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1965-10-01 第49回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月一日(金曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 鹿島 俊雄君                 川野 三暁君                 藤田藤太郎君     委 員                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 徳永 正利君                 丸茂 重貞君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生大臣官房会        計課長      戸沢 政方君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局次        長        渥美 節夫君        通商産業省企業        局産業立地部長  中川理一郎君     —————————————    本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (昭和四十一年度厚生省関係予算概算要求に関  する件)  (医療費に関する件)  (新潟の水銀中毒に関する件)     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題といたします。  まず、昭和四十一年度厚生省関係予算概算要求に関する件について調査を行ないます。政府説明を聴取いたします。戸沢会計課長
  3. 戸沢政方

    説明員戸沢政方君) それでは、お求めによりまして、厚生省の来年度予算要求のごく概要につきまして御説明申し上げたいと思います。まだこれは概算要求の内容といたしましても完全に固まっておらない部分があるわけでございまして、すなわち、医療費問題とか国民年金法改正等につきましては、審議会答申等も得られませんので、まだ内容がコンクリートになっておりません。それで、一応ワク要求というようなかっこうでもって内容を保留のまま要求してあるようなかっこうでございます。  それで、まず、予算の一応八月末に要求いたしました総額でございますが、要求総額は六千二百六十五億二千四百五十七万一千円、前年度の予算が四千八百十九億四千百九十七万八千円、それで増額が千四百四十五億八千二百五十九万三千円、この増額分は前年度予算のちょうど三割増しということになってございます。ここ最近の例といたしまして、閣議決定で、概算要求の総額というものは当初予算の三割増しということになっておりますので、そういうかっこうになっておるわけでございます。それで、この中で、ここに本日お手元に差し上げました資料に書いてある事項につきましては、一応内容がきまっているわけでありますけれども、それ以外の大きい問題につきまして内容を保留してあるのがございます。その保留してある大きなものは、一つは、保険三法の財政対策に関するものでございます。それから、いま一つは、国民年金法の改正に関するものでございます。それから、いま一つは、生活保護法基準改定に関するものでございます。この医療費、保険三法の改正問題につきましては、社会保険審議会医療協議会等の御審議が続行中でございますので、その結論を待って改正案を考え、検討するということになっております関係上、この財政対策も未定で、いまきめるわけにはいかない段階でございます。それから、国民年金法の改正につきましては、昨年この被用者保険厚生年金法の改正に続きまして、来年度は国民年金法のかなり大幅の改正を計画いたしておりますが、これもまた、まだ政府案が確定いたしませんので、内容は保留ということになっているわけでございます。それから、いま一つ、生活保護法につきましては、これは昨年度から同様のやり方をいたしておるわけでございますが、生活保護法基準改定につきましては、十一月、あるいは十二月ごろに政府の来年度の経済見通し、そういったものが出たところを見まして、それらのデータに基づいて基準改定を考えるということで、一応要求といたしましては、生活保護につきまして前年度の予算額の三割増しというワク要求のようなかっこうで出してございます。したがって、内容は保留のまま、座敷だけをとってあるというようなかっこうでございます。  それでは、それ以外の事項につきましては、一応現段階における要求の内容が出ておりますので、そのおもなものにつきまして、簡単に御説明を加えてまいりたいと思いますが、この資料の事項は局の編成順に大体書いてございます。新規のものにつきまして、簡単に説明を加えてまいりたいと思います。  第一は、公衆衛生局関係の事項でございますが、その一つは保健指導体制の整備でございまして、保健所運営費整備費その他の経費でございます。それから、いま一つは地方衛生研究所の強化に関する経費でございます。(1)の保健所運営費補助、これはここでは補助職員職員増員を要求してございます。すなわち、前年二万二千八百四十二人を二万三千五百九十三人と七百五十一人の増でございますが、このおもな内容は、栄養指導の強化という意味から、管理栄養士等の増員、それから精神衛生対策の強化という意味で精神衛生指導員の増員、それ以外は新設とか格上げ等に伴う自然増的なものでございます。  それから、最近非常に問題になっておりますものとして、次の人件費基本給単価が非常に低い、そのために実際の支出単価に対して地方公共団体超過負担が非常に大きいということが問題になってございます。それで、来年度はこの医師その他の職員の単価の大幅な値上げを要求したいと考えておるわけでございます。それで、医師等の職員につきましては、年額四十三万円を四十九万九千円、それから、その他の職員につきましては二十八万一千円を三十四万二千円というふうに要求してございますが、この考え方は、めどを地方交付税交付基準単価まで引き上げたいということで、それを一挙にやりますと非常に大幅な増額になりますので、これを三年計画でもって交付税基準単価まで上げるということにいたしておるわけでございます。  それから、次の二番目の保健所施設等整備費につきましては、これは大体前年と同じような行き方でございまして、新設五カ所、増築十五カ所、改築五十カ所ということになっております。なお、建築単価につきましても非常に実態に合わないということをいわれておりますので、単価につきましては実績の一割増しということでもって、実績に合うように要求をしてございます。  それから、保健所につきましては、ウの公舎施設整備費、医師の確保対策の一環といたしまして、一ページでございますが、職員の公舎を整備したいというところでもって毎年出しておるのでございますが、二十五カ所分を要求してございます。  それから、(3)の医師充足対策、これは大体昨年来の対策を踏襲しておるわけでございますが、貸費生の貸与金の月額を、学生については六千円を九千円、インターンについては八千円を一万二千円に上げたいというふうに思っております。  それから、次の二ページの外国派遣費補助、これは昨年度からついております予算ですが、これも保健所医師確保対策といたしまして、保健所に長期勤務したような医師等につきまして、外国に留学勉強のために派遣したいというもので、本年欧米十人が入っておりますが、これを来年は倍要求してございます。  それから、エの教育訓練保健所費補助、これは新規でございますが、保健所初任者、新しく入った者につきまして、その地元所在の大学の先生に頼みまして保健所の訓練をしてもらうという趣旨のものでございます。  それから、(4)の地方衛生研究所強化対策地方衛生研究所は各県にございますが、この強化のために、施設整備費のほか、イの特別調査研究委託費、その士気高揚のためにこういう研究費を出しまして、研究所の熱意を喚起したいという意味でございます。  それから、2の各種疾病対策の強化といたしまして、いろいろな特殊疾病等に対する対策が並べてございますが、その最初は原爆被爆者対策、これは前年度におきましていろいろな対策を実施いたしましたが、来年度はまたその補充的な改善をいたしたいと考えているわけでございます。現在本年度実態調査に入りまして、原爆被爆者については、かなり精細な調査を現在実施中でございます。それで、原爆被爆者対策につきましては、このほかにも問題にされていることがございますけれども、そういう基本的なものにつきましては、実態調査の結果を待って私たち検討しようということにいたしておるわけでございます。それで、来年度の要求といたしましては、アは原爆障害者医療費、これは昨年度実施いたしました対象の範囲拡大の平年度化分と、あとは単価アップでございます。イの健康診断費といたしまして(イ)の交通手当、これは現在精密検査のためにだけ支給いたしておりますのを、一般検査の場合にも広げたいという趣旨のものでございます。  次のページにまいりまして医療手当、これにつきましては、医療手当は、前年度と同様でございます。(イ)の通院交通費、現在入院患者について、その入院の場合の交通費を支給しておりますのを、通院患者についても支給したいということであります。それから、エの原爆障害者死亡者葬祭料、これも新規でございますが、障害者が死んだ場合に一万円の葬祭料を支給したいというわけでございまして、件数は少のうございますが、新規のものでございます。それから、オも新規でございますが、施設整備費といたしまして、原爆病院拡張整備、これは広島と長崎のベッドの拡張を若干いたしたいという趣旨のものでございます。それから、(イ)の被爆者健康管理センター、これは簡単なドック式の検査を行なうセンターをつくりたいというわけでございまして、これはことしは広島につきまして今年度すでにでき上っております。来年度は長崎につきまして要求いたしておるわけでございます。  それから、カは、これも新規でございますが、原爆被爆者文献資料等の作成、先ほど申し上げましたとおり、本年実態調査をやっておりますが、それらの結果に基づきましていろいろな報告、また、いろいろな資料等も整備されてくると思われますので、来年はさらにその実態調査の結果を分析、解析し、原爆被爆者に関するいろいろな文献の資料等を整備したいというわけでございます。これは文部省のほうから、同時に原爆に関する資料館といったようなものを設ける予定で要求が出ているはずでございます。  それから、(2)は結核対策結核対策につきましては、結核予防法によります従来の大体対策を進めているわけでございまして、アは結核予防費の補助、これは単価増が大部分の経費でございます。それから、イの結核医療費の補助、これは予防法三十四条によります適正医療の分と、三十五条の命令入所の分と両方ございますが、これも若干の件数増のほかは単価増が大きな増額の内容でざざいます。それから、ウは、国際結核予防連合会東部地域委員会結核予防会主催で行なわれますので、これに対する若干の補助金でございます。  その次は四ページに参りまして、(3)の精神衛生対策、これにつきましては、昨年度法律改正とともにいろいろな改善、改正を進めたわけでございますが、それをさらに促進してまいりたいという内容でございまして、特に新しい対策というものは、若干の施設関係を除いては、大きなものはございません。アは従来の措置入院強制入院に対する補助金で、これも患者の増と単価の増が大きな増額の内容でございます。それから、イの通院医療費、これが本年の十月から実施されます通院外来患者に対する公費負担制度でございますが、これの平年度化と若干の単価増でございます。それから、ウは精神衛生センターのA級、B級合わせて十カ所の運営費でございます。それから、エは施設の整備費といたしましては、ベッドの増床を、地方公共団体分については二千八百床、日赤、済生会等公的医療機関について四百床、計三千二百床の増床を考えております。それから、精神衛生センターについては整備費を十カ所考えているわけでございます。五ページに参りまして、(ウ)の精神衛生施設整備費、これは新規でございますが、あとにリハビリテーションの項に出てまいりますが、精神対策の今後の重要な一環としてこのリハビリ施設を漸次整備していきたいということでもって、来年度はとりあえず百人収容施設を二カ所分要求してございます。その他の問題としまして、小児精神障害者特殊事務費、小児の精神障害者については、特に特殊訓練その他手数もかかりますので、この小児病棟を持つ精神病院につきまして、その小児病棟についての特殊訓練費、そういった事務費を特に補助をいたしたいという趣旨のものでございます。次の精神衛生施設運営費、これは上のリハビリテーションの施設について人件費その他の事務費を若干助成したいという趣旨のものでございます。それから、(ウ)の精神障害者職親委託、これも新規でございますが、軽症の精神障害者について篤志家の事業主に頼みまして、職業訓練による社会復帰の促進をはかりたいという趣旨のものでございまして、これについて児童の職親と似たような制度でございますが、その委託費を月千円お礼に差し上げたいという趣旨のものでございます。  それから、(4)の性病対策、これも昨今性病がまた非常に蔓延の傾向が出てきた、しかも、梅毒等の悪質の性病が蔓延の傾向にあるというところで、医学的にも、また、社会問題としても問題になりつつありますが、これについての対策をこの際一段強化して、早期のうちに根絶をはかりたいという趣旨のものでございまして、一つは健康診断に重点を置きたいというところで、強制健康診断、これは性病予防法等による売淫のおそれある職業婦人等に対する健康診断でございますが、重点を(イ)の任意の健康診断に置きまして、これを一般婦人の方、特に妊婦につきましては、これを一般的な健康診断と同時に、性病に関する健康診断を行なって、その家庭への侵入を防ぎたいという意味でございまして、百十六万人を対象にして、これに対する健康診断を実施するために二分の一の国庫補助を要求しているわけでございます。それから、新規のものといたしまして、婚姻時の性病の健康診断を特に強化奨励したいという考えを打ち出してございます。これは現在性病予防法八条に、婚姻しようとする男女は、事前に健康診断書を交換するようにつとめなければならないという倫理規定がございますが、これをもっと強化しまして、健康診断書を交換しなければならないといったような罰則のない義務制のようなものにいたして、この婚前の健康診断を大いに強化、普及したいという趣旨でございます。それで、そのために行なう健康診断については、全部公費をもって負担してやろう、これを国と県でもって二分の一ずつ負担するという趣旨のものでございます。それから、委託治療費性病予防重点地区対策費、これは従来と同じ趣旨のものでございます。その他の対策としまして、性病蔓延度の調査、これを各皮膚科学会その他に協力を求めまして蔓延度の調査を徹底してやりたい。それから、(イ)は性病診療所補助、(ウ)は接触者調査費で、従来と同様のものであります。  次のページにまいりまして、(5)は伝染病予防対策費、これはさほど新規のものでございませんが、アの伝染病流行予測調査、イのインフルエンザ特別対策は従来と同様のものであります。ウは日本脳炎につきまして、非常に発生度、また、後遺症等から考えましても調査の問題の重要なものでございますので、これにつきましても、インフルエンザと同じように、生後六カ月から十五歳までの乳幼児、小児に対しまして一〇%の公費負担をもって予防接種をいたしたいという趣旨のものでございます。それから、エは単独伝染病院医師派遣旅費伝染病院の医師を伝染病の研究のために外国に派遣する旅費であります。それから、オは特に東南アジア地域伝染病発生状況を調査する経費、そういったものでございます。  それから、3は栄養改善対策の推進でございますが、これは現在国府県等でいろいろな栄養対策を考えておりますが、国立の栄養研究所職務機能というものをさらに拡充強化しまして、栄養の問題を、ただ栄養という観点でなくて、広く体力づくりの観点から、総合的に体力研究運動生理、そういった問題を取り扱うようにいたしたいという意味で栄養研究所の改組をいたしまして、名称も栄養体力研究所と改めて、栄養の問題を含めて、国民体力、あるいはスポーツ医学、そういった問題を総合的に研究してまいりたいという趣旨のものが(1)でございます。  次の(2)は、健康増進指導者講習会とか、その関係の費用、あとは大体従来と同じような内容のものでございます。  4は、日米医学協力研究体制の確立、これは佐藤・ジョンソン会談に基づいて日米医学協力委員会というものが設置されまして、そうして東南アジア等における共通の疾病について共同研究をしようという趣旨で、すでに本年度からハワイ等において会議を行なって共同研究を進めることになっております。来年は特にこれを一段と進めるために一億五千万要求してございますが、これはコレラ、結核、ライ、ビールス、寄生虫と五部門に分かれて、双方から委員が集まって共同研究を進めていくという趣旨のものでございます。  以上で公衆衛生関係を終わりまして、次は環境衛生局関係でございますが、環境衛生関係の来年度の大きな一つの対策としまして、(1)の環境衛生金融公庫の設立の問題を提起してございますが、これは現在、環境衛生業者、すなわち、共同浴場とかクリーニングとか理容とか、そういったいわゆる環境衛生適正化法の規制を受ける業種が現在十七種類ございますが、これらはいずれも中小企業といっても非常に零細な企業でございまして、その経営の内容も非常に非近代的、非合理的な経営のものが非常に多いわけでございます。そういうものを合理化し、近代化することによって、結局料金の適正化、あるいはサービスの向上、保健衛生の完備というようなこともでき上がると思われるわけでございます。現在のところ、厚生省はこういう業者に対して、ただ料金の抑制、監督、そういったことしかやっておらないわけでございまして、これに対してもっと助成の道を講ずることによって、そういう内在する問題もおのずから改善されてくるであろうという趣旨から、環境衛生業者に対して、特に低利金融の道を開く趣旨でこの公庫の設立を考えておるわけでございます。  現在、環境衛生、すなわち、ふろ屋とかクリーニングとか、そういう環境衛生業者に対しては、中小企業金融公庫とか国民金融公庫とか、各種の既存の金融機関からの融資の道はあるのではありますけれども、融資順位も非常に低い、それから、利率も九分とかいうような高い利率で、なかなかこういうサービス業者まではその恩典が行き渡らないという状態でございます。それで、この公庫におきましては、特に低利の安易な金融をいたしたいというわけでございまして、来年度は、とりあえず政府出資金三十億、借り入れ金百七十億、計二百億の事業資金をもって要求してございます。これは、半年分でございます。それで、大体内容といたしましては、貸し付け利率は平均七分程度のものを考えております。償還期限は、まあものによって違いますが、二十年くらいのところを考えているわけでございます。そういう低利の金融をいたしますと、当然利子補給、あるいは事務費というようなものは、そういう自己資金をもってはまかなえないということになりますので、そのための交付金として一般会計から、ここに書いてあります九千万円ほど要求しているわけでございます。  それから、(2)は環境衛生指導の強化、これも公庫と相まって、環境衛生関係営業健全化合理化をはかるために、専門家による企業診断経営指導、そういったものを促進したいという趣旨のものでございまして、本年度六千万の予算がついてございますが、これをさらに倍以上に増加したいというわけでございます。  それから、2は公害対策の推進でございますが、これも非常に大きな問題になっておりますが、これについてはすでにいろいろな対策を実施いたしているわけでございますが、それを一段と進めたいというわけでございまして、(1)は主として公害問題に関する基本的な調査研究を促進するという趣旨で、前年の一億一千万を三億八千万に増額要求してございます。内容は、ここに書いてございますような、いろいろな各種の公害に関する調査研究でございます。それから、(2)が公害防止事業団の強化でございまして、これも本年この十月、本日から発足する事業団でありますが、この事業資金を、本年二十億を来年は百億に増額して、これの事業量を増加したい。それから、同時に、金利等につきまして若干の運用上の改善をはかりたいという趣旨のものでございます。  次の3は、環境衛生施設の整備、これは、し尿処理とか、ごみとか下水道、そういった各種の環境衛生施設の整備でございますか、これにつきましては、御承知のとおり、生活環境施設整備五カ年計画に基づきまして、大体軌道に乗って進められております。それで、この施設の中でも、し尿処理につきましては、大体昨年度と本年度をもって峠を越しまして、来年はほぼ一応行き渡るような状態でございますので、来年は特に新しい間順として、ごみに重点を置きたいというところで要求してございます。一〇ページにございますが、アは、し尿処理施設、イのコミュニティ・プラントというのは、簡易し尿消化槽と申しますか、団地、飛び地、そういったようなところにつきまして簡易な、し尿消化槽をつくりたいという趣旨のものであります。それから、ウの、ごみに重点を置きまして、前年は一億足らずの九千万ほどの補助金でしたが、それを十億要求してございます。それから、(2)の下水道とか、(3)の簡易水道等につきましては、従来と同じようなものでございます。  次に、一一ページにまいりまして、医務局関係の経費につきましては、一番は救急医療体制の整備、最近交通事故等の増加によりまして非常に問題になっておりますが、これについての対策として約四億二千万要求してございます。国立病院その他の救急医療機械器具等の整備、それから一番大きいのは(5)の救急病院協力促進費補助、これは救急病院に指定されている病院につきましては、日曜、祭日、そういった休日に必要な医療要員、医師、看護婦等に待機してもらう、これに対する協力の謝礼というような趣旨で、待機医師看護婦等を雇いあげる費用の一部を補助したいという趣旨でございます。  それから、2の看護婦職員の確保、これも例年と同じような内容でございますが、修学貸与金とか、それから養成所の整備、大体従来のペースでございます。一二ページに、従来、運営費の補助というようなことでもって出しておりましたが、なかなかむずかしうございますので、特にそれをしぼりまして、養成所専任教員人件費、そういったものに重点を置いて、養成強化費補助金として要求してございます。  それから、3はインターン制度の改善、これは制度の改正につきましていろいろ検討されているわけでございますが、来年度は従来ペースでもって、来年の卒業生につきましては、少なくも従来ぺースでもって実施いたす前提で予算要求をしてございます。次の4は、新医療技術の開発、これはいろいろ電子工学その他の新医療技術に対する研究費の補助であります。次の5は、医療金融公庫の拡充、これは資金需要が非常に多うございますので、来年度はそこに書いておりますとおりの内訳で、総額二百七十億円を要求してございます。  次に、一三ページにまいりまして、薬務局関係は特に目新しいものもございません。1は医薬品の安全性の確保、2の血液対策、この血液対策につきましては、昨年度予備費でもって全国に献血車を整備いたしましたので、来年はいろいろな研究費とかPR等の費用でございます。行政指導の経費でございます。3は新ワクチンの開発、一四ページにまいりまして、麻薬対策の強化も大体従来のとおりでございます。  一五ページにまいりまして、国立公園局関係、これも金額は前年度の倍以上に大幅に要求してございますが、内容は、国立公園の整備、それから、国民公園の整備、そういった従来と同じようなものでございます。  一六ページは社会局関係でございますが、ここでは、1の福祉事務所運営推進歌、これは福祉事務所の事務をさらに強化充実させるための研修とかその他の経費でございます。それから、2は民間社会福祉事業の振興として全社協に対する補助金その他でございます。3の低所得階層対策の強化としては、内容は、従来の世帯更生貸し付け資金とか、そういった内容でございます。4の生活保護につきましては、冒頭申し上げましたとおり、内容はまだ未定のままに前年度の三割増しの額でもって要求してございます。5の身体障害対策、これも身障法に基づくもので、特に目新しいものもございませんが、一七ページに、スポーツ振興と相まって、身体障害者の技術競技会のようなものを施行したい。このような新規のものが芽を出しておるのであります。6の老人福祉対策の充実としましては、これは健康診断の拡充、それから老人クラブの増設、家庭奉仕員、ホームヘルパーの増員、そういった、これもまた従来と同じような内容の強化でございます。次の7の同和対策の推進、これも金額は前年の約倍近くになっておりますが、内容は従来と大体似たようなものでございます。それから、8の社会福祉施設の整備につきましては、これは社会福祉事業関係の経費を合わせまして、前年度二十八億を三十三億に要求してございます。それから、坪当たり単価も実態に合わすように、前年度の実施単価の一割増しということでもって、そこに書いてありますような単価で要求してございます。あと別に老朽施設の整備のために、社会福祉事業振興会貸し付け原資として財投の二十億円を要求してございます。  次は、一九ページにまいりまして、児童家庭局関係でございますが、来年のこれは最重点施策の一つといたしまして、重症心身障害児並びに者の対策強化を掲げてございます。この内容は幾つかございますが、大体収容者に対する保護の徹底と、在宅患者の指導強化と、それから扶養手当の範囲拡大、それから国立の重症施設の新設といったような四つの柱になっております。すなわち、収容保護としましては、(1)の重症心身障害児療育の改善でございますが、療育費の増額、それから、イは特別療育手当として、ここに勤務する看護婦とか保母、医者等に対して、国立の、らい療養所と同じような特別手当を支給したいというようなものでございます。(2)は在宅患者に対する巡回指導の旅費、それから雑誌の発行等でございます。それから、(3)がその扶養手当の支給でございまして、これは御承知のとおり、現在重度の精薄児についてだけ扶養手当が出ておりますが、これをそれ以外の心身障害者、心身障害児、あるいは重度結核その他併症、そういった障害児に対しても範囲を拡大したいという趣旨のものでございます。それから(4)、(5)が国立のそういう施設をあらためてつくりたいということでございまして、これはそういう障害児に対する施設が非常にいま民間の施設が三カ所あるだけで、需要に応じきれないということで、国立の結核療養所等につきましては、施設、ベッド、あるいは土地もあいておりますし、また、そこのお医者さんその他のスタッフの協力を求められますので、国立でもってこういうものをつくることが手っとり早いじゃないかということで、来年度はとりあえず子供につきましては五カ所、これは中央に一カ所、それから地方に四カ所、大体ブロックごとに考えておりますが、その分につきましては八百八十床、それから、おとなのものにつきましては二カ所で、二百床、これは整備費が十一億、これの運営費は、これは国立療養所として経営することになっておりますので、その運営費を三カ月分、約一億八千万組んでございます。それから、2の母子保健対策の強化としましては、これは昨年ミルク対策、あるいは母子保健法の制定と、いろいろ対策が講ぜられましたが、その趣旨に沿いまして予算要求をいたしております。二〇ページにまいりまして、最初は低所得妊産婦等に対する、ミルク支給の支給対象を拡大したい。現在AB階層つまり生活保護とか市町村民税非課税世帯だけが対象になっておりましたが、これを均等割まで広げて、均等割で妊娠中毒等の症状の著しいといったものに対象者を広げたい。それから、また、単価を、十五円を十八円に上げたいというものでございます。それから、(2)は母子保健法の制定に伴いまして、一度市町村におろす予定にしておりました各種の母子保健対策を再び県の段階で、県あるいは保健所で行なうことになりましたために、ここに必要な補助金を従来の線に沿って要求してございます。ただし、この金額につきましては、従来の予算が非常に単価も少ない、対象も少ないものでございましたので、これを大幅に増額してございます。すなわち、一昨年この関係の補助金は約一億七千万だったのを三億二千万にまで増額してございます。内容は、県が開業医等に委託して行なう趣旨のものと、それから、保健所で行なう分とに分かれておりますが、初めの四つが県で行なう分でございます。それから、まん中から下が保健所運営費の中に百分の三十四という補助率でもって一括計上されるものを再掲してございますが、個々の内容については説明を省略させていただきます。次のページの3の児童健全育成対策の強化につきましては、児童館とか家庭児童相談室等の整備でございまして、この内容は大体従来と同じようなものでございます。4番の、「こどもの国」につきましては、来年は特殊法人をもって独立的な管理運営を行ないたい予定でございますが、それについては、国費をもって大体必要な整備を一挙に完成してしまいたいという意向で、一億九千万の整備費を要求してございます。  次は、二二ページにまいりまして、保険局関係では、国民健康保険に関連しまして、一つは、家族七割給付の実施を四カ年計画の第三年次として実施いたします。それから(2)は、かねての要望でございます国保に対する四割国庫負担を要求いたしたいと考えております。これは、すなわち、家族七割給付を実施する市町村につきまして、従来の原則的な二割五分の国庫補助のほかに、特別補助金としての一割五分、合わせまして四割の療養給付費補助金として要求したいというわけでございます。そのかわり、財政調整交付金につきましては、従来療養給付費の一〇%でございましたか、これはその中には世帯主の七割給付に関する財源が半分ぐらい入っておりました関係上、四割の国庫補助を要求するに伴いまして、財源的な調整から、これを百分の五に落としたわけでございます。全体の金額としては従来とほとんど変わっておりません。それから、(3)の事務費につきましては、昨年度ある程度増額が見られましたが、また実態に合わない現状でございますので、昨年度の延長線として、市町村について二百八十八億円という、前年度と同じぺースでもって要求をしてございます。それから、保険財政健全化につきましては、冒頭申し上げましたとおり、まだ結論を得ておりませんので、内容については保留のままでございます。次の第9の年金関係につきましては、国民年金の大幅改正を考えておりますが、これも内容は未定でございます。  10は、援護局関係では、例年の例によりまして、遺族援護法につきましていろいろな改正を要求してございます。そこに(1)番から(7)番まで、昨年度要求したものも含めまして改善を考えているわけでございます。あとは大体事務的な経費でございますので、省略さしていただきます。二四ページは、その他として幾つか大きな項目をまとめてございますが、一つは僻地対策の強化でございまして、これについては、内容はまあ大体従来と同じようなものでございますが、診療所の整備のほか、特に患者輸送車とか巡回診療車とか、そういったものに重点を置いて、かなり大幅な要求をしてございます。総額で、前年一億九千力を五億要求しているわけでございます。内容は、大体従来のものを踏襲しておりますので、省略さしていただきまして、二六ページのガン対策、これも世論の要請にこたえまして、来年度は大幅にガン対策を推進したいというところで、厚生省で三十億要求してございます。内容は、予防対策として、健康診断に重点を置いて考えております。すなわち、中心は2の予防対策の健康診断費でございますが、これは全国百五十カ所の診断能力を持つ病院に依頼しまして、胃ガン、子宮ガンに対する健康診断を徹底してやりたい。それから、月二回相当の精密な健康診断をしたいというものであります。いま一つ、いま相当多くの県で検診車等によるガンの健康診断を実施しておるところがございます。そういうものについて若干の補助を出したいという内容でございます。あとは、次の対策は地方ガンセンター等の整備、これはガンに関する治療医療機関を全国的に体系的に整備したいというところで、中央のガンセンターを初めとして、各ブロックごとに九カ所中心的なガン医療施設を整備したい。それから、さらに(2)は、都道府県ごとに少なくとも三カ所以上のガン診療施設を整備して、そこにベッドを整備するとともに、コバルトとかベータトロンとか、必要な診療施設を整備していきたいというものでございます。あとは診療技術者等の医師、技術者等の養成費でございます。  それから、ガンセンター等の整備費、それから最後に、ガン研究の助成費として昨年一億二千万つきましたが、これを五億要求しております。なお、これにつきましては、文部省から前年二億入っておりますのを四億要求してございます。  次の二七ページは、リハビリテーションについてでございますが、これは中央、地方にリハビリテーションセンターを整備していきたいということと、OT、PTの職員の養成、それから、(3)は脊損、結核、精神病関係についての特殊なリハビリテーションを随時促進してまいりたいというものでございます。  それから、二八ページは社会福祉施設運営改善費、例年社会施設の運営改善につきましていろいろやっておりますが、来年度は特に職員の増員、保育所の地域差是正、それから昇給原資の確保、勤続五年以上の職員について三%の昇給原資の確保、それから六番目に民間施設運営調整費として三億六千万要求しておりますのは、例年減価償却的なものを要求しておりましたが、これを形をかえて、事務費の三%のまあ運営調整費というかっこうでもって要求しているわけでございます。  それから最後に、児童手当制度につきましては、まだ実施時期につきましては慎重な検討を要しますので、この準備を促進するために審議会をつくるとか、その他の基礎調査等の経費でございます。  最後のページの行政機構の改革としましては、本省には公害部のようなもの、それから(5)番に、先ほど申しました栄養体力研究所の組織を拡大したい。それから、海外駐在官三人、社会保障開発関係の駐在官をヨーロッパ、アメリカ、東南アジアに置きたいというようなものであります。  以上時間がありませんので、簡単に申し上げましたが、御了承いただきます。
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この際、大臣に承っておきたいと私は思うわけであります。まあ今日要求された項目は、これは要求でありますから、これから大蔵省と全体の予算の間で折衝されることであろうと思うわけであります。しかし、いろいろの角度から新しいニュアンスを出して努力をされていることは、私たちとしても厚生省の努力を多とするわけであります。しかし、私は、大臣に根本的なことを一つ聞いておきたいと思うのです。これから社会保障を進めるというこの概念なんです。社会保障をどの省がそれじゃあ進めるか。私は、今日のような経済機構の中では、社会保障を非常な努力で拡大せなければいけぬのではないか、これは世界でも言われているし、たとえば今日の欧米諸国の経済発展の中で、社会保障が非常に大きなウエートを持って経済を発展させていく。そうなっていくと、この社会保障を急速に進めなければならぬ、その社会保障を急速に進めるかまえというものが大事ではないかと私は思うわけであります。一つの面では富の再配分でございましょう。そういうものを進めるということになってくると、いろいろの国において角度は違います。たとえば一般会計から社会保障費を非常に大幅に積み上げて社会保障を進めるところもあります。それから、または労使の間で、要するに使用者のほうが四分の三まで持つとか、あるいは二分の一、要するに労働者の被保険者の倍額を持つ、あるいは三倍持つというような角度で、働いている人の負担を軽くしながら再生産へ、そして一面では給付を高めて生産と消費のバランスという意義を持って社会保障が今日進んでいると思うわけであります。だから、政府はどういうかまえで社会保障を進めようとされているのか。たとえば国はもうこれから費用を持たぬで、要するに今日の社会保障の関係を見ると、フィフティー・フィフティーでありますが、その被保険者、保険者、使用者労働者の負担にによって社会保障を進めていこうとしているのか、そうでなしに、やっぱし富の再配分の関係からいっても、私は、全般的なプールの意味からいっても、国が中心になって経費の許す限り持って、そして社会保障を進めようとするのか、そこらの見解を私は聞いておきたいと思うんです。そのことが厚生省予算の柱になると思うので、この予算を立てられた大臣の心がまえを聞いておきたい。
  6. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 厚生行政を進めてまいります場合における基本的な心がまえにつきましてお尋ねがあったわけでございます。私は、社会保障は国民の利益のためになされるものである、国民がその社会保障の恩典、利益をひとしく亨受しなければいけない、そういう意味合いからいたしますと、国が社会保障を進めます場合に大きな責任を持っておる、このように考えています。また、社会保障を進めますためには、一面、これは国民のものでございますから、国民各層各界の人々が社会保障に対して深い理解を持ち、また、社会保障を推進しようとする意欲、盛り上がりというようなものがあって初めて社会保障は理想に近づいていけるものだと、このように考えています。したがって、私は、国の責任ということを大きく感じながら、労使はもとよりでございますが、国民各層の社会保障に対する御意見、御要望というものを十分行政の上に反映させるようにしてまいりたい、かように考えております。
  7. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 国の責任の分野はわかりました。あなたの決意はわかったのでありまするが、これから社会保障というのは、社会保障というだけではなしに、具体的に各分野で社会保障施策というものを進めていかなければならない。そういうときに、やっぱし国が柱になってできるだけ、たとえば低所得者や、いまは物価値上げで困っているこの国民、要するに主権者なんですから、この国民の負担を軽くして、その社会保障を国がほんとうに名実ともに費用を出すにしても、中心になってやっていくという、私はそうでなければ、その裏を返せば経済の発展もあり得ないと、私はそう思っているわけです。ですから、そういう意味の心がまえを私はこれから貫いていただきたいと思うのです。だから、私は、もうきょうは具体的に申し上げませんけれども、社会保障のこれからの発展は労使の責任においてやることなんだというような文書が出てみたり、または、何か国はもうこれ以上費用を出さないで、労使は関係者の費用負担によって社会保障を進めるんだという印象を国民に与えている面もあると私は思うのであります。そういうことでは、それでは厚生省は何をする省かということが、いま大臣の御発言で明らかになりましたけれども、そういうことは私は一貫してやってもらいたい。たとえば国保の問題をとってもそうでございます。地方の国保が本来皆保険の立場で、政府が皆保険を高めていこうという思想は私らも賛成でございます。だからこそ国保の発展を期待していく、国保も少しずつではあるけれども、国が負担をしてやろうとしておられる。しかし、今日の膨大な赤字は、国が負担をしなければ、それじゃ住民に負担がかけられるかというと、おのずから限界がある。だから地方自治体がほかの事業を犠牲にして、地方自治体のなけなしの財源でこれをまかなっている。こうなると、地方財源でまかなうか国でまかなうか、いずれにしても、その行政——要するに地方自治体によってまかないながら主権者国民を守っていくという形で社会保障というものを私は進めなければならぬと思うのです。それは私は、要するに使用者も労働者も一銭も負担をせぬで、全部政府の責任だということは申し上げません。おのずからそれに応じた協力も負担も出てくるでありましょうけれども、しかし、今後進めていく問題の中心は国にある、または地方自治体、私は、保険制度なんかは国の責任でやってもらいたいと思うわけなんでありますが、その費用、出費、それから内容改善というようなものは、私は、やっぱし主として国が責任を持って社会保障を進めるんだということが明らかになっておらないと混乱すると思うのです。たとえば医療問題を一つとってみても、イギリスは八割まで国が持っている。だから、私は、そこまで一ぺんにいけとは言いませんけれども、心がまえとしてはそうしてもらわないと、何か発想するところでは、今後の社会保障が被保険者の負担で社会保障——一つ保険制度というものをつくり上げていくのだというような、そういう印象を国民に与えるということは本末転倒ではないか、主権在民の国家の体系の中で。または今日の一般の進んでおる現状から見て転倒ではないかということを私は常日ごろ考えておる。きょうこの予算を見せていただきましたが、皆さま非常に努力をされて、いろいろの面で要求をされておるということがここにあらわれておるわけです。そういうことを名実ともに一貫をして皆さんが国民に訴えてもらいたい。このことを私はひとつ大臣からここではっきりしておいていただきたいので先ほど発言をしたわけであります。また、たとえばものごとを行なうために防衛戦とか前哨戦というようなかっこうで、いまのような、これからの社会保障は国民の負担としてやるのだというようなことのないように、もっと外国資料をとるときには赤裸々に、まず出発点から最後までをきちっとこういうかっこうで運営されていますよということを厚生省が今後出される資料については明らかに出していただいて、われわれが判断をして、この中でどれだけ負担をしたらいいか、外国の倒を見て、一ぺんにはいかないけれども、国がどれだけそれじゃ負担してやってもらいたいという正しい社会保障に国民と行政と全体で進むようなかっこうの材料をひとつ与えていただきたい。政府だけが都合のいいような資料を出してみたり、そういうことのないように、ひとつ明らかにしておいてもらいたいと私はお願いしたいのであります。
  8. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  9. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、医療に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  10. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 現今では、薬価の基準の引き下げの問題も盛んに論ぜられておりまして、その間において社会保障制度審議会、あるいは、また、社会保険審議会、あるいは、また、中央医療協のいろいろな会合が持たれておるわけですが、その後の経過について各審議会の模様をちょっと御報告願いたい。
  11. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま社会保障制度審議会及び社会保険審議会保険三法の改正につきましての諮問をいたしまして御検討を願っております。また、一方におきまして、薬価基準の引き下げに伴いまして生じました余裕分の三%を医師の技術料に振りかえるという案につきまして、中央医療協議会に諮問いたして御審議を願っておるのでありますが、社会保障制度審議会のほうからは先般答申をちょうだいいたしまして、私はさきに当委員会にもお話を申し上げましたように、保険三法につきましては、社会保障制度審議会の御答申と、近く御答申を期待いたしておりまする社会保険審議会の答申を十分検討いたしまして、そして政府として三法改正の最終的な態度をきめたい、このように考えておるわけです。中央医療協議会のほうは、幸いにして公益委員を中心にいたしまして、一号側の委員、二号側の委員も、国民医療という大きな立場からこの際、何とか早く円満に答申を取りまとめたい、こういう全体のお気持ちで御審議を願っておりますので、近く答申がなされるものと実は期待をいたしておるような次第でございます。
  12. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 答申が出ないとまだ決定はしにくいことはわかりますが、ちょっと私は、この間において、薬価基準の引き下げを大臣、あるいは、また、厚生省の側からはいかように考えていかれるかという意味において、その中の考え方の意味において、やはりこの薬価基準なるものを当然引き下げて、そして、その実態に即したものにすべきだと考えますが、特にその中で、いまそうするためには、現在この薬価基準の薬価の価格と、それから、実際医師が好、不況の間にやはりその差額が大きいわけでありますが、その中の考え方には非常に私は医療の中の技術部門がこの中に加味されて行なわれておるというふうに解釈をするわけでありますが、そういう意味からも、今度の三%を医者の技術に回されるという考え方も非常に私はいいことだと考えておりますが、特に私は、こういう際に明確に基準を定めるために、もっと医療の技術というものを明確に慰めて、そしてそれと離した形でやるべきじゃないかと考えておるわけでありますが、そういう観点から薬価の問題に対しての根本的な考え方を明確にしていただきたいと思います。
  13. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 薬価基準の改定につきましては、いま御意見がございましたように、薬価の実勢に応じて改定をされる、そして保険医療に収載されておりますところの薬価基準と薬価の実勢というものが常にひとしいような状態に置くということが私は望ましいと、こう考えております。今日までいろいろな事情がありまして、長い間それがなされていなかったということはまことに残念に思うわけでありますが、私は就任以来、いま申し上げたような方向で薬価基準の合理的な改定というものに努力をいたしておるような次第でございます。  それから、ただいま諮問いたしておりますのは、先ほど申し上げましたように、三%を技術料に振りかえるという当面の問題についてでございます。しかし、基本的には医師の技術を尊重するという立場も十分考えながら、ものと技術を分離をしていく、そして正当にそれを評価してやっていくということが私は心要である、こういうぐあいに考えております。今後私は、今回の詰問に対する答申がなされました後におきましては、できるだけ早い機会に診療報酬体系の適正化につきまして、甲乙二表の一本化でありますとか、いま申し上げたものと技術の分離の徹底でありますとか、あるいは診療報酬を改定いたしますにあたっての決定方法でございますとか、薬価基準の適正化でありますとか、そういうようなものを総合的にひとつ御検討を願うために、診療報酬体系の適正化に関する諮問を実はお願いをいたしたい、かように考えておるわけであります。
  14. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 たいへん所信を聞きまして私も同感でありますが、特に私は、このあとで一点だけつけ加えさせていただきたいのは、やはりいままでの薬価基準の引き下げというものが、医療の技術の適正化あとにして引き下げが進むことによってこれが医療担当者にしわ寄せになり、したがって、医療技術か十分に認められないうちに薬価基準が引き下げられていくために、医者としての経済面に、非常に物価の上がっていくときに、非常にこれがマッチしない、そういう現況を引き起こすために、やはりこれが患者に振りかえる、国民の健康の問題手に振りかえるということがあれば、私はたいへん重大な問題だろうと考えるわけであります。そういう観点から申しましても、やはり薬価は、いま大臣がおっしゃったように、実態に即したものにしなければならないという本筋ではありますけれども、それ以前の問題として、やはり医者も食えるようにしなければ、これも患者にはね返ってくるわけでありまして、そういう観点からも、医者としての技術というものは、外国調査してみましても、かなり高く評価されている。これがやはり評価されることが国民のほんとうの健康を守る上においても一つの大きな役割りを演ずるだろう、こう考えるわけでありますが、そういう観点で、私は、いまの薬価基準の引き下げ問題は、十分に医者の技術を大きく認めた上で国民の健康に支障のないように、あるいは、また、それを大いに発展させる意味においてのいろいろのそういう見解からこれを考えられた上で、私は、また技術方面に対しても大きく評価される必要が先行すべきではなかろうかと考えております。そういう点について特にお願いを申し上げておきたい。同時に、また、もう一点は、この薬価基準というものを長らくやはり健康保険法では薬価基準に登載されておらないものは使わないということでありまして、いままでの薬の中では、これが直接生命に関係するような薬が未登載になっておる。これに対して、実際行なっている医者側からは厚生省のほうにもいろいろ意見具申、進達もあるようでありますが、こういうものが認められていないために、非常に国民のそうした場合の健康に直接に影響する。たとえばマニットーレのような脳の浮腫、あるいは、また、そういうものを補うような薬は、いまのこの交通事故の非常に多いときに使わなければならない重要な薬だと思うわけでありますが、いまだにそれが未登載である。こういうものが使われないような状態に置いて、それを使うことによって生命が助かるようなものが使われてない。あるいは、また、いろいろたくさんの薬がありますが、これらのものがまだ未登載に置かれて残されておるというのも非常に問題があるわけでありまして、こういう観点についても、将来相当時期的にタイミングを合わして厚生省としては十分配慮されるべきじゃなかろうかと考えております。根本的な問題と同時に、そうした問題につきましても特に御配慮を願いたいということを申し上げておきます。
  15. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまお話がございました、まだ収載されていない新薬、これをやはりできるだけ早くタイミングを失しないように収載をして、そして医療の前進に寄与するようにしたらどうかというお説でございますが、全くそのとおりでございます。私は、いろいろな事情で、今日までせっかく開発されましたところのりっぱな新薬が未収載のままになっているということにつきまして残念に思っておるのでありまして、きわめて近い機会に私はこの未収載のものを登録をいたしまして、そして保険医療に役立てたい、かように考えます。
  16. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 日はちょっと忘れましたが、先日のテレビで厚生大臣は、薬価基準の問題が片づき次第、医療費の根本的な問題を解決したいのだ。いまあげられましたように、薬価の問題、あるいは技術料の問題、いろいろな問題があるので、そのときのテレビで、早急に医療費の根本問題である算定のルールを確立するような問題を中央医療協に諮問をして答申を得たいのだ、こういうふうに出ておったわけであります。それが大臣の御発表どおりかどうか、私もちょっとわかりません、ちょっとテレビで見たので。ところが、いま大橋委員の御質問のお答えを聞いておりますと、ほぼこれをおっしゃっておるというふうに感じるのですが、そこで、いまのは診療報酬体系の適正化について諮問する、内容については甲乙の一本化というふうに具体的におっしゃっているのですが、まず、第一の問題は、中央医療協というのは、診療報酬の額を決定しようとするときに厚生大臣が諮問をしろとありますね。従来抽象的な諮問が出ては混乱のもとになっていたのは御承知のとおりなんであります。普通は、米価の問題等にしても、一応原案を出す側は具体的な額を出しておるのですね。ところが、前回のように、中央医療協にああいうふうなばく然たる諮問を出したものだから、この答申が解釈をめぐっても非常に混乱が起こる。これはもうだれでも認めているところだと思うのです。そこで、まず、いまの大臣の御方針が、一体、中央医療協にこういう算定の問題に関して報酬体系というふうな抽象的な諮問を出される御所存なんであるか、あるいは甲乙二表を一本化したほんとうに具体的なものをお出しになる御意向なのであるか、まずそれを一つ承りたいのです。
  17. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、ただいま基本的な私の考えを申し述べたわけでございますが、ただいま中央医療協は、さきに諮問いたしました案件を御審議中でもございますし、いま申し上げた基本的な問題を含むところの詰問は、相当厚生省といたしましても準備をいたしまして諮問案を固めて、そして御諮問をせにゃいかぬと、こう考えておるわけであります。事務当局に命じまして、いま諮問案を固めつつある段階でございますので、いずれこれが固まってまいりました際にまた御報告を申し上げたいと思っております。
  18. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 いまのお話ですとちょっとわかりにくい点があるんですね。たとえば甲乙二表の一本化、これは点数表ですね。点数表というのは、あくまでも医療行為のバランス指数なんです。したがって、それを経済評価する場合には、それにかかる単価の問題があるんですね。そこで、一体そういうような甲乙二表の一本化という具体的な点数表をお出しになる場合に、それに伴う単価の問題が当然出てきます。単価の決定いかんによっては、この点数表のバランスも内容がくずれましょうし、全体の評価も狂うわけです。これがとりもなおさず診療報酬体系からしては根本問題なんです。そこで、大臣も御記憶でございましょうが、かねがね医療費の問題に対して紛争があって、各階層、医療費の算定のルールを確立しないからだと、こういうふうないろいろな御議論があったわけなんです。私の記憶に誤りがなければ、たしか昭和三十六年だと思いますが、そういうことから臨時医療報酬調査会法案というものが国会に提出されて、これが流産いたしました。流産したけれども、厚生省としては、あくまでも算定のルールを確立する何らかの委員会を持ちたいということで、そのあとで医療基本問題研究員だったですか、というのができて、一応研究されたわけです。その答申をたしか私も読みました。そこで、あの答申が、一体基本的な根本問題を解決するのにどういうふうに役立つかということは、私自身も的確にはつかみにくいところですが、こういうふうな問題を歴代の大臣が根本的に解決したいという、非常に前向きな積極的な姿勢を出されるのはたいへんけっこうだと思う。だと思うのですが、過去において学者を集めてそういう意欲を持って作業をされておるんですね。その作業をされた結果というものは、こういう際に一体厚生大臣はどういうふうに御利用されるか、まあその辺をひとつお伺いしておきたい。
  19. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま当面の問題につきまして中央医療協に諮問いたしておるわけでありますが、中央医療協の公益委員の方々をはじめ、医療協全体としても、当面の暫定的なこういう改善策を講ずると同時に、やはり医療問題全体、診療報酬体系全体についての不合理というものをどうしても今日の諮問案だけでは処理できない、いろいろなそこに不十分な、また、不均衡な点もあるということで、やはり根本に解れて全体として再検討を必要とするというのが中央医療協の御意見でもございます。また、私も、いままでそのつど部分的な改定に従事してきておりまして、全体としての是正という面については十分検討がなされていないのではなかろうか。支払い側のほうでは、医療経営実態調査をやって、そしてその基礎の上に立って診療報酬体系を再検討すべきである、こういう御主張もございます。また、技術料を正当に評価をして、そして医師の技術の尊重いうことをはっきりすべきであるという御意見もございます。それから、薬価基準の適正化をぜひはかるべきであるという強い御要望もございます。こういう問題につきまして、私は、御指摘のとおり、大いに検討しなければならぬ問題がたくさんある、こう考えておりまして、こういう問題を総合的に厚生省としても検討し、そして諮問案をできるだけ早くまとめまして、学識経験者並びに医療側の代表の方々の御意見を十分お聞きしたい、これを行政に生かしていきたい、こう考えております。
  20. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 大臣の御説明で、ある程度わかりますが、いまの診療報酬体系というのは、結局点数表にしぼられてくるわけですね。点数表は、いま申し上げましたように、単価点数の相乗積で医療費というものはできておる。そのうち、点数というものは医療行為の、バランス指数だということになりますと、これをいきなり中央医療協にかけるということになりますると、医療行為のバランス指数を審議する委員というものが八・四・八のうち、専門家は八なんです。あとは医療行為の内容は御存じない方々、まあ経済価値の問題はそれぞれの専門家でありましょうが、事、医療行為という専門的な内容についてはしろうとの方々。ことに最近の医療協の審議内容等を私らが虚心に見ましても、そこには金を払う側と金をもらう側の対立しかないですね。私は、やはり診療報酬であり、診療である以上は、患者代表としての意見が相当クローズアップされなくちゃいかぬと思うのです。ところがはなはだ遺憾ながら、あの場所における議論というものは、常に金をやる側ともらう側のやりとりに終始している、これは私は国民医療のために非常に悲しむべきことと思うのです。私もかつて医療協の委員をしておったことがございましたが、その当時はそういうことはございませんでした。患者代表としての意見がときどき出まして、なかなか頭の下がる御意見が出たことがあります。しかし、いまはどういう理由からか、金の問題だけにしぼられておる。というのは、医療費はとても上がった、何とか抑制しなければならぬ、これはわからないじゃない。ところが、一方、医療費が上がった反面、終戦後十七、八年のうちに国民の平均余命は十七年延びておる。すなわち、上がった医療費で地球より重いという人命の寿命を買っているわけです。この議論が一つもなされない。なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、そういうふうに医療の問題は金だけの立場から論ずべきじゃない、国民の生命をあずかる、国民の寿命を延ばすという、より高次な立場の意見を踏まえてやらないと、将来大きな国民の不幸になる、こういう信念をいまでも私は持っておりますが、まあいまの医療協の内容を見ますと、なかなかそういう御意見が出てこない。そういう御意見の出てこないところへ、いまの厚生大臣の御意図されるような大きな問題がいきなりぶっつけられるということは、私はまあ時間的にも非常にその答申が出ることはちょっと期待できないだろうと思いますし、内容的にも、場合によるととんでもない方向に議論がいくのじゃないか、しかも、これはまたきょうは時間がありませんから議論いたしませんが、医療協の答申をそのまま大臣はやらなくちゃならぬというふうなことにこのごろはなっていますね。少しでもそれからはずれたら医療協の答申違反だ、大臣はけしからぬぞと、そうすると医療協は決定機関になるわけです。この辺の問題は、いずれ私は機会を改めて、時間をゆっくりかけて議論をして、きょうはそれの議論はいたしませんが、そういうふうな現実問題があるということを私は強く指摘したい。その現実を踏まえて大臣はいまのような基本的な問題を何とかやろうという善意あり、積極性のあるお気持ちがあるならば、諸条件を整備されてひとつかかっていただきたい、これは私は御質問じゃなくて、希望を申し上げます。  次に、御承知のように、いまのお話に出ました保険三法の改正が延びておるわけです。このことは、法が延びておるということでいま一番被害を受けそうにあるのは医療機関だと思うのです。各地におきましてぼつぼつ支払い遅延の状況ができてきているという風聞を聞いております。私も直接確実なデータを持って言っているのじゃありません。きょうはそのことをとことんまでお伺いしようとは思いませんが、とにかく非常に遅延してきた、こういう風聞があります。おそらくこの保険三法の改正、特に五百九十三億ですかの赤字の処理がどうにかならない限りは、おそらくこれは年末、あるいは年度末になるとどうにもならぬ状況になるのじゃないだろうかということは医療機関はみんな心配している、だろう、医療機関だけではなくて、保険を盛り上げようという善意ある人たちはみんなその点を心配している。私もその点を非常に心配している。そこで、これから補正予算がどういうふうに審議され、どういうふうなかっこうになるかわかりません。しかしながら、その補正予算は、大臣の考えはどうしても通していただかぬといまのような混乱が起こる。もしかりに補正予算が何らかの混乱に巻き込まれて通らないというふうなことがあった場合に、一体支払いを大臣が責任を持って、遅延することなく、確実に医療機関にされるのかどうか、この辺の御決心をひとつ承りたい。
  21. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 保険財政の現況と保険三法のこれに対する財政対策を中心とした改正を急がなければならないということで、私も就任以来、鋭意各方面の御協力を得まして努力をいたしておるわけでありますが、最近、社会保険審議会のほうでも御審議を急いでいただいておりますから、今度開かれまする臨時国会には、ぜひ補正予算とともに、保険三法を提出をしたい。また、提出をいたしました以上は、各党の御協力を得まして、国民の医療という立場、いま丸茂先生が御指摘になりましたように、国民の医療に対して重大な責任を持っておりますところの保険医療ということが財政面から崩壊をしていくというようなことになりますれば、これはゆゆしき問題でございます。したがって、私としては、各党もこの保険医療をどうしても守らにゃいかぬという高い立場につきましては御理解、御協力をいただけるものと考えておるのでありまして、来たる臨時国今で、ぜひ三法の改正並びに補正予算の成立をお願いをしたい、最善を尽くしたい、このように考えております。もしもということは実は私はまだ考えていないのでありますが、厚生大臣に課せられた責務といたしまして、断じて支払い不能、あるいは支払いができないような事態になるようなことは、これは保険医療を守るべき責任者といたしまして許されないことでございますから、私はさような事態が起こらぬように最善を尽くす覚悟でございます。
  22. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 大臣の御決心を承りまして、私は国民にかわって安心したものですが、いま保険三法の財政対策の問題が出ました。これは当面の問題ではありませんが、どうしても問題になるのは国保と政管健保、とりあえずですね。日雇いはもちろんでございますが、この赤字の趨勢等を見ますると、もうこれは少しぐらいの助成や扶助では、赤字は来年何とか救えるか、再来年は少なくなるかという見通しは、私の見解からすればほとんどないと思うのです。一体それじゃ政管健保や国保がそういうような赤字になるのだ、この根本的な解析を厚生省御自体でされておるのだろうと思いますが、なかなか一般のマスコミに流れない、ほんとうの理由が。私らの分析、解析によりますると、国保や政管健保が赤字にならなきゃふしぎなんです。なるべくしてなっているので、いまさら騒ぎ立てるということは、私は厚生省の怠慢だと思うのです。いまさら怠慢とか云々といってもしようがないのですが、これは今後この赤字対策財政対策の基本でございますから、国保の被保険者は、少しよくなるとみんな政管健保に移り、政管健保が三百人以上になると組合健保に移る。組合健保でいままでよくなったものが、六十歳、六十五歳で定年になると国保に落っこってくるんですね。そうすると、国民健康保険というものは吹きだまりだとよく言われておりますが、文字どおりそのとおりなんです。政管健保にしても、五人以上就業している、やや会社の経営状態がよくなって三百人以上の従業員を持つと健康保険組合へ独立してしまうということになると、政管健保も一つの吹きだまりだ。それが証拠には、千五百になんなんとするところの健康保険組合のほとんどが十割給付をやっている。それだけじゃなくして、も一つのすごい保養設備を別に持っている、それだけじゃなくして、毎年黒字をかかえ込んでいる、こういう実態があるわけです。そこで、いろいろな御議論がありましょう。私は簡明直截に言いますと、そういうふうな保険の財政プールを提供する側のアンバランス、これをほうっておいて政管健保が赤字だ、国保が赤字だというような毎年毎年やりくり算段しておっては、とうてい、何と申しますか、社会保障ということすら言えないんじゃないですか。あえて私は所得の再分配、富の再配分という立場から責めるわけじゃないのですが、そういうふうな格差を是正しないでおいて一体ほんとうの根本的な財政対策が立つかどうか。もう私は、いろいろな財政理念もありましょうし、いろいろなこともございましょうが、大きな政治問題、政治テーマとして、各種保険というものは大胆に統合いたしまして、その面を平滑化することによって格差を是正する。しかる後、なおかつ社会保険財政が苦しかったならば、私は、全国民の名において、堂々と国家の補助がとれるという観点をとっているのですが、この点に関しましてちょっと大臣の御所見を承っておきたい。
  23. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 各種保険を統合して、そして制度間の調整をはかれ、これが保険医療を確立する根本である、こういう御意見でございますが、私も基本的にさように考えております。また、社会保障制度審議会等からもかねてそういう答申をちょうだいをいたしておるわけであります。ただ、それぞれの保険制度が実施されて今日に至りました間にはいろいろないきさつもございますし、また、御指摘のとおり、国民健康保険なり、あるいは政府管掌の保険なり、あるいは大企業を中心とする健康保険なり、それぞれの財政内容、あるいは給付の内容、あるいは保険料、被保険者の負担、そういうような面におきまして現実に格差がそこに存在をいたしております。そこで、これを一挙に統合するということになりますと、不測の混乱、あるいは紛糾を引き起こすおそれすらもなしとしない、こう考えられるわけでありまして、政府といたしましては、できるだけ各保険間の条件を改善をしてまいりまして、そして給付内容その他の負担のアンバランスを縮めながら、いま御指摘のような統合、総合調整の方向に持っていきたい、こんなように考えておるわけであります。その間、政府といたしましては、国民健康保険なり、あるいは政府管掌の健康保険なり、弱い面につきましてはできるだけ国庫の負担を増額をいたしまして、そしていま申し上げたような方向に向かって前進していきたい、このように考えております。
  24. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 この問題はもう一つで終わりますが、いまの大臣のお気持ちはよくわからないじゃありません。社会保障制度各種保険の統合が理想である、たしか第三次の勧告だったでしょう、理想であるが、当面、実現はなかなかむずかしいのだ、したがって、しばらくはいま大臣の言われたような方針でいくという答申を出した。まあほぼこれは十年前の答申なんですね。で、いまここまで窮迫してきた事態において、十年前の答申を金科玉条として守られて、現実に国民に迷惑をかける。これは私は鈴木厚生大臣のような非常に有能な大臣がおとりになる方策じゃないのじゃないかという気がいたします。  そこで、私は、具体的にひとついまの大臣のお気持ちがどういうふうな形で出てくるか、お気持ちはよくわかりますが、それが政策に具体的にどういうふうに出てくるか。これは非常に喫緊を要することでございますので、四十年度財政対策と別に、ひとつ私らにお示しいただければたいへんしあわせだというふうに考えます。  次は、今度人事院勧告が出されたわけですね、これは五月実施になるか——まあ勧告は五月実施ということになっております。そこで、この中には医療職等のベースアップがみんな入っておるわけでありますが、このベースアップを行なう場合において、一体、国立病院、県立病院経営実態がどのようになるか、これはいま出たばかりですから、細密な数字ということは無理でございましょうが、おおよその見当だけでもお示しいただければ幸いだと思います。
  25. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 前段の御質問に対しましてお答えをするわけでありますが、国民健康保険につきましては、昭和四十二年度を目途にいたしまして、家族七割給付の実現ということで努力をいたしておるわけでありますが、明年度から家族七割給付を実現いたしましたものに対しましては、国庫四割の負担を実現するように努力をいたしたいと考えております。  なお、政府官掌の健康保険財政の健全化については、社会保険審議会社会保障制度審議会等の御答申をまって政府としても最善の努力をしたいと、このように考えております。  それから、ベースアップに伴いまして、国立病院等にどういう財政的な影響があるかという面につきましては、まだ検討中でございまして、めどは立っておりませんが、事務当局からお答えいたさせます。
  26. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 御答弁あるのですか、事務当局から——なければきょうでなくてもけっこうです。  それじゃ次の質問に移りますが、先ほどの大臣のお話にもありましたが、あるいは中央医療協で今度二日に答申が延びた原因は、新聞の伝えるところによると、何か附帯条件がついて、医療機関の実態調査をしにゃならぬ、こういうことのようでございます。そこで、この医療機関の実態調査というのは、一体、民間だけを対象にして言っているという印象を非常に強くしているのですね。厚生省がほんとうに医療機関の実態調査をおやりになりたければ、何もめんどうのない直属の国立病院があるわけです。そこで国立病院実態調査を十分されて、その数字の上に税金が乗っかったものがほぼ民間の医療機関の経営実態調査だと思って間違いないと思うんですね。これはいろいろな議論がありましょう。その議論に対しては一々私は反論を持っておりますが、きょうはこまかい議論はやめにいたしまして、いわゆる国立病院実態調査をおやりになる。それにプラス税金が加わったもの、皆保険の現在でございますから、国立病院も民間の医療機関も、みんな診療報酬は同じでございます。医者の費用も同じでございましょう。看護婦の費用も同じでございましょう。光熱費もみんな同じなんですから、私は非常に簡単に出るだろうと思うのですがね。なかなか厚生省は医療機関の実態調査実態調査ということを、何というのですか、何とかの一つおぼえみたいにいわれても、あるいは各都道府県に協力を求められて県立病院実態調査をやられたら早く出ると思う。一体これに対して大臣はどのような御見解を持っておられるか、ひとつ承っておきたい。
  27. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 医業経営実態調査ということにつきましては、これは厚生省がひとり声を大にして申し上げておる問題でございませんで、むしろ丸茂さんもよく御承知のように、支払い側のほうからより強く出ておる要望でございます。これなくしてほんとうの適正なる診療報酬というものをきめることはできないじゃないか、こういう御主張でございます。私は、政府がやっておりますところの国立病院、あるいはその他の公的病院、療養所というものにつきましては、就任以来、できるだけ医業経営の最近の実態を把握する意味からも、でき得べくは、御指摘のとおり、自分のところでやれるわけでございますから、そういう面は早急にやめるべきである、こういうことを指示いたしてやらしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、開業医等の面につきましては、やはり御協力を得まして、国立等の経営実態とあわせて民間の医療機関の調査もできれば、これは非常に私はあらゆる施策を講ずる上に望ましいことではないか、かように考えておるわけでございます。
  28. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 私は、歴代大臣のうち、鈴木厚生大臣が初めて国立病院実態調査を事務当局にお命じになった、その成果も近いうちに出る、こういうふうなことを聞いてたいへん敬服するものです。しかし、一方、考えますと、こんな簡単なことをないがしろにしておいて、保険者も、あるいはまた国民も、あるいは保険を維持する重要な方々、その方々に対してそういうこともされないで一体その説得工作をされたかどうか。私はこれは言いたくないんですが、どうも怠慢といわれてもしかたがないんじゃないか、そういう気が非常にいたします。これは試みに次に資料で出していただきますが、全国でたしか八十三ですか八十六か、国立病院は。その中で、私は前にも要求した。個々の病院経営実態を全部出してちょうだいといったら、平均しか出してこない。今度はひとつ八十三の国立病院実態を、一体どのくらい収入があってどのくらい支出があって、しりはどうなっているのだというのを、当委員会として、これは私は正式に要求いたします。  そこで、厚生大臣、私はたぶん御承知だと思いますが、いま民間の医療機関の御協力を得て実態調査をしたい、それは大臣のお立場からすれば、そういう御要望も出ることも私もわからないではない。ただ、これにはどうも不信感があるようでございます。民間の医療機関は無条件で絶対に拒否しているんじゃないというような模様でございます。私の聞いたところでは、たしか二十七年の十月調査でございますか、この十月調査の際に非常に民間医療機関の不信を買う行為が厚生省によって行なわれたという事実があるというふうに考えております。誤ったら私は正式に訂正をいたします。大臣におかれては、この問題は非常に歴史の根が深いのであります。どうぞそういう不信感を払拭されるという基本の上に立って、いまの大臣の善意を持って当たられるならば、私はきん然としてそういう事態が出てくるだろうと思う。しかし、その不信感を起こしたところの基本的な問題をほうっておいて、国立病院、県立病院実態調査をしないで、ただ民間の医療機関だけを調査しようということになると、それは受ける側からすればいろいろ揣摩憶測をするのです。これは私は当然だと思います。実態調査というものは何でも調査するわけですから、何でもやられるわけです。非常に牽強付会すれば、もうあらゆる面を調査されてもやむを得ないということになるのですから、こういう点は非常に悲しむべきことだと思うのですよ、保険のために。これはあらためてひとつ厚生大臣が事務当局からそれらの不信感を醸成させた原因等についてよくお聞きいただいて、私の発言にして誤りがありましたら私は次の委員会で取り消します。しかし、私は、いま自信を持ってこういうことを申し上げております。この点に対してひとつ大臣のお答えを賜わりたい。
  29. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 従来いろいろ経緯があったと思います。そのために二十八年以来、実態調査が中断されてなされていないということだろうと思うのでございますが、私は、先ほども申し上げましたように、これは何といっても御理解と御協力のもとになされなければならない、こう考えておりますので、その点につきましては、過去のことにつきましても十分反省を加え、また、再検討を加えまして、そうして十分御理解、御協力のできるような方向で実態調査の実現できますことを努力したいと考えております。
  30. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 わかりました。そういうふうにおやりになることを期待しますが、ただ一つ、これはたしか灘尾厚生大臣のときですか、関係三者が集まりまして懇談会を開いた。そのときに一つの結論が出ておることは、実態調査を行なう場合には、医業だけではなくて、被保険者の負担能力の実態調査をあわせてやる、あるいは組合保険者の実態調査もあわせてやるのだということが文書になって残っております。いままでは、どうも実態調査といいますと、もらう側の実態調査ばかりやっておって、支払い側の実態調査をやっていない。被保険者の負担能力は一体どうなんだ、標準報酬に対して報酬はどうなんだ、あるいは健康保険組合の実際の財産はどうなっておるか、その財産の使用方法はどうなっておるかということについては一つも言及されない。いつも不公平な形で、三つの鼎立しております中で、医療機関の実態調査だけやれやれということはいかぬからということで、あれはたしか三十六年だったと思いますが、文書で残っておりますから、ごらんになればわかります。その中に、ちゃんと医療機関の実態調査をやる場合には被保険者の負担能力もあわせてやる、保険者の実態調査も行なうというように出ております。したがって、私は、やはりいろいろなことがあっても、こういう公的な約束というものはきちんと守られなければやはり公平じゃないという気が非常にいたします。この点について最後にお答えをいただきたい。
  31. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私も過去の深い経緯を存じませんので、ただいま保険局長から聞いたわけでございますが、そういうような取りきめ、申し合わせになっておるそうでございますし、厚生省といたしましても、当然全体の関係ある面の調査も並行してやる、このようにしていきたいと思います。
  32. 小柳勇

    委員長小柳勇君) いまのに関連して、私もちょっと大臣に質問しておきますが、この間の春の予算委員会で前の厚生大臣に質問しましたときに、本年度予算書にはブランクがありまして、医業実態調査費用が計上してなかった、したがって、それは大臣の答弁によって、ちょっと忘れましたが、三千万円かつけますという答弁をされましたが、そのときに、いまもそうですけれども、非常に実態調査を必要とする委員の意見の思想の中には、医療費が安いから医者が非常に苦しいのだと言うが、実際開業医などはもうかっているのではないかという模索ですね、こういうものも医業実態調査をしようという前提にあるわけですね。したがって、丸茂委員医師会の関係もありましたし、いまも医師会の委員でありますが、それを超越して、純粋な立場でいま質問しておられると思いますけれども、大臣の答弁も非常に公正にそういうものも答弁をしておられまするが、あの四十年度予算の中に、新たに予算委員会の中で答弁されたその金、そういうものを基礎にしていまたとえば国立病院なりの医業実態調査に入っておられるのか、あるいはいま問題になっております付帯条件などがあるから、それとは別に、新たな観点で医業の実態調査に入っておられるのか、質問しておきたい思います。
  33. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 国立病院実態調査につきましては、これは自分の機関の実態を明らかにすることでございますので、特別な予算措置は講じておりません。しかし、開業医の方を含んだところの全体の医業の実態調査をやるという段階になりますれば、どうしても調査費が必要でございまして、この調査費は四十年度予算には計上はいたしておりませんけれども、大蔵当局との間にそういう関係者の間で話し合いがつき、実態調査を実施いたします場合には予備費から支出をする、こういうことで予解がついておるわけです。さような方向で処置してまいりたいと思います。
  34. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ここの予算にも、健保をはじめ、いま社会保障や社会保険審議会にかかっている問題の予算は出ていないわけです。ですから、いずれ二つの審議会の答申を基礎に今後の政府管堂の健保、医療問題の処理を考えられるべきだと私は思うわけでありますか、この問題は質疑がありましたから、あまり深くは質疑をいたしませんけれども、しかし、一番最初に私が申し上げましたように、何としても今日の事態というものを、国民生活その他をよくお考えになって、政府が考えられて結論を出されるように希望したいと思います。社会保障制度審議会もそういう立場から答申を出しておりますから、そこで、私は、この問題はきょうは触れませんが、国保の問題について、ことしの春の予算の中で、いろいろと各事業体、地方自治体が赤字で非常に困っているという問題の処理を大臣は何回も約束されて、そして四十年度の仮り払いというかっこうで財源をお出しになっているわけであります。十分の四ということになりますと、二割五分に対して七割給付の四分の三というのと同じ数字に私はなると、この予算書を見るとそう思います。そこで、今度は事務費の二百円を二百八十八円という要求をされておるようでありますけれども、これが二百八十八円まるきり通りましてもなかなか私は保険財政はむずかしいではないかという感じを持っておるわけであります。たとえば九・五の今年度の赤字の四十五億、それから事務費の赤字問題の処理、概算払いしてもどうしても精算をしなければならぬという問題が地方自治体には出てくるわけであります。そういう面、もろもろ合わせて、非常に先ほど丸茂委員からいまの保険実態について話がありましたから、私はあまり申し上げませんけれども、その保険の国保というのは全く谷底にある国保で、そうして皆保険としてやらなければならぬものを地方自治体がこれを肩がわりをさせられておるといいましょうか、それがどうしてもやれなくなったら住民の負担、診療の制限とか、そういうところにならざるを得ないというのが道筋だと私は思う。だから、皆保険をやろうという大精神は、診療制限をやって適当にお茶を濁すということではない。完全に私は国民の健康を守っていくという大きな柱が皆保険という大方針なんでありますから、その予算措置をきょうは一言だけ私はお尋ねしておきたいのでありますが、今日まで予算委員会や社会労働委員会で大臣がお答えになってきたことは、私は、新しい鈴木大臣も引き継がれておることだと思うわけでありますが、そういう点からいって、私は、ちょっともう少し詳しい説明を聞かなければわからぬのかもしれませんけれども、少しこれではどうも国保の今日地方自治体が困っている問題を解消するのにはむずかしいような気がするわけであります。だから、大臣は、この予算要求が通れば大体国保の赤字は解消をする、こういうかくかくの条件で解消するならするということのひとつ自信のほどをきょうは聞かしておいていただきたい。
  35. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 三十九年度の国保の決算状況を検討いたしたのでございますが、これに対しまして、御承知のように、先般臨時財政調整補助金を四十億計上いたしまして精算をいたしました結果は、三十八年度決算よりもやや良好に相なっておると思います。赤字団体につきましても二百数十に減っておりまして、私は、この決算の状況を頭に置きまして、そうして明年度は家族七割給付をいたしましたところに対しましては、先ほど申し上げましたように、国庫負担を四割とする、さらに事務費につきましても不十分というお話はあろうかと思いますけれども、三十九年度から四十年度にわたって改善をいたしましたより以上の改善をいたしまして、そしてやってまいりますれば、私は、国保の財政はどうにか健全化の方向に進めることができるのではなかろうか、このように考えておるわけであります。その際に問題になりますのは、九十数億にのぼりますところの一般会計からの繰り入れとい問題でございます。この内容を私もいろいろ検討しておるのでございますが、この九十数億の一般会計から繰り入れの中で、四十億程度は収納率が悪いとか、いろいろな町村の保険団体の運営面で当然なさるべきことが十分にいっていない、それを補完する意味で町村の一般会計からの繰り入れが四十億程度ある。それから、なお、三十億程度の繰り入れにつきましては、法定の給付を上回るところの特別な上積みの給与をおやりになっているということでありまして、これは当然市町村団体の一般会計から繰り入れてしかるべきものである、このように考えております。  それから、保険会計から支出はされてはおりますけれども、地域住民の全般のために保健衛生の面で負担してしかるべき仕事もまた付帯しておやりになっておるというものが十数億あるように思うのであります。そういうようなことを勘案してまいりますと、一般会計からの繰り入れというのはそれぞれの理由があるように思います。そういうことを一面において考慮しながら、今後の国保財政の展望、財政的な見通しと、四十一年度にとろうとする措置というものを考えまして、大体これで何とか健全化の方向に進むのではないか、かように考えておるわけであります。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いま大臣はそうおっしゃいましたけれども、私は、地方の財源の一般会計からその赤字が少なくなったと言いますけれども、その分析をすると、その一つはボーダーラインとか、収納率の中にもいろいろあるでしょうけれども、しかし、負担能力がなくて出さないようなところは生活保護法との関係が出てくる。医療扶助の関係が出てくると私は思うわけであります。特に内容をよくしようとする関係の問題についてどうこうということも一つも明らかになっていない。厚生省の処理がわれわれのところに一つも明らかになっていない。しかし、たとえば東京都が一年に十八億、大阪市が十一億も一般会計から投入する、そういうことを皆保険の国保財政の中に明記して、その義務負担をほんとうに法律上課しているのかいないのかということも問題にせなければならないと思う。だから、私は、国保の精算を見てみたら、どの町村でも、一般会計関係なしに運営ができていないという状態、たとえば七五なら七五というような問題を見てみても、もっと私は保険局ですか、これはもっと分析をして明らかにして、これにはこういう条件の保険料を取りなさい、そうしてその問題の処理をしなさいということ、それで、財政上、これ以上のものは政府が負担しますとか何とかしない限り、結局、昨年が三割ですか、ことしは四割その保険料の値上げが行なわれて、百二十万円の収入のところに十万円も保険料を取っている例がどんどん出てきているわけです。こんなことを放任しておったら、どこまでウナギ登りになっていくかわからぬ。私は、富の再配分というのは、もっと所得のある人に配分してもらったらいいのであって、そこらあたりを限度としてやっていることも一つの問題だし、均等割り、資産割り、所得割りというものも十分守られていないことが保険料にあらわれていることだし、法律のほんとうの目的からして、ぴったりそのものさしに合った運営ができているかどうかということを明らかにして問題の処理をおやりにならないと、事務費でも半額以下しか負担してもらっていないこの赤字が出てきましょうし、私は、標準保険料の話が出ておりましたけれども、そういう標準保険料とは申しませんけれども、もっともっと明確に国保の財政上の指導をしないと市町村が困る。市町村自身が住民の希望によって道路だとか水道とかやるものについては、地方公営企業法という法律をつくって、一銭も一般会計から出してはいかぬと法律で縛っておいて、国がやる皆保険一般会計から出してまかないなさいという、本末転倒の行政を、これは厚生省ばかりではありませんか、そういうことが行なわれいているところに地方自治体の悩みと問題があるのではないか、こう思うわけでありますから、もうこれ以上私はきょうは申し上げませんけれども、そのことを大臣はやはり責任を持って、一番最初におっしゃったように、社会保障を進めるには国が責任を持ってやるのだというたてまえに立って明らかにしてこの問題の筋をきちっと立てて進めてやってもらいたい。私はこれをひとつきょうはお願いしておきます。
  37. 小柳勇

    委員長小柳勇君) その次の問題に入ります前に、丸茂委員が質問されました人事院勧告が実施された場合に、国立病院及び県立病院の財政はどうなるか、この質問に対して、いま医務局次長が参りましたから、答弁をいたさせます。
  38. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 資料でもけっこうです。そう急では無理でしょうから。
  39. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それでは、次に資料でも出してください。
  40. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) 承知いたしました。
  41. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  42. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、新潟の水銀中毒に関する件の調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  43. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大臣は時間がないように聞いておりますので、きわめて簡潔にはしょってお尋ねいたします。  大臣すでに御承知のように、さきに九州熊本で発生した水銀中毒事件もさることでありますが、いままた新潟児の阿賀野川の流域に起きた水銀中毒事件は、政府や地方自治体の、言うならば電化学工業育成第一主義の、いわばやはり重化学工業を何が何でも育てようということが主であって、さらに、かてて加えて、地方自治体は、やはりかなり強引に工場誘致の施策をやっているといったようなことが因となり果となって、その過程において公害無視の無計画ないわゆる産業都市づくりの過程で起きた重大な公害事件であると、こう判断するわけでありますが、政府といっても、やはりこの場合は厚生大臣と通産大臣にお尋ねしたいわけでありますが、通産大臣はお呼びしておりませんので、ひとつ政府を代表する側で厚生大臣から御見解をお伺いしたい、こう思うわけであります。
  44. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 新潟県の阿賀野川流域に発生をいたしました水銀——有機水銀でありますが、水銀中毒の事件につきましては、厚生省、科学技術庁、通産省、農林省、それに地元の新潟県、新潟医大等の御協力と緊密な連係のもとに、その原因の究明を中心といたしまして調査を進めておりますし、患者健康診断その他も新潟医大等が中心になりまして、できるだけの措置を講じておるわけであります。まだこの原因につきましては的確なる究明がなされておりませんが、阿賀野川の川底から採取いたしましたどろ、あるいは阿賀野川で取れますところの魚、貝類、そういうようなものを分析をいたしまして、そして鋭意原因の究明に努力をいたしておる、こういう階段でございます。
  45. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうも大臣の答弁は、何かピントが合っていないのでありますが、もう一度質問のし直しをいたしますが、実はこの水銀中毒事件は、御承知のごとく、熊本で起き、いままた新潟県で起こっているわけでありますが、直接はともかくも、間接のその遠因というのは何か、私はこういうお尋ねをするわけであります。このことは、要約いたしますれば、政府や地方自治体の重化学工業育成第一主義的な施策と申しますか、それや自治体の強引な工場誘致による、いわば公害を無視しておるところの無計画な偉業都市づくりの過程で起きた重大な公害事件であると思う。こういう一つの根本的な問題が政府の施策の中で配慮されない限り、あまり重化学工業を重視したり、それから新灘都市づくりなどに関連をいたしまして、その計画の中に産業公害ということが軽視をされて、そういうことがやはり因になり果になってこういう一つの重大な公告事件が起きておるのではないかという点にかん、かみまして、政府としてどういうふうに考えておられるか、こういう一つのきわめて基本的な問題を、これは通産省と厚生省に競合するといっても、力点はやっぱり厚生省でこの問題を政治的に配慮してもらう必要があるのだ、こういう理解をするので、そういう趣旨の質問をしておる、こういうわけです。
  46. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) いまの御質問が重化学工業に原因があるのではないか、そこからいろいろ御意見が出発をいたしておるわけでありますが、阿賀野川の場合におきましては、先ほど申し上げましたように、ただいま原因の究明をあらゆる角度からやっておりますが、あそこにございますところの工場は無機水銀は使っておりますけれども、有機水銀は使っていない、ところが、今回の中毒事件は有機水銀によるものであるというようなことから、原因の探求に非常に苦労をいたしておるものであります。しかし、先生の御指摘のように、電化学工業等の工場が今後地方に誘致され、進行していく、また、新産都市等においてそういう工業が大いに育成をされる、そういう場合に公害というものを全然従来考慮の外に置いて、無計画にそういう重化学工業の育成をしてきたことが公害問題を惹起をしている、こういう御指摘につきましては、私どもも、過去において公害に対するところの行政的な配慮なり指導というものが十分でなかったという点につきましては、私どもも深く反省をいたしておるのであります。したがって、これに対処いたしますために、御承知のように、先般国会で成立をみました公害防止事業団の設置、さらに、また、厚生省に今回公害防止審議会というものを設置いたしまして、そして公害に対するところの問題をあらゆる観点から今後究明をし、その対策を講じよう、こういうことをいたそうとしておるのであります。したがいまして、いま御注意、また、御指摘のありました産業公害に対するところの十分な公害対策ししいうものを忘れたところの残業政策というものはいけない、こういうものは改むべきである、こういう点につきましては私どもも全く同感であり、その方向で今後対策を講じていきたい、こう考えております。
  47. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 十分時間のことを頭に置いて質問いたしますが、たとえば水銀中毒による患者が一たび発生した場合には、私の新潟の場合を対象にして視点をとらえてみる場合に、医療体制の不備とか欠陥ということもさることでありますけれども、いわゆる水俣病に関する汚染源、それが具体的にいってみて農薬であるか、それとも言われるところのいわゆる水銀中毒、たとえば工場廃液であったといったような問題について、やはり調査研究に対する検査体制というものが一貫した総合的なものに現時点においては欠けておるのだというふうに考えております。いま厚生大臣の御答弁によって、大体非常に意を注いでおられるということと、さらに、過般来、公害対策審議会で四十名の委員を大臣が任命をされまして、その中で十項目に及ぶところの諮問をなされておる、そういうことを踏まえて、近い将来に公害基本法がつくられる。そういう中で、私どもが新聞、ラジオ、テレビ等でうかがい知る範囲では、たとえばきょうの予算の報告の中で公害部というものを新たに新設されるというようなことで、相当に意を注いで重視されるという限りにおいてはわかるわけでありますけれども、具体的な問題として、やはり水俣病の、言うならば有機水銀中毒の汚染源が工場廃液であるか農薬であるかという問題については、新潟の場合を私の主観で判断いたします場合に、どうも農薬の説はたなに上げちゃって、もっぱら工場廃液ということに力点を置いて手探りしておったが、なかなかその答えが出る出ないという問題については、これはいま苦心しておる段階で、とやかく批判すべき筋合いではないと思うのでありますが、その辺について大臣に確認をしておきますが、この公害基本法だとか公害対策審議会の中で、さきには九州、今度は新潟ですが、第三、第四のこういう公害事件が起こらないという保証はどこにもないのでありますが、しかし、これはやはり施策よろしきを得れば人為的に食いとめ得る天然現象でないと判断されますから、たとえば農薬にしても工場廃液の中に含まれる有機水銀にしても、そういうようなその辺のところの配慮について十分配慮しておられるかどうかというような点について、大臣にひとつお伺いしておきたいと思います。
  48. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) これは何と申しましても汚染源、原因を徹底的に究明をするということが対策に通ずるゆえんであり、また、今後の公害防止の具体的な対策になるわけでありまして、それが農薬によるものであるか、あるいは工場廃水によるものであるか、もし工場廃水によるものでありとすれば、これは工場建設にあたっての考慮、対策というものを徹底的に完全にやる必要がございます。農薬ということになってまいりますれば、その種農薬についての消費の規制、製造等の規制、あらゆる面でやはり公害の防除に努力をせにゃいかぬ、こう考えるわけでありまして、いずれにしても、汚染源がどこにあるかということをまず徹底的に究明するということが前提でございますので、その面に最善のいま努力を傾けておるという段階でございます。
  49. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点具体的な問題としてお伺いしますが、厚生省公害対策一環として、水銀中毒等の原因究明機関を設けておるかどうか。たとえば今度公害部というものを新設されるということがそれに値する機関であるかどうかということと、もしそういうものが設けられたという場合に、どのような機能とどれだけの活動能力があるか、また、大体きょう予算概要によって説明をいただいておるわけでありまするけれども、この予算概要の説明によりますと、昨年は一億一千万円であったが、概算要求では二億八千万円程度を要求する、こう言っておられるということでありますが、一体、公害対策一環として、水銀中毒等を含めた原因究明機関を設ける意思があるかどうか、それは言うならば、具体的にはいまここにうたってあるところのいわゆる公害対策部を設置するということによって、そういうものを内容に含めておるか、そういった点について、ひとつこれは環境衛生局長から伺いたい。
  50. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) お尋ねのございました公害の原因探求に対しまして、国として十分意を用い、組織上それを配慮して明年度予算を編成しておるかというお話がございましたが、お話のございました明年度公害部の中に新たに一課を設けまして調査課といたし、専用の技術者をそこに置き、できるだけすみやかに、かつ、広範に公害調査に当たらせる。また、もちろんこれらの調査課の職員のみならず、各種試験研究機関を極力動員いたしまして、そこが中心となりまして調査に当たらせる。したがいまして、国立衛生試験所におきましてもそれらの分野の予算の増強をお願いいたしまして、相協力して原因究明に当たりたい、そのように計画いたしております。
  51. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いま大臣のおられるうちにもう一点聞きたいと思いますが、水俣病に関して、また、言うならば有機水銀中毒に関して経済企画庁や厚生省、通産省などの連絡機関があるというふうに聞いておりますが、その機能と活動状況について、これは有名無実であるか、実際に活動しておられるか、そういうものがないかどうか。私はあると聞いておるわけでありますが、その辺のところをひとつ。
  52. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 環境衛生局長からお答えいたします。
  53. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 水俣につきましては、当時各省連絡並びに現地の医科大学等を含めました研究機関ができまして、数年にわたって調査をいたしたわけでございます。今日は、御指摘のとおり、あまり活動いたしておりません。すでに水俣の事件を起こしましたプラントそのものが解消いたしておりまして、原因たるべき水銀に対する工場側の特殊装置もできたということで、その後患者の発生も見ておりませんし、そういう形の班としての活動は終わっております。今度新たに新潟の水銀事件に対しましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたような、各省並びに現地を含めました特別研究班が新たにつくられたわけでございます。
  54. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大臣にお尋ねする事項はこれで終わりますが、要するに水銀中毒事件というのは、ただ水銀で中毒をして、そして患者ができ、患者の医療保障だとか生活保障とかという問題だけではなくて、関係水域なり関係海域の魚族、魚民の保護を政治的にどう配慮するかということが大きな問題だと思うんです。そういう形の中で、私、新潟が選出母体でありますので、あえて一点だけ申し上げておきますが、阿賀野川は、御承知のごとく、新潟児最大の内水面漁場であります。その流域には、たとえば、これは土地の名前でありますが、松ケ崎浜、大江山、濁川、大形、阿賀野川、この五つの内水面漁業協同組合がございまして、組合員の数は約千七百名に及んでおります。年産一億円程度の川魚や魚介類を水揚げをしておるのでありまして、これを児内に行商して、ほんとうにほそぼそと生活している関係から、科学的な究明がおくれるというと、漁業規制との関連において、よしんばなまはんかな政治的配慮で漁業規制が解除されているけれども、とれたさかなが、これも水俣病であるからという理由で売れなくなったり、あるいは問屋筋に買いたたかれたりして、漁民の生活は不安がつのるばかりなんです。それから関係漁民の生活保障や村全体がどうにもこうにもならないという、廃業、転業の問題をどうするかという問題が起きてくるわけであります。これは地方自治体でも、県でも市でも相当に苦労しているようでありまするけれども、それではちゃちなことでありまして、どうしても国の施策の段階でこの問題をかかえていくより方法はないのだというふうに考えるわけであります。したがいまして、政府はこれに対してどのような措置をとろうとしておられるのか、これは重大なことであります。ただ、問題は、言いますように、一度あったことが二度で、ここで食いとまってしまえばいいのでありますけれども、展望の中でいくというと、よほど産業公害というものを防止するというところの施策と、それに対する相当な予算的措置と、大きな総合的な研究機関が配慮されたいと第三、第四の水銀中毒事件が起こるという、そういうふうに憂慮されますので、新潟の事例にかんがみて、ひとつ大臣の考え方なり所信というものをこの時点で伺っておきたい。
  55. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のとおり、こういう河川、あるいは沿岸等で起こりますところの水銀中毒事件というようなことが発生いたしますと、内水面漁業者なり、あるいは沿岸漁業者の生活に重大な影響を与えるわけでございます。阿賀町川におきましても、関係漁民はこのために、とった魚も売れないというようなことで、経済的に相当大きな打撃を受けておられることを私も承知をいたしております。また、先般はサケ、マスの遡上時期にあたりまして、一体このサケをとらしていいものかどうかというようなこと等につきましても問題があったようであります。こういう点につきましては、農林省、県と十分連絡をとりまして、サケ等につきましては、川にのぼらない、川口でこれを採捕するというようなことで、漁業者の収入が減らないように、また、とった魚も鉱毒等の不安がなく売れるように、そういうような漁業面における指導、そういうようなことも十分やる必要があろうかと、こう思うわけであります。今日まで、水俣の際におきましては、患者の治療に要する負担を、国が三分の一、県が三分の一、地元が三分の一というような措置を請じてまいりましたが、それによってこうむった経済的な補償というものはまだやっておりません。しかし、こういう問題につきましても、その被害の程度、経済的な影響というようなものを十分勘案をいたしまして、県等と話し合いをしなければならないという段階にもなるのではなかろうか、こう考えておりますが、いまのところ、まだはっきりした被害程度等も明確にされておりませんし、いまの段階では、補償の問題につきましては政府としては具体的に考えておりません。
  56. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは資料の提出で、環境衛生局長にお願いしておきますが、これは先例都市があまり多くないことのほうがいいのですが、九州の水俣の同様な措置なり、先例都市の事例をひとつ資料としてあとで提出いただきたいと思います。  厚生大臣、またいずれあらためましてお尋ねすることにして、きょうのところは十分ばかり食い込みましたので、この辺でお帰りください。きょうは大体これでやめますけれども、通産省の方おられますか。——それでは、また時間をかけて質問いたしますけれども、きょうのところは一点だけお尋ねしておきます。  これも、私も新聞によって了知したことでありますが、たとえば通産省は産業公害防止に積極的に取り組む。で、具体的には公害の基本調査の問題であるとか、それから産業公害の事前調査であるとか、公害防止週間の設定などでこれらの諸施策を重点的に実施する方針で、四十一年度本年度の四倍の八億五千万円程度を概算要求をして、それで工場廃液等による川のよごれ、そういうこともあるいはいろいろと検査をされるというふうに意気込んでおられる、前向きに取り組もうということを、新聞にはそう書いてあるわけです。実際にそういうふうに取り組んでおられるかどうか。そういう関連の中で厚生省との所管で十分政府間でコントロールされることと思いますが、たとえば地域の漁民だとか魚族の保護について、あるいはそういう基本的な構想についてやはり考えておられるかどうか。そういったような点については、きょうはこの点だけちょっとあなたの差しつかえない範囲でひとつお聞かせいただきたいと、こう思う。
  57. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 通産省の産業立地部長の中川でございます。  ただいまの御質問でございますが、私のほうと厚生省環境衛生局とは、これはもうほとんど連日というくらいに電話のやりとりをしておるくらいに緊密に連絡をとっておりまして、厚生省のほうでは国民の健康、保健衛生という立場で、公害問題を保健上どう考えるかということを中心にして、おもな分担をそのほうにおきまして働いてもらっておるわけであります。私のほうは、産業側の既設の設備につきましては、どういう補強をすれば公害が防止できるか。もしくは新設の工場につきましては、どのような立地を選び、どのような工場のレイアウトをし、どのような設備をつくれば公害が未然に防止できるかといったことを中心にしてやっておるわけでございます。御承知のように、公害の解決と申しますものにつきましては、国民の健康な生活ということと産業の健全な発展ということの調和、かね合いがたいへんむずかしゅうございますが、それにも増して、どうやれば技術的に公害が防止できるかという技術の上で開発を要する分野が非常に多いわけでございます。したがいまして、私どものほうの産業立地部では、産業公害課という一課があるのみでございますけれども、実は通産省全体といたしましては、工業技術院傘下の各試験研究機関を総動員いたしておりまして、廃液の問題、それから騒音の問題、排気ガスの問題、大気汚染の問題、これらにつきましてそれぞれ専門の研究機関を総動員いたしまして技術の開発に努力しておるわけであります。  先ほど先生のおっしゃいました予算額が画期的にふえておりますことの一つの理由は、四十一年度には亜硫酸ガスの脱硫技術について精力的な研究をやりたい、技術開発をやりたいということをやっておりまして、これの研究開発費が非常に大きくなっておるのが一つの理由でございます。  それから、もう一つは、私ども、やはり今後の工場立地につきまして、事前に起こり得る公害を防止するというたてまえから、工場をどういうところにどういう設備で立地すればよろしいかということを、大気につきまして、あるいは水につきまして、これも河川と廃液につきまして総合的な事前調査を大々的にやりたい。これは現在でもやっておりますが、これをもっと拡充強化したいと考えておりますことが予算を大きく今度要求しておる要因でございます。  なお、御承知のことと思いますけれども、既設工場についての公害防止につきましては厚生省と通産省が共管の立場で、先ほど厚生大臣から御答弁のございました公害防止事業団をつくりまして、両省でお互いの弱いところを補強し合いまして、完ぺきな公害防止をやりたいということで努力をしておるわけでございます。御趣旨に沿ったかどうかわかりませんけれども、とりあえずお答えいたします。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も一言お尋ねをしておきたいと思うのです。これは厚生省と通産省と両方だと思いますけれども、しかし、私は、今度はこの問題は専門的にひとつ通産大臣や皆さん通産省の方々に来ていただいて、そしてこの問題に取り組まなくてはいかぬということを痛切に最近考えておるわけです。先日、私は倉敷市の水島へ二日ほど行ってまいりました。いまの工場で十何本しか煙突がないのに、五キロも六キロも離れた松の木が全部枯れている。畳のイの製造をここでやっておりますが、これもほとんどだめになっておる。これがもしも三百二十万坪の川崎製鉄であそこにまいりましたら、おそらくあの周囲は私は全滅するのではないか。岡山県水島には三菱石油と、それから東洋工業と二つのコンビナートができておる。そこへ製鉄会社ができるとなれば、あの山で囲まれた、さっそく四日市のように海に出ないところでありますので、これはたいへんじゃないか。私は、専門でここで一緒にやった加藤武徳がいま知事ですから、私も注意をしておいたわけでありますが、たとえば上のほうが亜硫酸ガス、最近の燃料はアラビヤ石油ですから、亜硫酸ガスがほとんど中心になっておる。この問題をどうするかという問題は、これもたいへんな問題だと私は思うのであります。で、今度は下のほうはどうかというと、いま有機水銀を含めて、私がちょうど調査に行きました一週間ほど前にその沿岸の魚はみんなまいってしまった。漁業補償で要求をして、何かつかみ金で解決をしたようでありますけれども、こんなお茶を濁すことでは、これは将来話にならないわけです。だからその対策、空の大気の対策、これもやはり通産省の私は監督権限にあるのではないか。ここらは東京ですから、最近新聞に出ませんけれども、この前のたしか台風の前後と思いますけれども、四日市の学校が全部休校をした。なぜ休校をしたか。四日市ぜんそくといわれるように、四日市のスモッグ、要するに亜硫酸ガスを含んだものが学校へ気流の関係で下がってきて、もうまず教室の窓を締めてと、そういう状態に四日市がある。この四日市の二の舞いに——いま十三カ所の新産都市で一番進んでおるのはいまの水島だと私は思うのでありますが、だから工場生産はけっこうでありますけれども、生産をしたときにその周辺地域の国民がどういう被害を受けるかということをやはり私はもっと突っ込んでやってもらわなければ、被害があった個所だけは厚生省がもらって国会でいじめられるということではならないじゃないか。私は、最近熊本の水俣病のほうをやかましく言って、一応問題は一段落したようでありますけれども、実際は専門的検討からいえば水俣病は続いておるということを聞いております。これは最近ぼくは厚生省で調べていただきたいと思うのです。いま新潟の問題、これはたとえば新潟の水俣病を追及するという、いま十四人の被害者があって四人が死んだという問題か出てきているわけでありますが、私は、根源は生産第一主義のあまりに、炭鉱でもいろいろ問題が起きておりますし、また、一般の生産工場からくる公害の問題というものは数限りない問題になっておる。だから生産をあげるのは、国民の幸福のために生産をあげていこうというのでありますから、私はけっこうでありますけれども、そのために住民が被害を受けるというようなことは、これはぜひもう少し真剣に表舞台の中でひとつ議論をしていただきたい。そしてやはり規制するように、ちょうど三菱石油の工場がありますから、工場長の非常に詳しい地図、図面で説明がありましたが、あの説明だけ聞いておると、私たちは、ほんとうにあの説明だけ聞くと、もう公害というのは一切起きませんという説明に結論がなって、これは事実私たちは専門家じゃありませんが、全くそのとおりだとおかしいなという感じでありますけれども、工場に入ってみると、工場の中を自動車で走ってみただけで、とにかくアンモニアのにおいだけで歩いて通れぬほどどこからか漏れていたという地域があります。ですから、十万も三十万もの広い工場でありますから、外へいくまでに拡散するのでありましょうけれども、そういうことが私は許されていいかどうかということも、これは労働基準局が監督官がおって監督するのですけれども、通産省もそういう監督機構をお持ちになっていると私は思うのであります。だから、そういう意味で、理屈だけは通って、全くしろうとが聞いたら一〇〇%もう疑う余地のないような説明をしていただくわけでありますけれども、魚が死ぬ、それから山の木が枯れる、畳のイが参ってしまう。まだ米のほうには具体的な数字は出ておりませんけれども、米のほうの稲作にどういう問題が生ずるか、だんだん進むにつれてわかってくると思いますが、私はそういうきめのこまかい問題について押える方法を通産省がしっかりやってくれなかったら、この公害の問題は、水俣病を含めての公害の問題の解決はせないのじゃないか。そういう意味で、いずれこれはあらためて、この社会労働委員会で、通産省もみな来ていただいて問題を明らかにしなければならぬと思いますが、まだほかにたくさん私の経験したことはありますけれども、きょうはこの程度にしておきますけれども、ぜひその点は、通産省、心して問題の解決のために当たっていただきたいということをきょうはお願いしておきます。
  59. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 通産省の産業立地部長さんですか、一点だけ確認しておきますが、本年度というと四十年度ですが、概算要求四十一年については八億五千万何がしということは、概算要求としてこれは新聞に出た数字で、まあそんな見当ですか。
  60. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 先ほど御説明いたしましたように、一般会計の行政費で一億二千五百二十九万円、一般会計研究費で七億一千七百万円、したがいまして八億四千数百万円になっており、先生の御数字で正確です。
  61. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一つ。ことしは二つの河川を、たとえば工場廃液とか、その中にいろいろな毒物が入っておるのですけれども、二つの河川をピックアップしてということですが、その二つの河川というのはどういう川であるか。まだ未決定ですか。決定しておりますがその辺のところはどうですか。
  62. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) ただいまの御質問は、私どものいまやっておりますことでは、河川の事前調査の問題だと思うのです。これはいささか考え方を異にしておりまして、ある川の水系に今後工場がつくられ、工業地帯として使われる可能性のある場所につきまして、その場所に工場をつくってよろしいかどうかということで、川に排水のかわりに染料を含めました水を流しまして、それの拡散希釈がどうなっていくかということを事前に調査いたしまして、特定の川の流域に工場を置いていいかどうか、置くとすればどういう形に位置づけたほうがよろしいかということを調査する仕事を今年度からやっております。そのことでございますと、今年度は阿武隅川をこの秋にやりまして、来年度は、いまこれは予算要求中でございますが、古野川と北上川をやりたい、かように考えております。
  63. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点だけ。  今度は環境衛生局長にお伺いしますが、厚生省は、新潟の有機水銀中毒事件で、科学技術庁から特別調査費として九百六十万円何がしかの配分を受けておられて、それで事件発生以来、新潟県や新潟大学で共同で調査態勢を進めておられるわけでありますが、その後さらに一段と調査態勢を充実するために、東大であるとか神戸大であるとか態本大学等の学者グループの協力を求めて原因の究明を急いでおられると聞きますが、新潟の水俣病の汚染源がはっきりするのは、調査研究もいいわけですが、それは一体いつごろにそういう見通しがつくか。なかなかこういう事案は調査研究にずるずるべったり長くて、先ほど前段大臣のおられるときに質問しましたように、この原因が究明されないうちは、変に政治的に漁業規制を解除しても、魚は河口でとって、これはえさを食べないといっても、えさは実際は食べているわけです。その川が汚染されておるなら、むしろ問題は魚をとって売っている零細漁民が食べているとか、そういうような関係がありますから、早く原因が究明されることは、結局科学陣にたよるほかに道がないと思いますが、所管局長として見通しのほどを聞いておかないと非常にまずいと思うのです。その辺のひとつ的確な見通しを、当たるも八卦、当たらぬも八卦じゃないですけれども、ひとつ伺っておきたいと思います。
  64. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 現在、阿賀野川の魚の水銀量をずっと長いこと調べてきたわけですが、その阿賀野川でとれます魚は非常に水銀量が多いものと水銀量が少ないものとあるわけであります。いままでの患者の状況から見ますと、こういう患者の出るのには一定の時期があるように感じられるわけであります。その二足の時期がどういうわけで起こったかということは別でございますが、その一定の時期を過ぎた状態に今日あるように思うわけであります。その一定の時期が過ぎた原因は何かということはまたむずかしいことでございます。したがいまして、その原因たるべき影響があまりないとなれば、魚の中の水銀量はだんだん減ってまいるわけでございまして、したがいまして、先ほど来問題となっております農薬ないし工場にいたしましても、その原因たるべき川に対する影響が客観的に見てもない。たとえば現在あの川の周辺に二つの水銀をかつて使った工場があるわけでございますが、すでに十ヵ月近くも水銀の使用をやめて、もうその部分を廃止いたしておるわけであります。かりに工場が原因でありますれば、したがいまして、そのほうの影響は今後ないわけであります。もしも農薬が原因でございますれば、今後農薬の使い方に気をつけろというようなことで、したがいまして、的確にどこが明確な汚染源であったかということをつかみませんでも、魚には危険量はもはやないとか、今後心配はないというようなことをできるだけ早く見出すことは比較的可能であると思うわけであります。なぜ私がこう申し上げるかといいますと、的確にこれだということの原因を明確にするためには、先ほど大臣から申し上げましたように、工場が現在使っております水銀は無機水銀でございまして、患者は明確に有機の水銀中毒を起こしておるということで、現在川のどろなり魚なり、あるいは工場の内部のいろいろな部分から取って水銀の調査をいたしておりますが、それは水銀の総量でございまして、はたしてその中に有機水銀がどのくらい含まれているかということを明確にいたしませんと、ここが原因であったということをはっきりするということは非常にむずかしいわけでございます。そういたしますと、有機水銀の検出ということをこれからやらなければならないわけでございますが、取れます量はPPMという非常な微量でございまして、そういう微量で化学成分がどうであるかということの分析が、今日の技術能力といいますか、技術の範囲では非常にむずかしい問題でございまして、研究班には東京大学、東京歯科大学、東京眼科大学、東京医科歯科大学並びに厚生省の持っております御生試験所というものが相寄りまして総合研究をやっておりますけれども、非常に技術的にむずかしい部面がございまして、その面からの最終結論を得ることには、かなり時日が要るかと思いますが、先生御心配の魚には、もうだいじょうぶということはできるだけ早くめどをつけたい、かように思っておる次第でございます。
  65. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 関連して。水俣病もまだ学者の意見が分かれていて、はっきりした結論が出ないけれども、あれが発生して、今までに厚生省なり通産省の研究予算などはトータルどのぐらい使っているのですか。
  66. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 水俣のときには文部省並びに厚生省に当該予算を組んだわけでございますが、おおむね六百万前後組んだわけでございます。今回は科学技術庁の特別研究促進調整費で九百六十三万並びに厚生省公害調査研究委託費で百万、合わせて約千五百万ほどを当面計上いたして今年度分としてやっております。
  67. 小柳勇

    委員長小柳勇君) あれが発生して十数年になるのに、何千万ぐらいの予算でどうなるかという気がするのです。今年度幾ら計上しておりますか、さっき説明した中では。
  68. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 千五百万と申し上げましたのは誤りでございまして、千五十万ほどでございます。一番の基本的な問題は、有機水銀の検出というのが非常に技術的にむずかしいという点でございます。
  69. 小柳勇

    委員長小柳勇君) さっき丸茂委員の発言にあったように、人の命は地球よりも重いといわれているのに、十数年かかって原因がわからないようなことでなく、もっと研究費を使ってやるべきだと思うが、ひとつこの次に正式に議題になるときに問題にしましょう。
  70. 森勝治

    ○森勝治君 いろいろ御説明があったわけですが、廃液、それから騒音、ばい煙、そういう問題については、これは各県とも頭を悩ましているわけでありますね。これは総称して公害という名で呼ばれておりますが、さて各県で条例などを設けようとするときに、公害とは何ぞやということで基準がさだかでないわけです。過去においては、私どもも若干そういうもののアウトラインのようなものをつくってこれこれだと出したけれども、それはざる法にひとしくて、静岡県でも、あそこの富士川ですか、河川の汚染についての条例を設けようとして国に問い合わせをしたら、ざる法で参考になりませんという、そういう県議会の関係の方々の私どもまいりましたときのお話でした。私どもの埼玉県でも公害防止条例をつくりまして、私どもは遠く福岡の八幡の空まで見てきたわけでありますが、各県ともこのことについて悩んでおりますが、問題は、一体公害なるもののものさしを各県それぞれではなかなか裁定しがたい、ものさしがまちまちでどうにもならぬ。したがって、いまの段階では、事態が発生して事後の問題に腐心して東奔西走しておりますので、根本は事後の措置ではなくして、予防措置だと思うのです。そのためには、いま申し上げた公害の基準なるものを設けて、工場、事業主の御協力を真っ先に仰いで、いまのような道徳的な問題ばかり追及されるのでなくして、もう基準を設けて、これを法として制定するならば、やっぱり順法精神をとうとんでもらわなければならぬわけですから、そういう面からいきましても公害基準の設定が非常に急がれているのではないかと思うのです。したがって、いま私が申し上げた廃液、騒音、ばい煙による大気汚染、そういう関係の国の公害の基準というものを一体いつごろ出されるのか、つくられるのか、それをちょっと聞きたいのです。
  71. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) まことにごもっともな御質問でございますが、私どももそれが最も重要な基準であるということで、それがきまらなければ真の意味公害の防止の達成ができないということを私ども痛感いたしておりまして、先ほど大臣から御説明申し上げました公電審議会に先般諮問をいたしました大臣の諮問事項の中にも、いまの基準を早急にお願いいたしたいということが出ておるわけでございます。ただ、この公害の基準でかなりむずかしい問題は、これが慢性的な影響を配慮せざるを得ない。たとえば急性障害でございますれば、かりに動物実験をいたしましても、一年ないし、二年たてば急性症状の影響はすぐあらわれてくるわけでございますが、はたして今日の東京のようなところに住んでおって五年、十年たってどうなるか、あるいはそれがガンの原因になるであろうかということの探究をいたしますのはなかなか容易でないことでございまして、また、動物実験をやりましても、動物は比較的短期間で死んでしまうというような技術上のこまかい問題がございまして、したがいまして、世界各国、たとえば東京の空はこれ以上よごれたら人間が住むには適当でないという基準を早急につくりたいという希望があるわけでございますが、各国いま努力をいたして、そう厳密なものでないにしても、一応行政の基準になるようなものを早くつくりたい、かような努力を続けておるわけでございまして、御趣旨に沿いまして、私どもといたしましてもできるだけ努力をいたしてまいりたいと思います。
  72. 森勝治

    ○森勝治君 通産省に聞きたいのですが、問題は、特に工場等によって起こる廃液ですね、それからばい煙などありますが、埼玉県にはおびただしい工場が誘致されて、次から次へとこの種の問題が頻発しておるわけでありますが、ここで問題になりますのは、いま申し上げた基準がさだかでありませんので、道徳的な要求を当該工場にお願いする以外はないわけです。そこで、いまのように、農林省は農林省でかってに許可をし、通産は通産で適当にやる。それから、厚生は厚生でかってにやるということで、いまばらばらです。聞くところによると、毎日のように電話がかかって非常に連絡が密だと言われるのですが、そこまでおやりになるならば、さらに公害を発生するおそれのある業種については、そういう問題についてもかねてからひとつ御相談があって措置があってしかるべきだと思うのですが、その辺はどうされておられるのか。事態が発生してからだいぶ相談されるのだが、その前の、まず工場を許可する、こういう段階からの相談がそれぞれの関係機関であってしかるべきだと思うのですがどうですかその辺。
  73. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) ただいまの御質問に総括的にお答えいたしますと、御承知のように、水につきましては水質保全法と汚濁の防止法というのがございまして、先ほど環境衛生局長が御答弁なさっておりましたように、一般的、客観的な環境基準というものをどの線で求めるかということを鋭意努力する方向に進んでおるわけでございますけれども、なかなか求めがたいわけでございます。ただ、しかし、隅田川ですとか大阪の寝屋川でございますとか、どなたの目からごらんになってもひどい、あのままじゃ困るという川がございます。しかし、いまさほどではないけれども、逐次どうもその所在の工場その他から見ますとあぶなくなりそうだ、いまのうちに手を打っておいたほうがよろしいという考えがございましたときに、これは経済企画庁が所管庁になっておりますけれども、河川の指定をやるわけでございます。その指定がございますと、私ども厚生省その他とも御相談いたしまして、それぞれの指定河川につきましてどういうことをやるかということを相談いたしまして、この仕事にそれぞれの基準に該当するような取り締まりを、これは所管産業別にやっていくということで措置をしておるわけでございます。  それから、ばい煙の防止法につきましては厚生大臣と通産大臣が主務大臣になりまして、これも場所ごとに基準をつくりまして、これが守られ得るような個々の工場についての監督をいたしておるわけでございます。一般的な工場につきまして、公害問題との関連におきまして許認可を要するといった法制は現在のところはとっておりません。ただ、しかし、私どものほうでは工場立地の調査法というのを持っておりまして、一定の規模以上の工場を新設するという場合には届け出をしなければいけないという形になっておりまして、この段階で、その工場をつくりますときにどのような公害防止施設計画しておるかということを、行政的な指導といたしまして、私どもこれを聴取いたしまして、公害防止の観点から必要な施設が欠除しておったり、あるいは場所的に悪い場合におきましては、これに自発的な修正を求めて処置しておるという状態であります。ただいま申しましたように、工場をつくりますときに、公害観点からこれを許認可の対象にするというところまでやっておりませんのは、公害の問題と申しますものが非常に広範囲な要素から出ておるわけでございまして、単に工場だけの問題ではございませんで、一般的に申しますと、土地利用の計画が整斉として行なわれる、場合によりましては都市計画法その他とも関連がございますし、排水等につきましては、たとえば下水道といったような社会資本の充実が必要である場合もございます。これを実際的に申しますと、ある川がよごれるという原因が工場側にどれくらいのウエートがあり、一般家庭からの排水が、たとえば下水道がないために終末処理が不備であるために、家庭から出る水がどのくらい水を濁すことに働いておるかといったものが、大づかみではございますけれども、それぞれにわかっておるわけでございます。たとえば工場側による水の汚濁が二〇%あって、一般家庭からのものによる汚濁が八〇%であるというような状況において、工場側のみに工場の建設を認めないというような処置は、これは社会的、常識的に考えても無理がございますので、その辺の土地利用の計画的な実施ということの制度がもう少し整備される必要がございますし、もしくはいまの社会資本の充実等が必要なわけでございますので、そういうものと調和をとりながら、工場側につきましても必要な指導監督を加えていくということで考えておるわけでございまして、工場のみについて、つくりたい、これは建設したいというものを公害的な理由のみで禁止するというわけにはいかない状況は御理解願えるのではないかと思います。しかし、それはそういった法制をとっていないということについての私の御説明でございまして、そうでございましても、工場が工場をつくります場合に、いまの技術で可能な限りの公害の防止施設をつくらせるということにつきましては、私どもはほんとうに真剣になってこれをやっておるつもりでございます。
  74. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十五分散会