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1965-08-12 第49回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月十二日(木曜日)    午前十一時六分開議  出席委員    委員長代理理事 亀山 孝一君    理事 中島 茂喜君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    島村 一郎君       田村 良平君    武市 恭信君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       井岡 大治君    重盛 寿治君       華山 親義君    細谷 治嘉君       門司  亮君    吉田 賢一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 永山 忠則君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    久光 重平君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 八月十一日  一、石油ガス譲与税法案内閣提出、第四十八    回国会閣法第八二号)  二、地方財政法の一部を改正する法律案川村   継義君外八名提出、第四十六回国会衆法第四   三号)  三、地方自治に関する件  四、地方財政に関する件  五、警察に関する件  六、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件(地方公共団  体の合併及び財源に関する問題)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、私が委員長の職務を行ないます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公共団体財源に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 まずお尋ねいたしたい点は、予算委員会等でも問題になったのでございますが、国税減収約二千億、これからの最小必要な追加財源として千五百億、三千五百億か四千億円程度財源不足を来たす、そこで赤字公債というものを発行する、こういう政府態度が明らかになっておるようでありますが、こういうやり方に対して、一体締めろ締めろと強く指導されてきた地方団体はどう受けとめるのか、どう影響があるのか、こういう点について、自治大臣としてあるいは財政当局としてどうお考えなのか、まず承っておきたいと思います。
  4. 永山忠則

    永山国務大臣 減収に即応して縮小再生産、縮小計画でいくという方法をとらずして、むしろひずみ是正、地域間の格差是正社会開発地方公共事業の拡大という方向へいくことが安定成長経済の道であるという政府方針に従って自治行政も進んでいきたいと考えておるのでございます。
  5. 鎌田要人

    鎌田説明員 局長がおりませんので、私新米でございますが、お答えいたしたいと思います。  ただいまお話しになりました減収の問題でございますが、これは地方団体には二通りの意味で響いてくるわけでございます。国税減収になる、国税減収というものが、国税三税の面では交付税の減という形ではね返ってくる。それから地方税それ自体の減収という問題が当然出てまいります。これは国税減収の中心をなしておりまするものが法人関係税でありますように、地方団体の場合におきましても、やはり法人関係税減収というものが非常に大きゅうございます。そういった面での税自身の両面におきまする減収の問題、それからもう一つ、これはただいまの問題から若干ずれるかと思いますけれども、国は当初公共事業費につきまして一割の財源留保をいたしておりました。地方団体も当然それに基づきまして財源留保をしておったわけでございますけれども、これが最近解除をされるということになりますと、これは当てにしておった財源というものが結局使えなくなる、こういった面での影響も出てまいっております。それから赤字公債を出してまいるということになりますと、赤字公債でございませんで建設公債というかっこうでございましても、これは来年度以後あるいは今年度中に発行になるのかどうか知りませんけれども、これでもって国が減税をやられるということになりますると、これまたやはり先ほど申しましたような形での交付税に対するはね返り、こういう問題がございますし、あるいは建設公債に使われるということになりますと、それに伴いまする地方負担の増につきましては、これはやはり地方団体としては財源をほかに見つけてこなければならぬ、見つける方法はなかなかない、こういう面がございます。それから公債市場発行ということになりますると、現在の地方債と国債とが発行の面において市場で競合する、こういった非常にいろいろな面においての影響がございます。そういった影響の面を私ども考えながら、地方財源の確保ということについて、ただいま大臣からも申し上げましたように万全の措置をとってまいりたい、こういうことで現在腐心をいたしておる最中でございます。
  6. 細谷治嘉

    細谷委員 私がどう受けとめるかという点についてお聞きしたい点は、そういう具体的な方向というよりも、要するに国が財源が足らなくなれば公債で、赤字公債建設公債だと名目はいろいろありましょうが、赤字公債であることははっきりしている。そういう形でやりますけれども、地方団体というのはこれは一方的に締められるわけです。御承知のように三十八年から三十九年の決算見込み、これは自治省が路表したように赤字団体はどしどしふえている。硬直性を増したということばで言っておりますけれども、硬直性を増したという、そういう限度をこしておるというのが現況なんです。そういう苦しいところに、端的にいいますと昭和二十八年から二十九年、地方団体がどん底だといわれた当時の財政事情よりも悪いですよ。私はそう思っている。そういう苦境に立っておる地方団体は、国が赤字になれば赤字公債発行するのだ、こういう財政運営というものについて、地方団体を締めろ締めろと指導してまいった自治省としては、そういう政策に対してどういうふうに受けとめるだろうか、あるいは地方団体はこれをどういうふうに受けとめるだろうか、そういう財政運営やり方について、いい気持ちで受け取るか、よしこれからひとつ財政運営はしっかりやろうというプラスの決意になるのかならぬのか、その辺をどう読んでいるかということを私はお聞きしているわけです。
  7. 永山忠則

    永山国務大臣 地方へわれわれが期待をいたしておる問題は、役人をふやし、給料をふやし、機構をふやし、役人亡国になっちゃいかぬ、だから行政能率化合理化をはかっていく。同時に中央もひとつ中央集権的な体制から地方自治体制に持っていくように努力をするという意味を強く期待をしておるのでございまして、地方格差是正していく、そして地方経済の発展をはかっていくということが、むしろ積極的に進んでいくことが、これが安定成長への道である。地方はいわゆる公共事業等がおくれておるのでございますから、そこに格差ができておりますから、このひずみを是正するほうに積極的に進んでいくということには協力をしてくれるものだと考えております。そこで財源的処置をどうするかということは、非常に悪いことばですけれども、国は借金ができるのですが、地方借金さえもできない情勢におるのですから、地方財政を安定していくためには、国が絶対責任を持ってやらなければいかぬという方向で進んでいきたいと考えておるわけです。そういう方向でいきませば、私は地方の皆さんもこれを受け入れてくれるのではないかというように考えておるのでございます。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 私はいまの大臣のおことば、要するに地方団体を締めろ締めろとやってきて、ある意味では財政的な面から自治を奪うという点が多々あったのでありますけれども、国はこういう方針をとった以上は絶対にひとつ責任を持って地方団体に対しても対処していくんだ、こういうお気持ちのようでありますから、そういう点を理解して、私はやはりこういうやり方地方団体財政運営については悪影響を及ぼすんだ、こういうふうに理解して申し上げておるわけなんです。  そこでお尋ねいたしたい点でございますけれども、今年度の当初予算、四十八国会ごろには、大体において税収が八百億円か一千億円程度減収をもたらすんではないか、こういう予想が、数カ月後の今日では、新聞等あるいは予算委員会等で明らかになったところによりますと、おおよそ二千五百億円程度税収歳入欠陥を生ずる、こういうふうにいわれております。そのうち直接地方団体財政に響いてくる問題は、交付税の問題が出てまいります。直接やはり住民税なり法人事業税にあらわれてまいります。そこで私がお尋ねいたしたい点は、この税収見積もり二千五百億、四十八国会が済んでから数カ月後にこれほどの見込み違いをやったということは、これはたいへんなことだと思う。これはやはり政府責任問題だと私は思うのですけれども、こういう問題、それから具体的にいま地方団体に直接の、交付税を通じて、現状ではどういうような影響を持ってくるのか、これをまずお尋ねしておきたいと思います。
  9. 永山忠則

    永山国務大臣 お説のような減収が出てまいりますれば、やはりいまの予算そのままでいきますれば、予算にある交付税は全部問題ない。けれども補正予算を組みまして、それを減にして出せば、私はやはり交付税が二九・五%ですか、約三割ですが、そうすれば七百五十億というものが穴があくわけですから、これは大問題だと思うのです。自治省のほうには、そういうことには関係なくして予算的にすでに見積もられておるのですから、配賦はいたしましたけれども、しかしこれを補正予算で取り上げねばならぬということになることはたいへんですから、そういうことのないようにいたす考えでございます。それだけではございません。御承知のように、ほかの関係減収するのではないかということを憂慮いたしておる。さらにまたベースアップ関係が出てまいりますれば、これもまたたいへんな財源でございます。ベースアップ地方公務員の問題であります。国家公務員は何とか財源があるのですが、もうマイナスのところにさらにベースアップを補てんしなければならぬ、こういうようなあらゆる財政を悪くする要因がそろっております。しかし、これらは、何といっても政府安定成長経済をやっていこう、レジャーブームから社会開発ブームへ大転換をいたして、高度成長経済から安定成長経済への道をたどるものでございますので、この線に沿うて、やはり地方財源措置には地方が困らないように全力をあげてやらねばならぬ責任があるというように考えておるのでございます。
  10. 宮澤弘

    宮澤説明員 ただいま大臣から、交付税に対する影響について御答弁を申し上げましたが、御質問の中で、国税法人税減収になった場合に、地方法人税割りなり法人関係の税にどういう影響があるか、こういう御質問がございました。それについて御答弁申し上げます。  国税自身も、まだどのくらいの税収不足になるかということは、御案内のように的確な数字をつかんでいないわけでありまして、おそらく法人関係でございますから、九月期の決算の動向というものがかなり重要な意味を持つだろうと思うのでございます。したがいまして、私どもも新聞その他で二千億内外というような数字承知している程度でございますが、そのうちで、もし二千数百億歳入不足が出るといたしますと、法人関係がたとえば千五百億なら千五百億ということにいたしますと、御案内のように、地方といたしましては、法人税割り法人事業税、大体これが法人税の四割少しでございます。したがいまして、たとえば法人税につきましてもし千二百億なら千二百億の歳入不足という結果になるということになりますと、その四割でございます大体五百億程度というものが、地方法人税割りなり法人事業税歳入の減としてあらわれてくる、こういうことになろうかと思うのでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 まず、さきに大臣から御答弁がありました地方交付税の問題について、いま大臣のおことばですと、補正予算国税三税は見込みを改める、いわゆる減額補正をする、こういうことは極力避ける決意だ、こういうおことばでございますが、今年度は絶対に、この国税三税の減収見込みはあるけれども、補正はしない、こういうお考えと理解してよろしいのですか。
  12. 永山忠則

    永山国務大臣 これはまだきまっておりませんので、どういうようになるかわかりませんが、知のほうから、できる限り減額補正予算を出さぬように頼みたいのですが、しかしこれを減額して出しますれば、どうしても足りなくなりますから、その財源的措置政府責任を持ってやらせる義務がある、またそういうように努力するということを申し上げておるわけであります。やった場合は、必ずその財源補正はいたします。すでに配賦いたしておるのでございますから、取り戻すわけにはもちろんいきません。必ずその措置をつけるという考えでございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 すでに交付をしたと言うのですけれども、ことしは当初の暫定交付も仮交付も若干おくれたでしょう。それについて、地方団体が困るので、何とか借り入れ金等方法考えなければならぬということも言われておったのでありますが、大体交付税が最終的に決定するのは八月下旬ごろでしょう。あるいは九月上旬になるかもしれぬ、こういうように言っておったのですから、いまは仮の交付である。四月、六月に仮の交付をしたんだ。金額はまだ各団体ごとにきまっておらないと思うのです。ですからこれは非常に重要な点でありまして、今年度はやはり国税三税の減額補正をやるということになってまいりますと、交付税の七千百三十二億ですか、そのワクは一体どうなるのか。大臣のおことばでは、このワクは今年度はもう動かさないんだ、こういう決意のように承ったのですが、重要な点でありますから、念のためにその辺のことをひとつ大臣なり事務当局からお伺いしておきたいと思います。
  14. 永山忠則

    永山国務大臣 私の答えは、動かさぬように努力をするが、動いた場合には財源的措置を必ずやりますというのですが、ちょっと事務当局から説明をしてもらいます。
  15. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいまお話がございましたように、ことしの交付税府県市町村、それぞれの団体ごとの額は、現在自治省のほうで計算の方式を示しまして、それに基づいて各府県がそれぞれ試算をして、それを算出しておる最中でございます。したがいまして、府県なり市町村実情では、ことしは自分団体はこれだけのものがもらえるんだなあというところまでは大体いっておるわけでございます。正式決定まではいっておりませんけれども、そういうことで作業が進んでまいっております。したがいまして、府県なり市町村なりの実情といたしましては、現在その算出を受けつつありますところの交付税額というものが、ことしは自分団体交付税額だということで財政計画を立てておる現状でございますので、もしこれが減額補正をせられるということに相なりますと、これは非常な誤算になる、そういったことでございまして、先ほど大臣から御発言がございましたように、減額補正というものについてはできるだけ行なわないように自治省としてはお願いをいたしたい、大蔵省ともそういう面で折衝いたしたいと考えておる次第でございます。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 少しくどいようでありますけれども、四十八国会におきまして、従来交付税率国税三税が二八・九であったものを〇・六引き上げて二九・五とした。これは金額にいたしますと百五十億円足らずなんです。自治省当局は、三〇・何%ですかを最終段階まで持ち込んでがんばった。是が非でもこれだけなくてはならぬのだという百四十五億ですか、〇・六に相当する分をようやく確保して、当時の吉武自治大臣は、これでまあようやく地方財政計画というのはつじつまが合うようになったと言われた。私はそのとき質問を申し上げた。つじつまが合うようになったと言うけれども、現実に自治省がつくった地方財政計画の素案、いわゆる自治省の試案というものは、そういう経過を経て約五百億円程度カットされているじゃないかという点を御指摘申し上げたことがあるのでございます。これは最低限度だ、こういうふうに当時の大臣は言明しておった。そういたしますと、大臣決意が一応あったのですが、そういうことで努力するつもりだけれども、自分がつくった地方財政計画というのは可能な限り大きな変化を起こさないようにするんだという当時の決意からいきますと、やはり後退しているんじゃないか。この問題は四十二年度にはね返ってまいります。交付税法国税三税の減収分というのは四十二年度にはね返ってくるのですから、四十二年度にどうするか。穴があいたということははっきりしているのですから、これをどうするかということは四十二年度に直接交付税としてあらわれてくるわけでありますけれども、少なくとも今年度減額補正というのはやめて、最低限度としてつくった地方財政計画交付税ワクは守り抜くんだという決意を、この席でひとつ大臣から言明願いたいと私は思うのです。
  17. 永山忠則

    永山国務大臣 絶対に守り抜く考えでございます。政府が金持ちで、地方が貧乏し、国民が貧乏するという制度は一番悪い制度考えております。したがいまして、もうどんなことがあっても地方財政を安定さしていくということは戦い抜く決意でございます。
  18. 安井吉典

    安井委員 大事な問題ですから、関連して、私はちょっと確かめる意味でお尋ねしたいのですけれども、前に、地方交付税が少し余分にあるというふうなことで、自治省は特別な法律案国会に出して、その年に使わないで翌年に繰り越しているということもいままではあったわけです。ところが今度は、ひょっとすると補正予算が組まれて、法人税あるいは酒税等減額された形で国の予算が組まれる、こういうことになったら、明らかに三割近くの減額になってあらわれてくるわけです。ですから地方のほうは、ほしい交付税の額があったのを翌年に繰り越したという過去のそういう経過があるわけですから、もしも万一の場合が出てきた場合は、翌年に交付される分をことし先食いをするという交付税法特例法を出しても、そういうような形をとってでも必ず埋める、そういうふうなお気持ちを含めての御発言だと思うのですが、どうですか。
  19. 永山忠則

    永山国務大臣 お説のとおりでございます。その方法論は私はわかりませんが、政府借金してでも地方財政をよくせいという、こういうことは絶えず決意を披瀝いたして、必ずやるつもりでございますが、技術的な関係があるようですから、事務当局から説明させます。
  20. 松島五郎

    松島説明員 ただいままでいろいろ御質問のございました点について、事務的な観点から御説明をさせていただきたいと思います。  現在の交付税法では、申し上げるまでもなく国税三税の予算額の二九・五%を地方交付税として交付するということになっておりまして、その額が現在の予算に計上されているわけでございます。もし国が減額補正をいたしますならば、当然それに伴いまして、その年度収入見込み額の二九・五%でございますから、交付税減額になるという仕組みになっておるのでございます。しかし、そこでもしこの減額補正が、交付税決定する前に、すなわちいまのところでは八月末を予定をいたしておりますが、それまでに減額補正が行なわれたといたしますならば、これは交付税法の規定によりまして、いわゆる調整率と申しておりますが、その調整率を乗じて基準財政需要額をそれだけ切り落とすという形になってまいるわけでございます。しかし、もしもこの補正予算が四十年度交付税決定後に行なわれるということになりますと、一応本年度交付税総額決定を見るわけでございますから、その額は、地方団体としてはもう決定された額ということになります。したがいまして、その間をどう調整するかという問題が法律的には多少問題が残るのかと考えます。以上は技術的な問題でございますけれども、実際問題といたしまして、予算に計上いたしました額が相当額減額になるというようなことになっては、地方財政としては非常な混乱が起きることが予想されます。そこで、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、そういう場合には別途の何らかの措置を講じてでもそういう事態が起こらないように善処をいたしたいという気持ちを、大臣の意を受けて事務当局も持っておるわけでございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 いま大臣のおことばで、国が赤字をかぶっても地方団体を守る、そういう決意から、今年度は絶対に交付税総額は守り抜く、こういうような決意を承ったので、私はそれを了解して、ぜひそうしていただきたい、こう思うのであります。来年のことを言うと鬼が笑うということでございますけれども、これはもう間違いなく四十二年度に結果として出てくるわけです。その金額のほどについてはもう少しあとで議論をしたいと思うのでありますが、ばく大な額であります。かりに千五百億円といたしましても四百四十億——巷間伝えられておる二千五百億の法人税が、そのうち千七百億円程度減収になりますと五百億円のかぶりを生ずるわけでありますから、自治省が〇・六%交付税率を上げたのだ、こういっておったのが焼け石に水になるわけです。  そこで、ひとつこれもぜひお尋ねしておきたいのでありますが、自治省としては、ことしは三〇・二%ですか、それを、どうしてもこの額が必要なんだ。率の問題じゃない。総額で押えた。そして率を予算折衝の要求の最終段階において変えて金額を守ったという経過はあります。そういうことからいきますと、これは交付税総額が大切なのでありますから、自治省の今日までの態度からきますと、必然的に四十二年度に穴があくだろう。そういうものはやはり国税三税がどうなろうと、地方団体財政を守り抜くという決意交付税率の引き上げという問題が必ず起こってくると思うのですが、ことしは守り抜くんだ。二年後に起こってくるこの問題については、その金額は固定したものではありません。地方財政も伸びていくわけでありますから、情勢を加味しながら、この穴だけは優先的に埋めるんだということになろうかと思いますが、大臣いかがですか。
  22. 永山忠則

    永山国務大臣 将来の関係はどのようになるかということはわかりませんが、お説のように交付税を上げて財政の確立をはかるということは常道であると考えまして、そういう方向努力することになると考えますが、国の財政計画を伴いまして、また十分そのときは検討してやりたい。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、事務当局に一言申し上げておくのでありますが、私は先ほどの答弁の中に一言気がかりなことを聞いたのです。基準財政需要額のほうを調整率をかけて云々するんだ、こういうことばがありました。こういう段階になりますと、何といっても、地方交付税法において単位費用というものはきまりますけれども、単位費用をつなぎ合わせるものはこれはやはり補正の問題なんですね。態容補正密度補正、いろいろ補正があります。その補正の問題がひっかかってまいりまして、あるいは種地の問題というものがひっかかって基準財政需要が最終的にきまる。つなぎ合わせる点と点だけの交付税単位費用はきまりましたけれども、線で結ぶその線が、自治省法律にかけないで生殺与奪の権を握っている。こういう段階になりますと、どうしてもその辺で手かげんをしておるかのごとく私は耳に二、三聞くのでありますが、そういうことがあるかないか。念のためにひとつお聞きしておきたい。
  24. 松島五郎

    松島説明員 先ほど申し上げましたのは、地方交付税法第十条第二項のただし書きに、基準財政需要額を積み上げて基準財政収入額を差し引きまして各団体ごと財源不足額を出す。その財源不足額に応じて交付税を案分するわけであるが、もしその場合に各地方団体について算定した財源不足額の合算額が普通交付税総額をこえる場合においては、次の式によって算定した額とするということで式が示されておりまして、それによって一定率、いわゆる調整率を乗じて算定をするということをやってございます。従来三千有余の団体について一応試算を重ねながらやっていくわけでございますが、実際としては統計資料の時点の違い等から、若干の誤差が出てまいります。若干の誤差が出てまいりますと、予算交付税は先にきまってしまうのでありますから、その誤差を調整いたしますために従来調整率というものを乗じておったわけであります。先ほど御説明申し上げましたのは全く事務的な説明でございまして、もしも減額されて普通交付税の額が減ったとしたならば現在の法律上はそうなるということを申し上げただけでございます。そうすることがいいか悪いかということは別の問題でございまして、その点につきましては先ほど大臣からお答えしたとおりでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 この点は、作業にそういう作為をしないようにということを私は要望したわけでありますから、ひとつ……。  そこで、次にお尋ねしたい点は、宮澤さん、さっきの答弁で、一体法人税が幾ら減るかわからぬと言いながら、千二百億減るのだという具体的な数字を言っているのです。いま大蔵も来ているのでしょう。今日の段階において新聞等あるいは予算委員会等の論議を聞きますと、やはり千五百億円あるいは千七百億円程度法人税の減が出ておる。この段階で直接関係を持っておる自治省としても、これは大蔵の問題だというわけにはいかぬと私は思うのです。いまは珍しく、わからないと言いながら千二百億円と聞きましたから、一体この辺はどう見ているのか。引き続いて法人税なり住民税なり事業税の問題がありますから、ひとつお尋ねをしておきたい。
  26. 宮澤弘

    宮澤説明員 私の申し上げましたのは、確かに全般といたしましては特に九月の決算の動向が大きく左右するので、まだ数字としてはつかみがたいということであります。千二百億円と申し上げましたのは、たとえば千二百億円といたしますと、法人税割り法人事業税割りの大体の率が法人税に比して四割ちょっとですから、したがって五百億程度減収になるという、ほんの例として申し上げたわけであります。千二百億円といい、あるいは千五百億円といい、場合によっては千七百億円というようなことをいろいろいわれております。私どもといたしましては、やはりもう少し今後の推移を見ませんと、まだその辺の的確な数字はつかみがたい。先ほど申し上げましたのは計算式でありますが、例として申し上げたわけであります。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵のほうはどう見ておりますか。
  28. 久光重平

    ○久光説明員 ただいま自治省宮澤参事官のほうから御答弁がありましたとおりで、大蔵省といたしましても、法人税につきましては九月決算の状況を見なければどれくらい減収になるかということは、まだはっきり計算いたしかねておる段階でございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 つかんでみなければわからぬということでありますけれども、たとえば千二百億というわけで、たとえばというのは、あくまでもわからないということが前提だということでありますから、この席で聞きたい数字は、たとえばというのは、少なくとも現在の段階で推計される当たらずといえども遠からずというぐらいのことを言っていただきませんと、千七百億円と千二百億円とはずいぶん違うのですよ。たとえば五百億円という例でここで話されても困るわけだ。私が聞きたいのは、千五百億か千六百億あるいは千七百億円ぐらいの法人税減収があるのではないか、こういうふうに新聞等でいわれておりますし、また予算委員会等でも二千五百億円ぐらいの歳入欠陥というものの中の大きな部分は法人税、こういっているのですよ。ですからある程度つかんでいるはずだ。数日前のある新聞に、大蔵省筋の推計によるという形でこういう数字が出ておる中に、内容が書いてある。ここへきますと隠すのですね。たとえばならたとえばをつけてもいいですよ。しかし、それも当たらずといえども遠からずというぐらいの数字は示していただかなければならぬと思うのですが、どういうことなんですか。やはり、たとえば当たらずといえども遠からずということで千二百億円だというような御主張なんですか。
  30. 宮澤弘

    宮澤説明員 たとえば、先ほども申し上げましたように、一応計算数字の数式を申し上げたわけでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 御指摘のように、新聞その他では千二百億あるいは千五百億あるいは千七百億、いろいろ数字が出ております。私どものほうも大蔵当局のほうといろいろ資料を持ち寄って、大蔵当局のほうにもいま聞いているわけでございますけれども、まだその辺の数字は的確にここで申し上げられるようなところまでいっていないようでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 きょうは時間がないから、事務的な問題であまり聞きたくない。会期中からきょうまで待ったのは、大臣に大所高所からの御意見を聞こうと思ってわざわざ待ったのですから、その辺はあまりきょうは申し上げませんけれども、少なくともある程度はっきりしたものをこの段階においては聞きたい、こう私は思っておるのです。私がある程度そういうことで試算した、あるいは他のほうからの資料等を聞きますと、かりに千七百億円程度法人税減収がありますと、おおよそ七百九十億円程度の直接の税の減収地方団体に起こってくるのです。これはたいへんなことなんです。税の減収七百九十億円といいますと、大体において法人税収入見込み額の一七%に相当するわけなんです。国が税収の誤りを法人税において一七%くらいやった。二、三%じゃないですよ。昭和三十九年度法人税予算に比べ決算額は二・八%の減になっておる。金額にしますと二百九十六億円。今度は二・八%ぐらいじゃないですよ。誤差の範囲じゃないです。一七%ぐらいの減収が起こってくるのです。これはたいへんな数字です。これはそっくりそのまま地方税にかぶってくるのです。これは交付税の問題で直接今年度に響いてくるのです。これは地方財政計画が破綻したと申し上げても過言でないと思うのです。こういう問題に大臣としてどういうふうに対処されようとされておるのか、ひとつ率直にお聞きしたいと思います。
  33. 永山忠則

    永山国務大臣 私、税のほうはきわめて弱くて、方法論はわかりませんが観念的には、いま言うたように国が借金しても絶対に地方財政は安定させろ、こういう方向でいましきりにぶっておるわけです。あるいは交付税の問題、いろいろあると思うのであります。いずれにしてもこの財源補てんは絶対に国の責任においてやるということを私は考えておるわけであります。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 地方財政計画から、いま申し上げたように約八百億円程度税収の穴がことしあく、大臣の、交付税は守り抜くということばを確認した上で、なおかつ地方財政計画の中において税収が八百億円程度穴があくということが明らかになったわけです。これについては大臣も何とかするということであります。きょうの新聞によりますと、あす人事院が公務員給与のベースアップの勧告をなさる模様でございます。うわさされる、新聞等によります勧告は、率としては昨年より低いようでありますが、その是非の問題はきょうはここで御質問いたしませんけれども、これは相当の財源が要ります。昨年はこの財源の問題がたいへんな問題になりまして、幸いなことに補正予算の際に交付税の伸びがあった。不足の分は起債という形で、これから何年かで等分で交付税ワクから返すということになったのであります。ことしは交付税補正増というものはもう全然ない。それどころでなくて、地方財政計画に見込んだ税収が八百億円程度は少なくとも穴があくということでございますから、たいへんなことであります。このベア勧告の給与財源が入ってない。国がやる、国家公務員がやると、こういうことになってまいりますと、法律で、それに準じてやるということでありますから、これは地方団体としてもやらざるを得ないでしょう。そういう法形式ばかりじゃなくて、現実にやっぱり地方団体の職員と国家公務員の職員とは同居してやっておるのですから、そういう点からいっても、やはりやらざるを得ないでしょう。この給与財源が一体どうなるのか。これもたいへんな問題だろうと思うのです。この際、お伺いしておきたいと思います。
  35. 永山忠則

    永山国務大臣 国家公務員に準じてやるということを絶対にやりますし、その財源も必ず政府責任を持ってやるということでやるつもりでございます。絶対にやらせます。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 絶対にやるという大臣の御決意でありますから、ただ昨年のように何かこうあとに延ばすようなへんちくりんなことはやらぬで、ひとつすかっと財源を見てやっていただきたいと、こう要望しておきます。  次にお尋ねいたしたい点は、自治省が最近非常に重要にお考えになりましてやっております超過負担の問題であります。ことしは三十九年度の決算で千百四十三億円あるといっております。今度四十年度は、自治省の調べによりましてももっと増加するだろう、今度一割、公共事業等を中心として国の予算がキープされておったのが解除されたわけでありますから、これはまともにかぶってまいりますから、私は三十八年、三十九年の推移等から見ますと、おそらく千五百億円をこす超過負担というものが起こってくるんじゃないかと思う。法律で当然国が措置しなければならぬいろいろな問題、こういう問題が超過負担としてあらわれてくる。この超過負担に対して、自治省考えとして出されておる二カ年計画でこの超過負担の問題を解消するんだということで、各省に申し入れられたようであります。四十一年と四十二年に是が非でもこの地方財政の超過負担というものを解消するんだという決意新聞等に出されておりますし、たいへんけっこうなことであると思うのですが、その決意新聞等で伝えられているような、そのとおりと理解してよろしいか、それではその解消の決意を具体的にはどういう方法で二カ年計画でやろうとされるのか、この辺をまずひとつ承っておきたいと思う。
  37. 永山忠則

    永山国務大臣 新聞のいうとおりの決意で超過負担を解消しようという考えでございまして、各省にもそういうような考え方で予算要求をしてもらいたい、基準を低下して、旧来やっておった分を適正基準等に直すという方向で協力すべきであるということを現にお願いをいたしております。そういう方向で必ずやるということで、いま鋭意努力をいたしております。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣必ずやるということでありますから、実は超過負担の問題は自治省が主張されておるように、おそらく交付税の何%の引き上げの問題とか、あるいは補助金の補助率をどうのこうのという問題よりも、一千億円をこすような超過負担、これがやはり地方団体を毒しておる今日重大な問題点であろうと私は思うのです。この問題の解消なくしては地方自治というのはあり得ません。地方財政の自主化というようなこともあり得ません。地方自治の確立ということも私はあり得ないと思うのです。ぜひひとつ御決意のように、ひとつ大臣の重要な仕事として、この解消二カ年計画というものを自治省では完全に解消すると、こう言っているのですから、ひとつ完全に解消していただきたいと思います。これは強く要望しておきたいと思います。  次にお尋ねいたしたい点でありますが、予算要求、概算要求というのがなされまして、現在の予算に対して三割増とかなんとかというワクがあるようでありますが、新聞に発表された限りにおいては、自治省予算要求、概算要求の内容を拝見しますと、きわめて意欲のないものであります。大臣のいまの決意、おことばとは逆に、全く消極的な概算要求をどうもなさっておるように私はお見受けいたします。むろんこれは新しい政策等については、大臣就任後日が浅いのでありますから、具体的に織り込まれておらぬようだと私は理解しておるのでありますけれども、きわめて消極的だ。一体これで自治省としての、今日の地方自治団体の育ての親としての役割りが果たせるのかという疑問がわいたのでありますけれども、この点に関連してお尋ねいたしたい点は、都市の財源、特に指定都市等の財源というのが非常に大きな問題になってまいっておることは御承知のとおりであります。それからもう一つは、そういう都市というのはラッシュでありますから、もう人間でふさがっちゃうのですからどうにもなりませんけれども、人間がおらない辺地という問題も、二十年一日のごとく、五十年一日のごとく旧態依然たる姿でおります。人があまりおりませんから、文句は言いませんけれども、たとえば高等学校に通うのに片道三時間半も行かなければ行けない、こういうような辺地、それ以上のものがございます。こういうような辺地の対策というのも重要であります。この問題についても、辺地対策を強化するという五カ年計画等を立てられておるようでありますけれども、概算要求の中にはそんなものは見えない。きわめておざなりな概算要求をされておるようであります。今日の地方団体の行財政の実態ということから、一体これからどういうふうに進まれるのか。新聞に発表された限りにおいては、これは自治省はどんなに合格点をつけようとしてもつけられないような内容じゃないかと思うのですが、この辺をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  39. 松島五郎

    松島説明員 自治省予算要求として予定をいたしておりまするものはいろいろございますが、自治省予算は単に予算要求の面だけでなくて、地方の税、財政全般にわたってどういう施策を講じていくかということがむしろ中心の問題でございます。  ただいま御指摘のございました大都市の財政の問題につきましては、国と県あるい市町村という間における税源配分をどういうふうにしていくか、あるいは現在の交付税制度のもとにおいて、大都市財政というものをいかに把握していくかというような問題としてむしろ今後検討を進めていく考えでおります。  それから辺地の問題につきましては、すでに御承知のとおり四年前から辺地対策事業債を発行して事業を実施してきております。当初一応の目標を五十億に置いて、五カ年間の予定で出発したのでございますけれども、これを繰り上げて四カ年で、本年度で一応の五十億の目標を達成する予定でございます。しかし、ただいま御指摘のございましたような辺地の実情にかんがみまして、さらに各方面の要望を取り入れて・新しい計画を練り直して、来年度辺地事業債の大幅な増額をはかって、この推進をはかってまいりたい、かように考えておりますが、これまた予算要求とそのものの問題というよりは、むしろ地方債計画の問題でございまして、せっかく目下検討中でございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題はいろいろ問題点がありますけれども、時間がありませんから次に移りたいと思います。  お尋ねいたしたい次の点は、四十六国会の冒頭におきまして、いわゆる自治省懸案の、自治省の悲恋ともいうべき地方行政連絡会議法案というものができたわけです。ところが、これは私も具体的に調べたわけじゃありませんけれども、新聞等を拝見いたしますと、もたつく地方行政連絡会議というような見出しで、いろいろな問題点が指摘されております。たとえば、その他政令で定める行政機関ということで、端的にいいますと、外務省と防衛庁は入らぬと思っておったら、防衛庁もわんさわんさと入ってきたというようなことも言われております。船頭多くしてどうにもならぬというようなところにきておるようにも聞いております。この自治省の悲恋、長い間の恋がようやくできた、成立した。この連絡会議の現況は一体どうなっているのか、まずこれからお尋ねいたします。
  41. 松島五郎

    松島説明員 地方行政連絡会議は、法律が成立いたしましてから今まで、最初のことでもございますので、いろいろ関係方面の調整に時間を要した面もございますが、五月の二十八日には中国地方、五月の二十九日には北海道、六月の二十四日には関東、七月の九日には東海の各地方の第一回の連絡会議がすでに行なわれております。なお九州につきましては、今月の十三日、明日に第一回の会合が開かれる予定でございます。なお近畿につきましても八月の十六日に開かれる予定でございます。日程のきまっておりますのはここまでございますが、東北地方につきましても今月末までには開く予定にいたしております。かように、多少時間の早いおそいはございますが、漸次会議を開き、いろいろな問題について討議がされている段階にきております。何ぶん初めての試みでもございますし、出発するまでにはいろいろ手数もかかりますが、今後はこれが円滑に運営されていくものと期待をいたしております。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣の所信表明の中にも、冒頭「地方行政連絡会議法による地方行政連絡会議の積極的活用をはかることにより、これに対処するとともに、」こういうようなことばがありますけれども、私がお聞きしておる範囲においては、もうとにかく外務省以外は全部出先が入って、ずばり言えば出先機関の会合を地方団体の経費でやってやるようなものだ、こういうような批評も起こりかねない状況もあるようであります。しかも自治省が——自治省のある事務官がある雑誌に、この連絡会議のことについて解説的に書いてありましたが、問題点としては、その構成員をどうするかということも今後の問題点だということを、自治省自体も指摘しております。  それともう一つは、すでにあった、たとえば開発会議、そういうものとどうするのかというそういう組織上の問題運営上の問題というのが横たわっておるようであります。私どもは、これはどうも屋上屋を重ね、あまり成果が期待できないのではないかということを申し上げたわけでありますけれども、自治省の命がけの恋ができ上がったわけですから、これはひとつマイナスにならないように配慮する以外に、今日ではないのではないかと思っておりますけれども、気にかかるようなことが新聞記事なり耳に入ってまいりますから、この点についてお尋ねしたわけであります。  次にお尋ねしたい点は、ごく最近の新聞によると、府県合併について、促進策という形で自治大臣が指示をなさった模様でございますが、この所信表明の中でも、「府県合併等の問題につきましては、ただいま鋭意御審議をお願いしております地方制度調査会の答申をまって、前向きの姿勢で取り組んでまいりたい所存であります。」このような所存を受けこのことと思うのでありますけれども、新聞によりますと、こう書いてございます。「永山自治相は、「広域行政は時代の要請であり、政府府県合併促進のためむしろ積極的な役割りを果すべきだ。このため、合併する府県には、新産業都市建設と同様の法的措置財政援助措置をとり、政府も協力すべきだと思う、」」こういうふうに書いております。この永山自治相の御構想をもう少し具体的にひとつお聞きしたいと思います。
  43. 永山忠則

    永山国務大臣 地方行政連絡会議と関連ありますから申し上げますが、各省の縦割り行政になっておるわけですね。これをやはり地域的な総合行政で調整していくということにおいては、地方連絡会議は非常に役割りがあると思うのです。運営については、お説のような点は十分注意をして、その効果をあげるべきであると思うのです。しかし、これが府県合併の基盤になるものではないのであります。これは全然別の角度で私は申しておるので、基本的原理は権力政治を一切やらないということでございます。民主的・自治的な運営で、旧来のような合併促進法というような、政府が干渉してやるというようなことは一切やらぬ。民主的、自治的な団体運営をやっていくという原則をまず私は言っているわけです。私が申し上げることは、とにかく民主政治ですから、国民の世論がすべての政治をつくり上げるのである、こう考えておりまして、皆さん方の力強い御意見がすなわち政治となり血となることを要望いたしておるのでございますから、ことにその権威であるこの地方行政委員会の皆さん方のお考えを必ず実現するように努力いたしたい。したがいまして、私の独善的な考え方を強行するというようなことは一つも思っておりません。しかし、何にも言わなければいけないわけですから、こちらの意見を言う、国民の世論を聞く、皆さん方の指導を仰ぐということによって、ここにものをつくり上げていくことが民主政治であるというように考えておるのであります。結論的には地方行政調査会の答申を尊重してやるということでございまして、ここにはわれわれは権力的な干渉は一切いたしません。ですからして、こういう考えでやれとか、こうしろというようなことはやらないつもりでございます。  私の個人的の考えはどうかということは、時期じゃありませんけれども、私、個人的の考え方を言うならば、やはり行政は日本丸を指導する大黒柱ですから、やはりこれを助言をし指導をしていくということが好ましいのではないか。したがいまして、一切の権力的な介入はいたしませんが、広域行政はただ縮小計画だけ立てていけというのではいけないのであって、合理化していくには、積極的に事務の合理化をはかって能率化をはかろうといえば、どうしても交通関係その他、すべてがよくなることによって、広域行政へ発展していくことが好ましい姿である、それをやるのに、自治体かってにやっていけということではいけないのではないか。そういうようにやる場合においては、たとえば府県合併をやるためにこの道路をやって交通がよくなってくる、この学校を合併していくということによって能率化する、事務の合理化がはかれるというようなものに対しては、政府はめんどうを十分見るという姿勢でなければいかぬのじゃないかということは言っているのですが、どうも調査会のほうは、いまのところはそこまでやるような空気じゃないようでございます。しかし私はやれとは言いません。またやってくれとも言いませんが、そういうように行くのがいいじゃないかという気持を出しておるわけですけれども、皆さん方のほうで、これはだめだと言われればすぐ引っ込めますから。それで、これはもう私は大臣が政治をしているのじゃない。これは閣議できまったことや政府がきめたことは別でございますが、政府が閣議できめる前はいろいろな意見を言って、そして皆さん方の鞭撻を受け指導を受けるということがいいのではないかというように考えておりまして、まあ積極的に新産都市、工特都市くらいのところまでは、合併する上においてこれだけの施設、計画が要るというときには援助するという道だけは開いておったらどうか。しかし青写真を書いて、これをスケジュールを組んで、ここはこうせい、ここはこうせいというような干渉は一切しない。ただ助言指導するために必要な調査その他はすべてお手伝いをしていくということが親切ではないかという意味で話しておるわけでございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣のおことばは、わかったようなわからぬような、私には一体どうもどういうふうにやるのかわからないのでありますが、ひとつ佐久間さんにお尋ねしますが、「広域行政は時代の要請であり、」これは前提でありますが、「政府府県合併促進のためむしろ積極的な役割を果すべきだ。このため、合併する府県には、新産業都市建設と同様の法的措置財政援助措置を」しようということでありますが、御承知のように十二日に地方制度調査会が開かれて、起草委員会が設けられて、そうして近くこの府県合併の問題の小委員会が最終結論を出して、九月の十日前後には地方制度調査会の総会において最終的なこの合併問題についての結論が出されるようでありますけれども、お尋ねしたい点は、私はわからないのですが、その小委員会起草委員会ではこういうことなんです。「合併は関係府県の自主的合併を原則とする。」これは日本語でわかります。その次がわからない。「国は全国的な合併計画をたてないが、自主的合併の範囲内で国としての指導方針はもつべきである。」「自主的合併の範囲」というのは、大臣ことばのようにわかったようでわからない。今度は府県合併を促進すべきだ、そうしてそういう中において小委員会起草委員会はどういう結論を出したかといいますと、現行法のほかにもう一本、従来の町村合併方式というのを採用するという結論を出したようでございます。町村合併方式というのは、これはもう申すまでもなく自治省が何と言ったって、自治省と県の地方課がとにかく促進に促進をさせて町村合併ができたということはまぎれもない事実であります。その町村合併方式をとろう、ことばの上では「自主的合併の範囲内」において、そして自治省としては促進するのだ、こういうふうに並べてみますと、那辺に自治省としての方針というのがあるのかということが私にはわからない。ひとつこれをわかりやすく、私ばかりじゃなく国民全体にわかるようにちょっと説明していただけませんか。ちょっとというわけにいかぬでしょうが……。
  45. 永山忠則

    永山国務大臣 私に関連いたしておりますから、私からちょっと先にお答えします。やはり私のことばが悪かったら直していただかなければならぬが、自主性で促進して、干渉するということは一切やらないのです。そういう方向で持っていきたいと思っております。私はおそらく町村合併方式というのは、この間言った町村合併方式でかさ上げもせない、援助もせない、ただ合併すれば交付税関係だけをめんどうを見ようというようなことじゃないかという気はするのですが、これは事務当局説明をさせます。したがいまして積極的に役割りをやるということは権力主義で、促進を行政的にやるということは一切ないわけです。ただお手伝いをする。だからどことどこを合併したいという希望があれば、その自主性に応じてひとつ青写真もお手伝いしようじゃないかという範囲の答申ではないかというように考えておるわけなんですが、まだ出てみないのですからわからぬのですが、これじゃ少し私はもの足らぬのじゃないかという気がするのですけれども、しかし答申は尊重いたします。同時に、答申が出たら皆さん方に意見を聞いて、皆さん方と相談の上で一切やりたいと考えておる点でございます。
  46. 佐久間彊

    ○佐久間説明員 自治省としての考え方につきましては、大臣から繰り返し御答弁申し上げておりますように、地方制度調査会の答申が出ましたならばそれを尊重して進めたいということでございます。先ほどのお尋ねも、地方制度調査会の起草委員会等における案についてのお尋ねでございますので、そういう立場で御説明申し上げたいと存じます。  第一のお尋ねの自主的合併と国の指導との関係でございますが、その点、起草委員会におきましてもさらに御討議がございましたが、大体起草委員会でのお話は、国が自主的合併に対して指導援助を与えるということと、そこで国が全国的な合併計画を立てて、これに基づいて画一的、強制的な指導を行なうことはしない、こういう二つの意味で、自主的合併の範囲内で国が指導方針を持つというふうに、先生のおっしゃいました問題点を理解をいたして起草されることになるものと考えております。したがいまして、自主的合併は御承知のように国が全国的な計画を立てて、それに基づいて画一的に強制的に合併をやらせるということではなくて、その関係府県の自主的な盛り上がりに基づいた合併という意味でございます。しかし、そうした自主的合併の機運がございますものにつきましては、国としてもできるだけ指導援助を与えるべきであろう、こういうのが大体の起草委員会考えのようでございます。  それから第二点の、合併を進める手続につきまして、町村合併方式ということば新聞等に報道されましたものでございますが、これは町村合併のように国が積極的に干渉をしてやらせるという意味でございませんで、ちょうど現在の町村合併の手続が、関係町村議会で議決をいたしまして、それを市町村長が都道府県知事に申請をして、都道府県知事が都道府県議会の議決を経て助言をする、そういう方式に準じて、府県合併の手続を進める府県の場合は町村より一段上にになるわけでございますから、関係府県議会が議決をいたしまして、それを知事が内閣総理大臣に申請をいたしまして、内閣総理大臣国会の議決を経て助言をする、こういう手続方式を俗に町村合併方式、こう申しておるわけでございます。起草委員会におきましても、そういう方式をとるか、あるいは現行方式のように国が法律をつくりまして、それを関係府県民の人民投票に付するという方式をとるか、あるいは両方の方式を二本立てで採用することにするか、いろいろ御議論がございましたが、結論といたしましては、両方の方式があっていいんじゃないか。現行方式は国のほうでイニシアチブをとりまして、国が法律をつくってそれで関係住民の住民投票によって意向を聞いていくという方式でございまするし、いわゆる町村合併方式ということは、関係府県議会のほうからイニシアチブをとりまして、それを国のほうで国会の議決を経て処分をする。こういう両方の方式があっていいんじゃなかろうかということで案をまとめられたのでございます。  いずれにいたしましても、先ほどお話のございましたように、これは小委員会に御報告になり、小委員会でさらに御検討をいただいた上で総会に持っていくわけでございますので、なお小委員会や総会におきましていろいろ御検討を賜わりたい、かように思っておる次第でございます。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 一つお尋ねしておきたいと思います。  町村合併の際に、私も身をもって経験しているのです。東知事も言っておりました。これは町村合併を強行したので、分村合併をして、これはいまでもたいへんなんです。あなたも御承知だと思うのですけれども、分村合併する際には、両方の何かリーダーが、それこそお寺か公民館に閉じ込めて、投票まで一週間でも十日でも出さないで、そこで共同炊事をして、投票のときにはバスで行ってやった。それがいまだに大きなしこりとなって、そこの住民は、ああいう合併をやらないほうがよかった、こういうことを聞くのであります。東知事も地方制度調査会でしみじみと私にそれを述懐した。困ったことです。こう言っておる。現行法というのは、国がその合併についての法律なら法律をつくり、住民投票に付するのですね。これはある意味では発議者は国です。国会です。ところが今日はそれだけの方法しかありませんから、大臣が言うように、もっと住民の意思というものを尊重しろ。下からの自主合併というのが住民の意思として盛り上がってくるならば、これを政府なり国会がどう受けとめるかという、上からのコースと下からのコースというのは私はバランス上必要であろうと思うのです。しかし町村合併方式というのは、いま大臣がおっしゃった、やはり国会の意見あるいは市町村議会の意見、その背後には何があるかというと実は地方住民自身だ。やはり住民が主人公であります。その住民の意思というものをいれないで、一方交通で、へいをふさごうという考えはいささか問題点があるのじゃないか。私は地方制度調査会の答申が出ようとする矢先に、いまそれを尊重しようという大臣のおことばのある自治省に御質問するのは、少し酷かと思うのですけれども、それで飯を食っている佐久間さん、一体それでバランスがとれるかどうか、ひとつ見解を聞かせていただきたい。別に何も地方制度調査会を拘束するわけではございません。この際、その見解をひとつ聞かせていだきたい。
  48. 佐久間彊

    ○佐久間説明員 町村合併方式ということばが、かつての町村合併を積極的に政府も勧奨をしたという印象をお持ちになっておられるので、たいへん誤解されておるわけじゃございませんけれども、悪い印象をお持ちのように存じますが、町村合併方式というのは全く俗称でございますので、そういうことばは誤解を招くようでございますれば避けるようにいたしますが、それは別といたしまして、下から持ち上げていきます場合に、先生の御説によりますと、まず住民投票をやって、それから府県議会にかけて、さらに国会に持っていく、こういう御趣旨かと思いますが、住民の意思を求めます場合に、地方議会の意思を聞きますことが普通の常道でございます。地方議会の意思が住民の意思と乖離いたしておりますような場合には、議会の意思のほかに住民投票によって住民の意思を聞くという立法令がございまするけれども、そうじゃない通常の状態におきましては、地方議会の意思が即住民の意思だという前提で制度考えるのがたてまえでございますので、いわゆる町村合併方式の場合におきまして、府県議会の議決をもってその府県住民の意思と見て考えますことは、別段支障がないのではなかろうか。町村合併の場合に、町村議会の議決をもって町村住民の意思というふうに判断をいたしまして手続を進めておりますのと同様に考えてよいのではなかろうか、かように思うのでございます。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 ここで議論するつもりはありませんけれども、議会が住民の意思をすべて代表するなら、現行法の国会で議決したのなら、これは憲法の規定がありますけれども、一つの地方公共団体云々とありますけれども、議会というのがすべて住民の意思の代表機関ですから、それでいいのだということであれば、住民投票など何も考えないでいいのですよ。しかしこれはそうやっているでしょう、住民投票を。あなたのほうの考えの一つとして、やはりそうじゃなくて、関係府県議会の議決による申請によって国が立法措置をとり、関係府県の住民投票に付するという考え方だってあると思うのです。ところがそうじゃなくて、関係府県の議決による申請によって内閣総理大臣国会の議決をして処分をする、住民投票を略したのですね。現行法の住民投票という大きな柱は、そこまで慎重にひとつ地方自治の根幹である住民の意思を守ろうじゃないか、こういうのが今度の試案で消えている。ここに今日の自治省考えなりあるいは地方制度考えなりというのが、ことばでおっしゃいませんけれども、腹の中ではやはり中央集権化、おれがひとつ権力でおさめてやろうという気持ちがあるのではないかということが感じられてならないのです。理屈から言うなら、A案、B案、C案とあるなら、A案が現行法、C案が住民投票省略、B案は住民投票をやるという、両方とも住民投票が前提になっているのですから、そのほうがバランスがとれるのじゃないですか。上と下の往復でバランスがとれるのじゃないか、そう思うのです。しかし、これはこれ以上申し上げません。  もう一つお尋ねしたいのです。行政事務の再配分ということが、第九次地方制度調査会によって答申を受けてやっているのです。これについて、なかなか頭がいいのかどうか知りませんけれども、聞いてみますと、財源の再配分なんということを考えると、これはとても大蔵当局の抵抗があって突破できぬ。ひとつ事務の再配分のほうを具体的に検討して、財源の再配分はそのあとにしようじゃないか、こういうことで、時間的な制約もあるでありましようけれども、事務の再配分だけが検討されて、財源の再配分については全く議論が進んでおらぬようであります。私はその一つの方法論としては理解できる面もありますけれども、そういう方法論の積み重ねが今日事務だけを地方に与えて、財源を裏づけしないやり方となってあらわれてきているのじゃないか。何といってもやはり事務に相応する財源、これを地方に与える。今日的な課題は私は逆だと思う。今日の制度の中においても、財源さえ与えればもっと地方団体自治体らしい動きができると私は確信している。逆なんです。そこまできているのです。そういう点で、自治省考えは甘いのじゃないか、基本的に誤りではないか、そう思うのですが、どう思いますか。
  50. 永山忠則

    永山国務大臣 お説のように、中央集権的な性格になって、真の自治的な姿でなくなってきておるのではないかということを非常に憂慮いたしております。したがいまして、いわゆる行政事務の再配分とともに、自主財源を確立すべきであるということを強く推し進めたいと存じておる次第でございます。これは口では言うても非常に困難なものではございますが、ただいまも税制調査会がございまして、私はそこへ参りまして、もう権力主義の中央集権へ移行されて、ほんとうの自治は破壊されておる姿になろうとしておるではないか、これはもう行政事務の再配分と関連をして、どうしても財源の自主性を確立するようにやってもらいたいということを、あいさつ文には書いてなかったのですが、強く言うた。どこからか、あいさつ文に書いたとおり読めというメモをくれたように思いますが、だれがくれたのか知りませんが、私はそういう意味で強くやりたい。また予算関係の意欲を失うておるという点に対しても、私は、役人をふやす、機構をふやすことはいやだ、役人が仕事をするんじゃなしに、国民をして仕事をせしめるような方向に持っていこうということでやっております。意欲的でない点があるかもしれませんが、しかし、この点は、皆さん方のほうからまた御指導を得ましたならば、悪いところは直しまして、まだ予算編成に間がございますから、ひとつ十分不備を是正していきたい。なお民主的な運営になるように、お説は町村合併でございましたが、この点も私は同感でございますので、努力をいたしてみたいと存じております。
  51. 佐久間彊

    ○佐久間説明員 補足をして申し上げます。  地方制度調査会に事務再配分の問題の御審議をいただいておるわけでございますが、事務再配分の問題と、これに関連をいたします財源の再配分の問題と、両方相呼応して御研究をしていただく、政府といたしましてもそのつもりでおりますし、調査会のお考えもそういうお考えで現在まで御審議を進めてきておられます。何ぶんにも調査会でお取り上げになっておる行政事務の再配分の問題につきましては、大筋の考え方だけを示すということではなくて、具体的に個々の事務につきまして詳細に検討をして、できるだけ具体的な答申を出そうというお考えで進めてきておられますので、非常に御勉強いただいておりますが、相当時間がかかっておるわけでございます。したがいまして、一昨年まず総論的な部分について御答申があり、今回実は財源までひっくるめてという当初の御予定で始められたのでございますが、そこまでいきませんので、事務配分の各論的な部分を一応九月の下旬までに取りまとめて答申をし、さらに引き続きそれに関連する財政問題を御研究になる、こういうスケジュールを立てておられるわけでございます。そういうようなスケジュールで進んでおられますお気持ちといたしましては、すでに行政調査会から行政事務再配分に関する答申、許認可の整備等に関する答申も出ておりますし、地方制度調査会の案もまとまりましたならば、財源措置の研究がおくれておるからということで、これらの問題の実現をさらに先へ引き延ばされるよりも、財源の移動について格別な検討をいたしませんでも、実現可能な問題につきましてはなるべく早く政府において実現するようにしてもらいたい、かようなお考えから、財源配分の問題を次に譲って、とにかく再配分の各論の部分を、まとまったものは答申をしよう、こういうようなお考えのように伺っておるわけでございます。大臣からもお話がございましたように、中央集権的な方向是正するためには、事務の配分あるいはそれに関連をする許認可その他の関与の整備というようなことがあるわけでございますので、関与の整備などの問題につきましては、格別財源の検討をいたしませんでも、実現可能なものも相当あるわけでございますので、そのようなお考えで御研究を進めておられることにつきまして、私どもといたしましてもごもっともな進め方だと存じておる次第でございます。
  52. 亀山孝一

    亀山委員長代理 細谷さん、大臣はあと十分くらいしかありませんから、ひとつよろしく……。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 要望を申し上げておきたいのですが、自治省事務当局から調査会に出た事務再配分の具体的な資料が一尺くらいあるのです。これはたいへんなことなんです。ところが、私が心配しているのは、いま申し上げたように表裏一体——財源という問題について検討を重ねないということは、戦術上の思惑があるかもしれませんけれども、これはやはり自治省の一人相撲、地方制度調査会の一人相撲になるのではないか。今日の段階では、もっと財源という問題から入らなければならぬというところまで地方団体があるんだという点を認識していただきたい。現に私のところへ二、三日前に手紙が二通来ました。こういうことであります。ある国の出先の人、これは前々から問題になっているのですが、一体県庁の職員なのか、あるいは国の職員なのかわからない、そういう人が、国家公務員なら国家公務員地方公務員なら地方公務員、どちらでもいいですから、何とか身分をはっきりしてくださいと言う。これははっきりしないのです。宙ぶらりんなんです。いい例は安定所の職員あるいは社会保険出張所の職員でしょう。そういう人たちに対して上司はどう言っておるか。おまえたちは国家公務員だ、国家公務員にはっきりするんだということで、事務再配分で検討されておるのとは逆に言っております。ある本庁の課長は、そんなことをやるのなら、別に今度は本庁の出先をそこに設けますと言っております。そう言うくらいのことでありますから、これはたいへんなことであります。臨時行政調査会の答申も出ているわけですけれども、これは自治省の一人相撲になって、単なる作文におちいる心配が十分にございます。しかも片手落ちなんです。答申がどうも片手落ちになりそうであります。そこで、こういう問題は真剣に取り組んでいただかなければならぬ、財政と事務再配分と表裏一体として扱っていただかなければならぬのでありますが、どうかひとつ自治省の一人相撲で作文を書かないように特段の配慮をいただきたい。大臣はほんとうに自治を確立するんだという決意でやっていらっしゃるようでありますから、特に強く要望しておきたいと思います。これについて大臣の御所信でも承れればけっこうだと思います。
  54. 永山忠則

    永山国務大臣 同感でございます。お説のように最善を尽くして、いわゆる自主財源と相伴うてやるべきである。また、から回りをしないようにしなければいかぬ。また、なる憂いが多分にあるのではないかということをともに心配いたしております。最善を尽くして努力したいと思います。
  55. 亀山孝一

    亀山委員長代理 華山君。——大臣はあと五、六分で退席されますから、そのつもりで御質問願います。
  56. 華山親義

    ○華山委員 簡単にお聞きいたしますが、先ほど大臣は、地方財政が窮迫したならば、国のほうで借金してでもしわを寄せることはしないとおっしゃいました。しかし、それは、その意気は壮だと思うのでございますけれども、現在の法律上できませんよ。そういうことにつきましては、もしもそういうことであるならば、いろいろな補助の問題、あるいは地方と国との財政の負担の問題、そういうものは法律を根本的に変えていかなければできない問題です。そういうことをなさるつもりでございますか、あるいはそういうことにつきましてもう自治省は研究を始められていますか、お伺いいたしたい。
  57. 永山忠則

    永山国務大臣 具体的にはなかなかわからないのですけれども、実際問題としては、国が地方財政を援助すればよろしい。その方法論をどういうように持っていくかということはわからぬですが、そのとき国が金がなければ、国が借金してでも地方財政のほうへ持ってこい、こういうことを言っているわけでございます。
  58. 華山親義

    ○華山委員 その点につきましては、現在の法律的には非常に大きな問題をかかえておると思いますから、根本的に研究していただきたい。
  59. 永山忠則

    永山国務大臣 承知しました。
  60. 華山親義

    ○華山委員 もう大臣がいらっしゃれないのならよろしゅうございますが、事務的なことを一つお聞きいたしたいと思います。  先ほど僻地のことをお尋ねになりました際に、今後また続けておやりになるということでございますが、これに対する基礎の法律は、辺地に関する財政措置法律がございます。あれをそのままにしておやりになるのでございますか。何か別個の法律でもおつくりになりますか。
  61. 岡田純夫

    ○岡田説明員 原則的には現行法でやっていけると考えております。
  62. 華山親義

    ○華山委員 それでは、ちょっと事務的のことで、こまかい点になりますけれども、あの中に、財政的な措置をする項目の中に、上水道のことが書いてあります。そしてそのまたあとで、補助をするところのほうにはカッコをしまして、収入があって元利償還のできるものについては例外であるから原則的な措置はしない、こう書いてありますが、いわゆる簡易水道についてはどうなっておりますか。
  63. 岡田純夫

    ○岡田説明員 ただいま本格的な上水道等につきましてはそうですか、簡易水道等につきましては、原則として全面的に対象になるというふうに考えております。
  64. 華山親義

    ○華山委員 それは私あらためていただきたいと思います。回収になるということは、非常に高いものをとれば回収になるのです。しかし現在におけるところの簡易水道はもう行き詰まりにきてしまって、非常に水をとることが困難であるとか、あるいは水を配るのに困難であるとか、金さえかければできるけれども、とてもそういう高い料金は取れないということから、実施のできない部分があるわけでございます。そういうことでは僻地の生活を向上させることはできません。私はある一定の水道料金の基準を定めて、それ以上のものについてはあの法律を適用する、こういうふうなことに持っていきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  65. 岡田純夫

    ○岡田説明員 私申し上げましたのは回収ではございませんで、対象になるというふうに考えておる、こう申し上げたのでございます。要するに簡易水道等につきましては、一般的に当該収入をもってまかなえないものが大半でございます。そういうふうなものは、いわゆるカッコ書きと申しますか、除外からさらにはずれまして対象になる、そういうふうに申し上げたのでございます。
  66. 華山親義

    ○華山委員 私、聞き間違えたのでございますが、そういたしますと、私が先ほど述べたように現在でもやっていらっしゃるわけでございますか。
  67. 岡田純夫

    ○岡田説明員 直接データ等見ておりませんので、確定的には申し上げられませんが、そういうふうになっているというふうに考えます。
  68. 華山親義

    ○華山委員 そういうふうになっておらないから、私は山間僻地の簡易水道はいま打開の道がなくて困っておるのじゃないかと思うのです。私は、ある一定の水準以上の料金を要するようなものにつきましては、やはりあの法律に基づいて元利償還は見てやるべきではないか、こういうふうに考えますが、そういうふうないままでの御方針であれば実行してもらいたいし、そうでないとすれば、さらに細心の注意をもってそういう指導をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  69. 岡田純夫

    ○岡田説明員 これは辺地債の総ワクの関連がございますので、できるだけ総ワクを確保いたしまして、御期待に沿うように考えてまいりたいと思います。
  70. 華山親義

    ○華山委員 総ワクと申しますけれども、そういうふうな原則であって、ワクがなければしかたがない、こういうことでございますね。ワクがなければ、やはりあのカッコ内でやるということですか。
  71. 岡田純夫

    ○岡田説明員 ワクと申しておりますのは、これは当該水道から料金をとって十分に合理的に償還できるもののことをさしております。その実態をよく検討いたしまして、法的に可能なものにつきましては対象にするように考えてまいりたい。しかしながら何と言いましても、現在のところ今年度でも十五億でございます。やはり元利償還金を地方交付税に算入しているにしても、総ワクが縛られてきておるのが現状であります。したがって来年度以降さらに辺地債の総ワクそのものをもっと拡充いたしまして、法の許す範囲内でもって幅広く運営していくように考えていきたいと考えております。
  72. 華山親義

    ○華山委員 この問題は重要な問題であると思いますので、厚生省ともよく御連絡の上、水の問題でございますから、ぜひひとつそういう方針で実行していただきたいと思います。  それから先ほど細谷さんの御質問に、地方の連絡会議でしたか、あれに防衛庁が入るというお話でございましたが、そういうのは具体的にあるのでございますか。
  73. 松島五郎

    松島説明員 防衛庁というのは当然には入りません。ただ北海道あたりでは、会議で出席を委嘱するものの中に防衛庁の、ただいま正確な名前を忘れましたが、現地の部隊の長かなんかを加えておるようでございます。
  74. 華山親義

    ○華山委員 ちょっと聞き漏らしましたけれども、正式のメンバーでなくてでございますか。どういうことでございますか。
  75. 松島五郎

    松島説明員 たしか、会議において委嘱するものを出席させることができるようになっていたと記憶しておりますが、そのメンバーとして委嘱しているのではないかと思います。詳しい事情は、私はどういういきさつで入っておるのか知りませんが、報告によれば、北海道の現地の部隊の何と言うのですか、司令官と言うのですか、そういう形の方が入っていたように記憶いたしております。
  76. 華山親義

    ○華山委員 委嘱するというのは、専門家を委嘱するという意味でございましょうね、あの法律は。そういう者まで委嘱に入るのですか。
  77. 松島五郎

    松島説明員 災害等いろいろございますときには、自衛隊との関係も出てまいりますので、そういう意味で委嘱していたのではなかろうかというふうに私は考えております。
  78. 華山親義

    ○華山委員 それから、先ほど町村合併のことにつきましてお話がございましたが、自治省の御関係のないところと思いますが、過日フランスに知事会が招待されまして行かれました。そうしてフランスの地方制度を調査してこられたということですが、その報告等お聞きになりましたか。
  79. 佐久間彊

    ○佐久間説明員 フランスに参りました知事さん方が、帰りましてからフランスの駐日大使を囲みまして座談会をやられたことがございます。その席には私もお招きにあずかりまして、いろいろお話を傍聴させていただきましたが、その機会に知事さん方の御視察になっての御感想を伺っております。
  80. 華山親義

    ○華山委員 詳しいことは申しませんけれども、そのときの話によりますと、市町村合併等のことは、フランスにおいてはほとんど考えられない。むしろ市町村というのは広過ぎるので分割したほうがいいのじゃないかというふうな考え方さえもある。パリという地域は十一の自治体からできておる。しかし、これをもっと自治体というものをふやそうじゃないか。そういうふうなものの考え方が強いということは、ほんとうに自治体というものが直接生活に関係するようなことをめんどうを見るということであるならば、そういう大きなものではできないのだ、こういう思想だと言われますけれども、そのことについて知事さんのお話をお聞きになりまして、どういうお感じを受け取りましたか、日本ではだめだ、こういうふうにお感じになりましたか。
  81. 佐久間彊

    ○佐久間説明員 私も外国の制度をそう詳しく勉強しておるわけではございませんけれども、フランスあるいはスイス、イギリス等におきましても、町村の規模は日本と比べますと、比較的小さいようでございます。イギリスなどにおきましては、しかしもう少し大きくしようというようなことがいろいろ研究もなされておるようでございますが、フランスの場合におきましては、ただいまお話しのように、そういうような話もないようでございます。これは地方自治団体の、特に市町村の行ないます事務がフランスあるいはスイスあたりと、日本の場合といろいろまた違っておると思います。それからまた民族性なり、地理的な条件などもあろうと思いますので、一がいに申すわけにはいかないと思いまするけれども、ただ一般的に各国を通じて申せることは、ただ何でもかんでも大きくしたらそれだけいい、こういうわけではございませんので、市町村の行ないます仕事の中には、広域的な処理を便宜とする事務もございまするし、できるだけ住民の身近で、きめのこまかい世話をやくということの必要な事務もございまするので、これも両々相兼ね合わせまして、適当な規模を考えていくということがいいと思うのでございまして、わが国の場合におきましても、ただ何でもかんでも大きくしさえすればいいというような考え方はもちろん持つべきではありませんし、私どもも現在そのような考え方に立っておるわけでございます。しかし、日本の場合におきましては、フランスやスイスのように、人口何千というような町村ではわが国の現在の社会、経済、文化的な要求には沿い得ない。やはりある程度の規模でいままで行なわれたことは、わが国の場合においては妥当した施策であった、かように考えておるわけでございます。
  82. 華山親義

    ○華山委員 私は日本の中央集権的なやり方がどうしても府県の合併とか、それから市町村の合併とか、そういうふうに向いてくるのじゃないか。さらに中央集権のみならず、いわゆる縦割り行政というものが、末端に行きましていろんな障害を起こすために、そういうふうな合併等の問題が起きてくるのじゃないか。それで、国のやり方が悪い点、そういうものを考えないで、何でもかでも地方自活体というものにかぶせてきて、そうして地方自治体をいじくり回す。それでその結果、地方自治というものは発達しない。そういうふうなことで、国がこういう点があるからいけないんだという点を反省してみる必要があるんじゃないか。私はそういうふうに知事さんの報告を聞いて思うのでございますが、その点ひとつ、大臣がおらないのでたいへんなにでございますが、次官がおいでになりますから、ちょっと御感想をお聞かせ願いたい。
  83. 大西正男

    ○大西説明員 いま局長がお答え申し上げましたように、それぞれその国あるいは民族、あるいは自然的な土地の条件、そういったものが、それぞれの国の地方自治体の規模とかいうことに関係があろうかと思うのでございます。そこで日本のことを考えますと、現在の経済的あるいは文化的あるいは社会的な現状から、おのずから広域的な行政機構というものに対する要望が生まれつつあるのでございまして、これにやはり応じていくということも必要であり、またよい方法ではないかと考えるのでございます。そういう趣旨で今度の問題につきましても対処していきたい、こういう考え方でございます。
  84. 華山親義

    ○華山委員 これ以上は議論になりますから、これでやめます。
  85. 亀山孝一

    亀山委員長代理 安井君。
  86. 安井吉典

    安井委員 ちょっと資料要求をいたしたいと思います。  中央の省庁から地方の都道府県庁に人事交流ですか、交流というのはおかしいかしれませんけれども、そういう形で出ている人の実態をちょっと調べていただきたいのです。どうもそういう質問をいたしますと、自治省の皆さんは、これは地方に行って勉強して、だんだんえらくなって、そうしてそこへすわっていられるから、一がいにそれがいい悪いという意味ではないのですよ。最近防衛庁のあたりからも地方の部長が出たり何かしているという事態もあるそうですから、縦の線は各都道府県別にして、横のほうは中央の各省庁別のものが現状でどのくらい都道府県の課長クラス以上に出ているかという実態を表にして出していただきたいと思います。
  87. 亀山孝一

    亀山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会