○野原(覺)
委員 これは、漁業資源保護法は生き残っておるし、それから六年の期限が
経過いたしますと、李ラインは自動的に復活をする。これは法制局
長官も認めざるを得ないと思う。無条約状態になれば復活するかもしれないという懸念がある。私はこの懸念はあると思う。だから、あなた方が公海自由の原則によってとか、李ラインはなくなったのだと言うならば、少なくとも日韓条約の調印をするにあたっては、
日本と韓国との間の水域にこのような国際法違反の不法不当なラインは設けてはいかぬぞということくらいの確約を一本とるべきなんです。自主的撤廃とは六年間の自主的撤廃だ、六年間だけ何隻かの船が入って、十何万トンかの魚がとれる、その制限を付けられた限りの撤廃だ。時間的な制約の自主的撤廃だ。その時間が
経過すればもとに戻るかもわからないという状態に置かれていることを知りながら、そのことの破棄を求めないままに調印したということは、これは
総理大臣、軽率のそしりを免れませんよ、この問題は。これは、私
どもはやがて日韓条約の批准国会において追及をしなければならぬと
考えます。
そこで、
先ほどの真のねらいというものは、そういう中身をあいまいにしながら、
参議院選挙で
社会党の代議士は一人も
東京にいないし、
国民が
選挙に焦点を向けている六月二十二日の
選挙のまっ最中、徹夜でやった。竹島の問題だって問題がある。李ラインだって、領域だって問題がある。あるいは法的地位だって、待遇だって問題がある。きょうは時間がありませんから触れておりませんが、韓国籍の者と韓国籍でない朝鮮人との処遇が、持ち帰り金にしたって、その持ち帰り財産にしたって、あるいは教育と
生活保護はともかくとして、
国民健康保険にしても、いまだに方針が出ていないようだが、これに差別待遇があるということになると、今後の朝鮮対策として、
日本政府はいわゆる国際的な大きな問題点を残すことになると私は思うのです。そういうふうにたくさんの問題点を残しながらこのような調印をした真の理由というものはどこにあるのか。これはなかなか
日本政府はほんとうのことを言わないのですが、韓国の朴正煕はこの点はりっぱだと思う。ほんとうのことを言っております。読み上げます。韓国の朴正煕がこう言っている、ほんとうのねらいを。「最近のアジアの情勢と、
ベトナム地帯の流動的国際情勢の激変を語らずとも、自由陣営の結束は、そのいかなる時よりも最も緊急に要請されているのが実情である。もっとも、中共は核実験成功を契機として国際
政治上の地位が急速にクローズ・アップされ、世界
政治の舞台である国連への加入をめざし一歩一歩その基盤を固めつつあるこの時、ともに自由陣営の一員であり、地理的にも隣接する韓日両国の国交正常化は緊急に解決されねばならない問題である。」中共を目標にしたということをここに書いているのです。長くなりますから、大事なことは抜いておきます。これは朴正煕の
発表です。今度はその次、ずっと省いて前文省略。「これは結局、
日本も変遷する国際情勢と中共の急速な膨張に対処するため、自由陣営が結束して、とくに極東における共産勢力の脅威を最も身近に受けている韓日両国が、国交正常化を通じて結束しなければならない緊要性ないし不可避性を認識していることを語っているものだと思う。」この締結は、これはつまり反共の立場をとるということです。中共を目標、これは反共の一つの同盟だということ。私は時間が、ございませんから、これはずっと申し上げませんが、「韓日両国が国交を正常化することは、単に韓日両国だけでなく全自由世界の利益をもたらすものである。これがすなわちアメリカをはじめとする友邦国家がみなともに韓日交渉の早期妥結を強く望んでいる理由である」云々。ここで、韓日会談の白書の「自由陣営の結束」というところに韓国
政府が正式に
発表したもの、これを見てみますと、日韓会談とは、これは因数分解をすれば日米韓会談である。日韓会談は、日韓会談プラス米韓会談プラス米日会談、こういうふうに因数分解されて、答えは日米韓会談だ。私は、時間がないからその証拠はいまここではあえて出しません。これはアメリカの
日本に対する要請、アメリカの韓国に対する要請、問題は、アメリカの中国封じ込め、そういうところからの要請がきびしいために、
ベトナムの戦争も激しく展開されておるために、どうしても
日本がここで立ち上がってもらわなければならない。日韓の正常化という形で自由陣営の結束を誇示しなければならぬというところに原因がきておることは、朴正煕は率直に
国民に訴えておる。ところが、このことを私
どもが本
会議その他で質問いたしましても、そういうことは断じてない、何言っているんだ、韓国とは隣国だからやっ
たんだ、とこう言う。隣国なら、なぜ中国とやらぬかと言えば、御
答弁ができない。こういうように、平和に徹すると
総理は言われますけれ
ども、この問題はいまここでは時間的に議論はできませんが、私はあなたの平和観というものをもう少し掘り下げて承らなければならぬ時期がやがてきたならば、平和に徹するというその平和とは、具体的にどういうことか。平和とは、私は戦争をしないということだと思うのです。仲よくするということだと思う。仲よくするということであれば、何も共産主義とか資本主義のイデオロギーにこだわらないで
日本は手を差し伸べるべきだ。ところが、今度の日韓会談の中身は、法的地位の待遇においても、おまえは北鮮であれば差別する、こういうような
考え方に立っておることをきわめて遺憾に思うのです。時間がございませんために、まことに残念でございますが、真のねらいは中国を封じ込め、それから反共の同盟。日韓会談とは、アメリカの極東戦略によって要請されたために、竹島もあいまいにし、それから李ラインもあいまいにし、韓国の領域もあいまいにしてこの条約が調印をされておるものと私
どもは断定せざるを得ないのであります。
以上を申し上げて質問を終わります。(拍手)