○芳賀
委員 その点はわかりました。
次にお尋ねしたいのは、先ほど同僚の
兒玉委員からも指摘がありましたが、毎年
政府が
イモ類の
基準価格を
決定して指示する場合に、その
歩どまりに対する指示があるわけですね。いわゆるスライド制といわれておるわけですが、それはたとえば過去十カ年間の経過を見ると、決して、
バレイショにしても
カンショにしても、
歩どまり基準というものは、現在の
基準ではないわけですね。たとえば
昭和三十年から三十九年までの十カ年をとりますと、
バレイショでん粉の三十年から三十一年までの
歩どまり基準は一四・五%、三十二年から三十五年までの四年間は
基準歩どまりが一五%、三十六年−三十七年が
基準歩どまり一五・五%、三十八年−三十九年が
基準歩どまり一六%というようになっておるわけです。それから
カンショのほうは、
昭和三十年から三十五年までの六カ年間は
基準歩どまりは二一%、三十六年が二二%、三十七年が二二・五%、三十八年、三十九年が二三・五%ということになっておるわけです。このスライド制は、以前から
歩どまりごとに格差をつけるということで始まったわけですから、たとえば
バレイショの場合に、一四・五%とか一五%とかあるいは一五・五%の時代は、最高の限界を一六%に押えて、そうして〇・五%刻みに一定の格差をつけるというやり方でこれはきておるわけです。それで、
歩どまりの最高が、最初から
バレイショの場合には一六%まで、あるいは
カンショの場合には二三・五%までということで、これはスライドの場合でも上位を押えてきたわけです。ところが最近は、その
バレイショも
カンショも、ともにその上位といわれた一六%あるいは二三・五%にもう達しておるわけです。それでもう上がないから、
歩どまりの悪い分だけを引き下げるという措置をやっているわけですね。これは誤りだと思うのです。最近の事情は、やはり
バレイショの品種あるいは
カンショの品種等についても、できるだけ高
でん粉化の品種に改良されてきておるわけですから、そういう
イモ類は、
でん粉歩どまりも比較的少なくて水分の多い
イモ類よりも、反当の収量は少ないということが定説になっておるわけです。しかし、
生産者が改善して、従来は一四・五%とか一五%
程度が
標準であった
平均歩どまりが相当高くなってきておるわけです。ということは、
政府が一六%とかあるいは
カンショの二三・五%をきめる場合は、これはこれ以上はないということを
基準にしておるわけではないと思うのです。それ以上上位の
歩どまりもある。しかしまた下位の
歩どまりもある。大体
平均的に見て、しかも品種改良の努力をさせるという刺激を与える意味からも、やや
平均よりも上位に
歩どまり基準を置くということで配慮されておると思うのです。ですからこの上があるわけですね。それをこれ以上の
歩どまりについては一六%の
価格と同一にする。これ以上の
歩どまりについては二三・五%の
価格と同様にするということで押える告示を出しているが、これは間違いだと思うのです。上を認めないというのであれば、下を認めなくてもいいじゃありませんか。
農安法ができた当時の一本
価格でいったほうがいいと思うのです。現に、たとえば
カンショについても、これは
関東と九州においては相当
歩どまりが違うが、しかし、九州方面においてはもう二八%ぐらいの
歩どまりの
原料イモがどんどん出ておるわけですね。北海道においても品種改良の結果一七%台の
イモもあるということになれば、その
イモ類については、ただ
イモそのものを買うわけではないでしょう。
でん粉原料としての
バレイショ、
カンショを買うのだから、当然その
イモに含有されておる
でん粉を買うということになると思うわけです。ですから、これは
政府にとっては何も損得のない問題じゃないですか。一六・五、一七%については、これはスライドで買いなさい、
カンショについてもそのようにしなさいという告示をされても、何らこれは
政府が財政上負担するとか実害を受けるという筋合いの問題ではないと思う。せっかくいままで
生産者の努力とか
農林省の指導等によって、
でん粉歩どまりの優秀な
原料イモが栽培されておるわけですから、この
基準が上がるたびに、その上位についてもやはりスライド制を適用するという配慮は、これは指摘されなくても当然だと思うわけです。ですから、今
年度決定する場合は、
基準価格ももちろんでありますが、このスライド制に対して再検討を加えて改善をするということは言明してもらわなければならぬと思うわけです。