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二宮文造君 もう一点重要なことを申し上げておきます。それは、
大蔵省が、やむを得ないとか、
丸紅が建てるのを知らないというようなことを幾らおっしゃっても、
大蔵省がその建築に協力をしていると思われるような事実があります。と申しますのは、あの地点には江戸城の石垣あとという天然記念物があります。過去の
土地台帳には、あの天然記念物のところは長方の三角形になっております。ところが、つい最近その
土地台帳が書き改められまして、五角形の地形になっております。私も
土地台帳を写しました。こういうようなかっこうになっております。当初は三角形でした。これでは建築に非常に不便なので、その後こういうふうな五角形の区画に変えております。
丸紅は、ここだけは一階、二階で残して、三階のところで突き出して、天然記念物を見るには一向に差しつかえのないような建築の企画になっております。
土地台帳は申請人であるところの
大蔵省が申請をしなければ変わりませんし、また文化財の問題でございますので、これは文化財保護
委員会の決議がなければこういう地形の変更はできないと思います。この辺の事実から
考えてみましても、私は、
大蔵省がほんとうにこの
国損を防止しようという
立場にはない、こう断ぜざるを得ないのです。
時間がありません。きょうの私自身の収穫は、
法務省が事実の経緯を独自に調査をするという言質を与えられたこと、それから
国有財産局長が、私が申し述べた幾多の点につきまして、
一つ一つの反駁はなくて、ただやむを得ない、こういうふうな
答弁に終始されたこと、これは新聞等を通じまして問題になってまいりますと、国民の見る目は神聖だろうと思うのです。純白です。そうして、この相手が
土地会社であるだけに、また巷間いろいろなうわさをまいているだけに、また政界の方と非常に懇意な方であるだけに、国民の疑惑は一そう深まると思います。したがいまして、これはきょうはこの程度に私のほうはとどめておきますが、問題が浮かび上がってまいりましたので、国民はこの行くえを注視しております。もしも
丸紅が建築をしたり……。それで、前後しますが、私がこの問題の調査を始めましたのは、ことしの二月です。その当時、問題地は
建物がありまして、囲いをされておりました。私のほうで調査をし始めますと、四月九日ですが、大体
抵当物件になっていた
建物がこわれ始めました。そのころに
朝日土地興業株式会社が転売するのじゃないかというような問題が出てきた。それを察知して、
朝日土地興業株式会社所有地と看板をあわてて書きました。さらに余分なことに、御用の方は銀座何々局の何々番へと、こう下へ出しておりました。その事実を私が大蔵に指摘をしますと、
大蔵省はどう相手に通じたのか知りませんが、「御用の方は」というところをペンキで消してあります。まさに私は、おとぎ話のような、子供だましのような、こういうふうに
相手方の
立場を弁護しなければならないのは、そういう理由が
大蔵省のどこにあるか。
国損を防止するという
立場からいけば、その事実
一つ一つをとらえても攻撃すべきです。
契約違反を相手に追及すべきです。残念ながらそういう姿勢はない。この問題
一つに限りません。すべて
国有財産の
払い下げについては、そういうあいまいもことしたものがあります。幸い選ばれて、また見込まれて
局長になられた新任早々の
局長時代に、従来から国民の疑惑の目になっていた
国有財産について、それが過去に売り渡されたものであっても、延納の期間内であります。国は十分に要求をし、
契約を取り消すという強硬手段にも出られるだけの権利を保留しております。それを制限一ぱいに使うのがあなたの
立場ではないかと思う。老婆心ながらそれをつけ加えまして、私、本日のところ、この件につきましてはとどめておきます。