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1965-10-04 第49回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月四日(月曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  十月四日     辞任         補欠選任      野々山一三君     松永 忠二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 石原幹市郎君                 伊藤 顕道君                 山本伊三郎君     委 員                 源田  実君                 林田 正治君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 北村  暢君                 中村 英男君                 松永 忠二君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  松野 頼三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        外務省北米局長  安川  壮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (当面の防衛問題に関する件)  (北富士演習場及び東富士演習場に関する件)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  野々山一三君が辞任され、その補欠として松永忠二君が選任されました。     —————————————
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。  本調査につきまして、質疑の通告がございますので、順次御発言を願います。  なお、関係当局からの出席者は、松野防衛庁長官島田防衛局長堀田人事局長宍戸教育局長小幡防衛施設庁長官財満施設部長、以上であります。  それでは御発言を願います。伊藤君。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、防衛上の時の問題について、二、三問題をしぼって、まず、長官を中心にお伺いいたしたいと思います。  まず順序として、最初米軍基地についてお伺いしたいと思います。アメリカ基地に対する国民感情は、年を追って非常に緊迫しておるのが実情だと思います。特に、南ベトナム戦が開始されてからその度合いが一そう深刻になってきておると思うわけです。最近における米軍基地使用状況を見ますると、いろいろ国民感情を無視したかのごとき状況が相次いで起きておるわけです。たとえば茨城県の勝田市における米軍機のF105、この誤射事件、あるいは基地周辺における騒音のための民家の移転とか、あるいは今回、後ほど他の委員から詳細質問があろうと思いますが、富士演習場における使用条件の違反と見られておるリトルジョンの問題、こういう幾つかの問題が相次いで起きておるわけです。こういう事態に対して、長官としては一体どのようにお考えになっておるか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  5. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 最近、米軍基地についての問題が各所に起こっております。ただ、ここで考えられますのは、その一番大きな感情底流にあるものがベトナムの戦争に関係があるのではないか、あるいはベトナムに派兵をするのではないか、そのために米軍演習が変わったのではないか、こういう不安がその底流にあるように私も感じます。ただしかし、現実を見ますると、その不安と同時に正確にものごとを見ることも必要じゃないか。かりに、言うならば、日米間の安保条約というもの、地位協定というもの、その範囲内においての使用変革の問題、変革というのは、飛行機にいたしましても105などという飛行機は昔はなかった。最近兵器の進歩によってその兵器が変わってくる、こういう事実と、それから不文と、その二つの中に問題が私はあると思います。先般の誤射事件、それは碓かにあやまって撃ったというある意味において、悪いというおわびのものがありました。そういう一つ一つ事例を結びつけて不安がる感情というものも見のがすわけにはいかない。同時に政府も、事実を国民に知らせる努力を忘れてはいけない。結局最後になりますと、日米間という問題、私は一番国民気持ちをまずそこに持ってもらわなければいけない、この三つだと私は思います。国民感情、国際の日米の問題、もう一つはその事実、国民がその事実を正しく見てもらう、これがやはりこの問題の——常に起こります問題の一つ一つ事例は、この三つにみな関連があると私は思います。  そこで政府としては、国民に対してその事実をなるべく早く報道すること、早く事実を知らせることということに、今日米軍側にも連絡をしまして、いろいろな問題が起こる前に事実通報を正確なものを早くしてくれ、起こったときには、その原因について正確なものを直ちに知らしてくれ、そういうことが日米間の誤解を解く今日の私は事態としては必要なことだと、この三つを実は考えております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 きょうは時間の関係でお尋ねいたしませんが、長い間お伺いしてきたアメリカ太田大泉飛行場返還の問題、こういう問題をあわせて考えてきても、米軍基地に対する防衛庁態度米軍のなすがままにまかせてきたと、こういう印象を強く私どもは植えつけられてきておるわけです。そこで、後ほどお伺いするであろう富士の問題もさることながら、どうも米軍に対して十歩も五十歩も譲歩しておる、そういう態度が見受けられるわけです。ひとつ対等の態度と、き然たる態度防衛庁が強く強腰で対処しなければ、この基地問題はなかなか解決しない、そういう強い印象を私どもは植えつけられてきておるわけです。このことに対して長官としてはどういうふうにお考えですか。
  7. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 伊藤委員の御指摘のような、先般来内閣委員会において御指摘のような問題は、一つ一つ実は私のほうも取り上げまして、米軍との交渉項目にあげております。また一つ一つ、実は事実上において交渉を始めております。私のほうがこれをおろそかにしているわけじゃありません、一つ一つすべての問題、大なり小なり当委員会において実は問題になりましたものについては、交渉あるいは話し合いあるいはその下打ち合わせを実は項目別にあげております。ただ、なかなか米軍権益と申しますか、米軍権益というものもあります。権益というのは、条約協定によってきめられたもの、これについては米軍もなかなか自分のほうの権益範囲内じゃないか、あるいは協定範囲内じゃないかということで、事実われわれが要求するものと、米軍のそれに対する認識というものが、それはおのずから違うことはあり得ることであります。そのために、解決をするためには、それでは代替地はどこだと、こういう話が順序として進んでまいります。代替地はどこだということになりますと、そう軽々に、代替地候補念頭に置いておりますと、代替地候補が漏れたりしますと、代替地の地元の方から前もって反対運動が行なわれる、そうすると交渉の進むべき道が閉ざされる、じゃあ別の代替地のほうと話をしていると、別の代替地のほうから、おれのほうはそんな演習はお断わりだと、事前に実はいろいろな問題がきておりまして、私ども交渉するその方法順序において非常に苦慮しております。先般も当委員会においては太田小泉その他の地域において、その他の基地あるいは演習地でやればいいじゃないかという御発言がございました。私もその趣旨に沿ってやろうといたしますと、その他の候補地と目されるところから、実はおれのほうは演習に併合されたら困るという話がもう実はきております。なかなか私たちも、話を進めてほかの地域に行け、じゃあほかの地域で承知していただく地域があればこれは一つの案ですが、どこの地域演習をこれ以上強化することに賛成の地域は非常に少ないと私は思います。いまよりも演習を強化してよろしいという申し出がある地域は残念ながら私どもまだございません。そこで、まとめようとすると、まとめられるほうが今度なかなか承知しません。それで一つ一つ毎回伊藤さんの御満足のいくような結論が出ておりませんが、内容はそういうところに非常に苦労はしております。隣接地だからそちらへ行けばいいじゃないか、隣接地の方からはおれのほうもいまの演習で手一ばいだ、これ以上やられるのはいやだという御意向も方々から出始めている、そこで演習地の併合ということ自体も実は容易なことじゃない、そのために何回もお断わりしておりますけれども、代案というものが実は出てこなければなかなか進まない、しかし、暗中模索じゃありませんが、努方はしておるのです。そういう事実が出てくることをお話しすることができるだけの努力はしておると私は思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお尋ねしたいのは、自衛隊高級幹部会同が九月三十日市ケ谷駐とん地で行なわれたわけですが、これは年に一回だけやられると聞いておりますが、この会同のねらいは一体何ですか、この点からお尋ねいたします。
  9. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 毎年最高幹部会というのを挙行しております。そのときには、最高司令官総理大臣出席を仰いで、総理大臣からいわゆる自衛隊に対する訓辞をまずもらう。それからその後において意見を開陳し合う、そうして自衛隊における今後の問題を討議する、こういう問題で一つの問題をまとめて、これは目的という趣旨のものではございません。ことしもそのような趣旨で実行いたしました。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その会同の際、長官訓辞されておるようですが、その一節に、第三次防計画の策定にあたっては精鋭な部隊の維持ということ、最新装備充実をはかる、こういう意味のことを発言されておるわけですが、そこで、承りますが、第三次防については、その後一体どうなっておるのか、大体骨組みがきめられたら早急に当委員会に提出願いたいと思うのですが、一体どうなっておるかということ。それから、最新装備充実ということになりますと、当然この中にはミサイルが含まれてくると思うのです。このミサイルは一体どのようなものなのか、いま富士で問題になっておる、後ほど質問があるであろうところのリトル・ジョーンとか、あるいは30型ロケット、これはいまプリンス自動車会社でやっておるとか承っておりますが、こういうものを意味しておるのか、こういう点について具体的にお答えいただきたいと思います。
  11. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 最新装備によって国防を全うするということは、私の任務でありますので、最新装備にしたい、最新ということは何だと言われると、具体的に私も用兵家ではありませんので、その装備内容について御正確にお答えすることはできませんが、問題は、対空、防空に対するものといえば、これはミサイル兵器ということになります。陸上における最新ということになれば、戦車あるいは対戦車砲あるいは地対地ロケット砲ということになります。海上においての最新兵器といえば、主として対潜水艦ということになります。潜水艦に対する、対潜兵器という、項目別には私はそういう考えを持っております。  そこで、御質問の30型ロケットというのは、日本でいま開発しております。したがって、これは開発が完成すれば、これは装備したいと考えております。そのほか対空については、今日はナイキホークというものを使用しております。ナイキホークに匹敵するものの増強ということは、これは考えなければならないと私は思っております。  それからもう一つリトルジョンですが、リトルジョンは、私のほうは装備考えはただいまはございません。なぜかと言えば、わが国で開発しておる30型ロケットのほうが、ある意味においては日本に適し、あるいは日本の地形に適した、また優秀ではないかと私は考えておりますので、リトルジョンの性能はよく知りません、概括的に報告されるところから見ると、30型ロケットのほうが日本により私は適当だと考えております。リトルジョンは、実はそんなに日本で適当な装備の中には入らないのではなかろうか、これは私の今日の考えですが、もちろん各幕の専門家は、おのずから別のことを言うかもしれません。今日のところでお聞きとり願いたいと思います。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この訓辞一節で、隊員精神教育の普及を強調しておられるのです。そこで、具体的にお伺いしたいのは、どういうふうなことを、どのようにして教育しようと考えられておるのか、こういう概要についてまずお伺いしたいと思います。昔の軍隊にあったように、忠節とか義勇とか、こういうふうな徳目を設けて、こういうことの実視をしようというのか、こういうことの有無等をもあわせてお答え願います。
  13. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 自衛隊教育基本的な考えとしては、先般自衛隊員心得という一つのものを決定しております。したがって、自衛隊員心得という中には、御承知のように、国家社会に対する自衛隊奉仕的気持ち、それから規律としては、礼儀作法、あるいは国民としての当然行なうべき態度、その基本となるものは、憲法における国民に対する自衛隊員の位置づけ、任務というものを実は規定しております。先般来、実は自衛隊員の不法な者が各所にあらわれまして、私もこれについて非常に実は心配関心を、国民に対する責任を感じまして、その意味訓辞の中に、特に先般来の不法あるいは非行に対する規律をまず組織基本とするように訓辞をしたわけであります。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、長官訓辞の中でこうも言っておられるわけです。有事の際有効に事態に対処し得る防衛体制を整備したい、こういうふうなことを言われておると思うのです。ここで言われる有事の際というのは、どういう際なのか、具体的に御説明願いたい。察するに、長官有事の際と言われるのは、三矢計画をさして言われておるのではなかろうかと思うのですが、この点をはっきりお答えいただきたい。
  15. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私かこの際、有事の際と言いましたのは、国防であります。外敵侵略あるいは間接侵略、こういう侵略に対して国民を守るということが、自衛隊の最大なる有事の際の行動でなければならない、そのことを私はさして言ったわけであります。三矢研究というのは、私は全然関係ございません。あれは単なる図上演習研究であったと私は記憶します。私のときにお答えしたわけではありませんが、三矢研究は何も自衛隊全部の者に対して何ら影響はない、一部の方の研究であるということだけで、自衛隊員の全員が知っているわけでもありません。また知らなければならぬものでもありません。また、自衛隊行動にこれが貢献したわけでもありません。これは二部の研究グループである。したがって、三矢問題を私は自分の所管としての基本考えたことは一つもありません。また、実情を申しますと、三矢研究そのものもとやかく言うほどのものでもないと私は考えます。有事の際というのは、外敵、内敵の、日本の国の侵略に対処していく、これを私は念頭に置いております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お答えを聞いていると、三矢研究とは何ら関係ないというふうに言われておりますけれども、そういうことではないと思います。いま、外敵、内敵に対処する、その際だと言われておりますけれども三矢計画そのことは、結局、外敵、内敵に対する広範な面を計画立案しておられるわけです。したがって、三矢と何ら関係ないということは言われぬと思うのですが、この点どうも納得しがたいので、重ねてお伺いしたいと思います。
  17. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 三矢研究というものが事実出ましたけれども三矢研究がそれじゃいいか悪いかと、私から批判いたしますれば、必ずしも適切なものではなかった。それではあの計画国防計画に資するのにあの計画はいいか悪いか、第二段に進みますと、私はあれはたいしたものではないと思っています。研究者には申しわけありませんけれども。なぜだというと、私のいま考えているような装備とか、近代化とか、三次防には、ああいう計画がかりにもしも持ってこられたら、私はあまり適当なものではない。というのは国の有事の際における計画としては、適当な計画ではないと私は思います。もし、かりに、私のところにあの計画を採用してくれといったら、たいした用兵上の威力もないじゃないかと私は言うかもしれません。その当時には研究として価値があったかもしれません。しかし、実行するというものではない。また、そういう考えは私は持ってない。したがって、私には三矢研究は何にも影響を与えないと実は思っております。そう三矢研究を私はこまかく関心を持って読み直してもおりません。また、その用兵研究しておりません。というのは、やはり古いのじゃないかという気がいたします。やはり、そういう計画よりも先に進んだものが、安全に必要なものが、もっと国防には必要だと思っておりますので、古く感じたという、私が公評すれば。したがって、三矢には、私の訓辞でも、私の念頭にもほとんど関係がない、こういうことでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は時間がございませんから、別途お尋ねすることにして、なお、有事の際に関連して、防衛庁は去る八月十一日の参事官会議非常事態の際に必要とする法令検討を決定したということを承っているわけですが、非常事態というのはいかなる事態をさして言うのか。いまここで長官が言われた有事の際、これと非常に緊密な横の連携があるやにうかがわれるわけです。この二つ関係はどういう関係なんですか。
  19. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 直接侵略間接侵略というのが、要するに侵略における第一義的なものであります。それと同時に、自衛隊法及び防衛庁法には公共の秩序を守れという文句がもう一つ書いてあります。その二つの問題がおそらく伊藤委員のお尋ねの項目じゃないかと私は考えます。直接侵略、これははっきりわかります。間接侵略、これも明確であります。その間接侵略の変形とも申しましょうか、国民社会を非常に不安におとしいれる、国民財産生命が侵される、しかもこれが侵略的要素を持っておる、こういうところが研究をすれば研究の足らざるところかもしれません。しかして、八月何日かの参事官会議でそれをやったという報道自身が、実はやっていないのです。したがって、私がやっていないことにおまえ答えるとおしかりを受けるかもしれませんが、八月何日のあれはやっておりません。要するに、法令において、今日問題になる法令についての法令上の問題の研究はしたかもしれません。しかし、その有事の際だけを取り上げて緊急なものを立法するという考えではやっておりません。多少報道内容が違っております。また、私も知っておりません。私たちに報告も何もありません。したがって、総体的な法令について研究するということで毎年予算の前あるいは予算編成前にやることであります。それがどうも有事の際にもやるかと言われればやらないという意味じゃありませんが、特に特定をきめて私のほうでやったという、そういう事例のものではございません。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどお伺いしたように、自衛隊員精神教育の必要を強調されておるわけでありますが、これは最近の新聞報道によると、自衛官犯罪は目に余るものがあろうと思うのです。で、ここで一々申し上げませんけれども久留米で運転手を殺しておるとか、あるいは和歌山では制服の自衛官が婦人を襲っておるとか、小田原では労務者とぐるになって強盗をやっておるとか、あるいは茨城の日立市では短刀を持った自衛官二人が住居侵入で逮捕されておるとか、北海道の千歳では、自衛官婦女暴行で逮捕されておるとか、もう連日のように新聞報道自衛官のこういう悪質な犯罪があげられておるわけであります。そこで考えなければならぬのは、この点については十分防衛庁としてもその誘因については検討されたと思うわけでありますが、私ども考えるのは、防衛庁としては欠員の補充にきゅうきゅうとして、この前の当委員会でも問題になりましたように、募集係員をあるいは上野公園とか上野駅あるいは映画館パチンコ店、こういうところにまで出張って家出人に至るまで入隊を勧誘し続けてきて何とか員数を合わせようと、そういう点でずいぶん無理をしてきておるわけであります。正当な募集方法をとらないで——それはむろんとっておるでしょうが、それだけではどうも定員の充足に足らない、こういうことで苦しまぎれにこういうような方策をとってきた、こういうところに大きな誘因があるのではなかろうか。したがって、当委員会でもそのつどそういうことは検討すべきであるという意味のことを追及してきたわけであります。したがって、防衛庁としては、ただ単に員数を合わせるということでなくて、無理をしないでやってもらいたい。もちろん私ども社会党としては自衛隊そのものの存在を認めておるわけではありません。少なくとも百歩譲って現行を改善するとしたらやはり定員にとらわれないで、無理しないで募集する。その範囲内で自衛隊を編成すればこういう問題は起きないと思う。ただ数さえそろえればいいということで、先ほどあげたようなまことにゆゆしいような方策応募者をつのっておる、こういうところに大きな問題があろうと思う。この点については防衛庁としては、現在どのように考えられておるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  21. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 人事局長お答えいたさせます。
  22. 堀田政孝

    説明員堀田政孝君) ただいま伊藤先生から御指摘のございましたように、最近自衛隊員の相次ぐ事故がございまして、私どもまことに申しわけないことであると深く反省をいたしております。実は先週の月曜日にも人事担当の陸海空の各担当者が集合いたしまして、今回頻発をしておる事故は、これは傾向的なものであるのか、あるいはこれまたこれが集中的に出たものであるのか、結論を出そうと思って論議をいたしたわけでございますが、十分なる資料が整いませんので、実は一週間余裕を持ちまして、きょうから深刻に検討に取りかかろうと思っております。御指摘のございましたような事故の発生をいたします原因は、大体三点ございまして、一つは、いま委員のおっしゃいましたように、募集するときに無理をしているのではないか、ただ頭数をそろえるということだけにきゅうきゅうして、そのために基準を甘くしておる、あるいは調査に粗漏の点があるというようなことがあるのではないかという点が一点でございます。第二は、教育の問題でございますが、新隊員教育隊に入れまして、一番感激の強いときに、昔で申します初年兵教育をいたすわけでございますが、この教育に遺漏があったのではないか。第三点は、部隊に配属になりましたときには部隊身上調査等につきまして、戦前は、陸軍におきましては身上係の准尉がおりまして、その兵隊の一挙手一投足あるいは家庭の一々微細なものにつきましても心配をし、相談に乗っておったわけでございます。そのような身辺雑事についての配慮母親がわり配慮が十分に行なわれているかどうかということが、やはり事故防止をいたします基本ではなかろうかと思われますが、いま申し上げました三点についての深刻な反省は、現在取りかかっておるわけでございますので、しばらくお待ちをいただきたいと存じます。  なお、募集につきまして、昨年のやはりこの内閣委員会において、私が街頭募集等についていろいろお答えを申し上げましたのですが、そのとき申し上げましたように、やはり年度を追って街頭募集は縮小をして、組織募集に持ってまいりたい、そのように努力をいたしておるということを申し上げましたが、東京地連におきます募集の目標も四十年度は街頭募集を大幅に減らす、市町村あるいは地連の窓口等に重点を置くという募集方法をとりまして、現在は御指摘のような方向でやっておるわけでございますが、全然街頭募集を廃止したという状況にはまだ至っておりません。また、あるいは誤解を生むおそれもございますので申し上げておきたいと思いますのは、街頭で呼びかけた青年をすべてそのまま採用いたすわけではございません。中学卒程度の学力があるかどうか、あるいは十八歳程度の社会生活を営むのに必要な常識を持っておるかどうか、あるいは身体精神上の障害があるかどうか、あるいは前に逮捕された、あるいは非行を重ねたというようなことがあるかどうかということについての調査を十分にいたしました上で採用を決定いたすわけでございますので、街頭募集をし、入隊をしてまいりました者が、すべてどこの馬の骨かわからないというものであるというわけではございません。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お答えによると、ずいぶん調査には厳密を期しておるというような意味お答えがあったわけですけれども街頭で集めてきた者の中で何らかの前歴があったと思うのです。したがって、あちこちで自衛官犯罪を犯しておる中には、相当前歴のある者があるんじゃないか。にもかかわらず、いまの御答弁では厳重な調査をしておる。やはり調査も大体厳重にはやるでしょうが、手抜かりがあちこちに起きておったことはいなめないと思うのです。したがって、厳重を期してきたということは言い切れぬと思うのです。まあ今後の態度はわかりましたからこれは深追いはいたしませんけれども、やはり正規なルートを通してそうして募集を進めるべきであって、パチンコ屋とか公園とか駅頭にまで進出して家出人を応募させるというふうな点は十分考え直すべきではないか、こういう点を強く要望しておきたいと思うのです。  次に、時間がございませんから、防衛研修所員のB57搭乗問題、この点にしぼってお伺いしたいと思いますが、日本防衛庁職員がB57に搭乗してベトコン地区への爆撃に出撃した、こういう問題ですが、これは国際的にもきわめて重大な問題であろうと思う。まず、長官の御見解を伺っておきたいと思うのです。
  24. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 先般、防衛庁の講師職員である研修所の職員がB57ですかに搭乗したという報告を受けて、私のほうも実はあの報道を聞いて私も初めてその事実を知りました。それで研修所長から、本人を呼びましてその事実を確かめましたが、その事実のとおりB57の体験飛行に同乗した、という報告を受けました。その後、この問題について調査いたしますと、休暇を申請をして、休暇申請前に、所長は訓示と言うとおかしいですが、三カ条ばかり注意を与えております。そうしてその休暇を許可した。その休暇中にこういう事件が起きたというのが事実であります。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この小谷研修所員の行動は、その目的のいかんにかかわらず、米軍の軍事行動に参加したということはいなめないということと、これは国民感情においても許されることでなし、特に憲法とか自衛隊法の上からも大いに問題があるのではないか。こういう点を、ただ単に辞職させたからということで問題は片づく問題ではないと思うのです。特に日本の高級自衛隊員米軍の出撃に参加したということは、国際的に非常に大きな不信感を与えておるのではないか。こういう国際的な問題として、問題は非常に大きい問題だと私どもは見ておるわけです。これに対して、防衛庁としては一体どうお考えになっておるのか。  なお、これはたまたま米軍が写真報道をしたのでわかったと思うのですが、これは氷山の一角であって、他にもこれに類似した問題が相当あるやに漏れ承っておるわけですが、こういうことについても、ひとつ率直にお聞かせいただきたいと思います。
  26. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 議論の過程で人事に関する問題ですから、その事実問題について人事局長からもう少し補足説明いたさせます。
  27. 堀田政孝

    説明員堀田政孝君) 小谷秀二郎所員の南ベトナム行きに関します事実関係について、若干申し上げたいと思います。  本年の六月二十四日、アメリカのUSISから小谷君個人に対しまして招待が参りまして、南ベトナムにおける軍事情勢を見にいかないかという招きを受けたわけであります。本人はこれを受けたいと考えまして、六月の二十五日、所長に対しまして、このような招きを受けたけれども差しつかえはないだろうか、もしお許しが得られるならば年次休暇をとって参りたい、同行する人間はほかに二人やはりおられる、これもやはり個人としておいでになるのだ、こういう申し出がございました。所長はこれに対して、いま長官からお答えのございましたように、三カ条のだめ押しをいたしました。それは招待を受けてもものを書くという義務を負ってはいけない、あるいは私事旅行であるから公務災害補償の対象にならないということを十分承知の上で行かなければいけない。それから休暇中であっても当然公務員としての身分があるのだから慎重に行動するようにと、こういうだめ押しをいたしまして、本人がこれを了承いたしましたので、一応内局の私どもに相談をされて、二十九日に休暇を許したという事情でございます。  本人は八月の十六日に出発をいたしまして、サイゴンに到着をいたしました。その後、二十三日、問題になっております爆撃機に搭乗いたしました日まで向こうで示されましたスケジュールに従っていろいろ視察をいたして歩いたわけでございますが、大体このスケジュールで示されましたことどおりには全然運びませんで、ほとんど変更になっておるようでございます。八月二十二日に彼がサイゴンからダナンに参りまして、その日には、スケジュールではコーストガードそれから米援助活動の医療班、第三海兵水陸両用部隊等への訪問をすることになっておったのでありますが、これが向こうの都合で中止になりました。わずかに二十二日午後、第三海兵師団の前哨中隊を見るということだけを行なったわけであります。このためおそらく米側は気の毒に思ったのだろうと思うのでありますが、二十二日の午後九時から十時ごろまでの間に案内をしておりましたアメリカの係官から、あしたの朝B57の席を一つあけることにしたが乗らないかという申し出を言ってこられました。三人の人に申し出られたわけであります。しかし、年齢、健康、英語の能力等からおのずからにして一番若い小谷君にきまりました。翌二十三日の朝十時ごろから約三十分B57の航空士の席に同乗をしたというのが実情でございます。これは長官からも先ほどお答え申し上げましたように、防衛庁が派遣をした、何らかの出張目的を授けて派遣をしたというものではございませんで、あくまでも小谷君が個人としてUSISから招待を受けて個人の私事旅行で向こうへ参りました。たまたまいま申しましたようなスケジュールの変更があってB57に乗って視察をいたしたというわけでございます。したがって、米軍の爆撃機でございましたけれども、小谷君自身が作戦行動に参加をした、あるいは協力をしたということではございませんで、あくまでも視察をするために同乗したというふうに私どもは解釈をいたしております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 防衛庁には時の問題がたくさん山積しておるわけでありますけれども、あと予定が残っておりますから、最後に一問だけお伺いして、私の質問を一応打ち切っておきたいと思いますが、防衛庁としては防衛庁防衛省に昇格したいという念願が多年持ち続けられてきたわけです。最近の新聞報道では次期通常国会でこの昇格法案を提出するであろう、そういう意味報道を見ておりますけれども日本の内外の情勢が軍事的にも政治的にもますます緊迫の度を加えておる、こういうときに、こういう省昇格というようなことはきわめて不適切であるというふうに私ども考えておるわけです。そこで、この報道は事実なのかどうか、その点をはっきりひとつこの際お聞かせいただきたい。
  29. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) おそらくそれは私の発言だったと思います。私は国防省に昇格の問題はすでに四年前から提案をいたしております。途中でとぎれましたけれども、御承知のように、これは内外の情勢というよりも、国防に対する国民の認識というものが高まりつつあり、同時に、自衛隊——防衛庁としてももう一人前の国防省になる資格と要素は備えておる、また、議会内においての認識も深まってきた、この機会が一番いい機会じゃないかと実は思いまして、微力ながら次の通常国会に国防省の提案をいたしたいという発言をいたしました。また、その気持ちとしては、いまでもその気持ちに変わりはございません。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 新聞の報道は事実である、最も絶好の機会であると、省昇格の絶好の機会であると、そういう御意見ですね。われわれとしてはもちろん根本的に自衛隊の存置を認めていないわけですから、問題なく反対するわけですが、特に最近の国の内外の情勢はいま申し上げたように、軍事的にも政治的にもきわめて緊迫の度を加えておる、そんなことは関係ないのだとおっしゃるけれども、そうはいかぬ、やはり国際的に一国として存在している以上、これは十二分にお考えいただいてしかるべきだ、ここでいま法案が出たわけではありませんから、この論議に時間をかける気持ちはございません。別途次期の委員会でこの問題をお伺いしたいとこう考えております。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、私は特に今回アメリカ軍が実施されたリトルジョンについて、これは防衛庁長官並びに施設庁長官、外務当局にも条約関係がありますからひとつ質問したい。  まず最初に、今度の東富士、北富士を通じて行なわれたアメリカ軍のリトルジョンの発射、これについて相当問題を起こしておりますが、これに対して問題がありますから、その責任は一体どこにあるかという点も防衛庁長官からひとつ…。
  32. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 問題は、日米安保条約第六条及び地位協定によって日本が施設を米軍に提供しておる、その施設によってものごとが起こり、したがって、基本をただせば安保の六条、地位協定、それから細目については日米合同委員会における両国間の協定、問題といえばこの演習の権限を与え、また施設を提供する、そうしてそれを実行するのはこの三つです。分解して申せば、その三つだと私は思います。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今度のアメリカ軍のリトルジョンの発射されたことは、この前の三十日に施設庁長官にも質問したのでございますが、この条約、交換された文書の上からいっても私たちはきわめて納得できない点がある。この点についてまず最初に条約関係で聞いておきたいと思いますが、まだ外務省来ていないですね。この実施された基礎となるのは防衛庁長官御存じだと思いますが、いつの、第何回の日米合同委員会の決定によるものか、これをまず最初に聞きたいのですが、防衛庁関係御存じですか。
  34. 財満功

    説明員財満功君) 本件で問題になっている富士演習場使用条件に関するものは、昭和二十八年十月一日の第七十二回合同委員会でございます。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の調べた範囲では、七十二回の日米合同委員会の決定ですか、そうではないのですがね、間違いないですか。
  36. 財満功

    説明員財満功君) 富士演習場に関しましては、一般事項に関連いたしまして、二十七年の十一月十三日の合同委員会第二十七回、これは裁判管轄権に関するものでございます。それから、二十七年十二月の十七日、第三十二回、これは立入責任警告に関する協定でございます。そのようなものをすべて取り入れまして二十八年十月一日、七十二回の合同委員会において使用条件の決定を見た、このように承知いたしております。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は、外務関係が来られてからもう少し詳しい質問をいたしますけれども、いま言われましたいわゆる第三十二回の日米合同委員会の決定だとすると、そこに問題がある。以下、これについて具体的にひとつお聞きしたいのです。第三十二回日米合同委員会で取りきめられました具体的な北富士、東富士使用条件についての基礎となるのは、行政協定に基づく日本政府アメリカ合衆国政府との間の協定の附表変更に関する文書第九号、こうなっておるんですが、これには間違いないですか。
  38. 財満功

    説明員財満功君) そのように承知いたしております。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それなら聞きますがね、今度の実は演習をされた、この協定に基づいてやられたとなると、アメリカ軍がこの協定を守っておらないと私は解釈しておるんです。これだけでは答弁できないから具体的に申しますけれども、この第一項の一般事項の中の一、二、三、四とありますね、四をひとつ見ていただきたい。これによると、「在日合衆国軍は富士吉田、富士御殿場口及び須走口の登山道を越える実弾射撃を原則として禁止することに同意する。」これはいいですね。今度の場合はこれを越えて実施しておる。しかし、この「但し七月、八月及び九月を除いては、現地に於て調整の上、上述の射撃を行うことが出来る。」したがって、今度実施されたのは十月一日ですから、九月を除いておるからこれはいい。しかし、ただし書きの、調整の上で上述のことをすることができるとあるんですから、調整をしたかどうか、ここに問題がある。私の判断では、調整をしておらない。それを無理に強引に発射したことはこの協定を守っておらない。これを私この前三十日にも追及したのでございますけれども、七日以前にもう通知をしておるからそれでいいんだというような意味の答弁だったと思う。この点どう思いますか。
  40. 小幡久男

    説明員小幡久男君) この点につきましては、前回もお答え申し上げましたとおり、何回かの通告はもちろんいたしておりますが、そのほかにも人を派遣いたしまして、県庁等にも御了承を得るよう努力をしてまいりましたし、また、現地におきましても、最後まで警察その他担当機関とも米軍ともできるだけの努力を調整についてはしたいということを聞いております。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁長官、よく聞いておいてください。いまいろいろ調整に努力した、努力していることは、われわれはどうやっているかということもあるいは認めるかもわかりませんが、調整の上——調整の上ですよ。これは英語ではどう書いているか知りませんが、調整の上ということは、調整が成り立った上で実は発射するということだと思っている。調整できておらぬじゃないですか。しかもあのリトルジョンを撃ったために、相当地元では、けが人は出なかったようでありますけれども、非常に危険なことが発生したということを聞いておる。一体日本政府当局はこれに対して、アメリカ軍に対してどういう措置をとっておるんですか。この点はっきりしてください。
  42. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 調整の現場の状況を現在われわれも調べておりますが、現在まで聞きましたところでは、新聞等で、警察のほうは、相当慎重に全体の演習場のことにつきまして現場の射撃司令官に慎重論を持ち出した、それを現場の司令官が受けて自分なりに判断して発射した、こういうふうに伝わっております。こういうことをいろいろおっしゃいましても、何せ先生御承知のように、一千万坪をこす非常に広い演習場でございます。これにつきまして警察は全体として相当慎重な配慮あることばを申し上げたことはわかっております。しかし、射撃をするほうの部隊から言いますと、実際たまがつきますほんとうの危険な地域というのは数十万坪で全体の着弾地の約五十分の一でございます。その五十分の一をさがすためにヘリコプターを飛ばしまして低空で相当念入りに調査いたしました。その結果、現地指揮官が安全と判断して撃ったというふうに聞いておりますので、その限りにおきましては両方の立場は違っておりますけれども、相互に努力し合った結果発射したというふうにわれわれ承知しております。ただ附近に住民の方がおられたということを実は新聞報道で聞きまして、非常に憂慮しておったのでありますが、何にせよ生命の安全ということは大事でございますから、この点につきましては今後とも十二分に努力したいと思っておりますが、これはひとつわれわれとしまして御自重願いたいのは、立ち入り禁止区域になっておりますので、ほかのものと違いまして、演習を始めます際には、射撃に対する賛成反対は別といたしまして、ひとつ十分地元の方も理性ある行動をとってほしいということをお願いしたいと思う次第でございます。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは違うのですよ。事実問題についてあとからまたいろいろ質問いたしますが、そうじゃない。いま言っておるのは、最初この協定を守って協定によってやらなくちゃならぬということを承認されたでしょう、日本政府は。それを守らずにやっておることについて私はどうかということをただしておるのですよ。これは将来に問題がある。調整の上というこの文言がまだ調整のできないときでもやっておる。このアメリカ軍の行為に対して、はたしてこの日米合同委員会で決定されたこの文書、同意書に対して違反をしておるじゃないか。その違反を認めて、しかも山梨それから静岡両県知事ももうしばらく待ってくれ、調整しますというようなことをアメリカ軍に言っておる、また政府に言っておるんでしょう。そういうのに、調整もできておらないのになぜやったか。これに対して日本政府アメリカ軍に対してどういう措置をとったか、これを尋ねておる。
  44. 小幡久男

    説明員小幡久男君) ただいまお話のございました両県の知事さんの御意見というものは私も了承しております。まず山梨県庁側としましては、四、五の両日は延期してほしい、これは通告がおくれたからということを正式に申し入れがございました。私も、当然でございまして、これにつきましては米軍とかけ合いまして、四、五は延期してもらう措置をとりました。また、静岡県知事からは、なるべく二日の射撃は見せるだけにしてもらえまいか、これは要望でございます。よく要望は伺いまして連絡いたしましたが、もう招待状は発しておるし、やはり十分地元と調整して安全確保ができれば発射したいと思うから了承してくれという話でございましたので、この点は静岡県知事の要望は承っておるという次第でございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 誤解しちゃだめですよ。私が言っておるのは、知事がどういう発言をしようとも、私はそれに異議があるのですよ。一両日待ってくれと、おそらく一両日に調整ができる、自分で見通しがあったからそう言ったと思う。しかし、それはできるかできないかわからぬ。条文よく読んでみなさいよ。一般事項の第四のやつは、「現地に於て調整の上」ということだ。次に、第二の使用条件の中に、演習場、もっと平たく言えば、発射地の演習場の場合は、「七日前に地方関係当局に通告することに同意する。」したがって、演習場内においての発射とかそういうものについては、七日以前に通告をすれば、あるいはそういうことも言えるかわからない。しかし、この協定からいくと、一般事項の第四項はそういうことじゃないのです。七日以上前に通告しようとも、これにかからないのです。それほど東富士から北富士を越えて発射することについては重要な事項として考えておるのですよ。というのは、その間に登山道があり、一般日本国民が通行するから、それに重要な意味をつけて特に第四項では現地の調整をしなければいけないという取りきめをしておるのですね。それに、調整もできないのにやったことについて、いまなおかつ政府アメリカ軍に対して停止の申し入れをできない。一体日米合同委員会なりがどういう同意書をつくっても、それを守らないアメリカに対して、私ら国民はふんまんやる方ないのですがね。これについてどう解釈しておるか。外務当局が来られたのですが、この解釈はどうなるのですか。外務当局から御説明をいただきたい。
  46. 安川壮

    説明員(安川壮君) 「現地に於て調整の上」という解釈をどうするかという御質問でございますが、これはあくまで実態に即した措置をとりたいということであると了解しております。したがいまして、具体的にどういう調整措置をするかということは、先ほどから施設庁長官からお答えになったとおりであると思います。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 関連。いまのお話については、山本委員から話しているのは、「調整の上」ということは、話がついた上でということだろうと、こういうことを言っているわけだ。防衛庁東富士演習場使用協定をした、この中にも、実はこういう問題に触れているわけです。で、ここにはこういうことが書いてあるわけです。「自衛隊は、御殿場口登山道および須走口登山道ならびに御殿場から須山間の県道の附近で、通行に危険な演習を実施しない。」というようなことが触れられている上に、こういうことばが明確になっておるわけなんです。「自衛隊が前項の道路を越える実弾射撃を実施する場合は、甲の同意を得て行うものとする。」実はこの東富士演習場自衛隊との協定は、この日米合同委員会趣旨にのっとってやられている。そのことばをもっと明確にして、「同意を得て行うものとする」というようなことばを使っているわけです。したがって私たちは、「調整の上」ということは、現実に同意を得て行なうというふうに判断して差しつかえない。同じような条項が、自衛隊がそういうものを行なう場合にはこういうふうな条件で行なうという、同一なものについて同意ということばを使っているわけなんです。「調整の上」ということは、お話しのように、私たちは同意の上というふうに解釈するのが至当だと思うのですが、これについて施設庁の長官は一体どういう見解を持っておるのですか。それをまず伺いたいと思います。
  48. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 英語につきましては所管のほうからお答えがあると思いますが、英語にもコォーディネィトとなっております。同意という字にはなっておりません。自衛隊の文面とは少し違っておりますので、この点御了承いただきたいと思います。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 私の言っているのは、同意ということばと調整ということばが違うことはあたりまえなんです。しかし、日米合同委員会協定趣旨に沿ってこの使用協定ができているわけなんです。御承知のように、同じような事柄を規定をしている中に、日米合同委員会で決定したことを今度は自衛隊が実施をする場合においては、こういうふうに実施するのだということが協定をされている。その協定の中に明らかに同意ということばを使っているわけであります。だから、アメリカの軍隊ならば同意をしなくてもやっていいということであって、自衛隊の場合には同意をするのだ、こういうことで協定をきめられたのか。その点は長官どうですか。
  50. 小幡久男

    説明員小幡久男君) この協定をごらんいただきますとわかるとおり、登山道を越える実弾射撃をする場合の例外規定でございます。したがいまして、ここに調整とございますのは、これを越えて撃つ場合には登山道が非常にクリヤーになる手段が地元といろいろと折衝をして確保されるかどうか、こういうことに重点があると解釈しております。その調整の方法にはいろいろあると思います。したがいまして、最小限県あるいはその道路の制限を担当する警察、この両者には最小限十分納得のいく確保措置をとるための調整が必要であると思います。
  51. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 補足説明させます。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 ほかの人に聞く必要はありません。はっきりお答えください。長官に聞いているのは、あなたの言うことをかりに全面的に認めたとして、それじゃ自衛隊の場合には同意を必要とするけれども米軍の場合は同意を必要としないのだ、そういう解釈をあなたはしているのですか。それを聞いているのですよ。アメリカの軍隊の場合には「現地に於て調整の上」ということばを使っているからこれは同意をしなくてもいいのだというふうに……ちょっと待ってください。もう一度言いますから。長官、あなたは、「現地に於て調整の上」ということを日米の合同委員会のほうでは表現をしている。この東富士演習場使用協定のほうには同意ということばを使っている。同意と調整ということは違うから、自衛隊の場合には同意をしなければだめだけれどもアメリカの軍隊の場合にはつまり同意を得なくてもやれる。こういう判断をあなたはしているのかどうですかということを聞いている。余分なことを言わないで、そのことをずばり同じ趣旨を持ったことばなのか、違うことなのか、そこをお聞きしている。
  53. 財満功

    説明員財満功君) いまお尋ねのことばの中に二つあると思います。一つは、日米間で合意された使用条件、それから松永先生がおっしゃいますのは東富士演習場使用協定、この米軍のほうは日米間の合意に基づく使用条件によって使用いたしております。それから東富士演習場のほうにつきましては、地元と防衛施設庁長官、当時におきましては防衛事務次官でこざいましたが、——との間に合意が成立しておりまして、この東富士演習場が返還されましたあとに効力を生ずるものとしてあらかじめ東富士演習場使用協定をつくっておきましょうということでつくっております。その中に先生おっしゃいますような、返還になって自衛隊が使った場合には同意を求めます、こういうふうなことになっておったわけでございます。米軍においてはやはり二十八年にきめました使用条件によって行なう、この東富士演習場使用するというふうにいっておるわけでございます。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 同意と言われましたが、私は調整ということは、もう同意も含まれたものでなければ意味がないというのです。いま言われました問題は、東は東富士、この条約でいうと、キャンプ・マックネア演習場における取りきめなんですね。これは北富士のキャンプ・マックネアでもそういうことはできます。私の言っているのはそういうことではないのです。この一般事項の第四項はこれは一体どう解釈するのですか。外務省はあいまいなんですね。その事態々々によって考えるべきだというけれども、この事態は調整されておらぬじゃないですか。外務省は実際知らなければ、条文の解釈だけを聞いているのですから、無理はないのですけれども、調整をされておったらあんな問題は起こらないのです。「現地に於て調整の上」というこの解釈は、英語であろうと——英語はいま言われたのですが、調整ということはどういうことに解釈しておるのですか。ただ通告をしておいて、聞かなくてもやってもいいということになっておるか。私はそういうものは日本語にはないと思うのです。
  55. 安川壮

    説明員(安川壮君) 英文には「コオディネーション・ウイズ・ローカル・オーソリテイーズ・コンサーンド」ということになっておりますが、この「現地に於て調整」という意味は現地の日本側の関係機関と調整するという趣旨であると了解いたします。どういう関係機関とどう調整するかということは、そのつど具体的にその実情に即してやられる問題でございまして、その内容につきましては、先ほどから長官からお答えがあったとおりであります。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、現地のいわゆる権限のある人だという解釈になるのですか。それなら、この条約をきめたときに二つことばを使っておるのですよ。使用条件のキャンプ・マックネア演習場、これは発射地ですよ、これは現在は東富士に相当するわけです。この場合、演習範囲でやるときについては「地方関係当局に通告する」、「当局」ということになっております。外務省当局よく聞いてくださいよ。片っ方は「現地」ですよ。もしそういう原文をこういうものにかえて協定されたなら、外務省のこれは大きい失態ですよ。一体、訳文では「現地」というものと「当局」というものを使い分けしているのですよ。私は原語を見ておらない、原文を見ておらない。日本人であるから、日本語で読んでいるのです。一体これは日本国民が読んで、現地といえばわれわれは富士吉田市長あるいはまた山中湖村長、忍野村の村長というのがあるのです。これは当局と見られる。あなたらは軍当局であるか、自衛隊当局であるかわからぬけれども、私はそうは考えておらない。「現地に於て調整」ということは、地元の住民を代表した意見がまとまらなければいけないという解釈をしている。それは間違いですか。
  57. 安川壮

    説明員(安川壮君) この演習場の使用協定は実は合同委員会の文書でございまして、合同委員会のいろいろな文書は従来便宜上全部英文を使っております。それでこの条件も両方の代表者が署名いたしました正式の文書は英文でございます。それで確かに御指摘のように、本文と申しますか、原文でございます、「ローカル・オーソリティーズ・コンサーンド」というのは、日本語において「現地に於て調整の上」という訳は必ずしも私は適当ではないと思います。これは誤解を与えたとすれば、当時の日本訳が不十分であったと率直に申し上げざるを得ないわけでございまして、あくまでこの意味は、現地の関係当局という意味でございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた、軽卒にそう言ったら困る、訳文が間違いでありました——これによってずっと日本国民を守っているのですよ、外務当局が条約を間違って日本語に訳して、間違いでありましたから知らないと、こういうのですか。これはすでに昭和二十七年平和条約が整って行政協定ができた。もう十数年前のことであるからその人おるかどうか知りませんけれども、そういう答弁でこの問題、アメリカのやったことを合法化しようという日本政府考えですか。これは承知できない。
  59. 安川壮

    説明員(安川壮君) 間違いと断定するのは私は行き過ぎじゃないかと思いますが、確かに訳は不十分で、誤解を生ずるおそれがあるという点で確かに不十分であると思います。しかし、意味は、原文はあくまでローカル・オーソリティーズ・コンサーンドでございますから「現地に於て調整」という意味はやはり現地の関係当局と解釈すべきものであると思います。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなた、どういう地位にある人か知りませんが、有権的な解釈といいますか、原文がそうなっておればどうということについて私は認めない。少くともこれはだれでも、どんな人でも日本語の読める人に聞いてみなさい。しかもそれがこの第二項のほうにそういう文が出ておらないならば私はあるいは間違いであると思うのです。第二項のキャンプ・マックネア演習場、これは東富士においてのその演習場内における演習をやる場合については七日前に地方関係当局に通告すること、使い分けしておるのですよ。しておるでしょう。なってないですか、なっておるのですよ。そういうことを訳する人がやはり区別をして考えておるのだというのはもっとこの協定の全体の精神を見ればわかるのですよ。一般事項というものは非常に地方住民に迷惑を与える問題であるから特にこれは慎重に扱って地方現地の了解を得なくちゃならぬという意味において、こういう文を出しておるのですよ。わかりましたか。占領当時からいわゆるこの平和条約ができ、安保条約ができ、日本基地といえども主権である日本の意向を聞かなくちゃならないということになったんですよ。その上で基地使用するためにおのおの基地について十分なる使用条件というものをつくっておる。そのつくった北冨士、東冨士についての条項として一般事項としてはこれこれ、私は四項だけ言っておるけれども、一、二、三、四、五、おのおの重要な問題だけをここに五つあげておるのですね。防衛庁長官どう思いますか。
  61. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 山本委員の御発言の中にも、了承、同意、調整というのはおのずからニュアンスがみな違うということはおわかりいただいた。そこで、これは了承じゃない。同意じゃないということは、もう明確になっておる。あとは問題は調整の内容がどうだということが議論になる。御承知のように、これはこの前文に書いてありますように、登山道を越えてということが、この項目に当たる。登山道を越えるために七、八月及び九月に登山が多いからその期間はやめろ。それ以外においては云々。そこで調整ということばが出てくる。したがって、登山道における危険があるかどうか。登山者がおるかどうか。そういうことが調整の対象になる形になる。したがって、問題は、同意の必要はない。合意でもない。そこで調整をする。その趣旨は何だと言えば、登山者に危険があるかどうか、登山のシーズンはこえたかどうか。問題点を整理するとここだろうと私は思う。したがって、十月になると、七、八、九は一応こえた、十月に登山があるかどうか。まあかりにあったとするならば、登山が今年はこういうわけでおくれているから登山があるのだぞ——そこは調整の議題に私はなると思うのです。要するに、危険防止の問題ですから、その結果七日前に通告をした。特に登山があるという通知によって問題ができたわけじゃない。そうなれば、その調整事項というものはおのずから登山者において危険があるかどうかということに私はなると思う。七日前に通知をしたけれども、今年は登山があるという通知によって演習延期という申し出は私はなかった、こう記憶します。したがって、危険がないということでおそらく米軍演習を開始した、こう解釈する以外に、条約上は事実は別ですよ——条約上はない、この解釈に当てはまっているかいないかは、 これは次の問題で、したがって、今日は、これはこの条約米軍が違反したという事実は認められないでしょう。しかし、この解釈と条文そのものを追ってまいりますと、これは合同委員会に違反したということは、実はまだ認定はつかめません。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた、これを読んでいるのですか。七日前に通知をするというのは一般事項のどこにあるのですか。七日前というのは、ちょっと教えてあげなさいよ、長官に。これはキャンプ・マックネア演習場、具体的にいうと東演習場内における演習については七日前に通告しなさい、一般事項については、七日前に通知するとかなんとかいうのはない、現地と調整の上やるということになっているんでしょう、この協定書では。これは防衛庁長官に答弁を教えてやりなさいよ。
  63. 財満功

    説明員財満功君) 先ほど私が申し上げましたように、この一般富士演習場に関する使用条件の中に、一般条項としまして、その二に、昭和二十七年十二月十七日、日米合同委員会第三十二回会議において承認された立入責任警告に関する協定を下記の諸区域に適用する。これはこの富士演習場にも適用するのだということをうたっております。それで、三十二回の日米合同委員会の決定事項は、その中で現地米軍部隊長は、射撃訓練を行なう場合は、訓練場、演習場または射撃場の使用前少なくとも七日前に現地日本側代表者に使用する旨の通告を行なう。右の通告は、射撃に使用すべき地区を含むものとする云々。こういうことを一般的に全部の陸上訓練場及び演習場について定めております。この取りきめを富士演習場にも適用するんだということをいっているわけでございます。その中で、これは形が少し適当でなかったかと思うわけでございますが、いま、山本先生がお読みになりましたように、その部分がキャンプ・マツクネア演習場にだけついております。しかし、一般条項としましては、いわゆるここでいわれておりますキャンプ・マックネアそれからキヤンプ・マックネアの演習場、それから東富士演習場、その全部に、七日町に地方の日本側代表者に知らせるものだということはさまっておりまして、キャンプ・マックネア演習場にだけ丁寧にまたそれを再記したということになっております。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは演習をやるおのおのの、北富士なら北富士演習場おのおの協定を結んでいるから、それについては一般的には……今度の場合は別ですよ。これは要するに、三つの登山道を越えてやるやつの規定を第四項でしているんですよ。しかし、一週間前、七日前やるとか、何日にやるとか、これは一応常識の問題です。これは四項の通知をしたらいいという条項は一つもないんです。調整の上ということがこの条項の一つのキー・ポイントなんです。この協定趣旨というものを一体日本政府はどう考えているのか。そんなにアメリカ軍のやったことを合法化しなくちゃ、この条文を日本政府は解釈できないんですか。もし、日本国民を代表するという政府なら、こういうことがあるんじゃないか。登山道を越えて、八月、九月は済んだけれども、十月にもかかるんですよ。二十七年当時のあの富士山麓の状態と今日とは違うんです。観光地帯として十月にもずいぶん道路を通っておる人があるということを聞いておるんでんよ。そういうものを日本政府が何とか条約アメリカのやったことを合法化しようじゃないかということを四苦八苦して答弁をしなければならぬその日本政府の情けない態度を私は憤慨するんですよ。もしこういう条文があって、現地当局は七日前に通告したけれども、調整できなくて、知事ももう少し待っておってくれというのを——問題は少し奥に入りますけれども、それを待たずに、しかも現地の警察官も安全であろうというようなあやふやな通知によってリトルジョンを発射してしまった。立ち入り禁止の中におったらいかぬじゃないかと長官は言われますけれども、当然それに対して反対する人はその中におることも当然です。また反対しなくても、あの広範な地域ですよ、林野雑産物の刈り取りについて許可されている地域ですから、だれか人づてくる人がありますよ。そういうところに撃ち込んで、幸いにけが人はなかったようだけれども、非常に危険なところに落下した。大木も折れてしまった。  リトルジョンについては、これは皆さん御存じだろうと思いますけれども、これはアメリカ軍か野戦に利用するために、きわめて極力な——柄は小さいけれどもリトルジョンは非常に力のあるミサイルです。これはロビンフッドの子分で、リトルジョンで小柄だけれども、力の強いやつです。日本政府はあの性能はわかっていますか。これはおそらく言わぬと思う。われわれは社会党だから言うといわれるかもしれませんが、ベトナム戦のあの地域では非常に有効であるということで開発された。落下されたのは実弾ではなかった。実弾であったら数百メートル直線に断片が飛ぶというような装置があるようですよ。したがって、隠れておろうとも、あれが一発あれば相当殺戮力のある実はミサイルらしいんです。そういうものが落とされるのに、この条文ではまだ疑義があるんだから、知事から待ってくれというやつをあえてやったアメリカ軍に対して、一体日本政府はどういう措置をとったか。もし日本政府日本国民のいわゆる利益を守り、財産を守る政府であるならば、幾ら緊急にアメリカ軍が必要であるといっても、調整できるまでは待ってもらいたいと、なぜ強力に日本政府アメリカ軍に対して言わなかったんですか。その点を私は追及したんですよ。この条文の解釈についてはいろいろあなたは逃げるけれども、これは逃がしませんよ。一体日本政府はどう考えておるんですか。
  65. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 調整につきましては、先ほどからお答えいたしましたように、まず第一に、四日、五日の演習をやめてもらいました。それから二日の演習につきましては、先ほど来申しておりますように、実施にあたりましては、県当局も御承知のような動員の努力をしてくれまして、つぶさに調べてくれたんですが、若干あちこちにのろしが上がっておったようでございます。それをさらに調べまして、米軍に対しまして広い一千百万坪をこす着弾地でございますから、なお慎重にしてほしいという申し入れがあったようでございます。米軍のほうもそれを了としまして、最後に警察のほうもその米軍の判断にゆだねたようでございます。米軍としましてさらにヘリコプターを飛ばしまして、先ほど申しましたように、この着弾地の真に危険な区域と申しますのは、約数十万坪でございます。全体の五十分の一の地区でございます。十分にヘリコプターで現地を視察いたしまして、そうして発射をしたということでございます。結果におきましては、先生が先ほどおっしゃいますように、付近の住民の方がおられたということは非常に遺憾でございますが、事前にはそういった両当事者の最善の努力を尽くしたということは、十分に私はうかがえるというふうに思っております。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくはどうも納得できないんです。私はそういういまの具体的な問題についてはまたあといろいろ質問しますが、いま言っておるのは、こういう協定文書があるんだから、調整かできておらないんだということで、なぜ日本政府は積極的にアメリカ軍に言えないかどうか。もうやってしまってから——向こうはやるという考えできておるんだから、やってしまってから、危険があるから待ってくれということでなくして、通知があった場合、現在調整しておるんだから、しばらく待ってもらいたい、この条文にも疑義がある、したがって、しばらく待ってもらいたい、ということは、いまからでもおそくないが、これは防衛庁長官にお尋ねしますが、まだ調整が現場でやられていないということを私は認定しております。調整ができておるなら調整ができておると言ってください。調整ができておらなければ、調整ができるまでアメリカ軍のリトルジョンの発射についてはこれは日本政府としては、やらさない、中止をしてもらう、これだけの態度を明らかにしてもらいたい。
  67. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 山本委員の御指摘のことですが、われわれ日本政府日本国民の利益を守る、同時にこれは国防上の問題ですから、日米間の緊密な連携、親善を守る、これはやはり思想と方向が私は一致しておると思います。その中において、ここにおいていろいろな問題が起こる、なるべく日米側の緊密な連携を、安保条約日米間のものは守りたいという気持ちは持っております。しかし、個々の問題でありますと、それ以外に個々の問題、ちょうど今回の場合が、この条項は御承知のように、登山名における危険防止というのが対象でありますから、七、八、九月というのは、富士はまだ御承知のごとく閉山の期間で、登山の期間が延びておるという状況では今日ない。したがって、危険防止ということについておそらく調整すべきである、またそれを調整してやった、要するに、この条項が、調整、同意、合意、承認もないのですから、しかも、この項目を入れたのは登山道ということで入れたんですから、その趣旨から言うならば、これは全般的な調整だという項目とは違うと思う、あくまで登山道ということを対象に、したがって七、八、九は危険だということを入れた、したがって、これは開山しておるというから調整項目の重要項目に入ります。恒久的な登山における危険防止ということかこの条項なんですから。今日その調整という項目がもし新たにあるならばこれは別でございますが、今日安保条約の規定の中に、また、この協定の中にそのことばが、「調整」というのはその趣旨で入れておると思うのです。もし同意を要するなら同意ということばを書くでしょう、承認を要するなら承認ということばを書くでしょう、そこに「調整」というのは、ある意味において、状況に応じて広い意味において調整ということが対象になるのが現実に即したことではなかろうか、私はこう考えてこれは中止しろ、違反だという事例はまだ私は承知しておりません。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁長官も、なかなかしっかりしておると思うのですが、この条文から見て、あなたは七、八、九月はいかない、ただし書きがあるが、原則は禁止ということを前提に、この一般事項をきめておる。それをこの地域については広範囲に、東から西、北演習場ということになると相当広範囲になるので、ことにここに「登山道」とうたっておるけれども、それだけの趣旨ではないです。この条項をずっと全部調べておるのですけれども、したがって、「原則として禁止することに同感する。」しかし七、八を除いては、七、八はこれは絶対にいかない、この条文の意味は「但し七月、八月及び九月を除いては、」ということは、これは絶対いかないけれども、それ以外については「調整の上、」実施してもよろしいということなんですね。そこで、その点についてあなたの考え方を、法文に対するあなたの見方というものを、私はやはりアメリカ軍に対して合法化そうという意味においてやられている、「調整の上、」ということに、同意も合意も含んでおらなかったので、「調整の上、」というのはどういうことをさすのですか、具体的に言ってください。
  69. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 主として、この対象は山本委員もお読みになった最終のところに、特に危険防止については注意しなければならないという一条があります。したがって、調整の対象は危険防止であるということはこの趣旨から行って明らかであり、その他は新たに事件が起こるなら別でしょうが、したがって、危険防止ということは次に書いてあるとおり、特にこの問題は、登山者に対する危険防止ということからこの項目は入ったと思います。したがって、登山者に対する危険防止という項目は入っておるのですから、東西の広い地域を使ってはいけないということではなくて、登山者に対する登山道の保護ということが、この問題の焦点であろうと解釈しております。したがって、危険防止のためにあらゆる手を打つ、あるいは地元に対して危険だから、立ち入り禁止を、この際特に登山はやめてくれ、恒例的にやるなら前もって通知をしてくれ、今日閉山しておりますから、恒久的な登山者の時期は過ぎたのではないか、そういう時期が対象になるものである、あるいは危険防止のために大きな爆弾は困るということのために、特に危険防止と書いてあります。今回の場合も、その条項は、先ほど武器のリトルジョンに対して御発表がありましたけれども、それは通常の場合であります。おそらく先般のものは、それより小型のものを私は使っておるという報告を受けております。これは危険防止という趣旨によって、通常の性能のリトルジョンよりも、もっと性能を落としておるという報告を受けております。それがやはりこの条項の対象であって、そのために、危険防止のためにあらゆる手を私は打ったと思います。しかし、それが非常に危険な場合もあったと思いますが、あらゆる努力は私はしたと思います。今回の場合、それがやはり登山者の危険阻止の条項という考えから、調整ということばも私はおのずから出てくると思います。ただ一般に使用協定というのは、一般協定以外に特にこれを入れたのはその趣旨ではなかろうかと思います。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 「調整の上、」というのは、危険防止をした、これは警察にまかしてもいいのです。やるときに登山道を閉鎖してやればいいのです。ところが、通行人さえなければ安全じゃないか、そうじゃないですよ、この一般事項の取りきめというのは、危険さえなければという解釈ではない、危険防止をすることは、 これは義務として、どれにも入っているのですよ、危険防止をするのはあたりまえです。登山道がなかっても危険防止するのは当然です。どんな演習場といえども、だれが入るかわからぬ、立ち入りを許されているところもあるのです。それを調整するということは、地元で、 こういうことをやるがいいかね、いかないというときには、その意見に対して措置をするということも含めた調整です。危険防止をするための調整ということは、これを解釈すれば、どんな取りきめをしてもだめですよ、日米合同委員会でやっても、一方的にやられて、これに対して合うようなところにはめてきます。またあとで言いますけれども、この演習にはミサイルを使うという条項は一つもない、施設庁長官は、大砲の中にミサイルは入ってますと言う、それはなるほど理屈をつけていくと、大砲の一極かもしれない、しかし、日本人の概念は、兵器を扱う者は、大砲とミサイルを、いままで私は防衛庁ミサイルと大砲を区別して説明されたことはない、この点は私あとで聞きますが、これは答弁してもらいますが、そういうやったアメリカ軍に、有利な解釈をやることについて、どうも防衛庁長官考えてもらわないといかぬですよ、問題は、具体的にものを処理しようといって、知事ですら少し待ってくださいと、わかりましたか、二、三日待ってくれと言った、それはやはり危険であるだろうということだろうと思う。あなたの言うことは、あなたの土俵の上で相撲をとってみましょう、それも聞かずにやっている、この事実についてどう思いますか、これは現地という、現地当局と言っておりますが、現地当局ですら少し待ってください、こう言っておるのに、ぶっぱなすのですから、条約に違反はなかっても、これは妥当な行為と言えますか、日米間のいわゆる親善の上から妥当な行為と日本政府は認めますか。日米間の親善については、政府だけが親善してもだめですよ、国民が、アメリカ軍のやることについては納得できる、納得までいかなかっても、無理はないではないか、こういう理解を与えてこそ、初めてあなたの言う安保条約の精神による日米の親善です。友好です。それを知事がもう少し待ってくれと言うのに、あえてぶっぱなして、あるいはけが人でもあったらどうしますか、そういう事態をながめて、なおかつ合理的にこれを解釈してやろうという防衛庁長官態度としてはあきたらないです。危険がないという説明はつきましょう、ぼくにはつかぬが、つきましょう、あの事態に対して日本政府はしばらく待ってもらいたいということすら言えない、調整もしましょう、納得させましょうという、そういう努力をするまでは待ってもらいたいということすら、日本政府アメリカ軍に言えない。日本の領土の中で起こしておる問題を、あなたはアメリカ軍にしばらく待ってくれと言えない、日本政府はそれほどアメリカに対して弱腰でいかなくちゃならないか、追随しなくちゃいかないその理由が私はわからない、その点どうです。
  71. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 日本政府が弱腰ということは、まあそれは御批判として、すなおに私も御批判は御批判としていいと思いますが、しかし、この問題は御承知のように、米軍の提供地域、しかも、それが国と国で了承した地域、これが第一であります。そして、それは登山道については、これは登山道路であるからこれを保護してくれ、これがその問題点です。警察に通知するといいと言われましたが、この関係当局の中には警察ももちろん入っております。警察にももちろん通知しております。警察もこの条文における関係当局であります、県も警察も。したがって、それはあらゆる面において一応やっておる。ただ、その反対の知事が待ってくれと言われたのになぜやったのだ、これは問題が私はあると思う。善意に解釈し私は問題があると思います。ただ、そこで願わくは、日米間の問題ですから、この条項の何が——何のために待ってくれ、どこに問題かあるのだという指摘がなければ、この交渉の問題点としては不適当じゃないかと私は思うのです。ただ反対があるから待ってくれというだけでは、この条項は、おれたちはもうすでに安保条約できまっておることじゃないかと言うかもしれません。だから、その問題点は何か。ベトナムとの関連があると言うけれども、これはちょっと関係——そんなことはないと思います。それから同時に、これが禁止された兵器であるならまたこれは別であります。核は持ち込んでおるわけじゃございません。したがって、どこかという、どこという問題は、最後になれば、危険防止ということになるのじゃないでしょうか。やはり、住民に対する危険があるから、ないから、そこが問題でなければならない。そこについては、私は危険防止については、これは最大限に努力すべきだ。その問題点は、もう少し煮詰めてまいりますとどこに問題があるのか、何で演習しちゃいけないのだ、その根拠によって、日米間の交渉というものはすべきだ。非常に地元が納得してもらえないから、これは私も実は日本政府としても、地元の方に納得してもらえない、何とか納得してもらおうと再三努力しております。この努力の足りないところはおしかりをいただいておると私は思います。ただ、日米間の問題というのはどこなんだと言われると、条約、条文を中心にこれを議論する以外にない、結論は。あとは国内の問題ですから、アメリカに対してと山本さん言われるけれどもアメリカに対しては条約、条文によって交渉するよりほかにない。これは日米の親善ですから、この条約、条文をお互いに守るべきだと私は思う。そこで最後になりますと、どこが違反したのだということで、最後になるとやはり七、八月を除いてというそこの条文であって、調整ということばに戻るじゃないか。そこで、調整の意味が先ほど議論したとおりだと、また堂々めぐりかもしれません、私の議論が。結局そういうところからほぐしていかないと、大きな問題の関係よりも、一つ一つ事例からやはり解きほぐして将来の方向に結びつくように一貫していかないと私はいけないと思う。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたはここでそう言うけれども、もしあなたがそれほど、誠意があるならば、第四の条項に対して言われたように、ここに来るまで私に答弁するのに考え考えやったんでしょう。この第四項を通じて疑義がありますと、これはアメリカ軍がどう解決しますかということを申し入れましたか。あなたの解釈でしょう。アメリカ軍はそんなことは言っておらない。アメリカ軍はこんなことは全然知らないですよ。そういうことを、この条項を言って、この問題に関して外務省を通じて、あるいは地元を通じてアメリカ軍といつ何日向こうの司令官とこの条項についてやったけれどもアメリカ軍はいま防衛庁長官が言われるように、調整ということは危険さえなければやってもいいのだという回答があったかどうか。外務当局でも関係当局にやったかどうか、やった事実だけ言ってください。
  73. 安川壮

    説明員(安川壮君) これの解釈について両方の意見の食い違いがあるからその点を解明したというような事実は、少くとも現在のところございません。この意味は、先ほどから防衛庁長官がるる御説明になったとおりであると外務省としても考えますし、アメリカ側もその考え方に特に異議があるとは考えておりません。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこに私は、先ほど防衛庁長官は非常に理に詰まったことを言われるけれども、こういう問題を起こして、しかも、これは外務当局に、あとで聞きますけれども、行政協定から安保条約改定になって、地位協定に変わっても、依然としてこの条項を適用して演習をやっておるんですね。しかも、この十数年間に現地の事情は変わっておる。いま言われた登山者についても、登山者だけではないんで、もうすでにある地区は、山中湖に面したところは除外をして、向こうは観光地帯として新しく発展しておるんです。あそこを通行する人で、あそこを訪れる日本人は、もう十倍以上にはね上がってきておる。事情も相当変わった中で、二十七年ですから、十数年閥にこの条項をまだ向こうは固執してやろうとしておる。日本政府はたびたび返してくれと言っておるけれども自衛隊に使わす条件であれば返しましょうということで、これは話がまとまらないんでしょう。こういう、十数年たって現地の事情も変わった。非常に変わっておるにもかかわらず、この条項は向こうは知っておるんだから、もうこんなことを言う必要はないんだと、外務当局の話は、私はそれは官僚として言えるかもしらぬけれども、ほんとうの日本実情を知る人の解釈じゃないと思う。したがって、そういう話をして、第四項については少し私のほうでは無理であると思うし、現地のほう、調整するので、しばらくその演習は待ってもらいたいということぐらい、私は日本政府として申し入れたって、日米の友好親善に私は何らの害もないと思う。かえってそれがいいと思う。私はいままでやらなかったからといって責めません。あの問題を解決するために日本政府はそのぐらいの誠意の一端を示したらどうですか。それでアメリカ軍、ばかだと、安保条約、何を言っているんだというような回答があれば言ってください。私は皆さんを責めません。いかにこの条項の考え方というものがアメリカと違うことであるかということを私了解いたします。一ぺんその実情を言ってください。言うという誠意もありませんか。
  75. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 日米、緊密な連携の上にやっておりますから、言うことについてどうこうということは、それは何もありません。ただ問題は、いま登山の時期であるかどうか、登山の慣行が最近は非常に変わったんだ、あるいはこの条項はもう今日不適当であるという事実をつかんだ上でこの問題は話をしませんと、私は解決の道はない。同時に、長期的には山本委員指摘のように、自衛隊に返還すべき地域も、今日は米軍との間に了解を進めつつあります。これも地元の方が御協力いただけるならばこの問題も促進するだろう。したがって、解決の道は、やはり自衛隊の所属というものには相当の地域が返還されるであろう。また、それについて相当に交渉は進んでおる。ただそこに地元との問題が一つ残っておるものですから、御承知のように、この辺の意見が対立しておるものですから、それが解決するならば、私はこれは自衛隊のほうに移管はされるということは可能であるし、また、この問題はおのずから解決する。ただ、今日の場合、特別に危険防止というその問題だけにしぼってまいりますと、特にこれが危険になったんだという、この条約趣旨の条項にはなかなか出てこないんです。そこに、私はその発言をするまでにはまだなかなか、材料、資料においてこの問題は解決がまだ急激に、きょうしてくれ、あしたしてくれと、そういうわけにはなかなかまいらない。しかも、合同委員会に提案する前には予備交渉もしなければなりません。したがって、今日直ちにこれが間に合うという問題では実はありませんと思います。願わくは、地元の方も御了解いただいて、今回についてはひとつ御了解をいただきたい。それについて今後政府考えろという項目は、それはおのずから出てまいりましょう。しかし、今回はこの条項によって日米間がやっておるんですから、今回はひとつ日米の緊密な連絡の上において御了解をいただきたいと私は思うんです。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ごまかしてはだめです。何も、日米合同委員会にこれを改定するように申し込んでくれと言っておらない。こういう問題を起こしておるから、この条項についての問題があるから、「調整の上」についても問題があるので、やるなと言えというんじゃないんです。その問題が、調整というので話をする前に、地元が納得するまではやめてもらいたいということを、せめて政府としては言えないのかどうか。もし政府が言えなければ、地元の世論によって訴えるよりしょうがないですよ。そういう騒動が起こるということがわかりつつ、具体的なこの事実問題すら政府米軍に対してこの条項だけでも解釈を考えて、この条項を出さなくてもよろしい。問題があるし、したがって待ってもらいたいということぐらいは責任当局として言えないかどうか、日本政府として言えないかどうか、これを私は言っているのですよ。条文の問題については、私は外務当局に、あなたはだれか知りませんが、私はこの問題について相当問題があるから、いずれまた何かの機会で別らかにするけれども、この条項日本人がすらっと読んで了解できませんよ。そういう問題があるから、それはアメリカ軍の言うとおりにこれは正しいのだということを言えと。間違っている、違法だと言っているのではない。最後、私はずっと下がってベースを下げて話をしている。この問題が一応了解するまでは演習をやめてもらいたい。でなければ、もっともっと現地の問題は大きくなるから、せめては、その点は了解してもらいたいということくらいアメリカ軍に日本政府は言えないかということ、合同委員会に提案をしてとか言っておらない。その点どうですか。
  77. 小幡久男

    説明員小幡久男君) このリトルジョンがどういうものであるかという性質から来る一つの議論が必要だと思いますが、これは御承知のように、二十キロの射程でたまの爆発力も大砲と変わりございません。散布力、ことに今度の射撃は弾着の観測をするためにほとんど装薬を抜いておりまして、おそらく先ほど山本先生のお話で爆発力も数百メートルあるというお話でございましたが、実弾の場合もそれ以下でございますし、今度非常に装薬を抜いておりますので、おそらく二、三十メートルじゃないかというふうに私は推測しております。昨日の新聞では、さらに大事をとって、二百メートル上空で爆発をさせておりますので、おそらく弾着地点においてはほとんど散布力は減殺されて、通常自衛隊が持っております二〇三りゅう弾砲よりはずっと爆発の威力は低下しているのじゃないかと思っております。このようなものを非常に大げさに、米軍にたいへんだというふうな頭で折衝することが賢明かどうかという点も、われわれは非常に苦慮しているわけでございます、これは通常の砲兵の演習であると軍事的には割り切っておりますので。なかなか、非常に大きな兵器ですと、もちろんこれは違います。しかし、この程度のものは通常の砲兵の訓練でございますので、私は、安全措置さえ講じてあれば、砲兵の演習と何ら変わりなく実現できるというふうに考えております。
  78. 松永忠二

    松永忠二君 関連、いま日米協定の問題が出ておりますので、いまのお話のあった「現地に於て調整の上」ということは、十分に現地で調整されてないという事実の上に立って、この調整についてなお問題があるからということを防衛庁のほうから話をしてほしいという、こうした要望に応じられない理由は私たちはないと思う。同時にもう一つ、今度はいまの協定の中に、射撃を行なう場合は、少なくとも七日前に地方関係当局に通告することを同意するという条項があるわけです。これについても、たとえば七日、八日に山梨県側から東富士のほうに射撃するということを、山梨県側に変更を申し入れてきた。ところが、それは七日か八日に山梨県側のほうから撃つという通告が前になかったので、それが七日、八日に撃つということをいま言われてきても、一週間前という通告に違反をしておるので、これは承認できないということを山梨県側が言っておる、これは知事の公室長が。これは明かにこれにきめてある。先ほどからいうならば、七日前に地方関係当局に通告することに同意するという、このこと自体にも違反をしておる。これについても一体どういう考え方をもって進めばいいのですか。
  79. 小幡久男

    説明員小幡久男君) この一週間前に通告をするということにつきましては、これはもう条約によります協定一つの原則でございますので、われわれはこれを守っております。現に四日、五日というものが入っておったのでございますが、これにつきましては山梨県側から四日、五日は三十日の通告では間に合わぬからという御連絡がございましたものですから、これはごもっともであるということで、私が直ちに米軍司令部とかけ合いまして四日、五日は延ばしたのでございますが、ただいま御指摘の七日、八日の変更につきましては、すでに通告しておるところの変更でもございますし、また、余裕もぎりぎりでございますけれども一週間ございますので、この点、直前のあす、あさってに持っていったというのではこれは問題でありますけれども、前に演習そのものも知らせておりまするし、その演習も二日と聞いておりますので、ぎりぎりに私はそういう点は十分間に合ったものと解釈しております。
  80. 松永忠二

    松永忠二君 いまの御答弁も少し異議があるわけなんであります。その通告した内容の変更なんだから幾ぶん時間が足らなくてもいいのじゃないかと、こういうお話でありますけれども、これは明らかに七日、八日は山梨県側から撃つということでなかったのが変更された。それを通知をするということについて明らかに通告の期間が切れておる。こういうふうなこと、私はそのこと一つをとってみても、明確にしてある事柄が事実そのとおりに行なわれていない。そういうふうにこの調整ということが現実に行なわれていないという証拠だと思うのですよ。こういうふうな状況の中でこういう問題について十分に調整をしてほしい。あるいはまた、いまお話のあるように、兵器についても大砲だと——私現実にそれを見たのでありますが、大砲だと、こう言っておるけれども、地元住民や何かについては、これか約束しておる大砲だという理解ができないという、こういう点については十分な理解が地元等に行なわれていない。あるいはまた県当局においてもそうだし、現地の市長あたりも市議会の決議をもってこれをひとつ取り上げてもらいたいというようなことを言っていて、お話しのように、全く調整の上ということばが現実に行なわれていないということがもう明確になってきているわけであります、しかも、そういう中で、いまお話しのように、日米協定は、人に危害がないようにという気持ちからいうならば、これだけの調整の問題、期日の問題、兵器の問題について相当意見を異にしているためにこれについて相当なやはり反対の行動が伴うということは予想できることなんであります。そういうことから考えてみても、全体の精神からいっても、あるいは安保条約を組んでおる精神からいっても、全くこれはいまこの際強行して、これをやらなければできないという理由というものも、私たちはどこにそれがあるのか説明でも聞いてもらいたいのですが、それほどの問題ではない、あなた方がおっしゃると、たいしたものじゃない。たいしたものじゃないものを、何も日をきめてやらなければならないという理由もないというように、逆に言えばなるわけであります。先ほどから山本委員が言っておるように、「現地に於て調整の上」という現実に調整ができていない。期日についてもあなた方はそうおっしゃっておるけれども、明確に山梨県に変更の通知があるという以上、変更は七日前でなければできない、これは困るということを言っておるのであります。そういうことをあえて当日やろうとしておる。だから、私たちは、やはりあるいは山本委員の言ったように、この際長官が大局的な立場に立ってこの問題について協定の精神をひとつ十分にくんで善処を求めていく措置、行動をとってもらうということについては、こういう行動なくしては地元住民は反対しておる。市議会も市長も、しかも両側の県知事も県議会も反対しておる。こういうことについて十分に日米協定の精神に基づいてとにかく十分やってもらいたい。その上でこの問題について対処してもらいたい。全然否定して言っておるわけじゃないだから、こういう「調整の上」ということをそのまま解釈して私はやってもらいたいと思う。私は、後ほど少し質問いたしますけれども、私は、東富士演習協定を持ち出したわけです。これは、自衛隊は返還の上で適用すると言いながら、現実にはこれに基づいて自衛隊使用しているわけです、東富十の演習場を。これはすでに実行している問題です。この協定の中には、はっきり同意ということばをもって表現をされている事実があるわけです。そういうことから考えてみると、「現地に於て調整の上」ということは、あくまでもやっぱり合意し了解した上でということだと思うので、もし、現地の了解をしない点があなた方からいって不服であるならば、その理由などを明確にしながらそういう点について善処を求める方法だってあると思う。先ほど来の施設庁長官の話では、これはたいしたものではないというお話で、ほんの大砲だ。そうなれば、ますます、何もきまった日にそんなものをやる必要はない。しかも、この協定についても、十分に「現地に於て調整」したとは考えられない事実もあるわけだ。その上に、あなたのおっしゃるように、生命にも危険をもたらすことも今後考え得る問題であるので、こういう点について善処を求めたいということについて長官のひとつ考え方をさらにお聞きをしたいわけです。
  81. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 自衛隊協定が直ちに米軍協定と同一であるというわけじゃありません。自衛隊自衛隊協定において行なっている。やはり、ある意味においては改善されつつある。古いものより新しいもののほうが、地元住民との密接な関係の上からも、文言あるいは協定も地元民の意向を入れたものになっておる。米軍の場合の協定じゃありませんので、直ちにそれが実行されるというわけじゃありません。したがって、米軍協定というのは、御承知のように、ロケット砲を撃つ訓練であるという場合においては、米軍の軍事行動、訓練行動については、米軍がこれを通知している。それにできるだけ協力してやる。支障がある場合には、これについてそれはもちろん米軍とも話し合いをするということでありまして、おっしゃるとおり、一週川前という協定米軍も守るようになっておる。したがって、一週間前の通知は守っておると思うのです。特に、一週間以内の通知ということではありません。一週間以前、あるいは変更してから一週間以前の通知をしております。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは、防衛庁が、日本政府といいましょうか——日本政府態度は、今度の問題に関してだけではないが、しかし、特に今度の問題は理解できない。簡単な演習であるからと言う。まあ、「簡単」にしておきましょう。しかし、この条項には、第二項の諸条件の中には、ミサイルということは一つもない。大砲、臼砲、みな、あります。それを追及すると、三十日には、施設庁長官、これは大砲に類するのだ、こういうことなんだ。それにしても、地元では、ミサイルというと恐怖感を感じます。そういうものを使用するときには、やはり地元から調整——調整とは言っておりますけれども、あなたは危険はないと言っておりますけれども、危険があるからという気持ちで反対をしておるのですよ。そういうものを使って、新しい武器を使う。大砲の一種でもいいが、新しい武器ですよ。これは二十七年にきめたから、その当時には開発されていなかった。昭和三十年にはオネスト・ジョンをやったが、それが問題になって、その後やってない。そういうミサイル類を使うということも一つの新しい事実だ。それにも疑問があるし、調整もできないから、私は一週間については問題がありますけれども、一週間なりやっただけでは地元はおさまらない。もう少し調整に時間をかしてください、それまで待ってくださいということすら——この条文の協定は、協定を向こうは守る義務があるけれども、その中に疑義がある点が私はあると思うのです、武器の点においても、兵器の点においても。そういうことを私はアメリカ軍に言って、しばらくの間地元と調整する間待ってくださいということすら防衛庁は言えないと、こういうのですか。これで明らかになっておるから言えないというのですか。外務当局は、訳文はこれは妥当でないと言っているのです。訳文の妥当でないのは日本政府の責任ですよ。アメリカ軍に言えないでしょう。そのことをアメリカ軍に言って、訳文についてもちょっと問題があるし、地元がおさまらないので、現地と調整する間しばらく待ってもらいたいということすら防衛庁は、これほど私が声をからしても、それはできないと。アメリカ軍のやっておることは、この条項について合法的にやっていることであるから日本政府は一切手を組んで見ているだけだ、手をこまねいて見ているのだ、こういう態度ですか。
  83. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) その前提が非常に違います。  第一番、ただいまお話しの中に、ミサイルだからいけないのだ、こういう御趣旨なら、これは十分返事をしまして、皆さん方に、こういうものである、これはロケット砲であると解釈すべきであると私は思っております。したがって、ミサイルであるかどうかは十分返事して、報道関係者にも見せて、そうして私はやったと思う。したがって、これが危険なミサイルでないことはすでにこれは御承知のとおり。御承知のとおり、実際撃ってその炸烈の状況もすでに今日わかっている。したがって、危険なミサイルでないということは私は究明できたのではないかと思う。その不安をもっと早く、よりよく周知徹底さしたらよかった、こういうおしかりは私はすなおにお受けします。したがって、これは危険なミサイルでないということは、もう私はわかっているのではないかと思う。したがって、その不安はほとんど私は今日解消されているのではないかと思います。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 危険でないということをあなたは了解し、報道機関はそれでいいのだ——いいとは言っていないけれども報道機関にも知らした。しかし、地元においてやはりそういう新しい武器については不安のあることは事実なんですよ。ぼくは何も識者——兵器についていろいろ知識を持っている人がわかているということを言うわけじゃないのです。地元ではそういうことを見たこともない人もおるし、しかも市議会も反対しているでしょう。そういうものを使うのに、条文にもないのだ、ミサイルは……。あなたは大砲の一種だ、機関砲だとか言われますけれどもミサイルと報告されております。また、ミサイルの一種です。誘導弾ではありません、ミサイルとして開発されている。核弾頭もつけることになっております、つけておりませんけれども。新しい武器ですよ。単なる大砲ではありません。しかも、そういうものをわれわれ知っているからある程度の危険がないことはわかるけれども、地元はわからないから反対している。そういう新しい武器を持っているアメリカ重に対して、私の質問はここなんですよ。そういうものであるし、いろいろ問題があるから、条約の疑義もあるから、あなたが言えないというなら言わんでもよかろう。こういう問題があるから、地元とも少し話し合いをして、調整を済ましたら——調整ということがあるのだから、調整ということに同意がなければ、そういうことを聞かなければやるということでもいいから、調整をするからしばらく待ってもらいたいということを日本政府として言えないかどうか。向こうがやると言うなら、それでいいですよ。それくらいのことは言えないのかということが私の質問の要点ですから、言えないなら言えない、地元でやるならやりなさいというならいいのです。それなら国民を代表して日本政府アメリカ軍に対し言えないというなら、国民自体がアメリカ軍に対して言う以外にないから、したがって言えないなら言えないで、それでいいですよ。
  85. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) いまの山本さんの御意見は、非常にある意味においては建設的なニュアンスをお含みのようです。したがって、この兵器が危険であるかどうか。新兵器であるということについて地元民が非常に不安であるならば、それはよく間知徹底するように私のほうからもいたします。しかし、その点については今後まだ期間もありますから、きょう、あす、あさって、まだ期間がありますから、その間十分に間知徹底するようにいたします。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはいいのです。この前三十日に言うているのです。
  87. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 米軍に対して御趣旨のようにお話は私のほうから連絡いたします。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それを言えばいいのですよ。米軍にその点を言って。それはまた聞きますよ。向こうはどういう返事をしたか聞きますよ。私は、こういう問題があるから、やはりしばらく調整中は待ってもらいたい。向こうが待たぬと言えばそれでいいんです。その点が問題ですよ。一番の問題になるのは、これはどこの問題でもそうなんです。日本政府——この場合は防衛庁です。日本政府が、国民が問題を起こしているやつをそう伝えて、基地返還の問題のように、話をした上で、なおかつアメリカ軍がこういうことを言っておるのだ、したがって、やむを得ないのだという答弁がきょうあると私は思っておった。三十日にやった。ところがそうじゃない。アメリカ軍にそう言えば、アメリカ軍といえども、その点はばかじゃないですよ。よく日本側の事態を知っておりますから、外交上の問題もあるから、それならば地元の人の了解を得られるように日本政府は責任を持ってやってくれと言いますよ。私がかわったらそう言いますよ。それくらいの誠意を示せと言っておるのです。それをいま長官が申し入れると言われたので、私はこの問題了解いたします。
  89. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 同時に、地元の方も、どうぞ事実の上に立って、不安だけでものごとを解釈されないようにお願いしたい。不安があるならば、その不安を究明するということの努力を、やはり日本政府もやらなければいけませんし、地元の人も、そうせずに、いきなり反対反対、実力行動に入られて、立ち入り禁止区域に入られるということは、これは非常に危険なことだと私は思う。これは本人の生命における危険ももちろんだが、日米間の問題においても危険なことだと私は思います。どうぞ、その点はよく両々相ともに努力すべき点があると思います。ただ地元民が反対だから反対だからと、反対ならばその反対の根拠に論点をしぼって話を進めないで、ただいたずらにこういう問題を政治問題に巻き込むということは、これは地元民に非常に御迷惑だと思います。したがって、それはもちろん不安の点があるのですから、その不安の点について、日本政府及び米軍は地元民のその不安を除くように努力をする、これは私はいたすべきであると思います。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃ、私は一応日本政府態度を了承いたします。向こうがどういう返事をしてもよろしい。それは申し入れてください。  それから、いま地元の反対の理由と言いますけれども、あなた防衛庁長官をやられて何代目か知りませんけれども、赤城防衛庁長官のときから問題かあるのです。早く返してもらいたい、返還してもらいたいというのは、これは地元の大きなほんとうの基本的な要求なんです。返さなければ、せめて入会権を認めてもらいたい、林野雑産物の補償をしてもらいたい、こういうことで、私が扱ってから六年間です。したがって、反対する理由というのは、今度の演習だけの問題じゃないのです。そういう問題のあるところに対して、新たに、いままでほとんど演習場を使用せずに、ベトナムの問題があると言われるけれども、そういうことがあるかどうか知りませんけれども、突然としてリトルジョンを持って来たのですから、地元の人が反対するのは当然です。理由は明らかになっておりますよ。過去の長い歴史があります。しかし、これはなおかつ農民から言わせれば反対する理由はあるのです。  そこで最後に、了解したから、これ以上言うと前に戻っていけませんから、この点は十分施設庁で考えてもらいたい。基地の問題については、何かすると問題があるということで、私は実はこれでは相当長くやっておりますし、問題は北富士だけじゃない。ほかのところでもあるのですが、ただ、いま申しました第三十二回合同委員会の決定に基ずく、これは北富士、東富士だけじゃなくて、行政協定第二十六条に基づいて、地位協定では六条になっておるけれども 二十六条に基づいてやられた合同委員会によってきめられたのだが、このきめられたものが三十五年に安保が改定されて——われわれは反対しましたが、改定されて、これが地位協定にかわった。このとき当然相当日時もたっておるの、だから、二十七年から三十五年まで相当時間がたっておるのだから、行政協定そのものの内容にもいろいろ問題が、不合理な点が基地使用の問題についてあるのです。これについて外務省の管轄だと思うけれども、これについて十分に全部検討されて改めるべきものは合同委員会を開いて改めるべきだと思う。この問題が、北富士の問題にいたしましても現地の事情が変更になって変わっておる。それをなおかつ古いやつをそのまま使用しておるというところにこの問題が起こるの、だから、そこでひとつ要求ですが、そういうことが考えられるかどうかということと、それと、現在ある行政協定によるところの基地使用条件について、いま日本国じゅうにある基地に対するそういう覚書、同意書を、当内閣委員会に提出をしてもらいたい。私はここで話をしておるけれども、他の委員の方々はわからない。よほどこれは占いものを国会図書館からあさって研究してこなければ論議のできないということでは、これはいかんと思う。したがって、少なくとも内閣委員の全員に対して、そういう問題のあるものを出してもらいたいと思うのですが、これはどこの管轄か知らんけれども、これは要求しますよ。どうですか。
  91. 安川壮

    説明員(安川壮君) 旧行政協定が新しく地位協定に変わりましたときに、その時点におきます合同委員会のすべての合意はそのまま新協定においても有効であるということが確認されております。ただこれは、それだからといって、そのあらゆる合同委員会の合意の内容を将来一切変えちゃならんということではもちろんないんでございまして、現にその後変えたものもございます。これは一般論でございますけれども、この演習場の使用条件その他につきましても、これはあくまで一般論でございますけれども、いろいろ事情の変更に応じて日本側が変更を希望するという場合には、これは合同委員会にそれぞれ手続がございますので、そこに日本側の要求として出して、そして新たな合意をつくるということは、もちろん可能でございますけれども、ただ、私は、具体的に富士演習場がどういう状況にあり、改正すべき点はどういうことかということは、私は直接の担当者でございませんから、具体的に富士演習場の条件をいま変える必要があるかということについては、私はお答えする立場にございませんけれども、一般論としては、旧協定のあらゆる合意事項が現在有効でございますけれども、これを事情の変更に応じて変えるということは、もちろん可能でございます。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いいですか、資料として出してくれる……
  93. 安川壮

    説明員(安川壮君) 資料と申しますのは、旧協定時代の合意……
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、現行の基地使用
  95. 安川壮

    説明員(安川壮君) すべての使用条件でございますか。告示されておるものは全部提出すること、可能でございます。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと、ぼくは専門家やないんです。告示されておるということは、現在各基地で利用されておる有効な現行の使用条件の合意書ですね。
  97. 安川壮

    説明員(安川壮君) 全部について、告示されておるものすべてについて。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 出してくれますね。
  99. 安川壮

    説明員(安川壮君) はい。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃあ、ぼくの質問、きょう、これで終わります。
  101. 松永忠二

    松永忠二君 たいへん長くなりましたので、簡潔にひとつ御質問いたしますが、特に私たちの地元である東富士演習場については、演習場の使用協定が成立されたけれども東富士演習場アメリカから返還されてこない。そういう条件が履行されていない。しかし、その履行されることを条件として東富士演習場の使用を認めてきた。そういうことが行なわれておるのにかかわらず、約束された国有地の開放というものは行なわれてこないし、また、いま論議をされておる日米合同委員会使用規定等についても違反をしておるという考え方の演習が今度米軍によって行なわれる。しかも、来年度の予算にはロケット30型の練習の部隊富士学校に設置をされるような予算も要求をされておる。こういうふうなことでは、全くいままで地元が努力をしてきたことが何らの成果をおさめないままに、むしろミサイル演習場として固定化され、むしろ今後拡大されていくのではないかという、こういう不安のもとに今度の戦いが行なわれたというふうに私たちは把握をしているわけです。そこで私がお聞きをいたすことは、いま御承知のとおり、こういう把握をしているために、これは長官御承知と思うのでありますけれども、昭和三十四年の六月二十四日に、そういう協定ができて、そうして一体演習場返還の時期についてどういう時期に返還するのかという質問に対して、防衛庁のほうから今後六カ月以内に返還ができるようにする、今後六カ月以内に返還が実現できるよう調達庁も対米折衝に十分協力したいと考えております、こういう回答があって、そして今度は防衛庁のほうから、右回協定趣旨にかんがみ、昭和三十四年六月二十五日から使用協定の発効に至るまでの間、同演習場を使用したいと思うから御了承くださいという、こういう文書が辞せられて、当時の市長であり、東富士演習場地域の農民再建連盟の委員長名でもって、東富七演習場がアメリカ合衆国から返還されるまでの間の自衛隊使用の申し入れについては、当該演習場が今後六カ月以内に返還されることを希望いたしますということで、つまり自衛隊が東富士演習場を使用しているわけです。そうして、さっき私が申しましたけれども、これは全面的に返還されてからということであるけれども、この協定の精神を生かして実行されているわけなんです。一体、こういうふうなことから全く自分たち考えている、協力してきた方向と違った方向に漸次問題が進められているので、われわれとしては使用を禁止するという態度で、いきたいということで、すでに自衛隊演習場についてもこれを拒否していこうという動きが出ていることは明確であります。こうした問題について一体防衛庁はどういうふうな考え方で対処をしていこうとしているのか、この点をひとつ長官からお聞きをしたいわけです。まず、長官から……。
  102. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 富士演習場は、御承知のように、国防上どうしても自衛隊の訓練には必要なところであり、また、これなくして自衛隊の訓練はできません。国防というものがどうしても必要であると同時に、演習地も必要であると私は思います。そこで返還の気持ちで今日まで折衝しておりました。それはいきさつはちょっと後ほど政府委員から説明をさせます、六カ月の問題は。  それでなお自衛隊ロケット砲ですが、ロケット砲はやはり日進月歩の国防に対してそれに応ずる兵器の訓練、装備というものがなければ国防の価値は私はほとんど低減すると思います。それにはやはり高射砲からロケット砲にかわるというのはこれは世界の趨勢でして、そのためにはどうしてもロケットによって今後やる以外はない。したがって、ロケットというものが、大砲がロケットに前進する、改善されるということは、これはしかたのないことだと思っております。同時に、これは危険なものかどうかは別といたしましても、どうしても装備というものは、国防というものからそのために必要なものだと私は思います。したがって、今後日本の国産の30型ロケットが開発されるならば、自衛隊にも装備したい。装備する以上は訓練をしたい。訓練するには訓練する場所が要るということでありますので、これは御理解をいただかないと、お互い日本の国の国防の問題ですから、私はこれは御理解をいただいて、その上でこの問題の解決ができるんじゃないかと思っております。  なお、六カ月の問題だけは、私もちょっとつまびらかにいたしておりませんので、政府委員から御答弁させます。
  103. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 先ほど先生がおっしゃいました、防衛庁のほうから六カ月以内に返還があるんではないかという御書面も差し上げたように聞いております。その後折衝いたしましたところ、米軍のほうは時期尚早と言って、その返事が思うように得られなかったという経緯があることは聞いております。自後それに関係なくわれわれとしましてはいろいろ努力してまいりまして、また自衛隊演習場等も現在も相当さしてもらっていただいておりますので、この川辺の対策その他につきましても、不十分でございますけれども、われわれなりに努力してまいったつもりでございますが、まだ国有地の開放その他につきましては問題が残っておりますので、今後とも努力したい。こういった問題でございますけれども、こういう問題を乗り越えて、ひとつ地元とそういう問題につきましては誠意を持ってわれわれのほうに御協力をお願いしたい、またわれわれも尽くしたいというように考えております。
  104. 松永忠二

    松永忠二君 これは防衛庁長官はうっかりしたことはあまり言わないようにしていただきたいと思うのですがね。昭和四十一年に30型ロケットはまあ実験をするということで、部隊をその富士学校につくるということで、これには練習する場所が必要なんである。それじゃ東富士演習場をそれに使うのだというようなことになれば、ますます私はいまの反対の考え方というものは強固になってくると思う。私たちの聞いた範囲では、いや、演習実験部隊はつくるけれども、別にまだ予算を伴っているわけじゃないし、それをここの東富士演習場で使うという気持ちを持っておるのじゃないということを言われておるわけなんです。だから、私の申し上げたのは、そういうふうな精神のもとに、このいまの自衛隊使用についても、先ほど言うように、同意が必要だということになっておるわけなんです。したがって、調整ということばを具体的にあらわしたものが同意ということであるので、実行されているこの自衛隊で禁止をされていたものが、同じような文面の中で調整というようなことばを使っておる。その中でも当然それが行なわれていくべきものだというように判断をしておるにもかかわらず、それが十分な調整をなさないままにアメリカで行なわれておるということに対して非常な憤激を買っておるわけです。つまり、延長して協定違反であるということを言っておるわけです。しかも、全面的にこういうふうな返還ということが行なわれようとしておるということは、先ほどからいろいろお話があるように、あの東富士地域には高速自動車道路もでき、あるいはまたいろいろな工場も誘致されて、地元の御殿場市の約四割以上を占めておる演習場の開放なくしては地域の発展がないということが、いま地域の人たちの強い要望として起こっておるわけです。それを、いろいろつくられておる協定というものは、現実にいまおっしゃるように、六カ月間に大体返還の話をつけるので、返還の話のつくまで貸してくれと言われた自衛隊、しかもその自衛隊が約束しておる事柄であり、同様なことを日米協定でもって約束をしておる。そのことをアメリカが実施をしていかない、そういうことに対して防衛庁もはっきりした態度を示して、こういうことについて調整の努力をしていないというところにすべて誠意の問題があって発展をしておるわけなんです。だから、私たちは、そういう意味からいえば、さっきのお話のように、調整ということばの中には同意ということが九分含まれておる、この日米協定の精神がこちらに具現をされてきておるのだというようにわれわれは判断をしておるわけなんです。こういうような意味で、結果的にその返還までの間貸してくれと言ったのだから、いつまでたっても返還のめどがつかない。その上にいまお話しのように、聞いてみれば、何だかロケットの30型の演習場にあそこがなるのだということを長官が暗示するようなことを言ったとなれば、ますますそんなあぶないものならばわれわれは返してもらいたいという話に、結果的には自衛隊には使ってもらいたくないという話にだんだん発展をしてくることは私は当然だと思う。したがって、私たちとしては、協定の前提となったアメリカ軍の演習場の返還を直ちに実施をしてもらうという方向に長官は強力な交渉をするのかどうなのか。それと、この協定を十分尊重していくという考え方でやっていくのかどうなのか。ぜひひとつ長官からお聞きをしたい。
  105. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 米軍自衛隊との返還については、なお推進をいたします。  それからなお、いまちょっと誤解があったようですが、ロケットの開発は、国産としてこれはぜひ開発をいたしたい。これは装備をいたしたい。また地元の方とのその問題についての交渉、打ち合わせとか決定というものは、まだもちろん何もございません。北富士は私は特定してまだ言っている段階ではございません。ロケットの話とその北富士の契約等は、またおのずから次の段階になります。  それからもう一つ、北富士及び東富士演習米軍よりの自衛隊への返還、これは実は相当進めております。しかし、まだ完全に合意までに至っておりません。これはやはり今後とも推進する気持ちで私はおります。
  106. 松永忠二

    松永忠二君 推進をするということでありますが、昭和三十四年に、六カ月以内に返還をするように努力をする。現在昭和四十年になっても努力するということでは、やはりこの問題の解決にはならないと思うので、もう少し明確にその点を、これはもう直ちに地元民に反映されるわけでありますから、長官のひとつ誠意を聞かせてください。
  107. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま申しましたように、努力はいたします。じゃ、なぜ解決しないのだ。日本政府のほうではその方向ですが、まだ日米間で、アメリカの意向もありますので、交渉ごとですから、片一方で五〇%だけでは一〇〇%になりませんから、米軍の意向、米軍の立場というものも、意見もありますので、これは時間がかかっております。だから、どうぞひとつ、国際問題はある意味においては長くかかりますけれども、これは国と国との問題でありますので、時間の問題については御了承をいただきたい。しかし、努力する方向は、また私の気持ちも変わっておりません。努力いたします。
  108. 松永忠二

    松永忠二君 それ以上明確なものをということも無理でありましょうけれども、ただ、先ほどから、いまも話に出ているリトルジョン演習については、やはり問題はそういうところから出ているということであります。つまり、それだけの協定をこしらえて自衛隊使用させているにもかかわらず、その防衛庁がこの精神に基づいて行政協定の問題について十分な努力をしてもらいたいということについて不満な点があったということが一点ここに問題として残ってきていると思うのであります。したがって、さっきから善処を求めている問題等についてひとつ十分な努力をしてもらう。それと同時に、具体的に防衛庁がそういう誠意を持っているという事実を示すには、そのほかの開放の問題もある。これは現実に自分自身でできることなんです。そういうことを現実に行なっていくというようなことも適確に行なってもらわなければできない。そうして、ひとつ開放してもらうということについて努力をしてもらいたい。これがやはりこの問題について関連を十分持っているのだという把握をしてもらいたいと思う。私が特に強調したいのは、このことが自衛隊との約束であるけれども、この自衛隊との約束は日米のこの協定の精神にのっとってつくられたものだというふうなことからいえば、明らかに前から問題になっている現地の調整ということは同意という問題を含んでの問題だと私たち考える。また、現地でもそういうふうな考えを持っているわけであります。  なお、お話にあったミサイルロケット演習場の問題は、そういうことを考えているのではないというお話であるので、この点はそういうふうにお聞きをいたしておきます。  ひとつ、私は、一体発射の際の条件、現地で調整ということが、いま言うている非常に十分行なわれているという事実の上に立って、一体防衛庁はどれだけ米軍に対して発射の際における問題点について交渉したのか、どういう一体了解をもってこの問題をやったのか、この発射の条件という、発射の際の条件についてどういった交渉をしてあるのか、この点をひとつ聞かせてください。
  109. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 発射の際の条件につきましては、先ほど来防衛大臣からお答えがありましたように、まず第一に、人命の安全が第一でございます。したがいまして、現地におきましても米軍部隊と警察並びに関係者の中で兵器の性能を十分図示でもって、たとえば着弾地ですと、何メートル平方はあぶない。あるいは発射地点ですと、何メートル平方はあぶない。だから最小限これだけのところは絶対に人がおってはいけないという地域を図面で十分両方で検討し合っておりますので、そういった点につきましては、当事者間では十分の私は協議が行なわれていると考えております。
  110. 松永忠二

    松永忠二君 それが完全に実行されているという把握をしておられますか。
  111. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 先ほども申しましたとおり、たとえば着弾地——おとといの例にとって申しますと、着弾地は一千百八十万坪ございますけれども、その全体につきましては、全部が全部は、たとえば土地にもぐっておる人もあるかもしれぬというような状況でありますから、人がおられるかもしれぬという判断をもちまして警察は慎重な態度をとったのですが、最後の判断は米軍の指揮官にまかした。米軍は、先ほど申しましたように、千百八十万坪のうちであぶない着弾地と申しますのはほんとうは二十万坪であります。だから、約五十分の一のところがあぶないということで、ヘリコプターが数回上空を飛びまして、その五十分の一の地点をさがしまして、そこには人がおいでにならないという判断をもって発射を行なったのでありまして、その辺のところをごらんいただきますとわかりますように、十分警察の意見も聞き、また指揮官のほうも、兵器の性能から見まして、当たるべきところは当たりまして、準備をして発射したものと考えます。
  112. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ、これはどういうことなんですか。山梨県のほうの県警の着弾地警備本部は、十一時二十分に警備警官は全員退去した。のろし数本が残っているので、農民の安全については責任を持てないから、延期を要請した。このロバート・I・ジョンズ、アメリカの海兵隊少佐は、安全については自分の責任において行なうというようなことで発射をした。私は、現にその連絡のあった東富士の地方にいたわけなんです。これは、いま話をされたことが完全に実行されていたというふうな判断をしていいのでしょうか。
  113. 小幡久男

    説明員小幡久男君) そこの点は、先ほど申し上げたわけですが、警察のほうは着弾地の一千二百万坪全体について、いま先生がおっしゃいましたようなことで、そこへ行ってみると人はいないが、もぐり込んでいるおそれがあるという判断をして、全体として非常にそういう状況はございますということを米軍に言ったわけでございますが、米軍のほうは、先ほど申しましたように、兵器の性能から見まして、千二百万坪全部を使うわけじゃございません、そのうちの五十分の一ぐらいのところがほんとうの着弾の危険地点でございますので、その五十分の一のところはそれをはずしまして、上空から確かめましてその地区へ落とした。しかも、落とす前に、この新聞報道でございますが、二百メートル上空で第一の仮爆発をさせまして、着地の際にはほとんど破裂等の範囲がない、ごく微々たる程度に押えて落としております。もともとこのたまは、これは実際の実弾でありましても、百メートル程度の破裂範囲でございますが、当日の発射は、火薬もうんと減らしまして、それ以下の性能で落としておりますし、しかも、二百メートル上空で一度中爆発させたということを考えますと、ほとんどたいした……破裂は最小であったのではないかと考えております。
  114. 松永忠二

    松永忠二君 あなたのお話を聞きますと、むしろアメリカがやったのはあたりまえだというようなことを言われているわけであります。しかし、現実に現場にいたその警察の警備本部では延期の要請をした。その後山梨県の県警の富士吉田の署長が現地の調査をやっている。ところが、すわり込みをした場所の付近にその爆弾の破片が三個あって、やはり言われたように危険な状態であったということが明確になってきているわけです。こういうふうな中で発射を行なわれたということについて、防衛庁長官は一体どういうふうな考え方を持っておられるのですか。
  115. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 人命の危険が第一でありますが、とにかく国際的な日米間の協定条約に応じてこれがきめられたのでありますから、立ち入り禁止区域に入るということは、これは慎んでいただきたい。同時に、米軍に対して言うべきことは言う。しかし、その立ち入り禁止地域に入ったということ自身も、私はそれは反省すべきじゃないか。その上に私たちの生命、財産というものは守らなきゃならない。立ち入り禁止地域に入ることもこれは私は違法な行為じゃないかと思います。それでなおかつ、それをなるべく外へ出てもらって、そうして地域をきめる。そうして最善の方法をとるべきである。最善の方法に手抜かりが——万全であったかどうかは私は詳細にはわかりませんが、しかし、立ち入り禁止地域に入るということは、それも承知して入るということは、これも危険なことでありますから、やはりこれは両方とも厳正に条約協定に応じてやるならば、地元の方も国会を中心に国会を信じていただきたい。国会の場で十分議論する立場ならこれは十分議論すべきだ。どうぞこれは国会を地元の方も信じていただきたい。そしてこの問題については、もう少し冷静な判断をしなければならぬ。また、立ち入り禁止地域に入ることは、これは危険なことであります。これは何べんも警告を発したと私は思います。そのこともやはり考えなければいけないんじゃないかと私は思います。
  116. 松永忠二

    松永忠二君 よくあなたはそういうふうなお話をされるのだが、立ち入り禁止をしたところへ入るようになった事情について問題があるということを言っているわけなんです。立ち入り禁止の場所に普通の場合に入らないことは、これはあたりまえのことで、立ち入り禁止に入って阻止をせなければいられないような状態を引き起こしたというところに問題があるわけです。そうして、その問題について条約条約協定協定とお話があるけれども、先ほどからいろいろ私たちが言っているように、この協定の中にある「現地に於て調整の上」ということについて問題がある。それからまた、兵器である。一体大砲とこれを判断するかどうかということにも問題がある。それからまた、通告の期日、二日の日にこれを実施、行なったときには四日、五日を延期するのだということをその後に一般に知らされたことがある。こういうことも実はその四日、五日にはやるんだということをアメリカは言っていたわけです。こういうふうな状態の中で、さっき申しましたように、自衛隊自身はそういうことについて、自衛隊ならばこうできるというような、そういうものを約束しているわけです。そういう精神から考えてみると、どう考えてもその条約趣旨から違っている、違法である。この一体どっちが先にその違法行為をやったのかということに問題がある。現地の人たちは、何かむしろ向こうが違法じゃないか。しかも、その違法について防衛庁なら防衛庁が誠意を持って、その地方のとにかく当局が反対をし、それを延期をしてほしいという要望をしているのに、具体的に防衛庁自身はどれだけの活動もしていないという事実もある。有効な活動ができなかった。こういうような判断の中で立ち入りが行なわれたというふうに私たちは思うのです。だから、そういうところで人命に危害が起きる状況にあるというときというなら、むしろ防衛庁の者が現地に行って、その際、なお調整の必要をもって短期間でも延期をしてほしいという誠意を見せれば、また地元の人も考え方がいろいろ出てくると思うのです。さっきから協定協定とおっしゃるけれども協定についても、その使用条件の問題についても疑義がある。あなたはあなたのほうが正しいと言うし、われわれのほうでもわれわれの考え方が正しいと思う。しかも、相当正しいと言っている議論の論拠もあるわけです。こういうふうな事態の中でこの問題が起こっている。で、私はもとへ戻るわけなんですけれども、やはりこの演習については、何もきめたときにきめたことを実行するというか、そればかりがアメリカのやり方ではないと思う。またそういうことを強行することによって、現地にはそういうむしろ反米的な考え方も非常に広がってくる。それだけじゃなくて、防衛庁の東富士使用の問題について、自衛隊使用の問題についてあくまでも阻止していこうという問題がいま起ころうとしている。それをまた納得させるほどのものがないんじゃありませんか。三十四年に六ヵ月の間に返還するという——事情も変わりました。努力もいたしました。今後もまたやります。努力していきます。しかし、そういう程度では、とても地元を納得させるものがないと思う。もし、あなたがおっしゃるようなことがごもっともであるなら、少なくとも山梨とか静岡の県当局までこういう問題について議会を通じて意思表示をしてくるなどということはないはずです。これまで条件が整っている状態の中で、防衛庁が積極的な活動をしないと言うならば、やはりさっきの話じゃないが、アメリカ軍に対して、アメリカに対して要望し、善処を求めていく行動を起こす以外にないということを証明しているようなものだと私たちは思う。こういう点について再度ひとつ防衛庁長官に、この問題については、とにかく防衛庁の信頼を取り戻す、そうして円満に問題を解決するという方向でなお十分努力をしていく、そうしてまた協定の条件についても具体的にひとつ調整一の努力をしてはかっていく、こういう点についての大臣の御熱意を聞かしていただきたいと思うのです。
  117. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 条約の解釈、その文言の解釈ならば、なお政府と、ある場合には、政府を監視する国会においてこれを議論することが妥当な道であって、その解釈を一部の方がされる、それによって行動する、その行動が人命に影響するということは、私たちは断じて慎まなければならないと思います。したがって、危険そのものの筋道を立てていかなければ、そのすべての犠牲というものが非常に大きな危険な状態を私ははらむと思います。したがって、協定が違反だと言うのならば、政府に向かってこの協定の解釈をまず問いただす、そうしてその問題の究明をする。ここにも限界があるのであって、それをただ違反であると解釈して危険地域に立ち入る、しかも人命の非常な危険をおかすということは、これは非常によくないことだと思います。したがって、条約の調整の問題ならば、この場において議論をすべき問題であって、私はこの問題だけは事、人命に関することですから、ぜひひとつ自重していただきたい。きょうも約二時間その問題について議論いたしましたけれども、必ずしも条約違反だという感じは私はまだ持っておりません。ただ、努力すべきことがあったということは、これは現地民の気持ちから見れば、それは私は十分了解いたします。したがって、その違反であるのと地元の皆さんの不安であるその問題とはおのずから一線を画して別々の問題じゃないか。それを混淆して、違反の疑いがあるからおれたちはこうしていいのだということは危険だと思う。したがって今日それが違反であるかどうかすでに三時間約二時間この議論をいたしましたが、文句は必ずしも合意ということは書いてない。調整ということは、ただいままでの質疑の中で明白になったと思います。したがって、現地の方もどうぞひとつ危険なことだけはやめていただきたい。またそういうことが問題の解決ではないと思います。どうぞ誤解があるならその誤解を解くことに努力をいたします。しかし、すなおにわれわれの言うこと、政府の言うことにも耳をかしてもらいたい。ほとんどおそらく善良な地元の方々は、私はおわかりいただけるのではなかろうかと思います。どうぞひとつ、国会にも地元民の意向を代表してきょうも松永委員の質疑でずいぶん追及されました。こういうことは私は当然必要なことだと思います。それと、現地における行動についてはおのずから限度がなければならぬと思う。人命に関することですから、追及すべきは追及すべき道と方法がある。それを誠意を持ってわれわれも答える。誤解があるならば、誤解を解くことに努力する。そうしてその上で日米間の問題を円満に解決したい、それが私の職務であり気持ちであります。
  118. 松永忠二

    松永忠二君 これは私の考え方ですが、いまちょっと気になることは、善良な人たちは何かこれに反対していない、誤解をしている者だけがこれをやっているがごとくあなたはおとりになっているけれども、そうではない。そうではないんで、これは現実に山梨県側においても、また私たち東富士演習場においても、そういう考え方でこれをやっておるのじゃない。そうして正しい法の解釈に従っていくということについては、これをあえて阻止をしていこうなどということを考えておるものでもない。ただしかし、法の解釈というものについて疑義があるならば、これについて十分納得が得られるような方法、措置等が行なわれていかなかった点があったのではないか。またお話しのように、調整ということは調整である。「調整の上」ということであるとすれば、この調整ということを現実に行なうために防衛庁自身のとるべき措置、努力というものについても納得するものがあるならば、これはやはりその解釈を現地においてもそれを正しくのみ込んでいくと思うのです。こういうことについても、つまり相当問題が出てきているということがこの問題を起こしている。そうして、その規定の中に、もっと底に流れていることは、結局、防衛庁が東富士できめたこの約束が履行されていない。約束が履行されていないところにもつてきて、こういう問題が次々起こってきているということについて、やはり防衛庁自身に対する不信感というもの、それを通じてまたこの協定の正しい判断というものについての相互の解釈の相違も出てくると思うのです。こういう点については、いまお話も出てきておりますけれども、なお日にちもあることでありますので、私は先ほど、この通告の日等についても、現実に山梨県の公室長が間違って、通知が七日前でないものを七日たたないなどというようなことを言っている筋合いではないと思う。だから、こういう点についてもなおひとつ防衛庁としても努力をしてもらう、そうしてまた十分ひとつこの調整の役割りを果たして、そうして基本的には、お話しのように、たいした兵器ではありません、たいした演習ではありませんと言うならば、こんなことまでしてアメリカが強行する必要は私はないと思う。こういう点について真に現地との調整のできた上で、その後の問題は実行するなり方法考えてもらう。なおひとつ大臣の努力を要請をして、そうして質問を終わります。
  119. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後一時十四分散会