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1965-09-01 第49回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年九月一日(水曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————    委員の異動  九月一日     辞任         補欠選任      木村美智男君     松澤 兼人君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 谷口 慶吉君                 相澤 重明君                 二宮 文造君     委 員                 内藤誉三郎君                 宮崎 正雄君                 山崎  斉君                 大森 創造君                 岡  三郎君                 柴谷  要君                 竹田 現照君                 松澤 兼人君                 横川 正市君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 山高しげり君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        法務省刑事局長  津田  実君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        国税庁長官    吉岡 英一君        会計検査院事務        総局第一局長   保川  遜君        会計検査院事務        総局第五局長   宇ノ沢智雄君        日本専売公社総        裁        阪田 泰二君    参考人        国民金融公庫総        裁        石田  正君        中小企業金融公        庫総裁      舟山 正吉君        商工組合中央金        庫理事長     北野 重雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出) ○昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(第四十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十八年度決算外三件を議題といたします。  本日は、大蔵省日本専売公社及び国民金融公庫決算について審査を行ないます。  この際、大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 柴谷要

    柴谷要君 その前にひとつ。この三十八年度のは大蔵省が非常に克明につくっていただいたのですが、これを読んでいただければ同じことだと思います。省略して、これをそっくり速記録へ載せてもらう、こういうことで、委員長、時間の節約をはかりたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私、去る六月の三日の内閣改造にあたりまして、大蔵省所管を命ぜられまして、まず、何かと決算委員会皆さまには御指導にあずかることと存じますので、ごあいさつがたいへんおくれましたことをまことに恐縮に存じております。よろしくお願いいたします。  ただいまの大蔵省所管の問題は非常にむずかしいいろいろな問題をかかえておるわけであります。特に当面、経済が異常な停滞状態であります。この問題をすみやかに解決しなければならぬ、こういう立場に置かれておるわけでございます。同時に、その停滞状態を克服いたしました後におきまして、どういう財政経済運営をいたすべきかという建設的な仕事にも当面をいたしておるわけでございます。  内閣改造後におきまして、まず当面の不況問題に重点を置きまして取り組んできておりますが、金融引き締め政策を一そう緩和する、それから財政におきましては繰り上げ支出をいたしますとか、あるいは財政投融資の幅の拡大をいたしまして公共投資の促進をはかる、こういうような措置をいたしますとか、あるいは輸出振興に馬力をかけるという意味におきましてもろもろの施策をとりますとか、まあ考えられるかなり努力を払ってまいったわけでありまするが、そういう総合的な施策に呼応いたしまして、民間におきましても立ち上がりの意欲が見られるのであります。そういう政府民間の機運が一致するというか、協力が実を結んだ結果と思いますが、昨今は財界におきましても空気がだいぶ変わってきております。  株価はここ三、四十日の間に二割五分方の急速な回復をするというような状態でもあり、また経済諸指標におきましても逐次方向転換のきざしがあらわれてくるようになっておるんでありまして、政府で七月の末にきめました公共投資を中心とする財政投融資計画追加拡大、これがぼつぼつ実施の段階になってくるのでありまするが、そういうことをあわせ考えますと、まあ今日の景気停滞現象というものは、今日を底として回復に向かっていくというような観察をいたしておるわけであります。  当面そういう景気問題に対処しながら、大蔵省のほうでは来年度予算の編成に取りかかろうとしているのであります。それから、もう一つは、ことしの、本年度予算の補正問題、これも検討を始めようとしております。本年度につきましては、経済の不況を反映いたしまして、租税収入が非常に減ってきておるわけであります。これは予想外の大幅な減り方でございます。それから、歳出面におきましては、米の買い入れ価格の引き上げに伴いまして、販売価格をいかがいたすか、こういう、そのきめ方によりましては食管会計相当額の繰り入れをしなければならぬという事態になっておる。それから、公務員の給与に関しまして人事院から勧告があったわけであります。これにいかに対処するかは、まだ政府としてきめておりませんけれども、その方針いかんによりましては、これにも相当財源を必要とするわけであります。なお、昨年度義務費精算経費、あるいは義務教育費でありますとか医療費でありますとか、これまた相当の額が必要であります。また、災害の関係におきましてもある程度の額を必要とするのであります。いろいろそういう歳出要因がありますので、これを合わせた額もかなりにのぼると思いまするが、歳入不足額とそれらの歳出要因を加えますと、財源不足額、これがまあ具体的な検討はまだつきかねるのでありまするが、まあ千億、二千億という程度じゃございませんだろうと思います。そういう事態に対しまして、政府のほうではとにかくあらゆる努力をして歳出面にくふうをこらさなければいかぬ。つまり、年度途中ではありまするけれども、できる限りの節約をしてまいると、こういう基本方針をとりまして、ただいま鋭意そういう作業を進めておるわけでございまするが、しかし、それだけ大幅な財源不足に対しまして、歳出面節約程度ではとうていこれが埋め合わせがつく見通しは立ちにくいのであります。  さようなことから、本年度におきましては、ただいまのところ、どうも臨時非常の措置といたし、まして借金政策をとらざるを得ない、こういうふうに考えております。ただ、借金政策をとりましても、金融が緩和というような状態でありますと同時に、今日こういう経済状態になりました源源は設備過剰からである。したがいまして、設備過剰のその上にさらに設備投資を大いにやっていこうという傾向でもないのであります。さようなことから、政府借金をどうするというに対しましては環境は整っておると、こういうふうに考えておるのであります。  来年度の問題につきましては、ことしの財源不足状況がまた尾を引く傾向であります。したがいまして、来年度の収支はきわめてつけにくい、窮屈な状態になろうかと、これは必至の傾向だというふうに思います。したがいまして、あれやこれやと財源上もいろんなくふうをしなきゃならぬと同時に、歳出面におきましても、特に効率の悪い費用は、これを整理しなければならぬ。まあむだづかいというようなことは、極力排除しなければならぬ、そういうふうには考えており、そういう作業を進めておるのでありまするが、しかし、また、国として必要な公共投資でありますとか、あるいは社会保障でありますとか、あるいは農村対策であるとか、いろんな問題をかかえておるわけであります。こういう費用につきましては、これはまた積極的に充足をしていかなきゃならぬという考えでございますので、予算全体としては効率化ということのほかに、いわゆる硬直化された予算弾力性を待たせるということを考えておりまするが、予算規模がある程度膨張していくということに対しては、これはやむを得ざることかと存じます。その膨張は、財政に対しまして公債政策を取り入れるという方向のもとに、ただいまいろいろと準備を進めているわけであります。  非常にむずかしい出事態でございますので、微力でありまする私がはたして責めを全うし得るかどうか、非常に私自身努力をしてまいるつもりでございまするが、何とぞ決算委員会皆さま方におかれましても御鞭達のほどを、切にお願いいたす次第でございます。どうか、よろしくお願い申し上げます。
  5. 柴谷要

    柴谷要君 大蔵省日本専売公社国民金融公庫決算説明及び会計検査院検査報告については、説明を省略をし、直ちに質疑に入ることの動議提出いたします。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 いまの柴谷君の動議に賛成したいと思うんです。これは非常に質問者準備しておるようでありますから、直ちに質疑に入るように賛成いたします。
  7. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまの柴谷君の動議に御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認めます。  それでは、報告書も出ておりますので、それで十分御勉強願いまして、直ちに質疑に入りたいと思います。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 柴谷要

    柴谷要君 私は、日本専売公社総裁以下関係者に、二、三質問をいたしたいと思います。  参議院選挙終了直後から、専売公社総裁以下幹部皆さん方には、小林議員の問題をめぐって日夜たいへんな努力をされていると思うのであります。いま、新聞で連日報道されておりますけれども、まことに忌まわしい事件であり、佐藤内閣が今日主唱いたしておりまする人つくり問題等に関連をしてみまするときに、全く逆行した事件ではないかというふうに考えられるわけです。  過日、総裁は、参議院議院運営委員会理事会において、いろいろわが党委員等から質問を受けて、明確にお答えになっておられますけれども、その後の経過について二、三質問をいたしたいと思うのであります。今日まで、専売公社職員諸君取り調べを受けたのは、一体何人くらいあるのか、その中で起訴されたのは一体何人くらいあるのか。それから、小林議員自身が、公選法違反ということで、いわゆる被疑者として取り調べを受けているようであるけれども、その内容について公社総裁として知り得る範囲のことをひとつ説明を願いたい。それから、いま小林議員被疑者として受けておるのは、事前運動公務員地位利用違反、こういう二つの問題で取り調べを受けているやに聞いております。この問題がはたして該当するものであるかどうか、これらの問題について、公社総裁、知る範囲の御答弁をまずいただきたいと思うのであります。
  10. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) お答え申し上げます。  このたび、専売公社関係職員多数、まあ選挙違反容疑をもちまして逮捕され、あるいは起訴されるという事態が起こっておりますことは、たいへん申しわけないことでありまして、私どもいろいろ不行き届きな点があったということで、まことに申しわけなく存じておるような次節であります。  ただいまお尋ねのございました、ただいままでに取り調べを受けた者の数ということでありますが、これはいろいろと呼ばれまして調べられました者その他の数は、実は私どものほうでは総体としては明確にわかっておらないわけであります。時々、全国各地で呼ばれておるようであります。また、専売公社職員以外いろいろ関係の者も呼ばれておるようでありますが、その辺のところ明確な実態といいますか、数は私どものほうではなかなかまとまらないわけで、わからないわけでございますが、ただ逮捕されました公社職員の数というのははっきりわかっておりますが、これは累計で百六十六名ということになっております。そのうち起訴されました者が三十一名、また略式命令を請求されております者が二名、こういったことに現状はなっております。現在なお留置中の者というのがただいま五名でございます。現状は大体さようなことになっておるわけであります。  それから、小林議員がただいま、警察と思いますが、出頭いたしまして取り調べを受けておられるということでありますが、この関係につきましては、私ども同様新聞紙上で承知いたしておるだけでありまして、直接、どういうことで、どういう容疑、どういう事柄について取り調べを受けておるか、どういうことになっておるか、事実はどうかというようなことは、私どものほうでは全くわからないというのが実情でございます。  以上お答えいたします。
  11. 柴谷要

    柴谷要君 百六十六名の逮捕者を出し、起訴者が三十一名、略式二名という数字は、専売公社の人員から見ますと非常に膨大な数字であると思います。このような逮捕者を出した公社実態、これ以外にまだかなりの多くの取り調べを受けた職員がおられると思うのですが、これらの実態の上に立って、専売事業自体に影響はなかったものかどうか、これに対して総裁としてどういうような今日手を打ってこられたか、その点をひとつ説明をお聞かせいただきたい。
  12. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) その点につきましては、私どものほうでは、非常にまあ心配でありますので、いろいろと措置を講じましたわけでありますが、今回まあ逮捕されましたもの、いろいろとまあございますが、大体地方地方局長支局長あるいは出張所長、こういう関係のもの、あるいは地方局幹部とかいったようなものが主になると思いますが、そういったような関係であります。  大体、仕事のほうから申しますと、われわれのほうの仕事は、御承知のように、葉たばこ生産関係、あるいはそれを工場製造する、またそれを販売するというような関係に分かれるわけでありますが、工場関係のほうの仕事は、工場関係ではほとんど問題は起こっておりませんので、非常に円滑に現状のところまいっております。能率もよく、製造仕事も進んでおりまして、このほうはまず必配はない、こういったような状況になっております。葉たばこ生産関係は、実はこれから生産されました葉たばこを収納するという仕事が始まるわけでありますが、これにつきましては、万事手違いのないように、ただいま十分に各地方を督励しまして準備を進めておりまして、その辺も支障なく運べるというような見通しが大体立っておるわけであります。それから、販売関係仕事でありますが、これが先ほど申し上げましたように、その方面の職員幹部かなり逮捕されたもの等がありますために憂慮されましたわけでありますが、いろいろそういうことで不在になりましたものにつきましては、まあ代理者を立てまするとか、あるいは臨時に局なりあるいは場合によりましては本社から応援するものを派遣する、いろいろ努力いたしまして、  〔委員長退席理事相澤重明君着席〕 なお残された職員のものにも非常に努力をしてもらいまして、現在のところは、たとえば小売り店に対するたばこの配給に支障があるとか、いろいろそういったことのないようにやっておるわけでございます。  製造たばこの売り上げの成績、これは八月分はまだまとまっておりませんが、七月分はまず良好な成績で推移いたしました。八月分も、聞いておりまするところでは、まずまず順調な成績になっておるように聞いております。  ただ、全体としまして、いろいろと書類を警察等に押収されましたといったような関係、あるいはその関係の要員が逮捕されましたといったような関係で、外部事務等で多少整理の遅延しておるものがありまして、しばらく時日をかけてその遅延を取り戻さなければならないということで努力してやっておりますが、そういったような現象が多少出ておる局があるようでございます。  大体の概況はそのようなことでありまするが、今回のような不祥な事件によりまして事業自体支障があってはならないということで、私ども努力してやっておるわけでございます。
  13. 柴谷要

    柴谷要君 総裁のお話を聞いておりますというと、たいした支障がなく業務の遂行が行なわれておる、簡単にいいますとそのようにお話しになられたようでありますが、実はそのようにいっておらなかったというのが今日までの実情ではないかと思います。と申し上げますのは、私もかなり友人を持っておりますけれども公社の内部におきましては、きょうはだれの番だ、あすはだれの身に降りかかってくるのではないかということで、我々恐々として仕事が手につかぬというのが実情であったと思うが、ようやくここ二、三日落ちつきを取り戻してきたということを、同僚なり後輩の職員が言っておられることを耳にいたしておるわけであります。  そこで、まず総務理事という仕事一体どういうお仕事であったのか、小林さんという人は総務理事でおやめになっておられますけれども総務理事という仕事一体何を公社としては担当されてやっておられたのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  14. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 公社総裁、副総裁の下に総務理事理事といったような役員の構成になっておるわけであります。総務理事と申しますと、これは法律上といいますか、形式的には一般理事と同じ理事でありますが、ただ従来の——従来のといいますか、昨年以前の状態でありますと、理事というものが同時に公社なりあるいは本社の各部長でありますとか、あるいは地方局局長であるとか、そういうものを兼ねておりまして、まあ一般民間会社でいいますと取締役部長を兼ねておる、いわば取締役部長といったような形の理事ばかりであったわけでありますが、昨年から制度を改めまして、総務理事——理事の中で特に総務理事というものを数名設けまして、それが民間でいいますれば役員会を構成する専務取締役といったような形の仕事を担当するということにいたしましたわけで、そういうことで現在まで運営いたしておるわけであります。したがいまして、総務理事といいますと、公社仕事全体につきまして公社施策をきめる、方針をきめるということにつきまして参画するといったような形の仕事になるわけであります。ただ、現実の問題といたしましては、理事の数も限定されておりますので、総務理事でありますと同時に、現在でも、あるいは過去におきましても、各部の部長を兼務しておる、こういう総務理事もございましたわけでありますが、考え方といたしましては、総務理事というものはそういったような全体としての施策を決定するのに参与する、こういったような仕事責任を持っておるわけでございます。
  15. 柴谷要

    柴谷要君 私ども常識的に考えまして、選挙を何回かやってきたものとして考えてみまするのに、大体、出先で違反が起きた、これを検察当局が調査を始めるというと、必ず最高責任者のところへ飛んでくるわけなんです。ところが、専売公社の今回の違反事件を見まするというと、支局長並びに出張所長という中堅のところが逮捕され、起訴されている。しかも、これらの人たちは学士の人なんかほとんど少ない。非常に営々として専売公社に永年勤続されて、模範職員支局長の資格をとられ、あるいは出張所長という要職につかれて、専売公社にとっては全く宝といってもいいほどの中堅的な模範職員が私はなっておると思う、大かたの方が。これらの人たちが、総研理事という方が今回参議院選挙に立候補する、だから御恩を返す意味において大いにやらなければいかぬということで張り切られたと思う。しかし、その張り切られる前には、前提には、必ずその上に位する部長なりあるいは他の理事から相当の話があって、これらの人たちが真剣な活動をされたと、こう思う。ところが、これは新聞の伝えるところでありますけれども専売部長クラスは非常に結束がかたくて何もしゃべらぬ、だから、支局長なり出張所長のところを、中堅のところを徹底的に調べていくことによって問題の解決ができるだろうという検察庁の方針でやっておるというようなことがちょっと新聞に出ておる。そうなりますと、何か命令は出して十分働かしておきながら、最後の締めくくりはこれらの諸君にやらせようという疑いが出てくるわけです。しかも、この職員たち専売公社の今日の隆盛をつくったときの人たちなんです。まじめな人たちなんです。永年勤続者なんです。まさに数年を出ずして公社をやめていこうという人たちなんです。この人が事件にひっかかって、かりに有罪ということになったら、一体どうなるんです。総裁、この問題をどうお考えになっておられるか。親身になってこれらの諸君のことをお考えになっておられるかどうか、ひとつこの点を明確にお聞かせをいただきたいと思う。
  16. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) ただいま御指摘のように、今回事件関係いたしまして逮捕されました地方支局長出張所長、こういうような職員人々、大体年配も相当いっておりまするし、専売事業に長年つとめまして、経験も豊富な人が多いわけであります。なお、そういった人が今回多数選挙違反ということで逮捕され、あるいは一部起訴されておるわけで、私どもたいへん残念なことに思っておりまするし、また、そういう長年専売につとめまして、専売事業にも功績のあるそういう人がそういうことになっておりますことは、選挙違反という罪があるかないか、この問題は裁判できまるわけでありますが、そういうことは別といたしまして、専売事業に従事して長年やっていただいたという点につきましては、それははっきりしているわけでありますから、そういう点につきましてはたいへんお気の毒に思いますとともに、身分の関係につきましては、もちろんできるだけ、そういう専売事業に対する功績ということも考え処置をいたしたい、基本的にはさよう考えておるわけであります。  ただ、具体的にどういうふうにこういう人々に対する将来の処置、人事の問題を考えていきますかということは、これはやはりそれぞれ今回の裁判あるいは起訴された者に対する処置というものがきまりませんと、はっきりと具体的なことは申し上げられないわけであります。基本的には先ほど申し上げましたように考えておるわけであります。
  17. 柴谷要

    柴谷要君 そういう実情で、支局長なり出張所長という中堅の永年勤続されたまじめな職員皆さんが御迷惑をこうむっておる。にもかかわりませず、小林議員は病院を退院されるときに記者会見で、逮捕された職員は私の知らない間にかってに運動したのだ、こういうことを言ったということが新聞に伝わっておる。事実とするならば、これはまことに言語道断だと思う。こういう人が議員になること自体が、これは国民の名において排撃しなければならぬ。これほどまじめに当選のために活動し、しかも違反に問われて自分の永年勤続を棒に振ろうというまで真剣にやっておる職員をつかまえて、私の知らない間にかってにやったのだということを公然と言っておる小林議員の心境については、全くけしからぬと思う。そういうことが事実であるとするならば、総裁小林議員に対してどういう感情をお持ちになりますか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  18. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 小林議員が退院の際にいろいろ申されましたということにつきましては、私ども新聞紙上で拝見するだけで、はたしてそういうことを言われたのか、またどういう気持ちで言われたのか、全然わからないことであります。私どものほうからそれに対する批判とか意見とかいったようなことを申し述べますことは差し控えたいと思います。
  19. 柴谷要

    柴谷要君 阪田さん、今日の段階でまだ小林さんをそんなに擁護されること自体が、どうも私はあなたの気持ちがわからない。あなたほど筋を通してものをお考えになり解決に当たってこられた方は、大蔵省出身でも珍しいと思う。労働問題などにしましても、過去のあなたの実績をよく知っておる。非常に筋を通されてこられた方が、新聞でこういうことを見たけれども、事実であるかどうかわからないから何も言えない、ということじゃなくて、事実そういうことを小林さんが言ったとするならば、けしからぬという感情にあなたはならないのですか。この小林議員専売公社の中においては、がまん強いがまさんというあだ名がついておる。そのがまさんが、国民の批判などはどうでも、七十五日たてばうわさは消えてしまうのだから、、がんばるのだ、こういうがまん強さを発揮したがまさんでおられるのか。そういう人であるならば、かってに職員がやったんだ、私は知らないのだといってほおかぶりするかもしれません。そういう人であるとするならば、阪田さん、あなたの性格からいっても、容易ならない、小林さん即時やめたらどうかと勧告なさるお気持ちになられると思うのですが、今日そういうお気持ちになられませんか。くどいようですけれども、お聞かせ願いたい。
  20. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 小林議員は、もちろん専売公社におりまして、私も同僚てありまして、よく知っておるわけでありますが、今回の事件といいますか、こういう問題が起こりましてから、私、実は全然小林議員に会っていないわけです。そういうようなことで、実はゆっくり小林議員の心境を友人として聞いてみる、こういったような機会にもまだ実は恵まれていないわけです。それで、新聞記事につきまして、単にああいう記事があったというだけで、とやかく直ちに何らかの意見を申し述べ批判をすることは、そういったような実態でありますので、私としては慎重にいたしたいというふうに考えております。
  21. 柴谷要

    柴谷要君 私はいままで御質問をいたしましたのは、小林さんが退院されたときに記者会見でものを言われたこと、あるいは世間のうわさでがまん強いがまさんなどということを言ったのですが、そうでなくして、あなたは小林さんのためにたいへん御迷惑を受けておるのじゃないか。といいますのは、新聞報道でもこれは報道されておりますけれども、七百万円という金、あるいはそれを上回るかもしれません、あるいは下回るかもしれませんが、とにかく専売公社の金を選挙に使っている疑いがある、こういうことでいま取り調べを受けているんじゃありませんか。こうなってきますと、この七百万円流用は確実だと、いよいよ小林派の捜査が核心に入ってきたというような新聞が全国に飛んでいるわけです。国民はこれを見て、ははあ専売公社の金を使って、専売総務理事である小林章さんは当選をしたんだな、十七万七千のたばこ小売り店をおどかしながら、権利を剥奪するとか、協力しなければ権利を剥奪するとかというようなおどかしをかげながら当選をされた、こういう人だから、国会に出たらばどんなことをするかもわからぬという国民は不安を持っていると思う。そういう人に対して、あなた自身も販売費の中のどういうところでお使いになられたのかわかりませんけれども、あるいは事業費の中のどういうところをお使いになったのかわかりませんけれども、七百万なり八百万の金を選挙資金につぎ込まれたのだという疑いは、国民の脳裏から今日離れない。そのこと自体は、あなたに対しても、国民は平らな感情ではあなたにいないはずです。ところが、あなたは参議院の議院運営委員会で、ある段階がくれば責任をとるということを、あなたはりっぱに責任をとるようなことをおっしゃった。ところが、当人の小林議員は何らの意思表示もしない。健康が回復したら国会に登院して大いにやるなんといっておる。私も大蔵委員ですから、小林議員も大蔵委員会で同席すると思う。私はこの問題が明確にならない限りは、いかなる場所においてもこの問題を追及し続けていくつもりでいる。阪田さん、われわれはそういう気持ちになっておるのですけれども、あなたは小林議員にお会いになって——これから時間があると思うのです、もう退院もされたことですし、取り調べが済めば時間があると思うのです。お会いになって辞職勧告をする御意思があるかどうか、この点をひとつ伺っておきたいと思う。
  22. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 近い将来といいますか、将来小林議員にお会いしていろいろお話しする機会ももちろんあると思いますが、ただ私としていろいろと考えるところ、意見はあるにいたしましても、議員といういわば公人でありますから、この人の進退に関する問題というものは、これはやはり御自身の御判断でおきめになると、こういうことは私は当然のことであろうと考えております。
  23. 柴谷要

    柴谷要君 それは確かに議員としては当然自身できめなければなりません。しかし、あなたは専売公社総裁として、かつての総務理事であった小林さんが、専売公社という舞台を利用しての選挙違反なんですよ。それがしかも大きな選挙違反だということで、国民の感情の上にも、それはあなたがぬぐってもぬぐい切れない悪い問題を残しているわけです。かつて選挙違反で鮎川さん親子が辞任された事例を御存じだと思うのです。私はやはりあのように、違反問題が出てきて国民から追及されてくれば、議員たるものは出処進退を明らかにするというのが、これがやはり私、議員としての行動ではないかと思う。ところが、あなた自身が専売公社を舞台に違反を行なわれたということで、総裁としての責任をあなたがおとりになるということを国会で言明されておるにもかかわりませず、小林議員は、入院したといってもたいした病気ではないというようなうわさもある。あすこに逃げ込んだといううわさもある。出てくるときには胸を張って堂々と出てきたなんと新聞に出されて、しかも、かってにぼくの知らない部下がやったんだと。その部下は一生をかけて、専売公社のために働いてきたりっぱなかけがえのない職員じゃありませんか。その職員が有罪となったら、いかにあなたに思案があろうとも、退職金の支給をし、年金、恩給を十分満足するほど与えられることになりますか。ならぬでしょう。これはかけがえのない、専売公社にとってはりっぱな職員を、小林議員当選のために犠牲にしていいのですか。私はこれらの諸君を救う方法は、いまからでもおそくはない、あると思う。それはあえて私が申し上げるまでもなく、賢明な総裁は御存じだと思いますから言いませんけれども、あなたは友人として、もっともっと考えていただかなければならぬ節があるのじゃないかと思う。もう一ぺん、これら犠牲になろうとしている諸君を救うために、何らかの方法を考えられるかどうか、ひとつ心境の一端を御披瀝願いたいと思う。
  24. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) どうも先ほども申し上げましたように、小林君も健康を回復したわけでありますから、私も一度会ってみたいと思っておりますけれども、やはり私として申し上げられますることは、結局まあ、この小林議員の進退問題、御当人の意思を尊重するほかないと私は考えるわけです。友人としていろいろ申し上げることであると思います。また御相談することも、しばらく会いませんのでだいぶあると思いますけれども、しかし、最後の問題といたしまして、やはり国会議員をしておられる方の、公人としての進退問題ということに尽きるわけでありますから、私から勧奨といいますか、勧告といいますか、何かそういったようなことを申し上げるということは、きわめて適切でないと考えているわけです。  なお、公社職員のことにつきましてお尋ねがございましたが、これは最初にお答え申し上げましたが、まあ、長年勤続いたしました者が、今回の起訴あるいはその裁判の結果いかんによりましては、いろいろお気の毒なことになるといったようなこともあり得るわけでありますが、その辺のことにつきましても、私どもとしては、できるだけのことを、配慮してやっていきたいという考えでおりますので、小林君の進退の問題をそういうことにからめて考えるというようなことは、全然いたしておりません。
  25. 柴谷要

    柴谷要君 もうこれから私が質問しようとする内容については、総裁は、そんな事実はありませんと、こういうふうな御答弁で終わられると思いますから、あえてむだなことをすることはやめにしたいと思うのですが、ただ、その総裁の権限でやめようと思えばやめられる問題が一つある。これだけは明確にひとつしてもらいたいと思うことは、小売り店の免許更新の時期が六月三十日ということになりましたね、ことしから。しかも三年おきにやろうと。そうするとね、参議院選挙の年には必ず免許更新の年になる。それがことしきまったわけです。だから、これは誤解を受けますから、その免許更新の時期を早めるとか、あるいはおくらすということは、公社総裁としての責任でできるわけでありますけれども、それをおやりになる御意思があるかどうか。三年目、三年目に更新をやることを、ことしの選挙からきめた。これは総裁、おやめになったほうが、私は賢明だと思いますが、いかがでございますか。善政をしく意味で、ひとつ変えるということを御答弁願えれば幸いだと思います。
  26. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) ことしから三年にしたという御質問ですが、ちょっと誤解があるようですから申し上げておきたいと思いますが、小売り人の指定をいうことは期限をつけてやっておりますが、六月三十日に更新することは、これは明治年間から六月三十日ということになっております。二年あるいは三年という期限で指定をしておりまして、年単位で切りかえておりますので、昔から日にちは六月三十日ということにきまっているわけです。ただ、期限といたしましては、二年でやっておりました時期と、三年でやっておりました時期がございます。たまたま今回——ことしの更新指定におきましては、三年の期限で、これはまあいろいろ臨時行政調査会あるいはたばこ販売調査会等の御意見もありまして、長くしたわけでありますが、三年にいたしましたので、ちょうどこの次の参議議院選挙に時期が合致するといったような結果になっているわけであります。その点につきましては、私どもとしては、実質的に別に支障はない問題のようにも思いますが、しかし、いろいろな誤解を避けるという意味におきまして、この指定期日、期限というものは、まあ、直したほうが適当であろうというふうに私ども考えております。ただ、これを早めますと、三年で指定したものを二年に縮めるというようなことにつきましては、これは三年の期限で指定を受けた者は、いわば三年間指定を受けて営業をやる営業権と申しますか、権利があるという形になってきますので、それを縮めるということはちょっとむずかしいのじゃないかというのが私の考えでありまして、むしろ、ただいま研究いたしておりますが、三年目になりましたときに、全部無条件でさらに一年更新して延ばす、そういったような措置をとりまして選挙の時期と合致しないようなふうに持っていったらどうか。いずれにしましても御趣旨のような方向考えていきたいというふうに存じております。
  27. 柴谷要

    柴谷要君 ことばの表現はたいへんうまく言われましたけれども、事実はことしから六月三十日に免許をやりまして、小売り店に通達をしたわけです。で、小売り店では、ことし認可をもらえばこの三年間大丈夫だと。次はまた三年後にやりますよということを明確に出張所員が小売り店に言っておるんです。ですから、ことしから三年目三年目ということになって、毎々三年後の参議院選挙の年に指定が行なわれると、こういうふうに十三万七千軒の小売り店はそういう感覚を持っている。そういう誤解を——いま総裁の言われたようなことであれば、これが事実間違いなしに伝わっておればそれでいいが、そうでない。六月三十日でもう三年ごとに参議院選挙の年には免許の指定が行なわれるんだというふうに、十三万七千軒の小売り店はそう思っているんですよ。ですから、そういうばかげたことはおやめになって誤解を解きなさいと、こう言うんです。これは総裁の権限でできるんですから、ぜひこれはやっていただきたいと、こう思うんです。  で、私の持ち時間がなくなってまいりましたから、まだまだたくさんあるんで、二日ぐらい続けても種が切れないんですけれども、まあ阪田総裁は、あなたがあんまりきさくに議運で責任をとるなんと言ったものですから、どうもおかしなことになっちゃった。それで御本人は一向にほっかぶりをしちゃっているんでね、これは阪田さんを参議院議員にでもしていたほうがいいんじゃないかという声もあるぐらいになっている。あの人のほうが責任感が強い、阪田総裁参議院議員にしたほうがいいという声が出てきちゃって、このあたり阪田さん大いに発奮されたほうがいいと思うんですが、しかし、小林さんだけでは、——専売公社職員全体が今日どういう感情を持っておるかということをよくお調べになって、あなたはひとつ対処されることが一番いいんじゃないかと、私はこう思う。どうかそういう意味でりっぱな処置——それは最高裁まで持っていけば任期中はいられますよ、選挙違反のことですから。しかし、それでは専売公社が、将来の問題としてたいへんな禍根を残すことになろうと思いますので、できれば早いほうがいい、まあ月などは申し上げませんけれども、できるだけ早いほうがいいということを申し上げて、善処を要望して、私は質問を終わっておきたいと思う。     —————————————
  28. 相澤重明

    理事相澤重明君) この際、、委員の異動について報告いたします。  本日、木村美智男君が委員を辞任され、その補欠として松澤兼人君が選任されました。     —————————————
  29. 岡三郎

    ○岡三郎君 総裁、まあ時間もあるんで、引き続いて専売のほうから先にやって、あと国税庁長官のほうへ話を向けたいと思うんですが、まあ、いま柴谷さんの質問をお伺いしていて、総裁の答弁も伺っておったんですが、あなたが議運の委員会で責任をとると言われた、それはどういう点にあるんですか、もう一ぺんひとつここで申していただきたいと思います。あなたの責任をとるというその事情ですね、それをもう一ぺん伺いたいと思うんです。
  30. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) これはまあ議運委員会で申し上げたとおりなんですが、いろいろこういう事件が起こりまして世間を騒がせ、いろいろ公社職員その他関係方面に御迷惑をおかけしておるわけですが、まだ全体の事態が判明しておりません、現在でもまだはっきりいたしておりませんことが多々あるわけですが、ただ、私と.いたしましては、これだけ多数のともかく逮捕者を出したというようなことにつきましては、これは平素部下の監督に不行き届きの点があったのじゃないか、こういうことで、その点につきまして責任をとります、こういうことを申し上げました次第でございます。
  31. 岡三郎

    ○岡三郎君 その心境に至る過程にかなり紆余曲折があったようですがね。専売公社というものは一般公務員とちょっと違うのです。一般公務員関係の機関と。そういう点で当初阪田総裁は、まあかなり法律的にいっても専売公社選挙の自由というものを強調されておったように聞いているわけです。それから見て、小林議員が、かつてあなたの部下であったことは違いない。その部下の方々がたまたまやめられて、選挙をせられたということについて、これは阪田総裁もやはりその点については了解というか、芹そういう点についていろいろと話し合いがあったと思うのです。その結論として、こういうことにはなるはずがないと思ったのか、あるいはずいぶんひどいことになってしまったということに、結論からいうとそういうことになったわけですが、そうなるというと、大ぜいの部下のやったことについて、自分が責任をとるという形になれば、やはり端的にいって、小林議員という者が選挙をするということによってこういう事態が起こったのです。そういう点を考えるというと、柴谷さんが言ったように、専売公社そのものとして明確にこういうものに対する自粛といいますか、やはり間違ったことをしたというふうなことで、検察当局に対してもフェアに問題のあり方というものを出していくということが、今後の善処の姿勢だというふうに私は考える。つまり新聞等でいまもってこういう問題について克明な記事が取り扱われている。これはもう最近におけるめずらしい例ですね。これだけしつこく新聞、テレビが問題を取り上げてきているということは。一体問題はどこにあるのか。結局阪田総裁責任をとっただけではおさまらない問題です。やはり端的にいって、国会議員としての小林さんに対して、専売公社をあげてやはり自粛するという方向で、問題の解決をはかってもらわなければならぬのじゃないか。それでなければ国民が納得しない。こういうたてまえに私はあると思うのです。国民もそう思っていると思うのです。これは一官僚というワクの中においてものごとを考えるということは許されないという、そこまで問題がいっているのじゃないかと思うのです。そこに至るならば、あなたは先ほどの説明の中でいろいろ言われたけれども、そこではなくて、やはり罪のあるなしは別ですよ。どういうふうに調べられていくかはこれからの問題ですから、そこまではいかぬとしても、これだけ末端にまでいろいろと物議をかもし、そうして先ほど言われたように、善良な公社の有能な職員がここまで問題を起こしてきているということについて、根本的にその罪がどう決着するかは別として、やはりおれもやめるから君もいさぎよくこの際やめるべきだ、そうしてこの問題については以後十分専売公社自体としても国民に対して自粛する。専売公社たばこだから国民は買っているけれども、これはあなた、専売じゃなかったら買いませんということになるかもしらぬけれども、そうするというと、ほかのたばこが吸えないからしかたがないから、たばこを買うという形になってくる。だから専売公社という組織の上にあぐらをかいていて問題を見ているということは、私は許されないのじゃないか。そういう点で先ほど総裁が言った責任をとるという心境というものを考えたときに、部下のそういったことについて、選挙のためにやり率直に責任をとるということを、あなただけ自分でいさぎよしということだけではなくして、専売公社自体としてやはり善処するということを求めているのじゃないかと思うのですがね。その点どうです。
  32. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 今回専売公社関係で多数の逮捕され、起訴される者の出ましたということにつきましては、公社全体としてやはりたいへん遺憾なことであったと考えておりますが、ただ、これがまあ法律論かということで、そこがおしかり受けるのかもしれませんが、しかし、やはり選挙違反問題というものは、これはいわば形式犯でありますから、選挙違反になるかならないか、それがはっきりするということがやはり事を判断する上にたいへん大事な要素じゃないかと思っております。私としましては、とにかくこういう多数の逮捕者を出した、世間を騒がせてこういう問題を起こしているということにつきましては、まあ責任を感じ、また責任をとると申し上げておるわけでありますが、部下の職員がほんとうに選挙違反行為を起こしたのだと、そういうことはまだ断定できるといいますか、判定できる時期ではない、こういうふうに考えておるわけです。ただ、そういう点につきまして公社自体はどう考えるかという点については、これはやはりこういうふうな、少なくとも疑惑を招くといったような形になりましたことについては、やはり公社の体制、仕事のやり方、こういうものにも欠陥があったんじゃないか、この際、大いに反省いたしまして、公社自体がまあ従来やっておりました仕事、長年やっておりましたやり方、あるいはまた、当然のことだと思ってやっておりました仕事のやり方等につきましても、この際、十分反省いたしまして、仕裏のやり方を直していくと、こういうことも必要じゃないか。公社のたとえば経理関係等につきましても、いろいろまあ公金を使ったというようなことを言っておられまして、私はそんなことは絶対ないと信じておるわけでありますが、こういうふうな疑惑を招くということにつきましても、公社予算かなり事業の実態に即応しない制度になっておりますので、なかなか外部から見てもわかりにくい点がある、また内部の者が見ましても、なかなかはっきりと明瞭につかみにくい点が確かにあるわけでありまして、たとえばそういった点を反省して、この際、根本的に直していく、そういったようなことが必要じゃないか。あるいはまた販売関係の販売促進費といったようなことがいろいろ問題になっておりますが、こういうようなものにつきましても、こういったような販売促進活動のあり方が適当なものであるかどうか、また実際効果的に運営されておったのかどうか、いろいろまあそういったことも十分にこの際再検討しまして、公社の体制を十分に反省して立て直すということを考えていきたい。まあ公社自身の責任といいますか、形としてはそういうふうにあるべきものだというふうに考えて、せっかくただいまいろいろみなで知恵をしぼって反省をし、また検討しておる段階でございます。ただ、先ほども柴谷委員からも御指摘がありましたが、小林議員につきましては、これはかつて公社におりまして、御承知のとおり私の部下でありますが、いずれにしましても、現在は国会議員になっておられるわけであります。私どものほうから、何といいますか差し出がましいことを申し上げる、こういったような筋道のものではないというふうに依然として私としては考えておるわけであります。
  33. 岡三郎

    ○岡三郎君 総裁がいま言った、あんたがそれを言うことが差し出がましいという、その点がちょっと私わからないのですがね。あんたはやはり専売公社総裁です。小林議員選挙のために専売公社がハチの巣をつついたようになっておるわけです。専売公社というのは国民の専売公社だ、専売公社職員専売公社じゃないわけです。そのあんたは総裁なんです。ということになれば、国会議員になられたから、これは差し出がましいということに私はならぬと思う。それはいろいろと考え方があるとしても、あんたが明確に責任をとって、公社全体のいろいろとやり方をこれから直されるという立場に立っていくならば、やっぱり国民に対して、こういうふうなことをしでかしたことに対する責任をとるのだ、したがって、部下がこのためにずいぶん難儀をしている、みずから自主的に選挙運動をやられたというなら別ですけれども、やっぱり職制を通してやることによって、いま犯罪者として疑われておるということになるならば、それはゆゆしきことだ、そういうふうなことを考えていくならば、かつて部下であって、現在国会議員であっても、君がとにかく善処することによって全体として、罪を認めるとか認めないじゃない、国民に対してこういう問題に対して責任をとるということ、罪の問題はあとの問題です。そういうふうなフェアな立場において、いま問題を処理して、そのかわりに、いま司直の手にかかっている数多くの部下に対しては、適当なひとつ措置を、できるなら頼みたい、こういうふうに出て、その善処ということは私はことばどおりにいくのじゃないかと思う。そうでなければ、最近に出ている新聞紙上で言う、専売公社は一丸となって検察陣に対して抵抗しているというような形の記事が出ている、しかも中心が洗われても七百万の壁が抜けないとかなんとか新聞に出ている、いろいろと取り調べるほうと、取り調べられるほうが虚々実々にやるということはあるでしょうけれでも、実際問題として、直接君の部下がいま言ったような難儀にぶつかっているときに、これを一体どうするのか、ただ調べを待って、その結論を見て善処するのだ、そういう方法もあるかもわからないけれども部長クラスとか理事とかというものはのほほんとして、肝心かなめの総裁と、下のほうがつかまって、あなたが責任をとる、まん中のいつも重要な役目をしている理事とか、総務理事とか部長とかは、いま証拠隠滅をしておられるのか何か知らぬけれども、のほほんとしておる。これでは国民は納得しないですよ。やはり官僚組織というものは、こういう機構というものは、上のほうから以心伝心で、国に言われようが言われまいが別として、君頼むよとひそかに言われたら、やらなければならぬというのがいまの組織であろうと思う。そこで私は言っておる。だから、あなたが責任をとるということによって、やはり全体的な姿勢をただすことによって、検察庁のほうにも協力をするなら協力をする姿勢をもって、早期解決をはかって、責任の所在というものを明確にして、専売公社の立て直しをはかって、国民に対しておわびをする、これ以外にないと思うんですよ。いやおれのところばかりじゃないのだ、国鉄だって、あるいは農林省だって、建設省だって、どこだってみなやっているのだ、ただ、おれのところは運が悪かったのだというふうに思われているようにしか思われないのです。ここだけではないのです。あらゆる面においていろいろそういう例が出ている。建設次官の山内君も、兵庫において県会議員が十何名もつかまって、いま大騒ぎを起こしている、これは確かに日本の大きな問題ですよ。ただ、いま専売公社で言われている問題は、端的に言って、これから核心に入るのかどうかは別として、ここまで問題がきたということは、この段階で総反省しなければいかぬというような、国民の強い希望の中において、政治の姿勢を正す、こういうことだと思うんですよ。いわゆる下僚の職員の上にあぐらをかいて、罰せられるのは下っぱだけだ、これでは情けないじゃないかということで、あなたが責任をとると言われたけれども、中間にいるえらい方が何をしている。そういう人を呼んであなたが訓示したかどうか知らぬけれども新聞記事を読んでみると、部長クラスを呼んでも何にもならないから、下のほうから洗っていかなければ何ともならぬようになったので、下のほうに非常に逮捕者を出してしまったということを言われておる。総裁はどのように考えておるか知らぬが、問題は、あなたが責任をとるというふうに言われた経緯にかんがみて、やはり専売自体として急速にこの問題を収拾するために、検察当局と協力して、頑強に抵抗してではなくて、この問題の早期解決をはかって、そうして部下の救済なら救済にも当たる、そういうふうにするためには、総裁の首と、それから本人の首を出さなければ、この問題は解決しないと思うんですよ。ずいぶん時代がかった言い方ですけれども、そういうことによって私は国民に対して明確におわびを申し上げ、自今の方針というものを立てて、それからおれはやめるのだ、私はそれでもいいと思う。いますぐやめろとは言わぬ、問題が解決していないから。しかし、いま言うようなことで、小林議員は国会議員だから別なんだ、国会議員だって一日も登院していないじゃないですか、私はそういうことは、国会議員ならばなおあなたのほうから忠言をして、君、善処してもらいたいということによって、この問題について早期解決をはかろうじゃないか、あと悪いことをしたとかしないとかということについては、それはまた十分時期をかけてでもいいけれども、これだけ世間を騒がしているのだから、ひとつここのところはフェアにいこうじゃないかということを、なぜあんたが言えないのかということですよ。専売公社全体の問題にかかわり合ってるんですよ。差し出がましいということばは、私は納得できないんだがね。もうちょっとはっきりしてもらいたいな、専売公社としての責任上。
  34. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 先ほど柴谷委員にお答え申し上げたと同じようなことになるのですが、私も小林議員に今後会う機会があると思いますから、私は友人として前からよく知っておりますから、いろいろと情勢を話すなり、私の意見を申し上げるなり、いろいろといたしたい、もちろん思っております。ただ、御指摘のように、こういう問題であるから、専売公社総裁としての資格において小林議員に辞職を勧告したらどうかと、こういうようなお話になりますと、そういうことは筋違いですから申し上げられませんと、こう言うほかないわけです。その辺のところは了承願いたいと思います。なお、小林議員の進退によりまして、その他の選挙違反事件関係があるとかないとかというふうに私ども考えたくないと思っております。選挙違反は個々の事件であります。小林議員がやめればほかの人が助かるとか助からないとか、そういうような問題とは、私は考えたくないと思います。
  35. 岡三郎

    ○岡三郎君 そのものの考え方はわかりましたがね。もう最後、一つだけ言っておきますが、筋違いだと言っても、あんたの部下がみなかついでやったんですよ。それで実際当選したんですよ。小林議員自体が自分で当選したいと思っていること自体間違いです。専売公社組織をもって当選したんだから、その専売公社が被害を受けてるんだから、この際、ここで決算をはっきりして、そうしてやっぱり出直すなら出直すということでいくべきだということを言っている。これ以上答弁求めませんが、筋違いであるということは、国民からいうと、あんたの言ってることは、筋は通ってるようだけれども、それこそ筋違いだ。少しもはっきりしないじゃないか。自分だけ責任をとっていくということにして、あとはほおかぶりして通していこうというふうに考えられて、まことにあんたとしても不所存だと思うのですがね。これ以上言ってもあれですから、もうしばらく情勢を見て、先ほど柴谷さんが言ったように、これは小林議員の個人の問題ではなくして、日本の官僚機構特有の一つの問題に当たってきているわけだ。ですからそういう点でやっぱり専売公社自体というものを見詰めたときに、まああとでこれを救っていくという数にしてはずいぶん多いわけですから、そうするというと、三十幾名の人がどうなるかわからぬとしても、こういうような大きな問題に発展した以上、あんたも軽々にはやめられぬでしょうね。責任とるといってもあとうまくしなければ、あんただけが、おれはどうも申しわけがないからやめますといってやめちゃってから、選挙違反というやつは何年も続くのですから、あとの始末、一体だれがする、そこまで考えざるを得ない。専売公社自体というものを考えたときに、個々の人間にとってみれば、個々の選挙違反事例だから、それは個人の責任だ、そういうふうにあんたみたいに冷ややかに言っていられるうちはいいけれども、具体的にその人によって懲戒免とか何とかになって、いままでの仕事が全部無に帰してしまうというふうな条件下になった場合においては、これはやっぱり責任をとるということだけでは済まぬという問題がここにあると思う。ですから、そういう点で明確に、ひとつあとの始末というものも、あんたの責任においてやってやめられるというふうに、私が言わなくても思っておられると思うのです。ただ一説には、やめると言っているけれども一体このままずっといってしまうというと、まあ選挙違反は検察庁におまかせしてやってるんだ。あんた、もうさっき簡単に言ったけれども、検察庁に引っぱられて、主だったものが毎日毎日行くという過程の中には、これは落ちついてなかなか職場で仕事なんかできないですよ、実際問題として。ですから、そういう点では、あんたが全体について、特に今度の場合において、そういう職員の全体的な動揺とともに、具体的に今後いろいろと出てくる問題について、あとの総裁なり何なりについて、やっぱりこれは十分検討をしていってもらわぬと、これは社会問題になると思うのです、大きく言えば。そういう点でひとつ、小林さんのほうにも友人としてあんたが言うと言われておりますから、どういうことを言うか内容はわかりませんが、まあひとつ、個々の事例という形ではなくて、専売公社全体として自粛していく方針というものを明確に国民に示して善処せられるようにお願いしたい。検察庁に対しても、やはり専売公社が、いま何だか企画課長か何か知らぬが、七百万円の問題について壁にぶつかっているとかなんとか新聞に出ておりますけれども一体生産奨励金とか販売奨励金とかいろいろな問題があるようですけれども、奨励金というのは一体どれくらいあるのですか、販売奨励金とかなんとかそういうものは。
  36. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 販売奨励金といいますか、そういったものがいろいろと話題になっておるようでありますが、公社予算といたしましては、特にそういう販売奨励金というような費目はないわけです。それぞれの用途に即して、旅費でありますとか、消耗品費でありますとか、そういったようなもので出ておるわけでありまして、販売奨励費が総額幾らであるとか、そういう数字は持ち合わせておりませんが、販売促進関係仕事に使われた経費というようなものを拾い集めて集計いたしますれば、大体そういうものが出てくるかと思います。
  37. 岡三郎

    ○岡三郎君 どのくらいになるのか、それを総裁が知らぬじゃ困るな。そこが核心なんだ。たばこ売るのにそんな金が要るわけはないよ。
  38. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) これは、販売促進関係の経費をどういうふうに見ているか、いろいろと問題があると思うのですが、非常に大ざっぱに申し上げまして、昭和三十九年度、四十年度あたりの販売促進関係予算は大体千三百万円程度くらいだと思います。
  39. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでは、総裁もなかなか多岐にわたってわからぬようだから、いますぐにここで即答も無理かもわからぬから、ひとつ資料として、どういうふうにしてやっておられるのか、資料として御提出願いたいと思う。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して、一つだけ総裁にお聞きしますが、あなたは責任をとってやめられるというのですが、それは小林議員がやめられてからということなんですか。それとも、それとは関係なしに、あなたの責任としてやめるということに考えておられるのか。この点はっきりしてほしい。というのは、小林議員がこのままやめないで、ずるずる最高裁までいく可能性がある。任期六年あるいはやめになるかもしれぬ。あなた自身も、それとの関連で、問題が解決しないうちはやめないということでは、これはあなた自身の責任の所在が不明瞭になる。場合によっては、両方でかばい合って、お互いにやめないというそういう暗黙の協定をしているとはまさか考えないけれども、そう言われてもしようがないし、そういう問題持っていますよ。これは非常に疑問を持っているのだ。その点はっきりあなたの立場を明確にしてもらいたい。
  41. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 私は責任をとると申し上げたわけでありますが、これは私自身の責任におきまして私が判断する時期に責任をとりたいと思っておりますので、小林議員の進退その他とは何ら関係ございません。
  42. 相澤重明

    理事相澤重明君) 先ほど岡委員要望の資料については、三十八年度決算をいま審議中でございますから、三十八年、九年、それでできれば予算の四十年度、それを御提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  43. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 整えて御提出いたします。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 あまり長くやるというと、阪田総裁も疲れるようだから、善処を要望して次にいきます。  この三十八年度決算検査報告の中でも、大蔵省関係として、不当事項として租税の問題、物件の問題、二つにわたっておりますので、「租税の徴収不足をきたしたもの」と、こうありまするが、根本的に、最近吹原産業事件の関連の中から森脇将光氏の脱税事件というものが大きく浮かんできたわけですが、この点について先国会においても、衆議院の法務委員会とかその他で、かなり克明に質疑をされていることを承知しております。そこで、現在、森脇将光の脱税に関して、その脱税額を、国税、地方税、重加算税、そういうものを含めて最終的にはどうなって、取り立ての状況がいま現在どうなっておるのか、こういう点についてまずお知らせ願いたい。
  45. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お答え申し上げます。いわゆる森協脱税事件に関連して、脱税額がどういう数字になっているかというお尋ねでございますので、お答えを申し上げますが、法人税が四十五億三百万、これに重加算税が十三億五千百万、合計いたしまして五十八低五千五百万、そのほかに、納税がおくれてかかります延滞税が四億余りあった。余りと申しますのは、これは毎日納税がおくれますにつれてふえてまいりますので、この辺は毎日数字が変わってくるわけでありますが、ただいま申し上げましたように、国税といたしましては五十八億円のほかに、延滞税が四億余りのものがあるということでございます。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 現在その脱税についてこれを徴収しなければならぬわけですが、国税庁としていままでどういうふうにそれをやってきておりますか。
  47. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 課税いたしましたあと、直ちに森脇文庫関係の持っております財産の保全処分をいたしております。銀行預金、それから有価証券、不動産、貸付金、債券等でありますが、大体この課税額を確保し得るだけの金額を財産の保全処分を完了をいたしております。ただ、一応十分な金額を押えているつもりでありますが、さっそく脱税額全体について異議の申し立てが出ております。つまりそういう脱税はないはずだという異議の申し立てが出ております。それから、押えました財産につきましても、それは森脇文庫のものではない、自分のものだというような意味異議、あるいは貸付金について、そういう森脇文庫に対する債務はないという申し立てがかなり出てまっております。したがいまして、なお森脇文庫関係の財産の発見につとめまして、この課税金額の確保を今後もなお努力するつもりでございます。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで、史上空前の脱税といわれてきているこの問題について、いろいろと国税庁等においてもショックを受けた中から、これが対策というものを検討せられてきた。八月五日に結論をまとめて、いろいろといわれているようですが、第一に、東京、大阪両国税同に要注意人物、公社に対し目を光らす特別管理班を設けることの必要性をいっているわけですが、この点について、いまどうなっておりますか。
  49. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お話のように、私どもこの事件が起こりましてからあと、この事件の経緯その他を調べますために、国税庁の中に直税部長を長といたしまする特別の研究班を設けまして、この事件を分析、検討をいたしました。国税庁と申しますか、税務署、局を通じまして、一般的に、何もしていなかったのじゃないかというような何か印象があるようでありますが、署、局といたしましては、従来ある程度の脱税をつかみ、できるだけのことをしておったわけでありますが、そういう点を検討をいたしました結果、なお改善をすべき点があるということで、いま御指摘のありましたような対策を立てたわけであります。その対象は、いま御指摘のありました特別管理班が一つでありますが、これは従来、税務行政の中で、やはり大口の脱税者と申しますか、大口のものに特に重点を入れなければいけないということで、数年前から税務署に通常の係では処理し得ないようなものに対しまして、特別調査班というものを編成をいたしまして、特別の管理をいたしている体制をとっております。国税局においても同じように特別班をつくっているわけでありますが、ただ、今回の事件にかんがみまして、そういう班でどういう対象を選ぶかという点にもう少し力を入れると申しますか、改善すべき点がある。つまり非常に複雑な広範囲にわたる、あるいは、ただいまお話のありました要注意と申しますか、そういう意味で常時監視をする必要がある納税者がある。それを、常時継続して管理をいたしまして、特別な調査に付する対象を選定するものを設けるのがよかろうということになりまして、東京国税局と大阪国税局の直税部の資料調査課に御指摘のありました特別調査班というものを設けることにいたしました。すでに発足いたしまして、活動を開始している状況でございます。
  50. 岡三郎

    ○岡三郎君 終戦後、大口脱税といわれている問題ですね、こういう点について、ひとつ資料を出してもらいたいと思います。いわゆる終戦以来、大口脱税に対する一応の国税庁としてどういうふうにやってこられたか、脱税というものの項目別ですか、そういうものと、それから、それに対する対策、そういうものから森脇問題で非常にこれが大きくクローズアップされてきたわけです。そこで、衆議院における答弁等から聞いてみても、なかなかこういう金貸し業者といいますか、高利貸しの現金取引というものはなかなか捕捉できないのだ、こういうようなことをいっておりますが、もう一つは、その中において、同じ大蔵省の中の銀行局のほうの協力を得ないというと、ほんとうの意味における調査、こういうものができないのだということを言っておられるわけです。同じ大蔵省関係の中において、銀行局は銀行局、国税庁は国税庁、それぞれ任務があるわけですが、いわゆる財産の秘密という問題と、こういう脱税という関係について、いろいろの事例の中において遠回しに調査班を強化するとか、いろいろなことをいわれても、架空名義の、預金とか、あるいは無記名の預金とか、いろいろな制度がありますので、こういう点については銀行局のほうに対してあなたのほうからどういうふうに協力要請をしているわけですか。大蔵省全体として、こういう大きな脱税を捕捉するための具体的な方法というようなこと、それを銀行局との関連にしぼってひとつお伺いしたいと思います。
  51. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 先ほど特別管理班の御指摘がございましたので、その点についてだけお答えを申し上げたのでありますが、御指摘のとおり、当時対策をきめました際の一つの大きな項目は、銀行に対する協力要請の点であったわけであります。今回の森脇脱税につきましても、今回の脱税の対象になりました、年度間に延べ千口以上に余る架空預金と申しますか、他人名義の預金と申しますか、そういうものが分散をされていたわけであります。そういう意味で税務行政の調査の面から申しますと、銀行にもっと税務調査に協力をしていただきたいという希望は非常に強かったわけでありますが、今回の事件簿にも省みまして、なお一そう協力をしていただきたいということで、ただいま銀行局と相談をいたしております。すでに数回の会合を重ねまして、具体的に銀行へどういう点をどういうふうに要望するかという点を相談いたしている最中であります。御指摘のとおり、税務調査の目的と同時に、片方、個人財産の秘密の保持と申しますが、資本蓄積の重要性と申しますか、両方の接点の問題であると思うのであります。私どもだけの立場から言えば、アメリカの制度のように銀行が異常な取引を全部税務当局に通報してくれるというふうなことになりますと非常に私ども仕事がやりやすいし、おそらく人員等もずいぶん助かるんじゃないかという感じがいたしますが、同時に、一方、スイスのように、絶対に漏らさないという制度の国もあるわけで、両方の接点の問題でありますので、ただいま銀行局ともよく相談いたしまして、われわれとしては、いかに個人財産の秘密の保持という目的があるにしても、非常に公共的な性格を持っております銀行が脱税を幇助しようなんという意思がないことは、これは確かでありますから、そういう趣旨で具体的にどういう方策を考慮するかという点を検討いたしておる段階でございます。
  52. 岡三郎

    ○岡三郎君 一説に、現在預金全体の五、六%が無記名預金だと、これが脱税の一つの大きな問題点になっているということになるというと、当然銀行局との関連で、こういう問題についてどうするのか。一般の国民は洗いざらい全部取られているわけですね。これはもう仮借ないほど取られているわけです。で、預金を確保するというため——これは公共性といっても一つの私企業ですね、この企業が存続するためにはそういうふうな制度も必要だといっても、それは限界があると思うんです。で、いま言ったように、千何口にも分けられて、それを一々調べるといっても、それはなかなか能率が上がるものじゃない。そういうふうな点から考えてみて、銀行局のほうとして——銀行局長がいると思うんだが、個人財産の秘密の保護といっても、それが明らかに脱税の根源になっているというふうに、ある程度具体的にこれが指摘されてきている段階において、架空名義の預金とか無記名預金というものをどういうふうにせられようと思うのか。要するに、まあそのほか投資信託にしても、あるいは社債等にしても、無記名というのがずいぶんありますが、しかし、少なくとも千何口にも分けられてどこかへ入ってしまうということで、何十億かの金がどろんとしてしまうというのでは、これはなってないと思う。銀行局長はこれをどうしようというふうに考えておられるのか。これは大蔵省全体の問題だから。
  53. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘になりましたのは、無記名預金というような、先ほど岡先生もおっしゃいましたように、最近の時点において約五千億程度でございます。まあこれは全国銀行の預金総額の中で大体三%程度でございましょうか、まあ大部分がつまり定期預金であるということになっております。まあ定期預金の中で占める割合としては約六%というのが現状でございます。これにつきましては、先生も十分御承知かと思うのでございますが、かつて昭和二十二年ごろに実はこの制度ができまして、当時はやはり非常なインフレのときで、たんす預金とか何とかということでは困る、何とかそういうものを正規のルートに吸収しなければというふうなこと、ところが、一方、非常に財産秘匿の要望も強いというようなことから無記名制度が生まれてきたものかと思われます。その後、二十四年ごろにこれが一たん廃止になりままして、その後またさらに昭和二十七年になりまして、やはり資本の蓄積、貯蓄の増強といったような面からこれが取り上げられまして、再びそこで復活をいたし、それで今日に至っておるというような状況でございます。そこで、御指摘のように、問題は二つあるわけでございまして、財産の秘密保持ということから申しますと、この無記名というのは非常に徹底した制度であるわけでございますが、一方においてそれだけつまり全く無であると、この名前があらわれないということになりますと、場合によっては、まあいまのおっしゃるような脱税その他のことに用いられないとも限らない。そういう制度的には可能性を持った現在の無記名預金というものが、それではしかし必ずしもそういう脱税とか何とかというものばかりかというと、これは必ずしもそういうものばかりじゃないと思います。中には非常にきれいな預金で、ただまあ非常に財産秘匿という気持ちが強いためにそういう制度を利用しておるという預金者もあろうと思いますので、これはまあ一がいにすべて弊害があるというふうにもなかなかきめつけられない面があろうかと思います。  そこで、今回の森脇事件を契機といたしまして、ただいま国税庁長官からお答え申し上げましたとおり、国税庁からは、この際、ひとつ無記名預金の廃止について検討できぬかというお話がございます。そこで、私どもとしましても、これはやはり十分検討しなきゃならぬというふうに思いまして、現在鋭意関係者との間で話を進めておるわけでございますが、ただ、ここでいろいろな問題が実は出てまいりまして、つまり預金、まあ特に定期預金でございますね、一年定期の預金というものの形になっておるのが多いわけでございますが、その一年定期預金というものとまあ非常に似た形の貯蓄の形態がほかにもいろいろございます。まあ早い話が、いわゆる割引金融債というものがございまして、これはまあ一年で、しかも、完全に無記名でございます。かたがた、まあ税法上も、いわゆる割引料というものは一応金利ではないという解釈もございまして、つまり預貯金につきましては、御承知のように、利息に対して一〇%の源泉課税になっておるわけでありますが、割引料については、これはあとで総合申告をして初めて課税をされるということでございますので、実際問題としては課税されにくい面がある。そういうものがすぐ隣にあって、同じような貯蓄形態としてある。そこで、そういうものとのまあバランスと申しますか、というものを一体どう考えていったらいいか、まあさっき先生も御指摘もございましたような貸付信託の問題でございますとか、いろいろ実はあるわけであります。そこで、まあそういったようなものをいろいろ考えまして、現在としても、やはり貯蓄の増強と申しますか、貯蓄をふやしてまいらにゃならぬというその重要性においては、ちょうど昭和二十七年当時とやはり今日は少しも変わらない。むしろそれ以上のものではないかというふうにも思われます。で、したがって、そういう面もやはり十分考えなければならぬ。しかし、同時に、他面、ただいま御批判を受けておりますような点も同時にやはり考えていかなくちゃならぬ。したがって、そういう制度を乱用されるということになってはなりません。そこで、私どもとしては、やはり基本的にはあくまでやっぱり銀行の税務調査に対する協力体制につきまして、従来ともまあいろいろやってまいりました。国税庁からも通達も出ておりますし、従来ともやってまいりましたが、必ずしも十分ではない面があるわけでございますので、その点につきましては、今後とも改善すべき点は思い切って改善してまいらなきゃならぬというふうに思いまして、現在いろいろ話を進めておる最中でございますが、ただいまのような無記名定期につきましてはいろいろな面がございますために、これについて十分慎重に検討中でございまして、ただいま直ちにこれをどうするというところまでは実は結論を出すに至っておらないわけでございます。また、この架空名義ということになりますと、これはまあ一応の名前があるわけでございますね。そこで、それはつまり、はたして本人であるかどうかということを何らかの方法によって確認しない限り、はたして架空であるかどうかということは必ずしも明確につかめないという実は技術的な問題もございます。そこで、お金を預けます場合に、本人であることを確認を受ける体制が伴わなければ預金ができないという形にも、これ実際問題としてなかなかやりにくい面がございます。つまりもう非課税貯蓄とか何とかいうことになりますと、これはもうその点をはっきりさせなければならぬという意味で、先生先刻御承知のように、例の少額貯蓄の免税制度、これは一々ちゃんと本人であることを確認するに足る資料を出して、しかも、それを税務署へ通報するということできちっとやっておりますが、そうでない普通の預金についてそこまでやれるかということになりますと、なかなか預金の本来の姿ということから見まして、どうも実際問題としてむずかしい。そうなると、架空名義というものを完全に押え切ることは実際非常にむずかしい面がございます。ただ、しかし、いずれにしましても、それが乱用されるということになってはいけないわけでございますから、そこはやはり税務調査に対する協力体制を整備していくという形でその問題はやはり解決していかなければなるまいということで、極力国税庁の税務調査に対する協力体制を積極的に改善するという方向で現在いろいろ検討をいたしておる最中でございます。
  54. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは銀行局長国税庁長官との関連になると思うのですが、架空名義で数をふやして膨大な金を秘匿する。しかし、利息を払わなければいかぬわけですね、銀行が。ところが、これはほんとうかどうかお伺いしたいのですが、あの場合、森脇は貯金の利息に対しても税金を払っていない、これはみんな銀行側に負担さしておったということを言われておるわけですが、私が調べたところ、大体そういうふうな報告が多いのですが、そうなるというと、これは明らかに銀行側が貯蓄をふやすためにそういうふうな手段というものを使っているということになると、これは非常に問題なんです。つまり銀行側のほうが裏利というものを負担をしてまでそういうものを集める、こういうことになるというと、いまの銀行業務というものが非常に過当競争で、さきには証券会社がずいぶん乱暴に土地を買いあさって目抜きのところに店舗をどんどんかまえる。最近においては、銀行が土地の高いなどというのは問題なくしてどんどんつくる。やはりここに過当競争というものが、預金者に対するサービスというものに転嫁して、いろいろとやってならないことが行なわれている。これは吹原産業事件における手形の問題等についてもうかがえるわけであります。こういう事実があったのかないのか。それに対して銀行局のほうとしては、そういう大口の預金に対する過剰サービスというか、違法サービスというか、そういう点についてどういうふうに考えているのか。こういう点について、これは国税庁のほうとしてもそういう問題の捕捉というもの、これをしていかないといけないと思うのですが、こういうのはどうですか。これは前に霞ケ関預金とか、いろいろなことをいって、大口預金を取るために裏利というものが公然といわれておった、導入預金というものですかね。そういう点で吹原問題についても、実際に利息のほうについて税金分は銀行から払わしておる、こういう点はどうなんですか。
  55. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) 金融機関が預金に対しまして特利をつける、つまり御承知のように、臨時金利調整法というもので預金金利というものがきちっと定められておる。それを上回る特利をつけるということ、まさに御指摘のように、いわゆる金融機関の間の過当競争、そういうことがやはり一つの原因になっておろうかと思います。これにつきましては、実はかねがね非常に厳重に警告をいたしまして、臨時金利調整法というものをきちっと守っていかねばならぬということでやってまいっておるわけですが、ちょうど三年ほど前でございましょうか、三十七年の六月に、当時いろいろ実態を調べましたところが、かなり目に余るものがございました。そこで、これはやはりこの際そういう特利預金というものは一切廃止しなければいかんというので通達を出しました。一定の期間を区切りまして、その期限内にこれを一切きれいにする、特利を廃止をするという実は措置をとってその絶滅をはかってまいったわけでございます。したがいまして、今日におきましてはそのような特利というものはほとんどなくなったに近い状態になってまいったかというふうに思っておったわけでございます。ところが、このたびの森脇預金につきまして関係銀行を調査をいたしましたところ、先生御指摘のような実は特利が払われておるという事実が明らかになった。そこで、これは直ちに是正をしなければならないということで、銀行の代表者を呼びまして厳重に戒告をいたしますとともに、すみやかに是正をはかるという措置を実はとった次第でございますが、その結果、現在ではその点はすっかりきれいになっておりますが、しかし、これを契機といたしまして、まだほかにもそういうものがあってはならぬというので、実は重ねて全般的に厳重な注意をいたしておるわけでございます。  そこで、先ほど御指摘の利息に対する課税でございますが、実態をいろいろ調べてみますというと、やはりいわゆる手取りの利息が年六分に回るように、税を払ったあとで六分に回るような形で実際には処理された。したがって、税金としては納まっておるわけですけれども、そのつまり税を負担しておるものはつまり金融機関の側である。しかし、形の上ではその特利の中からそれが払われておるというかっこうになっておる。いずれにいたしましても、はなはだ好ましくないことでございますので、その点については十分厳重に注意をします。それぞれの金融機関の内部におきましても、内規に従ってそれぞれ内部における処分をいたし、けじめを明らかにして、今後絶対こういうことのないような体制を実はとっておる次第でございます。
  56. 相澤重明

    理事相澤重明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 相澤重明

    理事相澤重明君) 速記を起こして。
  58. 岡三郎

    ○岡三郎君 古岡さんにお聞きしますが、いま言ったような銀行局長の答弁だと、この問題について銀行局のほうにやはり協力してもらうといってもなかなか痛しかゆしで、具体的にはっきりしてこない。そうなるというと、最初に申しましたように、特別調査班とかそういう活動があっても私は限界があると思うのです。それで、積極的に大口脱税の前歴がある者とか、世間でうわさがある人物とか、森脇のように一人で数多い会社を持ち、税務署の管内が幾つにもまたがるものについて、特定の個人や会社について絶えず資料を集めて、そうして脱税防止のレーダーを張るとかいっても、これは通り一ぺんに終わる危険性が私はあると思う。そうして、またしばらくたつというと、何かほかの事件でまた大口脱税が出てきたということでは、国税庁の権威いずこにありやということになると思う。というのは、それほど国民はきびしく税を取り立てられておりますね。いわゆる大口預金者とか特殊の人に対して、いわゆる銀行局長が言ったように、預金を確保するために、貯蓄増強という名によって保護すべからざるものが保護されていて、大体まじめなものは表に出しておりますね。そういうふうな形でいくというと、端的にいま言ったように、無記名の制度の廃止というような問題については、それはほかの割引債とかいろんなものがあっても、やはり小口のものは私たちは別で、小口のものは無記名でもいいと思うんです。一定額以上あるものについては、やっぱりこれははっきりと表へ出していく、そうせぬというと非常に不均衡な状況というものが生まれてくるんじゃないかと思うんです。特に今回の事件を契機にして、国民の不信を一掃するという意味において、そういうふうな査察の強化という面でやられている中において、やっぱり抜本的にこれをやれないまでも、無記名なら無記名というものを大蔵省全体として捕捉する、やめさしてそれを捕捉するという方向でいかないと、これは天引きでとられている人間なんかからいったらおさまらないですよ。いまの徴税体系というものは弱い者いじめですね、弱い者は泣く泣く全部もぎ取られていってしまう、遠慮会釈なしに。いま言ったように、いろんな名目の中で巨大な財産というものが秘匿されたり脱税されているということについて、こういうふうに銀行の協力がいまのような状況の中においては、吉岡さんの、ほうとしてはどう考えておるわけですか。リストをつくったりなんかしても、肝心かなめの金の逃げ場所がうんとあっては、これは上のほうで幾ら捕捉しようと思っても捕捉し切れない状況だと思うんです。それも預金増強のためにはしかたないんだといっても、これは国民自身としては納得できないですね。だから、この点について積極的に、銀行局というか、大蔵省全体として今後の対策を考えてもらうことにして、この架空とかいろんな問題の中において、高利貸しというか、金貸し業者というものは全国に一体どのくらいあるんですか、その捕捉もできておらぬのですかな。
  59. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) たいへん恐縮でございますが、いま数字を持ち合わせておりませんし、特に登録とかなんとかというはっきりした制度的なものではございませんだけに、ちょっとわかりかねますが、査察事件等で従来取り上げました場合にも、かなり金貸し業というものは取り上げております。ただ、非常に遺憾なことは、取り上げながら、それを事件として立件するだけの成果と申しましょうか、証拠がなかなかつかめないために、査察で着手しながら、立件した率はほかの業種に比べて非常に低い率が出ております。
  60. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうしますというと、これは大蔵省全体、特に政務次官がおるわけですが、八十八億なんという脱税ですね、これからなかなか取り切れない、いろんな金がどこにどうあるかつかまえようとしたら、これはおれのものだといって別の人間が出てくるという、こういうからくりでは労多くして効少ないわけですけれども、これは国民的にいって、脱税しなけりゃ損だという感覚を与えてますよ。ところが、力の弱い者は、給料取りは脱税するにもすべがない、そういうふうなことで、吹原産業事件が一転して森脇将光の脱税ということでびっくりしているわけですが、こういう点について、ひとつ時間があればもう少し私のほうも資料があるのでお聞きしたいんですが、きょうはひとつ具体的にもう一歩進めて、銀行局の、ほうものんきなことを言ってないで、特利はもうなくなっていると思っていたらまた出てきたなんて、そんなばかな話はないと思うんですよ。そういう点で銀行局のほうも早急にひとつ検討して、そうして脱税防止について、特に大口の脱税行為というものについては、峻厳なる態度をもってやってもらわなきゃ困ると思うんです。そういう点で、一応、どういうふうに脱税防止をしてきたかということについて、今後これについて具体的にリストをつくったり、いろんな形でやられていますが、そういう点については、今後の大蔵省内部におけるいろいろの折衝という問題もありますが、最近におけるように、税収の伸びがとまってきたり横ばいになってきているというと、一方においては予算がどんどんとふえていく、自然増というものが多い。そういう中で徴税強化という面が末端の弱いところに、取りやすいところにのみ片寄っているという傾向を最近特に聞くのです。やはり各税務所について、前年の実績に比べてこのくらい増して取れとかいうことは、これは表じゃないと思うのですが、それぞれ指示があるというように聞いているわけです。しかし、そうなるというと、勢いやはり零細とか、そういうふうな末端のところに徴税がいくというので、こういう問題が起こるというと、非常に国民に不信を持たせるということですから、ひとつ具体的に先ほどの資料が出てきて、その後大蔵省においても、これからさらに銀行局を中心にしてそういう問題についても検討してもらって、こういうふうにやるから、国民よ、大口脱税はないようにするから安心してくれというふうな方向をひとつ明示してもらいたい。この決算の報告に出ている税金の徴収不足を見てみたら、全部合わしたって森脇に追いつかない。こんなざこばかりやっていたんじゃ意味ないと思う。そういう点で、ひとつ大口脱税のリストですね、それから、先ほど言ったように、その後とにかく対策を講ずべき点、森脇メモを一転機として、抜本的な対策に入らざるを得ない、こういう状況下において、先ほど資料を出してもらうように言いましたが、それをまた資料をもとにして検討していただきますし、さらに銀行局のほうとしても、今度は特利とかそういうものをやった場合においては店舗を縮小させるとか何とか、少し罰則を強化しなきゃいかぬと思うのですよ、過当競争過ぎると思うのです。大体、駿河銀行とか地方銀行が東京のどまん中のほうへ出てきてみたり、とにかく地方銀行だか一般の銀行だか、このごろは混淆して、その上に農協にも貯金をするとかなんとか、諸所において建物の乱立ですね。こういうものについて店舗を拡張してきた銀行局に私は責任があると思うのですが、大体だんだんこれが数多くなってくるというと、もう人件費のみならず、そういった設備資金という面からいって過当競争にならざるを得ないですよ。無理しても、とにかく預金を集めなければ実績が上がらぬ、上がらなければ何をしてでも金を集めるという形にならざるを得ない、この方向を奨励しているのは銀行局だと思う。だから、そういうふうな銀行局の方針違反するようなそういう銀行筋に対しましては厳重にしかりおく、その銀行の頭取かなんか呼んできて、これはうまくないぞと言った程度では、これはあとを断たぬと思うのです。そういう点で、金融機関についての過当競争を防止するということについて、ひとつ具体的な計画というか、そういうものを出してもらいたい、過当競争であるとあなたは言っているわけだから。われわれが見ても、最近特にまた著しいですよ。証券会社がつぶれたら、そのかわりに銀行がまた雨後のタケノコのように、あらゆるところへいま店舗の拡張競争をやっておる。東京都内に地方銀行が入ってきているのは相当のものでしょう。そういう点で、ひとつ抜本的な問題として、銀行の過当競争によってそういうふうに無理に問題を引き起こさないような対策を十分立てていると思うのですが、最近における銀行の設置の資料を出してもらいたいと思う。昭和三十八年九年、四十年、四十年はまだないですか、ここ三年くらいの銀行の支店及び出張所、こういうものを数、こういうものを、ひとつ資料として出してもらいたい。  それから銀行局長のほうは、むずかしいむずかしいと言わないで、無記名について、私の意見としては、小口のものはいいとしても、大口のものはやはり記名させるという方向で、割引債なんかについても、それがどうも銀行の無記名とも均衡を失するということならば、これはしろうと意見だから、にわかに採用せいとは言わぬけれども、何とかその点、脱税防止について国税庁に協力するようにあなたはやがて国税庁長官になるかもわからぬから。あなた方、とにかく、たらいの中で一緒にやっているんだからね。きびしさというものが疑われるんだな。銀行マンの上のほうも、大体大蔵省の出身なり、息のかかっている者が多いので、あなたにつかまえろと言っても、これはわが子なりで、なかなかできぬと思うけれども、この際、抜本的にそういう面について、不正防止の意味において資料を出してもらいたい。まあ、それはそのくらいにしておきましょう、この次の楽しみに残しておかなければいかんから。  もう一つ、これは前に本決算委員会で取り上げた国有財産の問題ですが、神奈川県の辻堂演習場の土地の払い下げをめぐって、神奈川県においてはこれを公園にする、その後取り消して、サイエンスランドにこれをつくりかえたい、それから自治体や住宅公団、こういうところから、払い下げてもらいたい——いろいろと、いまあるようですが、その後、辻堂演習場の跡の問題についてどういうふうになっているか、この経緯をひとつ伺いたい。
  61. 松永勇

    説明員(松永勇君) サイエンスランドにつきましては、前の国会におきまして委員会でお答えしましたように、本年の一月に、神奈川県知事から、当初の公園にするということの計画を取りやめるということの申し出があって、その後、大蔵省としては、この処理をいかにはかるということについて種々検討いたしております。全く白紙の立場で検討いたしておりますが、今後、これを公共目的にふさわしいという観点からその処理をはかりたいという考えでございます。  なお、サイエンスランドの会社につきましては、その後、新聞紙上等に出ましたように、解散するやに内定したとかいうようなことを聞いております。
  62. 岡三郎

    ○岡三郎君 最近、国有財産の払い下げ等についていろいろと問題が多発しておるわけで、松永さんのほうとしても、最近においてはきびしい姿勢でいろいろとやっておられると思うのですが、公共という名において、みんながやられているわけですよね。それが途中において、カーブしたりドロップしたりして、ほかのほうへ変わっているわけだな。だから結局、それに対する自余の監督といいますかね、それから払い下げる場合においては必ず条件をつける、これは私が言うまでもなく、やられていると思うのですが、具体的に払い下げたいろいろな条件というものを実施してないケースが多いのです。トンネル会社をつくってみたりね。サイエンスランドの問題はいま言ったわけですが、これは解散するとなれば事態は明確になるわけですが、辻堂演習場の跡の広大な土地なんかについても、やはり方針というものもあるわけだから、すみやかにきめてもらいたい。これは、県が公園としてやらなければ自治体がやるとか、いろいろいま話が出ておりますね。特に神奈川県等においても、今後緑地というものがだんだんだんだんなくなってくるというふうなことで、いろいろと自治体の中においても、あるいは市民等においても心配しているわけですが、辻堂演習場跡の払い下げについて、いま申し出ているのは、どことどこですか。   〔理事相深重明君退席、委員長着席〕
  63. 松永勇

    説明員(松永勇君) ただいま申請がまいっておりますのは、住宅公団、相模工業学園、湘南白百合学園、双葉幼稚園、そのほかに、藤沢市が公園として処理したいという、以上五件でございます。
  64. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういう点について審議がされていると思うのですがね、そういう結論はいつごろ出ます。
  65. 松永勇

    説明員(松永勇君) こういう土地につきまして、私たちとしては、最も国有財産としてのふさわしい用途に供したいという観点から種々検討いたしておりますが、できるだけ早い機会に結論を得たいというつもりで、いま検討いたしておる最中でございます。
  66. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、繰り返しますが、サイエンスランドのほうは、もう問題はなくなったと、こういうことですね。
  67. 松永勇

    説明員(松永勇君) 会社が解散ということを内定したということまでは承知いたしております。おそらく、そういうふうになるのではないかと思っておりますので、会社がなくなれば、当然この申請というものも意味がなくなるというふうに承知いたしております。
  68. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ、できるだけすみやかにということばは、これは常套語ですがね。あまり放置しておくというと、いろいろな問題が起こるわけです。そのいまのところをお聞きすると、住宅公団と学校関係と藤沢市——これは、辻堂があるところは藤沢市ですからね。その公園ということで、まあ住宅公団の問題は、あっちこっちにたいへんにいま建設が進んでおりますがね。東海道沿線からいうと、もう辻堂周辺には住宅がふえて困っている、通勤通学輸送に。辻党団地から、茅ヶ崎団地から、もうわれわれとしては、いま運輸委員をやっているのですけれども、このあと始末だけでてんやわんやです。そういうことだけから考えても、住宅公団には払い下げてやりたいけれども、県下の輸送状況全体から見て、片寄ってだめですね。それからもう一つは、学校のほうもいいにはいいけれども、今後工場の進出なり、都市計画がますますこれからいろいろと立てられると思うのですが、工場の進出というものが藤沢以西のほうには充満している。そういうことになるというと、これは実質的に、そういうふうなところへ払い下げるということになるというと、これはたいへんだし、われわれとしては、一つの要望としては、県民全体として、県がやらぬところは自治体としてこれを緑地公園として確保したい、これがほんとうの公共的なものだと信じておるわけです。  そういう点で、いませっかく検討せられておるということですが、大体のめどはどのくらいなのですか。あなた方がぐずぐずしているというと、横からいろいろなものが出てきて、また問題がかもされる。だから、こういう問題については、この国有財産を、市民なり県民の公園として確保するというのは、これは善政です。そういうふうな点で、われわれとしては一刻も早く結論を出してもらいたいと思うのですが、大体のめどを言ってもらいたいと思う。あなた方はむずかしいことはないのだ、悪いところへ払い下げるのじゃないんだから。
  69. 松永勇

    説明員(松永勇君) いまの段階で、いつまでということはちょっとこの席で申し上げることが困難だと思いますが、私たちも、この国会の論議を通じましていろいろな御意見を拝聴いたしております。処理にあたりましては、国有財産審議会にはかって、そういう方々の御意見を十分聞いてきめたいということでございます。できるだけ早い機会にきめたいという気持で御了承願いたいと思います。
  70. 岡三郎

    ○岡三郎君 ここまで聞いても、できるだけ早い機会ということで、なかなか御返事いただけないようですが、じゃあ、要望として、やはりこういう問題は、あまり時日を遷延すると、いろいろと問題がかもされてくるので、できるだけすみやかにひとつ大蔵省として決断をしてもらいたい。これを強くお願いしておきます。一応きょうはこれで……。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど岡委員の資料要求について、国税庁は、脱税額の大きいものというような話ですが、戦後において一千万円以上の大きいものを資料として提出してもらいたい。  それからなお、銀行の過当競争ということで銀行局長に資料要求をやりましたが、三十八年度以降の支店、出張所等の設置についての資料を作成して提出を、なるべくすみやかにということで、委員長確認をしてもらいたい。
  72. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 以上のとおりでございますが、なるべくすみやかに御提出を願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  73. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お答え申し上げます。国税庁関係のものは承知いたしました。
  74. 竹中恒夫

    説明員(竹中恒夫君) 関係局長すべて承知いたしたそうであります。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に、まず若松町の住宅の問題について、これは小委員会のほうで取り上げている問題ですから、ここでは一応中間報告的に述べてもらいたいのですが、結論が出たようなことが新聞に記載されておりましたが、これはどうなっているのか、この点についてお伺いたしたいと思います。
  76. 松永勇

    説明員(松永勇君) 新宿区若松町所在の普通財産約二千五百坪を、引き揚げ者、戦災者収容施設として、同胞援護会東京都支部牛込支会に貸し付けておりました。その一部が東京都に転貸されておることは、財産管理の関係において適正を欠く面があったことはまことに遺憾でございました。この点につきましては、私たちとしても、九年の間、契約の手続をとっていなかったというような点がございまして、国としても相手方に迷惑をかけたということは遺憾に思っております。  そこで、現状はそういうことでございましたが、本地が住宅施設として使用されておるのでございますけれども、旧軍の施設を間仕切りして使っておるというような、非常に劣悪な状態にありますので、今後はこれを住みよい低家賃住宅として活用するという方針を立てまして、この財産の所在する地域全域を住宅地区改良法の定めるところによりまして、改良地区に指定し、老朽建物を取りこわしまして、当該敷地に公営住宅及び改良住宅を建設して居住者を入居させるという方法で処理を進めてまいりたいと考えて、この方針に沿いまして、現在の貸し付け相手である牛込支会の代表者と協議いたしました結果、全面的な賛成を得ましたので、この方針に沿って、今後は東京都においてこの地区の指定及び改良住宅の建設ということを進めていただくということで具体的に協議を現在進めておる状況でございます。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの報告の中で、牛込支会の代表者というのは中野四郎氏のことを言うわけですね。  それから、東京都と話を進めているようですが、直接これは国有財産局と東京都との折衝に移されているのか、話はどこまで進んでいるのか、その可能性及びその見通しという問題についてお伺いしたい。
  78. 松永勇

    説明員(松永勇君) 代表者というのは中野四郎氏でございます。  それから、東京都のほうとは、東京都の住宅局でございますが、住宅局とは、ずっと前から連絡をとりながらやっておりますが、この方針を立てまして具体的な問題をいま折衝しておりまして、事務的には、もうその話に入っておると思います。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 その中で、ここに居住しておる人たちの要望としては、現状とあまり条件が違わないように、できるならばいままでの既得権を認めてほしい、こういうような要求があるわけですが、そういうことも考慮に入ってこれは進められておるわけですか。それから見通しとしては大体いつごろにこの問題解決できますか、その点はいかがですか。
  80. 松永勇

    説明員(松永勇君) 私のほうとしては、先ほど申しましたように、改良住宅地区に指定するということを希望して、東京都にそのような措置をお願いしておるわけですが、改良住宅地区に指定されて、改良住宅が建てられるということになりますと、その補助も、非常に高い補助の第二種公営住宅というものがそこに建てられる。それから土地につきましても、私のほうとしては非常に安く東京都に譲れるというような方法もございます。そういう点で、低家賃の住宅が建てられるという方向になるわけでございまして、あと、具体的にどの程度の家賃になるかということは、東京都が従来の取り扱い方針によってやるわけでございますが、私のほうとしましては、できるだけ低家賃で現在の方々がはいれるようにということを要請し、そのように進めてまいりたいと思います。なお、この地区に住んでいる方で希望される方は、全員この地区にはいっていただくという方向で東京都と話し合っております。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、委員長に要望したいんですが、ここまでも進んで小委員会のほうで鋭意努力されておるんですから、そちらでけっこうですけれども、東京都をやはり呼んで、そうしてその条件についてやはり検討して、この問題を一日も早く解決するように努力をしていただきたい。小委員長も見えておりますから、特に要望したいと思います。それではその点けっこうです。  次に、お伺いしますが、先ほど森脇の問題で質問があったのですが、三十七年度、三十八年度、三十九年度の脱税の額ですね。先ほどの国税庁からの答弁はそうなっております。しかし、延納の有効期間というのは五年というんですね。そうしますと、三十六年、三十五年の分については、これは調査が進んでおるのか、この二点について、銀行局並びに法務省刑事局長はどの点までタッチされておるか。すでに発表されたのは、これは三年にわたる脱税だと思うんですが、この点について、なお追調査がなされておるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  82. 津田実

    説明員(津田実君) 株式会社森脇文庫に関する脱税につきましては、昭和三十七年の二月以降昭和四十年の一月三十一日まで、要するに三年度にわたりまして合計三十八億五千二百三十八万八千八百六十円というのが脱税の総額でございます。これにつきまして、さらにその年度前の問題はどうかということでございますが、この法人税法違反につきましては公訴時効が三年であります。したがいまして、公訴の時効の範囲内ということになれば、もう一年度ぐらいはさかのぼり得る可能性はあるわけでありますけれども、その点は、いろいろな証拠関係その他の関係もありますので、ただいまのところは、それ以前の問題については、調査はいたしたとは思いますが、脱税の存否あるいは脱税として起訴するやいなやということについては、まだ最終的にはきまっておりませんが、現段階においては、まず、この三年度で十分刑の目的も達し得るというふうに判断いたしておりますので、それ以前の問題は、むしろ刑事手続の技術上の問題として、あるいは不問に付するということになったのではないかというふうに考えている次第でございます。
  83. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) ただいまの点にお答えを申し上げます前に、たいへん恐縮でありますが、一言御了承を得ておきたいのですが、先ほど岡委員の御要望で、戦後の一千万円以上の脱税についての調査の資料を提出いたしますように御返事を申し上げましたが、事務的にいま検討させましたところ、一千万円以上になりますと、非常に数量が大きなものになりそうであります。したがって、御要望の時期との関連で、御要望の時期までに出せます程度に岡委員の御納得のいく数字を出すことでひとつ御了承願いたいと思います。  それから、いま岩間委員の御質問でございますが、お話のとおり、起訴になり、更正決定をいたしておりますものは三年間のものでございます。起訴のほうは三年間でありますが、御承知のとおり、課税のほうは時効は五年間でございますので、私どもといたしましては、検察当局から引き継ぎを受けました資料その他を調査いたしまして、ただいま三年の前の二年間の課税について鋭意調査をいたしております。特に五年前のものがこの九月までで時効がまいりますが、その時効の来るまでに、その年度のものは急いでやりたいということで、ただいま調査を続行している途中でございます。
  84. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) ただいまの岩間委員のお尋ねで銀行局の関係についてお答え申し上げますが、いわゆるこの特利預金につきまして、三十七年以前の分まで実は調査はいたしております。ただ、先ほどお答え申し上げましたように、三十七年の六月に特利の自粛通達というものが出されまして、その以後、一定期間内にこれをすっかりきれいにするという厳重な措置がとられたわけでございますので、先ほどは三十七年以後の分について特に申し上げた次第でございます。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、調査がもっと進めば、当委員会にも報告されるものと思っているのですけれども、巷間に、すでに起訴部分は六十二億ですか、それに対しまして、さらに二年分を加えれば八十八億くらいな膨大なものになるだろう、こういうふうに言われているのですが、この点について今後報告をほしいと思います。  私は総体的にお聞きするのですが、これは、検察当局から指摘されてはじめて国税庁がこのことについて調査を開始したというかっこうになっているのですね。これは非常に不面目な問題だと思うのです。これは、先ほどから岡委員も、何回もことばを重ねて言われたのですが、全く、国民の間ではとことんまでやられて、過酷なほどやられている。もうこの問題が非常に深刻になっているときに、これが国民の納税意欲について、どういうような影響を持っているのか。この点は、一体国税庁としてどういう反省を持っているのか。大蔵大臣にも実は聞いておきたいと思う課題だけれども大蔵大臣いないので、これはどうなんでしょう。この点について総体的にお聞きしたい。
  86. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お答え申し上げます。  お話のように、今回のいわゆる森脇脱税事件が国税庁の手で処理できなかったことはまことに遺憾なことであったと考えております。  経緯を申し上げますと、森脇氏は、かねてから御承知のように滞納がございまして、その後、森脇氏個人並びに森脇氏の主宰していると思われます会社が十数社あるわけでありますが、それらの納税状況等について、国税庁当局と申しますか、税務署において非常に疑問を持っておりました。昭和三十七年に日本橋税務署におきまして特別の調査を実施いたしまして、相当な日数をかけて調査をいたしたのでありますが、もともと調査の協力は得られない。のみならず、先ほどからお話の出ましたように、貸し金業という特殊な業態でありまして、いろいろな原材料を仕入れ、工場その他を持って物を生産しているというようなものと違って、外形にあらわれない業態であります。特に、もともと隠すつもりで、手形の取引等もしない、現金取引をやるというような、非常に業態としての特殊性もあったと思うのでありますが、遺憾ながら、税務署の調査では脱税の端緒をつかむことができなかったわけであります。そこで、税務署では自分の手に余るということで、上級の官庁であります東京国税局に連絡いたしたのであります。東京国税局でもいろいろ判断をいたしまして、やはり普通の直税系統の任意調査ではこれは十分な調査はできないということで、査察で内偵を始めたわけであります。  この事件、あとからわかりました点で、非常に異例な事件であったと思うのでありますが、ごく限られた非常に少数の人に対して、まあ常識的に考えると考えられないような巨額な貸し付け金があるというような実態であったわけであります。したがって、査察系統で内偵をいたしまして、通常の場合には、反面調査と申しておりますが、貸し金業の場合でいえば、貸し金をしている相手方、借り手のほうの調査から何かが出てくるのが通例でありますが、この場合、非常に特殊の限られた人であったこと、あるいは借りている人が森脇から借りておるということを非常に隠匿をしておるというような事情が重なりまして、調査はかなり困難であったわけであります。しかし、まあある意味で執拗に追っておりました結果、昨年あたりになりまして、森脇氏関係のものと思われる架空預金を相当の額をつかむに至っておったのであります。  そういう状態でありましたわけでありますが、それじゃなぜすぐに着手しなかったかという御疑問が起こるかと思いますが、単に相当額の預金があるということだけでは、一体それが森脇関係の所得であるのかどうか、さらに、十数社ありますどの法人に所属するものであるか、また進んで、どの年度の所得に帰属すべきものであるかというような点がある程度はっきりいたしませんと、査察に踏み切るわけにはまいらなかったわけであります。それからもう一点は、過去に森脇氏について査察をいたしまして結果的に証拠不十分で失敗をした例を持っております。そういう意味からも、なお証拠固めをしたいということで事務を進めておったわけであります。それからまた、一部の事実だけをつかみまして、いきなり査察に着手をいたしましても、御承知のとおり、査察は強制捜査はできますが、身柄拘束というようなことはできないたてまえでございます。したがって、一部のものをつかんだだけで着手をいたしました結果、大部分のほかのものを隠滅をはかられるというようなおそれもある。したがって、もう少し調査をしたいというようなことで調査をしておった段階であります。そこに、五月に御承知のように恐喝未遂というようなほかの事件で森脇氏が逮捕され、身柄拘束して捜査中に、脱税の事実が明らかになったという経過であったわけであります。そういう意味で、国税庁としても、何もしなかったということではなしに、できるだけのことをしておったと判断できるのでありますが、ただやはり、結果的に見まして、先ほども申し上げましたように、国税庁の手でこれが処理できなかったそういう点は非常に遺憾なことであったと思います。  おっしゃるように、一般の納税者に対して、非常に大口のものについて手抜かりがあって、小さい正直な納税者に対してだけつらく当たるのではないかというような印象を与えましたことを、私どもたいへん遺憾に、残念に思っております。今回の事件検討反省をいたしまして、先ほども申し上げましたように、やはり大口の脱税者についてなお一そう体制を強化する必要があるということから、国税庁といたしましても、部内的にそういう体制を強化いたしますと同時に、先ほどもお話が出ましたように、金融機関になお一そうの協力をお願いするというようなことで、こういう事件が二度と起こらないように、ぜひ体制を建て直すと申しますか、なお一そうの改善をはかりたいと考えておるわけであります。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、体制建て直しというようなことですね、むろんこういう問題を捕捉するためには絶対必要ですが、これがただ機構的に強化されて、その飛ばっちりがどこに行くかというと、徴税の強化というようにいく点で、これは国民が非常に心配しているのです。この点については、当然これは考慮を払われなくちゃならない問題だと思います。私は、この森脇問題については、非常にやはりルーズでなかったかと思う。  第一にお聞きしたいのですが、森脇は、二十三年にも一億何がしかの脱税があるわけです。この処理はどうなっているのか。
  88. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お尋ねの森脇氏について、二十二、三年のころに、脱税と申しますが、課税に対して滞納が起こりまして、約一億のものでありますが、その際に、その滞納の税を確保する意味で財産の保全措置をとりましたわけでありますが、そのときに押えられました財産は、ほとんどが貸し付け金債権であったわけであります。そこで、その貸し付け金債権を押えまして、極力取り立てに努力いたしたわけでありますが、貸し付け金債権でありますために、貸し付け先の者がその債務を否認をする、あるいは貸し付け先が倒産をする、そういうような事情が重なりまして、まことに遺憾なことでありますが、貸し付け金債権が、ほとんど現実にとれないという状態に終わったわけであります。したがって、その一億に対しまして、現在までに収納し得たものは一千万円弱というような結果に終わっておるわけであります。今回の財産の保全処分の中にも貸し付け金債権が相当額あるわけでありますが、これについても、先ほど申し上げましたように、そういう意味で、貸し付け金債権については、かなりいろんな問題が今後起こってこようかと考えております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 つまり、非常に巧妙なトリックにひっかかったと言ってもいいですね。それからやはり、これに対するやり方が非常にルーズじゃないかというふうに考えられるわけです。今後の問題で、その後の、例年の申告所得があるわけでしょう。これについては資料を公開できませんか。これについて、一体いままで国税庁は更生決定をやったのかどうか。ただ言いなりほうだいに森脇の申告を認めて、そのままでやっておったのか。これは技術的に非常に重大です。あなたたちのいままでやってきた徴税のやり方について私は検討する必要があると思うのですが、第一に、ここの窓口は日本橋税務署ですか、ここではどうなんですか。更生決定というものをやったことがあるのですか、ないのですか、どうですか。
  90. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お答え申し上げます。  御承知のように、税務関係は非常に強い権力と申しますか、を持って調査をいたしております関係上、われわれが職務上知り得た秘密、具体的な個人の秘密についての守秘義務というのは、一般公務員の守秘義務よりも強いことになっております。したがって、一般的に税務調査の個々の具体的な事例については、国会においても従来具体的に申し上げることをお許しを願っておるわけであります。ただ、今回の森脇事件のお尋ねの点について大体のことを申し上げますと、先ほど申し上げましたように、税務署において、かなりの疑問を持って特別調査をしながらも、脱税の端緒をつかみ得なかった。国税局に移して、査察の内偵をしておって、ある程度のものをつかんでおったが、査察に踏み切るまでには至っておらなかったというのが事実でございます。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、詳しい書面でなくてもいいのですが、たとえば、三十七年にどういう申告をやっていますか、森脇は日本橋税務署に対して。それから三十八年、三十九年、これはどうなんですか。こういう資料は、いまここで答弁ができなければ、どうですか、資料として要求してもいいと思うのですが、こういう問題は。
  92. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) ただいまお話し申し上げましたように、従来から、税務の個々の具体的な人の問題につきましては、国会においてもお話しいたしかねるということでお許しを願っておりますので、ひとつ御了承を願いたいと思いますが、その申告の金額については、御承知のように、制度的に、五百万円以上の申告がありましたものは公表をいたす制度になっておりますので、これは差しつかえないと思いますが、それ以外のものはひとつお許しを願いたいと思います。ただ、今回問題になりました森脇氏個人、その他十数社の中で森脇文庫という会社自体について申し上げますと、赤の申告が出ておりました。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 赤の申告だから、五百万円以上にこれはならぬ、したがって、ここには公開できない、ということになりますか。
  94. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) いま五百万円と申し上げましたのは個人の所得税の場合の制度でございますが、その他のものについては申し上げないたてまえになっておりますが、ただ、具体的に問題になっております森脇文庫は、ずっと赤の申告であったというだけを申し上げたわけでございます。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 更生決定をやったかやらないかという問題について御答弁なかったんです。つまり、日本橋税務署、それからさらに東京国税局ですか、これについて、更生決定をやったのかやらないのか、この点、はっきりしてください。
  96. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 先ほども御答弁いたしましたように、税務署でも脱税の疑いを持ちながら端緒をつかめなかった、国税局におきましても査察である程度の端緒をつかみながら、これも査察に踏み切るまでに至っておらなかった、したがって、更生決定をいたしておりません。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点について疑惑が非常に高まっているわけですけれども、この疑惑を持っておった、しかし、調べればある程度調べることができたわけですね。そういう努力はどの程度されたんですか。私は、疑惑を持っておって、ある程度知っておったけれども、これを調べることが非常に困難な背後の条件というものがあったんじゃないかというように考える。つまり、権力のこれに対する影響、あるいは政界のこれに対する圧力、こういうものが考えられる。ことに、吹原産業との事件の問題が端緒になって、このたびの事件というものが明らかにされておる、御承知のように。そうでしょう。恐喝事件から端を発して身柄が拘束された。それをもとにして今度さらに脱税問題に発展しておるんですね。考えてみるというと、この五年間というのは、ちょうど池田内閣の時代だ。ちょうどこれにひっかっている。そうして、あの吹原産業事件というものは非常に大きな問題になりました。昨年の総裁選挙をめぐる資金の問題として、これは大きな問題になった。それについては関係がないんだというような結論が出されつつあるようだけれども、しかし国民は納得をしていないんです。そういう体制の中で、やはりこの脱税事件というものは関係がないのだろうかどうだろうか。この政界の圧力問題というのは、非常に私たち重要な課題だというふうに考えるんですが、国税庁の運営そのものが、そういうふうに権力の支配によって左右されるという、そういう実態があるのかないのか。そう聞いても、あなたは、ないと言うにきまっておるだろうけれども、しかし、非常に国民は疑惑を持っておるんです。この点どうですか。
  98. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 先ほど、岡委員の御質問に対してお答え申し上げた中にも申し上げたのでありますが、今回の事件が起こりまして、国税庁の直税部長を長といたします特別の調査班を組織をいたしまして、かなり綿密に、従来からの課税の経緯その他を本庁において調査をいたしました。その結果、ただいま岩間委員からお話のありましたように、そういう意味の干渉と申しますか、そういう意味の考慮は全然入っておらなかった。それは確言できます。
  99. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記を始めて。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、ここの指摘事項にもあるわけですけれども、申告所得の徴収不足が指摘されていますね。三百七十七件で二億二百三十四万円、これは指摘事項なんですけれども、この申出所得で更正決定されるのは、件数にしてどれくらいになりますか、パーセンテージにして。大体の統計は出ていますか。
  102. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 全体で更正決定をいたしました率というものは数字をとっておりませんので、ちょっとお答え申し上げかねます。ただ税務署なり局なりで実際に調査をいたしました——実調と申しておりますが、実調をいたしましたものに対する更正決定の割合は、たしか七割見当ぐらいあったと思います。やや不正確でございますが、大体そういう見当だろうと思います。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 件数ですか、額ですか。
  104. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 件数でございます。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体の数はわかりませんか、どれくらいか。概算でいいのです。
  106. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) ただいま私、実際に調査したものに対しまする更正決定の割合を申し上げましたが、ここに法人の申告件数に対する割合の数字がございましたので申し上げます。  大体三十五年から三十八年までの数字で、申告法人数に対しまして、更生決定をいたしました件数の割合が三〇%ないし三七、八%となっております。件数で申し上げますと、三十八年について申しますと、申告を要しまする法人数が約七十五万、それに対しまして更正決定をいたしました数字が約二十二万でございます。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかも、これは何か資料があればほしいのですけれども相当零細なものが多いのじゃないかというふうに思うのですね、中小の場合。なぜかというと、さっきの森脇のような膨大で、これはとてもつかみかねる。小さいのは、もう非常に簡単に捕捉できる。そういうようなことから、更正決定される。こういうふうになると思うのですが、これはできたら資料のほう、金額別で、大体大きいところでいいですけれども、これは出してもらいたいのです。それで検討したい。それはおそらく中小企業にきていると思うのです。更正決定について、この更生決定の理由というものを、該当者がこれを求めた場合には、これをあくまで詳細に説明をすると、そういうたてまえになっておりますか。あるいはもう、一方的に更正決定をして、その内容については一切タッチしない、つまり天下り式な更正決定になっておりますか、この点基本的な国税庁の態度としてお聞きしておきたいのです、どうなんです。
  108. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 、更正決定をいたします場合に、理由をどういうふうにすることになっておるかというお尋ねでございますが、御承知のように青色申告、そのほかの白色、白の申告制度、両方あるわけですが、青につきましては記帳義務がありますと同時に、逆の面だと思いますが、更正決定をいたす場合には、必ず理由を付記しなければならないという制度になっておるわけでございます。白のほうは、そういう制度にはなっておらないわけであります。ただ更正決定をいたしますわけでありますから、どういう理由でということは、御納得のいくようにある程度のお話をすることは当然でありますが、制度的には青のほうは更正決定の理由を付記する義務がある。白のほうは、そういう義務は制度的にはないということになっております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると天下り式に、一方的に更生決定をやる、この理由を聞きに行ったけれども、まあ言う必要はないというようなことで突っぱねるというようなやり方は、これは国税庁がとっていない。はっきりそういうふうに方針を確認してよろしゅうございますか。
  110. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) ただいま申し上げましたように、白のほうの申告について、更正決定をいたします場合には、大多数の方々には御納得のいくような.更正決定の理由を説明を申し上げておると思います。ただ非常に税務調査に協力をされない、全然協力をしていただけないというような方に対しましては、抽象的なことで申し上げておるという例があると思います。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、私たちいろいろ聞いておりますけれども、ことに民主商工会なんかに対する態度については、いろいろ問題になったと思います。大蔵委員会なんかでも問題になった。これは江戸川の例ですけれども、八月一日に江戸川に住む内山某という方が三十八年、三十九年、二年間更正決定が出された。これは営業所得の自主申告をやったんですが、百十万円の申告、これが二百五十八万円に更正決定された。百四万円——これは三十九年度、これが二百六十九万円に更正決定された。これについて五回にわたって面会を求めて、そうしてその理由をただしたのだけれども、全部面会を拒否された。そうしてあくまでも異議申請をしろと言うだけで、全く説明に応じなかった。こういうような態度を現地でとっているわけですね。こういう事態は、しばしばわれわれが耳にするわけであります。これはほんの一例にすぎないわけでありますが、こういう態度でこれはいいんですか。これは先入見から、先から予見をして、そうして納税に協力をしないのだというような予見に立ってこういう突っぱね方をやり、そうして何か不利な目にあわせているというような感じが持たれるんですが、このような態度を国税庁としてとっているんですか、とっていないんですか。どうですか。
  112. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) ただいまお話になりました具体的事例につきましては、私十分承知いたしておりませんのでお答えいたしかねますが、一般的に申し上げまして、先ほど申し上げたように、こういうことを申し上げることは全くむだなことだと思いますが、要するに現在の、戦後の納税制度は自主申告の税制度でございまして、納税者がみずからいろいろなことを申告されて、それに対して納税をされるたてまえになっているわけであります。したがって、納税者のほうで全然記帳もないし、申告のほうについても協力が願えないというような場合には、税務署のほうも、必ずしもその全部の理由を申し上げかねるというようなことがあるかと思います。
  113. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 岩間委員、簡単に願います。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは白色申告の場合ですね。この理由を青色申告の場合のように明示しないということで、それをたてにしてこの理由が非常に不明確である。それから一方的に押しつけられるという例が非常に多いんですが、これは方針としては、そういうことじゃないんでしょう。明らかに理由を明確にして、納得のいく納税、こういう方針大蔵省はとっているんじゃないですか、どうですか。白色申告の場合に理由を明示する、それに努力をするというのが本来のたてまえだと思うんですが、そう解釈してよろしいですか。
  115. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) おっしゃるように、白色の場合でも、大多数の方々については御協力もいただいておりますし、こちらも理由を申し上げて、円満にお話し合いで納得されて事が行なわれていると思います。ただ、非常に特殊な例外的な場合として、納税につきましての調査、税務調査その他に全然御協力が願えないというような場合に、多少例外的なことが起こっているということだと思います。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは例外例外と言うんですけれども、その例外をたてにして、実際ある種の団体にそのような圧力を加えているという事態が、これは起こっていると思います。東京では中野とか、墨田とか、そういうところでずいぶん問題を惹起したんですね。頭からそういう予見をしてやっているのと、それからもう一つは、更正決定の場合に、もう推定で何割増しということでこれは頭からぶっかけてくる。根拠がどうも薄弱だ。そのために理由を説明することができない、こういうのが実際の場合じゃないかと思う。こういう態度をとっているんですか、国税庁の態度としてはどうなんですか。
  117. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) 非常に例外的な場合に、自主申告でありながら、税務調査に全然御協力が願えない、そういう場合には、ある程度こちらで調査をいたしましたものを基礎にして更正決定をいたすということに相なるわけであります。したがって、やはりわれわれとしては、ぜひひとつ大多数の人と同じように、自主申告納税制度のもとにおける税務調査には、御協力を願って、円満に納税をしていただくというふうに考えておるわけであります。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はなぜこのような非常に特殊な問題のように見える問題をあげているか、しかし、特殊な問題ではない、実際は数としては非常に多く行なわれている、全国的にそういうことが、最近あなたたちの思い及ばないようなことが末端のところで行なわれている事実があります。すでに徴税のやり方は、一方でピストルを持っているような、そういう脅威さえ与えています。警察よりこわい、こういう気持ちを持っておるそうであります。そういうところだけただしておいて、そうして森脇のような全くはおかぶりして、何年も放置された、検察庁の指摘がなければ、これについてほとんど、手を入れることはできなかった、国民はこれは納得するだろうか。この二つの問題を私が出しているのは、今後の徴税の方針について深刻に反省するところに来ているのじゃないかというふうに思うのです。しかも、一方では祖税特別措置法その他のやり方で、これは大資本についてのいろいろな特典があることは、これは国民はみな知っています。これだけでも膨大なものでしょう。そのしわが今度は全部中小のところに来ている、とことんまでいっている。源泉の場合の労働者の場合は、これは話になりません。これは全く情け容赦もない。中小企業の場合も、いまのような、更正決定でどんどんとことんまでやられる。結局は大企業のほうは等閑視され、法的に擁護されているだけじゃなくて、さらにこれに伴うところの大きな脱税が、実はむさぼりまかり通る、その背後には、権力の擁護さえあると考えられるふしがある、そういうかっこうで、一方では擁護されている。租税の公平とかなんとか言いますが、小さい公平だけは……しかし、大きな公平は失われているというのが、いまの徴税の基本的態度ではないですか。私はこういう点から、森脇事件というのは、単にこの事件の内容、このことも非常に重大でございますが、これと関連して、徴税の根本方針について明確にするときが来ているのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、この点について、これは国税庁長官並びに次官のこれについての検討を今後どうする、この所見を伺って私の質問を終わりにします。
  119. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) お話の点につきまして、税制自体が不公平であるという趣旨の御質問に対しましては、これは私どもの知る範囲以外の問題、むしろ国会の問題かと思います。ただ、現在あります税制のもとで、課税の公平をはかることは、これはまさにわれわれの使命であると考えております。そういう気持ちで私どもといたしましても、お話しのように大口のものに主力を置くべきであるということは、従来からそういうつもりでやってきたわけであります。たとえば非常に大きな資本金のものは税務署のようなところにまかせないで国税局でやるたてまえになっていますし、そのほか実際に調査をいたします実調率の問題、調査日数のかけ方の問題、その他すべて大口のものに重点を置くたてまえでやってきているわけであります。ただ、お話しのように森脇のような事件が出ましたことは、先ほどから申し上げましたようにまことに遺憾だと思っておりますが、私どもといたしましては、従来どおりの大口のものに重点を置くという方針を、なお一そう補完をいたしまして完全なものにしてまいりたいと考えております。お話しのように小さいところに主力を置いて、そこから徴税強化をやるというような気持ちは、毛頭持っておりません。
  120. 竹中恒夫

    説明員(竹中恒夫君) 今朝来議論を拝聴いたしておりましたが、要するに、租税負担の公平ということについて非常に欠ける点が多々あったということでございます。弱い者、零細な者、正直者はばかをみる、呑舟の魚が網をのがれるという結果につきまして、非常に強い御意思のもとに、税制上の運営の反省を求められたわけであります。御承知のように、率直に申しまして、現在の税務行政の上から申し上げますならば、徴税官の人員がきわめて不足している、あるいはまた職員の資質の向上も早急に期さなければならぬ、また御指摘のように、各部局の連絡等につきましても、今後十二分な創意くふうを重ねなければならぬと、かように考えておるわけでございまして、今後十二分に関係当局とも協議いたしまして、御指摘のようなことが今後起こらないような一つの成案を得たい、かように考えておるわけであります。いましばらく時間をおかし願いたい、かように思うのでございます。
  121. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいまの制度の問題、これはいま国税庁長官のお話しのように、われわれとしてもこれは知る範囲以外のもので、ただ制度内で課税処理が適正に行なわれているかどうか、これについてのわれわれ検査をやっておるのです。われわれの検査自体、課税処理の適否ということで、実際の逆用としましては、取引の資料、こういうはっきりしたもので、これは漏れておるではないか、あるいはまた税法に従って処理がされておるか、これがわれわれの検査の着眼でございます。そういったことで、われわれは今後十分検査してまいりたい、従来もそういう目でやっておるのでございます。今後ともそういう……。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 森脇事件のようなことについての会計検査院の所見どうです。
  123. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいま申しましたように、われわれの検査は、疑わしいから面接調べるという、そういう税務調査の権限はございません。したがいまして、税務署の課税処理が行なわれまして、それについて法令どおり行なわれておるかという目で見ておるのです。いま申しましたように、われわれの検査は、きっかけといいますか、それははっきりした取引の資料、こういうものが実は検査の手引きになっておるのです。そういったことで、いまの森脇事件につきましては、そういう取引先の資料とか、そういったものがわれわれとしてはいままでつかめなかった。そういう関係でございまして、また今後もなかなかそういうことが明瞭にならぬ限りは、こういう事態の検査は、非常に困難ではないかと考えております。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に要望して終わります。国税庁長官、この江戸川の例は、これは何か協力をしなかったからというお話でありましたけれども、そうでない事態がたくさん起こっているのです。私は、江戸川の問題ひとつ現地で調べてほしいのです。その結果を報告してもらいたい。  それから、こういうような、確かに行き過ぎですよ、五回も会わない、それから拒否するとか、こういうものについては、はっきりやはり行政指導すべきだと考えるのですが、この点について伺っておきたいと思います。どうですか。
  125. 吉岡英一

    説明員(吉岡英一君) いまの具体的な事例については、私どもといたしまして調査をいたしたいと存じます。なお、岩間委員にその結果をお話し申し上げたいと思います。
  126. 相澤重明

    相澤重明君 政府三公庫に対する質問をするわけでありますが、参考人総裁並びに理事長の方方に、たいへん長時間お待たせいたしましてまことに恐縮でございます。資料を出していただきましたので大体わかりました。そこで、ただ資料の中で考えられることは、国民金融公庫中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、それぞれの申し込み件数、貸し付けの状況というのを拝見いたしますと、いかに現在中小企業の人たちが苦労しているかということがわかるわけでありますが、これに対する貸し付け状況の中では、まだ不十分だという考えを私は持つわけです。そこで、端的に申し上げて、国民金融公庫の三十八年度から四十年の第一四半期までの貸し付け状況、中小企業、商工中金、こういう点についてそれぞれ総裁理事長から、現状をどうしたならば救済ができるのかと、こういう点をひとつ御説明をいただきたいと思うんです。  それからいま一つは、特にこの国民金融公庫の中の、いままで延滞がある、その王様と言われるのが、結局は、この資料を拝見をいたしますというと、引き揚げ者国債担保貸し付け、あるいは更生資金の貸し付けということになっておるわけであります。これらについて、それぞれ別な取り扱い方で国民金融公庫は貸し付けを行なっておるのでありますが、特にこの引き揚げ者国債担保貸し付けのいわゆる延滞が非常に多いということで、いつまでたっても問題が解決をしない。しかし、政府考えでは、いわゆる十年間のものが、さらに五年あるから、それを利札をもって返済をさせればよろしいということになっておるようでありますが、現実には、こういう生活困窮者に対しては回収不能というような考え方で、終戦処理としてすでにこれは終止符を打つような段階にはないのか、こういう点も考えられるわけであります。そこで、会計検査院は、これを検査をした場合にどういう実態であったのか、それを御報告をいただくと同時に、公庫の立場と、今度は銀行局とで、いわゆる三公庫に対するところの利子の問題をどうするのか、こういう当面の問題もあると思います。そういう点をひとつそれぞれの立場で御報告願って、本日、私は終わりにしたいと思う。でありますから、最初に、総裁理事長から、それぞれ現状についての御報告、今後の見通しをお話しいただき、それから、特に国民金融公庫の貸し付けの延滞の多い、しかも戦災処理とも言われる更生資金の貸し付けの問題、これについては、戦後処理をどうするのか、あるいは会計検査院実態調査をした場合どうなのかということを、ひとつそれぞれ御報告いただきたい。最後に銀行局長から、これら中小三公庫に対するところの金利の問題について、当面どうしていくのか、政府も発表したようでありますが、御説明をいただいて私は終わりとしたい。以上でありまます。
  127. 石田正

    参考人(石田正君) お話の点の第一点でございますが、三十八年度から最近に至りますところの国民金融公庫の貸し付けにつきましての話をまずさせていただきたいと思います。  先生御承知のとおりに、大体われわれのほうの資金計画、貸し付け計画というものは、いずれも年度当初におきまして一応の決定はございまするけれども、しかしながら、その年度内の状況に応じまして弾力的に調整していただくということに相なっております。それによりまして、三十八年度におきましても、三十九年度におきましても、いずれも資金の追加があり、貸し出し規模の増加を伴って現状に至っておるわけであります。本年度状況でございますが、実は昭和四十年に入りまして、一月以来、第一四半期におきまして非常に異例な事態が起こりました。と申しまするのは、われわれのほうの申し込みというものは、もう始終、前年度の実績に対しまして増加していくという状況でございます。それが昭和四十年になりまして、大体前年横ばいというような現象が起こったのであります。このことは非常に注目すべき事態でございまして、われわれのほうもその状況をよく調べてみたのでございますが、要するに、不況感が徹底いたしまして、そしてわれわれのお取り引き先の方々が前向きに資金を借りるということをちゅうちょされるに至った、こういう実態であろうと思います。それから昭和四十年度、すなわち、この四月からあとのことでございまするが、これも四月のうちはまだ前年度と同じような状況でございまして、われわれは非常に心痛しておったのでございますけれども、月を追うに従いまして、だんだんと対前年度の申し込み率の上昇というのが見られるようになったというのが現在の状況でございます。他面、そういう状況が現実にわかります前におきまして、われわれといたしましては、昭和四十年度の第一四半期をどういうふうに資金的に見、それからまた貸し付けを行なうかということにつきましては、特に経済が異常であるということにかんがみまして、政府に特段の資金手当てをお願いいたしたいわけでございます。その結果といたしまして、五百三十億の貸し付け額というものを普通貸し付けにおいて契約いたしたのでございます。ところが、前段に申しましたぐあいに、四月——九月が低調でありましたために、実際の処理といたしましては、四百九十億ぐらいの貸し付けを追加資金においていたしまして、結局四十億くらいの資金を、第二四半期に待ち込む、こういう状況に相なっております。第二四半期は、現在進行中でありますけれども、七月、八月となりますると、だんだんと申し込みも回復してくる、こういう段階になるかと思っております。第二四半期につきましては、五百三十億の貸し付けを予定いたしておりまするから、したがいまして、これでカバーできると思いますけれども、なお、申し込みの多い場合には、繰り越しました四十億も使いまして事態に対処いたしたい、かように思っておるわけでございます。そういうわけでございまするので、大体第一四半期、第二四半期につきましては、問題なく推移するのではないかというふうに資金的には思っておりまするが、ただ問題は、大体昭和三十九年度におきましては、普通貸し付けにおいて千九百九十七億の貸し付けをいたしたわけでございます。ところが、ことしは、計画できまっておりますのが二千百五億ということになっておる。そこで先ほど申しました第一四半期の四百九十億と、第二四半期の五百三十億とを足しまして、そのあと残り第三四半期、第四四半期にどのくらいの貸し付けができるかという数字を見ますると、千八十四億ということに相なります。ところが、三十九年度におきましては、第三四半期、第四四半期におきまして、千百九億の貸し付けをいたしておるわけでございます。こういうことから見ますると、やはり第三四半期以降におきまして、やはり資金の問題につきまして政府にお願いをしなければならぬかと、かように思っておる次第でございます。  それから更生資金の問題でございまするが、これは実は私のほうといたしましては、この制度自体がもうすでに有効性を失っておるとわれわれは事務的に考えましてこれをやめさしていただきたいということを、もうかねがね政府のほうへお願いいたしておりまするが、これは率直に申しまして厚生省の御関係がございまして、やめることは相ならぬということで続いておるというのが実情でございます。なお、大蔵省のほうにつきましても、われわれと厚生省との間に立ちまして、いろいろあっせんをお願いいたしておるわけでございますが、まだそのあっせんが実らない。しかし、これもできるだけ早く片づけていただきたいということを書面でも申しますし、口頭でもお願い申し上げておるというのが実情でございます。  それから引き揚げ者国債担保貸し付けについては、普通貸し付けと違い、大体その後のそういう貸し付けの場合のように、国債の元本、利息の償還あるいは付札、利札の範囲で返すということでお貸しすればよかったと思っております。ところが、この引き揚げ者国債担保につきましては、要するに半分半分ということをやりましたので、半分半分になっておりますが、これはお借りになりました方々につきましては、お貸しいたしました金を使っておられるのでありまして、あとは国債がおのずから片づく、こういう問題であろうかと思うので、これは時間がかかりますけれども、これはもう減っていく段階に相なっておる、かように思っておる次第でございます。
  128. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 国民金融公庫の三十八年度末におきます延滞が前年度に比べてかなり増加しておるということは、相澤先生御指摘のとおりでございまして、前年度に比べまして、金額において六億一千四百九十七万円、そのうちのその原因のおもなるものは、引き揚げ者国庫債券担保貸し付けによるものでございまするが、これにつきまして特に三十八年度末において増加いたしておりまするのは、ちょうど三十八年度に期限が到来するものが、三十三年度貸し付けのものでございますが、これが十一万四千件、金額にいたしまして三十五億四千六百六十三万円ということで、三十二年度の、つまりこれは三十七年度に期限の到来するものに比べまして、四千件ばかりふえておったということによって増加いたしておるわけであります。  それから更生資金の貸し付けについて見ますと、これは元金の延滞額が九万八千件、金額が十五億六千五十七万円でございまして、これもまあ年度末の貸し付け残高に対しまして、件数で言いますと九四%、それから金額におきましても九三%という高率になっておるわけでございます。それで、この処理状況につきましては、私のほうといたしましても、三十六年度以降検討してまいりましたのですが、ただいま総裁のほうから御説明ございましたように、これの廃止というようなことについても、いろいろ検討中であるというお話でございますので、それを見守りながら私のほうでも検査をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  129. 舟山正吉

    参考人(舟山正吉君) 中小企業金融公庫の最近の貸し出しの状況、それから今後の見通しといったようなものにつきまして御説明申し上げます。  不況下におきまして、中小金融につきましてもいろいろの特色が見られるのでありますが、その背後にあります中小企業の状況ということについて、私どもの見ておりますところを一言だけ申し上げますと、国をあげて生産調整の機運が非常に濃厚である。そういたしますと、比較的この中小企業に対しまする下請等の受注も少なくなってくる、また、大企業は、内部の合理化をはかるために下請系列会社の企業の選別ということをやり始めておるのであります。数多く下請系列を持っておりましたものを制限して少数にしていく、こういう動きもあります。それからまた国民全体が消費について非常に内輪目になったというようなこともございまして、こういうようなことで中小企業としましては、この受注の減少に頭を脳ましておるということが現下の最大の問題でございます。言ってみれば、中小企業の事業量が減ってきておるということについて悲観いたしております。これについていろいろ金融問題も起こるのでありまして、そういうような次第でございますので、この中小公庫の融資の面につきましても、この影響を受けていろいろの特色が出てまいっております。すなわち、中小公庫は、設備資金を中心とする長期の資金の供給を主たる使命としております。設備資金の新規需要につきましては、中小企業がきわめて慎重になっておる。まあいま設備を拡張してみても、従来の設備を稼働さすだけのことが念願である、それ以上に設備を拡張するというような意欲はきわめて弱い。もっとも、その中に合理化等の必要もあるわけでありますけれども、そういうような状況でございます。これに反しまして、運転資金のほうは、過去のいろいろの借金の重圧がかかってきておる。また生産調整をしようとすれば、いわゆる減産資金の需要もあるわけでございます。それからまあ過去の借金の重圧でかりに倒産等になりますればたいへんでありますから、その予防のためのいわば資本構成の是正の資金と申しますか、そういったような資金の需要もあるわけでありまして、これらの事情が中小公庫の業務に反映いたしまして、最近は、設備資金の需要が比較的停滞しておりまして、希望としては運転資金の需要が強いのであります。  それに対応いたしまして、本年度年度初めの資金計画を申し上げますと、今年度の貸し付けワクは千六百五十億円とおきめ願ったわけであります。この中には五億の投資育成会社に対する融資の分も含んでおります。この千六百五十億円は、去年に比べまして二〇%増しでありますが、本年度金融情勢に対処いたすために、上半期——第一、第二四半期に思い切ってこの半額を振り当てることにいたしたのでございます。すなわち、これは前年に比べますと、二六%増に相なります。  こういうことでやってまいりましたのですが、先ほど申しましたような事情によりまして、資金の借り入れ申し込みというものは、高度成長下においては、毎年相当の増加率を示しておったのでありますけれども、ことしを去年の同期に比べますと、金額で大体横ばいといったようなことでございまして、これはただいま国民金融公庫総裁のお述べになりました事情と同じことを示しておるわけであります。私どもの融資方針といたしましては、そういうことでございますので、運転資金の需要に対しては、法規とか、あるいは取り扱い方針の許します限り、これを出すようにいたしておりまして、その結果第一四半期におきましては、この貸し付けの二五%が運転資金に振り向けられた額になっております。昨年あたりの貸し付け残高で見ますと、運転資金は一〇%ぐらいしか出ておらなかったのでありますが、第一四半期が二五%になったということは、運転資金の供給に私ども相当力を入れたということとお考えいただきたいと思うのでございます。  そこで、次は将来の見通しでございますけれども、中小企業の気持ちは、七月に行なわれました景気振興対策やら、あるいは最近の株式市場の活発化に伴いまして、心理的に非常に生気を取り戻しておると申せるのでありますけれども、資金の獲得につきましてはきわめて深刻でございます。先ほど申しましたことのほかに、金融機関側において選別融資というような事情も起こっておる。優良な中小企業というもの、将来の見込みのある中小企業に対しましては、金融市場に金が余っておりますので、比較的容易に金が出ますけれども、少し疑わしいと思うものについては、なかなか資本を融資しない、こういうような面もあるのでありまして、こういうような際には、消極的にはそれらの企業の破綻を救い、積極的にはこれを近代化、合理化のほうに推進いたしますために、政府資金というものを相当活用しなければならぬであろうと思う次第でございます。  まあ資金量の問題につきましては、私どものほうといたしましては、本年度の当初決定貸し付けワクの半分を上半期に使いまして、年末その他年度中一番資金が要りますときについては、また政府にこの追加をお願いするという心組みで思い切って出したのでございますが、先般の景気振興対策におきまして、財投の追加も御発表になりましたし、秋口に景気がどの程度のスピードで回復してまいりますか、これによって中小企業の必要とします資金量もきまるわけでございます。それらを見合わせながら、年末には、資金不足の分を政府のほうに追加をお願いいたしましてまあ善処してまいりたい、こういう気持ちでおります。
  130. 北野重雄

    参考人(北野重雄君) 商工中金の状況を申し上げたいと思いますが、御承知のように、商工中金は、いわゆる半官半民の組合金融組織でございまして、したがいまして、中小公庫、国民公庫のように長期資金だけではございませんし、また短期運転資金も融資をしておるわけでございます。中小企業の最近の状況なり、資金需要の動向というものは、いま両公庫の総裁からお話がありましたとおりでございますので重ねて申し上げません。  ただ一言申し上げますと、やはり設備資金のほうは、こういう不況下でございますので、相当低調でございます。ただ一部の業種におきまして、最近だんだん合理化投資も出てきておりますので、今後はこういったものをもっともっと推し進めたいという考えを持っております。  それから運転資金の中でも特に需要の多いのは、いわゆるうしろ向きの長期運転資金でございます。設備投資のしわ寄せによりまして、運転資金が足りなくなったもの、あるいは生産調整、あるいはまた倒産防止といったようなことのための長期の運転資金がほしいという向きが非常に多いのでございます。したがいまして、これにはもうできるだけ前向きに取り組んでおるわけであります。それから短期運転資金は、いまも舟山総裁のお話がありましたように、一般的に生産量なり取り扱い高が停滞しておりますので、まず横ばいというような状況でございます。  商工中金の昭和四十年度の貸し出し計画といたしましては、当初計画といたしまして、年度間に六百二十五億、これは純増でございます。貸し出し残高が年度間にそれだけふえるわけでございます。この計画でまいっておりますが、政府のほうからのお話もございまして、特に本年度は、そのうちの五割強の三百十五億を四月から九月までの間に貸し出すという方針でせっかく努力をいたしております。そういたしますと、年度間を通じまして、はたして六百二十五億で足りるかという問題があるのであります。これはおそらくこれではとうてい足りないだろうと思います。そこで、どうしてもこの秋ごろには貸し出し計画も調整いたしまして、さらにもっと貸し出し規模をふくらませるようにしなければなるまいと思うのであります。ただ私どものほうは、両公庫と異なりまして、政府資金だけではございません。商工債券の発行によりまして相当民間資金を動員しておるわけでありますから、その自己調達面で最善の努力を払いまして、なお足らざる分が生じま、した場合には、政府財政資金で毎年やっていただいておりますように、秋ごろに追加をしていただくというふうにお願いしたいと考えておるわけであります。  大体の貸し出し方針といったものは、いまも触れましたけれども、こういう際こそ中小企業の不況打開、さらには将来への安定成長のためのお役に立たなきゃならないという考えのもとに役職員一同張り切って貸し出し促進に努力をしておるわけであります。特に設備投資につきましても、業界ではあまりに萎縮し過ぎておるという感じもいたしますので、業種にももちろんよりますけれども、ほんとうに合理化投資をやるべきものは、むしろこういう際にやりまして、そうして将来への近代化の基礎を築くべきじゃないかということで、業界のほうにも働きかけておるわけであります。また、先ほど一言いたしましたが、長期運転資金の大部分は、いわゆるうしろ向きでございますけれども、しかし、これは企業の不況打開と安定のためには、どうしても必要な金でございますから、できるだけ前向きにとらえる方針でやっている次第でございます。ことに組合金融という立場からいたしまして、中小企業の安定と成長には、どういたしましても中小企業の組合組織、その組織化を推進すると同時に、その組織を強化いたしましていわゆる共同化、協業化、これを大いに進める必要があろうと思うのであります。これは政府の御方針でもございますので、国なり都道府県なり、あるいは各地の中小企業団体中央会とも連絡いたしまして、組織化なり共同化なり、協業化の推進、その金融の裏づけを一そう進めていきたいという考えでやっている次第でございます。  なお、金利も本日から引き下げをいたしましたが、その点は銀行局長からお答えがあるようでございますから、省略いたします。
  131. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) 国民金融公庫等三機関の貸し出し金利の引き下げについて御説明申し上げます。  本日九月一日から、以下に申し述べますようなことで、基準金利の引き下げが行なわれることになりました。国民金融公庫でございますが、従来の基準金利は年九分でございました。これを年三厘下げて八分七厘ということに相なります。また、中小企業金融公庫につきましては、年九分でございましたものが、同じく年三厘下げで八分七厘ということでございます。商工中金につきましては、これは短期貸しと中期のものと長期と、三種類に分かれておりますが、短期につきましては、日歩五毛の引き下げ、それから中期につきましては、年利で一厘下げ、そうして長期につきましては、年利の三厘下げ、その代表的な長期の貸し出し金利について申し上げますと、これが従来は、組合貸しに対しては九分二厘ということでございましたが、それが八分九厘に引き下げられました。構成員貸しに対しましては、九分三厘でございましたものが九分に相なります。おおむね長期の貸し出し金利につきまして、年利三厘ということで引き下げられまして九月一日から実施、これは単に今後の新規貸し出しに限らず、既往の貸し付け分についても適用される、かような次第でございます。  そこで、金利引き下げに伴う各機関の経理に対する影響でございます。この点につきましては、国民金融公庫におきまして、本年度中約三億五千万円程度の減収が見込まれるわけでございますが、本年度におきましは、滞り貸し償却の引き当て金に積み立てる予定のもの、あるいは予備費といったようなものもございますので、これらを用いまして年度内は処理可能ということでございます。中小公庫につきましては、本年度おおむね四億三千円程度の減収になる見込みでございますが、これまた滞り貸しの償却引き当て金そのほか予備費といったようなものもございますので、処理可能であると考えられております。さらに商工中金につきましては、本年度約五億六千万円程度の減収が見込まれますが、三十九年度決算状況等から推しまして、年度内の処理は可能であろう、かように考えられる次第でございます。ただ四十一年度以降につきましては、この各機関の内部の経理のみで負担、吸収し得るかどうか、この点については問題があるかと思います。で、それについて何らかの手当てが必要ではないかという問題もございますので、これにつきましては、明年度予算編成の際十分検討の上処置をいたしたい、かように考えております。
  132. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと思います。  なお、おはかりいたします。  当委員会に提出されました大蔵省日本専売公社国民金融公庫決算の概要については、これを会議録に掲載することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、先ほど省略されました会計検査院当局の報告は、後日文書をもって提出願うこととし、これらの報告書についても、会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会      —————・—————