○伊藤顕道君 私は
日本社会党を代表いたしまして、
佐藤総理ほか両
大臣の
演説に対して、
総理並びに
関係各
大臣に御
質問申し上げたいと存じます。
まずお伺いいたしたいのは、先ほど、
質問する前にすでに
総理から一部御
答弁がございました、今回の
参議院選挙の問題と、これに関連する
選挙制度上の問題についてでございます。今回の
参議院選挙の意義はまことに重大であったと思うのでございますが、その結果は、まことにお気の毒にも
自民党の
惨敗に終わったのであります。わけて、
首都東京におきましては、見るもむざんな
惨敗を喫し、さらに続いて行なわれた都議選についても、これまた
自民党の完敗に終わったのでございます。この
選挙の結果は、決して小手先の
選挙技術上の問題ではなく、その根底を流れるものは、長年にわたる
政府与党の
政治の姿勢に対する
国民の不安と不信にほかならないのでございます。岸内閣の権力
政治、池田内閣の金権
政治、これを継承したあなたも、
さきの国会では旧地主補償等の反動政策を強行するとともに、三矢軍政計画の処理をあいまいにするなど、不明朗かつ非民主的な
政治を行なっているのでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
何事も水の流れのごとく、帰すべきところに帰するのが自然の理でございます。今回の
選挙の結果もこの自然の理のあらわれにほかならないと思うのでございます。
総理の御
所見をこの
会議場を通じて
国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
次にお尋ねしたいのは、今回の
選挙に関連する
選挙制度についてでございます。
選挙後の慣例となっている違反の摘発は目下進行中で、最終的数字をつまびらかにしておりませんが、回を重ねるごとに悪質な実質犯が増高していることは、まことに慨嘆にたえません。この違反の中で特に
国民の強いふんまんを買っているのは、
高級官僚出身である
自民党全国区某候補をめぐる公務員や公共
企業体職員の違反でございます。これらの
高級官僚出身者は、在職中、内心ひそかに立候補の意思を固め、公務の執行と事前運動の判別がきわめて困難であるという間隙を縫って、
国民のための行政機関を
選挙網に動員し、補助金の査定交付、契約の締結、事業認可等にあたりまして、あたかもわがもの顔にこれを操作し、条件をつけて、来たるべき
選挙に備えていたのでございます。しかも、官費をもって地方に出張し、今回の例のごとく公費をも使用して
全国的に運動を行ない、その下部組織も同様な動きをしていたのであります。したがって、これら
高級官僚出身者の政界への進出はきわめて容易となっているのが現状でございます。
国民のための行政が、政界進出の呉となり、党利党略に乱用されるに至っては、世も末といわなければなりません。かくのごとき悪質な違反は、徹底的に洗い尽くし、白日の
もとにさらさなければなりません。かつて大規模な違反に問われた某当選者が、自発的に辞任して結末をつけたことがございますが、私は、国会の権威のため、民主
政治伸展のため、当該違反当選者の良識を喚起し、猛省を促したいのでございます。
佐藤総理は、近代政党の総裁として当然に深く
反省していることと思いますが、御
所見はどうか。また、
高級官僚の離職後一定年限立候補を制限すること、及び、これに関連して連座制を強化することの必要があるという
世論、並びに、第一次
選挙制度審議会の答申に対していかがお
考えか。あわせて
総理の明確なるお答えを伺いたいのでございます。
次に、農業問題について
総理にお伺いいたします。
農業を曲がりかどから救い出すため農業基本法が制定されましてから、すでに三年たちましたけれ
ども、この間、農業と他産業との
所得格差は縮まるどころか、ますます
拡大し、農業だけでは食っていけない兼業
農家が八割近くになり、
農村の若い者はどんどん村を捨てて都会に流出し、経営主までが家を捨てて長期出かせぎに出なければ食えない
状態となっておるのであります。そこで、
政府は、
所得倍増計画を手直しして
中期経済計画を立て、農業、
農村のひずみ是正に乗り出したのでありますけれ
ども、現実のひずみはますます大きくなっておるのであります。これは、
政府自民党が
社会党提案の農基法を退けて強行成立させた現行の農業基本法が、第一に、国内での食糧自給度の
向上を目標とせず、貿易の自由化を行ない、第二に、金をかけない安上がり農政を前提にし、第三に、ごく少数の自立経営
農家を育成し、大多数の零細
農家を切り捨てるという、いわゆる貧農切り捨て政策を中心とし、大
資本本位の
高度成長政策に農業を従属させようとしているためでございます。この結果、米麦軽視の政策が行なわれ、農産物輸入額は、
政府が
所得倍増計画を立てて
昭和四十六年度に八億ドルを目標としたものが、すでに三十八年度で十二億ドルをこえ、農産物輸出の減少とともに国際収支を圧迫し、
国民経済全体に悪影響を与え、主要食糧の不足を招き、外国従属の
国民生活におとしいれているのであります。
そこで、
総理にお尋ねいたします。
第一に、このような現状を打開するため、
政府自民党の農基法を廃止し、現在の
中期経済計画を大幅に改め、真に
農村のひずみを是正し、
農村の家庭生活を破壊する出かせぎをしなくてもよい農業を、樹立再建されるお
考えはないかどうか。
第二に、
資本主義の搾取と抑圧から農業を守り、
国民の主食を安心して生産できる、強力な、真の農業基本法を、
社会党主張の農基法を取り入れて再考されるお
考えはないかどうか。その中で、わが国
農村の将来をになう青少年に希望を与える農業後継者
対策をいまから
確立される
考えはないかどうか。
総理のお答えをいただきたいのであります。
次に、
農林大臣にお伺いいたします。
第一に、主食の自給度
向上の基本原則として、基盤の弱いわが国農業の構造と体質を改め、諸外国農産物との競争にたえ得る農業が
確立されるまで、農産物に対する自由化を取りやめる
考えはないかどうか。第二に、現行食管制度を維持改善するため、生産費
所得補償方式を堅持し、働く農民の生活を都市並みに引き上げるために、
生産者米価をさらに改定し、冷害特別加算等、本年度の冷害
対策に要した追加生産費上昇分を追加払いされる意思はないかどうか。
第三に、
生産者米価の引き上げに伴い、またまた
消費者米価を引き上げるような検討がされているようであります。そこで、
所得倍増でなく、
物価倍増によって
国民生活を極度に苦境に追い込んでいる今日、
消費者米価は引き上げない、こういう
方針をこの際はっきりここで
国民の前に示していただきたいのであります。その
考えはないかどうか。
第四に、現在くずれかけている米価における出産費
所得補償の方式をあくまで堅持し、米のみならず、すべての主要農産物にこれを適用し、農民が安心して農産物の増産と農業近代化に努力し得るよう、強力な農産
物価格安定制度を
確立される
考えはないか。坂田
農林大臣の明確なお答えをいただきたいのであります。
次に、
中小企業の問題について、まず
総理にお伺いいたします。
政府は
中小企業を尊重すると称しながら、現実にとっている政策は大
企業偏重であります。山一証券の救済のごときはその端的なあらわれと言うべきであります。
企業が大きくなれば
政府は救済してくれる、小さければいかに苦境に立っても放任される、これが
企業をして、無計画、無秩序に拡張させてきた理由でもあります。そこで、大
企業には、いつか
政府が救済してくれるという無
責任経営の気分がみなぎっているのが現状であります。大
企業を救済するだけの
資金があれば、
中小企業を何千と救済できるのであります。大
企業偏重の
経済政策をこの際
反省すべきではないか。
総理の御
所見をお伺いしたいのであります。
次に、大
企業偏重は、官公需が多く大
企業へ発注されていることでもわかるのであります。
政府は、
中小企業を重視するというのであれば、官公需をできるだけ優先的に
中小企業に発注すべきであります。
社会党はこの点にかんがみまして、官公需の
中小企業者に対する発注の確保に関する法律案を
衆議院に提出しております。そこで与党は、この際、右の法案の成立に進んで協力すべきであろうと思うが、
総理の御
所見はどうか、あわせてお伺いいたします。
次に、通産
大臣にお伺いいたします。いまや
日本の
中小企業は、その大部分が大
企業の下請として存在しているのでありますが、その
中小企業が困っているのは、第一に、下請代金の支払いがすこぶる遅延していることであり、第二に、現下の
不況に際して、親
企業等の波綻から、いつ自分のところへ倒産という悲運が回ってくるかもしれないという不安であります。下請代金はその大部分が加工賃であり、したがって従業員に支払う賃金であります。
中小企業といえ
ども、賃金は現金で支払わねばなりません。したがって、この賃金は親
企業にかわって支払うものであるから、下請代金は、本来ならば現金で納品の際に即日支払わるべきものでありますが、実際には、これが納品後数カ月を経過して支払われ、それも現金でなく長期の手形であるということは、何と申しても、親
企業がその優位の立場を利用して、下請
企業を圧迫し搾取している結果であると言わなければなりません。現行の下請代金法は、この圧迫、搾取の現状を容認した上で、その
程度を若干緩和しようとするものでしかないのであります。しかも、
さきの国会で改正されたとは申せ、依然、ざる法でありまして、実効の
程度もまことにおぼつかないものであります。この際、
政府は、下請の重要性にかんがみて、下請業者の地位を強化し、下請代金は現金支払いを原則とすることを明確化し、下請代金について賃金同様の先取特権を認める等の措置を講ずべきであると思うのでありますが、通産
大臣のお
考えをお伺いいたします。
次に、
政府は大
企業偏重であるとともに、
中小企業の中では中
企業偏重であったのでありますが、
さきの国会で、零細
企業金融と小規模
企業共済制度を打ち出して、零細
企業対策に一歩前進を示したのは、一応敬意を表するところであります。しかしながら、零細
企業金融として、無
担保、無
保証で借りられる限度を一
企業三十万円としたのは、あまりに少なきに失するのではないか。現在、三十万円で買い得る機械や商品の量は、きわめて微々たるものであります。
物価値上がりに対応して、この際、百万円くらいまで引き上げるべきであると思うが、通産
大臣のお
考えはどうか、お伺いいたします。
次に、労働問題について、まず
総理にお尋ねいたします。従来、
政府は、人事院勧告に対しては、口では尊重すると言いながら、実際にはこれを軽視し、連続五回にわたって完全実施を破ってまいりました。憲法に違反する疑いのある労働基本権に対する規制を、この規制を公務員及び公共
企業体等の職員に加えながら、賃金問題に関して唯一の救済手段である人事院勧告を
政府は完全に実施いたしません。きびしい規制を加え、一方、春闘による公労協の大量処分のごとく、法規違反者に対しては直ちに厳罰をもって臨んでいる。
政府は、公務員には順法の精神を強要しておきながら、みずからは法の精神を無視した
態度をとっていることは、まことに遺憾のきわみと言わなければなりません。(
拍手)こんなことで
総理の言われる
責任政治の
確立はどうして
期待できましょうか。最近において、公労委の仲裁裁定に対しては完全実施しようとするよき慣行がようやくできましたけれ
ども、人事院の勧告に対しても、公労委の仲裁裁定を目標に、これを尊重して完全に実施すべきであると思いますが、
総理にその
決意があるかどうか、お伺いいたします。
なお、先ほど一言触れました春闘による公労協の大量処分は、ILOの精神に反する
政府の暴挙であると断定せざるを得ないわけであります。(
拍手)そこで、
政府はこの際、深く
反省し、かかる不当不法な処分は直ちに撤回すべきであります。
総理のお
考えはどうか、あわせてお伺いいたします。
次に、
労働者の人命尊重について、
総理、労働
大臣並びに通産
大臣にお伺いいたします。
最近において、北炭夕張鉱業所、日鉄伊王島鉱業所、
山野炭鉱と、相次いで
炭鉱において重大災害が発生し、そのつど多数の犠牲者を出しております。
政府は災害発生のたびに、将来かかる災害の絶滅を期すよう努力いたします、こういうような声明を繰り返しておりますけれ
ども、今日までその実効を見ないのみか、相変わらず
炭鉱においては
事故が頻発しているのであります。わが国における
炭鉱災害は、西欧
諸国に比較いたしますと、実に五倍ないし十倍の高率でございます。
炭鉱における労働災害の絶滅を期するため、この際、
政府は、
炭鉱における保安監督行政を、現行の通産省から労働省に移し、坑内におけるガスの量が発火のおそれある限度に達した場合には、直ちに作業を禁止して、ガス爆発を未然に防ぎ、そうして
労働者の安全を確保すべき当然の措置をとるべきであると思います。
総理並びに
関係大臣の御
見解をはっきり伺いたいのであります。
次に、
社会保障の一環として、医療保険について
総理にお伺いいたします。
いま医療保険の現状について見ますと、まことに憂慮にたえないものがございます。
国民保険や
政府管掌の健康保険、その他の医療保険について見ても、いずれも増高する
医療費の前に、巨額の赤字が見込まれ、医療保険は崩壊の危機に直面しているわけであります。
政府は、これら赤字の未処理をどのように措置する
考えなのか、現状のままいたずらに推移すれば、直ちに診療費の支払い不能となることは、きわめて明瞭であります。しかしながら、窮余の一策として、組合員の掛け金を引き上げることによってこれを打開しようとするような卑劣きわまる方策が、もし
政府によって
考えられているとするならば、かかる愚劣な方策は即刻撤回すべきであります。
政府の長期にわたる無為無策が今日の医療問題の混乱を来たしたのでありますから、その財源についても
政府の
責任において措置すべきは理の当然といわなければなりません。
政府は
一体この赤字をいかに処理して医療保険制度の
確立をはからんとするのか。
総理の
決意のほどをお伺いしたいのであります。
次に、教育問題について、
総理並びに文部
大臣にお伺いいたします。
総理は、
人間尊重、
社会開発を
政治の基調とするといわれておりますけれ
ども、今日の入試制度及びこれに伴う試験地獄並びに学力
テストに象徴される
日本の教育の現状をどのように見ておられるのか、お伺いしたいのであります。りっぱな教育をなすためには、りっぱな教師が必要であり、すぐれた教師を確保するためには、その待遇を改善しなければなりません。また、かりに教組に問題があるとするならば、進んで話し合いの場を持ち、民主的に
解決をはかるべきであります。小手先の権力によって子供や教師をつぶしてしまっては、国家百年の計をあやまることになります。
政府のなすべきことは、よき教師を確保するとともに、施設、設備を整え、教育内容の詳細にわたることは、教師を信頼し、教師自身の努力と創造性にまかすべきであります。
総理の教育に対する基本的姿勢について、この際お伺いしておきたいのであります。
次に、文部
大臣にお伺いいたします。文部省は、学力
テストを全面的に中止した福岡県教委に対して、地元福岡における
自民党の動きに呼応して、文部省の調査団を送り、その報告を
もとにして、強硬な勧告を福岡県教委に出されておりますが、それも、単に学力
テストのみではなく、組合が人事に介入しているとか、文部省の作成した道徳資料を配付せよとか、いろいろ言われておるわけでありますが、この真意は
一体那辺にあるのか、まずもってお伺いしたいのであります。
昨年の福岡地裁並びに高裁の判決においても、文部省の学力
テスト実施は、教育基本法第十条並びに地方教育行政組織運営に関する法律第五十四条に照らし、違反もしくは失当であるとしているのであります。
ことばをかえて申しますと、一斉学力
テストは教育に対する不当な支配になると判断しているのであります。このように、相当疑義のある問題について、強権的な行政勧告を出されたことは、まことに遺憾であり、問題でありますが、さらに「教育行政秩序の
確立」、こういう
ことばを使って、教組の誹謗、組合員への圧迫が公然と行なわれておりますが、これも教育基本法、ILO
条約の精神に反すると指摘しなければならないわけであります。さらに、問題は、学力
テストそのものの弊害が年々明らかとなり、さらに、その存廃がきびしく問われているときだけに、この福岡の問題を
政治的紛争に持ち込むことなく、冷静な教育的配慮の
もとに事態を処理すべきであると思いますが、文部
大臣のお
考えはどうか、お伺いいたします。
次に、これだけ学力
テストの弊害が叫ばれ、
世論も
批判的であるのに、学力
テストには
全国の小中学校児童生徒が参加することが望ましい、こういうことで全員の
テスト用紙配付予算一億を組んでいるのでありますが、これはまことに了解に苦しむところであります。各方面からの
批判があって、悉皆調査から二〇%抽出調査に後退したことを昨年文部省は宣言しておきながら、このような予算を組んでいる真意は
一体那辺にあるのか、そのようなむだな予算があるならば、予算不足で非常に困窮している、たとえば学校給食などに充当するのが至当ではないか、この点をお伺いいたします。
次にお伺いしたいのは、ILOとユネスコから送られてきた「教員の地位に関する勧告草案」に対して
政府はいかなる回答を出されたのか、まずお伺いしたいのであります。伝えられるところによりますと、
政府は、この百六十二項目にわたる勧告草案を、国内事情に合わないという、理屈にならない理由によって無視されたようでありますけれ
ども、これでは
世界の大勢に逆行して、もの笑いになるばかりでなく、わが国の教育をも逆行させることになろうかと憂慮されるのでありますが、この点、文部
大臣はどのようにお
考えですか。さらに、この勧告草案を見ますると、教組の交渉権を、単に勤務条件に限定せず、教育内容についても話し合いをすべきであることを明記しているのであります。このような観点からも、
政府は、日教組との話し合いについて、さらに積極的に誠意を持って取り組むべきであると思うが、文相はどのようにお
考えになっているのか、その誠意ある御
答弁をいただきたいのであります。
最後に、憲法及び防衛問題について
総理に御
質問申し上げます。
憲法の改正を立党の精神とし、綱領としている
自民党の総裁であり、この内閣の
総理であるあなたは、
所信表明において、「わが国の憲法は、平和の精神に基づいて制定されました」とだけしか触れられていないのでありますけれ
ども、憲法問題については、
政府は、
さきに憲法調査会を強引に設置し、七年間の改憲
準備を経て、昨年七月、報告書を提出させております。次いで内閣法制局に憲法調査資料室を設け、改憲
準備を着々と推進しているようでありますので、この際、憲法改正問題に対する
総理の基本的な
考え方を
国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
次にお伺いしたいのは、いま
日本の空には航空自衛隊、海には海上自衛隊がございます。そして陸には旧帝国陸軍の三十倍の戦力があるといわれている陸上自衛隊という名のつく軍隊がございます。その自衛官についてみますると、約三万の恒常的な欠員がありますが、これがどうにも補充ができないままになっているわけでございます。このことは、現行の志願制度はすでに限界にきているのではなかろうかと
考えられるわけであります。このままでは、いずれにしても、
アメリカから強い要求のある防衛力の増強が実現できないわけでありますので、防衛庁としては苦慮しているのが現状のようでありますが、
政府は
一体この三万以上の恒常的な欠員についてどのように
考えておられるのか、お伺いしたいのであります。また、その
対策として、戦前の徴兵制度を憲法改正とからめて実施しようとの動きが、改正論者の間に台頭しているやにうかがわれ、さらに、最近の緊迫せる国際
情勢が反映して、その傾向が強まりつつあるようでありますので、この際、徴兵制度に対する
総理のお
考えをお伺いしたいのであります。
次に、
日本の防衛に関連して、域外調達について
総理にお伺いいたします。報道によりますと、米国国防省筋は、
日本から
ベトナム戦争に必要な相当壁の車両など兵器類を調達するのと引きかえに、防衛庁が防衛力増強のために必要としている地対空ミサイル等を円払いで提供する用意があるとのことでございますが、この米国の域外調達の申し入れに対しては、当然断固として拒絶すべきであると
考えられますが、
総理のお
考えはどうか、この際ただしておきたいのでございます。
次に、
B52問題で
総理にお尋ねいたします。グアム島
基地の米飛行中隊
B52が台風を避けるという名目で板付へ移動する、こういう
アメリカからの一方的な通報が
日本政府になされたのでありますが、これを受けた
日本政府は、何ら事前協議することなく承認しているのは、
一体どういうわけか、まことに了解に苦しむところであります。
B52が二十ないし三十機と編隊で飛来することになりますと、大規模な軍隊戦力の移動について、これまで
政府が国会
答弁で明らかにしてまいりました一個師団以上の軍隊の移動となるわけであります。したがって、当然に事前協議の対象となるのではなかろうかと
考えられますけれ
ども、この際、
総理の明確な御
見解をお伺いしたいのであります。
次に、板付への移動は実際には中止となりまして、
沖繩へ変更となったわけでございますけれ
ども、
沖繩を発進
基地としてベトコンへ
渡洋爆撃しておりますことは、
日本を
基地とする
ベトナム侵略の暴挙であります。
日本を
ベトナム紛争に巻き込む危険な
行動であると断定せざるを得ないわけであります。と同時に、このような暴挙を容認している
政府の
態度に対しまして、私たちは、
沖繩県民とともに、厳重に抗議するものであります。
所信表明で平和を強調しておられる
日本の
総理大臣として、この
国民の抗議をどう受けとめられるのか、ここにお伺いしたいのであります。
先ほど
総理は、御
答弁の中で、
戦争はしないということを繰り返して言われておりますけれ
ども、
戦争はしないと言っても、
戦争をしむけられたら
一体どうするのか。これに対する解明を与えていないのであります。だから
国民は、不安感を持っているわけであります。この点をあわせて御
答弁いただきたいのであります。
最後に私は、
政府は
日本国民の名において、
アメリカ政府に対し、緊急に抗議することを強く要望申し上げまして、
日本社会党を代表しての私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣佐藤榮作君
登壇、
拍手〕