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説明員(
長野士郎君) 現在の
公職選挙法は、
管理当局あるいは
取り締まり当局といたしましても、ざっくばらんに申しますと、あまりにも制限が多過ぎまして、
取り締まりなり
管理の
対象が多過ぎるかっこうになりますので、ほとんど十分に目を配るいとまもないというのが、これはもう正直な実態だと思います。そうすると、どうしてこういう
選挙法ができ上がっておるんだということになりますと、これはやはり
一つの、戦後の
選挙法に切りかえます際にやはり戦前はどちらかといいますと、非常に
取り締まり的な
傾向が非常に強かったと思います。それを無批判にそのままの形を導入し過ぎているという点もあると思います。同時にもう
一つは、はなはだ申し上げにくいことですが、いまの
選挙法の体系は
候補者本位でございますけれ
ども、あまりにも
候補者本位であり過ぎるのと同時に、あまりにも現職優先本位だと思います。その点からこの
選挙法がどうしてこうこまかくなっているかをながめてみますと、大体の疑問は解決する。非常にむずかしくして、新人の非常に出にくくするということに、やはり従前からのいきさつというものをうまく
利用して、そういう目的にいわば奉仕させているといいますか、そういう点が非常に多いのじゃないか。そうしてまた、個人本位になり過ぎるというところに相関連をいたしまして、いまの
選挙法を非常にむずかしくしておる。したがって、
管理当局あるいは
取り締まり当局といたしましては非常に当惑をしておるという
状態であると思います。
しかしながら、実際に
管理をし、取り締まる
当局でございますから、
選挙に対しまして、
選挙の意義を説き、棄権を防止するという立場から申しますと、そういう
法律だということはあからさまに考えて、そういう
法律に対する見解を表明するわけにもちろんまいりません。したがいまして、
法律の重要な問題はこういうところだというふうな指導のしかたをいたしながら、
法律を守るという運動をまあもちろんやる。非常にまあつらい立場に立っておるということを申し上げていいんじゃないだろうかという気がいたすわけでございます。よくわかりませんが、
取り締まり当局にいたしましても、全部を取り締まる期間も人員の余裕もないわけで、
お話のような場合が出てくるし、またある
事件が
一つあらわれてまいりますと、それにやはり相当人と時間を要するわけです。
選挙犯罪で一番違いますところは、関係者の数が非常に多い。それと同時に、証言によって
証拠固めをしていくということの必要がある場合が非常に多い。普通の犯罪ですとそんなに多く関係者がいないわけです。
選挙犯罪は非常に多い。しかも、それにみな証言で傍証固めをしていくのでありますから、
一つの犯罪があがりますと、どうしてもそれに非常な時間と人数をとられる。そうすると、もうほかに
事件が出てきましても、それを追っていくことができない。勢いそこらでまあ一応
選挙は終わってしまうというような形が出がちでございます。それはやはりその
一つの原因は、
選挙犯罪というような特殊な問題がありますが、同時に犯罪を構成する罰の種類が多過ぎる。たしか
公職選挙法は百三十五種類くらい刑罰の種類があると思いますが、ほとんどだれもこれを一度にあげるとわからないということになっているのでございます。
それから第二番目の、政党の政策ビラでございますが、参議院の場合は、通常
選挙の場合は、二百一条の六という
法律の条文がありまして、そうして、
ポスターにつきまして、政党が政治活動のための
ポスターをつくる場合に、
ポスターの枚数について
規定がございます。で、それによりますと、
ポスターの
掲示については、長さ八十五センチメートル、幅六十センチメートル以内のものを一応七万枚以内ということになっておりまして、それは、その七万枚以内張れますのは、その
選挙において
全国を通じて十人以上の
候補者を立てる政党でございます。それは七万枚以内張れますが、その
候補者の数が五人ふえますごとに五千枚を七万枚に加えるというような形で一応数の限定はございます。まあしかし、これを、こういうのも
一つの問題でございまして、長さが八十五センチでなきゃいかぬとか、幅が六十センチでなきゃいかぬ。何万枚にしなきゃいかぬ。政党の政治活動をどう見るか、その根本の問題も実はあるわけでございますが、いまのところはそういうことになっております。