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1965-09-21 第49回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年九月二十一日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  九月二十日     辞任         補欠選任      園田 清充君     徳永 正利君      森 八三一君     高橋  衛君      永岡 光治君     中村 波男君  九月二十一日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     古池 信三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大倉 精一君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 中村 英男君                 白木義一郎君     委 員                 古池 信三君                 近藤英一郎君                 重政 庸徳君                 徳永 正利君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 和田 鶴一君                 鈴木  力君                 武内 五郎君                 中村 波男君                 吉田忠三郎君                 浅井  亨君                 高山 恒雄君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣総理大臣官        房審議室長    高柳 忠夫君        内閣総理大臣官        房参事官     金子 任利君        文部省管理局教        育施設部長    中尾 龍彦君        厚生省環境衛生        局環境衛生課長  柳瀬 孝吉君        農林省大臣官房        参事官      尾中  悟君        運輸省大臣官房        審議官      中野  大君        気象庁長官    柴田 淑次君        気象庁予報部長  今里  能君        建設政務次官   谷垣 専一君        建設省河川局長  古賀雷四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風二十三号、二十四号、二十五号等による  災害対策に関する件) ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  九月の二十日、園田清充君、森八三一君、永岡光治君が辞任され、その補欠として徳永正利君、高橋衛君。中村波男君が選任されました。  また本日、大谷藤之助君が辞任され、その補欠として古池信三君が選任されました。     —————————————
  3. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、台風二十四号による災害対策に関する件について調査を進めます。関係政府当局より順次説明を求めます。最初に気象庁
  4. 今里能

    説明員今里能君) 台風二十四号の経過を簡単に御説明申し上げます。  昭和四十年の九月八日。グアム島の南西およそ四百キロの海上に弱い熱帯性気圧がございましたが、気圧は……。
  5. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 資料ありますか。
  6. 今里能

    説明員今里能君) 申しおくれました。相済みません。ガリ版刷り先生方のお手元に「台風二十四号・二十五号に関する気象概要」、これがお配りしてございます。  九月の十一日九時には中心気圧は九百九十五ミリバールに下がりまして、台風第二十四号と命名されました。その後次第に発達しながら北西進行いたしまして、十五日には沖繩の南およそ四百キロの海上でやや停滞ぎみとなりました。十六日の九時には、沖繩南東二百キロに達しまして、中心気圧は九百三十ミリバール、それから中心付近におきますところの最大風速は六十メートルとなったのでございます。この時点におきまして最も発達した状況でございます。  それ以後、次第に速度を速めながら北東の方向に進行いたしまして、午後八時四十五分三重県志摩半島の東端大王崎付近上陸いたしました。この上陸時の気圧は九百五十五ミリバール、最盛時に比べますと幾らかおそくなっております。これから渥美湾に移りまして愛知県に再上陸いたしました。  その後、長野、新潟両県を経て副低気圧を伴いながら本州を縦断いたしまして、十八日の九時には津軽海峡の東の海上に達して温帯低気圧となり、夕刻にはオホーツク海に入って北方に去ったのでございます。  以上が、この進行経過でございますが、この台風二十四号の性状を、どういう特性を持っておったかということを概括して申し上げたいと思います。  台風二十四号は、本年発生いたしました台風の中では最も規模の大きいもので、大型の強いものということができます。しかしそのわりには、中心気圧はそれほど低くございませんで、なべ底型の台風の構造を持っていたように思われるのであります。  二番目といたしまして、これは台風二十五号と相伴いながら進行してきたということでございます。三番目に、上陸いたしました後も著しい衰えを見せなかったということができます。それから四番目には、台風が非常に遠い海上にございますうちから、強い雨が内地に降りまして、しかも、この集中豪雨関東以西の広い地域のほうぼうで転々とその中心を移動しながら来たのでございます。それからこの台風自体のもたらしました雨は、やはり相当なものでございまして、百ミリくらいでございまして、その雨域北海道から九州に及ぶ非常に広範囲なものでございます。これは台風自体のもたらした雨についてでございます。  それから経路につきましては、台風二十五号と相伴ってまいりましたために、その進行影響を受けまして、予測の上に非常に困難を与えたことでございます。  それからこれはきわめて重要なことでございますが、日本に接近するにつれまして暴風半径が非常にいびつになってまいりまして、南東側では三百五十キロという非常に広い、暴風半径二十五メートル以上の暴風半径を持っておりましたが、北西側は、百キロと非常に少なくなっております。それからこの台風進路が伊勢湾の東でございましたために、幸いに、満潮時と合致はいたしましたが、名古屋におきましては、高潮の害から免かれることができましたし、また東京、横浜に近づきましたころは、ちょうど干潮時でございましたために、心配された高潮の害が起こらなかったということでございます。  この台風二十五号は、昭和二十八年の九月十六日から二十九日にかけて内地に襲来いたしましたところの台風十三号とその経路、それから規模とともにきわめてよく似ております。違いますところは、十三号の場合と違いまして、災害に若干差異があったということでございます。  それからつけ加えまして、二十五号の経過を簡単に申し上げますと、台風二十五号は九月十三日た弱い熱帯性気圧として発生いたしましたが、その後二十五号という台風となり、小型の弱い台風でございまして、台風二十四号の進路を多少牽制いたしながら海上暴風雨をもたらしましたけれども、陸地に直接の影響は与えません。  それから台風二十四号に関連いたしましたところの雨の状況について簡単につけ加えておきたいと思います。本州の南のほうの海上にありました前線が九月十三日の昼過ぎから北のほうに移りまして、夕刻ころから西日本全般に雨をもたらしました。翌十四日の朝になって前線日本の南岸に接近いたしまして、四国南部紀伊半島南部及び近畿地方北西部にかけて強い雨を降らせたのでございます。三時間の雨量が、特に三重県の西山では百七十ミリにも達した所がございます。十四日の昼ころから、四国から能登半島にかけましてこの気流の収束する区域がございまして、一そう強まりまして、四国近畿、それから北陸西部、この方面にかけまして雨が強く降りました。この状態は十五日も続いたのでございます。  十五日の九時までにどのくらいの雨が二十四時間で降ったかと申しますと、四国東部で二百ないし三百ミリ、それから紀伊半島南東部では百ないし三百ミリ、岐阜福井県の境付近では実に三百ミリから七百ミリ、所によりましては一千ミリをこすような雨量を観測したのでございます。十五日の昼過ぎには、西日本から関東にかけまして、前線上で局部的にまた雨が強まりまして、関東東部ことに茨城県でございますが、三時間に八百ミリ近くの大雨が降った所もございます。十六日の午後から前線は再び活発となりまして、十五日前後から、四国近畿西部で強い雨がまた降り始めたのでございます。その三時間雨量州本では百六十四ミリにも達しました。四国東部から近畿北部北陸西部この地方の長雨は十六日の夜も引き続きまして、台風二十四号が通過いたしました十七日の夜半まで続いたのでございます。  十八日の午前三時には、台風の北上につれまして強い雨の区域北陸東部から東北地方に移りまして、新潟県の高田では三時間雨量が九十八ミリということに記録されました。  これをまとめて申し上げますと、十三日の九時から十八日の九時までの総雨量は、四国山岳部、それから紀伊半島山岳部及び北陸西部、それからまた岐阜県の西部にかけての各地方では五百ミリから千ミリ、また、中部地方南部では三百から六百ミリ、北海道でも百ないし二百ミリの総雨量となったのでございます。  この台風二十四号並びにその前に降りました集中豪雨等のために、全国ほとんど各都道府県が注意報を出しておりまして、それから警報を出しましたところは三十二都通府県に及んでおります。  以上が台風二十四号並びに二十五号、それからまたその前に降りました豪雨概況でございます。  以上で終わります。
  7. 大倉精一

  8. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 本日は、去る十七日に設置されました非常災害対策本部長瀬戸山国務大臣出席して御説明申し上げる予定でございましたが、ちょうど閣議と重なりまして出席ができません。また副本部長細田総理府長官は、昨日、兵庫県の災害地を視察するために団長として出発いたして、留守でございます。かわりまして内閣審議室長高柳でございますが、昭和四十年台風二十四号の被害状況と、政府のただいままでとっております措置の大体概要につきましてお手元にこういう横の資料が配付してあると思います。標題は「昭和四十年台風二十四号等による被害状況政府のとった措置概要」この資料に基づきまして御説明を申し上げたいと思います。  また、ちなみに本日、この資料に基づきまして、瀬戸山本部長から閣議に同じような概要報告をする予定になっております。ただいまの資料は、昨日二十日正午現在でおおむね各省資料を提出いただきまして数字をまとめております。したがいまして、その後また逐次増減もございますので変更あるかと思いますが、一ページの被害概況のところでございます。1の(1)の人的被害といたしましては、死者八十九名、行方不明二十九名、負傷者三百三十三名となっております。建物被害は、全壊四百七棟、半壊六百六十一棟、流失二百五十八棟、全焼三棟、床上浸水三万九千八十三棟、床下浸水二十一万八千八百二十六棟、一部破損六千七百五十三棟、非住家被害四千八百九十五株、(3)以下ごらんになっていただきまして、そのような数字になっております。  二ページの終わりでございますが、施設等被害、これは午後三時現在でございますが、ごらんのように公共土木施設から農作物等被害まで一番から十一番まで被害状況報告がございます。これらの点につきましては、それぞれまた関係各省から詳細の御説明をしていただくことになろうと思います。  また、商工関係交通関係被害につきましても、相当多額にのぼっておりますが、特に交通関係につきましては、現在の不通区間は、三ページの後段のほうにございますが、幸い主要幹線国鉄等の努力によりまして早急に復旧がなされておる状況でございます。  次に四ページの国道関係電信電話関係電力関係等につきましても詳細述べましてございます。無点灯の部落も、直江津の山間部の約四百軒、福井県の西谷村に約五十軒がございましたが、御地からの報告では二十日じゅうには復旧見込みであるということでございます。  次に五ページでございますが、今日までに政府のとりました措置概要と今後の対策につきまして御説明を申し上げます。  九月十日から台風二十三号が上陸し、また二十四号も上陸の気配が濃くなりました際に、随時に総理府におきまして関係各省庁の連絡会議を数回にわたりまして開催いたしまして、被害状況各省のとっておる応急対策災害に対する予防対策等について検討をして、それぞれ現地の機関に指示をいたしておった次第でございます。  その後、二十四号の上陸が必至となりまして、その被害も各地に出てまいりましたので、九月十七日に災害対策基本法に基づきまして、標題のように「昭和四十年台風二十三号、第二十五号及び第二十五号非常災害対策本部」を総理府に設置いたしまして、本部長国務大臣瀬戸山三男氏を任命し、副本部長総理府総務長官細田吉藏氏を任命し、関係各省課長以上の職員をもって本部員に任命し、発足をいたしたわけでございます。たまたま本部長瀬戸山大臣は所用で金沢地区に参っております。これを連絡いたしまして、本部会合は発足してから、本部長が来られないままでございましたが、三回、緊急な対策のための会合を開いております。その間、本部長は石川県、福井県の災害地を、現地におもむきまして視察してまいられました。土曜日に帰京し、昨日、本部長としては第一回でございますが、災害対策本部としては第四回目の会合総理府において開催した次第でございます。その際、本部長から災害対策基本につきましての関係各省に対する御指示がございました。今後災害対策を推し進めていく上におきましては、この方針を主といたしまして、関係各省協力してやってまいる予定でございます。  簡単にその項目を御説明申し上げますれば、一として、災害の実態を早急に把握すること。二、交通、通信、電灯の復旧、確保につとめること。三、食糧、衣料の補給を迅速に行なうこと。四、医薬等衛生措置の完全を期すること。五、水害等災害原因を究明すること。六、災害復旧には災害根本原因排除を眼目とすること。七、応急措置を急ぐとともに、緊急を要する部分復旧をすみやかにすること。八、緊急融資を実施すること。九、特別交付税の繰り上げを実施すること。十、国、地方税の減税をすみやかに決定すること。十一、中小企業農業資金融通をすみやかにするとともに、旧債の償還延期等措置をとること。十二、激甚地指定天災融資措置をすみやかに決定すること。十三、予約米代金措置について検討すること。これらの事項は大部分検討もいたしておりますし、すでに実施をいたしておるものもございますが、方針といたしましては、このような方針のもとに、昨日は対策本部でこの指示各省に徹底して、早急にできるものから実施してまいるつもりでおる次第でございます。  時間の関係もございますので、詳細はこの資料でそれぞれの現在までにとっておる状況を書いてございます。  ちょっと言い落としまして補足さしていただきますが、先ほどちょっと触れました災害地現地調査団のことでございます。第一班は、細田総理府総務長官団長といたしまして十二名が兵庫県下に昨日出発いたしまして、きのう、きょうと兵庫県のうち神戸市、姫路市、淡路島等を視察しております。またきょう二十一日には、後藤農林政務次官団長といたしまして十一名が、福井県、岐阜県の両県にまたがって、でき得ればヘリコプター、ジープ等を使って被害の大きい西谷村、勝山市等の奥地へ入ってつぶさに現地状況調査してまいる予定で、けさ出発したところでございます。  以上、御報告申し上げます。
  9. 大倉精一

  10. 中尾龍彦

    説明員中尾龍彦君) 文部省でございます。  お手元資料といたしまして三枚のタイプガリ版になっております縦とじの資料ごらんいただきたいと存じます。ここに資料として差し上げましたものは、昨夜までの集計の数字でございます。被害額等につきまして、なお続々と新たな数字が入りまして、その数字は逐次増加するような趨勢にございます。  それでは簡単に御報告申し上げます。この資料の順序に従って説明をさしていただきます。今度の二十四号によりましては、教職員被害としましてまことに残念なことではありますが、岐阜県の徳山小学校において死亡者が一名、負傷者が四名、これは先生でございますが出ております。  それから施設被害としましては、国立学校公立学校社会教育施設、文化財等合わせまして現在で六優五千四百万という数字が入っております。なお、この数字につきましては、逐次ふえる見込みでございます。そのほか文化財としまして兵庫県下に十五件、四百五十八万円という数字が入っております。  この災害に対しまして、文部省としてとっております対策というものをかいつまんで御報告申し上げます。これは資料の二枚目に列記してございます。  まず一番に、災害対策本部の一員としまして、文部省から指導課長一名を兵庫岐阜福井県に派遣しております。  それから第二番目に、付属病院を持っております国立大学におきましては、医療班を編成しまして、被災地からの御要請があれば、いつでも出動できるように待機中でございます。  第三番目は、教科書被害につきまして、その被害状況、それから補給状況について調査中でありまして、この災害地教科書特約供給所に対しまして、調査補給について協力方要請いたしました。  第四番目は、この罹災によりまして、在来の貧困家庭は当然でありますが、この罹災によって新たにそういろ状態に陥ったところの要保護児童、あるいは準要保護児童と認定された者に対しましては、市町村の申請に基づいて就学援助費補助金を交付するようにいたしております。また補助金対象児童災害に伴って教科用図書等を再度給与した経費についても、補助を行なうことにいたしております。  それから五番目は、罹災によりまして学費の支弁が困難となって学業が継続できないというような国立学校学生生徒については、授業料寄宿料減免措置を講じます。なお、公立学校生徒につきましても同様の措置を講ずるように、各都道府県委員会に通達をいたしました。また私立学校罹災学生生徒については、各学校設置者において、自主的に授業料等減免措置を行なうことになっております。  六番目は、罹災によって就学困難となった罹災学生生徒、そういうものに対しまして奨学生採用基準に合致する者については、日本育英会におきまして学資貸与金特別措置を講ずるよう、いま準備中でございます。  それから七番目は、罹災による準要保護児童増加に伴う学校給食経費補助を増額することになっております。  八番目は、罹災によって要保護、準要保護児童増加に伴うこれらの児童生徒医療費補助を増額することになっております。  九番目は、学校管理下における児童生徒災害につきましては、日本学校安全会から医療費死亡見舞い金等給付を早急に行なうよう準備中でございます。  十番目は、罹災した国立学校職員に対して、災害見舞い金給付あるいは災害貸し付け金貸し付け等を早急に行なうよう準備いたしております。このことは公立学校私立学校職員に対しても同様でありまして、それぞれ公立学校共済組合本部私立学校教職員共済組合本部において同様の措置を早急に行なうよう準備中でございます。  なお、最後に十一番目としまして、被害を受けた学校学校施設復旧につきましては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法適用等措置によって早急に復旧をはかるため、被害状況の詳細を調査中でございます。  なお、公立学校被害状況は、最後の三枚目の紙に各県別に集まりました報告を集計してございます。  以上でございます。
  11. 大倉精一

  12. 尾中悟

    説明員尾中悟君) 農林省のほうから、被害概況につきまして御報告いたします。お手元に差し上げてございますこういう長い資料でございまして、「台風二十三号及び二十五号等による農林水産関係被害概況」ということでございます。実はこの前二十三号につきまして資料を出しておるのでございますが、農林関係の特異な問題といたしまして、施設関係につきましては、二十三号、二十四号、ここにございますように併記して書いてございますが、農作物につきましては、同一県で同じ水稲なりあるいは果樹等につきまして、二十三号のときの調査の途中でまた二十四号にやられた、その間集中豪雨等による被害等もございまして、便宜この段階で一括いたしまして農作物につきましては被害額を出しております。したがいまして、二十三号と二十四号を一応一括しまして御説明申し上げます。  現在のところ、九月二十日までに各都道府県から報告のあったところを集計いたしますと、施設関係で二百五十五億、それから農林水産関係で八百二十億、合計いたしまして約一千億ということになっております。被害の地帯といたしましては、九州、中国の一部、比較的軽微なところを除きましてほとんど全都道府県にわたっております。  被害のおもなものを申し上げますと、施設関係では農地、農業用施設が約百十億円、漁港、治山関係施設が約二十五億円、それから農業倉庫有線放送等公共利用施設が約四億円、開拓者の住宅、農舎、畜舎等約二億円、その他個人施設でございますが、ビニールハウス農畜舎等のいわゆる非共同利用施設が三十一億というふうなことになっております。特に被害が大きいのは、農林水産物関係の中で水陸稲でございます。これは金額にいたしまして二十三号と二十四号を一括いたしまして四百七十九億円ということになっております。被害状態といたしましては、倒木、冠水浸水あるいは風等による受精障害登熟障害等によるものでございます。  それからその次に、農作物の中で大きな被害を受けておりますのは、リンゴ、ナシ等の果実が登熟直前に落果いたしまして、約百五十億円の被害が出ております。また近畿等中心にいたしまして野菜の被害も約九十億程度に上っておりまして、冠水浸水によるものがその大部分でございます。  これらの被害対策といたしまして、先週末にとりあえず福井岐阜県に係官現地に派遣しておりますほか、各地方農政局から現場の調査をやっておりますし、なお先ほど総理府のほうからお話がございましたように、本日、後藤政務次官岐阜福井のほうへ政府視察団長といたしまして、係官を同道いたしまして現在調査中でございます。  農林省といたしましては、この春以降異常気象等関係もございまして、災害対策本部を四月末以降ずっと設けておりまして、また各地方農政局におきましても災害対策本部を設置いたしまして、今回の災害に対して遺漏のないように措置を講じておる次第でございます。  とりました措置のおもなものをごく簡単に申し上げますと、まず応急食糧配給の問題でございます。これは特に福井兵庫あるいは岐阜県等県等要請に応じまして、直ちに食糧事務所のほうから精米あるいは乾パン等応急食糧配給をやっております。それから現在農林中央金庫あるいは農協等指示いたしまして、災害つなぎ融資を、現地要請に応じまして至急出すようにということで指示をやっております。また、これも各災害のとき同様でございますが、従来被貸し付け金の返済期限が来ておる。しかも災害を、今回非常な災害があったというような農家につきましては、償還期限の延長等について各金融機関にも指示をしております。また農業共済の早期支払いの問題でございますが、これは先ほど申しましたように、水稲の被害が非常に大きいわけでございます。収穫直前でもございますし、早く現地における損害査定を終えまして、それに応じて仮払いなりあるいは概算払いを早急に実施してまいりたい、こういうふうに考えております。また天災融資法の発動につきましては、現在被害額の確定を鋭意やっておりますので、今度先ほど申しましたように、農作物被害は非常に多額に上っておりますので、天災法の発動は当然考えなくちゃならぬということで、その方向で準備を進めておるような次第でございます。  先ほどお話がございました米の買い入れの規格の問題でございますが、すでに現在までに措置いたしましたのは、等外の上の買い入れにつきましては、買い入れ対象にするように措置をいたしております。あと水分過多その他規格外の玄米の買い入れでございますが、これにつきましても早急に検討いたしまして措置をいたしたいと考えております。  また時期別格差の適用期日の延長の問題でございます。北陸近畿等におきまして、豪雨その他の被害によりまして農作業が非常に遅延しておるということでございます。御承知のように、九月末が第一期の期限になっておりますので、そこらの点につきましては、現地の実情を十分調査いたしまして対処するように考えております。  以上、簡単でございますが、農林関係被害概況、並びに現在とっております措置概要について御報告申し上げた次第でございます。
  13. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 建設省政務次官谷垣君。
  14. 谷垣專一

    説明員(谷垣専一君) 先ほど来いろいろ御報告がございますように、このたびの災害が二十三号及び二十四、二十五というふうに引き続いて、しかも全国的に被害の場所が広範でございます。お手元資料が、二十四、五号の被害状況、それから二十三号の被害状況をお手元にお配りしてございますが、それによって御承知を願いたいと思いますが、その集計をいたしますと、二十三号の公共土木の被害百三十億、二十四、五を合わせますというと三百二十五億、計およそ四百五十六億に達しております。その後も逐次報告によりますと、この被害額増加状況にございます。  建設省といたしましては、この台風の予報を受けますと同時に、各出先の機関あるいは地方庁のほうにそれぞれの連絡をいたしまして、水防体制あるいはその他の必要な指示をいたしたわけでありますが、十七日に建設省としての災害対策本部を設置いたしまして、目下被害額の確認、さらに応急の措置等の督励をいたしておる状況でございます。とりあえずの応急工法等の指導のために、それぞれの現地に査定官をとりあえず急派をいたしておる、まあこういう状況でございます。それぞれの詳しい状況につきましては、事務当局のほうから御報告をさしていただきたいと思います。
  15. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) ただいま政務次官から台風二十三号並びに二十四号、二十五号につきまして概括の御報告がありましたが、さらに詳細に御報告したいと思います。  お手元に差し上げてあります薄っぺらなこの二枚紙のやつ、それは台風二十三号による被害額をまとめたものでございます。それから、この厚い資料、「台風二十四号及び台風二十五号による被害状況」という資料があります。台風二十三号による被害額につきましては先ほどの委員会で御報告いたしまして、数字だけ訂正したものでございますので、報告を省略させていただきます。主として台風二十四号及び二十五号による被害状況について御説明いたします。気象状況につきましては、ただいま気象庁から御報告がありましたので省略させていただきます。第二ページに各地の雨量等が記録してあります。特にごらんになるように、左側のほうの岐阜県の欄をごらんになっていただきますと、徳山村で九百十七ミリ、時間雨量九十四ミリ、東杉原で千百二十一ミリという降雨を記録しております。それからその下のほうの福井県の西谷村で千三十七ミリという降雨を記録しております。  それから右側の欄で徳島県の下のほうでございますが、上那賀町で八百八十九ミリという非常に大きな降雨を記録しております。  その次のページは直轄河川の出水状況でございますが、三ページ、四ページ、五ページにわたって書いてございます。これらの五十六河川につきまして出水がいたしております。このうち第三ページの中央からちょっと下に木曽川の次に雲出川という川がありますが、これは計画高水をオーバーしております。それからその次に大井川をおきまして豊川、これも計画高水をオーバーいたしております。その次のページで第一行目の淀川、これも計画局水をオーバーいたしております。ただいま滋賀県からお話しになりましたように琵琶湖の水もなかなか引けない状況にあるわけでございます。それから琵琶湖とも関連いたしまして、宇治川がやはり計画高水をオーバーいたしました。それから、そのまん中のちょっと上のほうに九頭竜川という川がございますが、本川におきましては、ほぼ計画高水に近い数字を示しましたが、特に支川の日野川につきましては計画高水を五十センチオーバーいたしております。大体その五河川につきまして計画高水をオーバーいたしました。  それから被害状況でございますが、建設省所管にかかります公共土木施設等の被害は、現在まで北海道外三十二府県に発生しております。二十六億一千万円となっております。その内訳につきましては、その下のほうに表で示してありますが、直轄災害につきましては、合計欄でごらんになるとおり四百六十四カ所、五十一億二千九百三十万円、それから補助災害につきましては一万七千九十六カ所、二百七十三億八千八百七十六万六千円、合計一万七千五百六十カ所、三百二十五億一千八百六万六千円というふうになっております。なお、都市施設被害としまして三十七カ所、九千四百五十三万円。合計三百二十六億一千二百五十九万六千円という報告があがっております。  昭和四十年度におきましてただいままで発生した災害の合計額を参考のために記入してありますが、合計千六十億円という公共土木の施設被害をこうむっております。なお、この数字につきましては、ただいま調査中でございまして、若干ふえる見込みでございますので、つけ加えさしていただきます。  なお、先ほど説明を省略しました二十三号並びに二十四号、二十五号による被害総額につきましては、先ほども政務次官の御説明のとおり四百五十五億六千六百五十四万四千円というような数字になっております。  その次の七ページの表につきましては、直轄河川の被害状況を示してあります。第三行目にある静岡県の大井川あるいは四行おきまして木曽川、主として揖斐川でございます。それからその次の表の三行目にあります新潟県の信濃川、それから、下から三行目の栃木・茨城の鬼怒川、それからその次のページの二行目の和歌山・奈良の紀の川、それから京都、兵庫、滋賀、大阪と分かれます淀川水系、それから徳島県の吉野川水系、そういったものに相当多額の被害を生じております。  なお、直轄河川につきましては、とりあえず緊急費を出しまして応急復旧中の個所が九カ所、三千二百万の過年度災害復旧費を充当して施行いたしております。  それからその次の二ページに直轄海岸の被害状況が書いてあります。富山県の下新川海岸で一億二千二百万。  その次の欄で直轄ダムの被害状況が書いてあります。これは木曽川横山ダムにつきまして湛水末端のダム下流の護津の損傷の被害額でございます。四千二百万。  それからその次は、一二ページに直轄砂防の被害状況が書いてあります。山梨県の釜無川一億二百万の被害を生じております。その他新潟、静岡、滋賀県につきましてはただいま調査中でございますので、ふえると考えられます。  それからその次の二一ページが直轄道路の被害状況が書いてあります。これは五十一カ所の二億二百五十万となっております。  それからその次の表に補助災害被害状況を示してあります。一四ページの下から三番目に新潟被害額二十四億三千五百万、特に直江津の付近に流れております関川におきましては、ただいま陳情がありましたとおりに、堤防が破堤いたしまして浸水をこうむっておるという状況でございます。それから山梨県の十四億八千六百万、長野県の十四億三千五百万。それからその次の一五ページが岐阜県の十八億三百万——これは主として揖斐川筋に相当の被害をこうむって、ただいまもまだ交通不能の状況があります。徳山村につきましては、災害は今後調査をする必要がありまして、増加をする見込みでございます。それからその次の下から三番目の三重県におきまして二十億三千六百万という災害を生じております。それからその次の特に福井県におきましては、先ほどの雨量でも御説明しましたとおり、相当の雨量を記録しております。被害状況が、ただいま報告のありました現段階で五十四億五千二百万となっております。特に西谷村とかまだ未調査の地域がございますけれども、今後調査が進むにつれてさらに増額するものと思われます。その次の欄の滋賀県は、約十九億九千五百万という被害を生じております。これにつきましては、余呉川ある野洲川下流等におきまして堤防の破堤を見ておる個所があります。それからその次の一六ページの京都でございますが、これは九億九千二百万でございますが、なお未調査部分がありますので相当額ふえる予定でございます。それから三番目に兵庫県がございます。これは二十三億一千二百万という被害を生じております。その次の奈良県は、十二億一千七百万という数字でございますが、これは奈良周辺の佐保川あるいは寺川あるいは富雄川、地蔵院川、菩提仙川、こういった川が堤防が破堤いたしまして、奈良市の低地帯がつかったということで、非常に騒ぎになっておる所でございます。  大体そういったところがおもな被害個所でございまして、ただいままで一万七千九十六ヶ所、二百七十三億八千七百七十六万六千円という報告があります。  それから都市施設被害状況につきましては、神奈川、京都、奈良、徳島、愛媛、大阪、三重というところで三十七カ所の被害を受けております。九千四百万という数字になっております。  それから住宅の被害状況でございますが、一九ページの住宅の被害状況でございますが、これは警察庁の報告があったものでございまして、特に兵庫県あるいは滋賀県あるいは愛知県、福井県、徳島県というのが相当の被害を生じております。  それから先ほど報告いたしました直轄道路の一般国道の交通状況について、現在までの状況を記載してあります。直轄国道につきましては、指定区間内につきましては、ただいままで交通を確保いたしております。指定区間外の所で、お手元にあるように復旧にかなり手間取る橋梁の流失とかというようなものがいろいろでございまして、復旧見込みの日にちはそれぞれ第五欄に書いてあるとおりでございまして、できるだけ早急に復旧を急ぐようにいたしたいと思っております。交通不能個所は二一ページに書いてありますとおり、この資料をつくる時期におきまして二十四個所ということになっております。  それから、ただいままでが被害概況でございますが、その対策及び措置につきまして簡単に御報告いたします。台風二十三号及び二十五号による災害を含めまして台風二十四号により発生した災害に関し、被害状況の情報の収集及び連絡並びに公共土木施設、都市施設、住宅に関する復旧対策の促進及びその指導を行なうために、建設大臣を木部長とする台風第二十三号、第二十四号及び第二十五号災害復旧対策本部を十七日に建設省に設置いたしました。それぞれの項目について対策を御報告いたします。  直轄でございますが、応急復旧を要する個所につきましては、河川につきましては、先ほど申し上げました三千二百万のほかに、さらに現在までに二十三個所の緊急復旧費の支出を協議たいしまして合計六千八百万円の災害緊急復旧を行なっております。とりあえず、予備費の支出が困難でございますので、過年度災害復旧費を緊急復旧に充当いたしております。それから道路につきましては、すみやかに現地調査を行ないまして予備費の支出をはかって実施いたしたいというふうに考えております。  それから補助災害につきまては、被害の激甚な点につきまして、それぞれ係官を派遣いたしまして応急復旧工法の指導に当たらしております。ただいままで係官を派遣いたしました県は、福井岐阜県につきまして十六日に派遣いたしました。兵庫県につきまして十八日、奈良、滋賀、三重県につきまして十九日から二十四日まで、それから新潟県につきまして十九日、それから長野、山梨につきまして二十日、それから京都につきましては福井岐阜県に引き続いて派遣する予定でございます。なお、現地準備ができましたら早急に査定を実施するようにやりたいと思っております。  都市施設、住宅災害につきましては、それぞれの住宅災害につきましては住宅金融公庫の融資、あるいは災害公営住宅の建設につきましてできるだけ早期にやりたいというふうに考えております以上、簡単でございますが、御報告を終わります。
  16. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 運輸省、中野審議官
  17. 中野大

    説明員(中野大君) 運輸省でございますが、先ほど総理府のほうから台風二十四号等による被害状況について御説明のあった点について、運輸省所管関係の国鉄、私鉄、自動車、港湾、船舶について、順を追うて補足的な説明をさせていただきます。  お手元資料に「台風第二十四号等による被害状況について」という刷りものがございます。台風状況は冒頭に気象庁から御説明申し上げたとおりでございますが、この二十四号等台風に伴いまして、運輸関係で、輸送機関関係でこうむりました被害状況並びにその前後とりました措置を申し上げます。  まず国鉄関係でございますが、先ほど総理府から御説明ございましたように、全部で六十六線区、二百九十八区間被害が生じたわけでございますけれども、お手元資料には、きのうの十二時現在で、十六線区、三十三区間が現在不通ということになってございますが、けさ八時になお調査しました結果、十線区の十六区間ということになってございます。被害額は概算七十六億円というふうに見積もられてございます。  おもな被害線は、次のページに書いてございますが、信越本線、北陸本線、小浜線等でございます。  国鉄では、桑中豪雨あるいは台風の接近に伴いまして、関係支社、管理局に災害対策本部を設置いたしましたと同時に、本社にも台風二十四号対策本部を設けまして、被害個所の早期復旧につとめております。もちろん、接近に伴いまして、関係線区から順次運転休止の手配等を行なうような措置をとりましたし、また、各線区において危険な個所等の線路の巡回査察を強化しまして、事故の未然防止に努力をいたしました。  なお、先ほど申し上げましたような不通個所につきましては、バス等によります代行輸送を現在行なっております。  また、被災地に送ります寄贈品の取り扱いにつきましては、とりあえず九月十八日から、お手元資料に書いてございますように、福井県下各駅に無賃の扱いをいたしてございますが、その他の被災地についても、大体上記と同様な取り扱いをするよう検討中でございます。  次に、私鉄関係でございますが、九州を除く各地方の各私鉄会社でも運休をいたしまして、その会社は六十三社、百七区間で、被害を線路施設に受けましたものは、二十六社の三十三区間ということになってございます。きのうの十六時現在で不通になってございますのは、次のページにございますように、六社、六区間でございまして、会社名と書いてございますが、定山渓鉄道、豊橋鉄道、京福電鉄、大井川鉄道、近江鉄道、淡路交通ということになってございます。  私鉄も国鉄と同じように、台風の接近に伴いまして、事故を防ぐために適当な時間に運転休止の手配等の措置を講じてございます。もちろん、被害個所については、早期復旧に努力しておりますし、また、不通区間につきましては、折り返し運転あるいは路線バスにより振りかえ輸送等の措置を講じてございます。  次に、自動車関係でございますが、トラック、タクシーの施設、あるいは整備事業の施設、あるいは車両、貨物のぬれ損、こういったものによる被害の合計額が、大体現在判明いたしたところで六千六百三十万円ということになってございます。  次に、港湾関係でございますが、なお目下調査中でございますけれども、二十日十七時現在判明いたしておりますのは、九州四国近畿、中部、関東、東北の各地方の十二県におきまして、護岸、防波堤決壊等百十六件、十四億五千九百万円の被害となっております。  むろん、港湾の被害復旧につきましても、すみやかに被害状況を把握いたしまして、早期復旧をはかるため、緊急査定官を派遣したりなどして査定を実施しております。  最後に、船舶関係でございますが、海上保安庁の調査によりますと、人員の被害は三名、船舶の被害は、四国近畿、中部、関東等の各地で合計九十二隻被害がございまして、その地区別の被害状況はお手元資料に書いてあるとおりでございます。  なお、先日の二十三号台風のときは、船舶の被害が四百七十五隻ございまして、委員長から船舶の被害が多いというような御指示もございましたが、幸い、このたびは台風進路も前回と違ってございましたし、また、後ほど申し上げますように、海上保安庁としても緊急避難勧告とか、いろいろ措置を講じましたので、九十二隻というふうな被害にとどまってございます。  先日の二十三号でもそうでございましたが、今度も台風の接近に伴いまして、各管区海上保安本部では非常配備態勢をとりまして、主要港湾におきまして船舶の避難勧告等の措置を構じてございます。  また、別途、兵庫県淡路島とか、あるいは鹿児島県屋久島、福井県、新潟県等の陸上交通の不通になった場所におきましては、巡視船八隻、ヘリコプター一機でもって、災害救援物資の輸送なり、あるいは要員の輸送に従事いたしてございます。  以上をもって報告を終わります。
  18. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 以上で説明を終わりまして、これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  19. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 災害対策委員会ようやく開かれまして、ただいままで各省庁の説明がございましたが、私はこの質問に先立ちまして、委員長にちょっと伺っておきたいというふうに思います。  いまわれわれ委員手元に配付されました各省庁の説明員なるものの資料をちょうだいしてあります。そこで、この資料を拝見してみますと、どうも私の感じでは、この委員会に責任を持って答弁できるような——失礼ではあるけれども、そういう諸君はお見えになっておりません。そこで、委員長として、これだけ伊勢湾台風より以上の規模の全国的な被害をもたらしたこの台風災害についての委員会を開会されたわけです。この点については、時宜の措置であるということで、私は委員長に敬意を表しますけれども、政府として、一体、今度の災害をどう見て、しかも、この委員会をどう見たかということが非常に私は問題になるような気がするのです。だんだんの報告を聞いておりますと、それぞれの応急対策上、現地視察団等をきめて、それに大臣の諸君が出席しておるようでありますけれども、しかし、政府全体として、きょうの委員会を承知しておきながら、一人の大臣もこの委員会出席していないということは、たびたびの私は委員会でこのことを指摘してある。これは過去の速記録を見ればわかるとおりなんです。にもかかわらず、きょう依然としてこういう状態であるということについては、まことに遺憾である、こう言わざるを得ない。委員長として、一体、きょうの委員会に対して、政府に対するどういう要請をしておったか、このことをひとつお聞かせ願うことが一つ。  もう一つは、この委員会でわれわれが質問する場合に、いわゆる各省庁が全体として責任のとれる答弁ができるのかどうか、この点を私は確認をして、それからでなければ質問に入れぬと思う。
  20. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 担当大臣の建設大臣が閣議を開いておりますので、これは了承いたしました。さらにまた、気象関係におきましては、長官出席がなかったので、気象庁長官出席を求めました。その他は、質疑者の御要望に応じまして、逐次大臣を出席させたいと思っております。
  21. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、いま委員長が、その間の事情を説明されましたが、いま建設大臣は閣議を開催されているわけでしょうから、ですから、それはそれとして、もうすでに閣議は終わっていると思うのです。私は特にいまの説明でも、全国的に公共土木災害がこれはかなりなものです。ですから、将来の恒久的な対策の樹立、展望についても、非常に私は建設大臣が必要でありますから、建設大臣の都合によって時間を制約しません、しませんけれども、本委員会出席方を私は要求いたします。これが一つ。  それから、その他の関係につきましては、冒頭に申し上げたように、おそらくや、このメンバーでは、失礼だけれども、責任ある答弁はできないと思う。もし、できるならば、私はできると言ってもらえばいいのですが、できないと思う、実際に。ですから、委員長にひとつ要望しておきますが、この委員会はいままでの経過についてのいろいろな質疑をいたしますけれども追ってこれは、このような最大の災害ですから、特に兵庫県の場合には連年災害、連年というよりむしろ年度内におけるダブル災害、それから新潟においても、福井においても、昨年は豪雪災害を受けてかなりの被害を受けた県です。ですから、これは明らかに連年災害を受けておる、こういうことになりますから、おそらくは、この委員会現地を十分視察をするということに私はなろうかと思うのです、推定ですけれども。ですから、その結果、あとあともう一回この委員会は開かれるものと私は考えますので、その節には、少なくとも、全国的な大災害をこうむったのですから、総理大臣の出席委員長に要求して、それから質問いたしたいと思いますが、いかがですか。
  22. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 建設大臣の出席を直ちに要求いたします。  なお、きょうの委員会は、二十四号、二十五号台風災害経過状態を聞いて、そうして現地の視察をするという、こういうことをきょうきめる委員会であります。現地を視察して詳細をおのおの把握して、その次に開く委員会においては、当然担当大臣その他を呼んで、徹底的にひとつ皆さま方から御質問願いたいと、かように考えております。総理大臣の件につきましても、さっそく手続をとります。
  23. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 了解いたします。したがいまして、ただいまからできるだけ、他の多くの委員の方々の質疑もあろうかと思いますから、簡単に質問をいたします。  まず、こまかなそれぞれの各県における被害状況、ただいままでに対策がいろいろ報告されましたけれども、いずれもこれは応急対策でございますから、それはそれなりに各省庁に質問いたしますが、やはり基本となる問題について質問をいたしますが、その場合に、総理府の審議室長いまおいでですか。
  24. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 審議室長のかわりに金子参事官出席しております。
  25. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 では参事官でけっこうです。参事官に伺います。今度の台風は御承知のように、二十三号、追っかけて二十四号が発生をし、さらに二十五号がたしか一日くらいおいて発生したわけですね。それが速度の関係で二十五号が先に参りました。ちょうど昭和三十七年の、時期的にもいまのころでございます。当時の台風九号、十号が連続発生をしてきた、こういう事情と全く同型のケースだと私は思うのです。で、特に二十四号は伊勢湾台風と同型、ないしは、より以上の規模台風であるということが刻々と気象庁の予報でも明らかになったわけですけれども、案にたがわず、本土に上陸して以来、全国的にあばれ回った。幸い、北海道のほうに参りましたときには、分裂をいたしまして、若干抵抗が弱まっておりましたけれども、逆に今度は、北海道のほうに参ったものは速度が加速されましてたいへんな被害をもたらした、こういうことになっていると思うわけです。いままで各省庁からいろいろ被害状況等の報告を聞き、その対策の若干内容を聞きましたけれども、私はいずれもこれは毎度やられる対策だ、こう言わざるを得ない。ですから、その対策はその対策で大事であるけれども、台風というやつは、あなた方に毎度私申し上げますけれども、一年おきに、あるいは二年おきとか何かで来るものじゃないのですね。しかも、いままでの例から見て、毎年台風が発生をして、しかも膨大な被害をもたらす。すでに今年の場合でも一千億をこえているわけです。大体年間平均、年度ごとの平均をとってみて、少なくとも二千億、市町村自治体の被害額等々含めますと、年間ざっと約三千億くらいの被害をこうむっている、こういうことがそれぞれの統計を見ても明らかであります。ですから、これに対して一体政府が抜本的に恒久的な対策をどう樹立するかということが、いままでの本委員会で議論されて、それぞれ答弁されているところなんです。ところが、実際問題として、たとえば一つの例をとってみまするけれども、今度の建設省の一つの例をとってみても、その恒久的な対策になりますると、三カ年計画、あるいは補助関係になりますと、四カ年計画になりまして、それぞれ始末をされる。特に災害をこうむった場合の復旧事業に対しても、三年計画、こういう事情になっていますね。ですから、せっかく三カ年計画ないしは四カ年計画で努力をされているということは認めるけれども、その計画をはるか上回った台風というものは年々歳々来るわけですから、言ってみれば、政府のやっていることは、つまり、さいの川原に石ころ積んでいるような考えのものだ。だから、今日、この災害というのは人災だと言われている。人為的になされるために、災害が、より被害が増大している、こう言われているのです。だから私は、政府がいままでの災害対策、本委員会で種々論議をしたり、あるときには決議をした等々のことをどう一体踏まえて、昭和四十一年度の予算編成期でありますから、これに向けてどう予算編成をいたして、いまだんだん申し上げたような被害というものが人災だというような、こういうそしりをぬぐい去るようにするのかということを、この際、私は具体的なこまかな問題を質問するにあたって、基本問題ですから、私は明らかにしてもらいたい、こう思うのです。どうもいままでのやり方を見ると、台風が来ると、これは必ずや集中豪雨ないしはきょうの説明のように、一千ミリもこえるような、今回の場合は特異な雨量であるけれども、かなりの雨量であることは間違いない。そのたびごとに河川ははんらんする、田畑は冠水する。あたりまえなんですよ。それははんらんしたならば、田畑というものは冠水するにきまっている。それから住宅が流される、そしてまた、必ずやそこで人のとうとい人命を失う。こういうことは今回の台風に始まったのじゃない。毎回ある。それに対してやることがどうも、政府のやり方というのは十年一日のようなやり方よりやっていない、こう私は言わざるを得ないし、いままでの委員会でも言ってきた。今日の実際の被害を見ても、そのそしりを私は免れないと思うのですな。ですから、これらに対して、きょうは総理大臣も関係大臣もおりませんから言いませんが、あなた方役人として、事務屋として、一体これとどう取り組んでいるかということをこの際、私はひとつ基本の問題としてお聞かせ願いたい、こう思います。
  26. 金子任利

    説明員(金子任利君) 防災に関しまして総合的あるいは計画的な態勢をとり、そのような措置をやっていくということはたいへん重要なことだと思っています。したがいまして、従来各省ある程度ばらばらでございましたが、三十七年に基本法ができましてから、中央防災会議というもの、あるいは、これに基づきまして都道府県防災会議、あるいは、その防災会議によって災害対策基本法、あるいは関係行政機関、公共機関あるいは都道府県の防災計画というものを現在作成いたしすして、これに基づいて種々の対策を講じている階段でございまして、今後とも重要な問題が出てまいりますれば、これを防災会議にかけまして、鋭意努力して処理していきたい、こういうふうに考えております。
  27. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 先ほどの非常災害対策本部長、建設大臣瀬戸山三男君は、地価対策閣僚懇談会をやっておりますので、本委員会には特別の事情のない限り二時まで出られないということです。以上報告しておきます。
  28. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、大臣は二時までお見えになれぬということですね。
  29. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 特別の事情のない限り。  特に質問ありますか。
  30. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あります。あります。ですから……。
  31. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 二時までの間にあるのですか。
  32. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうしても二時まで来られないということでしたら、二時以降でもけっこうですがね、それは委員長に一任します。  いま参事官の答弁がございましたが、こんな程度の答弁よりできぬから、私は冒頭に言っている。これは役人答弁の典型的なものです、努力します、勉強しますというのは。ですから、冒頭に私は、責任ある答弁はとれないから次の委員会に譲るということにしたわけですけれども、そういう災害基本法がございまして、したがって、法律に従って防災会議ができたからそこでやる、そんなことを、あなた方がそういうことを言わずしても、われわれが災害基本法をつくり、防災会議をつくるようにやっているのだから、知っているのですけれども、私が聞いているのは、過去幾つかの災害のたびにこういう議論をして、政府については抜本的な予算要求して、応急の対策はもとより、当面も、被害者が望んでいるわけですから、それはそれとして、緊急の問題としてやらなければいかぬけれども、根本的な災害対策というものは何か。これは幾つかありますよ。ありますけれども、たとえば一つの例をとってみても、いまの治水治山の対策でいいのかというと、これはなっていないわけですね。なっていないわけでしょう。ですから、抜本的にこの対策を樹立するように政府に要求をしてある、国会は。しかも、それに対しては、当時の速記録を読んで勉強してください。それこそ破格的な、抜本的な対策を樹立しますと歴代のそれぞれの大臣が答えている。それがなっていない。なっていないから聞いているので——これはあなた大臣じゃないから、それに対する考え方をここで述べろと言ったって述べれぬから、私申し上げませんよ、申し上げませんが、そういう点を一体総理府が総括をしている役所として、役人として、どう一体そこらあたりを事務的に、作業的に進めているかということを君に聞いているのです。こういう点をよく理解して答弁してもらわないと、これはもう限られた時間ですから、他の委員の方々もたくさん質問があるわけですから、私も時間を節約する意味において、簡潔にものを申し上げているし、また簡潔に答弁してもらいたいと、こう思っている。今度の場合だって、これは確かに超大型の台風ですから、万やむを得ないと言えばそれまでかもしれませんが、まだまだ私は、この治水治山や、あるいは災害防除の管理というものが十分に行き届いていさえすれば、被害というものはもっと少なく済んだであろうし、多くの犠牲者が、こんなに破格的な、天文学的な数字にまで、私はならなかったのではないか、こう思うので、この点は一体どうお考えになるか。  それから、大臣が来なければいけないのだけれども、たとえば静岡県の天竜川の上流の秋葉ダムであるとか、あるいは佐久間ダムなどというのは、放水をやったのですね。ですから、この放水管理についても私は問題があると思う。今度の場合は、無計画にやったから、下流でたいへんな思わざる災害をこうむっている。これなどは今度の災害の直接の被害でなく、人為的に、つまり、管理が誤ったために膨大な災害が起きている。こういう例が現実にあるでしょう。ですから、こういう点をも含めて、今後どうするかということをここで議論しなければならない。私は性格のものではないかと、こう思うのです。  それから、これもまた建設省の関係になるが、最近の宅地造成の関係、特に山間部の林業資源を伐採して、いろいろ宅地造成をやっていますね、住宅を建てたり。これがために、従前ですと、かなり水はけ等についても吸収される余地があった。ところが、こういうように人為的な、つまり、宅地造成等々のために、これは確かにそういう面での開発はなされたけれども、さて今度のような場合どうなるかというと、これがために思わざるとんでもない災害が襲いかかってくる、こういう事例が全国至るところにあるし、私の住んでいる札幌市は、典型的な問題として、ひとついま、できてきていますよ。ですから、結果的には、これからおそらく皆さんはその原因を追及して、そのよってきた原因が明らかになった上に立って施策を樹立する、対策を樹立する、こういうようなおそらく答えになるのだろうと私は思うのですが、一体、宅地造成等について、これもまた、それぞれの委員会での問題があるけれども、建設省、いま来ているのは……。大臣がおりませんから、答えられる範囲内でけっこうですが、建設省は住宅局長来ていますね。ですから、答えられる範囲内でけっこうですから、この点についても私は答えていただきたい。  これは、今日政府が社会開発であるとか、あるいは、それぞれの地域格差是正のための産業経済開発等々をいろいろうたい文句としてやっているけれども、私はやはり、ほんとうの開発というものは、今度のようなこういう災害が起きた場合に、人災だと言われないようなやはり施策というものがほんとうの開発である。端的な言い方をすれば、治水治山を含めて、防災をきちんとやることがほんとうの意味の私は日本の国土の開発だと、こう理解しているのですが、この関係はどちらの関係になりますか、あなた方役人として毎日勉強しているのだから、勉強した限りでけっこうですから、こういう関係についても私は答えていただきたいと思う。
  33. 金子任利

    説明員(金子任利君) 中央防災会議の事務局といたしましては、現在、災害が発生した場合の被害をできるだけ少なくするような緊急措置というものは力を入れてやっているわけであります。その他の重要事項について内閣総理大臣の諮問に応ずることもできますが、各省において予算要求等努力されておりますので、これを中央防災会議で一括して要求するというようなことは、いまのところはそういった態勢になっておりません。  それから根本的な対策ということでございますけれども、過去の大災害地、大きな災害があったところが再び大きな災害に見舞われるということは、私の聞いております範囲では比較的少ないのではないか、したがって、一ぺん、災害を受けたところには、かなりな改良工率、復旧工事、経済効果に見合ったということでしょうが、復旧工事等が行なわれているのじゃないかと、そのように考えます。
  34. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。  過去の災害の統計をとってみますと、先ほどお話がありましたように、年間に約二千億以上の被害を生じております。約一万人以上の死傷者を生じております。まことに遺憾なことだと存じます。したがいまして、事務当局といたしましても、治山治水の必要なことはかねてからお願いしているところでございまして、特に私らとしましては、各水系を一貫しまして今後幾ら要るかという試算をいたしまして、今後、若干の残るところはございますが、大体のところを想定してみますと、今後九兆六千億、現在まで治水投資になされたのを調べますと、三十九年度までで二兆円しかないという状況でございます。この九兆六千億をおおむね二十カ年程度で仕上げるということで、重要な幹川につきましては十二カ年、あるいは支川その他につきましては十五カ年程度で完成したいということで、この前から治水五カ年計画の樹立について御審議をいただいたわけでございます。その結果、四十年度から四十五年度まで一兆一千億という治水投資がきまりました。このほかに農林省所管の治山投資がございます。  そういうことで鋭意進めております。しかしながら、今回のような災害が起こりますと、非常にそのテンポはおそいわけでございまして、われわれとしましても、必要な事業費を積み上げまして、年度年度の要求に盛り上げていきたいというふうに考えております。それで、今後とも治山治水は非常に緊急を要することかと思いますので、われわれとしても許す限りの努力をいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それから天竜川の秋葉ダム、佐久間ダムの関連の質問がございましたのでお答えいたします。  この両ダムの放水の状況、それから、その他の降雨量状況等につきましては、ただいま調査中でございますが、現在まで調べたところによりますと、まず、ちょっと話が逆戻りしますが、地勢的に簡単に御報告します。上流に佐久間ダムがございまして、その下に水窪川、それからもう一つの大支川を入れまして、その下に秋葉ダムがあるわけでございます。その秋葉ダムの下に横山という部落がございますが、その横山の部落のちょっと上に気多川という川が、かなり大きな川でございます、これが流れ込んでおります。そういう水系の状況でございますが、今回の洪水によりまして、佐久間ダムあるいは秋葉ダムの操作が悪くて、横山という部落の人家がつかったではないかということが論議されております。新聞紙上でもいろいろ論議されておりますが、横山地点の被害は、ただいま調査したところによりますと、百七十戸の浸水を生じたということになっております。ところで、佐久間ダム並びに秋葉ダムの状況でございますが、佐久間ダムにつきましては、豪雨によりまして、かなり水位が上がってまいりました。したがって、ダムとして非常に満水に近くなりましたけれども、満水の手前で約二千万トン以上の容量を残しまして、貯留制限を行ないまして、約二千万トンの待機容量をとったようなことになっております。その結果、これは概数でございますが、佐久間ダムに流れ込んできた水が毎秒約四千トン、流した量が、放流した量が三千三百トン、これは毎秒でございます。したがって、七百トンの洪水を毎秒調節したということになっております。その後、調節で最大において三千三百トン毎秒放流いたしましたけれども、その下流に大干瀬川、あるいは水窪川等がございまして、その流域につきましては、二百八十ミリないし三百ミリ近くの雨量が降っております。相当の支川の流入を合流いたしまして、そうして秋葉ダムに流れ込んできたわけです。秋葉ダムにつきましては、これは支川の流量を入れまして五千六百トンを放流いたしております。この五千六百トンにつきましては、大体秋葉ダムは調節容量がないダムでございまして、大体七百七十万トンぐらいしか容量がないというダムでございます。したがいまして、調節はできません。したがって、流入量イコール放流量という形で放水したわけでございます。その後、秋葉ダムを出まして、それからさらに気多川を入れまして、気多川という大きな支川を入れまして、横山という部落に行ったわけであります。したがって、今回の豪水によりまして佐久間ダムは洪水調節の若干の目的はできた、役目を果たしたというぐあいに考えております。なお、佐久間ダム、秋葉ダム両方につきましても、これは電気専用のダムでございまして、したがって、操作規則その他につきましては、従来から定められております操作規則等におきましては、自然のままの流量を流すということで、入ってきた水をそのまま流すということがきめられておるわけであります。今回特に豪水がひどい関係もございますし、それから台風が引き続いて来るということで、これは中部地建と電源開発と打ち合わせまして、さような貯留制限の措置をとらしたような状況でございます。ただいまわかった状況はさようでございますが、なお、これらの電気専用ダムにつきましては、いろいろ問題もありますので、これらダムにつきましては、具体的に、緊急の場合にどうしたほうがいいか、あるいは貯留制限の指示をするのか、あるいは洪水待機容量をとらせるのか、そういった点につきまして詳細ただいま検討中でございます。できるだけ早急にこれをまとめたいというふうに考えております。
  35. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 河川局長ね、あなたの答弁は比較的詳細で、かなりこれが対策についても前向きに考えなければならないということはうかがえるわけです。その点、私は敬意を表しますが、いま一つ例をあげた佐久間ダムと秋葉ダムの問題、それは、あなた方常識的に考えて、技術的、学問的にはあなたのそれでいい。しかし、今度の場合、常識的なわれわれしろうとで考えられないような、人間で考えられないような雨量があった、今度の場合は。ですから、これはやむを得ぬといえばやむを得ぬけれども、そうしたこと等をもこれから十分勘案されて、いまあなたの答えられたように、私は、努力するというならそれでけっこうです。しかし、決してここは議論する場じゃないから、私はあなたと議論する気はありませんけれども、一つの例としてあげた。あなたのほうとしては、多少の——今度の場合も、いまのダムの問題については調整の、つまり多少なりとも効果はあった、こうおっしゃっておりますから、私は現地を見ておりませんから、そこで、一体効果があったかないかということについては、ここで避けますが、私は一つの例としてあげた。  もう一つは、今度の場合、あなたのこの報告にも出ておりますが、北海道の場合、長沼が今度の災害救助法をただ一つ北海道では実はいまのところ発動しましたね。これなどは、一体何かというと、やはり二十三号台風の余波を受けて異常的な降雨量に基づいて、またその後、若干二十四号が来るまでに間合いがありましたけれども、その上流にあった夕張ダムを放水した。そこへ追っかけて二十四号が来たということになって、この辺が一面大被害をこうむった例がある。これも例です。だから、そういう点等をわれわれがある程度承知もしているし、この場合は北海道ですから、私は現地を見てきておりますから、はっきり言えるのですが、これはやはりダムの調整の管理が完全だということは私は言えないと思う。ですから、今後課題としてそいう問題等も考慮されて、あなたがいま答弁されたような前向きの姿勢で、やはり異常な、何といいますか、状態等を勘案されて、それぞれの諸施策というものを、設備というものを、施設というものをやらなければ、そのためにかえって災害をより大きくするということが、これは今度の場合ばかりじゃない、至るところにある。これは悪口じゃなくて、それが原因を探求していくと、各省庁のなわ張り争い、役人の、てまえのところだけ予算をとって、てまえのところだけスタッフを多くしてやるというこの根性がやはり災いをしているということもたびたび指摘してきたわけであります。これは、ですからそこまで私は話を飛躍させたり、発展をさせることはしません。しませんが、いまたまたまこの秋葉ダムの話をしたところが、あなたがそういう答弁をしたけれども、現実の長沼の災害などというものは、やはり夕張ダムの放水に基づくものであるということだけははっきりしてくる。全般的な総合的なこれからの恒久的な対策樹立のために、一つ例としてあげてあなた方に課題を投げかけたわけだから、その点は誤解のないようにして、ひとつ、さらにあなたの答えられたように積極的な対策樹立のために私は努力してもらいたい、こう思うわけなんです。  それから、これは総理府の室長に話をしてみたところで話にならぬので、あらためて私は次回の委員会で大臣にそれぞれ、総理大臣が来た上でやりますが、したがって、これはもうここであなたにいま質問をしてみたって、われわれの胸にすとんと落ちるような答弁が出てきません、また答えられる立場じゃないから申し上げませんが、ただ一つ、きょう大蔵省は来ておりませんが、こういう災害をもたらした場合に直ちに要るのは金ですよ。先ほど説明を聞いておりますと、建設省の説明だと思いましたが、最後のまとめに書いてありますが、公共土木等については予備費をもって充当するというようなことが書いてありますね。ですから、建設省そのものが実際予備費を充当するだけのものを持っているかどうか、実はまだ詳細に調べあげていませんから言えませんけれども、少なくともこの全体の被害額ですね、四百五十六億といっていますけれども、私はこんな程度で今度はあがらぬと思う。五百億をこえるのではないかと、ぼくのいままでの体験、経験から言って、推測で申し上げてたいへん申しわけありませんが、五百億をこえるのではないかと。それから地方都道府県あるいは市町村等々の災害を全部含めてくると、かなり、またこれが相当伸びてくるんじゃないかと、こう思いますよ。したがって、これは公共事業の関係であるとか、あるいは自治省に対しては特交金であるとか、いろいろ施策の面で出てくると思いますが、それはそれとして、私がいま推定する五百億という金額は、決して今日の国家財政事情の中では少ない金額ではないと思う。そこで、一体こんなに膨大にふくれあがってきた災害を、その復旧のために予備費を充当する、こういうことですが、私はこれはかなり問題があるような気がする。幸い——幸か不幸か臨時国会が十月の上旬から開会されるので、おそらく私は補正予算を組まなければならぬじゃないかというような気がするんですがね。これは大臣いないですし、大蔵当局もだれも来ていませんから、これは答えられるかどうか別として、室長、あんたはこれはどう考えていますかな。現実のこの被害、これは各省庁の予備費でやれますか。たとえば、運輸省だれか来ておりましたかな。鉄道の被害もかなりなものですよ。運輸省のただ一つ国鉄の例をとりますと、予備費は五十億しかありませんからね。で、こんなもので充当できないと思うんですよ、一つ国鉄だけ見て。だから政府として、全体としては補正予算を組むという姿勢にならなければこれはあと始末できないんじゃないですか。それぞれ都道府県から陳情がきたとき、それぞれ適当な——適当なということばはよくないけれども、そのつど各省庁が答弁するのかもしれぬが、ぼくはやっぱり抜本的にいまの緊急対策として、応急対策として、心からその人々の気持ちをとらえて住民の利益、国民の利益を守ってやるという立場になると、どうもこの予備費充当だけでは足らないような気がする。どうですか、これは。
  36. 金子任利

    説明員(金子任利君) ここではすぐちょっとお答えいたしかねますので、補正予算を組む必要があるかどうか、なお検討さしていただきたいと思います。
  37. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 補正予算を組むか組まないか検討していただきたい、検討させていただきたい、こういうことですから、検討は大いに検討してもらえばいいと思いますがね。それから常識的に検討の段階じゃなくて、積極的に補正予算を組む、組まなければならぬ私は時限に来ているというような気がするんだけれども、だから大臣いませんが、ひとつ委員長委員長のほうとしてもいまの質疑のやりとりを聞いて、しかも災害対策委員長として全般を把握しているわけですから十分御承知おきだと思うので、私は、補正予算を組まなければならぬ、こういう時限に来ていると思いますので、次回の委員会までに、これに対する見解が述べられるような大蔵当局、できれば大蔵大臣ですね、そういう関係の大臣ないしは関係者を当委員会に招請していただきたいと思います。そのことを付して、その他こまかな問題たくさんございますけれども、冒頭申し上げたように、私だけが質問をしておりますると、直接被害をこうむった、全般的に被害をこうむっておりますけれども、より大きな痛手をこうむった鳥取県であるとか、あるいは福井県であるとか新潟県等々、これは先ほど来何回も言っているように、連年災害が起きているわけです。ですからたいへんだと思いますから、他の方々の質疑に私はここで譲りたいというふうに思います。  ただ一つ、最後に建設省に申し上げておきますが、ただいまおそらくそれぞれの災害地に査定官を派遣していると思うのです。で、普通のときのような災害の場合は、比較的、たとえば九州だとか、あるいは中部であるとか、あるいは北陸とか等々にある程度限定されます。限定されますけれども、今度の場合はもう日本全土がやられたのですね。非常に広範囲なものです。ですから、いまのような査定官のスタッフではたいへんだと思うのです、この人手の問題からいっても。そこで、あなた方はこれに対してどういう今日対策を立てているかということが一つ。  それから、査定期間が長くなりますと、もうすでに九月ですから、幾ら本州が気候がよいとしても、十月の中旬以降になってまいりますとかなり寒さというものが加わってまいります。特に北海道の場合も、すでにもう十月に入りますとたいへんな寒さに見舞われるわけなので、査定事務にあまり長い時間をかけておりますると、せっかくの各省庁の応急対策で努力をしていることがさっぱり実ってこない、こういうことになりますので、査定の時期というものは、いま冒頭で申し上げたように非常に人手が少ないし、たいへんなことだと思うが、この関係については、できるだけ短縮をして早目に先手先手を打っていくような姿勢を私はとっていただきたい、こういうことをひとついままでの災害の例から見て要望しておきます。  それからもう一つは、いつも市町村自治団体と問題になりまするのは何かというと、査定のあり方の問題なんです。今日の諸法規、諸規定によりますれば、原形復旧が原則になっているんだけれども、この原則ということばを、この場合私は広義に解釈してやらなければならぬじゃないか。ですから、毎回の委員会でも私ども主張しますけれども、こうしたものについては、市町村自治体の今日の財政逼迫した中では、なかなかことばで言っても具体的な施策として施すことはできない、そういう実情は皆さん御承知だと思うから、原形復旧じゃなくて、原則として改良復旧をするようにひとつ行政指導するなり、あるいは査定の段階でそういう点で緩和するなり、こういう措置をとらなければ、今日多くの被害をこうむった市町村自治体、その中における国民がたいへんなことになるんです。そういう点をひとつ十分配慮をされていただくように私から申し上げておきたいと思います。
  38. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 第一点の査定官の人員の問題でございます。これにつきましては、先ほど状況報告で、対策で御報告申し上げたとおりでございます。なお必要があれば、ただいまのところ、相当被害の程度の大きいところ、大体十億程度を限度にしまして、それ以上のところに査定官を派遣しているわけでございます。それでなおさらに詳細に報告が集まりまして災害が多くなれば、本省の関連の課がございますから、そういったところから随時応援を出して処置していきたいというふうに考えております。それから査定の問題でございますが、ただいま私らとして査定を考えておりますのは、もう台風もそろそろ終わりに近づいております。したがって、直ちに本査定に入りたい。われわれとしましては、北海道につきましては、九月二十四日から本査定に入りたいというふうに考えております。そうして十月十四日くらいまでかかるだろうと思いますが。それから青森県、岩手県、それぞれ、青森県につきましても九月二十四日ごろからかかりたい。岩手県は若干おくれますが、十月三日ごろから。それから宮城県、福島県につきましては、それぞれ九月二十四日、九月二十八日からかかりたい。富山県につきましては九月二十八日、福井県につきましては九月二十七日です。茨城県につきましては九月二十七日、そういったようなことで、なるべく今後の降雪、気候の関係も考慮しまして、できるだけこのような計画を立てて、早急に実施したいというふうに考えております。なお、日時の点は、若干、人員の関係とか、いろいろな点がありまして、変更があるかもしれませんが、ただいまはそういうふうな計画で進めたいというふうに考えております。  それから査定のあり方の問題でございますが、これは公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によりまして、原形復旧をたてまえといたしております。しかしながら、現地状況が原形復旧に合わない場合には、つとめて改良復旧を採択するようにいたしております。これも現地関係機関と打ち合わせまして、さように指導いたしております。それから、なお非常に大規模で一定の計画でやる必要があるというところにつきましては、災害助成事業としてとっていきます。あるいは、災害関連事業を採択していきまして、つとめて改良復旧にしていくようにいたしたいと思っております。
  39. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これで終わりますがね、いま御答弁になりましたが、原則的に原形復旧であることは、私どもも内容よく知っているわけです。しかし、実際の災害の実情を見ますればね、これがいつもネックになって、それでまた次の台風がきた場合に、せっかく原形復旧をやったものがまた流失されて、それがいよいよ、より大きい災害をもたらすという原因になっているんですよ。だから、そのつど当委員会でこういう問題が問題にされて、年々歳々、この建設省の努力によって、非常に改良復旧に進みつつあることは、私ども喜ばしいことだと思っているわけです。ですから、その線をくずさぬように私は今回の場合は措置をしてもらいたい、こういうこと。  それからもう一つは、もうすでに原形復旧の原則はくずれ去ってきているわけですからね。いま直ちにということは言いませんがね、私は通常国会等々でやはり法体系を整備すべきだと思うんですね。法体系をこの辺もひとつ考究していただきたい。今度の異常な超大型の台風に見舞われたことを契機にしてですよ、災いを福と転ずるようにするためにも、私は法体系もひとつ検討して、いま言うような、こまかな問題はあるけれども、非常にこまかなようだけれども、市町村自治体については、たいへんな大きな問題ですよね、これは。ですから考究して、法体系をひとつあなた方のほうとしても検討してみる、こういうことを私は望みたいわけです。ここでは答弁を求めません、必要ありませんから。毎度の委員会でそういう議論をされて、現実には原則の原形復旧というものが漸次、国会で、当委員会でいろいろ、結論を出したような方向の改良復旧になりつつあるわけですからね。したがって、法は、現行行なわれていることと、かなり距離が離れてきたわけですから、距離を接近させるためにも、法体系を検討する必要があるのじゃないか、こう思うので、いま、あえて申し上げたわけです。  以上で私の質問を終わります。
  40. 浅井亨

    ○浅井亨君 この二十四号台風につきまして、いろいろと吉田委員から質問がありまして、当局からも、るる御説明がありましたが、私も幸いにいたしまして十四日の晩、福井災害地に到達することができまして、十五日一日かかって災害地を見てまいりました。そこにおきましていろいろな問題が山積いたしておりますが、いま吉田委員からほとんどすべての点にわたって質問をされておりましたし、また、いろいろな要望もありました。また、当局におきましても、それに対する救援というようなこと、また今後の対策についてのお話もありました。しかし、現時点におきましては、最も必要、緊急を要するものは救助でございます。この救助に対しては万全の策をとる、こういうお話でございましたから、これは一応お預かりいたしたいと思いますが、なおかつ、先ほどからいろいろ各省からの答弁があります。それを一括して考えてまいりますと、日本の国土におきますところの災害というものは、過去何十年の歴史を持っております。このように各省がいろいろな面につきましていろいろな観点から観察しているのでありましょうけれども、このような日本の小国におきまして非常に災害が多い。なおかつ、現在の災害というものは非常にひんぱんにやってくるように私は思うのであります。そういうものに対しまして、国家といたしまして、きょうは政府関係の方がおられません。ほんとうはこれは総理大臣が出ておいでになり、また政府自体が一つになって話し合い、そして考えていただきたい問題でございますが、ここらあたりで日本の国土に関するところのすべての問題を包括して、ひとつ国土省というようなものを建設して、そうしてその場面において真に日本の国民を守るという施策を立てていかなければ、ほんとうに日本の国民は救われないのではないか、こういうふうに私は思うのであります。この点において、この次のまた機会において、るる私は質問いたしたいと思っております。  続いて災害についてでございますが、いろいろお話があります。それは現時点において、いわゆるさいの川原みたいになった、こういうような話でありますが、全くそのとおりであります。そこで、医学的にもやはり予防医学があります。われわれのこの災害に対しましても、予防をほんとうにやらなくちゃだめだ、こういうことでありますから、実は私は心配しておるのでありますが、気象庁長官、きょうおいでになっておりますか。
  41. 大倉精一

    委員長大倉精一君) おります。
  42. 浅井亨

    ○浅井亨君 気象庁長官にお尋ね申し上げたいと思うのですが、このようないろいろな災害に対しまして、気象庁としては、ほんとうに現在の気象庁の設備で今後の対策ができるのであろうかなかろうか、その設備またはその人員等についてどのようにお考えになっているか、それをひとつ説明していただきたいと思うのです。  次いで申し上げたいことは、現地におかれまする問題でございますが、福井県の中竜鉱山でございますが、ここにおけるボタ山がこの水のためにくずれまして、そして流れ去ってせきとめた、そうしてそこの住民はほとんど全部その災害を受けた、こういうふうに聞いております。そこで、この中竜のボタ山の事件でございますが、こういうボタ山に対する対策というものはどのようにお考えになっているのかということも、これはあわせて聞かなきゃならぬと思います。このような事態になりました以上は、もっと抜本的に真剣に災害対策に対する考え方を政府自体が持っていただきたい、このように私は思います。今後の委員会におきまして、るる、一つ一つについてまた御質問申し上げたいと思いますけれども、きょうは、この抜本的な考え方を次の委員会までに立てて、そうして私の質問に答えていただきたい、こういうことを要望いたしまして、時間の関係がありますので、これでやめさしていただきます。
  43. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 気象庁長官の柴田でございます。気象庁関係のただいまの御質問に対してお答え申し上げたいと思います。  気象庁といたしましては、台風の現状把握と台風の今後の動きを的確に予報することでございまして、それによって、その台風によって起きる災害を少しでも軽減するというような任務を持っているわけでございます。したがいまして、そういうような任務の立場から気象庁としましては、台風のこの状況をどういうようにすれば的確に把握できるか、そしてそれを、その今後の行動を予報するかというようなことでございます。  現在の気象庁の設備は、御承知のようにここ数年来格段に進歩いたしまして、たとえばレーダーにつきましてもそうでございます。これは御承知のように、富士山の上に大きなレーダーがつけられまして、先日の二十号台風では非常に効果があがったのでございます。で、現在の段階といたしまして、気象庁としても、有力に台風状況をとらえるという設備は、何と申しましてもレーダーがその第一ではないかと考えるわけでございます。それで現在は、大体太平洋側にはレーダーは当初の計画どおり据えつけられまして、その上に富士山のレーダーがある。ただ問題は、瀬戸内と日本海側に若干のレーダーの盲点がございまして、たとえば台風日本海に入りますと、どうもそのレーダーによる台風の把握がむずかしくなってくるというような困難がございますので、今年度に松江に——山陰の松江でございますが、山陰の松江にレーダーを一基備えつけ、それが少なくとも今年度中には完成する予定になっております。次に、日本海側と申しましても、今度松江ができますと、今年に福井ができておりますので、福井と松江の二つできます。したがいまして、北方のほうの秋田県方面は何もないわけでございますので、今後は秋田県にもレーダーを備えつける計画を気象庁としては持っております。また、先ほど申しましたその盲点としての瀬戸内でございますが、これは広島にレーダーを早急に備えつける計画を持っておりまして、実は来年度その調査費をお願いしようということになっております。で、こういうようにしますと、大体レーダー網はまあ一応のネットは敷かれるというようなかっこうになりますので、今後の台風状況の把握には非常に好都合になってくる。非常にと申しますよりもむしろ格段に好都合になってくると申してもいいのではないかと思います。  次に、このレーダーの施設と同時に、私たちの気象庁として考えておるのは通信の施設でございまして、レーダーの映像がそのレーダー観測所でわかっても、そのレーダーの映像が必要な気象官署に的確に迅速に通報されなければ何にもならないのでございまして、そういうようなレーダーの整備に伴う通信施設も同時に考えております。  それからその次には、実はだんだん科学が進歩いたしますと、皆さん御承知のように人工衛星が飛んでおります。この人工衛星は台風の把握に相当有力な武器でございまして、御承知と思いますが、人工衛星の中にいわゆるテレビカメラを装置してございまして、そのテレビカメラでとった写真を刻々に地上に送っております。で、その電波を地上においてとらえますと、どこにおきましてもその付近の千キロ平方ですか、千キロ平方のところの雲の状態がはっきりわかるようになっております。この受信機さえあれば、そのせっかく飛んでいる人工衛星の映像を日本でもどこでも受信できるのでございまして、その受信機につきまして、われわれ前からぜひほしいというように考えておりましたところ、今年度科学技術庁の特別研究促進調整費によりまして一基だけ本年度備えつけられることになりました。しかし、一基ではもちちんだめでございまして、少なくとも数基日本全国にばらまかないと有効な効果はないものだと考えております。したがいまして、レーダーの次には、人工衛星がその次の有力な武器だというように考えております。それからその次には航空機観測でございまして、飛行機観測でございますが、これは台風状況把握につきましては、有力なもののうちの最有力なものであることは間違いございません。したがいまして、この航空機観測というものにつきまして、現在御承知のように、アメリカ軍のほうでやっていただいて、それを気象庁に分けていただいているという状況でございますが、その状況がいつまで続くかわからぬというようなお話も、この国会でずいぶん前からございました。それにつきまして、気象庁としましては、いわゆる気象庁にあります気象審議会というものにつきまして諮問いたしましたところ、やはり気象庁台風観測機まで持つべきだというような結論——最近そういう答申がございました。したがいまして、その答申に基づきまして、飛行機観測をどうするかということをいま目下大急ぎ検討中でございます。何ぶん台風に対する航空機観測と申しますと、非常に大型の航空機が必要になってまいりますので、それに伴ういろんな人員、あるいは人員でもその質的な人員が必要になりますし、いろんな付随した事項がたくさんございますので、それをどういうように処理するかということにつきまして検討をしております。  最後にもう一つ定点観測というやつがございまして、これは船で観測するやつですが、台風観測にはもちろん有効でございます。したがいまして、定点観測が有効でないということは決して言うことはできないのでございます。定点観測につきましても、気象庁としては前から考えておるところでございますが、定点観測よりはむしろ飛行機観測、飛行機観測よりは当面の問題としては人工衛星、それよりも当面の問題としてはレーダーというようなものに気象庁としては現在考えているのでございます。  ただもう一つ、最後に一つお話し申し上げたいのは、こういうようなレーダーだとか人工衛星だとか航空機だとか定点だとかいうものは、台風の現況をとらえるものでございまして、その瞬間の台風の位置だとか、あるいは台風状況をとらえるものでございまして、レーダーを見ましても、その台風の今後の進路はレーダーには出ないのでございます。その点におきまして、今後の的確な予報をするためには、台風予報という気象学の一部、その研究をどんどん進めていかなければならないということで、気象庁における気象研究所というものがございまして、そこで台風についての研究を従来からやっております。その台風予報の研究も今後は大いに進めていかなければならないというようにいま考えております。  これで私の答弁は終わります。
  44. 浅井亨

    ○浅井亨君 各部門にわたっていろいろと詳しい御説明をいただきましたけれども、考えているというだけじゃありませんで、どこまでもそれを推進をしていきませんと、向こうの災害のほうも、どうやら昨今急激に発展いたしております。その点ひとつ、ちょうど瀬戸内にレーダーはなかったというようなことをいまおっしゃっていますけれども、聞いたらないというようなことじゃなくして、もっとすべてのものを早く設備していかなければならない。  もう一つは、人員の問題ですが、いわゆるその体質の問題で不足はないのでしょうか、どうでしょうか。そういう点を明らかにしていただきたい。こういうわけなんです。
  45. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 推進するということについては、おっしゃるまでもなく、気象庁・としては、これらの施設に対しては、少なくとも前向きの姿勢でできるだけ最大の努力を払ってこの施設をつくるように推進する考えでございます。瀬戸内の問題もそうでございます。すべてを含みましてそういう問題でございます。  それから人員の問題につきましてのお話でございますが、こういうようにレーダーを整備したり、あるいは人工衛星に対しての機械を導入したりいたしますと、やはりそれに伴う人員は要るのでございます。現在の人員でどうかというようなお話かと思いますけれども、まあ、これは現在の人員では、現在の施設を動かすために、われわれのほうとしては最大の努力をしてやっているのでございまして、いろいろその人員——まあ、台風のときは、御承知のように非常にある一部の仕事が忙しくなります、そういう場合には、ほかのところから一時そこへ持ってきたりしまして、やりくりと言っちゃことばが悪いかもしれませんけれども、ともかく現在の人員で最大の努力はしているつもりでございます。で、大体現在の人員でそう大きなところのそごは現在しておらないように私は思います。
  46. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 きょうは、二十三、二十四、二十五のこの三つの台風に対して、非常に各地からの甚大な御報告を受けたのですが、受けるまでもなく全県に及ぼしているということは、万々承知いたしておりましたが、まあ台風の件については、これは日本としては地理的にも避けられないと、こういう実情にあろうかと思うのです。そういう実情にありながら、建設省でも五カ年計画白書で、ことしの台風期に対しては、非常に雨が多い、そのためにこの水害——山間地域における被害が集中するだろう、こういうことを出しておられることも事実であります。そこで、先ほどの各県からの報告の中に、二、三の方が報告されたように、そうした被害があるという事実を知りながら、日本ではこの防災の処置が非常におくれている、これはもう先ほど吉田さんがおっしゃったとおり、だれが見てもそう思うと考えるのです。なお、今回は臨海都市の付近は、災害のつどそれに多額の金を費やして、ある程度のその防備をやっておりますけれども、山間はもう全然そうしてないと言っても過言じゃないと思う。先ほどの報告の中にも、この上流を排水するだけの能力のない下流がある、こういう報告を受けております。これはごもっともな報告だと考えているのです。そこで一つだけ参考にこれは聞きたいのですが、農林省の方、見えてますか。——農林省のこの報告を見ても、いつものこの災害報告が月並みの報告だと私は思うのです。ところが、今度の災害の中で田畑の埋没でもう再起できない、再興できないという地域が報道されております。福井あるいは岐阜の一部ですね。そういう二十万六千ヘクタール、こういう被害の中で、もっと綿密なその対策というものですね、被害状況というものを私は報告する義務があると思うのです。この再起できかい、再興できないという土地は、これは何といっても激甚どころか激々甚だと私は思うのです。そういう地域が異例に今回は出ているにかかわらず、依然として月並みな報告でやっておられるところに、根本的な対策に着手しようという熱意がないような気がするんです。こういう点は一体どの程度そういう地域があるのか。再興がもうできない、不可能だと、あるいは離農していきたい、村じゅうがそういうふうな考え方でおるという報道もなされております。私はそういうものが報告の中に綿密にやっぱり調査されて、早もう九月でございますから、あと三カ月で年を迎えなくちゃいけません。そういうものの対策は急速に特別な処置を災害対策としてはとることがぼくは必要だと考えておるんです。そういう点の実情の調査をしたことがあるのかないのか、あればどのくらいのヘクタールになるのか、これをひとつ御報告願いたいと思います。  もう時間もありませんから私は簡単にいたしますが、もう一つの問題は、これは兵庫県でございましたか、浴場の煙突が倒壊して、たっとい生命を数名失ったと、これも重大な問題だと思うんです。私はその報道を聞いて直感しますところ、どうもいまから二十数年前の丹後の震災で、あのれんがづくりの煙突が亀裂が入っておったのではないかと思う。もしそういうことであるならば、一体この監督は厚生省が監督するのか、そういうものに対する状況調査というものはどこがやるのかですね、これも明らかに私は出てないと思うんです。厚生省の方が見えておるならば、その問題についての詳しいひとつ答弁が願いたいのと、一体いつごろその浴場の煙突というものは設立されたものなのか、こういう点についてひとつ詳しく御報告願いたいと思います。
  47. 尾中悟

    説明員尾中悟君) ただいまの御指摘の点でございますが、総理府から配付されました資料によりましても、水田の流失埋没でございますか、これが千五百ヘクタール、それから畑は三百二十八ヘクタールということに相なっております。いまお話がございました福井県あるいは岐阜県その他の県におきまして、特に山間部におきまして非常に多量の土砂が田畑の上に堆積いたしまして、状況によりましては今後再起もできないんじゃないか、こういうような個所が確かにあるわけでございます。農林省といたしましては、実は先週、台風の東京を通過しました翌日でございましたか、林野庁、農地局から係官を至急現地に派遣したわけでございます。ところが、当時はまだ道路その他、人命の救援その他に現地は追われておりまして、現場まで行けなかったということでございます。で、きょう実は先ほど申しましたように、農林政務次官を団長にいたしまして、災害復旧課長等も現場に飛んでおりますので、今後は航空機等を使いまして現地に入って詳細について調査をするということになっております。その他の県につきましても、そういう個所につきましては現在県と連絡をとっておりますし、また地方農政局からも現場に入りまして、至急調査を取りまとめたいということでございます。できるだけ早くその全貌を明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  48. 柳瀬孝吉

    説明員(柳瀬孝吉君) お尋ねの兵庫県における浴場の煙突の倒壊に関した問題でございますが、煙突の構造の規制につきましては、これは一般的には他の建築物と同じように建築基準法の規制の問題となるのではないかと思いますが、公衆浴場法におきましては、公衆浴場の衛生上の見地から、公衆衛生上の見地からと入浴者の衛生保持という面から構造規制の規制を条例でできるようにはなっております。それはもっぱら衛生立法でございまして、入浴者の衛生を維持するための構造設備を、基準を設けるなり何なりして規制をする、そういうことになっております。
  49. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 農林省の方にお聞きしたいのですが、まあ千五百ヘクタール等、これらの調査も進んでいる、これには特別のこういう処置を急速に立てる、こういう考え方でやっているということですね。それは了承いたしました。  いまの煙突の倒壊の問題ですが、衛生面からの規制のあることは私も承知いたしておりますが、こういう建物は建築した場合の調査以外は、全然もう調査はしてない。たとえば地震等による災害で亀裂が入っておったとか、そういうことは届け出もしない。したがってそのまま使用して、こういう災害が起こったと私は言えると思うのです。今日までそういう調査はやったことはないわけです。
  50. 柳瀬孝吉

    説明員(柳瀬孝吉君) 県のほうに照会をいたしまして、どういう状況、まあ公衆浴場に関係のある問題でございますから、照会をいたしましたところ、倒れました煙突は、場所は加西郡北篠町百十四、薬師湯というところで、昭和十六年に正方形のれんがづくりで、外形一・七メートル四方、高さ十五メートルの煙突で、これが上から八・五メートルの部分から折れた、こういうような状況になっているということを聞いておりますが、浴場が全体に老朽化しているということも事実でございまして、煙突だけの問題ではなくして、浴場全体の老朽化を、老朽な施設というものをできるだけ新しい施設に増改築するなり新築するなりできるだけしていくように、行政的な指導は行なっているわけでございます。
  51. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは昭和十六年の建設でしたらかなり古いものだと私は思うのです。したがって、地震か何かのために中途から折れるということは亀裂があったと、こう見ざるを得ないのです。その事実は現地調査をすればわかると思うのです。これは十分なる調査をする必要がある。したがって全般的に見るこの浴場の老朽化しているという点についてはわからぬことはございません。老朽化しておればそれをやはり直すという手段ですね、これは地方治自体に対して十分なる調査をさせて、今後煙突に至るまで、浴室だけじゃなくして、その構造だけじゃなくて、そういうものまで十分なる調査をする必要がある。したがって危険な個所については補整をやるとか、あるいは取りこわして新たにやらすとか、こういうような処置を私はやるべきだと思うのです。こういう点に対するひとつ考え方を、大臣が見えないから無理かもしれませんけれども、私はそのことはまた追って大臣に質問しますけれども、皆さんの考え方があれば、ひとつお聞かせ願いたい。
  52. 柳瀬孝吉

    説明員(柳瀬孝吉君) お話しの点につきまして、被害のあった浴場につきましてもよく調査をいたしまして、また検討していきたいと思います。ただ、まあ先ほど申し上げましたように、公衆浴場法という法律に基づく規制というのは、衛生措置でございまして、入浴者の衛生保持の上に必要な衛生措置でございまして、構造設備を規制するというのがたてまえでございますので、まあそれと関連をして行政上の指導をすべき性質のものかどうかについても、よく検討したいと思います。
  53. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 私からちょっと二、三お伺いしますけれども、人命救助の点ですね。今度の福井岐阜というような山間僻地に起こった災害に対する人命救助、これはヘリコプターが非常に活躍したのですけれども、自衛隊のあの大型のヘリコプターじゃ能率があがらなかったようですね、これは現地調査しましたけれども。それで愛知県警あたりが持っている小型のヘリコプターのピストン輸送で非常に能率があがったということを聞いております。さらに台風時における人命救助でありますから、その操縦には特段の訓練が要るということを聞いておる。こういうものを地方自治体に持たすということは非常に望ましい、特に山間僻地における災害というのは非常に悲惨な状態でありますから、そういう点について、中央において特に考慮検討する必要があるのじゃないかと思いますが、そういう点について検討されたことがありますか。
  54. 金子任利

    説明員(金子任利君) ヘリコプター等、特に地方の行政機関で人命救助のためとして持つということは、これまでは検討しておりません。ただまあ警察と自衛隊が現在のお話のように持っておりますので、これを活用するような方向で考えております。
  55. 大倉精一

    委員長大倉精一君) これはこの次までに、特に今度のような福井岐阜における人命救助の実態を調査願って、今後対策として特に御検討願いたいと思う。きょうは人命救助に対する質問がありませんでしたけれども、特に台風時におけるところの人命救助は非常に重要だと思います。  もう一つは、気象庁長官にお伺いするのですけれども、レーダーが非常に役に立ったということを聞きましたけれども、今度の二十四号台風進路予報は必ずしも的確じゃなかったと思う。特に私がふしぎに思ったことは、十七日の四時のテレビのニュース、これを聞いておりまするというと、十二時における台風の位置は——こういう四時のニュースで十二時の台風の位置を映すというのは、これはどういう原因ですかね。それから陸地に近づいてくるというと、相当近い時間に放送されます。それでもやはり二時間くらいの差があります。それからもう一つは、進路予報が中央と地方と違っておりまして、たとえば中央においては束のほうに行ったと言う、名古屋あるいは大阪のほうでは依然として北東に向かっておると、しかも秋の台・風は非常に足が早いので、現地においては非常に台風進路予報というものについて関心を持っておる。そういう食い違った原因等について検討されましたか。
  56. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 最初のお話の、四時のときに十二時の台風の位置を言っていたということにつきましては、私ちょっと記憶がいまございませんので、あとで調べまして回答申し上げたいと思います。感覚的にはそういうことはちょっと考えられないことで、何かの行き違いがあったのかもしれませんです。  それから、次の問題の進路が各地方官署によってまちまちになるということにつきましてでございますが、現在台風進路につきましては、元来台風というものは、非常に大きな被害を及ぼすものなので、各気象台てんでんばらばらの進路を考えて、それを公表するということにしますと、混乱が起きますので、それは規制しております。したがって、東京の気象庁におきまして、台風進路をきめましてやっておるわけでございますが、その気象庁における進路というものは御承知のように扇形になっております。扇形の中のどっかの方向に台風が進むのだというような表現のしかたで気象庁のほうではやっております。それを地方気象官署が引き受けまして、その扇形の中の方向につきましては、若干その地方官署でそれを判定してもよろしいというような規約を設けてやっておるのでございます。したがって、何ぶんにも扇形そのものが非常に幅が広いような場合には、ただいま委員長がおっしゃったようなケースが若干あったかもしれませんが、特にその台風上陸をするというようなときに、どこに上陸をしたのかということを、各気象官署によって若干発表が食い違っていたというようなことがあったかもしれません。しかし、どういうわけで気象庁で扇形の形で台風進路を予報するかということにつきましては、もうこれは実ははなはだ残念でございますけれども、扇形の形しか台風進路を予報できないような気象学の技術水準でございまして、これ以上はただいまのところ、世界じゅうのどの学者が日本に参りましてやっても、やはり同じでございます。そういう点におきまして、日本台風に対する学問、これは僭越でございますけれども、世界のトップレベルにあるということは、この席上で申し上げてさしつかえないと思います。
  57. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 四時のニュースに十二時の位置を言ったというのは、名古屋のテレビで見ておりましたが、十二時現在の位置は——多分いまごろはこの辺にいるでしょうと駒を動かした。それから扇形はいいのですけれども、名古屋あたり、あるいは紀伊半島あたりでも、六時から台風圏内に入って九時ごろに上陸する、こういう時期に、四時か五時ごろにNHK名古屋の第一放送、名古屋の予報部長ですか、説明して、そのときには進路を書くのですよ、扇形ではなくて、こうなっている、そのあとで中央が映って、今度はこうなっている。これは紀伊半島の鼻っ先、こっちに来る、あっちに来るというのは、非常に現地では迷いますから、これはひとつお調べになった上で、どういうところに原因があるかということを検討願いたい。  さらにまた、先ほどレーダー、人工衛星、飛行機、定点観測というようにおっしゃったけれども、特に飛行機の問題につきましては、これは前の和達さんの時分から、伊勢湾台風のときに、岸さんが飛行機を日本は持たなければならぬと言ったときに、当時の防衛庁長官の赤城さんがとめたということもあるのですが、これはいま毎日飛んでおりますね。これもみんなアメリカが飛んでおりますね。これはお互いに要らぬということではなく、もっと強力にやってください。それから北方定点観測ですね。これも昭和二十八年にアメリカの都合でやめたのですが、二万か三万メートルの高層気球というのが、これも台風の観測に大きな影響があると思うんですよ。これも必要なら必要ということをばっと言ってもらわないと、必要だが金が高くて、飛行機も必要だが金が高くて、こういうことを言っておったのでは困る。あなたのほうは専門的にこれが必要だということを、私も応援いたしますから、遠慮せずに。
  58. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) たいへん御激励をいただきましてありがとうございました。私としてももともと先ほど申しましたように、前向きの姿勢で飛行機その他のことを考えております。今後もそういうような前向きの姿勢で、できるだけ実現に努力したいと思いますので、ひとつ今後ともよろしくお願いいたします。  先ほどの四時と十二時の問題でございますけれども、お時間がよろしければ、ちょっと予報部長がその間の事情を若干承知しているらしいので、説明さしていただきたいと思います。
  59. 今里能

    説明員今里能君) 先ほどの御質問に対してお答えいたします。  十七日の十二時には、台風二十四号の位置は室戸岬の約三百キロ南方の海上でございます。この位置におきまして、富士山のレーダーは外側の構造はとらえておりましたけれども、十分に台風中心位置を決定できるほど台風の向こう側の状況がよくわかりませんでしたので、勢い天気図を書いて中心位置を決定せざるを得なかったわけでございます。ところが、午後四時というときはちょうどぐあいの悪いときでございまして、十五時に、午後三時に観測がございまして、それが即刻集まってまいりまして、解析して中心の位置を決定するんでございますが、十六時の発表のときまでにそれが間に合いませんでして、やむを得ず十二時の位置を言って情報を流した次第でございます。で、台風がより本土に近く接近いたしました場合には、富士山のレーダーあるいは名古屋のレーダーその他を活用いたしまして、数時間前の位置というようなことでなしに、現在の位置を的確にお伝えして、防災の資に供するという、そういう方針を固くとっておるのでございます。十七日の十二時と十六時の問題は、大体以上のような事情でございましたので、御説明さしていただきました。
  60. 大倉精一

    委員長大倉精一君) これは長官、やっぱりアメリカの飛行機は都合のいいときでなきゃ行ってくれぬですよ。日本が飛行機を持っておって台風にくっついてなきゃだめですよ。船の定点観測もありますけれども、ぼろ船で台風を逃げて回わるような船じゃとてもだめなんです。やっぱり台風の片側へずっとくっついておって、適時的確にやらなければ。ですからそういう点についてうんと研究してもらいたいと思います。それから本土に近づいた場合でも、そのときの位置ということをおっしゃったけれども、やっぱり一時間か一時間半くらいズレがありますね。ですからもう本土に近いときには、ここに来るのか来ないのかという、一時間前にはここにおったというのでは間に合いません。ですからそういう点についても十分ひとつ検討をお願いいたします。  速記とめてください。   〔速記中止〕
  61. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけて。  これをもって質疑を終了いたします。     —————————————
  62. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、委員派遣については、委員長、理事で協議をいたしますので、委員長に御一任を願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五十分散会