○
説明員(
戸沢政方君) それでは、お求めによりまして、
厚生省の来年度
予算要求のごく概要につきまして御説明申し上げたいと思います。まだこれは
概算要求の内容といたしましても完全に固まっておらない部分があるわけでございまして、すなわち、
医療費問題とか
国民年金法の
改正等につきましては、
審議会の
答申等も得られませんので、まだ内容がコンクリートになっておりません。それで、一応
ワク要求というような
かっこうでもって内容を保留のまま要求してあるような
かっこうでございます。
それで、まず、予算の一応八月末に要求いたしました総額でございますが、
要求総額は六千二百六十五億二千四百五十七万一千円、前年度の予算が四千八百十九億四千百九十七万八千円、それで増額が千四百四十五億八千二百五十九万三千円、この増額分は前年度予算のちょうど三割増しということになってございます。ここ最近の例といたしまして、
閣議決定で、
概算要求の総額というものは当初予算の三割増しということになっておりますので、そういう
かっこうになっておるわけでございます。それで、この中で、ここに本日お手元に差し上げました資料に書いてある事項につきましては、一応内容がきまっているわけでありますけれども、それ以外の大きい問題につきまして内容を保留してあるのがございます。その保留してある大きなものは、一つは、保険三法の
財政対策に関するものでございます。それから、いま一つは、
国民年金法の改正に関するものでございます。それから、いま一つは、
生活保護法の
基準改定に関するものでございます。この
医療費、保険三法の改正問題につきましては、
社会保険審議会、
医療協議会等の御審議が続行中でございますので、その結論を待って改正案を考え、検討するということになっております関係上、この
財政対策も未定で、いまきめるわけにはいかない段階でございます。それから、
国民年金法の改正につきましては、昨年この
被用者保険、
厚生年金法の改正に続きまして、来年度は
国民年金法のかなり大幅の改正を計画いたしておりますが、これもまた、まだ政府案が確定いたしませんので、内容は保留ということになっているわけでございます。それから、いま一つ、
生活保護法につきましては、これは昨年度から同様のやり方をいたしておるわけでございますが、
生活保護法の
基準改定につきましては、十一月、あるいは十二月ごろに政府の来年度の
経済見通し、そういったものが出たところを見まして、それらのデータに基づいて
基準改定を考えるということで、一応要求といたしましては、
生活保護につきまして前年度の
予算額の三割増しという
ワク要求のような
かっこうで出してございます。したがって、内容は保留のまま、座敷だけをとってあるというような
かっこうでございます。
それでは、それ以外の事項につきましては、一応現段階における要求の内容が出ておりますので、そのおもなものにつきまして、簡単に御説明を加えてまいりたいと思いますが、この資料の事項は局の編成順に大体書いてございます。新規のものにつきまして、簡単に説明を加えてまいりたいと思います。
第一は、
公衆衛生局関係の事項でございますが、その一つは
保健指導体制の整備でございまして、
保健所の
運営費、
整備費その他の経費でございます。それから、いま一つは
地方衛生研究所の強化に関する経費でございます。(1)の
保健所運営費補助、これはここでは
補助職員の
職員増員を要求してございます。すなわち、前年二万二千八百四十二人を二万三千五百九十三人と七百五十一人の増でございますが、このおもな内容は、
栄養指導の強化という意味から、
管理栄養士等の増員、それから
精神衛生対策の強化という意味で
精神衛生の
指導員の増員、それ以外は新設とか
格上げ等に伴う自然増的なものでございます。
それから、最近非常に問題になっておりますものとして、次の
人件費の
基本給単価が非常に低い、そのために実際の
支出単価に対して
地方公共団体の
超過負担が非常に大きいということが問題になってございます。それで、来年度はこの医師その他の職員の単価の大幅な値上げを要求したいと考えておるわけでございます。それで、
医師等の職員につきましては、年額四十三万円を四十九万九千円、それから、その他の職員につきましては二十八万一千円を三十四万二千円というふうに要求してございますが、この考え方は、めどを
地方交付税の
交付基準単価まで引き上げたいということで、それを一挙にやりますと非常に大幅な増額になりますので、これを三年計画でもって
交付税の
基準単価まで上げるということにいたしておるわけでございます。
それから、次の二番目の
保健所の
施設等の
整備費につきましては、これは大体前年と同じような行き方でございまして、新設五カ所、増築十五カ所、改築五十カ所ということになっております。なお、
建築単価につきましても非常に実態に合わないということをいわれておりますので、単価につきましては実績の一割増しということでもって、実績に合うように要求をしてございます。
それから、
保健所につきましては、ウの
公舎施設整備費、医師の
確保対策の一環といたしまして、一ページでございますが、職員の公舎を整備したいというところでもって毎年出しておるのでございますが、二十五カ所分を要求してございます。
それから、(3)の
医師充足対策、これは大体昨年来の対策を踏襲しておるわけでございますが、貸費生の
貸与金の月額を、学生については六千円を九千円、
インターンについては八千円を一万二千円に上げたいというふうに思っております。
それから、次の二ページの
外国派遣費補助、これは昨年度からついております予算ですが、これも
保健所の
医師確保対策といたしまして、
保健所に長期勤務したような
医師等につきまして、外国に
留学勉強のために派遣したいというもので、本年欧米十人が入っておりますが、これを来年は倍要求してございます。
それから、エの
教育訓練保健所費補助、これは新規でございますが、
保健所の
初任者、新しく入った者につきまして、その
地元所在の大学の先生に頼みまして
保健所の訓練をしてもらうという趣旨のものでございます。
それから、(4)の
地方衛生研究所の
強化対策、
地方衛生研究所は各県にございますが、この強化のために、
施設整備費のほか、イの
特別調査研究委託費、その
士気高揚のためにこういう
研究費を出しまして、
研究所の熱意を喚起したいという意味でございます。
それから、2の
各種疾病対策の強化といたしまして、いろいろな
特殊疾病等に対する対策が並べてございますが、その最初は
原爆被爆者対策、これは前年度におきましていろいろな対策を実施いたしましたが、来年度はまたその補充的な改善をいたしたいと考えているわけでございます。現在
本年度実態調査に入りまして、
原爆被爆者については、かなり精細な調査を現在実施中でございます。それで、
原爆被爆者対策につきましては、このほかにも問題にされていることがございますけれども、そういう基本的なものにつきましては、
実態調査の結果を待って私たち検討しようということにいたしておるわけでございます。それで、来年度の要求といたしましては、アは
原爆障害者の
医療費、これは昨年度実施いたしました対象の
範囲拡大の平
年度化分と、あとは
単価アップでございます。イの
健康診断費といたしまして(イ)の
交通手当、これは現在
精密検査のためにだけ支給いたしておりますのを、
一般検査の場合にも広げたいという趣旨のものでございます。
次のページにまいりまして
医療手当、これにつきましては、
医療手当は、前年度と同様でございます。(イ)の
通院交通費、現在
入院患者について、その入院の場合の
交通費を支給しておりますのを、
通院患者についても支給したいということであります。それから、エの
原爆障害者死亡者葬祭料、これも新規でございますが、
障害者が死んだ場合に一万円の葬祭料を支給したいというわけでございまして、件数は少のうございますが、新規のものでございます。それから、オも新規でございますが、
施設整備費といたしまして、
原爆病院の
拡張整備、これは広島と長崎のベッドの拡張を若干いたしたいという趣旨のものでございます。それから、(イ)の
被爆者健康管理センター、これは簡単な
ドック式の検査を行なう
センターをつくりたいというわけでございまして、これはことしは広島につきまして今年度すでにでき上っております。来年度は長崎につきまして要求いたしておるわけでございます。
それから、カは、これも新規でございますが、
原爆被爆者の
文献資料等の作成、先ほど申し上げましたとおり、本年
実態調査をやっておりますが、それらの結果に基づきましていろいろな報告、また、いろいろな
資料等も整備されてくると思われますので、来年はさらにその
実態調査の結果を分析、解析し、
原爆被爆者に関するいろいろな文献の
資料等を整備したいというわけでございます。これは文部省のほうから、同時に原爆に関する資料館といったようなものを設ける予定で要求が出ているはずでございます。
それから、(2)は
結核対策、
結核対策につきましては、
結核予防法によります従来の大体対策を進めているわけでございまして、アは
結核予防費の補助、これは
単価増が大部分の経費でございます。それから、イの
結核医療費の補助、これは
予防法三十四条によります
適正医療の分と、三十五条の
命令入所の分と両方ございますが、これも若干の件数増のほかは
単価増が大きな増額の内容でざざいます。それから、ウは、
国際結核予防連合会東部地域委員会が
結核予防会主催で行なわれますので、これに対する若干の
補助金でございます。
その次は四ページに参りまして、(3)の
精神衛生対策、これにつきましては、昨年度
法律改正とともにいろいろな改善、改正を進めたわけでございますが、それをさらに促進してまいりたいという内容でございまして、特に新しい対策というものは、若干の
施設関係を除いては、大きなものはございません。アは従来の
措置入院、
強制入院に対する
補助金で、これも患者の増と単価の増が大きな増額の内容でございます。それから、イの
通院医療費、これが本年の十月から実施されます
通院外来患者に対する
公費負担制度でございますが、これの平
年度化と若干の
単価増でございます。それから、ウは
精神衛生センターのA級、B級合わせて十カ所の
運営費でございます。それから、エは施設の
整備費といたしましては、ベッドの増床を、
地方公共団体分については二千八百床、日赤、
済生会等、
公的医療機関について四百床、計三千二百床の増床を考えております。それから、
精神衛生センターについては
整備費を十カ所考えているわけでございます。五ページに参りまして、(ウ)の
精神衛生施設整備費、これは新規でございますが、あとに
リハビリテーションの項に出てまいりますが、
精神対策の今後の重要な一環としてこの
リハビリ施設を漸次整備していきたいということでもって、来年度はとりあえず百人
収容施設を二カ所分要求してございます。その他の問題としまして、
小児精神障害者の
特殊事務費、小児の
精神障害者については、特に
特殊訓練その他手数もかかりますので、この
小児病棟を持つ
精神病院につきまして、その
小児病棟についての
特殊訓練費、そういった
事務費を特に補助をいたしたいという趣旨のものでございます。次の
精神衛生施設運営費、これは上の
リハビリテーションの施設について
人件費その他の
事務費を若干助成したいという趣旨のものでございます。それから、(ウ)の
精神障害者の
職親委託、これも新規でございますが、軽症の
精神障害者について篤志家の事業主に頼みまして、
職業訓練による
社会復帰の促進をはかりたいという趣旨のものでございまして、これについて児童の職親と似たような制度でございますが、その
委託費を月千円お礼に差し上げたいという趣旨のものでございます。
それから、(4)の
性病対策、これも昨今性病がまた非常に蔓延の傾向が出てきた、しかも、
梅毒等の悪質の性病が蔓延の傾向にあるというところで、医学的にも、また、社会問題としても問題になりつつありますが、これについての対策をこの際一段強化して、早期のうちに根絶をはかりたいという趣旨のものでございまして、一つは
健康診断に重点を置きたいというところで、
強制健康診断、これは
性病予防法等による売淫のおそれある
職業婦人等に対する
健康診断でございますが、重点を(イ)の任意の
健康診断に置きまして、これを
一般婦人の方、特に妊婦につきましては、これを一般的な
健康診断と同時に、性病に関する
健康診断を行なって、その家庭への侵入を防ぎたいという意味でございまして、百十六万人を対象にして、これに対する
健康診断を実施するために二分の一の
国庫補助を要求しているわけでございます。それから、新規のものといたしまして、婚姻時の性病の
健康診断を特に強化奨励したいという考えを打ち出してございます。これは現在
性病予防法八条に、婚姻しようとする男女は、事前に
健康診断書を交換するようにつとめなければならないという
倫理規定がございますが、これをもっと強化しまして、
健康診断書を交換しなければならないといったような罰則のない義務制のようなものにいたして、この婚前の
健康診断を大いに強化、普及したいという趣旨でございます。それで、そのために行なう
健康診断については、全部公費をもって負担してやろう、これを国と県でもって二分の一ずつ負担するという趣旨のものでございます。それから、
委託治療費と
性病予防重点地区対策費、これは従来と同じ趣旨のものでございます。その他の対策としまして、
性病蔓延度の調査、これを各
皮膚科学会その他に協力を求めまして蔓延度の調査を徹底してやりたい。それから、(イ)は
性病診療所補助、(ウ)は
接触者の
調査費で、従来と同様のものであります。
次のページにまいりまして、(5)は
伝染病予防対策費、これはさほど新規のものでございませんが、アの
伝染病流行予測調査、イの
インフルエンザ特別対策は従来と同様のものであります。ウは日本脳炎につきまして、非常に発生度、また、
後遺症等から考えましても調査の問題の重要なものでございますので、これにつきましても、
インフルエンザと同じように、生後六カ月から十五歳までの乳幼児、小児に対しまして一〇%の
公費負担をもって
予防接種をいたしたいという趣旨のものでございます。それから、エは
単独伝染病院医師派遣旅費、
伝染病院の医師を
伝染病の研究のために外国に派遣する旅費であります。それから、オは特に
東南アジア地域の
伝染病発生状況を調査する経費、そういったものでございます。
それから、3は
栄養改善対策の推進でございますが、これは現在国府県等でいろいろな
栄養対策を考えておりますが、国立の
栄養研究所の
職務機能というものをさらに拡充強化しまして、栄養の問題を、ただ栄養という観点でなくて、広く
体力づくりの観点から、総合的に
体力研究、
運動生理、そういった問題を取り扱うようにいたしたいという意味で
栄養研究所の改組をいたしまして、名称も
栄養体力研究所と改めて、栄養の問題を含めて、
国民体力、あるいは
スポーツ医学、そういった問題を総合的に研究してまいりたいという趣旨のものが(1)でございます。
次の(2)は、
健康増進指導者の
講習会とか、その関係の費用、あとは大体従来と同じような内容のものでございます。
4は、
日米医学協力研究体制の確立、これは佐藤・
ジョンソン会談に基づいて
日米医学協力委員会というものが設置されまして、そうして
東南アジア等における共通の疾病について
共同研究をしようという趣旨で、すでに本年度から
ハワイ等において会議を行なって
共同研究を進めることになっております。来年は特にこれを一段と進めるために一億五千万要求してございますが、これはコレラ、結核、ライ、ビールス、寄生虫と五部門に分かれて、双方から委員が集まって
共同研究を進めていくという趣旨のものでございます。
以上で
公衆衛生関係を終わりまして、次は
環境衛生局関係でございますが、
環境衛生関係の来年度の大きな一つの対策としまして、(1)の
環境衛生金融公庫の設立の問題を提起してございますが、これは現在、
環境衛生業者、すなわち、
共同浴場とか
クリーニングとか理容とか、そういったいわゆる
環境衛生適正化法の規制を受ける業種が現在十七種類ございますが、これらはいずれも
中小企業といっても非常に零細な企業でございまして、その経営の内容も非常に非近代的、非合理的な経営のものが非常に多いわけでございます。そういうものを
合理化し、近代化することによって、結局料金の
適正化、あるいは
サービスの向上、
保健衛生の完備というようなこともでき上がると思われるわけでございます。現在のところ、
厚生省はこういう業者に対して、ただ料金の抑制、監督、そういったことしかやっておらないわけでございまして、これに対してもっと助成の道を講ずることによって、そういう内在する問題もおのずから改善されてくるであろうという趣旨から、
環境衛生業者に対して、特に
低利金融の道を開く趣旨でこの公庫の設立を考えておるわけでございます。
現在、
環境衛生、すなわち、ふろ屋とか
クリーニングとか、そういう
環境衛生業者に対しては、
中小企業金融公庫とか国民金融公庫とか、各種の既存の
金融機関からの融資の道はあるのではありますけれども、
融資順位も非常に低い、それから、利率も九分とかいうような高い利率で、なかなかこういう
サービス業者まではその恩典が行き渡らないという状態でございます。それで、この公庫におきましては、特に低利の安易な金融をいたしたいというわけでございまして、来年度は、とりあえず
政府出資金三十億、
借り入れ金百七十億、計二百億の
事業資金をもって要求してございます。これは、半年分でございます。それで、大体内容といたしましては、
貸し付け利率は平均七分程度のものを考えております。
償還期限は、まあものによって違いますが、二十年くらいのところを考えているわけでございます。そういう低利の金融をいたしますと、当然
利子補給、あるいは
事務費というようなものは、そういう
自己資金をもってはまかなえないということになりますので、そのための
交付金として
一般会計から、ここに書いてあります九千万円ほど要求しているわけでございます。
それから、(2)は
環境衛生指導の強化、これも公庫と相まって、
環境衛生関係営業の
健全化、
合理化をはかるために、専門家による
企業診断、
経営指導、そういったものを促進したいという趣旨のものでございまして、本年度六千万の予算がついてございますが、これをさらに倍以上に増加したいというわけでございます。
それから、2は
公害対策の推進でございますが、これも非常に大きな問題になっておりますが、これについてはすでにいろいろな対策を実施いたしているわけでございますが、それを一段と進めたいというわけでございまして、(1)は主として公害問題に関する基本的な
調査研究を促進するという趣旨で、前年の一億一千万を三億八千万に増額要求してございます。内容は、ここに書いてございますような、いろいろな各種の公害に関する
調査研究でございます。それから、(2)が
公害防止事業団の強化でございまして、これも本年この十月、本日から発足する
事業団でありますが、この
事業資金を、本年二十億を来年は百億に増額して、これの事業量を増加したい。それから、同時に、
金利等につきまして若干の運用上の改善をはかりたいという趣旨のものでございます。
次の3は、
環境衛生施設の整備、これは、
し尿処理とか、ごみとか下水道、そういった各種の
環境衛生施設の整備でございますか、これにつきましては、御承知のとおり、
生活環境施設整備五カ年計画に基づきまして、大体軌道に乗って進められております。それで、この施設の中でも、
し尿処理につきましては、大体昨年度と本年度をもって峠を越しまして、来年はほぼ一応行き渡るような状態でございますので、来年は特に新しい間順として、ごみに重点を置きたいというところで要求してございます。一〇ページにございますが、アは、
し尿処理施設、イのコミュニティ・プラントというのは、
簡易し尿消化槽と申しますか、団地、飛び地、そういったようなところにつきまして簡易な、
し尿消化槽をつくりたいという趣旨のものであります。それから、ウの、ごみに重点を置きまして、前年は一億足らずの九千万ほどの
補助金でしたが、それを十億要求してございます。それから、(2)の下水道とか、(3)の
簡易水道等につきましては、従来と同じようなものでございます。
次に、一一ページにまいりまして、
医務局関係の経費につきましては、一番は
救急医療体制の整備、最近
交通事故等の増加によりまして非常に問題になっておりますが、これについての対策として約四億二千万要求してございます。
国立病院その他の
救急医療機械器具等の整備、それから一番大きいのは(5)の
救急病院協力促進費補助、これは
救急病院に指定されている病院につきましては、日曜、祭日、そういった休日に必要な
医療要員、医師、
看護婦等に待機してもらう、これに対する協力の謝礼というような趣旨で、
待機医師、
看護婦等を雇いあげる費用の一部を補助したいという趣旨でございます。
それから、2の
看護婦職員の確保、これも例年と同じような内容でございますが、
修学貸与金とか、それから
養成所の整備、大体従来のペースでございます。一二ページに、従来、
運営費の補助というようなことでもって出しておりましたが、なかなかむずかしうございますので、特にそれをしぼりまして、
養成所の
専任教員の
人件費、そういったものに重点を置いて、
養成強化費補助金として要求してございます。
それから、3は
インターン制度の改善、これは制度の改正につきましていろいろ検討されているわけでございますが、来年度は従来ペースでもって、来年の卒業生につきましては、少なくも従来ぺースでもって実施いたす前提で
予算要求をしてございます。次の4は、新医療技術の開発、これはいろいろ電子工学その他の新医療技術に対する
研究費の補助であります。次の5は、医療金融公庫の拡充、これは資金需要が非常に多うございますので、来年度はそこに書いておりますとおりの内訳で、総額二百七十億円を要求してございます。
次に、一三ページにまいりまして、薬務局関係は特に目新しいものもございません。1は医薬品の安全性の確保、2の血液対策、この血液対策につきましては、昨年度予備費でもって全国に献血車を整備いたしましたので、来年はいろいろな
研究費とかPR等の費用でございます。行政指導の経費でございます。3は新ワクチンの開発、一四ページにまいりまして、麻薬対策の強化も大体従来のとおりでございます。
一五ページにまいりまして、国立公園局関係、これも金額は前年度の倍以上に大幅に要求してございますが、内容は、国立公園の整備、それから、国民公園の整備、そういった従来と同じようなものでございます。
一六ページは社会局関係でございますが、ここでは、1の福祉事務所運営推進歌、これは福祉事務所の事務をさらに強化充実させるための研修とかその他の経費でございます。それから、2は民間社会福祉事業の振興として全社協に対する
補助金その他でございます。3の低所得階層対策の強化としては、内容は、従来の世帯更生貸し付け資金とか、そういった内容でございます。4の
生活保護につきましては、冒頭申し上げましたとおり、内容はまだ未定のままに前年度の三割増しの額でもって要求してございます。5の身体障害対策、これも身障法に基づくもので、特に目新しいものもございませんが、一七ページに、スポーツ振興と相まって、身体
障害者の技術競技会のようなものを施行したい。このような新規のものが芽を出しておるのであります。6の老人福祉対策の充実としましては、これは
健康診断の拡充、それから老人クラブの増設、家庭奉仕員、ホームヘルパーの増員、そういった、これもまた従来と同じような内容の強化でございます。次の7の同和対策の推進、これも金額は前年の約倍近くになっておりますが、内容は従来と大体似たようなものでございます。それから、8の社会福祉施設の整備につきましては、これは社会福祉事業関係の経費を合わせまして、前年度二十八億を三十三億に要求してございます。それから、坪当たり単価も実態に合わすように、前年度の実施単価の一割増しということでもって、そこに書いてありますような単価で要求してございます。あと別に老朽施設の整備のために、社会福祉事業振興会貸し付け原資として財投の二十億円を要求してございます。
次は、一九ページにまいりまして、児童家庭局関係でございますが、来年のこれは最重点施策の一つといたしまして、重症心身障害児並びに者の対策強化を掲げてございます。この内容は幾つかございますが、大体収容者に対する保護の徹底と、在宅患者の指導強化と、それから扶養手当の
範囲拡大、それから国立の重症施設の新設といったような四つの柱になっております。すなわち、収容保護としましては、(1)の重症心身障害児療育の改善でございますが、療育費の増額、それから、イは特別療育手当として、ここに勤務する看護婦とか保母、医者等に対して、国立の、らい療養所と同じような特別手当を支給したいというようなものでございます。(2)は在宅患者に対する巡回指導の旅費、それから雑誌の発行等でございます。それから、(3)がその扶養手当の支給でございまして、これは御承知のとおり、現在重度の精薄児についてだけ扶養手当が出ておりますが、これをそれ以外の心身
障害者、心身障害児、あるいは重度結核その他併症、そういった障害児に対しても範囲を拡大したいという趣旨のものでございます。それから(4)、(5)が国立のそういう施設をあらためてつくりたいということでございまして、これはそういう障害児に対する施設が非常にいま民間の施設が三カ所あるだけで、需要に応じきれないということで、国立の結核療養所等につきましては、施設、ベッド、あるいは土地もあいておりますし、また、そこのお医者さんその他のスタッフの協力を求められますので、国立でもってこういうものをつくることが手っとり早いじゃないかということで、来年度はとりあえず子供につきましては五カ所、これは中央に一カ所、それから地方に四カ所、大体ブロックごとに考えておりますが、その分につきましては八百八十床、それから、おとなのものにつきましては二カ所で、二百床、これは
整備費が十一億、これの
運営費は、これは国立療養所として経営することになっておりますので、その
運営費を三カ月分、約一億八千万組んでございます。それから、2の母子保健対策の強化としましては、これは昨年ミルク対策、あるいは母子保健法の制定と、いろいろ対策が講ぜられましたが、その趣旨に沿いまして
予算要求をいたしております。二〇ページにまいりまして、最初は低所得妊産婦等に対する、ミルク支給の支給対象を拡大したい。現在AB階層つまり
生活保護とか市町村民税非課税世帯だけが対象になっておりましたが、これを均等割まで広げて、均等割で妊娠中毒等の症状の著しいといったものに対象者を広げたい。それから、また、単価を、十五円を十八円に上げたいというものでございます。それから、(2)は母子保健法の制定に伴いまして、一度市町村におろす予定にしておりました各種の母子保健対策を再び県の段階で、県あるいは
保健所で行なうことになりましたために、ここに必要な
補助金を従来の線に沿って要求してございます。ただし、この金額につきましては、従来の予算が非常に単価も少ない、対象も少ないものでございましたので、これを大幅に増額してございます。すなわち、一昨年この関係の
補助金は約一億七千万だったのを三億二千万にまで増額してございます。内容は、県が開業医等に委託して行なう趣旨のものと、それから、
保健所で行なう分とに分かれておりますが、初めの四つが県で行なう分でございます。それから、まん中から下が
保健所の
運営費の中に百分の三十四という補助率でもって一括計上されるものを再掲してございますが、個々の内容については説明を省略させていただきます。次のページの3の児童健全育成対策の強化につきましては、児童館とか家庭児童相談室等の整備でございまして、この内容は大体従来と同じようなものでございます。4番の、「こどもの国」につきましては、来年は特殊法人をもって独立的な管理運営を行ないたい予定でございますが、それについては、国費をもって大体必要な整備を一挙に完成してしまいたいという意向で、一億九千万の
整備費を要求してございます。
次は、二二ページにまいりまして、保険局関係では、国民健康保険に関連しまして、一つは、家族七割給付の実施を四カ年計画の第三年次として実施いたします。それから(2)は、かねての要望でございます国保に対する四割国庫負担を要求いたしたいと考えております。これは、すなわち、家族七割給付を実施する市町村につきまして、従来の原則的な二割五分の
国庫補助のほかに、特別
補助金としての一割五分、合わせまして四割の療養給付費
補助金として要求したいというわけでございます。そのかわり、財政調整
交付金につきましては、従来療養給付費の一〇%でございましたか、これはその中には世帯主の七割給付に関する財源が半分ぐらい入っておりました関係上、四割の
国庫補助を要求するに伴いまして、財源的な調整から、これを百分の五に落としたわけでございます。全体の金額としては従来とほとんど変わっておりません。それから、(3)の
事務費につきましては、昨年度ある程度増額が見られましたが、また実態に合わない現状でございますので、昨年度の延長線として、市町村について二百八十八億円という、前年度と同じぺースでもって要求をしてございます。それから、保険財政
健全化につきましては、冒頭申し上げましたとおり、まだ結論を得ておりませんので、内容については保留のままでございます。次の第9の年金関係につきましては、国民年金の大幅改正を考えておりますが、これも内容は未定でございます。
10は、援護局関係では、例年の例によりまして、遺族援護法につきましていろいろな改正を要求してございます。そこに(1)番から(7)番まで、昨年度要求したものも含めまして改善を考えているわけでございます。あとは大体事務的な経費でございますので、省略さしていただきます。二四ページは、その他として幾つか大きな項目をまとめてございますが、一つは僻地対策の強化でございまして、これについては、内容はまあ大体従来と同じようなものでございますが、診療所の整備のほか、特に患者輸送車とか巡回診療車とか、そういったものに重点を置いて、かなり大幅な要求をしてございます。総額で、前年一億九千力を五億要求しているわけでございます。内容は、大体従来のものを踏襲しておりますので、省略さしていただきまして、二六ページのガン対策、これも世論の要請にこたえまして、来年度は大幅にガン対策を推進したいというところで、
厚生省で三十億要求してございます。内容は、予防対策として、
健康診断に重点を置いて考えております。すなわち、中心は2の予防対策の
健康診断費でございますが、これは全国百五十カ所の診断能力を持つ病院に依頼しまして、胃ガン、子宮ガンに対する
健康診断を徹底してやりたい。それから、月二回相当の精密な
健康診断をしたいというものであります。いま一つ、いま相当多くの県で検診車等によるガンの
健康診断を実施しておるところがございます。そういうものについて若干の補助を出したいという内容でございます。あとは、次の対策は地方ガン
センター等の整備、これはガンに関する治療医療機関を全国的に体系的に整備したいというところで、中央のガン
センターを初めとして、各ブロックごとに九カ所中心的なガン医療施設を整備したい。それから、さらに(2)は、都道府県ごとに少なくとも三カ所以上のガン診療施設を整備して、そこにベッドを整備するとともに、コバルトとかベータトロンとか、必要な診療施設を整備していきたいというものでございます。あとは診療技術者等の医師、技術者等の養成費でございます。
それから、ガン
センター等の
整備費、それから最後に、ガン研究の助成費として昨年一億二千万つきましたが、これを五億要求しております。なお、これにつきましては、文部省から前年二億入っておりますのを四億要求してございます。
次の二七ページは、
リハビリテーションについてでございますが、これは中央、地方に
リハビリテーションセンターを整備していきたいということと、OT、PTの職員の養成、それから、(3)は脊損、結核、精神病関係についての特殊な
リハビリテーションを随時促進してまいりたいというものでございます。
それから、二八ページは社会福祉施設運営改善費、例年社会施設の運営改善につきましていろいろやっておりますが、来年度は特に職員の増員、保育所の地域差是正、それから昇給原資の確保、勤続五年以上の職員について三%の昇給原資の確保、それから六番目に民間施設運営調整費として三億六千万要求しておりますのは、例年減価償却的なものを要求しておりましたが、これを形をかえて、
事務費の三%のまあ運営調整費という
かっこうでもって要求しているわけでございます。
それから最後に、児童手当制度につきましては、まだ実施時期につきましては慎重な検討を要しますので、この準備を促進するために
審議会をつくるとか、その他の基礎調査等の経費でございます。
最後のページの行政機構の改革としましては、本省には公害部のようなもの、それから(5)番に、先ほど申しました
栄養体力研究所の組織を拡大したい。それから、海外駐在官三人、社会保障開発関係の駐在官をヨーロッパ、アメリカ、東南アジアに置きたいというようなものであります。
以上時間がありませんので、簡単に申し上げましたが、御了承いただきます。