか、お伺いしたいのであります。  第七点、これに関連して、再び米国並びに南ベトナム政府の要請があったとしても、今後、医療ないしは民生安定のためと称する協力については、国際間の誤解を招かない意味からも拒否すべきであると思いますが、総理の見解をお伺いしたいのであります。  第八点、政府は、日韓問題を最も近い問題として、その解決に専念するかのごとくでありますが、過去において、同じ条件のもとに統治され、地理的にも同様な北朝鮮を問題として扱わないのはいかなる理由によるのか。北朝鮮との関係国民にどのように説得しようとするのか。  第九点、現に北朝鮮側の入国については、IECの場合のように政府は入国を拒否しております。これは明らかに日本と北朝鮮との間に一線を画した施策のあらわれであると思いますが、入国拒否の理由並びに北朝鮮との国交正常化を阻害している要因は何か、明示していただきたいのであります。  第十点、政府は、朝鮮半島における南北統一を望むような姿勢を見せながら、その阻害要因を、北朝鮮が国連方式に反対しているからと断定しているのは、一方的にすぎないか。この場合も、中国と同様に、共通の土俵を考慮し、国連加盟の道を開き、国際討議の場を設けることが、両国間の事態解決への方策であると思いますが、総理の見解を伺いたいのであります。  以上は、いわゆる政府のいうアジアの平和と繁栄のための土壌ともいうべき前提条件であります。その推進こそが、政府のいう広く国際社会の安全と繁栄をかちとるために、わが国力にふさわしい寄与であり、それなくしては真の国交正常化は招来しないと言わなければならないのであります。わが党が、条約批准を延ばすべきであると主張することもそのゆえであります。  次に、日韓問題について伺います。  政府並びに自民党は、日韓国交正常化は、日韓両国民の大多数が賛成していると述べておりますが、韓国では、衛戌令下に、与党の単独強行採決という、憂慮すべき非常事態を招いたことは御承知のとおりであります。新聞世論調査によりますと、佐藤内閣の支持率は、政権担当当時の四七%から、今年八月には三七%と低下しております。もちろん、一連の経済政策失敗からくるところの支持率の低下もありますが、この数字は、佐藤内閣ないし日韓諸条約批准を支持する者は、必ずしも国民の大多数とは言い切れないことを示しているのであります。したがって、総理に伺いたいのは、  第一に、このような事態の中で批准を強行することが、両国の国民感情から判断して、時期尚早と考えないかどうか。韓国では、日本の経済侵略について根強い危惧を持ち続けている今日、批准必ずしも国交正常化の促進とは考えられないのであります。むしろ、民間外交を通し、両国民の融和、親善関係の増進を積み重ね、両国民の間に国交回復を歓迎する機運が醸成されるのを待つほうが、より効果的であると思うが、どうですか。  第二に、条約の内容そのものについては幾多の疑義があり、両国の解釈の食い違いはすでに明らかとなってまいりました。しかも、両国政府は、それぞれの見解を、国内向けであると言い捨てている現状は、条約締結のオーソドックスなあり方とは思えませんし、国民を欺瞞するものでさえあります。ゆえに、政府は直ちにその調整をはかる必要があると思うが、総理の見解を問いたいのであります。さらにその場合、どのような会談を用意するのか、あわせて承りたいのであります。  第三点、その一つである竹島の領土権については、総理は強く主張し続けると言っておりますが、過去の北方領土あるいは小笠原、沖繩返還についても、じんぜん時を経て、戦後二十年をこえて未解決のままであります。しかも、竹島については、交換公文による紛争処理方法を適用するとしても、現に韓国は、竹島を占有し、しかも同島をめぐる専管水域をさえ主張しております。紛争解決までは現状のまま放置するつもりかどうか。とすれば、総理の言明は矛盾することになりますが、この点を明確にしていただきたいのであります。  第四点、李ラインをめぐる条文解釈の食い違いから、将来、かりに批准後といえども、漁業紛争がきわめて憂慮されるのであります。その場合、韓国側は、これまでのような漁船拿捕という、一方的な措置はとらないという保証がありますかどうか。また、日本政府は、その条文解釈のとおり運用するとして、安全操業をどう具体化するのか、お尋ねしたいのであります。  第五点、政府借款は、七年据え置き、二十年間の返済となっております。ただし、両国間の合議によって、その期間は変更できると規定していることは、解釈のしかたによれば、無償供与と同じ見解が出てくるのであります。また、韓国の今日の経済情勢からも、返済不能になるのではないかと見る向きもありますが、この際、有償、無償の明確な規定をお伺いしたいのであります。  第六点、さらに生産物、役務の供与となっておりますが、それは、軍事施設、軍需物資を含むのかどうか、あるいは除外するという相互の明確な了解があるかどうか、承りたいのであります。  第七点、紛争解決の交換公文は締結されておりますが、両国の合意なき場合、どのような措置によってその解決をはかるのか。第三者機関を考慮するのかどうか、この際、明確にしていただきたいのであります。  第八点、これに関連をいたしまして総理に伺いたいことは、拿捕漁船の補償問題であります。さきに、政府は、国内問題としてこれを処理する旨、明言されているのであります。その金額、補償方法について明らかにしていただきたいのであります。  以上、要するに、これほどの疑点を持ち、さらに、両国の国民感情として根強い反対の機運をはらみ、また、アジア情勢全般に微妙な関係をもたらすのが本条約の特質であります。したがって、本条約の批准は、相当の冷却期間を設け、両国間で条文解釈をさらに調整し、かつ、先ほどの前提条件との関連において考慮することが、自主外交確立への一歩前進と理解するのでありますが、総理の所見を承りたいのであります。  次に、国連外交、主としてその平和維持機能についてお伺いいたします。国連中心主義は、政府の一貫した外交政策の基本であります。しかも、今次総会では、安全保障理事会の非常任理事国に立候補を表明したことにより、世界の平和と繁栄に対し、おのずから格段の自覚と責任が要請される立場に立ったのであります。  質問の第一点は、今回の政府演説でも、その基本方針を確認した上で、しかも、「その平和維持機能強化にはできるだけ努力をする」と述べておりますが、それはいわゆる分担金における協力だけと解してよいかどうか。  第二に、国際紛争処理のため、これまでも国連警察軍の派兵等があり、さらにその編成ないしは国連常設軍の創設が議論されております現段階において、わが国に対しても、物的協力ばかりでなく、人的協力を要請された場合、国連中心主義を標榜する政府はどう対処するお考えか、伺いたいのであります。  第三に、それは当然拒否すべきであると思いますが、その場合、国際間で納得せしめ得る論拠をどこに求めるのか。また、総理は、国連の平和維持強化についていかなる構想を持っているか、具体的に伺いたいのであります。  第四に、池田前総理は、さきに、本院予算委員会の席上、自衛隊の海外派兵について、「池田内閣が続く限り、自衛隊の海外派兵はしない」旨、明言したのであります。先般来総理は、しばしば海外派兵はしないとの答弁をされております。その答弁を同様趣旨のものと解す、すなわち、「佐藤内閣が続く限り海外派兵はしない」と解釈してよろしいかどうか、承りたいのであります。  第五、国際間の平和維持の課題として、核拡散防止ないしは核兵器全面禁止の問題があります。わが党は、常に核兵器の製造、実験、使用については、生命の尊厳という立場から全面禁止を主張し続けてきたのであります。総理は、平和維持の立場から、核拡散防止ないしは全面禁止に、いかなる主張をしてきたか、具体策を明示していただきたい。さらには、ジュネーブ軍縮委員会に加盟し、その主張を貫くため、これまでどのような努力をしてきたか。また、将来にわたってその努力を重ねるかどうか。  第六、これに関連して、総理は、憲法調査会の労をねぎらうため、憲法担当の国務大臣を任命し、調査資料の集大成をはかる意図を明らかにしたようでありますが、どういう意味か伺いたいのであります。さきにあげた世論調査におきましても、佐藤内閣にこれだけはしないでくれとして、戦争、再軍備、軍事基地化反対が二三%を占め、具体的には、アメリカの基地を日本に置くな、日本の基地をベトナムに使うな、戦争に巻き込まれないでという表現をしております。このように、憲法改悪、再軍備への国民不安は大きいと見なければならないのであります。したがって、総理は憲法問題についていかなる見解を有するか、明らかにしていただきたいのであります。  さらに、政府並びに自民党を中心として目下検討中といわれる小選挙区制実施こそは、明らかに憲法改悪への布石であり、かつまた、長く一党独裁への道を開くためであるという強い非難がありますが、この小選挙区制実施について、総理の見解はどうでありますか。  最後に、今日、日本経済は深刻な不況下にあります。企業倒産は相変わらず、九月には負債額一千万円以上のものだけでも件数五百十五件、その負債総額五百十五億円余と、三月に次ぐ数字を見せております。十月もまた、半ばを出ずして、その件数は二百件以上となり、いつ果てるとも知れない情勢であります。一方、消費者物価指数は、去る九月には東京で二二八を示し、政権担当の昨年十一月に比べて一〇%近くの上昇を見せ、生活不安の影もまた濃いのであります。これが佐藤内閣成立後の実態であり、不況、高物価は、その解決が国民大衆の強い願望として要請されているのであります。総理はその所信表明演説において、「景気は依然停滞の様相を続けているが、政府の景気対策の効果が逐次浸透して、景気は次第に回復に向かう」と言っております。一体いつごろから回復すると見ているのか。前国会政府答弁では、「秋に底入れして景気は上向きになる」と言明されたのであります。すでに秋となっております。いまだに製品在庫指数は上向きになっており、鉱工業生産指数は減少の傾向にあります。すなわち、これは八月に至っても景気は一向上向いてきていないことを如実に示すものであります。総理の言われる、効果が逐次浸透するとは何を意味するのか、一体いつになったら景気は底つき、反騰を見せるのか、施策の効果促進策はあるのか、お伺いしたいのであります。再三にわたる金利引き下げ、金融緩和も、景気の転換とはならなかったのであります。このことから、強力な景気刺激策をとる必要があります。一部においては、大減税を年内に行なって、最終需要の喚起と中小企業のてこ入れを行ない、景気回復の策とせよという戸があるのでありますが、政府はどうお考えか、承りたいのであります。  さらにお伺いしたいのは、一体、政府は現在の景気に対し、循環論か構造論か、いずれをおとりになっているかということであります。改造後初の六月九日の第一回経済政策会議では、不況対策を講ずるほど重症でないと言っていたのが、第四回の七月二十七日の会議で、金融緩和だけでは不況解消はできない、有効需要の増大をはからなければならないというように変更したのであります。結局、景気循環説からした考え方によったため、見通しを誤ったと言えるのであります。そのため、経済構造上からきた不況を放流したために景気対策がおくれたと言えるのでありますが、政府はその責任をどうお考えか、お伺いして、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  わが党のアジア外交の基本は、たびたび申し上げましたので、よく御承知のことだと思います。私どものねらっておるものは、アジアの平和と繁栄、これを実現するために最善の努力をするんだ、かようなことを念願しております。なぜかといえば、アジアが平和であり、繁栄するならば、それはわが国の繁栄でもあり、安全でもある、わが国につながるものである、またこのことは世界につながるものだ、かように考えておるからであります。しかしながら、御承知のように、ただいまアジアは、不幸にいたしまして、世界の問題をあらゆる面にかかえております。韓国の二つの国、あるいは中国の二つの国、あるいはベトナムにおいて、あるいはインドとパキスタンの関係において、あるいは中印国境において、あるいはインドネシアとマレーシアとの関係において、あらゆる面におきましていわゆるホットの状況にある。たいへん私どもはむずかしい問題と取り組んでおるのであります。しかし、私は、ただいま申し上げますように、わが国の安全を確保する、また繁栄を願う、こういう意味におきましては、このことは最も大事なことだと思います。ことに、わが国が自由主義陣営の一員であること、これには間違いございません。公明党の方もその点は、はっきり認識しておられることだと思います。また、AA会議の会員ではあるが自由主義陣営の一員である、こういう立場でAA会議の会員たるつとめを果たしつつあるのが現状だと私は思います。ただいま、日本の安全はわが国の自力だけではこれを確保することができないまことに残念な状況でございます。そのことにおきまして、私どもは、日米安保条約、その条約のもとにおいて私どもが安全を確保しておる、そのもとにおいて今日の繁栄があるわけであります。この繁栄したわが国の力をもってアジアの繁栄に協力する、これはどうすればいいか。申すまでもなく、ただいま開発途上にある諸国に対してこれに積極的な援助を与えることである、かように私どもは考えております。これは、資金的な面だけではなく、技術的にもこのことが必要だと思います。この意味で国際協調の必要なことを私どもは痛感します。同時にまた、国連そのものがその機能を十分発揮するようにと心から念願もいたしております。こういう意味でアジアの問題と真剣に取り組んでいく、これこそわが国の自主自立の外交である、これは疑いのないところであります。  第二のお尋ねにつきまして、東南アジア閣僚会議というお話でございます。ただいま第一番に申しましたように、開発を進めることはこれは最も−緊要なことであり、その進め方、あるいはそのどういう点を最も希望するか等々の打ち合わせをすることが必要であろう、かように思いまして、ただいま東南アジア九カ国との経済担当あるいはその他の有力なる閣僚の会議を持ちたい、かように考え、目下その議題等については研究中であります。なお、詳細は外務大臣からお答えをいたします。  中国問題は、今日までたいへんむずかしい問題でございます。御承知のように、わが国は国府と条約を締結しておる、そうして中共とは、事実関係で政経分離の形においてただいま経済交流をいたしておる、このことはすでに御承知のことだと思います。で、今日まで、中共自身を中国の代表として国連に加盟させろ、国府を追放しろ、そうして中共自身がそれにとってかわるのだ、こういう中共支持者の提案による国連加盟の問題が出ておりますが、中国につきまして、中共も国府も、いずれも全体を支配する国だと、かように申しております。しかしながら、中共は一つだ、中国は一つだという考え方で主張しておることも御承知のとおりでございます。かような状態でありますだけに、ただいますぐこの問題は解決はできたい、しかしながら、この問題と真剣に取り組んでこれを解決するということは、これは必要なことだ、大事なことだ、最もこれは重要であり、しかも、ただいま申すように複雑な関係にある、国際的にも世界的にも、これは大問題である、そういう意味で、私どもは国連加盟、このことが重要問題として取り上げられ、そうしてわが国の国益と国際世論の動向とを慎重に見きわめ、これに対処していくというのがわが国の方針であります。先ほど、この重要問題事項、これをやめろというようなお話がございましたが、私はただいまやめる考え方はございません。(「佐藤さん、まっすぐ向きなさいよ」と呼ぶ者あり)質問者に向いて答えているのです。  また、中共自身が持っております核兵器の実情、これについてのお尋ねがございましたが、これは私が申し上げるまでもなく、なかなかその実情はわかりません。水爆を持っているとかいう「うわさ」も出ております。しかしながら、そういうことは私どもにわかりませんけれども、中国自身、中共自身が核開発については非常な努力をして、昨年に引き続き、本年も実験をしたという。しかもそれは、言われておるところでは、プルトニウムにあらずしてウランだと、かようなことが言われております。そういたしますと、これはたいへん高度なものであり、高性能のものであり、広島に対する二倍の爆発力を持つものだ、かようにも言われております。ただいま、これを空中から投下したということによりまして、さらにこれが軽量化される、あるいは小型化される、そういう努力を払われつつある、いずれは核兵器としてこれを使用するような時期にもなる、こういうことが言われておるのでありまして、私どもはただその情報だけを聞いている程度でありまして、たいへんわが国の安全のためにも心配し、またアジアの平和のためにもたいへん憂慮しているような実情であります。事実、この実情は詳しくはわかりません。あるいはミサイルについても、運搬手段等も研究されておる、かようにも聞き及んでおりますが、それがどういう状況であるか、私はつまびらかにいたしません。  次に、ベトナム問題でございますが、このベトナム問題は、私が申し上げるまでもなく、北からの攪乱工作が停止せられ、そうして北爆がやまる、こういう事態が最も望ましいのでありまして、私どもは、一方的に北爆だけを非難したり、あるいは北爆だけを支持したりするような考え方ではなく、ただいま申し上げるように、北からの攪乱工作がまず停止する、そうしてこれに対応して北爆も停止する、こういうことでありたい。そうして平和が招来することを心から希望するのであります。  医療並びに民生安定についても、在来から私どもは協力する、人道的な立場から協力するつもりでございますが、今後もこの考え方には変わりはございません。これこそ私は平和外交を推進するゆえんだと、かたく信じております。  韓国の問題につきまして、北鮮と韓国との関係をいろいろ疑問視され、そして韓国と話をするのならば北鮮ともどうして話をしないかと、こういうことを言われておりますが、これはたいへんな問題でございます。御承知のように、国連決議の第百九十五号(III)、これによりまして私どもはただいまの韓国が国連決議による朝鮮における唯一の合法的な政府だと、かように考えておるわけでございます。(「聞き飽きた」と呼ぶ者あり)聞き飽きたと言われるが、しかしこれは、このことがわかっておるならば、もう韓国と話をすることに御了承だと思います。七十一カ国が承認している、二十三カ国が北鮮をやっておる、こういうことでございますから、これこそ国際的な大勢に私どもが従う、そうして今日、隣国韓国との修好を選んだ、その道を選んだことはおわかりだと思います。北鮮自身についてはそれがどうなっているか、かようなお尋ねでありますが、この点は、北鮮については今回の条約ではこれは白紙であります。在来の考え方を、取り扱い方を、私ども変更する考えはございません。  IECの入国拒否をいたしました問題については、いろいろ御意見があるようでありますが、今日これを許すことは適当でないと私どもは考えたのです。いわゆるケース・バイ・ケースで、この種の問題は片づけてまいるつもりでございます。  北鮮との国交正常化を阻害するものは何か、こういうお尋ねでありますが、これも聞き飽きたと言われるだろうと思いますが、すでに何度も申し上げましたので、この点は省略させていただきます。  その次に、北鮮も中共と同じように、同一の土俵の場で議論するように、これを国連に入れたらどうかということでございます。しかし、国連自身の権威とその権限を認めておらないのが北鮮だと思います。先ほど来、どうしてこの南北統一ができないのか、その原因は国連の決議を拒否しておる、こういうところにあるのであります。このことは北鮮自身が国連の権能を、あるいは権威を認めておらないからと、かように考えますので、かような状態で国連に加盟するということは考えられない。かように私は思います。  以上の結論から、今日私どもは日韓の交渉が妥結するその時期が来たと、かように実は考えるのであります。土曜日のこの席から韓国における世論調査の一部の実情も報道いたしました。また、昨日は、わが国におきましても、国内におきまして、読売新聞世論調査を発表しております。積極的に、日韓交渉、これについては賛成である。反対はわずか一二%で、四五%が賛成しておる。こういうことも考えまして、大多数の国民が今日隣の国韓国と修好を結ぶことを積極的に支持しておる、かように政府は考えておる次第であります。  なお、経済侵略の声があるとか、こういう際だから民間交渉でまずしばらくやって、しかる上で条約を締結しろというお話のようにも聞きましたが、これは私は官民一体となって、そうして親交関係を開く、これが必要な時期に来ております、かように私は思っております。戦後二十年、交渉が始まってからも十四年、これはもう、あわてて、尚早だというような時期ではございません。どうか御了承いただきたいと思います。  なお、この解釈についていろいろ食い違いがあるが、それは今日どうするのか、特に、政府は照会をするとか、あるいは調整するような考えはないかということでありますが、この段階において私はそういうような処置をとる考えはございません。御承知のように、条約はどこまでも条約に書かれている文言でお互いが義務を感じ、権利を主張する、かような状況でございますから、この点も御了承いただきたいと思います。  竹島の問題につきまして、たいへん私は政府が鞭撻をされたように思っております。たいへんありがたく思います。竹島は、わが国の固有の領土である、これを政府は主張する。主張するばかりでなく、それが実現するように最善の努力をしろ、かような鞭撻を受けたと、かように思っております。北方領土、あるいは小笠原、その他のものが、いまになお未解決、こういうような状況のもとにおきまして、政府はたいへん困難な事態に当面してはおりますが、日本民族の悲願達成のために最善の努力をすると、皆さま方の御協力を得たいと思います。  李ラインの問題につきましてもいろいろお話がございましたが、ただいま李ラインについて、民間におきましても相互に安全操業等について具体的な話し合いが進んでおるようであります。この点は安全操業上たいへんけっこうなことだと、私かように思っております。問題は、どういうことをきめると申しましても、多数の国民同士が親交をする、そうして友好関係を樹立する、こういう協力なければこれはできるものではありません。そのためにはやはり相互信頼が大事であります。相互不信感を払拭することもこれまた必要だと、かように思いますので、この上とも努力してまいるつもりであります。  次に、国連機構についてのお尋ねでありましたが、国連は平和維持機能を十分発揮するようにつとめたいものだと思います。これは分担金だけの問題ではもちろんございません。椎名外務大臣が最近参りまして詳細に演説をしてまいりましたので、詳しくは椎名外務大臣からお聞き取りをいただきたいと思いますが、この国連協力は、ひとり軍事的あるいは警察的だけのものではございません、文化的にも、あるいは医学上の問題におきましても、いろいろ協力の面があるのでありますので、十分その協力がどういう点にあるかを考えまして、そうして私どもが憲法を守り、またその他の法律を守って、ただいまのような派兵なぞは考えないで、そしてその他の平和的な面におきましては積極的に協力することが望ましい。これはひとり金だけの問題ではなく、人的の面においても同様なことが言えるのであります。池田内閣におきましても、池田内閣が続く限り派兵はしないと、かように申したと言われておりますが、私どもも、ただいまの憲法のもと、ただいまの自衛隊法のもと、こういう法律のもとにおきまして、派兵などは考えておらないことをはっきり申し上げておきます。  核兵器の問題につきまして、核兵器の不譲渡あるいはこれを取得しないというだけでは全面禁止はなかなか実現しないと思います。私どもは核兵器は絶対に持たない。自衛のためにもそのようなものは持たない、かようにしばしば申し上げておりますが、この核兵器を持たない国の安全はしからばだれが保障してくれるのか。これこそ国連自身がそういう立場に立ちまして、この非核武装の諸国の安全を保障する、そういう事柄がまず必要だ。そうして全面軍縮、そういう方向において初めてこの核兵器の核散防止が実現するのであります。効果的な実が結ぶのであります。私はそういう意味で、これは人類の悲願でありますので、皆さま方とともどもにその悲願達成のために努力をいたしたい、かように思います。  次に、ジュネーブの軍縮会議のメンバーになれと、こういうことでございますが、これまた御声援をいただきましたので、あらゆる機会にさような方向で努力をいたしたいと思います。御承知のように、一九六〇年、六一年、すでにこの問題が議論されたのであります。その当時は、不幸にいたしましてソ連が反対をし、実現をしなかったのであります。しかし、今後ともあらゆる機会をつかまえまして、そうして努力して、ぜひともジュネーブ会議の軍縮会議のメンバーに入りたいものだ、かように思います。  次に、憲法調査会の担当大臣を設けると言ったが、それはどうかというお尋ねであります。これは私が申し上げるまでもなく、あの憲法調査会は、あれだけのりっぱな方々に委嘱いたしまして、そうしてほんとうに長い間の研究を遂げられ、そうして調査報告をただいままとめられ、そうしてそれが提出されたばかりであります。私は、政府が憲法調査会に委嘱し、こういう方々に多大の労苦をかけたその労をねぎらうためにも、これは、はっきりこの憲法調査会のあと始末をする担当大臣というものを設けることが、これらの方々に対する当然のことではないか、かように私は思うのであります。今日この担当大臣を設けることは憲法改正に踏み切った、かような問題ではございません。扱い方を慎重にし、大事に扱った、それを形の上においてあらわすというのが、憲法担当大臣を設けようかというこの考え方でございます。  最後に、選挙制度についてのお尋ねでございますが、(「小選挙区反対」と呼ぶ者あり)小選挙区反対だとおっしゃいますが、ただいまこのことは選挙制度審議会にちょうどかかっておる最中であります。また、この選挙制度審議会におきましては、各界の方々の御意見も聞きますが、同時に、各党からも専門委員、特別委員等が出て、いろいろ審議を尽くしているのであります。これは、この選挙制度審議会、これの結論、その答申を待って政府が結論を出し、また、同時に、国会におきましても十分御審議をいただくことでございますので、ただいま私はどういう考え方をしておるとか、かような状態ではなく、ただ審議会の答申を尊重する、そういう態度であることだけ皆さん方にお答えをいたしておきます。(拍手)    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇拍手
  19. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 総理によって大体御答弁は済んでおりますが、なお多少補足をして私からお答えしたいと思います。  まず、東南アジア経済開発に関する閣僚会議の構想を示せというお話でございまして、大体の構想は総理からお話がございましたが、若干つけ加えて申し上げますと、これは結局、東南アジアのわが国に対する政治関係、経済的関係はきわめて密接なものがございまして、東南アジアの動揺が平静化し、貧困が繁栄に変わるというようなことになりますれば、これはとりもなおさず、日本の平和、安全並びに繁栄につながるものである、こういう見地から、この際、東南アジアに対するいろいろ経済援助のことをいわれておりますけれども、その実効はきわめて微々たるものであるのでございます。これらの国とともにいかにして東南アジアの開発をやっていくか、お互い連帯感を強めて、そうして自発的な意欲をここにかき立てる、そうして自由活発な討議の上にそれぞれの具体的方策を定めて、これを推進することが最も有意義である、かような考えのもとに、ただいま各国の意向を打診中でございます。これはイデオロギーをこえた、いわゆる東南アジア一体となって経済開発に立ち向かうという趣旨のものでございますから、イデオロギーを全然超越しておるものであります。これに全部招請国が応ずるかどうか。ただいま、まだ確定的には申し述べられない段階にありますので、御了承をいただきたいと思います。  それから有償無償の問題についての御質問でありまして、総理の御答弁はこれが抜けておりますので、追加いたします。有償は何といっても金を貸すのであります。無償はただで差し上げる。有償でございますと、たとえその条件がいかに緩和されても、ただでやるのと貸すのとでは違うのです。これは違いがございます。しかし、ひとしくこれは韓国の経済復興に協力すると、こういう意味のものでございまして、これらの問題につきましては、条約にも関係条文にも書いてございますので、わが国としてもその内容を十分に検討して、これが韓国の復興のために有益であるかどうかという判断をして、この問題をきめるということになっておるのであります。  それから生産物及び役務の供与、これは明文にも書いてありますとおり、軍事的なものは含まない。すなわち、兵器弾薬はこれを含まない。その他の問題につきましても、あくまで韓国の経済復興に役立つかどうかという問題を中心として考えてまいるということになっております。  それから国連の問題につきまして、わが国は申し上げるまでもなく、国際紛争解決のための武力あるいは軍備というものは一切憲法上これを認められておらないのでございまして、国連のほうからいかに要請がありましても、この憲法のたてまえに抵触する限りにおいては、これは協力はいたさない、こういうことでございます。それから国連の平和活動に協力するというととは必ずしも兵員のみに限るのではない。やはり経済的にこれに協力する、支援するという道も開かれておることを、御参考までに申し添えておきます。  大体以上でございます。(「漁船の問題はどうした」と呼ぶ者あり)  漁船の拿捕は、やはり個人として韓国政府に請求する権利は、これは認められておりますけれども、しかし国と国との間においてこれを促進する、あるいはこれを助けるというようなことが禁じられております。そういうわけで、結局、拿捕漁船に対する損害請求の問題は、これは実際問題としては封ぜられておる。その結果、国内的にどういう措置をするかということにつきましては、もちろん十分にその償いを政府において考えなければならぬという方針はすでに明らかにしておるのでありますが、まだ具体的に決定はいたしておりませんが、そういう趣旨において、できるだけ早くこの問題の結論を得たい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇拍手
  20. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) 二宮さんにお答えをいたしたいと思います。  御質問の要点は大体三つにしぼられると思いますが、景気は構造上の問題であるか、景気はいつ出るか、他の対策は必要なのか、大体この三つにしぼられると思います。  今日の景気は私は構造上からきていることであって、循環的なものでないと考えております。ただ、先ほど御指摘のございました六月初めの政策会議では、若干その点で違っていたのではないかということでございますが、これは長い間やはりやってまいりました状況に対して、これらの問題を構造上から対策をするという関係においては、率直に申して、若干もたついたことはございます。しかし、今日では、政府としても構造上の問題としてこれを取り上げていく。したがって、今後の景気対策におきまして、長期にわたって構造的な対策をする。つまり大きな企業の伸びに対して、中小企業の合理化、あるいはその伸びが少ない、あるいは産業の規模に対して、道路、輸送関係が必ずしも平衡を得ていない、それぞれ幾多の問題がございます。これらの問題をやはり解決してまいりませんければ、真の安定した成長には乗せ得ないと思いますので、われわれは、そういう意味において対策を用意しながら努力をしてまいりたい、かように考えておるのでございまして、今後の財政事情をも勘案いたしまして、これらのものを逐次進めてまいりたいと思います。  で、七月二十八日の政策会議における諸般の対策が出たにかかわらず、今日までまだ十分ではないじゃないかということでございますが、確かに九月の経済諸般の指数というものは、必ずしもよくございません。また、非常に改善したとはいえません。ただしかし、政策会議決定いたしました二千百億円の財投その他が出ましてから一カ月半ぐらいのところでございますので、今後これらのものは相当な波及効果を及ぼしていくということを考えていかなければなりませんし、これらのきめた問題が着実に実行されるととが必要なのでございまして、それらの点については、大蔵大臣も特に注意をして陣頭指揮をされておりますので、われわれは、これが所期の効果を次第にあげてくるものと考えております。これらの効果があがってくるかどうかを見ながら、われわれは、今後の対策が必要であるかどうかを考えていくことにいたしておりますので、ただいまそれらの問題を見守っておる次第でございます。  同時に、この際御理解を得ておかなければなりませんことは、景気が回復基調に向かいましても、一年半あるいは——以前まで続いておったような非常な高度に膨張した景気がすぐにやってくるということにはならぬのでございまして、徐々に景気が上昇過程をたどっていく。したがって、過去におけるような急激な景気が再びすぐに戻ってくるということには考えられない点を、御了承いただいておきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  21. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま藤山大臣からの御答弁で大体尽きておるように思うのでありますが、私も、今日の景気は非常に深刻で、これが解決は、一服で直すというわけにはまいらない、あの手この手、あらゆる手段を尽くして初めて回復できる、かように考えておるのであります。そういう見地から、金融政策につきまして、公定歩合の三回にわたる引き下げを行なったわけであります。従来でありますると、公定歩合操作を中心とする金融政策で大体直ったのでありまするが、今日の景気はそういう様相ではない。さらに、これは財政が異例なことではあるけれども出動しなければならぬ、こういうふうに考えまして、財政措置もとったのでありまするが、これもすぐ効力を生ずるというわけにはまいりませんで、準備の期間も必要であります。私どものいま確認をいたしておるところでは、財政投融資、これが最も景気に密着しておるのでありまするが、これは実質的には今月から支払い段階が始まる、まあ年内に半分以上の支払いを了するというような進行過程でございます。  また、この第三・四半期におきましては、米の収買なんかもありまするので、財政から金融界に対しまして非常な散布超過の状態が出現いたします。金利の引き下げの傾向も一段と高まってまいるのでございまして、私は、この第三・四半期の経済の動きが非常に重大である、これを慎重に注目してまいらなければならぬ段階である、こういうふうに考えております。その推移によりまして臨機の措置をとる、これが私どもの政府の基本的な考え方でございます。  なお、ただいまそういう考え方の一環として、年度内の減税を行なったらどうかというような話がありましたが、減税を行なうだけの財源がありまするならば、むしろ景気対策といたしましては、積極的に公共事業等を行なうというほうが効果的であるというふうに考えておりますが、ただいまは情勢の推移を見守ると、こういう段階であるというふうに御了承願います。(拍手)     —————————————
  22. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 曾祢益君。    〔曾祢益君登壇拍手
  23. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は、民主社会党を代表して、日韓問題を中心とする外交政策について、政府所信をただしたいと存じます。  われわれは、かねてから、わが国と最も近い隣国である朝鮮に対し、不幸なる過去を反省して、独立国としてこれとの友好を樹立することは、わが国平和外交の当然の帰結と主張してきました。しかして、南北両朝鮮の平和統一が近く実現の見込み薄い以上、これを待つことなく、国連が唯一の合法政府と認めた韓国との間に、まず懸案の解決をはかり、国交を樹立することは、かつての多数講和から全面講和への道と同様、これまた当然であり、(拍手)加えて、とりあえず南朝鮮に民主主義の成長と経済的政治的安定をもたらし、平和統一への基礎を固めることは、わが国の平和と安全に貢献するものと信ずるものであります。(拍手)わが党はこの見地から、日韓国交正常化に賛成し、かつ、日韓条約、協定の批准成立に賛成の原則に立って、これが慎重審議を主張するものであります。国会の審議にあたっては、あらかじめイデオロギーで賛否をきめてかかるのではなく、あくまで、わが方の利益がどこまで守られたか、譲歩の限界がこれでよいかなどの内容に即して、冷静に判断すべきは申すまでもありませんが、特に条約などの解釈について、双方に根本的な食い違いが存するがごときことは、許されないのであります。よって、まず次の諸点について、総理の明快なる答弁を求めます。  一、管轄権問題について。国連尊重のたてまえから、国連総会決議第一九五号(III)に従って、韓国を唯一の合法政府と認めるのはよいが、同じ決議自体が、韓国の管轄権が事実上南半分に限られていることをも明らかにしております。さらに国連は、第十五、十六回総会で、韓国代表のほかに条件を付して、すなわち国連の権威を尊重、この条件を付して、北鮮代表をも招致することをきめました。以上の経緯から、日本態度としましては、韓国は唯一の合法政府、北鮮は事実上の政権というたてまえを貫くべきは当然と信じます。また、基本条約もさように解釈すべきであり、条約の結果、日本が北鮮政権とのいろいろな事実上の関係を持つことを禁ぜられるいわれは断じてないと思うがいかん。また、韓国の憲法のたてまえがいかにあれ、条約上はこの解釈に韓国も従うものと考えてよろしいかいなか、お答えを願いたい。  二、竹島問題について。このたび、日韓交渉の妥結にあたって、ついに竹島問題の解決を見ず、両国の主張が平行線に終わったことは、はなはだ遺憾であります。ただ、韓国側の竹島領有の主張がいかに強くとも、彼もまた本件が日本側との紛争問題であることを認めているようであります。したがって、問題は、韓国側が、紛争の解決に関する交換公文に従って、この問題を外交的に処理することを認めるかいなかであります。首相の言うごとく、わがほうが領土権を主張するだけでは解決になりません。首相は、多少の時間をかけても、竹島問題は、たな上げでなく、両国間の外交交渉あるいは調停によって解決する自信をお持ちであるかいなかを明らかにされたい。  三、李ラインについて。韓国側の国内向けの説明ぶりや、政府の宣言、国内法の存続にもかかわらず、日本側の漁業の操業と船舶航行の安全については、韓国側も漁業協定を順守し、これによってのみ規制されることに同意しているのかいなか。換言すれば、季ラインは、わがほうに関しては、実質的に撤廃されると判断してよいか。政府は、さらに、韓国側の関係国内法等の廃止と、六年後の無協定の事態を避けるための措置を明らかにすべきと思うがいかん。お答えを願います。  次に、日韓条約等の可否を論ずるにあたって考慮すべき第二の点は、条約、協定が実施された場合、はたして両国友好親善の実をあげ得るかいなかであります。これについては、両国側それぞれに危惧の種があります。わが国内においては、次の諸問題があります。  すなわち、一、日本側の請求権の放棄にからんで、朝鮮からの引き揚げ者のいわゆる在外財産の補償と、抑留漁船、船員等、特に零細なる人々に対する各種の補償、弔慰金等をいかにされるのであるか。  二、在日韓国人の法的地位と待遇に関しては、永住権の付与の範囲や処遇の内容がわがほうの譲り過ぎであって、ためにかえって日本社会との融合に害があるのではないか。また、北鮮系住民と韓国系住民との差別待遇などから、治安上の問題を起こすことがないのかどうか。  以上の諸点についてのわが国民の不安と不満とを残したのでは、日韓国交調整も日韓親善の道に通ずるとは一言いがたいと思うのであります。よって、外相及び蔵相、農相、法相、それぞれの答弁を求めます。  他方、韓国側の問題といたしましては、主として野党及び学生などの間に、わが国とは反対に、条約、協定の内容が屈辱的であるとの反対論があるようでありますが、政府は韓国国会批准後の政情をいかに判断しておられるのか。韓国の国論の大勢が反対に回るとか政変とかは予想されないかどうか、首相の率直な所見を伺いたいのであります。  さらに重要なことは、条約、協定が実施され、特にわがほうの経済協力や援助が実行された場合、これが韓国の危惧する日本の経済的侵略にならないよう、また他面、わが国の労働君や中小企業がおそれる、韓国を基地とする低賃金、ソシアル・ダンピングが起こらないように取り計らうため、政府はいかなる態度日本資本の動きを規制する御意向であるか、首相よりお示しを願いたい。  同時に、韓国側に対しても、日本の協力と援助が浪費され、一部特権階級の利益にのみ奉仕し、韓国の民主化と経済の安定に貢献しないような事態を避けるため、日本政府は正当な要求を行ない、かつ、ときとしては歯にきぬを着せない友誼的な勧告をためらってはならないと信ずるがいかん。  また、今回の日韓国交調整を機として、韓国の従来の反日教育を改めさせるため、政府はいかなる施策と見通しを持っておられるか。  以上二点について、総理の見解をお聞きしたいのであります。  次に、中国問題についてただしたいと存じます。  佐藤内閣は、組閣以来、中国問題の重要性を説いてきたにかかわらず、今回の所信表明において何らこれに触れるところのないのは、全く自信喪失のいたすところと受け取るほかはございません。今回の国連総会においては、かねてわが党の予言したごとく、中国代表権問題が大きな山場を迎えることになります。しかも、イギリス、イタリアあるいはシンガポールなど、ますます多くの自由な国々が、わが党の言う、一つの中国すなわち中共、一つの台湾方式による中国代表権問題の解決の方向に動きつつあります。政府は、世界の動向を察知し、日本独自の外交を進めるため、中共の国連加盟の阻止や中国問題の討議たな上げを策するような、従来の消極的な態度を一てきし、中国代表権問題の解決に積極的に貢献するため、わが党の方向に進むべきであると信じますが、政府、首相の決意をお伺いしたいのであります。  また、総理は、ベトナム戦争の平和的処理を望んでおられるが、たとえば国連総会にみずから出席するなどの積極的なる行動をもって、平和解決への熱意を示すべきであると思うがいかん。  最後に、総理に対して一つの要望がございます。それは、日韓国交正常化並びに中国問題の解決、ベトナム戦争の終結の努力と並んで、わが国外交の最大の問題である、一九七〇年いわゆる日米安保条約改定期にいかに対処するかについてであります。われわれの見るところでは、一方では、岸・元首相その他の極右の人々の憲法改正、再軍備論があり、他方では、極左の人々の安保の一方的廃棄、自衛隊解散の主張があります。私は、かかる両極の激突から、わが国の平和安全と議会制民主主義を守ることこそが、国会国民に対する最大の奉仕だと信じます。そして、この道は、憲法改正反対、そして限定された自衛力と、駐留なきアメリカからの安全保障の方向に向かって、安保を改定する以外にあり得ないと確信するものであります。このような方向への国民の総意結集のために、総理努力の積み上げをいまから期待したいと思うが、首相の率直な見解を承わりまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。建設的な御意見を述べられたことに対しまして、心から敬意を表します。(拍手、発言する者あり)  日韓条約の問題につきましては、御指摘になりましたように、不幸な過去を反省することが最も必要なことだと思います。そして、善隣友好の関係、これはもう外交の基本でございます。その基本である善隣友好を進めていく、こういうことでありたいと思います。国連が認めた唯一の合法政権、第百九十五号(III)、これによりまして私どもは韓国と話をつけていく、ただいまこれが必要だ、これが隣国であるというので善隣友好の実をあげていこう、こういうのでございます。その場合に、北鮮が事実問題として厳存しておることは、これまた御了承のとおりであります。私は、この北鮮問題については、今回の協定は何ら規定しておらないのでありますから、在来の扱い方を変えると、そういう考え方はございません。先ほども二宮君にお答えしたように、ケース・バイ・ケースでこれらのものが処理される、かように御了承願いたいと思います。第二の問題といたしまして、ただいまのことにつきまして、韓国側におきましても、民主社会党の調査団が現地に派遣された結果、これらの点については、一応現地の韓国側の考え方も了承されたことだと思いますので、重ねて申し上げません。  竹島の問題につきましては、これは明らかに紛争問題である。両者がその固有の領土と主張しているということは、御指摘のとおりであります。私どもは、これをたな上げする考え方はございませんので、適当なときに、必ずこの問題を平和のうちに交渉で解決をしていく、こういう態度をとっているのでございます。この点は、外務大臣がすでにこの席からお答えしたと、かように思いますが、それにかわりはございません。  また、李ラインの問題につきまして、今後安全操業ができる。しかし、六年後になればたいへん心配だと言われておりますが、御承知のように、公海自由の原則がまず認められた、かような状態でございますので、六年後におきまして、再び過去のような不幸な状態に返る、このことを今日心配することはお互いに避けて、むしろ積極的に信頼感をもって、そして両国の親善を樹立する、かような方向で努力すべきではないか、私はかように思います。  批准後の政情につきましてお話がございましたが、これは一昨日もお答えいたしましたように、私、むしろ韓国の政情は今日安定している。世論もこれを支持している。野党の反対もございましたが、民衆党も復帰し、国会も正常化しつつある。かように考えております。また、一部におきまして、これは屈辱的な外交だ、かような言い方をされておりますが、日本におきましても、やはり同じ言い方をする向きがございます。こういうところが、十四年もの長きにわたった相互互譲、妥結——お互いに譲り合って、そして妥結した、その成果でございますので、全部が十二分あるいは満足するような結果ではないだろう、かように思いますが、こういう事柄はむしろ今後前進する、その方向を示すものであり、私どもも歓迎したいと、かように思います。ただいま経済成長はお答えいたしましたように八%、これは昨年からでございます。ことしは米作も平年作を上回っているというような状況でございますから、政局についてはますます安定してまいるものと、かように考えます。  また、日本からまいります資本の規制につきまして、これは産業界の協力を得なければなりませんが、同時に、韓国の受け入れ態勢といたしましても、資金管理委員会、これを各界——もちろん与野党の議員もこれに参画をして、いわゆるガラス張りの中で、この経済協力と取り組むという姿勢をとっておりますので、これも御心配のような事柄はないのではないかと私は思います。  反日教育云々のお話がございましたが、お互いに率直な意見を述べることは、たいへんけっこうなことだと思います。しかしながら、お互いに平等互恵の立場に立って、それぞれの独立は尊重していかなければならないことは当然でございますので、ただいまどういう教育をしておるか、これは韓国政府において扱うべき事柄だと、かように思いますが、伺うところでは、教科書の反日的色彩等を是正するようにいろいろ努力されておる、かように伺っております。  在外財産、あるいは拿捕漁船、在日韓国人の処遇、また、それからかもし出される治安上の問題等につきましては、それぞれ担当大臣からお答えしたいと思います。  次に中共の問題。これは古くして新しく、いつも重大な問題である、かように思います。今日、私は、日韓の国交を正常化する批准をいたしまして、これで初めて、わが国のアジア外交、この第一歩が開ける、かように考えておりますが、しばしば申し上げますごとく、わが国はいずれの国とも仲よくする、これが、共産主義の国であるからといって、これを敵視するようなことはもちろんいたしません。いずれの国とも仲よくするという基本的態度をとっております。それには、お互いに独立を尊重することだ、お互いに内政に干渉しないことだ、このことは絶対に必要なことでございます。そういう意味で、それぞれの国におきましても、わが国の独立尊重、同時に、内政に干渉しない、あるいは国内における反政府運動を激励するようなことのないように、心から願っておるような次第でございます。在来どおり、重要問題として国連においては加入問題を審議されることを心から願っております。これは、申すまでもなく、「一つの中国・一つの台湾」という考え方は、民主社会党の御主張でございますが、すでに、いままでも国連で議論になりましたのは、中共に代表権を与えて、そして国府を追放する、こういうような考え方で今日まで決議が取り上げられようとした。しかしながら、これではいかないというので、重要問題という主張をわが国はしておるわけであります。中共にいたしましても、国府にいたしましても、ただいまのところ、いつでも、その「一つの中国」、 これは絶対の主張でございますので、ただいま曾祢君の御提案のような考え方は、両者いずれもが受け入れない案だ、かように私は思いますが、しばらく、重要問題として、国際社会に重大な影響を及ぼすこの問題、これと慎重に取り組んでいきたい、かように思います。  次に、ベトナム問題について、私は、ただいま国連総会に乗り込むというのは、その時期ではないのではないか、かように思っております。平和への熱願、これは私も人後に落ちないつもりでございます。また、その時期であれば、必ず出かけて話を進めたいと思いますが、ただいまはその時期にあらず、かように私は結論を出しております。  次に、最後にお話がございました安保改定についての御意見であります。これは要望だと言われますから、あえてお答えすることはないのかと思いますが、一国の安全保障、これは、その国の力によって国を守るというのが当然のことだと思いますが、最近の戦後の日本、これは、事実、国力から見ましても、また国情から見ましても、わが国わが国の力でこの国の安全を確保するということは非常に困難である。かような状態でありますから、日米安保条約のもとにわが国の安全を確保しておる。このことは御承知のとおりでございます。そこで、次の一九七〇年になれば、これは改定の機会だと、この場合は、駐留——常駐しないような改正はできないかというお話でございますが、私はただいまの国際情勢に変化がない限り、また国情において、また国力において、さしたる変化がない限り、ただいまの状態を改正することは不適当だと、かように考えておりますので、このままでいくつもりであります。(拍手)    〔「議事進行」「答弁しろ」と呼ぶ者ありその他発言する者多し〕
  25. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) ただいまの佐藤内閣総理大臣の発言につきましては、議長において、速記録を調査の上、適当な処置をとります。(発言する者あり)    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇拍手
  26. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 海外財産の問題につきましては、ただいま予算を盛って、これを白紙の態度をもってこの問題を調査するということになっております。  それから拿捕漁船の問題につきましては、国内的な処理として、できるだけこの問題については手厚い解決をいたすべく、ただいませっかく関係各省において取り進めておる次第であります。  それから、在日韓国人の法的地位につきましては、譲り過ぎたというような意見もありますけれども、もともと、その意に反して、今回の戦争の結果、日本の国籍を喪失した、特殊の事情にある人について考えられたものでございまして、その特殊事情を考えるならば、決して厚きに過ぎるものではいと、かように考えます。子々孫々という永住権の問題については、要求がございましたら、ある程度でこれを切りまして、そして、それ以上は発効後二十五年の間に両国において協議をするということは、要するに、発効後、友好的な雰囲気のもとになごやかにこの問題を解決していくというところをねらったものでございます。それから、法的地位の問題は、正価から言うと韓国人に対してとられております。しかし、韓国人にあらざる北鮮系の人々に対しても、従来、正当に処理された状態に対して、決してこれをこの条約の発効によって、これに変更を加えて困らすというような考えは毛頭ございません。  以上申し上げまして、補足説明といたします。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  27. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私に対するお尋ねは、いわゆる拿捕漁船、それから在外財産の問題かと思いますが、拿捕漁船につきましては、ただいまその国内措置を検討中でございます。早急に出す見込みでございまして、決定次第これを発表して、なお、その予算的措置は、補正予算編成の際にこれを織り込む、かように考えております。また、在外財産全体につきましては、ただいま内閣に在外財産問題審議会を設置いたし、これにその処遇をおはかりしておるわけでございまするが、その結論を待ちまして、これに処置をする必要があるのかどうか、また、その処置をするならば、どういう処置をするかということをきめていく考えでございます。(拍手)    〔国務大臣坂田英一君登壇拍手
  28. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 拿捕抑留によって損害をこうむられた漁船乗組員等に対する対策につきましては、ただいま総理並びに外務大臣及び大蔵大臣からお答えがありましたので、そのとおりでございますから、繰り返すことはございません。(拍手)    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  29. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) お尋ねの件は、外務大臣が大体申し上げたようでございますが、多少補足いたしますれば、永住権を持つことになりまする在日の韓国人に対しまして、北鮮その他永住権を持たない朝鮮系の人たちとの差別がそこに生ずるのじゃないかということを御心配のお尋ねでございましたが、これは、このたびの協定には、韓国人を対象といたしましての問題だけでございます。その他の問題に入っていないのでございまするから、それは今後の問題でございます。それは、いままでの人たちの問題は、国内措置として当分はいままでどおりにやっていくつもりでございます。(拍手)     —————————————
  30. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 野坂参三君。    〔野坂参三君登壇拍手
  31. 野坂參三

    ○野坂参三君 私は、日本共産党を代表して、日韓条約について佐藤総理所信をただしたいと思います。  まず、今日まで衆参両院で、日韓条約の軍事的性格について、共産党や社会党の議員から質問が行なわれましたが、これに対して総理は、納得のいく回答を何一つ与えておりません。特に重大なことは、総理の言い分が現実の事実と全く違っていることであります。  第一に、この条約がサンフランシスコ条約締結以来、トルーマン大統領やダレス国務長官の指示により、アジアにおける軍事同盟の一環として計画され、その目的が、アジアの社会主義国を敵とする侵略的なものであることは、世界周知の事実であります。この政策に、歴代の自民党政府は積極的に協力して日韓会談を急ぎ、同時に、米韓との軍事的協力を推し進めてきました。たとえば、第二の朝鮮戦争に自衛隊を出動させる、いわゆる三矢作戦計画までつくり、また自衛隊は、米韓両軍との事実上の合同演習を毎年行なってきました。さらに、日韓台三軍の装備、訓練様式、暗号、標準時間等々はすべて統一され、軍事要員の交流もしばしば行なわれてきました。その上に、日韓台三国の指揮権は、御存じのように、アメリカ軍の手に完全に握られ、共同作戦の体制ができ上がっているのであります。これらの事実こそ、東北アジア軍事同盟が、事実の上ですでに結成されつつあることを示すものでなくて何でしょう。総理は、こうした動かし難い事実を認められるかどうか。その一つ一つについて具体的にお答えを願いたいのであります。  そして、このような戦争準備を今後もっと大規模に、もっと公然と行なわれるようにすることが、実は日韓条約のほんとうの目的でありまして、現にハウズ米軍司令官は、この条約によって米日韓三国の極東戦略上の地位が強化されたと、こう正直に語っております。これでも総理は、条約は軍事と関係がないなどと強弁し続けられるかどうか、答弁を求めます。  第二に、総理は、この条約に書かれている、国連憲章の原則による日韓両国の協力、こういうことが決して軍事的なものではないとか、また、自衛隊の国連軍参加は絶対にしないなどと大みえを切っておられます。ところが、自民党政府は、これまでも吉田・アチソン交換公文などによって、北朝鮮、中国への侵略をたくらむ在韓国連軍に対して全面的な協力を約束しております。また、最近椎名外務大臣は、本院の予算委員会やニューヨークで、自衛隊の国連軍参加を否定しないで、検討中だと語り、韓国の丁総理が、自衛隊の国連軍参加は当然だ、こう言ったことを裏づけております。さらに九月末の新聞は、自衛隊の国連軍参加は憲法違反でない、こういう見解を政府がまとめたと報道しております。以上の事実は、総理のことばとは全く正反対に、国連軍協力の名によって自衛隊を海外に派遣させようとする意図を示すものでなくて何でしょう。総理がみずからのことばに責任を持たれるならば、以上の三つの事実を直ちに取り消すべきでありますが、これについて総理の答えを私は求めます。  また、総理は、海外派兵しない根拠として、しきりに平和憲法を持ち出し、これを守るかのように言っておられます。しかし、われわれは、これを信用することはできません。なぜなれば、歴代の自民党政府は、いろいろの口実を設けて、ミサイルまで持った自衛隊をつくり上げ、また、安保条約でアメリカに軍事基地を提供し、戦争協力の義務を負うなど、明らかに憲法を踏みにじってきたではありませんか。その上に、憲法改悪の計画を進め、その担当大臣までつくろうとしております。これでは信用できないのは当然ではありませんか。もし総理が真に憲法を守るというのならば、自衛隊を解体し、安保条約を破棄し、憲法改正の意図を放棄し、その他数々の憲法じゅうりんの行為をやめるべきであります。それができない以上、総理に平和憲法を語る資格などは毛頭ありません。総理の見解を求めます。  最後に、日本共産党は、日韓条約の批准に反対し、直ちに条約を破棄することを要求します。朝鮮のことは朝鮮人民にまかせ、国連の干渉を排除し、アメリカ軍が南朝鮮から即時撤退すること、日本政府は朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視と南北統一への妨害をすぐやめることを要求します。この要求の実現こそ朝鮮民族の自主的平和統一への最も早い道であり、こうして日朝両国の真の友好親善関係を築くことができるのであります。これらの要求について総理の明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま野坂君のお尋ねは、いままでもたびたびこの席からお答えしたことでございます。ただ、残念なことには、なかなか納得のいくような答弁が得られないと、こういうお話でございますが、私は、これはものの考え方が私と共産党と違っているのじゃないか、その結果、なかなかこれを納得させようとしましても説得の効果はあがらない、かように実は思うのであります。  ただいまの第一の問題にいたしましても、事実について、この事実の結果かくかく推断するのだと、かようなお話でございますが、その多くは、野坂君の言われる事実は、事実ないことでございます。私は、そのことをたびたび申し上げておるのであります。ことに、自衛隊等のいろいろ問題を唱えておりますけれども、かような頭の問題の程度のもの、また、具体的な問題でないものを直ちに取り上げることは、当たらない、結論が出てこないのでございます。御承知のように、今回の日韓条約は、どこまでも十余年にわたる長い間、軍事的な話し合いは全然触れておりません。また、これは平和の文書でございます。このことをたびたび皆さま方に申し上げておるのでございます。この点は、いまの共産党のお話から私は疑問を持つのでありますが、北朝鮮がソ連や中共と結んでいる軍事同盟、これを一体どうお考えになるか。これもはっきりした事実であります。これについてのお答えも実は望ましいのであります。  その次に申し上げたいのは、憲法と国連協力との関係でございますが、この国連の協力につきましては、先ほど来もたびたび申しましたように、軍事的な派兵、海外派兵は私は考えておりませんし、また、考えることはできないただいまの憲法のたてまえでございます。自衛隊法もまた、自衛のためならともかくも、海外に出ていくというようなことは、これは予想だにしておらないのでございます。この点はどうか誤解のないように願います。わが国のはっきりした平和に徹しているこの態度を御了承をいただきたいと思います。  次に、ただいま、この批准に反対、即時これを破棄せよ、かように仰せられますが、私はただいま批准を求めておるのでありまして、破棄などとんでもない話であります。十分御審議を願いたいと思います。私はこの問題につきましては、アジアの主要国、自由主義の諸国は、これに非常に積極的に賛意を表しております。ただいままでのところ、反対は共産圏諸国並びに共産党の機関紙である、このことをはっきり申し上げまして、国民の協力を得たいと思います。(拍手
  33. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会