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1965-09-30 第49回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年九月三十日(木曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————    委員異動  八月十八日     辞任         補欠選任      成瀬 幡治君     野々山一三君      鶴園 哲夫君     中村 英男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 石原幹市郎君                 伊藤 顕道君                 山本伊三郎君     委 員                 源田  実君                 塩見 俊二君                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 北村  暢君                 中村 英男君                 野々山一三君                 松本治一郎君                 多田 省吾君     国務大臣        国 務 大 臣  安井  謙君     事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     説明員        人事院事務総局        給与局次長    尾崎 朝夷君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        大蔵省主計局給        与課長      辻  敬一君        文部政務次官   中野 文門君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (公務員給与に関する件) ○国の防衛に関する調査  (北富士演習場に関する件)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る八月十八日成瀬幡治君及び鶴園哲夫君が辞任され、その補欠として野々山一三君及び中村英男君が選任せられました。     —————————————
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、公務員給与に関する件を議題といたします。  本件につきまして質疑の通告がございます。これを許します。  なお、ただいま関係当局からの御出席は、安井総理府総務長官増子総理府人事局長中野文部政務次官斎藤初等中等教育局長鎌田自治大臣官房参事官、以上の方でございます。——参事官ちょっとまだ参っておりません、いま、じき参ります。伊藤君。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 過般勧告されました人事院給与改定に関して、特に総務長官にお伺いしたいのは、実施時期に焦点をしぼって、以下数点についてお伺いをしたいと思います。  総務長官が時間の制約がありますから、ひとつなるべく前向きの姿勢で、明快にお答えいただきたいと思います。  まずお伺いしたいのは、政府では、最近いわゆる五人委員会をつくられて、主として実施時期の問題についていろいろ協議なさっておるのであります。今日までの経緯と、協議の結果等についてまずもってお伺いしたいと思います。
  5. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お答えいたします。  人事院公務員給与に関する勧告が八月に出たわけでございまして、これに対しまして政府としては、例年の例に従いまして関係閣僚会議をやり、これで大きな方向決定をいたしたい、こういうことで進んでおるわけでございまして、関係閣僚会議は九月十七日に第一回目をいたしたわけで、出席閣僚は、大蔵大臣自治大臣労働大臣、それに私に官房長官というような形でございます。なお、大蔵大臣が二十日ごろに外国へ出張するというような事情もございまして、一回目ではまだ十分な検討がなされていない、帰ってまいりましたら早々さらに二回目を開いてこの取り扱いを進める決心でございます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院は八月十三日に政府並びに国会に公務員給与改定に関する勧告をしたわけですが、これを分析してみると、基本給においては六・四%、それから三短措置とか通勤手当、こういうような諸手当のはね返りを含めて七・二%ということになるわけであって、これは公務員要求を全く無視した、いわゆる低額勧告であったと私どもは見ておるわけであります。ところが、その実施時期についても政府は過去五カ年引き続いて人事院勧告実施時期を大幅に値切ってきたわけです。このことは公務員労働者諸君に対してばく大な損害を与えておると言わなければならないわけです。ことしもまたどうやら実施時期についても大幅に値切ろうとしておるのではなかろうかと憂慮されるわけです。この点については、給与担当大臣としての総務長官はどのようにお考えになりますか。
  7. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 人事院勧告につきましては、政府全体といたしましても、これは極力全面的に尊重いたしたい、こういう気持ちは常に持っておるわけでございます。ただ、御承知のように、財政上の非常な年度途中における変更になるものでございますから、その措置とにらみ合わせまして、従来十分御満足のいくような結論が出なかったことは遺憾でございますが、でき得る限り今後も私ども全面的に尊重するというたてまえのもとに検討してまいりたいと思っております。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまも申し上げたように、その引き上げ額については、公務員諸君要求額とははるかに隔たっておるわけです。公務員諸君は一律七千円の要求をしておるわけです。これを根拠づけるものは確たるものはあるわけですが、時間の関係でそういうことには触れませんが、そういうことと、昨年から今年にかけての物価の高騰、あるいは公共料金引き上げ、こういう点を考えてみると、現実には実質賃金のやはり切り下げになるということが言えると思うのです。さらに、今後物価は上昇するであろうと、こういうことをあわせて考えたとき、公務員諸君生活は一そう苦しいものになるのではなかろうかと憂慮されるわけです。で、こういう点については、給与担当大臣としてもいろいろお考えでしょうが、どのように考えておられるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  9. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話しのとおりに、四月の物価を標準にいたしまして、民間給与公務員との給与の差額を見て、これの穴埋めをするというのがたてまえでございます。したがいまして、人事院がその作業をいたして、非常な精密な検討の結果出した結論につきましては、私ども、いろいろ御議論はあるかもしれませんが、これを権威あるものとして扱いたいと思っておる次第でございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院勧告が科学的に根拠を置いて公平厳正なものであるという前提に立てば、その内容そのままとってよいということは考えられるわけですけれども、その人事院は、公務員生活の実態を全く軽視しておるわけです。かりに、比較はここでは申し上げませんが、いろいろと問題があるわけです。決して公平厳正とは考えられない。それから給料表を見ても、率の面では下厚上薄措置をとったとしておりますけれども、額の面で見ると、最低は千二百円で、最高は四千九百八十円、こういう差があるわけです。この賃金体系では、依然として職務職階給方向を踏襲しておるということが言えるわけです。これでは公務員諸君にとってはまことに遺憾であると言わなければならないわけです。こういう点については、ひとつ給与担当大臣としてはどのようにお考えになっておるのか、この点をお聞かせいただきたい、こう思うのです。
  11. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 人事院勧告をつくりました内容の詳しいことにつきましては、当事者からお聞き取りを願いたいと思いますが、私どもは、第三者機関である人事院が、相当十分な資料と手間をかけて慎重に検討した結果であろう、こういうふうに思っております。また、今度の勧告内容には、できるだけ下のほうに厚く上に薄いというような方針がとられておるようにも考えております。詳しい内容につきましては、ひとつ当事者からお聞き取りいただきたいと思います。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御指摘になった下に厚く上に薄くということでありますが、いま私からも申し上げたように、その率の面ではそういうふうに言っておりますけれども、額の面では数字を申し上げたように、相当な開きがある。なお、諸手当を見ても、通勤手当については不十分ながら一応の前進の姿がとられておるわけですけれども扶養手当とかあるいは住宅手当あるいは宿日直手当、あるいは寒冷地手当暫定手当僻遠地手当、こういうものについてはすべて見送りとなっておるわけです。特に住宅手当等については、相当強い要望もあったわけですが、人事院総裁も十分考慮するというような意味の御答弁もあったにもかかわらず、結果は全然見送られておる。これは一体人事院としてはどういうふうに諸手当考えておるのか、まず人事院からお伺いしたいと思うのです。——それでは後ほどお伺いすることにして、こういう諸手当の問題について、給与担当大臣としてはどのようにお考えになっておりますか。
  13. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 人事院としまして、諸般の情勢をいろいろ考えた上で、妥当と思われる結論を出したと思いますが、今度の、いま言われますように、住宅その他でまだあるいは伊藤先生のほうから見られて不十分と思われるかもしれませんが、通勤手当改善であるとか、その他の問題につきましては、かなり従来にない操作も加えておるようでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さき橋本官房長官談話を発表されておるわけです。その内容は、勧告内容は尊重するけれども実施の時期については財源の関係上困難だと、こういう意味談話発表があったと思うのですが、これは官房長官が見えてないので、お伺いするわけにいかぬわけですが、給与大臣としてもこの点については十分お考えになっておると思うのです。  そこでお伺いしたいのは、官房長官は本気でそんなことを発言されておるのかどうかという点と、それから総務長官一体このことをどういうふうにお考えか、あわせてお伺いしたいと思うのです。
  15. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 先ほど申し上げましたように、政府全体といたしまして、でき得る限り、これは時期をも含めて人事院勧告を尊重いたしたいという気持ちに変わりはあるまいと思っております。官房長官は、おそらく今年度財政収支の非常な悪化を憂えて、この財政面からいろいろな困難があるであろうということを指摘したかもしれないと思いますが、これも御承知のとおり、ことしは財政事情がよくないことは一面事実でございます。しかし、私どもは、それはそれ、そうして人事院勧告をいかに尊重して実現するか、この問題につきまして先ほど申し上げました関係閣僚の間で十分に練って結論を出したいと思っておる次第でございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私が申し上げるまでもなく、人事院は創立以来三十四年まで、この間には実施時期についてはできるだけ早くとか、あるいはできるだけすみやかに、こういう表現で勧告をしてきたわけですけれども院内外からの強い要請にこたえて三十五年から実施の時期を明確にしてきたわけです。これは人事院としては一歩前進であったと思うわけですが、ところが、過去五カ年の間、この実施時期については政府はいつもこれを無視してきた。実施の時期を大幅におくらせてきたわけです。で、これを三十五年以降五カ年間を見積もってみると、公務員一人当たりが六万七千四百二十六円の損害を受けておる、こういうことが言えると思うのです。かような公務員損害を押しつけておいて、なおかつ人事院勧告を尊重するのだということが一体言えるのかどうか、こういう点に大きな疑問があるわけです。この点はいかがですか。
  17. 安井謙

    国務大臣安井謙君) できるだけ勧告を尊重していきたいという気持ちにはもう変わりはないわけであります。ことに給与担当大臣といたしましては、特にその点はできるだけ配慮いたしたいという気持ちでおります。ただ、国の財政上の都合からやむを得ず、ないそでは振れないといったような事情がいままでも起こっていたようでございます。また、ことしの財政事情はさらに例年よりも決してよろしくないどころか、非常に悪いという事情が一面にあることもこれは事実でございます。しかし、私どもは極力これはひとつ勧告を全面的に尊重するというたてまえで努力をいたす決心でございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政府は、この勧告内容と、それから勧告の時期、こういうものを分離して考えておられるのではないだろうか、そういうように考えるわけです。その点、人事院勧告したのはこれこれの内容で、この内容を本年五月までにさかのぼって実施せよ、こういう趣旨であるわけです。したがって、勧告内容実施の時期もあわせて一体なものであるわけです。ところが、政府はこれを分離して考えているわけであるからそういうことが言えるわけです。ということは、これこれの内容を本年五月にさかのぼって実施して初めてその内容が生きてくるわけです。したがって、内容と時期、こういうものを合わしてこそ勧告内容ということが言えるわけです。それで、政府は口を開けば、勧告は尊重すると過去五カ年間も言い続けてきたわけです。いまもお伺いすれば、必ずどの大臣にお伺いしても、勧告内容は尊重すると言われておるわけです。ところが、実施の時期を大幅に後退させるということは内容に直ちに影響してくるわけです。先ほども申し上げたように、五カ年間の損害は約七万にもなるわけです。こういう点から考えて、尊重すると言われるならば、実施の時期も内容であるから、当然その実施の時期は本年五月にさかのぼって実施すべきである。これは理の当然と言わなければならないと思うのですが、この点はいかがですか。
  19. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 全面的に勧告内容実施したと言い切りますためには、おっしゃるように、五月にさかのぼって実施したのが完全にその意味になろうと思います。ただ、従来ともこの財政上の状況を加味されました結果、やむを得ずその時期が若干ずれておるというようなこともございます。まあ先ほど指摘のように、三十五年から初めて実施の時期も明示されたわけで、それ以前には、さらに三十五年からいままでよりは、もっとおくれたような時期も非常に多かったと思いますが、そういう意味で時期を明示されることによりまして、少しでもこの完全実施に近づいているということが最近の傾向であろうかと思います。今後もひとつできる限り私どもはその線に向かって努力をさしていただきたいと思うわけであります。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御答弁によると、以前よりはこれでもだいぶよくなったんだとおっしゃるけれども、以前がひど過ぎたわけです、以前が。一年、二年も民間から給与改定がおくれてきたというので、あまりにひどいので、人事院考え直して実施の時期を明確にしたわけです。だからこれは当然のことを人事院はきめたにすぎないわけです。  なお、この機会に言うならば、五月にさかのぼるという状況でも非常に不満なわけです。民間との較差は四月にとってかくかくの差があったわけです。したがって、人事院はほんとうに誠意を持って勧告をするならば、本年四月にさかのぼって実施しなきゃいかぬ。四月に民間と比較したらすでにかくかくの差があったわけです。だから四月にさかのぼって実施すべきであるわけです。この点は人事院総裁にお伺いしても何ら根拠のある答弁はできないわけです。何ら意味がないわけです。四月に比較したらすでにかくかくの差があった、だから翌月から実施だと、そういう答弁だ。これは何ら根拠がない。科学調査を生命としておる人事院としては、当然に四月にさかのぼって実施すべきが理の当然であるわけです。こういうことはいま触れてないわけですけれども、そういうふうな不満がある。不満だからひとつ人事院勧告内容どおり五月にさかのぼってと、こういうことが言えると思うのです。で、特に政府としては憲法違反の疑いがある。労働基本権に対する規制を強く公務員公共企業体職員に押しつけておるわけです。それで、賃金問題に関しては、唯一救済手段である人事院勧告は五カ年にわたって実施してこなかった。一方春闘による公労協の大量処分のように、法規違反者に対しては直ちに厳罰をもって臨んでおる。政府公務員には順法の精神を説くけれども、みずからは法の精神を無視した態度をとっている。勧告実施時期をずらしてくるということは法の精神に反するわけです。というのは、人事院はなぜ何ゆえにできたかというその基本的な点を踏まえて考えれば、これは当然のことと言わなければならない。したがって、政府公務員やあるいは公共企業体職員に対していわゆる違法呼ばわりをするということは当たらないと思うのです。政府みずから反省して、たとえば人事院勧告を文字どおり完全実施してこれを尊重すると、そういう態度をとっておる政府が初めて言えることばだと思うのです。その点はきわめて遺憾の意を表さざるを得ないわけです。この点については、給与担当大臣としては一体どのようにお考えになっておりますか。
  21. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話しのとおり、この人事院勧告の時期をも含めまして、全面的に尊重すべきものであるという精神には、政府は変わりはないわけでございます。しかし、これは御承知のとおり、法的な規制というものはない。政府として、これは精神上そういうものを十分尊重しなければならぬと、こういうふうに考えながら、この実施の問題について検討いたしておるわけでございます。で、別のほうの公務員の法の違反といったような問題は、これは明らかに法規上の違反と見られておるものが出ました場合には、それはそれとして適当なる処置をとらざるを得ないというのも事実であろうかと思います。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近公労委のいわゆる仲裁裁定に対しては、完全実施しようとする非常にいい慣行がようやくできてきたわけです。したがって、人事院勧告に対しても公労委仲裁裁定を目標にこれを尊重して完全実施する、こういうことでなければならぬと思うのです。公務員公平の原則にも違反するのではないかと思う。公労委仲裁裁定は、最近も御承知のように、完全にこれを実施する慣行ができてきているわけです。なぜ公務員に対してこういうことをなさるのか、きわめて片手落ちと言わなければならぬ、その点はいかがです。
  23. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 公労委裁定につきましても、むろんこれは全面的に実施をすべきであるという精神でこれは行なわれております。幸いにして企業体財政上許す限りこれを完全実施しておるという実例ができていることは、たいへん好ましいことだと思います。これもしかし政府が当時やむを得ずとりましたと同様に、いまのところ資金上、予算上にどうしても不可能な場合には、この裁定を全面的に必ずしも採用するとばかりとは限らないということも御承知のとおり規定されておるわけであります。ただ財政上の事情が許してこれができるということは、私ども非常に好ましいことだと思います。これはけっこうだと思っております。できる限り政府もそういうものと同じように努力をしていきたいと考えております。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ILOわが国公務員労働者賃金のいわゆる労働条件改善についてのILOドライヤー報告書を発表して、わが国公共部門における労使関係正常化、こういうことについて勧告を行なってきたやさきでもあるわけです。しかも政府ILO常任理事国でもあり、こういう立場からも国際的義務にこたえて公務員労働者賃金条件についてその改善にひたむきの努力をしてしかるべきです。そういう観点からいわゆる実施時期の完全実施ということは、まずもってなすべき最低義務ではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、この点はいかがですか。
  25. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ILO精神政府としても、十分にこれは尊重するつもりでおりますし、また、先ほども繰り返して申し上げましたように、人事院勧告内容を尊重するという気持ちは、十二分に持っておるつもりであります。できるだけ努力をしたいというわけでございます。ただ、いままでもありましたように、同じことを申し上げますが、財政上背に腹はかえられないというような場合のあることは、まことに遺憾でありますが、今後ともそういう問題をできるだけ克服をしていく、ひとつ勧告趣旨に沿うように努力をするつもりでございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係がございますので、最後に総務長官に強く要望をかねてお伺いをしたいと思うわけですが、先ほど申し上げたように、政府はいわゆる公務員労働者からスト権とかいわゆる団交権を奪った、その代償として設立した人事院、その人事院勧告を、これを特に政府内容実施時期に分けておるわけですけれども、特に実施時期の完全実施をそのまま実施しない限り面容は低下してくる。その率は先ほど数字で申し上げたように、五カ年間に約七万円にもなる、公務員一人々々平均して。こういうことから考え人事院勧告公務員に対する唯一救済手段であるということを先ほども申し上げたわけです。そういうことから人事院勧告は、これを尊重するというならば、完全実施して初めて尊重するということが言えると思うのです。完全実施しない限り、これは尊重したことにはならぬ、軽視しらことになるわけです。そういう意味からも、政府は大体毎回その理由としていわゆる財政困難、こう言う。財政困難ということを口にしておるわけですけれども財政が困難だから時期をおくらせる、これでは政治ではないと思う。財政が苦しいからおくらせる。それなら何人も大臣になれるわけです。そこを政治の力で解決するのが政府責任であろうと思うわけです。こういう意味からも財政困難というようなことを口にしないで、これはみずから微力を発表するようなものです、財政がない、ここを切り抜けていって初めて内閣の、政府責任が成り立つと思う。そういうような観点からひとつ、内容はもう言うまでもなく、実施時期の完全実施にひたむきな努力をしていただきたい。特に給与担当大臣として総務長官責任はまことに重大であります。そういう観点からひとつ一大決意を持って完全実施に向かって尊重の努力をお願いしたいということを強く要望申し上げて私の総務長官に対する御質問を終わっておきたいと思います。これに対する総務長官としての決意のほどをひとつお伺いしておきたい。
  27. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 伊藤委員の御趣旨のほどは私もよくわかるのでございます。いままでも不本意ながら、ないそでは振れないということでその不本意を重ねてきておりますが、今後もひとつ御趣旨の線に沿って努力をしてやるつもりでございます。
  28. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 関連して。安井長官先ほどから伊藤委員に対する答弁を聞いておるのですが、八月十七日の本委員会長官答弁されたときのニュアンスと、何か心細いような感じがする、ぼくの受け取り方では、するのですが。五人委員会が開会されて第一回。第二回は開かれていないが、相当財政問題で大蔵大臣から締めつけられたというようなことはないのですか、もうちょっとざっくばらんにお話しいただきたい。
  29. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ざっくばらんというお話でございますが、まだ締めつけられたり議論をする段階までいっておらぬわけであります。ただ、いま御承知のとおりに、本年度財政状況というものは例年に比して非常に苦しい事情にあるという事実だけはあるので、かなり頭の痛い問題であることは確かであります。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこれで終わりますが、お忙しいらしいですが、稲田大蔵大臣が三日の日ですか、IMFから帰られるらしいのですが、この人事院勧告による公務員給与引き上げ閣議決定は、一体どれくらいの見通しで政府考えておりますか。昨年はたぶん十月の十四、五日だと思うのですが、臨時国会も開かれますし、公務員諸君もこれに対して非常に期待を持っておりますので、政府としてはもちろん完全実施をしてもらわないといけませんが、この決定時期も相当われわれとしては重要に考えております。大体見通しはどのくらいの見通しを持っておりますか。
  31. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 国会も開かれることでございますし、いろいろな事情もありましょうから、的確なことは申し上げかねますが、例年大体十月中旬前後にはきめておるというのが実態でございます。ことしもできればそういうようなころにはきめるようにはからいたいという努力をするつもりでおります。
  32. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を始めて。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 引き続いて給与に関連してお伺いしますが、まず順序としてお伺いしたいのは、文部省に対して、超勤手当と警備員設置、この二つの問題を中心に、以下二、三の点についてお伺いしたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、他の一般職公務員に見られるところの超勤手当制度、これが教職員に限って例外として適用されていない。これは一体いかなる理由に基づくものか、この点からまずお伺いしておきたい。
  35. 斎藤正

    説明員斎藤正君) その点につきましては、先生御承知のように、教職員の勤務というものを他の一般の行政の職員と同様な方法で時間的に的確に捕捉しがたい面があるということで、沿革的には給与の基礎を一般行政の職員より有利にして扱って、そうして超勤手当を支給しない、あるいは都道府県の義務教育の職員につきましては、都道府県の負担となっておりますが、この中にはいわゆる超勤手当というのは負担の対象外になっているというのが現在までの沿革でございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点、超勤手当については、昨年の人事院勧告でこういう勧告をしているわけです。いわゆる超勤手当については支給すべき方向を明らかにして研究の必要のあることを勧告している。そこで今年人事院においては文書をもって勧告していないで、昨年支給すべき方向を明らかにしたのだから、そうして研究の必要を勧告しているのだから、あとは文部省が研究して予算化すべきだ、そういうように口頭で中村文部大臣に総裁から要請しているわけです。  そこでまず人事院にお伺いするのですが、昨年こういう支給の方向勧告しておいて、それが実現しないのに、今年そのまま文書では勧告しないで、口頭で要請したということについては、きわめて誠意のいかんが考えられるわけです。あまりにも誠意がなさすぎるではないか。こういう点について、総裁見えませんので、次長からでもけっこうですが、どういう意味合いで今年は文書をもって勧告しなかったのかどうか。  それから文部省については、人事院から昨年そういう研究の必要を勧告されたのだから、その後引き続き十分検討を加えて研究したと思う。そこで、研究の結果、一体どうなったのか、そうして本年、来年度の予算の面でも予算化しているのかどうかという具体的な問題について文部省にはお伺いしたい。まず人事院から。
  37. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) お答えいたします。  教員の超過勤務及び超過勤務手当の問題につきましては、昨年の勧告におきましては御指摘のように、報告の中で問題点を指摘をいたしまして、そうして今後における関係省庁間における検討方向ということを指摘したわけでございます。でその後、人事院におきましては、事務的に文部省とも連絡をとりまして、何ぶんにも問題が人事院の管轄下でございますところの国立の教員の問題よりは公立学校の教員の問題のほうがウエートが大きい問題でございますので、文部省からいろいろ調査の結果を承りまして、その中身をいろいろ検討したわけでございます。しかしながら、その結果の中身はやはり教員の勤務時間の中と外との間でどう職務内容が違うのか、そういう問題につきまして非常にニュアンスのある問題がございます。したがいまして、超過勤務手当を支給する場合にはどういう問題があるか。むしろ問題は、そういう勤務時間内と外とにおきまして、超過勤務という概念そのものに問題があるのではなかろうか、こういった問題をいろいろ検討しておりまして、その中身について、事務的な中間的な調査結果などを得て、中でそういう披露等をしたわけでございますが、さらにそういう関係を文部省にも事務的に御連絡いたしましているというのが現在の段階でございます。何ぶんにも中身が非常にむずかしい問題でございますので、今回は去年の報告に指摘いたしました中身と問題点においては変わりませんし、今後においてさらに文部省とも御連絡をして検討をしていきたいというつもりで、いままでの段階ということを、調査を進めてきたということを御連絡するとともに、文部省にもさらに研究を進めようではないかということを御連絡したということでございます。
  38. 斎藤正

    説明員斎藤正君) お答えいたします。  ただいま人事院からお答えがありましたように、三十九年の勧告及び報告の中で、その報告の文におきまして、「教員の超過勤務に関する問題がある。」ということが指摘されまして、「この問題は、教員の勤務時間についての現行制度が適当であるかどうかの根本にもつながる事柄であることに顧み、関係諸制度改正の要否については、この点をも考慮しつつ、さらに慎重に検討する必要があると考える。」という点がございました。  本年、人事院勧告が出ました後、八月十四日でございましたが、人事院総裁から文部大臣に対しましてこの問題についてのお話がございました。その要点は、私も同席いたしておりましたので、これは文書でございませんから、私の記憶によりますと、今回の人事院勧告においては、文言として教員の超過勤務の問題について言及しなかったが、人事院としては、この問題に対する態度は前年の報告の趣旨と変わっていないということでございます。この問題を具体的に検討いたしますかめには、その基礎となる教員の超過勤務の実態をさらに明確にする必要があろう。このため、人事院におきましても、また文部省におきましても、さらに調査し、具体的な検討を行なう必要があるというような趣旨であったかと記憶するのであります。  そこで、文部省といたしましては、明年度の予算ではこの教職員の勤務に関する実態調査ということをいたしたいということを考えておるわけでございます。と申しますのは、現在、過去七、八年前でございましたか、教員の勤務量調査等についても、若干でございまするけれども、これは教員の一日の仕事という観点調査でございます。で、今回、さらにいま人事院から御指摘のありましたような勤務と学校運営というものとの関係、勤務時間、拘束時間というようなものとの関係、あるいはその他の仕事の関係等を相当大規模に抽出調査をして、そしてこの問題に対する基本的な資料にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御答弁を伺っていると、どうも納得しがたいのですが、教職員の超勤手当の必要性については、ここ一、二年来問題になったのじゃありませんで、これは過去長い間問題になってきたわけですが、文部省は全然これを取り上げてこなかったわけです。しかも、昨年の人事院勧告でその必要な方向を強調されて研究すべきであるという意味勧告を受けておる。ところが、来年度の予算で教職員の実態調査に入りたい、こういうことではあまりにも誠意がなさ過ぎるわけです。何か確たる根拠があって、ひとり教育公務員だけに超勤手当を出さぬ確たる根拠が明確になっておればこれは話は別ですが、これという根拠もなくして、教育公務員だけを例外として扱ってきたことに対する文部省の措置はきわめて不誠意であり、怠慢であると言わなければならぬ。これは大臣がお見えになっておらぬので、大臣おらざるときは次官これにかわる、そういうような意味合いで、幸い中野名次官が見えているので、ひとつ責任ある御答弁、今後の取り組みの方向をはっきりと御答いただきたいと思います。
  40. 中野文門

    説明員中野文門君) 先生方の超過勤務手当の問題でいろいろただいまお尋ねがあって、答弁をいたしておるわけでございますが、斎藤局長が申されましたように、来年度の予算でひとつ、予算要求をただいましておるわけでございますが、綿密なる教職員の勤務の実態、超過勤務に関するいろいろな調査を真剣に前向きで進めたいということで、先ほど局長が等介しましたような措置を現在考えておるわけでございますが、何しろ一般公務員の日常の勤務の実態と、子供たちを預って勉強させておるところの先生方のその使命のとうとさはもちろんのことでございますが、勤務の実態というものがいろいろの面から異なっている点が多々あるのでございまして、これは御承知のとおりでございますが、そこらのところが、たとえば、私はさようには思いませんけれども、昔から先生は学期末にはお休みがあり、暑中ともなれば長期の事実上の休暇等もあるのだというようなことが、私はさようには思いませんけれども、やはり一般の勤務の実態、他の職域との比較なんかの点ではそういうことが従来は言われてまいっております。しかし、ただ限られた時間だけで済む先生方の仕事ではないと思います。校内におけるあるいは教室における瞬間的な勤務というものと、それから放課後校外で自分の受け持ちの子供のすべての精神的な指導育成とか、しいて言うなれば、二十四時間ぶっ通しで先生は勤務をされておるのが私は理想と考えておりますので、そういう点から考えますというと、四の五の言わずにそういう叫びが強ければ前向きで超過勤務手当を何とかして出し得るような方向に文部省も考えなくてはならぬというふうに私自身は実は考えておるのでございますが、さて、人事院というものもございますし、文部省自体といたしましても、この先生方の仕事がとうといということだけで直ちに超過勤務手当を出すという段階に今日までなっていないように私は承知いたしておりますので、重ねて申し上げますが、他の職域とは違った、特に精神面にウエートを置かれた先生方の勤務に対して、なるべくすべての御要求が満たされるようにわれわれも作業をいたしたい、かように考えておりますので、誠意のあるところをひとつ御了承賜わりたいと思います。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 教育に深い理解を持った中野政務次官在任中に、この実現を目ざしてぜひ前向きの姿勢で大幅にひとつ努力願いたいということを重ねて要望を申し上げて、この超勤手当については一応打切っておきます。  次に、これにも関連する警備員設置について文部省にお伺いいたしますが、これは国会でも文教委員会等で検討を進められておろうと思うのですが、国立大学の場合はほとんどが警備員をすでに設置しておるわけです。そこで、人事院が国家公務員を対象とするという性格上、その勧告は見送られておるようです。これは人事院が常に国家公務員を対象としての給与考えておるので、まあ一応了解できるわけですが、そこでお伺いしたいのは、文部省としては一体どうなのか、どのように考えておるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  42. 斎藤正

    説明員斎藤正君) お答え申し上げます。公立の小中学校等におきましての教職員の宿日直の問題につきましては、これは従来学校の施設の保全管理、その他教育上の問題が、いわゆる夜間あるいは休日等に仕事として起こり得るという可能性がありますので、従来は全般的にはこの仕事を、保全管理その他の仕事につきまして学校長の責任とされておりまして、学校長は教職員に宿日直を命ずるという形態で処理してきたわけであります。いまお話のございましたように、まあ建物の保全管理というようなことでございますならば、必ずしも全面的に教職員の日直を全部が必要とするということでもなかろうということで、いろいろ国会においても御審議がございました。また、非常に部分的ではございまするけれども、教職員の宿日直にかえて警備員を設置し、それに必要な人を雇用しているという例もあるわけでございます。そこで、これもなかなか全国を見ました場合に、一がいに現在の段階でどうだという判断は非常にしにくい事情があろうと思います。学校の地域、規模、あるいは学校の運営の方法等において、非常に異なった事情があろうと思います。そこで、先般も衆議院の文教委員会におきましては、学校警備員の小委員会が設けられてだんだん審議が進められておるのでございまして、文部省としては、やはりこの問題も全国的な実態調査をする必要があろうということでございまするので、これも明年度の予算要求におきましてはまず調査費を要求いたしまして、その結果を十分に分析いたしまして、そしてこの教職員の宿日直問題をどうすればいいかということにつきましての結論を得たい、現在そのように考えておるのでございます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の制約がございますので、深く掘り下げてお伺いできないのが残念ですが、何と言っても国立大学の場合は一律に実施しておって、地方公立学校の場合は全面的に実施していない。もちろん地方公立学校の実態については千差万別で、大きな学校は片っぱしから回ってこない警備の仕事は回ってこないけれども、結局警備がなければ宿日直者が警備に回る。こういうことになればあすのまた勤務にも差しつかえるし、校舎の管理上もいわゆる盗難とか火災、こういう点を考え、また教職員の過重労働、こういうことをあわせて考えたとき、これは緊急にやるべき筋合いのものであろうと思う。これも先ほどの超勤手当を教育公務員だけに出さないという片手落ちと同様に、国立大学には実施しておるけれども地方公立学校には実施しない、これも一つの大きな片手落ちだろうと思う。しかもこの問題は一、二年以前から起きた問題ではなく、長年課題になっておるわけです。これも要すれば文部省の怠慢と指摘せざるを得ないわけです。そういう意味合いからひとつ早急にこの実現に極力邁進すべきであるということを強く要望申し上げておきたいと思います  次にお伺いしたいのは——もう時間がありませんから要約してお伺いいたしますが、自治省は大臣はお見えにならぬで鎌田事官がお見えになっておりますから、大臣にかわってひとつ御答弁いただきたいと思います。八月十二日に第二回の政府・総評の定期会談のあった際、永山自治大臣は、地方財政が窮乏しておるので、来年一月実施ということくらいでないとなかなか切り抜けられぬという意味の発言をされたというふうに漏れ承っておりますが、事実さような発言をなさったのかどうかという点。それからこれは大臣がいないのでお伺いできないのですが、来年の一月実施というようなことを本気で発言されたのかどうか。もしほんとうにそうだとすると、これはゆゆしい問題であって、断じて黙視できないと思う。この点を明らかにしていただきたい。
  44. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) お答えいたします。  事柄は大臣が発言したかどうかということにかかわっておるようでございますので、私の答弁で御満足いただけますかどうか、心もとない次第でございますけれども大臣の申しました趣旨は、事ほどさように地方財政の緊迫した情勢のもとでは、国が財源措置をしなければ地方団体の給与改定は困難であるということを強調した趣旨であろうと思う次第でございます。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 自治省としてはいかにして地方に対する財源を確保するか、これが自治省本来の使命の一つであろうと思うのです。ところが、財政がいま目下窮迫しておるから来年一月ごろでなければ実施できぬだろう、こういうふうにもし言われたとすれば、これはもうきわめて遺憾だと言わざるを得ないわけです。先ほど指摘申し上げたように、財政が窮迫しておるからおくらせるのだということであればこれは何人でもできるわけです。金があるから使える、ないから使えない、ただ単にそれだけのことであるならば自治省の存在価値はないわけです。地方財政がいかに逼迫しておるか、これは三十八年度の地方財政の実質赤字総額が約一千億あったと思う。赤字の一部と思える地方債が約二兆円。それから三十九年度になって普通会計決算による都道府県の実質累積赤字、これは三十八年度の五十億から百十七億になっておる。また一方、地方公営企業についてみても、法適用分の赤字累積は三百七十六億から六百五十五億になっておる。こういうふうに数字指摘してみても、地方財政がいかに逼迫しているか。それからそれと同時に、地方公営企業がいかに赤字に悩んでいるかということの一半がこれで明確に察知できると思うのです。事ほどさように、地方公共団体とか、いわゆる公営企業、こういうものが国のいわゆる財源措置なくしてはとうてい公務員並びに公共企業体の公営企業の職員の給与改定などはなかなか実現できぬと思う。こういう点について、自治省としては財源確保にどのようにいま取り組んでいるのか、こういう点について御説明いただきたい。
  46. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) ただいま御指摘になりました地方財政のいろいろな事情のほかに、今年度地方財政の特殊な事情といたしまして三つございます。一つはすでに御存じのとおり、国のほうで九月決算の結果が明らかになりませんというと、まだ明確にならないわけでございますけれども、大蔵当局は今年度におきまして国税で二千億をこえる税収の歳入欠陥を生ずるだろう、こういうことを申しておるわけでございます。そういたしますと、御存じのとおり、これの中には国税三税が含まれておりますから、地方交付税に当然はね返って、いわゆる地方交付税の歳入欠陥という問題が生じてまいります。大ざっぱにいろいろの推定があるわけでございます。四百五十億から五百億ぐらいの歳入欠陥を生ずるだろう、こういうふうに私ども見込んでおるわけでございます。また、国税におきまして二千億をこえるような歳入欠陥というものを税において生ずるということでございますというと、同一の事情は地方税にも働くわけでございますので、地方税でもこれは税におきまして歳入欠陥を生ずる。これは各団体三千有余それぞれ事情がございます。個々の事情に当たらなければわからないわけでございますけれども、これも全体といたしましては、やはり六百億をこえる税の自然減というものを生ずるであろう。そうしますというと、それだけですでに千百億という歳入欠陥を生ずることになるわけであります。その上ただいま問題になっておりますところの給与改定という問題が出てまいります。五月から実施をするということになりますというと、七百四十億の財源を必要とするわけでございます。プラスいたしますと千九百億前後の、ほっておきましても、ことしは歳入歳出両面におきまして赤字の要素というものがさらにただいま御指摘になりましたような事情の上に加わってまいる。ならぬ私どもは事態に立ち至っておる、こういうふうに考えておるわけであります。そこで当面の問題といたしましては、国税の減収に伴いますところの交付税の歳入欠陥につきましては、これはすでに八月一ぱいで府県市町村に本年度の交付額は決定通知をいたしておりますので、これについては影響を及ぼさぬような特別の措置を講じてまいりたい。それから税の減収と給与改定に伴いまする所要の財源、これは合わせましてやはり当面私どもといたしまして、国家公務員について給与改定が行なわれるならば、その実施時期、実施内容というものを同じにした前提での財源措置というものは当然講じてまいりたい。そういう形で当面の容易ならぬ財政の窮況というものは克服してまいりたい。ただ、基本的には、やはり何と申しましても、現在の地方団体の自主財源が足りないという問題がございます。それからせっかく一般財源がふえましても、その六割から七割というものは、黙っていても給与費、補助費、それから公債費、いわゆる借金でございますが、これの元利償還にもっていかれる、こういうやはり財政構造自身に手をつけてまいりませんというと、地方財政の窮迫、赤字転落という問題は毎年々々、毎年毎年といいますとちょっと言い過ぎでございますけれども、やはり循環をしてまいる、こういう形になってまいるのでございますので、国、地方を通ずる事務の再配分に対応いたします財源の再配分という問題について、やはり諸先生方の御協力もいただきながら、なおこれを実施してまいりたい、推進してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、問題はたくさんあるわけですけれども、あと防衛問題も控えているわけですから、最後に一点だけお伺いして、あと自余の問題は十月四日に内閣委員会が開かれますので、その際に譲りたいと思います。  そこで最後に、主として大蔵省給与課長が出席しておられるわけですが、こういうことをお伺いしたいと思います。昨年は、所要財源のうち百五十億を国が交付税、それから剰余金配賦金特別会計から融資する方法をとっておったと思うのです。今回はどのような財政措置考えられるのか、この点について大蔵省としては一体どうお考えか、それから自治省としてはどういうふうに措置しようとなさるのか、こういう点を、それぞれの立場から御指摘いただきたい。
  48. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 私地方財政のほうを直接担当いたしておりませんので、必ずしも明確にお答えができないかと存じますけれども給与改定に伴います地方財源の問題は、現在大蔵省といたしまして、その他のいろいろな歳出要因とあわせて慎重に検討中の段階でございますので、いまの段階におきましては、どういう措置をとるか、明確にお答えができないかと存じます。
  49. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) いままでの給与改定につきましては、年度中途でありましたけれども、自然増収が交付税と地方税とそれぞれにございましたので、それでまかなえてまいったことは御存じのとおりでございます。ただ、昨年度になりまして税の自然増収が伸びましたために、昨年度におきましては、まず一つはそれでも税の自然増収が若干ございました。それから交付税の自然増収も若干ございました。それから国におきまして補助事業の節減をされましたので、それに伴う地方負担の減がございました。それから地方団体としての単独事業におきましても、それぞれ非常に苦しい中でございましたけれども、最小限度の節減はやっていただく、その残りが交付団体で百五十倍という数字が出まして、それをただいま御指摘になりましたような方法で処置をいたしたわけでございます。いわば交付税、譲与税の前借り方式でやったわけでございまして、これはいわば地方団体が自分のものになる財源の先食いをした、こういう形になっております。そういうやり方で処置をすることがいいのかどうかという問題は一つございますけれども、いままでは率直に申しまして地方財政は火の車でございましたが、国家財政のほうは剰余金を出している、こういう状態で、いわば国庫財源というものに依存をすることがでふたわけでございますけれども、来年度におきましては国、地方を通じまして財政状態が非常に悪い、こういう状態のもとにどういう方法をとるか、ただいま申しました前借り方式をとるのか、あるいは特別補給金的な形をとるのか、あるいは昔やったことがございますけれども、あまりいい方法ではございませんが、地方債を出さして元利補給をやる、いろいろな方法があるわけでございますけれども、ただいま大蔵省のほうからもお答えがありましたように、五相会談と申しますか、こういうところできまりましたところで、きまった線に従ってやはり地方財政についてどういう手当てをするということに相なるのではないか。ちょっといまの段階ではまだそこまで詰めたお答えができない状況にありますので、御了承いただきたいと思います。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大蔵省にさらにお伺いいたしますが、先ほど総務長官にもお伺いしたわけですが、人事院が三十五年から実施の時期を明確にして勧告するようになった。そこで、昨年まで五カ年の間、政府はこの人事院勧告の特に実施時期について財政困難のゆえをもって今日までこれを大幅に後退さしてきた。そのつど大蔵省が財政困難ということでまっこうから実施時期については反対してきた。ことばをかえると、この実施時期が完全実施されなかった責任の大半は大蔵省にあるということがはっきり言えると思う。こういうことについて、大蔵省としてはどう考えておるか。ことしの財政は非常に豊かであるとは私ども考えていない。しかしながら、過去五カ年の間、いつもいつも勧告は尊重すると言いながら、主として大蔵省がまっこうから財政難ということで反対してきた。そこに大きな理由があろうかと思うのです。これは財政困難だから実施時期をおくらせる——繰り返し申すように、それならだれでも政治はできるわけです。そこを切り抜けるのが大蔵省、財源を何とかするのが大蔵省の使命であろうと思うのです。こういう点について大蔵省としては、これは大臣にお伺いしたいところですが、一体、どういうようにお考えか、最後のお伺いとして尋ねておきます。
  51. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 財政当局といたしましても、従来から国家公務員給与に関します人事院勧告はできる限り尊重するというたてまえをとってまいっております。したがいまして、先般の人事院勧告につきましても、このような立場に立ちまして、目下鋭意検討中の段階でございます。ただ、公務員給与の問題は、何と申しましても、広く財政並びに国民経済全般と密接な関連を有します重大な問題でございます。さらに、本年は、御承知のように、国、地方を通じまして例年にない財源難の実情でございます。その上に、給与改定以外のいろいろな歳出要因——災害でございますとかその他のいろいろな歳出要因が重なっておるという困難な事情がございます。したがいまして、財政当局といたしましては、これらの事情を総合的に勘案いたしまして慎重に態度をきめたい、かように考えております。
  52. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本件につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  53. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、国の防衛に関する調査のうち、北富士演習場に関する件を議題といたします。  本件につきまして質疑の通告がございます。これを許します。なお、本件につきましては、小幡防衛施設庁長官出席しております。山本君。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きょうは時間が相当ないらしいし、要点だけ、答弁も簡略でけっこうですから、要点をひとつはっきり……。  今度の北富士、これは北富士に限らぬので東富士も含めてだけれども、富士演習場で米軍のミサイルを持った演習をやろうと、もうすでに実施になっておるようですが、その経過について先にちょっと……。
  55. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 米軍からこのたび俗称リトル・ジョンというロケットの演習をしたいという申し出があったことは事実でございまして、目下の予定では十月二日から十月の中旬の幅で適当な日時を定めて演習をしたいという申し入れを受けております。二日までの分はすでに通報がされておるということを承知しております。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今度のアメリカ軍の演習をやる部隊はアメリカ軍第七艦隊に所属する部隊ですか。
  57. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 今度の演習部隊の所属系統を上から申しますと、一番上は太平洋軍司令部でございまして、その下に沖繩の軍司令部がございまして、その下に第九軍団司令部というのがございます。その下にあります砲兵部隊であります。これは英語でユニットといっておりますが、どういうふうに訳しますか、一応砲兵部隊というふうにわれわれは呼んでおります。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 演習の目的その他を尋ねても無理だから、きょうはもう時間がないから、四日にまた防衛庁長官に尋ねるといたしまして、具体的に入りますが、北富士に関して、演習についての特定の協定がされておりますね。御存じだと思うのですが、昭和二十八年十月十六日——一九五三年ですが、これはまだ安保条約の改定前です。行政協定に基づく日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の附表変更に関する文書、第19号とあるのですが、これについて防衛庁は、これの附表変更の文書について、この条項に従って北富士演習場の運用をされておるかどうか、この点についてまず最初に聞いておきます。
  59. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) その協定に従いまして運用しておるつもりでございます。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それなら聞きますがね。条件の項の一般事項第(4)ですが、これはすでに御存じですから、読む必要はないと思いますが、これによりますと、どうもわれわれとしては合点いかない点があるのですが、これについてもう内容御存じですね。読まなくてもいいですか——質問の関係で議定書当然要りますけれども、こういうふうになっておりますね。「在日合衆国軍は富士吉田、富士御殿場口及び須走口の登山道を越える実弾射撃を原則として禁止することに同意する。但し七、八月及び九月を除いては現地に於て調整の上上述の射撃を行うことが出来る。」とこうなっておるのですが、現地と調整をいつされたのですか。
  61. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 現地の調整はいろいろな方法でやっております。たとえば、現地といいましても、県庁もございますし、あるいは所在の地元の当面登山道の道路制限を担当いたします警察もございますし、まあ地元もあろうと思います。いろいろな手段でずっと公正な調整をはかっております。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ところが、私の聞いた範囲ではそういう調整をされた事実を聞かないのです。この演習を実施するにあたって、一番関係する当局というのは富士吉田あるいは忍野村あるいは山中湖村の関係者でなければならぬと思うのですが、その方々は、私、間違いなら取り消しますけれども、調整の話し合いを聞いたことないということを聞いておるのですが、その点どうなんですか。
  63. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) この点につきましては、きょうも私のほうから係官を現地に派遣させまして、地元の御了解を得る一方、現地でさらに、当面登山道に関係いたしまする責任者でございます警察と米軍との間に立って会合を開くことをいたしまして、とにかくこのポイントは、登山道に交通はございますが、これは十月に入って射撃にたえるように静かに統制できるかどうかにあるわけでございますから、この点に関する合衆国との調整というものをここでやっておるわけでございます。まあきょうもせっかく関係各方面に人を派遣いたしまして、現地で折衝いたしております。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは施設庁長官にこれ以上追及することは無理かわかりません。この実は協定文書からいくと、もうすでにアメリカ軍はやりつつあるのでしょう。やろうという準備をして、兵隊も来ておるのでしょう。調整の上ということは、話し合いをした上でやはり実施に移すべきであると思うのだ。これはなんですよ、平和条約ができて、いままで占領軍であったのが講和条約によって日本が独立した、したがって、基地を利用する場合に、両国の協定の上でないと基地も使用できない、こういう趣旨によって取りかわされた協定なんですね。その協定においてちゃんと文書までやっておるのに、アメリカ軍はかってに来て、しかも調整は現在まだやりつつあるというのに、すでにミサイルを発射しようとしておるということは、われわれ独立国の日本としては一体どう考えておるのか。施設庁長官どう思いますか。
  65. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) この調整という問題点は、同じ協定の(11)にやはり登山道等の交通制限はこういうとき以外は行なわないというような条文がございます。これとの関連で申しますとおわかりくださいますように、結局登山道は演習時に人が入らないような措置が講ぜるかどうか、その点についての関係者の調整を行なうというのが主眼だと思います。これにつきましては、地元の警察なり県庁なり、さらに願わくは地元の方もそれに協力していただかなければ調整は成立したと考えられないのでありまして、現在その努力をしておるという状況でございます。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはもう防衛庁も施設庁ももう少ししっかりしてもらいたいですね、それは警察署長なりあるいは県の知事なりから了解得たって、そういうものは実際に住民に利害関係はないですよ。行政官庁の長としての問題だ、取り締まりをする警察官としての問題だ、現実に迷惑をこうむるのは住民である、そういう方々にまずその点を了解を得て調整をすべきだと思う、これはもう得ておるんですか。
  67. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 非公式な形ではいままでいろいろ抗議等もございまして、そのときに私ども話をしたことはございますが、正式にはきょう使者を立てまして、関係方面に了解を得るようにしております。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは施設庁長官答弁の音声なり内容を見ましても苦しい立場はわかるが、きょうも実際の関係者の傍聴者も来ておるのですから、非常につらい立場もあると思うのですが、この問題についてはきょうはこれで一応置いておきます。これは大きい安保条約の基本的な問題ですから、また防衛庁長官に聞きます。  次に、第2の、使用条件の問題ですね、名前は変わっておるかしれません。キャンプ・マックネアの問題ですが、これについてこの文書の第(2)、「この区域は歩兵部隊、車輌隊、機械化部隊及び空陸合同訓練の演習場、並びに大砲、臼砲、無反動砲、機関銃、及び小銃射撃の被弾地として使用する。」と、こうなっておるんですが、今度持ち込まれたリトル・ジョンという小型の、ミサイルらしいですが、これは野戦用のミサイルであるというふうになっているようですが、特にアメリカは、私の聞くところによると、ベトナム戦争等の総地域における対戦車あるいは対砲兵に対する砲撃に用いるために改造したリトル・ジョンと聞いておりますが、そのリトル・ジョンというのは、私のいま言った兵器のどれに属するか、それを説明してください。
  69. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) この使用条件は、リトル・ジョンという名前そのものはあがっておりませんが、これは使用目的並びにその威力から申しまして大砲の進化したものでございまして、通称ロケット砲と言われておるものであります。英語で申しますとアーチュラリーの中に入るのであります。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、あなたらがそういう解釈でアメリカ軍のやったものをいかに協定に合法化そうという答弁はぼくはいかぬと思うのですよ。これは先ほど言った一九五三年によってできたこれは安保協定の場合、行政協定から地位協定に変わってもこれは変えてないですよ。その当時、リトル・ジョンというミサイル、こういうものを予定してこれをつくったものではないですよ、もしそういうことを予定しておるならば、その当時一番最後に「小銃射撃」の「小銃」のあとに小銃等というようなものを入れて一応やはりこの協定を結ぶべきですよ。現地の人は一番おそろしいのは臼砲か大砲だ、こう思っているが、今度は誘導ミサイルになるらしい、これは聞いておるのですが、これはどんなものを持ってこられても、これは一つの大砲の変形だということで、この条文を当てはめてやられると、協定自体そのものは、私はほんとうにほごも同様のものだと思う、どんなに厳重なものを規定しても、それは解釈によってのがれはできましょう、それは大砲でしょう、大砲かどうかしらぬが、ミサイルと大砲では、これは軍の関係者もおられると思いますけれども、今日の兵器で大砲とミサイルを同一だと見るのは、私はどうもこの協定文から見られないですが、その点どうですか。
  71. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) われわれはどのミサイルもすべて大砲の変形と決して申しません。ただいま申しましたリトル・ジョンと申しますのは、一度富士で実射いたしましたオネスト・ジョンの子供といいますか、リトルでございますので、その半分くらいのものでございます。射程もオネスト・ジョンが三十九キロに対して、これは二十キロ以下の半分の射程でございます。この射程から見まして、現在自衛隊が持っておりますりゅう弾砲は、やはり二十キロ近い射程を持っております。また、現実にこのオネスト・ジョンの米軍の編成表の中における位置を調べてみますと、明らかに砲兵中隊、アーチュラリーというところに属しておりますので、その使用目的、性能から見まして、やはり進歩せる大砲ということを現実に判断するのが妥当であると考えております。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは施設庁長官、今度それをやったことについて責任のないという立場から合法化そうと答弁されておりますけれども、これはSSMというもので、地対地ミサイルで、つければ核弾頭もつけることができることを聞いておるのです。大砲にそういうものをつけられないですよ、ぼくらの常識では、もちろん核弾頭はつけるものではない、つけずに来ておるけれども、そういう兵器をこの使用条件の(2)の条項の大砲に当てはめて日本政府が認めること自体が、これはこれだけではないですよ、拡張解釈をされたら、地位協定、あるいは行政協定の演習場使用協定については、全く私は無意味のことになると思う、これ片日本の、しかも、国民が住んでおる土地にこれを発射しようというのですよ、しかも、それが先ほど前の第(4)で言われましたけれども、登山口は登山シーズンを除いたら人はおらぬから、その登山口道を越えてもいいではないか、こう言われるけれども、それはしょっちゅう通りますよ、道があると。そういうところにミサイルを持ち込んで発射をするということを、この中の大砲に当たるのだということで、ぼくは防衛なり施設庁が認めるなら大きい問題です。これ以上あなたに追及しても、今日で解決しないと思いますから、おそらく施設庁長官も無理である、今度の経緯を見ても、防衛庁にこの問題をいつアメリカ軍から通知があったのですか、この問題について。
  73. 財満功

    説明員財満功君) 御説明申し上げます。米軍演習通報と申しますのは、一週間前の、一週間分をかためて通常の形として知らしてまいります。七、八、九は、先ほど申し上げましたように、登山道越えの射撃はできない。そこで、先遣部隊は九月の中旬に来ておりまして、そして一般訓練を行なうということになっておりまして、二十六日から十月の二日までの一週間の演習通報の中で、十月二日射撃訓練を行なうということでございます。私どもといたしましては、九月を越えて十月ということになりますと、どのような射撃になるのかということで米軍に連絡をいたしました、いまお話ししたような内容のものをキャッチしたわけでございます。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この協定付属文書によると、七日前にアメリカ軍は関係当局に通告することになっております。これは実際の問題では、われわれ文書だけ見ると、いま言われるように七日前にしたらいいということにはならぬと思う、関係当局と言っても、アメリカ軍からいくと結局日本政府である。日本政府がこれを受け取って防衛庁か施設庁かどこか知らぬけれども、それから関係当局にそれをやる。しかもその内容をいろいろ説明してやるということについては相当問題があると思うのです。いま言われた七日前というのは、地方関係当局に通告するというのですが、七日前に地方関係当局に通告をされてしかもその了解を、同意を得ておられるんですか。
  75. 財満功

    説明員財満功君) 使用条件の中にございます関係当局、これは地方関係当局というふうに明示してございます。そこで米軍は県知事に通報するわけでございます。したがいまして、私どものほうは県知事と連絡を保っておるということでございます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはぼくは言いますけれども、あなたらはおそらく法律とか条約あるいはこういう文書のまま考えておりますが、これはそういう考え方で地方当局をとらえるべきではないのです。知事が非常に関係あるのですか、実際問題、演習についてあるのはその地域の住民ですよ。その人方を対象に防衛庁も考えなくちゃいかない。あなた方、法文がそうなっているからそれ言いのがれできるということで運用しているということじゃ、これは今後どういうことが起こるかわかりません。その点どうなんですか。
  77. 財満功

    説明員財満功君) 私のことばが足りませんでしたが、もちろん県知事は軍の通知を受けまして、同文のものを関係市町村に直ちに発送しておるということでございます。少なくとも七日前にというかっこうになっておりまして、米軍としては、その取りまとめ的な意味で県知事のところへ通告申し上げ、そして直ちに関係市町村に通告をするというのが実態でございます。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つだけ私問題があるんですよ、大きな問題があるのですが、皆さん方に言うと、防衛庁で相談して今度四日に出てくると思いますから問題あるのだけれども言いません。あなたら時間がないから言いません。いまいろいろ言われましたけれども、それはもう答弁にならぬ。もしそういうことであれば、この協定自体についても一つの問題といいますか、無効論も出てくると思う。これは一応きょうは言いません。  もう一つここで明らかにしておきたい。事前に言っていいことですが、この協定の大きい第二ですか、キャンプ・マックネア演習場からキャンプ・マックネア被弾地との関係の問題ですね。これは同一のキャンプ・マックネアということでなければこの協定に入らぬと思うのですがね。今度の場合、東富士から北富士に撃とうというのでしょう。その場合には北富士、東富士のおのおの独立して協定しておりますね、使用協定を。その場合に越えてやるということには私は違法性があると思う。
  79. 財満功

    説明員財満功君) 富士マックネア演習場、これは北富士と東富士を含んだものでございます。これに関する条件としまして一般事項というのがございます。その北、東に相通じます一般的な事項としまして登山道越えの射撃ということをうたっておるわけでございまして、東から北あるいは北から東に撃つこと自体につきましては、一般条項の中で認められておるものと私ども解釈いたしております。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この協定の第二のキャンプ・マックネア演習場の条項の二を、ずっと最後まで見てもらったらわかるんですが、そういう判断はこれは出ないんですよ。時間があれば一々読んで私は言うんですが、東富士演習場、それから北富士演習場おのおのこれは独立して存在しておりますね。その場合にその演習場を一括して、越えてやるということについては、厳にこれは禁止——禁止じゃなしにこれはできないという一つの条件のもとにこの使用条件をつくっておる、この協定は。そうならぬですか。
  81. 財満功

    ○説明貴(財満功君) キャンプ・マックネアというふうに、これは米軍側の呼称でございますが、これは北富士の一部分でございます主として国有地及び部分林の一部を含みました地域でございまして、これは被弾地区として用います。それからその周辺にキャンプ・マックネア演習場という、米側の呼称によって呼ばれておるものがございます。この地区はいわゆる発射地区として使われる。したがって、私どものほうで発射地区として使われることを認めております地域にたまを撃ち込むという、これは私どもとしては許しておらないことでございまして、ここにございますそのキャンプ・マックネア演習場を被弾地区として使いたい場合には、つまり新たに被弾地区を設ける場合には、そこで双方協議してきめるんだということに相なっておる次第でございます。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今度の場合はそれに該当しないんですか。
  83. 財満功

    説明員財満功君) 今回の場合、東から北に撃ちますのは、いわゆるキャンプ・マックネア被弾地区に対して撃ち込むということで、先方の連絡によりますと、従来被弾地区の中に番号を付しましてゾーンを分けておるわけでございますが、そこのゾーンの中に撃ち込むということで、明らかに被弾地区内に撃ち込むということでございます。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は昭和三十年十月ですか、オネスト・ジョンのときに問題になったんです。そのときには相当問題になったんだが、一応あれは引き揚げて——一発か二発撃ったんですが、そのときから問題が残っておるんですよ。そういう防衛庁の解釈、施設庁の解釈でやられると、北富士、東富士の演習場というのは、この協定自体、分ける必要はないんですよ。一つの使用条件の中に入れておけばいいんですよ。それが二つに分けて協定をされておるというところに、われわれとしてはB地区からA地区に発射することは、この文書違反だと、こういうわれわれの解釈なんです。
  85. 財満功

    説明員財満功君) この演習場は、米軍といたしましてはもちろん一体的に考えておるものでございます。ただこれが国の行政区画の面からいたしまして、東と北にそれぞれ分かれて扱われておるということでございますが、いま申し上げましたような一般の使用条件あるいはそれぞれの使用条件、これは富士マックネア演習場という一本でもってつくられておるというふうに考えております。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間も相当過ぎたので、これは四日の日に防衛庁長官また専門の方々に来てもらって、リトル・ジョンの構造その他から、これを専門的にひとつ聞きたいと思うのです。施設庁長官だから、こういう兵器については十分わからないと思いますから、これで終わりますが、ただぼくは最後に言っておきたいのは、あまりにも、これは施設庁長官だけじゃないんですが、防衛庁全部ですが、アメリカ軍の言うがままに、向こうに応じたような解釈で、すべての協定なりあるいはそのほかの文書解釈をしておるんではないか。それがためにいまのような、住民にはほとんど同意も得ずして、ミサイルを持ち込んで演習をさしておる。それでいま問題が起こっているんですよ。問題が越こったら施設庁が実はひとり苦しんでおるという関係でしょう。そういう点はもっと早くから話をして、これはこういうものであるから危険はないんだ、したがって、ひとつできないものだろうかということを地元の方々と相談をしてやれば問題ないんです。それを突然にやってきて、長い間演習もせずに突然やってきてリトル・ジョンというようなもの、ミサイルを撃ち込もうという、これは住民としては反発するのは当然ですよ、そう思いませんか、その点どうですか。
  87. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) ただいま先生のおっしゃいましたように、ひとつ早くわかればできるだけ早く地元の方の御了解を得たほうがよろしいことは同感でございますが、今度の場合、ここで御了解願っておきたいと思いますのは、この今度撃ちますたまは、いわゆる実弾ではございませずに、実弾の中から相当装薬を抜きまして、最小限に弾着の観測ができる程度のものにして撃つという一つの訓練弾であるということを聞いておりますので、そういう点は徐々に皆さんにわかっていただければこういうものであったかということが御了解いただけると思いますが、いま先生がおっしゃいましたように、そういう問題があればあるだけに前にわかるようにおはかりしたほうがよかったことは同感でございます。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは施設庁長官、私は絶対に了解しませんよ。きょうは時間がないから、もっといろいろと追及したいが、しないだけで、ただこういう問題があるということだけを施設庁に言うただけで、決して了解していない。四日の日にぜひ防衛庁長官に来てもらって、この問題の黒白をつけたい。これは行政協定どおりの文章ですから、これはずっといままで持続されて地位協定にかわっても、依然としてこれが米軍の手形として振り回されている。こういう点について相当問題がありますから、私は、きょうは了解はしていないということで、防衛庁長官にその点を伝えてもらって、次にしっかりとお答え願いたいと思います。そこで論議をしたい。きょうは、あなたの関係もあって非常に時間の関係もございますから、これできょうは一応終わりたいと思います。
  89. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、本件につきましては、本日はこの程度にいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。  なお、次回は十月四日午前十時から、国の防衛に関する調査等について委員会を開きます。    午後零時二分散会