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1965-08-09 第49回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月九日(月曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 倉成  正君 理事 田口長次郎君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       池田 清志君    笹山茂太郎君       田邉 國男君    綱島 正興君       中川 一郎君    湊  徹郎君       森田重次郎君    卜部 政巳君       千葉 七郎君    松浦 定義君       森  義視君    山田 長司君       湯山  勇君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         食糧庁長官   武田 誠三君  委員外出席者         農 林 技 官         (大臣官房審議         官)      原  政司君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 八月七日  委員中川一郎辞任につき、その補欠として小  山省二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小山省二辞任につき、その補欠として中  川一郎君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員池田清志君及び藤田義光辞任につき、そ  の補欠として池田勇人君及び湊徹郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員池田勇人君及び湊徹郎辞任につき、その  補欠として池田清志君及び藤田義光君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 八月六日  果樹農業振興特別措置法強化充実に関する請願下平正一紹介)(第二〇七号)  異常気象に対する米の生産奨励措置確立に関する請願下平正一紹介)(第二〇八号)  不順天候による農作物の被害対策樹立促進に関する請願下平正一紹介)(第二〇九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 八月七日  ブドウ糖工業設備資金融資に関する陳情書(第一七〇号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法適用期限延長に関する陣情書(第一八五号)  農業後継者育成に関する陳情書(第一八六号)  開拓農業協同組合整備促進に関する陳情書(第一八七号)  農業構造改善事業促進対策整備刷新に関する陳情書(第一八八号)  産米県外移出に対する奨励金交付に関する陳情書(第一八九号)  農業振興対策確立のための諸制度改善に関する陳情書(第一九〇号)  食糧自給政策確立に関する陳情書(第一九一号)  異常気象による農業被害対策に関する陳情書外二件(第一九二号)  異常気象に対する米の生産奨励措置に関する陳情書(第一九三号)  異常気象に対する米の生産奨励措置等に関する陳情書(第一九四号)  農林漁業近代化に関する陳情書(第一九五号)  早場米出荷奨励期間延長等に関する陳情書(第一九六号)  カンショでん粉対策に関する陳情書(第二三二号)  蚕糸業振興に関する陳情書(第二三三号)  国有林野の売払い等に関する法律の早期制定に関する陳情書(第二三五号)  畜産振興に関する陳情書(第二四九号)  農林業対策に関する陳情書(第二五三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 最初に、米価についてお尋ねいたしたいと思います。  米価審議会でいろいろ議論もされておりますし、その間における政府の御見解も御発表になっておりますから、それ以後の問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、政府は一体どういうわけで指数化方式を採用したか。指数化方式をああいう形でとることが答申を尊重したということになっておるという御判断なのかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  4. 武田誠三

    武田政府委員 どうもたいへんおくれて申しわけございません。  ただいまお尋ね米価の決定につきまして、本年の米価をきめます際に指数化方式によりまして算定をいたしたわけでございますが、これにつきましては、先生も御承知のように、米価審議会におきます答申におきまして、生産費及び所得補償方式ということについては、米価審議会の御見解一致しておったように思うのでございますが、その算定をどのような方式でやるかということにつきましては、家計均衡というような思想を取り上げた積み上げ方式、それから指数化ということでやる方式、新しくこういった二つの見解が従来の積み上げ方式のほかにあったというふうな御答申でございまして、方式を一本化するということについては、必ずしも御意見一致がなかったように思っておるのでございますが、政府といたしましては、この際、米価審議会の中におきましても、指数化方式ということについての相当の御意見もございましたし、また米価算定いたしてまいります上で、生産費及び所得補償方式趣旨を十分にこれは具現しておるものでもございますし、かつまた、安定的に今後の米価算定していく一つのやり方として採用し得るものではないかというような考え方に基づきまして、本年の米価につきましては、指数化方式に基づきます算定額によったわけでございます。
  5. 湯山勇

    湯山委員 ただいまの御答弁によれば、指数化方式生産費及び所得補償方式、この原則に合致しておるという御答弁でございますけれども、はたしてそうなのかどうなのか、この点をまずお尋ねいたしたいと思います。  まずお伺いいたしたいのは、昨年五百五十円という臨時特別加算金米価の中に含まれておりました。これが本年度計算では金額にして幾らになっておるでしょうか。
  6. 武田誠三

    武田政府委員 昨年の臨時特別加算の五百五十円が本年の米価の中で幾らになっているかというお尋ねでございますが、これにつきましては、米価引き上げ率、例の二百五十五円を除きました一万六千百二十円というものに昨年の一万五千一円が引き上げられております。そのうちの七・六%アップというような数字が一応入っている、しいて申せばそういうことに相なるかと思います。
  7. 湯山勇

    湯山委員 しいて申せばというのは、どういうわけですか。
  8. 武田誠三

    武田政府委員 先生も御承知のように、指数化方式におきましては、生産者の米の生産費の中の労働時間でございますとか、その労賃の評価がえ、これにつきましては、労働時間の変動、また一時間当たりの都市の五人以上の製造業者賃金伸び率というものをかけて算出をいたしております。したがいまして、今度の一万六千余円のうちに、労働費部分がどういうふうに入っているかということにもしなりますれば、その指数をかけた数字ということに相なりますが、この五百五十円につきましては、そういった中身としまして、労働賃金幾らでどういうふうに見たものであるか、あるいは地代部分をどういうふうに見たものであるか、そういうふうな内訳のついたものではございませんので、米価上昇率そのものをかけ合わしたものが、しいていえば上昇額になっている、こういうふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  9. 湯山勇

    湯山委員 それで額は幾らになりますか。
  10. 武田誠三

    武田政府委員 計算いたしますと、約五百九十一円くらいの計算に相なります。
  11. 湯山勇

    湯山委員 私も大体五百九十二円くらいじゃないかと思っておりました。これは一体従来踏襲してきた生産費及び所得補償方式のうちのどれに入りますか。いましいてということにこだわったのは、そこなんです。本年度米価の中には、五百九十二円という何かわからないものが入っている。これは生産費及び所得補償方式の中のいわゆる生産費に入るものか、所得補償のほうに入るものか、どうなんでしょうか、しいていえばどうなりますか。
  12. 武田誠三

    武田政府委員 昨年の一万五千一円の米価が決定されましたそのときに、臨時特別加算金として五百五十円というものが入ったわけであります。この五百五十円というものの性格をどういうふうに裏づけをするかということによって違ってくるものであると思いますけれども、これにつきましては、その当時の情勢に基づきまして、かつまた、米価審議会等におきましても、たとえば農民の行ないます研修時間でございますとか、あるいは地代の見方でございますとか、いろいろな点におきまして、必ずしも見解一致が見られておりません。それらの事情等も勘案をいたしまして、五百五十円というものが臨時特別加算金という形で入ったものと思いますけれども、本年の米価算定の際におきましても、研修の時間等の問題につきましては、米価審議会におきましてもなかなか御意見一致がなかったわけでございます。したがいまして、昨年の五百五十円というものを基準米価の中にそっくり取り入れることによりまして、それらのどこまでやりましてもなかなかな結論の出ません問題につきまして、そういう形で考慮すると申しますか、織り込むと申しますかという形で、基準米価を昨年の一万五千一円ということにいたした次第でございます。
  13. 湯山勇

    湯山委員 私のお尋ねしておることと御答弁とは、ちょっと一致してないのですけれども、あとでもう一ぺんそこへ返ります。  その次にお尋ねいたしたい点は、本年新たに加えられた予約奨励金、これは生産費所得補償方式の中の生産費に入るのか、所得補償に入るのか、どちらに入りますか。
  14. 武田誠三

    武田政府委員 本年の二百五十五円につきましては、御承知の本年の異常気象というようなことが早くから予想されておりましたしいたしますので、本年の生産を順調に維持していきますための農民生産意欲の高揚、あるいは生産努力をさらに一そうふるい立たせていただきたいということと同時に、農家の方々としても予約をできるだけよけいやっていただきたいという両方の趣旨を含めてのものでございます。したがいまして、生産費及び所得補償のうちのどこに入るかということになりますれば、むしろそれらのもの以外のものとして、本年の特殊事情に基づいてつけられたものと私どもは理解をいたしております。
  15. 湯山勇

    湯山委員 それではこの二百五十五円というのは、来年度米価算定の場合に——本年五百五十円が昨年度米価として算定基礎になった、本年はこの二百五十五円というものが同じように米価として出されるわけです。そうすれば、この二百五十五円というのは、来年度米価計算の場合のPoという基本米価ですか、基準米価に入るのですか、入らないのですか。
  16. 武田誠三

    武田政府委員 私どもは、明年の米価につきましては、今後また検討いたすわけでございますが、この二百五十五円というものは、明年のいわゆる基準米価というものには入らないというように考えております。明年の米価につきましては、やはり本年同様一万五千一円というものを基礎にしたもので算定さるべきものというふうに心得ております。
  17. 湯山勇

    湯山委員 おかしいじゃありませんか、それは、前年の米価基準になって、しかも五百五十円というのは、いま長官がおっしゃったように、厳密にいえば、生産費所得補償のそのワク内に入らない。しかし、ことしは政府のはからいでこれは入れられたわけです。そして今度入れた二百五十五円というのは、またそれは入れないというようなことでは、全く筋が通らないと思いますが、どうですか。
  18. 武田誠三

    武田政府委員 本年の二百五十五円につきましては、御承知のような本年の特殊事情に基づきまして加算をいたしたものでございます。それから昨年の五百五十円につきましては、当時いろいろと御議論があったわけでございます。また米価審議会等におきましても、いろいろと御議論があったわけでございますが、このたび指数化方式というもので計算をするにあたりまして、かつまた本年の米審等におきますいろいろな御議論等も拝聴いたしたわけでございますが、現に昨年実現しましたものを基準にし、かつまた、いろいろ労働時間その他につきましてなかなか御意見一致が得られませんので、この際、五百五十円というものは基準米価の中に入れて算定をするということにいたしたわけでございます。
  19. 湯山勇

    湯山委員 いまの入れた入れないの問題は、議論の問題ではなくて、政府責任を持っておやりになったことです。そこで、この五百五十円についても、名前が示しておるとおりに臨時特別加算ということで、昨年の特殊な事情に対して加算されたものである。したがって、計算方式の中じゃなくて、昨年の需給事情、そういうものが一つの大きな要素になったことは、これは長官も御存じのとおりです。その点からいえば、本年の二百五十五円とそんなに性質が違っているものではありません。一方は政府責任において入れて、ことしのは入れないというのでは、これは政府のあり方としても非常に大きな問題ではないかというように思いますが、もう一度その点は、昨年のは入れる理由はこう、ことしのは入れない理由はこうと、明快にしていただきたいと思います。ほんとうに絶対入れないかどうか、言い切れますか、長官
  20. 武田誠三

    武田政府委員 お答え心ずしも明快に申し上げられるかどうかわかりませんが、昨年の五百五十円につきましては、先ほども申し上げましたように、米価算定基準でございます研修その他労働時間についての御見解心ずし一致しておらず、また地代等につきましても、いろいろな御意見があるということも——昨年の米価をきめましたときの特別な事情もあったと思いますが、そのほかに、そういうような事柄もあったと思うのでございます。本年の米審におきましてもそのような御意見がございまして、ことしの米価をきめますときの基準米価としては、五百五十円を算入いたしたわけでございます。それから本年の二百五十五円につきましては、私は、現在のところ、明年の米価基準に入るべきものではないというように考えておるわけであります。
  21. 湯山勇

    湯山委員 いまの問題は非常に重大な問題ですから、いまの段階でということは、これはどうもいただきかねると思います。  そこで、その議論は一応また留保いたしまして、本年の政府買い上げ価格の中には、従来政府のほうで生産費として示されておったもの以外の金額政府のほうがいつも資料としてお出しになる生産費はこれだけ、こういう計算だという、それ以外の金額がどれだけありますか。
  22. 武田誠三

    武田政府委員 いまのお尋ねの中で、たとえば指数化方式をとりましたときの——ことし五百五十円を含めたものを基準にいたしたわけでございますが、その中で、従来の積み上げに入っていなかったものがどれだけあるか、こういう御質問でございますか。御質問趣旨が具体的によくのみ込めないので、お答えがちょっとしにくいのでございますが……。
  23. 湯山勇

    湯山委員 それじゃこっちから言います。従来生産費所得補償方式生産費として——もちろん所得と言ってもいいわけですが、政府のほうで項目を分けてお示しになって、これが反当生産費だ、石当たり生産費だというようにお示しになっておった項目がきまっております。ところが、本年の米価には、先ほど長官のほうから御答弁になられた五百九十一円という昨年からのからみ合いで上がった分と、それから今度の予約奨励金という、これもどこにも入らないとおっしゃった二百五十五円、合計しますと八百五十円近いものが、従来これが生産費だと言っておるワク外にある金額だということになりますね。
  24. 武田誠三

    武田政府委員 先生承知のように、従来の積み上げ方式におきましては、労働時間あるいは物財費その他を個別に計算いたしまして、合計をいたしたものでございます。しかし、たとえば労働時間というものを、現在統計調査部生産費調査を行なっておりますけれども、この労働時間の中にいわゆる研修に要する時間というようなものを入れるべきか入れないでやるか、あるいは別個に調査をいたしまして、そういうものを生産費の中に労働時間として組み込んでいくべきかどうかというようなことが、いろいろ議論に相なっておることは御承知のとおりでございます。それらのものにつきましては、現在資料的にも、また現実にそれをどういうふうに組み込んでいくかというようなことにつきましても、必ずしも意見一致が得られておるわけのものではございません。昨年の米価を決定いたしますときの五百五十円という中に、そういった考え方と申しますか、不明な、議論の尽きないものにつきましても、ひっくるめまして五百五十円というようなものが考えられた面もあると思うのであります。したがいまして、先生お話のように、現在の五百五十円を内訳にして、このうちこれだけは幾ら、このうちこれだけは幾らというふうな基礎は、現在特に具体的にあるわけではございません。
  25. 湯山勇

    湯山委員 そういう御答弁は、長官、困るわけです。というのは、いまおっしゃったようなことじゃありません。この五百五十円を消費者米価に入れるかどうかでずいぶん議論があったくらいで、そんなに御意見のような簡単なものではなかったはずです。また、それがいま言われるような理屈ならば、これは消費者米価算定のときに議論にならない性格のものであったはずです。ところが、そうじゃなくて、あくまでも臨時特別加算だから、これはことし限りのものだという意見もあり、またそうでないという御意見もあり、ずいぶんごたごたした問題です。いま長官がそんなふうにはっきりおっしゃるのならば、当然資料のあるなしじゃなくて、この分は所得補償の分にこうだということが言えるはずなので、そういうものでなくて、特別な加算、こういうことであったわけですから、もう一歩譲っても、この五百五十円が生産費だとは言い切れないでしょう。どうですか。
  26. 武田誠三

    武田政府委員 五百五十円が、すべてが直ちに生産費である、あるいはこのうちの何百何十円が生産費であるというふうには申し上げるわけにはまいりません。
  27. 湯山勇

    湯山委員 その五百五十円の中の半分になるのか、八割になるのか、その分、それから二百五十五円、これらは生産費に入らない。しかし、長官が言われたのは、米価生産費所得補償方式だということについては、審議会の御意見一致しておる、そのワク内で指数化方式をとる、こういうことです。いま言われたようなことだと、五百五十円の中のどれだけか、あるいは二百五十五円というものは明らかに生産費所得補償ワクをはみ出ている、そのワク内に入らない、こういうことにいまの御答弁から結論づけられます。これは御異議がないと思いますが、いかがでしょう。
  28. 武田誠三

    武田政府委員 いまの五百五十円というものがどういうものであるかという御議論でございますけれども、私どもといたしましては、指数化方式を採用いたしますについて、基準米価基準価格というものをどういうふうに考えたらいいかということにつきまして、先ほど来申し上げておりますような御議論もあり、一方で昨年実現されました米価というものを採用するのが適当であろうという考え方で、五百五十円を内ワクに入れたわけでございまして、これが生産費及び所得補償方式というもののワク外にどうしても出てしまうものだというふうには必ずしも考えておりません。
  29. 湯山勇

    湯山委員 どういう意見があったにしても、いま御答弁になったように、必ずしも全部がそのワク外に出るとは私も申しておりません。しかし、その中には出ておるものがある。それから二百五十五円は明らかにはみ出ている。これでは、生産費所得補償方式のそういう原則の中できめられたということではない、ここまではお認めにならなければ、御答弁が前後不一致になりはしませんか。
  30. 武田誠三

    武田政府委員 生産費及び所縁補償方式という計算方式の中でいろいろ御議論がございまして、具体的に算定ができない部分というものを五百五十円というものの中で考える、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
  31. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、またさっきの答弁と違ってきておるのです。さっきは、いま御答弁になったようなものもある、私もそれは一歩譲って認めましょう。その外のものもあるでしょうと言ったら、ありますという御答弁であったわけです。ところが、今度は全部がそうなって、もういまの御答弁とすぐ前の御答弁が食い違っている。これはどちらがほんとうでしょう。
  32. 武田誠三

    武田政府委員 私の申し上げ方があるいは足らなかったかもしれないと思いますが、先ほど申し上げましたのは、五百五十円そのものが、たとえば労働時間に相応するものである、あるいは五百五十円のうちの何百何十円がそれに相応するものである、残りのものがたとえば地代部分に相応するものだ、そういうふうに具体的に五百五十円の中身を言えといわれましても、いまちょっと申し上げるわけにはいかないので、それについては先ほど来申し上げておりますように、考え方なりあるいは基礎データなりというような点にいろいろ問題があるわけでありまして、これらのものを総合して昨年の五百五十円というものが一応実現された米価でございますので、これを指数化方式算定いたします上での基準米価の中に織り込む、こういうことでございます。
  33. 湯山勇

    湯山委員 それでは五百五十円は、いまの生産費所得補償ワク内に全部入る、こういうことですか。これははっきりしておいていただきたいと思います。
  34. 武田誠三

    武田政府委員 指数化方式を採用してまいります上で、基準米価というものの中に入れたわけでございますから、これは生産費所得補償方式というものの趣旨を実現しておる米価として、一万五千一円というものを採用したわけでございます。
  35. 湯山勇

    湯山委員 御答弁が私のお尋ねしておるところと合っていないのです。今度そういう判断をして基準米価にしたということはよく存じております。だから、それをしたことについてお尋ねしておるわけで、そうすると、五百五十円というのは、生産費所得補償方式ワク内のものだということですから、臨時特別なものじゃない、ただ、残念ながら、それらのデータがまとまっていなかったために、腰だめで五百五十円というものをつけたのだ、これが長官の御答弁ですね。だから臨時特別なものじゃない、こういうことですね。
  36. 武田誠三

    武田政府委員 指数化方式を採用いたしまして本年の米価をきめますときの考え方としては、お話のように、一万五千一円というものを基準米価といたしましたわけでございますから、生産費所得補償方式によります米価算定の中に入るというふうに考えております。
  37. 湯山勇

    湯山委員 それでは昨年これがつけられたときと今年指数化方式を採用したときでは、五百五十円に対する解釈は変わったわけですね。
  38. 武田誠三

    武田政府委員 昨年の米価の構成としては、先生の御承知のように、五百五十円というものは臨時特別加算ということでございました。本年の米価をきめますときに、その臨時特別加算を含めました一万五千一円というものを基準米価といたしたわけでございますから、本年の米価基礎としては、昨年の臨時特別加算性格といいますか、解釈のしかたといったものが、基準米価に変わったということであります。
  39. 湯山勇

    湯山委員 いまの御答弁で、政府のお考えがよくわかりました。しかし、そういうことがあっていいかどうか。問題は、実際は生産費所得補償方式の中に入っていなかったものを、ただ一年たって算定方式を変えるためにそれをその中に入れたということは、実は五百五十円というものは、指数化方式をとって、それがそういうふうに性格を変えたわけですから、問題は、逆に言えば、指数化方式そのものに問題があるわけです。指数化方式をとらなければそういう変質はしなかったわけで、つまり、指数化方式というのは、そういう生産費所得補償になっていないものをもそういうことに解釈しなければならないという、答申原則をじゅうりんしておる面がある。ことに二百五十五円については、明らかにこれは生産費所得補償ワク内ではありません。これはいいですね。御肯定になりますね。
  40. 武田誠三

    武田政府委員 二百五十五円につきましては、本年の特殊事情に基づきまして加算をいたしたものでございます。
  41. 湯山勇

    湯山委員 ですから、この分は生産費所得補償ワク外、こうですか。
  42. 武田誠三

    武田政府委員 お話しのとおりでございます。
  43. 湯山勇

    湯山委員 昨年は完全に、いまの御答弁から言えば、解釈でさかのぼって生産費所得補償ワク内に入れた。今年はワク外のものをつけている。いいですか。これは、答申趣旨が全部一致して生産費所得補償方式をとることは賛成だという、その趣旨ワク外になっている。これは間違いありませんね。
  44. 武田誠三

    武田政府委員 今年の諮問に対します御答申の中で、附帯決議といたしまして、「本年の異常気象に対処して本年産米の生産対策に万全の措置を講ずること。」、三として、「農民生産意欲を高揚し食糧自給度の向上に関し最善の努力を払うこと。」等の附帯決議、御建議があったわけでございます。これらの趣旨をも含めまして、本年の二百五十五円というものを特別に加算をいたしたわけでございます。
  45. 湯山勇

    湯山委員 それで、昨年も同様の趣旨答申の何かありましたね。それはごらんにならなくてもけっこうです。  そこで、まず指摘しておきたいことは、昨年の米価がきまったときの生産費所得補償方式による計算以外にはみ出したものが、先ほどからの御答弁で、大体九百円程度ある。二百五十五円といまの五百五十円——五百九十二円になっていますから、そういうあいまいなものがこの中には含まれている。これが指数がだんだんふえていけば、そういうものが拡大されていく、こういうことになりますが、この点についてひとつもう一度御配慮を願いたいと思います。  ただ問題は、その次の問題ですが、八月六日に、病虫害発生の対策として、閣議で、政府が責仕を持って農薬代を補助する、大蔵省とも話がついているというような御発言を大臣がされておると承っております。これは事実なのかどうなのか、長官ではおわかりになりませんでしょうか。
  46. 大口駿一

    ○大口政府委員 本年の異常災害におきます農薬代の補助につきましては、現在事務的に大蔵省との話し合いをしておる範囲で、今後きわめて異常なる発生が起きました場合においては、その際にあらためて予算的な折衝をして、追加の支出その他を検討するということを事務的に約束をしておる段階でございます。現在予見されております程度の病虫害の発生につきましては、現在すでに手配済みの農薬及び防除機具で一応いけるのではないかということで、すでに手配を完了いたしております。
  47. 湯山勇

    湯山委員 官房長ですからおわかりと思いますが、この問題については、閣議ではどうなっておるのですか。
  48. 大口駿一

    ○大口政府委員 閣議におきましては、本年の稲作の状況等につきまして、そのつど大臣から状況報告をし、また、病虫害防除の予備体制につきましても報告をいたしております。また、本年の異常発生を見越してすでにとられました予備費支出による予算的措置、すなわち、新たに追加をして配付をいたしまする防除機具等の予備費支出につきましては、そのつど閣議決定を経て予備費支出の了解を取りつけております。
  49. 湯山勇

    湯山委員 そういうふうにして出されたものは、生産費所得補償方式米価の中にどういう関係を持ってまいりますか。
  50. 武田誠三

    武田政府委員 先生承知のように、いまの米価算定につきましては、本年の米価は昨年の米の生産費というものが基礎になっておるのは御承知のとおりでございます。したがいまして、本年の稲作に要しました経費というものは、明年の米価算定の際に基礎として取り入れられる、こういうことに相なります。
  51. 湯山勇

    湯山委員 非常に需給事情が逼迫、懸念されるということから、病虫害防除に対して非常にたくさんの農薬を使っておる、あるいは使い過ぎたというくらいなところもあるようです。それには、かりに農薬については農業共済あるいはその他補助等が出るにしても、労力は当然持ち出しということになるわけで、異常災害であれば、それに対応する対策を別途考えなければならぬのではないか。米価についてもあらためて配慮の必要があるのではないか。こういうことについての御検討はございませんか。
  52. 武田誠三

    武田政府委員 現在の米価につきましては、御承知のとおりに、労働費につきましては、都市の均衡賃金というもので評価がえをいたしております。また、米価そのものについては、いわゆる単純な生産費計算というものを相当大幅に上回った価格が実現いたしておるわけでございますが、そのような状態のもとにおきまして、いま先生お話しのような点に基づいて本年の米価を変えるということは考えておりません。
  53. 湯山勇

    湯山委員 農薬代等の全額を補助されるのならば、私はたいして問題はないと思います。しかし、その一部の補助ということであるならば、その一部は生産者のほうへかぶさっていく。そういうことになれば、当然配慮すべき問題であるというように思いますが、この点は、またその対策について別にお尋ねがあると思いますから、それだけにしまして、そういったものを指数化方式でやる場合に、一つ一つ積み上げをしないでこの指数化方式は適用されないと私は思うのです。つまり、労働時間にしても、ちゃんと正確な時間を出して、それを基準になるものと比較する、率に変える。物財にしても、物財を従来どおり計算して、基準年次なら年次と比較する。だから、客観的で直蔵簡明だというけれども、個々の積み上げをしないでこれの式をつくるということは不可能じゃありませんか。
  54. 武田誠三

    武田政府委員 たとえばただいまの労働時間並びにそれの評価の問題でございますが、労働時間がたとえば従来よりも一割延びた、あるいは五%労働時間が減ったという場合には、基準年次に対しまして一一〇の指数あるいは九五の指数をかける。それから都市の五人以上の製造賃金が七%上昇をしたということであれば、過去の基準年次に比較いたしまして、評価がえ労働賃金について一〇七という指数を使うわけでございますから、したがいまして、先生のおっしゃるようにそういうものが反映しないというものではないというように考えております。
  55. 湯山勇

    湯山委員 この式の中で、たとえば物財の量の変化を率で出すというようなときに、何が幾ら使われたかという個々の積み上げをしないで量の変化を見ることはできないわけでしょう。
  56. 武田誠三

    武田政府委員 これは年々の生産費調査の中に、反当どれだけの肥料を使い、あるいは農薬を使ったかというのが、調査で出てまいるわけでございますから、現実に評価されました物量というものの変化率を採用していくということでございます。
  57. 湯山勇

    湯山委員 それはそのとおりですが、その出てくるものは積み上げによって出てくるものであって、それなくして出てくるものではないでしょう。どれだけ物財費が要った、農薬がどれだけ要ったという、その要った数量を押えないで、率が出るとかそういうことはないので、これは食糧庁がなさるか、統計調査部がなさるかは別です。政府としては、結局それをやらなければ、この資料というものは出てこないということを申し上げておるのです。
  58. 武田誠三

    武田政府委員 ただいまの農薬、肥料等の物財投下量というものにつきましては、御承知のように、統計調査部生産費調査で、ことしは肥料を何キロ使い、農薬を何ぼ使ったというのが出てまいります。それを三十九年産米価算定いたしましたときの投下量に比較をいたしまして、その比率を算定をして指数に直していく、こういうことでございます。
  59. 湯山勇

    湯山委員 ですから、いまそういう指数を出す前の段階として、積み上げが要るわけです。だれがやるかは別ですけれども積み上げをやらないでいきなり指数が出るものではないということを申し上げておるのですが、そのとおりでしょう。
  60. 武田誠三

    武田政府委員 先生のおっしゃるように、生産費調査によりまして、肥料を幾ら使ったかという計算が出されるわけでございます。
  61. 湯山勇

    湯山委員 そうしますと、結局直截簡明だというけれども、その指数化によって手間がそれだけ多くなるわけです。積み上げたものを指数に直していくという手間が加わってくる。だから、決してこれは直截簡明ではありません。ただ、最終的なものがそうなっているというだけなので、そこまでくる経過を示すか、結論だけ示すかの違いだけであって、言われるように客観的で直蔵簡明だというような筋合いのものではない。これはひとつ十分御認識を願いたいと思います。ことに何と読むか存じませんけれども、小さい字で書いたWです。どういうふうに読むのかわかりませんけれども、これをまず一から引いて、そしてあと物財費の係数を出すというような行き方が、はたして生産費所得補償方式原則に合うやり方かどうか。これは非常に極端な場合をとれば、生産費所得補償方式につながってまいりません。そういうことは農林省でもよくおわかりだと思いますが、どうなんでしょうか。
  62. 武田誠三

    武田政府委員 お話のように、従来の——従来と申しますか、個々の要素について積み上げ計算をして足し算をしていくという行き方に対しまして、指数化につきましては、お話のように基準年の基準価格というものに、いろいろなそれの分解されましたものに指数を乗じていくわけでございます。先ほどの五百五十円というものについての御議論もございましたが、指数化だけで永久にこれを続けていくというときには、やはりいろいろな問題が出てまいると思います。したがいまして、指数化方式によりまして算定をしていく期間と申しますか、そういうものは、三年前後という期間で一応考えてまいりたい、その間にいろいろと米価算定につきまして各方面からも御意見がございますが、いろいな面についての検討を加えてまいるということにいたしてまいりたいというのが、私どもの気持ちでございます。
  63. 湯山勇

    湯山委員 長官もいまの点御肯定になって、これは続けていけば、いまのような矛盾が拡大してくる。そこで、三年程度しか使えない。率直に言えば、この方式というものは、三年程度しか使えないものだ、こういう御意見で、私は、そういうものがはたして権威ある米価算定方式として採用されていいものかどうか。これはとりあえず三年ぐらいはきき目があるのだ、それだけ過ぎてしまうとどうもあやしくなるから、それ以後は変えるのだ、こういう算定方式がはたして生産者にもあるいは一般にも了解されるものかどうか。これは議論でございますから、御答弁は要りません。しかし、そういうものであってはならない。むしろ、いままでのに欠陥があれば、これなら長く使えてだれにも納得できる、こういう方式なら私は採用にまた意味があると思います。しかし、いまの御答弁のように、そういう点があるので、三年程度しか使わないということを、張本人の食糧庁長官が言わなければならないような方式が、はたして政府が採用して一体妥当な方式かどうか。これはひとつ食糧庁長官の事務的なお立場ではなくて、政務次官、ひとつもっと大きい立場から御検討をわずらわしたいと思います。そういうものであってはならないということは、十分御理解いただける問題だと思います。これは答弁は要りません。
  64. 武田誠三

    武田政府委員 ちょっと私、ことばが足りない点がございましたので、申し上げたいと思いますが、いろいろな個々の要素等につきましても、先ほど来申し上げておりますように、労働時間というものの取り方とかいうようなものについても、いろいろ御議論があるわけでございます。したがいまして、それらの基準価格というものの検証ということも必要でございますし、年々の米価についての経緯というものを再検討をいたしてまいることも必要であると思うのでございます。三年しか使えないとか、三年使ったらだめになってしまうとかいう趣旨ではないのであります。三年程度を一つの目安として、十分な検証を加えていく必要があるだろう、また、その経過におきましても十分に検討をいたしまして、改めるべきところがありますれば、これは改めていくというのが本来であるというふうに思っております。
  65. 湯山勇

    湯山委員 おことばが足りなかったのじゃなくて、さっきの御答弁といまの御答弁とは、まただいぶん違っておるのです。先ほどの御答弁は三年程度——この方式を使うのは三年かっきりとは申しませんけれども、その程度のものだ。その前提となるものは、これの中にはいろいろそういう点で問題となる点もある。たとえば最初指摘しました五百五十円、これの性格はあいまいですけれども、この五百五十円にしても、このままいって、ことしは農薬もたくさん要る、そして病虫害防除の労力もたくさんかかる、労賃も上がってきているというようなことになってくると、この五百五十円は、ことしのいまの資料米価にはね返ってくるときには、あるいは六百円、七百円、もっと大きくはね返ってくるかもしれません。そういう材料もなくはないわけです。まして、これで経済政策全体がインフレのほうを向いていく、そういうことになれば、この五百五十円というのは、どれだけどう変わるかわからない。二百五十五円も、長官はそういうことを言っておられますけれども、これも入った場合には、どう変化するかわからない。まして労力関係と物財関係、この割合だって必ずしもいまのようないき方でいって妥当かどうか、これもたいへん大きな問題だと思います。そういうことを申し上げたのに対して、長官は三年程度という御答弁があったので、これはことばが足りる足りないの問題ではないと思います。ただ、いま最初おっしゃったことを幾らか将来改めるのだ、これで固定するんじゃないというふうに言われましたけれども、そのことは、先ほどおっしゃったことも含まれる内容です。別のものではなくて、含まれるような内容ですから、だから、あとの御答弁でも、三年たって変えることもあり得るわけで、それは先ほど申し上げたことをいまの御答弁によって変えなければならないような御答弁ではございませんから、もう一度申し上げますけれども、そういう、とにかくいまから将来これでいけるのだという自信もないし、数年、三年程度というようなことであれば、一区切りが三年程度ということは、方式が変わることも意味しておるわけですから、それならば、もう少しこの段階で再検討をわずらわしたいということを重ねて申し上げます。  そこで、検討すると言われましたが、芳賀委員が先般指摘された女子労賃の評価、これなどは、大臣もこの間ずいぶん無理な御答弁をしておりま  したが、たてまえがどうあろうと、これは抽象的な議論ではなくて、実情に合わないということであれば、当然変えてしかるべきものだと思います。幸い、いま長官は改めていくということをはっきりおっしゃったわけで、その中にはいまのように実態に合わない面があるわけですから、これは当然改められるべきものだと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 武田誠三

    武田政府委員 先般、芳賀先生からの御質問があり、また米価審議会におきまして湯山先生からも御意見がございました労賃評価の問題でございますが、現在の稲作労働の特に自家労賃につきまして、都市の五人以上の規模の賃金を使っておりますが、これは先般も大臣から申し上げましたように、現在の都市におきます賃金水準というものをもって評価がえをする、こういう思想に出たものでございます。したがいまして、もしこれを稲作労働に相応する都市の労働賃金というような考え方に立ちますならば、現在の五人以上規模の工場における労賃の基礎には、管理職にあります者も、非常に高い技術職にある者も、単純な生産労働をやっておられる方の賃金も、全部突っ込みになっておるわけであります。したがいまして、労賃の質なり何なりをもって、本来稲作労働に従事している労働そのものを、都市において幾らで現実に雇用されているかというような形においての評価がえを行なうということでございますと、これは現実にも非常にむずかしい問題に相なるものだと思います。現在の米価算定のもとにおきます都市賃金によって評価がえをするというのが、都市におきます平均的な賃金をもって稲作の自家労働部分というものを評価するという考え方でございますので、先生のおっしゃるような姿での検討というものは、いまのたてまえに立ちます限りいかがかというように考えております。
  67. 湯山勇

    湯山委員 ますますおかしくなりますよ。たとえば五百五十円は、指数化方式をとることによって、いまのようにつけられた当時と異質なものにして、それは生産費所得補償ワク内だというようなことが一方においてはなされ、一方においては実情に合わないけれども従来こういうことでとっておったからということで、たてまえ論で実情を無視する。同じことについてそういうことがはたして許されるかどうか、もう一度両方の御答弁をよくひとつ御検討願ったならば、一方がそうなら一方も実情に合わす——一方はわけのわからないつかみ金であったものへ、これはこういうふうに労賃の中の分もある、これもあるんだというように実態づけしておるわけですね。いまの長官の御答弁は、今度は労賃については、いや、そいうものはどうでもいいんだ、とにかく実情に合わなくてもこれをとるんだ、こういうことは、私はあり方として非常によくないと思います。ただ肯定できることは、そうすることによって上げないようにするということだけは理解できますけれども、それでは済むまいと思います。そこで、それらの問題を含めて、私はぜひ再検討をわずらわしたいと思います。ことに本年の作柄等の関係も含めて、ひとつ十分慎重に御検討願わないと、この指数化方式というのは非常に問題が多い、こういうことで、安易な道をとらないようにぜひ願いたいと思います。  ついでにお尋ねいたしますが、需給事情は、この月末の手持ちはどういうことになりますか。つまり、内地米の手持ちが幾ら、それから外米が幾らということですね。
  68. 武田誠三

    武田政府委員 九月一日の見込みを申し上げたいと思いますが、内地米の持ち越し量は五十七万三千トン程度と推定をいたしております。それから準内地米の持ち越し数量は八万二千トン、そのほか普通外米等で十三万二千トン。輸入米を合計いたしますと二十一万四千トン、内外米合計いたしまして、七十八万七千トンというものの持ち越しになる見込みでございます。
  69. 湯山勇

    湯山委員 九月じゅうの操作計画はどうなっておりますか。
  70. 武田誠三

    武田政府委員 九月じゅうにおまきしては、このほかにいわゆる早期米の買い入れがあるわけでございますが、これは大体百万トン程度というふうに見込んでおります。それから準内地米につきましてのすでにはっきりいたしております到着見込みが二万トンでございますが、これにはさらに一万トン程度回着が増加する見込みでございます。  一方で需要のほうでございますが、需要につきましては、主食用として内外米合わせまして五十一万九千トン、それから工業用が二万六千トンで、両者合わせまして五十四万五千トン程度の需要を九月においては見込んでおります。
  71. 湯山勇

    湯山委員 東京で混米、徳用米ですか、あれは外米を二割五分か三割かまぜて配給している。それからその徳用米を入れてもらっちゃ困ると、それを承知しなければ、今度はその分を減らしたものしか配給されないということですが、そういう事実を御存じでしょうか。
  72. 武田誠三

    武田政府委員 現在これは端境期ということでは必ずしもございませんけれども、国内の米の需給事情というものからいたしまして、昨年来調整売却というようなことで、内地米といわゆる準内地米等につきましての売却を各県と御相談の上、計画的に実施をいたしてまいっております。したがいまして、現在東京におきましても、東京の卸あるいは小売り店等に売却をいたしております米には、内地米と準内地米が含まれておるわけでございます。したがいまして、現実の配給操作の上におきまして、十キロ全部内地米というような御要求に対しては、なかなか応じかねる事情にございますので、この点につきましては、内地米として配給しております数量でがまんしていただいておりまして、それ以外さらにお米が必要であります場合には、準内地米等をもって一応充足をしてもらいたいということで操作をいたしておるわけでございます。
  73. 湯山勇

    湯山委員 これは混合するのでなくて、別々に配給するのがたてまえですね。むしろ混合してはいけないというのがたてまえであって、それを食糧庁が指導してそういうことをやらせるというのは、私ちょっと了解に苦しむのですが、需給事情がそうせざるを得ないというような状態ですか。
  74. 武田誠三

    武田政府委員 内地米、いわば普通米と、それから徳用米との混入というようなことにつきましては、先生のおっしゃるようにたてまえではございません。これは本来別々に配給をするというのがたてまえでございますが、現実に内地米、普通米がかりに八割、準内地米が二割というような場合に、消費者のほうでそれを別々に購入されて自分のうちでまぜるというようなことよりも、最初からむしろお米屋さんでまぜてもらったものがほしいというような、消費者のほうの御了解というものがありますれば、便宜これを米屋において混合をして配給するということも差しつかえないというふうに考えておりまして、そういう消費者の了解のもとにおいて行なうということについては、価格も加重平均によってきっちりした価格を出して配給をするならば、やむを得ないであろうという立場に立っております。
  75. 湯山勇

    湯山委員 お尋ねしておるのは、そういうことではなくて、本来のたてまえならば、食糧庁がそういり指導をすべきじゃなくて、むしろたとえ少なくても別々に配給すべきだ。これは業者を監督する立場にある食糧庁としては、当然そうなければならないと思うわけです。それをいまのような形で認めるということが、いまおっしゃったとおりならいいと思いますけれども、そういうふうにいってない。昨今の新聞を見ましても、そういうことがずいぶん出ておることは、もう長官御存じのとおりです。いまおっしゃったようなことは徹底しておりません。にもかかわらず、いまのような形で黙認、許さなければならないというのは、もう需給事情がそうなっておってやむを得ないのだ、こういうことなんですか、そうではないけれども、取り締まるにもどうにもできないからということなのか、その辺はどうなんでしょう。
  76. 武田誠三

    武田政府委員 ただいまの需給事情というものが、かりに準内地米というようなものを全くたよらないで済むというような、非常に豊富な状態でございますれば、お話しのようなことはもちろん実際問題としてもないわけでございます。しかし、現実に、昨年のお米の一部地方におきます不作等によりまして、ここ数年来の需給事情というものは、ある程度準内地米を補給いたしませんと、現在の米に対する需要をまかないきれないという状態にあるのは、御承知のとおりでございます。そういう状態のもとにおきまして、一方で普通米あるいは徳用米という制度を円滑に運用してまいりたいということで、お話しのような立場で政府としては府県を指導いたしておるということでございます。また、単に需給事情だけでなく、もう一つ、昨年のお米のできが一部地方で必ずしもよくありませんで、下位等級米が非常にふえてまいっております。したがいまして、平年よりもさらに、いわゆる徳用米に格づけされますお米が、本年の昨年産米におきましては非常にふえておるというような事情もつけ加わっておるわけでございます。
  77. 湯山勇

    湯山委員 特にいまおっしゃったような事情にあるし、本件の作柄についても非常に心配されておるところですから、もちろん生産者の方への指導も大事ですけれども、消費者に対するいまのような点の指導なり了解なり、そういうものはしっかりやる必要があると思います。そして巷間の声、新聞の投書等を見ますと、それが十分行なわれておるとは思えません。特にいまお話しになりましたような端境期を控えて、あるいはもっと私は事情が悪くなるおそれがあると思います。一つのしっかりした対策をこの際立てていただく。それから生産者側に対しては、先ほど申し上げましたような、とにかく生産の確保、そういうことに政府もしっかり力をお入れになるのと、何といってもことしの米価については生産者は不満です。方式についても額についても不満です。これはしっかりひとつ頭の中に入れておいていただいて、またの機会にそれについてお尋ねもするし、意見も述べたいと思います。それをひとつ御要望いたしまして、時間もありませんので、畜産局長のほうへひとつお尋ねをいたします。  端的にお尋ねいたしますが、卵の値段が非常によくなったり、また戻ったり、またよくなったりしています。今後の見通しはどういうふうに持っておられますか。
  78. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御承知のように、三十九年の六月ころから鶏卵の価格が低迷を続けてまいりました。この低迷の理由は、要するに、三十八年の比較的な高卵価に刺激された生産の急激な増大ということに需要が追いつかなかったということにあるわけでございますが、最近に至りまして、卵価は、昨年の需給基調に比べますと、需給の改善の傾向が出てまいりまして、百七十円ないし百九十円程度の幅を上下しておるというような市況になっておるわけでございます。この卵価の動向は、一年前に比べますと、かなり改善の基調を示しておるわけでございまして、その理由は、やはり昨年来の低卵価による生産の調整作用が進んでまいり、また私どもも、昨年秋以来、卵価の回復をはかるためには、どうしても過大生産というものを避ける以外には道がないということを指導してまいったのでございますが、昨年の暮れ以来、順次ひなのえつけ羽数が対前年比減少をいたしてまいったことから、廃鶏の淘汰に従って生産量が調整をされてきつつあるということでございますので、今後の見通しの問題は、私どももむずかしい問題でございますが、月別のえつけ羽数と、それから従来の需要傾向をもとにいたしました推定を加えますと、明年春までの間は需給の関係はほぼ均衡的な状態になる、過去の情勢、つまり、三十九年以前の需給関係をほぼ均衡的というならば、そういう状態に近い姿になる。ただ、計算のしかたによりまして、ごくわずか生産量が多いのではないだろうかという懸念がございますが、ほぼ需給の均衡状態に回復しておるというふうに見ておりまして、御承知のように、季節別あるいは日別に非常に浮動するものでございますが、通じて申しますならば、今後明年春までの期間は、卵価が著しく暴落をする、あるいは暴騰をするというような現象はなかろうというふうに見ております。
  79. 湯山勇

    湯山委員 政府のほうで、生産計画といいますか、需給調整といいますか、そういうことについて何か積極的な方策をお持ちでしょうか。
  80. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これも申し上げるまでもないところでございますが、鶏卵の生産者であるいわゆる養鶏家の数は、三十九年度におきましてもなお三百四十万戸をこえる数があるということでございます。生産の量も、三十九年度でおそらく百万トンに近い九十五、六万トンの生産量というふうに相なっておると思うのでございますが、この数量は相当大きなものでございまして、これを政府の手によって直接生産を調整するということは、私はほとんど不可能に近いというふうに思うのでございます。ただ、私どもとしても、需要に見合う安定的な鶏卵生産の増大をはかるということは、養鶏行政の中心的な問題の一つであろうと思いますので、農協系統組織による生産、出荷調整の機能と相待ちまして、今後方策を考えてまいりたい。  その一つ考え方としましては、一つは、鶏卵の生産なり需要なりの短期的な見通しあるいは中期的な見通しについての方法論を確立をいたしたいということで、これは現在産業構造研究所に委託して研究中でございます。さらにえつけ羽数の早期把握と、これに対する情報の提供という点を、特に統計調査部にも協力を願いましてやってまいりたい。そういうことから、現状及び若干将来にわたります生産需給関係の見通しというものを、生産者ないしは生産者団体に提供するということが必要だろうというふうに思っておるのでございます。  さらに検討すべき課題といたしましては、ひなはふ卵業者の手によって供給をされるのでございますので、ふ卵業者の組織化の問題を考えてまいりたい。ふ卵業者の組織化の問題は、養鶏振興法の運営等の関係も考えまして、急速に整備するように指導を加えてまいりたい。そういうことができますれば、なるべく早急にただいま申し上げましたような現状把握ないし将来の見通しという問題をもとにして、地域別にあるいは全国的にひなのふ卵に関する計画性というものを自主的に持ってもらうということについて、関係業者を集めて協議検討していくということをやってまいりたいというふうに思っておるのでございます。  なお、農協系統による調整の問題は、現在発足いたしております全国鶏卵価格安定基金の運用に対するわれわれの指導の問題、さらにそれに加えて、できる限り多くの生産者をカバーするような方法を考えられますならば、これについて、私どもとしてもまだ畜産局内部の検討の段階でございますが、政府としても何らかの援助の措置を加えるとともに、生産の調整を伴った卵価の安定機能というものを付与するようにいたしてまいりたいというふうに思っております。
  81. 湯山勇

    湯山委員 基本的には私どももそういうことを考えていい段階ではないかというように思っておりますが、いま御答弁のような趣旨からいうならば、なるべく集荷、出荷機関というものは一元化していくということが望ましいのではないか。ことに一番遠い例でいえば、鹿児島の卵を鹿児島に出荷するのと、鹿児島から東京に持ってくるのと、東京へ持ってきたほうが値段がいいというようなこともあったと聞いております。そうすれば、これは一府県、一地域でやれる問題ではなくて、全国的な規模においてやるべき問題であって、先般原料乳のときに、これは各府県一つの団体、それから全国的な連合体ですか、そういう系統づけをする、こういうことを一方ではなさったわけですが、こういう生産調整というものが非常に重要な役割りを占める、しかも短期に生産を伸ばしたり縮めたりできるという性格のものについては、むしろ原料乳よりも、そういう機関の必要性というものは大きいのじゃないかというようにも思うわけですけれども、これに積極的に政府のほうで乗り出されるという御意向はございませんか。
  82. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お話のように、生産ないし出荷の調整を要するものについて、系統による一元的な集荷、出荷の体制をとる必要があるのではないかというお話については、私どもも同感でございます。鶏卵につきましてはまだもちろん理想的な姿ではございませんけれども、生鮮食料品の中では系統集出荷の率は最もよいのではないかと思います。農業調査によりますと、鶏卵の生産農家、養鶏農家のうち、四〇%は農協に販売を委託をしておるというようなことでございますし、生産総量から見ますれば、商品化量の約六五%が農協の販売委託にかかっておるということでございます。ただ、地場消費等の問題がございまして、府県団体あるいは全国団体等へつなげますことが必ずしも流通の円滑になるかどうか、現状までは問題であったと思われるのでありまして、全国団体が総流通量でカバーしておるものは二〇%をやや割る程度かと思います。でございますので、今後鶏卵の生産及び出荷に関する調整機能を系統団体に期待するということでございますれば、経済的に不合理な範囲まで含めることは私はどうかと思いますが、できる限り系統集荷の方向について政府としても配慮を加えるべきだというふうに考えております。そういう意味では、ただいま申し上げました今後の農協系統による卵価の安定基金についての政府の指導ないし援助の考え方は、根本的に先生の御趣旨に従ってやってまいりたいというふうに思っております。
  83. 湯山勇

    湯山委員 そこで、いまお話に出ました卵価安定基金ですか、これが八月一日発足するということで、発足しておるのだろうと思いますけれども、ただ、いまのような御趣旨から、傍観的であってはこれはいかないだろうと思います。現に調整機関については利子補給を計画され、あるいは実施された例もありますが、この安定基金について、具体的にどういう援助あるいはどういう協力、これをなさるか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  84. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 安定差金構想につきましては、実は私どもと農業団体、いわゆる全国販売農業協同組合の首脳の方ともかねていろいろ御相談をいたしておったのでございます。卵価の安定方式としては、ただいままで申し上げましたような方式が最も効果的であろうということで、双方意見一致をいたしましたのは、昨年の秋であったと記憶しております。そういうことで、この安定基金の構想についても、私ども御相談をずっと受けてきたのでございます。したがって、それの設立の方向については、前国会でも、私からも大臣からも好ましい方向であるというふうにお答え申し上げてきたのでございますが、直接に援助をするということになりますと、私ども政府としてはそれだけの財政的な措置を要するのでございますが、そういう財政措置はとってないということでございますために、この基金の設立に関する各種の技術的な指導の問題は別といたしまして、基金に寄せられます全販の系統及び全購連の系統の出指金については、表現がたいへんむずかしいのでございますが、農民の拠出金を含め、税法上経費算入をする道を開くということで、大蔵省との間で話をきめたのでございます。ただ、税法上のテクニカルな問題がありますので、若干端的に言い得ないところがございますが、そういう措置をとりました。また、私畜産局長の立場としては、そのほかに農林中金等の援助も望ましい、希望したいということで、農林中金当局にその旨を要請をいたしてまいったのであります。政府との関係におきましては、この安定基金は、同時に畜安法に基づきます鶏卵の農協系統団体による調整保管事業との関連があるわけでございまして、調整保管事業による保管、販売結果について、政府は所要の金利、保管料等について畜産振興事業団を通じて助成をいたしますが、なお市況のいかんによりましては、品質の格差による価格差というもののために損失を生ずる場合があるわけでありますが、その損失については、この基金によって系統団体の損失を埋める、また将来そのために利益が生じた場合には、この基金に利益分を納入をするというような形で、政府が助成をいたします調整保管制度というものと結びつけて発足をさせたというような経緯でございます。
  85. 湯山勇

    湯山委員 現状は、需給事情については先ほど御答弁ございましたが、しかし、それでもなかなかやっていけないというので、群馬県のほうでもあんなふうにただで卵を配る。私が見ましたのでも、かなり生産者も乱暴に扱っているといいますか、たとえばふんでよごれたようなものはつぶしてしまって、それをきれいにして出荷するというような、そういう意欲はないように見えます。これは全部ではありませんが、見た範囲の一部では、もうよごれたものはすぐ踏みつぶしてしまうというようなのも見ました。ですから、現在の状態というのは、必ずしもこれでどうにかやっていけるというような状態ではないように思います。で、基金の資金ワクがあまりにも私は少ないと思うのです。それで、はたしていまの状態でどこまでいけるか、どこまで持つかというような懸念があるわけですが、たしか五億と聞いておりましたが、その程度ではたしてどうだろう、何かここで強力なそれの支援態勢といいますか、そういう措置がなければ、各県が独自に出発した似たような構想がほとんど全部全滅している、そういうことから考えて、非常にこれは構想としてはおっしゃったように育てていくべきものではあろうけれども、なかなか容易じゃないんじゃないか、あるいはまた実際にそれが発動されるしないは別としても、この資金でできない場合はこうというささえがなければ、やっていけないんじゃないかというように思いますが、その点について何かお考えがあれば伺いたいと思います。
  86. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 最終的な事業運営の資金ワクというのは、まだきまってないように聞いておりますが、現段階で私どもが聞いておりますのでは、大体四億五千万程度というように聞いておるわけでございます。これは全販連の計算に出るものでございまして、私ども詳細に責任を持ってお答えすることはいかがかと思いますが、先ほどもちょっと触れましたように、現在の全販連の扱っております鶏卵の数量というものを前提にいたし、季節的な価格変動を、かりに三十九年度における価格変動を再び繰り返すというような場合に、一定水準の卵価については補償し、その差額を補てんするという計算をいたしますと、当面その資金ワクで間に合うという計算に出るものと承知をいたしております。でございますが、今後さらに全販系統による集荷率の拡大、共販の態勢の整備の問題なり、あるいは場合によりましては、必ずしも私どもそれを希望しておるわけではございませんけれども、他の農協の系統もさらにこの基金に加わるというような事態が起こってまいりますれば、これはお話のように現在の資金ワクでは十分ではなかろうというように思うわけでござます。その辺は、今後の推移の見通しも関係団体等とも協議をいたしました上で、私としては、現段階では、将来一定の規模で相当のカバー率を持った基金として動き得るような組織並びに資金というものを前提にいたしまして、四十一年度予算編成期までには畜産局としてのこれに対する援助、助成等の方法を考えていきたい。なお、そういう場合には、地方公共団体との協力関係も明らかにする必要があるのではないだろうかというふうに考えております。
  87. 湯山勇

    湯山委員 いろいろ見通しの問題ですけれども、それよりも、あの制度自体が、実際にはあれが適用されても、そんなに養鶏農家がこれで助かるというような条件ではないと思います。かなり条件はきびしいし、まあとにかくやってみるというような意味合いのほうが、私ども見まして強いように感じます。内容的にもずいぶん改善しなければならぬ面もあると思いますし、そのためには、いまお話しのように、資金ワクがあまりにも小さ過ぎる。これらの問題は、ひとついま四十一年度までに何らかの具体的なものを出したいということでございますが、ぜひひとつそういう点を実現できるようにしていただきたいということを要望いたしたいと思います。  なお、こういうふうに見ていきますと、私は、事業団からいまおっしゃったような利子補給をしていくというようなこと、それから将来政府がかなりこれについて援助といいますか、協力をしていく、なお、鶏卵の生産量が他のどの畜産物よりも大きいというようなことから考えて、むしろこれは事業団が直接タッチしていくというような形——形態はいろいろあると思います。瞬間タッチというようなものもあるかもしれませんし、それから原料乳のような形でいく行き方もあると思います。その形態にはいろいろあると思いますけれども、もっと積極的に国が乗り出していって、需給、生産含めてタッチしていくような体制、これを将来はとるべきではないか。そうすることのほうが、いまのように団体等にまかせて援助のかまえでいくのよりも効果的でもあるし、生産者も安心ができる、こういうことになるのではないかと思いますが、そういう御検討の余地はないでしょうか。
  88. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 国が卵価の安定方策について傍観的であってならないという意味では御意見に同感でございます。しかしながら、いわゆる国もしくは国の機関の市場への直接介入ということがいいか悪いかということになりますと、おことばでございますが、私は適当でないというふうに考えております。これも私ども急に言い出したのではございませんで、調整保管の実施等を通じ、またわれわれも慎重に検討いたしてみますと、鶏卵というものが日々生産され、出荷販売をされる生鮮食料品である。特定の企業者等に包括的に契約をされる性質のものでもない。また公開市場も持たない。貯蔵可能期間もきわめて短いというようなことでございますために、端的に申せば、この調整保管のための倉入れというものは、かなり隠密裏に行なわれる必要があるということがはっきりしてまいったのでございます。また販売をいたすにいたしましても、これが市況を圧迫せずに放出販売をするということは、非常に困難があるということでございまして、そういう意味で、公定機関が各種の制度上の制約のもとあるいは組織上の制約のもとで動くものとして、私は適当でないというふうに判断をいたしたのでございます。ただ、そういう意味では、農協等現に集荷販売の経済活動をやっている流れの中で処理することが適当であるということではございますが、そのことについては、やはり系統団体等が調整保管、市場介入に伴う経済的負担に大きな危険があってはならない。その点を避ければ、政府あるいは政府機関の介入よりははるかにすぐれているというふうに考えたのであります。それと、さらに基本的には、国もしくは事業団が介入いたします場合に、生産の調整を組織的にとることができないという弱点を持っているという点から、私どもとしては、現段階では、政府機関の介入は是としないという考え方に立っております。
  89. 湯山勇

    湯山委員 これは意見を異にするわけですが、私は意見として申し上げれば、考え方によれば、牛乳よりもやり安いのではないかということも考えるわけです。それから生産調整、それから出荷の調整、それは確かに貯蔵期間が短いと言いながらも、そうむやみに短いわけではないわけですから、将来貯蔵の技術あるいはその他流通機構の改善、そういうものと相まって非常に操作の幅を小さくすれば、そういう体制がつくれれば、むしろそのほうがいいのではないかと思いますし、その動きの幅を小さくしていくためにも、だんだん政府の介入を強めていって、将来そういう方向に持っていく方法は、局長のおっしゃたようなそれほどむずかしい問題でもないのではないかというようなことを考えておりますので、これはまた別な機会にゆっくり御意見を聞かしていただきたいと思いますけれども、なおひとつ、御検討できるものなら御検討をわずらわしたいと思います。
  90. 濱地文平

    濱地委員長 湯山さんにお尋ねいたしますが、まだだいぶん質問がありますか。
  91. 湯山勇

    湯山委員 四十分ごろまでということです。かまいませんか。
  92. 濱地文平

    濱地委員長 どうぞ。
  93. 湯山勇

    湯山委員 それでは次の問題は、えさの問題です。ずっと以前に局長のおっしゃったことをいま取り上げるわけじゃありませんけれども、だいぶん今年あたりは生産の状況もよさそうだから、飼料も上がらないだろうというようなことをおっしゃった記憶がありますが、実はだんだんえさが高くなった。本年の二月、それからいままたトウモロコシの市況等から、えさを上げなければならないというようなことが伝えられております。これは養鶏農家にとっては、あるいは畜産農家にとっても非常に重大な問題であって、一体えさは上がるのか上がらないのか、これはどうなんでしょうか、その辺の見通し。
  94. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 前回お答えいたしました当時、例のガルフ・スト等で非常に急激な高騰を国際市況としも示そうとしたのであります。またそのバックグラウンドには、アメリカのトウモロロコシの作付面積の減少や干ばつ等の生産のマイナス要因がありまして、世界的な市況の条件としても悪い時期でございまして、私どもも、そういうような異常な高騰というものは一時的であって、一九六四年の作付面積なり作柄から見れば、それほど異常な需給事情にはならないから、したがって、価格も安定的であろうというふうに申し上げたわけでございます。同時に、えさは上がるであろうという見方は、なかなか私どもいろいろなことに憶病でございまして、よう言い切らなかったのでございますが、現実には確かにお話しのように、配合飼料について本年の当初若干の値上げがございました。また値上げをしなければ配合メーカーがやっていけないというような意向も示されておりますが、今回——今回といいますか、最近、そういう配合飼料の大きな値幅ではございませんが、若干の値上げを必要とするという意味は、やはり御指摘のように、飼料穀物が国際的に相変わらずどちらかといえば堅調である。今後も非常に上がるという情勢は私はないと思いますが、堅調であるということと、労賃その他の国内加工分の増高という問題がありまして、若干の値上げを要望するような空気があるわけでございます。私どもは、現在のもとでえさの値上げを行なうことは決して好ましいとは思いませんが、原材料の値上がり、これはもうどうしても製品にはね返らざるを得ない。また、労賃等はっきりしたコスト分の増高、これも飼料の場合は克服するとしても限度があるということでございまして、できるだけ現状のような状態のもとで値上げをすることは好ましくないという指導はいたしてまいっておりますが、私は端的に言って、この段階でやや微騰の傾向は避け得ないのではなかろうかというふうに見ております。  なお、今後の問題につきましては、世界の市況の問題では、魚粉類の需給が非常に窮屈でありますために、これの価格上昇が目立つほかは、原材料価格としてもほぼ安定的であろうと思いますので、大きな価格上昇というものは考えられないと思っております。
  95. 湯山勇

    湯山委員 そういう中に、輸入業者が非常に多いものですから、それぞれ買いあさりをやる。東南アジアでしたか、結局契約だけ入らないというような事態もあったとか聞いております。そこで、輸入飼料の対策として、これも先般原料乳のときにいたしましたように、えさの輸入を一元化するというようなことが、私は、非常に重要な、しかも緊急な問題ではないかというように思うわけですが、えさの輸入を国が管理する、あるいは国が委託した機関なり指定した機関というものによってなるべく一元的にやっていく、そういう体制をとるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  96. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これはそれぞれの国の経済体制全般との関連で、価値評価といいますか、判断をすべき問題であろうと思うのでございますが、私は、日本の現在の状況、経済の構造から申せば、どうもえさの輸入を一元化することの効率というのは、それほど期待できないのではないかというふうに、御意見でございますが、考えております。現在、えさの総輸入量は四十年度計画で五百九十五万トン、ほぼ六百万トンのえさの輸入が行なわれておるわけでございまして、おそらく明年度あたりには六百五十万トン——といえば、ちょうど食糧庁が全国の米穀を集荷します数量に相当する大量のものになるわけでございます。で、こういうふうに国内生産が伴いませんために輸入が増加いたしますことは、決して好ましいことではございませんが、日本の伸びていく畜産をささえようとすると、必要なえさの確保はどうしてもせざるを得ない。その場合に、確かに輸入飼料に対する体制としては、一元的であることは、ある意味で効果的であるということは、私は御意見に同調をいたします。御指摘になりました事例は、おそらくタイのトウモロコシに対する、昨年暮れのガルフにおけるストライキを見越した買い付けであったと思うのですが、それは輸出入組合法ですかに基づいた輸入協定によって調整をいたしまして、混乱は避けたわけでございます。タイの場合は、そういうふうに輸出入組合法という形で調整いたしておりますが、しかしながら、おもだったさらに大きな輸出国になりますと、世界じゅうの買い手がとにかく市場に加わってまいりますので、わが国だけが一元化したことの意味というのは、必ずしもそれほど明確に効果が出るかどうか、疑問があると思うのであります。そのほか、これは実はここでしゃべりますとマイナスのおそれがあるのでありますが、どうも政府ないし政府買い付け機関の取得価格というのは、どんなに努力しても、下がらないと申しますか、高くつくという事実は避けがたい。しかも、港湾に着きましてから、えさの価格、えさの扱いにおける効率性の問題は、主として港湾における荷さばきのいかんによるわけでございますが、そういうことは、私は、一元機構のような形ではなかなか末端まで事前につなぐということはできない。いわゆる着港の数量の比率が落ちることになると、えさはむしろ実質的にはコスト高というようなことも考えられる。現在確かにかなりの数の輸入業者あるいは飼料メーカーが買い付けをいたしておりますが、これはみずからの操業を考え、あるいは販売先を考えて、一連の計画を持ってやっておる。そうして自由化されたものについては、できるだけ安い市場を求めて努力をしておるということから考えますと、私は考え方として、一元輸入というのは、全く利益がないということではございませんが、それぞれ長短がございまして、日本の現状において、飼料ないし飼料穀物の一元化ということについては、直ちにその方向に踏み切るという決心がつかない次第でございます。
  97. 湯山勇

    湯山委員 原則的に、一元化することのほうが理論的にもいいと思うのですが、ただ、具体的な問題でいろいろいまおっしゃったような点があれば、これはまた克服していく道があるのではないかと思います。私どもはぜひひとつそういう方向へ向けていただきたい、これを強く要望いたしたいと思います。  時間も参りましたので、最後に、幾つか、具体的な問題で御要望申し上げ、あるいはお尋ねいたしたい。  その一つは鶏の輸入種です。これにつきましては、当初、私どもは絶対に輸入種が優秀だということを聞いておりましたが、最近、その産卵の期間その他を考えてみると、必ずしもそうでない。むしろ国内産の品種改良をうんとやっていったほうがいいんじゃないかという意見もあるようです。こういう点についてはさらに御研究をわずらわしたい。  それから鑑別の技術がコストに非常に大きく響いていることは、前回もありましたが、いま調整と輸入ひなの関係で、鑑別師がだいぶ失業して、仕事がなくて困っているという訴えがございます。これはそういうことだと、一そう技術の低下を来たしますので、そういうことの実情をお調べいただいて、鑑別師の身分の問題、それから技術の向上の問題等は早急に御検討願いたいと思います。  その次は、いま魚粉の問題が出ましたが、これもごく一部の研究ですから、それが全体に及ぼせるものかどうかはわかりませんけれども、廃鶏をいまのミールのかわりに使う。鶏というのは何でも食べるそうで、実際には部分的ですから、一ぺんゆでるかなんかして、それをえさにまぜてやっておる。これは非常に喜んで食べるし、効果がまああるかどうか、とにかくえさとしてはかなりうまくいっておるというのです。廃鶏の問題は、かなり今後大きい問題になるかと思いますが、これのミールですか、そういったような研究はできないものかどうか。それじゃとても値段が問題にならないということだと、これは別ですけれども、それだったら、廃鶏等の消費の拡大の対策、これも当然必要になってくるのではないか。  それからその次に、いろいろあってたいへん恐縮ですけれども、国内の飼料の自給体制、特にその中での麦対策、これは大きい問題ですけれども、早急に御検討願いたい。  それから、いまさしあたって迫っておるのは、養鶏農家がえさ代が借金になって困っております。ところが、最初から大きい借り入れ金の申し込みじゃないものですから、担保などの設定がなされていない。そのために借金が重なってくる。そこで、担保を入れてくれというようなことで、担保を入れて、それを取り上げられたというような例もあるし、そのために、えさが買えないというようなことで困っている。こういうところも決して少なくございません。そこで、現在の負債を何とかたな上げして、そして、農協等の資金もそのために枯渇しておりますから、それらに資金を回す。さらに新たに運転資金、そういうものを貸し付ける、こういう対策をやらなければ、かりに卵価が若干回復したとしても、養鶏農家は非常に困った問題が出てくると思いますので、そういうことに対する対策がぜひ必要だと思います。そういう対策を講じていただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。  それから、先般も申し上げましたが、えさの鉄道運賃、これは等級を肥料並にして運賃を安くする。同じ豆かすが、肥料のほうのときには安いし、えさのときは高いでは、これは不合理だと思いますので、それについて、ひとつぜひ今度は解決をしていただきたい。  なお、当面の対策として、鶏舎に固定資産税がかかっているところと、かかっていないところがあるようです。これもいまのような養鶏の実情その他から考えまして、どうもかけないのが正しいのじゃないかと思いますが、その点はいかがであろうか。  さらに、養鶏の場合は、夜間もえづけをしますから、電灯をつけております。その電気料金が、農村の何とか電気というので補助のあるのと違って、普通の料金で取られておりますので、これも養鶏農家にとってはかなりな負担になっております。この電気料金の引き下げ、こういったことについて、何かお考えがおありになるかどうか。  当面の対策と、それからいろんなことがごっちゃになりまして、非常に恐縮ですけれども、時間の関係で、まとめてお願いやらお尋ねをいたしましたので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  98. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 第一の輸入ひなの問題でございますが、御指摘のように、現在アメリカを中心として、日本に採卵鶏、肉用鶏のひなが輸入されているわけでございますが、その系列は大体四十系統ばかりあるわけでございます。この四十系統の中には、まだ国としてもそれの優劣に関する試験が終わっておりませんけれども、それぞれ長短があるようであるということは確実でございます。また、輸入ひな全般を見ましても、日本の気象風土のもとでどれだけその特性が出るかということは、長期にわたって判定しなければならない問題でございまして、私は、お話のように、今後、やはりアメリカの系統の中にも、そういう長短、特質に従って整理が行なわれていくのではないかと思います。日本にも優良な鶏質を持った品種系統はあるわけでございまして、これをアメリカのような大量的な飼育にたえるような特質を与えるためには、品種の改良について、やはり大規模な種鶏群と、それに基づく近代的な改良方式をとらざるを得ないということでございまして、三十九年度から予算をお願いをいたしまして、大宮種鶏場、それから岡崎の種鶏場、それぞれ大拡充をいたしまして、ほぼ世界的な規模の種鶏改良ができるような施設を目下整備中でございまして、四十一年には整備を終わる予定でございます。国、県の施設、あるいは民間の種鶏場等との協力によって、アメリカ等外国ひなに匹敵するような品種をつくりたいという意気込みでやっているわけでございます。  次に、鑑別師の問題については、私もちょっと理解しにくい点があるわけでございますが、アメリカの輸入ひなのほとんどが種鶏用のひなが入っております。コマーシャルのひなは非常に少なくなっております。したがって、現在出荷されているひなは国内鑑別を必要とするわけでございますので、鑑別師の失業等の問題について、ちょっと理解いたしにくい点がございますが、なお調査をいたしまして善処したいと思います。  それから廃鶏の肉飼料の問題でございますが、まあ鶏を主にしまして、豚も一部、必須アミノ酸の給源としての動物蛋白質を必要とするということでございまして、魚粉、魚かす、ミール等の確保は、当面はともかくとして、将来相当問題であるということでございますので、そういう動物蛋白質飼料給源を開発するということは考えてまいりたいと思っております。また、合成物質による代替ということも研究をしたい。事実やっておりますが、研究をさしていきたいというふうに思っておりますけれども、廃鶏は何しろ人間の食料にともかくなるものでございまして、これをえさに使うということについては、価格関係でおそらく現状ではとても問題になるまいと思いますが、現在までのところ、廃鶏の羽毛、つまり羽は、これは一定の処理をいたしましてえさ用に利用をいたしております。御指摘でございますので、今後さらに研究さしていただきたいと思います。  それから国内飼料対策、国内の濃厚飼料生産対策についてでございますが、これはなかなか簡単にお答えいたしにくい問題でございます。麦対策ということになりますと、畜産局長の手には負いかねるわけでございます。食糧用の穀物の自給の問題も含め、農林省として検討すべき問題だと心得ておりますので、私どもも、飼料の関係からそういうふうな検討に加わりたいというふうに思います。  それから養鶏資金の焦げつきの問題でございますが、農業経営資金のたな上げ、負債の問題は、養鶏のみならず、いろいろあるかと思うのでございますが、現在の制度下で、たな上げというのはなかなかむずかしい。ただ、それに対する一つの対応のしかたは、土地の上で生産をいたしております農家については、私から申し上げるまでもなく、自作農創設資金の導入による負債の肩がわりという問題が一つございますし、また、現在制度金融で貸し付けておりますものの実態を見ますと、多くは規定の据え置き期間あるいは総期間一ぱいの条件ではないということでございますので、現在の制度下で許される限度まで条件変更をするということについては、主管局であります経済局と連絡をいたしまして、実情に即してこれらの弾力的措置をとるようにつとめてまいりたいというふうに思います。  農協資金の復活の問題については、系統資金全体として私は十二分に余裕があるはずだと思いますので、御指摘の問題の解決に努力をいたしたいと思います。  それから、えさの鉄道運賃の問題は、数年来湯山先生から御指摘を受けておるのでございますが、たいへん解決のしにくい問題でございます。と申しますのは、昭和五年に鉄道運賃の等級がきまりますときの考え方が、いわゆる負担力主義ということでまいりましたのが、最近では、昭和三十五年でございましたか、改正をいたしますころに、徐々に輸送原価主義というのが入ってまいりまして、特殊な運賃等級の設定というのが困難な客観情勢が、運賃理論の上で出つつあるということでございまして、今後、運賃の改定の際に、飼料というものは畜産の主要な生産資材でございますので、他の資材との均衡を失することのないように、私どもは十分注意をいたして主張をいたしたいと思っております。  それから、養鶏の鶏舎の固定資産税の問題につきましては、これは実は私もうかつによう口に出せないわけでございます。固定資産税は、言うまでもなく、恒久的な建築物、建物があれば、これは払うのが当然と思うのでございます。鶏舎の中には、恒久的な建築物、建物と見られるものもあり、仮設物と見られるものもあって、仮設物に対しては課税はしてない、固定資産税の論理に従ってそう扱っておるのであろうと思いますが、実態はいろいろ違うのではなかろうか。できる限り養鶏のための鶏舎の固定資産税が免除され、軽減せられるのは好ましい方向でございますので、これもひそかにさらに研究さしていただきたいというふうに思います。  それから電力料金について、養鶏用の電力料金を農事用電力と同じの適用を受けるようにすべきではないかという御意見でございますが、検討はさせていただきます。ただ、農事用電力の制度ができましたときに、十数年前だったと思いますが、私も実は交渉に当たったのでございますが、その当時は、たしか、かんがい排水用のポンプでありますとか、あるいはもみすり脱穀機等のような電力であって、作業の季節性という点から一時的にしか使えないが、施設は年間置かなければならぬ、したがって、実質的に使用期間中の電力料金をはじくと非常に高いものになる、だから特別料金にせよ、こういう主張をしてまいったのでありまして、養鶏のふ卵育雛とか点灯養鶏とかいうふうに、年間使う電力料金について軽減措置をとるということになりますと、現在農事用電力のたてまえを変えることになりますから、これは養鶏のみの問題ではなく、農林漁業全体に関係する電力料金問題にわたりますので、関係局——農政局とも連絡をして、検討はさせていただきますが、右にならえの性質のものではないという感じがいたしますので、それだけつけ加えさせていただきまして、お答えをいたしておきます。
  99. 濱地文平

    濱地委員長 午後二時再開することといたしまして、これにて休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時三十分開議
  100. 東海林稔

    ○東海林委員長代理 休憩前に引き続いて会議を開きます。  午前に引き続き質疑を行ないます。千葉七郎君。
  101. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 農作物に対する冷害の問題につきましてお伺いをいたしたいと存じますが、過般の坂田農林大臣の当委員会におきましての所信の表明の演説によりますと、今年の農産物の冷害の問題につきまして、このように述べておられるのであります。本年は春以来異常気象が断続的に発生をしておって、東北あるいは北陸、近畿地方等においては異常な低温に見舞われておって、稲の生育は非常に障害を受けておる。しかし、それに従って今後起きるであろういろいろな障害等につきましては、各都道府県と連絡をとって、その防除体制の整備に万全を期しておる。したがって、心配することはない。また被害が発生をした場合においては、農業共済金の早期の支払い、その他農業災害補償等の円滑な実施をはかるとか、あるいはまた被害に対する補助、経営資金の融通等についても十分な措置を講ずる。なおまた、不幸にして米の収穫が非常に減収をするようなことがあったとしても、食糧の需給操作については万全の措置を講じて需給の安定をはかる、このように申されておるのであります。しかし、最近の調査の進行に伴いまして、また作柄の最近の情勢等にかんがみまして、稲作につきましては、必ずしも大臣がおっしゃっておるように安心をしているわけにはいかないような状況が出てまいりましたので、私は、その点につきまして、若干の質問を申し上げたいと思うであります。  申し上げるまでもなく、ことしの気象は非常に異常でありまして、御承知のとおり、東北、北海道あるいは山陰地方におきましては、ここ数十年来の豪雪に見舞われておるのであります。しかもその降雪の状況は、二月の中旬から四月の中旬まで非常に大雪が降りまして、このような状態は、私の地方では、私が生まれてからほとんど聞いたことがないような降雪の状態であったわけであります。私は明治三十八年生まれでありまして、ことし数えで六十一になるのでありますが、六十年来かつてこういう状態は聞いたことがないのであります。こういう状態でありますから、したがって、ことしの気象は、異常と申しましても、非常に激しい異常であったと思うのであります。こういう状態でありましたから、したがいまして、苗しろの作業がおくれる、これは十日ないし二十日ぐらいはおくれております。それからまた、苗の生育も悪い。田植えもしたがって半月程度は一般的におくれておるのでありますが、私の地元の岩手県の沢内村というようなところでは、五月になっても雪が消えない、そういう状態でございまして、ほとんどそういう状態はいまだかつて経験したことがないような状態であったわけであります。本田に苗を移植いたしましてからも、苗の生育は、六月に天候が幾ぶん回復いたしましたので、多少生育の回復が見られたのでありましたけれども、七月に入りまして、北日本、北陸、北海道方面はまた冷温、低温に見舞われまして、最も大事な時期であった穂ばらみが、例年かち比較をしますと、非常におくれておる。   〔東海林委員長代理退席、倉成委員長代理着   席〕  この七月の冷害のために、いわゆる花粉母の細胞の分裂に障害を来たして、そして障害型の不稔というような状態が出るのではないか、こういうことが非常に心配をされておったのであります。しかも、そういう状態でありましたので、幼穂の形成期が、冷温のために穂の伸びが非常に悪くて、もみの着粒数に大きな影響があったようであります。私はきのう地元のほうに帰りまして、そして稲の生育の状態を見てまいったのでありますが、そういう関係から稲草の生長も非常に悪いのであります。大体、私の地方では土用一節、こういっておりますが、現在私ここに参考までに持ってまいったのですが、稲の生育は四節しか伸びていないのであります。これはわせ種なんですけれども、稲の生育がこのように非常に悪いのであります。例年から見ますと、大体三寸ぐらいは伸び方が足らないのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。それから着粒数も、例年から見ますと非常に少ない。これは穂の出たうちから一番いいのを抜いてみたのですが、大体百五十二、三粒ついておりますが、稲の着粒数も非常に少ない。したがって、こういう点から考えてみただけでも、ことしは東北地方、北陸方面等は相当の不作になるのではないか、こういうことが現在でも予想されるわけであります。農林省当局におきましては、いろいろその点について調査を進めておると思うのでありますが、現時点における調査の状況、その結果等はどういうぐあいになっておるか、北海道、北日本、北陸等の状態の御説明をお願いしたいと思うわけであります。
  102. 大口駿一

    ○大口政府委員 本年の稲作につきましては、年度初めからの異常気象の連続並びに今後の異常気象が予想されましたので、農林省といたしましても、つとにこの対策に着手をいたしまして、四月に農林本省に冷害対策本部を設けますとともに、各地方農政局単位にも冷害対策本部を設けまして、本年の稲作についての基本的な体制を整えたのでございます。さらに学識経験者等をもって編成をいたしました冷害調査団を六月に東北その他の地域に派遣をいたしまして、主として技術面からの本年の稲作に対する指導についてのいろいろな御意見を拝聴するために、親しく現地に出向いていただきまして、調査をしていただいたのでございます。また、本年の異常気象によります苗しろ作業の遅延その他につきましては、予算的な措置を講ずることによりまして、共同苗しろ並びに委託苗しろについての助成を行ないますとともに、農業改良普及員に対する指導費の助成額の増額等も講じまして、この面での対策も講じてまいった次第でございます。その後一時的に天候が回復をいたしまして、やや愁眉を開いておったのでございますが、さらにまた七月の初旬における低温によりまして、若干作柄にも影響があるような事態が生じたのでありますが、昨今の天候を中心といたしまして、作柄は若干回復をしたのではなかろうか。いずれにいたしましても、七月末現在での全国の稲作をごく概観的に申し上げますと、並みもしくはやや不良というような現状ではなかろうかと思うのでございますが、今後の八月等の気温並びに天候等の推移もしくは台風等の襲来によりまして、最終的な稲作の結果につきましては、まだまだ農林省としてはきわめて強い警戒の体制をとっておる現状でございます。また、このような気象状況の年として予想されます病虫害防除等につきましても、農薬の確保でありますとか、あるいは防除器具の整備等につきましては、予算的並びにその他の措置を講ずることによって、一応現時点に予想されます病虫害の発生に対する体制は一応整えておるような現状でございます。  さらに、稲作の現状等についてやや技術的にわたる御説明につきましては、技術審議官が参っておりますので、詳細は審議官が説明をいたしてまいりたいと思います。
  103. 原政司

    ○原説明員 ただいま官房長から、春以来の気象並びにそれについて農林省としてとってまいった対策の概況について御説明申し上げまして、なお、ごく最近の稲作状況の概観についても御説明がございましたので、私から若干補足をいたしたいと存じます。  先生のおことばのように、まことにことしの気象は異常でございまして、おそらく、戦後しばしばといいますか、数回冷害の経験を私ら持っておりますが、春以来ああいった豪雪あるいは非常な低温に始まりました冷害というのは、戦後の体験としてはほかに例がないのではないかと考えるのでございます。さような点からいたしまして、われわれ技術陣営といたしましても、非常に緊張をいたしまして、これまで先生方の御指導を受け、また学界その他の御援助をいただきまして、現地の方々と一緒に指導をやってまいったわけでございます。  何と申しましても、こういった年におきましても最も懸念されますのは、御指摘のように、北海道あるいは東北地方でございますが、本年は海流関係にも若干の異変がございまして、いわゆる沿岸を流れておる親潮の流れがかなり強い。したがいまして、北海道のほうから三陸沿岸、いわゆる東北の太平洋沿岸、特に北部の青森、岩手の沿岸等につきましは、かなり低温の状況でございます。したがいまして、私らとして非常に心配してまいりましたのは、第一は、やはり稲の出穂遅延等によるいわゆる遅延型冷害の危険でございまして、この点につきましては、御承知のように、水温の上昇あるいはかけ流しの禁止というようなもろもろの手段を講じまして、生育の遅延を防止するということに集中してまいりましたが、ただいまのところ、北海道等の例をとりますと、出穂状況は、わせは二、三日、中晩稲におきまして三、四日のおくれではなかろうかというのが、現在報告を受けている状況でございます。なお、東北につきましても、北海道と同じように低温の影響を受けて、出穂がある程度おくれている状況にございます。  なお、先ほど来御指摘がございましたいわゆる障害型冷害でございますが、これは先生承知のように、障害を受けましてからある一定期間経過をいたしませんと、その実害の程度がなかなかはっきりいたしませので、つい先日の学識経験の豊かな秋浜氏を北海道に特に派遣をいたしまして、オホーツク海沿岸等の最も危険性の高い冷害地帯を調査していただきましたが、顕微鏡下におきましてもなかなか細胞の生死が判明しない。冷害の程度がはっきりいたしませんが、若干の被害はあったのではないかという御報告をいただいております。何ぶんにももう少し経過を見ませんと、障害型冷害の程度のことが把握いたしかねるという状況でございます。しかし、現地の報告をお聞かせいただきましたところによりますと、いわゆる深水かんがい等の方法によりまして、障害型冷害を最小限度に食いとめるため、従来にもない努力をしていることは確かのようでございまして、さような農家の努力、指導者の適切な指導によりまして、御心配の障害型冷害も例年よりははるかに少いのではないか。条件が同じといたしますれば、かなり防止できたのではないかという考えでございますが、いま少しの経過をいただきませんと、その程度につきましては判明をいたしかねるという状況でございます。  なお、今後の問題といたしましても、東北、北海道につきましては、生育の促進等につきまして十分配慮をしてまいると同時に、何と申しましても、いもち病の発生、それによりまする冷害の深刻化、そういうことがこれからの大問題でございますので、病虫害防除につきましては従来以上に努力をいたしまして、今後できるだけ災害を少なくいたしたいという考えでございます。
  104. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そこで、お伺いをいたしたいのでありますが、病虫害の問題についてでありますが、ここ数日の間気温が急に上昇してまいっておりますので、軟弱に育っておる稲に対しては、西日本等においては、もちろん北日本もそうでありますが、非常にいもちが発生して蔓延をしておるという新聞記事あるいはラジオ、テレビ等の報道があったのでありますが、いもちの状態はどういうふうになっておるか。発生の被害の面積とか、それに対してはどういう対策をとっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  105. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 病害虫、特にいもちの発生状況についてのお尋ねと存じますが、先ほど千葉委員からもお話がございましたように、全体の気候がおくれましたこと、寒かったこともございまして、東北地方におきます葉いもちの発生は、例年よりはるかにおそく、かつ現在でも、一般的に申しますと平年以下の発生状況でございます。西のほうは、わりあい東北に比べますと早目に気温が上がりました関係もありまして、東北方面よりはやや多く発生をいたしております。当初来、非常な気候あるいは苗の生育がおくれましたことに伴いまして、天候が回復をすれば、いもちの発生に非常に好適な条件になる可能性が予測をされましたので、早くから関係各県に対しまして防除の徹底を期するよう指導をします反面、必要な農薬の確保についてたびたび各県と連絡をとりまして、準備の状況等を掌握をし、必要な措置を進めてまいったのでございます。現在までのところ、各県が発生を予想をいたしております面積に対応いたしますならば、農薬の必要量は十分確保ができておるというふうに考えておる次第でございます。  それから、農薬をまきますための防除器具につきましては、本年度の当初予算で、異常発生に備えまして、県有の防除器具を二百五十台予算補助をいたすことにしてあったのでございますが、それだけでは十分でないと判断をいたしまして、先日予備費でさらに県有の防除器具二百五十台を追加助成をいたしまして、防除器具の整備もつとめて万全の措置をとっておる次第でございます。
  106. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 先ほどの御答弁によりますと、ことしの水稲の全国平均の作柄は平年作程度にはいくだろう、あるいは悪くてもやや不良程度ではないか、現時点においてはそのような状態だという御答弁でありましたが、全国平均ではそのような状態であるといたしましても、北海道あるいは東北、北陸等は、例年から見るならば非常に作柄が悪いのではないか、かように考えられるわけなんでありますが、その地方の作柄はどのようになっておりますか、お聞かせを願いたいと思います。
  107. 原政司

    ○原説明員 稲の作柄につきましては、統計法に基づきまして、統計調査部で定期的に調査をいたすことになっておりまして、本年度の計画といたしましては、七月一日の生育調査、それに続くものといたしまして、八月十五日に作況状況を調査し、八月の末に公表をするという、統計法に基づく本省の統計調査部の計画になっております。さような関係からいたしまして、いささかその間日数があるわけでございまして、われわれといたしましも、稲作の指導あるいは対策上、それでは非常に間隔があき過ぎるというこうからいたしまして、地方農政局を通じまして、最近、特に八月一日ごろの状況につきまして、ただいま報告を求めているところでございます。目下整理をしておりますが、その概要を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、出穂といいますか、稲の進み方を見ますと、北海道におきまして三、四日、それから東北地方におきましてもややそれに似たおくれを見ておりますが、茎数あるいは穂数等につきましては、若干多目である。それから伸び方は、若干草たけは例年よりも多少低い。それから病虫害の状況、特にいもち病の状況につきましては、農政局長からも御説明申し上げましたように、例年をかなり下回る状況でございまして、これは気候がかなり本年はおくれておるという事情もございますが、他面春以来いろいろと努力をいたしまして、特に肥料等の問題につきましては、窒素肥料を差し控え、あるいは追肥につきましても、非常に慎重を期するというような各般の手段を講じてまいりました。そのような結果ではなかろうかと存じております。さような状況でございますので、作柄全体といたしましては、何と申しましても、今後の天候の推移によって決せられるところでございますけれども、八月初めの状態といたしましては、北海道では並みに近いやや不良と申しますか、やや不良という概観でございますし、東北地方につきましても、青森あるいは岩手県等につきまして、やや他県に比べて劣る条件もございますが、まあ概して申しますと、並みからやや不良というような概況の報告をただいま受けております。先ほど申し上げましたように、目下整理中でございますので、府県別につきましては、明日でも御報告申し上げたいと思います。
  108. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そうしますと、北海道、東北地方等においても全国並み、平年並みかやや不良程度だ、こういうことになるわけですが、私はきのう地元に帰りまして、いろいろ調べてみたのでありますが、この稲の生育の状況は、農政局で調べたいわゆる三日から一週間ぐらいおくれておるという調査の結果よりは、それ以上におくれているのじゃないかという感じがしてきたのであります。というのは、私は岩手県の一番南のほうなんですが、私の地元の地方では、大体わせ種ですと、例年ならば、七月中にはほとんど出穂を終わります。なかて、おくて等につきましても、大体八月十日から十五日ぐらいまでにはほとんど穂ぞろいになるわけであります。ところが、きのうの状況では、わせ種が出穂を始めたという程度でありまして、なかてとかおくてとか、そういう種類の稲は全然穂が出てないのであります。したがって、そういう状況から見ますと、三日から一週間ぐらいではなくて、例年から見るならば、十日以上は出穂がおくれているのではないか、こういう感じがいたしたのであります。さらには、この出穂の状態を見まして、先ほども申し上げたのでありますが、着粒数を調べてみますと、一番大きな穂で、百五十二だったと思いますが、百五十二ほどしか粒がついてない。豊年のときですと、一番大きな穂には大体百八十以上つくようであります。これは私自身百姓で経験しておるのでありますから、その程度の穂はつく。大豊作ということになると、二百粒近くつくことがあります。ところが、一番大きな穂で百五十そこそこ、小さな穂になりますと百三十しかついておりません。そういう着粒数から見ましても、東北地方におきましては、大体現在の作柄から見ますと、豊年のときに比べたら、三割ぐらいの減収になるのじゃないか。それから平年作から比べましても、二割近い減収を北日本、東北方面では来たすのではないかというような感じを持ってきたのでありますが、政府のほうでは、出穂後の着粒数なんかについても十分検討された結論でございましょうか。平年作またはやや不良というのは、そういう点まで調査をされた結果の結論かどうか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  109. 原政司

    ○原説明員 ただいま御指摘がございましたように、今日の段階におきまして、最終的といいますか、稲の作柄を判定いたしますことは、きわめて至難なことに属しますが、御指摘のように、やはり収量を決定いたしまする一つの大事な要素は、穂の大きさといいますか、あるいは粒数ということによって非常に支配されると存じます。概して申し上げますと、この粒数のほうのでき方は、どちらかと申しますと、やや汽温が低い年次においてかなり順調といいますか、非常に穂数がふえる、粒数がふえるという傾向を持っておりまして、私たちの承知しておりまする各種試験場の成績あるいはその他によりますと、先生の御観察になっておられます穂数、粒数等の点につきましては、さほど平年を下回るということにはならないであろうという状況でございますが、何と申し上げましても、粒数は粒数といたしまして、やはりそれにどの程度の実りが期待できるか、いわゆる稔実関係が今後どういうふうになっていくかということが、これから大きな問題になります。御承知のように、大体穂が出ましてから最後の収量を決定する同化生成物のかなり多くの部分が出穂後の生産物になる関係がございますので、ただいまの段階といたしましては、病気が非常に少ない、全体に健康であるという点等を考えまして、先ほど申し上げましたように、平年に近いやや不良ということが、適切な判断ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
  110. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 その点は、これは私の感じですから、水かけ論になるでありましようから打ち切りまして、さらに今後の気象の問題についてでありますが、長期の予報によりますと、八月の下旬から九月の上旬にかけて再び異常低温になるのではないか、こういう予報であります。この期間は水稲にとりましては非常に大切な期間であります。いわゆる登熟期に入るわけでありまして、稲にとっては最後の仕上げのときになるわけであります。そういうときに冷害、冷温が来る、あるいはまた、さらに九月の末から十月にかけてまた冷温が来るのではないか、いわゆる秋が早く来るということになるのではないということがいわれておるのでありますが、そういう天候に見舞われるとすれば、やはり稲が実りかねてしまう。出穂してからことしのような冷温の年には、出穂後の天候がいわゆるかんかん照りが続かなければ稲が実らぬ、こういわれておるわけなんです。ところが、東北地方の昨今の天候は、気温は相当高いのであります。高いけれども、曇っておりまして、そうしてかんかん照りではないのであります。そういう気温が今後も続く、そうしてまた秋冷が早く来る、こういうことになりますと、凶作が必至だ、そう言っても差しつかえないと思うわけでありますが、もちろん、そういうことも政府のほうでも予想されて、いろいろな手を打っておられると思うのでありますけれども、そういう予想のもとにどういう手を打たれておるか、またどういう手を打つことが必要か、その点について、政府見解をひとつお知らせを願いたいと思うのであります。
  111. 原政司

    ○原説明員 先生からただいま御指摘をいただきました、穂が出ましてから俵に入るまでの今後の問題でございますが、御指摘のように、今後の天候の推移はなかなか予断を許さない状況でございまして、私らといたしましても、非常に今後の成り行きを心配しているわけであります。先ほども御説明申し上げましたように、八月、九月、十月、特に登熟期のお天気が収量を決定する非常に大事な要素でございますので、その間の天候の推移につきましては、私らも非常に重大視をしている状況でございます。概して申し上げますと、穂が出ましてから、その当時はいわゆる障害型といいますか、そういう低温に対して非常に弱い稲の状況でございますが、やや経過をいたしますと、そういった低温に対する直接の影響はかなり強くなってくるという性質を持っておりまして、問題は非常に低温が持続いたしますと、成育がだんだんに遅延をしてまいります。そうして、九月の末あるいは十月になりまして霜がおりる、それで十分登熟しないうちに稲が枯れてしまう、そういう遅延型冷害の危険を、今後の問題といたしましては、北海道あるいは東北につきまして、私らも非常に懸念いたしておる次第でございます。それに対しましては第一番目は、やはり水温等について、たとえばかけ流し防止をいたしますとか、そういういろいろなことで防ぎまして、できるだけ水温の上昇をはかってまいるというのが第一番目でございますし、それから、稲はふしぎなものでございまして、ある段階低温によりまして抑制をされておりましても、その後天候が回復いたしますと、急速に稔実を開始する。特に最近の稲におきましてはそういう回復力が旺盛でありますので、最後の最後まで私らは稲作を守り続けていきたい。そのためには、何と申しましても、健康といいますか、病気から防ぐ、健康であるところまで持ってまいりますれば、天候が回復次第、稲がまた登熟、稔実を開始するということになろうかと存じます。かような点からいたしまして、水管理の問題と同時に、病気の防除という点につきまして、今後一段と注意をしてまいりたいと存じます。  なお、最終段階になりますと、初霜がいつ来るかということが、北日本におきましては非常に収量を左右する大事な要点になってまいりますが、春の凍霜害と同じように、北日本の稲作につきましては、九月末から十月にかけまして霜をいかにしてのがれるか、さような点につきまして、これから燻煙材料等を収集して、霜を防ぐ体制を固めていきたい。さような方向でただいま指導を加えている状況でございます。
  112. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 いろいろ対策を立てておられるようでありまして、その点たいへん心強いのでありますが、いずれにいたしましても、私の予想では、今後の気象の長期予報等を勘案し、かつまた、現在の稲の生育状況等から判断をしまして、もちろん政府のほうでもやや不良ではないかという発表もされておるのでありますが、そういう点から見まして、ことしの稲作は、よくいっても、昨年と比較をすれば、全国平均で一〇%以上の減収となるのではないか、さらにまた、気象の長期予報等が不幸にして的中をしまして、予報のとおりだとしますと、東北の地方におきましては減収が非常に多くなって、東北地方だけでも二〇%以上あるいは三〇%近い減収になるのではないか、こういうことも予想されるわけであります、そういうことになりますと、全国平均で一五%、二〇%というような被害の状況になるのではないか、かように考えられるわけなんでありまして、したがって、そういう事態に立ち至った場合のそれに対処する方針をいまから確立しておかなければならないことはもちろんであります。その方針の第一点は、言うまでもなく、被害農家の経営の再建の問題であり、また第二点は、食糧自給の完全な安定確保、この問題であります。  大臣の演説によりますと、第一点の農家の経営の維持の問題、再建の問題につきましては、大体四点をあげておられるようであります。第一には、被害農家に対して農業共済金の早期の支払いをする、その他農業災害補償の円滑な実施をはかる、それから被害の実態に即して国庫が補助をする、第四点としましては、経営資金の円滑な融通の措置を講ずる、この四つの点をあげておられるのであります。しかし、大臣の演説だけでは、これは全く抽象的でありまして、具体性を欠いておるわけでありまして、そこで、私は、この点について具体的にお伺いをいたしておきたいと思うのであります。  第一の農業共済金の早期支払いの点についてであります。これは私から申し上げるまでもなく、農業共済金の支払いにつきましては、九月の末に立ち毛の調査をしまして、そして評価額を決定する、その結果を十月末までに本省に報告する、そして十一月に本省が決定をしまして、この評価額の最終決定がなされるのであります。ところが、農林省の被害額の最終の決定は、農林省のことしの稲作の最終の収穫予想高が決定しなければ、被害額の最終決定が行なわれないのが例年の例になっておるのであります。農林省の稲作の最終の収穫予想は、例年一月十日から一月十五日ころに行なわれておるのであります。そして県に通知が参るのは一月末ころ、そしてまた県のほうから共済組合のほうに決定の通知のあるのは二月の末ころになりまして、農家のほうに対する共済金の支払いは三月になるというのがいままでの実態であります。立ち毛の調査をしてから農家に現実に共済金の支払いになるのは、半年たたなければ支払いにならない。こういうのが例年の例でありまして、大臣の演説によりますと、ことしは早期の支払いをするというのでありますが、年内にはその支払いを完了するような取り運びができるかどうか、ひとつその点をお知らせを願いたいと思います。
  113. 森本修

    ○森本政府委員 共済金の支払いの時期についてのお尋ねでございますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、共済金の支払いは、本払いにつきましては、単位の組合が損害評価をいたしまして、県の連合会、それから国のほうの特別会計ということで、順次損害評価高が上がってまいりまして、本省では統計調査部の被害調査を見まして、それを適正に査定をする、こういう手続になっております。したがいまして、災害が起こりましてから、いま言いましたような手順を踏みますので、若干損害評価の確定、共済金の支払いまでには日時を要するという関係になっております。できるだけこれの手続きにつきましては早期に完了するように督励をいたしたいというふうに思っております。本払いのほうはそういうことでありますが、ただ、災害が非常に大きいといったような際におきましては、仮払いということを従来からもやっておりまして、ほんとうの評価が確定いたします前に、単位の組合でいわゆる仮評価というのをいたしまして、組合でその評価に基づいて前もって仮渡しをしておる、こういう措置をいたしておるわけであります。それぞれの段階の組合、連合会の仮渡しについての資金の手当てといたしまして、あるいは農業共済基金から仮渡し資金を融通する、また異常災害ということが大体見当がつきますれば、国の特別会計から概算渡しをするというふうな措置によりまして、なるべく早く共済金が被害農家に渡るように措置をいたしております。今回の冷害についても、そういうケースに当てはまりますれば、当然そういう手続を進めてまいりたい、こういうように考えております。
  114. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 これはぜひ概算払いでもけっこうでありますから、年内に被害農家に対しては共済金が支払いになるように、ひとつ事務を進めていただきたいと存じます。三月になってから支払いになりましたのでは、農家のほうでは何の役にも——何の役にも立たないということはないのですけれども、年末に金が入ったのと、年を越してから入ったのでは、非常に金の値打ちが違うわけでありますから、ぜひその点は年内に、概算払いでもけっこうですから、金が入るようにお取り運びを願いたいと存じます。  それから、さらにお聞きいたしたいのは、現行の農業共済の引き受けは基準数量の七〇%を引き受ける、そうして三〇%以上の被害がなければ共済金の支払いをしない、こういうことになっておるようであります。これは農業災害補償法の第百六条と百九条でそのように決定になっておるのでありますけれども、しかし、ことしは、私が先ほど申し上げましたように、東北地方が不幸にして二〇%なり三〇%近い被害を受けたいということになりましても、現行の災害補償法の定めによりますと、共済金の支払いを受けることができぬということになるわけであります。ところが、例年のいわゆる冷害でない被害、病害とか虫害とか、あるいはその他の水害とかいうような場合におきましては、たとえば一町歩の耕作をやっておる農家の全耕作面積のうちの一部分が何割かの被害を受ける、五割なり七割なりの被害がある、こういうのが例年の被害の状態だったのであります。ことしの冷害は、不幸にして私が申し上げたような被害があるとすれば、東北地方全体がそういうことになるのでありまして、したがって、農家の耕作をしておる反別全体に被害を受けるということになるわけであります。ところが、二割五分なり二割七分程度の被害ということになりますと、現行法の定めるところによっては、共済金の支払いを受けることができぬ。しかし、農家のこうむる被害の総額というのは、例年の耕作面積のうちの一部分が七割なりあるいは八割なりの被害を受けた額よりも、ことしの被害額というものは、非常に大きくなるわけでありまして、したがって、そういう事態になるとすれば、農家の収入が減少するということが、従来の被害から比較をしますと、非常に被害額が多くなるということになるわけであります。しかし、現行法の定めるところでは、共済金の支払いは受けることができない、こういうことになるわけでありますが、この点を何とか現行法を改正することは簡単にはできないといたしますならば、もしそういう事態になった場合においては、特例法でも設けまして、救済する方法が考えられなければならぬと思うのでありますが、その点に対する当局の御見解はどうでありましょうか。
  115. 森本修

    ○森本政府委員 実はいま言われましたことは、共済制度の全体の仕組みといいますか、設計にかかわる問題でございまして、従来から共済制度の仕組みとしましては、現在は一筆の収量建てということになっておりまして、一筆ごとに被害を計算をいたしまして、三割をこえれば共済金を支払う、そういう関係になっております。したがいまして、いま御指摘になりましたように、被害農家の全体の耕地が三割以下の被害という際におきましては、共済金の支払いの対象にならない、こういう関係になっておるわけであります。もちろん、立法論なりあるいは制度の立て方といたしましては、一筆単位ということでなしに、あるいは農家単位ということで、農家の持っております圃場全体をひっくるめまして、何割以上の被害があれば共済金を支払うといったような制度も考えられないことはないわけであります。従来におきましても、あるいはそういう農家建ての共済をやればどうであろうかというふうなことを実際に国として試験をした例もございます。しかしながら、それもまた一長一短でございまして、現在の一筆建てといわゆる農家建てと、一体どちらが災害対策としてすぐれたものであるかという点については、いろいろな議論がございまして、現行制度としては一筆建てということになっております。特別の場合に特例を設けることができないかというお話でございますけれども、農業共済制度はいわゆる保険の手法をもちまして仕組んだ一つの制度でございまして、あらかじめそういうふうな設計に基づいていろんなことが仕組まれておりまして、災害が起こってから、三割以下の被害に対して共済金が支払えないから、特例を設けたらどうだというふうなことになりますと、制度の仕組みなり運用なりがなかなかむずかしくなってまいります。したがいまして、従来からもそういう設計の基本に触れることは、実は特例を設けることはしないで運用してまいりました。もちろん、実態に合わせまして、損害評価のやり方についてそれぞれ実情に合うように運営するということはしておりますけれども、設計の基本に触れることはあまり変更しなくて今日に至っておるというわけであります。
  116. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 運営よろしきを得ればよろしいのですが、ことしのような冷害の年は立ち毛の調査だけでは、実際には実収の実態というものはわからないのです。脱穀調製をしてみないと、減収の実態というものはあらわれてこないのが特徴なんです。立ち毛で調査をした場合は、相当作柄がよく見える。そして刈り取りをして脱穀調製をすると、しいなとか砕けが非常に多くなって、立ち毛の調査とはまるで違った被害がひどくあらわれるというのが、冷害のときの実態なわけです。そういう点を考慮しますと、たとえば立ち毛の調査では、被害は二割五分なら二割五分で共済の対象にならぬ、そういう結果が出てくるわけですけれども、ことしのような冷害の年には、脱穀調製をした後でないと、被害の実態がわからないのでありますから、そういう点も考慮に入れていただいて、何らかの救済の措置を講ずることができないものかどうか。運用のいかんによってはできるというならば、ひとつその点十分考慮に入れていただきまして、ことしのような異常な災害の際の農家の救済を十分考えていただきたいと思うのであります。なお、私、希望申し上げておきたいのでありますが、この特例法を設けることができないということであれば、何らかそれにかわる方法をひとつ考究していただきたいと思うのでありますが、その点も十分御考慮をわずらわしたいと思います。これは農家にとっては非常に大きな問題でありますから、ぜひ特別の方法があるならば、ひとつ考究していただきたいと思います。  それから次に、被害に対する国の補助の問題でありますが、いろいろ先ほどからの御説明によりまして、補助の問題につきましては、了承いたしました点もありますが、苗しろがおくれて、それを急速につくらなければならぬということ、あるいは田植えの作業がおくれて、また田植えの準備を急速に進めなければならぬということで、それらの人夫が、従来から見ますと、非常に多くかかっておるという実態であったのでありますが、そういう点に対する補助の状況はどういうふうになっておるか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  117. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 先ほど千葉委員からお話がございましたように、今年は異常な豪雪で、かつ融雪期がおくれましたことに伴いまして、個々の農家が苗しろ立てできないような場所もございましたので、各県が指導をいたしまして、共同苗しろあるいは委託苗しろの設置をいたしたわけでございます。また、そういう場所から苗しろの準備のできません場所へ苗の輸送をいたさせたわけでございますが、それらに対します経費としては、去る七月二十七日の閣議決定で四千二百五十万三千円の補助金を支出をいたしまして、共同苗しろ、委託苗しろの事業を実施した地区に対して助成をいたしたわけでございます。
  118. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 次には、病虫害防除に対する補助の状況はどうなっておるか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  119. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 病虫害防除のことにつきましては、ずっと以前には、農薬の普及段階ということで一般的に補助をいたしましたことはございますが、おおむね普及段階を終わりまして以後は、一般的に助成をいたしませんで、過去における平均的な発生面積に対して異常によけいの面積が発生をいたしました場合に、そういう地帯に対して特に助成をするという措置をとりました前例がございまして、たとえばごく最近で申しますれば、昭和三十八年の長雨のときにもそういう補助をしたことがございます。ただ、この農薬の補助は、反当にいたしますと、一回当たり七十五円くらいの非常に僅少な金額になりますことと、過去におきまして農薬に補助金を出しましたときに、若干末端でそれの取り扱いに不都合がございまして、ほかに流用したとか、あるいは農薬をまかないのにまいたような形にして保有をしておいたというような例がございまして、会計検査院からしばしば不正使用というようなことで指摘を受けたような問題もございます。そういうような問題もあるわけではございますが、今年の発生が、今後天候の推移にもよるわけでございますが、思わぬ異常な発生をいたしました場合には、そういう会計検査院の指摘事項あるいはその他の問題点も十分検討いたしまして、農薬の助成についても今後考慮をしてまいりたいということで考えておる次第でございます。
  120. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 次には、先ほどの農業共済との関連もありますが、先ほども申し上げましたように、冷害による水稲の減収、米の減収は、脱穀調製をして初めて減収の実態がわかるわけでありますが、いわゆる不稔粒が非常に多いということから、しいなや砕けがたくさん出る。それから完熟した稲でも、どうしても雨が多いと品質が非常に悪くなるということから、農家の実収が非常に下がってくるわけであります。たとえば三等米、四等米がたくさん出る。それからいわゆる等外も非常に多く出るということから、農家の収入が非常に低下をするということになるわけでありますが、そういうことについての何らか補助の方策があるかないか、ひとつその点お伺いをいたしておきたいと思います。もし共済金が三割以上の被害でなければ払われぬということであれば、そういう点に対する何らかの補助の措置を講じていただくようなことはできないかという点であります。
  121. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいまの先生の御指摘の共済金の支払いの対象にならない農家に対する救済措置としましては、一般的な金融措置とかそういう措置のほかに、たとえば等外米を買い上げるとか、あるいはそういう品質の悪い米について何らかの配慮を加えるというような措置は、いままでそのような措置を講じたことがございませんので、ほかに何か手はないかということでございますけれども、具体的にお答えをするような内容のある措置はちょっとないのではないかというふうに考えております。
  122. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 ひとつその点考えていただきたいと思うのですが、おそらくしいな、砕けのようなものがたくさん出るのじゃないかと思うのです。家畜の飼料に回してもいいと思いますから、砕けとかしいなとか、そういう等外米も、ひとつ政府のほうで救済の意味で特別高く買っていただくというような方法がとられるならば、農家は助かると思いますから、絶対できないものならこれはしようがないのですけれども、そういう点も被害がひどかった場合には十分お考えおきを願いたいと思います。  それから、私懸念しておりますのは、二割も三割も被害が激しかったということになりますれば、農家の経済が非常に混乱することは、これは言うまでもないところであります。もしそういう事態に立ち至りました場合には、政府のほうにおいては、救農土木事業といったような救済の仕事を計画をしていただきたいと思うのでありますが、そういう点に対するお考えはいかがでありますか。
  123. 大口駿一

    ○大口政府委員 過去において、被害が激甚でありますために、その地方の農家の収入を補てんするという見地から、救農土木事業等が行なわれた例はあるわけでございます。本年具体的にどの地方にどのような配慮が必要であるかということは、現在の時点で具体的な必要のある地方等がまだ私どものほうではまとまってはおりませんが、もちろん、そのような必要があるという事態に立ち至った場合におきましては、このようなこともひとつ検討の対象になろうかと思っております。
  124. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 ぜひひとつ善処願いたいと思います。  それから、被害が甚大だということになりますと、それぞれ町村、自治体に対しましても、その影響が非常に大きくあらわれてくるわけであります。たとえば税収が欠陥を生じてくるとか、あるいはいろいろな救済対策についての事務量がふえるとか、そういったような点が町村の自治体に影響してまいるわけでありますので、そこで、被害が激しかった場合には、その激しい地域の自治体、町村に体する特別の援助等もひとつ考えていただきたいと思うのであります。特別の援助と申しましても、これはきまっているようなものでありまして、たとえば普通交付税交付金の繰り上げの支給であるとか、あるいは特別交付税の増額をしてもらうとか、そういうきまっておるようなことでありますが、そういう点もひとつ十分御配慮をお願いしたいと思います。ひとつ自治省のほうとかけ合いまして、そういう地域に対しては、ぜひ特別交付税交付金の増額等が実現できるように、農林省のほうからも自治省のほうへ談判をしていただきたいと思うわけであります。  それから、ことしは冷害ばかりではなくて、水害とかひょう害なども併発している地方が非常に多いのであります。そういう地域に対しましては、天災融資法の激甚災の適用ですね、それをひとつぜひやっていただきたいと思います。これにはそれぞれの標準があるようでありますが、何とか標準をあまり辛く査定をしないで、冷害ばかりではなくて、水害あるいはその他のひょう害なども受けておる地域がたくさんありますから、あまり厳格な査定をしないで、ひとつ激甚災の適用をお願いしたいと思うわけであります。  次に、経営資金の問題でありますが、激甚災の適用を受けますれば、それぞれの標準に従って、農家の経営資金に対する融資等もその標準でお願いできるわけでありますが、この激甚災の指定の標準は、農作物の減収三〇%以下のところは指定が受けられないような規定になっているようであります。それから農家の収入が一〇%以上の減収でなければ適用が受けられない、こういうことになっておるようでありますが、その点につきましても、あまり厳格な査定等をして、できるだけ適用しないようにというようなことのないように、ひとつ御配慮願いたいと思います。これは答弁は要りません。ぜひそういうふうな取り扱いをいまからお願いをいたしておきたいと思うのであります。  それから、学者の説によりますと、凶作は一年ではやまないという説があるのでございます。いままでの統計によりますと、凶作の周期というのがあって、十五年ないし二十年周期ぐらいで、農作物の不作、天候の異変というのが四、五年続くといわれておるのであります。そういう説があります。とすれば、大体去年は北海道が冷害で不作になりましたが、そこを起点として見ますと、ことしは凶作年に入って二年目ということになるわけです。ことしで天候異常が二年続くということになるわけですが、なおここ二、三年はこういう異常天候の年が続くのではないか、こういうように考えられるわけであります。もしそういう予想が不幸にして的中するとすれば、稲の耐寒品種の研究を一そう強力に進めていただかなければならぬと思うのであります。最近稲についての研究がストップしているのではないかという説があるのであります。そういうことも聞いております。稲とか麦とかは、斜陽の農業だからあまりつくるなということを政府が声明したものだから、そういう関係かもしれませんが、耐寒品種の研究を一そう続けていただきまして、そして寒冷地帯でも少少の冷温があっても十分収穫が確保できる、そういう処置をとっていただきたいと思うのでありますが、耐寒品種の研究の実態はいまどうなっておりますか。その点ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  125. 大口駿一

    ○大口政府委員 耐寒品種のこまかい技術的な問題につきましては、ちょっと専門家がおりませんのであれでございますが、ただいま先生の御指摘のように、米とか麦とかがどうも斜陽で、若干技術研究がストップしておるのではないかとか、あるいは冷害とかいうものが学者の説によれば数年続くので、その点の備えがあるかどうかということに対しましては、私ども、本年の冷害の予想に対しまして、気象庁その他と十分な連絡をとりまして、気象庁のほうの見地からいたします本年の天候の見通しでありますとか、あるいは本年にとどまらず、やや長期的な天候の見通し等につきましては、例年よりもはるかにひんぱんに連絡をいたしまして、そのほうの見解に基づいて、適時適切な対策を講ずるように努力をしてまいっておりますし、また今後もそれを続けてまいりたいと思っております。  また、稲作の技術の問題につきましては、何と申しましても、日本の一番重要な農産物であり、また技術的に見ても、一番長い歴史を持っておる技術でありまして、決して最近の情勢に基づいて手を抜いておるということはないわけでありまして、現に本年のような異常気象におきましては、従来長年にわたって農林省並びに出先の試験研究機関が研究いたしました成果を本年の稲作において見せようということで、中央、地方を通じて技術者が意気込んでおる状況でございまして、決してさような手を抜いておるようなことはございませんし、また、昨年の北海道の冷害並びに本年の稲作の経験等も生かしまして、今後の品種改良なり品種の選定等につきましては、ただいまお説のような耐寒品種を選定するとかいうような努力は、十分現在においても怠らずやっておるわけでございまして、ことに本年の稲作において、異常気象による被害を最小限度に食いとめようということにつきましては、技術陣をあげまして現在努力をいたしておる次第でございます。
  126. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 冷害は数年続くというような説もありますので、それに対しましては、十分万全の対策を怠りなく、いまから確立をしておいていただきたいと思うわけであります。いろいろその他農業基本法の問題等についてもお尋ねをしたいと思うのでありますが、大臣もお見えになっておりませんので、これは省略します。  次に、米の需給の関係についてお伺いをいたしたいと存じますが、演説によりますと、米の値段は引き上げをした、それから予約概算金や予約奨励金も増額をしたし、なお時期別の格差の据え置きなどもやったので、集荷は万全である、もしそれでも不足のときは、輸入量も確保してあるからして、需給の操作は絶対心配はない、こういう演説であります。しかし、はたしておことばどおり安心してよろしいかどうか、懸念される点もありますので、念のためにお伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、現在の政府の米の手持ち量は、先ほど湯山委員質問に対してのお答えによりますと、七十八万七千トン九月一日現在で手持ちになる見込みだ、こういうことでありますが、九月中の配給の予想高は幾らになっておりますか、お伺いをいたします。
  127. 武田誠三

    武田政府委員 九月中の売却需要の見込み量でございますが、これは全部で五十四万五千トンという見込みを立てております。
  128. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そうしますと、十月への持ち越し量が二十四万二千トンということになるわけですね。  そこで、お伺いをしますが、ことしの米の買い上げの予定量は幾らですか。
  129. 武田誠三

    武田政府委員 九月中に、百万トンの内地米の買い入れと、それから準内地米につきまして二万トンないし三万トンの日本への回着を見込んでおりますので、九月末の持ち越しといたしましては、内外米合わせまして百二十五、六万トンの数字になるというふうに考えております。それから本年産米の買い入れの見込みにつきましては、御承知のように、まだ作柄が決定をいたしておりませんので、何万トンというふうに確実な数字を申し上げるわけにはまいらないのでございますが、一応平年作を前提といたしますれば、約七百万トン程度の買い入れが可能であるというように考えておるわけでございます。
  130. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 この九月の内地米の買い入れ百万トンというのは、新米ですか、いわゆる早場米ですか。
  131. 武田誠三

    武田政府委員 お話のとおり新米でございます。
  132. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私は、これは非常に甘い見方じゃないかと思うのですが、この百万トンの九月中の買い入れは確実ですか。早場地帯の東北は、冷害でもっておそらく登熟がおくれると思うのです。九月中に稲刈りのあるところはおそらくないんじゃないかと思うのです。どうでございましょう。
  133. 武田誠三

    武田政府委員 この百万トンの買い入れにつきましては、北海道、東北、北陸その他関東の五早場地帯あるいは九州におきます早期米地帯の過去の買い入れの実態その他、また今年の気象状況等も一応頭に置きまして、百万トン程度の買い入れが可能であろうというように推定をいたしておるわけでございます。現在までの稲作の進み方が多少おくれぎみでございますが、九月中に全然買い入れがないということは想像いたしておりません。
  134. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 全然買いれができないだろうとは申しませんけれども、もしこれが予定の半分しか買い入れにならないということになりますと、五十万トンの買い入れですか、九月から十月への手持ち米の持ち込しが二十四万二千トン、それから半分しか買い入れができなかったとすれば、七十四万二千トンの十月中の操作、こういうことになるわけですね。もしそうだとすると、たいへんなことになります。その月に買った米をその月に配給する、こういうことになってくるわけです。いまでも米の配給が非常に窮屈になっておるようですね。私はきのううちへ帰りまして、配給所へ行きまして、いろいろ配給の状態を調べてみました。そうしましたら、東京で米の配給をおくらしたりすると、いろいろ騒ぎが出るためかと思うのですが、米がみな東京へ集中しているらしいですね。そうして地方では、配給が一回に五キロ以上配給できないような状態になっておる。私の町ではそうなっておるのですよ。そういう非常に窮屈な状態になっておるのが米の配給の現在の実態なんです。しかもそういう実態のところへ、ことし早場米地帯の冷害の年にもかかわらず、去年の実績に順じて百万トン九月中に買い入れるのだというような予定を立てたのでは、非常に甘い見方だと私は思う。もしこれが五十万トンしか買い入れできなかったとすると、なお一そう米の需給の操作が窮屈になって、これは米騒動なんか起きかねないような状態になるかもしれない。そういうことを十分頭に入れて善処していただきたいと思うのです。  それからこの十月までの輸入の状態はどうなっておるのでしょうか。準内地米で二万トンないし三万トンしかあと輸入の見込みは立っていないわけですか。
  135. 武田誠三

    武田政府委員 今後の準内地米の輸入につきましては、六月の末に台湾米、七月に中共米の追加の輸入をすることを決定いたしまして、今後準内地米の買いつけは、少なくとも十一月くらいまで毎月三万トンないし四万トンのものが回着する予定でございます。
  136. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そうしますと、準内地米の輸入にたよるということは全然できないということですね。二万トンないし三万トンの回着では焼け石に水です。輸入米は当てにならぬ。したがって、早場米の九月中の百万トンを確保しなければならぬ。もしこれが半分になると、十月の米の配給操作は非常に困難になる、こういうことになりますので、そういうことのないように、ひとつ十分の配慮を願いたいと思います。  さらに、来年の需給はなお困難になるのではないかと私は思う。農林省のいまの稲作の見通しではやや不良。やや不良ですと、一割くらいの減収を見込まなければいかぬと思うのです。そうすると、国内の生産量八千万石の一割の減収を見込むということになると、八百万石減収ということになりますね。それに昨年の端境期で、去年の米の食い込んでいる分が三百万石あるはずですね。早場米を米穀年度にならないうちに食っちゃったのが三百万石であった。そうすると、それを加えると、一千二百万石の不足が来年の米穀年度内に生ずる、こういうことになる。この一千二百万石、来米穀年度で輸入の見通しがありますか。せんだっての予算委員会における石田さんに対する農林大臣の答弁を聞いておったのですが、答弁によると、国内産米総額の一割の輸入は絶対できません、こう言っていますよ。そういうことを答弁している。一千二百万石来米穀年度は足りなくなる、それをどうして操作する見込みか、ひとつそれを聞いておきたいと思います。
  137. 武田誠三

    武田政府委員 ただいま先生お尋ねの一割程度の減収という場合に、さらに早食い量三百万石を加えた千百万石ないし千二百万石の不足が出るのではないかというお話でございますが、新米の早食いにつきましては、年々その程度のものをここ数年来早食いをいたしておるわけでありますから、いわば押せ押せの関係になっておると思うのであります。一割の内地米の減収ということにかりに相なりました場合に、それに相応します八百万石程度、約百万トン余のものでございますが、これの準内地米の買い付けが可能であるかどうか、これはやはり諸外国の準内地米を生産しております地域における輸出余力がどの程度あるかということによって判定をいたさねばならないというように思いますが、主たる輸入の予想し得られます国としては、例年約二十五、六万トンの輸入をいたしております台湾、あるいは本年は中共から合計いたしまして約十五、六万トンのものを輸入いたしておりますが、中共でございますとか、あるいはアメリカの南部米ないしは加州米といったところが、大きな輸入ソースに相なると思います。これがどの程度の買い付けが確保できるかというのは、やはりそれらの国々における本年の作柄その他によって相当程度のふれが出てまいるわけでございますが、本年は約七十万トン程度の買い付けをいたしております。この程度のものは少なくとも買い付けば可能であろうと思うのであります。百万トン程度の減収ということになりますれば、それにさらに買い付けをどういうふうに処理していくか、十分検討をいたしたい、こういうように考えております。
  138. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 農業基本法を見ますと、第一章の第一条にこういうことが書いてありますね。農業の生産性を向上して農業者の所得を増大し、他産業従事者と均衡する生活を営むことを期する、これが日本の農業基本法の基本になっているようでありますけれども、私は、こういう考え方は大きな誤りだと思うのです。日本の農業の基本はどこに置かるべきかということに対する考え方は、非常に間違っているのじゃないかと思うのです。私の考えでは、この農民所得を増大して、農民の生活を高めることは、もちろん大切でありますけれども、しかし、農業の基本を定める場合には、農業という産業の最高の目的は、農業は国の経済の基盤でありますから、したがって、経済の基盤は国民食糧の生産、供給にあるのだ、その国の経済の構成、組み立ての中で、農業の占める地位あるいは農業の使命という点、すなわち、国民の食糧の生産、供給体制をいかにするかということが、農業の基本とすべきものだと私は思うのです。ところが、いまの農業基本法にはそういう点が全然欠けておる。だから、私は、いまの日本の食糧政策、食糧の生産政策は軽視をされているのではないかと思うのであります。食糧の生産自給ということを国はもっと重要に考えなければいかぬと私は思う。そういう点からいたしましても、ぜひ今後は国民の主要食糧である米の生産をもっともっと大切に考えていただき、生産を重要視していただく、そうして毎年早場米を当てにして需給の操作をするというようなやり方は逐次改めていくように、農政の根本を考え直してもらいたいと思うのです。戦前は、少なくとも一年間は、米が全然とれなくても国民に米の供給をできるだけの米の備蓄量を持っておった。ところが、いまはどうです。冷害でもあって早場地帯の米がとれないということになると、国民に食糧を供給できないような農政をやっている。そんな農政ではだめだと思います。もっと根本的に米の生産ということを大切に考えて、どんな冷害が来ても心配がない、そういう生産体制を確立していただくように希望いたしまして、私の質問を終わることにします。
  139. 卜部政巳

    ○卜部委員 関連でありますので、簡単に質問をいたしたいと思います。  先ほど来千葉委員のほうから冷害に対する質問がなされておりました。私のほうはこれに関連をいたします水害の問題について質問をいたしますが、関連という関係もありますので、十分以内で質問を終わりたいと思っております。  そこで、まず農政局長質問をいたしたいと思うのでありますが、千葉委員質問に対しまして、必要な措置を進めておる、農薬関係、それの獲得もできた、同時に、防除器具二百五十台に対しては、予備費においてさらに二百五十台を追加支出をした、こういうふうなことがいわれておるわけでありますが、その県に出された内容等について、明確にしていただきたいと思います。
  140. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 御質問の御趣旨は、二百五十台予備費で追加をいたしましたものの県別配分のお尋ねかと思いますが、現在手持ちの資料を持っておりませんが、私どもといたしましては、各地方の農政局に配付をいたしましたので、個々の県別までは実は承知しておりません。ただ、この機械は、東北、北陸だけではなしに、全国に配付をいたしましたということだけ申し上げておきます。
  141. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、これは次の委員会でもよろしゅうございますから、明確にしていただきたいと思います。ということは、先ほど東北なんかに対する冷害の問題も出たわけでありますが、このたびの水害に伴うところの激甚災、これは適用を云云されるところの県の農作物の被害はたいへんなものであります。したがいまして、こういうような状態の中から、いま農政局長のほうから言われたように、一地区に限らずに、全国的にこれが配付されたものである、こういう状態になりまするならば、その中に中国を含め、九州その他のこのたびの水害のものも含まれておるのか、どうなのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  142. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 当初予定をいたしました二百五十台、それから先ほど申しました二百五十台、含めて合計五百台につきましては、東北、北陸等の冷害の予想されます地帯にある程度重点的に配分はいたしましたけれども、しかし、島根なり熊本なりのように、その後水害で長時間にわたって冠水をいたしました水田面積を持ちますような地帯では、当然いもちの発生が予想されます。そういうところも頭に置きまして配分をいたしたわけでございます。なお、中国、四国の農政局管内には約五十台を配分をしております。
  143. 卜部政巳

    ○卜部委員 ただいま局長も指摘をされたと思うのですが、このたびの水害の場合に、これはいろいろの県における被害状況は異なっておるだろうと思うのですが、私の出身県であります島根の場合は、これは河川の問題があろうかと思いますが、宍道湖の水位が高い。したがって、冠水をしたところの簸川平野の——島根県の宝庫といわれておる簸川平野ですね、この水が一週間も引かないのですね。したがいまして、私たちが視察に行ったり、見舞いに行ったりしましても、かんかん照りのこういういい天気の日に、なおかつ水がすねぼうずまでです。引かないだけに、水温がものすごく高い。高ければ一体どういう状態になるのか。これは私が申すまでもなく、局長も御承知のように、これはいもちなんかがつくことはわかりきったことです。こういうような状態に対して、もちろん農薬の器具等の配付がなされたのでありましょうけれども、これに対する農薬の国庫補助ですね、こういう点については、私はすみやかに行なうべきである、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点に対して千葉委員質問に対する御答弁が、この問題と、さらにあとからの御回答の中では、何か若干病虫害補助に対しましては考慮したい云々ということがございまして、ちぐはぐな点があったわけでございますが、現実に局長も指摘をされておられましたように、そういう問題が当然に予想されるならば、ひとつ慎重に考慮したいということばは、こういうような激甚が適用されるような、たとえばいま私の県を申し上げましたが、そういう状態の県には、すみやかなる国庫補助が行なわれるものであるかどうか、この点をひとつ質問をしたいと思うのです。
  144. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 先ほどの千葉委員の御質問に対してお答えをいたしましたのが、若干ことば足りずで、あるいは誤解を招いたかとも思いますが、前段お答え申し上げましたのは農薬の準備が、補助をするとかしないとかいうことはとにかく二の次にいたしまして、少なくとも薬と防除用の機具の準備が万全でなければならないということで、メーカーなりあるいは各県なりと十分連絡をとりまして、少なくとも現在必要だと考えられる量については、これを一応確保をいたしました。それを補助するかどうかという問題につきましては、過去におきます実例その他から考えて、零細補助であるとか、あるいは会計検査院から用途について指摘を受けること等の問題もあったことはあったわけでございますが、いま考えられておりますよりも、予見と申しますか、思わざる非常な大発生がもし発生するとすれば、そういう異常発生の部分については、今後の発生の実情に対応をして考慮をしてまいりたい、こういうことを申し上げたわけでありまして、それは部分的にはおっしゃるようなことがあるかもしれませんけれども、全体について考えました場合に、はたしてどれだけの発生面積になるかということは、今後の気象の推移その他を見てみませんと、最終的な結論は出ないわけでございますから、そのような実情がたいへん多い面積であるというようなことになりましたときには、その段階において考える。薬は補助金がなければかけないということではなくて、準備はし、かけてもらうことは十分指導する。ただ、その薬のかけ方が、非常に発生面積が膨大なために、平常ベースを越えて異常な負担を農家にかけるという事態になったときには、その段階において十分農薬の補助について検討いたしましょう、こういうふうにお答えをいたした趣旨でございます。
  145. 卜部政巳

    ○卜部委員 それで私への答弁はどうなんですか。いまのは千葉委員に対する答弁の肉づけですね。今度は私に対する答弁です。
  146. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 そういうことでございますので、部分的にそういうことがございましても、直ちにいま農薬の補助を個々にするということは考えておりません。東北、北陸を中心にいたしまして、今後予想外にいもち等が発生いたしますような段階がはっきりいたしてまいりましたら、その場合に十分検討をしてまいるというふうに思います。
  147. 卜部政巳

    ○卜部委員 先ほどの質問の中にも出てまいりましたけれども、審議官は、ともかく現在の稲は回復が早い、したがって、健康を守りさえすればいい、こう言われておるわけですね。そういうことになりますと、その災害の状態がひどくなればひとつこれを措置したいなどということは、これは私はちょっと論弁じゃないかと思う。そういうことが当然予想されるということであるならば、健康を守るための万全の措置を当然やらなければならないわけだろうと私は思うのですね。これは審議官が指摘されたことは正しいと思う。そういうことになりますと、先ほど申し上げたような状況の中にあって、豊庫といわれておる簸川平野の農家の方々が、そうしてまた、この稲作というものが全滅の危機に瀕するであろう、そういうことが予想されるならば、当然措置をしてしかるべきだと私は思う。この点に対してひとつ局長でなくて、これは政務次官、政府代表として御答弁を願いたいと思います。
  148. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 卜部さんのお話はわからぬでもないのです。私も、実は災害の常襲地帯で毎年冠水によって非常に被害を受ける地帯に住んでおるわけですが、ただ、激甚地の指定ということによって、それはそれなりの手厚い保護を受ける、こういうことになるわけでありまして、病虫害の防除の補助については、先ほど局長からもお話しになりましたように、平常のベース以上に発生し、それの予防が必要だという場合において、過去においても補助を出した例がございますから、その過去の例もよく見て考えなければならないということで、いまのところ大蔵省との話し合いの段階でございますから、御了承いただきたい。
  149. 卜部政巳

    ○卜部委員 今度の災害の中で、ことに公共災害その他につきましては、率直に言って、万全の措置がとられたわけですが、九州、四国管内の農政局長あたりが、これはどうしてもこういうような被害というものが発生をする、またそういうことが予想されるという段階の中で、率直に言って、農林省は冷たい。したがって、いまから猛運動が展開をされるのです。実際問題として、そういう状況下にあるほど、この被害は激甚をきわめておるわけでありますから、そういう熟慮断行だとか、さらには慎重考慮をしたいという、その気持ちはわかりますが、少なくともそういう状態にあるのだということを認識していただいて、ひとつ万全な措置をお願いいたしたいと思います。同時に、これに対しましては、病虫害防除に要するところの農薬購入費補助なんというのが大体あるわけでありますから、やはり防除ですから、防ぐ、除くわけですから、出てからということのないようにひとつお願いをいたしたいと思います。  関連でありまするから、もう一点、この生育回復用肥料購入費の補助の問題について、この点に対する補助はどうなっておるのかを、この点も関連して局長のほうにお伺いをいたしたいと思います。生育回復用肥料購入費国庫負担。
  150. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いまの最初のお尋ね、稲の問題でございますか。
  151. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうです。稲の補助基準というものがございましょう。
  152. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 過去におきます災害対策の前例としては、樹勢回復用の肥料というものは、果樹あるいは桑等について出した例はございますが、稲作についてはそういうことをやった実例が過去にはないわけではありまして、現在もそういう肥料代ということは考えておりませんし、きわめて技術的なことになりますが、本年のような天候の事情でございますと、あまり肥料を多くかけないことが技術的に必要だということで、そういう指導もあわせて行なっておりますので、念のために申し上げておきます。  なお、水害地区につきましては、三十八年に前例がございますが、冠水をいたしましてから以後二十日以内に緊急防除ということで、ヘリコプターで農薬をまきます場合に、そのヘリコプターを使いますための経費、これの助成はいたした例はございます。島根につきましても、現に二十日以内にそのようなことを実施いたしておりますから、ヘリコプターによる防除の経費については助成をしてまいりたいというふうに考えております。
  153. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまヘリコプターの問題が出ましたが、それは助成するということでよろしゅうございますね。ただ、いまの回復用の肥料購入費の問題なんですが、これは私の持っておる資料が間違いなんでしょうか。たとえば豪雨によって冠水した稲は、生育が著しく阻害されておるので、これが生育の回復をはかるために使用するところの肥料購入費に対して、補助基準十アール当たり肥料費二百円のうち、県三分の一負担とか、市町村三分の一負担とか、国三分の一負担とかいうような問題とか、さらには、この対象面積は何ヘクタールだとかいうようなかっこうのものはないのですか。——それでは県と市がやっているだけですか。
  154. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 国としてはいままでどうもやったことがないのですが、ただ、特殊な、県あたりで単独でやったことはあるかもしれません。
  155. 卜部政巳

    ○卜部委員 それは特殊な例だということであるわけでありますが、それほどに、いわゆる農業県として、なおかつ私たちの県はこれに対する基準を設けて補助をしておるわけですね。したがいまして、御承知のように、自治体の危機が叫ばれておる今日、そういうような予算支出を行なっておる場合に、結果的には制約等もまた出てくる問題等もあると思います。したがいまして、先ほど申し上げた、私の指摘をいたしました病虫害の問題に対しましては、ひとつ何ぶんの措置をすみやかにしていただきたいことを要望いたしまして、関連でございますので、この程度で私の質問を終わらせていただきます。
  156. 倉成正

    ○倉成委員長代理 この際、昭和三十九年度産でん粉の政府買い入れについて、食糧庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。武田食糧庁長官
  157. 武田誠三

    武田政府委員 先般来、芳賀先生のほうから報告の御要求のございました昨年産バレイショでん粉の政府買い入れの問題ですが、できるだけ早くめどを得たいということで、先週末以来関係方面とも目下検討協議中でございます。できるだけ早く、本国会の会期中には具体的な結論を得たいということで努力をいたしておりますので、御了承を願いたいと思います。
  158. 倉成正

    ○倉成委員長代理 芳賀貢君。
  159. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体いまのお話で、農林省も努力されているという点は察知できるわけですが、今国会の会期中といっても、あすあさって、あと二日しか残っていないわけですから、いまの説明によると、残された期間、相当迅速に取り進めてもらわないと、期待される結果が出ないと思うわけですが、現在までも相当熱意をもって当たっておられると思いますが、特に根拠なしに買い入れをするということはできないと思うのですね。農産物価格安定法という法律があるのですから、それに準拠して、理論的にもこれは必要であるということで、買い入れ発動の措置がとられるわけですが、最近におけるカンショでん粉の関係は、ことしの春以来数次の買い入れ等を行なって、結果的には最近は需要が予想以外に伸びて、政府の買い入れカンショでん粉等についても、現在では買い入れた大部分をもう放出しておるような状態ですから、これは端境期においてもそう心配はないと思います。カンでんの事情がそういうことになっておるにもかかわらず、バレイショでん粉の需給事情あるいは価格事情というものは、これと逆の足取りをいまたどっておるわけですからして、結局これは需給関係とか価格上の原因というものがあると思うわけですが、主要な問題になる点を、この際一応参考までに明らかにしておいていただきたいと思います。
  160. 武田誠三

    武田政府委員 先生お話のように、カンショでん粉につきましては、一時非常に値が下がりまして、買い上げをいたしたわけでございますが、その後まただんだんと値段が上がってまいりまして、現在手持ちのものを随時放出をしておるという状況でございます。カンショでん粉とバレイショでん粉との間には、もちろん原料としての競合面もございますが、やはり用途の面から多少違う面もございます。それからいまのカンでんの価格それ自身につきましても、カンショでん粉とバレイショでん粉との間に御承知のような違いがあるわけでございます。カンショでん粉のほうは三七・五キログラム当たり政府の買い入れ基準価格は千六百八十円、それからバレイショでん粉のほうは千七百八十七円ということに相なっておるわけでございます。また、これらの現実の市況も違っておりますが、こういった価格の相違というものが、やはりカンショでん粉とバレイショでん粉の需要というものにある開きを来たしたというようなこともあろうかと思っております。本年のバレイショでん粉につきましては、御承知のように、ずっと基準価格を上回った価格が維持されてきておりますので、それらの関係から、買い入れ等につきましても、今日ぎりぎりの時期において、今後現在の調整団体の手持ちというものの量ともにらみ合わせまして、検討をいたさねばならないというように考えておるわけでございます。
  161. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、長官お尋ねしておきたいのは、カンショでん粉については、一時値が相当低落して、結局買い上げ発動の措置を数次にわたってとったわけですが、その時点においてバレイショでん粉の価格が政府の支持価格と大体合致した線で推移したというその裏には、従来の実績を見ても、カンショでん粉については、いわゆる農安法でいうところの生産者団体の調整努力というものは、あまり実績があがっていないわけですね。ところが、バレイショでん粉については、この制度ができた以降においても、相当調整保管行為による価格の維持安定というものは、生産者団体の調整保管努力によって実績をあげておるわけです。特に三十九年度産の分については、前回も数字をあげたわけですが、生産者団体の調整計画を立てて保管した数量は九万五千トンに及んでおりまして、これを前年度に比較すると、前年度が四万トンですからして、約倍以上の数量を早期に自主調整を行なったということになっておるわけです。この生産者団体による調整保管あるいは計画販売というものが相当徹底したために、政府価格を維持するという線でずっと推移したと思うわけですが、その努力も、端境期に近ずくに従って、結局需給事情から見ると、このままでいけば、次の毎度に相当量が繰り越しになるということがようやく明らかになってきたわけです。結局いままでは調整保管の努力によって価格維持が予期以上に行なわれてきたが、終末における数量が結局価格を引き下げるあるいは停滞させるというような作用を持ってきたわけですからして、こういう点については、やはり政府として、制度に基づいた買い上げ発動等の措置を適期に講じないと、また四十年度のイモ類でん粉の価格をきめるときにマイナスの要素が非常に出てくる、あるいは端境期と前後して価格の低迷があるということになるわけですから、こういう点を重視して、食糧庁においても、これは一定量の買い入れは必要であるということで、鋭意努力されておるというふうに理解して差しつかえないかどうか、その点はいかがですか。
  162. 武田誠三

    武田政府委員 先生も御承知のように、農安法に基づきますでん粉の買い入れ基準価格並びにそれの維持ということにつきましては、その年に生産されましたでん紛を特定量だけあらかじめ持ち越すことを前提にしての調整販売ということじゃなくて、生産されたものをできるだけ政府算定した基準価格に乗せて年内にさばいていくということが前提であると思っております。昨年産めバレイショでん粉につきましても、いろいろと調整保管については生産者団体において努力をされまして、今日まで至ったわけでございますが、現在の持ち越し量その他という点から見まして、この基準価格を大幅に下回ってしまうというような価格が出てまいりますことは、必ずしも妥当なことではないということで、現在の手持ち量並びに需要といったものをにらみ合わして、買い上げの検討を進めてまいりたい。で、本来でありますれば、基準価格を下回ったときに買い入れをするというのが従来の法の運用でもあり、その本旨でもあったと思うのでありますが、三十三年だったかと思いますが、基準価格を必ずしも下回らない状態でございましたが、一時買い上げの措置をとったこともございますので、それらの前例にも徴しまして、いま申し上げましたような観点から、財政当局とも折衝をいたしておるわけでございます。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま長官の言われた発動する場合の条件というものは、二様あると思うのですね。一つは、いま言われた、価格が政府基準価格から急激に低落した、政府が買い上げをしない場合においては価格支持が困難であるというような場合には、これは緊急買い入れ措置をお願いするということは当然ですが、もう一つは、当初から生産者団体が自主的な調整保管行為を計画的に行なって、そうして価格の支持に最大の努力を払って、なおその年度内に需給関係に基づいて相当の数量が繰り越しになるというような事情が生じた場合には、どうしても年度の終期においては価格が下がるというような事態が生じてくるわけですね。そういう場合には、必ずしも政府基準価格を下回らなくとも、調整保管の期間というものがあるわけですから、その期間内における保管料とかそれに要する金利であるとかいうものは、当然これは政府基準価格加算するということは法律にも明定されておるわけですからして、結局二様の場合があると思うのですね。ことしの場合には、長官の言われた昭和三十三年の買い入れの場合とやや類似しておる事情ではないかというふうにわれわれも考えておるわけですから、いわゆる後段の適用をこの際適期に行なうべきであるということで、先般来農林省のほうにもわれわれとしてもその点を指摘しておるわけです。  それで、いまの時点で、たとえば七月末現在で、この調整保管分が販売されたいわゆる残りですね、どのくらいの数量があって、買い入れをするという場合においては、おおよそどのくらいの数量を対象にする必要があるかというような点について検討されておると思いますが、わかる限りにおいて明らかにしてもらいたい。
  164. 武田誠三

    武田政府委員 いまお話の、どのくらいの買い上げをこの際するかということにつきまして、いろいろ現在の農業団体の手持ちでございますとか、あるいは例年持ち越されます持ち越し量、あるいはまだどの程度の数量を市場から隔離しなければ値段に影響する程度がどの程度であるかということにつきまして、いまいろいろと検討をいたしておりまして、いま直ちに何万トンあるいは何千トンのものを買い上げをする計画であるということを申し上げる段階にございませんので、きょうもまたいろいろと事務的に検討を進めている段階でございますので、御了承願いたいと思います。
  165. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体わかりましたが、この六月末現在では、調整保管分の九万五千トンのうち、約六万八千トンが販売されておるわけです。したがって、六月末以降に約二万七千トンのまだ販売未了分があるということになっておるわけでして、このうち、生産者団体としては、一万三千トン程度を八月中にできるだけ早く買い上げてもらいたいという強い要請があることは、長官も御存じのとおりであります。したがって、きょうはこれ以上質問しても前進がないと思いますので、当初に言われたとおり、明後日というと幾らも時間がないですが、できれば十一日中ぐらいに政府としての方針を明確に出してもらって、そうして生産地についても安心させるような特段の努力と配慮をしてもらいたい。そういうことでいいですか。
  166. 武田誠三

    武田政府委員 できるだけ十一日中に結論が得られますように努力をいたしたいと思います。
  167. 倉成正

    ○倉成委員長代理 次会は明十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会