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山中(吾)
委員 これは私もあらかじめ
質問通告の中に入っておるわけですが、今度の参議院選挙中に佐藤総理
大臣が盛岡に来て、僻地給食は完全給食を
実施する、予備費を六億ですか使ってやるという言明をしておる。一国の総理が僻地のまん中に来て宣言したことなので、私にとっては重大な問題なのです。言明は何に使われてもいいから、ぜひ
実施をしてもらいたい。有言実行内閣の実をあげてもらいたい。僻地をだますようなことではけしからぬと思うので、認識を深めていただきたいと思いますので申し上げます。
実施の要領を見ますと、三級から五級までにしております。実際は二級が一番困っておるのです。これは開拓地が多い、非常に貧困なんです。それから大体われわれの地域で見ると五級というのは古いのです。平家の落人とかなんとかという古い部落です。そういうところから
考えて二級、三級から形式的に僻地の級が多いから、
学校給食の補助の割合を率をふやしていくというのは、これは実際に合わない。そういうところですから、やるなら全画
実施をされるのでないと非常に不公平で、
あとで必ず議論が出るのです。これは貧乏のほうは率が少ない。そこで大蔵省
主計官、これはなお
調べてもらってけっこうですが、財源が少ないから三級から以上形式的にやると地方の実情に合わないのです。二級が一番貧困な地域なんです。しかし交通の便からいうと、たとえば盛岡市から距離は近い。しかしそこに入り込んだ開拓民だという
関係が多いわけですから、そういう実態があるのです。それは僻地指定と言われるなら全部が
実施されるのが正しいんじゃないかと思うので、それをひとつ間違えないように、ただ財源的に一級から三級まで、三級から上だというような査定で簡単にされないで、やるなら全部
実施する方向にひとつ御検討願いたい。
それから次に人件費については、たてまえ論をいま
主計官は出された。しかしたてまえ論が一番困るのが現実なんです。それは財政力指数の非常に低い市町村は、人件費が出せないから出さないのです。貧乏な村、財政指数の少ないところは人件費が出せないから、
学校給食については、一番問題にされる
学校においては、子供のためにやろうとしても従事員がいないからどうにもならない。たてまえはたてまえにしても貧村からいえば人件費が一番問題になるんだということを別な角度でやる。こういう問題は特に僻地の特別
措置ですから、たてまえはあってもこれは例外
措置としての
一つの
文教政策ですから、そのたてまえをとっていただきたい。一番問題になるのが逆にそれなんです。事実村が貧困だからです。
それから次に設備の
関係もいま触れられたのですけれ
ども、やはり単価が一番問題になるんですね。大蔵省の査定されるところの単価は三万九千円ですね。積雪地においては大体五万から六万円です。必ずプラスエックスが要るんです。現実に
調べてみると。大体積雪地に行くと六万です。僻地は雪が多いところが多いわけです。そういう
関係で単価が低いために現実に村の財政負担が多い。
いま
一つ、これも
主計官中心に聞いてもらいたい。現在市町村合併で、たとえば岩手に例をとると岩泉の町は十八校、山形村というところも十校ある。一校、二校じゃない。したがって八割の補助をしても単価も低いし、こっちにやってこっちにやらないというわけにはいかないのです。そこで村から言いますと、貧困財政の中で数校以上の
学校給食設備をしてやらなければならない。単価を低くして六割だ七割だ八割だ、だから財政当局からいったら三百万円、四百万円の金になり、たった二割の負担の場合にもそうなってくる。したがってこれも
文部大臣のほうへは通知を出しても、
現地の
教育委員会、町村長に頼んでも、金がないからだめだというのはそこから出てくるのです。そこで
大臣のほうでは、総理
大臣がやれという命令のように岩手で言われたものだから、緊急に
関係の
教育長を招集して仰せであるからやらなければならぬといって村々に頼む。ところが町村長に行くと金はない。いま申し上げたようなところから実際金が重なってきているというそういうふうな中で、総理
大臣が厳命をして、
教育行政のほうは一生懸命にやらなければならぬ。町村長のほうはそれくらいじゃとてもできぬというふうな中で、どこへしわ寄せがいくかというと、やはり最後にはPTAにいく。僻地のPTAなんていうのは、貧農ばかりですから、出かせぎに
東京、北海道に行って妻子を捨てて半年も出かせぎをしているような家なんです。だからそういう実態を見れば完全無償——こういう少数のところですから十五、六億だ、総理
大臣まで言っているのだ、それくらいおやりになってしかるべきじゃないか、そういうことをひとつ実感を持っていただきたい。
大臣お聞き願いたい。
それから
学校給食は、各町村ごとに小さい
学校があるので、従事員が置けなければ、そういうところでも共同施設はできる。数校で
一つの共同調理室をつくり運んでくるということはできるのです。その中で何か栄養士のくふうができないか。そこで私は一方に、僻地には給食のものを運んでやり、あるいは眼科の先生を迎えるためにあるいは歯医者を迎えるために、必要なときには子供を送ってやるために、分校、本校まであるいは山を越え谷を越えて行かなければならぬ
学校は、国産品のジープを備えつけてやれば、その点は非常に経済的に、しかも本校、分校の関連もできるから、ぜひ国産のジープを置いてもらいたい。アメリカから輸入するんではなくて国産品でいいんだ。国内の産業発達にもなるというので、前の予算
委員会で
質問したら、愛知
大臣はいいことだからやりましょうと言っておる。その僻地の
学校給食とそういうジープといろいろなことを勘案をしながら、少なくともPTAの負担にならないような
措置をしてください。いまのような
やり方ではいかぬと思うのです。
お答えを受けると時間がかかるから言うだけ言う。特に
主計官聞いておいてもらいたい、それが
一つ。
前々から要望しておったのですが、僻地の
学校にふろを置いてやるということ、これはきょうの
新聞に出ているから間違いないと思うが、
文部省は人から言われないでもいい着眼があると思ってほんとうに敬意を表する。僻地の
学校に参りますと、農村においてふろのあるところはまず四分の一、そして鉄砲ぶろなんです。川の水です。したがってふろに入れない子供はたくさんおる。
学校の教師も僻地の
学校に行ったときに一番苦痛に感ずるのはふろがないことなんです。農家のふろをもらいぶろに行くということ、そういう中で環境条件が悪いものだから、
教育に対する熱情その他の前に生活的に非常に不快指数がふえていろいろ不平不満が出ておるわけです。僻地の
学校を巡回してみますと、何が一番ほしいんだというと一番ほしいのはふろだというわけなんです。そして自分もふろに入れないが、子供もふろに入れて帰したいというわけです。そこで僻地
学校の施設の補助
対象に、少なくともふろを
一つ置ていやる。これは非常に少ない費用で子供の衛生、教員の精神衛生上、村全体のためにどれだけ大きい明るいものを与えるかわからない。そこでこれはおそらく
文部省も予算要求をしておる。まだ局議になっていないでしょうが、これはけさ見たんですからね。
大臣見ましたか。これはぜひ通してもらいたいと思うんです。
主計官、これといったらすぱっと削る、そんなことをしないで入れてやってください。これはほんとうに喜ぶ。こういうのが生きた金の使い方なんです。だから
学力テストはしなくてもいいからこういうことをしてやると、それでずっと一生懸命になる。それをぜひ
お願いしておきたい。これはいろいろ申し上げることがたくさんあるのですが、これだけは関連して申し上げておきます。
大臣、ひとつ頭に入れて、
局長もあまり遠慮しないで、漸進的といわないで、そういう矛盾を五カ年、六カ年引き延ばすことは、僻地の
学校同士で比較をされると非常に悪いと思うのです。それをぜひ
努力をしていただきたい。