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1965-08-17 第49回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

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  1. 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調 (会議録情報)

    昭和四十年八月十七日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  八月十六日     辞任         補欠選任      野々山一三君     鶴園 哲夫君  八月十七日     辞任         補欠選任      中村 英男君     成瀬 幡治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 石原幹市郎君                 三木興吉郎君                 伊藤 顕道君                 山本伊三郎君     委 員                 源田  実君                 八田 一朗君                 林田 正治君                 船田  譲君                 森 八三一君                 北村  暢君                 鶴園 哲夫君                 成瀬 幡治君                 松本治一郎君                 鬼木 勝利君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  安井  謙君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (一般職職員給与についての報告及びその  改定についての勧告に関する件)     —————————————
  2. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十六日、野々山一三君が辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任せられました。     —————————————
  3. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、一般職職員給与についての報告及びその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  去る十三日、人事院から国会及び内閣に対して、一般職職員給与についての報告及びその改定についての勧告がありました。この際、佐藤人事院総裁からこれが報告及び勧告につきまして説明を聴取いたします。  なお、関係当局から御出席方々は、佐藤人事院総裁瀧本人事院給与局長佐久間自治省行政局長でございます。また、安井総理府総務長官及び永山自治大臣は、閣議終了出席されることになっております。  それでは、まず御説明を願います。
  4. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 去る十三日、一般職公務員給与改定につきまして、国会及び内閣勧告を申し上げた次第でございますが、その後早々にしてこの機会をおつくりいただきましたことを、私ども関係者としてはまことに張り合いの大きいことでございまして、たいへんありがたいことに存じております。  そこで、今回の給与勧告にあたりましての前提条件について見ますると、いつもわれわれ計算しております消費者物価生計費等において相当上昇を示しておるということが昨年に比べてさらに顕著な事実であると存じます。また同時に、しばしば方々指摘されておりましたいわゆる春闘の積み残しの問題、これもわれわれの調査に関する限りにおきましても、相当の異常な数字が認められたということが特殊の事情として申し上げ得ると思います。私どもといたしましては、それらの事情を勘案いたしまして今回の勧告を立案いたしました次第であります。官民較差総合較差は七・二%、その中での操作をいたしまして、勧告案内容をつくりあげた次第でございます。もとより内容重点俸給表改善に置いております。しかしながら、以上申しましたような、ことに物価あるいは生計費等の異常な上昇にかんがみまして、どうしてもこれは下位等級あるいは中位等級の辺の、ただでさえ俸給額の非常に少ない辺のところに何とか力を入れませんというと非常に不当な結果になるというところから思い切って、たとえば行政職俸給表の二表、それからそれ以外のものにつきましても、係長級というような辺、それから下の辺というようなところに特に重点を置きました。その結果といたしまして、下位等級の人人の中には改善率において一一%というようなところまで出てまいりました。一方、事務次官、大学学長など指定職甲に列挙されております、われわれの扱います限りにおいては最高のグループでございますが、これらの方々俸給は据え置きといたしました。しばらくがまんをしていただこうということにいたしました。したがいまして、俸給表全体の改善率のパーセンテージで申し上げますというと、平均六・四%ということになる次第でございます。  で、俸給表の中で初任給、これはもう例年のことではございますが、今年も民間との均衡がございますし、また、標準生計費上昇いたしておりますので、これらを勘案いたしまして、高校卒の者の初任給については千六百円程度引き上げました。それから大学卒、短大卒につきましては千九百円程度引き上げました。なお学校の教官、医師の初任給についてはそれぞれまた特別の考慮を加えております。  それから昇給間差額につきましてもかねがね要望もございますので、できるだけその改善をはかりましたが、特に中位等級につきましては配慮を加えたつもりでございます。それから別途、中位等級の一部の在職者につきましては、次期昇給期間を三カ月短縮する措置をあわせて行なうことといたしました。これによっていわゆる中だるみと称される事態相当改善されることと考えております。以上が俸給関係でございます。  次に、諸手当。これは第一に、いわゆる期末勤勉関係特別給関係でございます。これも民間特別給と比較いたしました結果、公務員のほうは〇・一カ月分低いということがわかりましたので、これは十二月の期末手当をそれだけすなわち〇・一カ月分だけ増額することにいたしております。  それから手当の第二は、通勤手当でございます。これもかねがね要望の非常に強い手当でございますが、これも今回の人事院調査の結果、民間の、実態をとらえまするというと、支給限度額制をとっております場合においては、千百円程度まで民間で出しておるということから、それに合わせて、わがほうも九百円から千百円に限度額を引き上げることにいたしました。それと同時に、民間実態を見まするというと、この実費を全額支給しておるというところもまた相当に目についてまいっておるわけであります。しかしながら、私どもといたしましては、一挙に全額支給制というところまで踏み切ることはとうてい困難でございますので、その辺の事態を勘案いたしまして、いわば中間的な措置をとりまして、ただいま申し上げました千百円の定限額をこえる部分については、その二分の一の額だけを加算して支給しよう。もちろん二分の一の額を無限に加算するわけにはいきませんので、五百円ということを限度としておりますけれども相当これは思い切った改善措置だろうと思いますが、これを考慮いたしたわけです。一方、自転車等を使用する場合につきましても、民間にならいまして四百五十円、スクーターなどの原動機つきの場合は五百円ということにいたしまして、五十円ずつ上げたということでございます。  それから手当関係で、夜間、深夜に勤務する看護婦についてその勤務条件勤務状態が非常に過酷であるというようなふうに一般にいわれておりますし、人事院で直接調査いたしました結果においてもその事実が認められますので、この給与関係措置といたしましては、深夜を含む夜間勤務一回について百円の特殊勤務手当を新たに支給するということにいたしました。  以上の諸措置、諸改善を合わせますというと、先ほど最初に申しました七・二%という較差を埋めるというふうになるものと考えております。  なお、いつも問題になります勧告内容たる給与改善実施時期の問題でございます。私どもといたしましては、やはり従来どおり、四月調査ということを基礎にしてあらわれた較差である以上は、それだけそのときに公務員給与民間よりもおくれているということがはっきりいたしております以上は、五月一日にさかのぼって民間給与に追いつかせていただかなければならないという筋合いのものであると思いますので、今回も五月一日から実施されるべきものということを明らかにした次第でございます。ごく要点だけを申し上げましたが、なおまた、御質疑に応じて、それぞれお答えすることにいたしたいと存じます。何ぶんよろしくお願いいたします。
  5. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) 以上で説明は終わりました。それではこれより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、総理府増子人事局長自治省柴田財政局長出席いたしております。
  6. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 ただいま勧告の概要について総裁から御説明があったわけですが、時間の関係もございますから、二、三の問題にしぼってお伺いしたいと思います。  まずお伺いしたいのは、今回勧告を行なうにあたって、人事院としては、その重点を一体どこに置かれたのか、この問題をまず明らかにしていただきたいと思います。
  7. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 何ぶんどものとっておりますたてまえから申しますというと、官民較差というものがワクになるわけでございます。その較差の出ようによりまして、ああもしたい、こうもしたいということがある程度実現できる。較差が非常に小さければ、それはある程度はやむを得ないとして、あきらめなければならないというような問題もございます。今回の場合につきましては、先ほど触れましたように、物価生計費というようなことを考えると、どうしてもその改善中位以下のところに集中しなければ筋が通らぬだろう。あくまでもそれに重点を置いて、それをはっきり貫いたつもりでございます。重点といえば、そういう点にあると申し上げてよろしいかと思います。
  8. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 この報告を見てよくわかりますように、労働省の毎勤統計から見ると、昨年四月から本年四月までの民間給与は、一〇・七%も上昇しておるわけですね。で、昨年は九・九%であって、本年はそれ以上に上昇しておることは明白であるわけです。ところが、人事院調査によると、官民給与較差は五・六%となっておるわけです。そこでお伺いするわけですが、毎勤統計人事院のその調査方法は異なることはわれわれも承知しておりますが、この調査方法が異なることによってこのような開きを生じた理由は一体那辺にあるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  9. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) ただいま御質問の、毎勤の本年四月におきます昨年四月に対します上昇率、これは全産業の、きまって支給する給与におきまして、御指摘のように一〇・七%、そこでまた去年の状態を申しますと、去年の四月の対前年上昇率というものは九・九%、毎勤で見ると、この数字は、ことしのほうが上がっているのじゃないか、まあ大体そういう数字とバランスのとれた較差が出てしかるべきじゃないか、こういう御指摘と拝承いたすものでございます。毎勤の統計は、これはわれわれも重要な一つの賃金の動きの指標としていつも見ております。ただしこれは十分御承知のように、町の流れ、一年間でどれだけ上がったか、こういう率でございます。で、われわれのほうで算定いたしまする数字は、本年四月現在において、公務民間とどれだけ差があるか、四月現在においても公務民間との開きはございます。したがいまして、これは数字の性質が違うということでございます。しかしながら、これは、もし昨年の四月現在で大体合っているならば、そして公務民間も大体昇給度合いがそう違わなければ、ここの、本年四月現在で、毎勤の示す数字程度のものがやはり較差として出てきてしかるべきじゃないか、おっしゃることは十分わかるのであります。ところが、毎勤のほうは、これはもう全産業のきまって支給する給与、この数字の中には稼働いたします時間の問題とか、人の動きとか、いろいろなものが入っております。そこで、従来から見ておりますると、四月現在における官民較差とこの数字が似たようであり、また、違っている、向こうの、毎勤のほうが高かったり、あるいはわがほうが高かったり、いろいろなケースがあるわけでございます。そこで、ことしの五・六という数字が、本年四月現在で出ているのであります。これはどうも少し低いのではなかろうかという御指摘は、われわれも実はそういう感じをもちました。これは計算間違い等があってはなりませんので、十分その数字は確かめてございます。ところが、やはり五・六、現在のところ、われわれどうしてそういう数字が出たのだろうかということを考えてみますと、三十九年の四月におきまして、公務員俸給は三万二千六百九十円、俸給扶養手当暫定手当を加えたものでございますが、三万二千六百九十円、本年四月は三万六千六百四十円、この上がりは一二・一%、こういうことになっております。昨年は俸給表上で七・六、全体で八・五のベースアップということでいたしたのでありますが、八・五に昇給分四%を加えた程度のものが昨年の上がりになっております。しかしながら、これは従来の例を見ておりますと、公務員のほうにもやはり動きがございますので、名目上の昇給分ベースアップを加えたほどはいつでも上がらないのでございます。ところが、ことしの上がりが二一・一、これは昨年八・五ということでお願いしたのでありますが、そのほかにも、いろいろ実施上の問題として改善を加えたこと等がございます。その結果、昨年一年間におおむね四千円のベースが上がっている、こういうことがございます。このために、四月現在における宮比較差が少し低く出ている、こういうことがあり得るのじゃないかということが考えられる。それからことしのいわゆる春闘は、その事業所の四分の一の事業所が実際はあとからではありますけれども、四月にさかのぼって給与改定をいたしております。ところが、実際にわれわれが調査に参りましたときには、まだそれが支払われていなかった。すなわち、われわれの調査には、個人別調査には、その改定分が入ってこなかった、そういう事業所が全事業所の四分の一、約二三%程度事業所にそういうことがあったのであります。これは非常な大きな問題でございます。この点は、公務員の諸君が、そういうことがあるから、春闘のおくれというものは問題にしなければいけないという非常に強い御要望があったのでありますが、二三%、約四分の一の事業所給与の支払いがおくれている。これはいろいろな事情がありましょう。春闘がおくれた、もしそういう状況になかったならば、おそらくは四月に改定されたかもしれない、こういうようなことを考えてみますると、かりに今回われわれが考えております一・六というものは、これはまあもし平常な状態であったならば四月に支払われたかもしれないというようなものがあるわけであります。それこれ考えてみますると、この五・六という数字も、少しもおかしくはないのじゃなかろうか。十分な御説明にはなっておりませんけれども、われわれは数字をそのように現在理解している次第でございます。     —————————————
  10. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) この際、委員異動について御報告いたします。中村英男君が辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任せられました。     —————————————
  11. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 いま局長から説明があったわけですけれども人事院立場を考えたとき、人事院立場というものは言うまでもなく、公務員から労働基本権を奪い取った代償として人事院が生まれた。こういう人事院の特殊の立場から考えて、その人事院の出した調査結果が同じ政府労働省の毎勤統計を下回っておるということは、どうも納得いかぬわけです。これは今後の課題として十分検討の要があろうかと思います。この点総裁においてはいかようにお考えですか。
  12. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 毎勤の関係はいつもこれが一致したことはほとんどないといってよろしいくらいに違っております。この違いは先ほど給与局長の答えましたとおりに抑え方が違っておる。基礎的なつかまえ方が違っておりますから、これはもうやむを得ないと存じます。ただしかし、いま給与局長が述べましたように、毎勤式の大ざっぱな考え方からいって、それじゃ公務員給与が去年の四月からことしの四月までどれくらい上がったかというと相当これは上がっておるという言い方もできるわけでございます。いずれにせよ、私どもとして毎勤を参考に見て、参考資料として勧告資料の中につけますけれども、しかし、あくまでも私どもが私どもの責任をもって六千数百の事業所について四十数万人の従業員について足で調べたところを、どうしても一番の基礎にせざるを得ない、そうしてその基礎は決して間違ってはおらぬという自信のもとに行動し立案しておるわけであります。
  13. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 この問題は時間の関係で追及できませんけれどもただ強く要望しておきたいのは、人事院調査が間違っておるとかいないということをいま指摘しておるのではなくして、公務員利益を守る立場にある人事院としての調査の結果が同じ政府の出しておる労働省統計よりいつも下回っておるということは納得できないということを申し上げているわけです。この問題はどこまでも公務員利益を守る代償機能を発揮するというたてまえから前向きで取り組んでしかるべきだと思うわけです。そういう点をお伺いしたわけです。  次にお伺いしますが、人事院俸給表をきめる場合には、民間給与とともに生計費を考慮しなければならない、こうなっておると思う。そこで統計局消費者物価を見ますると、本年は全都市で九・九%の上昇を示しておる。昨年より当然に高騰を示しておるわけです。生計費についてみても七・七%の上昇を示しておる、こういうように相当高騰を示しておるということを人事院は一体どこまで考えて、勧告にどのようにこれを反映させたのか、この点を承りたいと思います。
  14. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 従来私どもの取っておりますたてまえとしては、たびたび申し上げたと存じますけれども標準生計費を調べまして、そして、それを高校卒程度の者の初任給、すなわち八等級の二号俸をはじき出す際の一つの裏づけと申しますか、ささえにしております。したがいまして、今回のような場合になりますと、やはり標準生計費が上がってまいりますからして、この辺のところは相当にこれが押し上げの作用を営んでおるというふうに申し上げてよろしいと思います。ただし、全般の問題としては官民較差というものの大ワクがございますから、そのワクの中で、しかもそういう標準生計費ささえを織り込みながら、どこまでそれを及ぼしていくかという問題があるわけです。したがいまして、結論最初に申し上げましたように、今回は中位等級以下のところにずっと持っていかざるを得ない、そして、それより上の方はがまんしていただくということになるということでございます。
  15. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なお、この生計費の面で見ると、東京都についてみると、生計費は昨年より一二%以上も上がっておるということを人事院自体が認めておるわけですね。にもかかわらず、この面について具体的に何も手を打っていないようですが、これはこのままほっておいてうやむやにしてしまうおつもりかどうか明らかにしていただきたい。
  16. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) 御指摘のように、東京につきましては生計費が昨年四月に比べまして本年の四月一〇・五%上がっております。これは統計局で出しております。しかるにわがほうで、これも統計局で出しておるのでありまするが、世帯人員を五人に換算いたしました場合の数字で一〇・二%、このこともあわせて御報告申し上げておるのであります。ところで、人事院は行(一)八等級号俸高等学校卒業者初級試験を受けまして、そうして、これに合格して公務に採用になりまする場合の俸給金額というものをきめまする場合に、もちろん民間新制高等学校卒業者初任給平均というものを調査して出してまいりますが、一方におきまして東京における独身青年男子の、単身者標準生計費というものを計算いたすのでございます。これはもう毎度申し上げておりますが、それで、その計算の結果その数字民間初任給平均を上回っておりまする際には、そちらの高い標準生計費で、この八等級号俸ささえるということをいたしておるのであります。本年もそういう意味におきまして計算をいたしておりましたところ、東京において月額一万五千五百九十円、こういうことに相なりました。それで、この無級地一級地、二級地におきまして俸給表上の金額がどれだけになっておったならば東京においては、この金額にさらに断定手当を加えまして、そうして、しかしながら、一方共済組合掛金が引かれますから、それがちょうど一万五千五百九十円になるためには、本俸上の金額が幾らであったらばいいかということを出してみますると、一万六千百円、こういうことになります。そのように行(一)の八等級号俸をきめた次第でございます。ちなみに、これは約一千円初任給に基準る上回っておるという数字になっております。ところで一万五千五百九十円という標準生計費は、昨年の標準生計費一万四千七十円に比べまして一〇・八%の上がり、こういうことになっておるのでございまして、東京上がりというものはそういう意味において八等級号俸のところで十分ささえにいたしておるということと、先ほど総裁が申されましたように、全体的に下位等級につきまして改善率を多くしておるということでその辺は十分考慮いたしたつもりでございます。
  17. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 先ほど申し上げたが、毎勤統計も、それから消費者物価、これも昨年の報告よりずっと上昇しておる、これは明らかなことだ。それで、昨年の八・五%の改定勧告に対して本年の分を見ると、今回は昨年の勧告にはなかった積み残し分を入れておるのですね。積み残し分を入れてなおかつ七・二%となっておるわけです。実際の勧告ではさらに引き下げて六四%というふうになっておるわけですね。そこで、この点を考えると、どうもつじつまが合わない、まことにおかしな事態としか考えられないわけです。これは察するに、人事院民間不況ムードに便乗したり、あるいは本年の仲裁裁定に歩調を合わせた勧告ではないかというふうにしか考えられないわけです。やはり人事院としては、科学調査ということをいつも強調しておられるわけですから、科学的な調査をして、これに基づいてそういうことを一切考えないで、特に財源などは考える必要がないので、これは政府が考えるべきだ。人事院はあくまでも代償機能を発揮するというたてまえに立って、公務員利益を守るというたてまえはあくまでも堅持して、科学的調査に基づいて結論を出せばいい。そういうふうに当然考えられるわけであります。そういう点から考えると、どうもそこに余分なことが考えられておるように思うのですが、この点はいかがですか。
  18. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 余分なことを考えておるとすれば、それはプラスの方向に向かって考えておると今回の場合はどうも申し上げざるを得ないことになります。先ほど局長がちょっと触れましたように、従来どおり較差を冷静につかまえますれば、五%台にとどまってしまうということです。それでそれきりということが従来の例です。その五%の中で、ちょうどそれが八・五%に相当するわけですから、五%台の中でやりくりをせなければならぬということになる。それは一面において何を示すかということになると、春闘の積み残しになっている分が非常に大きかったということを示すものであるということから、今回の物価上昇生計費上昇等も勘案しながら、これはこのままとうてい捨てておくわけにはいかないというわけで、われわれのほうでつかまえました春闘の積み残しを加えました結果、七・二%という数字が出たということでございます。
  19. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 しかし、毎勤統計でも、消費者物価も昨年の報告よりは上昇しておるわけですね。昨年は八・五%の改定勧告をしておる。これはもうれっきとした現実の問題で、それに比べて今年は、毎勤統計によっても消費者物価も上がっておるにもかかわらずこれを下回っておる、これはどう考えてもおかしいではないか、そう指摘せざるを得ないわけですね。しかも昨年になかったことしの積み残し分をことしは計算に入れておるわけですね。それでもなおかつまだ昨年のいわゆる改定勧告に対して下回っておる。これはどう考えてもおかしいではないかと指摘せざるを得ないわけです。どうもその点が納得しがたいわけです。だから、これは今年の仲裁裁定に歩調を合わせたり、あるいは民間不況ムードに便乗しておるのではないか、そういう考え方が当然に出てくるのではないかと思う。結論的にはおかしいではないかと、そう言わざるを得ないわけです。  そこで、さらにお伺いしますが、人事院は、先ほどもちょっと指摘しましたけれども公務員からいわゆるスト権とか団体交渉権を奪い取った代償として設けられた機関である、これはもう言うまでもないことです。そこで、その意味からも、真に代償機能を果たすべきではないか。これは当然了解してもらえると思うのです。代償機能を発揮すべき立場人事院はあるはずです。そういう点から考えると、これはどうしても遺憾であると結論からいって指摘せざるを得ないわけですが、繰り返し申し上げるように、毎勤統計消費者物価も上がっておるのですから、当然民間との較差だけを基準にしておるわけでなく、いわゆる消費者物価も、当然生計費を加味して結論を出すのが理の当然であって、そういうことを無視したらいかぬわけですから、そういうことになると、今回の程度ではなかなか物価のはね上がりに追いついていかないわけです。こういう点が全般的に欠けておるのではないか、代償機能としての人事院立場としては欠けておるのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけです。この点をいま一度説明ただきたい。
  20. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 団交権の代償的機能ということは、私どものほうからむしろ方々に宣伝しておるくらいのことで、その魚の意識においては伊藤委員と少しも変わるところはありません。むしろまさるとも劣るところはないくらいに考えておるわけであります。たびたび毎勤のことをおっしゃいますが、この毎勤との比較のことは、先ほど給与局長も申されましたように、年によっては毎勤のほうが下で、われわれのほうが上回ることもありました。毎勤ばかりにとらわれると、そういう逆の場面も出てくる。私どもとしては、私どもの責任の負える形での正確なデータを基礎として作業せざるを得ないと私どもは考えております。四月現在においては、あるいは積み残しを加えての民間の水準というものは、これは民間における団交の結果がそのままあらわれての結果でございますから、団交権の代償機能を営むわれわれとしても、民間における団交の結果を非常に大きくここで基礎として考えているということもまた当然の結びつきであろうということも考えられるわけです。
  21. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 なお、今回の調査にあたって、人事院としては、名職種別の民間との較差はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。人事院総合較差の是正方式を今回もとっている。そこでお伺いするわけですが、各職種別較差の是正において、やはり各職種別の面についても考慮すべき問題ではなかろうかと私どもは考えるわけです。その点を御説明ただきたい。
  22. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) 金額だけは、この報告書の別表第一というところへ書いておりますが、さらに、これを率に直して申し上げてみますると、全体では五・六%の較差がございます。民間のほうが高いというわけでございますが、これを俸給表別に見てまいりますと、行政職俸給表では、七・三%民間が高い。行政職(二)では、八・五%民間のほうが高い。海事職俸給表では、逆に公務のほうが高いのでございます。公務を一〇〇といたしますれば、民間が九〇・三、海事(二)も、公務を一〇〇といたしまして、民間が九二・九、教育職(一)、大学でございますが、これも公務のほうが高いのでありまして、公務を一〇〇といたしますれば、民間は九四・三、民間の私立の大学の人たちにおきましては九四・三。教育職俸給表(二)、高等学校でございます。これも高いのでありまして、公務を一〇〇といたしまして、民間が九八・二、研究職俸給表は、民間のほうが、一七・四%高い。医療職俸給表、お医者さんのところは、三五・六民間のほうが高い。医療職俸給表(二)、これは薬剤師さん等でありますが八・四民間のほうが高い。看護婦さんのほうは、公務を一〇〇といたしますれば、民間が九一・六、こういうパーセントになるのであります。
  23. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、民間との較差の埋め合わせ分で六・四%、それから三短、通勤手当、はね返り、こういうものによって〇・八%の埋め合わせを今回行なっているわけです。その配分はどのような観点に立って行なわれたのかということが一つ。それと、三短とかはね返り等による改善などについては、やはり較差の是正に引き出すのはどうも妥当なものとは考えられないと思うのですが、この点はどう考えておられるのか、この二つの点について。
  24. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) ただいま御指摘のように、五・六の四月分の較差があったわけでございますが、いわゆる春闘のおくれ等を考慮いたしまして、一・六というものをそれにプラスして、七・二というものの改善をはかる、七・二を目途にいたしたわけでございます。そこで七・二のパーセントのうち、六・四%を俸給改善に使ったのでございます。あとは、〇・三五%が通勤手当改善に要する費用でございます。それから〇・三五、これが三短の費用でございます。ある特定部分につきまして昇給期間を三カ月短縮いたしますその分が〇・三五でございます。あとの〇・一は、いわゆる寒冷地手当、本俸に対して率できまっておりますものが必然に上がりますので、そのはね返りでございます。そこで、やはり公務民間給与、これはいわゆる基準内給与で比較いたしまして、両者は四月現在で合わすということでございますので、やはり全体を含めましたものが、これが公務民間との合わすべき給与である。そこでは超過勤務手当等は除いてございますけれども、その以外のところでは、やはり全体を含めませんと、これは合わすゆえんにならないと、このように考えます。  そこで、それではなぜ六・四%を俸給改善に使って、あとの〇・三五を三短に使い、あとの〇・三五を通勤手当改善に使ったかということでございますが、これはいろいろの角度からわれわれ考えまして、先ほど総裁も仰せられましたように、通勤手当につきまして、従来方式でかりにやるといたしますれば、千百円でとめるということになるわけでございます。しかしながら、やはり現在ことしは住宅手当に踏み切らなかったわけでございまするが、また一方、国家公務員の住宅施設が漸次増強されつつあるという事実が一方にありまするけれども、しかし、何といっても住宅事情というものはこれは公務員にとって一番大きな問題であります。それに踏み切らなかったのでありまするけれども、そういう住宅事情が困難だということは、必然、通勤距離が長くなっておるということがあるのでありまして、そういうことに少しでも対処したいということで、今回は、千百円をこえます部分につきまして、二千百円のところまでその半額を見よう、すなわち千百円をこえる千円につきましてその半額——五百円ですね、二千百円もし通勤費がかかっておる人ならば、千百円はそのまま差し上げて、そうしてあとの千円分の半分の五百円を差し上げて、千六百円が限度だ。ところが、二千百円という数字は、現在東京あたりで考えてみましても、常態として通勤可能なまあ限度に近い通勤費でございます。したがいまして、そういう考慮を加えてやるためにはどうしてもそれに〇・三五かかる、こういうことになるわけであります。それからまた、俸給表改善ということだけでは、ある改善が行なわれますれば、その時点以降には利益を受けるのでありまするけれども、従前の人がそれで全部均てんするとはいかないのであります。というのは、先般のいわゆる間引きをやりまして、そうして昇給速度を速めるという措置を三、四年前にやったのでございまするが、これは今後そういう俸給表を新しく適用を受けて通っていく人はその恩恵を受けまするけれども、しかし、一方、その措置の行なわれていない場所におりまする人々はこの恩恵を受けない。恩恵を受けないということは、不利に取り扱われる意味ではございません。が、相対的に見ますと、これはやはり不利だということが出てまいります。そのために三回も三短をやったのであります。現在われわれが俸給表改善だけではかゆいところに手が届かぬような問題がございます。そういうことを中位職員につきまして解決するためには、どうしてもその特定部分について三短をやったほうがよろしい、こういう結論になって、その部分について三短をやるとすれば、〇・三五かかるというようなことから、俸給表改善し得る限度というものは六・三四%が限度である。そこではね返り等を合わして、つじつまを最後に合わすわけでございまするが、そういうことで、俸給表では六・四、こういう配分になる、こういう次第でございます。
  25. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 今回の積み残し分として一・六%の較差を認めてこの是正を行なうことになったということでありまするが、一・六%の根拠は一体何かということですね。それとさらに、将来もこのような措置を行なう考えなのかどうか。たとえば調査した際に官民給与較差が、そういうことはあり得ないと思いまするが、理論上あるわけで、五%以下の場合も理論上あるわけです、もう現在の情勢からいってそういうことはほとんどないと思いますが。ただその際、積み残し分の調査によって、その較差が五%以上になった場合には、当然勧告の対象となろうと思うのです。したがって、これに対するお考えはどうか。この二つの点をあわせて御説明ただきたい。
  26. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 私から基本的なことを申し上げたいと思います。積み残しをどうするかという問題は去年あたりから非常に焦点となって、この席でも御質疑のあったところでございますが、私どもの基本的の立場は、それらの際にもお答え申しましたとおりに、とにかく一年一回の調査で一年一回の勧告だということになれば、その後における若干の諸般の情勢のズレというものはどうしてもこれはもうのんでいただかなければならぬ。それは次の調査較差となってあらわれるというようなことが筋で、したがって、当然積み残し等を見るというたてまえは、いま申しましたような一年一回の調査、一年一回の勧告のたてまえからは本来はそぐわない問題であるということで貫いてまいりました。しかしながら、それとてもみすみす異常な事態、異常なデータが出てきた場合にそれを見送るかどうかという点についてはこれを機械的に全然無視することはできない、そういう場面もございましょうということで申し上げてまいっておったのでありますが、たまたまことしはそのまさに異常な場面に遭遇したわけであります。本来の較差が五%台というようなことから申しましても、やはりこれは積み残しがあってそういうことになったんだろうという推測は常識でできるのではないか、かたがた先ほど申しましたように、生計費はうんと上がっている。物価はうんと上がっている。これで一体ほうっておけるかということもこれは重大な私は事実であると思います。そういう点を勘案いたしまして、ことしはこのようなことに踏み切りました。しかしながら、今後あくまでも少しでもこの積み残しがあればそれを取り入れますというような態度を、そういう先例を、ここで立てたものとは私どもは全然考えておりません。これは異常な事態に対する一つの異常な措置である。これが積み残しがどんどんと今後も続くようでありますならば、これは四月の調査という調査時期が間違っている。私どもに言わしていただければ、春闘早くやっていただければそれでいいのでありますが、そういうことばかり言うわけにいかない。われわれの受け身の立場からいえば、哀れなことでありますけれども春闘のおくれというものがあれば、調査時期のほうをむしろずらしてこれをカバーするのが本来のたてまえである。あるいは五月調査、六月調査という方向の問題にこれはつながるべきだ、基本的にはそういう気持ちでおります。
  27. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) 先ほど申し上げましたように、本年は約二三・四%、四分の一弱という事業所春闘でこの賃上げがおくれたわけであります。そういう事業所についてそれではどれだけ賃上げが行なわれておったかということを調べてみたのでございます。これはこの個人票によってその調査をやるわけにはまいりませんので、いわゆる事業所票によりまして事業所別に調べますと、その結果平均引き上げ率は一一・三%、そういうその春闘がおくれまして四月分の賃金としてあらわれてこなかったような事業所の賃上げ率の平均は一一・三%である。これを全事業所に復元してみるとどのくらいの割合になっているかということを計算いたしてみますと、二・六%になるのであります。ところで、今回も公労委でことしの六・二五というものをおきめになりましたときにお使いになりました方法は、春闘相場、わがほうより多少不確実ではないかと思いますが、いわゆる春闘相場から当該年度に公企体がやりますであろう平均昇給というものを差し引きまして六・二五、こういうまあ計算になった。わがほうもそのいわゆる公労委方式をとりましてわがほうもまた昇給をいたすわけであります。これは四・三であります。したがいまして、それを考えない場合には二・六に平均なるのでありますけれども、一一・三の中から四・三を差し引きましてこれは公務員平均昇給率、そうして七・〇%、この七・〇%を全事業所平均してみますると幾らになるか。これは七・〇に二三・四をかけるわけであります。それが一・六%だ、こういう計算に相なるわけであります。
  28. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 まだお伺いしたい問題たくさんあるわけですけれども、質問申し出ている方が相当おりますから、一人で時間を占めるわけにはまいりません。そこで残念ながら最後に一点だけお伺いして私の質問終わりたいと思いますが、実施時期について、これは人事院は四月に調査したらかくかくの較差があったと、人事院自体は四月調査した結果について報告しているわけですね。したがって、四月にすでに較差があったんだから、四月に実施時期をするのが理の当然だと思うんです。で、科学的調査ということを人事院はいつでも強調しておられる、その人事院が四月にすでにこういう較差があったんだから、その四月を実施しないで、それを五月実施に一カ月延ばしたその科学的根拠というのは一体那辺にあるのか、この点を明らかにしていただきたい。何か科学的な根拠がなければならぬわけでしょう。どういう意味ですか、一月延ばしたのは。
  29. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) この問題は、現在、ことしの勧告で初めて五月一日ということを申したわけではございません。御承知のように、従来なるべくすみやかにというようなことを申しておりまして、それで時期を明示するときに五月一日ということになったのでありますが、その当時の考え方といたしましては、とにかく四月にそういう較差が出たのであるから最も近い時期である五月から、こういうことが理由であったわけでございます。しかしながら、現在の人事院におきましては、もうこれは、そういうことがきまりまして、まあここ数年そういう状態が続いてまいったのでございますが、現在は、人も、人事院を構成いたします人事官もまあおかわりになった現在はそういう考え方もある。また四月であるから、四月にその較差が出たのであるから四月という考え方もあるというような感じでございます。まあしかしながら、現在の状況におきましては、まあ昨年は九月ということで一カ月の進歩があったわけでございますけれども、五月実施ということをお願いしながらその五月がまだ実現をしていないというのが現在までの経緯でございます。  そこでわれわれは、まず何が何でも五月からということで、現在のところは五月、実施——四月の調査でありますからその一番近い時期、五月から、五月一日から引き上げていただきたい、こういうお願いをいたしている次第でございます。
  30. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 それは従来については、できるだけすみやかにとか、できるだけ早くとかあいまいもこたる表現で勧告しておった。それはけしからぬということで、人事院十分検討して、それで実施の時期を明確にして、五月にしたということは一進前進だと。せっかくの前進なら、四月にすでに差があったのだから四月にやるのが理の当然であって、四月に一番近いのは五月だというのは、これは科学的根拠にはならない。四月に一番近い時期は四月それ自体、何といっても、人事院は四月を五月に実施ということについては科学的説明はできないと思う。これは何も根拠がない。ただ前々から——これは初めて質問することでなくて、前々から伺ってくると、四月にすでに差があったから翌月五月という説明だけで、これでは科学的説明にはならないと思う。四月にすでに差があったのなら四月それ自体に実施の時期を置くべきである。五月ということには何ら根拠がない。その点は総裁としては今後前向きで十分検討するというお考えがあるかどうかお伺いしておきたいと思う。
  31. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 私の考えでは、率直に申しまして科学的に考えて両論成り立つというふうに思います。ですから、五月一日が絶対正しいあるいは四月一日が絶対正しいということはいえませんけれども、確かにそれは両論立ち得ることで、ことに皆さま方からそういうお声を近ごろたびたび聞くことでもございます。われわれは何もこだわりを持つ立場にはおりません。これは率直に考えて、これはどちらが正しいかという結論を得たいと、これはその気持ちでおることは申すまでもないことであります。
  32. 伊藤顕道君(伊藤顕道)

    伊藤顕道君 これはどうもその程度の御答弁では納得できないのですがね、四月にすでに調査した人事院自体がかくかくの較差があったと報告しているわけでしょう。だから四月に最も近いのは四月だ。翌月なんというのは全然根拠はないわけです。いままでの御説明を聞いても何ら根拠はない。科学的調査ということを生命としている人事院が四月を五月に延ばしておいて、それでそういうような説明では納得できないと思う。でことしは勧告を出してしまったのだから、もう一ぺんこれをやり直すのが至当であるわけですが、そう言っても、それでは四月に訂正いたしますということも人事院総裁も言いかねると思う。したがって、今度の問題は今度の問題として、非常に問題があるから人事院総裁としては、すでに四月に差があったんだから四月に実施することがきわめて妥当である、そういう考え方にはなれないものかどうか。でその結論がいまここで出なければ十分前向きに真剣に検討してみる。四月を五月にしなければ科学的な説明ができないなら話は別ですが、いままでの話を聞いていると、四月を五月に実施というのは、それを科学的説明というふうにはわれわれとしては受け取りがたい。何も根拠はないわけです。ただ漫然と四月差があったから翌月というのは何ら意味がない、根拠もない、いわんや科学的根拠なども毛頭ないわけです。したがって、現在の五月一日ということはわれわれは非常に納得しがたいわけです。四月にすでに差があったんだから、その四月に実施するのが理の当然だと思う。こういうことをよくかみしめていただいて、早急にこの点を前向きの姿勢で御検討していただきたいということを強く要望申し上げて、私の質問を終わります。
  33. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  34. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) 速記を起こしてください。
  35. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 いま伊藤委員のほうから種々問題点を指摘して質問をいたしたわけですが、私も一番目に非常に不可解に思いますのは、官民較差が五・六%を出たということですね、これはおそらく総裁はじめ人事院当局もびっくりされたと思うんです。あるいはほっとされたかもしれないんですが、これはきわめて不可解です。どういうわけで五・六という非常に低い数字が出たのかという点について、先ほど瀧本局長からるる説明をされたんですが、非常に自信のない説明なんですね、自信がないはずだと思うんです、はなはだ自信のない説明。で総裁、一体過去四、五年の勧告官民較差と、それから人事院がいつも念頭におかれる労働省の毎月勤労統計の製造工業の中の管理、事務、技術、労働者の項ですね、これがまあ公務員と非常に似ている。管理、事務並びに技術、労働者、これが公務員と非常に似ているというところから、これの上がりぐあいと官民較差の問題がいつも問題になってくるわけなんです。過去の経緯からいいまして、この五、六年の経緯からいって五・六というような少ない数字が出るということは、これはもう想像できない、何といってもこれは想像つかないです。こういう数字は一体どこにそういう原因があるのか。これはひとつきわめて数字的に科学的に計算をされるという人事院ですから、はっきり説明をしてもらいたいです。昨年と比較しまして、昨年の行(一)行(二)に始まって、人事院官民比較をやっております。海事(一)(二)、教育(一)(二)、それに研究職、医療職(一)(二)(三)、官民比較の場合に取り上げている。この俸給表民間との較差を見た場合には、これは決して五・六という数字が出るようなしろものではないです。確かに行(一)はあるいは較差は七・三かもしれない、しかし、それぞれ全部を見た場合にこういうような数字が出てくるようには想像がつかない。たとえば医療職の(三)にいたしましても、一番問題になるのは医療職とか、それから教育職の(一)、(二)とか、海事職が問題になるわけなんですが、そういうものを見ても、これは決して五・六というような数字が出るというようなものにならない。どういうわけで五・六というものが出たのか。人事院数字をはじいて出されたわけなんですが、はっきり説明をしてもらいたいですね。  それからもう一つ申し上げておきますが、今度は積み残し一・六というのを入れましたですね。私も、この五・六に対して積み残し——これはあとでもう一ぺん質問しますが——一・六というのを出された。これはどうもナンセンスですね。五・六というのは官民較差をぐじゃぐじゃこまかく計算をして五・六と出したのですよ。一・六というのはぽこっとつかみですよ。それをぽんと上へ足してしまったのですね。こんな木に竹をついだような——木に竹どころの騒ぎではないですよ——ナンセンスですよ。私は積み残すことは、これを入れることはいいのですよ。いいのですけれども、そういう較差ではじいたものではないはずです、この一・六なんという数字は。そういうものを足して何とかかっこうをつけようという見識のないやり方ですね。これは総裁人事院のメンツの問題ですよ。  いずれにしましても、まず一番は五・六という数字が出た根拠を明らかにしてもらいましょう。どういうところからこういうものが出るのか。
  36. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) いや、正直に言って、五・六という数字は、これはちょっと予想外の数字であったことは事実でございます。そこで計算の間違いじゃないかというようなことを、たいへん失礼な話ですけれども給与局長に言うたこともあるのですが、これは絶対に念には念を入れてやった結果この数字でございますという確答を得ましたから、われわれとしましては、あくまでもこれを立てていかざるを得ない。その理由は何だということは、これは数字が示すところをここにあげただけなんで、理由はこれからのわれわれの参考のために検討すべき問題だと思いますが、これからまたその理由を分析したいと思いますが、大きく申し上げますれば、これはすなわち積み残しが多かったことを一方において立証している。もう一つは、昨年の給与改定以後運用上相当改善を加えたものがここに出ているという見方もできるだろう。いまの観察はその程度でありまして、さらに今後の分析に待ちたいと思っております。この積み残しの分がぐじゃぐじゃでというお話がございましたけれども、ぐじゃぐじゃでということはわれわれとしては非常にしり込みさせる理由なんです。これは単なる普通調査としてつかまえたものなんで、本調査のような正確な調査はしておりません。したがって、いろいろこの点をめぐって御議論があるようなら、すぱっとこんなものは落としてしまって、さっぱりと五・六でいくということも、ほんとうは堂々としていいということも私は考えられます。しかしながら、先ほど申し上げましたような諸般の事態からいって、一切これをネグってしまうということはどうだろうかということから、ぐじゃぐじゃであることは承知の上で、ただし、ぐじゃぐじゃといっても、完全に骨なしのぐにゃぐにゃではないわけです。それは先ほど給与局長が触れましたように、ぐにゃぐにゃはぐにゃぐにゃなんですが、これは筋を立てて考えていきたい、そこだけは御了承を願いたいと思います。
  37. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 いや、ぐにゃぐにゃは、本来五・六というのがぐにゃぐにゃなんです。だから、そんなものに私はぐにゃぐにゃの一・六を足してみたって意に介さないはずなんです、人事院は。私はそう思っているのです。そんなものです。だから局長、この五・六と出たものをもう一ぺん正確に説明してください。自信を持って説明してもらいたい。たいへんなものですよ。このままではわからない、はっきりしなければ。はっきりしてください。
  38. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) 先ほど申し上げたわけでございますが、さらに補足して申し上げます。  昨年のお話が出ましたが、昨年は八・五%という数字でございます。これは俸給表別に見てまいりますと、行政職俸給表は一二・一%、こういう較差でございます。行(二)が九・四、海事の(一)、(二)、教育の(一)、(二)、これは公務のほうが高いのですが、公務のほうがどれだけ高いかということは、海事(一)は一〇・三、海事(二)二・六、教育(一)六・九、教育(二)五・七、研究職は民間のほうが去年は二一・四%高かった。医療職俸給表は三八・一%、医療(二)は六・三%、医療職日は公務のほうが一一・六%高かった。俸給表別に見てまいりますと、御指摘のように、やはり海事、教育、医療三関係というのは、相当公務より低かったということもございまするし、また、行(一)は去年の一二・一%より下がって……。
  39. 北村暢君(北村暢)

    ○北村暢君 その資料はどこにあるのか。
  40. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) これは口頭で申し上げたのです。  それで、研究職は較差が二一%、医療職は三八%、こういう状況でございました。  ことしは先ほど申し上げましたように五・六、これは御承知のように職種別にいわゆるラスパイレス方式によりまして積み上げて官民の対比をやる。まず俸給表別にやりまして、それをさらにまとめ上げまして全体較差を出すということでやっているのであります。やり方は去年と全く同様ということでございます。そこで行政職関係を見てまいりますると、昨年は一二・一であったが今年は七・三、これは先ほど申しましたように、実施上の問題等で改善を加えたというようなこともこの中に影響してまいっているであろうというふうに考えられます。去年は行(一)が一二・一%の差であり、行(二)は九・四であった。ところが、ことしは行(一)は七・三で、行(二)のほうがかえって高くて八・五。しかし、八・五といっても去年の九・四より狭まっている、こういう関係になっております。それから、海事(一)につきまして見ますると、これはやはり官民較差は縮まってきておる、こういうことでございます。それから教育につきましても、教育(一)につきましてもそういうことが言えます。それから研究は、去年二一・四%の差でございましたが、今年は一七・四、こういうふうに大きい較差ではありまするけれども、傾向としては縮まっているのです。医療職も、去年は三八・一がことしは三五・六に縮まっておるという関係になっていて、全体的に縮まってまいった。俸給表別に見ますると、官民較差が全体的に縮まってまいったということが看取できるのであります。  そこで、全体合計は五・六、公務のほうが高い俸給表は海事(一)、海事(二)、教育(一)、教育(二)、医療(三)というものがございまするし、それから全体の中で約五〇%を占めておりまする行(一)が七・三、こういうことになっておるのでございまして、全体の較差が五・六、こういうふうに出てまいったのでございます。
  41. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 局長、あなたは誤解しているのじゃないですか。あなたは専門家のくせにそんな誤解をしちゃ困る。いまの海事(一)、(二)、教育職の(一)、それから教育職の(二)、医療職の日、こういう民間よりも高いものが、ことしは逆になっているのですよ。何を言っているのですか、逆ですよ。この民間より高いものが下がっているのですよ。そう数字はなっている。逆ですよ。妙な説明をしては困りますよ。逆ですよ。民間より高いものが下がっていることはいいのですよ。公務員のほうが民間より高いとか、ここを上げたとか……、その五つの職種ですよ、それが下がってきている。差が縮まってきていることはいいのですよ。それがかえって逆に出てくるのですよ。とんでもないことですよ。しろうとみたいなことを言うのですね。話にならぬ。それは説明にならぬですよ。そんなことじゃ話にならぬですがね。そこで、だからこれは五・六という数字が出たというのは、私はいまの説明では話にならないです。何か公務員が上がってきたようなことを言うのですが、それはどういうところからそういうことを言うのかわからぬけれども——若干はそれはよくなったかもしれませんですよ、昇給金額をちょっぴり変えましたですからね。それだって、〇・〇五くらいのものですよ。昇給間差を上げたって、こまかいものですよ。こんな五・六なんという数字が出ることはないのですよ。私はこう思うのですがね。局長、いまみたいな計算をやったのじゃ、来年はまたひどいものになりはぜぬかという感じを持つのですがね。というのは、官民比較というのは、これはもう総裁も御承知のように、民間公務員と総額を比較するのじゃないのですよ。やはり官民対応等級で比較するわけですよ。これが最も大きな問題点なんですがね。その問題点の悪い面が拡大をしてきているんじゃないかという認識を持っていますけれどもね。たとえば、今度のこの較差で、行政職(一)、これは二十四万おるんですから、圧倒的な数字なんですが、二十四万人おるこの行(一)をとった場合に考えますと、この四等、五等、六等というところ、この較差がうんと落ちている。しかも、人員が非常に多いんです、ここは。ここが非常に落ちているということは、これは、前から一等級とか二等級というのはこれぐらいの差なんですが、ところが、四等、五等、六等というところはうんと落ちたですね。ここに五・六という数字が出てきた一番大きな理由があるんじゃないかと思うんですが、そこで、官民対応等級というのを見てみればはっきりする。出てくるんです。御承知のように、公務員民間の人員構成を見た場合に、公務員の人員構成というのはおそろしくちょうちん型になってきている。中堅のところが多い。これは民間でも若干そういう傾向がありますが、公務員の場合、さらに一そう大きくなっている。これは政府の人事管理がまずいというところに大きな問題があると思うんですけれども、それは一応問わないことにして、そういうふくらみがずっと上に上がってきているわけです。ですから、私は、こういう傾向が本年あたりに相当強く出てきた、来年になるともっと強く出るんじゃないかというふうに思うんですね。たとえば、八等級官民対応等級民間の八等級と比べた場合には、年齢はそんなに差はないです。七等級もしかり、そんなに年齢は差はないんです。それから六等級、五等級、四等級というのを比べてみますというと、十歳ぐらい公務員のほうが年齢が上なんで。だから、民間の十歳ぐらい低いところと比較している。その比べ方が、本年あたり——昨年から出ていたんだが——本年あたり相当強く欠陥が出てきたんじゃないかというふうに思うですね。というのは、四等から三等へ、二等へというのはなかなか行けない。ここでみんな頭を打っているわけです。そこへ下の者がどんどん押し上がってきているから、六等、五等、四等というものが、年輩の者がみんなぶつかっちまう。したがって、官民対応等級民間と比べた場合には、十歳低い者、若い者と比較しなきゃならぬという形が出てきている。そのことが、本年あたりはっきりその欠陥が暴露されてきたんじゃないかというふうに私は思うんですがね。どうでしょう、総裁局長、どうですか。去年と違うと言うけれども、そういうものがここへ出てきたんじゃないか。
  42. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) これは前からそういうお話があるのでございまするけれども、われわれのほうのやっておりますラスパイレス方式では、一つ等級の中においても年齢の群をつくりまして、そして公務の年齢構成で、その年齢群に対する民間の賃金を用いまして、いわゆるラスパイレス方式で出してきておるということでございます。したがいまして、御指摘のようなことは原則的には避け得ておるというふうに思います。しかしながら、今後、年齢構成が非常に公務民間とが等級別に遊離してまいるというようなことになりますれば、これは問題が起きるかもしれません。また、場合によりまして、現在、仰せのように、公務員の年齢構成は中ぶくれでございまして、これは現在の給与体系というものがやはり職務と責任ということを原則として構成されておるということもございまするので、現在の四等級、五等級をみんな三等級に持ち上げる——まあ、非常識なことを申し上げて恐縮でございますが——というようなことは実際問題としてできないというようなことでございます。そうすると、非常に長い年月の後に、いまの非常に年齢がかたまっております、高い年齢の層がずっと抜けていったというような場合をかりに想像いたしてみますると、今度は公務の年齢が非常に若くなって民間が高くなるというようなことがあるかもしれません。まあしかし、ここ数年の間は、現在の比較のやり方で原則的にはそう大きなあやまちはないというように考えております。しかし、この問題はやはりいまのようなラスパイレス方式という方法官民比較するのがいいのか、あるいは従前のようにキイポイント方式——ある一点をとりまして、そういう重要な二、三のポイントをとりまして、そういうところで官民を比較して俸給表を構成していくのがいいのか、これは問題は根本的にはあろうかと思います。しかし、公務の年齢が高く、民間の年齢が低い、それを比較しておるから公務に不利に出るという現象は原則的にはないのではなかろうか、このように考えております。
  43. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 局長、あなた、ラスパイレスという数字にあまりたより過ぎるのです。たとえば五等級は、民間の五等級人事院が言う平均年齢というのは大体三十五歳と見ている。ところが、公務員の場合の五等級というのは四十四歳ですよ。ちょっと十歳違うのだ。公務員のほうが年齢が上です。そういう十歳も若い者と比較してラスパイレスでやってみたって、おそらく三十五、六歳の中には、平均年齢ですから、四十四歳の者もおりましょうし、四十六歳の者もいるでしょう。しかし、ラスパイレスでつかまえたとすれば、これは民間の例外的なものをつかまえているということになるというふうに言っているのです。ラスパイレスという方式は、ほぼ年齢が同じくらいでないと困るですよ。これは十歳違っちまうと、向こうの三十五歳の平均年齢の中から四十五、六歳という連中を引っぱり出してくるのですから、これは例外的に昇進のおそいような人が出てくるのです。そういう人と比較しなければならぬわけになる。妙なことを言わないで、ここ、やっぱり問題があるのです。改めなさい。こういうことになるから数字の低いのが出てくるのです。これからますます、私は、来年あたりはひどくなりやせぬかと思うのです。これは総裁に伺ってみても、総裁はほんとうはこれぐらいのことを知らねばだめですよ、これは議員であるぼくが知っているのですから、総裁がこれぐらいのことを知らねばどうしますか。局長に答弁させたってだめですよ。とにかく話にならぬですよ、五・六は。話にならぬです。総裁、いま私が言っていますように、こういうラスパイレスという方式をとれば何か磐石だというみたいな考え方を持っている。これは誤りです。こういうような、あまりにも年齢が違うものと比較をするということが、年々やはり弱点を暴露してきた。本年あたりはびっくりするぐらいの暴露をしてきた。来年はもっと私は暴露されるのじゃないかと思うのです。大きくこの矛盾が出てくるのじゃないかと思うのです。同じものを何回やってもしようがないですが、これは人事院の大きなミステークです。総裁の今度の勧告の中には、積み残しは、この総裁のことばによりますると、例年にない異常なる事態が明らかになったと、こう書いてあります。いまのこの五・六なんというのは例年にない異常なる事態を明らかにしたものですよ。  そこで、次に移りますが、念のために伺っておきますが、こういうやり方を変える考えはないですか。この四等、五等、六等あたりが十歳も若い民間のものと比較をしなければならないということを是正しようという考え方はないですか。べらぼうですよ、十歳も若いものと。かりにラスパイレスをとってみたってこれは理屈にならないです。こんな年齢が違ったら、ラスパイレスは用をなさない。変える考えはないかどうか。
  44. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) いろいろと御指摘を受けまして、かつ、われわれの責任ある判断のもとにおいて、なるほどこれは不合理だという点がある限りにおきましては、かねがねこれは毎年の勧告において少しづつでも改善してきておるということは鶴園委員十分お認めいただけると思います。私どもは、そういう基本的な立場で臨んでおりますので、これらの問題もその方向でさらに検討してまいりたいと存じます。
  45. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 確かに今度の官民対応等級で、三等級について課長代理というものを引っぱり出されたという点もありますし、それから行(二)の場合を見ました場合も、行(二)についてはあちこちやはり前進した状況は見られる。ですから、行(二)の場合はまずまずということは言える。改善も見られると思います。あまりにも大きな矛盾でございますから、こういう問題について、やはり根本的に検討し直していく必要があるというふうに私は思います。  次に、この春闘の積み残しがいま出たのですが、私は、ここにも申し上げましたように、いまや春闘の積み残しというものではなくなっているのだ、春闘相場そのものをどうするかという点に問題はかかっているのだということを強調したわけなんです。本年は、総裁はこの勧告の中でも、これは異常なる事態が判明したので、そこでこれをひとつ積み残しを入れるということなんですが、先ほど私が申し上げたように、積み残しを検討する、これについて考慮を払っていくということはけっこうなことなんです。ですが、五・六に簡単に一・六を足すなんということは、これは子供だまし。そのことは私は、その五・六があいまいなものだから一・六を足しても差しつかえないという理屈も成り立つのですが、これはもうきわめてずさんきわまりない話、子供だまし、小学生がやるようなことをやっているわけなんですが、しかし、積み残しを配慮されたことは、これはもう当然なことでけっこうなことなんです。ですが、もっとそれは正確にしてもらいたいですね。で、これは人事院調査によりますというと、積み残しが一・六だという数字を出しておりますけれども、本年のこの公務員と非常に似ているといわれる労働省の毎月勤労統計の管理事務並びに技術労働者、これの上がりぐあいを見ますと、本年の二月から四月の間に一・七%上がっているのです。で、四月から六月の間に三・一%上がっている。ですから五月には出ないのです、春闘相場というのは、やはり。六月まで見なければですね。これは去年の場合も同じです。去年からやかましくなった積み残しというのは、それは春闘相場というのは五月を調べてみても十分ではない。やはり六月という時点をとってみなければ出ないのじゃないかということを言っているのですが、今度も数字的には二月から四月の上がりぐあいというのは一・七%上がって、四月から六月の上がりぐあいは三・一%という上がりがありますね。これは技術、管理並びに事務です。ですから、はっきりしているのじゃないか。だから、これを一・六なんという数字で積み残しが何か終わったような感じ——ことしは踏み切って、何かいいことをされたようにお考えかもしれません。確かにいい点なんです。ですが、やはりこれはあまりに小さい、一・六じゃ。言うなれば、春闘相場の相当半分ぐらいのものと言ってもいいと思うのですが、来年の勧告に残っていくことになると言ってもいいのじゃないでしょうか。労働省統計を使って何も人事院がおかしいことはない。こういう点はどうなんですか、局長。あいまいに五月に調査して、四月にさかのぼって上がるところは幾ら上がると聞いてみたところが、二〇何%の事業所があったというようなあいまいなやり方ではなくて、労働省がちゃんと出しているし、また、給与法ではそういうものを使えとなっているのですから、どうですか。一・六ということは私は納得はできないのです。
  46. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) 御承知のように、人事院調査は、四月分の支払い分について調査をいたすわけでございます。ところで、この四月の賃金支払い期間に支払われましたものを調査するのでありますが、これは現実には五月のゴールデン・ウィークの済みましたころから調査が始まりまして、六月二十日——これは多少おくれることがありますが、その間に実地調査をいたす、こういうわけでございます。ところで、その間というのは、もうすでに、まあ新しい賃金改定が確定いたしまして、四月分の賃金として支払われたものはもちろん実際の調査の中に上がってくるわけでございます。ところが、春闘のおくれというようなことで、実際には妥結はしているけれども、まだ内部の配分がきまっていないとか、あるいは妥結もしていないとか、いろいろな状況がずっと、このいろいろな事業所にいろいろな状況があるわけでございます。そこで、われわれはできるだけその妥結したものはこれを捕捉しようということで、その間の調査でとらえます。しかしながら、これは多少抜けがあるかもしれません。というのは、たとえば、六月の十五日前後に一斉調査をやって、これはその時点で押えるというようなことが、実際限られた調査人員と限られた旅費というようなその範囲でやりますと、これはできない。したがいまして、いまのようなお話を徹底して言うならば、それは六月に調査をしてみなければわからぬというような問題でございます。  ところで、この調査時期を変えるということは、これはいろいろ御指摘はございまするけれども、なかなかむずかしい問題だと、しかし、われわれは何も四月に固執しているわけではありません。現在の状態では四月ということでやっておりますが、時期を変えるということはいろいろな問題がからんできてなかなかむずかしい。しかし、もしこの確実に民間の春季における賃金の引き上げを全部捕捉してそれを完全な形でとらえるというような主張が第一に重んじられるとするならば、これは調査時期を延ばすよりしかたがないということに相なろうというふうに思います。  そこで、われわれはでき得る限りの努力をいたしまして、五月ないし六月の二十日までかかりましてこの数字を調べ上げて、そうしてその数字基礎にして一・六というものを出しておるのでありまして、これはやはり一・六を、先ほど総裁も申しましたように、考慮することが適当であるということで考慮しておる数字でございますが、現在の状況においては、われわれが捕捉し得る最も適当な数字であろう、このように考えております。
  47. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 私は、六千三百余の事業所を各県にばらまいてあるわけですから、各県に百二、三十の事業所になる。百二十余の事業所春闘分というものを調査するということは、私は、この程度調査ですが、これはそんなに労力を要する問題ではないというように思いますね。これは個人別調査をやるわけでも何でもないわけです。簡単なものだと思います。ちょこちょこと行けばそれでわかる話だ。そういうこともやらないで、しかも一方、労働省の毎月勤労統計においてははっきり出ておるわけです。それが一・六が妥当であるというような、これは人事院のエゴイズムに立てば、人事院調査資料オンリーだけにたよっていけばあるいはそういう理屈が成り立つかもしれません。ですが、私は積み残しというものはもっと根本的に考える必要があるという点を申し上げたいわけです。うんと少な過ぎる。半分も入っていないという、状況は数字からはっきりしている。ですが、昨年よりもこれは正常化してきたのですね。昨年は〇・九という数字が出てきた。今年は一・六、昨年の〇・九というものより大きな数字を入れた。五・六というのが少なかったのでびっくりして一・六を足したということになってきたのです。その場その場限りの継ぎはぎだらけの理屈じゃ通りません。重大な反省を求めたい。本来去年も考えるべきだった。本年は考えたことは前進だけれども、しかし、これは私のほうとしては反省を求めなければならないというふうに思います。  次に、各等級上がりぐあい——何か中堅職員のところを非常に重要視したようなことを勧告の中に書いてある。特筆大書してある、中堅のところを上げたと。そこで、これは総裁も御存じだと思うのですが、四等、五等、六等、七等、まあ七等はこれは自動的に上がる面がありますからいいのですが、五等、六等、四等をとった場合に、四等の最もたくさん在籍しておるところは上がりぐあいがうんと落ちておるのです。これはどういうわけでこういうことをやるのですかね。こまかく申し上げましょう。六等級ですね、六等級はこの本俸の三短を含めないで考えますと六・七%。それは三等の四・七%に比べれば確かに六・七%というのは大きい。その意味で中堅のところを、六等級なら六等級のところに重点を置いたということも言えるでしょう。しかし、中身を見ますと、六等級の一、二、三、四、五、六くらいまでは九%台の引き上げなんだが、最も六等級で集中的に人が在籍しておるところですね、これはがたっと落ちる、七%くらい。ぐっと落ちてしまう。これは五等級でもしかりですね。四等級でもしかりです。在籍者の非常に多い号俸というのは引き上げをうんと節約している。これでは頭隠してしっぽ隠さずですね——頭としっぽは隠してある。若いところの号俸と一番うしろのほうの号俸とは上がっているのだが、まん中の最も人がたくさんおるところの号俸というところは落ちているのです。顕著に落としてあるのです。こういうやり方をやってはだめだと思うのですがね。去年もそうですよ。落とすのですね。どういうわけですか。予算が足りない、原資が足りないという点からだけでこういうことをされるのか、理由を承りたいですね。
  48. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) これはもう俸給表のことはずいぶん御存じの鶴園委員のことでございますから、むしろいまの御指摘ははなはだいただきかねると思うのでありまするが、パーセントで申しますると、六等級の一号は九・三%の上がりということになっております。しかし、俸給表上の金額というものは上位等級あるいは下位等級同一額でないまでも、それぞれ対応金額というようなものがあるのでありまして、これは上下、前後の関係で全体が構成されておるというようなことから、そういうことに無関係にやるわけにまいらない。で、六等級の一号俸のところはたまたま九・三%になっておりますが、二千二十円の引き上げでございます。一号飛ばしにかりに申し上げてみますと、三号俸は二千三十円、五号俸は二千九十円、七号俸は二千百四十円、九号俸は二千二百四十円、十一号俸は二千五百二十円、十三号俸は三千六十円、十五号俸は三千二百十円、十七号俸が三千百七十円。これは金額的にごらん願いますると大体スムーズにできておる。もっとも本年の四月からいわゆる暫定手当一段階繰り入れがございまして、俸給体系多少乱れました。それを是正することもありますので、引き上げ金額が必ずしも斉一ではございませんけれども、おおむね引き上げ金額は大体この五等級、六等級を通じまして二千円以上ということで、上位等級のほうは、俸給の上位の号俸のほうは間差額を是正するということも今回あわせてやりましたので、金額が総体的に上がっておるということはございますけれども、やはり力は五等級、六等級にわれわれ当然入れたのであります。
  49. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 いや、局長ね、俸給表がどういう形でできておるか、よう知っておりますよ。しかし、そういうものは是正できるのですよ、やろうと思えば。それは四等と三等との間の較差が大きい。三等と四等との間の較差がでっかい。それから、二等と三等の較差もでっかい。そこら辺を調整していけばここのたとえば六等級の最も人がたくさんおる六号、七号、八号、九号というあたりをこんなに落とさなくてもいいはずだ。あるいは五等級の最もたくさん人がおる五等級の六号から十号あたりというものをこんなに上げ率を落とさなくてもいいはずなんだ。四等も同じ。頭としっぽだけ隠して、胴体のところはがっさり落とすなんというやり方は、これはよくないですよ。だから、俸給表の都合があれば、上のほうだけ若干しわ寄せをしていけばできることじゃないですか。そこでいつまでもここのところ上がらんということですか。去年も上がらなかった。上がりが悪いのです、ここは。本年も上がらなかった。今後未来にわたってできないというんですか、今後俸給表関係から。そういう理屈は成り立たんはずですよ。説明してください。
  50. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) がっさり落としておるとおっしゃるのですが、われわれ落としていないんで、上げておるんであります。全体的に見まして今回の俸給表改定金額は、全俸給表を通じて、先ほども申し上げましたが、率で申し上げますと、六・四%ということでございますが、俸給表全体の合計で平均二千三百六十円の上がりということに今回なるのであります。そこで、行(一)の五等級、六等級をごらん願って、大体この辺で六等級の初号で二千二十円、五等級の初号で二千三十円ということになりますが、初号はその程度上がりでありまして、本号付近に参いりまして六等級で三千百五十円ということになっておるということは、今回の俸給表改善におきまして行(一)の五等級、六等級相当等級に力を入れておる。また全体が二千三百六十円でございますので、これは念頭に入れておいていただかなければならないのでございますが、その辺の関係から見ると、この辺に力を入れておるというように御理解いただけるのではなかろうかと、このように考えております。
  51. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 局長、まことしやかなことを言われてはかなわない。あなたは金額で言っておるが、ぼくは金額で言ってない。率で言っておる。金額で言われてはかなわない。六等級を見ますと、六等級の一号は九・三%の上がりです。ところが、六等級の七、八という最も人員の多いところは三%の下がりじゃないですか。六・五%しか上がってない。それを言っているんです。六・五%しか上がってない。三%下がりじゃないですか。これを言っておる。五等級についても同じ五等級の一号、二号というところは七%引き上がる。最も人がたくさん在籍している七号、八号、九号になりますと五%台になるじゃないですか、こういうことを言っておる。金額で言っているんじゃないのです。金額では話にならないのです、率で言わなければ。だから、お宅でも引き上げ率を出しておる。ちゃんとそれでやっておる。ですから、去年もこういうことをやったんだが、四等、五等、六等という中堅職員のまたその中の中堅職員と言われるところは本年もやはり素通りしたということになりますよ。そうなりませんですか。三舞をちょっとやりましたから幾らか是正されておる面もあるけれども
  52. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) まあ、俸給表はこの昇給間差額というもので構成されておりまして、これは、従前間引きをやりましたことそのほかの理由で、現在必ずしも斉一になっていない。このことはかねて鶴園委員の御指摘のところであります。われわれもこれは漸を追って直していこうと思っております。ところが、このやはり一つ等級におきまする昇給間差額は下位号俸から上位号俸に向かいましてある秩序がなければいけない。途中に弱点をはさむというようなことがあると、これははなはだ俸給表としてていさいをなさないということもあるし、また、実施上そういうものは不適当であると考える。そういう弱点を起こさせないという一つの制約のもとに改善をしていきますると、率で申し上げまするとそういう傾向になるのはこれはやむを得ないのでありますが、私は金額だけを特に強調しておるわけではございませんけれども、場合によったら率と並行して金額もやはりごらん願わなければ、この実情は、率だけで特定の、たとえば七等級の初号の二、三号が一〇%をこえておるが、上のほうの号俸になると六%台になるのはけしからぬじゃないかというような御指摘があるかもしれません。やはり、これは金額と合わせてごらん願う。七等級の初号の辺は千九百二十円、二号が千九百九十円の上がりでありますが、最高号俸の十五号は二千三百八十円。これはやはり率と金額を合わせてごらん願いたい、このように思います。
  53. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) 安井総務長官が出席いたしております。
  54. 山本伊三郎君(山本伊三郎)

    山本伊三郎君 大臣、何か池田前首相の葬儀のことでお急ぎだということで、一問だけひとつ簡単に、しかも誠意をもって御答弁を願いたい。  いま実は伊藤鶴園委員から、人事院勧告についての不当性、非常に公務員が不利であるということを追及されておる。そういう勧告が出た以上、これは勧告が出た以上は政府は尊重するということで、過去五回ともそういう態度でこられたんですが、ところが、実は尊重すると言っておられますけれども、不合理な内容については尊重されてきましたけれども、最も公務員について重要な実施時期については、残念ながら五月でもこれはわれわれは不満なんです。四月の調査ですから四月からやるという声が——声でなしに、理論的にもそうでありますけれども、それを五月からという人事院勧告すら過去五回とも実施されていない、こういう実情であります。これは安井総務長官御存じのとおりであります。しかし、それは過去のことは過去のこととして、今回の勧告は、非常に物価が上がって公務員諸君も生活に困っているときでありますから、安井総務長官としてはぜひ人事院勧告どおり実施すべきであるということは、世上一般の——院内だけじゃない——世上一般の考え方だと思うんですが、政府の考え方をひとつお聞きしたいと思います。
  55. 国務大臣(安井謙君)(安井謙)

    ○国務大臣(安井謙君) 実は、私、今度総務長官を拝命いたしましてから、格別当委員会にはお世話になるわけでございます。予算委員会等の関係から、まだ当委員会でごあいさつを正式にしておりません。その点につきましてたいへんおくれましたことを申しわけなく思います。今後もひとついろいろの点でよろしく御叱正を賜わりたい。一言ごあいさつにかえる次第でございます。  いま山本さんから御質疑の、人事院勧告政府は尊重するか、こういう御質問でございます。私ども、それは従来ともそうでございますが、今回も特に人事院勧告につきましてはぜひこれを尊重していきたい。勧告そのものについていろいろな御批判もあるかもしれませんが、政府としましては、これが第三者機関として一番権威のあるものであるということを認めておるという見方をしておりまして、ぜひこれは尊重していきたいという覚悟でございます。ただ、従来とも、残念ながら財政事情等からして思うようなことができなかった事例と相なっております。今回も、私といたしましては、これはできるだけ全面的に尊重したいという立場でございます。ただ、この席で、それじゃどうできるかということになりますと、ことしは御承知のようななかなか財政事情も非常に芳しくないというような状況もあり、また、内容はできるだけしさいに検討し、財政状況ともにらみ合わせるという手順も要りますので、この八月一ぱいとか九月早々に政府立場をすぐどうきめるというわけにはまいるまいかと思います。でき得る限り急ぎまして態度も早くきめるようにやりたい。また、きめるにつきましては、私といたしましては、もう極力これを尊重して実現をはかりたいという気持ちで当たっていきたいと思っております。
  56. 山本伊三郎君(山本伊三郎)

    山本伊三郎君 安井総務長官のその答弁については、誠意のある含みは十分私わかります。しかし、歴代の担当大臣はおのおのこの委員会ではそういう答弁をされた後、結局閣議では、先ほど言われましたように、財政の都合ということで、昨年はようやく一ヵ月だけ、その前の十月よりも一ヵ月繰り上げて実施しましたけれども、五月から見ますと、はなはだ距離が遠い結果でありまして、これは財政の関係もありましょうけれども人事院が第三者機関として、公務員から労働三権を取った代償としてつくった人事院勧告を、政府が財政の事情ということだけでこれを尊重しない場合に公務員に与える心理的、思想的影響ということも考えなくちゃいかぬと思います。これはもう五年間の皆さん方御存じだと思いますけれども、なるほど人事院勧告については不満である、あれがいいということは言わないけれども、不満であると言っても、第三者機関が勧告をしたものを政府がそのまま尊重して実施したのだ、このこと自体が、かりにそれがどれだけ上がろうとも、公務員諸君に対する私は非常にいい心理状態、また、その仕事に当たる場合にでも公務員としての熱意が高まってくると思うのです。そういう点から、いま答弁されましたけれども安井総務長官、相当閣内でも非常に発言が多いように聞いておりますけれども、ひとつ佐藤総理に、私また予算委員会でも追及いたしますけれども、次の国会が始まるまでにおそらく政府はこれをきめてしまうと思うのです。したがって、そういう場がございませんので、特にきょう、お忙しいとわかりながらも来てもらったのでございますが、安井総務長官、あなたの総務長官就任の一つの大きい仕事としてこの問題は最後まで人事院勧告を固執するといいますか、実施するのだということで通してもらいたいと思いますが、もう一回その決意のほどをお聞かせいただきたい。
  57. 国務大臣(安井謙君)(安井謙)

    ○国務大臣(安井謙君) 山本委員のお話、私ども全く同感と申しますか、そうすべきものであろうと心得ております。ただ、いままでの実績もいま御指摘のような実情もあり、また国の、ことに四十年度の財政事情というようなものも困難な事情も予想されまするが、私はいまお話しのような線に沿って今後も努力を極力いたしたいと思っておる次第でございます。
  58. 山本伊三郎君(山本伊三郎)

    山本伊三郎君 次に、自治大臣にひとつお聞きしたい。最近、特に四十年度は地方財政きわめて悪いということを言われております。その悪くなった原因については、これは時間の関係でここで論議をいたしませんけれども、それがために、今度は国家公務員に対してこの勧告が出て、政府は実はこの勧告実施を、いま安井総務長官が勧告を尊重するという御答弁があったのでございますが、その実施された場合に、地方公務員も、実は御存じのように、法律上は別といたしまして、やはりこの人事院勧告で、政府が法律を改正されますると、それに準じた形でベースアップがされますが、自治大臣として財政が悪いということで地方公務員を非常にほったらかしにしない、私はそう思いますが、自治大臣の御所見をひとつ聞きたいと思います。
  59. 国務大臣(永山忠則君)(永山忠則)

    ○国務大臣(永山忠則君) 御説のように、地方公務員関係も国家公務員に準じましてぜひ実現をいたしたいというように考えておるわけであります。
  60. 山本伊三郎君(山本伊三郎)

    山本伊三郎君 大臣のそういう答弁ですが、実は、私も地方財政については若干聞かされておりますけれども、非常に地方財政は困窮をしておることは事実であります。今度政府は公債発行に踏み切ったようでありますけれども、それも地方財政に対する一半の、一つの影響は十分あると思います。——自治省として、この財政の悪いという事実は私も認めますけれども、それがやるためには、いまの実は地方財政そのままではなかなか四十一年度、四十年態後半も相当問題があると思います。これに対してこの予算編成、また、この公務員給与引き上げと同時に補正予算もされますけれども、それに対する財源の見通しですね、自治大臣としてどういう考え方でこれを乗り切ろうとされるのか、その所見を承りたい。
  61. 国務大臣(永山忠則君)(永山忠則)

    ○国務大臣(永山忠則君) 地方財政が非常に困難な情勢でございますが、私は、政府が借金しても地方財政を、ことに給与関係公務員に準じてやるべきであるという信念で財政的措置を十分いたしたいと考えておる次第でございます。どういう事情で困難かということは九月の決算を見ないとわかりませんけれども、通常、法人税が減収だろうというふうにいわれております。かりに、いわれているような法人税が千五百億減収のような場合に、これに対して減収の補正が組まれてきますときには、やはり交付税が四百五十億ぐらい減額されることになります。それから、別に法人税割りが二百億、法人事業税五百億と、結局千百五十億という財源不足を生じてくるのではないか。まあ、案外九月の決算でそうでないかもしれませんが、通常いわれるような状態ならばそういう状態でございます。しかるに、人事院勧告どおりに実現いたしませば、五月実施といたしまして九百十一億でございますが、そのうち一般財源が七百四十億。七百四十億一般財源が要るわけです。あとは政府が当然出す金でございますが、そういう関係で地方財政は実に二千億に及ぶ関係の困難な税の問題が生じてくるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、必ず公務員のべースに準じて絶対にやるという信念を持って努力をいたします。
  62. 山本伊三郎君(山本伊三郎)

    山本伊三郎君 初めて永山自治大臣と会うのですが、その決意は私多く買います。しかし、事実と間違ったら承知しません。私はその点で質問を打ち切ります。御苦労さまでした。
  63. 国務大臣(永山忠則君)(永山忠則)

    ○国務大臣(永山忠則君) 最善の努力をいたします。
  64. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 あと時間がございませんから、住宅手当とそれから期末手当だけについてお尋ねをいたしますが、その前に、いま瀧本局長が、率は確かにそうだが金額も見てもらわなければ困るという話ですが、私は繰り返し言っておきますけれども、この七等級で言いますと、七等級の一号と二号というのは一〇%台の引き上げになる。しかし、最も七等級で人の多い六号、七号あたりになりますと、七%台というふうになるということを言っておるんです。  それから次に住宅手当ですが、今度の資料を見ますというと、人事院としては住宅手当に踏み切るべきところに来ておったと思うのですが、今度踏み切らなかったのですが、ここでもたびたび申し上げておりますように、公務員の住宅手当というのは二つの点から問題になっているんだ。一つは転勤だ。かつて——七、八年前とは違って、いまやすべての公務員が転勤の対象にならざるを得なくなっている。範囲は全国の規模のものもありますし、ブロックの規模のものもある。県内の規模のものもあるけれども、いずれにしろ転勤が非常に大きな問題だということ。それからもう一つは、官舎あるいは公設宿舎、国設宿舎に入っている者とそうでない者との大きな差が問題になっているんだ。この二点だということを言っておるわけなんです。ですから私は、住宅手当を考えられる場合には、この二点をやはり焦点に置いて考えられる必要があるのではないかと思うんです。ところが、人事院のこの調査を見てみますというと、調査はいいですが、調査の締めくくりを見てみますと、そこの点が非常にぼけておる。賃金については、本俸についてはわりあいにごちゃごちゃとはじきまして、私に言わせますと、もっともらしいはじき方をするが、しかし、この住宅手当になると、まことに冷談です。ことしなんかも、住宅施設があって転勤があるもの、そういう数字を見ますと、やはり四八・九%というものが住宅手当を出しているわけです。転勤の制度があるもの、そうして住宅施設のあるもの、そういう事業所をとりますと、実に半分近くになってきているんです。で、通勤手当人事院が踏み切ったときにも、ほぼこれぐらいの数字で踏み切ったわけなんです。ですから私は、この住宅手当についてもっと真剣に考えてもらいたいと思う。金額が少しばかりかさばるからということで非常に冷淡なやり方をされては困るという点ですね、これが一点。  もう一つは、全体としての住宅手当の支給率というのが、ことしで四回調査しましたですね。去年もやりました。その前の年もやって、その前の年もやった。ことしは四回目の調査。その四回目の調査からいうと、毎年五%ぐらいずつ民間の住宅手当の支給の割合というものはふえてきておりますね。この割合でいけば、あと三年ぐらいたてば住宅手当が出るであろうという、そういう推定をしておられるのかどうか。いま全体として住宅手当を出しておるものは三四・七%。毎年この率というものは五%ぐらいずつ上がってきておる、調査の結果は。そうしますと、三年ぐらいたてば五〇%近くになる。住宅手当を支給しておるところの民間事業所というものは半分近くになってくる、その際に踏み切ろうという考え方なのかどうか、この二点についてお尋ねいたします。
  65. 説明員(佐藤達夫君)(佐藤達夫)

    説明員佐藤達夫君) 住宅手当の問題はきわめて深刻な問題であることを承知しておりますし、かたがた、調査もこの委員会での御指摘をできるだけ取り入れまして、たとえば宿舎の施設の有無とか、あるいは転勤の有無とかいうところまでこまかに調査をとっておるわけであります。しかし、そのパーセンテージはわれわれとしては三〇%台というふうにとらえているわけでありますが、いずれにせよ、これがだんだん上がってきつつあるということは事実でありまして、その点はわれわれもなお注視を続けておるわけであります。ただしかし、これがかりに通勤手当の場合は、たしか民間が六五%以上通勤手当を出しておるというところで踏み切ったわけでしたが、パーセンテージがかりに五〇%をこしてまいりましても、六〇%をこしてまいりましても、先ほど御指摘がありましたように、一方においては官民較差の間の配分の問題が控えております。したがって、その配分の関係をもにらみ合わせて勘案しなければならないなかなかむずかしい問題であるというふうに考えておるわけでありますが、今回の勧告におきましては、まだそこに踏み切るべき諸条件、いま申しましたような二つの条件から申しましても、これが整っておらない。しかし、これに関連して、先ほど給与局長が申しましたように、通勤手当というような方面の整備はやはり必要であろうということで手当てをいたしましたわけで、かたわらまた、数年来強調して要請してまいりました公務員宿舎の増設につきまして、ことしは文書で出すことは差し控えましたけれども、私、総理大臣にもこんこんとお願いいたしましたし、大蔵大臣にも、総務長官にも強く要望してまいったわけであります。それらの手当との関連においてもまた住宅問題は決解していただくべきではないかという気がまえで臨んでおるわけでございます。
  66. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) 速記を起こして。
  68. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 次に、これは注意を申し上げておきたいんですけれども標準生計費を毎年はじかれるわけですが、今年も標準生計費出ておりますが、この標準生計費は、申し上げるまでもなく、給与法によって、この俸給表と結びつけるということでできておりますが、ところが、この俸給表標準生計費と比べますと、たいへんな赤字が出るわけなんですよ。一万円前後の赤字が出るわけなんです。四等級になりますといいですが、三等級等は問題ないんですが、五等、六等、七等の上のほうになりますというと、標準生計費と比べると一万円ぐらいの赤字が出るという状況になっているわけですね。それについて人事院の中に期末手当を含めて標準生計費と比ぶべきだという感じがあるようですね。これは間違いだという点をはっきり頭に入れていただきたいわけなんです。で、給与法の——国家公務員法の六十四条に書いてありますように、決して期末手当を含めて標準生計費公務員の生活を考えるんじゃない。どうもそういう考え方があるようですから、根本的にこれは考えていただきたいと思うんです。こういう標準生計費を出すのだが、俸給表と比べてみれば一万円も赤字が出ているのだというのじゃ、これは人事院といたしましてもまことにみっともない話ですからね。  それから、もう一つお尋ねしたいのは期末手当ですね。これは今度は工員はどのくらいのものにされたのですか。昨年は八対二という比率でやられたようですが、ことしもやはり八対二くらいの割合で考えておられるのですか。
  69. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) 職員、工員の比率は八二対一八。
  70. 鶴園哲夫君(鶴園哲夫)

    鶴園哲夫君 幾らか前進しましたね。去年よりも幾らか前進したということですね。がしかし、もう一つ問題は、やはり賃金はきわめて官民対応等級でこまごまとやられるのだが、期末手当がまことにおざなりになっている。何もそんなことをやらぬのです。そこら辺の反省もぜひひとつもうそろそろやっていいのじゃないかと思うのですが、いかがですか、局長
  71. 説明員(瀧本忠男君)(瀧本忠男)

    説明員瀧本忠男君) これは従来から申し上げておることでございますが、仰せのことも含めまして今後検討したいと思います。
  72. 委員長(柴田栄君)(柴田栄)

    委員長柴田栄君) ほかに御発言もないようですから、本件につきましては本日はこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後零時十三分散会