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1965-09-30 第49回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年九月三十日(木曜日)    午前十時二十四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  九月八日     辞任         補欠選任      紅露 みつ君     西郷吉之助君  九月二十八日     辞任         補欠選任      西郷吉之助君     紅露 みつ君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 鹿島 俊雄君                 川野 三暁君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 徳永 正利君                 丸茂 重貞君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 山崎  昇君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        労働大臣     小平 久雄君        自治大臣     永山 忠則君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        厚生省国立公園        局長       大崎  康君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部業        務課長      馬渡 一真君        労働大臣官房会        計課長      上原誠之輔君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業安訓        練長       松永 正男君        日本国有鉄道管        財部長      河島 誠一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告労働問題に関する調査  (公務員給与に関する調査)  (手回り品運搬営業人雇用及び労働条件に関  する件)  (身体障害者雇用促進に関する件)  (昭和四十一年度労働省関係予算概算要求に関  する件)     ―――――――――――――
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました厚生及び労働行政実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。  まず、第一班近畿班大阪府及び和歌山県の御報告を願います。
  3. 土屋義彦

    土屋義彦君 派遣報告をさしていただきます。  第一班は、小柳委員長横山委員大橋委員、それに私、土屋委員の四名による編成で、九月七日から十日まで四日間の日程で、大阪和歌山視察をいたしましたところ、最終日に台風二十三号にあい、予定を一日延長いたしまして、帰着が十二日となりました。大阪では府庁関係幹部懇談をした後、阿倍野公共職業安定所に立ち寄り、その後、堺市におもむいて、身体障者のリハビリテーションセンター視察いたしました。和歌山では県庁幹部との懇談時間がほとんどとれませんでしたので、吉野熊野国立公園瀞八丁及び七色ダム視察を主とし、あわせて那智勝浦町の国民健康保険状況町立温泉病院とを視察をいたしました。  以下、関係者からの要望を含めまして、項目ごとに御報告いたします。  まず第一番に、職業安定行政について申し上げます。  不況産業影響公共職業安定所機能がどう改善されているかということを主眼に置いて大阪視察をいたしました。本年四月から七月にわたる四カ月間にかけて、府下企業整備繊維工業金属製品製造業機械製造業鉄鋼業、窯業、土石製品製造業中心といたしまして、百六十九件にのぼり、整備による離職者は六千六百名を数えました。そのうち、職業安定所及び職業訓練所を利用した者は二六%の千七百名であります。このように、職業安定行政に乗ってくるものが少ないのは、労働組合が自主的な努力を行なって解決をはかっているからであろうという推測を関係当局はいたしております。しかし、一般の傾向といたしまして、不況が進行してくれば、職業安定所利用者もふえる見通しであり、その離職者の中には中高年齢者が多く含まれることが考えられます。七月末現在、府下職業安定所への求職申し込みをしておる中高年齢者はなお二万四千六百人を残しております。これらの人々の上に新たな求職申し込み者が加わることになれば、出先においては中高年齢層就職あっせんに一そうの力を注ぐ必要が生じてまいります。中直年齢者就職促進措置認定要件となっておる所得基準独身者十二万九千円、妻帯者二十四万六千円を引き上げて特別措置の範囲を広げることが望ましいとの見解を述べております。  次に、職業安定所機能改善状況について視察をいたしました。阿倍野公共職業安定所は総工費四億円をかけて改築中であり、完成すれば東京の飯田橋安定所をしのぐものになる予定であります。管内の法適用事業所は三千八百ありますが、そのうち、九〇%が三百人以下の小規模事業所であること、また、管轄地区大阪のベッドタウンであるということから、全国でも一、二の失業保険金受給事務を扱っておる点に特色があります。失業保険金受給資格を認定する前に、一人々々について職業紹介を行なっておる職員の御苦労をつぶさに視察をいたしました。そうして職業安定所第一線職員欠員不備充という原則があるが、これに特例を設けて要員確保をはかってもらいたいとの要望があり、職業安定所職員勤務状況から見て共感させられるものがありました。また、失業保険金として月に一億二千万円もの現金の扱いが行政事務を本務とする所長の責任下に置かれておることについては、何らか改善の方法がありましてしかるべきではないかと感ぜられました。  次に、身体障害者リハビリテーションセンターについて申し上げます。  大阪における身心の障害者は、精神薄弱者十万人、身体障害者五万人とされております。府はこれらの障害者に対する施策の方針を、同情と庇護によらず、もっぱら訓練社会復帰に基調を置いて対策を進めております。そうして能力判定のための機関、能力回復に必要な施設整備雇用促進のための協力体制等について、民生、衛生、労働関係各部が緊密な共同体制をつくっております。私たちは、そのうちの一部として堺市の身体障害者更生センター視察をいたしました。相談所指導所授産所とが一カ所にまとめられ、それに全国に例を見ない整形外科病院が併設をされております。さらに同地区に隣接して、国立身体障害者職業訓練所が設置されておりますが、ベッドから社会までを貫いたリハビリテーションセンターとなっております。注目すべきものは、更生指導所付属病院との連携であります。病院における治療あと療法としての機能指導所が持っており、また、指導所在所中にも手術の必要を認めたときは中途で病院へ移しても再手術を行なうことにしておりますので、医療適正度を判定する役割をも指導所が果たしているわけであります。この両者の緊密な連携障害者社会復帰という目的を軸といたしまして生かされているのであります。更生相談所利用者は年に千九百名、うち、二〇%が児童であります。脳性麻痺視聴覚障害身体欠損がその大部分であります。また、指導所の寮には平均五十三名が在寮しておりますが、そのうち、六〇%が脳性麻痺による不自由者であります。脳性麻痺のおもな原因が出産時の事故にある点を思い、母子保健緊要性が一そう痛感をさせられました。一方、病院利用者は、月平均、外来千百三十四名、入院千五百十七名となっております。指導所への入所者は十八歳以上の者だけを対象としておりますが、病院は、年齢を問わず、治療相談に当たり、幼児から成人までを一貫したリハビリテーション指導の窓口としての役割を果たしております。しかし、施設もすでに手一ぱいになっているので、七億円をもって三カ年がかりの施設拡張計画が立てられております。その敷地として、現在遊休地となっている隣接の国有地四百九十坪の使用を強く望んでおりました。整形外科処置訓練とを適応させているリハビリテーション専門病院といたしまして、その拡充をぜひ実現をさせてやりたいと考えます。更生指導所は、八十名収容の寮を持ち、肢体不自由者のうち、機能回復見込みがある者を入所をさせて運動訓練を行なっております。今日までに五百三十八名を入所させ、四百八十五名の訓練修了者を出しております。そのうち、三〇%が直ちに就職または自営の道に進み、二六%が職業訓練所に移り、二〇%が家庭あるいは学業に戻り、一三%が同地区授産所入所をいたしております。更生授産所では、就職困難な障害者生活の苦しい障害者について職業面での自立更生をはかり、三十三年からの八年間に百二名を就職自営、自宅、内職につかせることに成功しております。自立更生に要した期間は、早い者は二、三カ月、おそい者は二、三年でありました。現在四十名が在所しております。帝国ダイカスト工業宮川製作所中辻産業絹川ネジ和田商店轟商店木村縫工所里見印刷所等民間協力業者九社が一年ごとの契約をもって品物を切らすことなく流してくれ、加工賃として月平均十六万円が支払われております。これによりますと一人当たり平均月四千円が作業実績に応じて各自に支払われ、その自活を助けております。なお、現在の指導所授産所は、機能回復見込みのある者のみを対象として運営されておりますが、近く社会復帰見込みのない重症障害者のためにも同地区授産施設を設置する計画が進められており、府の障害者施策に対する情熱を感じた次第であります。このように身体障害者対策の充実に力を注いでおられることには敬意を表したのでありますが、府庁障害者をどのくらい採用しているかということを尋ねましたところ、職員採用公開試験によるほかは、別に特別の配慮をしていないこと、また、官庁採用基準一・五との関連についても具体的な確答が得られなかったことには、肝心のくぎが一本抜けている感がいたしました。  次に、国立公園について申し上げます。  吉野熊野国立公園指定昭和十一年でありましたから、二十三の国立公園中、第九番目に長い国立公園歴史を持つものであります。大台ケ原を中心とする山岳景観が、吉野山を取り巻く宗教文化史跡に裏づけられた部分と、南紀に展開する隆起海岸及び沈床海岸景観部分と、吉野山一帯に広がる森林景観及び北山川がつくる渓谷景観部分とで構成されております。私たちは、時間の関係瀞八丁と呼ばれている渓谷景観海岸景観の一部とを視察するにとどめました。  瀞八丁は、電源開発会社計画をいたしました発電事業関連いたしまして、景観保護との調整の必要が生じ、昭和三十五年から四年間にわたって論議が続けられた問題の地点であります。調整三つ条件電源会社が受け入れることによりまして解決をみました。すなわち、発電所の位置を瀞八丁をはずれた上流小森地点に、また、七色地点におけるものは上流約五百メートルのところに変更すること、及び瀞八丁観光を妨げないように年間四千二百万トンの放流を行なうこと、さらにダム建設で削り坂られた地点は事後に緑化をすることの三つでありました。これらの条件を満たすために電源開発が支出した増加費用は、ダム建設に十億円、今後の緑化計画に八千万円とされております。これは総工事費百六十億円の七%に相当いたします。このような調整が可能であったのは、当事者が電源開発会社のような特殊法人であって、資本力が強大であったからでありましょう。しかし、一般的には、国立公園内の自然景観の完全な保持のためには、国が当該地域内の所有権を買い上げるか、あるいはまた公用制限に伴う補償を十分に用意しない限り、地域開発産業開発との調整について常に困難な問題を提起するわけであります。特に古野・熊野国立公園地区のように、ほとんどが民有地で埋められているところでは、地域開発の要請が進むにつれて、この調整問題がますます大く生じてくるものと思われます。私たちがまいりました際にも、三重県紀和町が事業主体となって行なっている瀞八丁東側に通じる七・四キロの林道開設に関しまして、展観保持を主張する和歌山県新宮市側からの陳情がありました。林道工事のために景観がそこなわれた情景については、回覧をいたしておりまする写真によって御承知願います。陳情は、道路を迂回させるか隧道にするかして、瀞八丁景観を損傷しないよう計画を変更させてもらいたいということでありました。  なお、ほかに、海岸線に沿った国立公園地区において、串本町、那智勝浦町などで観光開発と新しい町づくりのために、埋め立てによる土地造成計画が立てられておりますが、それらがまた国立公園との調整について物議をかもしておりました。  これらの問題を考えるとき、国立公園地区自然景観保護地域開発との関連に関する行政について、あらためて研究が必要であるということを考えさせられたのであります。  次に、国立公園設定目的の一つには、保持された自然環境国民大衆の健全なレクリエーション利用に供することがあります。その見地から私たち瀞八丁を見まして、いささか意外の感を抱きました。わずかに民間熊野交通会社が設営したテントが置かれているほか、渓流へ流れ込む便所らしきものが囲いを設けてあるだけでありました。国も県も、国民大衆のための利用施設には何も手をつけないで、指定以来三十年近くも放置している態度に疑問を抱いた次第であります。  次に、最後国民健康保険につきましては、大阪においても和歌山においても、事務費の実額を国庫負担するよう措置されたいこと、療養給付費国庫負担を定率四割となるよう措置されたいこと、さらに進んで標準保険税率設定を考慮されたいことについて要望がございましたほか、特に御報告に値するほどの特別の事項は見出されませんでした。  以上をもって第一班の視察報告といたします。
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に第二班、東北班山形県及び秋田県の御報告を願います。
  5. 森勝治

    森勝治君 第二班の報告をいたします。  当委員会の決定に基づきまして、黒木さん、私の二名が参加をいたし、九月二十日から二十三日まで山形秋田の両県下視察してまいりました。調査項目は、主といたしまして、国民健康保険実施状況に関する事項農村における出かせぎ労働者問題に関する事項中心といたしまして、厚生及び労働行政に関する当面の問題もあわせて調査をしたところであります。  以下、調査項目に従いまして、その結果の概要を申し上げてみたいと存じます。  まず、国民健康保険事項について申し上げますが、御承知のとおり、国民保険が達成されましたのは昭和三十六年四月一日で、山形県はこれに先がけまして、岩手、滋賀両県に次いで全国第三位、秋田県は昭和三十三年十月で全国第六位で全県皆保険の達成がなされて、両県とも熱意のほどがうかがわれるのであります。山形秋田県下の三十九年度国民健康保険財政状況は、山形県においては、昭和三十八年度に比較いたしますと、赤字保険者が九保険者増加をし、県内保険者数の三分の一以上の十七保険者となり、その赤字繰り越し額昭和三十八年度二千三百万円でありましたものが、昭和三十九年度では四千五百万円と増加をしているのであります。秋田県の場合におきましては、昭和三十八年度決算では十一保険者赤字となり、決算額では一億三千万の黒字でありましたが、昭和三十九年度決算におきましては、赤字保険者が二十四に増加をし、黒字額も一千五万円に減少しているのであります。両県における赤字保険者増加となっておる原因は、老齢者や低所得階層等を多くかかえる結果と、急激な医療費増高受診率増昇世帯主及び世帯員七割給付等実施によるところの保険者負担額が多くなったことに対しまして、国庫支出金交付基準額低額交付医療給付費増加に見合う国保税徴収不足等があげられると思われるのであります。昭和四十年におきまする保険財政見通しを見ますと、山形県の決算見込みといたしましては、黒字額は九百万円となっておるのでありまするが、このうち、黒字保険者は二十九で、その額は七千八百万円であり、赤字保険者は十七で、その額は六千九百万円となっております。しかし、国は、国保財政赤字を解消するための緊急措置として、本年度に臨時財政調整補助金交付しております。この財政措置によりまして黒字保険者は三十三で、その額は一億三百万円となりまして、赤字保険者は十三で、赤字の額は五千四百万円に減少することに相なっております。  秋田県におきましては、昭和四十年度に交付をされました臨時財政調整補助金及び昭和三十九年度給付費負担金の未精算分交付によりまして、今後医療費の異常な変化のない限り、昭和四十年度は全保険者黒字となる見込みであるということであります。  両県におきまする国保現状問題点について若干申し上げてみたいと思います。国の四カ年計画により世帯員七割給付改善について実施状況を見ますと、山形県は昭和十三年当時の最上郡角川村、現在の戸沢村が国民健康保険組合として最初に認可を受け、実施を見た歴史を持つところでありますが、世帯員の七割給付改善につきましても、熱意を持って積極的に推進しているところであります。すなわち、昭和三十八年十月から世帯主の七割給付が全市町村実施されておりまして、世帯員七割給付については昭和三十九年度の初年度におきまして二十七市町村実施をし、残り十九の市町村昭和四十一年一月から実施すべく準備を進めており、全国に先がけまして第一位で家族の七割給付を完成する予定であります。  秋田県におきましては、世帯員七割給付実施につきましては、昭和三十九年度で二十三保険者の十九万九千二百二十三人、さらに四十年度中に実施をいたしまする保険者数は二十一で、この被保険者数は十三万九千二百八十人、合計被保険者数では、三十三万五千五百三人がその対象となり、家族の約五〇%が七割給付対象となるのであります。未実施保険者におきましても昭和四十一年度を目途に努力しつつあるのであります。  次に、国保税について申し上げてみたいと思います。国保税調定額世帯当たりにつきましては、全国平均七千九百十円であるのに対しまして、山形県におきましては一万三十四円、秋田県におきましては九千八百四十一円と非常に高く、これ以上税率を引き上げますことは、低所得者階層が多い現状におきましては、もう限界に達しておるのではないかと思うのであります。したがいまして、両県におけるこれ以上の負担というものは国の財政負担によらなければならない現状にきておるというふうに思われる次第であります。  次に、僻地状況について申し上げますが、山形県では人口三百以上二千未満、半径四キロメートルの周囲という基準による無医地域推計では約二百カ所あるといわれておりますが、なおかつ診療所を設置しても、勤務する医師の招聘が著しく困難でありまするので、多額の費用を要する現状にかんがみまして、現在診療所がありましても無医地区状態にある地区が三カ所あります。さらに今後三カ所が増加する見込みであるということであります。  秋田県では僻地三百三カ所あるわけでありますが、無医地域基準に該当するものは六カ所でありまして、現在医師確保の困難から、直覚診療所の十九施設出張診療をやむなくせられている状況であります。両県の現状から見まして、せっかく国民保険下に七割給付が実現されましても、国保税が低所得者に対して負担加重であり、医療地域格差がありますることは国保実施上からはななだ問題でありまして、僻地に対する医療対策確保が必要であると思われる次第であります。  両県を通じまして共通の問題点及び要望について申し上げてみますと、第一点は、世帯主世帯員の七割給付実施に伴う給付改善補助金現行定額補助がなされておりまするが、低い額でありまするために、国保財政悪化要因となっておりまするので、療養給付費現行補助金負担金といたしまして、四割に引き上げられたいという要望であります。  第二点は、昭和三十九年度における国の事務費負担金交付率は、山形県が約五〇%、秋田県が五二%と非常に低く、国保財政に大きく影響を与えておりまするので、実質全額交付されるよう基準単価を引き上げられたいという要望であります。  第三点は、現行国民健康保険税は、保険者間において医療費格差住民所得格差、または他会計からの繰り入れ金等により住民負担に差がありまするので、これを全国的に標準化するための措置として標準税率設定をされたいという要望であります。  最後に、国保直営診療所に勤務する医師確保の方策を講じられたい等であります。  次に、農村における出かせぎ労働者の問題に関する事項について申し上げてみたいと思います。  まず、山形県における出かせぎの推移を昭和四十年二月の農業基本調査の結果からこれまでの経過を見てまいりますと、昭和三十二年から三十五年にかけましては二万一千人前後で、横ばい状態を示していたのでありまするが、昭和三十七年には二万人をこえ、三十九年には三万一千人で、推計では四万四千人ないし四万五千人と非常に多くなっております。つまり農家十戸につき二・五戸の割合で出かせぎ者がいることに相なりまして、昭和三十二年の対比では三倍近くなっている現状であります。経営耕地規模別変化におきましては、上層農家になるにつれまして増加率は高く、中でも一二・五ないし三ヘクタール、三ないし五ヘクタール層では、昭和三十二年と比較いたしますと、十ないし二十倍という驚くべき増加を示しております。人口の面におきましても、多量の労働力県外流出によりまして、この十年間の人口減少は、昭和三十五年の二十九万人から昭和三十九年の二十万七千人と、八万数千人の減少となっているのであります。秋田県におきましての動向につきましては、古くから北海道中心とする漁業出かせぎ者が三十五年以前には二万二千人前後であったのでありまするが、昭和三十六年以降には急激に増加をいたしまして、昭和三十九年十二月現在の調査によりますると、三万九千九百九十二人というふうに非常にふえまして、昭和三十五年の約三・二倍に増加をしておる現状であります。地域的には、従来から専業的出かせぎ者が多かった海岸部に加えまして、県北平たん部水稲単作地帯から農閑期利用の兼業型出かせぎが急増いたしまして、一部の特定の地域から県下全般にわたって、関東地方北海道への単純労働者としての出かせぎ者が出ているのが実情であります。  以上のごとく、山形秋田の両県における出かせぎ労働者の増大の要因は多面的なものが考えられまするが、基本的には、農家社会的な生活水準が不断に上昇しておりまする中で、農業所得による家計費充足が困難になっているためであります。同時に、他の産業に比べまして、所得及び生活水準格差拡大傾向にあることと、経済の高度成長のもとで労働力需要が急増し、常用雇用者充足することが困難になり、未充足分を出かせぎ者で補充する傾向が強くなったためと考えられるのであります。このような基本的、要因に、出かせぎを促進いたしましたのは動力耕うん機を中心とする機械化及び土地改良の進展等、労働手段の高度化、除草剤の普及及び稲作栽培方法、すなわち、経営改善に伴う余剰労働力等であります。  両県においての出かせぎの問題点影響について申し上げたいと思うのでありますが、まず、労働上の問題といたしましては、出かせぎ者のうちには賃金その他の労働条件にかかる就労前の約束との相違、賃金の不払いまたは遅延を訴える者が見受けられますほか、訴え出ないで職場を変える者も少なくないのであります。このようなことは、求人求職の経路で職業安定所の窓口を経由しないで就労した者の場合に多く発生している姿が見受けられます。出かせぎ労働者の賃金不払いの状況を見ますと、秋田県におきましては、昭和四十年度の調査によりますと、昭和三十七年までの出かせぎにかかわる賃金不払い事件は、それまでの合計をもって見ましても、わずかに件数にして九件、労働者数にして四十五人、不払い金額の累計で三十八万程度でありましたが、昭和三十八年には、一年間で五十八件、百八十五人、金額二百九十五万円とふえまして、さらに昭和三十九年におきましては、同じく一年間で百三十二件、四百二十人、金額が六百七十万円と著しく増加をいたしまして、昭和四十年、すなわち、今年に入りましては、六月末現在ですでに百二件、三百十七人、金額合計六百九十万円と、前年の一年間とほぼ同様の状態を示しているのであります。山形県におきましても、昭和四十年七月末現在の未解決だけでも九十二件で、三百九十九人、金額にして六百十三万円となっておるのであります。  業種別に見ますと、山形県で、同じく昭和四十年七月末現在、不払い件数にして八十七件、全体の九五・一一%、三百七十九人、金額にいたしまして五百九十万円が建設業で占めております。秋田県におきましても、未解決事件の状況では、五十八件で、全体の九三%、金額では五百二十五万八千円で、全体の九三・一%でありまするが、これがすべて建設業で占めておるわけであります。両県とも、いずれも建設業であるという点が注目されるところであります。  農業上の問題といたしましては、中堅労働者の出かせぎは、農業労働力の女性化、老齢化という質的低下を生ぜしめ、さらに出かせぎの長期化は、適期作業を困難にするばかりでなくして、土地基盤整備、営農設計等に関する準備がおろそかにされること等により、農業生産が非常に低下するおそれがあります。また、出かせぎは農業に対する意欲を減退させ、このため、農業構造改善事業の実施を困難にして、農業生産の拡大を阻害することにもなるのであります。社会的問題といたしまして見のがせないものがあり、留守家族は出かせぎ者の労働及び生活の内容に非常に不安を持ち、精神的に不安定になり、親子関係の悪化、嫁しゅうとめの間の不和等、また、農村青少年の非行化が見られるところであります。  出かせぎ者の行方不明は、山形県におきましては、昭和三十九年十一月末で四十六名、秋田県では三百八十八名が音信不通で、これらによって送金の途絶、疾病、労働災害による生活の困窮化があらわれているところであります。さらに、基幹労働力の大部分が出かせぎをいたしておりまする地域におきましては、消防活動に著しい支障を来たすおそれがあります。山形県におきましては、昭和三十八年十月の調査によりますと、消防団員四万四十一人中、出かせぎは八千八百五十人、約二二%を占め、そのため、婦人消防隊を結成し、また、老人を予備に編入するなど、対策に苦慮している地域が多いところであります。秋田県におきましても、婦人消防隊、あるいは火災予防組合などの隣保互助組織の活動を強化しております。  教育上の問題といたしましては、農作業に従事し、家事を行なう主婦はきわめて過重な労働力をしいられまして、子供の教育にまで手が回りかねる実情であります。したがいまして、家庭教育上の欠陥を非常にいろいろ問題に生じているところであります。  以上の出かせぎ労働者状況にかんがみまして、両県では、その対策といたしまして、山形におきましては、従来農閑期である冬場のわら工品等の副業がなくなりました今日におきましては、余剰労働力をいかに活用するかということで、過去にいわれておりまする貧困な生活による深刻さもさることながら、生活水準を高めるために出かせぎに行く現象も間々見られるところであります。したがって、農村における農閑期の特別対策事業のようなものを制度化され、県外出かせぎに行かなくとも地元で消化するような方策を要望されておりました。  なお、山形県におきましては、出かせぎ対策実施要領によりまして、本年四月一日より具体的な対策実施しているところであります。秋田県におきましては、最近における出かせぎ者の急増、特に昭和四十年度の出かせぎ者は農家世帯十二万の三分の一に当たる四万人でありますることは、農業経営上から見ても非常に問題がありまして、昨年からすでに出かせぎ総合対策を立てて実施をしておる状況であります。特に山腹等の未利用地の開発によりまして、夏山冬里の飼養方式による畜産の振興をはかる方策がとられつつあります。すなわち、未利用地の開発にあたりましては、アルペン農業といわれるスイス式の山腹酪農を計画いたしておりまして、牧畜は夏には山にあげ、冬には里におろすところから、夏山冬里という新しい方式をとり入れることによりまして、冬中は家畜を飼育するということが軌道に乗るならば、出かせぎに対する恒久対策として実施したいと知事みずからがその陣頭にたちまして力を注いでおるところであります。出かせぎは東北、北陸及び九州等の農業県のみ顕著な現象でありまして、出かせぎのもたらす問題は広範多岐にわたり、これらの問題解決はなかなかむずかしいものがあり、今回調査にまいりました山形秋田両県だけの実情を見ましても、出かせぎ者の実態、認識はそれぞれ異なっておるところであります。国において実態を十分把握するためにも、総合的に調査研究する必要があると考えられます。このためには、政府部内に出かせぎ対策審議会等を設置するのみならず、また、国会におきましても、出かせぎ対策特別委員会を設置して、早急に総合的対策を樹立し、その解決をはからねばならぬと痛感するところであります。  最後に、厚生及び労働行政に関する当面の問題及び要望要項について若干申し上げてみたいと思います。  山形県におきましては、老人福祉施設社会福祉法人米沢仏教興道会ひばりが丘老人ホームを視察したところでありますが、本施設は明治二十年、米沢市内における寺院の仏教会が社会事業として始めまして、大正九年に幼児保育事業を興して今日の発展を見たところでありまするが、大正十四年隣保館を市内の明神堂片町に移して経営をしてきましたが、あまりにも施設が老朽をしておるというところで、昨年現在の場所に移して、定員百名を収容する老人ホームを新設し、現在百四名が収容されておるのでありまするが、葬祭費の基準額が低額でありまするので、その引き上げと、山形県では特別養護老人ホームが県北と県南二カ所新設したいという要望がありました。  次いで、米沢織物地帯で有名な猪俣織物工場を視察をいたしたところでありまするが、この中で一番問題になりましたのは、労働者地域間、産業間等の移動のために若手労働者減少して求人難になり、労働者の賃金、厚生福祉施設等の労働条件が整っておりながらも、現在、女子中卒の労働力充足率は三〇%にすぎない状態であります。労働力の動向にかんがみ長期的な雇用調整計画が必要と思われたところであります。  秋田県におきましては、まず、身体障害者更生指導所視察したのでありまするが、この太平療育園は昭和三十四年に完成をいたしまして、現在、収容定員五十名をもっておりまするが、さらに百名に変更して強化をはかっておるところであります。本施設と同時に併設されておりました特殊学級を廃止いたしまして、県立養護学校の発足を見、本校をこの療育園内に置かれております。問題点といたしましては、病棟と作業場とが同じ建物でありまして、これはやはり別棟のほうがよいように思われたのであります。また、重症心身障害児に対する福祉の増進をはかるために重症心身障害児施設を東北ブロックに国立の収容施設を設置されたいという要望山形秋田両県においてあったわけであります。  次いで、労働福祉館を視察したのでありますが、これは雇用促進事業団が県に委託をいたしまして、県が財団法人の日雇労働者援護会に再委託して日雇い労働者生活向上と勤労意欲に資するとともに、就職を促進させ、福祉の増進をはかるため、保育施設に簡易食堂、理容室、売店等を併設した福祉施設でありまするが、本施設は保育施設が主体でありまして、保育は満三歳以上学齢未満の幼児を対象にして定員を二十名、保母二名でこれに当たっておりまするが、最近では日雇い労働者減少で一般の家庭の幼児をも引き受けて保育をし、現在約三十余名となっております。ここでは保育料は無料でありまするが、幼児に支給する食費等は実費月二百円を徴収しております。ただ、この種のものは無認可に相なっておりまするので、無認可保育についてはやはり一定の基準が必要ではないかと考えられるところであります。その他要望事項につきましては、別冊のとおりお手元に配付いたしましたので、御高覧をお願いいたします。  以上、概要の報告を終わります。
  6. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  なお、ただいまの御報告に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 土屋義彦

    土屋義彦君 すでに報告いたしました問題についての質問でございますので、簡単にお伺いさしていただきます。職業訓練局長にお伺いいたします。大阪府立身体障害者更生センターの問題についてお伺いさしていただきます。  御案内のとおり、同病院は、田村春雄所長以下、職員の方々が、罪なくして御不幸になられた身体障害者のリハビリテーションの問題と取り組んで、献身的に努力をされておる姿に接し、私ども非常に胸を打たれた次第でございます。視察に参りました節、陳情を受けたのでございますが、病院の拡張のために隣地の国有地をぜひひとつ払い下げてもらいたいといったような強い御要望があったのでございますが、その点につきまして、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 松永正男

    説明員(松永正男君) ただいま御質問のございました件につきましては、大阪府当局からも申し出が出ております。で、私どもとして検討をいたしました結果、何とか病院の敷地が実現できるような方向で検討をいたしたいということを考えております。  なお、事務的にはどういうふうにいたしますか、国有財産法の規定によりまして、大阪府の当局とよく御相談をいたしましてきめたいというふうに考えております。
  9. 土屋義彦

    土屋義彦君 まことにありがとうございました。関係当局と連絡をとりまして、早急にひとつ善処をしていただきますようにお願いいたします。  次は、公園の問題につきまして、国立公園局長に簡単に御質問さしていただきます。すでに視察報告の中でも申し上げましたが、最近特に地域開発、また、産業開発のために自然公園としての景観美をそこねるといったようなことから行政上のいろいろな問題が起きておるのでございますが、これは一方においては地域開発、また、観光開発によって急速に自然が破壊され、また、一方においては自然の景観を保護しなければならないといったような相対立する問題を国はどういうような基本的方針をもって指導し、また、公園行政を進めておいでになるか、その点につきましてお伺いいたしたい。
  10. 大崎康

    説明員(大崎康君) 国立公園は、御案内のとおり、わが国の景観を代表する風景地でございますので、これが景観の保護ということにつきましては、私ども最も意を用いているわけでございます。ただ、その区域は広大でございまして、その風景価値なり、あるいは自然の価値にはおのずから段階があるわけでございます。その段階に応じまして、国立公園を、特別保護地、それから特別地域、普通地域の三種に分けまして、そしてその公共のためにする制限に強弱の差を設けているわけでございます。関係各省に事前に協議をいたしまして、そして景観産業開発等の調整に意を用いているわけでございます。逆に、国立公園内におきまして森林施業でありますとか、あるいは電源開発等の計画設定いたします際には、厚生省におきましてはこれらの計画に参画をいたすことになっておりまして、事前に密接な調整を行なっているところであります。このように、国あるいは地方公共団体が行ないます地域開発につきましては、個々のケースに基づきまして、自然の景観の保護と、それから産業開発というのを適宜調整をはかっていきたい、かように考えておりまして、今後とも各機関と計画の段階において事前に密接に御相談をするような態勢をとっていきたい、かように考えておるわけであります。
  11. 土屋義彦

    土屋義彦君 以下二、三の具体的な問題につきましてお伺いさしていただきたいと思います。古野・熊野の国立公園地区で起こっております問題でございますが、これは三重県側の紀和町が事業主体となって、小川口から上流の田戸まで海沿い林道を開設するということに対して、和歌山県の新宮市は、この歴史ある瀞八丁の自然美をそこねては困るということで反対の陳情をいたしているのであります。ところが、工事はすでに小川口から木津呂に至る三・五キロまでできており、私ども先般、当日雨が降っておったのでありますが、プロペラ船に乗って現地を視察いたしましたところが、工事のために付近は荒れほうだい、岩盤は露出して見る影もないといったようなありさまでありました。これに対しまして当局はどういうような措置をされますか、お伺いしたいと思います。
  12. 大崎康

    説明員(大崎康君) 瀞八丁は、御案内のように、瀞景観として非常に優秀でありまして、これをめぐる森林も従来よく保存をされておりまして、国立公園景観の核心地帯であります。ただいま御指摘のありました林道につきましては、昭和三十二年から、林野庁の補助金を受けて、各年延長をいたしておるわけでありまして、昭和四十年度におきましては、いわゆる特別地域にさしかかる計画になっておるわけであります。ただ、その林道そのものにつきましては次のように考えておるわけであります。すなわち、瀞をはさむ森林は急斜面でございまして、この斜面に道路を開設する場合にはいろいろ立木の伐採等もございまして、道路ののり面が露呈をいたしまして自然景観を損傷するというふうなことになるというふうに考えております。したがいまして、現在これから行なわれようといたしております特別地域内の林道につきましては、林道としての効用を損しない範囲におきまして、その中心地を通る路線を変更してはどうか、こういうふうな考えを持っておりまして、目下三重県及び紀和町に対しましていろいろ御相談を申し上げている段階であります。ただいま先生の御意見のほどを十分参酌いたしまして善処いたしたいと考えております。
  13. 土屋義彦

    土屋義彦君 時間がございませんので、もう一点だけお伺いいたしておきますが、ただいまの問題につきましては地元と連絡をとりまして、早急にひとつ善処していただきたい。  次は、これは視察関連しておらないので、たいへん恐縮でございますが、一言だけお伺いさしていただきたいと思います。実は、二十九日の朝日新聞の埼玉版に載った問題でございますが、「消えゆく原生林の景観」という大見出しで出ておりますが、埼玉県は四十二年度の国体の開催県になっており、埼玉県の秩父・多摩国立公園の両神山において、無許可で伐採がなされておるということでございます。地元の観光協会はこれに対しまして、両神山の自然美がそこなわれるということで、非常に大きな問題となっておるようなわけでございます。この問題につきまして、ひとつお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 大崎康

    説明員(大崎康君) ただいま御指摘になりました両神山は、御案内のように、秩父・多摩国立公園の特別地域として厚生省におきまして指定をしている地区でございます。当該地区の森林計画は、埼玉県のC基本計画の三十森林区ということになっておりまして、この森林区施業計画は、昭和三十七年の四月一日から昭和四十二年の三月三十一日までの五カ年のものにつきましての計画でございます。この計画は、三十六年の十一月二十日に埼玉県知事から厚生省あてに協議がございまして、異存がない旨これについて回答をいたしているわけであります。この協議は、自然公園法上における森林の施業計画というものと森林法上の施業計画というものについて密接に連携をさせるための協議でございます。それで、ただいま先生がおっしゃいました新聞の記事によります原生林の伐採の点でございますが、いま申し上げました施業計画によって定まっている伐採量及び方法を逸脱しておるのではないかという疑いがあるわけでございまして、目下現地に行きまして県のほうで調査を進めているわけでございます。森林法上では、この地域は、実は保安林になっておるわけでございますが、保安林の伐採許可、それと同時に、通常は自然公園法による許可が出てくるわけでありますが、この許可申請は目下のところはないようでございます。いずれにいたしましても違反ケースではないかと考えておりまして、目下県を通じまして、十分調査を実地について行なっておるわけでございます。
  15. 土屋義彦

    土屋義彦君 これらの問題を考えてみますと、国立公園の特別地域として法的制限を加えながら、国が何ら予算的な裏づけをしてないところに原因があるのではないかと考える次第でございます。すなわち、民有林の原生林を切らせないなら、その所有者にそれに見合うだけの補償を出すべきじゃないかと考えるわけでございますが、その点をひとつお願いいたします。
  16. 大崎康

    説明員(大崎康君) 保安林等の樹木の伐採につきましては、補償の規定が森林法にあるわけでございまして、農林省においてそれぞれ予算的の措置を講じているように承っているわけでございます。なお、自然公園法上にも補償の規定があるわけでありますが、両者は適切に調整がなされなければならないわけでありまして、通常におきましては、森林法上の補償が優先しているというふうに実情はなっていると存じております。そのほか、いろいろ自然景観保護というふうなものと産業との調整の問題につきましては、たとえば私どもでは、集団施設地区というものを厚生省の地区に所管がえをいたそうということで、毎年予算的な措置を講じておるわけでありますが、これらの予算につきましては、いまだ不十分でございますし、それから、いわゆる公園計画に基づくところの国の事業、あるいは国の補助を受けて行ないます都道府県の事業につきまして、従来予算がわずかでございまして、重点的にやっておるために、手の行き届きかねる点も、御指摘になったようなぐあいに、あるかと存じますが、今後とも私ども努力をいたしたい、かように考えております。
  17. 土屋義彦

    土屋義彦君 たいへん前後して恐縮ですが、視察関連いたしまして、もう一点だけひとつお伺いしたいと思います。那智勝浦町、また、串本町当局において、町づくりのために埋め立て計画等が進められておるようでございますが、現在、どういうことになっておりますか。
  18. 大崎康

    説明員(大崎康君) 勝浦町のいわゆる弁天島周辺の埋め立てのお話であろうかと存じますが、この点につきましては、自然公園法の規定によりまして、本年の六月に申請書が和歌山県に提出をされたわけであります。で、この申請書に対しまして、弁天島周辺の風致の保護の必要性から、再検討を県において求めたところが、申請者のほうで県のほうの御意見も了とされまして、その一部の計画を変更縮小をいたしまして、県のほうを通じまして厚生大臣あてに申請書を提出したところでございます。申請書の内容は、いわゆる勝浦の海岸の一部を埋め立てまして漁具の保全施設をつくりたいと、こういうふうなことでございます。この漁具の保全施設をつくるということは、勝浦町のいわゆる漁業の関係からいきますと、勝浦町の漁業の占める重要性から見まして、相当の重要性を持っておるわけでございまして、これらにつきましては十分考慮いたしまして、今後検討を進めたい、このように考えているわけであります。計画につきましても、景観との調整もわりあいにとれているようでありますが、この点詳細に検討をいたしたい、こう考えているわけであります。
  19. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑はこれをもって終了いたします。  ただいま御報告ございました第二班からは、別途、文書をもって山形県及び秋田県における要望事項が提出されておりますが、これを本日の会議録の末尾に掲載することに、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼び者あり〕
  20. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  21. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それでは、労働問題に関する調査を議題といたします。  まず、公務員給与に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  22. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ、ひとつ……。公務員の給与が人事院勧告できめられている、そうして地方公務員のほうも、この公務員勧告に準じて今日まできめられてきたことが慣習になってきているわけであります。昨年は六人の委員会で、内閣の中でこの問題と取り組んでおられたわけでありますが、今年は総務長官が兼ねられるので、五人委員会になった。この五人委員会で人事院勧告を公務員給与として確立する、その対策をお立てになっていると思うのであります。ですから、この五人委員会のメンバーは、労働大臣一人しか見えてないわけであります。で、私は労働大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、その人事院勧告が、八月十三日に、本年の五月から実施をするということで勧告がなされました。あすからもう十月にならんとしているわけでありますけれども、その勧告がまだそのままで、政府もどうしようということの見解を出していない、非常に冷淡ではないか、私はそう思う。先般も結社の自由と団結権の擁護の八十七号条約が国会で批准され、その条約に基づいて国内法をこれから変えていこう、公務員制度審議会が持たれようとしているわけでございます。ようやくその労使間の問題が国際的な水準で議論をされるようになってきたわけでありますが、その国際的水準で議論をするなら、国際的水準に引き上げていく、その水準を確立するということが私は大事な要件だと思うのです。そうなってきていまの制度がいいかどうか、このような勧告の事態を毎年繰り返していていいのかどうか、たとえば労働三権を取り上げておいて、そうして昨年もそうでございますが、実施時期が五月からとなっているのに九月から実施という形に終わっているわけでございます。そういう意味からいって、私は、昨年度の勧告の問題をめぐって、社会労働委員会が四、五回、六人の委員全員に来ていただいてここで見解を承ったことを記憶するわけでございます。ほんとうに直接官庁の給与を持っておられる労働大臣や自治庁長官や給与担当大臣は、五月から完全実施をどんな犠牲を払ってでもするという見解をここで吐かれながら九月実施に終わってしまった。今年はそういうことがまだ公式な形の中では出ていないのでありまするが、私は、まず、労働大臣公務員給与に関する人事院勧告をどう実施するか、その決意のほどを聞きたいのであります。
  23. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 公務員の給与改定に関しまする人事院の勧告が八月半ばに出ました。これを受けまして、九月の十七日にただいまお話のとおり、労働、自治、大蔵、総務長官、さらに官房長官の間で第一回の打ち合わせ会を持ったのでございます。その際におきましては、今後この勧告に対する態度というものをどういう手順できめていくことがよろしいであろうかということにつきまして打ち合わせをいたしたのでございまして、実は御承知のとおり、大蔵大臣が目下海外出張中でございまして、来月の三日に帰ってくる予定に相なっております。そこで、実質的な打ち合わせというものは、大蔵大臣が帰朝いたしましたならば早々にいたそうと、こういうことに協議をいたしたのでございます。私の立場、つまり労働大臣としての立場から申しますならば、申し上げるまでもなく、人事院というものの役目、あるいは公務員給与についての法制のたてまえ、こういう点から考えまして、人事院の勧告というものを十分尊重していくという基本的なたてまえというものは私はどこまでも守ってまいりたいと、かように考えておるのでございます。ただ、例年繰り返しておるようなことでございますが、一方において財政当局の考えもございましょうし、特に本年は財政事情が非常に苦しい、こう称されておるわけでございますので、それらの点の詳細につきまして、大蔵大臣の帰朝後どういうお考えに立ってお話があるか、そこらのことはまだ実はよくわからないのでございますが、いずれにしましても、私どもとしましては、さっきも申しますとおり、人事院勧告を十分尊重していく、こういうたてまえで今後臨んでいきたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、労働大臣に、もう一つまず前提として見解を承っておきたいわけでございます。  国家公務員、地方公務員というのは立法府できまった法律に基づいて行政執行をする機関でございます。そうなってくると、民間その他生産点で行なわれる賃金決定とは違った要件のもとに賃金というものがきめられるべきではなかろうかと私は思う。国家事務の執行の一部をになう行政職の職員というものは、私は、この六十四条の民間云々ということ自身が検討されるべきときにきているのではないか。だから国の施策、地方自治体の施策の執行の任務に当たるものが、執行の軽重によって、また、労働のロードによって賃金が私はきめられてしかるべきものだと思う。だから、この賃金は、振りかえってみて、六・四%とありますけれども、民間の賃金を四月に調査をして、それで結論を出して五月から実施する。私は、人事院としては、それ以後に勧告実施という概念は出てこないわけであります。それがいつも削られているということになってくると、国家や地方自治体の執行者に対して、他の民間の賃金と横すべりしていくというところに無理があるのではないかと思う。根本的に国が法律できめられたものを行政の面で政府が執行する。それじゃ政府が自分の執行の補助者として、政府自身が民間とか何とか関係なしに、執行の責任、それからロードによって賃金をきめていく、これが各国の公務員の給与の道筋ではなかろうかと私は思うのであります。たとえばでございます。外国の例を出して何でありますけれども、日本の公務員制度というのはアメリカの制度を取り入れたといわれているわけでありますが、アメリカの公務員というのは長い歴史をむろん持っております。持っておりますけれども、大統領命令で、その民間とか何とかなしに、その自分の行政の執行補助者として必要に応じて賃金を確立していく、給与を確立していくという方法をとっているようであります。私は、この際、総務副長官がおいでになっておりますから、給与担当をされている総理府でありますから、外国の公務員の賃金がどういうかっこうできめられているかということを私はこの際お聞きをしたいのであります。だから、その問題を解決しないで公務員の賃金問題はなかなかむずかしく、解決がなかなかつかないんじゃないか。それができないというなら、私は、同じ労働者でありますから、特定少数の管理職公務員をのけて労働三権を確立するということが、これは外国でとられておりますけれども、そういう形において賃金及び労働条件は、基準法の二条の目的に明らかに書いてありますように、対等の立場で問題を解決する、これが私は日本の憲法や基準法に出ている大精神ではなかろうか。それを段階的にその三権を取ってしまって、団体交渉権すら与えないでおいて代償措置がこういうことになっているということでは、私は何か納得ができないのであります。これは私ばかりじゃなしに、労働者としては納得できない問題でございます。ですから、その前段の、要するに公務員というものは国や地方自治体の執行者である、それを貫いていくのにはどうするかということが一つであります。それができないというなら三権を確立して、そうして対等の立場でものをきめるということを確立すべきだと私は思う。だから、前段もやらない、後段もやらない、そうして出てきた勧告というものは、政権を担当している政府のふところぐあいで処理していくということになるが、私はこういう扱いをしている外国はよく知らないのであります。だからドライヤーが先日も来まして、非常におだやかでありますけれども、この問題を取り上げている。それはILOの常任理事国である日本国がこれでいいんですかどうですかという、ことははやわらかでありますけれども、端的にこの問題をついているわけであります。どうも政府の見解を聞いていると、まるでこのドライヤーの意見に対して全く責任のないような、他山の、よそのことのような感じをお持ちになっているような見解が発表されている。そうなると、国際舞台では一人前につき合いをする、しかし、国内においては全く都合のいい、水の上をあちらこちらとすべっていくというようなかっこうでは問題の処理はできないのではないか、だから私は、一つは、いまここでお尋ねしたいことは、公務員給与のあり方について、それから外国の公務員制度というものがどういう関係できめられているか、このこと。それと、今日の実態において、私は対等の立場でものをきめるということでなければならない、このことの考え方を大臣と、総務副長官には外国の資料を提供してもらうのでありますが、ひとつ御説明をいただきたい。
  25. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 公務員の給与というものをどういう仕組みできめることが一番妥当であるかと、こういう問題に相なるかと思うのでありますか、先生の御指摘のように、公務員の給与というものは、必ずしも民間の給与との権衡ということにとらわれずに、独自にきめるほうが適当ではないか、こういう御趣旨と拝聴したのでございますが、私の考え方といたしましては、御指摘のような方法によるということももちろん考え得るかと思うのでございますが、しかし、また一面、現行法が規定いたしておりますように、主として民間との給与のバランスというものに重点を置いてきめていく、こういう方法も、これもまた国民全般の受けまする給与所得というものが、やはり総括的に申しますならば、ある程度の均衡を保持していくということも確かに私は重要な問題であろうと、かように思いますので、現行制度はそのほうの立場に立っておそらく制定されたものであろうと、かように理解をいたしておるのでございますが、いまこの場で、公務員の給与を独自にきめるというほうがむしろいいので、いまの制度というものがどうも妥当でないと、こういうふうにも実は考えておりまするので、いずれにいたしましても、先生の御示唆のような点も確かにあると思いますので、十分今後検討さしていただきたいと思うのでございます。
  26. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 欧米の主要国における給与決定の方式についてはたいへん複雑にいろいろございますので、ごくあらましを申し上げたいと思います。  大体二通りでございまして、アメリカ、フランス、西独、こういった給与法定主義をとっております国と、イギリス、西独の前のものはいわゆる官吏、雇用人につきましてそうでございますが、交渉または協議会の方式、この二つに大別することができます。  アメリカでございますが、各州につきましては、御承知のように、非常に種々雑多なことになっております。ここでは連邦公務員の給与について申し上げますると、連邦公務員の給与は法律によって定められております。これは日本と同様でございます。給与決定の原則でございますが、アメリカにおきましてもやはり民間給与との関係を考える。さらに第二点といたしまして、それぞれの公務員の中の均衡と、こういう二つの原則で考えられております。公務員給与の改定は、労働省の民間給与実態調査の結果と公務員給与とを比較いたしまして、大統領直属の人事委員会、それから予算局で検討いたした上、大統領から勧告として国会へ提出される仕組みでございます。  それから、次にフランスでございますが、フランスの公務員の給与は政令によって定められております。勤務条件の決定につきましては、法令によりまして大部分が定められておりますが、一部直接交渉によってきまる。それから、官吏令所定の協議会による方法がございます。協議会の方式は、英国のホイットレー協議会と同様のものでございまして、諮問機関的な役割りを持っているようでございます。  次に、西ドイツは二つに分かれておりまして、いわゆる昔の日本で言う官吏と雇用人というふうになっているわけでございますが、官吏のほうの給与は法律によって定められておりまして、雇用人の給与は労働協約によって定められております。官吏につきましては団結権が認められておりまして、この官吏の団体は、法律の準備段階、立案の段階において関与する権利が認められておりますが、政府はこれには拘束はされない、こういうことでございます。  次に、イギリスでございますが、公務員の給与は、議会の議決に基づく給与予算から支給される、予算で決定する方式でございます。公務員の給与その他の勤務条件につきましては、一般的にホイットレー協議会による方式でございまして、給与決定の原則には、やはり官民比較というものが取り上げられております。ホイットレー協議会は労使同数の委員で構成されておりまして、付議された事項について協議がととのいました場合には内閣に報告しまして、実施に移されるべきものとされております。ただ、政府の権限行使の自由と公共の利益のための責任は、協議会の設置によって放棄することは許されないとされているわけでございます。協議がととのわなかった場合には、公務員仲裁裁判所に付託されまして、同裁判所の裁定がございますると、政府はこれに基づいて予算案の作成の義務を負いしまして、これについて議会の審議をあおぐことになっているわけでございまして、議会が最終的な決定をするのでございます。  きわめて概略でございますが、欧米の主要国における給与決定の方式についてお答え申し上げました。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いま外国の例を少しお話になりましたけれども、ほとんど、たとえばアメリカにしたって、一年ごとまたは二年ごとできめられている。そうしてきめられたものは検討して大統領が提案をして法定されるわけでありますけれども、肝心の実施時期がずれてみたりするようなものはどこにもないわけであります。それから、大体ヨーロッパの傾向というものは協議をしてきめる、たとえば諮問委員会といいましても、最低賃金をきめるウエージ・カウンシルのように報告をして、それは法定できめていくというぐあいに、実質的にはきまったものが実施される、こういう形でございます。  この人事院の賃金の内容について私は問題がありますけれども、これはきょうは触れませんけれども、問題は、五人委員会の柱になるのは労働大臣であると私は思うのであります。直接労働者の保護行政をおやりになっている労働省というものが、公務員の賃金、また、民間や公共体や、あらゆる労働者生活をどうしていくか、ここが骨にならなければ私はならない問題だ、だから、そこがあとになって大蔵省のふところぐあいが先になるような賃金のきめ方そのものに問題があるからこういう結果におちいってしまう。いかに公務員の賃金があるべきかというのは労働大臣が先行をして、そして公務員といわず、あるいは民間は団体交渉などにゆだねられておりますけれども、そういうかまえを労働大臣が持たない限り、この問題の解決は私はできないのではないか。だから五人委員会関係当省とおやりになるにしても、あなたが中心になって公務員労働者の給与というものはいかにあるべきか、不合理がないか、組み方その他に不合理がないかということを、もっともっと確信を持っておやりにならない限り、私は、残念なんでありますが、去年給与大臣と労働大臣自治大臣が、五月から完全に実施しなければいかぬということを、何回もここの社会労働委員会で声明されておりながら九月になってしまった。私は、今度の大臣は、この引き継がれた労働大臣の意思というものを、これは私は閣議の中でも五人委員会の中でも主張されて、これを実施する、まずそれが一番先なんだ。この実施をして、実施した上で、まだこの人事院勧告という制度、このようなものが立っておるのかどうかという問題にお入りになるのが私は道ではなかろうかと思っているわけであります。そういう労働大臣は決意と確信を持って、ひとつこの人事院勧告、要するに公務員給与と取り組んでもらいたいと私は思うのですが、その決意のほどを私は聞きたいのであります。
  28. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 藤田先生のお話のとおり、労働大臣の立場というものはお示しのとおりだと思います。私も先ほど申しましたが、人事院の勧告というものは十分尊重さるべきものである、こういう基本的立場に立ちまして最善の努力をいたすつもりでございます。
  29. 山崎昇

    ○山崎昇君 労働大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、いま荷主再四、人事院勧告については尊重されるというおことばがあったわけですが、ただ、私は心配するのは、委員会に来れば人事院勧告は実施するように尊重いたします。しかし、あなたが地方に出張されれば、個人的見解だけれども、九月がいいんじゃないがとか、こういう同じ人が違うことをあちこちで言われる。したがって、いまのあなたの見解というものを私自身がそれこそ尊重したいと思うのですが、私が最終的に確認をしたいのは、人事院勧告はあくまで完全に実施するのだというあなたの決意だということをもう一ぺんひとつ私は聞いておきたいと思うのです。
  30. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 私が地方に参りましたときのいわゆる記者会見での発言というものが新聞紙上に伝えられたようでございますが、それがあたかもいま先生のおことばの中にもございましたように、九月実施にすればいいんだ、こういう実は趣旨で私はその際も申したのではないのであります。私のその際申したところは、昨年は、それ以前の十月実施というものが九月実施になった。であるから、財政事情もさることながら、少なくともという意味で実は申したのであります。少なくとも昨年よりも悪くなるというようなことは、これは私の立場から言えば好ましいことではない。つまり最低限の実はお話を、これは質問に対してお答えをしたのでありまして、決して九月でも満足なんだ、九月でいいのだ、そういう趣旨で決して私は申したのではないのであります。そこで、今後これの決定にあたりましては、まず関係大臣の間での打ち合わせ、それから続いて閣議ということに相なると思いますが、その間、少なくとも私は労働大臣という立場に現にいるのですから、先ほど来申しますように、人事院勧告というものは十分尊重さるべきものだ、本来そういう性格のものである。こういう立場において私は実行をいたしたい、こういう気持ちでおるわけであります。
  31. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、あらためて大臣から人事院勧告を実施するように努力をしたいというお話がございますので、その点は私も了承したいと思うのでございます。  そこで、私は、労働省でお出しになったドライヤー報告書を読ましていただいておるのですが、たくさんのことが書かれております。しかし、私は、要約をすれば、労使間の問題というのは法律にあまりよってはいかぬのではないか、十分話し合いでやるべきではないか、これが要約すれば趣旨になるのではないかと思うのであります。そこで、賃金の問題は、特に労使間におきましては原則的な問題でありますが、これは何といっても話し合いで賃金というものはきめていく考えをとらなければならぬのではないか、こう私は思うわけであります。そこで、日本の現状を見ますと、おおむね賃金がきめられておる現状は四つの段階があるのではないかと私は考えるわけであります。  一つは、民間の大企業のように、完全に労働三権を持っておって、結果は別といたしまして、話し合いがなされるというところと、それから民間でも中小企業のように、ほとんど一方的に使用者側の見解だけで賃金がきめられてしまう、こういう一つの段階と、公務員の中においては、国鉄等の公労協のように、スト権は一応制限はされるにいたしましても、ある程度労使間の話し合いがなされる、そうしてそれがまとまらなければ調停委員会最後には法的拘束力を持つ仲裁委員会で賃金がきめられる、こういう段階が一つあると思うのであります。しかし、私どもは、一般の公務員の場合にはそのいずれにも属していない。したがいまして、話し合う場がまずないことと、最終的で、そうしてまた最初であります人事院勧告がすべてを律しておる、こういう点から考えてみると、公務員の賃金というのはきわめて私は不当な形できめられておるのではないか。そうして現状からいえば、やはりスト権その他の権利が剥奪されておる順序に従って賃金が低い。いわば権利を持っておる民間の大企業が一番高くて、その次が公労協で、それから一般公務員、中小企業、いわば権利の制限に伴って賃金の高低ができておる。こういう日本の現状等を見ると、私は、やはり第一番にもっともっと公務員については話し合う場を設ける必要があるのではないか。それは当然公務員制度審議会等で将来法律改正等も論議になると思いますから、それは後日に譲ったとしても、私は、そういう方向を労働省がもっと積極的にとるべき態度ではないか、こう私は一つ思うのであります。  そこで、もう一つ加えていえば、この公務員の人事院勧告というものを、しいて私は理解をすれば、仲裁裁定的な性格に理解をしていいのではない、だろうか。公務員にとっては初めてで最終的な決定でありますが、公労協のいう仲裁裁定的な性格を認めてもいいのではないか。そういう性格をもし労働省として認めるというならば、当然完全実施ということが結論として出てくるのではないか、こう私は一般的に賃金について考えるのでありますけれども、これについての労働大臣の見解を聞きたい。
  32. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 賃金のきめ方というか、きまり方と申しますか、それが先生のお示しのようなぐあいに大体分かれておるということは確かに事実であろうと存じまするし、また、基本的に話し合いによって賃金というものがきまるべきものである、こういうこと、これも私はそのとおりだろうと思います。ただ、公労協の場合には公労協の性格と申しますか、一口に言ってそういうことから御趣旨のような仕組みができておるし、国の公務員につきましては人事院というものを設置いたしまして、一定の条件のもとに政府及び国会に勧告をすると、こういう仕組みに現在相なっておるわけでございますが、そこで、どうしてこういう仕組みをとったかということにつきましては、国の公務員というものは、言うまでもなく、国民負担において給与が支払われておるわけでございますので、そういう公務員に対する給与を全然政府と公務員との間のいわば労使の間と申しますか、使用者の立場と使用される者の労働者の立場だけの話し合いできめるというのも、私は率直に申していかがかと思うのであります。そういう点もおそらく考慮の上に現在のような仕組みが考えられ、しかも、もちろん予算との関係、あるいは法律との関係において、終局的には国会の御審議にゆだねておる、こういう仕組みに現在のところ相なっておるわけでございますので、公務員の給与も全然政府と公務員との間の話し合いだけできめる、これは先ほどの藤田先生のお話とも実は本質的には関連することかと思いますが、そこまで割り切っていいものかどうか、実は私もいま申し上げかねるのでありまして、少なくとも当面の課題としては、やはり現在の法制のもとにおいて人事院勧告というものをできるだけこれは尊重いたしていく、仲裁裁定という性格までには、御承知のとおり、なっておらぬと思いますが、最終的には国会の御審議によってきめる、そういうたてまえになっておるわけでございますので、私は、少なくとも政府の立場といたしましては、できるだけこれを尊重していくと、こういうことで臨むことがやはり当面妥当なんではなかろうかというふうに考えております。
  33. 山崎昇

    ○山崎昇君 もちろんいま大臣の言われるように、仲裁裁定と性格の違うことは私も知っています。ただ、公労協の場合には、最初団体交渉があって、それから調停に移って、それから仲裁という一応の順序がありますね。そしていずれも、調停委員会にしろ、仲裁委員会にしろ、労使、公益、第三者構成になっておりますから、したがって、労働組合の意見をかなり述べる機会があるわけです。ところが、一般公務員の場合にはそういう構成にまずなってない。ですから、組合側の見解というものを委員会を通して述べる機会がないわけです。そういう形の上で、さらに人事院勧告というのがただ一回出てしまえば、あと苦情の持っていきどころがないわけですね。そういう意味からいいますというと、私は、一般公務員の人事院勧告というものは、公労協の仲裁裁定的な性格としてやはり理解をすべきではないのか、こういうことをいま労働大臣にお尋ねしたわけなんです。ですから、仲裁裁定的な性格だと理解をするならば、当然完全実施ということが結論として出てこなければならぬのではないか。そういう点についてもう一ぺん大臣にひとつ聞きたいと思うわけであります。  それから、二つ目には、先ほど財政上の問題もちょっと触れられておりましたが、私は、国鉄等の公労協の場合には、これもまた各公社が赤字だとはいいつつも、やはり四月から実施をされておる、こういう状態と公務員との間にあまりにも差があるのではないか。この点についての大臣の見解も聞きたいし、もっと矛盾的なことを申し上げれば、同じ農林省につとめておりましても、片方は林野だからといって四月、片方は一般職だというので九月、十月だ、こういうふうに、同じ公務員でありながら、やはり差別をされる、こういうことについて、ただ組合を律する法律が違うから賃金も違うのだ、こういうことでは、あまりにも一般公務員に対して差別待遇ではないのか、こう私ども判断いたしますので、ぜひできれば仲裁裁定的な性格にひとつ認識をしてもらって完全実施をしてもらいたい、こういうふうに考えておるわけです。
  34. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 人事院の勧告を仲裁裁定的な性格と受け取って完全実施をすべきだと、こういうお説と存じますが、この点につきましては、気持ちの上では私は先生のおっしゃるところがよく理解できるのでございます。何と申しましても、現行の制度のもとにおきましては、人事院以外に公務員の給与がかくあるべきだと、こういうことを政府あるいは国会に勧告する機関はないわけでありますから、これを気持ちの上ではあたかも仲裁裁定のごときものと、こう理解してやれと、こういう御趣旨はよくわかるのでございます。が、先ほども申し上げましたとおり、終局的には国会の御審議による法律できめると、これはまあ国家公務員という、国民へのサービスということを任務といたしておる者に対する給与のきめ方というもので、やはり万全ではないにいたしましても、一つの筋の通ったいき方ではなかろうかと、こう考えておりますので、まあ先生の御指摘の点は、気持ちはよくわかりますが、そういう気持ちもくんで、私が先ほど来申しますように、人事院勧告というものを十分尊重していくというたてまえできめたいと、こう申し上げておるのでございます。公労協のほうは仲裁裁定等によりまして、その給与の改定に従って四月から行なわれておる点と、一般公務員の給与が、その給与法の改定の実施時期というものが毎年ずれておる、これははなはだ不公平じゃないかと、こういう御主張でございますが、まあその点は、私も現実にそういうことがここ数年来ずっと行なわれておるわけなんでございまして、ほんとうに私はこの点は決して公平であるとしいて申し上げることはもちろんできないと思いまするが、私は、この機会ですから申し上げたいのですが、人事院勧告の扱い方というものが毎年同じようなことでこうして問題になっておるわけですが、どうも最初の出足のときから、何かこうおくれて実施するのがあたかも勧告のごとくなってしまって、事実上よしあしは別として、現実の問題がそうなってしまっておることが私は非常な災いをなしておるような気がしておるのであります。そういう点でありますので、もちろん理想としては完全実施ということに相なると思いますが、いまお示しのような公平の点から考えましても、もう政府としても最善の尊重をいたしていくべきであると、こういう考えに立っておるわけでございます。
  35. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連質問でありますが、大体公務員の給与は、やはり人事院が三権剥奪の代行機関として存在する限り、たてまえとしては、これはどの時点を押えて考えてみても、完全実施があたりまえのことなんですよ。それが過去の事例から完全実施されていないところに問題の転機をとらえる必要があると思うのです。そういう観点から、いま大臣はいみじくも、やはり国家の公務員であるから、予算上、支出上、かてて加えて国会の審議、協賛を得る必要があると、これはあたりまえのことなんですが、その中で、この辺で転機をとらまえて、いわゆるこの八十七号条約の批准国家として、やはり名実ともに日本は先進工業国ということを自負するなら、この辺を転機として、あたりまえのことをあたりまえにやる。五人委員会ですか、ただいまあなたが所管大臣として、先ほど大蔵大臣が帰って来るとかこないとか言うけれども、予算上、支出上これは必要がありましょう。であるけれども、本件を完全実施するということについては、労働大臣は勇気を持ってこれをやるべき位置づけにあると、こういうふうに理解するのであります。したがって、転機としてこれは完全実施をするということの決意をひとつ承りたいと思うのです。大体いま藤田委員、それから山崎君の質問について良心的な、これとひとつ前向きで取り組んでいこうということは、それなりにうかがい知ることはできますけれども、一本あばら骨が欠けているのじゃないか、その決意表明の中に。そういう点で、ひとつもう一度御答弁いただきたいと思うのです。
  36. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) たいへんお励ましのおことばをちょうだいしてありがたいわけですが、私の決意というものは、先ほど来繰り返し申し上げておるとおりでございます。ただ、念のため申し上げておきますが、今回と申しますか、先般の法改正によりまして、公務員の給与の直接の担当は総理府総務長官と、こういうことに相なったわけでございまして、私は一般の労働行政をあずかるというものの立場から、先ほど来申しますような見解に立って、また、所信に立って十分努力をいたしたい、こういう気持ちでございます。
  37. 山崎昇

    ○山崎昇君 それから、大臣にもう一点だけお聞きしますが、いま大臣も御承知のとおり、各公務員の組合では、半日休暇等の問題をめぐってそれぞれ重大な決意をしつつあるというふうに伝えられておるわけです。そこで、私ども社会党としても、やはり混乱は何らかの形で防がなきゃならぬだろう、こういうふうに苦心をしておるところでありまして、これはいま大臣からいろいろ決意のほどを述べられましたが、組合の主張も私ども聞いてみると、人事院ができて昭和二十三年に初めて勧告が出てから、途中の報告その他も入れますというと、十八回も人事院の意思表示がなされておるけれども、ただの一度もそれらが守られたことない。こういう状態に対して、やはり労働者側か怒り心頭にきているんじゃないかと私ども考えるわけです。そして先ほど冒頭に申し上げましたように、何にもしなければ賃金が低く押えられる、多少法律を破っても、運動すればわれわれの賃金が守れるのではないか、こういういま気持ちに私はきているんじゃないかと思うのです。そこで、こういう状態をいま招来しているのですけれども、労働大臣としてこういう状態をどういう形で収拾なさろうとするお気持ちなのか。当然これは完全実施がなされれば収拾されるわけですが、ひとっこれらの労働組合の動き等とも関連をして、再度ひとつ大臣の見解を聞いておきたい。
  38. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 組合のほうにいろいろな動きのございますことは、私も大体承知をいたしております。その動きが人事院勧告の実施等とも関連をいたしておるようにも聞いております。そこで、勧告が完全に実施されるならば、そういう動きはあえて実行まで至らぬであろうという話も伺いましたが、政府としてはと申しまするか、少なくとも私といたしましては先ほど来のような気持ちで努力いたしておるところでありますが、これが結論的にこの場で、じゃどうなると実は申し上げかねるのでございますが、そこで、かりに完全実施に至らなかった場合には、法律上禁じられております争議手段というふうなものをやってもやむを得ぬじゃないかというお考えもあるいは組合等にはおありかと思いますが、その点は、私は制度の改善なり、あるいは政府の施策なりというものが組合側の希望のとおりにいくことはもちろんこれは望ましいでございましょうが、実際問題としてなかなかいままでもそうまいりませんし、今回のことはかれこれいま申し上げる段階でございませんので、いずれにいたしましても、希望どおりにいかぬから法は守らぬでいいということでもないでしょうが、法に多少反するようなことをやってもしょうがないじゃないかというようなことに対して、私の立場からもっともだと言うわけには実はこれはまいりません。私も政府の一人でございますから、法というものをやはり守っていくということは当然の責任でございますから、法に反することをやってもやむを得ぬというような見解を私がとるというわけにはもちろんこれはまいりません。ただ、私は、例の政府と組合側とのいわゆる定期会合等も、すでに御承知のとおり、二回持たれまして、第三回目も持たれようと、こういつておる際でございますので、これらの会合等を通じて、両者がほんとうに意のあるところを話し合いを重ねることによって両者の理解を深めて、あえて法に触れるような動き、行動をとることがなくて済むような方向にまいりますことを私は期待をいたしておるわけでございます。
  39. 森勝治

    森勝治君 ただいまそういうお答えをいただいたのですが、先ほどの決意の中で、過去の人事院勧告の実施がおくれるということが一つの慣例になっておる、そのことはあまりよくないことだから、完全実施という方向で積極的に努力したいという大臣のその気持ちはわかるのだが、あらためていま勧告が完全に実施されなかった場合に起こる不測の事態についてはどうだと聞かれたら、あなたは逃げておられるのであります。その辺が私はどうも合点がいかないのです。人事院勧告を完全に実施するというたてまえでおられ、それがいままでの政府のあり方についての反省の代表的な意見をいみじくも大臣がおっしゃったと私は謙虚に伺っておった。あなたは非常に前向きで、今度の大臣はやってくれると思った。そうしたら山崎さんか、それじゃ実施できなくて多少はね上がり的なことがあったらどうでと言ったら、ちょっと逃げられて、今度は完全実施に対する私の能力は云々という意味のことを、あなた努力はするけれども及びかねるというような、前の積極的な発言と逆な、私から見ればあえてこの問題を忌避されたような印象を受けたわけです。非常に実はそのことで失望した。積極的に前には取り組むと言った。しかし、今度は、取り組まなかったらどうだと言われたらむにゃむにゃで合点がいかないので、その点の決意のほどをはっきりすることと、当然人事院勧告を勧告どおり実施することは政府の責務でありますから、政府がその責務を果たさなくて起こった不測の事態についての責任は、あげてこれは政府側にあると、私はそう思うのです。ですから、いま申し上げたその前段の決意のほどと、いまの山崎さんの答弁の食い違いと、その責任を果たさなかったものについてそういういろいろトラブルが起きた場合の政府の責任についての見解をもう少し率直に聞きたいと思います。
  40. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 私は、おことばを返すようでありますが、私の申し上げたところに別段食い違いがあったとは実は気がついておらぬのでありますが、人事院の勧告に対して、私が先ほど来繰り返して申しておりますような心がまえで臨むということは多言を要しないところなんであります。ただ、いまの段階においてはとは申しても、それがそのとおりはたしていくかどうか、これは実際未決の問題であります。さらに、これはやや形式論になるかもしれませんが、最終的な公務員給与の決定というものは、法律なり、あるいは予算なりで国会の審議にゆだねられていることは御承知のとおりでございます。そういうことで政府が今度の勧告を受けてどういうふうにするか、これも現在においては未決定の問題でございます。そうではありますが、いずれにしても、政府はもちろん態度をきめて国会におはかりをしなきゃならぬのであります。いわば法に定められた手順を経て決定するのでございます。そういうことでございますので、この決定が勧告どおりにいかない、いかないから今度は公務員の側で法に反した行動をやってもいいんだと、こういうことには私はならぬと思うのであります。ですから、先に申しましたとおり、そういうことがなくて済むように、定期会合等を通じて互いの理解を深めて、法にあえて触れてまた処分だなんという、ああいう問題を繰り返すことは私としては決して望ましいとは思っていません。ですから、そういうことがなくて済むように私は期待申し上げますと、こういうことなんです。
  41. 森勝治

    森勝治君 それでは、さらにお約束をいただきたいのですが、あなたの場合は、さっきから積極的に完全実施の面で努力するとお約束を願ったわけですが、そうかといって予算上、資金上の問題が云々されている、また、そういうこともあり得るでしょう。しかし、労働行政をあずかる担当大臣としては、これは政府が完全実施すべきことは当然これは政府のあるべき姿だということを率直に明言されておるのですから、ですから、毎年のように繰り返されるこの人事院勧告をめぐる労使の紛争については、いませっかく積極的な御意見を開陳されたのだから、紛争解決のために最善の努力を尽くす、最善の努力を尽くすということは、政府が実はその責務を完全に果たすことだと私は思うのです、そうですね、そうすれば問題が起こってこないのですから。ですから、もちろん予算上、資金上とかいろいろあるでしょう。国会審議を経るという問題もあるでしょうけれども、大臣がせっかく積極的にいままでの政府のあり方を間違っておったということを率直に言われておるんだから、間違っておられた原因というのは、職員団体に対して政府の責任を果たさないというところに労使間のトラブルが派生してきているわけですから、したがって、完全に政府が責任を果たせばそんな問題は雲散霧消してしまうわけですから、したがって、ことしは例年のようにそういう問題の起こらないようにひとつ最善の努力をすること、そういうことを労働行政の立場からも、ひとつ重ねてお約束を願いたい。
  42. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 私は、まあ労働大臣という立場にございますから、その立場から申して、いままでの人事院勧告に対する扱いというものが、労働行政という立場からすれば、どうも完全に最初から実施されなかったことが慣行のごとくなっていることがはなはだ残念であるということは、これは先ほど申し上げたのでありますが、しかし、もちろん政府の責任というものが、単に労使だけではなくて、財政なんというのは一番大きなこれも責任でございますから、そういう面のもちろん都合で今日までこういうことになってまいった、まあ主としてそうだと思いますが、でありますので、今度の人事院勧告につきましても、私は、いまの段階においては、先ほど来申しますように、大蔵大臣が帰りましたならば大蔵省当局の、これは大蔵大臣としては財政上の責任があるわけですから、その立場での御主張ももちろんありましょう。これはどういうことか、また内容は聞いておりません。それらの主張もございましょうが、少なくも私の立場としては、この勧告というものを実施尊重していくというたてまえにおいてあらゆる努力をいたすということを再三先ほど来申し上げておるのであります。
  43. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 自治大臣も見えたわけでございます。私は、今度の給与の問題については、五人委員会の中で直接全般の労働行政を担当しておられる労働大臣、それから自治省というのは国家公務員の勧告をめぐって、いままで慣例的に地方公務員もそのように実施をしてきた。そういう立場からいって、自治省の大臣としては、非常に私は重要な心境においでになると思う。昨年の人事院勧告の実施にあたっても、労働大臣と自治省の大臣は、これは完全に実施すべきだということを何回も主張された。私は自治大臣のお気持ちもそうだと思うのであります。そこで、前段に申したことは省きますけれども、自治大臣の勧告を実施していくというひとつお気持ちのほどを聞かしていただきたいと思います。
  44. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 地方公務員は国家公務員に準じてやるというふうにぜひやりたいと思っております。また、勧告は全面尊重してやるように強く要請をいたしつつあり、また、今後もしたいと考えておる次第でございます。
  45. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、私は、自治大臣にも労働大臣にも所見を、総務長官のかわりにおいでになっている副長官の御見解もでき得れば聞きたいのでありますが、たとえばさっき山崎委員が申しましたように、スト権が段階的に剥奪されている。そうして一番何もかも手足をもがれたものが、たとえば民間なら調停、それでまた場合によっては仲裁の手続も双方の申請によってあるわけですが、大体調停の段階で問題が処理されておる。公企体には労働委員会という行政委員会が――公企体労働委員会行政委員会でございます。その手も足も全部もがれてしもうた、人事院はその出したものは宙に浮いてしまって、そうしてそのときの政府の主観によって処理をする、これは全く理解のできないところであります。で、これは人事院の勧告が国によって云々、先ほどの副長官のお話を聞いていると、議会を通じて云々というお話がありました。しかし、全くもって働いている労働者、要するに公務員の意見が一つも入らないで、そうしてでき上がった人事院勧告が宙に浮いてしまって、政府の主観で処理をする。私は、全くもってこれはもう公務員、行政職にある労働者を無視するのもはなはだしい問題である。だからこの際、公務員制度の審議会もありますけれども、私たちとしてはこの問題を明らかにしなければならぬと私は思う。それで先ほど前段に申し上げたわけであります。ですから、公務員の賃金をどうするか、そのことについては、大体アメリカのシステムでは、今日労働者の意見を聞きながら、それが大統領命令で実施される、それからヨーロッパ方式によると、労使の協議といいますか、そういう形で諮問委員会といいながら、実際は行政委員会と同じ役割りでその実施がされる、こういう形になっておる。日本の法律体系も、そういう形で労使対等の立場で、三権確立というものは憲法から始まって基準法にきているにもかかわらず、公務員だけがこういうかっこうになっている。私は、たとえばILOのこういう制度をきめる条約や勧告を読んでみましても、双方の、たとえば労使、この場合でありますと、政府と公務員――労働者でありましょうが、対等の意見を生かすようにして、最も民主的な三者的なかっこうでその足らざる部分を補うようにして制度をきめなければ、たとえば最賃の三十号勧告なんかにおきましても明確にしているわけであります。ですから、私はまあ多くの議論はきょうはいたしませんが、労働大臣は決意を述べられて、自治大臣もこの完全実施をやっていくという決意を述べられたのでありますから、私は、この五人委員会で徹底的にこれをひとつ実現をするように努力をしてもらわなければならぬ。どうも途中で昨年のような経過になると私たちは困るわけであり  ますし、これはまた筋が通らないわけであります。ですから、そういう点を、たとえばもっともっと、単に行政委員会でないからどうの、仲裁委員会の拘束がないからどうのというようなことではない。政府が諮問をして、全く行政委員会と同じような形で人事院にきめさせておいて、きめたものは途中でたな上げしてしもうて、かってに好きなようにするというかっこうは、これは私は世界じゅう、こういうの制度をもって、こういうかっこうでやっている国はないわけでありますから、そこのところあたりの見解も、今後どうしていくのだという見解も、ひとつこの際、聞いておきたいと思う。完全実施をするたてまえ、それを実施した上でどういうぐあいに公務員の労働者労働条件を守っていくのだということの見解を聞いておきたい。
  46. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 本日は安井総務長官が内閣委員会に呼ばれておりますので、私、かわってまいったわけであります。  人事院勧告の実施につきましては、先ほど労働大臣並びに自治大臣から御決意の表明がございましたが、私どものほうの安井大臣といたしましても、直接給与担当の責任大臣でございまして、終始この勧告の実施につきまして強く主張いたしておるところでございます。先ごろ行なわれました関係閣僚間の打ち合わせ会の際にもこの旨を主張いたしておるような次第でございます。大臣直接ではございませんが、私、かわりましてお答えをいたした次第でございます。
  47. 山崎昇

    ○山崎昇君 一つ質問したいのですが、いま三人の大臣から、完全実施は実現をしていきたいのだという決意がございました。五人委員会の中で三人まで賛成なんですから、私はもうこれはきまったんじゃないか、こう理解をするわけであります。そういうふうにひとつ理解をしたいと思うのです。  そこで、自治大臣にひとつお尋ねをしたいのですが、私のほうにも、全国知事会、あるいは市長会、町村長会等から、国家公務員に準じて地方公務員に人勧を実施した場合の財源については、ひとつ政府でやってもらいたい、こういうふうに何とか御努力願えませんかという実は要請も来ております。この点は大臣のほうにも直接知事会等から要請がいっていると思うのですが、財源等の問題について、大臣からひとつお聞きをしたいと思います。
  48. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 財源は全くございません。したがいまして、政府が財政的処置をすべきであるということで強く要請をしつつございます。ちなみに、財源関係を申しますと、一千五百億円の法人税の減収があるのではないかということを巷間いわれております。この間国税庁長官が大阪で、どうも二千億円くらいになるのじゃないかというようなことも言われておるように私聞いておるのでありますが、かりに千五百億ということになりますと、交付税が四百五十億、これは減額補正は法律上どうしてもやられたときには返さなければならぬ金でございますが、もう配ってやるということにしておりますので、返しようがないわけですね。これをどうして処置するかということで、どうしても返すことはできぬ、それは政府がめんどうをみろということを言っております。それから、事業税も五百億くらいは減るのではないか、こういう心配をしております。法人税の付加税二百億、それに今度の人事院勧告で七百四十億要るわけですから、大体二千億くらいはどうしても穴があくというような苦しい状態でございますから、どんなことがあっても地方から財源的処置をするということは不可能に属する状態で、政府の財政的処置を絶対に要請しておるところでございます。
  49. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうするとあれですか、いまお話ありました、人勧を実施するのに七百四十億というのは、これは五月からの財源でございますね。
  50. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) さようでございます。
  51. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、大臣としては、いまお話がありましたように、どうしても地方ではやりくりがつかぬから、一切政府の責任でこれらの財源についてはみたいのだ、こういう決意でやられると私は理解するのでございますが、よろしうございますか。
  52. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) さようでございます。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いろいろもう少し議論したいことがありますが、せっかくきょうは自治大臣労働大臣、総務長官の給与大臣も完全実施のために五人委員会の中でがんばるということ、だから、これが何といっても大蔵省のふところぐあいが先行するのでなしに、完全実施が法律上からいっても、担当大臣としても、それが先行してこれを実現をするために努力すると、こうおっしゃっているわけでありますから、きょうのところは私はその決意を実施していただく。まだ少し言いたいところありますが、この五日から臨時国会が始まるわけでありますから、今度臨時国会が始まりましたときには、いまの決意のほどをここへ実現した形で持ってきていただきたい、これを期待するわけであります。ですから、そこで、いまちょっと返事に触れましたが、自治大臣がおっしゃったようなことは、皆さん方が中心でございますから、実施をするたてまえで、またあと関連上の問題で五人委員会のほかの大臣も来ていただいてわれわれは議論することにもなるかもしれませんけれども、私はそのときには、何としても人事院の公務員賃金、給与というものがどうも外国に例を見ないようなかっこうであるという、このこともこの次にはどう解決していくかという御所見もひとつ検討していただいて、ここへ出てきていただいて御所見を承りたい。そのときはわれわれも意見を述べさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。ですから、まあ大蔵大臣もあすか明後日あたりには帰っておいでになるようでありますから、皆さん方の意思をこの五人委員会で貫いていただきたいということだけを私は申し上げて、この件に関するきょうの質疑は、私はこの程度で終わりたいと思います。
  54. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  55. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、手回り品運搬営業人雇用及び労働条件に関する件について調査を行ないます。  本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  56. 大橋和孝

    大橋和孝君 いま鉄道各駅におきましては、手回り品を持ち回る赤帽が非常にいろいろな条件に置かれておるように見受けられるのであります。特に私が申し上げたいのは、現在の国有鉄道において、非常に整備をされて、非常な一貫した中で運営されておる中に、こうした人が非常なまちまちな条件で置かれておるように考えられるわけであります。特にこの問題につきましては、鉄道の弘済会の職員として身分を確保されて置かれておる面、あるいは、またもう一つには、弘済会の支部長のもとに統括をされておる、そして雇用関係を結ばれておる向きがあります。また、国鉄の管理局長と特定の人が契約を結んで、しかも、これが下のほうに大勢の人を使っておるという条件に置かれて、その運営の中で非常にまちまちな条件が行なわれて、労働条件、あるいは、また、賃金についてもいろいろな格差があるように考えられるわけでありますし、その間においての衛生管理の面、労働管理の面についても非常に疑義があるように考えておるわけでありますが、この問題に対しまして、私は、いま行なわれておるそうした制度がどういうふうな分布状態にあり、あるいはその賃金、労働条件がどういうものに所属されて行なわれておるか、一度鉄道の管財部長の側から、また、鉄道監督局の業務課長もおいで願っておるようでありますので、全般的な視野に立って、ひとついろいろとその状況を教えていただきたいと思います。
  57. 河島誠一

    説明員(河島誠一君) 駅構内におきます手回り品運搬営業の状況でございますが、いわゆる赤帽と称せられておりますが、御質問がございましたように、全国で百八カ所でやっておりますが、大半は弘済会が経営をいたしております。弘済会が五十二カ所、その他日本交通事業社とか法人のものもございますが、個人営業者もございます。営業の形としてはいま申し上げましたようなわけでございます。赤帽の仕事は、一般のお客さん、旅客にとりましては非常に大事な、なくてはならぬ商売でございますので、国鉄としては、駅の構内で赤帽の仕事をすることを承認をいたしておりまして、その服装なり仕事のやり方なりについて、一般の旅客のサービスに従事をさせておる次第でございます。中のそれぞれの営業を受けました営業者がどういう形で――雇用形態とか、あるいは労働条件とかいうような面につきましては、私ども直接の監督をいたしておりませんので、いろいろな形があると思いますが、その点についての調査は私どもいたしておらないので、お答えいたしかねる次第でございます。
  58. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に私がこの問題についてお尋ねしたいのは、そうした状態に置かれておって、国鉄側としては、その調査は各駅に、あるいは、またいろんな点で個々については立ち入ってないというお話でありますが、これに対して将来国鉄側として、管理をする面からして、非常に重要な赤帽の制度が個々まちまちであって、しかも、旅行客、あるいは外国の旅行者、あるいはそういうところで非常に密接なサービス行政の中で、非常に条件がまちまちであることに対しては、何かすべき方法があるのではないか、もう少し管理をすべきではないか、将来どういうふうにそれをすべきかということについていろいろ私は疑問を持っているわけでありますが、ことに運輸省側としては、こういう問題に対しても現在のままでいいと考えられているのか、将来どういうふうにしようと考えられているのか。特に私は、何かこうした問題についての将来の展望をひとつ聞かしていただきたい、こういうように考えます。
  59. 河島誠一

    説明員(河島誠一君) 赤帽の構内営業を認めます際には、承認基準なり、あるいは遵守すべきいろいろな規則がございまして、構内営業規則なりその他の規則に従って旅客サービスに遺憾のないようにしていただくということを条件として承認をいたしておるものでございます。将来の問題としても、現在設けております承認基準なり、あるいはいろいろ服装なり態度なりについての旅客との接触面におけるサービスの基準というようなものは考慮してまいりたいというように考えております。
  60. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 運輸省鉄道監督局国有鉄道部業務課長馬渡君が見えておりますから、何かあったら御答弁願います。
  61. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 鉄道監督局国有鉄道部業務課長でございます。現在国鉄の構内営業をいたしておりますものに対する運輸省側の関係といたしましては、もとになります構内営業料金、あるいは旅客に対する取り扱い料金という面における基準、これを定めております規則等を制定、あるいは内容を変えます場合に、そのつど事前に報告を受けまして、特に旅客に対する面の料金その他の取り扱いが適正であるかどうか、あるいは構内営業料金といたしまして国鉄が財産を管理する場合における配慮がなされているかどうかという点において監督をいたしておりまして、個々の内容につきましては、いま国鉄のほうからお答えいたしたとおりでございまして、こまかい点は、現在国鉄以下にまかしておるわけでございます。
  62. 大橋和孝

    大橋和孝君 旅客に対してはそのように理解さしていただきますが、次に、特に今度は、その働いている赤帽さん自身がいまのような状態で弘済会に属しておられる面は、弘済会に対していろいろお話し合いもできておるようであります。あるいは、また、いまほかにあるのは、だれか固定した一人の人に対してこれを契約されておって、その下に二十人なら二十人という人が働いておる、しかも、その間で労使間というか、そういうふうな問題が一つもスムーズにいってない、むしろ何と申しますか、親分と子分というような形で、その言いなりのままの条件でやられているという向きもあるやに聞くわけでありますが、こういう面に対しましてはどういうふうないままで配慮がなされておったのか、あるいはまた、私がここでちょっとお尋ねしたいのは、いろいろな雇用関係、たとえば弘済会でやられたり、あるいは、また、その弘済会の支部長との契約でやられているというケース、あるいは、もう一つは、全然個人の人に鉄道管理局長のほうから契約をしてやっておるという、この三つのケースに対して、賃金の問題、収入の問題に対してはどういうふうになっておるか、あるいは、また、労働条件に対してはどういうふうになっておるか、それらの監督はどういうふうにされておるか、同時に、また、その労使間の話し合いはどういうふうに持たれておるというふうな状態についてちょっとお知らせ願いたいと思います。
  63. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) この問題について、これは私がお答え申し上げるのが適当かどうか存じませんが、一応調査いたしましたところによりましてお答えいたします。  ただいま国鉄、運輸省の双方からお答えがございましたように、いわゆる赤帽と称せられるものの就労形態がかなりまちまちでございまして、その就労と申しますか、営業関係がどのような契約によってなされておるか、それから得るところの収入が賃金であるかどうかという点については、これは一がいに申せませんのでございますが、直ちに労働関係にあるとは判断しがたいような要素もがなり強いということが言えるのではなかろうかと存じます。すなわち、鉄道弘済会の場合について申し上げますと、委託契約的な契約によりまして条件が定まっておる。そして一定の構内営業料、設備使用料などを弘済会に納付させるという形をとって、残余の料金収入は赤帽が取得する、こういう形態のように私ども承知いたしております。それから、共同経営しているというような形のものはどのような法律的な性格を持つのか、これは確定的に申せませんが、民法上の組合契約に類似したものではなかろうかと私どもも推定いたしておりまして、これは取得した料金を各人が分配する、こういう形になっております。そういった性格のものは賃金と言えるかどうかという点については、これは賃金ではない、こういうふうな理解を持たざるを得ない。ところが、第三の形といたしまして、個人がいわゆる営業権を取得しておって、その下に何人かの赤帽が所属しておるという場合の関係でございます。この場合の就労関係と申しますか、労働関係とまでは解釈できないような、いわゆる働いておる状態が労働関係かどうか、一方においては賃金であるかどうかという点につきましては、賃金と使用関係、この二つの面から判断を要すると思いますが、個人営業者に対しましては、一定の、たとえば赤帽一人分の金額を納めるといったような形で、あとは料金収入を赤帽が分配する、こういうような場合もあるようでございます。そういたしますと、これはそういった営業をなすために一定の料金を納める関係であって、賃金の支払い、及び収受といったような関係がどうかという点については疑わしいものがあろうかと思います。そのような実体を備えておるように私どもは現在までの調査では理解いたしておりますが、仰せのとおり、就労の形態が非常にさまざまであり、かつ、一般公衆にいわゆるサービスをする仕事でございますので、現状でいいのかどうか、さらに折目を正してそういった関係を明確にする必要があるのじゃないかという点については、私どもも仰せのとおりと存ずる次第でございまして、今後こういった関係をどう正していくかという点については、運輸省及び国鉄と十分相談して処理していきたいと考えております。
  64. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 資料要求をいたします。  私のほうから運輸省には、一つは国鉄と私鉄と空港と港にいるようですから、この赤帽という人ですね、手回り品運搬営業者という人の実態を把握するために、運輸省は、国鉄で何人、私鉄で何名、空港で何名、港で何名、この概数を把握し、労働条件などを調査して出していただく。国鉄のほうにお願いするのは、まず、現在ホームその他で働いておる人員、それから就労形態、三番が労働条件、それから、問題になっておりますから、現在に対する見解と将来の対策、この四項目の国鉄に対する資料要求をいたします。いいですね。  他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  65. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、身体障害者雇用促進に関する件について調査を行ないます。  本件に関し、御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  66. 小平芳平

    小平芳平君 身体障害者雇用促進、それから労働条件等についてお尋ねしたいのですが、この点についてもいろいろ労働省のほうであらかじめ資料をお願いしたり、また、できるかどうかお尋ねしたいこともあるのですが、どうもはっきりした資料についてのお答えもないままにきょうの質問になったわけですが、それで、最後にまたいろいろと資料についてもお願いしたいと思うのですが、まず最初にお尋ねしたいことは、申すまでもなく、高度経済成長をうたい、また、福祉国家をうたって政策を推進してきておる現状でありますから、したがって、身体障害者という一番弱い立場のこういう人たちに対してもいままでの考え以上の新しい政策のあり方というものが打ち出されていい段階じゃないかと思うのです。ところが、実際にいまの身体障害者行政については、大体はもう厚生省と労働省に分かれる、また、労働省の中でも分かれる、厚生省の中でも分かれるというような現状でもあるし、また、雇用についても、雇用促進法が制定されてからもう何年かになりますが、実際どれだけの効果をあげてきたか、問題であります。最初にお尋ねいたしたいのは、雇用促進法が制定されて以来、現状においてどれだけ雇用が促進され、どのような身体障害者たちが職業についているか、この点についてお尋ねしたい。
  67. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 役所のほうで調べたところによりますと、身体障害者雇用促進法が三十五年に制定されまして、その後公共職業安定所に新たに求職の申し込みを行ないました者は延べで七万三百六十三人となっております。そのうち、この希望者に対して五六・二%に当たります三万九千四百八十九人が公共職業安定所の紹介によって就職をいたしておるのであります。なお、本年三月末現在におきまして登録者は全体で五万二千三百六人と相なっておりますが、そのうちで、求職の活動をしている者が九千四百十二人と、こういうことに相なっているようでございます。
  68. 小平芳平

    小平芳平君 その数字は私がいただいておる数字とだいぶ違いますので、あとで正確な数字を出していただきたいと思います。  その次は、その雇用促進について、諸外国では、ただ雇用促進というほかに、事業所に対して雇用を義務化して義務づけている、また、これに反すれば罰則を伴うというような外国の例もあるようですが、日本の場合はそういうような義務化をしていないようでありますが、この点についてはなぜ義務化しないか、義務化しないでも十分やっていかれるものかどうか、それについてお尋ねしたい。
  69. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 諸外国の事例を見ますと、小平先生御指摘のように、雇用率を設定してそれを義務づけておる、違反者には罰則を科するという法制をとっておるところが、程度の違いはございますが、イギリス、フランス、イタリーというようなところ、あるいは西ドイツというところにございます。しかし、わが国におきまして五年前に制定されました雇用促進法に基づきまして、現在ようやく官公庁と民間それぞれの分野におきまして所定の雇用率をおおむね達成しておるという現状でございまして、これからこれら諸外国の法制等も勘案しながら今後の労働市場全体の情勢も検討いたしまして、現行の促進法で十分かどうか、あるいは再検討の余地があるんではないかというような点を審議会中心に検討はしてまいりたいと思いますが、私どもの現在の実情では、現行法の促進法でまず身障者の雇用を確保する、まだまだ職場の適職の拡大とか、あるいは補助具の研究だとか、こういった側面的な環境整備が非常に重大だと思いますので、そういう点に主として努力をいたしまして雇用率を上げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 小平芳平

    小平芳平君 もう一つ雇用率を上げていくと同時に、大事なことは労働条件についてですが、実際に先ほどの労働大臣の御説明だと、就職した者が三万九千四百八十九人といわれております。なおまた、現在求職中の者が九千四百十二人、このように申されておられますが、これらの人たち労働条件についてお調べになったことがあるかどうか。実は雇用の義務化に関連して労働条件が問題になってくると思うのですが。
  71. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 労働条件につきましては、健常者との比較、その他いろいろ問題がございますが、今日までのところ、実態調査的なものが実はなかったのでございます。そこで、ことし特に厚生省と提携をいたしまして身障者の実態調査を行ない、労働省としては、特に雇用条件労働条件の実態がどうなっておるかというような点についてことし実態を調査をして、後刻御報告申し上げたいと存ずる次第でございます。
  72. 小平芳平

    小平芳平君 したがって、いままでは労働条件調査したことはないわけですか。
  73. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 部分的にはございます。私どもの窓口で扱ったケース、あるいは身体障害者訓練所の修了生が就職した場合の初任給のケース、こういったものはございますが、それ以上の実態がその後どうなっておるかというふうな点については必ずしも十分な資料がございませんでしたので、今後の実態実調で整備いたしてまいりたい、かように考えております。
  74. 小平芳平

    小平芳平君 結局労働条件調査したこともないし、それから、また、実際問題は、雇用はされましたけれども、まあ学卒の一番年の若い就職者、あるいは女子の労働者よりもなお給与も安い。そこを労働条件についてもっと詳しくお調べになっていただかなければ、実際問題は私もわからないのですが、まあどういう職種があるか、たとえば足が不自由だと、そういう肢体不自由の人が就職した場合に、実際その仕事をさせれば、生産能率はある職種ならできる。ある職種ならできるのにもかかわらず、そういうようなからだの健康な一番新しい就職者よりもなお待遇が悪い、あるいはそれ以上にまた職場に理解がない、変な目で見られる、ばかにされる、したがって、本人が卑屈になる。卑屈になれば職場でも喜ばれない、そういうようなことを繰り返している人が相当多いんじゃないかというふうに私は考えているんです。ですから、もっと根本的に政府が責任を持って、そういう身障者に対する対策を政府の責任でやっていくという、そういう根本的な考えのもとに、いますぐ具体的にどうこうということは第二の問題としまして、まずそういう恵まれない人たちのしっかりした調査資料をつくっていく、それが先決問題じゃないですか。
  75. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 従来、身障者の就職状況につきまして詳細な調査のなかったことははなはだ遺憾でございます。先ほど局長から御説明申し上げましたとおり、目下調査中でもございますので、その調査ができましたならば、また、先生のお示しのような点を十分考慮しながら、政府としても最善の努力をいたしてまいりたいと、かように考える次第でございます。
  76. 小平芳平

    小平芳平君 それで、労働条件については、また詳しい調査ができてからに論ずるといたしまして、今度はもう一度先ほどに戻りますが、雇用促進をしていく場合に、官庁ならともかく、民間の企業に対してこれこれしかじかの率で雇用せよというふうな場合に、一つは、もう一ぺん局長から、なぜ日本の法律がそのときに義務化をしなかったかという経過をお尋ねしたい。それから、もう一つは、義務化することに関連して、事業所に対する優遇措置、たとえば税金の税制の面における、あるいは融資等におけるそういう優遇措置現状はどうか、将来に対する対策はどうか、お尋ねしたい。
  77. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 現行法は、御承知のように、雇用率の設定は官民ともにいたしておりますし、その達成のために、民間の事業所に対しましても採用計画を作成する命令を発し得る条件はすでに整備しておるのでございますが、わが国の法制ではヨーロッパの法制と若干違いまして、罰則を科していない、罰金刑その他を科しておらないという点が若干違いますけれども、雇用率達成についての、何といいますか、行政指導の面では相当強力にやり得るし、また、現行の法制で所期の目的が達成できるのではないか、かように考えて、その他のいろいろな環境条件についてもう少し改善すべきところを改善して、雇用率のより一そうの達成をはかってまいりたいというのが現状でございます。  第二点の、税制、融資その他の優遇措置の問題でございますが、これは非常に裏づけがないとこれからの雇用促進については不十分ではないかという面ももちろんございます。ただ、税制の点については、これはなかなかやっかいな問題でございまして、たとえば中高年対策等とも関連を持ってまいりますし、税制の点で、身障者を雇用したらそれだけで優遇をするという点については、他とのバランス上いろいろ問題があろうかと思います。私どもとしましては、雇用を促進するために、融資の面で住宅、福祉施設等につきまして、身障者を雇用した場合には低利長期の融資を積極的にはかってまいりたいというようなことで、来年度の要求といたしましては、そのための特別ワクを若干用意して新しい融資制度を確立してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  78. 小平芳平

    小平芳平君 もう少し局長から具体的にひとつお述べになっていただきたいこと、明年度の対策、明年度どのような政策を新しく身障者の雇用促進労働条件の向上、職場の安定、そういうことに対する労働省の来年度の政策、その見通しについてお尋ねしたい。  それから、大臣にお尋ねしたいことは、結局いまの労働省の身障者対策というものは、政府が本腰になってやっているというような感じよりも、むしろ民間の篤志家にたよるといいますか、まあ大臣の表彰もありましたようですが、そういう篤志家にたよるようなほうが大きくて、政府自体がほんとうに本腰を入れてそういう人たちのめんどうをみてやるんだぞという、そういう積極的な姿勢というようなものが必要じゃないか。特に労働省としては、たとえば融資なり税制なりについて大蔵省その他に対してこういうことを要求して、それで身障者の雇用促進、福祉についての努力をしているんだと、そういう積極的な政策がおありかどうか、お尋ねしたい。
  79. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 身障者の雇用促進につきましては、すでに御承知だと思いますが、安定所の窓口の今日までの体制が、すでに相当身障者の就職促進をはかるために有利な体制といいますか、そのための体制を相当強化いたしております。たとえば職業紹介官は一千人程度ございますが、そのほかに就職促進指導官というのが七百七十六名全国にございます。これらはいずれもケースワーク方式をりまして、こういった身体上のハンディキャップを持っておる方々の就職の相談、指導あっせんということを強力に展開しておるのでございますが、こういった基礎の上に、来年度はことしの予算よりも約一千万円程度身障者独特の雇用促進経費としまして大蔵省に予算要求をいたしております。ことしは大体七百七十万円程度の予算が入っておりますが、来年はこれをさらに一千万円ぐらいふやしていきたいというようなことで予算要求はいたしております。その内容のおもなものは、身障者の職業能力に関する研究、職場の新しい開拓、残存能力を活用できる職場をさらに従前以上に開拓をしていきたいということで、この方面の研究調査費を要求いたしております。それから、さらに身障者の職業講習会というのを、いま、ことしは東京一カ所でやっておりますが、これを来年は全国五カ所程度に広げて、さらにその充実を期してまいりたい、こういった経費が身障者独特の予算要求として来年度に要求いたしております。それから、先ほどの促進融資の別ワクの問題でございますが、これも来年度は初めてのケースといたしまして一億二千万程度を要求いたしております。そういった状況で、この予算の獲得については最大の努力を払ってまいりたい、かように考える次第であります。
  80. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 身障者の雇用を促進するということに政府がもっと本腰を入れてやれ、こういうお話でございまして、御趣旨まことにごもっともだと存じます。政府も、いまの職安局長のほうから御説明申し上げましたとおり、いろいろな点で及ばずながら努力をいたしておるわけでございます。ただ、私は、雇用促進のやはり前提条件とでも申しますか、そういう面で身障者がやはり職場に就職をして働き得るように、また、その能力をやはりつけてやるということが、より基本的な問題ではなかろうかと思うのでございます。そういう点についても、御承知のとおり、訓練等も現にやっておりますし、そういう施設も逐次拡充をいたしていく。ただ、何らの訓練等も経ずに、職場のほうでただやってほしい、こう申しても、中には、もちろん訓練等を要しないでも相当技術、技能を身につけた人もありましょうが、政府としては、そうでない一般の身障者の方にやはり技能を身につけてやる、そのことがやはり基本的には必要ではなかろうかと、そういう面にまず力をいたし、そういうものを職場のほうにできるだけ採用してもらうように、あるいは雇用条件等についても、もちろん一般の人とそう変わらないように、技能さえ身につけておりますならば、そう変わる人はなかろうかと思いますので、そういう基本的な立場からもまず力を入れていくベきじゃなかろうかという考えでございます。
  81. 小平芳平

    小平芳平君 時間もおそいので、結論的にお尋ねしますか、結局大臣は、職業訓練をして技能を身につけさしていくように力を入れる、また、局長は、相当来年度は新しい政策を打ち出すというふうに言われておりますが、個々の障害者にとってみれば、一体その人はどこへ相談にいったらいいか。実際具体的にどこへ相談にいけば、どういう人が待ち受けて、どういうふうに訓練なり紹介なりしてくれるか、実際問題はそういう点が非常に立ちおくれているように私は思うのですが、いかがですか。
  82. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは安定所の窓口でございますが、安定所の窓口には、必ず大きなところは身障係というものもございますし、それから、先ほど申しました促進指導官、あるいは紹介官というのが窓口に並んでおりますので、ここがケースワーク方式に従って身障者の就職の相談、あっせんにのるようになっておりますので、安定所にお越し願うのが一番早道だと思います。それから、また、その他訓練施設のある安定所は特にそういった緊密な体制がとられておりますので、大体安定所に行けば就職のお世話は願えるということは周知徹底いたしておると思います。ただ、家に引っ込んでおってまだ外へ出ないというのが若干ございますので、これは厚生省系統の民生委員と連絡を取りながら、そういう就職の促進、あるいは訓練所の利用というようなことに対する啓蒙を積極的にやっておるという状態でございます。
  83. 小平芳平

    小平芳平君 そう局長おっしゃいますけれども、先ほど職業紹介官一千名、就職促進指導官七百七十六人とおっしゃいますが、特に身障者のための係官がそれじゃ何人おりますか。
  84. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは身障者だけという扱いにはなっておりませんけれども、このケースワーク方式でこういった専門官を窓口に配置するという趣旨は、身障者の雇用促進というふうな、特に就職の指導あっせんに専門的な知識経験が必要だということでこういった制度をつくったのでございまして、身障者だけの制度ではございませんけれども、特に力を入れなきゃならぬ対象が身障者あるいは中高年の就職、求職者ということが重点になっておりますので、大体身障者の御相談には十分御利用願えるのではないか、かように考えております。
  85. 小平芳平

    小平芳平君 それで、福祉事務所には身体障害者福祉司というものがあります。それではその福祉司と紹介官と何か連携するなり打ち合わせるようなことがございますか。あるいは、一体その本人は実際問題として迷っちゃうわけですね、どっちの窓口が自分の窓口なのか。
  86. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 福祉司と指導官あるいは紹介官との連携は、これは絶えず第一線の機関としてはやっておるわけでございます。その上部団体として、県の段階で安定課と社会課系統の機関がこの問題については連絡調整をやっておる、こういう体制でやっておりますので、第一線機関としての福祉司とうちのほうの指導官、紹介官というものは緊密な実は体制をとってやりつつあるというふうに私は認識いたしておりますが、なお不十分なところは今後さらに積極的に指導をしてまいりたい、かように考えております。
  87. 小平芳平

    小平芳平君 第一そういう窓口が分かれておること自体が問題であると思います。また、その実際問題が、労働省のその推進していく政策がそれほど積極的に実際には社会には反映してないのが現状だと思うのです。もっともっと積極的に、こういう人でもこういうふうに立ち上がれるのだ、特に大臣の一言われた職業訓練技術の習得という点についても、それこそ政府のほうでは、たとえばコロニーとか、いろいろな新聞報道も若干出ておりますが、突き詰めて聞いてみると、中身はまだ雲をつかむようだということで、今後の新しい対策というものがもう至急に立てられなくちゃならない段階がきていると思うのです。いままでのような指導官と紹介官で事足れり、いままでのような福祉事務所で事足れりという、そういう考えを捨てて、新しい、もっと根本的にそういう身体の不自由なものを社会に復帰させていく、一日も早く社会に復帰できるような全幅の体制をつくっていく、そういう政策が考えられなければならない段階だと思いますが、いかがでしょうか。
  88. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 先生の御指摘のような方向において、労働省としましても、従来まだまだ足らぬ面がたくさんございましょうから、今後、さらに一そう努力をしていくつもりでございます。
  89. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  90. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を起こして。
  91. 小平芳平

    小平芳平君 最後に資料を要求します。  最初申し上げましたように、基本的な問題を調査したものを職種別、地域別、特に身体障害者の場合は職種別が大事だと思うのですが、その賃金、あるいは勤続年数、その他いろいろな労働条件についての資料、それから、企業に対する優遇措置というものがこれは将来問題になると思うのですが、現在でもある程度はそういうことができているようですから、そういうものの資料等をお願いします。
  92. 小平久雄

    ○国務大臣(小平久雄君) 承知いたしました。
  93. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いま身体障害者の質疑が行なわれたわけでありますが、来年度の予算は、これを見ると、ことしから比べて三倍半ぐらいの予算が要求されておるようでありまするが、私は、いまもいろいろと御意見がありましたように、身体障害者雇用促進法という法律があるわけです。だから、それが一・五%ですかで罰則がないというようなことで、これも外国のを見ると一、五%か二〇%産業別によってこの問題が具体的に身体障害者雇用の機会というものをつくっている国が多くあるわけです。ですから、私は、たとえば奉仕とか篤志によってやるということでなしに、それも一つの方法でありましょうけれども、たとえばやはり身体障害者雇用促進法を改正をして、身体障害者雇用の機会をつくるという道を開く。それから、もう一つは、政府自身がやる事業において、私はたとえばの例をあげますと、道路公団の切符売り渡しとか、まだたくさんありますが、時間がありませんから申し上げませんけれども、そういう作業については身体障害者を充てていくというかまえがなければ、私はこの問題はなかなか前へ進まないのじゃないかと思いますから、きょうは、いま小平さんが質疑されたからいたしませんけれども、いまいろいろ要望がありましたから、私もつけ加えて、こういう法律の改正をどうしていくか、軽易の事業に身体障害者を充てていくというようなことを含めて検討をして私はことしはやっていただきたい。いずれ議会が始まったら、この問題はもっと前進した形で議論をして深めなければならぬと思いますが、ぜひそのことも含めて、小平さんの要望と含めて考えて今後の施策にしてもらいたいということを申し上げておきます。
  94. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  速記をやめて。   〔速記中止〕
  95. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それじゃ速記を起こして。     ―――――――――――――
  96. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、昭和四十一年度労働省関係予算概算要求に関する件について調査を行ないます。  政府の説明を聴取いたします。上原会計課長
  97. 上原誠之輔

    説明員上原誠之輔君) 労働省の昭和四十一年度の概算要求の内容につきまして、お手元に資料が配付してございますので、その資料に従いまして御説明を申し上げたいと思います。  内容に入ります前にお断わりを申し上げたいのでございますが、これは申し上げるまでもなく、労働省の大蔵省に対しますいわゆる概算要求でございます。予算の案といたしましては、これから年内にかけまして、大蔵省をはじめ、関係機関との折衝の過程を通じて固まる筋合いのものでございまして、きわめて内容としては未確定なものでございますので、その点あらかじめ御了承を願いたいと思います。  時間もございませんので、簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず、要求の総額でございますが、一ページをごらんいただきたいと思いますが、要求額といたしまして、総額は、一般会計で千百七十四億四千九百万円でございます。また、労災保険の特別会計では千百八十九億九千六百万円、失業保険特別会計では千七百八十八億九百万円となっておるのでございます。  で、主要な事業でございますが、まず第一に、長期、短期の雇用情勢に対応する積極的雇用政策の展開でございます。これにつきましては五つの内容があるわけでございますが、合わせまして要求額といたしましては七百十五億一千万円でございます。まず第一の項目は、二ページをごらんいただきたいと思いますが、長期的雇用政策の確立と労働力需給調整の推進でございまして、内容といたしましては、労働力需給調整計画の策定が第一、第二は労働力需給調整の推進、第三は職業指導及び雇用管理の向上でございまして、そのそれぞれの経費といたしましては、合計いたしまして百五十億三千四百万円を要求いたしております。  次は、最近の経済の停滞に伴いますところの雇用問題に対する機動的な政策推進の問題でございますが、これは総額といたしまして二百二十九億九百万円でございます。第一は中高年齢者就職困難な労働者に対する雇用の促進でございまして、これが百五十七億八千三百万円でございます。おもなものは五ページの最後に出ております中高年齢者に対します就職指導、転職訓練就職促進の推進に要する経費でございまして、前年度同様、対象人員といたしましては一万人を予定いたしておるのでございます。  それから、その次は大学、高校卒業者に対する雇用の促進でございます。来年度非常に困難を予想せられます大学卒業生の就職問題に対処いたしますための雇用対策、それから、学校卒業生の中で非常に高いウエートを占めてまいります高校卒業者に対する雇用政策の推進に必要な経費といたしまして二千九百万円を要求いたしております。  その次に、出かせぎ労務者対策、これは一億一千二百万円、その次に炭鉱離職者対策の充実といたしまして五十二億三百万円を要求いたしております。炭鉱離職者関係は七ページでございます。  次に、八ページにまいりまして、港湾労働者対策の充実でございます。これは港湾労働法の来年度における全面施行を期しまして、それに必要な経費を要求するものでございます。要求額といたしましては十億四千二百万円でございます。  第六番目といたしましては、身体障害者等の雇用促進でございまして、額といたしましては合わせまして七億四千万円でございます。  それから、次に、同じく九ページの欄でございますが、職業転換給付制度の創設でございます。で、一〇ページにも書いておりますように、今後の雇用情勢に対応いたしまして、産業間、地域間等の労働移動を円滑にいたしますための諸種の給付の制度でございます。総額といたしましては百二十七億一五千万円でございます。  次に、失業対策事業でございます。一〇ページの失業対策事業の運営の改善でございます。これは例年のとおり、まだ来年度における諸般の失業情勢につきましての見通しが明確でございませんので、概算要求といたしましては、とりあえず前年度同額を計上いたしております。三百二十六億二千七百万円でございます。  なお、最後に、職業安定機関等の組織機能整備の強化、要求額といたしましては九億四千万円でございますが、この中でおもなものは職業研究所の新設でございます。昭和四十二年度発足を目標にいたしまして職業研究所を新設いたしたいということで要求をいたしておるわけでございます。以上が長期、短期の雇用対策でございます。  次は、技能労働力確保及び技能水準向上対策の積極的推進でございます。一一ページでございます。要求額の総額は百二十三億四千七百万円でございまして、柱といたしましては二つございます。一二ページの技能労働力確保対策の推進でございます。総額といたしましては百十八億五千百万円、内容といたしましては、職業訓練計画樹立のための調査実施をはじめといたしまして、事業内職業訓練の積極的推進、一三ページの公共職業訓練の拡充強化でございます。  次に、一五ページ、技能水準向上対策の推進に必要な経費でございます。総計といたしまして四億九千六百万円を要求いたしております。中身といたしましては、技能検定制度の拡大に必要な経費といたしまして三億二千三百万円、それから一六ページでございますが、技能センターの増設に必要な経費といたしまして一億四千三百万円、再訓練制度の確立と再訓練の推進に必要な経費といたしまして三千万円。なお、このほかに職業訓練行政機能の強化充実といたしまして所要の組織の強化を要求いたしております。  次に、一七ページの労働災害防止対策の積極的展開と労働条件近代化の推進でございます。合計いたしまして十八億八千六百万円でございます。中身は二つでございます。一つは労働災害防止対策の推進でございます。その関係の必要な経費といたしましては、まず第一に技術進歩に対応する科学的労働災害防止対策の展開、これはおもに一八ページの最後に書いてございますように、屋外実験場の設置が中心でございます。  それから、第二は、一九ページの最後にまいりまして、労働災害防止に関する啓蒙、教育指導の強化、自主的災害防止活動の推進に必要な経費でございまして、二〇ページをごらんいただきたいと思いますが、おもなものは労災防止会館の建設でございます。なお、そのほかに労働災害防止協会に対する補助金といたしまして四億八千万円を要求いたしております。  なお、その次に、中小企業における労働災害防止対策の推進でございますが、これは九千五百万円を要求いたしております。二〇ページの終わりから二行目に書いてありますように、来年度は特に安全衛生施設整備をはかりますために特別の融資制度を創設いたしたいということで要求をいたしております。  以上、労働災害を合わせまして、総計は十六億五千百万円でございます。  次に、二一ページの労働条件近代化対策の推進に必要な経費でございます。要求の総額といたしましては二億三千五百万円でございまして、中身といたしましては、最低賃金制の推進、賃金問題の合理的解決への指導援助の強化、これは二二ページでございます。それから、次の二三ページにまいりまして家内労働対策の推進、労働時間対策の推進、社内預金対策の推進、それから、賃金制度、労働時間制度、休日制度等労働条件諸制度に関する総合的調査実施、二四ページでございます。これらを合計いたしまして二億三千五百万円の要求をいたしておるのでございます。  次に、労働保険の拡充でございます。これは二五ページをごらんいただきたいと思いますが、労働保険の適用拡大、労災保険制度の充実、それから失業保険制度の改善、すべて合わせまして労働保険の拡充といたしましては、要求額は三十八億四千万円といたしております。  次に、二七ページに進みまして、労働者福祉対策の積極的展開でございますが、四十六億七千八百万円を要求いたしております。おもなものは労働金融公庫の創設でございます。これは特別会計を合わせまして三十二億三百万円を要求いたしております。その内容は、二八ページをごらんいただきたいと思いますが、現在、雇用促進事業団を通じまして雇用促進融資をやっております。今年度八十億円でございます。この雇用促進融資、それから、新たに、先ほど御説明申し上げましたように、安全衛生施設融資を創設したいと思っておるのでございます。この安全衛生施設融資、それから、現在、中小企業退職金事業団が行なっております退職金共済融資、これをあわせまして一元的な労働金融公庫を創設したいと思っておるのでございます。融資計画は百六十億円を予定いたしております。  次に、勤労者財産形成政策の推進でございますが、これは本年度の施策をさらに来年度引き続き推進したいということで、要求額といたしましては二千万円でございます。  それから、次に福祉対策の充実でございます。十四億五千五百万円でございまして、これは婦人及び年少労働者福祉施設の増設の関係は後ほど申し上げたいと思います。  次に、二九ベージの、相互信頼関係の上に立つ合理的労使関係の促進に必要な経費といたしまして九億六千四百万円を要求いたしております。そのおもなものの一つは、労使関係における信頼関係の基盤の育成でございます。三〇ページでございます。その関係に必要な経費といたしまして一億円、それから、中小企業における労務管理、労使関係近代化の促進といたしまして八億六千四百万円、これを要求いたしておるわけであります。  次に、婦人、年少労働者対策の推進でございますが、三一ページでございます。合計いたしまして四億三千五百万円でございます。内訳といたしましては、婦人労働力有効活用対策等の推進に必要な経費、それから、三三ページにまいりまして、婦人及び年少労働者保護福祉対策の推進に必要な経費、それから三四ページにまいりまして、農村における出かせぎ家庭対策の推進、それから、三五ページの勤労者家庭生活向上対策の推進、合わせまして四億三千五百万円でございます。  次に、三五ページにまいりまして、総合的中小企業労働対策の推進でございます。これはいままで申し上げました中小企業関係の政策に関する予算を総まとめにしたものでございますので、省略さしていただきたいと思います。  次は、三九ページに進んでいただきまして、国際労働行政の充実強化として二億五千二百万円の要求額でございます。おもなものはILOの分担金でございます。なお、国際労働行政の充実のために、ここに書いておりますように、レーバーアタッシェの増強をはかりたいということであります。  それから、最後に四〇ページにまいりまして、今後の長期的な労働経済の見通しに立った総合的な計画を企画、立案いたしますための経費でございまして、これに関しましては総合企画局の組織の設置を要求いたしております。  最後の四一ページの失業保険国庫負担金、労災保険事業費国庫補助金、いずれも法律に基づきます国庫負担金の額でございます。失業保険では三百八十二億円、労災保険では十八億四千百万円ということになっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、来年度の概算要求の概要を御説明申し上げました。
  98. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  99. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、きょうは質疑をしようとは思いませんが、ずっと並べられて計画とかいろいろと施策の方向だけが出て、予算だけが出ているわけです。だから、その具体的なものをやっぱし何か出してもらわないとなかなか説明がつかぬのではないか、そう思います。だから、これはぜひひとりお互いに、より勉強する、より実体をつかむという意味で、こういうことをことしはやるから、それでこれだけの費用が必要なんだということを、ひとつ別の資料で出してください。これだけお願いしておきます。
  100. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十六分散会