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政府委員(大口駿一君) まず、本年の冷害の
状況並びに農林省として従来
措置をいたしましたことにつきましての、概略の御
説明をいたしたいと思います。
今年は、春先の異常低温、またたび重なる集中豪雨、台風等のために、稲作がいろいろな被害を受けまして、十月一日現在で、農林省の統計
調査部で
調査をいたしました本年産米の収穫高の予想は、水陸稲合わせまして千二百五十六万トン、これを作況指数で申しますと、平年作の九八%という作況に相なっているのであります。この中で、ただいま御
指摘になりました、冷害に起因をいたします減収量がどのくらいあるかと申しますと、全国で二十五万三千トンの数量が一応見込まれているのでございます。
この冷害によります被害の態様について、まず地域的に見ますると、北海道におきましては、北見、それから北部上川地方、それから内地におきましては、青森県、秋田県、長野県等の高冷地帯が、最も激しい冷害を受けているのであります。また、品種のほうからこれを見ますると、北日本におきまして冷害を受けましたのは、七月の下旬から八月の上旬にかけての低温によって、主として早生種の稲が被害を受けたのでございまするが、西日本におきまする冷害現象は、九月の低温によりまして、晩生種が被害を受けたのでございます。
農林省といたしましては、当
委員会におきましても、議員を
現地に御派遣になりまする際に、災害の担当者を随行して、
現地の
調査をいたしたのでございまするが、それに加えまして、さらに十月に入りましてから、農林省の技術
審議官を長といたしまする
調査団を
現地に派遣をいたしまして、冷害の激甚でありまする地帯を中心といたしまして、つぶさに
調査を実施いたしたのでございます。その際に、
現地からいろいろ要望が出ておりまするが、その要望を中心といたしまして、農林省としてそれらの冷害農家に対する救済策について目下考えております点をかいつまんで申し上げてみたいと思います。
まず、御
指摘の天災融資法の発動でございますが、これはもちろん、被害の
状況から見まして、天災融資法の発動の条件を備えていると私
どものほうは考えておりまするが、手続的には、被害の具体的な数字が確定次第、これが発動の手続をとってまいりたいというふうに現在考えております。それから、自作農維持資金の融通でありますとかあるいは開拓者資金の融通等も
現地から要望もあり、またいろいろ当然そのような希望があることは
承知をいたしておりまするが、これは、従来の例からいたしますと、天災融資法の発動ということを一つの契機といたしましてこれらの制度が動くようなたてまえになっておりまするので、先ほど申しました天災融資法の発動の手続の完了次第、これらの両制度は動き出すというふうに考えております。
それから、特に北海道におきましては、昨年と本年とが二年相続いて被害を受けているというような
関係から、昨年の被害農家で、すでに昨年の制度資金その他の融通を受けている農家が、本年の被害によってその返済に非常に支障を来たすというようなものに対しましては、被害の実情に応じまして、償還の猶予等の
措置あるいは資金の借りかえ等の
措置によりまして、返済に支障のある農家に対する救援手段とするよう検討いたしている次第であります。
それから、来年の生産のための種子
対策でありますとか、あるいは本年の災害に基づきまする農業共済金の支払い等につきましては、これをできるだけ早期に支払うように指導いたしておりまするとともに、種子等において
現地の市町村なり支庁管内で十分まかないがつかないものについては、全道的にこれを
措置するような指導をいたし、必要があればこれに対する助成の
措置も講ずる必要があるのではないかというふうに考えております。また、米の被害によりまして、検査等級に合格をしない米がたくさん出ているわけでありますが、これは実は、北海道の実際の米の品質等を検討いたしまして、青未熟粒の混入米並びに水分の普通の規格よりも多い水分過多の米等について、事前売り渡し申し込み制によって
政府が買い入れまする際に、そのような米も買い入れの対象にいたしまするという
措置は、予定としましては、本日の告示で実は出す予定になっておりまして、
内容等はすでに確定をいたしております。
それから、本年の冷害を中心といたしまして、米の乾燥調製等の作業を中心とする米のでき方が、例年よりも非常におくれておるということも考慮いたしまして、
昭和四十年産米の時期別格差の適用期限の延長の問題を検討いたしておったのでございまするが、ただいまの御
指摘の北海道につきましては、例年よりも相当米の作柄がおくれておるということ、並びに冷害地帯における農家の実態等も考慮に入れまして、昨日決定をいたしたのでありまするが、時期別格差適用の第三期の適用期限を七日間延長する
措置を講じまして、昨日発表すると同時に、
現地の食糧事務所に通知を出しまして、そのような
措置を講じておる次第でございます。
それから、本年の予約概算金を受領しておる農家で、米の作柄か非常に少ないために、これの返納を要する農家が一部出てまいるかと思いまするが、これは昨年も実施をいたしました
措置でございまするが、この返納に際しましての利子等の減免
措置は、それぞれの農家の被害の実態に応じて
措置をしてまいりたいというふうに考えております。
なお、ただいま御
指摘になりました救農土木事業につきましては、自治省の起債に基づいて行なわれておるように
承知をいたしておるわけでございまするが、なお
現地の実態でその起債のワクが不足であるかどうかという問題につきましては、これは自治省に私
どものほうもきょうの御
質問の趣旨は
連絡をいたして、よく先方でも
調査をしてもらうように
連絡をいたしたいと思います。
また、特別交付税の問題もこれも私
どものほうの所管でございませんのでそのような御
質問のあったことはお伝えをいたしたいと思います。
なお、その他ただいまの御
指摘にならなかった
問題等について、
現地の
調査の結果、いろいろ
現地の要望が出ておりまするので、私
どものほうでも、北海道全体としては、本年の稲作は昨年に比べれば相当よかったのでございまするが、一部の地帯には非常にお気の毒な地帯もございまするので、この地帯に対する
措置等につきましては、至急に事務的に可能なものから逐次やってまいりたいと思っております。