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1965-09-14 第49回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年九月十四日(火曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————    委員異動  九月十三日     辞任         補欠選任      向井長年君      高山 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大倉 精一君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 白木義一郎君     委 員                 岡本  悟君                 園田 清充君                 山内 一郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 浅井  亨君                 高山 恒雄君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        内閣総理大臣官        房審議室長    高柳 忠夫君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房参        事官       尾中  悟君        運輸大臣官房審        議官       中野  大君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        気象庁予報部長  今里  能君        建設省河川局長  古賀雷四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風二十三号による災害対策に関する件)     —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  九月十三日、向井長年君が辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。     —————————————
  3. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、台風二十三号による被害対策を主として調査を進めたいと思います。  最初に気象庁から概要について御説明いただきます。今里予報部長
  4. 今里能

    説明員今里能君) 気象庁予報部長であります。  台風二十三号につきまして簡単に概況を御説明申し上げます。  お手元にこういう資料がございますが、これによりまして御説明申し上げます。  昭和四十年の九月一日午前三時、グアム島の南方五百キロの海上に弱い熱帯気圧として二十三号は発生いたしたのでございます。このときの中心気圧は千六ミリバールでございます。それから五日たちまして、九月六日の午前三時には、この弱い熱帯気圧は硫黄島の南およそ四百五十キロの地点に達しまして、発達して台風二十三号となりました。中心気圧は九百九十六ミリバール、最大風速中心付近で三十五メートル、風速二十五メートルの暴風半径は五十キロでございます。その後次第に発達しながら北西ないし西北西に進行いたしまして、八日の午前九時には、南大東島南東約三百キロの海上に達しました。このときの中心気圧は九百五十五ミリバール、最大風速は五十メートル、二十五メートルの暴風半径は約二百キロの強い中型の台風となったのでございます。翌九日の午前九時には奄美大島南東二百八十キロの地点に達しまして、最も発達いたしまして、中心気圧は九百四十ミリバール、最大風速は五十五メートル、二十五メートルの暴風圏は二百キロと、強い大型台風になりました。このころから進行方向は北ないし北々西となって、時速は二十キロで進行いたしました。その後、次第に速度を速めながら、北々東から北東に向きを変えまして、十日の午前八時過ぎに、高知県の安芸付近上陸いたしたのでございます。このとき勢力は強く、中心気圧は九百四十ミリバールで、この台風の初めから終わりまでの最低気圧を保ちながら上陸したのでございます。  上陸後も台風勢力はあまり衰えませんで、さらに兵庫県に再上陸いたしました。播磨灘から明石市と姫路市の中間付近上陸いたしましたときは、時速が約六十キロで、北々東ないし北東に進行しておりました。この状況を続けながら日本海に入りまして、さらに速度を増しまして、能登半島の沖をかすめて、北東ないし北々東に進行いたしました。この間の速度は毎時七十ないし八十キロ。十日の十一時に姫路付近にありました台風勢力は、中心気圧は九百五十二ミリバール、中心付近最大風速は五十メートル。二十五メートルの暴風圏は百五十キロに若干縮小いたしました。その日の二十三時ごろに北海道渡島半島南部に三たび上陸いたしまして、北海道をななめに横切りまして、十一日の午前六時にはオホーツク海に去ったのでございます。十一日の明け方、札幌の北七十キロ付近を通過いたしましたが、このころの台風勢力は、中心気圧が九百七十四ミリバール、若干衰えておりました。中心付近最大風速は二十五メートル。二十メートルの暴風半径は二百キロでございました。  この台風によりまして各地で強い風が観測をいたされました。過去の記録が更新されたところも多かったのでございます。特に台風の進路の東側に当たりました四国東部紀伊半島近畿中部地方及び北陸地方西部では、平均風速が二十メートル以上の暴風となって、また、室戸岬では六十九メートルという異常な平均風速観測いたしました。また、これらの地方では、大体において瞬間風速は三十メートルをこえておりまして、室戸岬では瞬間風速といたしましては七十七メートル、また、徳島では六十九メートルを観測いたしたのでございます。もっとも、室戸岬の風の観測は海面上二百二十メートルの高いところでやっております関係で、平地における風速として、ほかの値と比較することは当を得ないかと思っております。  この台風によります雨量は、台風速度が速うございました関係で、わりあいに少なく、三百ミリ以上を記録いたしましたのは、四国山岳部紀伊半島南西部でございました。山陰の東部や東海、北陸山陸山岳部では、二百ミリをこえた程度でございました。九州地方関東平野東北地方では少なかったのでございます。台風北海道に三たび上陸いたしましたので、札幌付近では百ミリをこえる、北海道としては珍しいような大雨が降っております。雨は九日の夜半ごろから強くなりまして、最も強かったのは四国上陸いたしました前後で、四国の剣山では、この台風によりまして七百ミリ近くの雨を記録いたしました。  以上が台風二十三号の概況でございますけれども、この台風につきましてどういう特徴があったかということをかいつまんで申し上げたいと思います。  この台風はわりあいに大型でございました。最盛時の最低気圧は、先ほども申しましたように、九百四十ミリバール。千ミリバールの円の等圧線の囲んでおります部分の半径は四百五十キロでございました。この台風がこのように強く大型であったことは、四国上陸いたします直前までそのまま続いたのでございます。  二番目に、この台風上陸後もわりあいに衰えなかったという点を指摘したいと思います。安芸上陸いたしましてから、さらに明石付近に再上陸したわけでございますが、日本海に抜けるまで、わりあいに速度が速かった関係で、勢力が衰えませんでした。  三番目に、台風速度が非常に速かったということを申し上げたいと思います。奄美大島の東方の海上で転向いたしました後に、次第に速度を増しまして、日本海を通過、日本を横断いたしますころには、速度は五十ないし八十キロと、非常に速くなっております。  四番目に、前線を刺激と申しますか、いたしまして、台風上陸いたします前に雨を降らせたことについて触れたいと思います。この台風が近づいてまいります前に、本州の南方海上前線がございましたが、台風から送り出します温暖で湿潤な空気のために、この前線を刺激いたしまして、関東から九州まで、九日の朝以来一斉に雨が降りだしております。しかし、総合的に見ますと、台風進行速度が、いま申しましたとおり速うございましたので、雨量が三百ミリをこえたのは、四国東部その他で、わりあいに狭い範囲に限られたということは幸いでございました。  次に、この台風が再上陸をいたしました地点の近くでございますが、姫路測候所におきましては、九百五十二・三ミリバールという気圧記録したのでございますが、これは姫路測候所といたしましては初めての記録でございます。  六番目に、非常に強い風を各地にもたらしたということをあげたいと思います。十分間の平均最大風速といたしまして、筆頭となりますのは、室戸岬における西南西の風六十九メートルというものでございます。それから高松、輪島、徳島姫路等におきましても、それぞれ強い風の記録を残しておりまして、それぞれの測候所におきまして、あるいは気象台におきまして、過去に例がなかった更新の記録を残しておるのでございます。以上が十分間の平均でございますけれども、瞬間最大で申しますと、これよりさらに強くなっておりまして、室戸岬では七十七メートル、徳島では六十九メートル、洲本では五十七メートル、姫路で四十七メートル、和歌山で四十六メートル、福井で四十三メートル、それから青森県の深浦では四十メートルというような強い瞬間風速記録しております。これはそれぞれの測候所におきますところの記録を更新したのでございます。  それから最後に、台風二十三号は、このコースが不幸にも、日本列島上陸以後、日本列島に沿って北東進いたしましたために、中国地方から近畿北陸北海道と、非常に広い範囲にわたって台風の影響を及ぼしたのでございます。こういう台風でございましたので、気象庁関係におきましては、全国で二十九の府県北海道全域に警報を出しました。それからまた、注意報といたしましては、四十四の都府県、それから北海道と、ほとんど日本全国注意報を出さざるを得なくなったような、そういう性質の台風でございます。  以上、簡単でございますが、台風二十三号につきましての概略を御説明申し上げました。
  5. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、被害概況について総理府から説明を求めます。高柳総理府審議室長
  6. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 去る九月十日、高知県の安芸付近上陸いたしまして、四国近畿北陸東北北海道と広範な地域にわたって被害をもたらしました台風二十三号の被害状況及び政府のとった措置概況につきまして簡単に御報告申し上げます。  気象状況につきましては、ただいま気象庁から御説明がありましたように、非常に特殊な台風でございましたので、被害規模も広範にわたっておりますが、幸い風速の速さに比較いたしまして、降雨量等、特殊な地域を除いて、一般的に少なかったために、公共被害は比較的少ない状況でございます。  九月十三日現在の被害状況を御説明申し上げますと、被害の及んでおる範囲は、四国近畿地方をはじめ全国四十都道府県にわたっております。  人的被害概況といたしましては、兵庫県下の死者十六名を含めまして、死者五十名、行くえ不明十四名、負傷者八百七十四名であります。死者の多くは、倒壊建物の下敷きになった者が多数でございます。  建物被害は、全壊千百九十一棟、半壊二千八百六十八棟、流失十一棟、床上浸水七千七百棟、床下浸水三万九千四百二十五棟。罹災世帯数一万二千八百二十一、罹災者数は五万三千百二十六名の多くを数えております。  これはただいま御配付いたしましたお手元資料でございます。ただ、九月十三日現在でございますので、その後の状況が判明いたしてまいりますと、若干数字に異同があるかと思います。  公共土木施設等につきましては、後ほど建設省から詳細な御説明があると思いますが、十三日現在では九十六億。ただいま新しい数字といたしましては百二十四億という数字が出ておりますが、十三日現在では九十六億でございます。国公立学校施設等約八億八千万。このほかに農地農業用施設、農産物の被害等相当多額にのぼる見込みでございます。これも農林省から後ほど御説明があると思います。  交通関係につきましては、国鉄で線路故障、配電故障等合わせまして三十線区、百二十三カ所、不通区間八十三の被害を受けましたが、早急に復旧計画を立てまして、努力の結果、予讃線、土讃線の各一カ所を除いて大半が十日中に開通した状況でございます。  政府のとりました今回の台風に対しての措置概要を申し上げます。  台風上陸いたしまして、十日午後五時半に総理府関係各省災害担当の方にお集まり願いまして、災害状況判断及び現にそれぞれの省でとっておる措置並びに今後考えられる台風被害状況とそれに対処する措置を打ち合わせました。当時、すでに警察庁といたしましては、関係四国中国近畿中部関東東北等管区警察局に、早期災害警備連絡室を設けまして、関係都道府県警察に対しまして災害警備の万全を期するよう指令を発しておりました。警察官約延べ三万二千人がこのために動員されているという報告でございまして、また、消防庁といたしましても、消防団員約二万二千人を動員いたしまして、災害に備えまたは復旧に応ずるように準備をいたしております。ことに、兵庫県から北陸地方へ抜けまして、北陸地方及び東北地方フェーン現象が起こる危険があるという判断のもとに、そのための消防体制を万全を期するような指示もいたしておった次第でございます。さらにまた、当日午後六時ごろ東京湾高潮の時期と台風上陸時期とが一致する危険がある、こういう判断のもとに、江東地区等における高潮対策につきまして、警察庁及び消防庁は万全の指示をいたした次第でございます。  防衛庁といたしましても、災害出動体制を準備いたしておりましたが、幸い大規模災害出動要請もなく、中部及び北部方面地区から延べ百十名の人員と車両延べ八十八台の派遣をいたした次第でございます。  厚生省関係といたしましては、兵庫徳島高知の三県下に、十三日現在四十九市町村に災実救助法を適用して必要な応急救助を行なっております。各省からはそれぞれ災害査定官または災害担当官を派遣いたしまして、災害査定並びに復旧に対する諸措置をいたしておる次第でございます。  文部省関係におきましても、児童が教科書等を流失した場合に対するその補給の措置も講じておる次第でございます。  政府といたしましては、このような状況判断のもとに、まず第一次的には、地方公共団体及び関係各省の協力のもとに、災害に対する予防措置並びに復旧措置を強力に推し進めるということで、特に非常災害対策本部の設置はいたさなかった次第でございます。また、その後の状況判断いたしまして、幸いに特典な災害河川の決壊または市町村の孤立というふうな特殊な現象もございませんので、ただいまのところ調査団を派遣するというところまでは至っておりません。  最後に、本日このような災害状況総務長官から閣議に報告いたしまして、今後の処置を検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  7. 大倉精一

    委長員大倉精一君) 次に、農林省関係被害について農林省から説明を求めます。後藤農林政務次官
  8. 後藤義隆

    説明員後藤義隆君) 台風二十三号による農林水産業関係被害について申し上げます。  九月十日午前八時ごろ高知安芸付近上陸した台風二十三号は、その後急速な勢いで四国山脈を越え、播磨灘を経て兵庫県を縦断し、若狭湾から日本海に抜け、さらに北海道西部に再上陸した後、北方に去ったのであります。これがため、農林水産業関係かなり被害を与えた模様であります。農作物被害は、この台風風台風の色彩が強かったため、水稲の倒伏、開花期に当たるおくて登熟初期のなかてへの障害リンゴ、ミカンその他果実の落果等が特色となっております。  現在県からの報告に基づいて集計いたしました被害は、農作物等におきましては約四百三億、特に水陸稲におきまして約二百四十二億、リンゴ等果樹におきまして約百五億の大きな被害となっております。また、農地及び農業用施設等におきまして約十四億、共同利用施設におきまして約四億、水産関係におきまして約五億、その他におきまして約二十八億、合計約四百五十四億円となっております。  農林省といたしましては、被害の詳細が判明次第、今後の措置につきまして検討する所存であります。  なお、近畿地方並びに北海道青森等三十五道府県に及んでおりますが、これは現在まで報告のあった分がただいま申しました三十五道府県に及んでおる次第であります。詳細なことは後ほど係官をして御報告を申し上げます。
  9. 尾中悟

    説明員尾中悟君) お手元資料がございますので、それに基づきまして若干補足的に申し上げたいと思います。  今回は風台風でございまして、被害中心農作物になっております。二枚目にありますように、農作物合計いたしまして約四百億でございますが、その大半水陸稲でございまして、二百四十二億ということになっております。その次に果樹、野菜というような順序になっております。  地帯といたしましては、ちょうど近畿地方は、北日本と違いまして、まだおくて開花直後の時期でございますし、なかてにつきましても登熟初期段階でございますので、風台風による障害が特にひどかったのではないかというふうに考えております。  今後の措置につきましては、やはり来年度の種子対策につきまして、優良なる種子をぜひ確保してまいらなければならぬということで、現存各府県とも連絡いたしましてその措置をやっておりますし、また当面の措置といたしましては、こういった風水害のあとには病虫害の発生が予想されるわけでございまして、白葉粘れ病あるいは枝梗いもち等につきまして万全の対策をとってまいらなければならぬということでございます。防除器具あるいは農薬等につきましては、かねてから相当程度の用意を各県がやっておりますので、時期を失しないように現在防除措置につとめておるという段階でございます。  また、果樹落果等に伴います事後処理でございますが、これも各県におきまして加工用あるいは青果用として早期出荷をはかるというようなこと、あるいは加工業者との関係におきまして不利になりませんように、なかなかむずかしい問題でございますけれども、この措置に当たっておる最中でございます。  それから施設関係といたしましては、合計いたしまして約五十億程度ということになっております。漁港、それから治山関係海岸施設関係で約七億円、それから農地農業用施設林道関係で十四億程度、その他共同利用施設養殖施設等につきましても、相当な被害が出ております。これらの施設関係被害につきましては、現在各関係農政局より、被害調査あるいは査定等につきまして、今後の措置について、できるだけすみやかに万全の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  10. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、建設省関係被害について建設省から説明を求めます。古賀河川局長
  11. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 建設省関係台風二十三号による被害状況を御報告いたします。  お手元に縦のプリントがあると思いますが、十三ページにわたるものです。これでもって目次に従いまして御説明いたします。この資料は、現在まで報告のあった分をまとめたものでございます。今後数字が変わることを御了承願いたいと思います。  第一ページの気象概況でございますが、これは省略をさしていただきます。気象概況の中で雨量の点をちょっとごらんになっていただきますと、北海道登別町で百五十五ミリ、兵庫県の丹南町で二百三十二ミリ、和歌山の熊野川町で二百八十八ミリ、徳島県の神山町で四百五十八ミリ、それから愛媛県の伊予三島市で三百十三ミリ、高知県の高知市で三百二十一ミリ、そういったところでかなり豪雨をもたらしております。  それから第二ページには被害状況を書いておりますが、建設省所管にかかる公共土木施設被害は、現在までに北海道外二十九府県発生しておりまして、被害額は百十七億八千万円になっております。うち直轄災害が十四億一千万円、補助災害百三億七千万円となっております。内訳は、直轄につきましては、河川百三十一カ所、十二億一千六百万、道路が二十六カ所一億二千万円、海岸六カ所、四千万円、砂防三カ所二千六百万円、合計直轄百六十六カ所で十四億二百七十万円となっております。補助災につきましては、八千七百十六カ所で百三億七千二百万となっております。合計いたしまして、公共土木施設災害としまして八千八百八十二カ所百十七億七千五百万ということになっております。  都市施設につきましては、四カ所七百二十万程度災害が生じております。  参考のために、二ページの一番最後のところに、四十年度発生災害合計を、都市施設を抜きまして合計額が書いてありますが、合計四万九千九百六十三カ所、七百二十二億九千万円程度災害を現在まで生じております。  その次の三ぺージのほうは、直轄河川出水状況を書いてあります。この欄で、石狩川の豊平川につきましては、計画高水位十一メートル七十八センチに対しまして、十一メートル五十センチという水位記録いたしております。それからその他の円山川につきましては水位かなり上がっております。ほかの河川はいずれも警戒水位をオーバーしておりまして、災害を生じております。  その次の表は、直轄河川被害状況について書いてあります。先ほど申し上げました被害内訳でございまして、十九水系二十河川につきまして百三十一カ所十二億一千六百万という数字が出ております。特に兵庫県の円山川あるいは紀の川という川に一億以上の被害を生じております。  それから、その次の直轄道路被害状況でございますが、今回は特に北海道におきまして被害個所が多うございまして、合計二十六カ所一億二千万でございます。この復旧状況でございますが、一級国道五号、十二号、三十八号につきましての、すでに上から三番目までは復旧済みでございます。二百二十九号につきましては、これは二十日に復旧予定でございます。橋梁の関係もございまして、二十日までかかるようになっております。それから二百三十五号から二百四十二号までは復旧済みでございます。それから二百四十四号につきましては、十八日に復旧予定でございます。主要道道、市町村道につきましては十月には復旧でございますが、これはいずれも迂回路がありまして、交通には支障はないものと思われます。静岡で「一般国道」と書いてありますが、これは一車線の交通をただいま確保しております。それから、鳥取県の九号につきましては、交通支障はございません。ただいま道路復旧状況災害状況を申し上げました。  その次に、直轄海岸被害状況は、主として兵庫県の東播海岸東播磨海岸につきまして起こっておりまして、六カ所四千万円生じております。  それから、直轄砂防につきましては、鬼怒川水系に起きております。三カ所二千六百万円。  それから、補助災害につきましては、各県別個所数被害額を書いてあります。北海道の十七億一千七四百万、それから次のページの兵庫県の二千九百三十カ所の二十一億四千百万という災害、それからその次の岡山の六百三十六カ所の七億六千四百万円、それから香川の五百四十カ所の五億一千四百万円、それから高知の五百二十一カ所の九億三千九百万円という、いずれもかなり被害を生じております。したがって、補助災害につきましては、二十九県一市、八千七百十六カ所の百三億七千二百万という災害を生じております。  その次の十一ページには、都市施設被害状況記録されております。いずれも公園、都市下水路でございまして、七百二十万程度災害でございます。  次は、住宅の被害状況でございますが、これは先ほど総理府から御報告のあったとおりでございますが、集計の日時が違っておりまして、若干数字の異同がございます。全壊は千二百二棟、それから半壊二千八百六十九棟、床上浸水七千七百棟、床下浸水三万九千四百二十五棟というようなことになっておりまして、特に、ごらんのとおり、二行目の徳島県が、全壊二百五十七棟、半壊五百五十八棟、床上浸水百七十棟、床下浸水七千七百七棟、それから六行目の兵庫県でございますが、全壊は五百九十九棟、半壊千三百五十一棟、床上浸水四千四百三十二棟、床下浸水一万四千八十五棟というぐあいに、この二県が特に被害程度がひどいようであります。  それから、その次に、現在まで建設省として対策並びに処置をとった事項について簡単に御報告いたします。  直轄河川につきましては、現地の準備完了を待ちまして、すみやかに現地調査を行ない、予備費の支出をはかろうと準備を進めております。それから海岸につきましても同様でございまして、道路につきましてはすでに応急復旧中でございまして、ただいま御報告申したとおりでございます。  補助災害につきましては、被害の激甚でありました兵庫並びに北海道につきまして、直ちに現地に係官を派遣いたしまして、調査を進めております。その他の県につきましても、緊急復旧を要する個所につきましては、工法協議を行ない、応急復旧工事を施行するようにしております。  それから、住宅災害でございますが、被災住宅については、住宅金融公庫より災害復興住宅資金の貸し付けを行なうよう関係支所において現地説明を行ない、希望者に対して申し込みの受付を行なうよう準備を進めております。災害公営住宅の建設につきましては、市町村の建設希望によりまして災害復興住宅の建設を行なうように指導いたしております。  以上、たいへん簡単でございますが、御報告いたします。
  12. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、運輸省関係被害について説明を聴取します。運輸省中野審議官
  13. 中野大

    説明員(中野大君) 運輸省の所管事項で、台風二十三号によりまして生じた被害状況並びにその前後にとりました措置について御報告申し上げます。  お手元に「台風第23号による被害状況について」という資料がございますが、一枚目の台風二十三号の概要は、冒頭で気象庁から報告を申し上げましたので、省略さしていただきます。  二枚目に、被害状況並びにとった措置としまして、まず国鉄関係でございますが、先ほど総理府からもお話がございましたように、十日、接近に伴いまして、午前六時から順次関係線区の列車の運転の取りやめの措置を講じたわけでございます。被害は、線路故障、送電故障合わせまして三十線区、百二十三カ所、八十三不通区間を生じたわけでございまして、大体被害額は二十五億円程度というふうに見込まれてございます。大半は十日じゅうに開通いたしまして、先ほど総理府からもお話がございましたが、現在予讃本線の伊予富田から今治間、江差線の吉堀−神明間、この二区間が不通になってございます。いずれも本日十四日開通見込みでございます。江差線は十七日となっておりますが、本日判明いたしましたところ、きょう開通見込みでございますので、江差線も十四日間通の見込みでございます。もちろん、この不通の線区では、折り返し運転をしましたり、バス連絡をいたしまして、その対策を講じたわけでございます。  次に、私鉄関係でございますが、台風の進行に伴いまして、同じように各私鉄も十日早朝から順次強風のために運転の休止をいたしたわけでございます。十九社の各線に線路の浸水、道床流失等の被害が生じましたが、その後順次復旧開通しまして、現在不通になっております個所は次の三カ所でございます。いずれも北海道でございまして、定山渓鉄道、寿都鉄道、雄別録道でございますが、定山渓鉄道は三週間開通まで要するようでございますけれども、あとの二鉄道はいずれも十五日に開通の予定でございます。現在までに判明しました被害額は六千五十四万円ということでございます。  次に、自動車関係は、自動車運送事業、自動車分解整備事業とございますが、現在までに判明いたしましたところでは、施設、車両被害及び貨物ぬれ損合わせまして約一億七千万円程度被害でございます。  次に、港湾関係でございますが、現在までに判明している港湾の被害は、護岸、防波堤の崩壊等がございまして、それが四百三十三カ所、被害額としましては十五億四千五百六十万円というふうに一応見込まれておりますが、さらに目下調査中でございます。なお、もちろん、被災港に対しましては、直ちに査定官を派遣いたしてございます。  次に、船舶関係でございますが、海上保安庁で調査したところによりますと、阪神、日本海北海道その他におきまして、船舶で四百七十五隻の沈没、流失等の被害を生じましたほか、人員といたしまして、死亡が六名、行くえ不明が七名という人員被害がございました。もちろん、各管区海上保安本部では、台風が接近あるいは進行してくるに伴いまして、逐次非常配備を発令いたしまして、救難即応の体制をとりますとともに、各港長は避難勧告等を行なって、港内の安全確保をはかったわけでございます。  最後に、航空関係でございますが、台風の接近に伴いまして、国内の航空路線は十日、十一日両日にかけまして、百十五便の欠航を生じましたほか、大阪、高松等において、航空保安施設、通信施設等が強風によりまして若干の被害を生じたわけでございます。  ただいままでに判明いたしました被害状況、以上のとおり報告申し上げます。
  14. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 以上で説明を終わります。  なお、本委員会には、以上説明を受けた方々のほか、政府側から次の方々が出席しております。総理府総務副長官細田吉藏君、内閣総理大臣官房参事官金子任利君、厚生省関係では社会局生活課長岸野駿太君、農林省関係で水産庁漁政部長山中義一君、林野庁指導部長福森友久君、運輸省関係では港湾局長佐藤肇君、日本国有鉄道施設局土木課長尾崎寿君、建設省関係では、住宅局長の尚明君、河川局治水課長渡辺隆二君、防災課長重兼暢夫君、砂防課長木村正昭君、文部省関係では指導課長の大串不二雄君、以上出席しておられます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  15. 園田清充

    ○園田清充君 きょうは、細田副長官がお見えになっておりますから、私はこれは質問というより、あなたに希望申し上げておきたいと思うのですけれども、いま高柳室長から御報告があった点を承りますと、大体政府としては、事務的に措置できる面については措置をなさっておられるし、いろいろ御配慮になっている点もわかるのです。ただ、私どもは、自民党として、与党として、いわゆる佐藤総理の有言実行ということですけれども、どうも災害については、不言実行が多過ぎるような気がするのです。こう申し上げますのは、いま御報告になったこうした措置と並行して、災害地においては、どう人心の安定をはかっていくかということがまず復興の第一歩でなくてはならないと思うのです。ところが、そうした点について、さっき御説明がありましたとおり、四十都道府県に及ぶ二十三号の台風、四十都道府県に及ぶ場合には、やはり内閣として、私は、その主務庁の総務長官なり、あるいは官房長官なりが、政府としてはこういう措置をするのだということで、国民に政府措置を明らかにしていただくことが、人心を安定し、復興促進にもなるのではないかという気がいたしますので、昨夜、いろいろ国際海外ニュースとかいうテレビを見ていると、アメリカのジョンソンが、ハリケーンでやられた現地を視察している。こういう実情を見ますときに、何か私どもは災害常襲地帯の九州から出ている議員として、一まつのさびしさを感ずるわけです。ここに御報告が出ておりますとおり、死者にして五十名、行くえ不明十四名、合わせて六十四名ということで、負傷者が八百七十四名。私も実は戦争の経験を五年半持つのです。ところが、これだけの死者負傷者、行くえ不明を出した戦いはよほどの大激戦でないとない。にもかかわらず、非常にいろいろな外交面では心を砕いておるようでございまするけれども、できますならば、内政面で、こうした死傷者や、あるいは行くえ不明、あるいはその上非常な災害をこうむっているこういう人たちの人心の安定をはかって、まず政府が考えている復興対策に協力できるように、そのつど政府としての措置、意思を発表されるような機会を持って国民に知らしめ、国民に協力させる姿をとっていただきたいということをひとつ御要望申し上げておきたいと思います。
  16. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) ただいまの御要望と申しましょうか、政府に対しまして御批判も含めての御要望かと存じます。全くその点はお説のとおりだと存じます。私どもの政府全体といたしまして、いろいろ現実にはそれぞれ各省手配をいたしておりまするし、また、台風が参りますことが気象庁報告によって逐次判明してまいるや、中央防災会議の幹事会あるいは主事会議といったようなものも、台風が現実に参る前から実はやっておるようなわけでございます。ただ、そういう点につきまして、今回の二十三号については、非常に、何といいましょうか、人命の損傷も特に多いわけでございまして、ただいまの御趣旨のような点につきまして、実は本日の閣議でも、私どものほうの長官、また関係各省から詳細に報告をいたしたわけでございますが、ただいまの御趣旨のような点で、これまでとっております対策についての人心の定安という見地からの発表、また、今後これらの対策についての万全を期する、そうして、それも逐次発表もさせていただきたいと、かように考えておるわけでございます。そういう点、若干不十分な点があったことにつきましては、十分反省いたしたいと思います。
  17. 浅井亨

    ○浅井亨君 港湾局、来ていますか。
  18. 大倉精一

    委員長大倉精一君) はい、港湾局長来ています。
  19. 浅井亨

    ○浅井亨君 先ほどからいろいろと御説明もありまして大体済んだことと思いますが、私はちょうどそこに列席いたしておりませんので、ひょっとすると、いろいろな説明の中に含まれている問題で、もう話がついているんじゃないかと思いますけれども、私はこの十日の日に、あの晩さっそく一番最終の「ひかり」で現地に参りまして、この二十三号によるところの被害、すなわち、神戸の和田岬の現地にはせ参じまして、朝の四時まで私は調査してまいりました。その被害は非常に甚大でございまして、これに対する今日までの、日本はこういう災害というものは次々と起こってくる、特に災害というものは忘れた時分に来るのだ、こういうことでございますので、この災害におきますところのあの防潮堤の問題ですが、これも完全にできているだろう、このように私は思っておりました。現地に行って見てまいりましたところが、非常にずさんなような気持ちがするわけなんです。なぜかならば、私はしろうとでございまして、防潮堤というものはどういうような構造をもって建設すべきであるかということについてはわからないわけでございますので、そういう点について一つ二つ順を追うてお聞きしたい。よくわかるようにひとつ御説明願いたいと思うのでございます。  伊勢湾台風のときに、いろいろな気象庁の管轄が違いまして、その接続した部分において破壊されて大災害を起こしたということを聞いておるわけでございますが、今度の和田岬のあの防潮堤の問題ですが、あれはどこが管轄でどこが施行し、だれの監督においておやりになったのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思う、こう思うわけです。
  20. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) 和田岬の防潮堤は運輸省の所管でございます。それから、管理をしておりますのは市でございます。仕事をやっておりますのも市でございます。その中には、市の単独の事業もございますし、国の補助事業もございます。
  21. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまの御説明によりますと、港湾局でおやりになっておる、こういうことでございますが、一部分においては市によってやる、こういうことですが、今度の破壊場所はどこに起こったのですか、それは御存じでございますか。
  22. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) 昨年の二十号台風におきましては、神戸市周辺では西宮、それから神戸市内におきましては、和田岬、長田、吉田、それから須磨という五地区が非常に大きな被害を受けたわけでございます。おかげさまで今回は、和田岬以外は被害を受けなかったわけでございます。ただ和田岬につきましては、遺憾ながら去年と同じことを繰り返したわけでございますが、これにつきまして私ども現在調査をしておりますが、その段階でわかりましたことといたしましては、昨年度の二十号台風におきましては、第一線の埋め立て地にある防潮堤は破壊されなかったのでございます。また、これを高潮が越えたということもなかったわけでございます。昨年の場合、水が入りましたのは、神戸港の中に入りまして、造船所のある周辺の海岸から溢流して浸水したということでございます。それにつきまして、私どもが応急的にとりました措置といたしましては、この工場と人家との間に第二線防潮堤をつくって、内部の浸水を防ごうということ、もう一つは、工場は工場自身で自分のところを守っていく、こういう計画でございました。で、これにつきまして、三カ年計画でございますが、一番危険でございましたところは、工場と民家との間が板のへいであったところでございまして、その分につきましては、コンクリートの壁に改造する仕事をやっておったわけでございます。ところが今回の台風によりまして、埋め立て地にあります第一線の防潮堤が破壊したわけでございます。したがいまして、それを溢流した波が、その背後にございます仮締め切りの防潮堤を越えて、またそれを浸透いたしまして内部に水が入った、こういうように聞いております。  で、なぜそういうことになりましたかということでございますが、これは気象状況について、まだ調査段階でございますから、はっきり数字は固まっておらないわけでございますが、まず潮位でございます。これが大体最干潮の二時間ほど前でございましたので、前の二十号台風のときよりも若干潮位は低いようでございます。しかし、高潮によりますふくれ上がりは、前の二十号台風よりも高うございました。また、波につきましては、神戸市が埋め立てのための土を出しておる須磨の桟橋がございます。そこに波高計を設けてございます。この波高計が今回は破壊されまして、前年度は破壊されなかったわけでございます。で、前年にこの波高計が示しました最高波高というものは五メーターでございましたが、今回は破壊されましたが、破壊される前の記録によりましても、六メーター以上でございます。したがいまして、現在までの調査によりますと、前年よりも相当波が強かった。これは私どもがこの台風の経路を見ましても、おそらくそうであろうと思われるわけでございますが、それによりまして第一線の防潮堤を破壊し、かつ、それを高潮の波が溢流したのが今回の破壊の原因ではないか、かように思っておるわけでございます。
  23. 浅井亨

    ○浅井亨君 昨年の台風のときに被害を受けて、それを繰り返したと、このようにおっしゃっておりましたが、昨年は二カ所でしたね。それは和田岬ですね。それじゃ、同じところを繰り返してやったというのですが、そういうような御答弁のように私も聞いたのですが、そうすれば、そのときの状態をさっそく把握して、次に来たるべき台風に備えて、りっぱな防潮堤をつくっていくということをお考えになっているんじゃないかと思うのですが、にもかかわらず、今度の台風で四カ所、また、五カ所とも聞きますが、私が把握しているのは四カ所でございます。そういうような破壊を受けるということは、これは全くもってずさんな考え方じゃないかと、こういうふうに思います。また、いまの御答弁によりますと、波が高くて防潮堤を越してきた、こういうようなお話ですが、その防潮堤は十メートルぐらいで全部ほとんど破壊されております。そして一部分は、その五カ所というのはすっとんでしまっている。それに接続しているところの内面のコンクリートのしてあるところは全部、一部分はそのままでありますが、一部分はそれが全部起こされまして、そこに近接しているところのグラウンド、どこの所有でしたか、私はちょっと聞きのがしてまいりましたが、そのグラウンドが全部根こそぎこれが荒いそのような姿で掘り起こされてしまっております。そこにコンクリートが飛んで行っております。そういうようなことで波が高いとか、ただ越しただけだとか、また、昨年も二カ所そういうような災害がありながら、今度もまたあのようなことになった。おまけに防潮堤は十メートルぐらいでずたずたにひびが入ってずってしまっている、こういうような仕事であってはこれはとうてい、ちょうどアリブかみたいなもので、いつくずれるかわからぬというものを、形だけを見てそこの市民は安心をしている。その内部の構造はどのような構造をもってやっておられるのか。また、そういうものに対する防潮堤の構造というものは、再々起こるところの災害に対しまして、かくあるべしという基本方針ができてなければならぬと思うのです。そういうような基本方針はどういうようになっているのか。こういう点は私は非常に疑念を持っているわけなんです。もっとほんとうにはっきりした施工をしなければならない、こういうふうに思うのですが、こういう点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  24. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) 先ほど私が申し上げましたのは、神戸周辺で四地区か五地区が昨年の台風で大きな被害を受けたわけでございます。で、おのおの早急に災害復旧というよりむしろ対策——海岸を保護する対策事業でございますが、それを早急にやりまして、他の四カ所につきまして、長田に一部浸水がありましたが、それ以外につきましては、今回は効果があって被害はございません。和田岬につきましては、前年におきます潮の入り方でございますが、これは港の中の造船所のある側から浸水したわけでございまして、第一線の埋め立て地の要するに南側に面する防潮堤は破壊されなかったわけでございます、昨年は。したがいまして、われわれといたしましては、昨年の経験から、防潮対策といたしましては、造船所背後の民家を守るということから、そこに第二線の防潮堤を築くという案をつくったわけでございます。これを一年でやるということは非常にむずかしいことでございましたので、一番危険な板べいでもって境がつくられていましたところをコンクリート壁でつくるという仕事をやったわけでございます。ところが、それともう一つは、昨年の台風のときの潮位なり波高なりというものが、いままので記録では最大でございましたので、これ以上のものは起こらないだろうということで、それを対象にした対策を立てたわけでございます。ところが今回は、いま御指摘がございましたが、南側の第一線の防潮堤が破壊されて、それから潮が入ってきたわけでございます。したがいまして、入り方が全然違っておりました。その原因を確めますと、私が先ほど申し上げましたように、波が非常に前より高かったということでございます。それからもう一つの例証と申しますか、それは須磨の地区でございますが、これは前年やはり浸水を受けたわけでございます。ここにつきましては、前面に埋め立て地が現在つくられておりまして、その埋め立て地の防潮堤の高さというものを、従来よりも一メートル高く市がつくったわけでございます。したがいまして、それにつながるところの妙法寺川の左岸の護岸でございますが、これの防潮堤も私どものほうで一メートル高いものをつくったわけでございます。そういたしますと、そこには今回は浸水がございませんでした。したがいまして、現在まで判明いたしておりますところでは、従来の埋め立て地にございました防潮堤の高さが低いのではないかということがわかってまいりましたので、今後の復旧対策としては、さらに高い防潮堤を考えるべきでないかということを中心にして復旧対策を現在検討しているという次第でございます。
  25. 浅井亨

    ○浅井亨君 その波が高かった、また方向も違ったというわけでございますが、この防潮堤の起工はいつ起工されて——三カ年とさっきおっしゃったんですが、いつ起工をされたのですか。
  26. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) 防潮堤のうちで、今回破壊されました埋め立て地に付属しておりますのは、埋め立て地ができましたときにすでに完成しておったものでございますから、おそらく昭和三十七年ころではないかと思います。  それから昨年の高潮対策、昨年の被害にかんがみましてやりました第二線の防潮堤は、昭和四十年に着工したものでございます。
  27. 浅井亨

    ○浅井亨君 三十七年の起工と、こういうことでございますが、伊勢湾台風がありましてあのような災害があった。そのことについてはずいぶんと研究されたと思うんです。こういうところをやるときにも、その防潮堤の構造といいますか、私のしろうと考えではへんてこなものだと、こう思うんですが、もっと補強すべきものと思うんですが、コンクリートはいかにも一メートルくらいの幅がありました。だけれども、その中のほぼ前面に向かったところに鉄筋棒がただ縦に入っているだけです。横の線は全然ありません。こういうようなことでいけるんでしょうか、どうでしょうか。とにかく伊勢湾台風、またいろいろな港湾に対する災害が毎年のように起こっているわけです。こういうことについて研究されたならば、三十七年の起工というんですから、そういうことに対して研究したものを累積したその構造の上に立ったりっぱな防潮堤でなければならない、こういうふうに思うんですが、あの構造がいわゆる最善の構造だったんでしょうか、どうでしょうか。
  28. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) 各構造物は、おのおのそこの既住のデータをもとにいたしまして、最高の高潮なり、最大の波力というものを推定いたしまして立てるわけでございまして、心ずしも伊勢湾と神戸、阪神地区とは同じような高潮もしくは波浪というようなことは考えられないわけでございますが、大阪湾につきましては、第二室戸台風の経験によりまして、新しく高さなり波力というものを推定して防潮対策というものを立てておったわけでございます。しかし、昨年の二十号台風なり、今回の二十三号台風なりというものは、大阪湾の中の大阪寄りのほうではなくて、神戸周辺といたしましてはいままでないような大きな高潮なり、波力を持つ波なりを持っておるわけであります。その点、私どもといたしまして推定ができなかったことはたいへん遺憾と思います。また、和田岬の埋め立て地の第一線の防潮堤の構造でございますが、これは遺憾ながら、私いまここに資料を持ち合わせておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございます。いま御指摘のように、二十号台風以前のものでございますので、あるいはそういう点で弱い点があったかもしれないと思います。ただ二十号台風のときに破壊されなかったということでございますので、二十号台風に耐えるだけの強さは持っておるというふうに思います。
  29. 浅井亨

    ○浅井亨君 その構造ですが、いま申し上げましたとおり、コンクリートは一メートルくらいの幅がありました、一番上で。だけれども、その中に鉄筋がぽつぽつと立っておるだけで横の線が全然ないわけです。それじゃ割れたらそのくらいは持っていってしまうということはおわかりだろうと思うのです。いまお話を聞いておりますと、伊勢湾台風のときの状態は、あれは太平洋から直接受けるところの台風であったから非常にすごい力があった。だけれども、あれは瀬戸内海にある一つの港湾であるから、だからその波の姿というものも、力というものも違うのだ、こういうようなふうに私は聞いたのですが、少なくとも、住民を守るためには一歩前進したところの考え方でなければならないと思うのです。かてて加えて、現在の日本国土におけるところの台風災害というものに、年々増加しているのじゃないか、こういうふうに考えてまいりますと、当局である方々は、一歩前進した考え方の上に立った施工でなくちゃならないと、こういうふうに私は思うのです。そこで、あの総工費はどのぐらいおかかりになったのですか。
  30. 佐藤肇

    説明員(佐藤肇君) 昭和四十年におきまして、現在まであの地区において仕事をいたしました総工費は五億四千万円です。これは市の単独事業も、それから会社自身やりましたものも入っております。
  31. 浅井亨

    ○浅井亨君 聞いておりますと、なかなか何ですが、常に台風は次から次へと参ります。あの構造自体に、私はしろうとながら非常に疑念を持っておるわけなんです。もっと研究して、専門家であるならば専門家らしい、また住民が納得のできるような施工をしてもらいたい。いま市民が叫んでおりますのは、あの工事はほんとうにずさんだった、真剣にわれわれ住民のことを考えてやっているのだろうか、こわれたところに行ってみればあのような状態では、これは人間さまがお考えになったような施工じゃないのじゃないか、もっと専門家であるならば専門家らしいところの工事をすべきだ、こういうふうないわゆる声をあちこちで聞いてまいりました。何もわれわれは過ぎたることを責めるわけではございませんが、次の施工に対しては万全の策を講じられてりっぱな工事をせられて、そうしてあすこの住民が、安心して住居できるというような方法を立てていただきたいと思うのです。それで、日本人の癖が何か知りませんけれども、のど元過ぎれば熱さを忘れるということがございますが、どうやらそういうような癖が日本人にあるのじゃないか、こういうふうに私自身も顧みておりますけれども、そういう点を反省されて今後の対策に万全を期していただきたい。私も、この問題に対しては、ただ一時的の調査でありますので、まことにずさんでありました。だけれども、これをもっとよく研究いたしまして、次の機会にるる——また要望を申し上げておきたいと、このように考えております。  どうもありがとうございました。
  32. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 運輸省にお伺いしますけれども、船舶の被害が非常に多いのですね。四百七十五隻、その中で漁船が三百六十三隻という非常に大きな数字があるのですけれども、どういう状態で沈没したのか、その状態をちょっと説明願いたいと思います。
  33. 中野大

    説明員(中野大君) 船舶の被害状況は、先ほど申し上げましたが、沈没、乗り上げ、破損、流失、行くえ不明その他でございますが、その中で一番多いのが乗り上げでございます。それもわりあい小型船舶、漁船関係が多かったわけであります。  先ほども御報告申し上げましたように、海上保安庁としましては、避難勧告したり、あるいは非常配備を発令しまして救難即応の体制をとったわけであります。先ほどいろいろ話がありましたように、何さま風が強うございました。そういった予期しない、あるいは不測の事態を生じたわけでございます。
  34. 大倉精一

    委員長大倉精一君) これは相当気象庁のほうからも風の強いという予報があって、相当注意しておったのですけれども、にもかかわらず、こういうような被害が出るということは、何かそこに指導の欠陥があったんじゃないですかね。操業中のものはなかったのですか。
  35. 中野大

    説明員(中野大君) 若干操業中のものもございまして、先ほど行くえ不明七名と申し上げましたのは、和歌山県でございますが、さらに北海道で道東海域でサンマ漁船が約七百隻ばかり出漁中でございましたけれども、もちろん、これには早期避難を勧告したわけでございまして、若干そのいそ釣り、あるいは、そういう操業中で退避が間に合わないために生じたというようなものも若干ございますが、先ほど申し上げましたように、おもに乗り上げが多かったというような状況報告になってございます。
  36. 大倉精一

    委員長大倉精一君) これはひとつ今後十分に指導の方法あるいは指導等について御検討願いたいと思います。  なお、いま二十四号、二十五号台風が接近しておるようでありますけれども、この状況について気象庁のほうから御説明を願いたいと思います。
  37. 今里能

    説明員今里能君) 台風二十四号は、本日午前六時、大体鹿児島の真南千キロくらいのところにございます。詳しい位置は北緯二十二度十分、東経百三十一度三十分——非常にざっとした図でございますが、これが九州の鹿児島でございます。台風中心位置はここでございます。なお、その後続部隊として台風二十五号がこの地点にございます。台風二十四号の中心気圧は、現在のところ九百五十ミリバールでございますが、これはもっと深まる見込みでございます。進行方向は、北西ないし西北西に向かって時速十五キロで進んでおる。中心附近におきます最大風速は五十メートル、まあ先ほどごらんいただきましたように、この二十四号は、非常に等圧線の輪の半経が大きいので、これは中心気圧こそまだ十分下がっておりませんけれども、今後大型台風として発達いたす公算が非常に強うございます。したがいまして、われわれといたしましては、これから、きょうは十四日でございますが、二日ないし二日半後、九州から本州一帯に大きな影響を与えるんじゃないかということを予測しております。  なお、台風二十五号につきましては、まだ東経百四十六度ぐらいなところにございまして、少し距離が遠いものでございますから的確な予測は申し上げかねます。これも現在の中心気圧九百九十六ミリバールよりはもっと発達するものと予測されます。  以上でございます。
  38. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 質問ありませんか。——ほかに御質疑もないようですから、本件に関する質疑は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  39. 大倉精一

    委員長大倉精一君) なお、おはかりいたします。  現地の状況を視察に行かなければならないと思うのですけれども、いま御報告がありましたように、二十四号、二十五号が近づいておりますので、この動向を見きわめてから派遣に関する場所なり人数なりあるいは日時なりにつきましては、委員長と理事のほうで勘案いたしまして決定しようと思っておりますけれども、御承認願えますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 大倉精一

    委員長大倉精一君) それでは派遣については、自後これらの点を勘案いたしまして、委員長のほうで取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十六分散会