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渡辺勘吉君 これは出すと混乱をするから出せないのです。なぜ千七百隻にしぼったかということは、これは大問題であります。たとえば
韓国が出しておる
協定の解説の中で見ましても、「
日本側は、規制
水域内において沿岸
漁業に従事する
日本漁船の隻数を、千七百隻以下に維持すると約束したが、この隻数は、平和線近海に出漁する
日本沿岸漁船約三千四百隻に比べ半減されており、」云々と言うておる。すでにこれは
交渉の経過の中に、
日本側は三千四百隻を主張したということを物語っておる。これは三千四百隻にとどまらないのであります、私の資料によりますと。それから大体この押え方というものは、あの不法不当な李承晩ラインが
設定された以後の実績というものは実績ではない。それ以前からこの海区において漁獲をしておったその実績がやはり実績にならなければならない。こういう点から見ますと、この千七百隻というものは、いろいろ手続上とか
事務当局とかいうことがありますが、
事務当局であろうが何であろうが、私がここで具体的に審議するのに差しつかえがあるから要求したのですが、政府としては、これを出せばとんでもない混乱を業界に招くから出せない。私は、審議の促進上それを出せ、出せないということで、これ以上時間を空費したくないからまあ資料の提出は見合わせますが、政府が調査をした登録漁船による統計というものを三十八年度末に出しておる。そういうものによりますと、佐賀、福岡、長崎、熊本、大分、鹿児島、山口、鳥取、島根、兵庫、この一番
韓国の共同規制
水域に出漁しておった
関係の深い県だけを抜きまして、政府が発表した三十八年十二月三十一日現在の統計を見ますと、総体で、
韓国の
水域に行った以外の全体のまず登録隻数を見ますと、これが五万二百四十七隻あります。この十県のうち、特に玄海灘あるいは壱岐、対馬等を考慮しまして、佐賀、福岡、長崎については、三トン以上四十九トン未満の登録漁船、それ以外の熊本、大分、鹿児島、山口、鳥取、島根、兵庫については十トン以上四十九トン未満というものを整理をしまして、これは当然
韓国共同規制
水域へ出かける対象漁船であります。その中で朝鮮に出かけるのと近海で漁労するものとの割合が、それぞれの県によって従来の実績から割合があるわけであります。佐賀県は大体三トン以上四十九トン未満の漁船が四百四十一隻ありますが、このうち
韓国に出漁するのが三百九隻であります。近海操業が百三十二隻、福岡県におきましては
韓国出漁は五百五十九隻、近海には二百四十隻、長崎県の漁船については
韓国出漁が二千三百九十三隻、近海が一千二十五隻、これが三トン以上四十九トン未満の
韓国の共同規制
水域へ出漁する大体の実績であります。これは農林省の統計を私がさらに出向き先別に整理したものであります。熊本県は、これはさらに地域的に
韓国から離れておりますから、これらは十トン以上四十九トン未満に整理をいたしますと、百八十五隻のうち、
韓国へ出かけるのが百十一隻、近海が七十四隻、大分県についてはこれは八十三隻、近海が百二十五隻、鹿児島県は百六十四隻が
韓国向きになり、百六十三隻が近海漁労用、山口県は百九十三隻が
韓国へ出向きまして、近海には二百八十九隻、鳥取県は八十三隻が
韓国出漁で、三十五隻が近海、島根県は二百七十隻が
韓国出漁で、百十六隻が近海、兵庫県は二百八十九隻が
韓国、百二十四隻が近海操業ということになるわけであります。そこでこれらをトータルをとりますと、どうしても四千四百五十四隻というものがなければ、この零細漁家、漁民の
韓国に対する隻数というものが、従来の実績がそれだけ維持されなければならないということになるわけであります。その四千四百五十四隻という農林省の発表する統計の中から、私が過去の実績をもとにして出したこの数字に対して千七百隻で事足りるというようなごときは、業界の
関係者がこれに対する異常なる関心とその注目の中に政府の割り当てを見守り、各県がそれぞれ割り当てに狂奔しておる昨今の状況から見ても、一体これをどうする気かということ、安易な妥協によって
国内のこういう四千四百五十四隻の既得権を一体政府はどうしようとするのか。三十七年が千九百隻であるというようなことき、そういう数字を魔術的に使って、たった二百隻ぐらいのオーバーなら、こんなに
関係者が神経をとがらかしておるはずはないでしょう。政府は発表する勇気を持たない。県別の割り当てがいまあるはずです。各県から熾烈な要求がある。お願いじゃなくて要求があるはずです、既得権の上に立って。政府はこれを割り当てを発表できない。しかし、いずれは発表せざるを得ない。こういう大きな
食い違いが近々
国民の前に明らかにされる。これに対して千七百隻に妥協した政府は、一体これからどうしようとされるのか。農林大臣どうですか。