運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-07-28 第49回国会 参議院 議院運営委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年七月二十八日(水曜日)    午後二時十九分開会     —————————————   委員の異動  七月二十八日     辞任         補欠選任      中上川アキ君     川野 三暁君      近藤 鶴代君     山崎  斉君      岩沢 忠恭君     源田  実君      丸茂 重貞君     二木 謙吾君      野々山一三君     吉田忠三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中 茂穂君     理 事                 亀井  光君                 大矢  正君                 柳岡 秋夫君                 渋谷 邦彦君     委 員                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 源田  実君                 後藤 義隆君                 高橋文五郎君                 二木 謙吾君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 吉田忠三郎君         —————        議     長  重宗 雄三君         —————    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        事 務 次 長  岸田  実君        議 事 部 長  海保 勇三君        議事部部長   市川 正義君        委 員 部 長  小沢 俊郎君        委員部部長   浅原 喜文君        記 録 部 長  佐藤 忠雄君        記録部部長   福地 和正君        警 務 部 長  二見 次夫君        庶 務 部 長  若江 幾造君        管 理 部 長  佐藤 吉弘君        渉 外 部 長  荒木外喜三君    法制局側        法 制 局 長  今枝 常男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○本院の構成に関する件     —————————————
  2. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) 議院運営委員会開会いたします。  大矢君から、本院の構成に関する件について発言を求められておりまするので、これを許します。
  3. 大矢正

    大矢正君 私は、この機会に、去る二十二日に召集され、今日に至りましてもなお新しい構成をすることができない今日の参議院の院の構成問題をめぐる諸点について、議長並びに与党諸君に、考え方を二、三ただしたい、こう思うのであります。  まず第一は、副議長はこの際、社会党に渡すべきではないかという原則的な問題であります。  御承知のとおり、副議長は、野党でありましても、また、ある場合には与党でありましても、第二党に渡すという原則は、政治における常識だと私ども考えております。特にこの問題は、長年来野党である私どもが、院の正常かつ公正な運営という立場から、副議長は第二党にぜひ渡してもらいたいということを主張してまいりましたし、また、三年前の選挙による新しい院の構成の際におきましては、当時の自由民主党側から、副議長を第二党に渡すことについての話し合いは前向きでこれを検討しようという経緯もあることであります。そこで、先般の通常選挙が行なわれて、新たに構成をされる参議院は、少なくとも副議長は第二党である社会党に渡すべきものであるし、それを与党は当然のこととして認められるものと考えておったのであります。ところが、残念ながら今日、自由民主党は、みずから副議長候補を立てられて、本会議で表決によって、これが決着をつけようといたしておりますが、これは、従来の与野党の間における話し合いというものを全く踏みにじるものでありまして、過去における経緯その他は、いささかも生かされないことになるわけであります。  申すまでもなく、議長、副議長というものは、あくまでも院の代表者であり、院の代表者であるということは自由民主党代表であるとは言えないわけであります。やはり、少なくとも議長、副議長というものは、あらゆる会派から祝福をされ、そしてまた信頼を受けて当選されるべきが常道であります。今日の情勢を見ますると、議長に対しては、社会党はもとよりのこと、野党各派とも、特段の候補を立てる意思はありませんが、副議長については、従来の話し合い経過に基づいて、この際、野党第一党である社会党に渡すべきであるという点では、野党はおおむね一致しておるように私は承っております。そうなってまいりますると、たとえ過半数でありといえども議長、副議長を独占するという今日の自由民主党決定というものは、われわれにはとうてい理解ができませんし、もしそういうことになりますると、議長、副議長は、院の代表者ではなしに、自由民主党代表者になると、こう思うのであります。  それからまた、われわれは以前から、これは松野議長時代からもそうでありましたが、議長、副議長は公正に院の運営をはからなければならないという立場に立って、党に所属をすれば、おのずからみずからの所属する党に引きずられる危険性があり、そのことは、公正妥当であるべき院の運営を欠くきらいがあるので、やはりこの際、党籍離脱すべきであるということを主張してまいりました。このたびの院の新たな構成におきましても、私どもはもちろんのこと、野党各派は、おおむね、この際この機会に、議長、副議長党籍離脱すべきであるということを強調していると私は存じます。が、しかし、議院運営委員会理事会における今日までの話し合いの中におきましては、与党としては、自由民主党としては、議長、副議長に対し党籍離脱することについてのいささかの勧告もない。そういう立場の表明もない。むしろ、党籍離脱すべきではないという意思が強いように承るのであります。そこで私は、この際、従来議長であられ、今日もなお、辞表を提出されたといえども議長であり、また、自由民主党から新たに議長候補として擬せられております重宗議長に、これらの問題について、まず、どのように考えておられるか、お答えをいただきたいと、こう思うのであります。
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまお話がございましたように、議長党籍離脱ということについては、わからないわけではなく、将来はそういうことかということも考えておる私ではございまするが、しかし、党籍離脱したからといって、必ず中立であるという保証は何もないのでありまして、むしろ問題は、議長たる者良心の問題であろうかと存じます。私は、過去三年間、議長の職にありまして、御協力によりまして、その職務を過ごしたのでありまするが、そのときにあたりまして、私の属する自由民主党党議によって拘束されたことは私はないのでありまして、公人としての行動に対します場合におきましては、党籍いかんにかかわらず、あくまで中立を守り、公正無私をもって職責を全うしなければならないという考えでおります。このことは、当然のこととは思いますが、私の終始変わらざるところでございます。私は、今後もそのようなことは絶対にないことをここに申し上げまして、その点、必ずや皆さま方の御期待に沿えるものと期待しておるものであります。  以上、私の党籍離脱という点につきましての、ただいまのおことばに対して御返事を申しあげる次第でございまして、何とぞ心情を十分おくみ取り願いたいと存じます。
  5. 大矢正

    大矢正君 ただいま重宗議長から、自分は良識と良心のもとに議長の重責をにない、それを果たそうとしているのであるからして、たとえ自由民主党所属という看板があっても、決して一党一派に偏する行為行動はとらないのだという御発言のようであります。しかし、先般の会期末におきまして、俗に言われた農地報償法案問題は、御承知のとおり、これに賛成をしたのは、おおむね自由民主党だけであります。他の野党各派は、こぞってこの法案反対をし、また、議長職権をもって開会をし、中間報告を求めることについて自由民主党協力をしたということも、これも事実であります。したがいまして、過去の経過からかんがみて、議長はみずから一党一派に偏する行為はしない、言ってみれば、みずからは自由民主党所属をするからという理由によって自由民主党に拘束される何らのものもない、こういうおっしゃり方をするけれども、ごく最近の、前の通常国会農地報償法案取り扱いのときに、明らかに、これはもう一党一派に偏していると私は言わざるを得ないのであります。しかも、先ほどの通常選挙におきましては、自由民主党は、数の上において——いろいろ議論はあると思いますが、従来よりは数の上において減少を見ていることも、これも明瞭であります。今日、自由民主党所属議員は百四十一名でありまするからして、過半数をこえることわずか十六名であります。あとの、言うならば野党各派というものは、自由民主党と五分五分の力ではなくても、少なくとも五・五対四・五以上の力を野党が持っているということが実情であります。そういう状況で、過半数の数があるというだけで、自由民主党は、党籍離脱はしない、副議長社会党に渡したくない。——これでは私は、院の代表として認めることはできないということになると思うのであります。農地報償法案取り扱いをめぐって、おそらく議長は、あれは多数を有する会派がそういう意図であったために、私としては心ならずもああいうことをやらざるを得なかったとおっしゃられるかもしれませんけれども、少なくとも過半数自民党が持っておったとしても、議長は院の代表者である限り、過半数を持っているその会派考え方や方式のみにこだわって、それによって不正常な院の運営を行なうということは、われわれのとうてい理解し得ないところであります。  重ねてお伺いをいたしますが、ひるがえって考えてみて、あの通常国会会期末において、議長職権による開会及び中間報告取り扱い等をめぐっての議長の措置が、今日なお野党各派意思を十分受け入れたものであり、公正妥当な議長として行なった行為であったと思っていらっしゃるかどうかということについて、私はこの際、承っておきたいと思うのであります。
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 私は、農地報償法案のときに、各派代表の方々に、極力何とかこれはまとめてくれという申し出をし、そのあっせんについて再三努力したのであります。ただいまのおことばに対して申し上げますると、議長として、客観的の情勢から考えまして、私自身議長としてそれを行なったのでありまして、当時の状態を考えますときに、私の考えは、そのときの客観情勢が大きく私を支配したのであったということに帰着するものであろうと存じます。
  7. 大矢正

    大矢正君 重ねての議長発言でありますので、この際、与党議運委員諸君に私はお伺いをしておきたいと思うのでありますが、議長党籍離脱をする意思がない、こういう発言であります。しかし、これを考えてみると、二つの問題点があると思うのであります。一つは、みずから党籍離脱をしたくないという意思が表明される場合と、いま一つは、与党として、自由民主党議長に対して党籍離脱すべきではないという場合と、二つあると思うのであります。そこで与党は、いまの自由民主党は、党籍離脱をしてもよし、しなくてもよし、それは議長判断にまかせるということでありますれば、われわれはそういう立場議論をいたさねばならぬと、こう思うのでありますが、そうではなしに、議長意思いかんの以前に、自由民主党として、議長、副議長とも党籍離脱をする必要性がないのだというおきめがあるといたしますれば、われわれとしては、ここで議長と幾ら議論しても、しようがない。与党議員諸君議論せねばならないことになるのであります。その点について、どうお考えになっておられるのか。議長党籍離脱問題については、議長個人にまかせるというお考えなのか、あるいは議長個人にまかせるという考え議長考えを聞いたところが、議長は、党籍離脱をしたくないと、こう言うから、それではさせないことにいたしましょうということなのか。そうではなしに、自由民主党は、議長、副議長ともに、党議として党籍離脱させたくないと考えておられるのか、その点についてお答えをいただきたい。
  8. 亀井光

    亀井光君 ただいま党籍離脱の御趣旨でいろいろな議論がかわされておりますが、党籍離脱という問題を掘り下げて見てみますると、結局、院の公正無私運営がはかられるか、はかられないかというところに、私は議論の焦点があると思うのであります。したがって、過去にさかのぼりまして、はたして自由民主党党籍のあった議長が院の公正な運営をしなかったかということを振り返りますと、わが党としましては、まさに公正な運営がなされてきたという確信を持っているわけであります。したがいまして、国会法が要望しておりまする公正な議長、副議長職責というものは、党籍があろうがなかろうが、完全に実行されてきたということを、われわれは確信をいたしておる次第であります。  そこで、いま御質問の、党議として議長あるいは副議長の籍の問題についてきめたかきめないか、あるいは意思いかんにかかわらず、そういうことは党議が先行するかどうかという御質問のようでありますが、わが党といたしましては、先ほど申し上げましたような、過去の議長、副議長のあり方、あるいは実績の上に立って、党籍離脱しなくても国会法に定める使命というものは、十分に議長、副議長によって達成されておるという前提に立ちまして、党といたしましては、党籍離脱する必要はないという実は考え方をきめておる次第でございまして、したがって、その上に立って、議長、副議長候補者があるいは選挙されました暁において、どういうふうにお考えになるかということは、実は別問題でございまして、党議といたしましては、議長、副議長党籍離脱が必要でないという、はっきりとした決定をしておることをお伝えしておきます。
  9. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、私はまず議長にお尋ねしたいのですが、議長は、個人として、院の公正な運営を確保する上に、党籍離脱したほうがよりいいと考えるのか、それとも、党籍を持っておったほうがよりいいと考えるのか、その点を率直にお答え願いたい。  それからいま一つは、与党皆さんにお聞きしたいのですが、与党立場からすれば、いままでの国会運営を顧みて公正な運営であったとおっしゃる。ところが、大矢理事のほうからも話がありましたように、われわれ野党立場からすれば、不公正であると考えられる運営が数々あったわけです。そこで、公正な運営というのは、一体どういうものを公正な運営と言っておられるのか、その点をひとつ承らぬことには、単なることばのやりとりだけに終わるので、その点について、はっきりした見解を示していただきたい。
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 私は、ただいまの御質問に対して、同じだというような気持ちを持っておるのでありまするが、むしろ、党籍離脱した場合に、右を見たり左を見たりしておることよりも、もし自民党にわがままがあるとしたならば、それを押えるということができるという点だけでも、むしろ公平にいくんじゃないかということを考えておるものでありまして、そういう横暴があるとかないとかいうのでなく、そういうような場合において、それをたしなめることができるということが、かつてもあったような気がいたしまするので、ただいまの御質問に対しては、私の率直な考え方は、同じだということに帰着すると存じます。
  11. 亀井光

    亀井光君 いま、いままでの過去における議長、副議長国会運営が公正であったという根拠は何かという御質問でございます。これは、ただいま議長からの御発言の中にもありましたように、いろいろな客観的な諸条件、諸情勢の中において、その判断がなされていくのでございまして、皆さん方が公正でないという御判断をなされる場合におきまして、自由民主党は公正であるという判断をする場合もございましょう。それは、そのときのいろいろな諸条件客観情勢の中で判断をされていかなければならない。これは判断でございますから、お互いの見解相違というものはありましょうが、私らは公正であったということを信じております。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 議長は、党籍があろうとなかろうと、公正を保つ上には同じだと、こうおっしゃるんですがね。そしてまた、党籍がない場合には、右や左を見ておって、なかなかうまく運営ができない、むしろ、党籍があったほうが、自民党横暴をやった場合には、それを押えられると、こうおっしゃるのですが、実際には、それは逆じゃありませんか。むしろ、党籍があることによって、党議決定ということで縛られて、議長の公正な立場が維持できないという問題のほうが先に出てくる問題だと思う。それから第一、あなた個人としては、あるいはあなたに限らぬ、議長個人としては——将来だれが議長になるか知りませんが、議長個人としては公正だと考えても、党籍を持っているという一事によって、公正な運営をしたとは考えられない条件が起こってくる。むしろ、党籍離脱しておったほうが、公正な運営をやっているという印象が強くなるんじゃありませんか。そういう点で、あなたの考え方と私の考え方には大きな開きがある。  それから与党皆さんのほうでは、公正な運営ということは考え方相違だとおっしゃる。ところが、これは考え方相違だということは、これを公正なりとして多数の力で押し切ってきたいままでの実例でもっても示されている。自分たちで公正だという判断をかってにして、多数の力で、これが公正なんだから議長こうやれと、こういうことで議長に押しつけて、それをもって公正だと、こう言っているんでしょう。われわれのほうから見れば、決して公正じゃない。先ほど例に引かれた農地報償法案の問題についても、自民党立場から見れば、あるいは数の上から見れば、あなた方の立場は多くの人の支持を受けているのだ、議院内の多数が支持しているのだと、こういう立場をとっておられるんでしょう。それは、あなた方が多数党だからそうです。ところが、その他の野党は、全部あの問題の場合には、あなた方とは反対立場をとっておった。そうすると、党という立場から言うならば、全体の野党与党よりも反対立場をとっておるときに、あの農地報償法案のときにとられた議長の態度というものは、これは公正だということにはなりません。そこらに、これは観念の遊戯ことば遊戯になりますけれども、そういうふうに、一方的に、公正なりという解釈をかってに下して、そうして党議決定で、議長党籍離脱しないでもいいのだというようなきめ方をするということが、すでに、将来議長になるべき者を縛りつけているじゃありませんか。議長党議に縛られないでやるということだったら、党議で、議長になるべき者が党籍離脱する必要なしと決定することは、すでに、議長になる以前からして議長を縛っていることになるんじゃありませんか。これでは、議長中立を保てといっても、保てない。また、あなたのほうにも、中立性を保たせる意思はないと断定せざるを得ない。むしろ、党議でそういうことをきめるべきじゃなく、議長個人的な考え方にまかしたらどうですか。
  13. 亀井光

    亀井光君 それは、また議論が振り出しに戻るわけでございますが、われわれは、党籍があろうがあるまいが、議長という職務として公正な国会運営がなされるならば、何も党籍離脱する必要はないじゃないかという主張は変わりはございません。したがいまして、いまの御質問に対しましても、そういう答弁を繰り返し申し上げる以外に私の答弁はないわけでございます。ただ、いま、議長個人意思はどうかという御質問——これは議長個人の御意思でございますから、私がその御意思をそんたくして答弁を申し上げる筋合いではないわけでございまするが、党人でございまするから、党の決定に従うのは当然で、ございますが、しかし、またそのほかに、議長という一つ職責がございますから、それはまたそれで、おのずから別の問題として、別の角度から、議長自身の御判断というものが出てくることは、これはもう当然でございます。しかし、党としましては、党籍離脱しようが、しまいが、院の公正なる運営というものは議長みずからがやれるのだ、やるべきであるという意見には変わりございません。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 党籍離脱しようと、しまいと、公正な運営がやれるという前提に立っているのに、なぜ党議で、離脱しないほうがいいという結論を出さなきゃならぬのですか。そんなことは党議できめる必要ないでしょう。党議で、議長、副議長党籍離脱する必要なしということをきめることが、将来、議長や副議長になる者が、自分個人としては党籍離脱したほうがいいんだと、たとえば考えたとしても、そのことを党議で縛ることになるじゃありませんか。矛盾していますよ、少し、言い方がね。
  15. 亀井光

    亀井光君 それは、私は矛盾していないと考えます。先ほど申し上げましたように、議長個人判断というものですね、これはもう議長個人の御判断にまかせなければなりませんけれども、党としては、そういう考え方を持っておるのでございます。それは何ら矛盾はございません。
  16. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 段々の、議長見解与党委員皆さん方の御答弁がありましたけれども、どうも私は理解ができません。ですから、この機会に、簡単にひとつ議長並びに与党委員の方に伺っておきたいと思います。それは何かというと、少なくとも、御案内のように、憲法に示され、国会法に示されておりますように、議会は民主的であらなければならない。ですから、政府というものは民主主義の上に立たなければならない、こういうことに私はなっているだろうと思うのであります。そこで、一体民主主義とは何ぞやという高度の議論は、ここで私は展開しようとは思いませんけれども、毎日、半数改選が行なわれたときに、過去においても、しばしばこの問題が問題になることで、今回限りでありません。そうしたときに、一般世論ないしは有識者、あるいは学者、評論家等々、今回の場合も、そういう論評をすでにしておりますけれども、国民の大多数は、この場をはずしてながめてみますと、やはり国会正常化国会のより民主化、こういう立場から、一つには、副議長はせめて野党にこの際やらせるべきである、こういう世論が圧倒的に出ていることは御承知のとおりだと思うのです。そうしてまた、院を代表する者については、党籍離脱することも正しいと——皆さん方は正しくないという感じかも知りませんけれども世論というものは、そういうところに来ていると思うのであります。したがって、これに対して議長はどう考えておられるのか。今日的なこの世論に対して、一体議長はどう考えておられるか。与党のほうも、これを一体どう受けとめておられるかということを私はお伺いしたいと思うのであります。  それから第二には、これは、日本の国と諸外国は違うのはあたりまえですけれども議会制を取り行なっておりまする国は数多くございますけれども議長、副議長党籍離脱をしなかったり、あるいは一党独裁のように独占しているという国は、あまり近代民主国家にはないと私は思う。アメリカにおいてもしかり。特に民主主義の発達しているアメリカにおいては、必ず野党のほうにそれを行なわせているという例が歴史的にございますし、英国においてもそうです。ヨーロッパの国々も、いま申し上げたように、近代国家近代民主政治を行なっている国は、おおむね私はそうなっているように思うのですが、少なくとも、アジアにおける大国であるとか、アジアにおける唯一の民主主義国家といわれる日本において、何かどうも、冒頭に申し上げたように、今回限りじゃなくて、たびたび、選挙が行なわれて改選のつど問題が繰り返されておりまするが、依然として、あなた方自民党は、これに対して反省もなければ、省みることもない、こう感じておりますけれども、この辺ひとつ、理解のいくようにお答え願いたいと私は思います。
  17. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) それは吉田委員、どなたに……。
  18. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 議長と、冒題に申し上げましたように、与党委員諸君——まず、亀井さんに代表として、われわれは伺っておきたいと思います。
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいま吉田委員からのお話は、議長は当然第一党から出るものであろうと私は考えております。それが党籍離脱ということについては、先ほどの御質問で申し上げましたように、そうあるべきということも考えられるように常に考えております。と同時に、将来そういうことになるのかなあというぐらいの考えは当然持っているものでございまするが、ただいまの段階において私が考えたときに、先ほど個人としてはどうであろうと言っておられましたが、私個人は、離脱しないほうがいいという信念のもとにやっているんでございまして、どうかこの点ひとつ、ぜひ御了承願いたいと考えるものであります。
  20. 亀井光

    亀井光君 いま吉田さんからの御質問でございますが、諸外国の例を引用されての御質問でございますが、議会制度というものの歴史をさかのぼって見まして、民主的な議会運営というもののあり方等につきましては、まさに先進国のほうが、長年の経験の積み重ねから、現在のような状態になることは、これは言うまでもない当然のことでございます。私らも、その経験を十分積み重ね、お互いに議論をし合い、その中から正しい方向づけをしてまいるということにつきましては、決してやぶさかではないのであります。ただ、いままでわれわれが、過去の日本国会運営のあり力、あるいは政党政治のあり方等を見まして、はたして諸外国の、特にイギリスあたりが、長年の経験を積んで、今日の議長、副議長党籍離脱、これには、実はいろいろな条件がございます。日本には、そういう条件がはたして熟しているかどうか、満たされているかどうかという問題も考えなければなりませんし、そういう経験の積み重ねというものを、われわれとしても、決して否定するものでもないし、今後もさらに経験を積み重ね、さらにお互いに議論を尽くして、だんだん先進国の方向に進むということは、これは異論がない。ただ、現在の日本の政党政治のあり方、あるいは国会運営のあり方を見てまいりますると、まさに民主主義のルールというものが行なわれているとは思いますが、個々の枝葉末節にわたりますと、私も社会党皆さま方にも一言ものを言いたいことがたくさんございますが、これはこの場では申し上げませんが、すなわち、議論をあくまでもし尽くして、意見が一致しない場合に、初めてそこで投票できめる。これはまさに国会運営民主主義のルールじゃないか。そういうことについて、日本の政党政治が、あるいは議会運営というものが、まだまだ未熟な面がある。私も一年生議員で、新米で、こんなことを申し上げるのはいかがかと思いますが、そういう感じが率直にいたします。  そこで、皆さま方の御意向も、私個人としては、わからぬこともございません。今後さらに経験を積み重ねて、さらにお互いに議論をし尽くして、だんだん正しい方向に持っていく。しかし、現段階におきましては、まだそこまで行っていないという、わが党の判断でございます。したがいまして、党としましては、国会法の命ずるところによって、議長、副議長が正常な国会運営をする限り、また、しなければならぬという大きな使命、責任を持っている以上、党籍を持っていようが、いなかろうが、関係はないのではないかという考え方を持っているわけであります。
  21. 大矢正

    大矢正君 亀井理事にお尋ねしておきたいのでありますが、私が新聞を読んだところによると、自由民主党側として、議長候補には、ここにおられる重宗雄三議長——現在もそうでありますが、辞表を出しておりますので。——それから副議長には河野謙三さんということを、二十六日の、すなわち月曜日の昼の議員総会で最終的な決定をした、こういうように読んでおりますが、これは事実であるかどうか。
  22. 亀井光

    亀井光君 大矢さんのいまお話のとおりでございまして、二十六日の特別議員総会におきまして、そういう決定がなされました。
  23. 大矢正

    大矢正君 そこで、私はこの機会に、国会法ないしは参議院規則というものをどう解釈しているのかということをお尋ねしておきたい。  参議院規則によりますと、第一条が「議員は、召集詔書に指定された期日の午前十時に参議院に集会しなければならない。」——これは従来やっているのです。それから、新たに当選した者は、当選証書を出して、そこで当選人名簿と照合するということが第二条。第三条には、集会した議員が全体の議員の三分の一になったときに議長議長席に着く、すなわち開会をする、こういうことになっている。そこで、その次の第四条には、こういうふうになっているじゃありませんか。「召集の当日に議長及び副議長が共にないときは、集会した議員が総議員の三分の一に達した後、議院は、議長選挙を行う。」、こうなっている。すなわち、議長選挙や副議長選挙というのは召集の当日に行なう、こうなっている。召集日は、御承知のとおり、二十二日じゃありませんか。二十二日の召集日には、国会法参議院規則でそうなっているのだから、当然、あなた方のほうとしては、党議として議長、副議長候補をきめて、十時までに準備をしなければならぬのではないか。それを、二十六日の正午になって初めて議長、副議長がきまるということは、一体これはどういうことなんです。
  24. 亀井光

    亀井光君 いまの御質問なり御意見につきましては、全くこれはわが党のいろいろな事情でございまして、おくれましたことは申しわけないと思う次第でございます。われわれといたしましても、党員の一人として、できるだけ、いま御質問のあった趣旨に沿うような努力をしてまいりましたが、微力なために、皆さまの御趣旨、御期待に沿えなかったことをおわびを申し上げる次第でございます。したがいまして、二十六日の特別議員総会で、議長、副議長候補がきまりまして、皆さま方のお力添え、御援助をいただきまして、できるだけ早くこの議院規則に定められました道を一歩踏み出したいという努力をわれわれとしてはお願いをいたしておる次第でございます。
  25. 大矢正

    大矢正君 そこで、私がここで聞きたいのは、過半数を持っている自由民主党であれば、国会法にどう書いてあろうと、参議院規則にどう書いてあろうと、そんなものはどうでもいいのだという解釈になるのであろうかどうか。現職の議長をあなた方は持っておられるのだから、重宗議長それ自身国会法参議院規則で、召集日には議長、副議長選挙をやらなければならぬと書いてあるのに、みずからの所属する会派議長も副議長もきめられない。さっき議長は、自分自由民主党に籍を置くことによって、一つの取り柄をしいて探せば、自分自由民主党議員だから、多少なりとも自分自由民主党の押えがきく、こういう御発言なんです。ところが、押えがきかないじゃないか。二十二日にきめておかなければならぬ議長も副議長もきめられない。党内が三派あるか、四派あるかわからぬけれども、そこで会長はどうの、やれ副議長はどうのという争いをやって、どうして国会法どおりの運営をしないのか。この点は重宗議長に私はお尋ねをしたいし、それから、あなたのいま言うような答弁だったら、国会法参議院規則なんかないほうがいい。やらなければならぬと書いてあるのを、やらなくてもいいのだったら、これは幾らでも改定ができると思う。無理して、こんな国会法参議院規則なんかつくる必要はない。一体議長与党の理事はどう考えているか。
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) まことにこの点、遺憾に考えております。党内のいろいろな事情があったように聞いておりますが、大勢集まりますといろいろな議論のあるものであると存じます。これはひとつあしからず御了承願います。
  27. 亀井光

    亀井光君 大矢さん非常にわが党の痛いところをおつきになっておられまして、今回に関しては全く私が先ほど申しあげましたように申しわけない。まあこの議院規則は一般的な原則を書いたものでありまして、例外規定がないように書いてございますが、まあ院というものは、先ほども答弁申し上げましたように、民主的な運営で、各党のお話し合い運営をされていくのでございまして、また、そのために国会法にしても、議院規則にしても、すべてのことを網羅しておるわけではないのでありまして、皆さま方も御承知のとおり、いろいろな慣行、先例というもので運営されることもたくさんあるわけでございます。そういう意味で、今回のことに関しては、私全く、先ほど申し上げますように、党内の事情で申しわけないと思うのでございまして、今後こういうことが再び起こらないように、党の一人としまして努力してまいりたいと思っております。
  28. 大矢正

    大矢正君 そこで、先ほど来、議長は、自由民主党の籍を持っておっても、一党一派に偏しないし、公正妥当な運営をするのだから、だから党籍離脱をしなくてもいいのだと、こういうお話のしかたがあったのだね。ところが、現にそうじゃないじゃないですか。法律が無視されているじゃないですか。規則が無視をされているじゃないですか。これは一党一派じゃないですか。あなた方の家庭の事情を考え議長はおやりになっておるのじゃないですか。普通の議長だったら、あなたの言われるとおり、一党一派に偏しないで、規則のとおり十時になって三分の一以上集まって構成人員に達したら、ベルを入れて、そして議長選挙を行なうべきじゃありませんか。それを行なわないのはなぜか。与党の中で副議長議長もまとまらない。三派それぞれかってなことを言うからまとまらない。まとまらないから、議長は、その際は院全体のことを考えて法律、規則を無視しておるというのじゃない。結局自民党のことを考えて、規則を無視しているということじゃないですか。だから、われわれあなた方が幾ら一党一派に偏しないとか、公正を旨とするとか、従来の経過がこうであるとか言ったって、そういうことによって院の正常化が保たれるものではないのだから、この際、やはり議長党籍離脱しなさいと、こう言っている。  それからもう一つ、あなたにお伺いをするが、あなたは過去の経過からかんがみて、これは決して不正な運営はしていない。だから党籍を持ったっていいではないかと、こうおっしゃる。それならば、それをひっくり返して、裏から私はお尋ねをいたします。党籍離脱できないという根拠があるのか、それを聞かしてもらいたい。
  29. 亀井光

    亀井光君 大矢さんのいまの御質問は、手続問題を主体としての国会法議院規則の読み方、これはまさに、私も言われるとおり申しわけないと思いますが、これは議長に私は責任はないと思います。と申しまするのは、議長はすでに辞表を出しておられます。辞表を出しておられまして、選挙によって再選されるかどうかということは、まだわからないわけであります。そこで議長は、次の候補者がきまりますまでは、これは議院代表としまして議長職責を全うしなければならない。ところが議長というものは、先ほど来お話がありましたように、民主主義のルールから申しまして第一党から選ぶということで、議長は二十二日の召集日にきめてもらいたいというお気持ちは十分にあったと思います。ただ党内事情で、自分の後任と申しますか、予定候補者というものがきまらなかったという事情から、やむを得ず、遠くから気をもまれながら見ておられたのではないかと思うのでありまして、私はこの問題については、まさに自由民主党の責任であって、議長の責任ではないということをはっきり申し上げたいと思います。  それから、いま逆に、それじゃ党籍離脱したらどうして悪いのだという御質問、これは私が先ほど冒頭に申し上げましたことと並行線の議論になります。離脱しようが離脱しまいが、これは議長みずから国会法の命ずるところに従いまして、、正常な運営をはかれば、国会法の精神は十分生かされるという趣旨の御答弁しかできません。
  30. 大矢正

    大矢正君 おかしいね。党籍離脱しないと言うし、させないと言うし、したくないと、こういうのだから、それならばその理由があるはずじゃないですか。その理由は何かということを聞いているのだから、答えてもらわなければならない。ただ、したくないというけれど、われわれは要求してあるのだから。この席上に議長党籍離脱決議案というものを出してもいい。出せば当然あなた方のほうもやらなければならぬから。しかし、そういう以前の議論としていまやっている。ただ、あなたは並行線だとか何とかいう逃げ口上を言わないで、党籍をなぜ離脱できないのか。離脱したらなぜいけないのか。なぜやる気にならないのかということを聞いているので、いままで、ああだとか、こうだとかいうことを聞いているのじゃない。できないということの根拠を聞いている。
  31. 亀井光

    亀井光君 私が先ほど来申し上げたことと、何ら変わりない答弁になろうと思いますが、かりに党籍離脱しても、議長個人意思で公正な運営をしない場合はどうなるという問題を考えていかなければなりません。したがって、あくまでも、これは議長個人の信条といいますか、国会の正常な運営に身を挺して当たるという議長の信念によって左右される。党籍があろうがあるまいが、変わらない。党籍離脱をしても議長個人が不公正な運営をしたらどうなりますか。そういうことを私は申し上げているわけでございます。
  32. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) 先ほど渋谷君から発言を求められましたので、渋谷君。
  33. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今回の臨時国会は非常に会期が短い。ところが、いまだに院の構成ができていない。先ほども話がありましたように、正式に自民党のほうから正副議長候補者が出されたのが二十六日——五日間であります。まことに遺憾だと思います。二十二日の召集ということはもうすでにわかっているわけですし、選挙で新しく議員がきまったのは十五日のことです。それからでも十分いろいろな討議がなされて、召集日にはもうすぐ出発と、こういう姿で臨めたはずである。まあ、いろいろいま亀井理事のほうからもお話があったわけでありますが、いかんせん、いずれにしてもまずい姿だと思います。  ところで、いま議長からもいろいろ決意についてお話があったわけでございますが、私も一言議長にお伺いしたいことは、いま党籍離脱という問題が出ております。いろいろな各国の例等も、いまこれの参考として質問をなされたようでありますが、亀井理事のお話を伺いますと、これはあくまでも議長個人の信条、信念によってきめる問題である。また同時に、最初の話でありますと、党籍離脱をしようとしまいと、別に運営には厳正公平を欠くようなことはないであろう。こういう答弁もあったように記憶しております。それならば、いま一番問題になっているのは党籍離脱の問題である。もしこれが、ここで結論が出ないとするならば、一体これから先のわずかな期間というものがどういうふうな行き方になってしまうのか。そういう点についても議長として責任をお感じにならないのかどうか。もうこの時点において何らかのやはり妥協策といいますか、一歩前進への解決策というものを議長個人立場においてお考えになることが必要な段階ではないか。こういうふうに思っているわけですが、そうした点について、いままでの話を通じて、いままでの前例等にこだわらず——この事態の収拾についてこれからどうなされるおつもりか、再度議長からお聞かせいただきたいとと思います。この党籍離脱の問題に関連して、これから残されたわずか十日間をどうするのか、今週あと幾日もないですよ。それで来週に入って、いま重要な案件が三件も四件もある、それが討議されないままで、院の構成だけで終わってしまう。それでもいいのかもしれません、この国会召集の趣旨それ自体が院の構成ということになっているのだから。ですが、あまりにもみっともない姿だと思います。そうした点について、どうか議長の誠意ある決意のほどを伺わせていただきたいと思います。
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ごもっともなお話でございますが、これは議運に一切まかしている問題であって、議運が当然やるべきであると、そういうふうに私は考えておりますので、どうか議運の皆さん方が毎日御苦労なさっておられることの結論が一日も早いことを希望しておるものでありまして、これはあげて議運にひとつお願いしておる関係上、お考えくださることと考えております。
  35. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 議運にまかしていただけるということになれば、与党のほうからいま議長個人意思によってきめるべき問題であるというお話がございましたが、こういう何とか収拾策を講じなければならない一つの妥協点として、与党の理事の方が、それではこの際、議長にも勧告をして党籍離脱させます、こういうことになった場合、どうなさいますか。それが一番やはりいまネックになっているわけです。
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 私は辞表は出しましたが、議長だろうと存じますが、だれがなるかわからぬという段階で延びておったことは間違いございません。二十六日に第一党としての立場から、再び私が候補者にのったわけでございまして、いまそういうことを明らかに申し上げる段階では私はないと存じます。その点をひとつ御了承願いたいと存じます。
  37. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) ここで皆さんにおはかり申し上げますが、主として副議長問題から関連いたしまして、正副議長、特に、いまおられまする議長に対する党籍離脱についての御意見のやりとりがあったわけでございますが、私、委員長として承っておりますと、社会党、公明党の御意見と自民党の御意見とが並行線をたどり、党の立場でそれぞれの御見解をお持ちになっておられまして、この議運の委員会でこの問題に対する意見の一致を見るということは至難だと思いますので、またこの問題を直ちに理事会に移しまして、委員会の御意見を十分そんたくし、理事会でさらに御協議を願いたい、かように思っておりまするので、暫時休憩さしていただきたいと思いますが、どうでありますか。
  38. 大矢正

    大矢正君 あなた、なるべく早くこの議運委員会をやめて、そしてごく少数の話し合いに持ち込もう、こういう意図がおありのようだけれども、私どもこれはなかなか原則的な問題もあって容易ではありません。容易ではありませんが、私が先ほど申し上げたとおり、もし自民党諸君のおっしゃられるとおり、党籍離脱する必要性がないということ、そのことが明確にされた今日、ぜひとも私は、先ほどから主張しておりますように、党籍離脱しないほうがよいのだということの理由だけは明らかにしてもらわなければ、ここを散会するわけにはいかぬ。なぜかというと、私ども党籍離脱すべきだと主張している。がしかし、党籍離脱しないことのほうが国会運営のためによいのだという、先ほど来の亀井理事の発言でありますから、それじゃその理由は何かということを聞いているのです。もし、それでわれわれが納得すれば、私は党籍離脱考え方をこの際撤回してもよい。要は、党籍離脱をしないほうがよいのだとする考え方の具体的なものを、その理由を聞かしてくれといっておるのです。ここは議論の場だから、それでもし納得できるものがあれば、私どもはいさぎよく党籍離脱問題を取り下げますから、とにかく納得のいくような説明をしてもらいたい。
  39. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) その点、何もすぐ休憩するとか、散会するとか、そういうことはいたしません。ただ、いまの大矢君の御発言はなるほどごもっともだと思いまするけれども亀井君から先ほど来るる発言されております。いま大矢君が聞かれようとする、なぜ党籍離脱できないかということを亀井君が言っているので……。
  40. 大矢正

    大矢正君 できないというのではなくて、しないほうがよいという根拠を聞いている。できないということを聞いているのではない。できないのではなくて、しないほうがよいという根拠は何かということを聞いている。
  41. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) しないほうがいいということも含めて、亀井君が先ほど来、話をされておりまするから、これは並行線をたどっておると思うのですよ、私が率直に承っておりますれば。ですから一応休憩して、お互いに頭を冷やして、また話し合いの場をつくろうじゃありませんか。
  42. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのことの前に、ぼくの質問に対しても答えていないんです。すなおに答えていない。ぼくの質問は、諸外国の例は例として、いま日本世論——有識者、学者、評論家等々を含めて、国民全体と私は見ているんですが、この際、国会正常化とあわせて、民主議会の確立という面から見て、議長は当然第一党から出す、これは当然だと私も思う。そこで副議長は、先ほど来言った前提に立って野党にやるべきだ。そうして同時に、正副議長党籍離脱をする。諸外国の例から見て、また日本だって戦後でありますけれども党籍離脱をしておったことがあるんですから、そういうこと等を勘案して、これがよいのであるという国民世論が今日あるわけです。これを一体議長はどう理解をしておられるのか。与党一体——先ほどの亀井理事のことばに反論するわけじゃありませんが、——そういう条件がないと言っておるけれども、私は一般的に条件がある、こういう認識の上に立っているんで、一体与党委員皆さんはどうこれを把握し、どうお考えになっているかということを聞いた。これには何もお答えがない。
  43. 亀井光

    亀井光君 大矢さん、あるいは吉田さんの御質問に相関連するんですが、私はいままでの答弁では、党籍離脱したほうがよいか悪いかという価値判断を私は言っておるわけでは実はないんで、要するにわれわれは、院の構成員の一人として、院が公正無私運営されることを期待する者の一人として、議長がりっぱに国会法の使命を達成するために、公正な運営ができるかできないかということの議論を私はしております。価値判断は、これは学者の意見もあり、あなたの言うように、国民みんなという意見もありますが、私はそうは思いません。その議論をしだすと、また水かけ論になりますから、価値判断は別にして、われわれは問題点をしぼって、国会の正常な運営公正無私運営をどうすべきかということに問題を置いております。したがいまして、そういう観点から言えば、党籍があろうがあるまいが、議長の信念として正常な運営を行なうという決意のもとに行なえば行なえるじゃないか。先ほども答弁申し上げましたように、それじゃ党籍離脱したほうがいいという御意見に対して、私は、党籍離脱しても、かりに議長が公正な運営をしなかった場合には一体どうなるかという問題を提起しましたごとく、要するに問題をしぼって、国会の正常な運営が行なわれるか行なわれないかというところに問題があるんであって、それはわが党としましては、議長、副議長候補——今度われわれがあげました両候補は、りっぱにこの国会法の使命を達成し得るということで御推薦をいたしておる次第であります。
  44. 大矢正

    大矢正君 亀井理事の発言はちょっとおかしいと思うのです。あなたは党籍離脱問題を単に公正な運営とか何かということだけに限定して考えておられるようだが、そうじゃないのですよ、これは。国会法に明らかなとおり、議長というものは議院の秩序を守ることも一つの大きな任務ではあるが、同時に大事なことは、三権分立の今日のたてまえから言って、院を代表する者と、こうなっているんですよ、この点は明確なんです。その院を代表する者が百四十一名の代表者であることの是非を私どもは言っているんですよ。私は少なくとも院の代表者である限り、今日、社会党といえども、公明党といえども、他の会派といえども議長候補を立てて、自由民主党議長候補と相争うなどということを言っているんじゃないので、できることであれば、この際、議長が名実ともに院の代表であるという形をつくりたい。そのためには、野党が全部そう言っているんですから、この際、自由民主党の籍をはずして、議長選挙に臨まれれば、おのずからそこに何ら対抗馬もない、対決もない。片一方だけの代表であるというかっこうではない、ほんとうに名実ともに院を代表する議長ができ上がる。このことをわれわれは特に強調をしているんだが、あなたは何か公正無私公正無私と言って、いままでの経過から見て公正妥当に院を運営したからいいではないか。——これはあくまでも秩序を守る云々という問題であって、議長党籍離脱問題は、一つ法案をどっちが多数賛成し、どっちが多数反対しているからどうこうという問題じゃない。院を代表するんです。院を代表する限りにおいては、野党各派も一致できる体制をつくることが大事じゃないですか。それを自由民主党党籍に縛りつけようとする。そのことのために百四十一名の代表者にしかならない。これは非常に残念なことじゃないですか。少なくとも議長というものは、われわれも尊敬をし、そしてまた、院を代表するという形においては、すべての人から、議長さんおめでとうございます、よろしく頼みます、あなたこそ院を代表する者だと言われるのが当然じゃないですか。そのことのために、与党といえども野党といえども協力するのはあたりまえじゃないですか。社会党議長もほしいですよ。ほしいけれども議長は少なくとも院を代表する者である限り、これは第一党から出す。野党各派もその選挙にあたっては応援をすることが必要じゃないか、こう思っているから、再三再四私は言っている。ところが、あなたのほうは、党籍離脱をしたくないと、こう言う。したくないんではない、しないほうがいいと、こう言う。それならば、しないほうがいいという理由は一体どこにあるのか。全会一致でみんなから尊敬されて誕生する議長が目の前にきているのに、それをあえて押えて百四十一名の議長にしなければならないというほどの重大な理由が一体どこにあるのか。あるとすれば、この際それを聞かしてくれと、こう言っている。
  45. 亀井光

    亀井光君 大矢さんの御質問、若干の誤解がありますから、それを少し解いていただきたいと思いますのは、議長候補をわが自由民主党で選びますことは、党の代表として選んでいるわけじゃ絶対ございません。党の代表はあくまでも議員会長であります。したがいまして、議長候補が、皆さま方の御協力をいただいて、選挙によって議長として選任された場合、そのとたんに議長というものは今度は院全体を代表する。これは自由民主党の百四十一人を代表する資格じゃございません。その点の誤解はないように……。百四十一人を代表するものはあくまでも議員会長です。その点の誤解ないようにお願いしたいと思います。
  46. 矢山有作

    矢山有作君 答弁にならない。亀井さん、あなた、党籍離脱しないほうがいいという、前段でもって盛んに強調されておるのは、党籍があろうとなかろうと、かまわんということを言っておられるのですが、私の聞きたいのは、党籍はあろうとなかろうと、かまわない、しかも公正な運営を確保し、しかも院の代表であると、こう言うのでしょう。だったら、党議でなぜ党籍離脱しないほうがいいという決定をしなきゃならぬのですか。私はそこのところの矛盾がわからないのですよ。私は頭が悪いかもしれませんがね、どちらでもいいものなら、わざわざ党議でそんなことをきめないでもいいじゃないですか。その点、頭の悪い私にもわかるように説明してください。
  47. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) 矢山君、私はさっき亀井君が党議決定と言ったことは、党議は、そういうことが望ましいということを亀井君が言ったのでありまして、決定という意味ではなくて、党議はそういうふうに私は委員長として解釈しておるのですから、ひとつどうですか。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) それじゃ速記をつけます。
  49. 亀井光

    亀井光君 私の答弁につきまして、いろいろ足らないところ等も皆さま方から御指摘を受けましたが、私が先ほど申し上げましたように、院の公正な運営というものが主体でございまして、党籍離脱しようがしまいが、議長の信念、その運営に対しまする基本的なあり方によって、これはさまっていくのではないか。しかも、いまわれわれ党といたしましては、党籍離脱しないほうが望ましいという方向で考え方をまとめたのでございまするが、先ほどの答弁にも私が申し上げましたように、経験の積み重ねと、あるいは議論を詰めていくことによって、将来の問題としてはそういう方向づけもできていくのじゃないかということを申し上げましたのでございまして、まあそういう点でわが党の考え方一つ御了承いただきたいと思います。
  50. 田中茂穂

    委員長田中茂穂君) これで暫時休憩いたします。    午後三時三十分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕