○
中村英男君
一つは
規制区域の問題ですが、これは
北朝鮮人民共和国のほうに
専管区域は及んでいないという
答弁、それはそうだろう。
規制区域は及んでいるのですね、中国とソ連のあそこにずっと
規制区域ができている。
規制区域内における規制は、これは
韓国と
日本だけです。そうすると、一昨々年、
北朝鮮に社会党代表が行きまして、金日成に会った際に、金日成がこう言っておるのです。船もほしい、それから
日本の漁師の方もどんどん、私のところは三海里ですから、あの李承晩
ラインみたいな不当な
ラインは
考えておりませんから、どうぞ操業してください、こうじょうずを言っておるのです。あそこは昔、清津を中心としてイワシの産地で、魚がたくさんとれていたところ、いまメンタイにしても、カレイにしても、マスもたくさんおるのです。非常に漁場が豊富なんです。そういうところへ
日本の
漁船が
規制区域で
許可されて行った場合に、
北朝鮮人民共和国との摩擦競合が起こった場合にどうするかという問題が
一つと、それから――何せ早くやれということだから……。沖合い底びき、以西底びき、まき網、合わせて十五万トン、上下十六万五千トンですね。船が制限され、漁獲量が一応制限されたわけです。ところが、従来、
李ライン付近で三十万トンぐらい操業しておったんですから、ですから、船はまあいま数字は言いませんが、以西が幾ら、以東が幾ら、まき網が幾らと、期間と統数が制限されたわけですね。この制限された統数の数と、十六万五千トン、この数字とのバランスですね、これは一そう当たりに割ってみると、非常に
漁獲高が少なくなるんですね、一そう当たりの。そういう点で、従来の赤字経営――これは大企業は別ですよ。中小企業は非常に経営が困っておるのに、こういう規制ができたために、こういう申し合わせができたために、一統当たりの漁獲量が非常に減って困るという問題が
一つ出たが、それに対して、時間がなかったら、
資料で
答弁。
それからもう
一つは、そういう事情ですから、国内の以西、沖合い、まき網の調整が非常にむずかしいと思うのです。もしそういうことがわかれば、県別、業種別に、ひとつどういう国内調整をしようとしておるかということを知らしてもらいたい。
それから、まだあります。それから、これは
一つの例ですが、沖合い
漁業つまり以東底びきは、三百メートルより浅いところでは五十トン未満の船です。三百メートルより浅いところでは操業してはいかぬということなんですね。これは操業禁止なんです。その上に、以東底びきは、済州島の何度ですか、
向こうに以東底びきの区域がありますね。あの区域の北のほうをちょん切られておるんです。今度の
規制区域の中へ入っているんですね。ここで操業しておった以東底びきは、実は
李ラインの中に入って操業しておったんですね。ですから、操業の区域というものが以東底びきは非常に制限されて狭まってきたんです。狭まってきて、正午を通知しなければならぬような規定になっておるんですね。これはもう手や足をくくって走れみたいなもので、以東底びきは非常に困ると思うんですね。ですから、以東底びきの
主張としては、かねがね以西底びきの地域であった以東の続きのほうへ入り会い
漁業として認めるべきじゃないかという
主張が出てくると思うのですね。すでに出てきておると思う。以西底びきは資本
漁業ですから、力が強いんです。力が強いから、私は
政府が困られると思うんです。当然な
主張ではあるけれ
ども、大きな企業ですから、大資本ですから、なかなか入れてくれぬ。しかし、これは、理論としてはそこに入り会い
漁業を許すべきじゃないかというこういう
主張は当然な
主張なんです。これは
一つの例ですけれ
ども、これらの国内調整というのは非常に困難ですから、そういうことを間違いないように私はりっぱな処置をすべきではないかと思う。これが
一つ。
まだたくさんあるんですけれ
ども、五分ぐらいでやめてくれという話ですから、一束にしてちょっと言うておきますが、それからもう
一つ一番
心配な点は、きのう
渡辺君がノリの問題を黒い何とかだと言うて、話がちょん切られたので、これは引き継いで私がやらなければならぬかなと思っておったんですが、これがまたできないんですが、まあそういう黒い霧かどうかわかりませんが、一番
心配なのは、
韓国への
経済協力の結果としてどういう結果が出てくるかといえば、北鮮は、地下資源もあるし、電気も豊富だ。農業を工業に切りかえる政策に成功しておるんですね。そうして貿易も競合しない。私は、数年前に、小坂さんが
外務大臣をしておるときに、松本君と私と伊関君と四人で、北鮮貿易を踏み切りなさいと。これに対する
日韓会談の反対の抵抗は違うじゃないかということで踏み切ったはずですね、
外務省は。ところが、
韓国との貿易というものは競合するものですね。坂田さんは、農林
大臣として、そういう点は、水産はふえてでしょうが、農業の問題はえてですが、あなたになって、米というものをばかにしないで、米の増産をしなきゃいかんという
主張をされて、私は非常にけっこうだと思う。歴代の自民党の内閣は米をばかにした政策をとって、去年からことしの端境期には非常に――去年もそうだ。ことしの端境期も非常に困ると思うんですね、米の問題では。
日本が
経済援助をすれば、
韓国で生産されるものは、電気、地下資源が少ないですから、基幹産業でなくして、農業、水産業、雑貨が発達すると思うんです。そうすると、一番端的に言えば、雑貨が逆輸入された場合に、
日本の中小企業者は、
向こうは低賃金ですから、コストが低い。それで逆輸入されてきて
日本の企業を圧迫せぬかという問題が
一つありまするし、これは通産
大臣の三木さんの所管でしょう。米の問題についても、米が逆輸入されてきて、
日本の農民がそういう形で――これは合理化してコスト・ダウンするのはいいが、そういう
外国から入れてきて、そういう形で
日本の米価を圧迫するということは忍びないことですね、増産しなきゃならぬという農民にとっては。非常に社会的に寄与している。
それからノリ、するめ魚ですね。いま、するめにしても、キロ五百八十円。これが、朝鮮のするめが入って、長崎では二百四十円ぐらいにたたかれておる。ノリがそのとおりですね。一円のノリが、思惑買いをして――これは業者じゃないですよ。朝鮮の金のある人が思惑買いをして、そうして
日本に入れて、
日本の商社もいま六十社か七十社かあるでしょう。商社か何かわからぬような商社があって、そうして
日本に入れて、去年はよかった。ことしは五十四億ぐらい
日本は生産するでしょう。官房長きょうおいでにならぬが、ノリを食う政策をやらなきゃいかぬというようなことを、しろうとですからそんなことを言ったけれ
ども、
日本人は
韓国へノリを生産することを教えて、そうしてこれを今度持って帰って有明海その他でもノリを増産して、どんどん増産して、五十億できるんですね。これに
日本の技術なり金が入ってくると、朝鮮のノリも五億から十億になるでしょう。
日本が買ってやらぬと
韓国の人は困るでしょうし、買ってやると
日本の生産業者を押えるという結果。そうして、近ごろ
漁業の体質改善だといって、エビをつくれ、タイをつくれ、やれハマチを養殖しろといって、せっかくそういう体質改善をしかけたところへ、
向こうのブリがキロ百三十円ぐらいで入るでしょう。二百円のブリの小型なのが、百三十円。あぶらの乗ったブリですから、
日本のそういう生産者はこたえますね。こういう問題が起こっている。サバやアジ、大衆魚が入ってくると、
日本の魚価を圧迫する、こういう問題。これはもちろん流通機構を整備すると言われればそれまでですけれ
ども、ノリの例を見ても、流通機構が整備されないんです。みんな中間マージンというかほかに逃げて、非常に生産者も消費者も困るという現実が出ているんですから、魚でも私はそういう点は混乱が起きると思んですね。
もう
一つ一番
心配な点は、これは基地が変動すると思うんです。少なくとも朝鮮海峡、
日本海における
漁業の主導権というものは、地場資本は駆逐されますよ、この
協定以後においては。地場資本つまり中小企業の沖合い
漁業というものは無力化してくるでしょうね。そして、大手筋が
日本海、朝鮮海峡の主導権を握るでしょう、資本力が強いですから。そうすると、
漁業の基地はどこに行くかというと、福岡、下関に集約されます。福岡の七十億が百二十億になり、下関の百億が百五十億になるけれ
ども、浜田や境やその他の今日までの基地は三十億の
漁獲高。浜田のごときはおそらく十億になるでしょうね。つまり、一、二の
漁業基地は発展するけれ
ども、その他の基地はこれは基地として無力化して、
漁獲高が減って、
経済の傾斜が起きて、非常に企業は困るという、こういう結果が出てくることが予想されますから、そういうことに対する将来の手当てというもの、
措置というものを非常に緻密にやらないと、たいへんな混乱が起きると思うんですね。
私はたくさん二、三時間あるんですけれ
ども、党のほうから五分でやめろということですから、一括してやりましたから……。