○石橋
委員 当時の私と
総理との質疑応答が問題になっておりますので、若干解明をしておきたいと思うわけです。
私が、本年二月八日に
総理に
お尋ねいたしましたのは、まず
最初に官房長官との食い違いを
お尋ねしたわけです。というのは、前日七日に橋本官房長官が吉田書簡は全然関知しないという談話を発炎されました。このことについて、
総理に、官房長官のこの談話についてどう思うか、こういう賛同をまず
最初にしたわけです。それに対して
佐藤総理は、関知しないというのはおかしい、関知しないというのは、当時のいろいろな事情をよく知らなかったという
意味だったのだと思う、いまではどういう事情でこういう書簡が出てきたかもよくわかっておるから、これを関知しないというのはおかしい、こうおっしゃいました。そこで、
総理大臣のおっしゃることと、内閣の番頭である官房長官のおっしゃることとが、一日のうちに食い違って、その間に意見の相違が出てくるというようなことは、たいへんなことじゃないか、一体どちらの言うことがほんとうなのだと言いましたら、官房長官も、私はもうそれこそ
総理に忠誠を誓っているのだから、
総理のおっしゃるとおりなんだから、私のほうが間違いなんで、ごかんべん願いたいという話だった。そうだったですね。何でしたらもう一度ここで言ってもらってもけっこうです。そこで私は、
佐藤総理に、それじゃ一体吉田書簡というものには
佐藤内閣として拘束されるのですかどうですかという
質問に入ったわけだ。あなたはこれに対して「直接ではございませんが、私はやはり拘束されるものだ、かように
考えております。」と断言されました。私は、もう少しここで、
総理大臣と内閣のスポークスマンとしての官房長官との意見の不一致、しかも国際的に非常に重要な問題になっておるこういったことについての意見の不一致を徹底的に追及したかったのです。しかし、当時は、ニチボープラントの輸出の問題も、目立造船の輸出の問題も、まだ最終的には
中国の態度――非常に強硬ではごさいましたけれ
ども、ケリがついておりませんでした。キャンセルになっておりませんでした。ここで私が問い詰めて、追い詰めて、あなたがもうはっきりと、あらゆる
意味でも拘束される、輸銀も使わぬ、キャンセルになってもかまわぬというようなことを言われたのじゃ、
日本の利益にもならないし、日中間の今後のことを
考えてもプラスにならないと
考えて、私は当時は控えたのです。いまはもうキャンセルになりましたから、私は徹底的な
論議が必要だと思います。この時点においては、もう失うものはないのです。だから、
横路委員からも私は徹底的にやっていただきたいと思うのです。しかも、今後の
日韓関係が、
日本と北
朝鮮との間に同じような問題を提起してくる危険性も出てきているわけです。だから、ぜひ私ははっきりさせていただきたいのですが、拘束されると言ったのは
法律的なことではない、これは当然であります。なぜならば、これは
条約でも
協定でもないから、だから
法律的なと言えば、それは拘束されないかもしれません。しかし、一国の
総理大臣が拘束されると言っておいて、
法律的ではないのだからかまわぬというような逃げ目上はできませんよ。なぜならば、その前をもう
一つ読んでください。あなたは、当時におきまして、これは全然政府のやっていることと違う
方向ではなかった、とおっしゃっておるのです。吉田さんがふらっと行って、吉田個人でかってにやったのではないと言っているじゃありませんか。いいですか。池田内閣と十分な密接な連携をとって、その
承認の上でおやりになったことだ、政府の何ら関知しないことではなかったとおっしゃっておりますよ。あなたもそれを認めておりますよ。政府の裏づけのある行為なんです、吉田さんの行為は。それを単に
法律的に根拠がないなどと言うならば、いままでのあなた方の立論は全部くずれます。たとえば共同コミュニケなんかそうです。事前協議の問題などでも、岸・アイゼンハワー共同声明によって確認されておりますからだいじょうぶでございます。そんなことをしょっちゅう言っているじゃありませんか。あれは
法律でも
条約でも何でもありませんよ。明らかに、しかし両国はこれによって拘束を受けるという言明を再三されております。今度の場合でも、吉田さんが政府と打ち合わせをし――政府と何ら
関係なしにやったのならとにかく、ちゃんとあなたもお認めになっているように、政府のやっていることと違う
方向ではなかった、打ち合わせの上やっている。それを拘束力があるかないかということは、これは重大な問題です。逃げ口上はやめて、私はここで、やはりきちっとされたほうがいいんじゃないかと思います、今後のためにあらゆる点で。もう一度
お尋ねをいたしたいと思います。