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政府委員(
北島武雄君)
歩積み・両
建ての問題につきましては、もうこれは
昭和二十五、六年ごろから
大蔵省の
銀行局で、まあ十数度にわたって
金融機関に警告を発しておりますが、とうとうなかなか直らなかった問題でございます。これが
国会で取り上げられ、
大蔵省も真剣になり、
公正取引委員会も極力こういうような不
公正取引はやめるべきだという前
委員長のかたい御決意で発足されまして、結局、昨年の六月、衆議院の大蔵
委員会の御決議もあり、これに基づいて、
大蔵省で各
金融機関に対して、この
歩積み・両
建ての措置についての通達を出したわけでございます。これによりますと、都市
銀行、地方
銀行はおおむね一年間、それから相互
銀行、信用金庫、これは特殊事情があります。約二年くらい、こういう余裕を置いて、この間に過当な
歩積み・両
建てをこれを全廃するように持っていく、こういう
指導の
方針を打ち出したのであります。これに基づきまして、ことしの五月末で
大蔵省銀行局が、各
金融機関からその実施
状況の報告をとったのであります。これによりますと、その通達にいわゆる過当な
歩積み・両
建てについては、都市
銀行、地方
銀行については、これはことしの五月でゼロとなっております。それから相互
銀行、信用金庫は約半減している、こういう報告になっているようであります。
公正取引委員会といたしましても、この問題につきまして昨年の三月、それから九月、それとことしの三月、三回にわたりまして、
中小企業者につきましてアンケート
調査をいたしたのでありますが、その結果によりますと、昨年の三月末におきましては、借り入れ額に対する抱束預金の比率が二九・三%、それから昨年の九月末の
調査におきましては、第二回目、これが二八・九%ということで、第一回と第二回との間では、ほとんど
改善のあとが見えなかったのでありますが、ことしの三月末の第三回
調査によりますと、
先ほど申しました借り入れ額に対する全抱束預金の比率が二一・五%というふうに、七%下がっております。この数字は、これは
大蔵省の調べとは対象も違いますし、調べる
方法も違っておりまするので、一致すべき性質のものではないのでありますが、傾向といたしましては、私
どものほうの
調査でも、これは
歩積み・両
建ての問題については、ある
程度の
改善が行なわれていると思っております。しかし、これが十分に満足すべきものかというと、私
どもとしましては、まだまだこれに相当の疑問を持っているわけであります。アンケート
調査におきましても、半分近くの方が
改善されてないという答えを出しております。それから実際にまた、
銀行局の通達が出ましてからあとでも、まあ厳密な意味ではあの通達に触れなくても、その裏をいくような
行為も行なわれているようであります。私はこれが決してまだ満足すべき
改善状態になっているとは思いません。ただ、
特殊指定の問題については、非常にいろいろ考えなければならぬ問題もまだあると思います。それから
大蔵省におきましても、最近さらにまた
歩積み・両
建ての
取り締まりを強化する
方針を立てておりまして、この十月からは、毎週一回、県庁所在地の商工会議所に財務部の職員を派遣いたしまして、一般の方から苦情を受け付けるということをいたしております。こういうことで、せっかく
行政指導もいたしておりますので、なおかつ、また相互
銀行、それから信用金庫につきましては、来年の中ごろまで余裕期間もありますので、私
どもはさらにこの
状況を厳重に見ながら、
状況の推移を見守りたいと思っております。もしその上、さらに
改善のあとが示されない場合には、私
どものほうとしましても、これは
特殊指定をとらなければならぬ、こう考えております。