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1965-08-12 第49回国会 参議院 決算委員会国有財産に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月十二日(木曜日)    午後一時二十分開会     —————————————    委員異動  八月十二日     辞任         補欠選任      小酒井義男君     矢山 有作君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         相澤 重明君     副委員長        谷口 慶吉君     委 員                 川野 三暁君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      伊藤 栄樹君        法務省訟務局第        一課長      関根 達夫君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省国有財産        局第二課長    立川 宗正君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        会計検査院事務        総局第一局長   保川  遜君        会計検査院事務        総局第五局長   宇ノ沢智雄君    参考人        日本中央競馬会        理事長      石坂  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有財産に関する件     —————————————
  2. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ただいまから、決算委員会国有財産に関する小委員会を開会いたします。  まず、小委員異動について、報告いたします。  本日、小酒井義男君が委員を辞任され、その補欠として矢山有作君が選任されました。
  3. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に、虎の門公園地に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 二宮文造

    二宮文造君 虎の門の公園地につきましては、前回並びに前々回でごくアウトラインが出てまいりました。大蔵省答弁には、はなはだ不満足なところが多うございますので、さらに本日それらの点についてお伺いしたいと思います。特に最初にお伺いしたいのですが、法務省の御見解として、国有財産売買契約書の場合に、必ず第一条に信義並びに誠実の原則というものをうたっております。これはどういう意味でこの信義、誠実の原則をおうたいになるか、さらにまたそれをその、項目は一体どういうふうにお考えになっているのか、この点について特に訟務局のお考えを聞きたいと思います。
  5. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 国有財産売り払いにつきまして、契約書信義誠実を第一条にうたっている趣旨いかんというお話でございますが、私ども契約解釈並びにその履行は、相互に信義誠実を旨としてこれを解釈し、また履行すべきものである、そういう契約精神を一条においてうたっておるものと考えております。
  6. 二宮文造

    二宮文造君 前回申し上げましたように、この問題につきましては、ニューエンパイヤモーターからエンパイヤ興業株式会社商号変更があり、さらにそれが半年もたたないうちに朝日土地興業株式会社合併された。大蔵省見解は、これが商法適法な合弁である限りしかたがない、遺憾であるけれどもしかたがない、こういうふうな答弁がございました。しかし、私ども考えてみますと、契約書には明らかに五年間の譲渡禁止をうたっております。さらに、譲渡禁止だけでなく、引き続き所有し、利用する、こういうふうな項目をうたっておりますが、もしもいま言ったようなケースが、これが商法適法であるとするならば、途中の経緯を全部はしょってしまって、ニューエンパイヤモーター株式会社丸紅吸収合併されたら、それでもこの売買契約書適法に行なわれたと——その場合訴訟当事者訟務局になるわけですが、かりにそういう場合が想定されたときに、法務省の御見解はどうとりますか。
  7. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 私ども和解が成立いたしましてからその後の経過はつまびらかに承知いたしておりませんので、いま明確な見解を申し上げることはいささか適当でないのじゃないかと思うのでありますが、一応契約書では、「五年間所有し、かつ利用するもの」というふうにうたっております。ところで、その後他に吸収合併されているということでございますが、これで直ちに所有使用関係がはずれたと一がいには断定し得ないのではないかと思います。その間の事情をつまびらかにしておりませんので、その点について、直ちにそれが契約条項に反するものかどうかということについては、簡単にはお答えできないように存じます。
  8. 二宮文造

    二宮文造君 大蔵省見解はどうですか。
  9. 松永勇

    説明員松永勇君) 法律的な観点につきましては、法務省のほうから御説明があったようでございます。経済的な観点で見ますと、会社合併ということは、こういう行為をもぐるために簡単に行なうというようなことは、かりにあったとしても、それは異例でございまして、一つの経済の単位としての企業が他と合併をするということは、合併をする必要性が真にあるところからそういう事態に発展していくのだろうと思います。丸紅飯田吸収合併がさらに行なわれるというような前提を置いてのお話でございますが、一般的に申せば、そういうようなことは通常行なわれがたいものであろうかと思います。
  10. 二宮文造

    二宮文造君 行なわれがたいということではございませんで、商号変更があり、吸収合併が現にあったわけです。それを適法合併であると、こうおっしゃるならば、途中の工作は全部はしょって、ニューエンパイヤモーター丸紅飯田合併されるということも予想された段階があります。もしもそうなった場合でも、大蔵省としては、それは商法適法であれば、ニューエンパイヤモーター丸紅飯田との吸収合併の点についても、契約違反でない、こうお考えになりますかどうか、そのものずばりで御返答願いたいと思います。
  11. 松永勇

    説明員松永勇君) そういう吸収合併が行なわれるということは予想していないということでございますが、もしそういう事態が起こったと仮定した場合には、やはりそれが商法適法合併であればやむを得ないということであろうと思います。
  12. 二宮文造

    二宮文造君 ではその場合に、この契約書のたびたび問題になります譲渡禁止ですね、二十五条になりますが、二十五条の譲渡禁止の規定、それから先ほど申しました引き続き所有利用するということは、それと事実が反対になってきてもいい、適法であると大蔵省は認める、こういう見解なんですか。
  13. 松永勇

    説明員松永勇君) ちょっと、事実が違うという趣旨を御説明いただきたいと思います。
  14. 二宮文造

    二宮文造君 事実はこういうわけです。今回の場合は、ニューエンパイヤモーター株式会社商号変更手続をとり、さらに吸収合併した。もしも、その途中のものを全部のけて、ニューエンパイヤモーターが何か丸紅共通営業目的をつくった上で定款変更をして、そして丸紅共通部門をつくって吸収合併をされた、この場合もこの売買契約書は生きるかという質問に対して、局長さんは、商法適法に行なわれたらそれは認めざるを得ないと、こういう答弁でございます。そうしますと、このニューエンパイヤモーター株式会社と国との間にかわした契約書の、引き続き所有利用する、さらに、五年間の譲渡禁止、この項目死文になるわけです。そうすると、事実は吸収合併されて所有権は移転してしまっている。そうすると、この契約書項目違反する。それをどう大蔵省はお考えになるか。
  15. 松永勇

    説明員松永勇君) 先ほど二宮先生お話に、所有しかつ使用するという契約死文になるというお話がございましたが、会社合併によって承継されたというその新しい会社、それはこの契約条項に基づく義務を承継する。すなわち、新しい会社に対して私たちはそういう義務を課していくというふうに考えております。
  16. 二宮文造

    二宮文造君 前回答弁とだいぶ答弁の方向が変わってきました。何か御相談があったんだろうと思うんですが、前回非常にあいまいな中にもまじめな答弁がありましたけれども、だいぶニュアンスが変わってきました。私たいへんな問題だと思うんですが、その点は後日議事録を見て指摘をしてまいりたいと思います。  なお、十二月の一日に丸紅との間で、消費貸借あるいは抵当権設定所有権の移転の仮登記、これについて大蔵省は正式にどういう見解を持つか、発表していただきたい。
  17. 松永勇

    説明員松永勇君) この点については、前々回にもお答えいたしましたように、抵当権設定登記とそれから売買予約登記と二つが行なわれております。売買予約登証は、通常こういう取引において、消費貸借担保をより確実にするために、消費貸借履行が確実に行なわれなかった場合には、売買予約をする登記によってその担保が確実に貸し主に手に入るような形で売買予約が行なわれるというのが、現在行なわれている商慣習と申しますか、通常の慣行になっているようでございます。私のほうとしては、そういう状態のもとで、これは売ることの予約であるということではなくて、あくまでも消費貸借が行なわれたというふうに見ております。売買予約というとはそういう趣旨のものであるというふうに考えております。
  18. 二宮文造

    二宮文造君 その消費貸借目的——どういうわけで消費貸借が行なわれたか、大蔵省は当然了解されなければならぬ問題ですが、丸紅あるいは朝日土地興業株式会社大蔵省に対する説明をお伺いしたい。どういう内容消費貸借であるか。
  19. 松永勇

    説明員松永勇君) これは、十億円の消費貸借に、それのいわゆる担保売買予約ということになっておりまして、丸紅から朝日土地が十億円を借りるということの担保になっております。
  20. 二宮文造

    二宮文造君 その内容はどういうものですか、何を目的にして消費貸借が行なわれたか。
  21. 松永勇

    説明員松永勇君) 朝日土地が金を借りる、その金をどのように使う意図で借りたか、そこまで会社にただすということはいたしておりませんが、国が売り払った土地の代金というものに充てる必要もあったろうかと思います。それから、この会社が、この会社として一つ事業経営をいたしておるわけでございますから、そういう企業の全体の資金繰りというような点もあったろうかと思いますが、この点につきましては、会社がそういう、何の目的でということまで、他人他人消費貸借間脳でありますから、調べておりません。
  22. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと訟務局見解を承りたいのですが、これはあくまでも訟務局ですから、国が売買契約を結んで、その売買契約が正当にとり行なわれない場合明らかに国損を生ずると見た場合には、法務省は独自の見解訴訟に持ち込みますか、それとも、大蔵省の依頼といいますか、申し出によって訴訟を提起しますか、この訴訟提起手続をお伺いしたい。
  23. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 私ども一般的に、各省の所管事項につきまして自分のほうから各行の申し入れをまたずに自発的に積極的に訴訟上の行動をとるということはいたしておりません。
  24. 二宮文造

    二宮文造君 大蔵省に伺いますが、もしその消費貸借目的が、その土地を貸すとかあるいはその土地譲渡内容としたそういう消費貸借目的であると、これは売買契約に明らかに違反すると思うのですが、その見解はどうですか。
  25. 松永勇

    説明員松永勇君) それが真に譲渡目的とした場合には、契約条項から問題になると思います。  ちょっとこの機会に、申しおくれましたが、前回の私の答弁の中で、ちょっとその後調査いたしました点をつけ加えて御説明申し上げたいと思います。たしか前回、この朝日土地担保物件であるところの建物撤去したということにつきまして、それは国の承認を得たかという御質問があったと思います。その点につきましては、関東財務局がこの契約をいたしておりますので、関東財務局についてよく調べないと正確なことが申し上げられないというふうに申し上げてあったと思いますが、その点につきまして調査いたしましたところ、本件につきましては、三十八年の十一月にエンパイヤ興業株式会社からこの建物撤去について申請がございました。それに対しまして、三十九年の一月にこの承認を与えております。で、なぜ承認を与えたかという点があるかと思いますが、本件につきましては、国が売りましたものは土地だけでございます。その上に相手方所有しておった建物があったわけでございます。で、担保物としての提供を受けました際は、土地だけでなしに、その上にあった相手の前から所有にかかる建物をあわせて担保として提供さしたわけでございます。これは、もしそういうものを提供させないと、その地上物件地上建物第三者譲渡した場合に、それが借地権を発生し、土地価格相当——借地権が非常に大きいものでございますから、欠け目ができる、そういうことで、そういう事態が起きますと担保としての十分なる価値がないという事態が予想されますので、その土地の上にある建物をも担保に供出さしたわけでございます。その担保になった建物撤去いたしましても、いまのように国が第三者にそれを売るということはもう行なわれないわけでございますから、そのもの撤去させましても、今度は土地がそういうさら地としての価格になりますので、担保としての価値はそれでも十分あるという計算をいたしまして、そういう関係で支障ないという回答をして承認を与えたわけでございます。
  26. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 松永局長、いまの答弁補足を聞いておると、大蔵省は、抵当物件に入れてある土地建物のうち建物撤去をさせても揖保能力が十分あると、こういう見解承認を与えたということになると、この払い下げをした評価の問題について見通しとしては甘かったと、こういうことになりませんか。つまり、当時の十一億余の払い下げ価格が、実は建物はなくなっても十分その価値があると、こりいうことについては、もっといまはさら地の場合には評価が大きく見られると、こういうふうな答弁のように聞こえるが、そういうことですか、これは委員長からひとつお尋ねしておきたいと思うのですが。
  27. 松永勇

    説明員松永勇君) 御承知のように、東京のような場合には、地上権というか、借地権と申しますか、それが非常に高いのでございまして、この虎の門地区ですと、まあ通常借地権価格というものは、土地価格の八割とかあるいは九割というようなものが借地権になるわけでございます。で、いま国が払い下げました土地については、その上に建物がございまして、これは向こう所有建物、その建物をもし第三者に売りますと、国の売った土地というものは、その価格残りの一割とか三割とかになり、第三者がそれを取得してしまりということになりますと、国では高い評価をいたしておりますけれども、それがそういう建物を転売するということによって国自身の売った土地が損を受けるということで、そういう措置をしたわけでございます。で、委員長の御質問のように、それでは非常に初めに売ったのが安かったのじゃないかという御疑問があろうかと思いますが、大体いまのは担保価格について十分あるかないかということを検討する点でございますが、国が売った際に半額は即金で納めます。残り半額については十分価値があるかないかという点を見るわけでございまして、その残りの半分についても、いまのように第三者に売って借地権を取られるということになると、土地価格が非常に少なくなりまして、それで担保価値が減少するという事態を生ずるということを申し上げたのであります。
  28. 相澤重明

    委員長相澤重明君) いま一つ委員長からお尋ねしておきますが、いまの点非常にあとでも問題になるから、大事なところですから、答弁をするのに気をつけてもらいたいと思うのだけれども、たとえば、いまの買い受けた当人が、会社経営が困難になって、その建物を売り払いあるいは貸し付けをした、こういう場合に、大蔵省としてもたとえば借地権が生ずるような場合があるから、その際には担保能力がだいぶ違ってくる、こういう答弁のように聞こえる。そうすると、契約条項というものは一体どうかという問題が生まれてくるわけです。ですから、これはあなたの御答弁を聞いておって、委員長としてちょっと心配になる点があるように思えるので、いま一度その点をお答えを願っておきたい。
  29. 松永勇

    説明員松永勇君) 通常国さら地を売るというような場合につきましては、そのさら地を、これを転売するとかあるいはこれを第三者に貸し付けるとかいうようなことは、契約上それを禁止できる措置になっております。本件のように、さら地ではなくて、その上に向こう所有建物があったという場合には、これは国が売ったものではございませんから、したがって向こうが自由に処分できる。それを第三者に転売するということによって国の土地価格に影響を及ぼすという場合に、特に配慮したものでございまして、通常こういうような場合は比較的まれな例だと思っております。
  30. 二宮文造

    二宮文造君 私の質問で、前段答弁いただいたわけですけれども、後段質問をしないことを補足説明されて、前段局長さんの答弁がぼけてしまった。したがって、私も後段のほうから始めるわけですが、いまの局長さんがおっしゃったことは非常に重大なことです。それは公文書によって交換されておりますね。
  31. 松永勇

    説明員松永勇君) 公文によって許可を与えております。
  32. 二宮文造

    二宮文造君 その往復の文書を資料として御提出願いたいと思います。
  33. 松永勇

    説明員松永勇君) 提出いたします。
  34. 二宮文造

    二宮文造君 さて、前段質問ですが、前段答弁がぼけてきたのですが、丸紅とそれから朝日土地興業株式会社との消費貸借抵当権設定金額は十億円であるけれども、内容については他人他人のことだから知らない、こういう答弁でありましたので、私のほうから、かりにその消費貸借内容が、土地を貸したりあるいは丸紅土地使用させるという権利、そういう条件のもとに消費貸借が行なわれたとしたら、これは契約書から見ると違反になりますかどうかという質問を私はしたわけです。その答弁を聞き漏らしましたので、もう一度お願いしたい。
  35. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記をとめて。   〔速記中止
  36. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記を起こして。
  37. 松永勇

    説明員松永勇君) この本件の売り払い契約書によりますと、所有しかつみずから利用するということになっておりまして、いまのように金銭のいわゆる使用貸借という点だけでしたら問題はないと思いますが、土地使用を含めると、契約条項から見れば問題点が出てくるのではないかと思います。
  38. 二宮文造

    二宮文造君 問題点が出てくるというようなばく然とした回答ではなくて、契約書違反しますかどうか、御確答願いたい。
  39. 松永勇

    説明員松永勇君) 使用条件とか、使用の状況、態様によっては、契約違反するかどうかということを十分検討しなければならないと思っております。
  40. 二宮文造

    二宮文造君 また答弁が変わってまいりました。もっと誠実にお答えを願いたいと思います。契約上問題があろうかと思います……。私は内容についてはっきり申し上げたわけです、その土地を貸し付けるなり、あるいは丸紅使用させるなり、そういうふうな内容目的にした消費貸借であれば契約違反かどうか。たとえば、丸紅がそこに建物を建てて、そうして使いたい、こういうふうな内容を持った消費貸借であるならば、契約書違反しますかどうか——あえて補足をすればそういうことになります。もう一度御答弁願います。
  41. 松永勇

    説明員松永勇君) いま先生のおっしゃる点は、非常に前提を置いた御質問をずっと続けられているわけでございます。で、私のほうも、具体的なそういう事実がございました場合に、その使用実態、そういう点を十分検討してでないと、抽象的、一般的な答えとして申し上げることが、まあ本件実態の場合の答えとそのままになることをおそれまして、先ほどのような言いい回しになったわけでございます。使用実態を見て、そういう事態が起きた場合にこれに違反するかどうかという点を十分慎重に検討しなければならない。かように考えております。
  42. 二宮文造

    二宮文造君 おかしいじゃありませんか。みずから「所有し、かつ利用するものとする。」と契約書には明言があります。にもかかわらず、使用のあり方によって問題になるならば、このみずから所有利用するということはどういうことですか。人に利用さしていても、そうしてそれから貸付料を取っていれば、自分利用したことになるのですか。少なくとも、国がですね、国民の財産を守るべき国が、そういうあいまいな表現では、私許されないと思う。この点、いかがですか。
  43. 松永勇

    説明員松永勇君) 文言どおりに読みますれば、使用させれば契約条項違反になるということです。
  44. 二宮文造

    二宮文造君 利用させればどうなりますか。
  45. 松永勇

    説明員松永勇君) この「利用」ということば解釈が、その契約違反実態になるかならぬかという点が、先ほど言った具体的問題として検討を要する点でございますが、文言どおり言えば、利用ということも、この契約利用しなければならないと書いてございます。
  46. 二宮文造

    二宮文造君 大蔵省はこの土地に家が建ったときに問題にするのですか、それとも他人が家を建てたときに問題にするのですか、あるいは建てようとするときに、転売の意思あり、譲渡の意思あり、契約条項違反する、こういう立場をとるのですか、その契約違反する立場をとる時点をどこに置きますか。
  47. 松永勇

    説明員松永勇君) 契約違反していると認める場合には、その契約違反に基づいて、国が何らかの措置をとる意思決定をするということになるわけでございます。したがいまして、その意思決定を、いつの段階でどういう意思決定をとるかということと相対的に結びついているわけです。したがいまして、このいまの違反しているということの認定をどういう段階でいつやるかということは、そういう情勢のもとで判断し決定する、こういうことになると思います。
  48. 二宮文造

    二宮文造君 おかしいじゃありませんか。建物が建ったときに契約違反であると認定をするか、建物を建てようという意志があるときに契約違反認定をするか、もっと確実にお答え願いたい。大事な問題です。
  49. 松永勇

    説明員松永勇君) 私たちは、この契約というものは、契約による相手方実行を求めるわけでございます。その実行違反した場合には、それに相当する措置を求める。したがいまして、そういう認定をする時期というものは、そういう措置をとるという——認定をしておいて何もしないということはあり街ないことです。認定をするその時期が、契約違反として認定した時期と申しますか、ちょっとことばが非常になんですが、そういう認定をして、違反としての措置をとるということでございます。
  50. 二宮文造

    二宮文造君 私の質問に対して答えてくれないのです。建物が建ったときに契約違反になるのか、建てようとするときに契約違反になると判定するのか、この時点はいつですか。簡単なことでしょう。
  51. 松永勇

    説明員松永勇君) これは、非常に、そういう点では、その形式的な論蔵としてはむずかしい問題であろうと思うのです。
  52. 二宮文造

    二宮文造君 いや具体的です。
  53. 松永勇

    説明員松永勇君) 建物が建つというか、その建物が建っているということが、たとえば建物所有者がだれであるか、その目的は何であるかというような状態が、通常初めの状態ではわからない状態、そうして建物が建ちだしてからそういうものがわかる場合もあるし、なかなかわからない場合もある。契約違反として認定するのには、そういう建物が建ち始めた、それが契約趣旨と違うものである、すなわち第三者建物なのかどうかという点を十分調査して、そうして証拠その他によって確実にこの契約条項違反するという認定を持った際に、それを認定し、措置をとる、こういうことでございます。
  54. 二宮文造

    二宮文造君 どうしてそんなに弁護しなければならないのですか。あなたはだれに対して職務を忠実にやっていく役務があるのですか。この売買当事者には、あるいはそれに伏在する人たちには、一向に遠慮する必要はないと思う。いまあなたのお立場は、私がたびたび指摘しておりますように、国損をいかに防止するか、そういう立場でものごとを考えなければならないと思う。ですが、前々回以来あなたの答弁というものは、国民というものを遠くに置いてしまって、国損を守るべきその財産局長が、国損を与えるような脱法行為をあえてするものを庇護するような答弁に終始しているわけです。建物と申しますのは、建ち始めますと、そこには何らかの、あなたがさっきおっしゃったような権利が生じます。現にこの問題の発端というのは、国に無償でニューエンパイヤモーター株式会社公園地建物を建てた、そこで営業を開始した、それが今度の事件の発端です。そしてとうとう、従業員もいるのだから利用さしてあげなければならない、二千名の生活権に関するのだから、こういう裁判所の判定もありました。和解が成立した。いろいろ問題はありますけれども、この和解の成立に至るまでの経緯というものは、第三者が見ても順当な経緯をたどってきたわけです——訴訟の問題もありましたけれども。しかし、その自後のやり口は気に入らない。当然大蔵省がそれを指摘して、いままでのうちに問題を解決しておかなければならない。一番いま大事なことは、このニューエンパイヤモーター、さらにそれに引き続いたもろもろの会社契約違反しておるかどうかということを問題にしているわけです。そうして、建物を建てる、そういう内容を持った消費貸借である。ならば、もうこれは刑法でいっても未遂です。未遂だから罪にならないとは言えません。意図があるのですから、予備罪です。その予備罪をもって契約違反の事実として国は相手方に交渉をするのか、建物が建っちゃってから契約違反じゃないか、この時点をどうとらえるかというのがたいへん重要な問題です。もう一度御答弁願いたい。
  55. 松永勇

    説明員松永勇君) 先ほど来、この十六条の義務というものは吸収合併された新しい会社に引き継がれているというふうに申し上げました。まさに現在朝日土地興業株式会社はこの十六条の義務を負っているわけでございます。したがいまして、十六条の義務違反するというような事態が起こるようなことがもしありますれば、そういう点については、私のほうとしても事前に十分注意し、相手方にそういう違反が起こらないように注意は十分さしたいと思います。
  56. 二宮文造

    二宮文造君 国有財産局長は、朝日土地に移ったところまでを合法と見ております。われわれはそう見ません。すべて未遂、未遂、未遂で、こうずうっとさかのぼっていきますと、これはあくまでも巧みに仕組まれた擬装です。それを見破らないようなあなたでもないと思うし、その時点がはっきりしないから答弁が苦しいのだと思うのです。もうずうっと契約違反をやってきているわけです。たとえば、あなたは、抵当物件の変更については、取りこわしについては許可を与えております。いまになってそういう発言をされました。ならば、十二月一日に丸紅と十億円の消費貸借を結ぶのに、やはりそういう許可を与えましたか、この点お答え願いたい。
  57. 松永勇

    説明員松永勇君) 消費貸借を結ぶことについては、私のほうが契約上許可を与えるとか与えないとかいう問題にはならないと思います。
  58. 二宮文造

    二宮文造君 ならば、また前述の質問を繰り返さなければならないのですが、この契約書担保設定のところですね、「重大な変更を与えるときには、あらかじめ通知しなければならない。」という、項目ですね、その件についてはどうですか。それと丸紅消費貸借と何ら関係ありませんか。第十五条です。「乙は、」という、あの云々の項目ですが、これと丸紅消費貸借と何ら関係ありませんか。かってに朝日土地興業はできますか。
  59. 松永勇

    説明員松永勇君) 担保に供しているその土地及び家屋、その担保を先ほど言ったように撤去するということは、これは担保価値に重大な影響を及ぼすということで承認を要するということでございますが、それをたとえば第二抵当にして金を借りるというようなことは、これは通常第一抵当が御承知のように優先するわけでございます。国の第一抵当の価値には影響はないというふうに考えております。
  60. 二宮文造

    二宮文造君 全く私はもうあなたの答弁にはあきれ果てる。いいですか、消費貸借をして、抵当権設定して、そうしてその売買予約をやっておるわけです。そうしますと、この契約履行しないときには、所有権は移るんですよ、貸し主に。よろしいという売買予約であり、抵当権であり、消費貸借契約ですよ。そうすると、そこにもうすでに問題ができてくる。五年間の期間内に、抵当流れでもって、消費貸借契約違反でもってこの土地丸紅所有になったとき、大蔵省はどう見ますか。所有権は移転するんですよ。
  61. 松永勇

    説明員松永勇君) これはもう、所有権第三者に移りましても、第一抵当権はその第三者の上にかかっていくわけでございます。それがいわゆる物権としての効果でございますが、当然第三者に移っても第一抵当としての担保は十分果たし得ると考えます。
  62. 二宮文造

    二宮文造君 ならば、あれですね、大蔵省見解は、一たん売ったならば買い主はあなたの自由に処分してよろしいと、こういうことですね。あとはもう、一たん売買契約をして、販売したら、売り渡したら、もう大蔵省はアフターケアは見ない、知らない、契約条項にどんなことがあろうともそういうことはもう一切監視しない、こういうことですか。
  63. 松永勇

    説明員松永勇君) いま私が申し上げましたのは、一般論として申し上げたのでございまして、本件につきましては、第十六条でもってみずから「所有し、かつ利用する」といういわゆる転売禁止の条項が入っております。したがって、いまの売買予約ということが、実体的な売買になっておる、それが売買ということであれば、これは十六条の違反の問題になってくるわけでございます。しかし、現在これは消費貸借である。売買とは見ていないわけであります。
  64. 二宮文造

    二宮文造君 また答弁がずれたです。抵当流れになる。消費貸借契約朝日土地興業が守らない。その場合に、引き続き五年間と書いた、その期間内に所有権丸紅に移っちゃうんです。それでも契約違反になりませんか、この見解はどうですか。
  65. 松永勇

    説明員松永勇君) 私たちは、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、これは売買ではない、消費貸借だ、それの担保のやり方として通常行なわれておる商慣習に従っておる、こういうように見ておる。したがいまして、これが担保流れになるというようなことは、現段階では予想いたしておりません。もしそういう事態で、担保担保流れとなって、その結果第三者にそれが移ったというような場合には、それは売買という形で行ったのではなくて、やむを得ない担保流れということで行ったわけでございますから、そういう場合にこれを契約違反としてきめつけるということはなかなか困難だと考えておりますが……。
  66. 二宮文造

    二宮文造君 大体筋書きがわかりました。たいへんな問題だと思います。そういうふうな方式で国有財産が一部の有力者の手によってやみからやみに葬られていった。これは国民の前に明らかにしなければなりませんし、私は前回質問の最後に、こういうふうな合法的な脱法行為が行なわれても法務省としては何ら手をつけないのか、国民の告発がなければしないのか、こういう私の希望意見のようなことを申し上げて終わりにしましたが、その後御相談もあったと思いますし、また暑い中を前回も大体事件の概略というものも刑事局の方も聞いておられましたし、善良なる国民の代表として当局の方の見解を伺いたい。
  67. 伊藤栄樹

    説明員(伊藤栄樹君) 本件土地関係におきましては、だいぶ以前ですが、過去に贈収賄事件が一回あったことがございます。その後は、検察庁として探知できるような犯罪の端緒がございませんので、捜査をしておりません。前回以来伺っておりまして、いろいろ教えられるところが多かったわけでございますが、これは一般の事件と違いまして、考えてみますと、刑事訴訟法の二百三十九条にもございますが、犯罪ありと考えるときは、告発義務を負っておられる方々が管理しておられる者になるわけでございます。そういったところの御意思もよく尊重いたさなければならない、かように思っております。なお、さらに、私ども独自の調査とか、あるいは何らかの申告等によりまして、もう少し事実関係が明確になり、犯罪の伏在するおそれがあるということになれば、当然捜査するにやぶさかではございません。
  68. 二宮文造

    二宮文造君 ただいまの答弁で、事実関係が明らかになってくると法務省のほうも独自の立場から捜査をすると、こういうふうな将来にわたってのお話があったように私は了解をいたしました。その参考の材料として申し上げますが、国有財産局長は、丸紅が建築の意図を持っていない、建築申請をしたというようなことは聞いていない、たしかこのように答弁をされました。すらりと答弁をされておりますが、十二月一日の消費貸借と非常に関連がある新しい事実があります。それは、東京都庁に対しまして、昨年の三十九年の十二月九日でございます。受付番号は千二十六、該当地は霞ケ関三丁目七番地、その建物の申請の内容地上九階地下四階、申請人は松尾泰一郎となっております。私の調べたところによりますと、丸紅飯田の常務取締役に同姓同名の方があります。そこで私は考えるのですが、払い下げを受けたニューエンパイヤモーター株式会社は、一年間に二千万そこそこの剰余金しかない、十一億何がしの支払い能力は絶対にない。にもかかわらず、それを相手方として契約を結んで、善良な管理を欠いております。ここに大蔵省の手落ちが一つあります。支払い計画書も取らない。個人保証もさせない。そうして、ただ心証によって、支払われると、こういうふうに見た。通常こういうことは考えられません。何か権威のある、十分にそれを動かし得る人が介在をしなければ、少なくとも大蔵省はこういう支払いの契約のしかたを認めるわけがない。これが私の疑念の第二点。それからニューエンパイヤモーター株式会社は、くどくなりますが、その当時の代表者の古岡氏は十日後に業務をすべて継承して新たにニューエンパイヤモーター株式会社をつくっている。そんなに会社の設立がスムースにいくわけはないわけです。明らかに十月一日の契約時にこの吉岡照義氏はニューエンパイヤモーター株式会社という新しい別会社をつくる意図を持っていた。これが疑点の第三です。さらに、十月の三十一日に至っては、従来の取締役は全部退任をしておる。ここでニューエンパイヤモーター株式会社の権利を持ったのは、いわゆる土地売買を受ける権利を持ったニューエンパイヤモーターは、形式も実体もなくなりました。ここに第四の疑点が出てきます。さらに、大蔵省契約をして、それはきょう聞いたわけですが、わずか一カ月後に、建物をこわしたい、十一月にそういう申請が出たという話ですが、ならば、十一月に申請が出て許可するぐらいなら、なぜ最初から、こわしてこい、こう言わないか。そこでこわしていれば、従業員が路頭に迷うという和解のときに申し立てた申し立て人の理由が全部なくなりますから、こわさなかったわけです。合法的に脱法行為をやったと断ずる第五の疑点です。さらに第六には、これが十月の三十一日に従来の仕事と何ら関係のなかった土地売買あっせん業というものを定款に加え、朝日土地興業株式会社合併する手順を整えた。これは第七です。さらに、予定どおり合併をし、そうして丸紅消費貸借を結んだ。名前は消費貸借でありますけれども、内容建物を建てるという内容です。その証拠は、都庁に建築申請が出ております。これは第八です。それから契約書を忠実に守っていない。それを大蔵省は目こぼしをした。十二月の一日の消費貸借契約大蔵省は知らなかった——知らなかったではない、背後にそういう動きがあることはわかっている、それを目こぼしした。そうしてこの土地の値段は不当に安い。こういうふうな疑点を並べてまいりますと、形は適法な形をとっているみたいでありましても、結果から振り返ってみれば、一連の詐欺行為です。もしもそれを、大蔵省は一点のやましいことがない、契約条項をまともに守ってきた、いま私が申し上げたことについて反論があるなら、言ってもらいたい。
  69. 松永勇

    説明員松永勇君) 非常に多岐にわたる御説明がございました。先ほど御説明があった中に、前回にも問題になりましたが、通常なら資金計画をとってやるのに、本件については資金計画をとってないという点がございました。この前これは説明申し上げましたが、私の説明が十分でなかった点があったかと思います。本件は、先ほど来御説明に出ましたように、非常に長い間の訴訟、そういうものを通じて、和解以外に解決の方法がない、約十年にわたる長い間のもんちゃくを、和解ということによって解決しよう、それ以外に方法がないというところまで追い込まれて、そして和解をした。ここで新たに第三者を選んで売るというような事態でしたら、もちろん資金計画というような点は重要な点でございます。本件につきましては、そういう点でやむを得ず和解をした。あと会社としても、だいじょうぶであろうというか、そういう点が、資金計画までとってなかったという点はあるのですけれども、その他の諸般の情勢を見てやむを得ないということで和解をしたという点を御説明申し上げたいと思います。  なお、それから、現在丸紅が建設をしているのではないか、この点につきましては、先ほど来申しましたように、私のほうでは消費貸借と見ておりますけれども、しかし、それがそうでないような事態がもし発生すれば、この点は十分警戒をし、そして警告を発する必要がある場合には発するという考えでいきたいと思っております。  そのほかいろいろな点について御指摘がございました。その中には、私たちが当初そういうことを予想していなかったためにこういう事態になった、あるいは私たちの力が不十分でそういう点に審査が十分及ばなかった、そういう点はあろうかと思います。しかし、本件については、商法上合法な措置によって商号変更あるいは合併ということが行なわれている段階、それ以上に契約条項違反してない段階、そういう状況だと思っておりますので、やむを得ないと、こう申し上げておるのであります。
  70. 二宮文造

    二宮文造君 もう一点重要なことを申し上げておきます。それは、大蔵省が、やむを得ないとか、丸紅が建てるのを知らないというようなことを幾らおっしゃっても、大蔵省がその建築に協力をしていると思われるような事実があります。と申しますのは、あの地点には江戸城の石垣あとという天然記念物があります。過去の土地台帳には、あの天然記念物のところは長方の三角形になっております。ところが、つい最近その土地台帳が書き改められまして、五角形の地形になっております。私も土地台帳を写しました。こういうようなかっこうになっております。当初は三角形でした。これでは建築に非常に不便なので、その後こういうふうな五角形の区画に変えております。丸紅は、ここだけは一階、二階で残して、三階のところで突き出して、天然記念物を見るには一向に差しつかえのないような建築の企画になっております。土地台帳は申請人であるところの大蔵省が申請をしなければ変わりませんし、また文化財の問題でございますので、これは文化財保護委員会の決議がなければこういう地形の変更はできないと思います。この辺の事実から考えてみましても、私は、大蔵省がほんとうにこの国損を防止しようという立場にはない、こう断ぜざるを得ないのです。  時間がありません。きょうの私自身の収穫は、法務省が事実の経緯を独自に調査をするという言質を与えられたこと、それから国有財産局長が、私が申し述べた幾多の点につきまして、一つ一つの反駁はなくて、ただやむを得ない、こういうふうな答弁に終始されたこと、これは新聞等を通じまして問題になってまいりますと、国民の見る目は神聖だろうと思うのです。純白です。そうして、この相手が土地会社であるだけに、また巷間いろいろなうわさをまいているだけに、また政界の方と非常に懇意な方であるだけに、国民の疑惑は一そう深まると思います。したがいまして、これはきょうはこの程度に私のほうはとどめておきますが、問題が浮かび上がってまいりましたので、国民はこの行くえを注視しております。もしも丸紅が建築をしたり……。それで、前後しますが、私がこの問題の調査を始めましたのは、ことしの二月です。その当時、問題地は建物がありまして、囲いをされておりました。私のほうで調査をし始めますと、四月九日ですが、大体抵当物件になっていた建物がこわれ始めました。そのころに朝日土地興業株式会社が転売するのじゃないかというような問題が出てきた。それを察知して、朝日土地興業株式会社所有地と看板をあわてて書きました。さらに余分なことに、御用の方は銀座何々局の何々番へと、こう下へ出しておりました。その事実を私が大蔵に指摘をしますと、大蔵省はどう相手に通じたのか知りませんが、「御用の方は」というところをペンキで消してあります。まさに私は、おとぎ話のような、子供だましのような、こういうふうに相手方立場を弁護しなければならないのは、そういう理由が大蔵省のどこにあるか。国損を防止するという立場からいけば、その事実一つ一つをとらえても攻撃すべきです。契約違反を相手に追及すべきです。残念ながらそういう姿勢はない。この問題一つに限りません。すべて国有財産払い下げについては、そういうあいまいもことしたものがあります。幸い選ばれて、また見込まれて局長になられた新任早々の局長時代に、従来から国民の疑惑の目になっていた国有財産について、それが過去に売り渡されたものであっても、延納の期間内であります。国は十分に要求をし、契約を取り消すという強硬手段にも出られるだけの権利を保留しております。それを制限一ぱいに使うのがあなたの立場ではないかと思う。老婆心ながらそれをつけ加えまして、私、本日のところ、この件につきましてはとどめておきます。
  71. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 一つだけ質問しておきたいのですが、この問題の処理にあたって、国有財産は審議会にかけるということになっておりますが、このときに審議会にかけられた資料ですね、資料は一体どういうものを出されたのか、審議会にかけるときにですね。先ほど局長が言われたように、長い間の十年間の紛争であったので、そういういわゆる支払いに対する保証的な問題は全然審議会に資料として提出しないで、単なる形式的な審議会で終わっておるのかどうか、この点をひとつお聞きしたいのです。  なおまた、検査院の方は、こういう審議会に対する当の資料を十分検査院としても過去に調査されたことがあるのかないのか、この点をひとつお教え願いたい。
  72. 保川遜

    説明員(保川遜君) 国有財産の売り払いの決定になります審議会の審議の内容でございますが、これは私どもそこまでは入っておりません。ただ、審議会で売り払うと決定したその結果だけは十分に参照にいたしております。そういうことでございます。
  73. 松永勇

    説明員松永勇君) この件につきましては、委員会のほうから資料要求がございまして、当時の関東地方国有財産審議会にかけました経緯を、議事録を提出いたしております。簡単に申しますと、本件は報告事項として審議会に報告をし、それについて若干の質疑があったようでございます。
  74. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私そういうことを聞いているのじゃないのです。その資料はもらっているから、私も知っているのです。一体、その審議会は、国有財産払い下げをやるかやらないかといって、四千万円か五千万円のいわゆる価値のものであっても、数回にわたって開いているわけですね。いままでの検査院の報告を見ると、そういう過程がありますよ。そういう過程があるのにもかかわらず、この場合は二回しか開いていないでしょう。その二回の——一回ですか、それはあとで答弁願えばよろしいが、そうした過程において、一体審査するための資料というものにはある程度のものがなければ、審査の価値ないじゃないですか。あなたのおっしゃるように、十年間の長い間の紛争であった。したがって、これが和解になって今回は払い下げることになりましたという口頭の説明で、それを審査員は承認したということになっておるのかどうかということが聞きたい。あるいはまた、もっと明細なものを出したのか出さぬのか。
  75. 松永勇

    説明員松永勇君) 初めに、前段で御質問のありました、こういうものについて審議会に何回も出している——もちろん審議会で審議が保留になった場合には何回も出しておるということはございますが、審議が終われば一回で済むというのを通常といたしております。本件は報告として、報告書に書面でもって、財産の状況、財産の経緯等を詳しく書いたものを審議会に提出する、それをさらに説明員説明しているという状況でございます。  なお、本件のようなものを審議会の報告事項にしたという点につきましては、これは本件が、いまのような裁判上の和解という特殊な形態で処理せざるを得なくなったということから、事実上のもう和解が結着がついたような段階で審議会にはからなければならないような状況でございましたので、特に報告事項ということで経緯を説明し、御了解を一得るという措置をとっております。同じようなケースとしましては、たとえばオリンピックのワシントンハイツ村の処理なんかについても、そういうような形式で処理をした例がございます。
  76. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その報告の内容ですがね、どういうことをあらかじめ言ったのです。紛争のことだけ言ったのですか。あるいはまた、返済能力があるとか、いわゆるその会社の半期の収益からどのくらいの能力を持っているとかということまで詳しく言ったのか、言わないのか。紛争だけを審議会が審議してオーケー言ったのではないと私は思うのですが、どういうことを言ったのか、内容をお伺いしたい。要点だけを言ってください。
  77. 松永勇

    説明員松永勇君) 書面として審議会に配りましたのは、財産の表示、財産の経緯——これは大正三年以来の虎の門公園というふうに指定いたしましてからの経過をずっとすべて書いてございます。それから売り払いの相手方、処理方針——その処理方針というのは、売り払いとか、随意契約であるとか、あるいはその根拠、そういう点をさすのであります。そういう点、その他参考となる事項というようなものを加え、図面を添え、それからなお和解条項も添付書類として書面をつけて提出いたしておりますが、説明一貫の説明の中には、その資金計画等については触れていないようでございます。
  78. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その資金計画の内容ですが、その報告書をひとつ請求しますから、下さい。ぜひ資料としてお願いします。  それからもう、一つお聞きしたいのですが、この問題、大体この報告書を見ますと五億六千二百九十八万四千円ですか、これだけは一時金として支払っているわけですね、そうですね。この契約をしたときの払い主は前のその経営者である古岡ですか、これから支払ったのですか。
  79. 松永勇

    説明員松永勇君) ニューエンパイヤモーターでございます。
  80. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それから、現在入っている金は、大体三十九年、これは九月ですか、一日にこれが入っているわけですね。
  81. 松永勇

    説明員松永勇君) ちょっと説明員をして説明させます。
  82. 立川宗正

    説明員(立川宗正君) 金額は所定のとおり入っていると思います。
  83. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると、残りました金が大体四億数千万円、こういうことになるわけですね。
  84. 立川宗正

    説明員(立川宗正君) さようでございます。
  85. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 先ほどの二宮氏の質問のときに、抵当物件が変わらない限りにおいては、会社がだれに移譲しようとも、政府としては、それは正当の筋として、われわれとしてはそれを承認しておるのだ、こういうふうに私は答弁されたような気がするのです。この四億数千万円という金は、なるほどあなたのおっしゃるように第一抵当として入っておるのでしょうから、その土地を政府が第一抵当でとっておる限りにおいて支払い能力があると見ていいでしょう。ところがこの上五条との関連性からいくと、財産その他については、こまかく大蔵省にいわゆる報告をする義務がうたってありますな、この点についてはどうお考えになる。その義務を負わないで単に委譲された、いわゆる会社合併して今度丸紅に移行するという場合——いや丸紅がだれに変わろうとも、会社名義がだれに変わろうとも、抵当権を持っておるのだから、その第一抵当を保持しておけば、大蔵省としてはそれに関与する必要はないのだ、それは正当の名義書きかえであるならば。こういうふりにお考えになっておるのですが、十五条ですね。この点は二宮さんも仰せになりましたけれども、そういう簡単な考え方で四億数千万円残っておるこの金を処理してもいいのかという点が、あまりにも軽視された考え方じゃないか、形式じゃないか、こう私も考えるのですが、その点どうです。
  86. 松永勇

    説明員松永勇君) 本件につきましては、契約書の十六条でもって所有し、利用するということがうたわれておるのでございますから、そのもの第三者に、たとえば丸紅に移るということであってはならないものでございます。そういう点で、丸紅に移ってもよいということではないので、現在の第一抵当があるから丸紅に移ってよいという考え方ではございません。
  87. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 第一抵当があるから丸紅に移ってもいいという考えではないということ、しからばあなたのおっしゃるように、つまり合併した当時の名義を書きかえたときも、それは簡単に変わっておるでしょう。十日以内のうちにすぐエンパイヤはやめて他のところに工場を開いて、そして名義を書きかえた。そのときのそれ以前のこれは契約でしょう。そのときの委譲、名義書きかえの場合に、これだけの通告を受けて、その提示をさせてやったのかやらぬのか、それはどうですか。
  88. 松永勇

    説明員松永勇君) これは先ほど来説明いたしておりますように、所有権が移転したと見てはいない。すなわち法人格は継続している、承継されておるというふうに見ておりますが、したがって、その契約条項の十六条に違反するということではございません。しかし、この会社合併等を行ないました際には、従来の契約を忠実に行なうということを申し出てきており、国としても了承しているということでございます。
  89. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 しかしそれならですね、エンパイヤのほうが名義の書きかえをしたでしょう。その点はわかっておるのですね。それは法人資格としての当然の資格としてあなたはお認めになっておる。しかし人間が変わってですね、事業が変わってくるということはあるでしょう、事業が変わらないですか。たとえば甲の事業家と乙の事業家に名義が変わった場合に、同じ支払い能力を持つ経営者であるかどうかということは、皆さん見られなくたっていいのですよ、そのためにこれは書いてあるんでしょう、どうです、その点。あなたは法的な名義書きかえについては、これを認めざるを得ないとおっしゃるのです。なるほどそうでしょう、それは。しかし、その能力に応じて、事業がもし不振であった場合、これは第一抵当さえとっておればそれでいいという解決をつけておくのか。もしそれが逆に相当の利益をあげる会社であるというならば、これはあなたのおっしゃるように黙認してもいいでしょう。こういう点が、非常に官僚的な見方で皆さんが判断されるところに大きな問題があるのです。それはあなたは法人資格におけるところの手続さえとればいいという考え方は、それはだれだってそんなことくらいわかります。しかし内容はどうかということは、大蔵省の責任者としてのあなたの答弁ではそれはおかしいのだね、その点はどうお考えになるか。そのために十五条、十六条というものが書いてある。
  90. 松永勇

    説明員松永勇君) 高山先生の御質問は、形式的な法律手続として会社合併等を行なっていたというのは、合法的な措置としてそれはやむを得ないが、そういうことでなくて、新しい会社が、今後すなわち経営その他において十分安全であるかどうか、そういうものを見てその会社合併することを承知していいのかというような御質問であろうかと思いますが……。
  91. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっとあなた、答弁待ってください。私が言っておるのじゃないのです。法人資格のものが名義書きかえをしてやるということは合法でしょうと言っている。あなたはそうしていいと言うのです。それには文句は言えないというのですから、それは私もそうだろうと思うのですよ。しかし、十日もたたないうちに名義を書きかえるということについては不当だということは、私も承知していますよ。この問題について、あなたは一般論を言っておられる。先ほどの二宮さんの論争ではないけれども、二宮さんもこの問題で言われたけれども、あなたの答弁が一般論であったから、一般論については私も否定はいたしませんが、ただし第一抵当物件さえとっておれば、大蔵省は形式的なことだけを考えておって、あとのいわゆる支払い能力その他についての提示をしなければならない、本人はこれを表示しなければならない、報告を怠ってはならないという義務づけがあるのですよ、これは十五条に。この契約書というのはそのためにあるのです。そういうことを考えないでやっておるところに、先ほどの御答弁のとおりに、皆さん方の形式論ではこの問題の割り切れない点がある、これをどうお考えになっておるのか。形式じゃないのだ、実際なんだ、これは入っているのだから。
  92. 立川宗正

    説明員(立川宗正君) 十五条について必要な報告をとるという規定がございますが、この件につきましては、三十九年の二月にニューエンパイヤから朝日土地に変わりまして、その朝日土地が大蔵大臣に対して、この土地売買契約書に基づく延納代金及び延納利息等については、一切朝日土地が責任を持ってやります、履行いたしますということを、大蔵大臣に誓約いたしております。
  93. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 報告を受けておるのですね。
  94. 立川宗正

    説明員(立川宗正君) 受けております。
  95. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ちょと速記をとめて。   〔速記中止
  96. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記をつけて。  大蔵省に先ほど二宮委員から質問があった中にいまの所有者が東京都に対して建築申請をしておる、こういう話がございました。これについてはさだかでないという答弁のようでありますから、次回までにこれを調査をして習知として報告してもらいたい。  その次は、江戸城あとの石の問題について、文化財とも若干関係があると思います。こういう問題について、これも大蔵省が調査をして報告をしてもらいたい。どうしてその土地二宮委員質問では、三角形のものが五角形になっておるのか、こういうことについては、いまのところこれは明らかでございません。したがって、文書をもって報告をするように、以上委員長から申し上げておきます。よろしゅうございますか、松永局長
  97. 松永勇

    説明員松永勇君) 後ほど取り調べて、資料として提出いたします。
  98. 相澤重明

    委員長相澤重明君) それでは、次の質問に入ります。
  99. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっとはさみたいと思います。碑文谷マンションのことですが、前回大蔵省答弁では、八月の十五日の期限つきで特別違約金等を徴収する通達を出しておる、こういう御答弁でございました。その資料をいただきました。ところが、あにはからんや、初めて特別違約金の通達をしたのではなくて、すでに七月の十五日付で一回督促状を出して、相手方から返事がないので、第二回目に八月十五日付で督促をしている。そういう事実をはしょって答弁をされているのは、私けしからぬと思うのです。そのとき私が申し上げたのは、相手方の楽石社は、支払い能力があるか。現にこのマンションを使っておりますのは、ここに資料がありますが、こういうりっぱなものです。使っておりますこの所有者は日本ベル福祉協会、しかもその裏には、ここにもまた丸紅飯田が出てまいります。私がここでお伺いしておきたいこととは、違約金を徴収するという法的な根拠それから現在までに国有財産払い下げについて契約違反であるというので、違約金を取られた例はどれほどあるか。今回の場合は、国会で追及をされたから、こういう措置をとったのではないか。いまも申しましたけれども、私が予想したところでは、楽石社には九千万円の支払い能力はない。大蔵省は楽石社に対してこれほどの債務の確認通達をしておりますが、もし、取れなかったらどうするか、楽石社がその支払いに応じられるだけの客観的な要件があるか、こういうことを次回までに御報告を願いたいと思うのです。  そしてこの際、訟務局にお伺いをしますが、いまも申し上げましたように、楽石社は支払い能力はない。しかも現在その土地並びに建物所有利用しているのは違った団体であり、丸紅飯田である。しかも、ごらんのように、社会福祉事業とは全然異なるマンションである。そういう場合に、この財産に対して、国はその違約金の担保としてこの建物を差し押えるだけの権限があるかどうか、権利があるかどうか、この御判断を願いたい。
  100. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 松永局長、先ほどの二宮委員の御質問よろしゅうございますか。
  101. 松永勇

    説明員松永勇君) 資料につきましては、次回までに調整するように努力いたします。
  102. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 訟務局といたしましては、碑文谷マンションの問題につきまして具体的な事実を承知しておりませんし、契約書も私ども見ておりませんので、確定的なことは申し上げることはできないのでありますが、もし国が楽石柱に対しまして何らかの債権があるといたしますれば、それに基づきまして楽石社の財産を仮差し押えすることはできようかと思います。
  103. 二宮文造

    二宮文造君 ならば契約違反であり、そうして不当な、いわゆる契約違反して転売を受けたベル福祉協会並びにそれを資金的に応援をして、現在国民の疑惑のまま使われている。そういう応援をした丸紅飯田に対しては責任はないと、こういう判断でございますか。
  104. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 先ほど申し上げましたように、私ども具体的な事実を一切承知しておらないものでございますから、その点につきましては判断できませんので、御了承願いたいと存じます。
  105. 二宮文造

    二宮文造君 では一般論としてお伺いします。国が何らかの条件をつけて売買をやった、ところがその売買契約の中にある譲渡禁止あるいは用途指定、そういうものに違反した建物がつくられ、転売をされた。国はもとの契約者に対して特別違約金を徴収すべく催促をした。だが相手方にはその能力がない。国は国損を防止するためにその当該物件を差し押える。こういうことができ得るかどうか、国としてできるかどうか、一般論としてお伺いしておきたい。
  106. 関根達夫

    説明員関根達夫君) これは全く具体的な事実を離れての一般論というお話でございますから、その前提の上でお答えいたしますが、一定の条件をつけて契約をいたしまして、それに基づきまして払い下げをいたしました場合、その条件に反する事態がありますならば、これは債務不履行ということで損害賠償の請求をすることは可能であろうかと存じます。それに基づきまして違約者の財産を差し押えることは、これはできようかと存じます。  なお、当該財産を違約者が第三者に転売等いたしております場合には、直ちに差し押えはできませんが、もしこれが民法四百二十四条の詐害行為に該当いたしますならば、詐害行為取り消し権に基づきましてその取り消しをいたしまして、当該財産の請求をするということは、法律的には可能であろうと、一般論としてはさように思います。
  107. 二宮文造

    二宮文造君 訟務局としても、この楽石社の問題については、すでに問題になったところでありますし、まあここの答弁の都合上、詳細は知らないというふうに御答弁になったのだと思いますが、一般論の見解を承りましたので、なお、この契約書を検討の上で、国の損害を防止し、さらにまた債権確保の意味で早急に方針をお立てになることを要望しておきます。
  108. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 御要望を承りましたが、実は私ども、刑事方面の担当と違いまして、民事関係といたしましては、前にも申し上げましたように、すべて国から国民に対しまして請求等いたします場合には、所管省から要求を受けまして、その要求に基づきまして行動を起こすたてまえをとっておりますので、所管省の要求なしに、いきなり私どものほうから請求、調査をいたすということはいたしておりませんので、その点御了承を願いたいと思います。
  109. 二宮文造

    二宮文造君 いまの御答弁でございますので、やはり国有財産局長答弁が必要になろうかと思いますが、特別違約金をもうすでに二回にわたって通達を出しているわけです。だんだん債権確保があぶなくなってきたわけです。訟務局としては、当該所管省のそういう申し入れがなければできない。私は、もうすでにこういう事態になったんですから、債権確保の意味で何らかの措置をお考えにならなきゃならぬと、こう思いますが、大蔵省見解を承っておきます。
  110. 松永勇

    説明員松永勇君) 二宮先生のおっしゃるような事態にはなりつつあると私たちも判断しており、本件については早急に法的手続をとる必要があろうかと思いまして、法務省とも緊密な連絡をとって、所要の手続をとるように検討したいと思います。
  111. 二宮文造

    二宮文造君 その場合に、この碑文谷マンションが当該物件です。この碑文谷マンションについての、これしか債権確保の道がないわけです、具体的に。それも含んだ上で、法務省と緊密な連絡をとると、こういう意味に解してよろしいか。
  112. 松永勇

    説明員松永勇君) もし、法的措置ということが訴訟というような形をとりますと、当然これは法務省訴訟を依頼するという形になりますので、今後、そういう一切の国の債権を確保する上で必要なあらゆる措置ということにつきまして、法務省と緊密に連絡をはかりたいと思います。
  113. 二宮文造

    二宮文造君 どうもすっきりしないんですが、「あらゆる措置」という中には、当該物件の碑文谷マンションもその考慮の中に入りますか。
  114. 松永勇

    説明員松永勇君) 法律問題につきましては、いま法務省お答えになりましたように、法務省の方が訴訟の国の担当になりますので、法務省の方と相談いたしまして、そういうものも含ませるならそれは含めるということになるかと思いま
  115. 二宮文造

    二宮文造君 訟務局はどうですか。大蔵省のいまの見解は、私が心配したような方向に進みつつある、したがって、楽石社を相手とする特別違約金というものだけでは、どうも債権確保がおぼつかない、したがって、法務省のほうとも緊密な連絡をとりながら債権確保に努力をしたい。そこで、その場合に、当該物件の碑文谷マンション、現在所有し、現在利用している、これも債権確保の対象として考慮されますかどうか。
  116. 関根達夫

    説明員関根達夫君) 私、事実を存じないで申し上げてはなはだ恐縮なんでございますが、大蔵省から払い下げましたものは土地だと承知しております。土地の上に第三者建物をつくったと承知しておるのでございますが、もしそうだといたしますと、この第三者所有物件につきまして、法的に国がとり得る手段はないんじゃないかと考えます。
  117. 二宮文造

    二宮文造君 そうしますと、悪いやつが得をする時代ですね、まあいよいよお話にならないようなことになってきましたが、第三者といえども、ここには当該物件に地上権を生じます。土地があるから地上権が生ずる、その生じた原因が不法な契約違反に基づいてそういう事件が生じた。しかもその建物に対して何ら制裁規定が及ばないとしますと、これはまた法律解釈の問題で、私どもしろうとですが、それを悪用する連中が出てまいります。当小委員会は、そういう国有財産法の悪用、契約書の悪用、さらに事後の使用の悪用、そういうものを指摘して政治の方向を改めたいと思うわけです。ですから、これは時間がかかりますので、私の要望なら要望という形でとどめておきますが、なお、大蔵省があらゆる措置をとる、法務省に連絡の上であらゆる措置をとるということに、現在として一るの希望を、残しておきます。そして、大蔵省措置について国民が納得するような——ちょっと私は期待できませんが、今日の答弁では。さらにニューエンパイヤモーター株式会社に対するあの事件の答弁から見ても、ちょっと私いささか不安ですが、なお鞭撻してそういうふうにしていただきたい、こう思います。碑文谷の点につきましては、以上でとどめておきたいと思います。
  118. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 委員長から会計検査院に申し上げておきますが、いままでの二点の問題については、国と該当者との契約条項がありますから、それをよく資料をとって調査をするように、そして事後報告をするように、よろしいですか。  他に御発言がなければ、本件に関する調査は、本日のところこの程度にとどめておきます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  119. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速起を起こして。     —————————————
  120. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 参考人日本中央競馬会理事長さんの石坂さん、常務理事の檜垣さん、御苦労さまです。お暑い中ですがどうぞ楽な気持で……。  それでは、ただいまから日本中央競馬会に関する件を議題といたします。御質問の方は、順次御発言いただきます。
  121. 二宮文造

    二宮文造君 時間がおそくなりまして、参考人の方も、いま委員長が言われましたように、たいへん御苦労さまでございます。私がお伺いしたいのは、通称狸穴の麻布台ビルと呼ばれておりますが、詳しく申しますと、麻布飯倉町にありますところの元東京大学天文学教室あと六百六十四坪にわたります中央競馬会と物産ビルとの交換契約並びに物産ビルと日本飼料工場会の売買契約、このことについてお伺いをしたいわけです。で、この問題の経緯を委員の皆さんにも了解を願う意味できょうはアウトラインだけお伺いしておきたいと思います。  まず、大蔵省にお伺いをしておきたいのですが、この物件は中央競馬会と国との間に交換契約があって中央競馬会の所有になりました。その中央競馬会の所有に至る経緯につきまして、大蔵省から説明をいただきたい。
  122. 松永勇

    説明員松永勇君) 本件につきましては、この問題になっています土地と中央競馬会が持っておりました世田谷区用賀町の土地と交換によって、国が所有するこの土地を日本競馬会に渡したのでございます。国は、この用賀町の土地を公務員宿舎の用地として必要なため取得するということになったわけでございます。
  123. 二宮文造

    二宮文造君 そこで、非常に親切な御説明なので前にさかのぼらなければなりませんが、では、中央競馬会がいまの玉川の用地、それを取得するに至った経緯並びに取得の状況、それから共栄商事との関係、そしてなぜ大蔵省と交換契約を結ばれたかというその理由について、その経緯を明らかにしていただきたい。
  124. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) まず、中央競馬会といたしまして用賀の土地を取得いたしました経過から申し上げます。  御承知のように、オリンピックが始まります準備といたしまして、中央競馬会として馬術のための大井馬場を建設する。そしてその経費はオリンピック大井馬場建設等のための競馬場の臨時特例法、これに基づいて大井馬場を建設する。こういう義務を持ったわけでございます。その用地といたしまして、オリンピックの大井馬場を建てます場合には、現在持っております馬事公苑に最も隣接した地帯が望ましいと、こういうことで物色いたしましたところ、ちょうど大蔵省所管のQM倉庫が馬事公苑の厩舎と道一つ隔てたところにございますので、それをぜひ払い下げを願いたいということをお願いいたしましたところ、国においては、たしかその土地は公務員宿舎の予定であるということで代替地を持ってこいというお話であり映したので、その代替地をいろいろ物色いたしたわけでありますが、たまたま馬事公苑からそう離れておりませんが、いまの世田谷の土地が、農大が売りに出しておるということを、これは三菱信託に頼んでおりましたので、そこから情報が入りましたので、さっそくそれを手に入れようじゃないか、こういうことにいたしたわけでありますが、ただ農大の側におきましては一万二千——買いました土地が一万二千二百八十二坪ということになっておりまするが、これは私どものQM倉庫と交換いたします必要な土地は、約五千坪程度でございますので、実はそれだけでいいと思ったのでございますが、学校側としては一括処分しなければ困る、こういう非常に強い話がございました。  それからなおつけ加えて申しておきますが、この用賀の土地につきましては、一部個人の分が少しばかり入っております、約二千四百坪くらいなんですが。そしてそれを一括して買収してもらいたい、こういうことでありますし、私どものほうとしましては、できるだけこの交換の実行を急ぎまして、オリンピックの大井馬場の建設をオリンピックに間に合わせるようにやらなければならなぬ、こういうこともありましたので急いだわけでありますが、ただその当時、私どもといたしましては、予算措置が間に合わない、こういう事情がございましたので、私どもの競馬会としての外郭団体でありまする共栄商事に一時私どものほうで口をききまして、三菱銀行から金を借り入れてそれを買い取るようにしてもらいたい、こういうことにいたしたわけであります。共栄商事は競馬会の外郭団体とまあ通俗的に申していいと思うのであります。これはもと——これは昭和三十年に設立いたしたものでありますが、当時競馬会の職員で組織しておりました共済会で、小倉の競馬場でゴルフ施設等をやっておりまして、その益金がございましたので、それを共済会から出資いたしまして設立した会社でありますが、競馬会の消耗品の購入でありますとか、そういったような仕事を担当いたしておる会社であります。これに競馬会の口ききによって、いまの所要資金を融通してもらいまして買い取った、こういう事情になっております。
  125. 二宮文造

    二宮文造君 共栄商事がその当時、競場会にかわって購入をした、いわゆる代金を立てかえた年月日とその金額、及び今度は競馬会が予算を組んで共栄商事に支払った年月日とその金額、そしてその差額についての説明、これを後日御提出を願いたいと思うわけです。  いまの御説明で、大井馬場をつくるために、オリンピック特例法に基づく資金をもとにして、用賀の土地をお買いになった。こういうふうな説明でありますが、そのオリンピック特例法に基づく、その特例法によってできた購入資金といいますか、それに該当する坪数は、いまお話になった一般個人の土地、農大の土地と一万二千と言われましたが、二万一千二百八十二坪ではないかと思います。
  126. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) 間違えました。
  127. 二宮文造

    二宮文造君 その一万一千二百八十二坪全体にわたるのですか。それともQM倉庫の交換に要する五千幾坪の分をオリンピック特例法による資金で購入される予定であったのか。
  128. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) 先ほどの私が申し上げました全体の坪数一万二千と申し上げましたのは、ただいま先生の御指摘のとおりの一万一千二百八十二坪七十七で、私のほうの間違いでございます。  オリンピックの大井馬場用地として買い取りましたのは、このうち五千五百十五坪〇八、金額にいたしまして、三億八百四十万三千円、こういうことになっております。この残余の分は、そのつど必要の度に応じまして私どもが買い取りまして、それぞれの用途に供したということになっておりますが、これは後日正確に買い取りの年月日その他は、資料にしてお手元へ差し出したいと思いますが、共栄商事との基本的な考え方につきましては、とりあえず共栄商事がこの土地を一括して買い取る。それにつきましては、競馬会として資金的なあっせんを極力やります。その必要に応じて競馬会が逐次買い取っていく。ただしそのときの買い取り価格は、共栄商事が買い取った原価と競馬会がそれを買い受けるまでの必要な金利、その地競馬会が適当と認めた管理費——これはごく事務費的なものでありますが、そういうものを共栄商事に渡します、そういう約束をいたしたわけであります。
  129. 二宮文造

    二宮文造君 その件につきましては、いま資料を要求しましたので、その線で明らかになってまいると思います。  私がさらにお伺いしたいのは、残りました五千坪ですか、五千幾ら坪とそれから問題の狸穴の土地と、今後大蔵省と中央競馬会の土地の交換がありました。この交換に至る経緯がまだ説明から漏れております。それを合わせてお願いいたします。
  130. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) 狸穴の土地と交換いたしました面積は二千六百十四坪九十九、金額といたしまして一億四千九百五千四万五千円、こういうふうになっております。  この経過につきまして申し上げますと、実は中央競馬会の事務所の現在あります敷地が約六百五十何坪ございますが、昭和三十四年ごろから一つ小さな道でありますが、道を隔てた所に御承知の日産ビルディングがございますが、そこの管理は、現在物産ビルディング株式会社となっておりますが、その日産ビルの当事者から、ビルの拡張をしたいということで、競馬会のあそこの敷地を全部譲ってもらいたいという要望があったようであります。たまたま競馬会といたしましては、非常にあの建物も古くなっておりますし、狭隘を告げてまいりまして、収容人員をまかなえない、現に本部のほかに、道を隔てた田村町ビルに約百坪以上の部屋を借りて収容しておるというような状態にありますので、適当な土地があればそちらへ引っ越してよろしい、こういう方針で、それで代替地をもってきてほしいということで話し合いを進めておったわけでありますが、なかなか思わしい土地もなくておったわけでありまするが、たまたま、いまの問題の東京天文台のあと地が何とかなりそうだというようなことで、これは私も現地を見ましたが、高台で非常にりっぱな土地で、ここならよろしかろう、こういうことで入手方を政府のほうへお願い申し上げたわけであります。  そこで、先ほど財産局長からお話がありましたように、そこは公務員宿舎を建設する予定地になっておるので、それの代替地をもってこい、こういうお話でありましたのでその代替地として、用賀の土地の一部を提供する、こういうことにいたしまして、政府と交換いたしました、こういう経過になっております。
  131. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと前に戻りますが、会計検査院としては、中央競馬会が共栄商事から金を立てかえてもらって、しかもその裏には、中央競馬会が資金的な援助をして、資金のあっせんをして、名前を共栄商事と借りて土地を講入するということについては、会計検査院は御承知でしたか。
  132. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 承知いたしております。
  133. 二宮文造

    二宮文造君 また、農林省にお伺いしますが、競馬会のいわゆる監督官庁は農林省だと思いますが、農林省としても、その事情を御承知でございますか。
  134. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 農林省としても、承知いたしております。
  135. 二宮文造

    二宮文造君 狸穴の土地につきましては、競馬会は、現在の事務所も狭隘になってきた、できればそういう競馬会館をつくりたいというので交換をされた。ここで財灘局長にお伺いをしますが、政府並びに政府機関との間で、その財産を交換します場合の評価の積算の基礎と、それから国または政府機関が民間とそういう売買契約をしますときの積算の基礎とは、同じですか、違いますか。
  136. 松永勇

    説明員松永勇君) 同じでございます。
  137. 二宮文造

    二宮文造君 そこで、一応用賀の土地二千六百幾坪と、それから天文学教室あとの六百六十四坪がここで交換をされた。さらに、問題に入るわけですが、その土地に対して、当初は競馬会館をつくると主張しておりました競馬会が、そうではなくて、ここで物産ビルと契約を結んで、私は、こういう契約のしかたがはたして前例があるのかどうか、非常に疑問に思うのですが、現在競馬会の本部があります六百五十八坪、そのうちの三百八坪を物産ビルに売り渡す。さらに狸穴の土地を渡す、さらに八王子にある土地を渡す、ついては、現在の競馬会の敷地に三百五十坪を使って物産ビルが建物を建設する、工事を物産ビルが引き受ける、その費用を払う、こういう複雑な交換契約をした経緯はどういうわけですか。これは農林省にお伺いしたい。
  138. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私どもといたしましては、本部の建物を新築するという場合に、競馬会にいわゆる現金予算を組んで建設をしたり、支払いをする、こういう方法と、みずから所有しております不動産との交換によってやるという二つの方法が考えられるわけでございます。いずれの方法が適当かは、建設されます建物その他の施設によって判断すべきものと思うわけでありますが、したがって、第一次的な判断は、もちろん中央競馬会がするわけでありますが、お話に出ました田村町の三百八坪、狸穴の六百六十数坪というような所は相当有価な土地、不動産でございまして、これらの土地の処分をして現金化して、さらに建築契約に基づく支払いをするという方法をとるよりも、不動産の交換ということで行ないますことが簡便であるという競馬会の考え方に、私どもも了承を与えたということでございます。  なお、若干問題がございますのは、競馬会の経理上の問題として、不動産の売買等によります利益が出ました場合に、中央競馬会法に基づきます剰余金の処分について問題がありまして、等額の不動産を交換し得る状態でも、売買差益が出ました場合に、剰余金処分という観点からの経理上の制約を受けるという問題も、私は、競馬会の内部の考え方としてはやはりあったのじゃないだろうかというふうに考えております。
  139. 二宮文造

    二宮文造君 一つ答弁が漏れているのですが、こういう建物をつくってくれ、そうしてその代償としてこういうふうなものを渡すという契約の前例がありますか。
  140. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私が畜産局長になりまして競馬会との関係において承知いたしておりますのは、この件限りでございます。私の公務員になりまして以来の経験でも、ほかにちょっと記憶はございません。
  141. 二宮文造

    二宮文造君 重要な発言だろうと思います。  さらに次に進みますが、この物産ビルと中央競馬会との交換契約の中で、なぜ狸穴の土地を日本飼料工場会に売り渡すべし——文言は違いますが、そういう非常にきつい表現になっておりますが、その日本飼料工場会にその土地を売り渡さなければならぬと交換契約書に織り込んだ理由、私、そこで中央競馬会としては、競馬会館をつくりたいというので、やりくり算段をしてまで大蔵省と交換契約をした、にもかかわらず、それを日本飼料工場会に指定して売り渡す、ここには納得のいかないことがあるのですが、この次にしまして、いま言いました交換契約書の中で日本飼料工場会を指定した理由、これを明らかにしていただきたい。
  142. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 物産ビルとの建物及び土地の交換ということについては、正式の許可をいたします前に、競馬会からそういう内意を聞いたのでございますが、狸穴の土地は、もともと競馬会としては、競馬会の本部の建物を建てる用地として取得をいたしたものでありまして、その以前には国有財産であったという事情もございます。また、あの土地の前面には、政府の合同会議所もあるというような土地柄であるわけであります。で、私どもとしましては、その土地を交換いたしまして、物産ビルに譲渡されますれば、その処分は、交換によって譲り受けた物産ビルの自由になることに相なるわけでありますが、そういうことの結果、あのかつて国有財産であった土地、また、競馬会自身も政府機関であるという性格のものが所有しておったというものが、社会的にとやかくといいますか、社会的な批判を受けるような用途に供されることは適当でない。できる限り公益性なり、公共性を持った利用が行なわれるように当初から考えてスタートすることがよかろうというふうに、競馬会にも農林省の考え方を申したわけでございます。そういたしておりましたところ、協同組合日本飼料工場会から飼料会館を持ちたいという申し出がございまして、全国九十数社の配合飼料の事業を憎みます業界の全国団体でございますので、飼料会館を持つということは適当であろうというふうに考えまして、そういうことであるならば、最終的に利用するものもこの際明らかにしておくことが、自後の問題を起こさずに済むということで、私どもも、確かに競馬会にその旨の指導をいたしまして、物産との契約の文面にも、飼料工場会がその土地の譲り受け人になるということを予定するという意味の契約が結ばれるに至ったわけであります。
  143. 二宮文造

    二宮文造君 具体的にもっとお伺いしたいのですが、この交換契約書の第十六条にいま言った趣旨のことはあるわけです。ところが、協同組合日本飼料工場会に特に売り渡すと指定したのは、公共性もある、変なものが入ってくるようじゃ困る、合同会議所もあるから、かつて政府の所有でもあったからということで、日本飼料工場会と、こう名前を入れたのですか。この入れた名前の中には、飼料工場会が所有し、飼料工場会が使う、もちろんその財産も飼料工場会が所有する、こういうようなお考えも想定した上でこの十六条の交換契約に入れられましたか。あるいは交換するまでは飼料工場会であって、交換されたあとはどこに飼料工場会が売ろうとかってであるというふうなことでお考えになったか。その点はいかがですか。
  144. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私どもの考え方としては、十六条の契約——これはまあ私どもがつくった契約ではございませんが、指導の立場から申せば、飼料工場会が物産ビルから譲渡を受けて所有権を持つという姿にしたいという意図でございます。
  145. 二宮文造

    二宮文造君 中央競馬会のほうは、こういう交換契約を結んだわけですが、その場合に、日本飼料工場会がどういうふうに使おうとかってだ、代金がどこから払われようとかってだ、財産がどういう形で管理されようともかってだというふうな御解釈でこの交換契約を結んでおりますか。それとも、いま農林省が言われたように、交換後も使用し、利用し、建物も建てるようなことを予想して交換契約を結ばれたか。また、そういうふうに監督官庁の指導を受けられたか。その辺のいきさつを明らかにしていただきたい。
  146. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) ただいまの件につきましては、私どもといたしましては、ただいま畜産局長からお話がありましたような趣旨に従いまして、公益的な機関が公益的な目的使用するように実行される、こういうことを期待しておるわけでございます。
  147. 二宮文造

    二宮文造君 そこで畜産局長にちょっと苦言を呈するのですが、会議録ができておりますと非常に都合がいいのですがね、残念ながら八月六日の会議録ができておりませんのでちょっとやりとりが困難かと思いますが、前回私は、麻布台ビル、こういう名前をつけまして、そこを使用している会社名を列挙しました。ところがあなたの答弁は、現に飼料会館としてある。ならば、その飼料会館はどこの所有なのか。それも別としまして、私、話に聞いていただけなので、畜産局長答弁そのとおりだと思っていたのです。ところが、現地に行ってみますと、畜産局長も現地に行かれればわかりますが、あの飼料会館と称するものの地下二階には、ボーリング場があります。それから、飼料会館とはいいましても、隣のニチリョウが使用しております、通称本館といっております。本館との出入り口は共通です。  そこで、この物産ビルとそれから日本飼料工場会とのこの契約の中に、すでに昨年の十一月三十日を期限にしまして、支払い手形七通が支払われております。それで、私は日本飼料工場会の事業報告書を見たんですが、この事業報告書には、一億何千万円とい金はどこにも見えないのです。また、私寡聞にして知らないのかどうか知りませんが、飼料会館という建物はないのです。もちろん、飼料工場会のこの事業報告書の中に建物もありませんし、借り受け金として一億何千万という金もありませんし、あるいは、保証金を物産に一億六千万円払っているわけなんですが、保証金という項目も見えませんし、確かに物産ビルを中央競馬会との交換契約の中には、六百六十四坪、日本飼料工場会というのが出ます。物産ビルとそれから日本飼料工場会の売買契約の中にも、昨年の十一月三十日を期限にして、一億六千円払ったと、こういう記録もありますが、その後の形は一つもありません。現に麻布台ビルに行ってごらんになればわかりますが、あれは飼料会館としての建物ではありません。看板は出ております、表に。こういうふうなこと、これがエンパイヤモーターにも関連すると思うのですね。売買手続契約書、そういうものは合法的ですが、一般に国有財産については、アフターケアがなされていない。売ったらあとはかってだ、これは一般の市井の人ではとうていできません。やはり何か力がなければ、お役人の目をごまかすような行為はできません。それを見破るのが、防止するのが、政府の仕事ではないかと思いますが、それを助長しているような傾向がある。私、なぜこういうことを心配するかと申しますと、参考のためにお伺いしたいのですが、飼料の輸入をめぐりまして、マイロ借款というのが巷間うわさされました。商品金融会社の借款を受ける、その借款を受けることについて三井物産、ニチリョウ、日本飼料工場会、全購連、あるいは三菱商事、住友という名前が浮かんでまいりまして、その借款を獲得したい、権利を取得したいというふうな動きがあったと聞いておりますが、このマイロ借款がうわさをされ始めた時期はいつですか。
  148. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) マイロというのは、日本で飼料化を始めましたのは、たしか昭和三十五、六年ごろからでございまして、非常に新しい飼料穀物でございます。そうして、その生産のほとんど全部が、世界的にアメリカでございます。で、アメリカのCCCにそれが余剰農産物として在庫をいたしておりましたものを、たしか昭和三十八年に、三年間の延べ払い方式で、まとまった数量が日本へ初めて入ってきたわけでございます。その後マイロは、相対的に価格が安いということで、日本でも消費が伸びてまいりました。そのマイロの主要な輸出国が日本であったということで、日本の国内における飼料の流通量の増大にかかわらず、流通諸施設の不備というものが目立ってきたということで、港湾施設、貯蔵施設等に投資するために、このマイロの資金を利用したらどうかという考え方が、輸入商社間あるいは配合飼料製造に当たっておる者の中に起こってまいったのであります。これが起こりましたのは——失礼しました、先ほど三年のマイロ借款は三十六年でございます。それで、いまの港湾施設等に投資したいということで、そういう考え方が出てまいりましたのは、私がたしか官房長をしておるころでございますから、昭和三十七年ごろからでございます。その考え方は、三年延べ払いのマイロ輸入をいたしまして、それを七年間継続する、そうすれば最後の三年と合わせて、国内投資期間は、十年の期間が得られるということで、そういう構想で一部の商社が、アメリカ政府ないしCCCに折衝いたしておったようでございます。それで、これはわが国の側としても、その借款金利というのは低利でもございますし、また、事実港湾施設ないし貯蔵施設等の整備も、日本の畜産のためにいい結果をもたらすことは明らかでもございますので、そういうことが商業上の自由な取引条件としてきめられるならば、あえて政府として反対するものではない。ただし、これが特殊な商社に片寄ることは飼料行政上望ましくない。また、その数量が全体の貿易量の中で過大な数字になることも好ましくないということで、私どもとしても、年間四十万トン程度の数量、つまり全体の約四割程度の数量であれば、自由な取引上の条件としては何ら反対すべき理由はないということを、実は農林省としても意思を明らかにいたしたのでございます。それが三十九年の初めごろと記憶をいたしております。  その後、そういうことを、私どもの意思に従いまして、お話のように、需要者側のグループであります農業協同組合の全購連グループというものと、それから工場会の飼料提供者のグループ、それから商社グループ、これはちょっと性格を異にいたしまして、商社のグループとして三井、ニチリョウのグループが、それぞれアメリカ側に折衝しましたが、私どもは当初からある意味で虫のいい条件ができるかどうかは非常に疑問を持っておったのでございますが、案の定、アメリカ側はそういう意図は全くないということが立ち消えになったのでございます。
  149. 二宮文造

    二宮文造君 いまの答弁で、物産とニチリョウとの関係が、マイロ借款をめぐって非常に鮮明になってきたというふうに私伺います。この問題は、自今、また小委員会でお伺いをしていきたいと思いますが、時間もおそくなりましたので、私は、もう一つ資料を要求しておきたいと思います。と申しますのは、いま問題になりました日本飼料工場会が売買契約まではやったのですが、その後代金をどう支払ったか。現在、その土地はどうなっているか。その上に建っている建物は、どこの所有か。そして日本飼料工場会は、その職務のほとんどをニチリョウに代行させております。私の聞いた範囲内では、日本飼料工場会の職員というものは十数名にすぎない。その十数名の職員の会社に、建物に六百六十四坪の飼料会館が必要であったかどうか、そういう疑点を持ってまいりますと、ここにもまた納得のいかないものができてくるわけです。いまも説明がありましたように、当時、マイロ借款をめぐりまして商社の暗躍がありました。そういう暗躍のあるときに、会社名は違いますが、物産ビルと、社長は同じく物産の水上達三氏が両社の社長を兼ねておりますが、そういうところと建物を建ててもらうという契約をすることが、はたして妥当であるかどうか。チェックすべき農林省がそういうふうな契約を認めたということも、私、多少おろかな点がないかと、こう心配しております。巷間、そういう面でうわさをされておりますので、この事件は究明してまいりたい。したがって、本日のところは、以上でとどめておきますが、次回提出していただいた資料をもとにいたしまして、また御足労をわずらわしたいと思います。  本日はこれで終わります。
  150. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止
  151. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記を起こして。  ただいま二宮委員の要求の資料については、関係者は次回までに提出するようにということですが、よろしゅうございますね。
  152. 石坂弘

    参考人(石坂弘君) かしこまりました。
  153. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 提出いたします。
  154. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 他に御発言がなければ、本件に関する調査は、本日のところ、この程度にとどめておきます。  なお、参考人には暑い中にもかかわらず、長時間御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会