○
春日小
委員 それでは私、時間も迫っておりますので、あるいは
問題点を指摘するだけになるかもしれませんが、との
答申について私の
判断するところを申し述べて御研究を願いたいと思うのです。
この
金融制度調査会の自主規制に対する論評は、ここに述べられておりますように、この
内容は抽象的なものであって、「十分のものとは言いがたい」ということは不十分なものだということでございますね。あなたのほうの
全国銀行協会が、たとえば
岩佐さんの出された原案に対する堀さんの批判は不十分なものだ、そういうようなことなんですよ。その点の思想統一をしてかからなければならぬ。
それから、その次のページの第一項に、
金融の正常化に関する問題についてはいかにあるべきか。すなわち諸外国にその規範がある、しかしそういう資本主義諸国や先進諸国の規範を
わが国において
設定するということは「必ずしも容易ではない」——この「容易ではない」ということは、適当ではないということではなくて、非常に困難だということなんですよ。むずかしいということなんです。しかし、いま
わが国のオーバーローンとオーバーボローイングの解消を、いかなる困難をも乗り越えてこのことを達成しなければ、
わが国の
産業の
健全化あるいは
金融の正常化ははかりがたい、またそのことが
わが国経済の健全なる発展のためには、これもこの二つの問題が大きな時代要請になっておるわけなんですね。いかなる困難をも排除してこのことを達成しなければならぬのに、困難だからあえてこのことを避けておるのです。手段、
方法は幾らでもある。外国に慣行があり、制度化されたものがある。だから、それをやろうとすればこれはむずかしい。だからこれはやめようといって抽象論議に終わっておる。まことにもって不十分なものである。不十分なもので、困難を避けたもので、はたして国民が要請しておるところの
金融の正常化というものが達成できるか、
銀行企業というものの
健全化が達成できるかという問題になると、一にかかって
運用委員会の善処に期待されておる、こういう結びになっておる。だから、こんなものを出したって、
岩佐さんに申しわけないけれ
ども、これはへみたいなものなんですよ、実際の話が。私は中身について
一つ一つ分析してみたいと思うのですけれ
ども、ここの中には、
銀行業務の第一の責務である預金者の安全確保の責務というものがどこにも書いてない。
銀行経営の正常化と
銀行の機能というものが預金者の安全保護責務、信用
秩序の維持責務、信用
調整の維持責務、この三つのものがあるであろうけれ
ども、しいて言うならば、この自主規制の中には信用
調整というようなところに若干のね
らいが、アクセントが置かれておると見るべきでありましょうが、他の二つの責務については何ら述べられておるところがない、抽象的にも述べられておるところがない。言うならば、意を用いられておる痕跡もとどめていない、こういうことだろうと思うのです。だから、いま当面しておる問題は
産業ルールの確立、これは経団連、
経済同友会でおやりになっておる
産業ルールの自主規制というような問題、
産業ルールの確立、同時に
金融ルールの確立が国家的要請として相対応して要請されておる。ところがあなたのほうはみずから差し出がましくも、
企業の
健全経営をはかるためには
銀行の
産業、
企業融資はかくあるべきものといって、みずからの
健全経営ということをあえて眼目とはせずして、
産業すなわち
企業経営の
あり方の
健全化をはかるためにはこんな
融資の
あり方が望ましいといって、問題を取り違えて取り組まれておる気配なきかというこの問題です。その点は私が言い過ぎかもしれないけれ
ども、そのような批判もあるということを念頭に置かれてあとお聞き取りを願いたいと思うのです。
いま
銀行でこういう点を直してくださいといって指摘された問題を
経過的にあげてまいりますると、
大口貸し出しの規制の問題がございます。この問題はここに述べられておるように若干ふえんされてはおるけれ
ども、これはなるたけさせるようにしましょうやというておるだけのことですね。
銀行間で
大口をできるだけ分散するようにしましょうやというようなことをここに書いておる。二ページには、
大口貸し出しの問題は、現在の
わが国の
産業金融の
実情にかんがみて、これを直すことは当面困難な段階と考えられるが、しかしながら
銀行としては、
銀行間で
話し合いをしてできるだけ分散しようというようなことをいっておるけれ
ども、こんなことは言うだけのしゃれで、実際的にはなかなかむずかしい問題ではないか。すなわち不特定多数の預金者から集めた金を、
銀行ではいま系列
融資、集中
融資、偏向
融資という非難はあるけれ
ども、そこの中に事実問題としては
大口貸し出しの形をもってあらわれてくる。それでこういう問題は、預金者の安全を保護することのためにも、
銀行経営上の危険の分散という立場から考えるならば、
大口貸し出しの規制ということは第一義的に取り上げられなければならないし、それは預金者の安全を確保することに通じ、同時に公共的使命を持つ
銀行が、その
資金を多方面に均てんせしめるという
経済効果をあらわしてくるのですね。だから、この
大口貸し出しの規制についてこれだけのことをいって、こういう問題は問題として聞いたけれ
ども、いまのところはむずかしいから
分散化に留意すべきであるというようなことを言ったって、これは権威あるものとは承りがたいのですね、実際の話が。これはあくまでも集中
融資、偏向
融資、系列
融資の悪弊を是正するという立場から、もう少し自主規制というもの、自主
ルールというものはもっとその具体性を帯びるものか、あるいはその規制のカテゴリーを
区分して、その目標と手段、目的と手段等を明確にするものでなければいけないのじゃないか、こう思うのです。
それからもう
一つは、この
自己資本の
蓄積という問題が何も論じられてはいないと思うのです。富士
銀行さんの払い込み資本金はお幾らですか。