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1965-10-20 第50回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月二十日(水曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  十月十九日     辞任         補欠選任      横川 正市君     瀬谷 英行君     —————————————     委員長         藤原 道子君     理 事                 谷口 慶吉君                 野知 浩之君                 相澤 重明君                 鶴園 哲夫君     委 員                 川野 三暁君                 久保 勘一君                 黒木 利克君                 宮崎 正雄君                 八木 一郎君                 山崎  斉君                 大森 創造君                 小酒井義男君                 佐野 芳雄君                 柴谷  要君                 瀬谷 英行君                 竹田 現照君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  宍戸 基男君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        法務省刑事局長  津田  實君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省農政局長  和田 正明君        農林省畜産局長  檜垣徳太郎君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業大臣官        房長       川原 英之君        通商産業省貿易        振興局長     高島 節男君        通商産業省繊維        局長       乙竹 虔三君        通商産業省鉱山        局長       大慈彌嘉久君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君        中小企業庁次長  影山 衛司君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     結城  茂君        大蔵省主計局主        計官       吉瀬 維哉君        海上保安庁警備        救難部長     猪口 猛夫君        建設大臣官房人        事課長      播磨 雅男君        建設省河川局次        長        青木 義雄君        自治省財政局指        導課長      及川 謙三君    参考人        首都高速道路公        団理事長     林  修三君        日本中央競馬会        理事長      石坂  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (前国会の小委員会報告に関する件)  (派遣委員報告等に関する件) ○昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算、昭利三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  十月十九日、横川正市君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     —————————————
  3. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、小委員会報告に関する件を議題といたします。  先国会、本委員会国家財政経理及び国有財産管理に関する調査の一環として設置いたしました首都高速道路公団に関する小委員会及び国有財産に関する小委員会調査経過につきまして、それぞれの元小委員長から報告を聴取いたします。  それでは、野知首都高速道路公団に関する小委員会委員長報告を求めます。
  4. 野知浩之

    野知浩之君 元首都高速道路公団に関する小委員会委員長報告。  本小委員会において、首都高速道路公団の千代田区隼町地内における第四百三十一工区、第三百二十五(その二)工区隧道新設工事等に関して調査した結果の概要報告いたします。その詳細につきましては、速記録で御承知願いますが、主として問題となりましたのは次の二項目であります。すなわち、  (一) 構造物が設計どおり築造されているか。  (二) 本工事請負者たる西松建設株式会社支給された鋼材管理状況及び残材返還に対する当公団監督に不備はなかったか。  右のうち(一)項について、公団及び建設省当局から、構造物としては設計どおりできていることを確信する旨、次のような説明がありました。  すなわち、本件工事現場における監督は、土木関係第一線に働く者約二十四名が従事して昼夜兼行で行なっており、本部の職員もたびたび現場検査に派遣され、工事に使用する鋼材についてはスティールテープにより使用量を確認し、現場写真並びに残材及び発生くず計算上から見ても所要の鋼材を使用したことは確信できるとのことでありました。しかし、公団職員監督上便宜な取り扱いをしたことの謝礼として請負者から収賄した容疑に基づき起訴されておる等の事実に徴しますと、構造物が設計どおり築造されているかどうかについてはなお問題が残されております。  (二)項については、公団側もその非を認め、西松建設株式会社支給する材料支給量の調整が悪く、同会社における支給材料管理及び公団側のそれに対する監督も不十分であり、支給当初一、二回分については公団における照合も行なわれていましたが、その後は、支給材料の増加と、工事施行の促進を迫られた事情もあって、なおざりにしていました。そのすきに乗じ、西松建設株式会社職員支給材料を横領する事件発生し、概算による支給材料一万一千百三十トン余(スクラップ分五百三十トンを含む)のうち設計変更の結果現実に使用さるべき一万百三十九トン(スクラップ分四百九十二トンを含む)との差、すなわち九百九十一トンの超過支給量残材として西松建設株式会社より返還できなくなったことを認めております。  これより先、行政管理庁は、当公団に対する監察に基づき、支給材料残材処理が適切でない事例があることを指摘し、三十八年六月、建設大臣に対し勧告を発しており、支給材料残材処理については特に留意を要するところであったと言わねばなりません。それにもかかわらず、本件工事について残材返還を受けられない結果となったものであります。  これを要するに、工事施行支給材料委託管理及び残材返還に関して請負者に対する当公団監督が不十分であり、また公団に対する建設省監督も行き届かなかったと言わねばなりません。  しかして、このような事態発生に対する公団及び建設省のとった処置は次のとおりであります。  公団の受けた損害三千六百二十九万六千七百三十二円については、請負代金未払い分二億円から差し引き計算し、損害賠償金として同額を四十年一月三十日に西松建設株式会社をして納入させています。また公団は同会社に対し三十九年十二月三日以降一年八カ月の間指名停止処分を行ない、また建設省としても同会社に対して建設業法に基づき同社関東支店管轄区域における土木工事に関する営業を一カ月間仮止させるとともに、建設省直轄工事については当分の間同社を契約の相手としないこととしています。  なお、右のほかの問題としまして、公団資金構成地方公共団体公団に対する交付金すなわち、補助金の制度及び関連街路建設費負担区分について、これを改善すべきであるとの発言がありました。  本件建設工事のこのような事態にかんがみまして、当公団並びに建設省は、今後公団業務体制刷新充実を期し、綱紀をひきしめ、いやしくも国民の疑惑を招くようなことのないよう善処されるようとの警告的発言がありました。  以上をもちまして報告を終わります。
  5. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいま元小委員長より報告を聴取いたしましたが、本件に関する調査は終了したものと存じますので、御了承をお願いいたします。  この際、委員長から一言申し上げます。ただいま元首都高速道路公団に関する小委員長報告の中で述べられましたことは、首都高速道路公団はもちろんのこと、政府におかれましても、その趣旨を体して善処されるよう、強く要望いたします。瀬戸山建設大臣
  6. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 首都高速道路公団工事に関連いたしまして、先般西松建設不正事件を惹起いたしましたことは、まことに遺憾に存じております。  当決算委員会におかれましても、この事件に関連して小委員会を設置されまして、過般来御審議を重ねられ、ただいまその報告がなされたのでありますが、その中で御指摘をされました点については、十分尊重、留意いたしまして、今後再びこのような不正事件を生ずることのないよう公団を指導し、監督する所存であります。  なお、建設省といたしましては、事件発生以来、その事後措置を厳重に行ないまして、厳正な職務執行をはかるよう公団に指示するとともに、関連業者処分を行ない、また公団においても、関係業者に対する処分不正事件を惹起いたしました職員に対する徴戒処分、資材の管理に関する業務執行体制改善等、必要な措置を講じてまいっているのであります。  なお、ただいま御報告の中にありましたように、いろいろ資料等によって調査いたしました結果、工事そのもの危険性については技術的に支障はないという確信をいたしておりますけれども、しかし、ああいう事態現実に起こっておるのでありますから、しかも重要ないわゆる高速道路でありますし、また隧道地区にも関係がありますから、将来とも懸念なしとは言えないわけであります。それにこたえて、公団当局としては、構造物変化を来たすかどうかということを検査するために、ひずみ計という機械を二カ所設置いたしまして、その変化を技術的に始終検査する、こういうことをやっております。四月以来それをやっておりますが、今日までの経過では何らの変化を来たしておりません。そういうことをして、将来万一の場合がないように、常に技術的に注意をする、こういう措置をとっておりますこともつけ加えて申し上げまして、今後厳に戒めていきたい、かように考えておる次第であります。
  7. 藤原道子

  8. 林修三

    参考人林修三君) ただいま首都高速道路公団に関する小委員会の御報告を受けまして、また小委員長から御指摘を受けまして、当公団といたしまして、この小委員会で御審議を受けましたような要件の発生いたしましたことは、世間をいろいろお騒がせいたしましたことは、まことに恐縮に存じ、また遺憾に存じておる次第でございます。  で、当公団といたしましては、御報告にもありますような措置関係業者に対してもさっそくとっております。それから、内部におきます職員に対する処分につきましても、適切な処分をいたすようにつとめたわけでございます。  なお、今後この内部管理事務刷新、強化、充実につきましては、御指摘の次第によりまして、今後とも鋭意つとめてまいりたいと存ずるわけでございます。私も、この五月就任以来、鋭意内部的な監督事務充実監査事務充実についてはやってきておるつもりでございます。今後かような事件の起こらないように十分な配慮をいたしていきたい、かように考えておる次第でございます。  なお、この問題を起こしました個所につきましての技術的なその後の安全性の確認につきましては、ただいま建設大臣からお話のありましたような措置もとっております。現在までのところ、問題を生ずるような点はないと確信いたしております。今後ともなお十分な検査監督をやっていきたい、かように考えておるわけでございます。  どうも世間をお騒がせいたしまして、まことに恐縮でございます。今後とも十分な措置をいたしたいと存じておるわけでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
  9. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本件に関する調査は午前中はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  10. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次に、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、派遣委員報告等に関する件を議題とし、調査を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 竹田現照

    竹田現照君 最初に、ちょっと質問の先が政府部内でもはっきりしておらないようですけれども関係の方が出席をされておりますから、お答えいただきたいと思います。  実は、十月五日に北海道釧路市の新富士海岸で、釧路市立共栄小学校の児童の炊事遠足爆発事故が起こりまして、三十三名に及ぶ死傷者を出す大惨事が起きているわけであります。ただ、事故の大きさに比べ、この問題が大きな社会問題として取り扱われていないためか、関係当局対策もたいへんおくれておることは、たいへん残念だと思うのでありますが、爆発の原因についてまだ詳細が判明しないということでありますけれども、その後相次いで流れております爆雷が旧海軍爆雷であることはほぼ確実のようであります。とすると、戦後二十年たった今日、なおこのような戦争の遺物が残り、そのためにこのような悲惨な事故が起こっているということに対して、どう考えられているのかお伺いをしたいのであります。  また、この種事件を取り扱う責任は一体どこにあるのか、話の持っていきようがないのが現状であります。したがって、私の質問も、政府のいずれに対して行なえばよいのかはっきりしないわけでありますが、総理府のほうでこれを取りまとめられているやに聞きますが、防衛庁警察庁、海上保安庁も出席されておりますから、この種事故に対する見解、同時に今回の事故について現在まで調査をなさっておられるならば、その結果についてお答えをいただきたいと思います。
  12. 結城茂

    説明員結城茂君) お答えいたします。ただいまの竹田先生の御質問でございますが、総理府といたしましては、一昨日の午後釧路市長さんが総理府に見えまして、御質問釧路海岸爆発事故についてお話がございまして、私どもお話を承ったわけであります。で、さっそくまあ、お話を聞きまして、内部で検討したわけでありますが、事件概要につきましては、御承知だと思いますか、海岸に流れ込んだ爆雷爆発した、そういうことでございまして、さっそく防衛施設庁等連絡をとりまして、現在、事故内容とか、それから責任問題等も検討しているところでございます。いままでのところはこういうわけで、一昨日話を聞いた内容のもので、まだ詳細は判明しておりません次第でございまして、ただいまのところ、関係庁に、そういう点の扱いのことをこちらのほうで調査したというような状況になっております。  以上でございます。
  13. 竹田現照

    竹田現照君 いまのお答えですけれども事故があってちょうどきょうで半月になるわけであります。それで、保安庁、あるいは防衛庁、海に流れていると海上保安庁、陸に上がると警察の所管だという話でありますが、今年になって釧路海岸にかなり爆雷が流れているということは、再三この北海道関係新聞にも出ているわけでありますから、保安庁警察としては当然これの問題に対する対処があってしかるべきだったと思うわけですが、三十三人からの——死者四名、重傷十名、軽傷十九名という、これはたいへんな大きな事故なんですね。いま、現地市長からきのう聞いたから、これから調査するというのでは、ちょっと手ぬるいわけでありますけれども、大体この爆雷が旧日本海軍の五十キロカーリット爆雷と称するものにほぼ間違いないということを釧路警察署が断定しているわけでありますが、これがもう再三発見をされている。さらにきのうの新聞ですか、いま稚内のほうの海底に砲弾の山があって、防波堤工事の中で発見をされた、そういうようなことで、たいへん物騒な話なんでありますが、こういうような状態が今後も続いていくということになると、たいへん国民の不安が大きなものがあると思うわけであります。冒頭お話ししましたように、子供事故でありますから、あまり大きな問題になっておらぬと思うのですね。これが海水浴などでかなりおとなの死者でもあったら、これはたいへんな大きな問題として新聞等にも報道されると思うのですね。こういうような問題について、いま突発的に爆発は一回でありますけれども爆雷が流れていることは再三にわたっているわけですが、こういうことについてどういうふうに関係当局として措置をされるのか。それから、一体この責任は、この旧海軍のこういう爆雷、あるいは陸軍の砲弾、こういう問題の処理責任は、現在政府の一体どこが責任を持っておられるのか、これをはっきりしていただかなければならなぬと思うのです。連合国関係災害補償法律がいまありますけれども、これはまあ連合国のいろいろな問題について派生をした問題についての補償でありますが、こういう旧軍のこの種事件に対して起きた災害補償というのですか、こういう問題について政府としてはどう考えられているのか。文部省の説明によると、授業時間中ですから、何か学校安全法とかという形ですね、死んだ子供たちには十万円、いま病気している者には入院料とかそういうものを見ると、こういうことになっていますけれども、あの安全法は、何も昔の爆弾爆発をして、それによって子供が死んだりけがをした場合を想定をされて立法された法律でないわけでありますが、この種の問題が現実に起きているとすれば、国家賠償に対する政府の考え方、あるいは法律が全然いまのところないとすれば、現行法律の中で、この種災害が起きた場合の賠償、こういう問題についてどう考えられているのか、お聞きをしたいと思う。
  14. 猪口猛夫

    説明員猪口猛夫君) 海上におきます爆発物件等処理につきまして、いままでの経緯をお述べいたしたいと思います。  終戦後、御承知のように、たくさん機雷等が敷設されておりまして、非常な海上は危険な状態でございましたが、当時海上保安庁航路警戒部というのがございまして、爆発物件除去及びその処理に当たってまいった次第でございます。しかし、昭和二十七年に海上警備隊が発足いたしまして、海上保安庁がそれまで持っておりました航路警戒部所掌事務は、海上警備隊の発足とともに現在の防衛庁に移管されたわけでございます。ただし、いわゆる海上にあります航路障害物除去に関しましては、海上保安庁も、海上保安庁法に定めるところによりまして私ども所掌事務になっておりますので、たとえば日本海等におきまして、投棄機雷、あるいは機雷らしきものが浮遊している際には、できれば私たちのほうで防衛庁連絡をとりながら機銃処分するというようなことをやっております。しかし、おおむね発見いたしました機雷——浮遊機雷も含めまして、漂着機雷にいたしましても、私のほうで発見いたしましたものは、おおむね現在では防衛庁——実際は海上自衛隊でございますが、それにお渡しいたしまして、その処分にまっているというのが現在のやり方でございます。
  15. 島田豊

    政府委員島田豊君) ただいま海上保安庁から御説明ございましたように、現在海上におきますところの機雷その他の爆発物等危険物除去及び処理につきましては、海上自衛隊がこれを行なうということになっておりまして、海上自衛隊におきましては、今日まで毎年周辺海域危険海域につきまして掃海を実施してまいりまして、現在では、瀬戸内海のごく一部で、しかもこれはきわめて浅海面が残っておりますけれども、大部分につきましては掃海を完了したというふうに考えているわけでございます。  また、これと並行いたしまして、今般のような浮遊機雷処理につきましても実施しておりますけれども、従来の実績からいたしますと、逐次そういう浮遊機雷の数が減ってきておるというふうに考えております。  そのほか、海岸に打ち上げられた機雷等につきましては、これは届け出を受けまして、それによりまして海上自衛隊部隊が出向きましてこれを処理するということになっております。また、陸上自衛隊につきましても、届け出を受けまして、それぞれ各師団に武器隊がございますので、武器隊が出向きまして適切なる処分を行なうということになっておりまして、海上自衛隊自体として発見した場合、あるいは届け出によりまして、それぞれの海上自衛隊なりあるいは陸上自衛隊部隊が出向きましてこれの処理に当たる、こういうことになっておるわけでございます。
  16. 竹田現照

    竹田現照君 どうもどっちに責任があるかわからないような答弁なんですが、現実事故が起きているわけですが、防衛庁にお伺いいたしますが、いま事故の起きた釧路海岸に、戦後旧日本軍爆弾米軍に接収されて、はしけで、現在の釧路港の赤灯台白灯台を結ぶ中間、途中から東南約二十八キロの海上に捨てられた——当時の関係者の言であります。その量は約八千トン、五、六万個以上と言われております。これは小銃弾砲弾が主で、今度爆発を起こしたこの爆雷は、対米潜水艦用として釧路海軍武官府にあった爆雷のようでありますけれども、捨てたところまでわかっているわけですが、そうすると、しかも、先ほど私がお話ししたように、ことしになってから七月以来ずいぶんこの種の問題が出ているわけですけれども、これについて防衛庁として、海上の、何というのですか、掃海というのですか、あるいはまた陸上のそういう砲弾を埋めたような問題について取り除く措置というものはされておるのですか、どうですか。
  17. 島田豊

    政府委員島田豊君) ただいまの事実関係につきまして、まだ実は私詳しくは承知しておりませんが、現地において関係機関が集まりましてそれに対する対策を講じておるというふうに聞いております。
  18. 竹田現照

    竹田現照君 具体的に早急にその問題を対処していただきたいと思うのですが、現実にいま事故が起きて子供たちが死んでしまったわけです。こういう問題について、先ほど私が質問いたしました旧軍のこの種事故の起こったものに対する国家賠償というか、こういう問題についてどういう見解を持っておられるのですか。
  19. 結城茂

    説明員結城茂君) 一般的に、たとえば国家賠償法が適用をされるかどうかということになると、なかなか慎重に検討しなければいかぬと思いますが、ただ、この種事故で起きました被害につきましては、その措置をどうするか、補償の対象になるかということをもちろん含めまして、現在内部で検討しております。一般的に言いますと、旧軍の爆発物等によって起こっている被害には、一般に国の補償、こういうふうなものを特別に規定している法律はないんじゃないかというふうに思われるのであります。したがいまして、国家賠償法というものが適用されるかどうかということに結びついてくることにはなろうかと思いますけれども、これについても規定がございます関係上、その適用については、一般的にどのものが適用されるかというふうなことははっきり申し上げ得ないんじゃないかというふうに考えております。現在、釧路のほうの補償については、内部で検討しております。
  20. 竹田現照

    竹田現照君 それは、そういう答弁だけじゃ、国家賠償が何もないということになれば、この種戦争の遺物、亡霊みたいなものが次から次へ出てきて、死に損ということになってくると、これはたいへん問題だと思うわけです。沖繩ばかりじゃなく、まだ日本だって戦後が終わっていないということになる。この問題について、国家賠償になるかならないか、そういう法律もないというようなことでは、現実にこの危険はまだこれから起こり得る可能性もあるわけです。今日これについて、政府として、いまの国家賠償法の改正をするとか、あるいは何らかの措置でこの種の問題について、いま事故が起きたわけですから、これについて早急に国家賠償というようなものをする考え方が現在あるかないか、現在いまないとすれば、いつまでにこの問題について政府としての態度を出していただけるか、答弁していただきたい。
  21. 結城茂

    説明員結城茂君) ただいまの補償の点でございますが、実は総理府としましても、先ほど申しましたが、一昨日話を伺っただけの問題でございまして、現在関係の機関と連絡をとって検討をしているところでざいます。
  22. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 委員長から申し上げますけれども、そんななまぬるいことでいいのでしょうか。私も現地に参りましたら、死んだ親御さんが、自分の子は死んだからしかたがないけれども、後遺症の残る手のない人、足を傷ついた人たちは国家があくまで見てもらいたい、そうでなければ死んだ子も浮かばれないと、気違いのように言っているのです。それを、総理府でそんなことをいまごろ言っているのは、納得まいりませんので、安井長官を呼んでいただきたい。そうでなければ、この問題は解決つかないと思います。至急安井長官がおいでになるように要求してください。
  23. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ、いまの問題についての質問は保留いたします。  次に、防衛庁関係で二、三お聞きいたしますが、北海道にミサイル・ホークの陣地が島松演習場にありますが、設置当時、陣地が設けられることによって住民には一切迷惑をかけるものではないということを、防衛庁当局はPRを全道にわたってつとめられたはずであります。ところが、現地の具体的な話を聞きますと、具体的な場所も申し上げますが、島松演習場の島松広島村上仁井別部落では、このミサイル・ホーク基地が設けられたことによって飲料水が第一用をなさなくなっている。そのために、昨年来住民が自己資金でもって飲料水の確保を行なっているが、これに対して、防衛庁にも再三陳情しておるようでありますけれども補償が全然行なわれていない。問題は飲料水でありますから、生活に直接関係することなんですが、この点についてどうか。それから、この辺はニジマスを養殖しておりますが、これに対する被害がかなり出ておるようでありますが、これに対する措置。この点につきましても、この両方の補償についてお伺いしたいと思います。  それから、島松地区のミサイル・ホーク基地に行く途中に墓地がありますけれども、この墓地は町有地ですが、この墓地に行くのに、立ち入り禁止が行なわれて、三十八、三十九年と住民の抗議によって、現在そのつど通行証を発行しておると、こういうことなんですが、住民のいわゆる墓参の道路は明治以来の既存の道路であって、そのために通行制限をされるということは、はなはだもって遺憾なことだと思います。はるばるシベリア、樺太まで墓参に政府が一生懸命熱を入れているのに、自分の墓地が目の先にあって、一々防衛庁の通行証をもらわなければ墓参りにも行けないと、こういうようなことは、一体どういうことなのか。方面本部の担当官もなかなかこの点についてはっきりしたことを言わないようでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。  それから、今度の台風、二十三号、二十四号に伴って、島松演習場茂漁川上流で淡水魚の養殖が行なわれておりますが、これに施設庁が行なったダムの決壊によって泥が流れ込んで、養殖中のニジマスが大量に死滅しておる。方面総監部では台風は天災だというようなことを言っておるようでありますけれども、施設庁が行なったダムが原因であることは明らかなことでありますから、この演習場内の整備が不十分であったと言わざるを得ないわけであります。したがって、この損害額は、防衛庁の言っております損害額、町当局の損害額、私のところに来ておる損害額と、それぞれ違うようでありますから、金額については触れませんが、いずれにしても少なからざる被害を受けておることだけは事実である。したがって、これに対する補償等、それから演習場内の膨大な地域における泥が雨が降るたびに流れてくるということになってまいりますと、そのつどたいへんな問題でありますから、演習場内の整備の問題について防衛庁としてはどう考えられておるのか。最初に陣地をつくるときの約束とだいぶ違うわけでありますから、この点についてお答えいただきたい。   〔委員長退席、理事長相澤重明君着席〕
  24. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 藤原委員長にかわって暫時私が委員長をつとめます。  最初に島田防衛局長
  25. 島田豊

    政府委員島田豊君) この問題は、施設参事官が担当でございますので、施設参事官からお答え申し上げます。
  26. 鈴木昇

    政府委員(鈴木昇君) ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  最初の御質問の、ミサイルの基地ができましたことに伴って、その付近を流れております仁井別川の水を飲料水として利用されておる方に対して、ミサイル基地からの土砂が流れて飲料水を汚濁しているということについての処置の問題でございますが、先般来地元の方々ともいろいろとお打ち合わせをいたしまして、この汚水、河川を汚濁しておるのは、ミサイル基地をつくりました際に土砂が流れ込んでおるという事実が認められますので、この河川を常用の飲料水にしております五戸の方、それから渇水時に副次的に利用されておる四戸、こういう方々に対しまして、この水を直接利用することなく、井戸を新たにつくってそれを利用していただくというふうな考え方からいたしまして、それを補償金としてお払いをして、この際処理を完了するようにしたいということで、大体お話し合いが現在そういう形で進んでおるような次第でございます。これはそういうことで、早急に処理を完了いたしたい、このように考えております。  その次の、鳥松演習場のミサイル基地周辺にあります墓地の墓参に関する問題でございますが、これは演習場と演習場の外側とのすれすれみたいなところでございますが、演習場の外に、御指摘のように、お墓が四基、無縁仏のようなものが二基ほどございます。それに対しまして、墓参のために通行いたしたいというお申し出がありまして、それに対して、それらの方に対して、演習場の管理者といたしまして、北恵庭の業務隊におきまして、それらの方の登録をあらかじめいたしておきまして、立ち人り許可証を発行してお通りを願っておるということは、御指摘のとおりでございます。演習場の中でございますので、これはいろいろ危険防止の上からも、あるいは不発弾等のところも一部にあるわけでございますので、演習場管理者といたしましては、そのような措置をとることが安全の確保の上からも適当ではないかという考えのもとに措置をとっておるわけでございます。この問題につきましても、そのようなことで、他にも、この演習場を隔てて森林を維持管理しておる、あるいは農地に通うというような方もあるわけでございますが、こういう方に対しましても、通行許可証というものを年間のパスというような形で発行いたしましてお通りを願うというふうな措置をとっておるのが現状でございます。  それから、その次の御質問で、演習場の東北部に当たります恵庭町の茂漁川と柏木川の上流におきまして、ニジマスその他の養殖をされておる方がおりまして、たまたま本年の九月の六、七日の異常集中豪雨及びその後の二十三号台風、二十四号台風によりまして、それらのその方面でニジマスの養魚をされておる方数名が、演習場からの土砂の流れによりまして養魚が非常なせん滅的な打撃をこうむった、自滅あるいは流失したということでございました。この点につきましては、防衛庁には、今月の十五日、書類を持って非公式にお話がございまして、地元のほうから御提示があったわけでございますが、来庁されました方のお話では、いずれ恵庭町長の副信をつけて正式に出すというお話でございましたので、私どもといたしましても、この異常豪雨というふうな自然現象も一部にございますので、この陳情書にも、二百八十ミリの豪雨があったというふうなことが書いてございますが、この演習場の荒廃、それから豪雨、あるいはニジマスの養魚場の管理問題等につきまして、さっそく調査を開始いたしております。  当庁といたしましては、そのような被害の事実をまず早く確認をいたしたいということでありますとともに、そういうふうな被害の原因が、自衛隊の演習場とどのような因果関係にあったかということが、この被害の補償等の問題について重要なことでございますので、そういう点について目下鋭意調査をいたしているという段階でございます。
  27. 竹田現照

    竹田現照君 調査中はあれですが、この場内の整備が不十分のためにこういうような事故が相次いで起こっているわけですから、先ほど私が最後に質問をいたしましたように、この演習場内の整備について今後どういうふうに進めていくかですね、この点の計画をはっきりしていただきたいと思います。  それから、とりわけこの高松の演習場の中は、この種問題ばかりじゃなくて、いまバイパス道路の問題が、これが一番隘路になっているように私は聞いているわけですが、ですから、演習場の整備と関連をして、この防衛施設の関係、特に島松の問題について、将来のこともありますから、さしむきの計画についてお伺いしたいと思います。
  28. 鈴木昇

    政府委員(鈴木昇君) 鳥松演習場周辺の防災工事等のことについてでございますが、大体、三十九年度までに、これは演習場周辺の整備の一環といたしまして、防衛庁で実施しておりますのと、農林省関係で実施しております用水関係のものと、この二つに分けられるものかと思うわけでございますが、防衛庁におきましては、演習場の中の砂防堰堤等の工事をもっぱら実施いたしております。それから、演習場の外にあります先ほど申し上げました柏木川、茂漁川、島松川、ルルマップ川というような主要な川につきましては、これは防衛施設庁におきまして、防衛庁が支出委任をしたもので処置をする、あるいは防衛施設庁がみずからの補助金で北海道庁に工事の契約をいたしまして処置をするというふうな種類のものがございます。いずれにいたしましても、三十九年までに約二十億の工事を実施をいたしておるわけでございます。さらに本年度は二億五千万円程度の工事をいたしておるわけでございますが、これらの工事は、形は一応単年度工事でございますけれども、全体計画を立てた上で逐年下流部から上流部へ対して工事施行していくということでございまして、茂漁川、柏木川のようなこの二つの河川は、おおむね残部が千メートルないし二千メートルだけでございますので、昭和四十一年、四十二年度ぐらいには完了するということでございます。島松川につきましては、まだ相当残部があるわけでございます。したがいまして、この火山灰地帯に流れている川で、非常に工事はむずかしい問題ではございますけれども、さらに今年度に引き続きまして、四十一年度以降についても同額あるいはそれ以上の工事を進めるということで防災の完ぺきを期したい、このように期待をしておるわけでございます。
  29. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  30. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 速記起こして。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 それでは、時間がありませんから、農林省関係で、北海道の冷害対策についてお伺いいたしますが、昨年に引き続いて本年も、冷害のためにすでに六十一億円に及ぶ被害額が見込まれているのであります。ところが、ことしは、網走、上川北部等限定された地域になっております関係で、とかく関心が薄くなる懸念がありますが、農林省も、担当官を派遣をされて、これに対する対策を立てられているようでありますが、さしむきことしのこの冷害について天災融資法を適用される考え方があるのかないのかという点が一点と、そのほか道関係からいろいろ出ておりますが、とりわけ被害農家の救農土木といいますか、そういうような問題について、ことしも昨年の冷害と同じような措置をされるお考えがあるのかどうか。特に救農土木も、先般私ども調査に十勝のほうに参りましたら、一日九百二十円の十四日間と、こういうわけです。担当の役所の方々の説明によりますと、たいへん被害農家は感謝をしてこれを受け取ったと、こう言っているわけですが、現地の農民に言わせると、そうはおっしゃるけれども、九百二十円で十四日間で、わずか一万幾らぐらいの救農土木で、道路は残ったけれども、スコップを買った、くわを買った、あるいは作業服をどうした弁当をどうしたということを言ったら、差し引き何も金が入らなかった、こういうことを言っているわけなんで、そういうようなことで、そういう何かスズメの涙のような救農土木でなくて、被害農家の就労措置等についてことしはどういうふうにお考えになっておられるか。それから、冷害に伴って地方歳入の減少というものが当然出てくるわけでありますが、特別交付税の増額、あるいは地方債の充当率の引き上げ、こういった措置についてどういうことをやられようとしているのか、この三つについてお答えをいただきたい。
  32. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) まず、本年の冷害の状況並びに農林省として従来措置をいたしましたことにつきましての、概略の御説明をいたしたいと思います。  今年は、春先の異常低温、またたび重なる集中豪雨、台風等のために、稲作がいろいろな被害を受けまして、十月一日現在で、農林省の統計調査部で調査をいたしました本年産米の収穫高の予想は、水陸稲合わせまして千二百五十六万トン、これを作況指数で申しますと、平年作の九八%という作況に相なっているのであります。この中で、ただいま御指摘になりました、冷害に起因をいたします減収量がどのくらいあるかと申しますと、全国で二十五万三千トンの数量が一応見込まれているのでございます。  この冷害によります被害の態様について、まず地域的に見ますると、北海道におきましては、北見、それから北部上川地方、それから内地におきましては、青森県、秋田県、長野県等の高冷地帯が、最も激しい冷害を受けているのであります。また、品種のほうからこれを見ますると、北日本におきまして冷害を受けましたのは、七月の下旬から八月の上旬にかけての低温によって、主として早生種の稲が被害を受けたのでございまするが、西日本におきまする冷害現象は、九月の低温によりまして、晩生種が被害を受けたのでございます。  農林省といたしましては、当委員会におきましても、議員を現地に御派遣になりまする際に、災害の担当者を随行して、現地調査をいたしたのでございまするが、それに加えまして、さらに十月に入りましてから、農林省の技術審議官を長といたしまする調査団を現地に派遣をいたしまして、冷害の激甚でありまする地帯を中心といたしまして、つぶさに調査を実施いたしたのでございます。その際に、現地からいろいろ要望が出ておりまするが、その要望を中心といたしまして、農林省としてそれらの冷害農家に対する救済策について目下考えております点をかいつまんで申し上げてみたいと思います。  まず、御指摘の天災融資法の発動でございますが、これはもちろん、被害の状況から見まして、天災融資法の発動の条件を備えていると私どものほうは考えておりまするが、手続的には、被害の具体的な数字が確定次第、これが発動の手続をとってまいりたいというふうに現在考えております。それから、自作農維持資金の融通でありますとかあるいは開拓者資金の融通等も現地から要望もあり、またいろいろ当然そのような希望があることは承知をいたしておりまするが、これは、従来の例からいたしますと、天災融資法の発動ということを一つの契機といたしましてこれらの制度が動くようなたてまえになっておりまするので、先ほど申しました天災融資法の発動の手続の完了次第、これらの両制度は動き出すというふうに考えております。  それから、特に北海道におきましては、昨年と本年とが二年相続いて被害を受けているというような関係から、昨年の被害農家で、すでに昨年の制度資金その他の融通を受けている農家が、本年の被害によってその返済に非常に支障を来たすというようなものに対しましては、被害の実情に応じまして、償還の猶予等の措置あるいは資金の借りかえ等の措置によりまして、返済に支障のある農家に対する救援手段とするよう検討いたしている次第であります。  それから、来年の生産のための種子対策でありますとか、あるいは本年の災害に基づきまする農業共済金の支払い等につきましては、これをできるだけ早期に支払うように指導いたしておりまするとともに、種子等において現地の市町村なり支庁管内で十分まかないがつかないものについては、全道的にこれを措置するような指導をいたし、必要があればこれに対する助成の措置も講ずる必要があるのではないかというふうに考えております。また、米の被害によりまして、検査等級に合格をしない米がたくさん出ているわけでありますが、これは実は、北海道の実際の米の品質等を検討いたしまして、青未熟粒の混入米並びに水分の普通の規格よりも多い水分過多の米等について、事前売り渡し申し込み制によって政府が買い入れまする際に、そのような米も買い入れの対象にいたしまするという措置は、予定としましては、本日の告示で実は出す予定になっておりまして、内容等はすでに確定をいたしております。  それから、本年の冷害を中心といたしまして、米の乾燥調製等の作業を中心とする米のでき方が、例年よりも非常におくれておるということも考慮いたしまして、昭和四十年産米の時期別格差の適用期限の延長の問題を検討いたしておったのでございまするが、ただいまの御指摘の北海道につきましては、例年よりも相当米の作柄がおくれておるということ、並びに冷害地帯における農家の実態等も考慮に入れまして、昨日決定をいたしたのでありまするが、時期別格差適用の第三期の適用期限を七日間延長する措置を講じまして、昨日発表すると同時に、現地の食糧事務所に通知を出しまして、そのような措置を講じておる次第でございます。  それから、本年の予約概算金を受領しておる農家で、米の作柄か非常に少ないために、これの返納を要する農家が一部出てまいるかと思いまするが、これは昨年も実施をいたしました措置でございまするが、この返納に際しましての利子等の減免措置は、それぞれの農家の被害の実態に応じて措置をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、ただいま御指摘になりました救農土木事業につきましては、自治省の起債に基づいて行なわれておるように承知をいたしておるわけでございまするが、なお現地の実態でその起債のワクが不足であるかどうかという問題につきましては、これは自治省に私どものほうもきょうの御質問の趣旨は連絡をいたして、よく先方でも調査をしてもらうように連絡をいたしたいと思います。  また、特別交付税の問題もこれも私どものほうの所管でございませんのでそのような御質問のあったことはお伝えをいたしたいと思います。  なお、その他ただいまの御指摘にならなかった問題等について、現地調査の結果、いろいろ現地の要望が出ておりまするので、私どものほうでも、北海道全体としては、本年の稲作は昨年に比べれば相当よかったのでございまするが、一部の地帯には非常にお気の毒な地帯もございまするので、この地帯に対する措置等につきましては、至急に事務的に可能なものから逐次やってまいりたいと思っております。
  33. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) この際、自治省の指導課長が来ておいでですから、要領よく説明してください。
  34. 及川謙三

    説明員(及川謙三君) お尋ねの救農土木事業の実施につきましては、ただいまのところ四千万円ほど、道分が二千七百万円、市町村分が千三百万円ほど予定してございますが、これについては、さらに農林省当局とも連携の上、地方債の措置をはかるべく検討いたしたいと考えております。地方税の減収等につきましては、ただいまのところその減収額が確認される段階でございませんが、確認された段階では、今秋各地における台風被害等による地方税の減免あるいは徴収猶予というような総体の額との関連性を十分検討しながら、実態に即した措置を特別交付税の措置でもってとり、または減収補てん値、地方債の措置をとることで対処をいたしたい、このように考えております。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 建設大臣関係があって、私も三つほど北海道の視察に関する質問を持っているわけですが、これはさきに建設大臣質問をやっていただいて、それからそのあとに運営の都合上やることを了承いたします。  ただ一つ、島松演習場の問題を先ほど出されましたので、この関連についてだけ、資料的なものですが、防衛庁に伺っておきたい。  問題は恵庭事件の問題です。いま恵庭事件として北海道の地裁でこの問題が審理されておるんですが、これについて私は次の諸点について、文書でこれは回答してもらいたいと思う。時間がありませんから文書でけっこうです。  第一に、この野崎牧場の野崎健美、美晴の兄弟が、島松演習場の射撃によってもう牧場の経営が非常に困難におちいっている、牛の乳も出ない、こういう問題でしばしば総監部に対して抗議をしているわけですね。その中で、三十六年に総監部の第四部長が、発射区域を桜森付近に限定するということを、これは約束してるはずです。これは約束したことがあるのかどうかという点について文書で確認をほしいと思います。  第二は、三十七年の五月に、この約束が少しも守られていない、そこで今度は総監部の第三部長と交渉した。で、第三部長がこういうことを言っている。「桜森以外で砲撃するときは、現地部隊が直接あなたの牧場へ行って連絡して話し合いをして射撃位置をきめる」こういう約束をはっきりしているわけです。ところがこれも守られていない。実際は全然こういうような約束は無視されて、どんどん演習が行なわれている。  さらにそれに対しまして、三十七年の九月十一日に総監部の第三部長と交渉した。その結果、第三部長の通達として、各部隊あてに次のような通達が出されているはずです。この通達が事実かどうか、これは文書で回答してほしい。その通達というのはこういうことです。「最近島松演習場における実弾射撃訓練に際し、近傍の特定住民からの抗議、妨害が頻発している傾向にあるが、従来方面隊としては、これらの住民の要求に対し、演習場内においても徒らに独善的態度に出ることなく、巧みにこれを処理しつつ、既定の訓練を遂行することを対民事上の訓練を考えて指導しつつあるので、隷下各部隊にこの趣旨を徹底されたい」右のような通達の有無、そしてありとすれば、その通達そのものの原文を写して出してほしい。  さらにこれが守られない。そこで三十八年の八月、これはまあ三矢作戦が出たあとでありますが、こうなりますと第三部長の態度が全く豹変して、そうしてこういうことを言っている。「大砲の音で被害があると考えるのは風が吹けば桶屋がもうかるという理論と同じだ。被害があるとは考えない。だからどこで撃つとか撃たないとか場所の限定はしない」こういうふうに野崎兄弟の抗議に対しまして、まるで前言をひるがえしたあしらい方をしております。むろん第三部長といいましても、あるいはかわったのかもしれませんけれども、この間の消息は私知りませんけれども、かわったらかわったでよろしい。これは三矢作戦後において全く変わってきております。以上の点を私は資料として防衛庁から出してほしいのです。これについての質問は後日に保留します。これだけ確認してください。どうです防衛庁
  36. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) ただいまの岩間委員要求の資料について、すみやかに提出するように。
  37. 鈴木昇

    政府委員(鈴木昇君) ただいま御要求の書類につきましては、文書をもって提出いたします。
  38. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  39. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 速記始めて。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 河川の管理と治水対策の問題について、この機会に建設大臣にお伺いしたいと思います。十七号台風の際に、荒川の増水があり、その際、熊谷市と東松山市を結ぶ荒川大橋の橋脚が破壊をして橋の通行が不能となりました。さらにこの橋脚近辺の護岸に非常に危険な個所を生じたわけです。この原因というのがいろいろと調査の結果判明をいたしましたことば、橋脚そのものが大正年代の製作にかかわるもので、当然古くなっているということもありますけれども、砂利の乱掘によって水流が変化をしたこと、それから水位が低下をしたこと、こういうことが原因となって、今回のような橋脚の破壊あるいはさらに降雨がもっと激しくなれば堤防が決壊をする、こういう危険を生じたわけなのであります。問題はその後の処置なのでありまするけれども建設省としても現地の視察等を行なわれ、破壊個所の復旧とあるいは中央導水路の開さく、護岸工事、こういったことは一わたりはやってもらったわけでありますが、現在砂利の採取禁止状態となっている地域に対して、この砂利採取の再開を認めるかどうか、こういう問題で、県の方針とそれから市の方針というものが食い違いを生じた、こういう事態がございます。で、県の方針と市の方針が食い違った場合には、当然この調整は国として行なわなければならない問題ではないかと思うのでありますけれども建設省自体としては、一体どのような調査を行ない、どのような対策を立てようとしておられるのか。それから大臣としては、こういった河川の管理あるいは治水対策という面で、砂利の採取をどうやって規制をしていかれるのか、今後の方針、それからいままですでに砂利の採取を禁止した地域もあるわけでありますが、それらの地域における砂利業者に対する指導方針、こういったようなものが私は確立されていなければならないと思うのでありますが、その点について見解をまずお伺いしたいと思います。
  41. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 瀬谷さんからのお話の荒川の荒川大橋付近の状況は、いまお話しになりましたとおりで承知いたしております。その後二十四号の台風等でも護岸の決壊をいたしておるという状況もありますから、もちろんそういう問題については、直ちに現場をよく調査いたしまして、いまお話がありましたが、応急の復旧をすみやかにすると同時に、大河川でありますから、将来のことを考えて本復旧、本工事をすみやかにする、こういう方針を立てておりまして、そのほうは今年度中に全部完成する、こういう方針で目下進めておる状況でございます。  砂利採取の問題でありますが、これは御承知のとおり先般河川法を改正いたしました後に、この川を従来の埼玉県知事の管理にありました熊谷下流を建設省に移管をして、それに引き継いでおるというような現状であります。従来砂利採取については、埼玉県知事の認可を得て相当数の砂利業者が入っておる。ところが最近の状況を見ますると、お説のとおりだんだん河床が低下する、また流路が変化を来たしておる。こういう状況でありまして、建設省のいまの考え方といたしましては、これは数年ならずして全面的に禁止をすべき水路だという観察をいたしております。ただ根本的に、原則的に申し上げますというと、これは砂利も御承知のとおり必要な資材でありますから、河川管理、災害等に支障がない限り、これは砂利の採取は許すという基本方針でありますが、災害あるいは流水の状況、いわゆる治水面に支障があれば、これはもちろん砂利採取は許可しない、また禁止をする、こういう原則のたてまえをとっております。  この地域については、いま申し上げましたように、埼玉県から認可を受けてやっておる面がありますが、現状としては長く採取を許すべき状況ではない。県と熊谷市とのこの砂利採取に対する考え方も違っておることは、いま御指摘のとおりでありますが、県及び市ともこの問題について協議をいま進めております。まだまだ特に熊谷市会等において、現状に対して非常に何と申しますか反対の御意向が強いということもよく承知をいたしております。そこで砂利業者の将来のこと、これは特に従業員もおりますから、そういう問題も含めて、ここ数年ならずして——まあ専門家の話では、あの付近全体で四十万立米くらいしか取る余地がない。そういうわけでありますから、全面的禁止の時期がだんだん切迫しておるという状況でありますが、そういうような業者の立場、それから従業員の処遇等を含めて、県あるいは市ともよく相談をしてこの問題にケリをつけたい、いまのところ差しとめておる状況であります。
  42. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先般相澤小委員長と荒川大橋並びにその下流の久下冠水橋を見てきたのでありますが、その際市長並びに市会議長あるいは副議長等が随行いたしまして、一緒に見てまいりました。で、そのときの話では、いま砂利の採取は禁止になっておる、こういうことであったのです。日はたしか九月の八日だったと思います。で、現場へ行ってみましたら、向かい側に砂利トラらしきものが三台ほどあったわけです。禁止になっている河原にトラックが三台来ておるということはちょっと解せないので、一体あのトラックは何かということで市長にも聞いてみたのでありますが、市長もわからなかったのであります。われわれ一行が車からおりて、一体あの車は何だろうというふうに言っておったら、向かい側のトラックが三台そろって砂煙を上げて逃げだしたわけです。これはどう考えてみても、禁止になっているにもかかわらず、うわさにあるようにこれは夜陰に乗じて盗掘に来ておったというふうに認めざるを得ません。だれも河原に夕方、日が暮れるまぎわにダンプカーでもってハイキングに来るはずがないですから、これはどう考えてみても盗掘と認めざるを得ない。地元に夜にまぎれて砂利を取っておるといううわさが流れておる。われわれが見ておって、しかもそれは市長はじめ市会議長、市会議員の多数が見ておる目の前でそういう事実があったわけです。こうなりますと、県の方針で、来年三月まで四十万立米の範囲でもって、従来よりも二割減で採取を許可する、それから川の中央部に限定するという区域指定を行ない、あるいは監視班を巡回させるという方法等もうたい、夜間、日曜は禁止する、あるいは深掘り機械の禁止をする、こういったような条項をつけてみたところで、これが守られるかどうかという懸念があるわけです。そういうことは、県の許可条件は単なる気休めであって、実質的には砂利業者が取りやすいように、あるいは取りほうだい取る、こういったようなことが行なわれるということは、だれが考えてもこれは予想されるわけなんですね。そうなれば県の方針がいかようにあろうとも、こういうものはもう空文にひとしくなる。したがって、そのような現実に即して市議会のほうでは全面禁止ということをとりあえず決議をし、また、禁止の方向に向かって進むということも、これは私はうなずけるのじゃないかと思う。県知事はこのような実態は知っているのかどうかわかりませんけれども、こういう事実がはっきりしているわけなんですから、それをしかも相澤さんも私どもも見ているわけです。こういう場合に、砂利の採取というものは、甘いやり方でもって認めていくということになると、底の底までさらわれてしまうという危険がある。だから、こういう場合の行政指導、これは県の認可という、いまそういう状態になっておりますけれども、国としてもこういう県と市とがその見解で対立する、あるいは食い違っておるという状態のもとにおいては、適切な指導を行なわなければならぬと思うのでありますが、その場合の建設省としての方針はいかようにするかということについて、お答えを願いたい。
  43. 青木義雄

    説明員(青木義雄君) ただいま瀬谷先生の御質問にお答え申し上げます。私どもも河川の管理をつかさどる者といたしまして、常日ごろ管理の強化、そのためには機構の整備等もあわせまして、常日ごろ注意し、管理の強化について指導しておるところでございます。いまお話しのような事情も私どもも聞きまして、すぐ調査いたしましたところ、そういう事実もございますし、また、盗掘等の事情もございまして、すぐ県のほうでも注意をする、私どものほうも注意をするということで、取り締まりの強化をなお一そう強めようということでおるわけでございます。なお、その取り締まり関係の機構につきましても、地元のほうにそういう機構がないために、規制の完全が期し得ないという事情も確かにあると思いますので、そういう管理事務所といいますか、そういう機構の設置につきましても、財政当局等に、要求いたしまして、来年度から設置いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  44. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 委員長から聞くが、青木河川局次長現地へ行ってみたか。
  45. 青木義雄

    説明員(青木義雄君) この前の小委員会の開かれまして以来は、仕事に追われまして、まだ現地を見ておりませんが、以前に見たことがあります。
  46. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) そういうことだからだめだ。現地がいかに荒廃しているか、大臣の答弁のようなことではなっていないじゃないか。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 十七号台風のあとで応急護岸工事はやったのでありますけれども、そのあと二十四号台風があって、若干の増水をしたわけです。その若干の増水をしたあとで減水をしたところを見計らって、私は現地へ行ってみましたが、その応急工事をやった個所が、この写真にとってあるようにくずれてしまったわけです。十七号台風に際して橋脚が破壊した近所の護岸というのが、二十四号台風ではわずかの増水でもってこういうふうにがたがたにくずれてしまった。くずれてしまったところを建設委員長にも見てもらいましたし、相澤国有財産委員長にも見てもらったわけです。この個所については、その後、県のほうから知事が見に来たという話も聞いておりません。だから、これは河川の遠望なんですけれども、ちょうどこの個所がこの決壊個所に該当するわけです。だから、いま大雨がなければ問題ないわけですけれども、何百ミリもの降雨があれば、再度この橋脚が破壊をする、あるいは護岸工事がばらばらになってしまって、堤防が決壊をするというふうな危険な状態にあるのではないかと思われます。だから応急工事というものは、やはり決壊した護岸工事を修復をする以上の費用をかけてやらないと、私は来年まで雨が降りませんという保証があれば別なんですけれども、そんな保証がない限りあぶないことになると思うのです。だからこの場合、災害復旧の予算で工事をしたとしても、それだけで済ましていくわけにいかぬと思うのでありますが、この個所についてどういう措置をとられますか。
  48. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほども申し上げましたように、応急工事がそういうようになっていることは、私はいま初めて聞きましたけれども、応急工事はさしあたりの防災ということでありますから、あとの雨でそういう事態が起こり得る可能性はあるわけであります。あってならないけれども可能性があるのであります。したがって、応急工事は、さしあたりの防災でありますから、本工事をしなければ完全にはなりません。先ほど申し上げましたように本工事を、大河川でありますし、あぶないところでありますから、本工事を今年度中に必ず完成する、こういう方針でいるわけであります。
  49. 青木義雄

    説明員(青木義雄君) ただいま大臣から答弁もありましたとおり、災害直後、直ちに緊急復旧事業といたしまして、護岸工事を榎町につきまして約七百メートル、それから久下地区につきまして約四百メートル着工いたしまして、九月の中旬に一応完了いたしました。現在本復旧工事を行なうようにいたしまして、大体十一月の中旬から着工いたしまして、本年度一ぱいに完成をするということにいたしております。したがいまして、こういう重要な地区でございますので、復旧の完ぺきを期しまして、雨の降りました場合にも十分対処できるようにいたしたいというふうに考えております。
  50. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 埼玉新聞であるとか、あるいは地元の新聞等の主張にもいろいろ載っているのでありますけれども、砂利の埋蔵量を調査をした結果、これは県議会でもいろいろ論議をされておりますが、調査をした結果は、荒川筋もはっきり言えばもう幾らもないというわけですね。いまのまま採掘をしていけば、遠からずなくなってしまう、こうい状態にあるわけです。だから埋蔵量もわずかである。しかも治水の面から考えても、河川管理の面から考えても、これは早晩禁止をしなければならないということがはっきりしている以上は、県で示しているようななまはんかな、中途半端なやり力では、これはすべての面で私は十分ではないという気がするわけです。先ほど申し上げたように、県の方針そのものが現実に守られてないということを市の当事者も、それから私ども現実に見ているわけですから、だからこういう場合のはっきりとした指導方針というものは、この際打ち立てていくべきじゃないかと思います。全面禁止といっても、一粒も取るな、こういう意味ではないと思いますけれども、その辺はやはり護岸を先決にする。それから護岸の点も心配する必要がないような状態になって、初めて適当な規制のもとに採取をする、こういう方針を打ち出すべきであって、それまではやはり禁止をするという原則を打ち立てるほうが、私は妥当じゃないかと思うのでありますが、その点についての、つまり砂利採取に対する基本的な指導方針というものがいかにあるべきか、あるいはどのように考えているかということについて、再度お伺いしたいと思います。
  51. 青木義雄

    説明員(青木義雄君) ただいま瀬谷先生のおことばで大体要点は尽きておるかと思いますが、そういう仰せのような方針、方向で、いま禁止はいたしておりますけれども、よく採取の場所あるいは方法等、十分な規制を行ないまして、河川管理施設に遺憾のないような方針のもとに採取を許可するということでまいりたいというふうに存じております。
  52. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  53. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 速記を起こして。
  54. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、先ほども質問いたしましたが、河川の管理と治水対策の面についての基本方針と同町に、最後に一問、現に禁止区域になっているところで夜陰に乗じてひそかに——これは盗掘をしているわけですな。これは早い話がどろぼうなんですよ。こういうどろぼうをやっている事実がはっきり確認されている際に、一体どのような罰則があるのか。単なるまあ若干の罰則であって、実害がないような罰則では、これは意味がないと思うんです、適用してもですね。そこで、そういったような盗掘等を根絶をするためにも、罰則と同時に、適当な方法を講ずる必要があると思うのでありますが、その点について最後にお伺いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 青木義雄

    説明員(青木義雄君) 河川法百二条には、ただいま御質問のような行為をした者につきましては、一年以下の懲役または十万円以下の罰金の規定がございます。先ほど申し上げましたように、こういう夜陰に乗じて砂利を盗掘する、まあどろぼうと同じような行為だと思いますが、結局こういう行為につきましては、管理機構の整備等を行ないまして、現場のそういう取り締まりの人員を強化するといったような処置もあわせまして講じて、管理の適正化を期したいというふうに考えております。
  56. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 委員長から大臣に要望しておきますが、地元の鴨田代議士等もこの問題でたいへん努力されているようですから、よく大臣も相談されて、やはり先ほど申し上げたように、現地を見ないとわからない。私自身が現地を見たところが、せっかく補修工事をやってもらったのが、もうすでに下が洗われておる。こういうことでは地元が心配するわけですから、先ほど大臣の答弁のように、基本的な問題ですからきちっとしてもらう、そういうことでこの問題は終わりたいと思うんですが、大臣のひとつ最後に御答弁を願っておきたい。
  57. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私は、当初申し上げましたような決意でおりますから、御了承願いたいと思います。  それから、砂利採取の盗掘の問題、これは実際問題として非常に困難をしておるのが、この荒川だけでなく多摩川等においてもこれはなかなかこの取り締まりがむずかしいのであります。これはまあいわゆる何と申しますか、どろぼうと申しますか、夜陰に乗じて荒っぽくやる連中が相当におる。多摩川等においては、これは告発をして警察処分を受けるということでありますが、処分した事例もありますけれども、なかなか率直に言って、川のあの広大なところで警察も手が届かぬというような実情がありまして、非常に大災害を起こす危険もあります。また人命等に対して損傷を来たしておる事例もたくさんありますから、極力そういう取り締まりを厳重にしたいと同時に、荒川につきましては、先ほど事務当局から申し上げましたように、来年からここに管理、あるいは工事もありますから、その事務所を設置したい、こういう方向でおりますことを申し上げておきます。
  58. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 さきの参議院選挙について、山内一郎氏に関する選挙違反の問題が兵庫県で起こったのです。それについて、去る九月十日に神戸地検の参議院選挙取り締まり本部は、買収並びに被買収の容疑者として二十五名を公選法違反で一括起訴いたしました。この二十五名の中には十七名の現県会議員がおるわけです。全部自民党の議員さんであります。そのほかに献金をいたしました土木業者七人を含めて同町に兵庫県の現土木出張所長十六人、その出張所長らに品物を贈りました県職員一人、ほかに文書違反等がございまして、合計二十六人を起訴猶予処分にして二カ月にわたりまする取り締まり本部を実は解散をしたのであります。このことについて建設大臣並びに法務省刑事局長は事情を御承知だと思うのですが、いかがですか。
  59. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 参議院に当選いたしました山内君の選挙に関して、兵庫県下においていまお話のような違反事件と申しますか、たいへん関係者その他に遺憾な事態があったということを伝え聞いております。これは私のほうからとやかく言う筋ではございませんけれども、ただ最近まで建設省の高級幹部として公務員の職にありました者が、選挙に関してそういう事態、本人がどうであろうと、そういう事態が起こりましたということは、私率直に非常に遺憾に感じておる、こういうことであります。
  60. 津田實

    政府委員(津田實君) ただいまお尋ねの件につきましては、概略神戸地方検察庁のほうから報告を受けております。内容についてもし御必要であればお答えをいたします。
  61. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 大臣の時間が少ないようでありますので、場合によっては次の機会に掘り下げて少し聞きたいと思いますが、この事件はたまたま兵庫県に発覚したものでありますけれども、おそらく他の府県においても全国的に同様のことが多かれ少なかれ行なわれたというふうに私たちは想像しておるわけです。このままにしておきますと、同じようなことがまた起こるという心配を実はしておるわけです。この問題点は、特に大臣にお聞きしたいのですが、第一には高級官僚の立候補に問題がある。第二には、各府県の土木部の幹部に本省から天下り的に人を送っておる、いわゆる天下り人事に問題がある。第三には、建設省から天下りしたところの各府県における土木部の幹部そうしてその業者、そういうふうな関係のすきをつくるところの入札方法にも問題があるというふうに私たちは思うわけです。したがって、別の機会にこういう問題についてひとつ建設省の大臣にも、あるいは関係局長にもお聞きいたしたいと思うのですが、特にこの際、本省と府県の間の天下り人事の悪い因縁を根本的に改善するということの必要がこの際出てきたのですが、大臣はこういう天下り人事の弊害を今後どのようにしようと考えておられるのか。と同時に、地位利用の問題ですね。善意ではなしに、悪意を持ったところの地位利用をどのように考えるのか。したがって私は大臣にお聞きしたいのですけれども、今回の兵庫県における山内派の選挙違反は、それは単なる選挙違反ではなくして、質的には汚職事件である、こういう考え方を持っておるのですが、そういうことについて大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  62. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 都道府県等の土木部長等のいわゆる天下り人事、これが適当であるかどうか、どう考えるかというお話でありますからお答えいたします。これは天下り人事というのに当てはまるかどうか、私はやや疑問を持っております。御承知のとおり、専門技術者の全国的な配置の問題でありまして、これは昔の内務省時代と異なりまして、各都道府県でこれを人選をされますが、ただ実際の問題といたしましては、これは技術者でありますから、そういう技術者というものはそうどこでもおるわけではございませんので、多くは建設省にわが県の土木部長ぜひお願いしたい、こういう御相談がありますから、必ずしも建設省から全部行くということでなしに、技術者はこういう配置になっておる、こういう適任者がおるのだということを、それぞれの地方団体の首長の相談に応ずる、こういう次第でありまして、こちらから建設省職員を配置するということではございません。ただしかし、いまお話しのように天下り的になって、地方自治、あるいはこれをこわすとか、もしくは建設省の指揮命令どおりに動くというようなことのないように、これは心がくべき問題だと思っておるわけであります。  それから地位利用の問題、これは当然法律上公務員の選挙等について地位利用してはならぬことは、厳に戒めてあります。選挙ごとに特に建設省、ほかの省のことは存じませんけれども、いまのような疑点が起こりますから、各選挙ごとに私どもとしては各地方に、職員の間にそういう通達をいたしております。この前の選挙にしても、その通達を出しておる状況であります。もちろん、地位利用というように私どもは考えておらないわけであります。
  63. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 天下り人事の問題について、大臣からお答えを聞いたのですが、確かにそういう事情はあると思うのです。しかし実際問題を私たちは考えますと、大学を卒業して技術者が各府県に就職した、何年かの間、あるいは十数年の間経験を積んできた、そういう人たちは、その長い間の経験を通して本省の人たちにも負けないようなやはり技術を身につけてきておると思います。ところが、実際にはそういうふうな各府県において成長してきた人たちは、責任のある地位にはつけない状態現実にあるのではないか。そういうところにせっかく御相談を受けて本省から派遣をいたしましても、それは相談を受けたということが前提でしょうけれども、実際には、人がないから各府県のほうから本省に要望したのではなくて、あるいはむしろ本省から人をもらっておかないと仕事に差しつかえるというふうな因縁情実がそこに生まれてくるのではないか、というふうに私たちは思うわけなんです。各府県の土木部長、土木関係の課長の大半は、建設省の中央人事であると私たちは考えておるわけです。府県には人事を預かっております総務部はありますけれども、ほとんど土木関係に関する限り、というのは少し言い過ぎになりますけれども、この人事についての権限がないというのが、実は実情であります。兵庫県は土木には総務、道路、河川、港湾、砂防、計画の六課があります。このうち五人は本省から来ておるわけです。だから、こういうふうな各課の課長になるような者が一体兵庫県にいないのか。私はそうじゃないと思っておるわけです。同じようなのことが各府県にあるのではないか。だから本省からある府県に課長に、その次はその人はその次のどこかの府県の部長になる。あるいはさらに格の上がったところに上がっていく、あるいは本省に帰る、こういうふうな因果関係がありますから、いま大臣言われたような、昔の内務官僚の悪弊のあったようなことがないとは、私は言えないのじゃないかというふうに思うので、もう一度その点伺っておきたいと思います。
  64. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) なかなかその点が率直に言ってむずかしいところだと思います。私は、いま数字的に何人がどうなっておるかということを申し上げる研究をいたしておりませんけれども、地方だけで育って、やはり地方の土木部長になっておる人も相当におるわけであります。ただ問題は、地方の土木行政といいましても、国全体のこれは土木行政につながる問題でありますから、地方だけで判断をして、地方だけの土木行政をするということが、必ずしも私は適当ではないと思う。したがって、人事の交流といいますか、やはり国全体の土木行政の姿というものを知りながら、それに応じて地方の土木行政をするという、こういう何と申しますか知識と申しますか、そういう点が私はきわめて大切なことであろうと思う。そういうこともありまして、先ほど申し上げましたように、地方の都道府県等からは、建設省にそういう御相談がある。建設省職員も限定があり、しかも技術者は率直に言っていま不足をしておる状況であります。そういうことでありますから、御注文がありましても、しかも御注文のときにはざっくばらんに申しまして、きわめて優秀なのを、大府県に限ってそうであります。もちろん優秀な人がおるべきでありますけれども、そうなかなか人材が余っておるという状況じゃありませんから、必ずしもこちらから配置をして、そのリモート・コントロールをしようというようなことのできることでもありませんし、そういうことでございません。ただ弊害というものが、いまお話しのように疑念というものは、これは防がなければなりませんから、大いに気をつけますが、やはり国全体の土木行政のあり方というものを知って地方の土木行政をする、こういう人事の交流というものは、必ずしも私は不適切ではない、かような考えを持っておりますことを申し上げて、御了解を得たいと思います。
  65. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 いまのお答えで、大臣の考え方、あるいは心がまえは実はわかったんですが、その考え方、心がまえをほんとうに正しく遂行していくためには、現在のあり方は、少し再検討しなくちゃならぬのじゃないかというふうに私は考えておるわけです。したがって、現在の土木行政を全国的に進める立場から、建設省が人を派遣し、あるいは適正な人事の交流をされることについては、私たちも賛成するのですけれども、しかし現状のあり方については、やはり問題点がたくさんある。したがって、これは時間もありませんから、別の機会に十分ひとつこの点について私たちの考え方を申し上げて、御参考に資したいと思います。  それでは時間がありませんから、簡単に資料要求をいたしたいと思うのですけれども、今度献金いたしました土木業者は十数社と実は言われておるわけです。一千万円に近い金が献金をされておると私たちは聞いておるわけであります。たまたまこの十数社のうちで、この選挙の関係の時点において、国もしくは県の仕事をしておったものが七つ、その他のものは、たまたま仕事をしていなかったので、これは問題にされていないわけです。そこで、その七社は、一応起訴されました——結局は起訴猶予になったのですけれども。そういう業者が、私たちに言っておる話は、悪いことをしたのじゃない。この献金に応じなかったら、国の仕事ももらえなくなるし、県の仕事ももらえなくなる。したがって、献金には応じざるを得なかったと、こういうような言い方をいたしておるわけです。さらに、たまたまその時点において、国の仕事をしておった、府県の仕事をしておったので、一応起訴された、ほかの業者は同じような犯罪行為を行なったのだけれども、それは、そういう時点において仕事をしていなかったので、これは全然問題にならないという立場に置かれておるわけです。そういたしますと、私たちは、現在の公職選挙法について再検討しなければならないと思う。同じように犯罪となるべき行為を行なっておりながら、たまたま、同じような性質の業者が同じような事情で献金しながら、片一方は無罪になり、放任されておるのですが、そういうことは公職選挙法について、検討し直さなければならぬ点があるのではないかと実は考えておるわけなんですが、そこで、いま刑事局長のほうで、大体、神戸地検のほうから報告を聞いておられるようでありますので、その点についての事情を、ひとつ御承知の範囲について、簡単でけっこうですから御報告願いたい。
  66. 津田實

    政府委員(津田實君) ただいまお尋ねの件は、今回の参議院の通常選挙に際しまして、当時、兵庫県議会の議長でありましたところの石井武夫が、全国区山内一郎候補の当選を得せしめる目的で、県会議員多数に対しまして、同候補のための運動を依頼して、その報酬に金品を供与した事件であると思います。この関係におきましては、石井武夫をはじめといたしまして、現職の県会議員を含む約七十人を選挙違反の容疑で取り調べをいたしまして、先ほどお尋ねにもありましたように、去る十月十日までにすべて処理を終えまして、県議会議員十七人を含む二十五人を公判請求をいたし、その余の者を不起訴処分にしておるのであります。この関係は、主として買収、事前運動、文書違反、特定寄付の禁止等の公職選挙法違反に関するものであります。したがいまして、贈収賄というようなものはございません。ただ、この事件を取り調べましたことに関連いたしまして、石井武夫の資金の出所についても、鋭意捜査を遂げました結果、石井武夫が県内建設業者から合計九百四十万円の提供を受けて、これを一部に充てておるということが判明いたしたわけでございます。そこで、この県内の建設業者が、選挙に関する寄付といたしまして同人に提供いたしましたのは十三業者あるわけでありますが、そのうち九業者につきましては、当時、国あるいは公共企業体等の間に、土木建築工事の請負契約の当事者となっておりますわけでありまして、その関係の寄付金は、約六百万円になるわけでございます。しかしながら、これらの特定寄付の禁止違反につきましては、捜査の結果、この業者については、その事実、つまり、特定寄付の禁止に違反している事実ははっきりいたしておりますが、諸般の情状をしんしゃくいたしました上、起訴猶予にいたしております。この件につきましては、その寄付金の大半が、すでに返還されております。そういうような事情を考えて、犯罪事実は認められるのでありますが、これを起訴猶予にしておるのであります。なお当時、たまたま、国その他と請負契約の当事者になっていなかった業者につきましては、もちろん、その面の犯罪は成立しないわけでございまして、その点は、ただいま御指摘のとおりであります。したがいまして、現在の公職選挙法によりますれば、当時、現に当事者であったという必要があるわけでありまして、その契約が全部完了いたしました、つまり、履行が終わっております場合には、もはや、さような関係はないということに、公職選挙法上解釈せざるを得ないことは当然でございます。
  67. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 大体、いま刑事局長からお話があったようなことになっております。今度の山内の選挙違反について、山内氏御本人が承知であるかどうか知りませんけれども、少なくとも兵庫県における前県会議長が、あるいは県の議長室を使い、あるいは県の会館を使用して金品の授受を実は行なっておるわけであります。また、県の土木出張所長を集めた土木出張所長会議に臨んで、本省の事務次官であったのだから、この人を応援しておかないと、あといろいろ本省に仕事をお願いをしたり注文をつける場合にも、県のためにはプラスにならないというふうな考え方のもとに、物品を供与して、そうして票の取りまとめを所長に要求しておるわけです。ある土木出張所長は、これは仕立て券つきのワイシャツですから返そうとした。そうして、そういうことをある者に相談をしたら、まあしかし、せっかくもらったんだからもらっておきなさい、それを返すとかえってかどが立って、あとあと困るし、にらまれるからもらっておきなさいということを言われて、それはやめなさいということで、これは仕立て券つきのワイシャツですから、こんなものは高くもないのですが、そういうことでそれを返したくも返せなかった。返せばにらまれる、あるいは、そういうことをすると、将来、本省に行ってもお前の顔が悪いぞというようなことで、やむを得ず受け取っておる、こういう事実があるわけです。だから、こういうところに私は、先ほど大臣の言われた人事交流はけっこうですけれども、問題点が一つあるのではないか。それから、現在の本省の各府県とのいろんな許認可の問題その他についても、やはり問題点が私はあるというふうに、実は考えておるわけなんです。  そこでこの際、将来いろいろ私たちが、これからさらに掘り下げて論議をいたしますために、あるいは公職選挙法の問題についても再検討をいたしますことのために、資料の要求をいたしておきたいと思うのです。で、法務省につきましては、先ほどおっしゃいました献金土木業者のリストと献金額、それから、地検のほうでは、相当その間の事情を調べられておると思いますので、そういう関係がわかれば、ひとつ資料として、文書として提供してもらいたいと思うのです。こういうことは、たとえば、私たちが聞いておる土木業者には、百数十万円から二、三十万円まで差があるのですけれども、それは県もしくは国の入札回数あるいは請負金額、そういうものが勘案されて、金額が割り当てられたというふうにも実は聞いておるので、そういうことがあるかどうか知りませんが、その点をひとつ、わかれば資料としてお出しいただきたいというふうに考えております。  それから建設省につきましては、各都道府県の土木部長、課長等について、本省との関係のある者が、一体どれだけあるのか、どういうふうに出向しておるのか、あるいはどれだけ帰っておるのかというようなことを、一応各都道府県の土木部長並びに課長について、建設省との関係のある方について調査の上、早急にひとつ資料を御提出願いたいと思います。そういう資料をいただいて、また別の機会に、私は質問をいたしたいと思います。
  68. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) それでは、ただいまの佐野委員の資料要求についてお答えをいただきます。
  69. 播磨雅男

    説明員(播磨雅男君) ただいま御要求の資料は、さっそく調査いたしまして提出いたします。
  70. 津田實

    政府委員(津田實君) ただいまの資料につきましては、私ども現在手持ちはございません。あるいは捜査の対象になっておるかどうかについてもわかりませんが、神戸地検のほうを調査いたしまして、できるだけ御要望に沿いたいと思います。
  71. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) できるだけすみやかに当委員会提出していただきたいと思います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 相澤重明

    ○理事(相澤重明君) 速記を起こして。
  73. 竹田現照

    竹田現照君 総務副長官、私の質問の趣旨は通っていますか。
  74. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 概略は伺っています。
  75. 竹田現照

    竹田現照君 私の質問は、十月五日に北海道釧路市の新富士海岸で、旧海軍爆雷とほぼ確定できるものを釧路共栄小学校の児童の炊事遠足中にそれを使ったために爆発事故が起きて、死者四名、重傷十名、軽傷十九名、合計三十三名に及ぶ大惨事となったと。この問題について、旧軍隊のこの種砲弾爆雷、こういう問題についての取り扱い、また、起きてきた事件を取り扱うべき官庁が明らかでないわけです。したがって、この種災害補償と言っていいのか、国家賠償と言っていいのか、こういう問題について取り扱うべきところがどうもはっきりしておらないので、この点について明らかにしていただきたい。   〔理事相澤重明君退席、委員長着席〕
  76. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 去る十月五日、釧路市にて起こりましたただいま御質問事故は、死者四名、重傷者十二名、軽傷者十九名、しかも、いたいけな小学生が被害を受けた、まことに痛ましい遺憾な事件でございまして、政府といたしましても、心からお見舞いを申し上げる次第であります。  本件につきましては、実は一昨日、釧路市長が参られまして、私どものほうへ、いろいろ実情について御報告を兼ねて種々の問題について御陳情があったわけでございます。そこで、私どものほうといたしましては、こういう事故が起こったということは厳然たる事実でございまして、一体どうしてこれが起こったか、また、今後この種の事故を防止するのにどうしたらいいか、また、不幸にして死なれたり、けがをされたりした方はどういうふうに処遇をすべきか、こういうことにつきまして、一体、これはどこの官庁で扱うのがいいだろうか、いま申し上げましたような諸点を含めまして、関係各省庁で研究を実はいたしておる段階でございます。しかし、事柄は十月五日に起こっておる事柄でございますので、早急に結論を得たいと脅えておるわけでございます。ただいままでのところ、まだ確たる所管官庁を決定しておらないことはたいへん残念でございます。一両日中に決定いたし、また、対策につきましても、種々検討いたしておりますので、早急に検討いたしまして、次の機会のこの委員会でも御報告を申し上げるようにさせていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  77. 竹田現照

    竹田現照君 事故が起きて十五日もたって、なお、おとといになってようやく相談をはかるというようなことでは、非常に遺憾だと思うのですが、これはまあしょうがないわけですが、いま副長官からお話があったように、現実になくなった児童、それから病院に入っている児童や先生、こういう人の医療補償等の問題もどうするかということがきまっておりませんね。ですから、こういう問題も含め、さらに今後こういう事故も当然に予想されますから、こういう問題に対する法律上の措置も含めて、いま一両日中に結論を出すとおっしゃったのですから、この次の委員会に具体的な報告をしてもらいたいと思います。  それから、今回の事故ばかりでなくて、さきに質問のときにもお話をいたしましたが、特に北海道の各地で旧日本軍砲弾爆雷等の措置があっちこっちに出ておるということが、ことし新聞で報道されておるわけです。ですから、これはもう関係機関に厳重に指示して、こういった問題について一掃をすみやかにやっていただくように措置をしていただきたいし、そのことに対しての報告もあわせてお願いをいたしたいと思います。  それから、午前中の質問とそれから私の質問、通告して以来そうなんでありますが、一体、海、陸を含めて、どこを限度に海上保安庁あるいは防衛庁、こういうものが責任があって、どういう答弁をしたらいいかということを言われておったわけですが、この種の扱い、防衛庁であれば防衛庁として、海上自衛隊にしても、陸上自衛隊にしても、早急にこういう問題の措置をやっていただくように特に要望いたしたいと思います。よろしいですか、次期の委員会まで。
  78. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 私一両日中と申しましたのは、主管官庁をきめますのは一両日中にきめます。それから対策につきましては、これはもちろん一日でも早くということでございますので、こういうものにつきましては、いろいろ法律上の問題等ございますから、それも全部一両日中ということではございませんので、それは念のために申し上げておきますが、いずれにいたしましても、できるだけすみやかにこれらの対策を立てたいと考えておるわけでございます。  それから、いまお話がございました北海道のみならず各地でそうした爆発物が戦争当時からのものが残っておるとかなんとかいう問題でございますが、これらにつきましても、こういうあぶないものが残っておるということにつきましては、非常に大切な問題でございますので、どのような措置をいたすかということにつきまして、政府としまして早急に対策を立てたいと考えております。
  79. 竹田現照

    竹田現照君 法律上の問題は、まあ時間もかかると思いますが、さしむき、なくなった児童と、現に重軽傷を受けて病院に入っている児童、先生、こういうものの措置は、先ほどお尋ねしますと、法律上いま賠償なり災害補償する措置がないというお話なんです。そうすると、これは政治的にどう扱うかは別として、早急に内閣として弔慰金であるとか、あるいは何ですか、負傷見舞いというのですか、こういうようなものぐらいは、これは一両日中にできるのじゃないか、それくらいのことはやれませんか。
  80. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) それらの点につきましては、できるだけ早く直ちに相談をいたしまして、何といいますか、次の委員会に御報告ができるようなところまで努力いたしたいと思います。それ以上のところは、いろいろ関係の向きと相談しなければいけませんので、ごしんぼういただきたいと思います。
  81. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本件に関する調査は、午前中はこの程度にとどめておきます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  82. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  まず、午前に引き続き、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、小委員会報告に関する件を議題といたします。  それでは、相澤元国有財産に関する小委員長報告を求めます。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 国有財産に関する小委員会報告をいたします。  資料三部、委員の皆さんのお手元に配付をいたしておりますので、ごらんをいただきたいと思うのでありますが、国有財産に関する小委員会は、第四十九回国会開会中の八月六日、本委員会調査の一環として設置されましたが、その後、今期国会開会の前日、十月四日に至るまで、前後八回にわたって開会いたしました。  審議の対象となった事案は、小委員会設置前本委員会で取り上げられた旧虎の門公園地に関する件、旧陸軍経理学校跡地の件、日本中央競馬会に関する件、碑文谷マンションに関する件、多摩川等河川敷に関する件、接収ダイヤモンドに関する件等が主たるものでありました。取り上げた事案の複雑さに引きかえ、審議日数もいまだ十分でなく、結論を出すまでには至らなかったのでありますから、一応ここに事案別にその概要と問題点を別紙で報告をいたします。  なお、小委員会発足後、小委員長あてに送られてきた国有財産管理処分に関する投書の取り扱いについても、別紙で作成をいたしてごらんを願うことになっておりますので、御了解をいただきたいと思います。  この間、関係者の皆さんのたいへんな御協力と、大蔵省並びに政府関係機関のたいへんな御努力で、この国有財産に関する問題も、解決したもの、解決しつつあるものというふうでありますが、まず第一は、旧虎の門公園あるいは旧陸軍経理学校跡地の件、あるいは碑文谷マンションに関する件、多摩川等河川敷に関する件、日本専売公社の宿舎交換に関する件、接収ダイヤモンドに関する件等は、すでに事案の解決したもの並びに解決への方向がとられまして、心から敬意を表する次第であります。なお、十分あとの処理の問題については、国有財産局においても、また専売公社においても、管守を願っておきたいと思うのであります。  それから、国有財産管理処分に関する投書は、先日の本委員会で申し上げました際までは、六十二号までを発表をいたしました。内容については、ひとつお手元の資料をごらんをいただきたいと思うのでございますが、その六十二件の中には、匿名で来たものが二十一通ばかりございます。こういう点については、まだほんとうに自分のことを住所、氏名を明らかにして言っていいものかどうかという心配が国民の一部にもあるようでございまして、私ども国民の権利を、また、そうした御意思というものは十分議会の中に反映をさせ、また、政府関係においても、そのことの正しさをひとつ十分見きわめていただくようにお願いをしたいと考えております。特に投書の中で、三件はほぼ解決の方向がつきました。第五号の大阪府富田林市中佐備七〇四道籏秀雄さんの件、それから第十号の茨城県水戸市千波町五四一松田玄さんの件、第十一号港区麻布笄町一四一西山道明さんの件、これらにつきましては、先ほど申し上げましたように、政府関係機関のたいへんな努力と前向きの姿勢がとられておることをあわせて御報告をいたします。  さらに、小委員会といたしましては、十月四日で一応任期は切れたわけでありますが、第五十臨時国会におきましても、まだまだ審議未了のものがたくさんあるし、したがって、継続調査をすべきであると、こういう意見になっておることも付言をいたしまして、私の報告を終わります。
  84. 藤原道子

    委員長藤原道子君) この際おはかりいたします。  皆さまのお手元に配付いたしてあります国有財産に関する報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  85. 藤原道子

    委員長藤原道子君)御異議ないと認め、さよう決定いたします。  別に御発言がなければ、小委員会報告は、これをもって終了いたします。     —————————————
  86. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次に、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、派遣委員報告等に関する件を議題といたし、調査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 北海道の調査報告に関する質問を申し上げたいのですが、時間の関係から、防衛庁の問題からさしていただきたいと思うわけです。  今度の視察で、旭川の第二師団、帯広の第五師団を現地で見学したわけでありますが、そこで説明を聞きますというと、言い合わしたように強調されておるのは、災害出動の問題、民生安定の問題、こういうものが大わらわに宣伝されているわけです。災害派遣、部外工事、音楽隊の派遣、援農、無医村の医療、このような民生協力というようなものが第一面に出て宣伝されているわけです。私たち非常に奇異な感じがしたんですね。やはり自衛隊の本務というのはどうなのか。むろん、このような民生を安定して愛せられる自衛隊というものを目ざして自衛隊が大いに宣伝をやっていることはわかるわけですけれども、どうもやはり本筋からはずれているような感じがするのです。この点は、一体、防衛庁としてはどういう方針をとっておるのですか。この現地視察と、それから実際進められておる防衛態勢、防衛訓練、そういうものとはだいぶそこに開きがあるような感じがするのですが、この感じが免れないのですが、この点についてどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  88. 島田豊

    政府委員島田豊君) ただいまの御質問でございますが、もちろん、自衛隊は、法律にも明確に記載してありますように、直接侵略及び間接侵略に対しましてわが国を防衛するということを主たる任務といたしておることは否定できませんし、それはまた事実でございます。そういうために、平素防衛力の整備をはかり、また、精強な部隊を育成するための教育訓練を励んでおるわけでございます。ただ、しかしながら、一面におきまして、ただいまの、各部隊のほうで御説明申し上げましたような災害派遣あるいは土木工事の受託等、いわゆる民生協力と申しますか、こういう面につきましても、これは自衛隊の主たる任務と別個のものというふうにはわれわれは考えておらないのでございます。御承知のとおり、災害派遣につきましては、各台風の災害ごとに自衛隊を派遣いたしておりますし、また、最近では新潟県の豪雪、あるいは新潟の地震災害、あるいは昨年の東京都におきますところの給水支援、こういう面につきましては、自衛隊がその組織的な活動力と申しますか、機動力、輸送力、通信力、こういうものを総合的に活用いたしまして、災害派遣の要請に応じ、また、災害の復旧等に努力をしておりますことは、国民の皆さま方よく御認識いただいておるというふうに思うわけであります。これは災害派遣ということでございますけれども、やはりこれは自衛隊の平素の本来の任務の面におきますところの教育訓練の成果をこういう面に発揮をするということでございますし、また、そういう一つの部隊を派遣しますことは、これはいろいろの意味におきまして自衛隊の訓練そのものでございます。輸送、通信、あるいはその他のあらゆる物資の補給等につきましても、これは災害時におきますところの活動そのものが、平素の訓練が周到に行なわれておりませんでしたら、なかなかあれだけの力を発揮できない。また、そういう災害派遣地におきますところの活動そのものによって、自衛隊の教育訓練というものがさらに一そう積み上げられていく、こういうことでございます。また、土木工事等の受託にいたしましても、これは本来やはり教育訓練という目的に適合する限りにおいて実施しておるわけでございまして、これが平素本来自衛隊が使命といたしておりますところの防衛力の整備なり、あるいはそのための精強な部隊の育成というものと別個のものであるというふうにはわれわれは考えておらないのでございまして、もちろん、有事のために備えまして、あらゆる態勢を整備してまいりますけれども、平時におきましては、そういう災害その他の民生協力の面も、防衛庁として大きな仕事であるというふうに考えまして、そういう面についても力を入れておるわけでございます。したがいまして、北海道の部隊におきまして、そういう面につきまして特に強調いたしておるというのは、そういう事実を率直に御説明申し上げたというふうに私どもは理解をいたしておるのでございまして、そのために、本来の任務でありますところの直接侵略あるいは間接侵略に備える態勢の整備なり教育訓練というものをおろそかにしておるということは全然ないのでございまして、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 私どもの受けた印象では、これは国会の視察ですから、もう少し、自衛隊についてはわかっていると思うが、一般の参観人に対するPRみたいな、ちゃんとつくられた表なんかございまして、それを引っくり返してやらされておる。これではやはり国会の視察では不十分ではないかという意見を述べたわけでございますけれども、やはりもう少し実態を国民の前に知らせるということが、いまのような民生協力という面だけで自衛隊の性格づけをするような印象を与えておることは、これは免れない。非常に、いろいろいまの説明にありましたけれども、そういう点で私たち、自衛隊の本体というものをもう少し国民の前に明らかにする必要が、この国会委員会としても必要だと考えます。  こういう問題と関連してですが、自衛隊の最近の動きの中でも、ぜひこれはお聞きをしたい問題があります。それはほかでもない、衆議院で問題になりました相馬ケ原における治安出動訓練の問題。陸上自衛隊の東部方面部隊の第一師団が、十月三日から九日まで群馬県の相馬ケ原の演習場で秘密裏に治安演習を行なった、こういうことが報じられておりますが、これはいかがでございますか。
  90. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) ただいまのお尋ねの相馬ケ原の演習でございますが、これは東部方面の第一師団が十月七日及び八日の二日間、相馬ケ原演習場で行なっておりますが、治安出動の訓練を行なっております。第一師団の年度計画に基づきまして、恒常訓練として師団長が計画してこの訓練を実施いたしております。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 その日の演習の規模、それから統裁官、指揮官、それから参加したそういう人たち、これはいろいろあると思いますが、将官、佐官、こういうところが参加したと思うのですが、こういう実態はどうでございますか。
  92. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 統裁官は第一師団長でございます。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 名前を言ってください。
  94. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 橋本正勝でございます。参加部隊を申し上げますと、第一普通科連隊、これは練馬にございます第一普通科連隊。それから第三十一普通科連隊、朝霞にございますが、この二個連隊を基幹とするものでございまして、総員は七百九十五名でございます。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 両方合わせてですか。
  96. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) そうでございます。演習の内容も申し上げますと、二日間にわたりましたけれども。第一日目は、発煙筒、それから各種障害物の展示、それから用法の演練、それから中隊の警護行動の演練等を行なっております。第二日目は、三十一連隊を対抗部隊としまして、第一連隊を主動部隊としまして、連隊単位の制圧行動を演練したものでございます。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは何ですか、演習は年度計画で年の初めに出されると思うのですが、その年度計画、当初計画にこれは入っているのですか、この演習は。
  98. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 第一師団の年度計画に入っているものでございます。
  99. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは治安出動訓練として出されておるものですか。本年度の年度計画、これは国会に出されていなかったですかね。これ資料として実は欲しいのですが、その中に入っているのですか。
  100. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 国会に出されました資料に入っておるかどうか、私、ただいまつまびらかにはいたしておりませんが、一般的に申し上げまして、演習の計画は規模によりまして指揮者が違います。一番大きい規模で申し上げますと、各自衛隊ともそうでございますが、陸上で言いますと、陸上幕僚長が指揮するような計画、あるいは陸上幕僚長自身が統裁しなくても、陸上幕僚長の指示によって方面が計画する演習というようなものが、年度の一番大きい計画としまして長官の承認と、計画自身を内局を通して長官の承認を受けることになっております。そういうのはわれわれの手元にも計画として上がってまいりまして、それを長官が承認すると、こういう手続をとっております。しかし、それ以下の訓練になりますと、方面総監以下に大体幕僚長が基準を示しまして年度計画をつくらして実施させるというふうな手続をいたしておりますので、この演習は、先ほど申し上げましたように、師団長以下の、しかも連隊単位の訓練でございますので、具体的にはわれわれのところには計画として上がってきておらなかったものでございます。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、規模は相当なものでしょう、七百九十五名。そうして三十一連隊と、それから練馬の普通科連隊ですか、この二連隊が出ているのですね。それから、この中でどうなんですか、野尻陸将が参加されておると思う。それから見学者ですか、これに実際、将官が十名ぐらい、それから佐官が百数十名参加しておるということを聞いているのですが、この事実はいかがですか。
  102. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 東部方面総監野尻総監は当日相馬ケ原におりました。これはたまたま別の東部方面の演習の準備の演習をやっておりました。といいますのは、東部方面では来年早々東部方面総監を統裁官とする幹部の指揮所演習というのを計画しておりまして、その準備がございましたので、総監が、いまおっしゃいましたように百数十名の幹部を集めまして、その準備を相馬ケ原でいたしておりました。その指揮所準備演習と、この申し上げました治安出動の訓練とがたまたま同一場所、同一日時に行なわれておったような状況でございましたので、東部方面総監は、この師団演習も、師団統裁の演習も視察し、監督をいたしておったと、こういう状況でございます。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はいままでの答弁の中で、第一に、師団だけの計画だと、したがって、陸幕の年次計画の中には入っていない、こういうことなんですね。この点は少し明らかにされなきゃならぬ問題ですから、これは今年度の当初計画の資料を国会に出してほしいですね。これとの関係で一体どうなるのか。はたしてこのような治安出動訓練などというものが、師団だけの範囲で行なわれるはずのものかどうか、この点が問題だと思います。  それから、参加者は、私がいま申しましたように、将官が十数名、あるいは佐官級が百数十名、これは大体事実相違ございませんか、いかがでございます。
  104. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほど申し上げましたように、東部方面の指揮所演習の参加者のほうに幹部が百数十名おった事実がございます。この治安行動訓練のほうには師団長以下の幹部でございます。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、野尻陸将はあとで訓示をやっておるじゃないですか。この演習が終わったあとですか、この演習は秘密裏に行なうんで、家族の者にも漏らしてはならない、厳重にこの秘密保全について、野尻陸将が訓示をした。そうしますと、いま言ったように、たまたま行ってたなどという、そういう種類のものじゃないというふうに私たちははっきり考えるわけですがね。これはどうですか。これは非常に事実と違うように思います。  さらに、野尻陸将は、これはなんでないですか、方面隊指揮の第一師団に対して、相馬ケ原演習場において治安行動訓練をやる、部内ではT訓練ですか、この展示演習を実施して、七日、八日両日、方面隊全部隊の各級指揮官全員及び陸幕関係幹部、これは先ほど申し上げましたように、陸将に、それから佐官ですね、その展示の結果を研究討議さして思想統一をはかった、十月十日以後に全部隊に訓練普及を命じた、こういうふうにわれわれはつかんでおるんでありますが、その点はどうなんですか。単に師団の段階だけの訓練じゃなくて、実際は、これは東部方面の総監部によって計画され、そうして野尻陸将が主宰をするというかっこうで、しかも、それに参加した人たちがあとでその問題を研究し、しかも、その研究の結果については、各部隊に徹底させ、普及方まで要請している、こういうことになっているんですが、ただいまの御説明とはだいぶ食い違いがありますけれども、その点どうなっておりますか。
  106. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 演習そのものは第一師団が計画いたしまして、第一師団長が統裁官となりまして実施いたしたものでございます。総監との関係は、先ほど申し上げましたように、別の演習で幹部を集めておりました。で、総監はもちろん第一師団長の上司でございますので、演習そのものは師団長が統裁官の規模でございますけれども、上司として視察し、監督をいたした、こういう関係に相なっております。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのいまの関係、ちょっとさきの説明と食い違いがあるわけですが、これはしばらくおくとしまして、この演習の内容ですがね、演習場の射場内では、国会付近の建物、道路を現示して、そして主として練馬の第一普通科連隊が中心となって、航空部隊、戦車などが協力して、対抗部隊としては朝霞の第三十一連隊、これをデモ隊になぞらえて、そして野尻陸将統裁のもとに、戦車、ガス、火器などの強力武器の使用による空陸一体のデモ撃滅作戦を展示した、こういうこともすでにこれは明らかになっておると思いますが、この内容はこのようなものですか。つまり、デモ隊を三十一連隊の朝霞部隊にする。これに対して、これを撃滅する作戦をやった。そのために戦車を使い、それからガスを使い、火器を使う、こういうような形でデモ隊撃滅のこのような演習をしたということは、これは事実でございますか。この二点、どうですか。
  108. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 主動部隊と対抗部隊とは、先ほども申し上げましたように、第一普通科連隊と第三十一普通科連隊ということでございます。で、いまお話の中に、国会を想定したというようなお尋ねでございますけれども、この場合の事実は、繩張り等で架空の市街地を想定いたしまして、そして対抗部隊、主動部隊とを対抗させまして、先ほど申し上げましたような制圧行動、警護行動等を演練した、こういうように相なっております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 国会周辺を想定したというのは事実でございますね。
  110. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) いや、国会周辺を想定したのではございませんで、架空の市街地を想定いたしまして、それによって主動部隊と対抗部隊との演練を行なった、こういう事実でございます。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 これと前後して、これは自衛隊の幹部が私服で国会の周辺の地形を偵察したという事実が、これはあがっておるわけですが、これは事実でございましょう。これはだれがやったのですか。
  112. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) そういう事実はございません。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、事実はございませんということですが、そういう事態を目撃したような人もございます。どうも見なれないかっこうで、何か紺の服装で、それから何か運動帽のようなものをかぶったような、それから写真なんかとっているとか、こういう情報などもあげられております。  それから、こういう場合に、当然の任務として調査隊というのが活動するのじゃないですか。治安行動出動の場合に、情報を提供するためには、調査隊が事前に調査をするということになっていると思うのですが、これと関連して私お聞きしたいのは、調査学校というのがございますね、陸上自衛隊調査学校。この調査学校というのは、これは何をやっているのでしょう、一体。これは私は調査学校そのものについて資料を要求したいのです。どういうふうになっているか。これは国民の視野からちょっとそらされているものですからね。これは非常に私は重要だと思いますので、お聞きしたいのですが、所在地はどこ、それから第二には、この構成はどうなっているか、だれが一体校長で、それから人員はどれくらい、それから卒業生の数、それから卒業してからこれはどこに配置をされているのか、任務は何か。この調査隊というものは非常に当初から問題になっている。たしか二十八年の創設だと思いますが、学校の創設は私はよく知らない。ただ、調査隊というものが全国の陸上自衛隊にある。これが情報を収集する。まあわれわれの極端なことばで言えば、スパイであります。このようなものが、実際は調査学校によって養成されておるという事実は、まぎれもない事実だと思います。したがいまして、いまの問題についてここでお答えいただければお答えいただく。それから、資料としてもなお出していただきたい。今度の問題と当然これは関係があるだろうと私は考えるので、どうも調査隊というものが昭和二十七、八年ごろにつくられて、そのときの任務は治安出動のための情報収集、こういう任務をはっきり持っているのですから、こういう中で調査隊が出動しないわけはない。国会周辺の情報を偵察したという事実はないというお話でございましたが、これは防衛庁がつかんでいるかいないか別問題として、事実はそのような調査が進められ、そして国会——むろん、この石造の国会をつくるわけはないわけですから、これは繩でつくったかどうかわかりませんが、国会というものを提示して、そうして一方では朝霞の軍隊をデモ隊にした、そして、これに対して、これを制圧するというかっこうでデモ隊鎮圧の演習をやったということは、これはまぎれもない事実です。その点もお聞きします。
  114. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 陸上自衛隊には調査学校というものがございます。所在地は小平市でございます。任務は政令にも規定してございまして、「防衛及び警備のため必要な情報に関する業務等に必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行うとともに、情報関係部隊の運用等に関する調査研究を行う」、こういう任務でございます。  構成、それから卒業生の数等は、ただいまつまびらかにしておりません。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 校長さんはどなたです。校長はわかりませんか。
  116. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) ちょっと失念いたしました。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから卒業生の数。
  118. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) ちょっとつまびらかにいたしておりません。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま任務はお話がありましたな。委員長、この資料をこれは早急に出してほしいのです。  それからもう一つは、調査隊はどうですか。調査隊というのは一体どれほどあるのか、各自衛隊にどれくらいこれはつくられているのか、そして、いま何をやっているのか、その総数はどのくらいか、この点はいかがですか。
  120. 島田豊

    政府委員島田豊君) 調査隊という部隊はございまして、これは中央にもございますし、各方面隊にもそれぞれ調査隊がございます。それの人員等については、私、ここに資料を持ち合わせておりませんので、いずれ調査いたしたいと思いますが、これは任務といたしましては、やはり自衛隊が本来の防衛なり警備の任務を果たしていきます上におきまして必要な情報を収集するということが主たる任務ということになっております。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつでもこの訓練は秘密裏に行なわれるのですが、どうもこのときの様子を見ますと、演習場一帯は厳重な警戒下に置かれ、警備隊や歩哨により道路のすべては閉鎖され、秘密保全は徹底されて、上空からヘリコプターででも見ない限り、一般には目撃されることが絶対不可能な状態で行なわれた、こうなっておりますが、そうしますと、年度計画には手段として持っていた、しかし、防衛庁の計画にはなかった、しかし、このような極秘の中に、いわば人民が人民を圧殺するところの訓練でございます。人民が人民というより、日本人が日本人を圧殺するところの訓練、これを行なうために、このような極秘な態勢をとらなければならないのでありますか。いつでもこのような治安出動の訓練をやるときには、こういう態勢をとるのでございますか。それとも、今度の場合だけ特に非常に問題になって、ことに、これは夏ごろから、八月ごろから問題になりまして、九月になってこの計画というものが明らかにされて、つまり、陸上自衛隊ははっきりそのような計画を考えている。十月に開かれる日韓批准の国会に対して、国民の反対闘争は盛り上がるだろう、これを鎮圧するために、警察力だけでは足りないので、いざというときには軍隊が出動する、そのための準備をした、こういうことがいままでニュースに、これは新聞などにも報道されたわけであります。そうして陸幕監部の二部、三部、四部が計画を持った。二部が、日韓批准に集まるデモ隊の人数や、暴動化の程度を見積もり、三部は、出動部隊の選定、部隊の移動、集結計画、四部は、デモ隊鎮圧のために使用する催涙弾などの算出と確保、さらに、それを操作する化学部隊の編成や出動部隊の補給、そうして、このような調査をやって、それを持ち寄って方針を決定するということが、これは九月あたり大きな問題になりました。私たちこれを取り上げまして、党を代表しまして防衛庁に参りまして、官房長にも抗議をしたはずでございます。こういう事実はないということでありましたけれども、いまの肯定されましたこの演習、相馬ケ原における演習は、この一部分かどうか知りませんが、裏づけるところがあると思う。この計画の出動部隊は、第一連隊練馬六百九十一名、第三十二連隊市ケ谷七百六名、第三十一連隊朝霞六百八十五名、第三十四連隊駒門六百七十名、ほかにも大宮の陸自の化学学校、それから人員輸送のための装甲部隊、大体合計三千名という大がかりの計画をすでに有しておる。これが憲法の保障するところによって当然の権利として日韓会談に反対をするという人民の意思を抑圧するというような目的、しかも、こういうもので弾圧するんだという態勢を最初から示すことによって、実はこのような日韓反対闘争を事前に私は制圧するところの意図をもって行なわれたとさえ考えておるのです。私たちはこの問題を非常に重大視して、このとき抗議をした。海原官房長はこれを否定しましたけれども、しかし、事実はこのようにあらわれているのが実態ではないでしょうか。私はそう考えますというと、この演習は非常に厳重な警戒の中で、人っこ一人、ネコっこ一匹通れないというような警戒態勢の中で行なわれた。そうして全然われわれの知らない間にこういう事態が一方で進行しているということは、実にこれはゆゆしい問題だと考えたわけであります。この点はいかがなもんですか。現時点との関連で、私たちは軽々に見のがすことはできない問題だと考えるのですが、その点はいかがですか。
  122. 島田豊

    政府委員島田豊君) ただいま、今後の国会を対象にいたしまして、陸上自衛隊において治安出動計画を立案いたしておるというようなお話でございました。それにつきまして官房長に抗議をせられまして、官房長は否定をされたということでございますが、私もそのように承知しておりまして、陸上幕僚監部においては、そういう具体的な治安出動計画を立案しているという事実は全くございません。今度の相馬ケ原におきますところの治安出動に関する訓練、これも先ほど教育局長から御答弁申し上げましたとおりに、これは毎年各師団等におきまして計画を立てて、年次計画に基づきましてそういう訓練を実施いたしたものでございまして、陸上幕僚監部におきますところのそういう治安出動計画が存在しないということ、それから、この訓練はことしに限って行なわれたものではなくして、毎年行なっているものであるということ、それを考え合わせますと、岩間先生のお考えのようなことにならないのではないかというふうに私どもは考えております。両者のほうには関係ないと考えております。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 私がどんなに時間をかけて質問しても、関係があるとはおっしゃらないだろうと思います、いまの時点では。しかし、関係がないと言ったって、いまのような国会周辺のそういう想定をやる。それから、ばかにこれは厳重な警戒の中でやっている。そういうところに、現時点における——あなたたち自身はどう考えているかしれないが、現特点の情勢を考えまして、重大な問題を私は持っていると思うのです。私は、こういうあなたたちが肯定されました治安出動演習に関連しましてさらにお聞きしたいと思うのですが、第一に、治安行動教範はできていない。何を根拠にしてやるのですか。あなたたちは自衛隊法の七十八条、八十一条を根拠として当然これは治安出動ということを言われておるのだと思いますけれども、しかし、教範がないのじゃないか。私が何回もいままで追及したのです、これは。四年前から毎年の予算委員会で私は連続四回追及した。そうして今年の三月におきましては、とうとう、この治安行動教範というのはまだ出ていない、こういう説明をしておる。教範の訓練というのは何にもない。言語道断ですよ。この点がまず一点。  第二は、七十八条によりますと、内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められるときに治安出動を命令する。これが一つの法的根拠、命令出動の法的根拠。もう一つは、八十一条の要請出動、治安維持上重大な事態につきやむを得ないと認めるとき、このとき県知事が府県の公安委員会と相談をして、それから内閣総理大臣に要請する、内閣総理大臣がそれを承認して、出動を許可すれば要請出動ということになる。この二つになるわけですが、今度の日韓反対の国民の下からの盛り上がりにあたって、いま申したような緊急事態に際して、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては治安維持をすることができないという事態が起こると、こういうように頭からあなたたちはお考えになっていらっしゃるのですか。どうなんですか。これは私は認識の程度が非常に重大な問題だと思いますから、この点は明確にしてもらいたい。これが第二点。  第三の問題は、私は昨年の予算委員会におきまして、当時の海原防衛局長に対しまして、この治安行動草案というものは次のような闘争には適用するかどうかという質問をいたしております。その一節をちょっと読んでみますと、「それじゃ具体的にお聞きしますが、基地反対闘争、日韓会談反対闘争、それから日中国交回復運動、あるいは春闘を中心にした賃上げ、ILOの批准、最低賃金制の確立、そうした労働者の要求、あるいは人民の側からの物価値上げ反対、重税反対、いろいろな要求が出ております。そうして、そのための統一行動をやっておる。これは冷戦の様相と見るのか見ないのか。」——冷戦の様相というのは結局、冷戦をもとにしまして、これは間接侵略があるのだと、それに治安出動をするということでありますから、同時に冷戦の様相と見るか見ないかということは、治安出動と深い、切っても切れない関係があるわけです。これに対して海原防衛局長は、「ただいま御提示になるような例は冷戦とは考えておりません。」、こういうふうにはっきり答弁をやっておる。そこで私は、さらに「安保闘争のような場合はどうですか」と聞いた。そうしたら海原局長は、「同様に冷戦とは考えておりません。」、そうすると全く、もしもこの国会における前防衛局長の答弁が正しいとするならば、私は当然に今度の日韓批准反対闘争のごときものに対しまして、自衛隊が出動するなどはもってのほかだと考えるわけですけれども、この点は当局としてはどういうようなお考えを持っておられますか。以上三点についてお伺いします。
  124. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) まず第一点の教範の問題についてお答え申し上げます。  御質問の治安行動教範なるものは、まだ作成してございません。検討中の段階でございます。したがいまして、現在におきましては、この治安行動の訓練につきましての陸上自衛隊全体を通じましての統一した訓練の準拠は、正式なものはない、こういう段階でございますれども、各部隊は、先ほどお話がありましたように、法律に基づく任務を持っておりますので、訓練はやらなければならないということでやっておりますけれども、その訓練にあたりましては、教範はございまませんけれども陸上幕僚監部で作成いたしております各種機材の用法の説明とか、いろいろな法規の解釈とか、あるいは各種訓練の成果とか、そういった資料を参考といたしまして、それぞれの部隊における訓練の基準を部隊で立てまして、そして訓練を実施していると、こういう状況でございます。また、現に検討いたしております行動教範の草案は、まだ確定的なものはでき上がっておりませんけれども、一応いろいろな案があるわけでございまして、その案の一部を部隊としては参考として訓練に当たっている。そして、訓練によりまして、この場合はよかったとか、この場合はまずいとかというような成果を積み重ねて、これが将来の確定的な教範になる、こういう状況でございます。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 三つ聞いたでしょう。七十八条、八十一条……。
  126. 島田豊

    政府委員島田豊君) 御承知のとおりに、わが国の国内の治安維持をはかります第一義的な機関は警察でございます。したがいまして、この一般の警察力をもってしては治安の確保ができない、間接侵略その他の緊急事態に対処いたしまして、一般の警察力をもってしては対処できないという場合に出動命令が下るということがあり得るわけでございます。したがいまして、一般の警察力をもってしては治安確保ができないというふうな事態は、これは私どもとしましては、相当なやはり国内における内乱騒擾のような状態を考えているのでございまして、今後そういう情勢がどういうふうになるかということは、いまからそう将来のことを予測するわけにまいりませんが、一般的には、とにかく、そういう非常に内乱騒擾的な様相を呈しまして、一般の警察力をもってしては治安が維持できない、こういう事態に治安出動ということが考えられるというように考えております。したがいまして、具体的な事例をとらえて、これがはたして冷戦に当たるか当たらないかということにつきましては、これはなかなか形式的には申し上げられない。やはりそのときの事態に応じまして諸般の判断をいたしまして、自衛隊として出動すべきかどうかということについての正式な判断が下るというふうに考えているわけでございます。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもたいへんな御答弁なんですね。教範ができてない、そこで各部隊で方針を立ててやっているということ、草案をもとにして、それを参考にしてやっているということなんですが、統一されてない、そんな事態で四年間も放置しておるのですか。そんなことはあり得ないでしょう、あなた。できててこの内容発表できないか、あるいは、つくっていないか、おそらく前者じゃないですか。これは私も指摘した。この内容は、CBR作戦部隊を持っている。戦車を持ち、装甲車を持ち、人民抑圧、抹殺のあらゆる手段をこれは持っている。しかも、陸海空総合のもう態勢さえつくり上げている。そういう態勢のものだからこれは発表できない。とても一方で民生安定だとか、音楽で人心をつっているというようなかっこうのものじゃない、正体は。はっきりしている。この治安行動それだけを見たって、人民の税金で養われている自衛隊が人民を殺す訓練をやっているというたいへんなしろものです。実際に使われているのは事実じゃないですか。草案というかっこうで統一されているのは事実なんです。  第二の問題だって、これははっきりこの前の安保闘争もこの範疇には入らないと言ったし、それから日韓や基地闘争その他の労働者の闘争、そういうものも入らないと海原局長は言っているわけですね。あなた、これ承認されますか、されませんか。端的にそれをお伺いしたいのですが、この点が非常に私は重要だと思うのですね。七十八条の解釈がちょっとまかり間違えば、たいへんなことになりますよ。韓国の事態が再現されるわけですよ。衛戌令下の朴かいらい政権のみっともない姿が日本で起こるわけです。そして、日本の自衛隊の正体というものが全く天下に明らかになる。ごまかすことができない事態ですよ。かいらい軍隊の正体が出てきたら、たいへんなことになるでしょう。そういうことを私たちは心配するわけですよ。そういう点からお聞きするのですが、どうですか、海原防衛局長が、冷戦の範疇に入らないと言われたものを、これを島田防衛局長も承認されますか。あるいは、これと違った見解を持たれますか。この点いかがですか。
  128. 島田豊

    政府委員島田豊君) まず、冷戦ということばでございますけれども、これをどういうふうに理解するかということによりまして、先ほど指摘せられましたような事態が、はたして冷戦の様相を呈しておるかどうかということについての判断の基準になるということでございます。治安出動を行なうような事態であったかどうかということにつきましては、私は、安保闘争のときの事態というものは、まだ治安出動すべき事態ではなかったというふうに考えておるわけでございます。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたのいまの説明、はっきりしないのですけれども、私は、せっかく安保闘争まで出しているわけだ。この、安保闘争も、これは否定しているのですね。そういうことを少なくともあなたは踏襲されるべきじゃないかというふうに思うのですがね。どうもその点が非常に不明瞭です。やっぱりこの七十八条、八十一条の拡張解釈はしてはならぬということ、安保闘争のような——日韓の闘争もそのような体制になるかもしれぬけれども、そういうものに対して自衛隊が出動するなどということは、自衛隊が墓穴を掘ることになるということは明らかだと思う。  私は、最後に、時間ございませんから、次のようなことをあなたにお伝えしたいと思うのです。  それは演習に参加した一人の自衛隊員が次のような感想を漏らしている。この感想をよく聞いてください。これはあなたたちの身にしみて聞いてほしい。「日ごろの戦闘訓練と異なり、演習とはいえ、同胞相うつ、実戦さながらの激闘で、同僚隊員たちも何とも言えない、複雑な気持で参加し、この特殊な演習には批判的でした。」「私は最近の自衛隊高級幹部や防衛官僚の指導方針や考え方については、新しい軍国主義とファシズム復活の危険性を強く感じます。自衛隊は自民党の走狗になってはならないと痛感します。」、私はこの一自衛隊員の感想というものはまことに正しいと思うんです。非常にこれは日本の現実というものを見、そうして自分の、当然日本の青年として行くべき道というものを考えて書いてある、こういうふうに思うんです。ところが、全くこれと反するようなものが行なわれているのがいまの姿じゃないですか。急角度に最近変わってきている。日韓会談の妥結、三矢作戦の遂行、現に十六日にはどうですか、日本の自衛隊が日本の空を跳梁してあの大演習やっているじゃないですか。われわれ全然知らなかった。どうですか、驚くべきことじゃないですか。ああいうふうな事態でどんどんどんどん——これはフライイング・ドラゴンの三矢で問題になりました。そういう方向の一角になしくずしにどんどん行なわれてきているのです。そうして一方で非常事態体制の非常事態法の研究、そうして治安出動、もう平仄が合っていますよ。三矢作戦の韓国情勢の推移に伴う国策要領の中には、御承知のように、国民の防衛意識を高揚し、そうして民主勢力を抑圧しなきゃならぬと書いてあるでしょう。これははっきりしていましょう。こういうものと考え合わせるときに、いまの日韓条約の強行、アメリカの戦略方向に合わせた軍事同盟を確立するような、この醜い一つの陰謀の中に加担させられておる日本の現実の中で、このように自衛隊の一隊員が直接参加し、同胞相討つところの演習をさせられた者の痛切な感じです。この感じを私たちはむだにすることはできないのです。これこそは自衛隊の矛盾であり、そうして内部崩壊を早めるそういう事態につながるものです。そういう点から考えましたときに、この自衛隊の行動というものは非常に慎重たらざるを得ないじゃないか。日韓会談反対、批准阻止の国民の当然の権利を遂行するこの戦いに対してあなた方自身が自民党の片棒をかつぎ、アメリカの片棒をかついで道を踏み誤ったことは非常に遺憾だと思うのです。しかし、ここであなた御答弁できないようですから御答弁要りません。はっきりわれわれの意思としてこの点を表明しておきます。よく考えてください。
  130. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、畜産局長と競馬会の理事長質問をいたしたいと思います。  去る九月三十日の決算委員会のときに、同僚議員の大森君から、競馬会に八百長があったのではないか、こういう質問がありました。これに対して理事長からの御答弁が、金銭の授受は認めたけれども、実際の専門家その他がいろいろ検討した結果、事実上勝負の上にはそういうものは出ておらない、こういう御答弁があったように私は記憶をいたしております。その際に、警視庁から何らの連絡もないのでと、つけ加えておりますけれども、その後八百長問題に対する見解が、中央競馬会としてはっきり把握できたかどうか。この点からお尋ねをいたします。
  131. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) ただいまの八百長事件のその後の経過でございますが、去る四日に中澤と山岡これが起訴されております。その起訴状の正文は、私ども手に入れておりませんが、検察庁と連絡いたしまして伺いましたところによりますと、中澤は、競走についてわいろを収受したという点で起訴されておるようであります。競馬法三十二条の二の前段に該当する罪として起訴されております。それから山岡は、これは収賄でなくて贈賄側のほうの共犯として起訴されておるようであります。それから高橋もつい数日前に起訴されまして、もうこれは釈放されたようでありますが、やっぱりわいろを収受したという件で起訴されておるようであります。
  132. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうしますと、やはり九月三十日に理事長が言われたように、金銭の授受はあったけれども、実際に競技の上には八百長がなかったということを、今日でもあなたはお持ちになっておるかどうか、その信念に変わりがないかどうか。
  133. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) 私といたしましては、先般来お答えいたしましたように、内部の専門家なり、あるいは競馬サークル内における新聞記者でありますとか、あるいは競馬評論家でありますとか、そういう専門家の意見を徴しました結果、あのレースは公正に行われたものだという批判も受けておりますので、それに間違いないと、かように考えております。
  134. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうなりますと、ただ金銭の授受はあったけれども、競技の上には何ら支障がない、公正に行なわれた、こういうことになりますと、今後騎手を中央競馬会が処置をする場合に、どういうふうな処置をなさるお考えですか、それをお聞かせいただきたいと思います。金をもらった、競技の上にその結果が出た、こうなりますと、たいへんなことだと思うのですが、金はもらったけれども、何ら競技の上にはその手心を加えなかったし、八百長は全然なかったということになると、これは処分のしかたも違ってくるのじゃないか、こう思いますが、どのように中央競馬会としてはお考えになっておられるか。その点を伺っておきたい。
  135. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) これは競馬法の関係で、競馬法違反の裁判を受けた場合には、関与禁止の措置をとる、こういう規定がございますが、まだ判決の結果もわかりませんので、いまどうということを的確に申し上げるわけにはまいりませんが、その法規の定めるところに従って処置をする、かようなことになるかと思います。ただいまのところは、この間起訴されましたので、とりあえず来年の免許期間までの騎乗停止の処分にいたしました。
  136. 柴谷要

    ○柴谷要君 まだ時間が相当あるようでありますから、この点は、まあ堀り下げるのはまた時期を見てやっていきたいと思いますが、私の質問いたしたいのはほかにあるわけなんです。八百長問題じゃないんです。一体、八百長とかという問題が起きる原因は何かということで、この前お伺いいたしました。そのときに私ども申し上げたのは、騎手にしろ、馬丁にしろ、待遇の面で非常に低いんじゃないか、こういうことでいろいろお尋ねをしたわけですが、その際に、資料をひとつほしいということで資料をいただきました。その資料によって見ますると、確かに最高最低が出ておる。馬丁さんの最高額は、月収額が十四万八千円、最低で、十六歳から十八歳——新規採用でも二万五千円、こういうふうに資料をいただいたわけなんです。そこで、私が具体的にお尋ねをいたしたいのは、社団法人日本調教師会馬丁給与規程というのが、昭和三十九年十二月一日から実施されておる。それ以前にもありましたけれども、実施は昭和三十九年十二月一日からということで、この内容が実施されておる。これを見てきますると、十五歳から十八歳未満の基本給は一万六千三百円。それで飛ばして、特に一号、二号、三号、四号といって、四号は三十歳以上、三十歳以上になって二万八百円。これは俸給表のBによってきめられているわけです。三十歳にならぬというと、年齢給でいくと二万八百円にしかならない。ところが、これから上になるには、A俸給表の一号に、二万八百円に登録されて、それから一年ごとに少しずつ上がって、つまり五年たって初めて二万五千三百円という金額になるということがこの規程にある。そうなるというと、かりに三十歳になって二万八百円、これに五年たつのですから三十五歳で二万五千三百円、こういう経路をたどってくるように給与規程はなっておる。このほかに、副馬手当、諸手当、こういうものが規定されておる。しかも、副馬手当には、〇・五頭であるとか、一頭であるとかによって金額は違いますが、金額の制定がある。ところが、諸手当の中に、勤続手当、家族手当、住宅手当、勤勉手当、日直手当、出張手当、輸送手当、被服手当、期末手当、各種各様に分かれておる。こういうものを合わせて十四万八千円になるという仕組みになっておる、最高の人が。最高というのは、千三百六十五人の馬丁のうちに私は一人あるかなしじゃないかと思う。そんなのは例外だと思うのです。進上金をたくさんもらった人がたまたま十四万幾らになっているんじゃないかと思う。そこで、千三百六十五人の全部の給与表をもらいたいとは言いませんけれども、一体、十四万八千円もらっている馬丁さんが何人いるのか。しかも、俸給表によるというと、こういうふうなこまかい、しかも少額な給与でありながら、十四万八千円になる給与体系の説明をひとつ詳しく聞かしてもらいたいと思う。どうも納得がいかない。ひとつ理事長、この十四万八千円になる給与体系をこまかく聞かしてもらいたい。一体、三十五歳からだから、八十歳にも九十歳にもなっているのかどうか。それじゃなければ、われわれの計算では、どうしても十四万八千円の給与体系は出てこない。これをひとつお聞かせをいただきたいと思う。
  137. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) ただいまの給与表の問題でありますが、私のいま手元には、ちょっと数字が違うかも——これは四十年度の、ことしの春改定した、少し二千五百円ばかり高くなっておりますが、三十歳以上——三十歳にならなければ二万三千三百円にならぬのじゃないかという、ただいまの先生の御指摘でございましたが、実はB表のほうは、三十歳になって初めて採用された人が初年度二万三千三百円、こういうことでありまして、最初の十五歳から十八歳未満の者で新規採用された際に一万六千八百円、こういうことになりまして、一年たつと二千円上がって一万八千八百円、自後二千円ずつ上がりまして、ですから、十五歳で採用されました者は、五年後には二万三千三百円になる。十六歳の人は二十一歳で二万三千三百円になる、こういうことになっておりますので、少しこの点は違うと思います。  それから、いまの十四万何千円の手取りの者はそれはごく少ないだろう、こういうお話でありますが、これは最高最低をとりましたので、そうなっておりますが、いまの十四万何ぼのは、もちろんこれは進上金の非常に多い人でありますが、おそらく昨年三冠馬になったシンザンの馬丁さんだろうと思いますが、ただ、大体におきまして、いまここで読み上げました、一年に幾らといいます基本給は、これは一頭持ち——一人二頭の完全管理するというたてまえでできているのでありますが、ほとんど八〇%なり九〇%程度まで、一頭半ないし二頭持ちが多いのでありまして、一頭しか持っておりませんのは、十五、六で馬丁になりたての人、あるいはまた老齢であまり労働のできないような人が大体一頭持ちをやっているのであります。もっともその中に、特別にいい馬で、馬主さんの注文で自分のは一頭だけにしてくれというのもあろうかと思いますが、そういう者はごくまれだと思います。そこで、これのごく安いほう、ごく高いほう、手取りの収入の低いほう、高いほうを除きましても、大体三十歳から四十歳見当の諸君は、四、五方から六、七万のところが大多数だ、こういうふうに承知いたしております。
  138. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは、私と石坂さんとやりとりしておっても、平行線をたどっていて尽きないので、あなたのほうは防衛策でいろいろ言い回しをすると思うが、現実に、この前三十日の日に、後藤政務次官とあなたは、十分検討いたします、必要があるならば改善をいたします、ということを答弁されている。その誠意があなたに今日あるかどうかということで、まだ時間が、長くなったり短くなったりするわけです。それで、その点は賢明な石坂さんのことであるから、私の質問に最も端的にお答えいただいて、私の質問をごく短くしていただけるものと想像しながら質問いたします。  そこで、私はあえて申し上げますけれども、この表を決して誹謗するわけではありませんけれども、最高十四万八千円、馬丁さんがもらってますといったって、全体の馬丁さんがもらっているとは思いませんよ。ですから、こういう資料ではなしに、実は個々の資料をほしい。だけれども、いまさらそういうことは申し上げません。しかし、一番すなおにお出しいただいたのは、皆さんの役員給ですよ。石坂理事長が三十二万で年間四・二カ月手当をもらっております。こういうことです。そうすると、あなたが年間で手当だけをいただくのだったら百三十四万四千円。これは夏場一・七カ月としても五十四万四千円もらい、年末に二・五カ月もらえば八十万円、あなたはもらう。そういう正確な資料をお出しになったことは、これは理事長として賢明であると私は思う。われわれ国会ですら十八万円、一・五カ月しかもらえない。これは夏と冬を合わせて一・五カ月。四・二カ月ですから非常にいいと思う。だけれども、これは決して高いとは思いません、それ相応の重要な仕事をやっていただくのですから。ましてや、千三百六十何人かの馬丁諸君、あるいはこれに付随する騎手諸君の待遇も、同じくあなたの双肩にかかっているとすれば、あなた方の給料は安いと私は思う。だから、その気持ちで馬丁諸君なり騎手の問題をお考えいただき、非常に八百長のような事件の起こらないように、あなたが善処されるかどうか、その決意だけ述べていただければ、私の質問はこれで打ち切ってもいいです。これ以上申し上げないつもりです。だけれども、あなたが便々としておられるのだったら、私は資料を山ほど持っておりますから、これからちくりちくりと……。だけれども、賢明な石坂さんのことであるから、私は努力をしていただけると思いますからこれ以上追及する気持ちはありません。ひとつその点をお答えいただいてけりにしていただけませんか。そういう点をひとつお願いいたします。
  139. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) 先般の委員会のときにも、少し私のお答えがあやふやであったのでおしかりをこうむったのですが、私といたしましては、馬丁諸君なり、あるいは騎手諸君の生活の安定等にできるだけの努力をいたしたいと、今後もそういたしますつもりであります。  なお、馬丁諸君の給与の問題につきましては、昨年の九月から調教師会と馬丁の労働組合との間に給与体系改善研究委員会というものをつくりまして、どうやったら合理的にやれるかということを研究いたしております。だんだん話も煮詰まってまいりまして、さしあたり二つの問題を来年の一月までに解決しようということで話し合いが煮詰まっておりますが、それは、私、先ほど申しました一頭持ちの基本給というものを、これを二頭持ちをもって基本給にするか、一頭半持ちをもって基本給にするかという問題でありますが、大体二頭持ちを基本給にするという方向で研究がただいま進められております。それから家族手当につきましても、これは一人一千円を均等に支給することになっておりますが、これも、たとえば妻及び第一子を最優先にして、あと支給率を変えるというような方向でおそらくは具体案が出てまいると思います。そういうことになりますと、調教師会と馬丁労組との間に話し合いがつきまして、従来よりも一歩前進した合理化ができると考えております。  なお、いろいろ進上金の問題でありますとか、厩舎関係につきましては、調教師と騎手、馬丁あるいは馬主さんの関係でいろいろ錯雑した関係もありますが、できるだけこの辺のところを合理化して、厩舎関係の生活安定に資したいと、かように考えております。なお、厩舎関係の福利厚生施設につきましても、今日までもできるだけの措置をとってまいっておりますが、今後も一そう充実してまいりたいと考えておりますので、よろしく御了承を願いたいと思います。
  140. 柴谷要

    ○柴谷要君 大体私の思っておる五、六〇%というところまで御答弁をいただいたので、これ以上くどくどしいことは言わないつもりでありますが、決算委員会はずっと続いておるわけですね。ですからいつ何どきでも石坂さんに来ていただける機会を得るなら、いつでも得られることになる。だからどの程度あなたの誠意が披瀝され、あなたの実行力が現実化してくるかということも、私どもは見届けられるわけです。ですからあなたのお答えをひとつ現実化していただきたいと思います。  それにつけ加えて要望したいことは、馬丁就業規則というものがある。これはあなたのほうで一方的に出して、馬丁組合のほうではこれに意見書をつけて労働省に出しておる。この中を見ると、少し人権侵害的な文句がある。だけれども、そんなことを逐一申し上げようとは私は思いませんが、その中に、馬権尊重人権無視というのがある。こういう点もひとつ御検討いただかなければならないと思っておる。それと最近、日本警備保障会社というようなものができてたいへん出入りがむずかしくなってきた。特に従業員の出入りがむずかしくて、暴力団関係なんかの出入りには至って親切だという。そういうことが、これは事実問題であったら困ることでありますけれども、うわさに出ておる。ですから、そういうような会社であるならこれはわれわれとしても大いに検討しなければならないと思っておるのですが、そういうことはないと私は信じたいのですが、この点はいかがでしょう。
  141. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) ただいまの警備保障会社の話は、私も先生からいまお話を伺ってびっくりしたわけでありますが、もともと厩舎の出入りをきびしくいたしましたのは、先般の八百長事件にかんがみまして、暴力団その他、好ましからざる方面の人たちが厩舎に出入りすることを規制する、こういうことでやったのでありまして、従業員の出入りがそのために窮屈になるというようなことはもちろん私どもも毛頭考えておりませんので、さっそく取り調べまして、そういうことのないように措置いたします。
  142. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは私の質問は以上で終わりたいと思いますが、言ったことは短いようでありますけれども、意味するものは非常に大きなものであり、多数の人に影響することでありますので、ぜひ誠心誠意こたえていただきますようにお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。いろいろありがとうございました。
  143. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) 誠意をもって努力をいたします。
  144. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 檜垣畜産局長
  145. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 特に御質問がございませんようでございますが、当席へ参りましたので、政府の担当官としまして、ただいまの御質疑の中に出ました厩務員・騎手の待遇改善、安定、生活環境の整備等につきましては、中央競馬会理事長の御答弁にありましたことは、私も全く同感でございますので、指導監督の立場からこれに協力してまいりたいというふうに存じます。
  146. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本件に関する調査は、本日のところこの程度にとどめておきます。     —————————————
  147. 藤原道子

    委員長藤原道子君) これより昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、通商産業省の決算について審議を行ないます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 藤原道子

    委員長藤原道子君) では速記を起こしてください。  この際おはかりいたします。  当委員会提出されております通商産業省の決算の概要については、口頭報告を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお、会計検査院の検査報告についても、説明を省略し、後日文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。三木通商産業大臣
  151. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) ただいま通商産業省所管の昭和三十八年度経費の決算につきまして御審議を願っておりますが、御質問に応じて詳細に御説明を申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  152. 藤原道子

    委員長藤原道子君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  153. 小酒井義男

    小酒井義男君 最初に通産大臣に一、二点お尋ねしたいと思いますが、三十八年度の決算の審議を進めておるわけなんですが、通産省関係では、検査院からの不当事項というのも非常に少ないようでして、その点に関する限りあまり問題はないと思うのですが、ちょうど審議しております三十八年ごろは、いわゆる高度成長はなやかなりし時代なんですね、そのころに行なわれたいろいろ通産関係の補助政策なり指導なりの問題が、今日、大体表面へ出てくる時期じゃないかと思うのです。ただいまの経済の状態は、繰り返して申し上げるまでもないですけれども、非常に困難になり、中小企業の倒産などというものは、大体最近では五百件ぐらい、ひどいのになりますと、一家心中するというような問題まで起こってきておるのです。それで、会計検査院の調査をするという範囲をこえて、こういう状態が出てきたということについて、三十八年ごろの政府のとられたところの政策というものにやはり問題があったのじゃないか。その政策に問題があるということとからめて、予算全体がやはり有効であったかどうかというところに、やはり問題点も発展をするのではないかと思っているのです。そういう点について、大臣のひとつ御意見を伺いたい。
  154. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 確かにやはりこの高度経済成長のスピードが速かったことは事実でございます。しかし、この一つの経済発展の過程として、どうしても非常な経済が成長していく過程においては、そういう過程をとることがままあるわけです。ただしかし、これが日本の場合は、統制経済でないですから、やはり民間が中心になって経済は動くし、ことに設備投資というものが、まあ高度経済成長の中心のドライビングなコースになったわけでしょう。そういうことには、やっぱり民間というもののまあ一つの技術革新などの時期における設備を取りかえたい、しかも、競争が激しいものですから、設備を拡大したい、潜在的に日本経済の持っておる一つの非常ないい意味でいえば活力でしょう。悪い意味でいえば過当競争のようなものが根底にある。だから、政府というものが、常にこれだけの活力を持った日本経済ですから、できるだけこう抑制するような態度も要るんですね。しかし、この日本の政府の態度としては、これは統制経済ではないから政府は力は持ってはいないんですけれども、しかし、民間がこれだけの活力を持った国だから、政府はなるべくあまり太鼓をたたかないで、抑制するような態度も要るのではないかという、まあ私個人としてのそういう反省もあるわけでございます。何分にも日本民族の持っておるバイタリティーというものは、どこの国民に比べても非常にやっぱり強いものがありますから、だから、まあそういうものを直接的に政策の面といっても、政府がやれる面は非常に少ないんですけれども、しかし、政府の態度としてはそういうものも要るのではないか。ただ、それが予算の面においては、まあ御承知のように、税制上の問題は確かにありますが、均衡予算を組んでですね、まあ超均衡といわれるような予算、その税制問題は確かに問題はあるにしても、非常に不健全に財政の面からそういう景気を刺激したという非難は当らないのではないか。ただ、個々については、いろいろこういう政策はどうかという御批判はあると思いますが、全体としての財政政策が非常に誤っておったというふうには考えないのであります。非常な不健全な財政を組んだのではない、こういうふうに思う。個々についてそんならこれはどうだ、あれはどうだと言ったら、それはやはりいろいろな問題はございましょうけれども、全体としてはまあかように考えておるわけでございます。
  155. 小酒井義男

    小酒井義男君 これはもう、あるいは具体的な問題といいますか、全体の問題ですから、なかなか大臣もそれをお認めになるのはたいへんだと思うのです。実際、その妥当な政策が進められてきておったらですね、今日のような現状は出てくるはずがないと思うのです。自由経済ですから、企業者にもやはり責任はあるんですけれども、どちらかというと、この三十七、八年ごろは、政府があおったんです。どれだけでも経済が成長するような、こういう印象を与えて、そうしていろいろな点でその助成をやはりしてきておるんです。そういう面が、私は、その三十八年度の財政全体に対して、日本経済に十分なその効力を発生したかどうか、効果をあげたかどうかというところにはやはり大きな疑問を私は持っておるんです。当時、三木通産大臣じゃなかったですが、私は、そういう点からもやはり国の財政と決算の関係は議論をしていかないといかぬのじゃないかという気がしますので、お尋ねしたんです。  それから、そういう考え方に立ってこの三十八年度の予算の編成をされた当時と現在の時点との二つの時点から考えて、それでは昭和四十一年度の予算の要求する場合に、私はその同じ形のものじゃないと思うのです。そういう点でもうすでにこの来年度の予算要求はなさっておると思うんですが、この三十八年度の予算と比較して、補助金なり、助成なりの内容が変わっておるかどうか、そういう点はどうなんですか。
  156. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まあ比較してみましてですね、予算を詳細に検討したというのではないんですが、今日の場合は、日本経済の姿が変わってきて、むしろ一つの、日本経済が一面においては不況を克服しなければならない、こういう問題があります。一面においては日本経済の国際競争力、これをつけるために日本経済の構造をしっかりしたものにしなければならない。また一面においては、その間における中小企業などのひずみといわれているような問題、この問題にもできるだけの近代化、高度化の助成を行なって、均衡のとれた経済の発展にしなければならない。だから昭和三十八年ごろと違って、もう少し日本経済の持っている一つの構造的な問題というものがたくさん提起されておりますから、予算編成の場合においては、こういう点に目を向けながら予算を組まなければならぬという変化がある。三十八年度は、構造といいますか、そういうふうなものよりも高度経済成長ということで、あまりひずみとかなんとかいうようなことが大きな問題にされないし。しかし、伸びていく経済の中にあって日本経済の将来の一つの見通しを持っておったわけです。いまはたくさんな矛盾というものが起こってきている。この矛盾に対してどう対処していくかということが、四十一年度予算の場合に、三十八年度に比べてみて非常に特色を持ってきているのではないかと、こういうふうに考えます。
  157. 小酒井義男

    小酒井義男君 来年度の予算ということになると、もうこれはだれでもわかっていることです。財源も非常に乏しい、政府のほうも公債を発行しなければならぬというような、そういう情勢の中で従来とってきたような補助政策というものは、私はある程度整理をされなければならぬ必要ができてくると思うんです。そういう点をば考慮に入れて予算の要求は進められているものだと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  158. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) この補助金という役割りはちょっと否定できないものが日本の場合ある。だから極端に言えば補助金を全廃してしまえという議論もありますが、やはりこの助長行政という面において補助金の役割りというものをそう全面的に否定はできない。しかし、こういう予算編成が窮屈なときでありますから、補助金に対しての内容の検討というものが十分にされなければならぬことは、御指摘のとおりだと思う。だから整理するものは整理し、どうしてもこういうものは必要だ、またもう少し補助の、助成のし方をふやさなければならぬものもございましょうが、そういう検討はいたすという前提で四十一年度の予算を編成をいたす覚悟でございます。
  159. 小酒井義男

    小酒井義男君 そこで、三十八年度決算の中から補助金の中の——これは全部をやりますとたいへんですから、その二つほど私はお尋ねしたいんですが、一つは、日本貿易振興会に対する補助金が、実行予算のあれで二十億五千百万円ぐらいという金額になっている。この貿易振興会の事業というものは、主としてどういうことをやっているのか、これをひとつ御説明願いたい。
  160. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 詳細については事務当局からお答えしてもよろしいが、ジェトロですね。これは御承知のように、日本の貿易というものが、この経済の不況の中にあって、貿易だけはこれは非常なやはり伸び率を示している。この輸出貿易の振興の陰には、いわゆる市場開拓とか日本商品の海外に対する宣伝とか、こういうジェトロの果たしてきた役割りというものを評価せざるを得ない。どうも役所自体が、外交官などが貿易の伸長に対して第一線に立ってということが、そういう面もありますけれども、そういうセールスマンみたいにはなかなかなれぬ面があるんですね、外交官が。どうしても補うような役割りが要る。その役割りをジェトロというものはかなり果たしている。海外においでになってもわかりますように、各地に支店があって、ジェトロは日本の貿易伸長のために役割りを果たしておって、このジェトロに対する補助金というものは相当有効な補助金の一つではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  詳細必要がございますれば、貿易振興局長が参っておりますから……。
  161. 高島節男

    政府委員(高島節男君) ジェトロの活動につきましては、要点ただいま大臣から御説明のございましたとおりでございます。日本の貿易が最近非常に好調に伸びておりますけれども、何と申しましても、終戦後立ちおくれてスタートした貿易でございまして、相手国の市場に対して食い込んでいくということのためには非常な努力が要る。これはいまも大臣のおっしゃった大使館ベースでまいりませんことはもちろんでございます。また、個々の商社ベースの努力ということにも限界がございまして、これを伸ばしていくのに、いろいろ市場の調査をしなければならない、あるいは商品の宣伝をしたり、あるいは場合によってはアフターサービスの状況をつかんだり、等々の活動というものは、やはり政府でやってもまずいし、また民間の個々の力も及ばない、こういう面が非常にございまして、現在もジェトロの活動がずっと続いてまいりまして、あの程度の補助金を出しました。今後もますますその実をあげていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  162. 小酒井義男

    小酒井義男君 ジェトロではやはり海外の経済の実情だとか、あるいは将来の見通し、こういうようなこともむろん調査されておるのでございまいましょうね。
  163. 高島節男

    政府委員(高島節男君) どちらかと申しますと、商売の流れに即していく方向を助けていく感じでございます。したがって、個々の商品ごとに、市場ごとにむしろ具体的に個々に深く調査をいたしておるのでありまして、一国の経済がどうなっているかという基礎的な材料のほうは、むしろそれにある程度関連してまいって触れることはございますけれども調査の重点は個々の商品であり個々の市場であるというように考えます。
  164. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、やはりどの地域にはどういうものが日本から輸出の可能性があり、どの地域から日本にどういうものが輸入をされる可能性があると、こういうふうなことについて地域ごとの実情を調査をされるというようなことはおやりになっておるのですね。
  165. 高島節男

    政府委員(高島節男君) 地域ごとに商品の輸出の可能性、それから輸入の可能性等を触れて調査いたしておりますが、むしろ輸出可能性と申しますよりは、こうしたら輸出ができるのじゃないかというところの、むしろ一歩突っ込んだ問題に触れていくというほうに重点を置くように指導をいたしております。ただ、現状がこうだというだけでは問題のつかみ出しになりませんので、こうすればこうだという背景になっております。これは非常にむずかしい情勢でありますけれども、ねらいどころとしてはそちらのほうに極力持っていくつもりでございます。
  166. 小酒井義男

    小酒井義男君 そこで、もう一つの補助金を出しておる大きな項目に、アジア経済研究所というのがあるのです。これは、アジア経済研究所については、非常に最近ふえておりますね。この三十八年度の決算においては、補助金額は三億一千四百六十七万二千円ということになっておりますが、四十年度予算を見ますと、四億四千万円になっておる。これだけの巨額といいますか、大きな補助金を出しておる研究所というものはあまり類がないのではないかと思うのです。このアジア経済研究所というものは、一体どういう実態で、どのような仕事をしておるのか、これをひとつ御説明願いたい。
  167. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) アジア経済研究所は、基礎的な研究をやる、地理的にも歴史的にもわが国と関係の深いアジアの社会、経済、文化、各方面にわたっての基礎研究をやって、その基礎研究を研究所自体でやって、その成果というものをさらに各方面に活用できるようにして、日本との経済協力、あるいは経済提携というものを強化さそうという目的のもとに活動をしておるのですが、ああいう基礎研究をやるという研究所というものはわりあいじみなんです。しかし、日本の場合に必要なことは、やはり基礎的な研究からやるという、少し長い目で見て、そういう研究所の態度というものが要るので、すぐに目について、はでに動くというような研究所ではないわけです、性格は。しかし、基礎から始めなければ、ただ、そのときどきの動向だけを調査するということでは、その動向自体も変化がございますし、そういうことで、私は、アジア経済研究所は相当な役割りを果たしておるし、こういうアジアと密接な関係を持っておる日本として、アジアに対する本格的な身がまえた研究所というものが要るのではないか、こういうふうに考えまして、四億四千万円の補助金というものが非常に巨額に過ぎるのではないかというふうには考えていないのでございます。  いろいろ活動の実態については、振興局長からお答えをします。
  168. 高島節男

    政府委員(高島節男君) ただいま大臣のお話がございましたとおり、使命は、基礎的、総合的な研究をしなければいかぬというたてまえになっておりますが、この機関ができましたとき、特に政府出資の機関にかわりますときに、特に財界方面で日本は将来東南アジアというものに四つに組んでつき合っていかなければならぬ、また後進諸国、東南アジアに準じました地域との間で経済協力問題が相当発展をしていくであろう、今日国際的に非常に大きくその点は発展いたしましたけれども、そういうところから見ますと、どうも基礎的にこういう国を把握しておるという点に弱みが非常にある。これは、人的にも東南アジアや後進国のことに詳しい人が少ない、資料もまた少ない、どちらかといえば、先進国のほうを見て、そちらからこまかいデータをとり、勉強するという癖は日本にずっとございますけれども、どちらかというと、こういう面に対して非常に暗い、だから政府として、何らかの総合的な強い基礎的機関をつくって、四つに組んだ研究を始めていかなければいかぬのではないかというところが、非常に強い経済界その他各方面の要望でございまして、できたという経緯になっております。  そこで、経費が比較的、こういう社会科学の関連のものとしては多いのではないかという感じがいたしますが、アメリカ等ではグランドコーポレーション等の例によりますと、かなり大きな規模のものを持っております。それから普通の研究所でございますと、外から研究資料を取りましてまとめていくといったような、社会科学ではそういう活動分野がわりあい多いと思いますが、いま申し上げましたような、東南アジアに四つに組む、しかも立ちおくれておる知識、データの補充であるというところから、研究員それ自体をむしろ育てていく、したがって、人員等もかなり若手の新規学卒を採用しているような経緯でずっとまいっておりまして、若い人たちが満ちあふれているような感じでございます。そういった構成で、中で育てつつ、かつ研究をしていく、こういうところにこの機関の一つの特色があるんではないかということを申し上げます。
  169. 小酒井義男

    小酒井義男君 そういう目的と同時に、アジア研究所というものは年間どのぐらいの事業費で、どのぐらいの人数で、どういう仕事をやっておるのか、その点もお尋ねしておきたい。
  170. 高島節男

    政府委員(高島節男君) ただいまお話に出ました四十年度の補助金は四億四千方円でございますが、そのほかに出資金や建物の借料等からの収入、自己資金的なもの、それに賛助会費等を取りまして、大体四十年度では五億ちょっとこす程度の規模の活動になっております。三十九年度では決算は四億二、三千万というところであったと思います。  やっております事業の概況をざっとおわかりやすいように申し上げてみますと、まず第一が、こういった研究機関、社会科学でございますが、とにかく研究のスタートになる資料の基礎をかためるといいますか、図書を中心にいたしまして必要なデータを極力集めていく、これがまず第一の点でございます。で、研究に必要なものを備えまして、内部の研究員がそれを使っていく、あるいは研究作業の基礎になる、あるいは外部の閲覧に応じていくということ、あるいはレファレンス活動等もありますし、外部から経済協力あるいは投資等を行ないます際にいろいろな基礎的なことを聞いてまいりますが、それに対して答えをしていく、こういった一連の作業の実績があるわけであります。そういった図書館的な基礎を持ったもの、これが一つでございます。これは常識的に申しまして、かなり大きいものでございまして、ここへ行けば何でもわかるとまでは申しませんが、日本における唯一の権威ある蔵書庫になっております。これを年々やはり逐次拡大をしているという形でございまして、その分が経費が使われていると同時に、こういった蓄積になってきているということでございます。  第二に、一番中心になります、どんな調査活動をやっておるかを若干申し上げてみますと、調査研究対象地域としては、やはり東南アジア、アジアを中心に考えておりますが、アフリカあるいは中南米といいますか、これに準ずる後進地域というものは当然の対象といたしまして考えておりまして、先ほどからお話があった基礎的、総合的な調査研究を行なっております。調査研究のやり方としましては、研究所の職員がそれぞれテーマを持ちまして研究をいたすことはもちろんでございますが、研究の委員会を持ちまして、十八ほど現在ございますが、部外の人にも参加をしてもらって議論をし、相互に研究しつつ研究結果をまとめ上げていくと、こういった形の運営がございます。それから、特に数カ年にわたっての大テーマに取っ組んでおる、これがかなりこの研究所の大きな成果であろうと思いますが、たとえば長期にわたりましての経済見通し、東南アジアを総合的に見た長期的な経済展望というものをまとめていっております。また、輸出入の統計的な分野になりますか、お互いの東南アジア相互の統計——先進国を中に入れての統計、これは各国から統計データを集めますと、それぞれ食い違いまして、実態が、ほんとうの物の流れ方、あるいは輸出入というものがどう流れて経済が動いているか、把握が非常にしにくいのであります。いわゆる輸出入マトリックスというようなものを、技術的に申しますと名前をつけておりますが、つくりまして、東南アジア経済の総体的な動きを統計面から整理してやったりなんかしております。その辺が、これはという実績でございますが、こういった形でいろいろ調査研究ができてまいりまして、投資関係資料も、現在は投資資料調査室というものを設けて研究の成果をまとめておる。また、出版物にいたしまして二百五十かそこらでございましたかのものになって、それぞれの貴重な研究結果がまとめられておる。これが研究所の活動の一番の中心になってくる分野であるかと思います。  第三番に、こういう調査事業をやってまいります際に、やはり海外でチェックしていかねばならぬ点が非常に多くなってまいりますので、その場合にはこちらから調査員を現地に派遣いたしまして、そのための外国旅費等要るわけでございますが、出てまいりまして、調査活動をいたしてまいるということが一つ補足的にあるわけでございます。  以上のようにでき上がりますと、今度はデータを外に普及していくということがひとつ研究所として意識しなければならぬ、宝の待ちぐされでは意味がございませんから、その点からいわゆる広報活動というものに力を入れまして、相当回数多く、ゼミナールとかあるいは出版物の刊行とかいうような形で一般の経済界の要望に応じ得る形をとって、広報活動に専念しておるのが一つの柱でございます。  それから第五に、最近になりまして、海外にやはりこれだけ食い込んでまいりますと、それぞれの後進地域のあるいは大学とか、あるいは研究機関とかいうところに、こちらの所員の若干育った人を向こうへ送り込みまして、そこで研究をしつつその国の事情を把握し、本部との間で連絡してやっていく、こういう体制をとりましたために、海外に相当の二十数名の派遣員を出すということにいたしております。そのほか技術的なことでございますが、計算機等を導入いたしまして、電子計算機によって、資料統計等きわめて関係が複雑なものが出てまいりますが、そこにそういう高等的な技術の導入で、膨大な資料の整備に尽くしていく、こういった点にいろいろと経費をかけまして、目下総合的かつ基礎的な研究という分野に当たっておる次第でございます。
  171. 相澤重明

    ○相澤重明君 答弁のしかた、いま振興局長の答弁で、小酒井委員質問に対して言った言葉の中で、これは政府委員の答弁の姿勢というものがある。決算委員会というものは、金額の問題はこれは明らかになる。いわゆるいまあなたの言ったのはどういうことだ。三億二、三千万円とかいう話をしておったが、四十年は四億幾らで三十九年度は三億二、三千万円、二、三千万という答弁があるか。この十二月には国会に三十九年度の決算報告が出てくる。そういう姿勢がよくない、そういう姿勢が。三木大臣もおるけれども政府の答弁というものは、金額の問題については、だれが見てもごまかしがつかない。そういういいかげんな答弁をすることは姿勢がよくない。いま一度答弁をし直しなさい。
  172. 高島節男

    政府委員(高島節男君) 数字が不正確でもって、おしかりを受けましてまことに申しわけございません。三十八年度の補助金は二億九千九百万円、三十九年度の補助金は三億六千二百万円ということに相なっております。総額の活動規模は、三十八年度は三億四千万円、三十九年度の総額は四億四百万円ということに相なっております。以上が決算の推移でございます。たいへん失礼をいたしました。
  173. 小酒井義男

    小酒井義男君 時間があまり——他に質問者もあるようですから、詳しいことは、あるいはどういう仕事をやっておるか、刊行物ではどういうものを出しておるかというようなことは、一度資料で出せるものは出してみていただきたいと思います。  最後に大臣にお尋ねをしたいんですが、私も、金頭はたとえ四億あっても、これが実際に国の政策の上に利用されるようなものであれば、これは金の多寡じゃなしに、やはり仕事の内容だと思うのです。そういう点で内容のことを私は聞きたいと思うのです。  それから通産省からもたしかそれぞれ在外公館へは人が出ておられるはずだと思うし、外務省からも出ておるのですから、そういう面でも仕事をやれば、四億という金があれば、私は相当人をふやしたって現地に根をおろした調査なり、活動なりができるんじゃないかという気がするんですが、そういう点で、私はこういうことに対してやはり検討をする余地があるんじゃないかという気がしますのでお尋ねをしておるんです。どうでございますか。
  174. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 通産省の出先とか、大使館に行っておるわけですね。ところが、こういうように通産省から、あるいは外務省からもたくさん行っておっても、結局現実の動きというものが中心になるわけですね、基礎的に。極端なことを言えば、アジアというものを調べるためには、人類学から始めていかんならぬような面があるかも知れぬ。それぐらいの身がまえというものが必要なんですね。現地におる人、大使館におる人たちは、いろいろ動いてくるもんですから、その現象というものがやはり一番大きな日常の仕事になって、掘り下げて、基礎から研究するという点には、出先の外交官は、あるいは通産省の役人もちょっと適さない面があるんですね。だからこういう研究所が必要なことは、日本の場合は非常に必要だと思います。どうも日本はこういう研究調査というものに金を使わな過ぎる面が私はあると思うのです。しかし一番問題は、これをどのようにして活用するかという面において、研究所というものはややもすると、その研究の成果の活用の面についてくふうが必要だというような場合が私は多いと思う。このアジア研究所でも出版物を出しております。いろんな調査を通じていろんな出版物を出したりして、それは日本のアジア政策の上に貢献はしておりますが、このせっかくできた研究の成果というものをもっと活用するようなくふうというものがいると私は思っておるのであります。この点については、もっと研究の成果を活用するという点についてはくふうをいたしたいと思っております。
  175. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵省来ておられますね。いまの事業費を聞いてみますと、大体八〇%が補助金なんですね、大体大ざっぱな数字ですが。こういう性質の研究所のようなところへ大蔵省は補助金を出しておりますが、金額の点においても、率の点においても、こういう補助を出しておるという例は他にもあるのですか。
  176. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) アジア経済研究所は確かに高率補助でございます。先生の御質問のほかの研究所でございますが、きょうほかの研究所の資料を手元に持ち合わせておりませんが、手持ちの資料をいまちょっとくくれば出てまいりますので、とりあえずそれを調べまして、後ほど資料として御提出をいたしたいと思います。
  177. 小酒井義男

    小酒井義男君 資料を出していただきます。いいですね。  それからもう一点だけ。こまかい点は抜きにいたしますが、決算書の中で見ましても、石炭関係補助金や、各種いろいろなものが出ておるようです。そうしてまた、不用額を若干出しながら次年度に繰り越しをしておるようなものもあるのですが、石炭関係のものをもう少しすっきりとわかりいいようなことにする必要があるのではないかという気がするのです。これは金額が多い少ないということを言っておるのではないのです。
  178. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 確かに私も見ましてそう思います。やはりいろいろなしきたりというものがあって、こういう困難な状態におちいったので多岐にわたっておる。これは御指摘のとおりだと思いますが、まあ何とかしようということでいろいろ知恵をしぼっておる。これはもう少しもっと太い線でやれればそのほうがいいんだと思いますが、いろいろ次々に積み重ねていったものですから、こういうことになったのだと思います。これは検討を加えることにたいします。
  179. 小酒井義男

    小酒井義男君 いずれ資料を拝見して、その結果によって、若干あらためて質問をすることになるかもわかりませんが、きょうはこの程度にいたしておきます。
  180. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 要求の資料を早急に御提出を願います。
  181. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は中小企業近代化促進費補助金の問題について御質問を申し上げたいのです。まずこの資金の運営について、三十八年度の決算でございますけれども、検査院のほうから意見の表示がなされております。他の一般金融機関から長期資金を借り入れて設備を購入している者に貸し付けたり、または設備を設置していない者に貸し付けたりしておるという指摘があるわけです。ところが、この調査の結果によると、貸し付けは十二月に九〇%近く集中しておるということが載っておるわけですね。私がここでお尋ねしたいことは、先ほども論議の中心になりましたが、大臣から言われたように、高度成長の時期にあたって、日本の経営者グループと申しますか、非常な熱意をもって集中的に高度化をはかってきた、そのために今日中小企業においてはひずみが出ておる、これはもうおっしゃるとおりです。ところが、こういう状況の中で十分に金も借りることのできなかったという事態が日本の中小企業の近代化をおくらせておる、私はこう考えるのです。その後不景気ということで金融の引き締めをしてきておる。それでは金融引き締めをしてきて後に一体近代化ができるかというと、不景気のときには近代化はなかなかできません。だれが経営者になったって同じことだと思います。私は考えてみると、検査院のほうから指摘されるまでもなく、政府の運営いかんによって、かくも中小企業が迷惑をしておるということを言わざるを得ないのです。この点について検査院のほうでも、十二月に集中して、しかも剰余金として翌年度に繰り越されておる、こう指摘をしておるわけです。これは言語道断だと思うのです。せっかくりっぱな法律をつくって中小企業の近代化をはかろうとしたものが十二月に集中して、そうして貸し付けができなかったところがあるということは、これはもう政府の大きな責任だと私は思うのです。こういう面に対して大臣はどういうふうにお考えになっておるか、御意見を拝聴したいと思います。
  182. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 確かにいま言ったような御指摘のようなことがございまして、この点は非常に遺憾なことだと思うのですが、昭和三十八年度は、御承知のように中小企業の基本法が制定されて、それに関連する関係法規というものの改正があって、これは非常に特別な例をなしたような面もあったんだと思いますが、この間の事情は中小企業庁から、確かに御指摘のとおりでございますので、もっと補足した説明をいたすことにいたします。
  183. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) ただいま大臣からお答えがございましたように、昭利三一八年度の補助金の配分の実施につきまして、御指摘のとおりの案件がございましたことは非常に遺憾に思っておるわけでございますが、昭和三十八年度は、先ほど大臣から申しましたように、中小企業基本法の制定がございまして、それに対する関連法規、あるいは関連の予算制度等が大幅に改正を行なわれて充実をした時期でございまして、そのためにいろいろな新しい制度なり何なりの実施につきまして非常に手続がおくれました結果、設備近代化補助金につきましても配分がおくれて、中小企業に対しても非常に迷惑をかけたということになっておるわけです。そういう点を反省いたしまして、昭和三十九年以降におきましては、設備近代化補助金その他の補助金につきましても配分を早めるということの方針のもとに実施をいたしておるわけです。設備近代化補助金につきましても、たとえば昭和三十九年度分につきましては、二回に分けまして配分をいたしておりまして、第一回分は予算が通りまして、直ちに四月二十七日には補助金の配分の内示をいたしておるというようなことをやっておるわけでございまして、その後におきましても、補助金の配分及び実施の促進ということにつきましては力を注いでおるわけでございます。
  184. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大体この近代化というものの考え方は、企業家である限りにおいては、私は相当の希望を持っておると思うのです。ところが、近代化をする時期ですが、これはやはり年度初めの四月を中心に近代化にかかろう、これは企業家がそう考えるのは普通常識だと思うのですよ。それでこの近代化資金を目当てにやったところが、実際はなかなか借りることができない。ところが、四月からスタートした、着手してしまったと、そこに政府の特認を受けるのには大体六カ月かかる。そうしますと、運転資金をいやがおうでも着手した以上は使用せざるを得ないということになると思うのです。それで運転資金が今度は枯渇してくれば、一般金融を受けるということになるのもこれまた当然であります。それには高い金利がつきます。そこで私はこの繊維関係の実例を見ましても、近代化したために、しかもまた政府のそういう金融の措置が、特認の申請をしても数カ月もかかる。こういうことから倒産の実態が出ておるということも現実にあるわけですよ。こういう点は、これは全く政府としては、いま答弁をお聞きしますと、二回にわたって最近はやっておるということですが、しかし昨年あたりでも、借り入れに対していろいろ申請をしてみたけれども、なかなかたやすく借りることは困難だ、したがって辞退をするという人まで出ておるわけですね。いろいろ総理なりあるいは通産大臣の考えておられることが、下部末端には徹底した近代化というものが中小企業には恵まれない、こういうふうにわれわれはとらざるを得ないのであります。こういう面に対するまあ処置でございますが、一体その後近代化というものはどのくらいいま進みつつあるのか。ひとつ産業別じゃなくてもいいですから、総体的でもいいですから、どのくらいいま進みつつあるのか、三十八年度は二、三件しかなかったということを聞いておりますが、昨年はかなりそれを適用した、今年はどうかという状態を私お聞きしたいのですが、そういう点でひとつ御答弁願いたいと思います。
  185. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 近代化の進捗状況でございますが、設備近代化資金の貸し付けの実績をもってその進捗状況をお答え申し上げますと、昭和三十八年度におきましては、この設備近代化資金を貸し付けますことによりましての金額が百十三億八千九百十八万一千円でございまして、県のベースで無利子で貸し付けているわけであります。対象企業が九千六件になっております。昭和四十年度におきましては、これが貸し付けベースで百七十七億になりまして、大体一万数千件というもの——現在貸し付け中でございますので集計ができておりませんが、一万数千件のものがその恩恵を受けるということになります。それだけ近代化が進むものというふうに期待しているわけでございます。
  186. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それではもう一つお聞きしますが、県から特認の申請があった場合、いまどのくらいの日数で、全部一律にはいかないでしょうけれども、大体政府がお考えになっているのは、どのくらいの日数でこれを大臣の認可される方向でやっていくのか、その点。
  187. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 特認の場合は二つあるわけでございまして、一つは設備近代化資金につきましては、業種を指定しておりますが、地方の特産品等につきましては一般的な指定ができませんので、これを地方の業界から県を通じまして、通産大臣の認可を受けて、特別な助成をするということになるわけでございまして、それにつきましては業種の特認指定というものを三カ月ぐらいでやってしまいたいということで実行しているわけでございますが、中には非常にむずかしい業種もございまして、あるいはおくれている例もあるわけでございまして、そういう点は今後とも促進するようにやっていきたいと思います。
  188. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この三カ月というのも、実際は地方の事務処理から中央に来て三カ月といいますと、やはりこれは四カ月ないし五カ月はかかるわけですね、これは大臣、中小企業のほんとうの私は足しにならないと思う。この近代化というのは、私が言うまでもなく、旧来の設備を新しくしようということですから、相当急ピッチでやらなければなかなか企業は持ちません。できるならば三カ月ぐらいでやりたいというのが企業者の希望でしょう。それに特認の許可が大体県を通じて数カ月かかるというようなことでは、私はこれは促進にならないと思う。これに対して大臣特別の処置をとる必要があると思うのですが、大臣はこの点どうお考えになりますか。
  189. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まあごもっともだと思います。これはやはり役所の仕事は少しスピードがおそい、これはやはり実際の申請した人から見れば、なかなかやきもきして、その間にいろいろな金融上の問題も起こりましょうし、これはまあ二カ月ぐらいで役所の申請というのは処理さるべきものでしょうね。そういう方針で督励をいたします。
  190. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その点、では大臣実際に実現さしてもらいたい。中小企業のために。しかもこれだけのひずみがある中小企業を育成するためにはそのくらいの犠牲を払ってもいい、こういうふうに考えますので、ぜひひとつ確約のとおりに実現さしてもらいたいと思います。  大臣にお聞きしたいのですが、御承知のように全般的に産業の滞貨というのは、底知れず今日滞貨をかかえておりますが、特にその中の繊維産業ですが、これは昨年の十月から新法施行以来、政府の予想を裏切って逆にますます増産体制になり、今日は綿紡等においては七十数万コリという滞貨をかかえておると思うのです。そこで今月の一日から不況カルテルを実施したこともこれは御承知のとおりです。先の見通しとして、いま直ちに景気が上向きになるということは、私はそう短期な見通しを持つわけじゃございませんけれども、従来の操短形式をとった場合は、とるというかけ声だけで実際は景気は上向いてきたものです。ところが、多少その気配があるかなと思うと、今回はもう今日二十日たっておりますけれども、依然として底をついたまま何ら上昇機運を見せていないというのが現状だと思う。これはもう言うまでもなく御承知のように、政府の昨年とった新法の改正の私はあやまちだと指摘したいのですけれども、これもいまここで言ってみても私はさほど問題にならないと思いますから、今日の現状を考えてみて、不況カルテルは御承知のように来年の三月で終わることになります。ところが紡機においては多くの過剰設備をかかえております。なおまた織機においても御承知のように過剰織機を持っております。こういう状態が来年の三月以降、不況カルテルが終わったあとも当然この状態が続くだろうという見通しの上に立たざるを得ません。そうしますと、過剰設備という見通しのもとに中小企業は先行きの不景気を考えてなかなか手を出さない。このままいけばこれは必然的に弱肉強食、もう中小企業はつぶれる以外にないと思うのですね。これに対しては一体通産省としては、繊維局としてはどういうふうに将来持っていこうというお考えを持っておられるのか、私はその姿勢のほどがひとつ聞きたいのです。この点大臣から御答弁願いたいと思います。
  191. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように紡績の不況カルテル、これは六カ月という期間で、不況カルテルというものは長期にやるものではない、来年の三月。そうなってくると、いま御指摘のような構造上の問題がたくさんあります。過剰織機、過剰紡機の問題等もあって、この問題というものは御承知のようにきわめて困難な問題で、あるいは中小企業対策の中心課題であるかもしれません。したがって、これはやはりその構造上の諸問題というものは通産省でも一体どう持っていくかということに真剣に取り組んでおります。それからまた紡績協会も、その他各方面からも案が出ておるわけです。この案についても検討を加えつつ、繊維工業審議会の場もこれは活用しなければならない。そういう御存じのように非常に困難な問題を含んでおるわけです。しかしこのことが、中小企業者が弱肉強食のもとでみなが倒れていくという事態は、そういうことはあらしめてはならない。やはり繊維工業における中小企業の地位というものは守っていかなければいけない。そういうことでこの問題については真剣に民間側のいろいろな意見も勘案しながら、通産省としてどう基本政策というものを考えるか、ただいま検討を加えておる。この場のがれのことを言うんではない、ほんとうに検討を加えておるわけでございまして、できる限り中小企業が安定してやっていけるような方策を考えたいということで取り組んでいきたいと思っております。
  192. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 よく政府が考えておられることはわかりましたが、経営者団体のほうから事業団、いわゆる過剰設備の買い上げ興業団を設置してはどうかというような試案も出ておるということは私も十分承知いたしております。ところが先ほどから私が申しますように、考えておるということだけでは、もうあと五カ月と十日しかないんですよ。一体この五カ月と十日の間に政府としては審議会を開いて結論を出すというような気がまえがあるのかないのかということが問題だろうと思うんです。私は設備過剰だけのことを申し上げたくないんで、これは最近の景気にも大きな影響がございますが、繊維産業だけではないんですが、日本の産業における秩序が乱れておる、生産秩序が乱れておるということは、これは御承知のとおりです。これだけ過当競争があってはお互いにこれは首を締めておるようなものですね。これも政府としてはどういう指導をするのかということが大きな問題の一つだと思います。  なおまた、先ほどいろいろアジア地域における、あるいはまた中南米、アフリカ等における地理的あるいは人的の調査もやっておるとおっしゃいますが、そういういい機関があるならば、何とかしてこの諸外国における過当競争ぐらいは、一日も早くとめるということを通産省は考えなくてはいけませんよ。そういうりっぱな機関が何億という金を使って日本にある以上は、これは十年前から私ら叫んでいることですが、依然として過当競争が海外で続いておる。こういう事態が改まらなければどんないい機関を持っても私はだめだと思うんです。したがって、私は大臣にお聞きしたいことは、実際問題としてこの六カ月ぐらいの間に、何とか審議会を開いて結論を出さしめて、実行に移すような方法をお考えになっておるのか、あるいはまた法案をそこで立案するということは無理ならば、実態調査でもやるというような予算でもこの機に組んでやろうというお考えがあるのか、そういう点がひとつお聞きしたいんです。
  193. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 審議会で真剣にやっぱり検討してもらいたい。これが不況カルテルの切れる三月ごろまでに結論が全部出るということも期待できませんから、そこでまあ可能なものからそれを実施に移していって、そうして活用する場は繊維工業の審議会、その中に専門委員会でも置いて、専門委員会で問題を真剣に取り組んでもらって、結論が出たならばそれを実施に移していく、こういうふうな考え方でございます。
  194. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それではまあ大臣の御答弁では、そう確実な御答弁は得られないと思いますけれども、一応御信頼申し上げてもいいのではないかという気がいたします。  そこで私は繊維局長に聞きたいのですが、検査院の検査の結果、これは検査報告書に載っておりますから、もうすでに御承知かと思いますが、和歌山県における工場で近代化資金を借りて、そうして近代化をしてしまった。ところが、旧来の織機が依然として稼働しておるという事態があるわけです。ところが、私がまあその産地をいろいろ回ってみますと、最近のやみ織機のふえておる事態ですね、これは検査院のほうから指摘されるまでもなく、長い歴史のある問題なのです。一体通産省として、また繊維局としてはこういうやみ織機に対してどういうふうに処置をしようとされるのか、ひとつお考えがあれば発表願いたい。
  195. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) ただいま御指摘のございました織機につきましては、十台分を昭和三十九年八月三日におそまきでございますが、廃棄をいたさせた次第でございますが、先生の御質問は、それよりもやみ織機が非常に多い、この辺をお前は実態をつかんでおるのか、またそれに対してどういうふうな対策を考えておるのかという御質問だと思いますので、かいつまんで申し上げます。織機の中で、まあいろいろございますので分けて申しますと、まず綿スフ織機でございますが、これは約三十七万台かと存じます、登録織機が。これに対しまして昨年の春の調査におきましては、三万台をこえる無籍織機がございましたが、その後これの有籍化の計画をつくりまして、登録権をあっせんし、また一面では取り締まりの強化の指導をいたしまして、解消につとめました結果、本年の九月末におきましては、ほぼ有籍化がなされましたというふうに聞いております。これにつきましては、通産省のみならずいわゆる日本綿スフ織物工業組合連合会も非常に努力いたしまして、協力もいたしまして、三十六年十月に中央監視委員会を設置し、また従来登録織機はプレートを打ったのでございますが、これは簡単にプレートもはずせるということで、転写マーク方式に変えまして、また次に無籍のものを発見いたしますと、通産局で呼び出して勧告をする等の努力をいたしたわけでございます。しかし、まだ現在のところ調査漏れのものもございましょうし、なかなか困難な問題をはらんでおるというふうに存じております。  それから第二に絹人絹織機でございますが、大体二十八万台ぐらいございますけれども、本年春の調査で足利地区で約四千台の無籍織機が発見されております。これにつきましては、昨年の六月から登録権の取得の促進委員会を業界で設立されまして、無籍機の所有者に対しては権利取得のための権利金を積ませる、また連合会におきまして権利取得のあっせんをはかっており、ある程度の効果が出ておるということを聞いておりますけれども、まだ遺憾ながら完全に解消はいたしておりません。
  196. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いま報告を承りますと、ある程度手を打っておられるという点については私も了解できます。そこで、私は繊維局があっせんをやられるということについては、私もその点については大賛成ですが、ただ兼業的な家内工業的なやみ織機がなぜふえるかということです。これは御承知のように、やはり農村の結果的には年収の格差による生活費から起こっておるわけです。したがって、私は登録をさせてやろうというあっせんの方法の中に、価格のあっせんもしてやらなければなかなかこれはむずかしいと思うのです。当時二万円であったものが四万五千円というような価格になっているわけですから、これはやはり農民を救済するという、いわゆる家内工業的なものを、生産秩序から見れば非常に無理がありますけれども、いまの段階ではやむを得ないという見方をせざるを得ないのです、これは政府として今後十分努力をして無籍機のないように努力してもらうと同時に、そうした家内工業的な兼業者をやはり救うという意味から私は努力をしてもらいたいと思うのです。  なお、私は最後にもう一つお聞きしたいのですが、これはまあ大臣にお聞きしたいのですが、大臣は衆議院の商工委員会ですかでも確実に回答しておられますから、ここでも同様の回答だと思いますが、中共におけるビニロン・プラントの問題がだいぶ問題になって、もう今日は立ち消えのような形になっております。これを大臣は輸銀を適用することについては自分は賛成だということを発言しておられるわけですが、いまもその気持ちは変わらないと私は思っておりますが、一体日本の政府が政経分離の形における貿易をやろうと、こういう基本原則があって、しかも輸銀の定款からいくならば、政府は政治的にこれに介入してはいけないということがあるわけです。これは御承知のように昭和二十五年の改正の場合に、まだ当時日本の経済顧問であったドッジ氏が、あくまでも純粋な貿易の一つの金融機関として、政治的にこれを適用してはいかぬということでうたわれておるわけですね。それにもかかわらず、このビニロン・プラントだけには吉田書簡なるものを振りかざしておる。しかも大臣が賛成しておられる。大臣が賛成しておられるのにどうしてこれが実現できないのか。大臣ここで明らかにしてもらいたい。
  197. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私、政府としての考えは、中共貿易に輸銀を使ってはいかぬという原則は何ら成り立ちません。しかし、いずれの場合でも中共に対して輸銀を使わなければならぬという性質のものでもない。それはなぜかといえば、輸銀の資金ワクもあるだろうし、それは日本がどういう貿易に対して輸銀を使うかという選択の自由は政府が持たなけばならぬ。それでいま政府の申し上げておることは、具体的な問題ごとに、輸銀を使うか使わぬかということを自主的に判断をいたしたい、こう申し上げているわけでございます。この考え方は政府の統一された考え方であります。自主的に判断して具体的問題ごとにこの輸銀を使うか使わぬかをきめたい、こういうことでございます。
  198. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それは大臣おかしな答弁だと思うのですよ。一体しからば輸銀の性格というものをどうお考えになりますか。それから弁明して下さい。輸銀の性格からすれば、あの産業にやってこの産業にやっちゃいかぬということはどこにも書いてありませんよ。それを政府が、政府の意見としていまこのビニロン・プラントにはやらないのだということは、政治が介入しておるということであります。輸銀の精神と反しております。もう一ぺん答弁してください。
  199. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 非常に政経分離というのは実際問題として私はむずかしいことだと思っていますよ。ただしかし、もしそれを政治というものをあるいは承認とか、もっと厳格な意味に政治というものを解釈をすれば言えるでしょう。ただしかし、ばく然と政経分離ということはなかなかむずかしい。それは何かというと、貿易の場合でもこれはいろいろ国交回復してないですから、中共の場合は。しかも、いろいろ国際的な制約もあるのですから、その国際的制約というものは純経済的なものかどうということになると、いろいろ言い分はあろうと思います。したがって、これはなかなかむずかしい問題でありますが、しかし、中共の場合はいま言ったようないろいろな制約もあるし、国交も未回復である。貿易の形もなかなか友好商社方式とか、ややこしい貿易の方式も持っているのですから、そこで全体として政府が判断をして、そして輸銀を使うか使わぬかということは、判断の自由を政府が持つことが適当なんではないかというふうに考えて、具体的な問題ごとにこれを検討いたそうというのが、政府の今日の立場でございます。
  200. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 どうも政府の判断ということを言われますと、政治のやはり介入だと言わざるを得ないのです。。れはいかなる答弁をされても。そこで一番大きな問題になるのは、これは吉田書簡の問題だろうと思うのですよ。それは大臣は賛成しておられると思うのです。そこで、大臣がいつまでも通産大臣をやっておられるわけではないのですから、私は大臣がいまの通産大臣をやっておられる間に、こういうことは私は実現してもらいたいと思う。なぜかなれば、池田総理はかつてどの国とも仲よくしたいのだという、仲よしするのなら、こんなことこそ、輸銀法からいっても、仲よしするような方法を適用すべきですよ。だから総理大臣になる前に、いま通産大臣をやっておるのだから、通産大臣の間にそういう功績をつくって、佐藤さんを納得させて、そうして私は実現してもらいたい。そうしなければ、先ほど私がいろいろ繊維産業の将来の問題についてお尋ねしたように、こういう困難な時期にこそ、これはやはりプラントあたりは、私は政府の将来から見ても考えるべきだ、この点をひとつお願いしておきたいと思います。  なお、それに対する御返事も願いたいのですが、最後にもう一つ、保税加工の問題がございますが、一体いま日本には保税加工の認可されておるのがどのくらいあるのか。今後も野放しでこれをやられるということになると、とんでもない日本の中小企業あたりは大きな影響をこうむろうと思いますが、こういう点についてひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  201. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 前段の質問に対しては、とくと御主張の点は頭に入れながらこの問題を善処いたすことにいたします。それから後段のほうは、政府委員のほうから答弁いたすことにいたします。
  202. 川原英之

    政府委員(川原英之君) ただいま御質問のありました点につきましては、ちょっと手元に資料を持ち合わしておりませんので、調べまして後刻御返事いたします。
  203. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それじゃ資料を、現在どのくらい保税加工というものが許可されておるか、地域ですね。これをひとつ資料として出してください。それでけっこうです。以上で終わります。
  204. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは、ただいま要求の資料はなるべくすみやかにお出し願いたいと思います。
  205. 川原英之

    政府委員(川原英之君) 承知いたしました。
  206. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————