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高田委員 あの国は統計や何か秘密でしょうしね、わからないことなんでしょうが、しかし、何とかその情報や何か、もう少し意識的に調査しないと大問題だと思うのですね。もしここにありますようなぐあいに、過去六年間、七年間
中共の
生産量はちっとも伸びていない、こういうことなら大問題じゃないと思いますけれども、これはわからぬと思うのですよ。もう少しお調べ願ったほうがいいと思うのですが、もし
中共あたりで、外貨獲得に非常に熱意を入れているときですから、外国からものを買いたいけれども、売るものがないというときに、この
生糸であれば手っとり早く
日本と十分競争が可能であるということで、大々的に始める気になれば、幾らでもやれることです。
中国の国策で
輸出五カ年計画を立てて倍にしようとすればわけないですから、これは相当
わが国にとりましては深刻な課題でありまして、ぜひこれはお調べ願いたいと思います。具体的なデータは、正式には発表しないでしょうから、寄せ集めでけっこうだと思うのです。しかし、事は非常に重大でございまして、もし
中国生糸が、ここにありますとおり六年間ふえていないという前提に立てばですが、もしそうでないということになれば、これは環境はすっかり変わったと見なければならぬ。これは今後ある
程度日本の
価格が安定したとしましても、
中国生糸はもっと安定していますよ。年間で一文も
変動のない
価格で、
日本より安く、しかも
品質においては、向こうの
需要に応じたものを売れるようになったら、
ヨーロッパ市場はもうこれは永久に
回復できません。アメリカは政治的に買わないでしょうけれども、しかし韓国からは買う。アメリカの場合は、韓国からほんとうに買うものがないでしょうから、
生糸でも何でも、できるものはうんとつくらしてどんどん買ってやるぞということになりますね。そうなると、これまた
日本よりはるかに、安くできることは言うまでもないので、こういう環境の変化を
考えますと、
日本で
輸出が激減しつつあるという現象は、数年前まで、
価格さえ安定すれば伸びた時代と違って、いまは
価格が安定しただけではだめ、今度は競争相手を圧倒していくだけの体制にならなければ伸びないというように、環境が著しく変わった、きびしい環境になったということを前提とした
国内体制を今度われわれは
考えなければならないと思うのですね。そうだろうと思うのですよ。ですから、私は、そういう点で環境の変化ということを念頭に置きますと、私の知っておる専門家などは、もうある
意味では内需産業と割り切って
対策を立てたほうが、実際的じゃないかというようなことさえ言う人があるくらいです。いまくらいの
生産量なら、内需で全部こなして問題ない。しかし、これをふやすということになると、なかなかこれは手不足で、安い
価格で増産しろといってみたって、他産業と農業の格差は開くばっかりということですから、容易にできないんじゃないがという議論もあるくらいなんです。しかし、もちろん私はそういう消極策ではなしに、せっかく前向きになりかけてきたところですから、もっともっと本腰を入れて前向き施策にしたいことを望んでいるわけですけれども、それだけに問題は深刻だということを、やはり前提に置かなければならないと思うのです。
そこで今度の
法案の問題でございますが、これは
一つには、
価格の安定をはかろうということでございますから、もちろんいま申しましたような非常にきびしい環境の中で、
価格の安定だけが唯一の方策でないというぐらいの状況であるということを申し上げたのですが、だからといって、
価格安定が非常に大事な問題であることは否定すべくもないわけでありまして、その中心であります。そこでしからば、その
価格安定ということだけを第二の問題として
考えてみた場合に、いままでの
繭糸価格安定法という
制度がございまして、これを
運用することによって
価格の安定をはかり、
海外に対しても信用を維持して
輸出を振興しよう、こういうたてまえで、ともかく今日までやってきたことは間違いないわけなんです。ところが、その
繭糸価格安定法の
運用のいままでの経験からいたしまして、第一に、
関係業界とすれば、結論として、これだけにたよっておれぬ、これだけにたよっておったのではとうてい
価格の安定、それによる
需要の増進ということははかれないのであって、もっと別のことをもう
一つそれにプラスして
考えなければならないのだというような動機から、
製糸、
養蚕側で寄り寄り協議をしながら、今度出ておりますような
法案の基礎になる
考え方をまとめてきたことが
一つあろうかと思います。それからもう
一つには、私は、
政府側からも同じようなことがあるのではないかと思います。これは
繭糸価格安定法というものにたよって、
政府みずからが
運用の責任に当たってこれでやってきたが、これではどうもうまくいかなかった、これだけにたよっているわけにはいかないのだということで、
政府みずからも、そこにある
意味では
——先ほどどなたかから
質問があったと思うのですが、ある
意味では責任のがれにとられる危険性があるように思うのですが、ここらで、ある
意味では別のことを
業界の責任でやらしてみる必要があるのではないかというふうに
考えてき、あるいはさらにもっと善意に解釈すれば、もっとプラスした、強力なものにしようということを
考えてきた、こういうことになるわけだろうと思う。それでこういう
法案が生まれてきたということになるのだろうと思いますが、そうなりますと、やはりここらで非常に明確にしておかなければならないのは、いままでの
繭糸価格安定法の
運用において、どこにどう欠陥があり、どう悪いか、どこが足らなかったかということを明確にし、そしてそれを補うためにこういうものをつくってこれを補正させていくのだというところあたりを明確にいたしませんと、何だか責任のがれみたいなことである新しいものをつくり、そっちに逃げてしまうのではないかというふうなことになったのでは、これは非常にまずいわけです。しかし、こういうものが出てきた背景に、
先ほど申し上げましたように、
製糸、
養蚕業界をあげて何らかの新しい安定措置を自分たちの力でやろうという意欲が盛り上がってまとまってきたということは非常にいいことだと思う。私どもは、そういう機運を醸成するためには、いっときも早く、こういうものが生まれたら大いに
政府もこれに
指導援助を与え、育成していくことは非常にけっこうだと思います。思いますけれども、そこら辺の明確な割り切り方がありませんと、ややもすれば責任のがれではないかという議論も出てくるわけでございまして、いままでの安定法の
運用にかんがみてどうなんだ、だからこれをこうしたのだといったことについての御見解を簡潔に承りたいと思います。