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国務大臣(
椎名悦三郎君) ただいまのB52の問題につきましては、当初台風避難のために板付にB52が行くであろうというような事前報告を受けて、そうして事後にそれが
沖繩に変更された。そうしてそのあとにまた続けて
沖繩からベトナムに出撃するという情報が入ったのであります。わずかの期間に二転、三転した。そうして問題のベトナムに対する渡洋爆撃が、結果として
沖繩が基地になった。こういったような報道が次々と入ってまいりまして、これはそのこと自体の実質論よりも、そういったようなことが非常に当惑を感ずるような状況にあったのであります。われわれがそういう
気持ちを持ったのでありますから、
国民一般としても何か非常に不安な
気持ちを持ってこれをながめて見ておったということは、これは否定し得ない事実であろう、こう思うのであります。そういう
意味において、私もまことに割り切れないものを感ずるというような記者会見において
ことばをもって表現したのでございました。これも、そうかといって、それでは今後永久に
沖繩の基地をベトナムの戦争のために全然使うことは困るという申し入れをするかしないかという問題とはおのずからこれは違うのでありまして、そのときの情勢によって当惑し割り切れざるものを感じたというのであります。日米安保条約のたてまえからいうと、
極東の安全平和のために軍事基地を使うのは、これは当然
日本国内の問題についても認められておるところであります。いわんや
沖繩の軍事基地は
アメリカの
施政権下にあるのでございますから、これに対して、条約上あるいは法律的に困るというような申し出をすることは、これは条約のたてまえあるいは法律論的に言いましても当然主張できる
考え方ではないのであります。ただ、
沖繩が
日本の潜在主権下に依然として置かれておる、そして
住民も全く
日本人と何ら区別すべきものはない、こういう点を考慮に入れて、そして実際の行動に関してはそのときそのときにおいて適当な判断のもとにやってほしい、こういう
考え方は多数の
日本国民の
考えておるところであろうと
考えます。これらの問題については、いわばそのときどきのその情勢下においてどういう一体
国民感情が微妙な動きをするかというようなことと
関連するのでありまして、これを型どおりに一定の型に当てはめて、そしてこれはいいとか悪いとか、困るとかいうようなことをこれは言うべき問題じゃなくて、おのずからその任に当たる者が適当な考慮を払うべき問題であろうと、こう
考えるのでありまして、来たるべき
日米協議委員会にこの問題を特別に私は持ち出す
考えは持っておりません。こういうことを特に申し出なくとも、たとえば原潜の寄港の問題、これも条約上、もう当然
アメリカの軍艦であります、寄港する正当な理由なりあるいは権利とも申しますか、そういうものが認められておるのでありますけれ
ども、
向こうのほうが、さりながら
日本の
国民感情を考慮して
向こうから予告をして、そして了承のもとに寄港するといういわゆる慣行がすでに樹立されております。それを、一定の型に当てはめて取りきめをするというようなことは、かえって適当でない。また、条約のたてまえからも適当ではない。かように
考えておる次第であります。