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専門員(
池田修蔵君) ただいまお
手元に印刷物をお配りいたしましたのでございますが、これは本小
委員会におきましての
経過報告を申し上げるためのものではございませんで、小
委員会のほうから本
委員会のほうに
報告をする準備をしておいてくれというような御注意もありましたので、いつ何どき本
委員会のほうに御
報告申し上げる機会があってもいいように
事務当局が準備いたしたものでございます。
そこで、お読みいたしながら御
説明申し上げますと、従来の
経過並びにその
問題点等を御理解願えると思いますので、これを
材料にいたしまして御
説明申し上げたいと思います。
本
委員会において
首都高速道路公団の千代田区隼町地内における第四百三十一工区、第三百二十五(その二)工区
——これは工区がたくさんに分かれておるのでございますが、本問題の主として起こりましたのは、この工区の
墜通新設工事等に関して起こったものでございますので、その
工事に関して
調査した結果を
報告いたします。その詳細については
速記録で御承知願います。これは四回ばかり当小
委員会が開かれまして、詳細な記事が載っておりますので、詳細は
速記録で御承知願いますが、主として問題になりましたのは左の二
項目でございました。すなわち、一つには
構造物が設計どおり築造されているかどうか。これは
鉄筋等が十分入っておるかどうか、それから強度が十分であるかというふうな問題でございます。第二に、本
工事請負者たる
西松建設株式会社に支給された
鉄筋その他の
材料は、
公団のほうで買って、それを
業者に支給するという方式をとっておりますので、支給された
材料の
管理状況及び
残材の
返還に対する当
公団の
監督に不備はなかったかというようなことが主として問題にされたわけでございます。
右のうち、
構築物が設計どおり完全にできておったかどうだろうか、
鉄筋等が手抜きしてあったんじゃないだろうかというような
項目につきまして、
公団及び
建設省当局は、
構造物としては設計どおりできていることを確信するという非常にこれは強い言明をしておりました。その事由といたしましては、
本件工事現場における
監督は、
土木関係第一線に働く者約二十四名が従事して
昼夜兼行で行なっており、これはオリンピックに対する期限の制約もありましたので、
昼夜兼行で、しかも非常に優秀な者を集めておるということでございます。約二十四名が従事して
昼夜兼行で行なっており、
本部の
職員もたびたび
現場検査に派遣され、そこの
現場の二十四名のほかに、
本部からも優秀な
職員がたびたび派遣されまして、
工事に使用する
鉄筋については
スティールテープにより
使用量を確認し、
現場写真並びに
残材及び
発生くずの
計算上から見ても所要の
鉄筋を使用したことは確信できるんだという
説明でございました。相手方の
説明はそういうふうでございますが、しかし当
委員会の側から考えますというと、
公団側の
監督担当者が
監督上便宜な取り扱いをしたことに対する謝礼として
請負業者から収賄したという
容疑に基づいて起訴されている等の事実がある。その他にも何か捜査はあったそうですけれども、この
容疑だけについて起訴がなされておるそうでございます。起訴されている等の事実に徴して、本小
委員会としては、
構造物用の
材料が設計どおり使用されたかどうか、手抜きがあるかどうかということは、中を見ないものでございますから、十分の確信が得られがたい
状況であるというような
皆さんの御心境のようでございました。
それから二
項目で、
残材、
支給材料が返っていないという問題につきまして、
公団側もその非を認め、
西松建設株式会社に支給する
材料の
支給量の
調整が悪くて
——調整が悪いというのは、必要なつど必要な分量を支給すればいいのですけれど、鉄材が高くなりそうだというおそれがあったものだから、安いうちに早く買っておいたほうがむしろ
公団の
利益であるというような多少
利益計算もあったとみえまして、早くたくさん買ってどんと支給したというような、そういう余分のものが買われたというような、
支給量の
調整がまずかった。
調整が悪くて、同
会社における
支給材料の
管理及び
公団側のそれに対する
監督とも不十分でありまして、
公団が支給した当初の一、二回分については
公団における
照合も行なわれておりましたが、案外それがうまく
照合がいっているものですから、まあこれなら
西松建設にまかしておいてもよかろうという
安心感もあったということを
向こうでも言っておりますが、その後は、
支給材料の
増加——工事が進むにつれて
支給材料が非常に
増加したということと、早く余分に買っておいたほうがいいのだというようなこともあって、
支給材料の
増加と
工事施行の促進を迫られた
事情もあって、なおざりにしていた。それで、直接この
公団が買って
会社に支給するという形は形ですけれども、実際はもう
会社の
材料置場のほうに直接
鉄筋が持っていかれるというようなかっこうで、人手が足らなかったという点もありますし、工期が迫っておる、それに
材料もだんだん思いのほかふえてきたというようなこともあって、なかなか手が回りかねたということも
向こうが言っておったわけであります。それら
工事施行の進捗を迫られた
事情もあってなおざりにしていましたということは、
向こうも認めております。その隙に乗じて
西松建設株式会社職員が
支給材料を横領する事件が発生し、
概算による
支給材料一万一千百三十トン余、この中にはそこから
スクラップになる五百三十トンは出てくるのだという初めからの見積りでございます。一万一千百三十トン余のうち、
設計変更の結果
現実に使用さるべき一万百三十九トン、これは
設計変更しまして、
びょう打ちでつなぐところを、
びょう打ちでやればそこにつなぎ目の重なり部分ができますが、
電気溶接に変えたものですから、その重なり分が節約された、その他の
工事設計上の
変更によりまして、
現実には初めの
概算よりもだいぶ減りまして、九百九十一トンが減りました。そこで初
行目に、
スクラップ分四百九十二トンを含めて
概算で支給した分と
現実に使用した分との差が、九百九十一トンの
超過支給量が
残材として
西松建設株式会社より
返還ができなくなったことを認めております。
その次から申し上げますことは
本件よりずっと前の話でありますが、これより先、本
公団に対する
行政管理庁監察局の
監察に基づきまして、本
公団における
支給材料の
残材処理に関し適切でない事例があることについて三十八年六月
建設大臣に対し
勧告を発せられており、これはやはり
支給材料のうち
残材があるのに、それが倉庫の中に眠って
処理もしていなかったというようなことで、これは早く
処理しろというような、
支給材料の
残材処理がまずいということは、
行政監察局の観察でもすでに発見されて、三十八年六月に
建設大臣に対して
勧告を発せられていたことがあるというようなこともあり、
支給材料の
残材処理について留意を要するところであったにもかかわらず、
本件工事について
残材の
返還を受けられない結果となったものである。これを要するに、
工事の
施行及び
支給材料の
委託管理及び
残材の
返還に関して
請負業者に対する当
公団の
監督が不十分であり、また
公団に対する
建設省の
監督も行き届かなかったことにより、
構造物の築造について疑問があり、また
支給材料の
残材が
返還できなくなったことは遺憾である。当
公団及び
建設省においては、今後かかることのないよう厳に留意すべきである。これだけが事実でございます。
なお
——西松建設に対する
制裁が行なわれまして、
西松建設株式会社が
残材を
返還できなかったため
公団の受けた
損害が三千六百二十九万六千七百三十二円でございましたが、これは
請負代金の未払分が二億円ございましたので、これから差し引き
計算しまして、
損害賠償金の納付は四十年一月三十日に返してもらったということになっております。また、
公団としては、
西松建設株式会社に対し、
昭和三十九年十二月三日以降一年八カ月の
間指名停止処分を行ない、
建設省としましては、同
会社に対して、
建設業法に基づき同
会社関東支店骨軸区域における
土木工事に関する
群業を一カ月間停止するとともに、
建設省の
直轄工事については当分の
間契約の相手としないという
制裁を与えておるということでございます。
その次に書いてありますことは、これは本
委員会に
報告するために襲いたものでございますので、特に申し上げませんで、以上をもって御
報告を終わりたいと思います。