○宇野
委員 請求権並びに
経済協力に関する
協定の第一条と第二条の関連について
お尋ねをいたしたいと思います。
これはもう過般来から、野党の
質問者からも相当強く疑義を持たれて
質問されたわけですが、つまり
経済協力は
請求権の対価ではないかという説であります。私は、すでにこのことに関しましては、
政府当局の御答弁によりまして、そうではないということを明らかにいたしておるものでございまするが、しかし、過般来の
質問を通じて私が
考えることは、対日請求八項目の内容、それを知らせよという強い御要望がございました。その項目に関しましては、すでに外務
委員会におきましても、外務省当局より資料が出されておりまするが、内容は明らかではありません。内容は明らかではないけれ
ども、しかし、そうした
韓国の対日
請求権は、
経済協力と並行して、最終的に、かつ完全に、かつ同時に解消するということが明らかになっておるのであります。したがいまして、私は、そうした問題に対しては、当局も、もっと自信を持って、より具体的に、そのそうではないという
意味合いのことを明らかにいたしてほしいと思うのであります。と申し上げますことは、今回の
日本と
韓国との間の
条約の
締結という問題に関して、私はこれを勝負であるというふうな
考え方で見てはいけないと思うのであります。ついこの間も小坂先生が申されましたとおり、どちらかの国が一〇〇%をとれば、どちらかが不平、不満が残るのであるというような状況であってはならないから、
日本の今回の
交渉も、いわゆる百点満点ではない、
韓国も百点満点ではない、そういった
意味合いのものが残ったほうがいいんだというようなことを言われましたが、私も全く同意見でございます。
ちなみに戦後の
わが国の
外交というものを大別いたしますと、たとえば米ソの
ごとき大国に対しましては、
日本の
外交は
要求する
外交でございます。ところが、賠償等の
外交に関する新興国家に対しましては
要求される
外交であります。しかしながら、今日われわれがなさんとするところの
外交というものは、同じく兄貴という立場に立てば
要求される
外交であるかもしれぬけれ
ども、しかし、
わが国と
韓国は交戦国ではない。もとは
一つの国家であり
国民であったという立場において、非常に特異な性格を有しておる
条約であると私は
考えるのであります。したがいまして、それを勝った、負けたというような感情でなすことは許されないと私は思う。だから対日請求八項目の内容に関しましても、たとえばその
請求権が肩がわりされて
経済協力になるというたてまえからものを
考えられると、勢いその金額は幾らであったのかというような数字をあげつらうようなことになってしまいます。数字をあげつらうということは、要はどちらかが負けたか負けなかったかというようなことになりまして、今後永久に友好を続けようという
日韓間における重大な問題を残すだろうと思いますので、私の
考え方といたしましては、いまさら対日請求八項目の内容にこうした場において触れるべきでないと思うのであります。触れるべきではないが、しかし
政府は、なお一そう具体的にこの一条と二条の関連性が、つまり肩がわりではない、対価でないということを示していただきたいと思うのであります。
私が調査いたしましたところによりましても、たとえば
協定第一条の末尾に、
韓国の
経済の発展に役立つものであるという、その
経済協力の使命がうたわれておりますが、こうした規定というものは、
政府としては年度
実施計画の合意であるとか、あるいは契約認証の際には基準に合致するよう供与、貸与を審査するというふうなことを
意味しておると思うのでありますが、そうしたことであるのならば、これは明らかに賠償でもなければ、まして
請求権の肩がわりでもなければ、明らかなる
経済協力であるという立場が鮮明にされるのではないかと思うのでございます。以上に関する御所見を承っておきたいと思います。